マンホールの改修工法
【課題】 仮舗装を行うことなく、自動車等の通行が一時的に行え、しかも作業や資源の無駄を無くし、また環境面でも優れたマンホール改修工法を提供する。
【解決手段】 道路における既設のマンホール枠5の周囲を切断する工程と、前記マンホール枠5周囲の切断した道路部分とマンホール枠5およびその蓋6を撤去する工程と、該撤去後に形成された空間部Sに複数の円板状等の落し込み部材8A・8B・8Cを積み上げて最上部の落し込み部材8Aの上面8aと隣り合う道路7の上面7aとを面一にする工程とを含むことを特徴とし、道路における自動車等の通行を一時的に可能とする。
【解決手段】 道路における既設のマンホール枠5の周囲を切断する工程と、前記マンホール枠5周囲の切断した道路部分とマンホール枠5およびその蓋6を撤去する工程と、該撤去後に形成された空間部Sに複数の円板状等の落し込み部材8A・8B・8Cを積み上げて最上部の落し込み部材8Aの上面8aと隣り合う道路7の上面7aとを面一にする工程とを含むことを特徴とし、道路における自動車等の通行を一時的に可能とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路におけるマンホールの改修工法に関する。
【背景技術】
【0002】
道路におけるマンホール蓋および枠並びにその周囲の舗装が長年の自動車の通行等によって老朽化すると、自動車やバイク等の円滑な通行が行えなくなることから、マンホール蓋および枠の取替えを行うと共にその周辺の舗装の改修工事を行う必要がある。
【0003】
従来、この種工事としては、既設のマンホール枠の周囲を円形に切断し、その切断内側における舗装並びにマンホールの蓋および枠をすべて撤去した後、該撤去後に露出したマンホールの開口部に支持蓋を装着した上、前記撤去後の空間に舗装材を打設して一時的に自動車等の通行を可能とした後、前記舗装材の打設部分を再び円形に切断してその内側部分を撤去し、次に、マンホールの下枡部分に据付基礎を構築し、据付基礎上にマンホール枠および蓋を設置すると共に、マンホール枠の周囲に仕上げの舗装材を打設する工法が知られている。
【特許文献1】特許第2623491号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した工法の場合、既設のマンホール蓋および枠、並びにその周囲の舗装を撤去した後、一時的に自動車等の通行を可能とするために、仕上げの舗装前に仮舗装を行わなければならず、二度の舗装が必要になると共に、仮舗装の撤去後においては、該仮舗装を適当な大きさに破砕して廃棄しなければならず、作業面でも資源・環境面でも無駄が多いという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、仮舗装を行うことなく、自動車等の通行が一時的に行え、しかも作業や資源の無駄を無くし、また環境面でも優れたマンホールの改修工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明は、道路における既設のマンホール枠の周囲を切断する工程と、前記マンホール枠周囲の切断した道路部分とマンホール枠およびその蓋を撤去する工程と、該撤去後に形成された空間部に複数の落し込み部材を積み上げて最上部の落し込み部材の上面と隣り合う道路上面とを面一にする工程とを含むことを特徴とするマンホールの改修工法である。
【0007】
請求項2記載の本発明は、前記請求項1記載のマンホールの改修工法について、落し込み部材の上面と隣り合う道路面とを面一にする工程の後、最上部の落し込み部材を撤去してその下側の落し込み部材の上面と隣り合う道路上面とが面一になるように道路上部を切削する工程と、該切削後に道路上面および落し込み部材の上面にオーバーレイ層を形成する工程と、前記落し込み部材の外径に沿ってオーバーレイ層を切断する工程と、切断した落し込み部材上側のオーバーレイ層と全ての落し込み部材を撤去する工程と、該撤去後の空間にマンホール枠および蓋を設置すると共に、マンホール枠をアンカーボルトを介して下枡に固定する工程と、マンホール枠周囲の空間に舗装材等を打設する工程とを含むことを特徴とするものである。なお、本明細書における改修工法においては、マンホールの枠およびその蓋は、一旦撤去された既設のものを再利用して用いる場合もあるし、既設のマンホール枠およびその蓋を廃棄して新たな枠および蓋を用いる場合もある。
【0008】
請求項3記載の本発明は、前記請求項1または請求項2記載のマンホールの改修工法について、道路における既設のマンホール枠の周囲を切断する工程では、道路を円形に切断し、落し込み部材が略円板状であって、外形がマンホール枠周囲の切断外形に対応していることを特徴とするものである。
【0009】
請求項4記載の本発明は、前記請求項1〜請求項3のうちのいずれか一項記載のマンホールの改修工法について、マンホール枠および蓋を設置する工程において、リング状の主体と主体を支持する複数の脚体と脚体にネジ嵌合された軸の下端に取り付けられて高さ調整が可能とされた接地板と主体から垂下状に設けられ、マンホール枠を保持するマンホール枠支持部とを有するマンホール枠設置具を用い、マンホール枠支持部にマンホール枠を保持させると共に該マンホール枠の上縁と接地板の高さ位置を同じとした後、マンホール枠設置具における接地板を道路上面にのせることで該道路上面とマンホール枠の上縁との高さ位置を同じにすることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るマンホールの改修工法は、道路における既設のマンホール枠の周囲を切断する工程と前記マンホール枠周囲の切断した道路部分とマンホール枠およびその蓋を撤去する工程の後において、該撤去後に形成された空間部に複数の落し込み部材を積み上げて該落し込み部材の上面と道路上面とを面一にする工程を含むものであるため、前記落し込み部材によって、自動車等の一時的な通行が可能となる。したがって、従来のように、自動車等の一時的な通行を可能とするために、仮舗装を行ったり、該仮舗装後において、マンホール枠および蓋の取換えを行うにあたり、仮舗装を撤去すると共に、撤去した仮舗装を破砕して廃棄するといったことが一切不要となるため、作業面、資源面および環境面でも従来の工法に比べて優れている。
【0011】
また、請求項3記載の工法は、道路における既設のマンホール枠の周囲を切断する工程において、道路を円形に切断し、落し込み部材が略円板状であって、外形がマンホール枠周囲の切断外形に対応しているため、既設のマンホール枠周囲の道路を四角形に切断する場合に比べて切断作業が早く行え、また該切断後の既設の舗装の廃棄量およびマンホール枠および蓋の設置後のその周囲の新たな舗装材等の量も少なくて済み、これが前述した効果と相俟って、作業面、資源面および環境面でも更に有利となる。
【0012】
この他、請求項4記載の工法では、マンホール枠設置具に、設置しようとするマンホール枠を保持させ、その上縁と接地板との高さ位置を予め同じとなるように調整しておけば、マンホール枠設置具の接地板を道路に当接させてマンホール枠設置具を道路に置くだけで該道路の上面とマンホール枠設置具に保持されたマンホール枠の上縁との高さ位置(レベル)が一致することとなるため、みず糸等を用いた従来の面倒なレベル調整作業が一切不要となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明に係るマンホールの改修工法の実施形態を図面にしたがって説明するが、本発明は係る実施形態に限定されるものではない。
【0014】
図1に示すように、先ずマンホールの構造について説明すると、1は砕石等で構成された下層路盤、2がマンホール、3はマンホール2の周囲に設けられた円筒状の下枡、4は下枡3上に形成された据付基礎、5は据付基礎4上に設けられたマンホール枠、6はマンホール枠5の上部開口を閉止するマンホール蓋、7は下層路盤1上に形成された舗装路盤を示す。
【0015】
次に、前記構造のマンホール2の改修工法について述べると、先ず図1に示すように、マンホール枠5の周囲の舗装路盤7を平面から見て円形、断面おわん状に切断10した後、図2に示すように、マンホール枠5および蓋6並びに据付基礎4を含めて前記切断部分の内側全体を撤去する。その後、図3および図4に示すように、撤去した部分に対して、その空間Sに合うように予め形造られた3枚の円板状鉄製落し込み部材8A・8B・8Cを積み重ねた状態で嵌め入れる。その結果、空間Sはこの3枚の落し込み部材8A・8B・8Cで塞がれると共に、最上部の落し込み部材8Aと舗装路盤7の上面7aとが面一の状態となる。したがって、この状態で自動車等の通行が一時的に可能となる。なお、落し込み部材8A・8B・8Cには、これらを懸吊機械(図示略)で吊り上げるための掛合部30が設けられている。
【0016】
次に、図5に示すように、最上部の落し込み部材8Aだけを撤去した後、図6に示すように、2番目の落し込み部材8Bの上面8bと舗装路盤7の上面7aとが面一となるように、舗装路盤7の上層部を切削する。その後、図7に示すように、前記切削後の舗装路盤7上にオーバーレイ層(新舗装)9を形成し、次に、図8に示すように、2番目の落し込み部材8Bの外径に沿ってオーバーレイ層9に平面から見て円形で断面円弧状の切込み11を入れ、その後、図9に示すように、切り込み11の内側のオーバーレイ層9aとその下側の落し込み部材8B・8Cを撤去する。
【0017】
次に、後述するマンホール枠の設置器具を用いたマンホール枠および蓋の設置要領について説明すると、図10および図11に示すように、マンホール枠の設置器具12は、リング状の主体13と、該主体の円周方向に等間隔をあけて設けられた3本の脚体14と、主体13の円周における対向位置に垂下状に形成されたマンホール枠支持部15と、吊上げ用ロープ(図示略)の締結部31とを有する。脚体14はリング状の主体13の上縁から斜め下方に伸びる形状となされ、その先端の水平部14aには、下端に接地板16が一体に設けられた蝶ネジ17がネジ嵌合されている。マンホール枠支持部15は全体が縦長の板状であって、その外面下端寄り部分にはマンホール枠を係止する爪部18が突設されている。
【0018】
前述した構造のマンホール枠の設置器具12を用いてマンホール枠および蓋を設置するにあたっては、図12に示すように、マンホール枠の設置器具12におけるマンホール枠支持部15の爪部18にマンホール枠21の下面内縁を係止させた状態とし、次に、マンホール枠21の上縁21aと蝶ネジ17の接地板16とが同じ高さ位置となるように各蝶ネジ17を回してレベル調整をしておく。
【0019】
そして、このレベル調整後において、図12に示すように、マンホール枠の設置器具12の締結部31にロープ32を結んでマンホール枠21と共に設置器具12を懸吊用機械(図示略)によって吊り上げ、次に、図13に示すように、オーバーレイ層9の周縁部にマンホール枠設置器具12の脚体14における蝶ネジ17の接地板16を置くだけで、前述したように、接地板16とマンホール枠21の上縁21のレベル(高さ位置)は予め一致しているため、オーバーレイ層9の上面9aとマンホール枠21の上縁21aとのレベルが合うこととなる。なお、マンホール2の下枡3上には予め所定高さのスペーサー33が設置され、スペーサー33上に前記マンホール枠21が着座する。その後、マンホール枠21は、複数のアンカーボルト34によって下枡3上に固定される。
【0020】
そして、最終的には図14に示すように、マンホール枠設置器具12の撤去後において、マンホール枠21とオーバーレイ層9および舗装路盤7との間にモルタル類22および仕上げ舗装材23を流し込み、仕上げ舗装材23に転圧を施すことでマンホール枠21の取替えが終了し、またマンホール枠21に蓋24を嵌め入れることで当該工事が完了する。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明の工法によれば、マンホールの枠および蓋の取替えが効率的に行え、しかも資源面や環境面でも優れているため、幅広い利用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】マンホールにおける枠周囲の道路を切断した状態を示す端面図である。
【図2】マンホールにおける枠および蓋等を撤去した状態を示す端面図である。
【図3】落し込み部材の斜視図である。
【図4】マンホールに落し込み部材を嵌め込んだ状態を示す端面図である。
【図5】最上部の落し込み部材を撤去した状態の端面図である。
【図6】マンホール周囲の道路を切削した状態の端面図である。
【図7】道路切削後における落し込み部材および道路の上側にオーバーレイ層を形成した状態を示す端面図である。
【図8】落し込み部材の外形に沿ってオーバーレイ層を切断した状態を示す端面図である。
【図9】落し込み部材およびその上側のオーバーレイ層を撤去した状態を示す端面図である。
【図10】マンホール枠設置具の斜視図である。
【図11】マンホール枠設置具の平面図である。
【図12】マンホール枠設置具にマンホール枠が保持された状態を示す正面図である。
【図13】マンホール枠設置具を用いてマンホール枠をセットした状態を示す端面図である。
【図14】マンホール枠および蓋の取替え後の状態を示す端面図である。
【符号の説明】
【0023】
2 マンホール
5 マンホール枠
6 マンホール蓋
8A・8B・8C 落し込み部材
9 オーバーレイ層
10 マンホール周囲の切断部
12 マンホール枠設置具
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路におけるマンホールの改修工法に関する。
【背景技術】
【0002】
道路におけるマンホール蓋および枠並びにその周囲の舗装が長年の自動車の通行等によって老朽化すると、自動車やバイク等の円滑な通行が行えなくなることから、マンホール蓋および枠の取替えを行うと共にその周辺の舗装の改修工事を行う必要がある。
【0003】
従来、この種工事としては、既設のマンホール枠の周囲を円形に切断し、その切断内側における舗装並びにマンホールの蓋および枠をすべて撤去した後、該撤去後に露出したマンホールの開口部に支持蓋を装着した上、前記撤去後の空間に舗装材を打設して一時的に自動車等の通行を可能とした後、前記舗装材の打設部分を再び円形に切断してその内側部分を撤去し、次に、マンホールの下枡部分に据付基礎を構築し、据付基礎上にマンホール枠および蓋を設置すると共に、マンホール枠の周囲に仕上げの舗装材を打設する工法が知られている。
【特許文献1】特許第2623491号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した工法の場合、既設のマンホール蓋および枠、並びにその周囲の舗装を撤去した後、一時的に自動車等の通行を可能とするために、仕上げの舗装前に仮舗装を行わなければならず、二度の舗装が必要になると共に、仮舗装の撤去後においては、該仮舗装を適当な大きさに破砕して廃棄しなければならず、作業面でも資源・環境面でも無駄が多いという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、仮舗装を行うことなく、自動車等の通行が一時的に行え、しかも作業や資源の無駄を無くし、また環境面でも優れたマンホールの改修工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明は、道路における既設のマンホール枠の周囲を切断する工程と、前記マンホール枠周囲の切断した道路部分とマンホール枠およびその蓋を撤去する工程と、該撤去後に形成された空間部に複数の落し込み部材を積み上げて最上部の落し込み部材の上面と隣り合う道路上面とを面一にする工程とを含むことを特徴とするマンホールの改修工法である。
【0007】
請求項2記載の本発明は、前記請求項1記載のマンホールの改修工法について、落し込み部材の上面と隣り合う道路面とを面一にする工程の後、最上部の落し込み部材を撤去してその下側の落し込み部材の上面と隣り合う道路上面とが面一になるように道路上部を切削する工程と、該切削後に道路上面および落し込み部材の上面にオーバーレイ層を形成する工程と、前記落し込み部材の外径に沿ってオーバーレイ層を切断する工程と、切断した落し込み部材上側のオーバーレイ層と全ての落し込み部材を撤去する工程と、該撤去後の空間にマンホール枠および蓋を設置すると共に、マンホール枠をアンカーボルトを介して下枡に固定する工程と、マンホール枠周囲の空間に舗装材等を打設する工程とを含むことを特徴とするものである。なお、本明細書における改修工法においては、マンホールの枠およびその蓋は、一旦撤去された既設のものを再利用して用いる場合もあるし、既設のマンホール枠およびその蓋を廃棄して新たな枠および蓋を用いる場合もある。
【0008】
請求項3記載の本発明は、前記請求項1または請求項2記載のマンホールの改修工法について、道路における既設のマンホール枠の周囲を切断する工程では、道路を円形に切断し、落し込み部材が略円板状であって、外形がマンホール枠周囲の切断外形に対応していることを特徴とするものである。
【0009】
請求項4記載の本発明は、前記請求項1〜請求項3のうちのいずれか一項記載のマンホールの改修工法について、マンホール枠および蓋を設置する工程において、リング状の主体と主体を支持する複数の脚体と脚体にネジ嵌合された軸の下端に取り付けられて高さ調整が可能とされた接地板と主体から垂下状に設けられ、マンホール枠を保持するマンホール枠支持部とを有するマンホール枠設置具を用い、マンホール枠支持部にマンホール枠を保持させると共に該マンホール枠の上縁と接地板の高さ位置を同じとした後、マンホール枠設置具における接地板を道路上面にのせることで該道路上面とマンホール枠の上縁との高さ位置を同じにすることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るマンホールの改修工法は、道路における既設のマンホール枠の周囲を切断する工程と前記マンホール枠周囲の切断した道路部分とマンホール枠およびその蓋を撤去する工程の後において、該撤去後に形成された空間部に複数の落し込み部材を積み上げて該落し込み部材の上面と道路上面とを面一にする工程を含むものであるため、前記落し込み部材によって、自動車等の一時的な通行が可能となる。したがって、従来のように、自動車等の一時的な通行を可能とするために、仮舗装を行ったり、該仮舗装後において、マンホール枠および蓋の取換えを行うにあたり、仮舗装を撤去すると共に、撤去した仮舗装を破砕して廃棄するといったことが一切不要となるため、作業面、資源面および環境面でも従来の工法に比べて優れている。
【0011】
また、請求項3記載の工法は、道路における既設のマンホール枠の周囲を切断する工程において、道路を円形に切断し、落し込み部材が略円板状であって、外形がマンホール枠周囲の切断外形に対応しているため、既設のマンホール枠周囲の道路を四角形に切断する場合に比べて切断作業が早く行え、また該切断後の既設の舗装の廃棄量およびマンホール枠および蓋の設置後のその周囲の新たな舗装材等の量も少なくて済み、これが前述した効果と相俟って、作業面、資源面および環境面でも更に有利となる。
【0012】
この他、請求項4記載の工法では、マンホール枠設置具に、設置しようとするマンホール枠を保持させ、その上縁と接地板との高さ位置を予め同じとなるように調整しておけば、マンホール枠設置具の接地板を道路に当接させてマンホール枠設置具を道路に置くだけで該道路の上面とマンホール枠設置具に保持されたマンホール枠の上縁との高さ位置(レベル)が一致することとなるため、みず糸等を用いた従来の面倒なレベル調整作業が一切不要となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明に係るマンホールの改修工法の実施形態を図面にしたがって説明するが、本発明は係る実施形態に限定されるものではない。
【0014】
図1に示すように、先ずマンホールの構造について説明すると、1は砕石等で構成された下層路盤、2がマンホール、3はマンホール2の周囲に設けられた円筒状の下枡、4は下枡3上に形成された据付基礎、5は据付基礎4上に設けられたマンホール枠、6はマンホール枠5の上部開口を閉止するマンホール蓋、7は下層路盤1上に形成された舗装路盤を示す。
【0015】
次に、前記構造のマンホール2の改修工法について述べると、先ず図1に示すように、マンホール枠5の周囲の舗装路盤7を平面から見て円形、断面おわん状に切断10した後、図2に示すように、マンホール枠5および蓋6並びに据付基礎4を含めて前記切断部分の内側全体を撤去する。その後、図3および図4に示すように、撤去した部分に対して、その空間Sに合うように予め形造られた3枚の円板状鉄製落し込み部材8A・8B・8Cを積み重ねた状態で嵌め入れる。その結果、空間Sはこの3枚の落し込み部材8A・8B・8Cで塞がれると共に、最上部の落し込み部材8Aと舗装路盤7の上面7aとが面一の状態となる。したがって、この状態で自動車等の通行が一時的に可能となる。なお、落し込み部材8A・8B・8Cには、これらを懸吊機械(図示略)で吊り上げるための掛合部30が設けられている。
【0016】
次に、図5に示すように、最上部の落し込み部材8Aだけを撤去した後、図6に示すように、2番目の落し込み部材8Bの上面8bと舗装路盤7の上面7aとが面一となるように、舗装路盤7の上層部を切削する。その後、図7に示すように、前記切削後の舗装路盤7上にオーバーレイ層(新舗装)9を形成し、次に、図8に示すように、2番目の落し込み部材8Bの外径に沿ってオーバーレイ層9に平面から見て円形で断面円弧状の切込み11を入れ、その後、図9に示すように、切り込み11の内側のオーバーレイ層9aとその下側の落し込み部材8B・8Cを撤去する。
【0017】
次に、後述するマンホール枠の設置器具を用いたマンホール枠および蓋の設置要領について説明すると、図10および図11に示すように、マンホール枠の設置器具12は、リング状の主体13と、該主体の円周方向に等間隔をあけて設けられた3本の脚体14と、主体13の円周における対向位置に垂下状に形成されたマンホール枠支持部15と、吊上げ用ロープ(図示略)の締結部31とを有する。脚体14はリング状の主体13の上縁から斜め下方に伸びる形状となされ、その先端の水平部14aには、下端に接地板16が一体に設けられた蝶ネジ17がネジ嵌合されている。マンホール枠支持部15は全体が縦長の板状であって、その外面下端寄り部分にはマンホール枠を係止する爪部18が突設されている。
【0018】
前述した構造のマンホール枠の設置器具12を用いてマンホール枠および蓋を設置するにあたっては、図12に示すように、マンホール枠の設置器具12におけるマンホール枠支持部15の爪部18にマンホール枠21の下面内縁を係止させた状態とし、次に、マンホール枠21の上縁21aと蝶ネジ17の接地板16とが同じ高さ位置となるように各蝶ネジ17を回してレベル調整をしておく。
【0019】
そして、このレベル調整後において、図12に示すように、マンホール枠の設置器具12の締結部31にロープ32を結んでマンホール枠21と共に設置器具12を懸吊用機械(図示略)によって吊り上げ、次に、図13に示すように、オーバーレイ層9の周縁部にマンホール枠設置器具12の脚体14における蝶ネジ17の接地板16を置くだけで、前述したように、接地板16とマンホール枠21の上縁21のレベル(高さ位置)は予め一致しているため、オーバーレイ層9の上面9aとマンホール枠21の上縁21aとのレベルが合うこととなる。なお、マンホール2の下枡3上には予め所定高さのスペーサー33が設置され、スペーサー33上に前記マンホール枠21が着座する。その後、マンホール枠21は、複数のアンカーボルト34によって下枡3上に固定される。
【0020】
そして、最終的には図14に示すように、マンホール枠設置器具12の撤去後において、マンホール枠21とオーバーレイ層9および舗装路盤7との間にモルタル類22および仕上げ舗装材23を流し込み、仕上げ舗装材23に転圧を施すことでマンホール枠21の取替えが終了し、またマンホール枠21に蓋24を嵌め入れることで当該工事が完了する。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明の工法によれば、マンホールの枠および蓋の取替えが効率的に行え、しかも資源面や環境面でも優れているため、幅広い利用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】マンホールにおける枠周囲の道路を切断した状態を示す端面図である。
【図2】マンホールにおける枠および蓋等を撤去した状態を示す端面図である。
【図3】落し込み部材の斜視図である。
【図4】マンホールに落し込み部材を嵌め込んだ状態を示す端面図である。
【図5】最上部の落し込み部材を撤去した状態の端面図である。
【図6】マンホール周囲の道路を切削した状態の端面図である。
【図7】道路切削後における落し込み部材および道路の上側にオーバーレイ層を形成した状態を示す端面図である。
【図8】落し込み部材の外形に沿ってオーバーレイ層を切断した状態を示す端面図である。
【図9】落し込み部材およびその上側のオーバーレイ層を撤去した状態を示す端面図である。
【図10】マンホール枠設置具の斜視図である。
【図11】マンホール枠設置具の平面図である。
【図12】マンホール枠設置具にマンホール枠が保持された状態を示す正面図である。
【図13】マンホール枠設置具を用いてマンホール枠をセットした状態を示す端面図である。
【図14】マンホール枠および蓋の取替え後の状態を示す端面図である。
【符号の説明】
【0023】
2 マンホール
5 マンホール枠
6 マンホール蓋
8A・8B・8C 落し込み部材
9 オーバーレイ層
10 マンホール周囲の切断部
12 マンホール枠設置具
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路における既設のマンホール枠の周囲を切断する工程と、前記マンホール枠周囲の切断した道路部分とマンホール枠およびその蓋を撤去する工程と、該撤去後に形成された空間部に複数の落し込み部材を積み上げて最上部の落し込み部材の上面と隣り合う道路上面とを面一にする工程とを含む、マンホールの改修工法。
【請求項2】
落し込み部材の上面と隣り合う道路上面とを面一にする工程の後、最上部の落し込み部材を撤去してその下側の落し込み部材の上面と隣り合う道路上面とが面一になるように道路上部を切削する工程と、該切削後に道路上面および落し込み部材の上面にオーバーレイ層を形成する工程と、前記落し込み部材の外径に沿ってオーバーレイ層を切断する工程と、切断した落し込み部材上側のオーバーレイ層と全ての落し込み部材を撤去する工程と、該撤去後の空間にマンホール枠および蓋を設置すると共にマンホール枠をアンカーボルトを介して下枡に固定する工程と、マンホール枠周囲の空間に舗装材等を打設する工程とを含む、請求項1記載のマンホールの改修工法。
【請求項3】
道路における既設のマンホール枠の周囲を切断する工程では、道路を円形に切断し、落し込み部材が略円板状であって、外形がマンホール枠周囲の切断外形に対応している、請求項1または請求項2記載のマンホールの改修工法。
【請求項4】
マンホール枠および蓋を設置する工程において、リング状の主体と主体を支持する複数の脚体と脚体にネジ嵌合された軸の下端に取り付けられて高さ調整が可能とされた接地板と主体から垂下状に設けられ、マンホール枠を保持するマンホール枠支持部とを有するマンホール枠設置具を用い、マンホール枠支持部にマンホール枠を保持させると共に該マンホール枠の上縁と接地板の高さ位置を同じとした後、マンホール枠における接地板を道路上面にのせることで該道路上面とマンホール枠の上縁との高さ位置を同じにすることを特徴とする、請求項1〜請求項3のうちのいずれか一項記載のマンホールの改修工法。
【請求項1】
道路における既設のマンホール枠の周囲を切断する工程と、前記マンホール枠周囲の切断した道路部分とマンホール枠およびその蓋を撤去する工程と、該撤去後に形成された空間部に複数の落し込み部材を積み上げて最上部の落し込み部材の上面と隣り合う道路上面とを面一にする工程とを含む、マンホールの改修工法。
【請求項2】
落し込み部材の上面と隣り合う道路上面とを面一にする工程の後、最上部の落し込み部材を撤去してその下側の落し込み部材の上面と隣り合う道路上面とが面一になるように道路上部を切削する工程と、該切削後に道路上面および落し込み部材の上面にオーバーレイ層を形成する工程と、前記落し込み部材の外径に沿ってオーバーレイ層を切断する工程と、切断した落し込み部材上側のオーバーレイ層と全ての落し込み部材を撤去する工程と、該撤去後の空間にマンホール枠および蓋を設置すると共にマンホール枠をアンカーボルトを介して下枡に固定する工程と、マンホール枠周囲の空間に舗装材等を打設する工程とを含む、請求項1記載のマンホールの改修工法。
【請求項3】
道路における既設のマンホール枠の周囲を切断する工程では、道路を円形に切断し、落し込み部材が略円板状であって、外形がマンホール枠周囲の切断外形に対応している、請求項1または請求項2記載のマンホールの改修工法。
【請求項4】
マンホール枠および蓋を設置する工程において、リング状の主体と主体を支持する複数の脚体と脚体にネジ嵌合された軸の下端に取り付けられて高さ調整が可能とされた接地板と主体から垂下状に設けられ、マンホール枠を保持するマンホール枠支持部とを有するマンホール枠設置具を用い、マンホール枠支持部にマンホール枠を保持させると共に該マンホール枠の上縁と接地板の高さ位置を同じとした後、マンホール枠における接地板を道路上面にのせることで該道路上面とマンホール枠の上縁との高さ位置を同じにすることを特徴とする、請求項1〜請求項3のうちのいずれか一項記載のマンホールの改修工法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−24445(P2009−24445A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−190838(P2007−190838)
【出願日】平成19年7月23日(2007.7.23)
【出願人】(507247829)株式会社富士カッター工業 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月23日(2007.7.23)
【出願人】(507247829)株式会社富士カッター工業 (2)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]