説明

メイクアップ化粧料

【課題】化粧料において、顔がリフトアップして若々しく見せるメイクアップ効果を有する化粧料を提供すること。
【解決手段】薄片状基質表面上に酸化チタンを含有する金属酸化物被覆層が形成されて成るパール顔料の表面を、粒子径200〜400nmの球状有機粉体で全量の2.0〜10.0重量%被覆した複合粉体をメイクアップ化粧料へ含有させ、それを塗布することによって、顔全体を明るくしながら、顔の凸の部分はより輝かせ、顔の周りの部分は相対的に明るさが低く見えて顔が膨張して見えることなく、リフトアップした、若々しい印象を得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たるみを隠して若々しい印象をつくり上げる機能を有した複合粉体を含有するメイクアップ化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、メイクアップ化粧料には、肌のシミ、ソバカス、色ムラ、くすみ、毛穴の目立ち、シワ等を隠し、肌を奇麗に見せたり、質感を変えたりする機能がある。しかし、高齢化社会を迎え、これらの機能に加えて、加齢に伴う顔や肌のたるみ、シワ等を隠して若々しい印象の顔に見せる機能もこれからの時代は重要になってくると考えられる。
【0003】
このうち、たるみを隠して若々しい印象を与えるためには、顔に立体感を与えることが重要である。そのために、顔を上下に分け、上部と下部で色調の異なるファンデーションを用いて、上部のメイクアップ化粧料の明度が下部のものよりも高くなるように塗布して陰影をつけ、フェイスラインをすっきり見せる方法(特許文献1)、低次酸化チタンで着色された干渉色を有さない雲母チタン系顔料を配合した下地化粧料を塗布してからファンデーションを重ねることで、フェイスラインや鼻筋をすっきり見せ立体感を上げる方法(特許文献2)、微細なパール顔料と球状樹脂粉末を最適な量と最適な混合比でファンデーションや化粧下地へ配合する方法(特許文献3)等が示されている。
【0004】
しかし、特許文献1のような顔の場所によって塗り分ける方法では、化粧塗膜の微妙な境目が気になり、自然な仕上がりとは言い難く、また、特許文献2の方法では、メイクアップ化粧品を組み合わせて使用しているためメイクのテクニックが必要となり、簡便にリフトアップした印象に仕上げるのは難しい。さらに、特許文献3の様な方法では、パール顔料の光の正反射と球状樹脂粉末の光の拡散反射が、互いの光の特性を相殺し合って、十分に若々しい印象を与えるものではなかった。
【0005】
さらに、小鼻から口元あたりの頬の下部において、顔のたるみによって影が発現し、この影たるみを認識させているとして、この影を消して若返ったように見せるレフ板のような効果を持った複合粉末も特許文献4に紹介されている。
【0006】
しかしながら、この複合粉末の利用では、複合化によって母体の雲母チタンの明るさが大きく低下していたり、また、実際に顔の影が少なくなっているものの、逆に、顔が膨張しているように見え太った印象を与えてしまっていた。
【0007】
また、肌のシワや毛穴の目立ち等は、特許文献5のようにアクリル樹脂の球状微細粒子を薄片状パール顔料に40〜60重量%の濃度で被覆した複合粉体により、パール顔料のつやを抑えて、均一な乱反射の強度をコントロールすることがおこなわれているが、肌の自然さや透明感はあるものの、やはり、顔から反射してくる光が広がるために顔がぼやけた印象で太ったように見える傾向があり、肌のたるみを逆に強調してしまっていた。
【0008】
以上の状況から、加齢に伴う顔や肌のたるみやシワ等を隠して、若々しい印象の顔に見せる機能を有するメイクアップ化粧料の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−208428号公報
【特許文献2】特開平5−43417号公報
【特許文献3】特開平2005−97218号公報
【特許文献4】特開2003−342127号公報
【特許文献5】特開平9−48707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の目的は、顔がリフトアップして若々しく見せるメイクアップ効果を有する化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる実情において、本発明者らは鋭意研究を行った結果、薄片状基質表面上に酸化チタンを含有する金属酸化物被覆層が形成されて成るパール顔料の表面を、粒子径200〜400nmの球状有機粉体で全量の2.0〜10.0重量%被覆した複合粉体をメイクアップ化粧料へ含有させ、それを塗布することによって、簡単に顔がリフトアップしたように見えて若々しい印象になることを見出し、本発明を完成した。
【0012】
すなわち、可視光の波長領域の低波長側やそれよりも短い波長に相当する粒子径を持つ球状有機粉体を、パール顔料の表面に適度な隙間ができるような濃度で被覆した複合粉体であれば、被覆によるパール顔料の明るさの低下を抑え、明るさを保ったまま光を拡散させることなく逆に正反射を強める特性を示し、さらにこの複合粉体をメイクアップ化粧料に用いれば、顔全体を明るくしながら、顔の凸の部分はより輝かせ、顔の周りの部分は相対的に明るさが低く見えて顔が膨張して見えることなく、リフトアップした、若々しい印象を得られることを見出した。
【0013】
言い換えると、本発明で目指した複合粉体の機能は、(1)拡散光を無くしてより相対的に正反射を高めることにより顔の凸部に光を演出的に集めてリフトアップしたように見せる、これに対し、従来正反射を高めると影となりやすいと言われているシワや毛穴の目立ちを抑えるために、影の部分も明るい光でキメ細かく覆い尽くしてしまおうとする考え方から、(2)パール顔料の複合化による明るさの低下を抑えて顔全体の明るさを損なわない、といったものである。
【0014】
本発明での、薄片状基質表面上に酸化チタンを主成分とする金属酸化物被覆層が形成されて成るパール顔料とは、粒子径が1〜150μm、厚みが5μm以下、好ましくは1μm以下のマイカ、合成マイカ、ガラスフレーク等の薄片状基質表面に、ルチル型やアナターゼ型等の結晶形を有する酸化チタンが均一に被覆された、真珠光沢を有する顔料である。また、被覆する酸化チタン層の厚みを変えて干渉色を与えるものや、酸化チタンの一部を酸化鉄に換えて被覆したり、無水ケイ酸等をさらに重ねて被覆したものも、本発明でのパール顔料である。
【0015】
このパール顔料は強い光沢を発する粉体であり、顔を明るく見せる効果を有するが、粒子径の大きなパール顔料では、肌の上で疎らに光り、肌が不均一で粗く見えてしまう。それ故、均一な塗膜で肌のキメが整っているように明るく見せるには、粒子の細かなパール顔料が、本発明の被覆される母粉体として好ましく、パール顔料の粒子径が60μm以下のものが中でも良く、例えば市販品として、アルティミカSB−100、アルティミカSD−100、TIMIRON STARLUSTER MP−115、TIMIRON SUPERSHEEN MP−1001、TIMIRON SUPERSILK MP−1005、TIMIRON SUPER GOLD、TIMIRON SPLENDID GOLD、XIRONA VOLCANIC FIRE、TIMIRON FINE GOLD MP−20、COLORONA RED GOLD、COLORONA BRIGHT GOLD、TIMICA EXTRA BRIGHT、FLAMENCO SATIN PEARL、FLAMENCO ULTRA SILK、FLAMENCO SATINA、FLAMENCO VELVET、FLAMENCO ULTRA FINE、FLAMENCO PEARL、FLAMENCO SUPER PEARL、FLAMENCO GOLD、FLAMENCO ORANGE、FLAMENCO SATIN GOLD、FLAMENCO SATIN ORANGE、FLAMENCO SUMMIT GOLD、CLOISONNE GOLD、CLOISONNE COPPER、CLOISONNE SATIN COPPER、CLOISONNE SATIN GOLD、CLOISONNE NU−ANTIQUE GOLD、DUOCROME YG、DUOCROME YR、GEMTONE TAN OPAL等があり、明るさを損なわないよう色調を合わせ、これらパール顔料のシリーズを、1種又は2種以上を用いることができる。
【0016】
本発明での球状有機粉体とは、例えば、セルロース等の有機天然物からなる球状粒子と、ポリエチレン、ナイロン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリスチレン、メチルシロキサン網状重合体等の有機合成物を素材とする球状のポリマー粒子である。また、後者の有機合成による球状粉体は、これら有機合成物の単一重合物又は2種以上の共重合物、さらには、異なる有機合成物が2層以上に重なり合ったコアシェル構造の粉体である。本発明では、これら球状有機粉体を、1種又は2種以上用いることができる。
【0017】
本発明では、顔全体を明るくしながら顔の凸の部分をより輝かせるために、粉体の複合化は、被覆によるパール顔料の明るさの低下を抑えながら、光を拡散させることなく逆に正反射を強めることを目的としたので、球状有機粉体の粒子径としては、用いるパール顔料の平均長径も考慮しながら、光が散乱や遮光されにくい可視光の波長よりも若干短い波長に相当する200〜400nmのものを用いる。
【0018】
本発明での球状有機粉体の被覆量は、反射特性を変化させることができ、パールの明るさを損なわないことを考慮して、2.0〜10.0重量%である。
【0019】
本発明では、球状有機粉体として市販のものを使用できるが、所望の粒子径を得ることを考慮すれば、乳化重合等で粒子径を制御しやすい、ポリスチレン系の樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系の樹脂、或いはこれら2種以上の共重合体又はコアシェル構造の粉体を用いた方が良い。特に、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチルクロスポリマー、アクリレーツクロスポリマー、アクリレーツコポリマー、(スチレン/DVB)コポリマー(DVB:ジビニルベンゼン)が、様々な粒子径に制御しやすく、粉体やエマルション様に水等に分散した分散物としても市販されているものが多い。
【0020】
本発明でのパール顔料を球状有機粉体で被覆した複合粉体の製造方法は、(1)パール顔料と球状有機粉体を一定の構成比率で混合し、アルコール水溶液中でスラリー化したあと、約100℃でスプレードライする方法、(2)所望の球状有機粉体をアルコール水溶液に均一に分散した後、パール顔料を加えてスラリー化し、同様にスプレードライする方法、(3)エマルション様の球状有機粉体の分散体を水中へ均一に分散させた後、パール顔料を加えてさらに分散し、同様にスプレードライする方法、(4)球状有機粉体を少量の界面活性剤とともに水中へ均一に分散させた後、パール顔料を加えてさらに分散し、硫酸アルミニウムやポリ塩化アルミニウム等の凝集剤を少量加えて、ろ過、洗浄を行い乾燥する方法、(5)エマルション様の球状有機粉体の分散体を水中へ均一に分散させた後、パール顔料を加えてさらに分散し、硫酸アルミニウムやポリ塩化アルミニウム等の凝集剤を少量加えて、ろ過、洗浄を行い乾燥する方法、等であるが、球状有機粉体がパール顔料に固定化されれば特には限定されない。
【0021】
得られた複合粉体は、撥水性や撥油性を付与するために、金属石鹸処理、シリコーン処理、含フッ素化合物処理、アミノ酸処理等、各種表面処理を行って化粧品に配合しても良い。なお、これら処理は1種又は2種以上組み合わせて用いても構わない。
【0022】
本発明は、上述の複合粉体を含有するメイクアップ化粧料であるが、具体的には、化粧下地、パウダーファンデーション、クリームファンデーション、リキッドファンデーション、油性固型ファンデーション、乳化型固型ファンデーション、フェイスパウダー、コンシーラー、コントロールカラー、チークカラー、アイシャドウ等の化粧料である。
【0023】
また、これらのメイクアップ化粧料に配合する複合粉体の量としては、特に限定しないが、顔全体を明るくしながら、顔の凸の部分はより輝かせ、顔の周りの部分は相対的に明るさが低く見えて顔が膨張して見えることなく、リフトアップした、若々しい印象を得られるようにするためには0.5〜15.0重量%が好ましい。特に、より意識的に明るくしながら、頬が上がったように見せるならば1.0重量%以上が良い。15.0重量%を超えて配合した場合は、光沢が強すぎる傾向があり金属的な肌に見える場合がある。
【0024】
本発明の化粧料には、前述の複合粉体の他に、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、通常の化粧料に配合される成分である水、油脂、ロウ類、炭化水素、脂肪酸、アルコール、アルキルグリセリルエーテル、エステル、シリコーン油、フッ素油、多価アルコール、糖類、高分子、界面活性剤、保湿剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、酸化防止剤、金属イオン封鎖剤、殺菌・防腐剤、染料、香料、色素、可塑剤、有機溶媒、薬剤、動植物抽出物、パール顔料、表面処理粉体、複合顔料、アミノ酸及びペプチド、ビタミン等を適宜配合することができるが、特にこれらに限定されるものではない。
【発明の効果】
【0025】
本発明のメイクアップ化粧料により、顔全体を明るくしながら、顔の凸の部分はより輝かせ、リフトアップした、若々しい印象を得られる。また、配合した複合粉体は、拡散光を抑え、正反射を強めた粉体であるので、この複合の考え方は、光反射の方向を限定する手法として他分野にも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、ミズパールK−300とTIMIRON SUPERSHEEN MP−1001の反射光強度の角度依存性を示した説明図である。
【図2】図2はミズパールK−300配合及び未配合の化粧下地を塗布したドールの様子を示した説明図である。
【図3】図3はTIMIRON SUPERSHEEN MP−1001配合及び未配合の化粧下地を塗布したドールの様子を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、複合粉体例、実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0028】
複合粉体1(2.5重量%100nmアクリレーツコポリマー/粒子径5.0〜25.0μmパール顔料)
球状有機粉体としてのアクリレーツコポリマー30g(平均粒子径約100nm、コアシェルタイプ)、イオン交換水70g、ラウリル硫酸ナトリウム0.5gを混合し、超音波にて1時間分散させた。その後、これとは別に、イオン交換水100gに9.75gのパール顔料(メルク社製TIMIRON SUPERSHEEN MP−1001、厚み0.15〜0.30μm電子顕微鏡実測値)を分散させたスラリーへ、このエマルション様の分散物0.83gを加え超音波分散を約5分間行った。そこへ、マグネティックスターラーにて撹拌しながら市販のポリ塩化アルミニウム水溶液を適量加えてさらに撹拌を約10分間続け、引き続きろ過と水洗浄を行い、乾燥後、複合粉体を得た。
【0029】
複合粉体2(2.5重量%300nmメタクリル酸メチルクロスポリマー/粒子径5.0〜25.0μmパール顔料)
イオン交換水450gに0.01gのラウリル硫酸ナトリウムを溶解し、平均粒子径300nmの球状有機粉体であるメタクリル酸メチルクロスポリマー1.25gを約5分間超音波分散させた。その後、48.75gのパール顔料(メルク社製TIMIRON SUPERSHEEN MP−1001、厚み0.15〜0.30μm電子顕微鏡実測値)を加えて約5分間超音波分散した後、マグネティックスターラーにて撹拌しながら市販のポリ塩化アルミニウム水溶液を適量加えてさらに撹拌を約10分間続け、引き続きろ過と水洗浄を行い、乾燥後、複合粉体を得た。
【0030】
複合粉体3(2.5重量%200nmメタクリル酸メチル/粒子径5.0〜25.0μmパール顔料)
イオン交換水450gに0.01gのラウリル硫酸ナトリウムを溶解し、平均粒子径300nmの球状有機粉体であるメタクリル酸メチル1.25gを約5分間超音波分散させた。その後、48.75gのパール顔料(メルク社製TIMIRON SUPERSHEEN MP−1001、厚み0.15〜0.30μm電子顕微鏡実測値)を加えて約5分間超音波分散した後、マグネティックスターラーにて撹拌しながら市販のポリ塩化アルミニウム水溶液を適量加えてさらに撹拌を約10分間続け、引き続きろ過と水洗浄を行い、乾燥後、複合粉体を得た
【0031】
複合粉体4(2.5重量%400nm(スチレン/DVB)コポリマー/粒子径5.0〜25.0μmパール顔料)
球状有機粉体としての(スチレン/DVB)コポリマー30g(平均粒子径約400nm)、イオン交換水70g、ラウリル硫酸ナトリウム0.5gを混合し、超音波にて1時間分散させた。その後、これとは別に、イオン交換水100gに9.75gのパール顔料(メルク社製TIMIRON SUPERSHEEN MP−1001、厚み0.15〜0.30μm電子顕微鏡実測値)を分散させたスラリーへ、このエマルション様の分散物0.83gを加え超音波分散を約5分間行った。そこへ、マグネティックスターラーにて撹拌しながら市販のポリ塩化アルミニウム水溶液を適量加えてさらに撹拌を約10分間続け、引き続きろ過と水洗浄を行い、乾燥後、複合粉体を得た。
【0032】
複合粉体5(2.5重量%400nmアクリレーツクロスポリマー/粒子径5.0〜25.0μmパール顔料)
球状有機粉体としてのアクリレーツクロスポリマー30g(平均粒子径約400nm)、イオン交換水70g、ラウリル硫酸ナトリウム0.5gを混合し、超音波にて1時間分散させた。その後、これとは別に、イオン交換水100gに9.75gのパール顔料(メルク社製TIMIRON SUPERSHEEN MP−1001、厚み0.15〜0.30μm電子顕微鏡実測値)を分散させたスラリーへ、このエマルション様の分散物0.83gを加え超音波分散を約5分間行った。そこへ、マグネティックスターラーにて撹拌しながら市販のポリ塩化アルミニウム水溶液を適量加えてさらに撹拌を約10分間続け、引き続きろ過と水洗浄を行い、乾燥後、複合粉体を得た。
【0033】
複合粉体6(2.5重量%500nmアクリレーツコポリマー/粒子径5.0〜25.0μmパール顔料)
球状有機粉体としてのアクリレーツコポリマー30g(平均粒子径約500nm、コアシェルタイプ)、イオン交換水70g、ラウリル硫酸ナトリウム0.5gを混合し、超音波にて1時間分散させた。その後、これとは別に、イオン交換水100gに9.75gのパール顔料(メルク社製TIMIRON SUPERSHEEN MP−1001、厚み0.15〜0.30μm電子顕微鏡実測値)を分散させたスラリーへ、このエマルション様の分散物0.83gを加え超音波分散を約5分間行った。そこへ、マグネティックスターラーにて撹拌しながら市販のポリ塩化アルミニウム水溶液を適量加えてさらに撹拌を約10分間続け、引き続きろ過と水洗浄を行い、乾燥後、複合粉体を得た。
【0034】
複合粉体7(2.5重量%1μmメタクリル酸メチルクロスポリマー/粒子径5.0〜25.0μmパール顔料)
球状有機粉体としてのメタクリル酸メチルクロスポリマー30g(平均粒子径約1μm)を、メタノール30重量%水溶液70gへ超音波にて1時間分散させた。その後、この分散物0.83g、ラウリル硫酸ナトリウム0.002g、イオン交換水90gを混合し超音波にて5分間分散し、9.75gのパール顔料(メルク社製TIMIRON SUPERSHEEN MP−1001、厚み0.15〜0.30μm電子顕微鏡実測値)を加え、さらに5分間の超音波分散を行った。そこへ、マグネティックスターラーにて撹拌しながら市販のポリ塩化アルミニウム水溶液を適量加えて撹拌を約10分間続け、引き続きろ過と水洗浄を行い、乾燥後、複合粉体を得た。
【0035】
複合粉体8(1.0重量%300nmメタクリル酸メチルクロスポリマー/粒子径10.0〜60.0μmパール顔料)
平均粒子径300nmの球状有機粉体であるメタクリル酸メチルクロスポリマー0.5gを10重量%濃度のアルコール水溶液450gへ均一に分散した後、49.5gのパール顔料(メルク社製TIMIRON STARLUSTER MP−115、厚み0.35〜0.45μm電子顕微鏡実測値)を加えてスラリー化し、約100℃でスプレードライして複合粉体を得た。
【0036】
複合粉体9(2.0重量%300nmメタクリル酸メチルクロスポリマー/粒子径10.0〜60.0μmパール顔料)
平均粒子径300nmの球状有機粉体であるメタクリル酸メチルクロスポリマー1.0gを10重量%濃度のアルコール水溶液450gへ均一に分散した後、49.0gのパール顔料(メルク社製TIMIRON STARLUSTER MP−115、厚み0.35〜0.45μm電子顕微鏡実測値)を加えてスラリー化し、約100℃でスプレードライして複合粉体を得た。
【0037】
複合粉体10(2.5重量%300nmメタクリル酸メチルクロスポリマー/粒子径10.0〜60.0μmパール顔料)
イオン交換水450gに0.01gのラウリル硫酸ナトリウムを溶解し、平均粒子径300nmの球状有機粉体であるメタクリル酸メチルクロスポリマー1.25gを約5分間超音波分散させた。その後、48.75gのパール顔料(メルク社製TIMIRON STARLUSTER MP−115、厚み0.35〜0.45μm電子顕微鏡実測値)を加えて約5分間超音波分散した後、マグネティックスターラーにて撹拌しながら市販のポリ塩化アルミニウム水溶液を適量加えてさらに撹拌を約10分間続け、引き続きろ過と水洗浄を行い、乾燥後、複合粉体を得た。
【0038】
複合粉体11(5.0重量%300nmメタクリル酸メチルクロスポリマー/粒子径10.0〜60.0μmパール顔料)
平均粒子径300nmの球状有機粉体であるメタクリル酸メチルクロスポリマー2.5gを10重量%濃度のアルコール水溶液450gへ均一に分散した後、47.5gのパール顔料(メルク社製TIMIRON STARLUSTER MP−115、厚み0.35〜0.45μm電子顕微鏡実測値)を加えてスラリー化し、約100℃でスプレードライして複合粉体を得た。
【0039】
複合粉体12(10.0重量%300nmメタクリル酸メチルクロスポリマー/粒子径10.0〜60.0μmパール顔料)
平均粒子径300nmの球状有機粉体であるメタクリル酸メチルクロスポリマー5.0gを10重量%濃度のアルコール水溶液450gへ均一に分散した後、45.0gのパール顔料(メルク社製TIMIRON STARLUSTER MP−115、厚み0.35〜0.45μm電子顕微鏡実測値)を加えてスラリー化し、約100℃でスプレードライして複合粉体を得た。
【0040】
複合粉体13(15.0重量%300nmメタクリル酸メチルクロスポリマー/粒子径10.0〜60.0μmパール顔料)
平均粒子径300nmの球状有機粉体であるメタクリル酸メチルクロスポリマー7.5gを10重量%濃度のアルコール水溶液450gへ均一に分散した後、42.5gのパール顔料(メルク社製TIMIRON STARLUSTER MP−115、厚み0.35〜0.45μm電子顕微鏡実測値)を加えてスラリー化し、約100℃でスプレードライして複合粉体を得た。
【0041】
複合粉体14(2.5重量%300nmメタクリル酸メチルクロスポリマー/粒子径4.0〜48.0μmパール顔料)
イオン交換水450gに0.01gのラウリル硫酸ナトリウムを溶解し、平均粒子径300nmの球状有機粉体であるメタクリル酸メチルクロスポリマー1.25gを約5分間超音波分散させた。その後、48.75gのパール顔料(BASF社製FLAMENCO SATINA、厚み0.70〜0.90μm電子顕微鏡実測値)を加えて約5分間超音波分散した後、マグネティックスターラーにて撹拌しながら市販のポリ塩化アルミニウム水溶液を適量加えてさらに撹拌を約10分間続け、引き続きろ過と水洗浄を行い、乾燥後、複合粉体を得た。
【0042】
複合粉体15(2.5重量%300nmメタクリル酸メチルクロスポリマー/粒子径15.0〜100.0μmパール顔料)
イオン交換水450gに0.01gのラウリル硫酸ナトリウムを溶解し、平均粒子径300nmの球状有機粉体であるメタクリル酸メチルクロスポリマー1.25gを約5分間超音波分散させた。その後、48.75gのパール顔料(日本光研工業社製GENESTAR 400、厚み0.35〜0.50μm電子顕微鏡実測値)を加えて約5分間超音波分散した後、マグネティックスターラーにて撹拌しながら市販のポリ塩化アルミニウム水溶液を適量加えてさらに撹拌を約10分間続け、引き続きろ過と水洗浄を行い、乾燥後、複合粉体を得た。
【0043】
光沢測定による複合粉体評価
顔全体を明るくしながら、顔の凸の部分はより輝かせ、顔の周りの部分は相対的に明るさが低く見えて顔が膨張して見えることなく、リフトアップした、若々しい印象を得られる化粧料を実現するために、調製した複合粉体に対して、光沢測定による光の反射特性を評価した。先ず、LENETA社製OPACITY CHARTSの黒い部分にニチバン社製両面テープ40mm幅を貼付し、化粧用チークブラシにて均一に各粉体サンプルを塗布した。塗布したサンプルを、スガ試験機社製デジタル変角光沢計にて入射角45度に固定し、各受光角における光沢強度を測定した。
【0044】
一般に、ミクロンサイズの球状の粉体や凝集体等は、粉体表面で光を乱反射して肌のしわや毛穴の目立ちを隠すといわれている。例えば、微細な無水ケイ酸の粒子が凝集した粉体である水澤化学社製ミズパールK−300を上記方法で測定してみると、その反射光強度の角度依存性は図1に示すように正反射の角度である45度を頂点とし、左右になだらかな裾野を有する丘のような形状のグラフ変化を示す。これに対し、立体感の効果を出しやすいパール顔料では、正反射が強いために、例えば、TIMIRON SUPERSHEEN MP−1001のように、正反射の角度である45度を頂点として、山状の反射曲線を示す。
【0045】
実際に、これら2つの粉体を下記処方で化粧下地に配合し(処方中検討粉体として記載)、化粧実習用のドールに半顔塗布して、外部からの光が入らないよう遮光の無彩色の布地で囲まれた観察用箱の中で、左右約45度の角度から色比較・検査用D65蛍光ランプで一定の距離にて照らして観察した。その実際の写真が図2と図3である。なお、顔の向かって右側が検討粉体を配合した化粧下地を塗布したもので、左側は検討粉体を配合せず精製水に置き換えて調製した化粧下地を塗布したものである。
(化粧下地)
成分 配合量(重量%)
(1)セスキステアリン酸メチルグルコシド 1.00
(2)ステアロイル乳酸ナトリウム 0.20
(3)硬化ナタネ油アルコール 3.50
(4)スクワラン 6.00
(5)ミリスチン酸オクチルドデシル 6.00
(6)メチルフェニルポリシロキサン 6.00
(7)マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル 2.00
(8)トリイソステアリン酸ポリグリセリル 1.00
(9)ブチルパラベン 0.10
(10)精製水 52.24
(11)合成ケイ酸ナトリウム・マグネシウム 1.00
(12)ヒドロキシエタンジホスホン酸 0.06
(13)キサンタンガム 0.20
(14)1,3−ブチレングリコール 10.00
(15)メチルパラベン 0.20
(16)ジグリセリン 5.00
(17)検討粉体 5.00
(18)メチルポリシロキサン 0.50
合計 100.00
(化粧下地調製方法)
水相成分(10)〜(13)を撹拌混合し、加熱して85℃に保つ。油相部の成分(1)〜(9)を混合し、加熱溶解して80℃とする。その後、この油相部に前述の水相部を加えて予備乳化し、ホモミキサーで均一に乳化した後、ホモミキサーを止め撹拌を続けながら、成分(15)を溶解した成分(14)〜(17)までの混合物を添加する。続いて、冷却を開始して約70℃で成分(18)を加え、さらに35℃まで冷却して化粧下地を得る。
【0046】
図2はミズパールK−300を配合した化粧下地を検討したものであるが、モニター5名で観察したところ、5名とも、向かって右側のミズパールK−300を配合した方は、肌表面から反射してくる光が拡散して、いわゆるソフトフォーカス効果が感じられるが、その反面、左側より右側の顔が膨張したように見えると評価した。これに対しTIMIRON SUPERSHEEN MP−1001を配合したものは、図3のように、MP−1001を配合した化粧下地を塗布した、向かって右側の顔において、頬の高い部分の正反射が強くて顔の周辺部とのコントラストがあり立体感があると、モニター5名が評価した。
【0047】
本発明では、この図3のTIMIRON SUPERSHEEN MP−1001のように立体感を出し、さらに、TIMIRON SUPERSHEEN MP−1001のようなパール顔料から粉体の複合化によってさらに立体感を高める、すなわち、前述したように(1)拡散光を無くしてより相対的に正反射を高めることにより顔の凸部に光を演出的に集め、(2)パール顔料の複合化による明るさの低下を抑えることを目的に検討を進めた。そのために、粉体の複合化によって反射の角度依存性を高める、すなわち、45度の入射角に対して正反射する45度の角度から外れた角度から反射してくる光の強度が相対的に低下する、さらに言い換えると、図1のような山状の反射曲線の形状から裾野が抉れた形状の反射曲線になるような複合粉体であれば、光の正反射する領域と正反射から外れた領域の光のコントラストが大きくなり、立体感を強調できてリフトアップしたように演出できると考えた。そこで、反射の角度依存性が高まったことを判断するために、前述の光沢測定の方法と同様にして、受光角45度の反射強度(I45)と65度の反射強度(I65)を測定して検討した。
【0048】
この測定した値を、先ず、被覆によって正反射そのものが大きく弱まっては効果を期待することができないので、被覆する球状有機粒子について、粒子径や被覆濃度を変えて、被覆前のI45の値と被覆後のI45の値を比較した。その結果が表1である。表1では各複合粉体の被覆前のI45に対する被覆後のI45の百分率と、光沢感の印象の結果をまとめている。光沢の印象は、光沢測定用サンプルを5人のモニターにより目視で判定し、うち3人以上が「光沢感が不足している」と判定した場合には×、2人以下であれば良好として○と判定した。
【0049】
【表1】

【0050】
この結果から、正反射光の強さを損なわせないようにするには、粒子径は細かな方から400nmまで、被覆濃度は低い濃度から10.0重量%までが適当であると判断した。
【0051】
さらに、本来の立体感効果の見極めるため、I45とI65の比、I45/I65を算出して、I45に対して相対的にI65が小さくなる、すなわち、I45/I65が複合化前のパール顔料の値よりも複合粉体の値が大きくなることを目安として評価した。その結果が表2である。表2では、このI45/I65値において、元のパール顔料の値と比較して次のように判断した。
I45/I65値が元のパール顔料の値に対して110%よりも大きい:A
I45/I65値が元のパール顔料の値に対して105%よりも大きく110%以下:B
I45/I65値が元のパール顔料の値に対して100%よりも大きく105%以下:C
I45/I65値が元のパール顔料の値に対して100%以下:D
【0052】
このI45/I65値の評価と同時に、メイクアップ化粧料へ複合粉体を配合した場合の効果を見極めるため、次のようにメイクアップ化粧料としての化粧下地を調製した。
【0053】
複合粉体1を、前述の化粧下地処方中の成分(17)検討粉体として化粧下地を調製したものを比較例1とした。
【実施例1】
【0054】
複合粉体2を、前述の化粧下地処方中の成分(17)検討粉体として化粧下地を調製したものを実施例1とした。
【実施例2】
【0055】
複合粉体3を、前述の化粧下地処方中の成分(17)検討粉体として化粧下地を調製したものを実施例2とした。
【実施例3】
【0056】
複合粉体4を、前述の化粧下地処方中の成分(17)検討粉体として化粧下地を調製したものを実施例3とした。
【実施例4】
【0057】
複合粉体5を、前述の化粧下地処方中の成分(17)検討粉体として化粧下地を調製したものを実施例4とした。
【0058】
複合粉体8を、前述の化粧下地処方中の成分(17)検討粉体として化粧下地を調製したものを比較例2とした。
【実施例5】
【0059】
複合粉体9を、前述の化粧下地処方中の成分(17)検討粉体として化粧下地を調製したものを実施例5とした。
【実施例6】
【0060】
複合粉体10を、前述の化粧下地処方中の成分(17)検討粉体として化粧下地を調製したものを実施例6とした。
【実施例7】
【0061】
複合粉体11を、前述の化粧下地処方中の成分(17)検討粉体として化粧下地を調製したものを実施例7とした。
【実施例8】
【0062】
複合粉体12を、前述の化粧下地処方中の成分(17)検討粉体として化粧下地を調製したものを実施例8とした。
【実施例9】
【0063】
複合粉体14を、前述の化粧下地処方中の成分(17)検討粉体として化粧下地を調製したものを実施例9とした。
【実施例10】
【0064】
複合粉体15を、前述の化粧下地処方中の成分(17)検討粉体として化粧下地を調製したものを実施例10とした。
【0065】
また、複合粉体2で用いた、平均粒子径300nmのメタクリル酸メチルクロスポリマー1.25gと48.75gのパール顔料(メルク社製TIMIRON SUPERSHEEN MP−1001)を単純に混合した混合物を、前述の化粧下地処方中の成分(17)検討粉体として化粧下地を調製したものを比較例3とした。
【0066】
表2では、先のI45/I65値の検討の結果と合わせ、ミズパールK−300やTIMIRON SUPERSHEEN MP−1001を評価した時と同様にモニター5人により評価して(ドールの向かって右側へ表2に挙げた複合粉体を配合した化粧下地を、左側へ元のパール顔料を配合した化粧下地を塗布)、元のパール顔料よりも立体感がありリフトアップしたように見えると4人以上が判断したものを良好として○、3人が見えると判断したものはほぼ良好として△、2人以下であれば不良として×とした、実施例1〜10と比較例1〜3のメイクアップ化粧料に対する評価結果も示している。
【0067】
【表2】

【0068】
表2の結果から、ほぼ、I45/I65値よる評価がA〜Cの評価になっている複合粉体を配合している化粧下地が、立体感がありリフトアップしたように見える○の評価になっている。そして、実施例1〜3、及び比較例1に示されるように、被覆物の粒子径は、100nmでは効果が期待できず、I45の反射強度低下も考慮に入れながら判断すると、200〜400nm付近の粒子径が適当であることが判る。また、被覆する濃度も、比較例2と実施例5〜8の評価から、2.0〜10.0重量%が好適であると判断できる。
【0069】
さらに、実施例10では、反射強度も十分であり、I45/I65値も良好で立体感のある評価を得ることができたが、複合粉体の母体となるパール顔料の粒子径が大きいために肌表面で粒子一つ一つが点で光り、肌のキメが粗く見えてしまった。したがって、被覆されるパール顔料の粒子径は、表2の結果から60μm以下が好ましいと考えられる。
【0070】
また、実施例1と比較例3の結果から、パール顔料と球状有機粉体を単純に混合するだけでは、立体感やリフトアップ感を元のパール顔料よりも出すことはできないと判断できる。
【0071】
次に、複合粉体のメイクアップ化粧料への配合量を検討するために、複合粉体14を用いて、前述の化粧下地処方の成分(17)検討粉体の処方量を変化させて検討した。なお、複合粉体14が5.00重量%含まれるものは前述の実施例9である。
【実施例11】
【0072】
複合粉体14を前述の化粧下地の処方の成分(17)検討粉体として0.50重量%配合したものが実施例11である。
【実施例12】
【0073】
複合粉体14を前述の化粧下地の処方の成分(17)検討粉体として1.00重量%配合したものが実施例12である。
【実施例13】
【0074】
複合粉体14を前述の化粧下地の処方の成分(17)検討粉体として10.00重量%配合したものが実施例13である。
【実施例14】
【0075】
複合粉体14を前述の化粧下地の処方の成分(17)検討粉体として15.00重量%配合したものが実施例14である。
【実施例15】
【0076】
複合粉体14を前述の化粧下地の処方の成分(17)検討粉体として20.00重量%配合したものが実施例15である。
【0077】
表3は、実施例9と実施例11〜15の化粧下地を調製し、実施例1〜10と同様に化粧下地の立体感・リフトアップ感の評価方法で評価した時の、詳細な処方と評価結果を示したものである。
【0078】
【表3】

【0079】
表3の結果より、複合粉体の0.5重量%の配合量から立体感やリフトアップ感を感じられると確認できた。また、配合量の増加により立体感やリフトアップ感の増強も感じることができたが、実施例15のように配合量が20重量%にもなってしまうと、ぎらつき感が目立ち、メタリックであまりに不自然な感じがしたので、配合量として好ましいのは15重量%程度までであると考えた。
【実施例16】
【0080】
(パウダーファンデーション)
実施例16として、複合粉体2を用いて、下記処方のパウダーファンデーションを調製した。
【0081】
パウダーファンデーション処方
成分 配合量(重量%)
(1) シリコーン処理セイサイト 19.10
(2) シリコーン処理タルク 15.00
(3) シリコーン処理合成金雲母 10.00
(4) シリコーン処理酸化チタン 8.00
(5) シリコーン処理微粒子酸化チタン 7.00
(6) シリコーン処理酸化亜鉛 2.00
(7) ステアリン酸亜鉛 1.00
(8) メチルパラベン 0.50
(9) シリコーン処理黄酸化鉄 1.60
(10)シリコーン処理ベンガラ 0.50
(11)シリコーン処理黒酸化鉄 0.30
(12)無水ケイ酸 4.00
(13)硫酸バリウム 5.00
(14)窒化ホウ素 3.00
(15)(ジメチコン/ビニルジメチコン
/メチコン)クロスポリマー 1.00
(16)ポリメタクリル酸メチル 6.00
(17)複合粉体2 5.00
(18)メチルポリシロキサン 7.00
(19)コハク酸ジ2−エチルヘキシル 4.00
合計 100.00
【0082】
(調製方法)
成分(1)〜(17)をヘンシェル型ミキサーにて均一に混合し、アトマイザーにて粉砕を行った。さらに、成分(1)〜(17)の混合粉砕物と成分(18)及び(19)をヘンシェル型ミキサーにて均一に混合してアトマイザー粉砕後、ふるいを通し、中皿にプレスしてパウダーファンデーションを得た。
【0083】
得られた実施例16のパウダーファンデーションは、顔全体を明るくしながら、顔の凸の部分はより輝かせ、顔の周りの部分は相対的に明るさが低く見えて顔が膨張して見えることなく、リフトアップした、若々しい印象を与える、優れた化粧料であった。
【実施例17】
【0084】
次に、本発明における複合粉体を、油性固形ファンデーションに応用した。その処方を実施例17として示す。
スティックコンシーラー処方
成分 配合量(重量%)
(1) 酸化チタン 30.00
(2) ナイロン末 8.00
(3) ベンガラ 0.60
(4) 黄酸化鉄 3.00
(5) 黒酸化鉄 0.20
(6) マイカ 1.15
(7) トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 21.00
(8) セスキオレイン酸ソルビタン 1.00
(9) 天然ビタミンE 0.05
(10)パラフィン 8.50
(11)マイクロクリスタリンワックス 2.00
(12)2−エチルヘキサン酸セチル 19.50
(13)ジペンタエリトリット脂肪酸エステル(1) 2.00
(14)複合粉体3 3.00
合計 100.00
【0085】
(調製方法)
成分(1)〜(9)を混合し三本ローラーで十分に分散させた。これを、成分(10)〜(13)までを加温溶解したものに加え、さらに加熱しながら十分に撹拌した。その後、成分(14)を加えて80℃で撹拌を続け、脱泡後、金皿へ流し込んで成形し、油性固形ファンデーションを得た。
【0086】
得られた実施例17の油性固形ファンデーションは、加齢に伴う顔や肌のたるみやシワ等を隠して、若々しい印象の顔に見せる機能を有する化粧料であった。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明で用いた複合粉体は、反射光の角度依存性を高めた粉体であるので、輝度が高く立体感を作り出すことが容易にできるので、メイクアップ化粧料ばかりでなく、装飾用塗料、道路標識用の塗料等、物を目立ちやすくする場合にも適用ができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄片状基質表面上に酸化チタンを含有する金属酸化物被覆層が形成されて成るパール顔料の表面を、粒子径200〜400nmの球状有機粉体で全量の2.0〜10.0重量%被覆した複合粉体を含有するメイクアップ化粧料。
【請求項2】
当該球状有機粉体がポリスチレン系の樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系の樹脂、或いはこれら2種以上の共重合体又はコアシェル構造であることを特徴とする請求項1記載のメイクアップ化粧料。
【請求項3】
当該球状有機粉体がポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチルクロスポリマー、アクリレーツクロスポリマー、アクリレーツコポリマー、(スチレン/DVB)コポリマーであることを特徴とする請求項1又は2のいずれか記載のメイクアップ化粧料。
【請求項4】
被覆されるパール顔料の粒子径が60μm以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載のメイクアップ化粧料。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−265198(P2010−265198A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−116742(P2009−116742)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【出願人】(592262543)日本メナード化粧品株式会社 (223)
【Fターム(参考)】