説明

マンコンベアの制御装置

【課題】 マンコンベア降り場における乗客の滞留の誤検出を防止すると共に、乗客の滞留を適正に検出してマンコンベアの運転速度低下するマンコンベアの制御装置を得ること。
【解決手段】 乗客を運ぶマンコンベア1を駆動するモータ25の速度をインバータ23で駆動して可変にする速度制御器70と、マンコンベア1の降り場付近に設けられ、人を検出することにより人検出信号を発生する乗客センサ30と、モータ25に流れる電流を検出して電流検出信号を発生する電流センサ29と、人検出信号が予め定められた基準値を越えると、第1検出信号を発生する第1比較部36と、電流検出信号が予め定められた基準電流信号を越えると、第2検出信号を発生する第2比較部40とを備え、速度制御器70は、第1及び第2検出信号の発生に基づいて速度を減速する、ものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンコンベアの制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のマンコンベアの制御装置は、下記特許文献1に記載のように、マンコンベアの降り場付近の人々を検出する人検出手段と、前記人検出手段が検出する信号に対して前記マンコンベアの降り場付近の混雑度を算出する混雑度演算手段と、前記混雑度演算手段の算出する混雑度に応じてマンコンベアの運転速度を変化させる速度制御手段とを備えている。
【0003】
かかるマンコンベアの制御装置によれば、人検出手段によってマンコンベアの降り場付近の人々を検出し、この人検出手段の検出する信号に対して混雑度演算手段が降り場付近の混雑度を算出する。そして速度制御手段が降り場付近の人の混雑度に応じてマンコンベアの運転速度を可変制御する。 これによってマンコンベア降り場付近の混雑度が高ければマンコンベアの運転速度を遅くすることによって降り場付近への利用者の流入を抑制して混雑度を緩和できる。
【特許文献1】特開平10−81480号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記マンコンベアの制御装置では、マンコンベア降り場における人検出手段のセンサ付近に人が立ち止まると、多数の乗客が滞留している判断してマンコンベアの運転速度を低下していたので、輸送効率が低下するという課題があった。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、マンコンベア降り場における乗客の滞留の誤検出を防止すると共に、乗客の滞留を適正に検出してマンコンベアの運転速度低下するマンコンベアの制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明に係るマンコンベアの制御装置は、乗客を運ぶマンコンベアを駆動するモータの速度をインバータ駆動することにより可変にする速度制御手段と、前記マンコンベアの降り場付近に設けられ、人を検出することにより人検出信号を発生する人検出手段と、前記モータに流れる電流を検出して電流検出信号を発生する電流検出手段と、前記人検出信号が予め定められた基準値を越えると、第1検出信号を発生する第1比較手段と、前記電流検出信号が予め定められた基準電流信号を越えると、第2検出信号を発生する第2比較手段とを備え、前記速度制御手段は、前記第1及び第2検出信号の発生に基づいて前記速度を減速する、ことを特徴とするものである。
これにより、マンコンベアの降り場付近の人のみでなく、マンコンベアに載っている乗客も考慮してマンコンベアの速度を減速できる。
【0007】
第2の発明に係るマンコンベアの制御装置における人検出手段は、光を発生する投光器と、該光を受光する受光器とを有し、乗客を検出することにより受光器が受光する光が遮光され、第1比較手段は、該遮光の時間が予め定められた基準時間を越えると、第1検出信号を発生する、ことが好ましい。
したがって、人検出手段は、光を発生する投光器と、該光を受光する受光器とをセンサとしたので、一定領域を検出するエリアセンサとして例えば、カメラなどを用いる必要がないので、人検出手段を簡易に構成できる。
【0008】
第3の発明に係るマンコンベアの制御装置における第1検出手段は、第1検出手段は、遮光時間を積算した遮光積算時間を求める積算手段を有しており、第1比較手段は、所定時間内に前記遮光積算時間が予め定められた基準時間を越えると、第1検出信号を発生する、ことが好ましい。
したがって、投光器からの光を人が通過することにより遮光した遮光時間を、積算した遮光積算時間に基づいてマンコンベアの降り場付近の混雑度を判断したので、該混雑度の精度が向上する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、マンコンベア降り場における乗客の滞留の誤検出を防止すると共に、乗客の滞留を適正に検出してマンコンベアの運転速度低下するマンコンベアの制御装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
実施の形態1.
本発明の一実施の形態を図1から図3によって説明する。図1は本発明の一実施の形態を示すマンコンベアの全体構成図、図2は図1に示すマンコンベアの制御装置の全体構成図、図3は図2示す混雑度演算器の動作を示す概念図である。
図1において、マンコンベア1は、手摺3と、デッキボード5と、循環式の多数の踏み段7とを有しており、乗降口には、下側トラス8と、上側トラス9とを備えている。マンコンベア1の内部には、踏み段7を駆動する駆動源としてのモータ25を駆動制御すると共に、マンコンベア1の乗客11の輸送方向指令、つまり下降指令又は上昇指令を発生する制御装置55を有している。
【0011】
マンコンベア1の制御装置55は、三相交流電源eを整流して直流電圧を発生するコンバータ21と、該直流電圧を可変電圧可変周波数に変換してモータ25に流れる電流を検出して制御するインバータ23とを有している。
制御装置55は、センサを有する検出部と、降口の混雑度が予め定められた基準を超えると、第1検出信号を発生する混雑度判定器32と、該センサからの検出信号によりマンコンベア1の負荷を推定して基準負荷値よりも軽いか否かを判断して予め定められた基準を超えると、第2検出信号を発生するする負荷判定器40と、該第1及び第2検出信号に基づいて第1速度指令信号よりも低い第2速度指令信号を発生し、第1又は第2速度指令信号と速度検出信号との差によりインバータ23を制御するインバータ指令ユニット55とを有している。
【0012】
検出部は、モータ25に流れる電流を検出すると共に、電流検出信号を発生する電流検出手段としての電流センサ29と、モータ25の回転位置を検出することにより位置検出信号を発生するエンコーダ27と、マンコンベア1の上側トラス9付近に設けられると共に、下側から乗り込み、上側から降りる乗客11を検知する人検出手段としての乗客センサ30と、を有している。乗客センサ30は、光電式で、光を発生する投光器30aと、該光を受光する受光器30bとを有している。
【0013】
混雑度演算器32は、乗客が投光器30aと受光器30bとの間を通過する際の人検出信号としての遮光時間を検出する遮光時間検出部32と、図3に示すように、予め定められた測定時間内における該遮光時間ta〜tdを積算して遮光積算時間を求める積算手段としての遮光時間積算部34と、該遮光積算時間が予め定められた基準時間値よりも大きいか否かを判断すると共に、大きいと第1検出信号を発生する第1比較手段としての第1比較部36とを有している。
負荷演算器40は、電流センサ29の電流検出信号が予め定められた基準電流信号(基準電流値)よりも大きいか否かを判断すると共に、大きいと第2検出信号を発生する第2比較手段としての第2比較部を有している。
【0014】
インバータ指令ユニット55は、インバータ23の速度指令信号を生成する速度指令器60と、速度検出信号と速度指令信号との差となる速度偏差信号を求め、該速度偏差信号によりインバータ23の電流指令信号を生成する速度制御手段としての速度制御器70とを有している。
速度指令器60は、第1速度指令信号を発生する第1速度指令部62と、第1速度指令信号よりも低い第2速度指令信号を発生する第2速度指令部64と、第1速度指令信号又は第2速度指令信号を切換える切換えスイッチ68と、第1及び第2超過信号が発生することにより切換えスイッチ68を第1速度指令信号と第2速度指令信号とに切換える指令を発生する切換え部66とを備えている。
【0015】
速度制御器70は、エンコーダ27の位置検出信号を速度検出信号に変換する速度検出部72と、速度指令信号と速度検出信号との差を求めて速度偏差信号を発生する減算器74と、速度偏差信号により電流指令信号を生成する電流制御部76とを備えている。
【0016】
上記のように構成されたマンコンベアの制御装置の動作を図1から図4によって説明する。図4は図1に示す制御装置の動作を示すタイムチャートである。
いま、速度制御器70からの速度指令信号によりインバータ23を制御してモータ25が駆動されて多数の乗客が乗ってマンコンベア1が定格速度で運転しているとすると(ステップS101)、混雑度判定器32は、マンコンベア1の降り場付近の人を、投光器30aから光を発生して受光器30bが光を受光し、遮光時間検出部33は、受光器30bが遮光された時間となる遮光時間を検出し、遮光時間積算部34は、該遮光時間を積算して遮光積算時間を求める。第1比較部36は、該遮光積算時間が予め定められた基準時間値を越えるので、第1検出信号を発生して第1検出信号を該切換え部60に入力する(ステップS103)。
【0017】
電流センサ29がモータ29に流れる電流を検出して電流検出信号を負荷判定器40に入力する。負荷判定器40の第2比較部は、電流検出信号が予め定められた基準電流値(基準電流信号)を越えるか否かを判定し、多数の乗客がマンコンベア1に乗っているので、モータ25に流れる電流も大きい。したがって、上記電流検出信号が基準電流値を越えるので、第2比較部が第2検出信号を発生して第2検出信号を該切換え部60に入力する(ステップS105)。
【0018】
切換え部60は、切換えスイッチ68をa側に投入し(ステップS107)、第2速度指令部64から第2速度指令信号を減算器74に入力する(ステップS109)。一方、エンコーダ27がモータ25の回転位置を検出して位置検出信号を速度検出部72に入力し、速度検出部72が速度検出信号を求めて、該速度検出信号を減算器74に入力する。減算器74が第2速度指令信号と速度検出信号との偏差となる速度偏差信号を求め、電流制御部76に入力する。電流制御部76が電流指令信号を求めてインバータ23に与え、モータ25の速度を減速する(ステップS111)。
【0019】
上記実施形態によれば、乗客を運ぶマンコンベア1を駆動するモータ25の速度をインバータ23駆動することにより可変にする速度制御器70と、マンコンベア1の降り場付近に設けられ、人を検出することにより人検出信号を発生する乗客センサ30と、モータ25に流れる電流を検出して電流検出信号を発生する電流センサ29と、人検出信号が予め定められた基準値を越えると、第1検出信号を発生する第1比較部36と、電流検出信号が予め定められた基準電流信号を越えると、第2検出信号を発生する第2比較部40とを備え、速度制御器70は、第1及び第2検出信号の発生に基づいて速度を減速する、ものである。
これにより、マンコンベア1の降り場付近の人のみでなく、マンコンベア1に載っている乗客も考慮してマンコンベア1の速度を減速できる。したがって、マンコンベア1降り場における乗客の滞留の誤検出を防止できる。
【0020】
上記実施形態によれば、乗客センサ30は、光を発生する投光器30aと、該光を受光する受光器30bとを有し、乗客を検出することにより受光器30bが受光する光が遮光され、第1比較部36は、該遮光の時間が予め定められた基準時間を越えると、第1検出信号を発生する、ものである。乗客センサ30として一定領域を検出するエリアセンサ、例えば、カメラなどを用いる必要がないので、乗客センサ30を簡易に構成できる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、マンコンベアの制御装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施の形態を示すマンコンベアの全体構成図である。
【図2】図1に示すマンコンベアの制御装置の全体構成図である。
【図3】図2示す混雑度演算器の動作を示す概念図である。
【図4】本発明の一実施の形態のマンコンベアの制御装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0023】
1 マンコンベア、23 インバータ、25 モータ、29 電流センサ、30 乗客センサ、30a 投光器、30b 受光器、34 遮光時間積算部、36 第1比較部、40 第2比較部、55 制御装置、70 速度制御器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗客を運ぶマンコンベアを駆動するモータの速度をインバータ駆動することにより可変にする速度制御手段と、
前記マンコンベアの降り場付近に設けられ、人を検出することにより人検出信号を発生する人検出手段と、
前記モータに流れる電流を検出して電流検出信号を発生する電流検出手段と、
前記人検出信号が予め定められた基準値を越えると、第1検出信号を発生する第1比較手段と、
前記電流検出信号が予め定められた基準電流信号を越えると、第2検出信号を発生する第2比較手段とを備え、
前記速度制御手段は、前記第1及び第2検出信号の発生に基づいて前記速度を減速する、
ことを特徴とするマンコンベアの制御装置。
【請求項2】
前記人検出手段は、光を発生する投光器と、該光を受光する受光器とを有し、前記乗客を検出することにより前記受光器が受光する光が遮光され、
前記第1比較手段は、該遮光の時間が予め定められた基準時間を越えると、第1検出信号を発生する、
ことを特徴とする請求項1に記載のマンコンベアの制御装置。
【請求項3】
前記第1検出手段は、前記遮光時間を積算した遮光積算時間を求める積算手段を有しており、
前記第1比較手段は、所定時間内に前記遮光積算時間が予め定められた基準時間を越えると、第1検出信号を発生する、
ことを特徴とする請求項2に記載のマンコンベアの制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−137789(P2008−137789A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−327169(P2006−327169)
【出願日】平成18年12月4日(2006.12.4)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】