説明

ミキサー

【課題】バーナーからの熱が周りの空間へ逃げてしまうのを防止でき、回転容器を十分に、且つむらなく加熱することができて、しかもバーナーの燃費を低く抑えることが可能で、更にミキサーが大型化することがないミキサーを提供する。
【解決手段】回転容器3の外周面4には空間画成部43が設けられ、空間画成部43は、回転容器3の中心軸Cを中心として放射状に配置された複数の支持板45と、支持板45に支持され回転容器3の外周面4との間に空間をあけた状態で外周面4を覆うカバー47とから成る。空間画成部43は、回転容器3の中心軸Cが延びる方向の開口部17側が閉鎖され、底部37側が開口している。バーナー51の火炎噴射ノズルから噴射された火炎は火炎吹き込み口49から空間画成部43と回転容器3の外周面4との間の空間へ吹き込まれる。回転容器3は回転しているため、バーナー51の火炎によって回転容器3全体が加熱される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はミキサーに係り、特に被混合物を加熱しながら攪拌・混合するためのミキサーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
炒飯、焼きそば等の食品を大量に製造するために、加熱しながら被混合物(原材料)を攪拌・混合するミキサーがあり、この種のミキサーには特許文献1に記載されたものがある。
この特許文献1に記載された炒め調理器は、被混合物が入れられる回転容器(筒体)と、この回転容器の下側に設けられたバーナー(ガスバーナー)とを有している。この炒め調理器は、回転容器の中心軸をほぼ水平にした状態で回転容器を中心軸回りに回転させて被混合物を攪拌・混合し、バーナーによって回転容器を外側(下側)から加熱することで、回転容器内の被混合物を加熱する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−246163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のミキサーでは、回転容器の周りの空間が開放されているので、バーナーからの熱が周りの空間へ逃げてしまい、回転容器を十分に加熱することができない問題点がある。また、回転容器の外周面が露出しているので回転容器の外周面から容易に放熱してしまうことになり、加熱むらも発生することになる。
これを解決しようとしてバーナーを大出力のものにしたのでは、燃費が極端に悪くなってしまう。
【0005】
また、回転容器をすっぽりと覆う断熱カバーを、回転容器の周辺に備えることも考えられるが、回転容器は高速で回転するものであり、しかも回転容器に対し被混合物を出し入れする際のスペースを確保するなどの作業性の見地から、断熱カバーは回転容器からある程度離して配置する必要があり、回転容器と断熱カバーとの間の空間は相当に大きなものにならざるを得ない。従って、バーナーからの熱が逃げてしまうのを十分に防止することは期待できない。しかも、回転容器の周辺をすっぽり覆う断熱カバーはどうしても大掛かりなものとなり、ミキサーそのものが大型化してしまうという問題がある。
【0006】
本発明は上記従来の問題点に着目して為されたものであり、バーナーからの熱が周りの空間へ逃げてしまうのを防止でき、回転容器を十分に、且つむらなく加熱することができて、しかもバーナーの燃費を低く抑えることが可能で、更にミキサーが大型化することがないミキサーを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、請求項1の発明は、被混合物が入れられ中心軸回りに回転させられる回転容器を備え、前記回転容器を外部から加熱して回転容器内の被混合物を加熱するミキサーにおいて、前記回転容器に設けられ前記回転容器の外周面との間に空間をあけた状態で前記外周面を覆い、且つ回転容器の中心軸が延びる方向の一方側が閉鎖され、他方側が開口する空間画成部と、前記空間画成部の開口から前記空間画成部と前記回転容器の外周面との間の空間へ火炎を噴射するバーナーとを備えたことを特徴とするミキサーである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載したミキサーにおいて、空間画成部は、基端部が回転容器の外周面に固定され前記回転容器の中心軸を中心として放射状に配置された複数の支持板と、前記支持板の先端部に支持されたカバーとから成ることを特徴とするミキサーである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2に記載したミキサーにおいて、支持板には穴が形成されていることを特徴とするミキサーである。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれかに記載したミキサーにおいて、バーナーは空間画成部と回転容器の外周面との間の空間の一部分に火炎を噴射するものであることを特徴とするミキサーである。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれかに記載したミキサーにおいて、空間画成部には断熱材が設けられていることを特徴とするミキサーである。
【発明の効果】
【0012】
本発明のミキサーによれば、バーナーからの熱が周りの空間へ逃げてしまうのを防止でき、回転容器を十分に、且つむらなく加熱することができるようになる。また、燃費を低く抑えることが可能となる。更にミキサーが大型化することもない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係るミキサーの側面図である。
【図2】図1のミキサーの正面図である。
【図3】図1のミキサーの回転容器の斜視図である
【図4】図3の回転容器の反対側から見た斜視図である。
【図5】回転容器を加熱する様子を示す側面図である。
【図6】回転容器を加熱する様子を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態に係るミキサー1を図面にしたがって説明する。
ミキサー1は、ドラム状の回転容器3、回転容器3を支持する支持体5、回転容器3を回転駆動する駆動源としての図示しない回転駆動モータ等を有している。
支持体5は、外枠7と、回転容器3を回転可能に保持するとともに外枠7に回動自在に支持された内枠9とを有している。図2に示すように外枠7は、回転容器3の両側に位置して上下方向に延びる矩形プレート状の側面部材11、13と、下端側においてこれらの側面部材11、13間を連結する底面部材15を有している。側面部材11、13の上端側は図示しないフレームで連結されており、枠体としての強度が確保されている。
【0015】
内枠9は、回転容器3の開口部17側寄りで該回転容器3を回転可能に保持するフランジ19と、回転容器3の底面側(奥側)に位置し、回転駆動モータが収納された回転駆動機構部23と、フランジ19と回転駆動機構部23とを一体に固定するサイドプレート25、27等を有している。
サイドプレート25、27にはそれぞれ、回転容器3及び内枠9を含むユニットを外枠7に回動自在に支持するための回動軸29、31が水平方向に突出して設けられている。
【0016】
回動軸29は、左側の側面部材11の上面に固定された軸受部33に回転自在に支持されており、回動軸31は右側の側面部材13の上面に固定された回動機構部35に回転自在に支持されている。
図示しないが、回動機構部35には、回動軸31を回転駆動する回動駆動モータと、該回動駆動モータと回動軸31とを連結するギア列が収納されており、図示しないスイッチにより回転容器3を上下方向へ駆動でき、更に任意の角度に回動することができるようになっている。
【0017】
図1に示すように回転容器3の底部37における中心部には回転軸39が固定されており、回転軸39は回転駆動機構部23に回転自在に支持されている。
図示しないが、回転駆動機構部23には、回転軸39を回転駆動する上記回転駆動モータと、該回転駆動モータと回転軸39とを連結するギア列が収納されており、図示しないスイッチにより回転容器3を回転軸39の中心軸回りに回転させることができるようになっている。
【0018】
回転容器3の内部には、図示しないが羽根部材が設けられている。
また、内枠9には蓋体41が回転自在に支持されており、この蓋体41は回転容器3の開口部17に対し開閉動作するようになっている。
【0019】
図3、図4に詳細に示すように回転容器3の外周面4には空間画成部43が設けられている。空間画成部43は、回転容器3の中心軸Cを中心として放射状に配置された複数の支持板45と、支持板45に支持され回転容器3の外周面4との間に空間をあけた状態で外周面4を覆うカバー47とから成る。支持板45は16枚設けられ、等間隔に配置されている。
【0020】
支持板45は、その基端部の端面が回転容器3の外周面4にぴったり当接するように、屈曲する形状に形成されている。支持板45の基端部が回転容器3の外周面4に溶接されて、支持板45が回転容器3の外周面4に固定されている。また、支持板45には7個の丸穴48が形成されている。
カバー47は支持板45の先端側に固定されている。
空間画成部43は、回転容器3の中心軸Cが延びる方向の開口部17側が閉鎖され、底部37側が開口しており、この開口が空間画成部43の火炎吹き込み口49となっている。
【0021】
符号50はセラミックファイバーを主な材料とする断熱材を示し、この断熱材50はカバー47の内面に固着されている。
符号51はガスを燃料とするバーナーを示し、このバーナー51は内枠9に固定されており、火炎噴射ノズルが空間画成部43の火炎吹き込み口49に対向している。すなわち、バーナー51は火炎噴射ノズルが空間画成部43と回転容器3の外周面4との間の空間に臨むように備えられている。
バーナー51は比較的小出力のもので、空間画成部43と回転容器3の外周面4との間の空間の一部分、すなわち互いに隣り合う2枚の支持板45どうしの間の空間一つ分に火炎を噴射する程度の出力をもつものである。
【0022】
次に、ミキサー1の動作について説明する。
図3に示すように、回転容器3を略水平にした状態で蓋体41が開けられて、被混合物としての炒飯材料Mが開口部17から投入されてから、蓋体41が閉じられる。
そして、回転軸39が回転し、これにより回転容器3が中心軸C回りに回転する。また、バーナー51が着火され、図5に示すように火炎噴射ノズルから噴射された火炎は火炎吹き込み口49から空間画成部43と回転容器3の外周面4との間の空間へ吹き込まれる。回転容器3は回転しているため、バーナー51の火炎によって回転容器3全体が加熱される。空間画成部43と回転容器3の外周面4との間の空間は比較的小さく仕切られているため、バーナー51の火炎の熱は外部に逃げることなく、回転容器3の加熱のために消費されることになる。従って、上述したように小出力のバーナー51を使用することができ、燃費を低く抑えることができる。
【0023】
また、上記のようにバーナー51の火炎は、比較的小さい空間へ吹き込まれ、しかも空間画成部43は火炎吹き込み口49を除いて閉鎖されているので、小出力のバーナー51でも回転容器3を十分に、且つむらなく加熱することが可能である。更に、回転容器3は空間画成部43を構成するカバー47によって覆われているので、回転容器3からの放熱も抑えられることになる。しかもカバー47の内面には断熱材50が設けられているので、放熱が十分に抑えられ、上記のように十分な加熱と加熱むらの発生を防止することが可能である。従って、上記した小出力のバーナー51でも、炒飯材料Mが十分な温度になるように加熱することが可能である。
【0024】
更に、支持板45には丸穴48が形成され、しかも回転容器3は回転しているので、バーナー51の火炎は、図5、図6において矢印で示すように丸穴48を通って、比較的広い範囲を加熱することができる。
前述したように空間画成部43は回転容器3の外周面4に固定されており、しかも、空間画成部43と回転容器3の外周面4との間の空間は比較的小さく形成されている。従って、ミキサー1は、空間画成部43を備えないものと比べてサイズが殆ど変わらず、大型化することはない。
【0025】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても発明に含まれる。
図1、図2の仮想線で示すように断熱カバー53を設けることも可能である。この場合には、バーナー51からの熱が外部に逃げてしまうのを、より一層抑えることができる。
上記実施の形態では、被混合物を炒飯材料Mとしたが、被混合物は炒飯材料M等の食品に限られず、例えば化学薬品等の食品以外のものであってもよい。
また、空間画成部43を、回転容器3の中心軸Cが延びる方向の開口部17側が閉鎖され、底部37側が開口する構成としたが、空間画成部43を、回転容器3の開口部17側が開口され、底部37側が閉鎖する構成としてもよい。この場合には、バーナー51を回転容器3の開口部17側に設けることは言うまでもない。
【0026】
更に、支持板45を16枚設けたが、支持板45の数を適宜変更してもよい。また、支持板45に丸穴48を7個形成したが、丸穴48の数を適宜変更してもよい。
バーナー51を、ガスを燃料とするものによって構成したが、バーナー51はガスを燃料とするものに限られず、例えば灯油を燃料とするものであってもよい。
また、断熱材50を、セラミックファイバーを主な材料とするもので構成したが、断熱材を、ロックウール、グラスウール等を主な材料とするものによって構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、食品、化学薬品、プラスチック、産業廃棄物等の産業分野における被混合物を加熱しながら攪拌・混合するのにも利用できるものである。
【符号の説明】
【0028】
1…ミキサー 3…回転容器 4…外周面
5…支持体 7…外枠 9…内枠
11、13…側面部材 15…底面部材 17…開口部
19…フランジ 23…回転駆動機構部 25、27…サイドプレート
29、31…回動軸 33…軸受部 35…回動機構部
37…底部 39…回転軸 41…蓋体
43…空間画成部 45…支持板 47…カバー
48…丸穴 49…火炎吹き込み口 50…断熱材
51…バーナー 53…断熱カバー
C…中心軸 M…炒飯材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被混合物が入れられ中心軸回りに回転させられる回転容器を備え、前記回転容器を外部から加熱して回転容器内の被混合物を加熱するミキサーにおいて、前記回転容器に設けられ前記回転容器の外周面との間に空間をあけた状態で前記外周面を覆い、且つ回転容器の中心軸が延びる方向の一方側が閉鎖され、他方側が開口する空間画成部と、前記空間画成部の開口から前記空間画成部と前記回転容器の外周面との間の空間へ火炎を噴射するバーナーとを備えたことを特徴とするミキサー。
【請求項2】
請求項1に記載したミキサーにおいて、空間画成部は、基端部が回転容器の外周面に固定され前記回転容器の中心軸を中心として放射状に配置された複数の支持板と、前記支持板の先端部に支持されたカバーとから成ることを特徴とするミキサー。
【請求項3】
請求項2に記載したミキサーにおいて、支持板には穴が形成されていることを特徴とするミキサー。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載したミキサーにおいて、バーナーは空間画成部と回転容器の外周面との間の空間の一部分に火炎を噴射するものであることを特徴とするミキサー。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載したミキサーにおいて、空間画成部には断熱材が設けられていることを特徴とするミキサー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−245361(P2011−245361A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−118087(P2010−118087)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【出願人】(309007634)有限会社タテック工業 (4)
【Fターム(参考)】