説明

メタセシス解重合によるテレケリック化合物の製造

エチレン、ジエン若しくはアルキン及び、任意的に、1種若しくはそれ以上のC3〜C20α−オレフィンの付加重合によって生成される不飽和コポリマーのメタセシスによって、ポリオールのような官能基化誘導体への転化に適当なテレケリック不飽和ポリマーを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本件は、2006年8月25日に出願された米国仮特許出願第60/840,308号の利益を請求する。
【0002】
発明の分野
一態様において、本発明は、エチレン性不飽和を含む高分子量オレフィンコポリマーのメタセシスによるテレケレック(telechelic)化合物の製造方法に関する。別の態様において、本発明は、メタセシスによって製造されたテレケリック化合物に関する。得られた生成物は、粘度と官能基価との望ましいバランスのために、ポリウレタン、ポリエステル、エポキシド及び他の縮合ポリマー組成物の製造において、高固形分コーティング配合物用の反応性希釈剤として、化粧料中に及び他の用途において使用するのに理想的である。
【背景技術】
【0003】
テレケリック化合物は反応性末端官能基を有する。これらの反応性末端基及びその官能基化誘導体によって、莫大な数の高分子材料を製造できる。テレケリック化合物は、ブロックコポリマー、星形ポリマー、架橋ポリマー網状構造及びイオン性ポリマー網状構造の合成に応用されている。低分子量液体テレケリックポリマーは、反応射出成形及びABAトリブロック及びマルチブロックコポリマーの生成において成功裡に使用されている。
【0004】
多くのオレフィンメタセシス方法がすでに当業界で知られている。一般に、オレフィンメタセシスは、不飽和点における1種又はそれ以上のオレフィンの触媒的開裂及び得られた開裂生成物の組換えによる、異なるオレフィン含有反応生成物の形成を意味する。多くの場合、低分子量オレフィン及び環状オレフィン、例えばエチレン、シクロペンテン若しくはシクロオクテンが、低粘度反応混合物、明確な反応生成物、分子量の低下された生成物及び/又は反応射出成形(RIM)用組成物及びエラストマーに適当な混合物を提供するために、前記反応混合物中に試薬として使用される。2種又はそれ以上の異なるオレフィンのメタセシスを「クロスメタセシス」と称する。前記方法の例は、特許文献1〜5などに開示されている。
【0005】
ポリシクロペンテンの開環メタセシス又はエチリデンノルボルネンとポリシクロペンテンとの混合物の逐次重合による線状ポリエチレン及びポリ(エチリデン−ノルボルネン)/ポリシクロペンテンジブロックコリマーの製造が非特許文献1に開示された。非特許文献2においては、固体ポリマーが、メタセシス触媒との表面接触によって解重合された。
【0006】
ヒドロキシル、エステル、ボラン若しくは反応性シリル官能価を含む適切に官能基化された環状又は非環状オレフィン連鎖移動剤の使用によって、又はその後のプロセス工程によって得られる官能基化ポリマーを使用して、望ましい官能価をポリマーに導入することができる。このような方法の例は特許文献6〜10、3及び他の参考文献によって開示されている。
【0007】
特許文献5、4及び11においては、グラフト及びブロックコポリマー及びインターポリマーが、ポリブタジエン又はポリイソプレンのような、オレフィン性不飽和を含む2種のポリマーのメタセシスによって製造された。シクロオクテンのようなモノマー又はシクロオクタジエン−シクロペンタジエン二量体のような二量体も同様に重合に組み込まれることができた。ポリブタジエンとポリシクロオクテン又はポリシクロドデセンとのクロスメタセシス及びメタセシスによるEPDMポリマーのグラフト化を含む同様な方法が特許文献12及び13に開示された。この研究の要約は、非特許文献3に記載されている。
【0008】
非特許文献4及び5において、部分水素化ポリブタジエン及びプロピレン/1,3−ブタジエンコポリマーのエテノリシスが開示された。前者の方法は、高い内部エチレン性不飽和(2つのポリマー鎖毎に概ね1個の内部C=C結合)を含むα,ω−ジビニルポリエチレンオリゴマーを生成した。後者の生成物の研究は、おそらくは結晶性ポリマーセグメントのより密な充填によって、メタセシス反応生成物の融点が増加することを示した。
【0009】
ヒドロキシ、アクリレート又はエポキシ基のような架橋性(架橋可能な)末端基を有するテレケリックポリマーは、相互侵入ポリマー網目構造、架橋ポリマー材料、コーティング、封入用(encapsulating)組成物の製造に、及び生体材料の固定化に有用である。特許文献14においては、ルテニウム錯体を用いたシクロオクタジエン(COD)とシス−4,7−ジヒドロ−1,3−ジオキセパン又はシス−4,7−ジヒドロ−2−フェニル−1,3−ジオキセパンとの開環メタセシス重合(ROMP)によって製造されたコポリマーの解重合が、バックボーン鎖に沿ってポリ(ブタジエン)及びアセタールの両単位を有するポリマーを生じた。それに続くこれらのアセタール単位の酸加水分解は、ヒドロキシテレケリック・ポリ(ブタジエン)(HTPBD)オリゴマーの形成をもたらした。また、官能基化連鎖移動剤 とシクロアルケンとをある種のルテニウム又はオスミウムROMP触媒の存在下で反応させることによる、架橋性末端基を有するテレケリックポリマーの直接製造が開示された。ROMP又はメタセシス条件下における2−ブテンジカルボン酸ジエステルのような二官能価オレフィンを用いた同様な方法がそれぞれ、特許文献15及び16に開示された。後者の方法に適当なポリマーには、「1,4−シス−ポリブタジエン及びABSゴム又はSBゴムとしての他のコポリマー」があった。特許文献14によれば、生成物は、架橋の存在を示し且つ不所望な量のビニル基を含む多分散ゴムであった。
【0010】
前述の方法は、ポリブタジエン又は共役ジエンの非制御1,2−付加のために不所望に多量のペンダントビニル基(末端又は内部不飽和ではなく)を有する、遊離基法によって製造された同様なポリマーを利用した。これは、このようなペンダント不飽和のレベルを最初に低減させるためにポリマーの広範な水素化が用いられるのでなければ、メタセシス生成物中に不所望に高いレベルのペンダントビニル官能価及び比較的高い平均官能価(2.0より大きい)をもたらす。しかし、ポリマーの水素化は、費用がかかり、その上、末端不飽和を減少させる可能性がある。更に、ポリブタジエンは、メタセシス条件下で急速なメタセシス分解及び環形成に供することによって、商業的価値がほとんどない低分子量副生成物を形成することが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第5,731,383号
【特許文献2】米国特許第4,994,535号
【特許文献3】米国特許第4,049,616号
【特許文献4】米国特許第3,891,816号
【特許文献5】米国特許第3,692,872号
【特許文献6】米国特許第6,867,274号
【特許文献7】米国特許第6,410,110号
【特許文献8】米国特許第5,603,985号
【特許文献9】米国特許第5,559,190号
【特許文献10】米国特許第5,446,102号
【特許文献11】米国特許第4,010,224号
【特許文献12】DE2,131,355
【特許文献13】DE2,242,794
【特許文献14】米国特許第7,022,789号
【特許文献15】ドイツ民主共和国特許DD146,052
【特許文献16】ドイツ民主共和国特許DD146,053
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Macromol.,33(25),9215−9221(2000)
【非特許文献2】Macromol.,33,1494−1496(2000)
【非特許文献3】J.Mol.Catal.,15,3−19(1982)
【非特許文献4】Macromol.Chem.Rapid Commun.14,323−327(1993)
【非特許文献5】Macromol.,36,9675−9677(2003)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ポリオールのような官能基化誘導体の製造に使用するのに望ましい性質を有する、特に内部不飽和が少ない、差別化された商業的に有用なテレケリック生成物の形成に特に適した不飽和ポリマーのメタセシス方法が提供できれば、望ましいであろう。更に、得られる生成物が、初期反応体の広範な部分水素化を必要とせずに、商業的に有用な性質を有する官能基化誘導体、特にポリオール(ジオール)、ポリアミド、ポリエステル及びエポキシドの製造への使用に適当であれば、望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、エチレン、任意的な1種若しくはそれ以上のC3〜C20α−オレフィン及び共役ジエン若しくはアルキンの付加重合によって生成された不飽和コポリマーを含む組成物とメタセシス触媒を、ポリマーメタセシス条件下で環状オレフィン若しくはポリオレフィン、非環式オレフィン及び/又は連鎖移動剤、好ましくはエチレンの存在下において接触させ;そして得られたテレケリック反応生成物を回収する工程を含んでなる、テレケリックポリエンを含む生成物混合物の製造方法が提供される。
【0015】
更なる実施態様において、
i)エチレン、任意的な1種若しくはそれ以上のC3〜C20α−オレフィン及び共役ジエン若しくはアルキン及びの付加重合によって生成された不飽和コポリマーを含む組成物とメタセシス触媒を、ポリマーメタセシス条件下で環状オレフィン若しくはポリオレフィン、非環式オレフィン及び/又は連鎖移動剤、好ましくはエチレンの存在下において、接触させて多価不飽和反応生成物を生成させることによって、テレケリックポリエンを含む混合物を形成し;
ii)前記多価エチレン性不飽和反応生成物中のエチレン性不飽和の一部又は全てを1種若しくはそれ以上の官能基、特にヒドロキシル基に転化し;そして
iii)得られた官能基化テレケリック反応生成物を回収する
工程を含んでなる、官能基化テレケリック化合物を含む生成物混合物の製造方法が提供される。
【0016】
極めて望ましくは、本発明に従って、
i)エチレン、任意的な1種若しくはそれ以上のC3〜C20α−オレフィン及び共役ジエン若しくはアルキンの付加重合によって形成された不飽和コポリマーを含む組成物を、メタセシス触媒とメタセシス条件下に、接触させて、エチレン性不飽和を含むポリマー生成物を製造し;そして
ii)工程i)からの生成物混合物を一酸化炭素及び水素化剤と接触させることによってヒドロホルミル化して、ヒドロキシル官能価を含む生成物混合物を生成させる
工程を含んでなる脂肪族α,ω−ジオールを含む生成物混合物の製造方法が提供される。
【0017】
本発明の別の実施態様において、前記方法の1つによって製造された又は前記方法の1つに従って製造可能なエチレン性不飽和化合物、特にα,ω−ジエン又はその官能基化誘導体、好ましくはヒドロキシル官能基化誘導体を含む生成物混合物が提供される。極めて望ましい生成物は1.8〜2.5、好ましくは1.9〜2.2の官能価(ポリマー当たりの官能基の平均数)を有する。
【0018】
本発明の別の実施態様において、ジイソシアネート化合物とポリオールとの反応によるポリウレタン組成物の製造方法であって、前記ポリオールが本発明に係る組成物からなるか又は本発明の方法に従って製造されることを特徴とする方法が提供される。本発明の最後の実施態様において、ジカルボン酸又はそのエステル若しくは無水物誘導体とポリオールとの反応よるポリエステル組成物の製造方法であって、前記ポリオールが本発明に係る組成物であるか又は本発明の方法に従って製造される組成物であることを特徴とする方法が提供される。一実施態様において、前記ポリウレテタン(polyurethethane)組成物又はポリエステル組成物は、コーティング又は封入用組成物であり、このテレケリック化合物は反応希釈剤の少なくとも一部を構成する。
【0019】
エチレン、任意的な1種若しくはそれ以上のC3〜C20α−オレフィン及び共役ジエン若しくはアルキンの重合によって形成される付加ポリマーは、触媒の適正な選択によって、水素化の前であっても、ペンダントビニル官能基が本質的に少ない生成物を生成することができるので、得られるメタセシス生成物は本質的に高α,ω−不飽和を有する。例えば、適切な配位触媒及び反応条件の選択によって、コポリマー中のペンダントビニル官能基は、総エチレン基の5%若しくはそれ以下、好ましくは2%若しくはそれ以下、より好ましくは1%若しくはそれ以下まで低下させることができ、水素化によって更に低いペンダントビニル不飽和レベルに達することができる。従って、得られるメタセシス生成物及びその官能基化誘導体はペンダントビニル基の数がかなり減少し、それに対応して架橋又はペンダント分岐を形成する傾向が低下している。更に、メタセシスポリマー分解又は環形成は大幅に減少するか又は排除される。望ましくは、1.8〜2.5、好ましくは1.9〜2.2の官能価が達成可能である。
【0020】
ポリオールの形成及び他の用途において、優れた生成物特性、特に良好な溶融強度、成形性及び成形品の柔軟性を提供するためには、低融点(Tmは100℃未満、好ましくは60℃未満である)又は非晶質ポリマーセグメントが極めて望ましい。このような生成物は本発明に従って容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例1のメタセシス法において出発原料として使用するポリ(エチレン−コ−オクテン−コ−ブタジエン)ポリマーの1H NMRスペクトルである。
【図2】実施例1に記載したメタセシス法において製造された本発明のテレケリック組成物の1H NMRスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本明細書中における元素周期表への全ての言及は、CRC Press,Inc.が2003年に発行し、著作権を有する元素周期表を指すものとする。また、族への全ての言及は、Nomenclature of Inorganic Chemistry;Recommendations 1990,G.J.Leigh,Editor,Blackwell Scientific Publications(1990)に開示された、族の番号付けのためのIUPAC系を用いてこの元素周期表に示された族に対して行うものとする。そうでないことが示されない限り、前後関係から暗示されない限り、或いは当業界において慣例的でない限り、全ての部及びパーセントは重量基準である。米国特許プラクティスのために、全ての特許、特許出願及びそれらの中で引用された出版物の内容を、特に合成方法、定義(本明細書中に示した定義と矛盾しない程度まで)及び当業界における一般常識に関して、引用することによって、全体として本明細書中に組み入れる(又はその対応するUS版を引用することによってそのように組み入れる)。
【0023】
用語「含んでなる(comprising)」及びその派生語は、その他の成分、工程又は操作が本明細書中に開示されていてもいなくても、その存在を排除するものではない。誤解を避けるために、用語「含んでなる」を使用して本明細書において特許請求された全ての組成物は、そうでないことが示されない限り、任意のその他の添加剤、佐剤又は化合物(ポリマーであってもなくても)を含むことができる。これに対して、「〜から本質的になる(consisting essentially of)」は、それに続く列挙の範囲から、操作性に本質的でないものを除いて、全ての他の成分、工程又は操作を除外する。用語「〜からなる(consisting of)」は、特に具体的に記載又は列挙されていない全ての成分、工程又は操作を除外する。用語「又は」は、特に断らない限り、列挙した構成要素の個々又は任意の組合せを意味する。
【0024】
そうでないことが明確に示されない限り、本明細書中で化合物に関して使用される単数形は全ての異性体を含み、逆の場合も同様である(例えば、「ヘキサン」はヘキサンの全ての異性体を個別に又は集合的に含む)。用語「化合物」及び「錯体」は本明細書中では、有機−、無機−及び有機金属化合物を意味するのに区別なく使用する。用語「原子」は、イオン状態にかかわらず、即ち、それが電荷若しくは部分電荷を有するにせよ又は別の原子に結合しているにせよ、元素の最小成分を意味する。用語「ヘテロ原子」は、炭素又は水素以外の元素を意味する。好ましいヘテロ原子としては、F、Cl、Br、N、O、P、B、S、Si、Sb、Al、Sn、As、Se及びGeが挙げられる。
【0025】
用語「ヒドロカルビル」は、分岐鎖又は非分岐鎖、飽和又は不飽和、環状、多環式又は非環状の種を含む、水素及び炭素原子のみを含む一価置換基を意味する。例としては、アルキル−、シクロアルキル−、アルケニル−、アルカンジエニル−、シクロアルケニル−、シクロアルカジエニル−、アリール−及びアルキニル−基が挙げられる。「置換ヒドロカルビル」は、1個又はそれ以上の非ヒドロカルビル置換基で置換されたヒドロカルビル基を意味する。用語「ヘテロカルビル」は、1個又はそれ以上の炭素原子及び1個又はそれ以上のヘテロ原子を含むが水素原子を含まない基を意味する。炭素原子と任意のヘテロ原子との結合並びに任意の2個のヘテロ原子間の結合は、一重若しくは多重共有結合又は配位若しくは他の供与性結合であることができる。例としては、トリクロロメチル−、ペルフルオロフェニル−、シアノ−及びイソシアネート−基が挙げられる。用語「ヘテロ原子含有ヒドロカルビル」又は「ヘテロヒドロカルビル」は、水素又は炭素以外の少なくとも1つの原子が1個又はそれ以上の炭素原子及び1つ又はそれ以上の水素原子と共に存在している一価の基を意味する。従って、ハロ−、ヘテロシクロアルキル−、アリール−、置換へテロシクロアルキル−、ヘテロアリール−、アルキル−置換へテロアリール−、アルコキシ−、アリールオキシ−、ジヒドロカルビルボリル−、ジヒドロカルビルホスフィノ−、ジヒドロカルビルアミノ−、トリヒドロカルビルシリル−、ヒドロカルビルチオ−又はヒドロカルビルセレノ−基で置換されたアルキル基は、用語「ヘテロヒドロカルビル」の範囲内である。適当なへテロアルキル基の例としては、クロロメチル、2−シアノエチル、ヒドロキシメチル、ベンゾイルメチル、(2−ピリジル)メチル、クロロベンジル及びトリフルオロメチル基が挙げられる。
【0026】
本明細書中で使用する用語「芳香族」は、(4δ+2)π電子(δは1又はそれ以上の整数である)を含む多原子環状共役環系を意味する。2個又はそれ以上の多原子シクロ環(cyclic ring)を含む環系に関して本明細書中で使用する「縮合」は、それらの少なくとも2つの環に関して、少なくとも1対の隣接原子が2つの環に含まれることを意味する。用語「アリール」は、単一の芳香環、或いは一緒に縮合され、共有結合され又はメチレン若しくはエチレン部分のような共通の基に結合された複数の芳香環であることができる一価芳香族置換基を意味する。芳香環の例としては、特にフェニル、ナフチル、アントラセニル及びビフェニルが挙げられる。
【0027】
「置換アリール」は、任意の炭素に結合した1個又はそれ以上の水素が、アルキル、アルケニル、置換アルキル、置換アルケニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換へテロシクロアルキル、ハロ、ハロアルキル(例えばCF3)、ヒドロキシ、アミノ、ホスフィノ、アルコキシ、アミノ、チオ、ニトロ並びに飽和及び不飽和ヒドロカルビレン基(芳香環に縮合された、共有結合した又はメチレン若しくはエチレン部分のような共通の基に結合したものを含む)のような1個又はそれ以上の官能基で置換されたアリール基を意味する。共通の結合基はまた、ベンゾフェノン基中で見られるようなカルボニル、ジフェニルエーテル基中で見られるような酸素又はジフェニルアミン基中で見られるような窒素であることもできる。
【0028】
「エチレン性不飽和」又は「エチレン基」は、二重結合(非芳香族sp2電子混成)によって結合された隣接脂肪族炭素原子、好ましくは式:―CR*=CR*−又は−CR*=CR*2[式中、R*は、それぞれ独立して、水素、ハロ、ニトリル、ヒドロカルビル又は置換ヒドロカルビル(水素を数えずに20個以下の原子を含む)である]を有するものを意味する。本明細書中で使用するエチレン性不飽和パーセントは、ポリマーの総炭素−炭素結合含量に基づいて計算する。用語「ペンダント」は、ポリマーの第二又は第三置換炭素に結合した基又は置換基を意味する。用語「末端(terminal)」は、ポリマーの主炭素に結合した基又は置換基を意味する。
【0029】
本明細書中で使用する用語「ポリマー」は、多数の反復単位を含む、分子量が少なくとも100、好ましくは少なくとも1000の高分子化合物を意味する。好ましくは、少なくとも1つの反復単位が連続的に又は非連続的に、平均して6回又はそれ以上、より好ましくは20回又はそれ以上現れる。平均して6個未満のこのような反復単位を含む分子を本明細書中ではオリゴマーと称する。この用語は、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、インターポリマーなどを含む。用語「インターポリマー」は本明細書中では用語「コポリマー」と同義で用いて、通常は別の共重合性モノマーから得られた少なくとも2種の差別化される反復単位を重合形中に組み込むポリマーを意味する。得られるコポリマー又はインターポリマー中の最小の主要なモノマーは一般に用語「コモノマー」によって言及される。
【0030】
用語「セグメント」は、エチレン性不飽和によって隔てられる又は単一末端不飽和を含むポリマーの場合にはエチレン性不飽和によって停止される、均一な組成及び炭素少なくとも12個、好ましくは少なくとも20個、より好ましくは少なくとも30個の炭素鎖長を有する不飽和ポリマーの線状部分を意味する。脂環式又は芳香族基のような環状部分内部に現れる不飽和は、セグメントを形成しない。本明細書中で使用する用語「均一組成」は、同一(コ)モノマー流から得られたセグメントを意味し、各セグメント中の配列及び立体規則性は各(コ)モノマーの相対反応性によって左右される。従って、任意の2つ又はそれ以上のセグメント中のモノマーの配列及び立体規則性は、本質的に互いに同一であるものから実質的に互いに異なるものまで多岐にわたることができ、変動度はこれらの2つの極値の中間であることができる。
【0031】
用語「ブロックコポリマー」は、互いに化学的に区別可能な、2種又はそれ以上の識別可能なセクション(ブロック)を有するポリマーを意味する。用語「不飽和ブロックコポリマー」は、ブロック間に又はその1つ若しくはそれ以上のブロック内にエチレン性不飽和を含むブロックコポリマーを意味する。ブロックコポリマー内の不飽和ポリマー又は不飽和ブロックは1種又はそれ以上のセグメントを含むことができる。用語「非晶質」は、ポリマー、ポリマーブロック又はポリマーセグメント(以下これらをまとめてポリマー実体(polymeric entities)と称する)のうち結晶融点のないものを意味する。用語[結晶性」は、結晶融点を有するポリマー実体を意味する。用語「半結晶性」は、同一化学組成の完全に結晶性の又はより完全に結晶性のポリマー実体よりも低い結晶融点を有するポリマー実体を意味する。より具体的には、本明細書中で使用する「半結晶性」は、そのポリマー実体の達成可能な最大結晶化度の90%未満の結晶化度を有するポリマー実体を意味する。誤解を避けるために、用語「結晶性」は半結晶性ポリマー実体を含む。
【0032】
用語「バックボーン」は、ポリマーの最長連続ポリマー鎖を意味する。全ての他のポリマー鎖は側鎖、分岐又はグラフト化ポリマー鎖と称される。短鎖又は短鎖分岐は、3個又はそれ以上の炭素を含むモノマーの重合によって得られるバックボーンからの分岐を意味する。2個又はそれ以上のエチレン性不飽和を含むこのようなモノマーの重合は、不飽和を含む分岐を形成することができる。このような不飽和分岐を含むポリマーのメタセシスは、エチレン性不飽和を末端とする中央のバックボーン鎖からぶら下がっている分岐を有する生成物を形成できる。生成物混合物中のこのような化合物の存在は、同様に形成され得る少量の一価不飽和生成物の形成をある程度補うために、又は生成物混合物中の不飽和レベルを増加させるために、使用できる。得られる生成物及びその官能基化誘導体、特にポリオールは、ポリウレタン又はポリエステルを含む架橋ポリマー網状構造の生成に使用できる。
【0033】
用語「エラストマー」は、25℃未満、好ましくは0℃未満のガラス転移温度(Tg)及びASTM−D−1708に従って21℃において試験した場合に少なくとも90%の弾性回復率を有するポリマー実体を意味する。結晶融点(Tm)は、DSCによってASTM D−3418試験法に従って測定されたピーク融点を意味する。
【0034】
本発明のメタセシスに使用する適当な不飽和ポリマー試薬は、エチレン、任意的な1種若しくはそれ以上のC3〜C20α−オレフィン及び共役ジエン若しくはアルキンの付加重合によって製造されるコポリマー、好ましくはエチレン若しくはエチレン及びC4〜C8α−オレフィンの混合物とブタジエン若しくはイソプレンとのコポリマーである。得られるコポリマーは、ジエン又はアルキンモノマーの重合によって形成される残部中にエチレン性不飽和を含む。試薬ポリマー中のエチレン性不飽和の少なくとも一部、好ましくはエチレン性不飽和の全て又はほとんどは、不飽和ポリマーの主鎖又はバックボーン中に位置する。メタセシス条件下でエチレンと反応させる場合には、このような内部エチレン性不飽和は望ましくはエチレンを末端基とする短鎖ポリマーセグメントの形成をもたらす。望ましくは、不飽和ポリマー試薬のエチレン含量は0.001モル%〜10モル%未満であり、より好ましくは0.01〜5モル%である。その後の転化又は使用に、特にジオール形成に理想的な分子量のα,ω−ジエンを得るために、ポリマー試薬中のエチレン性不飽和の量をメタセシス前に部分水素化によって調整することができる。当業者ならば、不飽和含量が高い不飽和ポリマー試薬を用いるほど、分子量が小さい生成物が得られることがわかるであろう。反応性希釈剤として使用するためには、得られるテレケリック生成物及びその官能基化誘導体、特にα,ω−ジオールは500〜10,000g/モル、より好ましくは550〜1000g/モルの分子量を有する。官能基化試薬のような他の用途に関しては、得られる生成物及びその官能基化誘導体、特にα,ω−ジオールは10,000〜1,000,000g/モル、より好ましくは5,000〜100,000g/モルの分子量を有する。従って、前記分子量範囲のテレケリック生成物を製造するのにふさわしい不飽和を有するポリマー試薬の使用が望ましい。
【0035】
本発明において試薬又は反応混合物の成分として使用するのに適当な不飽和ポリマーの例としては、エチレン、任意的な1種若しくはそれ以上のC3〜C20オレフィンモノマー及び1種若しくはそれ以上のジオレフィンのランダムコポリマー、ブロックコポリマー又は擬似ブロックコポリマー;エチレン、任意的な1種若しくはそれ以上のC3〜C20オレフィンモノマー及び1種若しくはそれ以上のアルキンのランダムコポリマー、ブロックコポリマー又は擬似ブロックコポリマー;エチレン、任意的な1種若しくはそれ以上のC3〜C20オレフィンモノマー、1種若しくはそれ以上のジオレフィン及び1種若しくはそれ以上のアルキンのランダムコポリマー、ブロックコポリマー又は擬似ブロックコポリマー;並びに前記の部分水素化誘導体が挙げられる。最も好ましい試薬は、エチレン、オクテン及び共役ジエン、特に1,4−ブタジエンのランダムコポリマー並びにそれらの部分水素化誘導体である。
【0036】
不飽和ポリマー試薬は、望ましくはチーグラー/ナッタ、メタロセン、ポストメタロセン若しくは他の配位重合触媒を適当に用いて、付加重合によって製造する。用語「チーグラー/ナッタ重合触媒」は、金属が元素周期表の第2族、第12族若しくは第13族に由来する有機金属化合物を、少なくとも1種の他の化合物、特に元素周期表の第4族、第5族若しくは第6族から選ばれた金属ハライド、酸化物又はオキシハライドと共に含む、オレフィン重合に適した触媒組成物を意味する。
【0037】
ポリマー試薬の比較的低い不飽和含量のため、本発明のクロスメタセシスに関与するセグメントは望ましくは、長さ(即ち反復モノマー単位の平均数)が20〜1000、好ましくは40〜100であり、これは約0.1〜5モル%の重合ジエン若しくはアルキン、好ましくは1〜2.5モル%のジエン若しくはアルキンを含むコポリマーに相当する。更に望ましくは、残りのコモノマーはエチレン若しくはプロピレン又はエチレンと1種若しくはそれ以上のC3〜C8α−オレフィンの混合物である。
【0038】
試薬ポリマー中のエチレン性不飽和の量は、任意の適当な方法、例えば一塩化ヨウ素滴定(ICI)、NMR分析又は他の方法によって測定できる。適当な場合には、これらの方法の組合せを使用できる。ICI滴定は、ポリマー中に存在する全ての不飽和と反応させるために一塩化ヨウ素を用いる、種々のポリマー中の炭素−炭素不飽和レベルを測定するためのよく知られた方法である。この方法は、内部不飽和と末端又はビニル不飽和とを区別しない。
【0039】
NMR分光分析は、ビニル不飽和(ジエンの1,2−付加によって得られる)ではなくてポリマー中の内部不飽和(ジエンの1,4−付加によって得られる)の量がこの方法を用いて測定できる事実によって、共役ジエンのホモポリマー及びコポリマーについて使用するのに特に有用である。ポリマー分析のNMR法としては、NMR and Macromolecules;sequence,dynamic and domain structure,James C.Randall,ed.;ACS Symposium Series,247;American Chemical Society,Washington,D.C.(1984)に開示されたものが挙げられる。
【0040】
不飽和試薬ポリマーは、標準的な付加重合法を用いて、例えば配位触媒、特に遷移金属化合物を用いて1種若しくはそれ以上のオレフィンを少なくとも1種のジエン若しくはアルキンと共に含むオレフィン混合物を重合させることによって容易に製造できる。好ましいポリマーは、ジエン、好ましくはブタジエンとエチレン又はエチレン及びブテン、ヘキセン若しくはオクテンの1種若しくはそれ以上(0〜20モル%、特に0〜10モル%の量)との重合によって形成されるエチレン性不飽和コポリマーである。不飽和ポリマー試薬の種々の製造方法についてのより詳細な説明は以下に記載する。
【0041】
以下により詳細に開示する遷移金属触媒重合のような付加重合方法は、多数のモノマー(通常は、保護されていない極性基含有モノマーは除く)に適合する。1種又はそれ以上の付加重合性モノマーをジエン、好ましくは共役アルカジエン、特に1,4−ブタジエン及び/又はアルキン化合物、特にアセチレン誘導体と一緒に重合させることによって生成されるポリマーは、主として末端不飽和及び/又はバックボーン不飽和を有する分岐又は線状ポリマーを形成する。更に、鎖末端不飽和は、β−水素化物脱離によって得ることができ、且つ/又は少量のバックボーン不飽和が重合プロセスの間にランダム自発的脱水素化によって得ることができる。付加重合法によって生成させる親不飽和ポリマーは、例えばペンダントビニル基を優先的に水素化することによって、エチレン性不飽和の量を更に制限し且つ/又は不飽和の型を制御するために部分水素化させることができる。
【0042】
付加重合法によって適当に重合されるモノマーを一部挙げると、脂肪族及び芳香族α−オレフィン及び置換オレフィン、共役及び非共役ジエン並びに環状オレフィン及びポリオレフィンがある。例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、アクリロニトリル、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、スチレン、ビニルシクロヘキサン、α−メチルスチレン、p−ビニルトルエン、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2−メチル−3−エチル−1,3−ブタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、2−メチル−3−エチル−1,3−ペンタジエン、2−エチル−1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ヘプタジエン、3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、3,4−ジメチル−1,3−ヘキサジエン、3−n−プロピル−1,3−ペンタジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、2,3−ジエチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジ−n−プロピル−1,3−ブタジエン、2−メチル−3−イソプロピル−1,3−ブタジエン、クロロプレン、フルオロプレン、2−メトキシ−1,3−ブタジエン、2−エトキシ−3−エチル−1,3−ブタジエン、2−エトキシ−3−メチル−1,3−ヘキサジエン、デカジエン、ジビニルベンゼン、シクロヘキセン、ビニルシクロヘキセン、ベンゾシクロブテン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン及びエチリデンノルボルネンが挙げられる。好ましいモノマーはエチレン、1−オクテン及び1,3−ブタジエンである。本発明に使用するのに最も好ましい不飽和ポリマーは、エチレン、1種若しくはそれ以上のC2〜C20オレフィン及び共役ジエン、特にブタジエン若しくはイソプレンの付加重合によって製造されるポリオレフィン系炭化水素である。
【0043】
本発明において使用するための不飽和試薬ポリマーの好ましい製造方法は、エチレン、任意的な1種若しくはそれ以上のC3〜C20オレフィン及びジオレフィンの付加重合である。このような共重合に適当な触媒には、オレフィンモノマーの重合に使用するための、前に開示された既知の遷移金属系配位触媒がある。特に好ましい触媒は第4族金属、特にジルコニウム又はハフニウム、及びヘテロ原子含有ドナー配位子を含む。望ましい触媒は、1〜2モル%の組み込まれた、主に1,4−配置で挿入されたジエンを含むインターポリマー生成物を生成する。ポリマー中の不飽和の存在は、メタセシス触媒との接触前に、得られるインターポリマーの水素化によって減少させることができる。望ましくは、不飽和ポリマー中のオレフィン性不飽和の出現率は、0.01〜0.1モル%に調整する。このような値の測定において、エチレン単位及びそのいずれの炭素上のいずれの置換基も、エチレン単位の理論重量に含める。
【0044】
配位触媒成分として有用な適当な第4族金属錯体の例には、1つ又はそれ以上の非局在化π−結合配位子又は多価ルイス塩基配位子を含む元素周期表の第3族〜第15族から選ばれた遷移金属の錯体がある。例としては、メタロセン、ハーフメタロセン、制限幾何及び多価ピリジルアミン−、ポリエーテル−又は他のポリキレート化塩基錯体が挙げられる。錯体は一般的に式:MKkxzによって表されるか、又はその二量体である。前記式において、
Mは、元素周期表の第3族〜第15族、好ましくは第3族〜第10族、より好ましくは第4族〜第8族、最も好ましくは第4族から選ばれた金属であり;
Kは、それぞれ独立して、KをMに結合させる非局在化π電子又は1個若しくはそれ以上の電子対を含む基であり、前記K基は水素原子を数えずに50個以下の原子を含み、場合によっては2個又はそれ以上のK基が結合して架橋構造(橋かけ構造)を形成でき、更に場合によっては、1個又はそれ以上のK基がZに、Xに又はZ及びXの両方に結合でき;
Xは、それぞれ独立して、40個の非水素原子を有する一価アニオン部分であり、場合によっては1個又はそれ以上のX基が結びつくことによって二価又は多価アニオン基を形成でき、更に場合によっては1個又はそれ以上のX基と1個又はそれ以上のZ基とが結びつくことによって、Mに共有結合され且つそれに配位された部分を形成することができ;
Zは、それぞれ独立して、ZをMに配位させる少なくとも1つの非共有電子対を含む非水素原子50個以下の中性ルイス塩基ドナー配位子であり;
kは0〜3の整数であり;
xは1〜4の整数であり;
zは0〜3の数であり;且つ
和k+xはMの形式酸化状態(formal oxidation state)に等しい。
【0045】
適当な金属錯体には、環状又は非環状非局在化π結合アニオン性配位基であることができる1〜3個のπ結合アニオン性又は中性配位基を含むものがある。このようなπ結合基の例は、共役又は非共役、環状又は非環状ジエン及びジエニル基、アリル基、ボラタベンゼン基、ホスホール及びアレーン基である。用語「π結合」は、部分非局在化π結合からの電子の共有によって遷移金属に配位基を結合させることを意味する。
【0046】
非局在化π結合基中の各原子は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロカルビル、ハロヒドロカルビル、ヒドロカルビル置換ヘテロ原子(ヘテロ原子は元素周期表の第14族〜第16族から選ばれる)からなる群から選ばれた基で置換されることができ、このようなヒドロカルビル置換ヘテロ原子基は更に、第15族又は第16族のヘテロ原子を含む部分によって置換されることができる。更に、2つ又はそれ以上のこのような基が一緒に、部分水素化又は完全水素化縮合環系を含む縮合環系を形成することもできるし、或いは金属と共にメタロサイクルを形成することもできる。用語「ヒドロカルビル」には、C1〜C20直鎖、分岐鎖及び環状アルキル基、C6〜C20芳香族基、C7〜C20アルキル置換芳香族基並びにC7〜C20アリール置換アルキル基を含める。適当なヒドロカルビル置換ヘテロ原子基には、ホウ素、珪素、ゲルマニウム、窒素、燐又は酸素の一置換、二置換及び三置換基があり、ヒドロカルビル基はそれぞれ、1〜20個の炭素原子を含む。例としては、N,N−ジメチルアミノ、ピロリジニル、トリメチルシリル、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、メチルジ(t−ブチル)シリル、トリフェニルゲルミル及びトリメチルゲルミル基が挙げられる。第15族又は第16族ヘテロ原子含有部分の例としては、遷移金属又はランタニド金属に結合し且つヒドロカルビル基、π結合基又はヒドロカルビル置換ヘテロ原子に結合したアミノ、ホスフィノ、アルコキシ若しくはアルキルチオ部分又はその二価誘導体、例えばアミド、ホスフィド、アルキレンオキシ若しくはアルキレンチオ基が挙げられる。
【0047】
適当なアニオン性非局在化π結合基の例としては、シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニル、テトラヒドロインデニル、テトラヒドロフルオレニル、オクタヒドロフルオレニル、ペンタジエニル、シクロヘキサジエニル、ジヒドロアントラセニル、ヘキサヒドロアントラセニル、デカヒドロアントラセニル基、ホスホール及びボラタベンジル基並びにそれらの不活性置換誘導体、特にそれらのC1〜C10ヒドロカルビル置換又はトリス(C1〜C10ヒドロカルビル)シリル置換誘導体が挙げられる。好ましいアニオン性非局在化π結合基は、シクロペンタジエニル、ペンタメチルシクロペンタジエニル、テトラメチルシクロペンタジエニル、テトラメチルシリルシクロペンタジエニル、インデニル、2,3−ジメチルインデニル、フルオレニル、2−メチルインデニル、2−メチル−4−フェニルインデニル、テトラヒドロフルオレニル、オクタヒドロフルオレニル、1−インダセニル、3−ピロリジノインデン−1−イル、3,4−(シクロペンタ(l)フェナントレン−1−イル及びテトラヒドロインデニルが挙げられる。
【0048】
ボラタベンジル配位子は、ベンゼンのホウ素含有類似体であるアニオン性配位子である。これらは、既に当業界で知られており、G.Herberich,et al.,Organometallics,14,1,471−480(1995)に記載されている。好ましいボラタベンゼニル配位子は式:
【0049】
【化1】

【0050】
[式中、R1は、好ましくは水素、ヒドロカルビル、シリル、ハロ若しくはゲルミルからなる群から選ばれた不活性置換基であり、前記R1は水素を数えずに20個以下の原子を有し、場合によっては2個の隣接R1基が結合されることができる]
に相当する。このような非局在化π結合基の二価誘導体を含む錯体において、その1個の原子は、共有結合又は共有結合された二価基によって、錯体の別の原子に結合されて、架橋系を形成する。
【0051】
ホスホールは、シクロペンタジエニル基の燐含有類似体であるアニオン性配位子である。これらは既に当業界で知られており、WO98/50392などに記載されている。好ましいホスホール配位子は式:
【0052】
【化2】

【0053】
[式中、R1は前に定義した通りである]
に相当する。本発明に使用するのに好ましい遷移金属錯体は、式:MKkxz又はその二量体に相当し、前記式において、
Mは、第4族の金属であり;
Kは、非局在化π電子を含む基であり、Kはこの非局在化π電子によってMに結合され、前記K基は水素原子を数えずに50個以下の原子を含み、場合によっては2つのK基が結合して、架橋構造を形成でき、更に場合によっては1つのKがX又はZに結合でき;
Xは、それぞれ、40個以下の非水素原子を有する一価アニオン性部分であり、場合によっては1個又はそれ以上のX基と1個又はそれ以上のK基が結合してメタロサイクルを形成し、更に場合によっては1個又はそれ以上のX基と1個又はそれ以上のZ基が結合して、Mに共有結合し且つそれに配位結合する部分を形成し;
Zは、それぞれ独立して、ZをMに配位結合させる少なくとも1つの非共有電子対を含む、非水素原子が50個以下の中性ルイス塩基ドナー配位子であり;
kは0〜3の整数であり;
xは1〜4の整数であり;
zは0〜3の数であり;
和k+xは、Mの形式酸化状態に等しい。
【0054】
好ましい錯体には1又は2個のK基を含むものがある。後者の錯体には、2個のK個を結合させる架橋基を含むものがある。好ましい架橋基は、式(ER’2e[式中、Eは珪素、ゲルマニウム、錫又は炭素であり、R’は、それぞれ独立して、水素又はシリル、ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ及びそれらの組合せから選ばれた基であり、前記R’は30個以下の炭素又は珪素原子を有し、eは1〜8である]に相当するものである。好ましくは、R’は、それぞれ独立して、メチル、エチル、プロピル、ベンジル、tert−ブチル、フェニル、メトキシ、エトキシ又はフェノキシである。
【0055】
2個のK基を含む錯体の例は、式:
【0056】
【化3】

【0057】
[式中、Mはチタン、ジルコニウム又はハフニウム、好ましくは+2又は+4の形式酸化状態のジルコニウム又はハフニウムであり;
3は、それぞれ独立して、水素、ヒドロカルビル、シリル、ゲルミル、シアノ、ハロ及びそれらの組合せからなる群から選ばれ、前記R3は20個の非水素原子を有し、又は隣接R3基は一緒に二価誘導体(即ち、ヒドロカルバジイル、シラジイル又はゲルマジイル基)を形成して、縮合環系を形成し;
X”は、それぞれ独立して、非水素原子40個以下のアニオン性配位基であり、或いは2個のX”基が一緒に、非水素原子40個以下の二価アニオン性配位基を形成するか又は一緒に、非局在化π電子によってM(Mは+2の形式酸化状態にある)に結合した、4〜30個の非水素原子を有する共役ジエンであり;
R’、E及びeは前に定義した通りである]
に相当する化合物である。
【0058】
2個のπ結合基を含む架橋配位子の例は、ジメチルビス(シクロペンタジエニル)シラン、ジメチルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)シラン、ジメチルビス(2−エチルシクロペンタジエン−1−イル)シラン、ジメチルビス(2−t−ブチルシクロペンタジエン−1−イル)シラン、2,2−ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)プロパン、ジメチルビス(インデン−1−イル)シラン、ジメチルビス(テトラヒドロインデン−1−イル)シラン、ジメチルビス(フルオレン−1−イル)シラン、ジメチルビス(テトラヒドロフルオレン−1−イル)シラン、ジメチルビス(2−メチル−4−フェニルインデン−1−イル)シラン、ジメチルビス(2−メチルインデン−1−イル)シラン、ジメチル(シクロペンタジエニル)(フルオレン−1−イル)シラン、ジメチル(シクロペンタジエニル)(オクタヒドロフルオレン−1−イル)シラン、ジメチル(シクロペンタジエニル)(テトラヒドロフルオレン−1−イル)シラン、(1,1,2,2−テトラメチ)−1,2−ビス(シクロペンタジエニル)ジシラン、(1,2−ビス(シクロペンタジエニル)エタン及びジメチル(シクロペンタジエニル)−1−(フルオレン−1−イル)メタンである。
【0059】
好ましいX”基は、水素化物、ヒドロカルビル、シリル、ゲルミル、ハロヒドロカルビル、ハロシリル、シリルヒドロカルビル及びアミノヒドロカルビル基から選ばれ、或いは2個のX”基が一緒に共役ジエンの二価誘導体を形成するか又はそれらが一緒に中性π結合共役ジエンを形成する。
【0060】
前記式の金属錯体の例としては、以下のものが挙げられる:
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジベンジル、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムメチルベンジル、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムメチルフェニル、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジフェニル、
ビス(シクロペンタジエニル)チタン−アリル、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムメチルメトキシド、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムメチルクロリド、
ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、
ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタンジメチル、
ビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、
インデニルフルオレニルジルコニウムジメチル、
ビス(インデニル)ジルコニウムメチル(2−(ジメチルアミノ)ベンジル)、
ビス(インデニル)ジルコニウムメチルトリメチルシリル、
ビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムメチルトリメチルシリル、
ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムメチルベンジル、
ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジベンジル、
ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムメチルメトキシド、
ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムメチルクロリド、
ビス(メチルエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、
ビス(ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジベンジル、
ビス(t−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、
ビス(エチルテトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、
ビス(メチルプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジベンジル、
ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジベンジル、
ジメチルシリルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、
ジメチルシリルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタン(III)アリル、
ジメチルシリルビス(t−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリルビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
(ジメチルシリルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタン(III)2−(ジメチルアミノ)ベンジル、
(ジメチルシリルビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)チタン(III)2−(ジメチルアミノ)ベンジル、
ジメチルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、
ジメチルシリルビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジメチル、
ジメチルシリルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジメチル、
ジメチルシリルビス(2−メチルインデニル)ジルコニウム−1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、
ジメチルシリルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウム(II)1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、
ジメチルシリルビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデン−1−イル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリルビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデン−1−イル)ジルコニウムジメチル、
ジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウム(II)1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、
ジメチルシリルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、
ジメチルシリルビス(フルオレニル)ジルコニウムジメチル、
ジメチルシリルビス(テトラヒドロフルオレニル)ジルコニウムビス(トリメチルシリル)、
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、
エチレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、
エチレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジメチル、
(イソプロピリデン)(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジベンジル、及び
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジメチル。
【0061】
付加重合において使用する金属錯体の更なる種類は、前記式MKZzxに係る化合物又はその二量体(式中、M、K、X、x及びzは前に定義した通りであり、Zは、Kと共にMを含むメタロサイクルを形成する非水素原子50個以下の置換基である)に相当する。
【0062】
好ましいZ置換基には、Kに直接結合した、酸素、硫黄、ホウ素又は元素周期表の第14族の一員である少なくとも1個の原子を含む30個以下の非水素原子と、Mに共有結合した窒素、燐、酸素又は硫黄からなる群から選ばれた別の原子とを含む基がある。
【0063】
より具体的には、この種類の第4族金属錯体には、式:
【0064】
【化4】

【0065】
[式中、Mは、チタン若しくはジルコン、好ましくは+2、+3又は+4の形式酸化状態のチタンであり;
1は、場合によっては、1〜5個のR2基で置換された非局在化π結合配位基であり;
2は、それぞれ独立して、水素、ヒドロカルビル、シリル、ゲルミル、シアノ、ハロ及びそれらの組合せからなる群から選ばれ、前記R2は20個以下の非水素原子を有し、又は隣接R2基が一緒に二価誘導体(即ち、ヒドロカルバジイル、シラジイル又はゲルマジイル基)を形成して、縮合環系を形成し;
各Xはハロ、ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ又はシリル基であり、前記基は20個以下の非水素原子を有し、又は2個のX基が一緒に中性C5〜C30共役ジエン若しくはその二価誘導体を形成し;
xは1又は2であり;
Yは−O−、−S−、−NR’−、−PR’−であり;
X’は、SiR’2、CR’2、SiR’2SiR’2、CR’2CR’2、CR’=CR’、CR’2SiR’2又はGeR’2(R’は、それぞれ独立して、水素、又はシリル、ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ及びそれらの組合せから選ばれた基であり、前記R’は30個以下の炭素又は珪素原子を有する)である]
に相当する「制限幾何触媒(constrained geometry catalysts)」がある。
【0066】
前記制限幾何金属錯体の具体例には、式:
【0067】
【化5】

【0068】
[式中、Arは水素を数えずに6〜30個の原子のアリール基であり;
4は、それぞれ独立して、水素、Ar、又はヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル、トリヒドロカルビルゲルミル、ハライド、ヒドロカルビルオキシ、トリヒドロカルビルシロキシ、ビス(トリヒドロカルビルシリル)アミノ、ジ(ヒドロカルビル)アミノ、ヒドロカルバジイルアミノ、ヒドロカルビルイミノ、ジ(ヒドロカルビル)ホスフィノ、ヒドロカルバジイルホスフィノ、ヒドロカルビルスルフィド、ハロ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ置換ヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル置換ヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリルオキシ置換ヒドロカルビル、ビス(トリヒドロカルビルシリル)アミノ置換ヒドロカルビル、ジ(ヒドロカルビル)アミノ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビレンアミノ置換ヒドロカルビル、ジ(ヒドロカルビル)ホスフィノ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビレンホスフィノ置換ヒドロカルビル若しくはヒドロカルビルスルフィド置換ヒドロカルビルから選ばれたAr以外の基であり、前記R基は水素原子を数えずに40個以下の原子を有し、場合によっては2個の隣接R4基が結合して、多環式縮合環基を形成でき;
Mはチタンであり;
X’は、SiR62、CR62、SiR62SiR62、CR62CR62、CR6=CR6、CR62SiR62、BR6、BR6L”又はGeR62であり;
Yは、−O−、−S−、−NR5−、−PR5−、―NR52又は−PR52であり;
5は、それぞれ独立して、ヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル又はトリヒドロカルビルシリルヒドロカルビルであり、前記R5は水素以外の20個以下の原子を有し、場合によっては2個のR5基が又はR5とY若しくはZとが環系を形成し;
6は、それぞれ独立して、水素、又はヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ、シリル、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリール、−NR52及びそれらの組合せから選ばれた一員であり、前記R6は20個以下の非水素原子を有し、場合によっては2個のR6基が又はR6とZとが環系を形成し;
Zは中性ジエン又は一座若しくは多座ルイス塩基(場合によってはR5、R6又はXに結合した)であり;
Xは水素、水素を数えずに60個以下の原子を有する一価アニオン性配位基であり、又は2個のX基が結合して、二価配位基を形成し;
xは1又は2であり;
zは0、1又は2である]
に相当する化合物がある。
【0069】
前記金属錯体の好ましい例はシクロペンタジエニル又はインデニル基の3位及び4位の両方においてAr基で置換されている。
【0070】
前記金属錯体の例としては、以下のものが挙げられる:
(3−フェニルシクロペンタジエン−1−イル)ジメチル(t−ブチルアミド)シランチタンジクロリド、
(3−フェニルシクロペンタジエン−1−イル)ジメチル(t−ブチルアミド)シランチタンジメチル、
(3−フェニルシクロペンタジエン−1−イル)ジメチル(t−ブチルアミド)シランチタン(II)1,3−ジフェニル−1,3−ブタジエン;
(3−(ピロル−1−イル)シクロペンタジエン−1−イル)ジメチル(t−ブチルアミド)シランチタンジクロリド、
(3−(ピロル−1−イル)シクロペンタジエン−1−イル)ジメチル(t−ブチルアミド)シランチタンジメチル、
(3−(ピロル−1−イル)シクロペンタジエン−1−イル)ジメチル(t−ブチルアミド)シランチタン(II)1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン;
(3−(1−メチルピロル−3−イル)シクロペンタジエン−1−イル)ジメチル(t−ブチルアミド)シランチタンジクロリド、
(3−(1−メチルピロル−3−イル)シクロペンタジエン−1−イル)ジメチル(t−ブチルアミド)シランチタンジメチル、
(3−(1−メチルピロル−3−イル)シクロペンタジエン−1−イル)ジメチル(t−ブチルアミド)シランチタン(II)1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン;
(3,4−ジフェニルシクロペンタジエン−1−イル)ジメチル(t−ブチルアミド)シランチタンジクロリド、
(3,4−ジフェニルシクロペンタジエン−1−イル)ジメチル(t−ブチルアミド)シランチタンジメチル、
(3,4−ジフェニルシクロペンタジエン−1−イル)ジメチル(t−ブチルアミド)シランチタン(II)1,3−ペンタジエン;
(3−(3−N,N−ジメチルアミノ)フェニル)シクロペンタジエン−1−イル)ジメチル(t−ブチルアミド)シランチタンジクロリド、
(3−(3−N,N−ジメチルアミノ)フェニルシクロペンタジエン−1−イル)ジメチル(t−ブチルアミド)シランチタンジメチル、
(3−(3−N,N−ジメチルアミノ)フェニルシクロペンタジエン−1−イル)ジメチル(t−ブチルアミド)シランチタン(II)1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン;
(3−(4−メトキシフェニル)−4−メチルシクロペンタジエン−1−イル)ジメチル(t−ブチルアミド)シランチタンジクロリド、
(3−(4−メトキシフェニル)−4−フェニルシクロペンタジエン−1−イル)ジメチル(t−ブチルアミド)シランチタンジメチル、
(3−(4−メトキシフェニル)−4−フェニルシクロペンタジエン−1−イル)ジメチル(t−ブチルアミド)シランチタン(II)1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン;
(3−フェニル−4−メトキシシクロペンタジエン−1−イル)ジメチル(t−ブチルアミド)シランチタンジクロリド、
(3−フェニル−4−メトキシシクロペンタジエン−1−イル)ジメチル(t−ブチルアミド)シランチタンジメチル、
(3−フェニル−4−メトキシシクロペンタジエン−1−イル)ジメチル(t−ブチルアミド)シランチタン(II)1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン;
(3−フェニル−4−(N,N−ジメチルアミノ)シクロペンタジエン−1−イル)ジメチル(t−ブチルアミド)シランチタンジクロリド、
(3−フェニル−4−(N,N−ジメチルアミノ)シクロペンタジエン−1−イル)ジメチル(t−ブチルアミド)シランチタンジメチル、
(3−フェニル−4−(N,N−ジメチルアミノ)シクロペンタジエン−1−イル)ジメチル(t−ブチルアミド)シランチタン(II)1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン;
2−メチル−(3,4−ジ(4−メチルフェニル)シクロペンタジエン−1−イル)ジメチル(t−ブチルアミド)シランチタンジクロリド、
2−メチル−(3,4−ジ(4−メチルフェニル)シクロペンタジエン−1−イル)ジメチル(t−ブチルアミド)シランチタンジメチル、
2−メチル−(3,4−ジ(4−メチルフェニル)シクロペンタジエン−1−イル)ジメチル(t−ブチルアミド)シランチタン(II)1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン;
((2,3−ジフェニル)−4−(N,N−ジメチルアミノ)シクロペンタジエン−1−イル)ジメチル(t−ブチルアミド)シランチタンジクロリド、
((2,3−ジフェニル)−4−(N,N−ジメチルアミノ)シクロペンタジエン−1−イル)ジメチル(t−ブチルアミド)シランチタンジメチル、
((2,3−ジフェニル)−4−(N,N−ジメチルアミノ)シクロペンタジエン−1−イル)ジメチル(t−ブチルアミド)シランチタン(II)1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン;
(2,3,4−トリフェニル−5−メチルシクロペンタジエン−1−イル)ジメチル(t−ブチルアミド)シランチタンジクロリド、
(2,3,4−トリフェニル−5−メチルシクロペンタジエン−1−イル)ジメチル(t−ブチルアミド)シランチタンジメチル、
(2,3,4−トリフェニル−5−メチルシクロペンタジエン−1−イル)ジメチル(t−ブチルアミド)シランチタン(II)1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン;
(3−フェニル−4−メトキシシクロペンタジエン−1−イル)ジメチル(t−ブチルアミド)シランチタンジクロリド、
(3−フェニル−4−メトキシシクロペンタジエン−1−イル)ジメチル(t−ブチルアミド)シランチタンジメチル、
(3−フェニル−4−メトキシシクロペンタジエン−1−イル)ジメチル(t−ブチルアミド)シランチタン(II)1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン;
(2,3−ジフェニル−4−(n−ブチル)シクロペンタジエン−1−イル)ジメチル(t−ブチルアミド)シランチタンジクロリド、
(2,3−ジフェニル−4−(n−ブチル)シクロペンタジエン−1−イル)ジメチル(t−ブチルアミド)シランチタンジメチル、
(2,3−ジフェニル−4−(n−ブチル)シクロペンタジエン−1−イル)ジメチル(t−ブチルアミド)シランチタン(II)1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン;
(2,3,4,5−テトラフェニルシクロペンタジエン−1−イル)ジメチル(t−ブチルアミド)シランチタンジクロリド、
(2,3,4,5−テトラフェニルシクロペンタジエン−1−イル)ジメチル(t−ブチルアミド)シランチタンジメチル、及び
(2,3,4,5−テトラフェニルシクロペンタジエン−1−イル)ジメチル(t−ブチルアミド)シランチタン(II)1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン。
【0071】
付加重合に適当な金属錯体の更なる例は、式:
【0072】
【化6】

【0073】
[式中、Mは+2、+3又は+4の形式酸化状態にあるチタンであり;
7は、それぞれ独立して、水素化物、ヒドロカルビル、シリル、ゲルミル、ハライド、ヒドロカルビルオキシ、ヒドロカルビルシロキシ、ヒドロカルビルシリルアミノ、ジ(ヒドロカルビル)アミノ、ヒドロカルビレンアミノ、ジ(ヒドロカルビル)ホスフィノ、ヒドロカルビレン−ホスフィノ、ヒドロカルビルスルフィド、ハロ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ置換ヒドロカルビル、シリル置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルシロキシ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルシリルアミノ置換ヒドロカルビル、ジ(ヒドロカルビル)アミノ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビレンアミノ置換ヒドロカルビル、ジ(ヒドロカルビル)ホスフィノ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビレン−ホスフィノ置換ヒドロカルビル又はヒドロカルビルスルフィド置換ヒドロカルビルであり、前記R7基は水素を数えずに40個以下の原子を有し、場合によっては2個又はそれ以上の前記基が一緒に二価誘導体を形成でき;
8は金属錯体の残りと共に縮合系を形成する二価ヒドロカルビレン基又は置換ヒドロカルビレン基であり、前記R8は水素を数えずに1〜30個の原子を含み;
aは二価の部分、又はMへの配位−供給結合を形成できる、1個のσ結合と中性2電子対を含む部分であり、前記Xaは、ホウ素又は元素周期表の第14族の一員を含み且つまた窒素、燐、硫黄又は酸素を含み;
Xは環状非局在化π結合配位基である配位子の類を除いた60個以下の原子を有する一価アニオン性配位基であり、場合によっては2個のX基が一緒に二価配位基を形成し;
Zは、それぞれ独立して、20個以下の原子を有する中性配位化合物であり;
xは0、1又は2であり;
zは0又は1である]
に相当する多環式錯体である。
【0074】
このような錯体の好ましい例は、式:
【0075】
【化7】

【0076】
に相当する3−フェニル置換s−インデセニル錯体;式
【0077】
【化8】

【0078】
に相当する2,3−ジメチル置換s−インデセニル錯体;又は式:
【0079】
【化9】

【0080】
に相当する2−メチル置換s−インデセニル錯体である。
【0081】
本発明に従って触媒(A)として有効に使用される金属錯体の別の例には、式:
【0082】
【化10】

【0083】
を有するものがある。
【0084】
具体的な金属錯体としては、以下のものが挙げられる:
(8−メチレン−1,8−ジヒドロジベンゾ[e,h]アズレン−1−イル)−N−(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシランアミドチタン(II)1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、
(8−メチレン−1,8−ジヒドロジベンゾ[e,h]アズレン−1−イル)−N−(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシランアミドチタン(II)1,3−ペンタジエン、
(8−メチレン−1,8−ジヒドロジベンゾ[e,h]アズレン−1−イル)−N−(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシランアミドチタン(III)2−(N,N−ジメチルアミノ)ベンジル、
(8−メチレン−1,8−ジヒドロジベンゾ[e,h]アズレン−1−イル)−N−(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシランアミドチタン(IV)ジクロリド、
(8−メチレン−1,8−ジヒドロジベンゾ[e,h]アズレン−1−イル)−N−(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシランアミドチタン(IV)ジメチル、
(8−メチレン−1,8−ジヒドロジベンゾ[e,h]アズレン−1−イル)−N−(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシランアミドチタン(IV)ジベンジル、
(8−ジフルオロメチレン−1,8−ジヒドロジベンゾ[e,h]アズレン−1−イル)−N−(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシランアミドチタン(II)1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、
(8−ジフルオロメチレン−1,8−ジヒドロジベンゾ[e,h]アズレン−1−イル)−N−(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシランアミドチタン(II)1,3−ペンタジエン、
(8−ジフルオロメチレン−1,8−ジヒドロジベンゾ[e,h]アズレン−1−イル)−N−(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシランアミドチタン(III)2−(N,N−ジメチルアミノ)ベンジル、
(8−ジフルオロメチレン−1,8−ジヒドロジベンゾ[e,h]アズレン−1−イル)−N−(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシランアミドチタン(IV)ジクロリド、
(8−ジフルオロメチレン−1,8−ジヒドロジベンゾ[e,h]アズレン−1−イル)−N−(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシランアミドチタン(IV)ジメチル、
(8−ジフルオロメチレン−1,8−ジヒドロジベンゾ[e,h]アズレン−1−イル)−N−(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシランアミドチタン(IV)ジベンジル、
(8−メチレン−1,8−ジヒドロジベンゾ[e,h]アズレン−2−イル)−N−(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシランアミドチタン(II)1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、
(8−メチレン−1,8−ジヒドロジベンゾ[e,h]アズレン−2−イル)−N−(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシランアミドチタン(II)1,3−ペンタジエン、
(8−メチレン−1,8−ジヒドロジベンゾ[e,h]アズレン−2−イル)−N−(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシランアミドチタン(III)2−(N,N−ジメチルアミノ)ベンジル、
(8−メチレン−1,8−ジヒドロジベンゾ[e,h]アズレン−2−イル)−N−(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシランアミドチタン(IV)ジクロリド、
(8−メチレン−1,8−ジヒドロジベンゾ[e,h]アズレン−2−イル)−N−(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシランアミドチタン(IV)ジメチル、
(8−メチレン−1,8−ジヒドロジベンゾ[e,h]アズレン−2−イル)−N−(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシランアミドチタン(IV)ジベンジル、
(8−ジフルオロメチレン−1,8−ジヒドロジベンゾ[e,h]アズレン−2−イル)−N−(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシランアミドチタン(II)1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、
(8−ジフルオロメチレン−1,8−ジヒドロジベンゾ[e,h]アズレン−2−イル)−N−(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシランアミドチタン(II)1,3−ペンタジエン、
(8−ジフルオロメチレン−1,8−ジヒドロジベンゾ[e,h]アズレン−2−イル)−N−(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシランアミドチタン(III)2−(N,N−ジメチルアミノ)ベンジル、
(8−ジフルオロメチレン−1,8−ジヒドロジベンゾ[e,h]アズレン−2−イル)−N−(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシランアミドチタン(IV)ジクロリド、
(8−ジフルオロメチレン−1,8−ジヒドロジベンゾ[e,h]アズレン−2−イル)−N−(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシランアミドチタン(IV)ジメチル、
(8−ジフルオロメチレン−1,8−ジヒドロジベンゾ[e,h]アズレン−2−イル)−N−(1,1−ジメチルエチル)ジメチルシランアミドチタン(IV)ジベンジル、及びそれらの混合物、特に位置異性体の混合物。
【0085】
付加重合法に使用するための金属錯体の説明に役立つ更なる実例は、式:
【0086】
【化11】

【0087】
[式中、Mは+2、+3又は+4の形式酸化状態のチタンであり;
Tは−NR9−又は−O−であり;
9はヒドロカルビル、シリル、ゲルミル、ジヒドロカルビルボリル若しくはハロヒドロカルビル又は水素を数えずに10個以下の原子であり;
10は、それぞれ独立して、水素、ヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル、トリヒドロカルビルシリルヒドロカルビル、ゲルミル、ハライド、ヒドロカルビルオキシ、ヒドロカルビルシロキシ、ヒドロカルビルシリルアミノ、ジ(ヒドロカルビル)アミノ、ヒドロカルビレンアミノ、ジ(ヒドロカルビル)ホスフィノ、ヒドロカルビレン−ホスフィノ、ヒドロカルビルスルフィド、ハロ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ置換ヒドロカルビル、シリル置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルシロキシ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルシリルアミノ置換ヒドロカルビル、ジ(ヒドロカルビル)アミノ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビレンアミノ置換ヒドロカルビル、ジ(ヒドロカルビル)ホスフィノ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビレンホスフィノ置換ヒドロカルビル又はヒドロカルビルスルフィド置換ヒドロカルビルであり、前記R10基は水素原子を数えずに40個以下の原子を有し、場合によっては2個又はそれ以上の前記隣接R10基が一緒に二価誘導体を形成して、飽和又は不飽和縮合環を形成でき;
aは非局在化π電子を有さない二価の部分、又はMへの配位−共有結合を形成できる1個のσ結合と中性の2個の電子対を含むこのような部分であり、前記Xは、ホウ素又は元素周期表の第14族の一員を含み且つまた窒素、燐、硫黄又は酸素を含み;
Xは非局在化π電子によってMに結合した環状配位基である配位子の類を除いた60個以下の原子を有する一価アニオン性配位基であるか、又は2個のX基が一緒になって二価アニオン性配位基であり;
Zは、それぞれ独立して、20個以下の原子を有する中性配位化合物であり;
xは0、1、2又は3であり;
zは0又は1である]
に相当する。
【0088】
極めて好ましくは、Tは=N(CH3)であり、Xはハロ又はヒドロカルビルであり、xは2であり、X’はジメチルシランであり、zは0であり、且つR10はそれぞれ、水素、ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ、ジヒドロカルビルアミノ、ヒドロカルビレンアミノ、ジヒドロカルビルアミノ置換ヒドロカルビル基又はヒドロカルビレンアミノ置換ヒドロカルビル基(水素を数えずに20個の原子の)であり、場合によっては2個のR10基が結合することができる。
【0089】
前記式の金属錯体の実例としては、以下の化合物が挙げられる:
(t−ブチルアミド)ジメチル−[6,7]ベンゾ−[4,5:2’,3’](1−メチルイソインドール)−(3H)−インデン−2−イル)シランチタン(II)1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、
(t−ブチルアミド)ジメチル−[6,7]ベンゾ−[4,5:2’,3’](1−メチルイソインドール)−(3H)−インデン−2−イル)シランチタン(II)1,3−ペンタジエン、
(t−ブチルアミド)ジメチル−[6,7]ベンゾ−[4,5:2’,3’](1−メチルイソインドール)−(3H)−インデン−2−イル)シランチタン(III)2−(N,N−ジメチルアミノ)ベンジル、
(t−ブチルアミド)ジメチル−[6,7]ベンゾ−[4,5:2’,3’](1−メチルイソインドール)−(3H)−インデン−2−イル)シランチタン(IV)ジクロリド、
(t−ブチルアミド)ジメチル−[6,7]ベンゾ−[4,5:2’,3’](1−メチルイソインドール)−(3H)−インデン−2−イル)シランチタン(IV)ジメチル、
(t−ブチルアミド)ジメチル−[6,7]ベンゾ−[4,5:2’,3’](1−メチルイソインドール)−(3H)−インデン−2−イル)シランチタン(IV)ジベンジル、
(t−ブチルアミド)ジメチル−[6,7]ベンゾ−[4,5:2’,3’](1−メチルイソインドール)−(3H)−インデン−2−イル)シランチタン(IV)ビス(トリメチルシリル)、
(シクロヘキシルアミド)ジメチル−[6,7]ベンゾ−[4,5:2’,3’](1−メチルイソインドール)−(3H)−インデン−2−イル)シランチタン(II)1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、
(シクロヘキシルアミド)ジメチル−[6,7]ベンゾ−[4,5:2’,3’](1−メチルイソインドール)−(3H)−インデン−2−イル)シランチタン(II)1,3−ペンタジエン、
(シクロヘキシルアミド)ジメチル−[6,7]ベンゾ−[4,5:2’,3’](1−メチルイソインドール)−(3H)−インデン−2−イル)シランチタン(III)2−(N,N−ジメチルアミノ)ベンジル、
(シクロヘキシルアミド)ジメチル−[6,7]ベンゾ−[4,5:2’,3’](1−メチルイソインドール)−(3H)−インデン−2−イル)シランチタン(IV)ジクロリド、
(シクロヘキシルアミド)ジメチル−[6,7]ベンゾ−[4,5:2’,3’](1−メチルイソインドール)−(3H)−インデン−2−イル)シランチタン(IV)ジメチル、
(シクロヘキシルアミド)ジメチル−[6,7]ベンゾ−[4,5:2’,3’](1−メチルイソインドール)−(3H)−インデン−2−イル)シランチタン(IV)ジベンジル、
(シクロヘキシルアミド)ジメチル−[6,7]ベンゾ−[4,5:2’,3’](1−メチルイソインドール)−(3H)−インデン−2−イル)シランチタン(IV)ビス(トリメチルシリル)、
(t−ブチルアミド)ジ(p−メチルフェニル)−[6,7]ベンゾ−[4,5:2’,3’](1−メチルイソインドール)−(3H)−インデン−2−イル)シランチタン(II)1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、
(t−ブチルアミド)ジ(p−メチルフェニル)−[6,7]ベンゾ−[4,5:2’,3’](1−メチルイソインドール)−(3H)−インデン−2−イル)シランチタン(II)1,3−ペンタジエン、
(t−ブチルアミド)ジ(p−メチルフェニル)−[6,7]ベンゾ−[4,5:2’,3’](1−メチルイソインドール)−(3H)−インデン−2−イル)シランチタン(III)2−(N,N−ジメチルアミノ)ベンジル、
(t−ブチルアミド)ジ(p−メチルフェニル)−[6,7]ベンゾ−[4,5:2’,3’](1−メチルイソインドール)−(3H)−インデン−2−イル)シランチタン(IV)ジクロリド、
(t−ブチルアミド)ジ(p−メチルフェニル)−[6,7]ベンゾ−[4,5:2’,3’](1−メチルイソインドール)−(3H)−インデン−2−イル)シランチタン(IV)ジメチル、
(t−ブチルアミド)ジ(p−メチルフェニル)−[6,7]ベンゾ−[4,5:2’,3’](1−メチルイソインドール)−(3H)−インデン−2−イル)シランチタン(IV)ジベンジル、
(t−ブチルアミド)ジ(p−メチルフェニル)−[6,7]ベンゾ−[4,5:2’,3’](1−メチルイソインドール)−(3H)−インデン−2−イル)シランチタン(IV)ビス(トリメチルシリル)、
(シクロヘキシルアミド)ジ(p−メチルフェニル)−[6,7]ベンゾ−[4,5:2’,3’](1−メチルイソインドール)−(3H)−インデン−2−イル)シランチタン(II)1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、
(シクロヘキシルアミド)ジ(p−メチルフェニル)−[6,7]ベンゾ−[4,5:2’,3’](1−メチルイソインドール)−(3H)−インデン−2−イル)シランチタン(II)1,3−ペンタジエン、
(シクロヘキシルアミド)ジ(p−メチルフェニル)−[6,7]ベンゾ−[4,5:2’,3’](1−メチルイソインドール)−(3H)−インデン−2−イル)シランチタン(III)2−(N,N−ジメチルアミノ)ベンジル、
(シクロヘキシルアミド)ジ(p−メチルフェニル)−[6,7]ベンゾ−[4,5:2’,3’](1−メチルイソインドール)−(3H)−インデン−2−イル)シランチタン(IV)ジクロリド、
(シクロヘキシルアミド)ジ(p−メチルフェニル)−[6,7]ベンゾ−[4,5:2’,3’](1−メチルイソインドール)−(3H)−インデン−2−イル)シランチタン(IV)ジメチル、
(シクロヘキシルアミド)ジ(p−メチルフェニル)−[6,7]ベンゾ−[4,5:2’,3’](1−メチルイソインドール)−(3H)−インデン−2−イル)シランチタン(IV)ジベンジル、及び
(シクロヘキシルアミド)ジ(p−メチルフェニル)−[6,7]ベンゾ−[4,5:2’,3’](1−メチルイソインドール)−(3H)−インデン−2−イル)シランチタン(IV)ビス(トリメチルシリル)。
【0090】
第4族金属錯体の追加の例としては以下のものが挙げられる:
(tert−ブチルアミド)(1,1−ジメチル−2,3,4,9,10−η−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロナフタレニル)ジメチルシランチタンジメチル、
(tert−ブチルアミド)(1,1,2,3−テトラメチル−2,3,4,9,10−η−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロナフタレニル)ジメチルシランチタンジメチル、
(tert−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)ジメチルシランチタンジベンジル、
(tert−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)ジメチルシランチタンジメチル、
(tert−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルチタンジメチル、
(tert−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−インデニル)ジメチルシランチタンジメチル、
(tert−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)ジメチルシランチタン(III)2−(ジメチルアミノ)ベンジル;
(tert−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)ジメチルシランチタン(III)アリル、
(tert−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)ジメチルシランチタン(III)2,4−ジメチルペンタジエニル、
(tert−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)ジメチルシランチタン(II)1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、
(tert−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)ジメチルシランチタン(II)1,3−ペンタジエン、
(tert−ブチルアミド)(2−メチルインデニル)ジメチルシランチタン(II)1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、
(tert−ブチルアミド)(2−メチルインデニル)ジメチルシランチタン(II)2,4−ヘキサジエン、
(tert−ブチルアミド)(2−メチルインデニル)ジメチルシランチタン(IV)2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、
(tert−ブチルアミド)(2−メチルインデニル)ジメチルシランチタン(IV)イソプレン、
(tert−ブチルアミド)(2−メチルインデニル)ジメチルシランチタン(IV)1,3−ブタジエン、
(tert−ブチルアミド)(2,3−ジメチルインデニル)ジメチルシランチタン(IV)2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、
(tert−ブチルアミド)(2,3−ジメチルインデニル)ジメチルシランチタン(IV)イソプレン、
(tert−ブチルアミド)(2,3−ジメチルインデニル)ジメチルシランチタン(IV)ジメチル、
(tert−ブチルアミド)(2,3−ジメチルインデニル)ジメチルシランチタン(IV)ジベンジル、
(tert−ブチルアミド)(2,3−ジメチルインデニル)ジメチルシランチタン(IV)1,3−ブタジエン、
(tert−ブチルアミド)(2,3−ジメチルインデニル)ジメチルシランチタン(II)1,3−ペンタジエン、
(tert−ブチルアミド)(2,3−ジメチルインデニル)ジメチルシランチタン(II)1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、
(tert−ブチルアミド)(2−メチルインデニル)ジメチルシランチタン(II)1,3−ペンタジエン、
(tert−ブチルアミド)(2−メチルインデニル)ジメチルシランチタン(IV)ジメチル、
(tert−ブチルアミド)(2−メチルインデニル)ジメチルシランチタン(IV)ジベンジル、
(tert−ブチルアミド)(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジメチルシランチタン(II)1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、
(tert−ブチルアミド)(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジメチルシランチタン(II)1,3−ペンタジエン、
(tert−ブチルアミド)(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジメチルシランチタン(II)2,4−ヘキサジエン、
(tert−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)ジメチルシランチタン(IV)1,3−ブタジエン、
(tert−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)ジメチルシランチタン(IV)2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、
(tert−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)ジメチルシランチタン(IV)イソプレン、
(tert−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)ジメチルシランチタン(II)1,4−ジベンジル−1,3−ブタジエン、
(tert−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)ジメチルシランチタン(II)2,4−ヘキサジエン、
(tert−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)ジメチルシランチタン(II)3−メチル−1,3−ペンタジエン、
(tert−ブチルアミド)(2,4−ジメチルペンタジエン−3−イル)ジメチルシランチタンジメチル、
(tert−ブチルアミド)(6,6−ジメチルシクロヘキサジエニル)ジメチルシランチタンジメチル、
(tert−ブチルアミド)(1,1−ジメチル−2,3,4,9,10−η−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロナフタレン−4−イル)ジメチルシランチタンジメチル、
(tert−ブチルアミド)(1,1,2,3−テトラメチル−2,3,4,9,10−η−1,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロナフタレン−4−イル)ジメチルシランチタンジメチル、
(tert−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル=メチルフェニルシランチタン(IV)ジメチル、
(tert−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル=メチルフェニルシランチタン(II)1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、
1−(tert−ブチルアミド)−2−(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)エタンジイルチタン(IV)ジメチル、及び
1−(tert−ブチルアミド)−2−(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)エタンジイルチタン(II)1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン。
【0091】
言うまでもなく、他の非局在化π結合錯体、特に他の第4族金属を含むものも当業者には明らかであろう。これらは特に、以下:WO03/78480、WO03/78483、WO02/92610、WO02/02577、US2003/0004286及び米国特許第6,515,155号、第6,555,634号、第6,150,297号、第6,034,022号、第6,268,444号、第6,015,868号、第5,866,704号及び第5,470,993号に開示されている。
【0092】
付加重合のための金属錯体の追加の例は、多価ルイス塩基の金属錯体、例えば式:
【0093】
【化12】

【0094】
好ましくは
【0095】
【化13】

【0096】
[式中、Tbは、好ましくは水素以外の2個又はそれ以上の原子を含む架橋基であり;
b及びYbは、それぞれ独立して、窒素、硫黄、酸素及び燐からなる群か選ばれ、より好ましくはXb及びYbが共に窒素であり;
b及びRb’は、それぞれ独立して、水素、或いは任意的な1個若しくはそれ以上のヘテロ原子を含むC1〜C50ヒドロカルビル基又はその不活性置換誘導体であり(適当なRb及びRb’基の非限定的例にはアルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、(ポリ)アルキルアリール及びシクロアルキル基並びにそれらの窒素、燐、酸素及びハロゲン置換誘導体があり、適当なRb及びRb’の具体例としてはメチル、エチル、イソプロピル、オクチル、フェニル、2,6−ジメチルフェニル、2,6−ジ(イソプロピル)フェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、ペンタフルオロフェニル、3,5−トリフルオロメチルフェニル及びベンジルが挙げられる);
gは0又は1であり;
bは、元素周期表の第3族〜第15族又はランタニド系列から選ばれた金属元素、好ましくは第3族〜第13族金属、より好ましくは第4族〜第10族金属であり;
bは水素を数えずに1〜50個の原子を含む一価、二価又は三価アニオン性配位子であり(適当なLb基の例としては、ハライド;水素化物;ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ;ジ(ヒドロカルビル)アミド、ヒドロカルビレンアミド、ジ(ヒドロカルビル)ホスフィド;ヒドロカルビルスルフィド;ヒドロカルビルオキシ、トリ(ヒドロカルビルシリル)アルキル;及びカルボキシレートが挙げられ、より好ましいLb基はC1〜C20アルキル、C7〜C20アラルキル及び塩化物である);
hは1〜6、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3の整数であり、jは1又は2であり、h×jの値は電荷を釣り合わせるように選ばれ;
bは、水素を数えずに50個以下の原子を含む、Mbに配位した中性配位基であり(好ましいZb基には脂肪族及び芳香族アミン、ホスフィン、並びにエーテル、アルキン、アルカジエン、更にはそれらの不活性置換誘導体があり、適当な不活性置換基にはハロゲン、アルコキシ、アリールオキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ジ(ヒドロカルビル)アミン、トリ(ヒドロカルビル)シリル及びニトリル基があり、好ましいZb基としてはトリフェニルホスフィン、テトラヒドロフラン、ピリジン及び1,4−ジフェニルブタジエンが挙げられる);
fは1〜3の整数であり;
b、Rb及びRb’の2つ又は3つが結合して、単環又は多環構造を形成することができ;
hは、1〜6、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜3の整数である]
を有する化合物である。
【0097】
一実施態様において、RbはXbに対して比較的小さい立体障害を有するのが好ましい。この実施態様において、最も好ましいRb基は、直鎖アルキル基、直鎖アルケニル基、最も近い分岐点がXbから少なくとも3原子隔たっている分岐鎖アルキル基及びそれらのハロ、ジヒドロカルビルアミノ、アルコキシ又はトリヒドロカルビルシリル置換誘導体である。この実施態様において極めて好ましいRb基はC1〜C8直鎖アルキル基である。
【0098】
同時に、この実施態様において、Rb’は好ましくはYbに対して比較的大きい立体障害を有する。この実施態様に適当なRb’の非限定的例としては、1個又はそれ以上の第二又は第三炭素中心を含むアルキル又はアルケニル基、シクロアルキル、アリール、アルカリール、脂肪族若しくは芳香族複素環式基、有機若しくは無機オリゴマー、ポリマー若しくは環状基、及びそれらのハロ、ジヒドロカルビルアミノ、アルコキシ若しくはトリヒドロカルビルシリル置換誘導体が挙げられる。この実施態様における好ましいRb’基は水素を数えずに3〜40個、より好ましくは3〜30個、最も好ましくは4〜20個の原子を含み、分岐鎖又は環状である。
【0099】
好ましいTb基の例は、以下の式:
【0100】
【化14】

【0101】
に相当する構造である。前記式において、各Rdは、C1〜C10ヒドロカルビル基、好ましくはメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、t−ブチル、フェニル、2,6−ジメチルフェニル、ベンジル又はトリルである。各Reは、C1〜C10ヒドロカルビル、好ましくはメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、t−ブチル、フェニル、2,6−ジメチルフェニル、ベンジル又はトリルである。更に、Rd若しくはRe基の2つ若しくはそれ以上が又はRd基とRe基の混合物が一緒になって、1,4−ブチレン、1,5−ペンチレンのようなヒドロカルビル基の多価誘導体、又はナフタレン−1,8−ジイルのような多環式縮合環多価ヒドロカルビル基若しくはヘテロヒドロカルビル基を形成できる。
【0102】
前記多価ルイス塩基錯体の好ましい例としては、以下のものが挙げられる:
【0103】
【化15】

【0104】
[式中、Rd’は、それぞれ独立して、水素及び1個若しくはそれ以上のヘテロ原子を任意的に含むC1〜C50ヒドロカルビル基、又はそれらの不活性置換誘導体から選ばれ、或いは更に場合によっては2つの隣接Rd’基が一緒になって二価架橋基を形成することができ;
d’は4であり;
b’は、第4族金属、好ましくはチタン若しくはハフニウム又は第10族金属、好ましくはNi若しくはPdであり;
b’は、水素を数えずに原子50個以下の一価配位子、好ましくはハライド若しくはヒドロカルビルであり、又は2個のLb’基が一緒になって二価若しくは中性配位基、好ましくはC2〜C50ヒドロカルビレン、ヒドロカルバジイル若しくはジエン基である]。
【0105】
多価ルイス塩基錯体としては、更に第4族金属誘導体、特に式:
【0106】
【化16】

【0107】
[式中、R11は、水素を数えずに1〜30個の原子を含むアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロへテロアルキル、アリール及びそれらの不活性置換誘導体又はそれらの二価誘導体から選ばれ;
1は、水素以外の1〜41個の原子の、好ましくは水素以外の1〜20個の原子の二価架橋基、最も好ましくはモノ−又はジ−C1〜C20ヒドロカルビル置換メチレン又はシラン基であり;
12は、ルイス塩基官能価を含むC5〜C20ヘテロアリール基、特にピリジン−2−イル基若しくは置換ピリジン−2−イル基又はそれらの二価誘導体であり;
1は、第4族金属、好ましくはジルコニウム又はハフニウムであり;
1は、アニオン性、中性又はジアニオン性配位基であり;
x’は0〜5の数字であって、このようなX1基の数を表し;
結合、任意結合及び電子供与性相互作用はそれぞれ、線、点線及び矢印で表される]
に相当するヒドロカルビルアミン置換へテロアリール化合物のハフニウム誘導体が挙げられる。
【0108】
好ましい錯体は、配位子形成が、アミン基からの水素脱離、及び、場合によっては、1個又はそれ以上の更なる基(特にR12からの)の喪失によるものである。更に、ルイス塩基官能価、好ましくは電子対からの電子供与は、金属中心に更なる安定性をもたらす。好ましい金属錯体は式:
【0109】
【化17】

【0110】
[式中、M1、X1、x’、R11及びT1は前に定義した通りであり、
13、R14、R15及びR16は水素、ハロ、又は水素を数えずに原子20個以下のアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール若しくはシリル基であり、或いは隣接R13、R14、R15若しくはR16基が結合して、縮合環誘導体を形成でき、
結合、任意結合及び電子対供与性相互作用はそれぞれ、線、点線及び矢印で表される]
に相当する。
【0111】
前記金属錯体のより好ましい例は、式:
【0112】
【化18】

【0113】
[式中、M1、X1及びx’は前に定義した通りであり、
13、R14、R15及びR16は前に定義した通りであり、好ましくはR13、R14及びR15が水素又はC1〜C4アルキルであり且つR16がC6〜C20アリール、最も好ましくはナフタレニルであり;
aは、それぞれ独立して、C1〜C4アルキルであり且つaは1〜5であり、最も好ましくは窒素に対して2つのオルト位にあるRaがイソプロピル又はt−ブチルであり;
17及びR18は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン又はC1〜C20アルキル若しくはアリール基であり、最も好ましくはR17及びR18の一方が水素であり且つ他方がC6〜C20アリール基、特に2−イソプロピル、フェニル又は縮合多環式アリール基、最も好ましくはアントラセニル基であり、
結合、任意結合及び電子対供与性相互作用はそれぞれ、線、点線及び矢印で表される]
に相当する。
【0114】
極めて好ましいアミンドナー金属錯体は式:
【0115】
【化19】

【0116】
[式中、X1は、それぞれ、ハライド、N,N−ジメチルアミド又はC1〜C4アルキルであり、好ましくは各X1がメチルであり;
c、Rf及びRgは、それぞれ独立して、ハロゲン、C1〜C20アルキル又はC6〜C20アリールであり、又は2つの隣接Rc、Rf又はRg基が結合して環を形成し、cは1〜4の整数であり、f及びgは独立して1〜5の整数であり;
hは、それぞれ独立して、水素又はC1〜C6アルキルである]
に相当する。
【0117】
このようなアミンドナー金属錯体の最も好ましい例は、下記式:
【0118】
【化20】

【0119】
[式中、RxはC1〜C4アルキル又はシクロアルキル、好ましくはメチル、イソプロピル、t−ブチル又はシクロヘキシルであり、X1は、それぞれ、ハライド、N,N−ジメチルアミド又はC1〜C4アルキル、好ましくはメチルである]
の化合物である。
【0120】
例としては、以下のものが挙げられる:
[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド)(o−トリル)(α−ナフタレン−2−ジイル(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジメチル;
[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド)(o−トリル)(α−ナフタレン−2−ジイル(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジ(N,N−ジメチルアミド);
[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド)(o−トリル)(α−ナフタレン−2−ジイル(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジクロリド;
[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド)(2−イソプロピルフェニル)(α−ナフタレン−2−ジイル(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジメチル;
[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド)(2−イソプロピルフェニル)(α−ナフタレン−2−ジイル(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジ(N,N−ジメチルアミド);
[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド)(2−イソプロピルフェニル)(α−ナフタレン−2−ジイル(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジクロリド;
[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド)(フェナントレン−5−イル)(α−ナフタレン−2−ジイル(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジメチル;
[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド)(フェナントレン−5−イル)(α−ナフタレン−2−ジイル(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジ(N,N−ジメチルアミド);
[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド)(フェナントレン−5−イル)(α−ナフタレン−2−ジイル(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジクロリド;
[N−[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−α−[2−(1−メチルエチル)フェニル]−6−(1,2−ナフタレンジイル−κ−C2)−2−ピリジンメタンアミネート(2−)−κN1,κN2]ハフニウムジメチル;
[N−[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−α−[2−(1−メチルエチル)フェニル]−6−(1,2−ナフタレニル−κ−C2)−2−ピリジンメタンアミネート(2−)−κN1,κN2]ハフニウムジ(n−ブチル);
[N−[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−α−[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−6−(1,2−ナフタレンジイル−κ−C2)−2−ピリジンメタンアミネート(2−)−κN1,κN2]ハフニウムジメチル;
[N−[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−α−[2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル]−6−(1,2−ナフタレニル−κ−C2)−2−ピリジンメタンアミネート(2−)−κN1,κN2]ハフニウムジ(n−ブチル);
[N−[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−α−[2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル]−5−(2−エチルベンゾフラン−3−イル−κ−C4)−2−(N’−メチル)イミダゾル−2−イル)メタンアミネート(2−)−κN1,κN2]ハフニウムジメチル;
[N−[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−α−[2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル]−5−(2−エチルベンゾフラン−3−イル−κ−C4)−2−(N’−メチル)イミダゾル−2−イル)メタンアミネート(2−)−κN1,κN2]ハフニウムジ(n−ブチル);
[N−[2,4,6−トリス(1−メチルエチル)フェニル]−α−[2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル]−5−(2−エチルベンゾフラン−3−イル−κ−C4)−2−(N’−メチル)イミダゾル−2−イル)メタンアミネート(2−)−κN1,κN2]ハフニウムジ(メチル);及び
[N−[2,4,6−トリス(1−メチルエチル)フェニル]−α−[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−6−(1,2−ナフタレニル−κ−C4)−2−ピリジンメタンアミネート(2−)−κN1,κN2]ハフニウムジ(n−ブチル)。
【0121】
多価ルイス塩基の更なる適当な金属錯体としては、式:
【0122】
【化21】

【0123】
[式中、R20は、水素を数えずに5〜20個の原子を含む芳香族若しくは不活性置換芳香族基、又はそれらの多価誘導体であり;
3は、水素を数えずに1〜20個の原子を有するヒドロカルビレン若しくはシラン基、又はそれらの不活性置換誘導体であり;
3は第4族金属、好ましくはジルコニウム又はハフニウムであり;
Gはアニオン性、中性又はジアニオン性配位基;好ましくは水素を数えずに20個以下の原子を有するハライド、ヒドロカルビル又はジヒドロカルビルアミド基であり;
gは1〜5の数であり、このようなG基の数を示し;
結合及び電子供与性相互作用はそれぞれ、線及び矢印で表される]
に相当するポリエーテル化合物が挙げられる。
【0124】
好ましくは、このような錯体は、式:
【0125】
【化22】

【0126】
[式中、T3は、水素を数えずに原子2〜20個の二価架橋基、好ましくは置換又は非置換C3〜C6アルキレン基であり;
Ar2は、それぞれ独立して、水素を数えずに原子6〜20個のアリーレン基又はアルキル−若しくはアリール−置換アリーレン基であり;
3は第4族金属、好ましくはハフニウム又はジルコニウムであり;
Gは、それぞれ独立して、アニオン性、中性又はジアニオン性配位基であり;
gは1〜5の数であり、このようなX基の数を示し;
電子供与性相互作用は矢印で表される]
に相当する。
【0127】
前記式の金属錯体の例としては、下記化合物が挙げられる:
【0128】
【化23】

【0129】
[式中、M3はHf又はZrであり;
Ar4はC6〜C20アリール又はそれらの不活性置換誘導体、特に3,5−ジ(イソプロピル)フェニル、3,5−ジ(イソブチル)フェニル、ジベンゾ−1H−ピロル−1−イル又はアントラセン−5−イルであり;
4は、それぞれ独立して、C3〜C6アルキレン基、C3〜C6シクロアルキレン基又はそれらの不活性置換誘導体を含み;
21は、それぞれ独立して、水素、ハロ、ヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル又はトリヒドロカルビルシリルヒドロカルビル(水素を数えずに原子50個以下の)であり;
Gは、それぞれ独立して、ハロ又は水素を数えずに原子20個以下のヒドロカルビル若しくはトリヒドロカルビルシリル基であり、或いは2個のG基が一緒になって前記ヒドロカルビル若しくはトリヒドロカルビルシリル基の二価誘導体である]。
【0130】
特に好ましいのは、式:
【0131】
【化24】

【0132】
[式中、Ar4は、3,5−ジ(イソプロピル)フェニル、3,5−ジ(イソブチル)フェニル、ジベンゾ−1H−ピロール−1−イル又はアントラセン−5−イルであり;
21は、水素、ハロ又はC1〜C4アルキル、特にメチルであり;
4は、プロパン−1,3−ジイル又はブタン−1,4−ジイルであり、
Gは、クロロ、メチル又はベンジルである]
の化合物である。
【0133】
前記式の最も好ましい金属錯体は、
【0134】
【化25】

【0135】
である。
【0136】
前記多価ルイス塩基錯体は好都合には、遷移金属源及び中性多価配位子源を含む標準的メタル化及び配位子交換法によって製造される。更に、錯体はまた、対応する第4族金属テトラアミド及びヒドロカルビル化剤、例えばトリメチルアルミニウムを出発原料とする、アミド脱離及びヒドロカルビル化法によって製造できる。他の方法も同様に使用できる。これらの錯体は中でも米国特許第6,320,005号、第6,103,657号、WO02/38628、WO03/40195及びUS04/0220050の開示から知られている。
【0137】
不飽和ポリマー試薬の合成用助触媒
一般に、前記金属錯体は、活性化助触媒と接触させることによってオレフィン重合に対して活性にする。適当な助触媒には、第4族金属オレフィン重合錯体と共に使用するために当業界で既に知られている化合物がある。適当な活性化助触媒の例としては、中性ルイス酸、例えばC1〜C30ヒドロカルビル置換第13族化合物、特にトリ(ヒドロカルビル)アルミニウム化合物又はトリ(ヒドロカルビル)ホウ素化合物及びそれらのハロゲン化(過ハロゲン化を含む)誘導体(各ヒドロカルビル又はハロゲン化ヒドロカルビル基中に1〜10個の炭素を有する)、より特別には過フッ素化トリ(アリール)ホウ素化合物、最も特別にはトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン;非ポリマー、相溶性、非配位性イオン形成化合物(酸化条件下におけるこのような化合物の使用を含む)、特に相溶性、非配位性アニオンのアンモニウム−、ホスホニウム−、オキソニウム−、カルボニウム−、シリリウム−若しくはスルホニウム−塩、又は相溶性非配位性アニオンのフェロセニウム−、鉛−若しくは銀塩;並びに前記カチオン形成助触媒及び方法の組合せが挙げられる。前記活性化助触媒及び活性化方法は、以下の参考文献中に、オレフィン重合のための種々の金属錯体について既に教示されている:EP−A−277,003、US−A−5,153,157、US−A−5,064,802、US−A−5,321,106、US−A−5,721,185、US−A−5,350,723、US−A−5,425,872、US−A−5,625,087、US−A−5,883,204、US−A−5,919,983、US−A−5,783,512、WO99/15534及びWO99/42467。
【0138】
中性ルイス酸の組合せ、特に各アルキル基の炭素数が1〜4であるトリアルキルアルミニウムと各ヒドロカルビル基の炭素数が1〜20であるハロゲン化トリ(ヒドロカルビル)ホウ素化合物、特にトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランとの組合せ、更にはこのようなルイス酸混合物とポリマー又はオリゴマーアルモキサンとの組合せ、及び単一中性ルイス酸、特にトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランとポリマー又はオリゴマーアルモキサンとの組合せを、活性化助触媒として使用できる。金属錯体:トリス(ペンタフルオロフェニル−ボラン:アルモキサンの好ましいモル比は1:1:1〜1:5:20、より好ましくは1:1:1.5〜1:5:10である。
【0139】
本発明の一実施態様において助触媒として有用な適当なカチオン形成化合物は、プロトンを供与できるブレンステッド酸であるカチオンと相溶性非配位性アニオン、A-を含む。本明細書中で使用する用語「非配位性」は、第4族金属含有前駆体錯体及びそれから得られる触媒誘導体に配位しないか、又はこのような錯体に弱くしか配位せず、それによって中性ルイス塩基で置換されるように充分に不安定のままであるアニオン又は物質を意味する。非配位性アニオンは特に、カチオン性金属錯体中で電荷を釣り合わせるアニオンとして作用する場合には、アニオン性置換基又はそのフラグメントを前記カチオンに移動させず、それによって中性錯体を形成するアニオンを意味する。「相溶性アニオン」は、最初に形成された錯体が分解する場合に中性まで分解せず且つ望ましいその後の重合又は錯体の他の用途を妨害しないアニオンを意味する。
【0140】
好ましいアニオンは、電荷を帯びた金属又はメタロイドコアを含む単一配位錯体を含むものであり、このアニオンは、2つの成分を合した場合に形成され得る活性触媒種(金属カチオン)の電荷を釣り合わせることができる。また、前記アニオンは、オレフィン系、ジオレフィン系及びアセチレン系不飽和化合物又は他の中性ルイス塩基、例えばエーテル若しくはニトリルで置換されるように充分に不安定でなければならない。適当な金属としては、アルミニウム、金及び白金が挙げられるが、これらに限定するものではない。適当なメタロイドとしては、ホウ素、燐及び珪素が挙げられるが、これらに限定するものではない。単一金属又はメタロイド原子を含む配位錯体を含むアニオンを含む化合物は言うまでもなく、よく知られており、その多くは、特にアニオン部分に単一ホウ素原子を含むこのような化合物は市販されている。
【0141】
好ましくは、このような助触媒は、下記一般式:
(L*−H)g+(A)g-
[式中、L*は中性ルイス塩基であり;
(L*−H)+はL*の共役ブレンステッド酸であり;
g-は、g−の電荷を有する非配位性相溶性アニオンであり;
gは1〜3の整数である]
で表すことができる。
【0142】
より好ましくは、Ag-は式:
[M’Q4-
[式中、M’は、+3の形式酸化状態のホウ素又はアルミニウムであり;
Qは、それぞれ独立して、水素化物、ジアルキルアミド、ハライド、ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシド、ハロ置換ヒドロカルビル、ハロ置換ヒドロカルビルオキシ及びハロ置換シリルヒドロカルビル基(過ハロゲン化ヒドロカルビル基、過ハロゲン化ヒドロカルビルオキシ基及び過ハロゲン化シリルヒドロカルビル基を含む)から選ばれ、前記Qは炭素数が20個以下である(但し、Qは1つ以下がハライドである)]
に相当する。適当なヒドロカルビルオキシドQ基の例は、US−A−5,296,433に開示されている。
【0143】
より好ましい実施態様において、dは1であり、即ち対イオンは1つの負電荷を有し、A-である。付加重合において特に有用なホウ素を含む活性化助触媒は、以下の一般式:
(L*−H)+(BQ4-
[式中、L*は前に定義した通りであり、
Bは形式酸化状態3のホウ素であり;
Qは非水素原子が20個以下のヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ、フッ素化ヒドロカルビル、フッ素化ヒドロカルビルオキシ又はフッ素化シリルヒドロカルビル基である(ただし、Qは1つ以下がヒドロカルビルである)]
で表すことができる。
【0144】
好ましいルイス塩基塩はアンモニウム塩、より好ましくは1個又はそれ以上のC12〜C40アルキル基を含むトリアルキルアンモニウム塩である。最も好ましくは、Qは、それぞれ、フッ素化アリール基、特にペンタフルオロフェニル基である。
【0145】
付加重合において活性化助触媒として使用できるホウ素化合物の非限定的な実例は、以下の通りである:
三置換アンモニウム塩、例えば:
トリメチルアンモニウム=テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリエチルアンモニウム=テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリプロピルアンモニウム=テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリ(n−ブチル)アンモニウム=テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリ(sec−ブチル)アンモニウム=テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N−ジメチルアニリニウム=テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N−ジメチルアニリニウム=n−ブチルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N−ジメチルアニリニウム=ベンジルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N−ジメチルアニリニウム=テトラキス(4−(t−ブチルジメチルシリル)−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、
N,N−ジメチルアニリニウム=テトラキス(4−(トリイソプロピルシリル)−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、
N,N−ジメチルアニリニウム=ペンタフルオロフェノキシトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N−ジメチルアニリニウム=テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N−ジメチル−2,4,6−トリメチルアニリニウム=テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
ジメチルオクタデシルアンモニウム=テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
メチルジオクタデシルアンモニウム=テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート;
ジアルキルアンモニウム塩、例えば:
ジ(i−プロピル)アンモニウム=テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
メチルオクタデシルアンモニウム=テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
メチルオクタドデシルアンモニウム=テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、及び
ジオクタデシルアンモニウム=テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート;
三置換ホスホニウム塩、例えば:
トリフェニルホスホニウム=テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
メチルジオクタデシルホスホニウム=テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、及び
トリ(2,6−ジメチルフェニル)ホスホニウム=テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート;
二置換オキソニウム塩、例えば:
ジフェニルオキソニウム=テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
ジ(o−トリル)オキソニウム=テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、及び
ジ(オクタデシル)オキソニウム=テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート;
二置換スルホニウム塩、例えば:
ジ(o−トリル)スルホニウム=テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、及び
メチルオクタデシルスルホニウム=テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート。
【0146】
好ましい(L*−H)+カチオンは、メチルジオクタデシルアンモニウムカチオン、ジメチルオクタデシルアンモニウムカチオン、及び1個又は2個のC14〜C18アルキル基を含むトリアルキルアミンの混合物から得られるアンモニウムカチオンである。後者の化合物の特に好ましい例は、市販の長鎖アミンに基づき、これをビス−(水素化牛脂(tallow)アルキル)メチルアンモニウム=テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートと称する。
【0147】
別の適当なイオン形成性活性化助触媒は、式:
(Oxh+g(Ag-h
[式中、Oxh+は、h+の電荷を有するカチオン性酸化剤であり;
hは1〜3の整数であり;
g-及びgは前に定義した通りである]
で表されるカチオン性酸化剤と非配位性相溶性アニオンとの塩を含む。
【0148】
カチオン性酸化剤の例としては、フェロセニウム、ヒドロカルビル置換フェロセニウム、Ag+又はPb+2が挙げられる。Ag-の好ましい実施態様は、ブレンステッド酸含有活性化助触媒に関して前に定義したアニオン、特にテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである。
【0149】
別の適当なイオン形成性活性化助触媒は、カルベニウムイオンと式:
[C]+-
[式中、[C]+はC1〜C20カルベニウムイオンであり、
-は−1の電荷を有する非配位性相溶性アニオンである]
で表される非配位性相溶性アニオンの塩である化合物を含む。好ましいカルベニウムイオンはトリチルカチオン、即ちトリフェニルメチリウムである。
【0150】
更に適当なイオン形成性活性化助触媒は、シリリウムイオンと式:
(Q13Si)+-
[式中、Q1はC1〜C10ヒドロカルビルであり、A-は前に定義した通りである]
で表される非配位性相溶性アニオンの塩である化合物を含む。
【0151】
好ましいシリリウム塩活性化助触媒は、トリメチルシリリウム=テトラキスペンタフルオロフェニルボレート、トリエチルシリリウム=テトラキスペンタフルオロフェニルボレート及びそれらのエーテル置換付加物である。シリリウム塩は、J.Chem Soc. Chemi. Comm.,1993,383−384及びLambert,J.B.ら,Organometallics,1994,13,2430−2443に既に一般的に開示されている。付加重合触媒用の活性化助触媒としての前記シリリウム塩の使用は、US−A−5,625,087に開示されている。
【0152】
アルコール類、メルカプタン類、シラノール類及びオキシム類とトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランとのいくつかの錯体もまた、有効な触媒活性化剤であり、本発明に従って使用できる。このような助触媒はUS−A−5,296,433に開示されている。
【0153】
更に米国特許第6,395,671号に開示された、拡張アニオン(expanded anion)と総称される非配位性アニオンを含む種の助触媒も、オレフィン重合用金属錯体の活性化に適当に使用できる。一般に、これらの助触媒(イミダゾリド、置換イミダゾリド、イミダゾリニド、置換イミダゾリニド、ベンズイミダゾリド又は置換ベンズイミダゾリドアニオンを有するものによって例示される)は以下のように表すことができる:
【0154】
【化26】

【0155】
[式中、A*+はカチオン、特にプロトン含有カチオン、好ましくは1個又は2個のC10〜C40アルキル基を含むトリヒドロカルビルアンモニウムカチオン、特にメチルジ(C14〜C20アルキル)アンモニウムカチオンであり、
3は、それぞれ独立して、水素又は水素を数えずに原子30個以下のハロ、ヒドロカルビル、ハロカルビル、ハロヒドロカルビル、シリルヒドロカルビル又はシリル(モノ−、ジ−及びトリ(ヒドロカルビル)シリルを含む)基、好ましくはC1〜C20アルキルであり、
2はトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン又はトリス(ペンタフルオロフェニル)アルマンである]。
【0156】
これらの触媒活性化剤の例としては、以下:
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)イミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)−2−ウンデシルイミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)−2−ヘプタデシルイミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)−4,5−ビス(ウンデシル)イミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)−4,5−ビス(ヘプタデシル)イミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)イミダゾリニド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)−2−ウンデシルイミダゾリニド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)−2−ヘプタデシルイミダゾリニド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)−4,5−ビス(ウンデシル)イミダゾリニド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)−4,5−ビス(ヘプタデシル)イミダゾリニド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)−5,6−ジメチルベンズイミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)−5,6−ビス(ウンデシル)ベンズイミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)イミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)−2−ウンデシルイミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)−2−ヘプタデシルイミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)−4,5−ビス(ウンデシル)イミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)−4,5−ビス(ヘプタデシル)イミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)イミダゾリニド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)−2−ウンデシルイミダゾリニド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)−2−ヘプタデシルイミダゾリニド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)−4,5−ビス(ウンデシル)イミダゾリニド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)−4,5−ビス(ヘプタデシル)イミダゾリニド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)−5,6−ジメチルベンズイミダゾリド、及び
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)−5,6−ビス(ウンデシル)ベンズイミダゾリド
のトリヒドロカルビルアンモニウム塩、特にメチルジ(C14〜C20アルキル)アンモニウム塩が挙げられる。
【0157】
他の活性化剤としては、PCT公報WO98/07515号に記載されたもの、例えばトリス(2,2’,2”−ノナフルオロビフェニル)フルオロアルミネートが挙げられる。活性化剤の組合せ、例えばアルモキサンとイオン化活性化剤との組合せも考えられる。例えばEP−A−0573120、PCT公報WO94/07928号及びWO95/14044号並びに米国特許第5,153,157号及び第5,453,410号を参照されたい。WO98/09996は、触媒化合物を過塩素酸塩、過ヨウ素酸塩及びヨウ素酸塩(それらの水和物を含む)によって活性化することを記載している。WO99/18135は、有機ボロアルミニウム活性化剤の使用を記載している。WO03/10171は、ブレンステッド酸とルイス酸との付加物である触媒活性化剤を開示している。触媒化合物を活性化するための他の活性化剤又は方法は、米国特許第5,849,852号、第5,859,653号、第5,869,723号、EP−A−615981及びPCT公報WO98/32775号に記載されている。
【0158】
前述の通り、適当な活性化助触媒としては、ポリマー又はオリゴマーアルモキサン、特にメチルアルモキサン(MAO)、トリイソブチルアルミニウム改質メチルアルモキサン(MMAO)又はイソブチルアルモキサン;ルイス酸改質アルモキサン、特に各ヒドロカルビル又はハロゲン化ヒドロカルビル基中の炭素数が1〜10である過ハロゲン化トリ(ヒドロカルビル)アルミニウム−又は過ハロゲン化トリ(ヒドロカルビル)ホウ素改質アルモキサン、とりわけトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン改質アルモキサンが挙げられる。このような助触媒は、米国特許第6,214,760号、第6,160,146号、第6,140,521号及び第6,696,379号に既に開示されている。
【0159】
使用する触媒/助触媒のモル比は好ましくは1:10,000〜100:1、より好ましくは1:5000〜10:1、最も好ましくは1:1000〜1:1の範囲である。アルモキサンは、単独で活性化助触媒として用いる場合には、一般にモルベースで金属錯体の量の少なくとも100倍、より多くの場合にはこの量の約1000倍である、主たる触媒文献よりも少ない量(<100:1)で使用できる。トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランは、活性化助触媒として使用する場合には、0.5:1〜10:1、より好ましくは1:1〜6:1、最も好ましくは1:1〜5:1のモル比で使用する。残りの活性化助触媒は一般に、金属錯体とほぼ等モル量で使用する。
【0160】
ポリマーメタセシス条件
メタセシスは望ましくは、試薬ポリマー中の各不飽和に当たり約1当量のエチレンを提供する量で存在するエチレン形成性化合物又はエチレンの存在下で実施し、それによって目的とする分子量の末端不飽和反応生成物、主にα,ω−ジエンを形成する。適当な条件(メタセシス条件)には、0〜200℃、好ましくは20〜50℃の温度及び大気圧〜高圧、適当には大気圧〜3.0MPaの圧力がある。溶媒、特に飽和炭化水素を使用することもできるし、或いは反応を少なくとも最初は固体状態で実施し、最初に形成される開裂生成物が反応媒体を構成することもできる。
【0161】
メタセシスへの使用に適当なメタセシス触媒としては、第一世代グラブス(Grubbs)触媒、例えばビス(トリシクロヘキシルホスフィン)−ベンジリデンルテニウムジクロリド及び第二世代グラブス触媒、例えばトリシクロヘキシルホスフィン[1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾル−2−イリデン][ベンジリデン]ルテニウムジクロリドを含む均一ルテニウム触媒が挙げられる。それらの原理の発明者であるRobert H.Grubbsにちなんで命名された「第一世代グラブス触媒」及び「第二世代グラブス触媒」は、WO96/04289及びWO02/083742並びにこれらに開示された参考文献に開示されている。第一世代及び第二世代グラブス触媒は、空気、水分に対して比較的耐性である傾向があり、工業的利用に好ましい。
【0162】
より詳細には、先行技術からわかっている、メタセシスに適当な触媒には、均一触媒系及び不均一触媒系がある。一般に、この方法に適当な触媒は、周期表の第6族、第7族又は第8族の遷移族の遷移金属を基材とし、Mo、W、Re及びRuを基材とする触媒の使用が好ましい。均一触媒系の例としては一般に、活性触媒組成物と考えられる、触媒活性金属カルベン錯体を形成できる助触媒と場合によっては組み合わされる1種若しくはそれ以上の遷移金属化合物が挙げられる。
【0163】
このような組成物は、例えば、”Comprehensive Organometallic Chemistry”,R.H.Grubbs編,Pergamon Press,Ltd.,New York,Volume 8,499ページ以降(1982年)に記載されている。W、Mo及びReを基材とする具体的な触媒/助触媒組成物は、例えば少なくとも1種の可溶性遷移金属化合物及びアルキル化剤を含むことができる。例としては、MoCl2(NO)2(P(C6532/Al2(CH33Cl3、WCl6/BuLi、WCl6/(C25)AlCl2(Sn(CH34)/C25OH;WOCl4/Sn(CH34;WOCl2(O−[2,6−Br2−C63]/Sn(CH34及びCH3ReO3/C25AlCl2が挙げられる。
【0164】
更に適当な触媒としては、Acc.Ch.Res.,Volume 23,158ページ以降(1990年)中の遷移金属−アルキリデン錯体が挙げられる。一般に、これらの錯体は、2つの嵩高いアルコキシ配位子と1つのイミド配位子を更に含む四配位Mo−及びW−アルキリデン錯体である。例としては、((CH33CO)2Mo(=N−[2,6−(i−C37263])(=CHC(CH32(C65))及び[(CF32C(CH3)O]2Mo(=N−[2,5−(i−C37263])(=CHC(CH32(C65))が挙げられる。
【0165】
更なる適当な均一メタセシス触媒は、Angew.Chem.,107,2179以降(1995年)、J.A.C.S.,118,100以降(1996年)及びJ.Chem.Soc.,Chem.Comm.,1127以降(1995年)に記載された触媒である。例としては、RuCl2(=CH(CH3))(P(C6532、RuCl2(=CHC65)(P(C61132、(η6−p−シメン)RuCl2(p(C6113)及び3モル当量のジアゾアルカン((CH33SiCHN2又はC65CHN2)が挙げられる。
【0166】
適当な不均一触媒系は、一般に、不活性担体上の遷移金属化合物を含み、前記化合物は助触媒を用いなくてもオレフィンとの反応によって触媒活性アルキリデン錯体を形成できる。例としては、Re27及びCH3ReO3が挙げられる。適当な無機担体は、金属酸化物又はメタロイド酸化物、特に珪素酸化物及びアルミニウム酸化物、アルミノシリケート、ゼオライト、炭化物、窒化物並びにそれらの混合物である。好ましい担体はAl23、SiO2及びそれらの混合物であり、所望ならばB23又はFe23と組み合わせる。
【0167】
本発明に使用するのに適当なメタセシス条件は、望ましくは環状若しくは非環式オレフィン又は官能基化オレフィン、特にエチレン並びに任意的に連鎖移動剤の存在下に、1種又はそれ以上のメタセシス触媒を不飽和ポリマー試薬と逐次接触又は同時接触させることを含む。メタセシスは液相中で、例えば二酸化炭素のような溶媒を用いて(米国特許第5,840,820号参照)又は1種若しくはそれ以上のポリマーのメルト中で、或いは固相法で行うことができ、メタセシスは、ポリマーがそのプロセスの間中常に完全に混和性又は可溶性であることを必要としない。不飽和ポリマー試薬は、このメタセシスと並行して又は連続して、1つ又はそれ以上の塊状重合反応器、溶液重合反応器、スラリー重合反応器、懸濁重合反応器、気相重合反応器又は他の重合反応器中で、この方法の1単位操作として又は別々に合成できる。一実施態様において、このメタセシスのためのポリマー試薬は、メタセシスと同時に共製造し、回収又は単離なしでメタセシスに供するので、不飽和ポリマー試薬の再溶融、溶解及び/又はブレンドの必要がない。極めて望ましくは、温度及び反応媒体は、不飽和ポリマーを溶融させるか又は充分に可溶化させて流体反応媒体を形成するように選択する。
【0168】
メタセシスには、一般に20〜120℃、特に40〜80℃の温度を使用する。反応は0.2〜2.0MPa、好ましくは0.3〜1.5MPa、特に0.4〜1.2MPaの増加した圧力で実施するのが望ましい。
【0169】
適当な反応装置は当業者には知られており、例えばUlmanns Enzyklopadie der technischen Chemie,Volume 1,743ページ以降(1951年)に記載されている。これらには、例えば回分法用の撹拌反応器及び連続法用の管型反応器がある。
【0170】
得られるジエン生成物の分子量は下は100g/モルから上は10,000g/モルまでの範囲であることができる。多分散度(Mw/Mn)は、親ポリマーの多分散度及び官能価並びにメタセシスの程度に左右される。得られるポリマー生成物に適当なMw/Mnの範囲は、1.5〜100、好ましくは1.8〜10である。
【0171】
生成物混合物中の飽和又は一価不飽和化合物の部分は、IR又はNMR分析のような任意の適当な分析法によって特性決定することができる。一般に、このような不所望な成分の量は0〜1%、好ましくは0〜0.5%の範囲である。
【0172】
メタセシス条件
製造後、不飽和ポリマーは、オレフィンの開裂及び開裂生成物の転位を引き起こす条件下でメタセシス触媒と接触させる。オレフィンメタセシス反応又は不飽和環状モノマーの開環重合の促進に有効であることがわかっている種々の触媒組成物も、本発明の方法の促進に有効な触媒組成物である。これらの触媒組成物は不均一でも均一でもよく、前者は反応生成物からより容易に除去できる点で有利であるのに対し、後者は触媒活性の観点から一般により効率的である。
【0173】
適当な触媒組成物の例としては、固体、分散液、懸濁液、溶液の又は純粋な形態の、第5族〜第10族から選ばれた遷移金属、好ましくはモリブデン、タンタル、タングステン、ルテニウム又はレニウムの有機又は無機誘導体が挙げられる。固体の形態では、触媒又はその個々の成分は、不活性キャリヤー又は担体、例えば高表面積金属酸化物、メタロイド酸化物、金属炭化物、金属硼化物、金属窒化物、ゼオライト若しくはクレイの表面に担持させることができる。好ましい化合物としては、ルテニウム、モリブデン又はタングステンの化合物又は錯体、特にハライド、オキシハライド、テトラ有機アンモニウムタングステート、テトラ有機アンモニウムモリブデネート、そのルイス塩基誘導体及び前記の混合物が挙げられる。
【0174】
本発明の実施に使用する適当な均一触媒組成物の例としては、米国特許第4,010,224号に既に開示されたもの、特に(A)金属が元素周期表の第1族、第2族、第12族又は第13族から選ばれる少なくとも1種の有機金属化合物、(B)金属が元素周期表の第5族、第6族又は第7族の金属からなる群から選ばれる、特にモリブデン又はタングステンである少なくとも1種の金属誘導体、及び任意的な(C)少なくとも1種のキレート化材料又はルイス塩基材料を含む組成物が挙げられる。後者の化合物の例としては、エーテル、カルボン酸エステル、ケトン、アルデヒド、カーボネート、ニトリル、アルコール、チオール、水及びそれらの混合物が挙げられる。
【0175】
成分(A)として選択できる有機金属化合物の代表的な例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム及びタリウムの化合物が挙げられ、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛及びカドミウム化合物が好ましく、アルミニウム化合物が最も好ましい。
【0176】
触媒成分(A)として有用な有機金属化合物の代表的な例は、少なくとも1つのアルミニウム−炭素結合を有する有機アルミニウム化合物である。このような化合物の代表的なものは、トリ(C1〜C10)ヒドロカルビルアルミニウム化合物、例えばトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリトリルアルミニウム、トリベンジルアルミニウム及びトリフェニルアルミニウム;ハロゲン化有機アルミニウム、例えば塩化ジエチルアルミニウム、塩化ジ−n−プロピルアルミニウム、塩化ジイソブチルアルミニウム、臭化ジエチルアルミニウム、ヨウ化ジエチルアルミニウム及びフッ化ジエチルアルミニウム、二塩化エチルアルミニウム、セスキ塩化エチルアルミニウム、二臭化エチルアルミニウム、二塩化プロピルアルミニウム、二塩化イソブチルアルミニウム、二ヨウ化エチルアルミニウム、二臭化フェニルアルミニウム、二臭化トリルアルミニウム、二臭化ベンジルアルミニウム、二ヨウ化フェニルアルミニウム、二ヨウ化トリルアルミニウム、二ヨウ化ベンジルアルミニウム、塩化ジフェニルアルミニウム、塩化ジトリルアルミニウム、及び臭化ジベンジルアルミニウム;水素化有機アルミニウム化合物、例えば水素化ジフェニルアルミニウム及び二水素化フェニルアルミニウム;並びに前記の混合物である。
【0177】
その他の適当な有機金属化合物は、アルカリ金属化合物、例えばエチルリチウム、n−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、アミルナトリウム、ブチルカリウム、フェニルカリウム、フェニルナトリウム、フェニルリチウム、リチウム−アルミニウムテトラブチル、リチウム−アルミニウムテトラエチル、リチウム−アルミニウムトリエチルクロリド及びナトリウムアルミニウムテトラエチル;アルカリ土類金属化合物、例えばジフェニルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、エチルマグネシウムクロリド、フェニルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムブロミド、ブチルカルシウムクロリド及びジエチルバリウム;第12族有機金属化合物、例えばジエチル亜鉛、ジフェニル亜鉛、エチル亜鉛クロリド、ジエチルカドミウム及びジブチルカドミウム;フェニルマグネシウムブロミド、ブチルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムブロミド及びエチルマグネシウムクロリド;並びに前記化合物の混合物である。成分(A)として使用するのに好ましい化合物は、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムハライド、アルキルアルミニウム二ハライド及びアルミニウムセスキハライド(各アルキル基中の炭素数は4以下である)である。
【0178】
メタセシス触媒の成分(B)として有用なモリブデン及びタングステンの適当な誘導体には、対応するハライド、アセチルアセトン酸塩、硫酸塩、燐酸塩、硝酸塩及びアルコレートがある。例としては、塩化物、臭化物、ヨウ化物及びフッ化物、例えば五塩化モリブデン、六塩化タングステン、五臭化モリブデン、六臭化タングステン、五ヨウ化モリブデン、五フッ化モリブデン、六フッ化モリブデン及び六フッ化タングステンが挙げられる。他の例としては、燐酸モリブデン、燐酸タングステン、硝酸モリブデン、硝酸タングステン、アセチルアセトン酸モリブデン、アセチルアセトン酸タングステン、硫酸モリブデン及び硫酸タングステンが挙げられる。これらの化合物の混合物も使用できる。タングステン及びモリブデンのハライド(代表的には六塩化タングステン及び五塩化モリブデン)が特に好ましい。
【0179】
触媒組成物の成分(C)として使用するのに適当な化合物は、一般式R−Y−H[式中、Yは酸素及び硫黄からなる群から選ばれ、Rは水素又は総炭素数が20以下のヒドロカルビル若しくは置換ヒドロカルビル基であり、ヒドロカルビル基上の置換基はヒドロキシ、チオ、ヒドロカルビルオキシ、ヒドロカルビルチオ、オキシ−及びスルホ−からなる群から選ばれる]の化合物である。例としては、水、硫化水素、アルカノール、芳香族アルコール、メルカプタン、ヒドロカルビルペルオキシド、ポリアルコール、ポリメルカプタン、ヒドロキシメルカプタン、アルカノールエーテル、アルカノールチオエーテル、メルカプトエーテル及びメルカプトチオエーテルが挙げられる。成分(C)として使用するための材料の代表例としては、アルコール、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブチルアルコール、アミルアルコール、ベンジルアルコール、アリルアルコール、1,1−ジメチルベンジルアルコール、フェノール、tert−ブチルカテコール、クレゾール、α及びβ−ナフチルアルコール;メルカプタン、例えばメチル−、エチル−、プロピル−、イソプロピル−、ブチル−、アミル−若しくはアリルメルカプタン、チオフェノール、4−メチルチオフェノール又は4−メルカプトフェノール;ヒドロペルオキシド、例えばクミルヒドロペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド;ヒドロジスルフィド、例えばクミルヒドロジスルフィド及びs−ブチルヒドロジスルフィド;ポリアルコール、例えばエチレングリコール、グリセロール、ポリエチレングリコール、カテコール、レソルシノール、ヒドロキノン、ピロガロール;ポリメルカプタン、例えば1,3−プロパンジチオール、1,4−ジチオベンゼン;及びヒドロキシメルカプタン、例えば1−ヒドロキシ−2−チオエタン又は1−ヒドロキシ−4−チオベンゼンが挙げられる。
【0180】
前記触媒組成物中に使用する成分(C)の量は、触媒組成物の活性を制御するために調整する。一般に、触媒組成物は、使用する成分(C)の量が比較的小さい(ゼロを含む)場合により高い活性を示す。
【0181】
一般に、各触媒成分の量は、0.3/1〜20/1の範囲のモル比(B)/(C)内で調整し、モル比(A)/(B)は0.5/1〜15/1の範囲内である。(B)/(C)のより好ましい比は0.5/1〜5/1であり、(A)/(B)のより好ましい比は0.5/1〜8/1である。(B)/(C)の更に好ましい比は1/1〜2/1であり、(A)/(B)の更に好ましい比は0.75/1〜5/1である。
【0182】
前記触媒組成物は、オレフィン含有ポリマーと組み合わせる前に又はその場で(in situ)、既知の方法で成分を混合することによって製造できる。「予め形成する」方法によれば、触媒成分を一緒に混合してから、本発明の方法に使用するオレフィン含有ポリマーに触媒成分の全てを暴露する。「その場で」の方法においては、触媒成分は、メタセシスに供する不飽和ポリマーを含む反応混合物に別々に添加する。触媒成分は、純粋な化合物として又はオレフィンメタセシス反応の触媒活性に悪影響を与えない液体中の懸濁液若しくは溶液として混合できる。このような液体の代表的なものは、飽和炭化水素、例えばヘキサン、ペンタン、ベンゼン、トルエン又はそれらの混合物である。
【0183】
3種の触媒成分相互の添加順序は、さまざまであることができる。以下の手法は全て、適当に使用できる:
1.成分(A)、(B)及び(C)の同時添加;
2.成分(A)、(B)及び(C)の任意の順序での逐次添加;
3.任意の2つの成分の接触(場合によっては反応生成物の回収又は精製を含む)と、それに続く、この二成分生成物の残りの成分への添加;或いは
4.任意の2つの成分の混合物の接触、それに続く、得られる二成分混合物又は反応生成物の接触(精製してもしなくても)。
【0184】
本発明の反応において使用する触媒の量は、広濃度にわたって変化可能であり、決定的であることはわかっていない。使用する触媒組成物の最適量は、温度、反応体の純度、得られる生成物の分子量及び所望の反応時間のような多くの因子によって決定される。望ましくは、使用する触媒の量(成分(B)の量に基づく)は、使用する不飽和ポリマー試薬の重量に基づき0.01〜1%である。
【0185】
好ましい一実施態様において、触媒組成物は、少なくとも1種のハロゲン化有機アルミニウム及び少なくとも1種のタングステン誘導体を含む。好ましいハロゲン化有機アルミニウムは、塩化ジアルキルアルミニウム、塩化ジ−n−プロピルアルミニウム、塩化ジイソブチオルアルミニウム、臭化ジエチルアルミニウム、ヨウ化ジエチルアルミニウム、フッ化ジエチルアルミニウム、セスキ塩化エチルアルミニウム、セスキ臭化エチルアルミニウム、二塩化エチルアルミニウム、二臭化エチルアルミニウム、二塩化プロピルアルミニウム、二塩化イソブチルアルミニウム、二ヨウ化エチルアルミニウム、二臭化フェニルアルミニウム、二臭化トリルアルミニウム、二臭化ベンジルアルミニウム、二ヨウ化フェニルアルミニウム、二ヨウ化トリルアルミニウム、二ヨウ化ベンジルアルミニウム、塩化ジフェニルアルミニウム、塩化ジトリルアルミニウム、臭化ジベンジルアルミニウム及びそれらの混合物である。
【0186】
好ましいタングステン誘導体としては、+4又は+6の酸化状態のタングステンのハライド、硫酸塩、燐酸塩、硝酸塩及びカルボン酸塩、好ましくは六塩化タングステン、六臭化タングステン、六ヨウ化タングステン、六フッ化タングステン、二リン酸タングステン、六硝酸タングステン、トリアセチルアセトン酸タングステン、オキシ塩化タングステン及び三硫酸タングステンが挙げられる。最も好ましいタングステン誘導体は六塩化タングステンである。
【0187】
この実施態様における2つの触媒成分間のモル関係は、一般に0.5/1〜15/1、より好ましくは0.7/1〜8/1、更に好ましくは0.8/1〜5/1である。触媒成分は、純粋な化合物として又は不活性脂肪族若しくは芳香族液体中の溶液若しくは懸濁液の形で反応させることができる。このような液体の代表的なものは、ペンタン、ヘキサン、ベンゼン及びトルエンである。触媒は望ましくは、不飽和ポリマーの重量に基づき0.01〜1%の量(成分(B)の重量に基づく)で使用する。
【0188】
本発明のメタセシス法を促進するのに有効な第3の触媒組成物は、三ハロゲン化アルミニウム及び第5族、第6族又は第7族化合物、好ましくはタングステン化合物、特にタングステンが4〜6の酸化状態にあるタングステン化合物の有機又は無機誘導体を含む。好ましい三ハロゲン化アルミニウムは、三塩化アルミニウム又は三臭化アルミニウムである。好ましいタングステン化合物は、四−、五−及び六−塩化物、臭化物及びヨウ化物、六フッ化タングステン並びにタングステンのオキシ塩化物である。場合によっては、有機金属化合物は、ゲル形成の抑制補助剤として及びより低い触媒レベルで重合速度を増加させるために触媒組成物中に存在できる。適当な任意の有機金属化合物の例としては、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウムのアルキル、アリール及びアルカリール誘導体;マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム又はバリウムのアルキルハライド、アリールハライド及びアルカリールハライド誘導体;並びに第12族金属のアルキル、アリール及びアルカリール誘導体、例えばジアルキル亜鉛及びジアリール亜鉛が挙げられ、前記アルキル、アリール又はアルカリール基の炭素数は10以下である。
【0189】
本発明の重合の促進において有効な他の種類の触媒は、米国特許第4,994,535号に開示されたものであり、一般に第13族〜第14族金属の有機金属誘導体、特にアルミニウム又は錫の有機誘導体又は有機ハロ誘導体、好ましくはテトラアルキル錫、トリアルキルアルミニウム及びジアルキルアルミニウムハライド(各アルキル基の炭素数は10以下である);第5族、第6族又は第7族金属、特にモリブデン又はタングステンの少なくとも1種の誘導体;並びに場合によってはキレート化剤、例えばルイス塩基を含む。
【0190】
本発明において使用するのに適当な更なるメタセシス触媒は、ルテニウム又はオスミウム錯体、例えば米国特許第6,838,489号、第6,818,586号、第6,806,325号、第6,624,265号、第6,313,332号、第5,977,393号、第5,917,071号、第5,710,298号、第5,750,815号、第5,728,917号、第5,312,940号及び第5,342,909号に開示されたものである。前記メタセシス触媒の例としては、形式的には+2の酸化状態であり、16個の電子数を有し且つ五配位された金属中心を有するルテニウム及びオスミウムカルベン錯体が挙げられる。これらの錯体は一般式:
【0191】
【化27】

【0192】
[式中、MAはルテニウム又はオスミウムであり;
A及びXBは同一又は異なるアニオン性配位子、好ましくは塩化物であり;
Aは中性電子ドナー配位子であり;
Bは中性電子ドナー配位子又は窒素含有複素環式カルベンであり;
A及びRBは、それぞれ独立して、水素、又は水素を数えずに原子20個以下のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、カルボキシレート、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、アルコキシカルボニル、アルキルチオ、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル若しくはシリル基、それらのアルキル、アルコキシ、アリール、アルアルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアリール若しくはハロアルカリール置換誘導体;或いは前記のいずれかの官能基化誘導体(官能基はヒドロキシル、チオール、アルコール、スルホン酸、ホスフィン、チオエーテル、ケトン、アルデヒド、エステル、エーテル、アミン、イミン、アミド、イミド(imide)、イミド(imido)、ニトロ、カルボン酸、ジスルフィド、カーボネート、イソシアネート、カルボジイミド、カルボアルコキシ、カルバメート、アセタール、ケタール、ボロネート、シアノ、シアノヒドリン、ヒドラジン、オキシム、ヒドラジド、エナミン、スルホン、スルフィド、スルフェニル若しくはハロゲンである)である]
を有する。
【0193】
好ましい一実施態様において、金属錯体は、LBが第三ホスフィン、特にトリフェニルホスフィンであり且つLAが第三ホスフィン又は窒素含有複素環式配位子、特に式:
【0194】
【化28】

【0195】
[式中、Arは、それぞれ独立して、アリール基、特にフェニル若しくは2,4,6−トリメチルフェニルであり、RCは、それぞれ独立して、水素若しくはアニオン性配位基であるか又は複数のRC基が共同で、イミダゾリジン環に縮合される1つ若しくはそれ以上の環を形成できる]
のイミダゾリジニル又はトリアゾリル配位子であるルテニウム誘導体である。
【0196】
前記ルテニウム又はオスミニウム触媒へのイミダゾリジニル又はトリアゾイル配位子の組み込みは、オレフィンメタセシス法において錯体の性質を改善する。詳細には、触媒は、タングステン−及びモリブデン−塩三成分組成物に匹敵する向上したメタセシス活性を持ちながら、ルテニウム−ホスフィン錯体のオレフィンに対する一般的官能基耐性を保持する。このような触媒(グラブス(Grubbs)II触媒と称する)は、極性基含有ポリマーのメタセシスに特に望ましい。
【0197】
本発明の方法に使用する操作条件はさまざまであることができる。反応は好都合にはメルト又は溶液を含む液体の形態で実施できる。溶液条件を使用する場合に使用できる溶媒は、使用するポリマーを溶解又は膨潤させる全ての不活性液体を含む。都合の良い溶媒は、それ自体はメタセシス反応を阻害も妨害もしない脂肪族、芳香族又は脂環式炭化水素、例えばペンタン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン及びシクロヘキサンである。オレフィン反応体の1種又はそれ以上が液体である場合には、反応はバルクで、即ち溶媒を別個に添加せずに実施できる。
【0198】
オレフィン又はシクロオレフィン、特にエチレン又はエチレン形成性化合物の存在下においては(エテノリシス)、出発ポリマーの解重合のために、液体反応混合物がすぐに形成される。一般に、使用するオレフィンの量は、ポリマーモル当たり0.5〜100モル、好ましくは0.5〜50モルである。一般に、エチレンは、分子量の低下した生成物の製造における反応性及び効率のために好ましいオレフィンである。
【0199】
メタセシスのプロセス条件は、本発明のポリマー組成物の製造に適当な任意の操作可能条件全体にわたって広範囲に変化することができる。反応体ポリマー、生成物ポリマー及びメタセシス触媒の分解温度未満の、好ましくは任意の溶媒又は希釈剤(使用する場合)の標準沸点未満の任意の温度が一般に適当である。メタセシスを純粋なポリマーメルト中で実施する場合には、プロセス温度は、前記分解温度に応じて、約100℃から約350℃まで広範囲に変動できる。一般に、ポリマーメルト又はガラス転移温度よりも約20〜50℃高い温度が好ましい。液体希釈剤又は溶媒中に溶解させた反応体ポリマーを用いてメタセシスを実施する場合には、温度は典型的には約25℃から約180℃までの範囲であることができる。好ましいグラブス触媒と共に使用するのに好ましい温度は約35℃から約100℃まで、より好ましくは約85℃までの範囲である。典型的には、約14psia(96.5kPa)〜約500psia(3447kPa)の範囲のプロセス圧力が適当である。サンプルを反応混合物から採取し、例えば1H NMR又は気相クロマトグラフィー(GPC)によって分析して、許容可能な転化に達する時点を測定することができる。
【0200】
メタセシスが所望の程度まで、好ましくは平衡まで進行したら、触媒を不活性化させることができ、所望ならば、得られるポリオレフィン生成物を回収する。所望ならば、生成物を部分水素化して、残留不飽和、特にビニル含量を調整することができる。メタセシス触媒の適当な不活性化方法には、水;アルコール;カルボン酸又はその金属塩若しくはエステル誘導体;或いは一酸化炭素との反応がある。得られる触媒残渣は濾過、溶媒抽出若しくは他の適当な方法によってポリマーから除去することもできるし、又はポリマー中に残しておくこともできる。適当な水素化触媒には、既に当業界で知られたもの、特に貴金属触媒、例えば白金又はパラジウム含有化合物又は錯体がある。
【0201】
メタセシス生成物
本発明のジオレフィン生成物は、分子量のランダム分布、好ましくは分子量の最確分布を含む。本明細書中で使用する用語「ランダム」は、記述可能な決定論的パターンには従わず且つ/又はそれからは生じない、本発明の境界及び限界の範囲内に入る結果を意味する。メタセシス方法は、不飽和ポリマー中のどのエチレン結合が開裂するか且つ得られる分子断片が新しいエチレン結合をどの程度改質するかが予測不可能であり、しかも既定の規則に従わないので、ランダムな方法である。親不飽和ポリマーが分岐を有する場合には、メタセシス反応から得られるポリマー生成物も同様に分岐を有する。得られるコポリマーには、さまざまな分岐構造、例えば星形、くし形、ランダム三官能性分岐、ランダム四官能性分岐などが可能である。好ましい生成物は直線性が高く、主に末端に不飽和を有する。
【0202】
ポリマー中のエチレン性不飽和の数及び位置は、反応条件、特にビニル官能価を制御するための触媒選択によって影響される可能性がある。好ましいポリマーは主として末端に不飽和を有し、少なくとも250g I2/100g、好ましくは300g I2/100gのヨウ素価を有する。ポリマーは好ましくは500〜5,000g/モル、好ましくは550〜3,000g/モルのMnを有する。
【0203】
一酸化炭素との反応の結果としてのヒドロホルミル化による対応するアルデヒドの形成又は一酸化炭素及び水素との反応を含む還元的ヒドロホルミル化を実施する場合には、メタセシス触媒の独立した不活性化は多くの場合必要ない。ヒドロホルミル化は既知のパラメーターに従って実施できる。一般に、コバルトカルボニル又はロジウム錯体のような触媒を使用する。例としては、トリカルボニルヒドロコバルト、ジコバルトオクタカルボニル、ロジウムジカルボニル(2,4−ペンタンジオネート)(トリ−n−オクチルホスフィン)錯体及びヒドリドカルボニル(トリスフェニルホスフィン)ロジウムが挙げられる。
【0204】
還元性条件下、特に水素化剤、例えば、硼水素化物、特にナトリウムテトラヒドロボラネート又は水素の存在下で一酸化炭素の消費後にヒドロホルミル化を続けることによってアルコール類が得られる。還元的ヒドロホルミル化の代わりに、還元的アミノ化によるアミンの形成、酸化によるカルボン酸の形成、アルドール縮合又は他の方法を、ヒドロホルミル化と同時に又はヒドロホルミル化に続いて使用できる。前記方法の好ましい条件は、大気圧〜過圧、一般に0.2〜4.0MPaの圧力及び50〜150℃の温度を使用する。ヒドロホルミル化の適当な条件は、J.Am.Chem.Soc.,85,886(1963)及びEP−A−502,839に開示されている。
【0205】
得られるポリオールは望ましくは、200〜2500、特に250〜2000のヒドロキシル価(OHN)を有し、Mnは500〜5000g/モル、好ましくは550〜3000g/モルである。多分散度(Mw/Mn)は望ましくは1.5〜10、好ましくは1.8〜5である。
【0206】
当業者ならば、当業界における既知の教示に従って官能基化オレフィン連鎖停止剤を用いてメタセシスから官能基化生成物を直接製造できることがわかるであろう。このような連鎖停止剤の例としては、2−ブテン−1,4−ジオール及びその誘導体、特にジアセテート又はジベンジルエーテル誘導体が挙げられる。
【0207】
回収生成物を、ヒドロホルミル化又は他の方法によって製造され、濾過、抽出、蒸留又は反応副生成物(主にアルデヒド、アセタール、ポリマー及びTishchenko反応生成物)若しくは使用済みの触媒残渣を除去するための他の適当な方法によって精製された形態で使用できる。得られた生成物混合物の使用することによるポリウレタン、ポリエステル、エポキシド、界面活性剤、ペイント、ニス及び他の塗料のような有益な生成物の製造は、よく知られた方法に従って、任意的に触媒を用いて実施する。例えば、ポリウレタンを製造するための適当な方法は、J.Chem.Soc.C.,1967,2663;J.Chem.Soc.C.,1968,1479;J.Chem.Soc.Perkin Trans,2,1029(1985);Synthesis,1989,131などに開示されている。
【実施例】
【0208】
本発明は、具体的に開示されていない成分のない状態で操作可能であり且つ多段階システム設計において任意の他の適当な反応若しくは方法と組合せることができると理解される。以下の実施例は、本発明を更に説明するために記載するのであって、限定的なものと解釈してはならない。特に断らない限り、全ての部及び百分率は重量基準で表してある。
【0209】
不飽和試薬ポリマー
ブタジエンコポリマー重合−エチレン又はエチレン及び1−オクテンの混合物とブタジエンとの共重合を、コンピューター制御された2LのParrバッチ反応器中で実施する。反応器は、電気加熱マントルによって加熱され、冷水を含む内部蛇行冷却コイルによって冷却される。反応器の底部にステンレス鋼ボール弁を装着する。ステンレス鋼ボール弁は、標準安定剤及び酸化防止剤のトルエン溶液を含むステンレス鋼容器中に反応器内容物を出す。収集容器中に排出後、ポリマー混合物を窒素で20分間パージする。
【0210】
全ての化学物質及び触媒は、窒素充填ドライボックス中で操作する。1−オクテン、ブタジエン及び混合ヘキサン溶媒(Isopar(登録商標)E,ExxonMobil Chemicals,Inc.から入手可能)を、アルミナ(8×14 A2アルミナ,UOP Corporationから入手可能)、次いで触媒(Q5(登録商標)反応体,Engelhard Corporationから入手可能)に通すことによって精製する。エチレンを、アルミナ(A204(登録商標),LaRouch,Inc.から入手可能)と次に0.4nm分子篩を含む第1カラム、次いでQ5(登録商標)反応体を含む第2カラムに通す。全ての移動に使用する窒素は、A204アルミナ、0.4nm分子篩及びQ5(登録商標)反応体を含む単一カラムに通す。
【0211】
反応器には、予め秤量した量の混合アルカン及び1−オクテン(使用する場合)を含むショットタンクから装入を行う。ショットタンクは、ショットタンクを上に取り付けた実験室用スケールによって所望のレベルまで満たす。コンピューター操作されるコントローラー(Emerson Micro Motion(登録商標)コントローラー)を用いて、ブタジエンを装填する。溶媒、ブタジエン及び任意の1−オクテン添加の後、反応器を重合温度まで加熱し、3.4MPaの目標圧力に達するまでエチレンを添加する。
【0212】
触媒(US−A−6,150,297に従って製造された(t−ブチルアミド)ジメチル(1H−シクロペンタン[l]−フェナントレン−2−イル)シランチタン(IV)ジメチル)、トリエチルアルミニウム掃去剤及び活性化剤(メチルジ(オクタデシル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート)を窒素雰囲気下でトルエン中で記載した順序で合する。この混合物をシリンジ中に吸い込み、触媒ショットタンクに圧力移動させ、その後にトルエン5mLずつで3回すすぐ。触媒溶液を反応器に装入後、反応が終了するまで、要求に応じてエチレンを3.4MPaで供給する。
【0213】
重合を10分間実施し、次いで反応器内容物を収集容器に排出する。窒素でパージ後、ポリマー溶液をトレイに注ぎ、実験室用フード中に一晩入れて、溶媒を蒸発させる。次いで、トレイを真空オーブンに移し、145℃において減圧下で加熱して、全ての残留溶媒を除去する。
【0214】
Mn 8839g/モル、エチレン性不飽和レベル0.38モル%及びTm−54.3℃のポリ(エチレン−コ−ブタジエン−コ−オクテン)がこうして得られる。
【0215】
実施例1
ポリ(エチレン−コ−オクテン−コ−ブタジエン)2.5gを含む前記で製造したトルエン溶液を85℃に加熱し、ポリマーが完全に溶解されるまで同温度で撹拌する。この出発コポリマーの1H NMRスペクトルを図1に示す。この撹拌溶液に、酢酸プロピル0.288g及びオキシ塩化タングステン(VI)0.192gと二塩化エチルアルミニウム0.286gとのトルエン混合物を加える。反応器にエチレン55psig(379kPa)を満たし且つガス抜きする操作を合計3回行う。反応混合物を55psig(379kPa)のエチレン下で24時間撹拌する。追加量の酢酸プロピル、オキシ塩化タングステン(VI)及び二塩化エチルアルミニウムを前述のようにして加え、反応混合物を55psig(379kPa)のエチレン下で更に5時間撹拌する。生成物を、メタノールの添加によって冷却溶液から沈殿させ、濾過によって回収する。減圧下で揮発性成分を除去することによって、生成物2.4gが得られる。反応混合物のGPC分析は、出発ポリマーのMnがエテノリシスによってMn2,833g/モルまで低下されることを示している。図2に示される1H NMRによる分析は、5.5ppmのバックボーン不飽和が大幅に減少され且つ末端不飽和が4.9〜5.1ppm及び5.8〜5.9ppmの範囲で増加されていることを裏付ける。
【0216】
末端エチレン性不飽和は他の末端官能価に、例えば炭素−炭素二重結合のエポキシ化によってエポキシド官能価に;炭素−炭素二重結合のヒドロホルミル化及び還元によってヒドロキシメチル官能価に;そして炭素−炭素二重結合のヒドロホルミル化及びアミノ化によってアミノメチル官能価に転化できる。
【0217】
より具体的には、エテノリシスによって製造されたポリマー生成物(20g)を反応器(3.8 lオートクレーブ)に装填し、1.7MPaの合成ガス(モル比2/1のH2/CO)、1Lのトルエン並びに1.1gのヒドロホルミル化触媒[Rh(CO)2(2,4−ペンタンジオネート)]及びトリn−オクチルホスフィンで加圧する。最終反応器溶液は、800ppmのロジウム及びRhに対して4.5/1のモル比のトリ−n−オクチルホスフィンを含む。反応器を合成ガスで5.5MPaまで加圧し、90℃まで4時間加熱する。次いで、反応器を冷却し、その内容物を容器中に排出し、そこでメタノール1.5リットルの添加によって生成物を沈殿させる。生成物を濾過によって回収し、アセトンで洗浄し、乾燥させる。クロロベンゼン溶液中におけるプロトンNMRによる生成物の分析は、還元的ヒドロホルミル化によるオレフィン基の第一アルコール基への転化率が90%より高いことを示している。生成物はヒドロキシル価2.1及びMn950の低分子量ポリオールを含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン、共役ジエン若しくはアルキン及び、任意的に、1種若しくはそれ以上のC3〜C20α−オレフィンの付加重合によって生成された不飽和コポリマーを含む組成物とメタセシス触媒を、ポリマーメタセシス条件下で、環状オレフィン若しくはポリオレフィン、非環式オレフィン及び/又は連鎖移動剤の存在下において、接触させ;そして得られたテレケリック反応生成物を回収する工程を含んでなる、エチレン性不飽和テレケリックポリマーを含む生成物混合物の製造方法。
【請求項2】
i)エチレン、共役ジエン若しくはアルキン及び、任意的に、1種若しくはそれ以上のC3〜C20α−オレフィンの付加重合によって生成された不飽和コポリマーとメタセシス触媒を、ポリマーメタセシス条件下で、環状オレフィン若しくはポリオレフィン、非環式オレフィン及び/又は連鎖移動剤の存在下において、接触させて多価不飽和反応生成物を生成させることによって、エチレン性不飽和テレケリックポリマーを含む混合物を生成せしめ;
ii)前記多価不飽和反応生成物中のエチレン性不飽和の一部又は全てを1種若しくはそれ以上の官能基に転化せしめ;そして
iii)得られた官能基化テレケリック反応生成物を回収する
工程を含んでなる、官能基化テレケリックポリマーを含む生成物混合物の製造方法。
【請求項3】
i)エチレン、共役ジエン若しくはアルキン及び、任意的に、1種若しくはそれ以上のC3〜C20α−オレフィンの付加重合によって生成された不飽和コポリマーを含む組成物を、環状オレフィン若しくはポリオレフィン、非環式オレフィン及び/又は連鎖移動剤と接触させて、多価不飽和反応生成物を生成せしめ;そして
ii)工程i)からの生成物混合物を還元的ヒドロホルミル化条件下でヒドロホルミル化して、ポリオールを含む反応生成物を生成せしめる
工程を含んでなる、α,ω−ジオールを含む生成物混合物の製造方法。
【請求項4】
前記請求項1〜3の方法の一つによって製造されるか又は製造可能なエチレン性不飽和又はポリオール官能価を含んでなるテレケリックポリマー。
【請求項5】
ポリ(エチレン−コ−オクテン−コ−ブタジエン)とエチレンのメタセシスから製造される請求項4に記載のテレケリックポリマー。
【請求項6】
ジイソシアネート化合物とポリオールとの反応によるポリウレタン組成物の製造方法であって、前記ポリオールが請求項4若しくは5に記載のテレケリックポリマー又は請求項1〜3のいずれか一つの方法に従って製造されるテレケリックポリマーを含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
ジカルボン酸若しくはジカルボン酸無水物とポリオールとの反応よるポリエステル組成物の製造方法であって、前記ポリオールが請求項4若しくは5に記載のテレケリックポリマー又は請求項1〜3のいずれか一つの方法に従って製造されるテレケリックポリマーであることを特徴とする方法。
【請求項8】
反応性ポリオール希釈剤を含んでなるコーティング組成物であって、前記反応性ポリオール希釈剤が請求項3に記載の方法に従って製造されるテレケリックポリマーであることを特徴とする組成物。
【請求項9】
メタセシスに供される前記不飽和ポリマー試薬が0.001〜10モル%のエチレン性不飽和を含む請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記不飽和ポリマーが、エチレン及びブタジエン並びに、任意的に、1種若しくはそれ以上のC3〜C8オレフィンのコポリマー又はその部分水素化誘導体である請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記不飽和ポリマーが0.1〜1モル%のエチレン性不飽和を含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記メタセシスを、(A)金属が元素周期表の第1族、第2族、第12族若しくは第13族から選ばれる少なくとも1種の有機金属化合物、(B)金属が第5族、第6族若しくは第7族の金属からなる群、好ましくはモリブデン若しくはタングステンから選ばれる少なくとも1種の金属誘導体及び、任意的に、(C)少なくとも1種のキレート化材料又はルイス塩基材料を含む触媒の存在下で実施する、請求項11〜3及び6〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記メタセシスを、式:
【化1】

[式中、MAはルテニウム又はオスミウムであり;
A及びXBは同一又は異なるアニオン性配位子であり;
Aは中性電子ドナー配位子であり;
Bは中性電子ドナー配位子又は窒素含有複素環式カルベンであり;
A及びRBは、それぞれ独立して、水素、又は水素を数えずに原子20個以下のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、カルボキシレート、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、アルコキシカルボニル、アルキルチオ、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル若しくはシリル基、それらのアルキル、アルコキシ、アリール、アラルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアリール若しくはハロアルカリール置換誘導体;或いは前記のいずれかの官能基化誘導体(ここで、官能基はヒドロキシル、チオール、アルコール、スルホン酸、ホスフィン、チオエーテル、ケトン、アルデヒド、エステル、エーテル、アミン、イミン、アミド、イミド(imide)、イミド(imido)、ニトロ、カルボン酸、ジスルフィド、カーボネート、イソシアネート、カルボジイミド、カルボアルコキシ、カルバメート、アセタール、ケタール、ボロネート、シアノ、シアノヒドリン、ヒドラジン、オキシム、ヒドラジド、エナミン、スルホン、スルフィド、スルフェニル若しくはハロゲンである)である]
の化合物を含む触媒の存在下に実施する請求項1〜3及び6〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記触媒が、LBが第三ホスフィンであり且つLAが第三ホスフィン又は窒素含有複素環式配位子であるルテニウム誘導体を含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記LAが式:
【化2】

[式中、Arは、それぞれ独立して、原子50個以下のアリール基であり、且つRCは、それぞれ独立して、水素若しくはアニオン性配位基であるか又は複数のRC基が共同で1つ若しくはそれ以上の縮合環を形成できる]
のイミダゾリジニル−又はトリアゾリル−配位子である請求項14に記載の方法。
【請求項16】
Arが、それぞれ独立して、フェニル又は2,4,6−トリメチルフェニルである請求項15に記載の方法。
【請求項17】
メタセシスの間にエチレンが存在する請求項11〜13及び6〜16のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−501669(P2010−501669A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−525626(P2009−525626)
【出願日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際出願番号】PCT/US2007/018625
【国際公開番号】WO2008/027269
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】