ミシンの目飛び検出装置
【課題】糸の太さ・種類等変わってもセンサ等の感度調整の必要がなく、ゴミ等の影響も受けずに、目飛びを検出する。
【解決手段】ミシン上軸に連結され、上下動する針棒11と、ミシン上軸に連動して回転し、針棒と協働して縫い目を形成する釜と、糸巻から天秤に至る経路上に配置され、上糸に張力を付与する糸調子器4と、その糸調子器に付設され、上糸張力を受けて初期位置Bと作動位置Aの間を揺動すると共に、糸掛け部を有する糸取りばね5と、を備えるミシンにおいて、糸取りばねが初期位置Bに位置するか否かを検出する検出手段と、その検出手段による糸取りばねの挙動検出に基づいて糸の目飛びを検出する制御手段と、を備える。制御手段は、天秤下死点から所定上軸角度(天秤下死点+60°)の範囲内にあって、検出手段21による糸取りばね5の初期位置の検出により目飛びと判断して、警告信号を出力するか、又はミシンの駆動を停止する。
【解決手段】ミシン上軸に連結され、上下動する針棒11と、ミシン上軸に連動して回転し、針棒と協働して縫い目を形成する釜と、糸巻から天秤に至る経路上に配置され、上糸に張力を付与する糸調子器4と、その糸調子器に付設され、上糸張力を受けて初期位置Bと作動位置Aの間を揺動すると共に、糸掛け部を有する糸取りばね5と、を備えるミシンにおいて、糸取りばねが初期位置Bに位置するか否かを検出する検出手段と、その検出手段による糸取りばねの挙動検出に基づいて糸の目飛びを検出する制御手段と、を備える。制御手段は、天秤下死点から所定上軸角度(天秤下死点+60°)の範囲内にあって、検出手段21による糸取りばね5の初期位置の検出により目飛びと判断して、警告信号を出力するか、又はミシンの駆動を停止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミシンの目飛びを検出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ミシンの目飛びを検出する装置として、例えば特許文献1〜5などが知られる。
【0003】
また、糸調子部分における糸取りばねの検知動作を行う方法として、例えば特許文献6〜10などが知られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭62−199065号公報
【特許文献2】特表平6−503007号公報
【特許文献3】US−A1−470951
【特許文献4】特開昭50−54457号公報
【特許文献5】特開2005−246060号公報
【特許文献6】特開平3−77583号公報
【特許文献7】特開平5−115654号公報
【特許文献8】実開昭60−50974号公報
【特許文献9】特開平9−84982号公報
【特許文献10】特開平3−6069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1は、釜外周を通過する糸を検出するようになっているが、糸の色・太さによって変化することと、ゴミのため誤検知や、センサ検出部にゴミが付着した場合に検出しなくなる問題があった。
また、特許文献2は、ミシンアゴ部の光学センサにより糸の移動を検出するものであるが、これも同様にして、糸の色・太さ等によりセンサの反応が変化してしまうため、糸交換時にセンサの再調整の必要があり、工程変更が発生する毎に再調整が必要となっていた。
また、特許文献3は、上糸の移動の有無をひずみゲージを使用して検知するため、装置のコストが高額になる。
また、特許文献4や特許文献5などのアゴ部に検出装置を設けたタイプは、糸通しが面倒である。
なお、特許文献5は、縫いに影響を与えず、検知できる張力への調整が糸交換の度に別途必要となり、そうしないと誤動作の原因となる。
【0006】
また、糸取りばねの検知動作を行う特許文献6〜9は、いずれも針折れや糸切れ検知用のものであった。
さらに、特許文献10は環縫いミシンに関するものであり、その目飛びを含む種々の縫い不良状態を検知するために、環縫いミシンには無い、検知バネを新たに設ける必要があり、コストアップとなってしまった。また、特許文献10の検知バネは、初期位置と、付勢力に抗して糸緩みを解消する作動位置(糸のたるみ量が0となるA点)との間を揺動する。そして、検知バネが作動位置に移動すると電極に接触して検知信号を出力するが、作動位置での検知では、針棒の通常の停止位置である針棒上死点を通過してしまい、警告やミシン停止等の、後処理が遅れてしまった。
また、1本糸で縫う環縫いでは糸の消費量が多いため、天秤の引き上げ経路に検知ばねを設けただけで目飛びを検知できる。しかし、本縫いの場合は上糸の消費量が送りピッチと同じであるため、同様な方法では、目飛び検知の精度が得られない。
【0007】
本発明の課題は、糸の太さ・種類等変わってもセンサ等の感度調整の必要がなく、ゴミ等の影響も受けずに、安価な装置で迅速に目飛びを検出することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
ミシン上軸に連結され、上下動する針棒と、
ミシン上軸に連動して回転し、針と協働して縫い目を形成する釜と、
糸巻から天秤に至る経路上に配置され、上糸に張力を付与する糸調子器と、
前記糸調子器に付設され、上糸張力を受けて初期位置と作動位置の間を揺動すると共に、糸掛け部を有する糸取りばねと、を備えるミシンにおいて、
前記糸取りばねが初期位置に位置するか否かを検出する検出手段と、
前記検出手段による前記糸取りばねの挙動検出に基づいて糸の目飛びを検出する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のミシンの目飛び検出装置であって、
ミシン上軸を駆動するミシンモータと、
前記ミシン上軸に連動して上下動する天秤と、
前記ミシンモータの回転角度を検出する回転角度検出手段を備え、
前記制御手段は、天秤下死点から所定上軸角度の範囲内で、前記糸取りばねが初期位置に位置するか否かを検知し、糸の目飛びを判断することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のミシンの目飛び検出装置であって、
前記検出手段は、
ミシンフレームに絶縁部材を介して固定される検知板を有し、
前記制御手段は、
前記検知板の電位を検出して、前記糸取りばねの挙動を検出することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のミシンの目飛び検出装置であって、
前記検知板は、
ミシンフレームに固定される基部と、
前記基部から突出して形成され、前記糸取りばね揺動軌跡に向けて折り曲げられた、検知部を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1又は2に記載のミシンの目飛び検出装置であって、
前記検出手段は、
ミシンフレームに調節自在に支持されたセンサを有することを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載のミシンの目飛び検出装置であって、
前記制御手段は、
糸の目飛びと判断した場合、警告信号を出力するか、又はミシンの駆動を停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、従来本縫いミシンの糸調子器に付設されている糸取りばねの挙動、特に糸取りばねが初期位置に位置するか否かの動作を検出するだけで、糸の目飛びを判断できる。このため、糸の太さ・種類等変わってもセンサ等の感度調整の必要がなく、ゴミ等の影響を受けることもなく、安価な装置で迅速に目飛びを検出できる。
【0015】
さらに、請求項2から5記載の発明によれば、制御手段が、天秤下死点から所定上軸角度の範囲内で、前記糸取りばねが初期位置に位置するか否かを検知するので、より確実に糸の目飛びを判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明を適用するミシンの一実施形態の構成を示す正面図である。
【図2】同じくミシンの側面図である。
【図3】糸調子器及び糸取りばねと検出手段部分を拡大した斜視図である。
【図4】図3の糸取りばねと検出手段の検出動作を説明する正面図である。 b
【図5】天秤と糸取りばねの作動の関係を表すグラフである。
【図6】目飛び検出のブロック構成図である。
【図7】目飛び検出のフローチャートである。
【図8】目飛び検出の他のフローチャートである。
【図9】実施形態2を示すもので、目飛び検出のブロック構成図である。
【図10】実施形態3を示すもので、目飛び検出のブロック構成図である。
【図11】実施形態4を示すもので、目飛び検出のブロック構成図である。
【図12】実施形態5を示すものである。
【図13】天秤と糸取りばねの作動の関係を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図を参照して本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
(実施形態1)
図1及び図2は本発明を適用するミシンの一実施形態の構成を示すもので、1は糸案内棒、2は第1の糸調子器、3は第1の糸案内具、4は第2の糸調子器、5は糸取りばね、6は糸掛け具、7は天秤、8は第2の糸案内具、11は針棒、12は糸掛け、13は糸案内、14はミシン針(針)である。針棒11は不図示のミシン上軸に連結され上下動する。また、不図示のミシンベッドに配置された釜は、ミシン上軸に連動して回転し、針棒に支持された針14と協働して縫い目を形成する。
【0018】
図示しない糸巻から引き出された糸は、図示のように、糸案内棒1、第1の糸調子器2、第2の糸調子器4を通し、その糸取りばね5の糸掛け部5aに掛けられる。そして、糸掛け具6、第1の糸案内具3を経て天秤7を通し、第2の糸案内具8を経て針棒11の糸掛け12及び糸案内13を通し、ミシン針14の針穴に通されている。
【0019】
実施形態では、第2の糸調子器4の糸取りばね5の部分に検出手段を設け、糸取りばね5の挙動を検出する。
そして、特に天秤7が天秤下死点以降から所定区間の間に糸取りばね5の作動タイミングを検出することにより目飛びの有無を検出する。
【0020】
図3は第2の糸調子器4及び糸取りばね5の部分を拡大して示すもので、21は糸取りばね5の挙動を検出する検出板(検出手段)である。
第2の糸調子器(糸調子器)4は、本体部4aと、本体部4a外周に付設された糸取りばね5と、1対の糸調子皿4cと、バネ4dと、ダイヤル4eから構成されている。本体部4aは円筒形状で、ミシンフレームに固定される。本体部4aの側面には、円弧状の貫通溝4bが形成されている。また、1対の糸調子皿4cは、バネ4dに付勢され、糸調子皿4c間に挿通された上糸に張力を付与する。バネ4dの付勢力はダイヤル4eの回動量により調節される。
【0021】
糸取りばね5は線形状で、本体部4aの中心軸、又はミシンフレームに固定された不図示の支持軸に、回動可能に支持されている。糸取りばね5の先端側には、円弧状に折り曲げられた糸掛け部5aを有する。
糸取りばね5は、貫通溝4bから突出して配置され、その糸掛け部5aに上糸が掛けられる。また、糸取りばね5は、図示省略した巻きばねにより時計方向に付勢されるが、貫通溝4bの上端部に当接し、図4の2点鎖線で示す初期位置Bで停止する。また、上糸に張力が付与されると、糸取りばね5は反時計方向に回転するが、貫通溝4bの下端部に当接し、図4実線で示す作動位置Aで停止する。糸取りばね5は、上糸張力を受けて初期位置Bと作動位置Aの間を揺動する。
【0022】
検知板21は、導電性の金属材で、ミシンフレームに絶縁性のプラスチック(絶縁部材)を介して固定される。検知板21は基部21aと検知部21bから構成されている。基部21aは、第2の糸調子器4に近接して配置され、ミシンフレームに絶縁性のプラスチック(絶縁部材)を介してネジ31により固定される。基部21aは、第2の糸調子器4の本体部4aに接触しない。また、検知部21bは、基部21aから突出するように形成され、糸取りばね5の揺動軌跡上に配置されるように、折り曲げられている。
また、検知板21には、ミシン制御ボックス22(制御手段)の入力側からの導線30の一端側が接続されている。ミシン制御ボックス22は、導線30を介して検知板21に+12Vの電位を与える。このため、糸取りばね5が作動位置Aにある場合、糸取りばね5は検知板21の検知部21bに接触しないので、検知板の電位は+12Vでる。また、糸取りばね5が初期位置Bにある場合、糸取りばね5は検知板21の検知部21bに接触し、糸取りばね5を介してミシンフレーム(GND)に接続され、0Vとなる。ミシン制御ボックス22(制御手段)は、この検知板21の電位を検出して、糸取りばね5の挙動を検出する。
【0023】
図4は糸取りばね5と検出板21(検出手段)の検出動作を説明するもので、検出板21は、図示のように、糸取りばね5が作動位置Aから初期位置Bで接触すると通電し、糸取りばね5が作動位置Aに移動すると通電しなくなる。
そして、天秤7の下死点以降から所定上軸角度までの間に糸取りばね5が初期位置Bにあれば目飛びとなる。
【0024】
図5は天秤7と糸取りばね5の作動の関係を表すグラフである。このグラフは皮革製品やシートベルト等の厚物を縫製する場合の曲線です。図示縦軸が0度〜360度を示す上軸回転角度であり、横軸が糸取りばねストロークである。糸取りばね5は、ストローク0で初期位置Bに位置し、ストローク7mmで作動位置Aに位置する。
図5の曲線Sは天秤曲線であり、天秤7の上糸供給量と一致する。曲線Tは上軸約1回転あたりの糸取りばね5の作動曲線を示し、t1は目飛びが発生しない場合の作動曲線であり、t2は目飛びが発生した場合の作動曲線である。
糸取りばね5は通常天秤7の下死点以降から動作を開始するが、目飛びが発生すると、釜が糸を針板の下側に引き込まないため、糸が張ることなく、糸が天秤7とミシン針14の間で余る。そして、糸取りばね5が、およそ針棒の上死点付近(図5に示す上軸回転角度350度付近)から動き始める。よって、目飛び時には、糸取りばね5に、図示のような作動タイミングの変化が発生する。
図5に示す、天秤7の下死点は、上軸回転角度が約290度である。目飛びが発生しない場合、糸取りばね5が初期位置Bから離間する、上軸回転角度は約300度である。また、目飛びが発生した場合に、糸取りばね5が初期位置Bから離間する上軸回転角度は約350度である。
【0025】
次に、図6は目飛び検出のブロック構成を示すもので、ミシン制御ボックス(制御手段)22は、検知板21の電位を検出して、糸取りばね5の挙動を判断する。
また、ミシン制御ボックス22はミシンモータ23を駆動させる。
モータエンコーダ(回転角度検出手段)24はミシンモータ23に取り付けられている。モータエンコーダ24はミシンモータ軸の角度を信号として、ミシン制御ボックス22に出力する。このモータエンコーダ24は、ミシンモータ23の回転角度を検出する回転角度検出手段として機能する。
ミシン制御ボックス22には操作表示器25が接続されている。
ミシンモータ23はミシン上軸に連結される。
このミシン上軸に天秤7が連結される。天秤7はミシン上軸に連動して上下動し、上糸の引き上げを行う。
【0026】
このように構成された目飛び検出装置の動作を図7で説明する。
ここで、目飛びが発生しない場合、図5に示す糸取りばね作動曲線t1より、糸取りばね移動開始予定角度は、上軸角度約300度であり、糸取りばね5が図4の初期位置Bから作動位置Aに向かって移動し始める角度である。
また、糸取りばね移動終了予定角度は、上軸角度約330度であり、図4の作動位置Aに移動した角度である。
【0027】
ミシン制御ボックス22は、ミシンモータ23が上軸と連結されているため、モータエンコーダ24から出力されたモータ軸角度で、糸取りばね移動開始予定角度と糸取りばね移動終了予定角度が認識可能である。
【0028】
図7は目飛び検出のフローチャートで、ミシン制御ボックス22により、図示のように、ステップS1において、糸取りばね移動開始予定角度(上軸角度300°)かどうか判断され、糸取りばね移動開始予定角度であればステップS2に進む。
ステップS2において、糸取りばね移動終了予定角度(上軸角度330°)がどうか判断され、糸取りばね移動終了予定角度であればステップS3に進む。
ステップS3において、ミシン制御ボックス22は検知板21の電位から、糸取りばね5が初期位置Bに位置しているかどうか検出し、糸取りばね5が初期位置Bに位置している場合、目飛び発生と判断してステップS4に進む。
ステップS4において、ミシン制御ボックス22から操作表示器25へ警告信号を出力し、作業者へ警告する。
【0029】
このように、糸取りばね移動終了予定角度(上軸角度330°)の時に、糸取りばねの挙動、すなわち、糸取りばね5が初期位置Bに位置しているかどうかを監視し、初期位置Bに位置している場合、ミシン制御手段は糸の目飛びと判断する。
なお、上記実施形態では、天秤下死点(上軸290°)以降の糸取りばね移動終了予定角度(上軸角度330°)で糸取りばね5の挙動を検出した。これに代えて、目飛びが発生した場合の糸取りばね5が初期位置Bから離間する上軸回転角度(350°)を考慮して、上軸角度330°から上軸角度350°の間に糸取りばねの挙動を検出することも容易に考えられる。
さらに、天秤下死点はミシンの機種によってことなるが、天秤下死点以降の、(天秤下死点+40°)〜(天秤下死点+60°)の所定区間V1においても、各種のミシンに装着された糸取りばね5は、同様の挙動をする。このため、所定区間V1で、ミシン制御ボックス22が糸取りばね5の挙動を検出して、糸の目飛びを判断し、操作表示器25へ警告信号を出力したり、ミシンの駆動を停止することも容易に考えられる。
【0030】
図8は目飛び検出の他のフローチャートで、ミシン制御ボックス22により、図示のように、ステップS11において、糸取りばね移動開始予定角度(上軸角度300°)かどうか判断され、糸取りばね移動開始予定角度(上軸角度300°)であればステップS12に進む。
ステップS12において、ミシン制御ボックス22は検知板21の電位から、糸取りばね5が初期位置Bに位置しているかどうか検出し、糸取りばね5が初期位置Bに位置している場合、目飛び発生と判断してステップS13に進む。
また、糸取りばね5が初期位置Bに位置していないときはステップS11に進む。
ステップS13において、最大糸取りばね移動終了予定角度(上軸角度350°)がどうか判断され、最大糸取りばね移動終了予定角度であればステップS14に進む。
また、最大糸取りばね移動終了予定角度でなければステップS12に進む。
ステップS14において、ミシン制御ボックス22から操作表示器25へ警告信号を出力し、作業者へ警告するか、ミシンの駆動を停止する。
【0031】
このように、糸取りばね移動開始予定角度(上軸角度300°)〜最大糸取りばね移動終了予定角度(上軸角度350°)の間、糸取りばね5が初期位置Bに位置しているかどうかを制御手段が監視し、初期位置Bに位置している場合、検知板21の電位からミシン制御手段は糸の目飛びと判断する。天秤下死点が上軸角度290°であることから、(天秤下死点+10°)〜(天秤下死点+60°)の間、糸取りばねの挙動を監視する。
【0032】
図13は、Yシャツ等の薄物の生地を縫製する場合の天秤7と糸取りばね5の作動の関係を表すグラフである。図示横軸が上軸回転角度であり、上軸の回転位相に対する糸張力強中弱時の糸取りばね5の変位量の関係を表している。
図13の曲線SAは天秤曲線である。また、TA1は設定糸張力が強い場合、TA2は設定糸張力が中程度の場合、TA3は設定糸張力が弱い場合の糸取りばねの変位量曲線である。UAは釜の上糸必要量曲線である。
図13のグラフから糸取りばねは、糸の目飛びが発生しない場合、糸張力の強弱にかかわらず、少なくとも天秤下死点θ1以降に糸取りばねが初期位置から作動位置に移動する。そして、釜越え位相θ2で、糸取りばねの各変位量はh1、h2、h3となる。
図13には糸の目飛びが発生した場合の糸取りばね変位量曲線は記載しなかったが、図5の厚物縫製と同様に(天秤下死点θ1+60°)程度から糸取りばねが原点位置から作動位置に移動し始める。
以上の図5、図13の説明から、縫製物の厚さや設定糸張力の強さを変更しても、天秤下死点〜所定上軸角度(天秤下死点+60°)の間(所定区間V2)、糸取りばねの挙動、糸取りばね5が初期位置に位置するか否かを監視すると、糸の目飛びを検出できる。
【0033】
また、天秤下死点はミシンの機種によって異なるが、天秤下死点以降の各種のミシンに装着された糸取りばね5は、同様の挙動をする。このため、各種ミシンにおいても、天秤下死点から所定上軸角度(天秤下死点+60°)の間、糸取りばねの挙動、糸取りばね5が初期位置に位置するか否かを監視すると、糸の目飛びを検出できる。
【0034】
上記のように、図7のフローチャートでは、(天秤下死点+40°)〜所定上軸角度(天秤下死点+60°)のV1区間糸取りばねの挙動を監視し、図8のフローチャートでは、天秤下死点〜所定上軸角度(天秤下死点+60°)のV2区間糸取りばねの挙動を監視した。V1区間はV2区間に含まれるので、これを総称して、制御手段は、天秤下死点から所定上軸角度(天秤下死点+60°)までの間に、糸取りばね5が初期位置Bに位置するか否かを検出し、糸の目飛びが発生したか判断する。
【0035】
なお、上記実施形態では、検出する区間を天秤下死点から所定上軸角度(天秤下死点+60°)とした。これに代えて、天秤下死点+10°〜所定上軸角度(天秤下死点+60°)としても好ましく、天秤下死点+20°〜所定上軸角度にすることも容易に考えられる。また、所定上軸角度を天秤下死点+50°にしたり、天秤下死点+40°にすることも容易に考えられる。
【0036】
上記のように、天秤下死点〜所定上軸角度(天秤下死点+60°)の範囲内で、制御手段が検出する区間を変更することができる。これを、制御手段が、天秤下死点から所定上軸角度の範囲内で、検出する区間と定義する。
【0037】
また、上記実施形態では、検知板21はネジ31によりミシンフレームに固定され、初期位置Bにある糸取りばね5が検知板21に接触するように配置された。これに代えて、検知板21に不図示の長孔を設けて、この長孔にネジ31を挿通させて、検知板21の固定位置を調整することも容易に考えられる。
また、この検知板21の固定位置を、初期位置Bから作動位置A側に向けて、0.1mmから0.5mm程、移動した位置で検知板21が糸取りばね5に接触するように固定配置すると好ましい。すなわち、検出する位置を初期位置Bから若干作動位置A側にずらすと、糸の暴れによって糸取りばね5が、目飛びが発生してないにも拘らず、微妙に動いてしまうために発生する誤検知を防止することができる。この検出する位置を初期位置Bから若干作動位置A側にずらす位置も含めて初期位置Bとする。
【0038】
以上、実施形態の目飛び検出装置によれば、検出板21によって糸取りばね5の動作を検出するだけなので、糸の太さ・種類等変わってもセンサ等の感度調整の必要がなく、また、ゴミ等の影響を受けることがない。
【0039】
(変形例)
以上の実施形態においては、操作表示器25によって作業者へ警告するものとしたが、警告と同時にミシンモータ23を停止させてもよい。
また、例えば操作表示器25がミシン制御ボックス22に接続されていない場合には、ミシン制御ボックス22に内蔵されている表示器、警告機を用いて警告させるようにしてもよい。
また、操作表示器25とは別に警告装置をミシン制御ボックス22に接続し、その警告装置で作業者へ警告するようにしてもよい。
その他、検出手段の形状や構成等、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【0040】
(実施形態2)
図9は実施形態2を示すもので、前述した実施形態1では、天秤下死点(上軸角度290°)、糸取りばね移動開始予定角度(上軸角度300°)、糸取りばね移動終了予定角度(上軸角度330°)をモータエンコーダ24からの出力信号によって認識しているが、図示のように、ミシンの上軸に取り付けられたハズミ車15にミシン角度検出器(回転角度検出手段)16を取り付けるタイプのミシンでは、ミシン角度検出器16からの角度信号を用いて、天秤下死点(上軸角度290°)、糸取りばね移動開始予定角度(上軸角度300°)、糸取りばね移動終了予定角度(上軸角度330°)を認識させてもよい。
【0041】
(実施形態3)
図10は実施形態3を示すもので、図示のように、ミシン制御ボックス22において、天秤7の天秤位置検出器(回転角度検出手段)17によって、天秤下死点(上軸角度290°)、糸取りばね移動開始予定角度(上軸角度300°)、糸取りばね移動終了予定角度(上軸角度330°)を認識させてもよい。
【0042】
(実施形態4)
図11は実施形態4を示すもので、実施形態3では検出板21と天秤位置検出器17をミシン制御ボックス22に接続しているが、図示のように、ミシン制御ボックスとは別の制御ボックス27に検出手段21と天秤位置検出器17を接続してもよい。
この場合、制御ボックス27は表示器、警告器を内蔵可能とする。
【0043】
(実施形態5)
図12は実施形態5を示すものである。
図示しない糸巻きから引き出された糸は、第1の糸調子器32、第2の糸調子器33、第2の糸調子器(糸調子器)33に装着された糸取りばね34を経て、図示しない、天秤、針に案内されている。
ミシンアーム(ミシンフレーム)には、光学式センサ(検出手段)35が固定されている。光学式センサ35は、本体部35aと検知部35bを有している。本体部35bには、上下方向に沿って長孔35aaが形成されている。光学式センサ(検出手段)35は、検知部35bを上側にして、上下方向に沿って調節自在で、ミシンアームに、不図示のネジによって固定される。
【0044】
また、糸取りばね34は、ミシンアーム側に遮光板36が固定されている。糸取りばね34は、上方側の初期位置Bと、初期位置Bより下方の作動位置Aの間を揺動する。この糸取りばね揺動軌跡の初期位置Bでの遮光板36の位置に対向するように、光学式センサ35を配置させる。そして、糸取りばね34が初期位置に位置するか否かを検出する。
そして、光学式センサ35が接続されたミシン制御ボックス(制御手段)は、天秤下死点から所定上軸角度U(天秤下死点+60°)の範囲内で、糸取りばね5が初期位置Bに位置することを検出しない場合、糸の目飛びと判断する。糸の目飛びと判断した際、警告信号を出力するか、又はミシンの駆動を停止する。
【0045】
本願発明は、上記実施形態に限定されることなく、種々変更可能である。
例えば、上記実施形態では、センサとして非接触式の光学式センサを用いたが、これに代えて、非接触式の磁気サンサや、接触式のマイクロスイッチ等を用いることも容易に考えられる。
また、実施形態5では、光学式センサ35と遮光板36を用いているので、初期位置Bから離間し始めると、センサ出力値が増加するので、所定検出量になると初期位置Bにいないと判断することも容易に考えられる。
また、図13を用いて説明したが、ミシン薄物等の縫製においても、天秤下死点以降に糸取りばねは同様な挙動をとるので、本願発明をミシン薄物等を縫製するミシンに適用することも容易に考えられる。
また、上記実施形態では糸取りばね5は時計方向に付勢されており、上糸に張力が付与されていない場合に、糸取りばねが時計方向に回転し、停止した位置を初期位置Bとした。糸取りばねが反時計方向に付勢されている糸調子器に本願発明を適用すると、初期位置Bと作動位置Aが入れ替わる。
【符号の説明】
【0046】
4 糸調子器
5 糸取りばね
7 天秤
21 検知板(検出手段)
22 ミシン制御ボックス(制御手段)
24 モータエンコーダ(回転角度検出手段)
27 制御ボックス(制御手段)
35 センサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミシンの目飛びを検出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ミシンの目飛びを検出する装置として、例えば特許文献1〜5などが知られる。
【0003】
また、糸調子部分における糸取りばねの検知動作を行う方法として、例えば特許文献6〜10などが知られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭62−199065号公報
【特許文献2】特表平6−503007号公報
【特許文献3】US−A1−470951
【特許文献4】特開昭50−54457号公報
【特許文献5】特開2005−246060号公報
【特許文献6】特開平3−77583号公報
【特許文献7】特開平5−115654号公報
【特許文献8】実開昭60−50974号公報
【特許文献9】特開平9−84982号公報
【特許文献10】特開平3−6069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1は、釜外周を通過する糸を検出するようになっているが、糸の色・太さによって変化することと、ゴミのため誤検知や、センサ検出部にゴミが付着した場合に検出しなくなる問題があった。
また、特許文献2は、ミシンアゴ部の光学センサにより糸の移動を検出するものであるが、これも同様にして、糸の色・太さ等によりセンサの反応が変化してしまうため、糸交換時にセンサの再調整の必要があり、工程変更が発生する毎に再調整が必要となっていた。
また、特許文献3は、上糸の移動の有無をひずみゲージを使用して検知するため、装置のコストが高額になる。
また、特許文献4や特許文献5などのアゴ部に検出装置を設けたタイプは、糸通しが面倒である。
なお、特許文献5は、縫いに影響を与えず、検知できる張力への調整が糸交換の度に別途必要となり、そうしないと誤動作の原因となる。
【0006】
また、糸取りばねの検知動作を行う特許文献6〜9は、いずれも針折れや糸切れ検知用のものであった。
さらに、特許文献10は環縫いミシンに関するものであり、その目飛びを含む種々の縫い不良状態を検知するために、環縫いミシンには無い、検知バネを新たに設ける必要があり、コストアップとなってしまった。また、特許文献10の検知バネは、初期位置と、付勢力に抗して糸緩みを解消する作動位置(糸のたるみ量が0となるA点)との間を揺動する。そして、検知バネが作動位置に移動すると電極に接触して検知信号を出力するが、作動位置での検知では、針棒の通常の停止位置である針棒上死点を通過してしまい、警告やミシン停止等の、後処理が遅れてしまった。
また、1本糸で縫う環縫いでは糸の消費量が多いため、天秤の引き上げ経路に検知ばねを設けただけで目飛びを検知できる。しかし、本縫いの場合は上糸の消費量が送りピッチと同じであるため、同様な方法では、目飛び検知の精度が得られない。
【0007】
本発明の課題は、糸の太さ・種類等変わってもセンサ等の感度調整の必要がなく、ゴミ等の影響も受けずに、安価な装置で迅速に目飛びを検出することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
ミシン上軸に連結され、上下動する針棒と、
ミシン上軸に連動して回転し、針と協働して縫い目を形成する釜と、
糸巻から天秤に至る経路上に配置され、上糸に張力を付与する糸調子器と、
前記糸調子器に付設され、上糸張力を受けて初期位置と作動位置の間を揺動すると共に、糸掛け部を有する糸取りばねと、を備えるミシンにおいて、
前記糸取りばねが初期位置に位置するか否かを検出する検出手段と、
前記検出手段による前記糸取りばねの挙動検出に基づいて糸の目飛びを検出する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のミシンの目飛び検出装置であって、
ミシン上軸を駆動するミシンモータと、
前記ミシン上軸に連動して上下動する天秤と、
前記ミシンモータの回転角度を検出する回転角度検出手段を備え、
前記制御手段は、天秤下死点から所定上軸角度の範囲内で、前記糸取りばねが初期位置に位置するか否かを検知し、糸の目飛びを判断することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のミシンの目飛び検出装置であって、
前記検出手段は、
ミシンフレームに絶縁部材を介して固定される検知板を有し、
前記制御手段は、
前記検知板の電位を検出して、前記糸取りばねの挙動を検出することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のミシンの目飛び検出装置であって、
前記検知板は、
ミシンフレームに固定される基部と、
前記基部から突出して形成され、前記糸取りばね揺動軌跡に向けて折り曲げられた、検知部を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1又は2に記載のミシンの目飛び検出装置であって、
前記検出手段は、
ミシンフレームに調節自在に支持されたセンサを有することを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載のミシンの目飛び検出装置であって、
前記制御手段は、
糸の目飛びと判断した場合、警告信号を出力するか、又はミシンの駆動を停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、従来本縫いミシンの糸調子器に付設されている糸取りばねの挙動、特に糸取りばねが初期位置に位置するか否かの動作を検出するだけで、糸の目飛びを判断できる。このため、糸の太さ・種類等変わってもセンサ等の感度調整の必要がなく、ゴミ等の影響を受けることもなく、安価な装置で迅速に目飛びを検出できる。
【0015】
さらに、請求項2から5記載の発明によれば、制御手段が、天秤下死点から所定上軸角度の範囲内で、前記糸取りばねが初期位置に位置するか否かを検知するので、より確実に糸の目飛びを判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明を適用するミシンの一実施形態の構成を示す正面図である。
【図2】同じくミシンの側面図である。
【図3】糸調子器及び糸取りばねと検出手段部分を拡大した斜視図である。
【図4】図3の糸取りばねと検出手段の検出動作を説明する正面図である。 b
【図5】天秤と糸取りばねの作動の関係を表すグラフである。
【図6】目飛び検出のブロック構成図である。
【図7】目飛び検出のフローチャートである。
【図8】目飛び検出の他のフローチャートである。
【図9】実施形態2を示すもので、目飛び検出のブロック構成図である。
【図10】実施形態3を示すもので、目飛び検出のブロック構成図である。
【図11】実施形態4を示すもので、目飛び検出のブロック構成図である。
【図12】実施形態5を示すものである。
【図13】天秤と糸取りばねの作動の関係を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図を参照して本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
(実施形態1)
図1及び図2は本発明を適用するミシンの一実施形態の構成を示すもので、1は糸案内棒、2は第1の糸調子器、3は第1の糸案内具、4は第2の糸調子器、5は糸取りばね、6は糸掛け具、7は天秤、8は第2の糸案内具、11は針棒、12は糸掛け、13は糸案内、14はミシン針(針)である。針棒11は不図示のミシン上軸に連結され上下動する。また、不図示のミシンベッドに配置された釜は、ミシン上軸に連動して回転し、針棒に支持された針14と協働して縫い目を形成する。
【0018】
図示しない糸巻から引き出された糸は、図示のように、糸案内棒1、第1の糸調子器2、第2の糸調子器4を通し、その糸取りばね5の糸掛け部5aに掛けられる。そして、糸掛け具6、第1の糸案内具3を経て天秤7を通し、第2の糸案内具8を経て針棒11の糸掛け12及び糸案内13を通し、ミシン針14の針穴に通されている。
【0019】
実施形態では、第2の糸調子器4の糸取りばね5の部分に検出手段を設け、糸取りばね5の挙動を検出する。
そして、特に天秤7が天秤下死点以降から所定区間の間に糸取りばね5の作動タイミングを検出することにより目飛びの有無を検出する。
【0020】
図3は第2の糸調子器4及び糸取りばね5の部分を拡大して示すもので、21は糸取りばね5の挙動を検出する検出板(検出手段)である。
第2の糸調子器(糸調子器)4は、本体部4aと、本体部4a外周に付設された糸取りばね5と、1対の糸調子皿4cと、バネ4dと、ダイヤル4eから構成されている。本体部4aは円筒形状で、ミシンフレームに固定される。本体部4aの側面には、円弧状の貫通溝4bが形成されている。また、1対の糸調子皿4cは、バネ4dに付勢され、糸調子皿4c間に挿通された上糸に張力を付与する。バネ4dの付勢力はダイヤル4eの回動量により調節される。
【0021】
糸取りばね5は線形状で、本体部4aの中心軸、又はミシンフレームに固定された不図示の支持軸に、回動可能に支持されている。糸取りばね5の先端側には、円弧状に折り曲げられた糸掛け部5aを有する。
糸取りばね5は、貫通溝4bから突出して配置され、その糸掛け部5aに上糸が掛けられる。また、糸取りばね5は、図示省略した巻きばねにより時計方向に付勢されるが、貫通溝4bの上端部に当接し、図4の2点鎖線で示す初期位置Bで停止する。また、上糸に張力が付与されると、糸取りばね5は反時計方向に回転するが、貫通溝4bの下端部に当接し、図4実線で示す作動位置Aで停止する。糸取りばね5は、上糸張力を受けて初期位置Bと作動位置Aの間を揺動する。
【0022】
検知板21は、導電性の金属材で、ミシンフレームに絶縁性のプラスチック(絶縁部材)を介して固定される。検知板21は基部21aと検知部21bから構成されている。基部21aは、第2の糸調子器4に近接して配置され、ミシンフレームに絶縁性のプラスチック(絶縁部材)を介してネジ31により固定される。基部21aは、第2の糸調子器4の本体部4aに接触しない。また、検知部21bは、基部21aから突出するように形成され、糸取りばね5の揺動軌跡上に配置されるように、折り曲げられている。
また、検知板21には、ミシン制御ボックス22(制御手段)の入力側からの導線30の一端側が接続されている。ミシン制御ボックス22は、導線30を介して検知板21に+12Vの電位を与える。このため、糸取りばね5が作動位置Aにある場合、糸取りばね5は検知板21の検知部21bに接触しないので、検知板の電位は+12Vでる。また、糸取りばね5が初期位置Bにある場合、糸取りばね5は検知板21の検知部21bに接触し、糸取りばね5を介してミシンフレーム(GND)に接続され、0Vとなる。ミシン制御ボックス22(制御手段)は、この検知板21の電位を検出して、糸取りばね5の挙動を検出する。
【0023】
図4は糸取りばね5と検出板21(検出手段)の検出動作を説明するもので、検出板21は、図示のように、糸取りばね5が作動位置Aから初期位置Bで接触すると通電し、糸取りばね5が作動位置Aに移動すると通電しなくなる。
そして、天秤7の下死点以降から所定上軸角度までの間に糸取りばね5が初期位置Bにあれば目飛びとなる。
【0024】
図5は天秤7と糸取りばね5の作動の関係を表すグラフである。このグラフは皮革製品やシートベルト等の厚物を縫製する場合の曲線です。図示縦軸が0度〜360度を示す上軸回転角度であり、横軸が糸取りばねストロークである。糸取りばね5は、ストローク0で初期位置Bに位置し、ストローク7mmで作動位置Aに位置する。
図5の曲線Sは天秤曲線であり、天秤7の上糸供給量と一致する。曲線Tは上軸約1回転あたりの糸取りばね5の作動曲線を示し、t1は目飛びが発生しない場合の作動曲線であり、t2は目飛びが発生した場合の作動曲線である。
糸取りばね5は通常天秤7の下死点以降から動作を開始するが、目飛びが発生すると、釜が糸を針板の下側に引き込まないため、糸が張ることなく、糸が天秤7とミシン針14の間で余る。そして、糸取りばね5が、およそ針棒の上死点付近(図5に示す上軸回転角度350度付近)から動き始める。よって、目飛び時には、糸取りばね5に、図示のような作動タイミングの変化が発生する。
図5に示す、天秤7の下死点は、上軸回転角度が約290度である。目飛びが発生しない場合、糸取りばね5が初期位置Bから離間する、上軸回転角度は約300度である。また、目飛びが発生した場合に、糸取りばね5が初期位置Bから離間する上軸回転角度は約350度である。
【0025】
次に、図6は目飛び検出のブロック構成を示すもので、ミシン制御ボックス(制御手段)22は、検知板21の電位を検出して、糸取りばね5の挙動を判断する。
また、ミシン制御ボックス22はミシンモータ23を駆動させる。
モータエンコーダ(回転角度検出手段)24はミシンモータ23に取り付けられている。モータエンコーダ24はミシンモータ軸の角度を信号として、ミシン制御ボックス22に出力する。このモータエンコーダ24は、ミシンモータ23の回転角度を検出する回転角度検出手段として機能する。
ミシン制御ボックス22には操作表示器25が接続されている。
ミシンモータ23はミシン上軸に連結される。
このミシン上軸に天秤7が連結される。天秤7はミシン上軸に連動して上下動し、上糸の引き上げを行う。
【0026】
このように構成された目飛び検出装置の動作を図7で説明する。
ここで、目飛びが発生しない場合、図5に示す糸取りばね作動曲線t1より、糸取りばね移動開始予定角度は、上軸角度約300度であり、糸取りばね5が図4の初期位置Bから作動位置Aに向かって移動し始める角度である。
また、糸取りばね移動終了予定角度は、上軸角度約330度であり、図4の作動位置Aに移動した角度である。
【0027】
ミシン制御ボックス22は、ミシンモータ23が上軸と連結されているため、モータエンコーダ24から出力されたモータ軸角度で、糸取りばね移動開始予定角度と糸取りばね移動終了予定角度が認識可能である。
【0028】
図7は目飛び検出のフローチャートで、ミシン制御ボックス22により、図示のように、ステップS1において、糸取りばね移動開始予定角度(上軸角度300°)かどうか判断され、糸取りばね移動開始予定角度であればステップS2に進む。
ステップS2において、糸取りばね移動終了予定角度(上軸角度330°)がどうか判断され、糸取りばね移動終了予定角度であればステップS3に進む。
ステップS3において、ミシン制御ボックス22は検知板21の電位から、糸取りばね5が初期位置Bに位置しているかどうか検出し、糸取りばね5が初期位置Bに位置している場合、目飛び発生と判断してステップS4に進む。
ステップS4において、ミシン制御ボックス22から操作表示器25へ警告信号を出力し、作業者へ警告する。
【0029】
このように、糸取りばね移動終了予定角度(上軸角度330°)の時に、糸取りばねの挙動、すなわち、糸取りばね5が初期位置Bに位置しているかどうかを監視し、初期位置Bに位置している場合、ミシン制御手段は糸の目飛びと判断する。
なお、上記実施形態では、天秤下死点(上軸290°)以降の糸取りばね移動終了予定角度(上軸角度330°)で糸取りばね5の挙動を検出した。これに代えて、目飛びが発生した場合の糸取りばね5が初期位置Bから離間する上軸回転角度(350°)を考慮して、上軸角度330°から上軸角度350°の間に糸取りばねの挙動を検出することも容易に考えられる。
さらに、天秤下死点はミシンの機種によってことなるが、天秤下死点以降の、(天秤下死点+40°)〜(天秤下死点+60°)の所定区間V1においても、各種のミシンに装着された糸取りばね5は、同様の挙動をする。このため、所定区間V1で、ミシン制御ボックス22が糸取りばね5の挙動を検出して、糸の目飛びを判断し、操作表示器25へ警告信号を出力したり、ミシンの駆動を停止することも容易に考えられる。
【0030】
図8は目飛び検出の他のフローチャートで、ミシン制御ボックス22により、図示のように、ステップS11において、糸取りばね移動開始予定角度(上軸角度300°)かどうか判断され、糸取りばね移動開始予定角度(上軸角度300°)であればステップS12に進む。
ステップS12において、ミシン制御ボックス22は検知板21の電位から、糸取りばね5が初期位置Bに位置しているかどうか検出し、糸取りばね5が初期位置Bに位置している場合、目飛び発生と判断してステップS13に進む。
また、糸取りばね5が初期位置Bに位置していないときはステップS11に進む。
ステップS13において、最大糸取りばね移動終了予定角度(上軸角度350°)がどうか判断され、最大糸取りばね移動終了予定角度であればステップS14に進む。
また、最大糸取りばね移動終了予定角度でなければステップS12に進む。
ステップS14において、ミシン制御ボックス22から操作表示器25へ警告信号を出力し、作業者へ警告するか、ミシンの駆動を停止する。
【0031】
このように、糸取りばね移動開始予定角度(上軸角度300°)〜最大糸取りばね移動終了予定角度(上軸角度350°)の間、糸取りばね5が初期位置Bに位置しているかどうかを制御手段が監視し、初期位置Bに位置している場合、検知板21の電位からミシン制御手段は糸の目飛びと判断する。天秤下死点が上軸角度290°であることから、(天秤下死点+10°)〜(天秤下死点+60°)の間、糸取りばねの挙動を監視する。
【0032】
図13は、Yシャツ等の薄物の生地を縫製する場合の天秤7と糸取りばね5の作動の関係を表すグラフである。図示横軸が上軸回転角度であり、上軸の回転位相に対する糸張力強中弱時の糸取りばね5の変位量の関係を表している。
図13の曲線SAは天秤曲線である。また、TA1は設定糸張力が強い場合、TA2は設定糸張力が中程度の場合、TA3は設定糸張力が弱い場合の糸取りばねの変位量曲線である。UAは釜の上糸必要量曲線である。
図13のグラフから糸取りばねは、糸の目飛びが発生しない場合、糸張力の強弱にかかわらず、少なくとも天秤下死点θ1以降に糸取りばねが初期位置から作動位置に移動する。そして、釜越え位相θ2で、糸取りばねの各変位量はh1、h2、h3となる。
図13には糸の目飛びが発生した場合の糸取りばね変位量曲線は記載しなかったが、図5の厚物縫製と同様に(天秤下死点θ1+60°)程度から糸取りばねが原点位置から作動位置に移動し始める。
以上の図5、図13の説明から、縫製物の厚さや設定糸張力の強さを変更しても、天秤下死点〜所定上軸角度(天秤下死点+60°)の間(所定区間V2)、糸取りばねの挙動、糸取りばね5が初期位置に位置するか否かを監視すると、糸の目飛びを検出できる。
【0033】
また、天秤下死点はミシンの機種によって異なるが、天秤下死点以降の各種のミシンに装着された糸取りばね5は、同様の挙動をする。このため、各種ミシンにおいても、天秤下死点から所定上軸角度(天秤下死点+60°)の間、糸取りばねの挙動、糸取りばね5が初期位置に位置するか否かを監視すると、糸の目飛びを検出できる。
【0034】
上記のように、図7のフローチャートでは、(天秤下死点+40°)〜所定上軸角度(天秤下死点+60°)のV1区間糸取りばねの挙動を監視し、図8のフローチャートでは、天秤下死点〜所定上軸角度(天秤下死点+60°)のV2区間糸取りばねの挙動を監視した。V1区間はV2区間に含まれるので、これを総称して、制御手段は、天秤下死点から所定上軸角度(天秤下死点+60°)までの間に、糸取りばね5が初期位置Bに位置するか否かを検出し、糸の目飛びが発生したか判断する。
【0035】
なお、上記実施形態では、検出する区間を天秤下死点から所定上軸角度(天秤下死点+60°)とした。これに代えて、天秤下死点+10°〜所定上軸角度(天秤下死点+60°)としても好ましく、天秤下死点+20°〜所定上軸角度にすることも容易に考えられる。また、所定上軸角度を天秤下死点+50°にしたり、天秤下死点+40°にすることも容易に考えられる。
【0036】
上記のように、天秤下死点〜所定上軸角度(天秤下死点+60°)の範囲内で、制御手段が検出する区間を変更することができる。これを、制御手段が、天秤下死点から所定上軸角度の範囲内で、検出する区間と定義する。
【0037】
また、上記実施形態では、検知板21はネジ31によりミシンフレームに固定され、初期位置Bにある糸取りばね5が検知板21に接触するように配置された。これに代えて、検知板21に不図示の長孔を設けて、この長孔にネジ31を挿通させて、検知板21の固定位置を調整することも容易に考えられる。
また、この検知板21の固定位置を、初期位置Bから作動位置A側に向けて、0.1mmから0.5mm程、移動した位置で検知板21が糸取りばね5に接触するように固定配置すると好ましい。すなわち、検出する位置を初期位置Bから若干作動位置A側にずらすと、糸の暴れによって糸取りばね5が、目飛びが発生してないにも拘らず、微妙に動いてしまうために発生する誤検知を防止することができる。この検出する位置を初期位置Bから若干作動位置A側にずらす位置も含めて初期位置Bとする。
【0038】
以上、実施形態の目飛び検出装置によれば、検出板21によって糸取りばね5の動作を検出するだけなので、糸の太さ・種類等変わってもセンサ等の感度調整の必要がなく、また、ゴミ等の影響を受けることがない。
【0039】
(変形例)
以上の実施形態においては、操作表示器25によって作業者へ警告するものとしたが、警告と同時にミシンモータ23を停止させてもよい。
また、例えば操作表示器25がミシン制御ボックス22に接続されていない場合には、ミシン制御ボックス22に内蔵されている表示器、警告機を用いて警告させるようにしてもよい。
また、操作表示器25とは別に警告装置をミシン制御ボックス22に接続し、その警告装置で作業者へ警告するようにしてもよい。
その他、検出手段の形状や構成等、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【0040】
(実施形態2)
図9は実施形態2を示すもので、前述した実施形態1では、天秤下死点(上軸角度290°)、糸取りばね移動開始予定角度(上軸角度300°)、糸取りばね移動終了予定角度(上軸角度330°)をモータエンコーダ24からの出力信号によって認識しているが、図示のように、ミシンの上軸に取り付けられたハズミ車15にミシン角度検出器(回転角度検出手段)16を取り付けるタイプのミシンでは、ミシン角度検出器16からの角度信号を用いて、天秤下死点(上軸角度290°)、糸取りばね移動開始予定角度(上軸角度300°)、糸取りばね移動終了予定角度(上軸角度330°)を認識させてもよい。
【0041】
(実施形態3)
図10は実施形態3を示すもので、図示のように、ミシン制御ボックス22において、天秤7の天秤位置検出器(回転角度検出手段)17によって、天秤下死点(上軸角度290°)、糸取りばね移動開始予定角度(上軸角度300°)、糸取りばね移動終了予定角度(上軸角度330°)を認識させてもよい。
【0042】
(実施形態4)
図11は実施形態4を示すもので、実施形態3では検出板21と天秤位置検出器17をミシン制御ボックス22に接続しているが、図示のように、ミシン制御ボックスとは別の制御ボックス27に検出手段21と天秤位置検出器17を接続してもよい。
この場合、制御ボックス27は表示器、警告器を内蔵可能とする。
【0043】
(実施形態5)
図12は実施形態5を示すものである。
図示しない糸巻きから引き出された糸は、第1の糸調子器32、第2の糸調子器33、第2の糸調子器(糸調子器)33に装着された糸取りばね34を経て、図示しない、天秤、針に案内されている。
ミシンアーム(ミシンフレーム)には、光学式センサ(検出手段)35が固定されている。光学式センサ35は、本体部35aと検知部35bを有している。本体部35bには、上下方向に沿って長孔35aaが形成されている。光学式センサ(検出手段)35は、検知部35bを上側にして、上下方向に沿って調節自在で、ミシンアームに、不図示のネジによって固定される。
【0044】
また、糸取りばね34は、ミシンアーム側に遮光板36が固定されている。糸取りばね34は、上方側の初期位置Bと、初期位置Bより下方の作動位置Aの間を揺動する。この糸取りばね揺動軌跡の初期位置Bでの遮光板36の位置に対向するように、光学式センサ35を配置させる。そして、糸取りばね34が初期位置に位置するか否かを検出する。
そして、光学式センサ35が接続されたミシン制御ボックス(制御手段)は、天秤下死点から所定上軸角度U(天秤下死点+60°)の範囲内で、糸取りばね5が初期位置Bに位置することを検出しない場合、糸の目飛びと判断する。糸の目飛びと判断した際、警告信号を出力するか、又はミシンの駆動を停止する。
【0045】
本願発明は、上記実施形態に限定されることなく、種々変更可能である。
例えば、上記実施形態では、センサとして非接触式の光学式センサを用いたが、これに代えて、非接触式の磁気サンサや、接触式のマイクロスイッチ等を用いることも容易に考えられる。
また、実施形態5では、光学式センサ35と遮光板36を用いているので、初期位置Bから離間し始めると、センサ出力値が増加するので、所定検出量になると初期位置Bにいないと判断することも容易に考えられる。
また、図13を用いて説明したが、ミシン薄物等の縫製においても、天秤下死点以降に糸取りばねは同様な挙動をとるので、本願発明をミシン薄物等を縫製するミシンに適用することも容易に考えられる。
また、上記実施形態では糸取りばね5は時計方向に付勢されており、上糸に張力が付与されていない場合に、糸取りばねが時計方向に回転し、停止した位置を初期位置Bとした。糸取りばねが反時計方向に付勢されている糸調子器に本願発明を適用すると、初期位置Bと作動位置Aが入れ替わる。
【符号の説明】
【0046】
4 糸調子器
5 糸取りばね
7 天秤
21 検知板(検出手段)
22 ミシン制御ボックス(制御手段)
24 モータエンコーダ(回転角度検出手段)
27 制御ボックス(制御手段)
35 センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミシン上軸に連結され、上下動する針棒と、
ミシン上軸に連動して回転し、針と協働して縫い目を形成する釜と、
糸巻から天秤に至る経路上に配置され、上糸に張力を付与する糸調子器と、
前記糸調子器に付設され、上糸張力を受けて初期位置と作動位置の間を揺動すると共に、糸掛け部を有する糸取りばねと、を備えるミシンにおいて、
前記糸取りばねが初期位置に位置するか否かを検出する検出手段と、
前記検出手段による前記糸取りばねの挙動検出に基づいて糸の目飛びを検出する制御手段と、を備えることを特徴とするミシンの目飛び検出装置。
【請求項2】
ミシン上軸を駆動するミシンモータと、
前記ミシン上軸に連動して上下動する天秤と、
前記ミシンモータの回転角度を検出する回転角度検出手段を備え、
前記制御手段は、天秤下死点から所定上軸角度の範囲内で、前記糸取りばねが初期位置に位置するか否かを検知し、糸の目飛びを判断することを特徴とする請求項1に記載のミシンの目飛び検出装置。
【請求項3】
前記検出手段は、
ミシンフレームに絶縁部材を介して固定される検知板を有し、
前記制御手段は、
前記検知板の電位を検出して、前記糸取りばねの挙動を検出することを特徴とする請求項1又は2に記載のミシンの目飛び検出装置。
【請求項4】
前記検知板は、
ミシンフレームに固定される基部と、
前記基部から突出して形成され、前記糸取りばね揺動軌跡に向けて折り曲げられた、検知部を備えることを特徴とする請求項3に記載のミシンの目飛び検出装置。
【請求項5】
前記検出手段は、
ミシンフレームに調節自在に支持されたセンサを有することを特徴とする請求項1又は2に記載のミシンの目飛び検出装置。
【請求項6】
前記制御手段は、
糸の目飛びと判断した場合、警告信号を出力するか、又はミシンの駆動を停止することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のミシンの目飛び検出装置。
【請求項1】
ミシン上軸に連結され、上下動する針棒と、
ミシン上軸に連動して回転し、針と協働して縫い目を形成する釜と、
糸巻から天秤に至る経路上に配置され、上糸に張力を付与する糸調子器と、
前記糸調子器に付設され、上糸張力を受けて初期位置と作動位置の間を揺動すると共に、糸掛け部を有する糸取りばねと、を備えるミシンにおいて、
前記糸取りばねが初期位置に位置するか否かを検出する検出手段と、
前記検出手段による前記糸取りばねの挙動検出に基づいて糸の目飛びを検出する制御手段と、を備えることを特徴とするミシンの目飛び検出装置。
【請求項2】
ミシン上軸を駆動するミシンモータと、
前記ミシン上軸に連動して上下動する天秤と、
前記ミシンモータの回転角度を検出する回転角度検出手段を備え、
前記制御手段は、天秤下死点から所定上軸角度の範囲内で、前記糸取りばねが初期位置に位置するか否かを検知し、糸の目飛びを判断することを特徴とする請求項1に記載のミシンの目飛び検出装置。
【請求項3】
前記検出手段は、
ミシンフレームに絶縁部材を介して固定される検知板を有し、
前記制御手段は、
前記検知板の電位を検出して、前記糸取りばねの挙動を検出することを特徴とする請求項1又は2に記載のミシンの目飛び検出装置。
【請求項4】
前記検知板は、
ミシンフレームに固定される基部と、
前記基部から突出して形成され、前記糸取りばね揺動軌跡に向けて折り曲げられた、検知部を備えることを特徴とする請求項3に記載のミシンの目飛び検出装置。
【請求項5】
前記検出手段は、
ミシンフレームに調節自在に支持されたセンサを有することを特徴とする請求項1又は2に記載のミシンの目飛び検出装置。
【請求項6】
前記制御手段は、
糸の目飛びと判断した場合、警告信号を出力するか、又はミシンの駆動を停止することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のミシンの目飛び検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−48710(P2013−48710A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188108(P2011−188108)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】
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