説明

メイクアップ化粧料

【課題】化粧崩れが長時間抑制されるために化粧もちがよく、かつ肌荒れを防止するメイクアップ化粧料を提供すること。
【解決手段】アルキレンオキシド誘導体(a)および着色顔料(b)を含むメイクアップ化粧料であって、該アルキレンオキシド誘導体(a)が、式(I)で示される誘導体: Gly−[O(PO)(EO)−(BO)H] (I)(式中、Glyはグリセリンから水酸基を除いた残基、POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基であり、そしてmおよびnはそれぞれPOおよびEOの平均付加モル数であって、1〜50の値であり、BOは炭素数4のオキシアルキレン基であり、そしてpはBOの平均付加モル数であって、0.5〜5の値である)であり、該メイクアップ化粧料中に、該アルキレンオキシド誘導体(a)が0.1〜30質量%、そして該着色顔料(b)が0.1〜30質量%の割合で含有される、メイクアップ化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファンデーション、頬紅、口紅、アイライナー、アイシャドー、マスカラ、マニキュアなどのメイクアップ化粧料に関し、さらに詳しくは、使用時に必要な量を容易に取ることができ、使用時ののび(延展性)および肌へのつき(付着性)が良好であり、色ムラ、色浮き、色分かれなどを抑えることによってきれいに仕上げることができ、化粧崩れなどを抑えることによって長時間の化粧もち(持続性)を可能にし、かつ肌荒れを防止するメイクアップ化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、ファンデーション、頬紅、口紅、アイライナー、アイシャドーなどのメイクアップ化粧料は油脂、ロウ、炭化水素、高級アルコールなどの油性成分、粉末および着色料、必要に応じてその他の成分(溶剤、乳化剤、酸化防止剤、可塑剤など)を配合して製造される。
【0003】
メイクアップ化粧料には、これらの成分の1つとして、二酸化チタンなどの肌への被覆力を有する無機顔料が含まれる。しかし、これらの無機顔料は皮膚への付着性が強すぎて顔料の粒子と皮膚との摩擦抵抗が大きくなるので、のび(延展性)が悪くなるという問題がある。そこで、特許文献1には、球状の二酸化チタンを含むメイクアップ化粧料が開示されている。しかし、この化粧料は肌へのつき(付着性)が悪く、時間が経過すると化粧崩れを生じやすく、化粧もち(持続性)が悪い場合がある。
【0004】
さらに、滑りを軽くすることによりのび(延展性)を良好にし、良好な感触を肌に与えるためにポリエチレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、セルロース、ナイロンなどの樹脂粉末がメイクアップ化粧料に含まれている。しかし、これらの樹脂粉末は屈折率が低いために、肌への被覆力が弱く、屈折率が高く、被覆力が強い顔料と併用するとすじむらを起こす原因となり、色ムラ、色浮き、色分かれなどが生じるという問題がある。そこで、特許文献2には、無機粉末で表面を被覆した樹脂粉末を含むメイクアップ化粧料が開示されている。しかし、この化粧料もまた、肌へのつき(付着性)が悪く、時間が経過すると化粧崩れを生じやすく、化粧もち(持続性)が悪い場合がある。
【0005】
一方、化粧もち(持続性)を改善した化粧料として、例えば、特許文献3には窒化ホウ素粉末を含むメイクアップ化粧料が開示され、特許文献4にはDNA(デオキシリボ核酸)で表面を被覆した顔料を含むメイクアップ化粧料が開示されている。しかし、これらの化粧料は肌へのつき(付着性)およびのび(延展性)が十分とはいえず、きれいに仕上げることができない場合がある。
【0006】
さらに、特許文献5には、特定のアルキレンオキシド誘導体(エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドと炭素数6〜40のアルキレンオキシドとのブロックポリマー)を含む滑り性を改善した油中水型固形エマルジョン型のメイクアップ化粧料が開示されている。しかし、この化粧料は肌へのつき(付着性)が十分ではなく、時間が経過すると化粧崩れを生じやすい。
【0007】
メイクアップ化粧料は、肌を「化粧」で隠しきれいに見せるための化粧料であることから、肌に対する閉塞性の高さから皮膚呼吸を妨げることもあり、しばしば肌荒れなどを生じ易いという問題が生じている。したがって、通常のスキンケア製品とは異なり「肌荒れを防止する」という効果が得られ難いのが現状である。
【特許文献1】特開昭61−118311号公報
【特許文献2】特開昭61−194010号公報
【特許文献3】特開平7−145022号公報
【特許文献4】特開平8−198728号公報
【特許文献5】特開2004−339217号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、使用時に必要な量を容易に取ることができ、使用時ののび(以下、延展性という場合がある)および肌へのつき(以下、付着性という場合がある)が良好であり、色ムラ、色浮き、色分かれなどを抑えることによってきれいに仕上げることができ、長時間化粧崩れを抑制すること(すなわち、化粧もち(持続性)の改善)を可能にし、かつ肌荒れを防止するメイクアップ化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために研究を重ねたところ、特定のアルキレンオキシド誘導体および着色顔料を特定の比率で組み合わせることにより、目的とするメイクアップ化粧料が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明のメイクアップ化粧料は、アルキレンオキシド誘導体(a)および着色顔料(b)を含むメイクアップ化粧料であって、該アルキレンオキシド誘導体(a)が、式(I)で示される誘導体:
Gly−[O(PO)(EO)−(BO)H] (I)
(式中、Glyはグリセリンから水酸基を除いた残基、POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基であり、そしてmおよびnはそれぞれPOおよびEOの平均付加モル数であって、1〜50の値であり、POとEOとの質量比(PO/EO)は1/5〜5/1であって、BOは炭素数4のオキシアルキレン基であり、そしてpはBOの平均付加モル数であって、0.5〜5の値である)であり、該メイクアップ化粧料中に、該アルキレンオキシド誘導体(a)が0.1〜30質量%、そして該着色顔料(b)が0.1〜30質量%の割合で含有される。
【0011】
なお、BOで表される炭素数4のオキシアルキレン基とは、オキシブチレン基、オキシイソブチレン基および/またはオキシテトラメチレン基を意味する。
【発明の効果】
【0012】
本発明のメイクアップ化粧料は、使用時に必要な量を容易に取ることができ、延展性および付着性が良好であり、色ムラ、色浮き、色分かれなどを抑えることによってきれいに仕上げることができ、化粧崩れが長時間抑制されるために化粧もちがよく、かつ肌荒れを防止する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明のメイクアップ化粧料は、下記のアルキレンオキシド誘導体(a)(以下、化合物a、a成分などという場合がある)および着色顔料(b)(以下、化合物b、b成分などという場合がある)を含み、必要に応じて添加剤および水などの溶剤を含む。以下、これらについて順次説明する。
【0014】
(アルキレンオキシド誘導体(a))
本発明のメイクアップ化粧料に用いられるアルキレンオキシド誘導体(a)は、グリセリンにプロピレンオキシドおよびエチレンオキシドをそれぞれグリセリンに対して3〜150モル当量の割合で付加させた後に、炭素数4のアルキレンオキシドをグリセリンに対して1.5〜15モル当量の割合で付加させて得られる。すなわち、グリセリン誘導体(a)は、いったん、POとEOとの付加物を合成した後、炭素数4のアルキレンオキシドをブロック状で付加することにより得られる。
【0015】
プロピレンオキシド(PO)およびエチレンオキシド(EO)の質量比(PO/EO)は1/5〜5/1であり、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドの付加形態は、ランダム状でもブロック状でもよい。より優れた肌荒れ防止効果を得るためには、ランダム状で付加することが好ましい。プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドの質量比(PO/EO)が1/5未満の場合、仕上がりが不良となり、化粧持ち(持続性)が弱くなる。5/1を超える場合、延展性および肌荒れ防止効果が弱くなる。
【0016】
プロピレンオキシド(PO)およびエチレンオキシド(EO)の平均付加モル数は、それぞれ1〜50の範囲にあることが好ましい。POおよびEOの平均付加モル数が1未満であれば、延展性、付着性および肌荒れ防止効果が弱くなり、さらに色ムラ、色浮き、色分かれなどを生じやすくなり仕上がりが不良となる。平均付加モル数が50を超えると、延展性および付着性が弱くなる。
【0017】
炭素数4のアルキレンオキシド(BO)の平均付加モル数は、0.5〜5の範囲にあることが好ましい。BOの平均付加モル数が0.5未満であれば、肌荒れ防止効果が弱くなり、さらに色ムラ、色浮き、色分かれなどを生じやすくなり仕上がりが不良となる。平均付加モル数が5を超えると、延展性および付着性が弱くなる。
【0018】
炭素数4のアルキレンオキシドとしては、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、テトラメチレンオキシド(テトラヒドロフラン)などが挙げられる。これらの中で、入手の容易さ、反応制御の容易さなどの点から、1,2−ブチレンオキシドが好ましい。
【0019】
グリセリンにこれらのアルキレンオキシドを付加させる場合、アルカリ触媒、相関移動触媒、ルイス酸触媒などを用いて付加反応を行う。一般的には、水酸化カリウムなどのアルカリ触媒を用いることが好ましい。
【0020】
(着色顔料(b))
本発明のメイクアップ化粧料に用いられる着色顔料(b)は、メイクアップ化粧料の着色を目的として使用される水に不溶性の粉末である。着色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛などの無機白色顔料;赤色酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄などの無機赤色系顔料;γ−酸化鉄などの無機褐色系顔料;黄色酸化鉄、黄土などの無機黄色系顔料;黒色酸化鉄、カーボンブラックなどの無機黒色系顔料;マンゴバイオレット、コバルトバイオレットなどの無機紫色系顔料;酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルトなどの無機緑色系顔料;群青、紺青などの無機青色系顔料;酸化チタン被覆雲母、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、着色酸化チタン被覆雲母などのパール顔料;アルミニウムパウダー、カッパーパウダーなどの金属粉末顔料;赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、青色404号などの有機顔料;赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号、青色1号などのジルコニウム、バリウムまたはアルミニウムのニウムレーキなどの有機顔料;クロロフィル、β−カロチン、炭などの天然色素が挙げられる。これらの中で、被覆力、付着性などの点から、無機顔料が好ましい。
【0021】
(添加剤)
本発明のメイクアップ化粧料に含まれ得る添加剤は、本発明の効果を阻害しない範囲内でメイクアップ化粧料に含有させることができる。添加剤としては、例えば、タルク、カオリン、セリサイト、雲母、バーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、珪ソウ土、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸バリウム、珪酸ストロンチウム、硫酸バリウム、タングステン酸金属塩、シリカ、ゼオライト、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素、セラミックスパウダーなどの無機粉末;結晶セルロース、金属石ケン、ポリエチレン粉末、ポリ四フッ化エチレン粉末などの有機粉末;エタノール、イソプロピルアルコールなどの低級アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ソルビトール、マルチトールなどの多価アルコール類;カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム、ヒアルロン酸などの水溶性高分子化合物;流動パラフィン、流動イソパラフィン、スクワラン、ワセリン、固形パラフィンなどの炭化水素系油;ホホバ油、オリーブ油、ヒマシ油、ひまわり油など天然油脂類;トリ2−エチルヘキサン酸グリセリルなどの合成トリグリセライド;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、オレイン酸エチル、オレイン酸オレイル、ミリスチン酸オクチルドデシルなどのエステル油;ミツロウ、カルナバロウなどのロウ類;直鎖および環状のジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン、アミノ変性ジメチルポリシロキサンなどのシリコーン誘導体;セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコールなどの高級アルコール;タンパク誘導体、ラノリン、ラノリン誘導体、レシチンなどのその他油性成分;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、グリセリンモノ脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド、アルカノールアミドなどの非イオン性界面活性剤;石ケン、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アシルメチルタウリン塩、アシルグルタミン酸塩、アシルグリシン塩、アシルザルコシン塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アミドエーテル硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩などの陰イオン性;アルキルベタイン、アミドプロピルベタイン、アミドアミノ酸塩、アルキルイミノジ酢酸塩などの両性界面活性剤;アルキルアミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルアミンオキシドなどの半極性界面活性剤;塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウムなどの陽イオン性界面活性剤;アルキルアミンおよびアミドアミンの塩酸塩、酢酸塩などの有機アミンの塩類;pH調整剤としての酸およびアルカリ;殺菌剤;キレート剤;抗酸化剤;紫外線吸収剤;動植物由来の天然エキス;色素;香料などが挙げられる。
【0022】
(メイクアップ化粧料)
本発明のメイクアップ化粧料は、上述のように、アルキレンオキシド誘導体(a成分)および着色顔料(b成分)を特定の割合で含み、必要に応じて添加剤、溶剤(例えば水)などを含む。
【0023】
a成分は、メイクアップ化粧料に0.1〜30質量%、好ましくは0.2〜25質量%、さらに好ましくは0.5〜20質量%の割合で含まれる。0.1質量%未満の場合は、使用時の必要量の取り易さおよび延展性に問題が生じ、さらに、色ムラ、色浮きおよび色分かれ抑制効果、化粧崩れ抑制効果および肌荒れ防止効果が弱くなる。30質量%を超える場合は、延展性および付着性に問題が生じ、さらに化粧料の経時安定性が不良となる場合がある。a成分は単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0024】
b成分は、メイクアップ化粧料に0.1〜30質量%、好ましくは0.2〜25質量%、さらに好ましくは0.5〜20質量%の割合で含まれる。0.1質量%未満の場合は、付着性が弱くなり、さらに隠蔽性に問題が生じ仕上がりがきれいになり難い。30質量%を超える場合は、使用時の必要量の取り易さおよび延展性に問題が生じ、さらに肌荒れ防止効果が弱くなる。b成分は単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【実施例】
【0025】
次に実施例によって、本発明をさらに詳細に説明する。
【0026】
(合成例1)ポリオキシブチレン(BO)(5モル)ポリオキシエチレン(EO)(10モル)ポリオキシプロピレン(PO)(10モル)グリセリンエーテル(EOとPOとのランダム付加物)の合成
グリセリン92gと触媒としての水酸化カリウム6gとをオートクレーブ容器中に仕込んだ。容器内の空気を乾燥窒素で置換した後、撹拌しながら140℃で触媒を完全に溶解した。次いで、滴下装置でエチレンオキシド440gとプロピレンオキシド580gとの混合物を容器中に滴下し、2時間撹拌した。次いで、ブチレンオキシド360gを容器中に滴下し、さらに2時間撹拌し反応させた。反応後、容器から反応物を採取し、塩酸でpH6.5に調整した。次いで、水分を除去するために0.095MPa(ゲージ圧)まで減圧して、100℃で1時間処理した。次いで、塩を除去するためにろ過して目的の化合物a1を得た。
【0027】
(合成例2および3)
POおよびEOの平均付加モル数を変えた以外は合成例1と同様にして、a成分として化合物a2および化合物a3を合成した。化合物a1〜化合物a3の組成を表1に示す。
【0028】
【表1】

【0029】
(実施例1)
a成分として上記の方法により合成した化合物a1を10質量%、b成分として後述する表3に記載の着色顔料(二酸化チタン、赤色酸化鉄(ベンガラ)、黄色酸化鉄および黒色酸化鉄)を合計で6.5質量%、表2に示す共通添加成分Aを35.8質量%、および精製水を47.7質量%の割合で配合し、メイクアップ化粧料(O/W乳化型リキッドファンデーション)を調製した。
【0030】
【表2】

【0031】
調製した化粧料について、(1)使用時ののび(延展性)、(2)肌へのつき(付着性)、(3)化粧の仕上がり、(4)化粧もち(持続性)、および(5)肌荒れ防止効果について、下記の方法によって評価を行った。
【0032】
(1)使用時ののび(延展性)
20名の女性(21〜37歳)をパネラーとして、化粧料を使用してもらい、使用時の化粧料ののびについて、下記の基準で判定してもらった。
2点:使用時に化粧料ののびが良いと感じた場合。
1点:使用時に化粧料ののびがやや悪いと感じた場合。
0点:使用時に化粧料ののびが悪いと感じた場合。
20名の合計点を求め、以下のように評価した。
○:合計点が30点以上(使用時ののびが良好な化粧料)
×:合計点が30点未満(使用時ののびが悪い化粧料)
【0033】
(2)肌へのつき(付着性)
20名の女性(21〜37歳)をパネラーとして、化粧料を使用してもらい、使用時の化粧料の肌へのつきについて、下記の基準で判定してもらった。
2点:肌へのつきが良いと感じた場合。
1点:肌へのつきがやや悪いと感じた場合。
0点:肌へのつきが悪いと感じた場合。
20名の合計点を求め、以下のように評価した。
○:合計点が30点以上(肌へのつきが良好な化粧料)
×:合計点が30点未満(肌へのつきが悪い化粧料)
【0034】
(3)化粧の仕上がり
20名の女性(21〜37歳)をパネラーとして、化粧料を使用してもらい、使用後の仕上がりについて、下記の基準で判定してもらった。
2点:色ムラ、色浮きなどがなく、仕上がりが良いと感じた場合。
1点:やや色ムラ、色浮きなどがあり、仕上がりがやや悪いと感じた場合。
0点:色ムラ、色浮きなどがあり、仕上がりが悪いと感じた場合。
20名の合計点を求め、以下のように評価した。
○:合計点が30点以上(仕上がりが良好な化粧料)
×:合計点が30点未満(仕上がりが悪い化粧料)
【0035】
(4)化粧もち(持続性)
20名の女性(21〜37歳)をパネラーとして、化粧料を使用してもらい、4時間後の肌の状態について、下記の基準で判定してもらった。
2点:色浮きがなく、化粧崩れが生じていないと感じた場合。
1点:やや色浮きがあり、やや化粧崩れが生じていると感じた場合。
0点:明らかに化粧崩れが生じていると感じた場合。
20名の合計点を求め、以下のように評価した。
○:合計点が30点以上(化粧もちが良好な化粧料)
×:合計点が30点未満(化粧もちが悪い化粧料)
【0036】
(5)肌荒れ防止効果
敏感肌の女性10名(25〜37歳)をパネラーとして、化粧料を3日間連続で使用してもらい、3日後の肌の状態について、下記の基準で判定してもらった。
2点:肌荒れがまったく生じなかった場合。
1点:やや肌がかさかさして、やや荒れ気味であると感じた場合。
0点:肌荒れが生じた場合。
10名の合計点を求め、以下のように評価した。
○:合計点が15点以上(肌荒れ防止効果を有する化粧料)
×:合計点が15点未満(肌荒れ防止効果がない化粧料)
【0037】
結果を表3に示す。
【0038】
(実施例2および3)
実施例1と同様にして、表3に示す各成分を表3に示す割合で配合した。得られたメイクアップ化粧料(O/W乳化型リキッドファンデーション)について、実施例1と同様にして、上記(1)〜(5)の評価を行った。結果を表3に示す。
【0039】
(比較例1〜3)
比較例1では、a成分のアルキレンオキシド誘導体を用いず、比較例2ではa成分の代わりにポリエチレングリコール4000を、そして比較例3ではa成分とは異なるアルキレンオキシド誘導体(化合物a’)を用いた以外は、実施例1と同様にして、表3に示す各成分を表3に示す割合で配合した。得られたメイクアップ化粧料(O/W乳化型リキッドファンデーション)について、実施例1と同様にして、上記(1)〜(5)の評価を行った。結果を表3に示す。
【0040】
【表3】

【0041】
本発明のメイクアップ化粧料(O/W乳化型リキッドファンデーション)は、延展性および付着性が良好であり、色ムラ、色浮き、色分かれなどを抑えることによってきれいに仕上げることができ、化粧崩れが長時間抑制されるために化粧もち(持続性)がよく、かつ肌荒れを防止できた。
【0042】
一方、比較例1〜3では、十分な性能が得られなかった。比較例1では、a成分が含まれていないため、そして比較例2および3ではa成分の代わりにポリエチレングリコール4000およびa成分とは異なるアルキレンオキシド誘導体(化合物a’)が含まれているため、延展性および化粧もちが悪く、化粧の仕上がりが不十分であり、さらに肌荒れ防止効果も弱くなっていた。
【0043】
(実施例4)
a成分として上記の方法により合成した化合物a1を1質量%、b成分として後述する表5に記載の着色顔料(二酸化チタン、酸化チタン被覆雲母、赤色酸化鉄(ベンガラ)、黄色酸化鉄および黒色酸化鉄)を合計で16.1質量%、セリサイトを3.7質量%、および表4に示す共通添加成分Bを79.2質量%の割合で配合し、メイクアップ化粧料(パウダリーファンデーション)を調製した。
【0044】
【表4】

【0045】
調製した化粧料について、上記(1)〜(5)の評価、および(6)化粧料の取り易さについて、下記の方法によって評価を行った。
【0046】
(6)化粧料の取り易さ
20名の女性(21〜37歳)をパネラーとして、化粧料の取り易さについて、下記の基準で判定してもらった。
2点:一回で必要量の化粧料を取ることができ、取りやすいと感じた場合。
1点:化粧料をやや取りにくいと感じた場合。
0点:明らかに化粧料を取りにくいと感じた場合。
20名の合計点を求め、以下のように評価した。
○:合計点が30点以上(使用時に取り易い化粧料)
×:合計点が30点未満(使用時に取りにくい化粧料)
【0047】
結果を表5に示す。
【0048】
(実施例5および6)
実施例4と同様にして、表5に示す各成分を表5に示す割合で配合した。得られたメイクアップ化粧料(パウダリーファンデーション)について、実施例4と同様にして、上記(1)〜(6)の評価を行った。結果を表5に示す。
【0049】
(比較例4〜6)
比較例4では、a成分のアルキレンオキシド誘導体を用いず、比較例5ではa成分の代わりにポリエチレングリコール4000を、そして比較例6ではa成分とは異なるアルキレンオキシド誘導体(化合物a’)を用いた以外は、実施例1と同様にして、表5に示す各成分を表5に示す割合で配合した。得られたメイクアップ化粧料(パウダリーファンデーション)について、実施例4と同様にして、上記(1)〜(6)の評価を行った。結果を表5に示す。
【0050】
【表5】

【0051】
本発明のメイクアップ化粧料(パウダリーファンデーション)は、延展性および付着性が良好であり、色ムラ、色浮き、色分かれなどを抑えることによってきれいに仕上げることができ、化粧崩れが長時間抑制されるために化粧もちがよく、かつ肌荒れを防止できた。さらに、使用時に必要な量が取り易かった。
【0052】
一方、比較例4〜6では、十分な性能が得られなかった。比較例4では、a成分が含まれていないため、そして比較例5および6ではa成分の代わりにポリエチレングリコール4000およびa成分とは異なるアルキレンオキシド誘導体(化合物a’)が含まれているため、延展性および付着性が悪く、化粧の仕上がりが不十分であり、持続性および肌荒れ防止効果も弱く、使用時に必要な量も取り難かった。
【0053】
(実施例7)
表6に示す各成分を表6に示す割合で配合し、メイクアップ化粧料(油性ファンデーション)を調製した。調製した油性ファンデーションについて、実施例4と同様にして、上記(1)〜(6)の評価を行った。結果を表6に示す。
【0054】
【表6】

【0055】
本発明のメイクアップ化粧料(油性ファンデーション)は、延展性および付着性が良好であり、色ムラ、色浮き、色分かれなどを抑えることによってきれいに仕上げることができ、化粧崩れが長時間抑制されるために化粧もちがよく、かつ肌荒れを防止できた。さらに、使用時に必要な量が取り易かった。
【0056】
(実施例8)
表7に示す各成分を表7に示す割合で配合し、メイクアップ化粧料(口紅)を調製した。調製した口紅について、実施例1と同様にして、上記(1)〜(5)の評価を行った。結果を表7に示す。
【0057】
【表7】

【0058】
本発明のメイクアップ化粧料(口紅)は、延展性および付着性が良好であり、色ムラ、色浮き、色分かれなどを抑えることによってきれいに仕上げることができ、化粧崩れが長時間抑制されるために化粧もちがよく、かつ肌荒れを防止できた。
【0059】
(実施例9)
表8に示す各成分を表8に示す割合で配合し、メイクアップ化粧料(アイシャドー)を調製した。調製したアイシャドーについて、実施例1と同様にして、上記(1)〜(5)の評価を行った。結果を表8に示す。
【0060】
【表8】

【0061】
本発明のメイクアップ化粧料(アイシャドー)は、延展性および付着性が良好であり、色ムラ、色浮き、色分かれなどを抑えることによってきれいに仕上げることができ、化粧崩れが長時間抑制されるために化粧もちがよく、かつ肌荒れを防止できた。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明のメイクアップ化粧料は、使用時に必要な量を容易に取ることができ、延展性および付着性が良好であり、色ムラ、色浮き、色分かれなどを抑えることによってきれいに仕上げることができ、化粧崩れが長時間抑制されるために化粧もちがよく、かつ肌荒れを防止し得るので、ファンデーション、口紅、アイシャドーなどの化粧料に利用し得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルキレンオキシド誘導体(a)および着色顔料(b)を含むメイクアップ化粧料であって、
該アルキレンオキシド誘導体(a)が、式(I)で示される誘導体:
Gly−[O(PO)(EO)−(BO)H] (I)
(式中、Glyはグリセリンから水酸基を除いた残基、POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基であり、そしてmおよびnはそれぞれPOおよびEOの平均付加モル数であって、1〜50の値であり、POとEOとの質量比(PO/EO)は1/5〜5/1であって、BOは炭素数4のオキシアルキレン基であり、そしてpはBOの平均付加モル数であって、0.5〜5の値である)であり、
該メイクアップ化粧料中に、該アルキレンオキシド誘導体(a)が0.1〜30質量%、そして該着色顔料(b)が0.1〜30質量%の割合で含有される、メイクアップ化粧料。

【公開番号】特開2006−225324(P2006−225324A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−41302(P2005−41302)
【出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(000004341)日本油脂株式会社 (896)
【Fターム(参考)】