説明

メタノール生成の方法と反応器

燃料電池型反応器で、二酸化炭素と水からメタノールを生成する。この反応器は陰極(11)とカソード反応用触媒を有する陰極側と、陽極(12)とアノード反応用触媒を有する陽極側と、この陰極側と陽極側を分離する中間膜(13)を含む。更にこの反応器は、多段階カソード反応を実施するために直列に流れ接続した複数のセル(1,2,3)に分割され、各セルはセル中で実施すべき反応段階に最適化した触媒を有する。そのプロセスでは陰極(11)と陽極(12)間に電圧を接続し、第一段階で二酸化炭素を所望の第一カソード反応に曝してその二酸化炭素をギ酸に還元し、第二段階でこのギ酸をホルムアルデヒドと水に還元し、第三段階でこのホルムアルデヒドをメタノールに還元する。回収二酸化炭素を用いてメタノールを生成し、これを車両のDMFC型燃料電池の燃料として有利に使用することで、埋蔵の必要がある二酸化炭素量の大幅な減少を達成する可能性がある。更に、水を陽極(12)で過酸化水素に酸化し、DFMC型燃料電池の酸化剤として有利に利用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はメタノール生成プロセスに関する。
【0002】
この発明は又二酸化炭素と水からメタノール生成に用いる燃料電池型反応器で、陰極とカソード反応用触媒を有する陰極側と、陽極とアノード反応用触媒を有する陽極側と、この陰極側と陽極側を分離する中間膜を含む反応器に関する。
【背景技術】
【0003】
メタノール使用が益々成長する分野は燃料電池、特に直接メタノール(DMFC)型燃料電池の燃料としてであり、自動車分野での大きな成長が期待される。環境的な観点からは、メタノールがかなりより大量の二酸化炭素放出をもたらすエタノール以上に好ましい。更に農業に基づくエタノールの生産では、エネルギー用森林のガス化によるメタノール生成に必要な林野面積の4倍以上の耕作面積が必要であり、林業の木材需要と競合しない。
更に二酸化炭素は所謂温室効果ガスであり、酸化により生成する二酸化炭素の中和問題がある。火力発電所では、例えば二酸化炭素が大規模に生成し、それを回収し、例えば好ましくは海底下の空の石油ガス田に埋蔵することが示唆された。しかし炭酸ガス埋蔵の必要性の削減のため、使用に適する区域を見いだすことが望ましい。
【発明の開示】
【0004】
本発明の目的は、合成の原料として二酸化炭素スと水を用いて埋蔵の必要がある二酸化炭素量を減少させるプロセスと反応器を提供することである。
【0005】
上記序文で述べたメタノール生成プロセスでは、本目的は燃料電池型反応器の陰極と陽極間に電圧を接続し、第一段階で所望の第一カソード反応(a)に最適化した触媒を用いながら反応器内の二酸化炭素と水を本反応(a)に曝し、
CO2 + 2H3O+ + 2e- → HCOOH + 2H2O (a)
第一段階から第二段階に反応生成物を導き、そこで所望の第二カソード反応(b)に最適化した触媒を用いながら本反応(b)を実施し、
HCOOH + 2H3O+ + 2e- → HCHO + 3H2O (b)
第二段階から第三段階に反応生成物に導き、所望の第三カソード反応(c)に最適化した触媒を用いながら本反応(c)を
HCHO + 2H3O+ + 2e- → CH3OH + 2H2O (c)
実施することにより達成される。
【0006】
上記序文で述べた反応器では、本目的は多段カソード反応を実施するために直列接続の流れを有する複数の燃料電池型リアクターセルに分割することで達成され、各セルはそのセル内で実施すべき反応を最適化する触媒を有する。
【0007】
メタノール生成に二酸化炭素を用いて、自動車側のDMFC型燃料電池の燃料として有利に利用することにより、埋蔵の必要がある二酸化炭素量の大量削減を達成する可能性がある。
【0008】
第一段階のカソード反応用に銀単独又は二酸化チタン及び/又はテルルと一緒の銀触媒、第二段階のカソード反応用に銀と一緒の二酸化ケイ素と二酸化チタン触媒、第三段階のカソード反応用に銀60−94%、テルル及び/又はルテニウム5−30%、及び白金1−10%単独又は金及び/又は二酸化チタンと一緒に、好ましくは90:9:1の割合の触媒の使用が好ましい。これらの触媒は所望反応に対して最適化する。
【0009】
陽極での還元剤としては、各段階で以下のアノード反応(d)用のカーボンブラック、アントラキノン及び銀触媒と一緒に水の使用が好ましい。
4H20 → H2O2 + 2H3O+ + 2e- (d)
この発明の反応器では、これは全セルが液体還元剤の使用に適するように設計し、全セルは、液体還元剤としての水の使用と以下のアノード反応(d)での過酸化水素生成のためにフェノール樹脂中のカーボンブラック、アントラキノン及び銀触媒を陽極側に有することを意味する。
4H20 → H2O2 + 2H3O+ + 2e- (d)
その結果この反応器は過酸化水素を副生物として生成する。過酸化水素は、“DMFC型燃料電池の操作法とDMFC型燃料電池組み立て品”と題してここに同時申請した本発明者の特許出願に開示し、文献としてここに組み入れたDMFC型燃料電池で用いるのに非常に適して酸化剤である。
【0010】
この三つの反応段階は、好ましくは反応器で流れが直列接続の三つのセルで実施し、陰極側と陽極側の反応は各段階のそれぞれで互いに化学量論的な平衡を維持される。この結果所望の反応機構の遂行が促進される。
【0011】
膜は好ましくは陽極側と陰極側両者上の触媒用担体で構成される。このようにしてコンパクトな設計と高出力密度が得られる。
【0012】
この陰極、陽極及び膜は薄板で、互いに貼り付け、1ミリより薄い厚さと平面を有し、この膜と片側の陰極と陽極の少なくとも一つが、実質的に平板全面上に最適の液体流が生ずる表面構造を備えることが適切である。
【0013】
又この表面構造は波形断面を有する通路で構成されることが適切である。この通路は容易に作成でき所望のフローパターンを得ることができる。
【0014】
陰極薄板と陽極薄板は、好ましくは厚さ0.6mmから減って0.1mm程度、好ましくは0.3mmを有する板金からなり、通路は幅が2mmから増えて3mm程度、深さが0.5mmから減って0.05mm程度である。その結果反応器寸法を削減することにより出力密度の増加と同時に所望反応の制御が可能である。
【0015】
好ましくは、膜はガラスからなり、プロトン/ヒドロキソニウムイオンの通過が可能なように適切にドープする。実際にはガラス膜はセルに見られる反応物質に不溶であり、その結果反応物質により攻撃されない。又他のイオンを透過しない。
【0016】
更に膜はその上の関連カソード反応用の触媒を平面上に支え、その反対側にはアノード反応用触媒を構成する銀鏡を支えることが適切である。その結果別の触媒用担体が不必要であり、リアクターセルはよりコンパクトに作成できる。
以下にこの発明を好ましい実施形態と付随図面を参考にしてより詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1の原理流れ図は、二酸化炭素と水からメタノールを生成した場合の燃料電池型反応器の好ましい実施形態を示す。この反応器は、陰極11とカソード反応用触媒を有する陰極側、陽極12とアノード反応用触媒を有する陽極側、及びこの陰極側と陽極側を分離する中間膜13を含む。
【0018】
この発明に従うと反応器は、多段カソード反応実施のために直列接続の流れを有する複数の燃料電池型リアクターセル1,2,3、図示の実施形態では三つのリアクターセルに分割し、各セル1,2,3はセルで実施すべき反応段階で最適化した触媒を有する。
【0019】
メタノール生成するために、燃料電池型反応器の陰極11と陽極12間で電圧を接続し、第一段階で反応器のセル1中の二酸化炭素と水が所望の第一カソード反応(a)に最適化した触媒、適切には銀単独又は二酸化チタン及び/又はテルルと一緒の銀を用いながら本反応(a)でギ酸に還元される。
CO2 + 2H3O+ + 2e- → HCOOH + 2H2O (a)
生じた反応生成物は第一段階からセル2の第二段階に導き、所望の第二カソード反応(b)に最適化した触媒、適切には銀と一緒の二酸化ケイ素と二酸化チタンを用いながら、本反応(b)でこのギ酸はホルムアルデヒドに還元し、第二段階で生じた反応生成物を第三
HCOOH + 2H3O+ + 2e- → HCHO + 3H2O (b)
セル3の第三段階に導き、所望の第三カソード反応(c)に最適化した触媒、適切には銀60−94%、テルル及び/又はルテニウム5−30%、及び白金1−10%単独又は金及び/又は二酸化チタンと一緒に、好ましくは90:9:1の割合の触媒を用いながら、本反応(c)でこのホルムアルデヒドをメタノールに還元する。
HCHO + 2H3O+ + 2e- → CH3OH + 2H2O (c)
利用度を高め出力密度を向上するように二酸化炭素と水からのメタノール生成を、複数の段階に分割し、各段階それぞれで最適化した触媒により所望の反応を精緻化し制御できる。
【0020】
図1に示す実施形態では、各段階で供給された新鮮な水は、カーボンブラック、アントラキノン及び銀の触媒とフェノール樹脂を使用しながら、以下の反応により各段階の陽極側で過酸化水素に電気化学的に酸化される。
4H20 → H2O2 + 2H3O+ + 2e- (d)
各段階又はセル1,2,3への水の供給を適切に制御することにより、陽極側と陰極側の反応が各段階それぞれで互いに化学量論的に平衡する。その結果これら反応はより確実に精緻化され、収率が増加するように図示しない在来の制御装置で制御できる。酸素の代わりに過酸化水素を生成することにより、遙かに低い流量が必要という利点をもたらす。更に空気の標準電極電位(E)は1.227ボルトに対して、過酸化水素のEは1.776ボルトである。更に膜の両側で液相を有するのは有利である。
【0021】
アントラキノン(CAS番号84−65−1)は、融点286°Cを有する結晶性粉末であり、水とアルコールに不溶だがニトロベンゼンとアニリンに可溶である。触媒はカーボンブラック、アントラキノン及び銀を、例えばフェノール樹脂と混合し、被膜として塗布しそのまま乾燥することで生成できる。次いでこの被膜を基質から分離し、破砕と微粉砕後得られた粉末を適切な溶剤に懸濁し、所望場所に塗布し溶剤を蒸発する。
【0022】
三つのリアクターセル1,2,3は又電気的に直列接続する。二個の電子が電池として示した電流源15から第一段階の陰極11に進み、二個の電子が第一段階の陽極12から第二段階の陰極11に進み、二個の電子が第二段階の陽極12から第三段階の陰極11に進み、二個の電子が第三段階の陽極12から電流源15に戻る。三つのセル1,2,3の全てで形成のプロトン/ヒドロキソニウムイオンは、陽極12から膜13を通って陰極11に進む。
【0023】
図2は図1の反応器組み立て部の断面図であり、電極11,12、中間膜13、及び流路16の好ましい配置を示す。陰極11、陽極12及び膜13は互いに貼り付けた薄板で形成されパック又は積み重ねを形成する。接合は、例えば図示しない引っ張り棒を用いて機械的に実施できるが、好ましくは図示しない適切な接着剤、例えばシリコン型接合を用いて互いに平板を一緒に保持する。膜13と陰極11の間及び膜13と陽極12の間に、実質的に平板全面上に液体の実質的な等流を促進する表面構造を備える。更に図2に第一段階の陽極12の一平板が第二段階の陰極11の一平板と導電表面接触であり、第二段階の陽極12の一平板が第三段階の陰極11の一平板と導電表面接触するように設計した直列の電気的接続を開示する。図1に示す各リアクターセル1,2,3間の流路は平板パック/積み重ねで形成されているが、又外部配置の流路として図2に示す。
【0024】
膜13はナフィオン(Nafion)(商品名)の在来プロトン交換膜(PEM)でも良いが、好ましい実施形態では薄いガラス板13であり、好ましくは一つの膜側から他の側へのプロトン/ヒドロキソニウムイオンの移動が可能なようにドープする。
【0025】
有利にはこのガラスはソーダ石灰ガラスやグリーンガラスのような普通の安価なガラス品種からなる。このガラス板が薄くできる場合、その弾力性と比荷重持続能は増加する。ガラスのドーピング剤としては複数の種々の金属が可能であるが、好ましくは比較的安価な塩化銀形態の銀が用いられる。ドーピング剤と同様にガラスの薄い厚みにより、プロトン/ヒドロキソニウムイオンの膜を通る移動が容易になる。更にこのガラスは他イオンや分子の通過を防ぎ、導電性でないために電子は陽極12から膜13を通過して陰極11に進めない。
【0026】
図2に示す好ましい実施形態では、陰極11、陽極12及び膜13は1mmより薄い厚さを有する。陰極11と陽極12は平面を有し、実質的にこの平板全面上で最適化流れの液体を生ずる該表面構造16が陰極11と陽極12上に備わり、中間膜13の両側は平面である。図1に示す反応器組み立て部のセル1の陽極12の平面側は、次いで導電性でセル2の陰極11の平面との接触を担うなど。リアクターセル1,2,3は陰極11、膜13、及び陽極12を有し、これら全てが隣接平板上の表面構造16を備えた側面に面した平面、又はその逆を有するか、又は膜13に面する平面側を有する陰極11と陽極12で、その二面が表面構造16を備えることは明らかである。
【0027】
陰極11と陽極12は適切には反応物質に耐える導電材料の金属薄板、例えばステンレススチールであり、厚さは0.6mmから減って0.1mm程度、好ましくは0.3mmを有する。膜13の可能な表面構造16と同様に陰極11と陽極12の表面構造は、波形断面を有する通路からなる。この通路は適切には幅が2mmから増えて3mm程で、深さが0.5mmから減って0.05mm程度である。ガラス膜13の可能な表面構造16は、例えばエッチングにより与えられ、陽極板と陰極板11,12のそれは、又ハイインパクト成形とも呼ばれる断熱成形により生成する。例えばその成形は米国特許6,821,471に開示の方法で得られる。所望の表面構造又はフローパターンを有し、ハイインパクト成形により生成される平板は、そのフローパターンを切削作業で生成する平板の費用の約十分の一しかかからない。
【0028】
図3と図4に実質的に平板全面上で最適化流れの液体を生ずる幾つかの異なる表面構造又はフローパターン16を示す。図3では平行通路が横方向に繰り返し打開されることにより、全表面構造がダイヤモンドパターンに配置したピンからなり、格子型系の通路16を形成する。最後に図4に又平行な蛇行通路16が使用できることを示す。異なる流路が可能な全ての場合で、入口から出口までが等しい長さを目指す必要がある。
【0029】
好ましくは、ガラス板13は平面を有し、その平面は適切には燃料電池又は反応器内でのアノード反応又はカソード反応を実施するに必要な触媒を備え、その触媒は有利には膜反対側のガラス表面上に融解する。次いでガラス板13の反対面は平面で、カソード反応又はアノード反応を実施するに必要な触媒は、膜反対側のガラス表面上に融解するのが又適切である。偶然膜13が両側に触媒層14を備えるように示した図2に示すように、これにより一平面と一表面構造化面を有する同じ薄板状の電極11,12を有するリアクターセル1,2,3のコンパクトな積み重ねの構築を容易になり、その結果高出力密度が得られる。
【0030】
上述のように第二段階の反応を促進する触媒は、適切には二酸化ケイ素、二酸化チタン及び銀からなる。膜13がガラスからなる場合には、既にガラス中に二酸化ケイ素が存在し、その結果二酸化チタンと銀だけを別々に塗布する必要がある。
【0031】
ガラス表面に適切に融解することにより、その触媒は機械的損傷に対して保護され、同時に高出力密度を与えるコンパクトな構造が維持される。融解は、例えば不活性雰囲気でレーザーにより実施され、融解前に勿論触媒は、触媒面積を増加するために、例えばボールミルですりつぶして非常に細かくする必要がある。
【0032】
当然触媒は又電極11、12の一方又は両方で有することができる。代わりに触媒の少なくとも一つ、例えばアントラキノンと銀を含有するものが、例えば図示しない炭素繊維フェルトの別の中間担体に配置しても良い。しかしこの配置は拡散を遅延する原因となり、その結果この変形は可能ではあるがより好ましくない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】燃料電池型反応器の好ましい実施形態を示す原理流れ図であり、燃料電池型リアクターセル中で二酸化炭素と水から段階的にメタノールを生成する。
【図2】図1の反応器の断面図であり、電極、中間膜、及び流路の好ましい配置を示す。
【図3】各セル中の反応物質の流れを導く幾つかの異なるフローパターンの平面図である。
【図4】各セル中の反応物質の流れを導く幾つかの異なるフローパターンの平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタノール生成プロセスで、燃料電池型反応器の陰極(11)と陽極(12)間に電圧を接続し、
第一段階(1)で反応器中の二酸化炭素と水を所望の第一カソード反応(a)に最適化した触媒を用いながら、本反応(a)に曝し、
CO2 + 2H3O+ + 2e- → HCOOH + 2H2O (a)
反応生成物を第一段階(1)から第二段階(2)に導き、そこで所望の第二カソード反応(b)に最適化した触媒を用いながら、本反応(b)を実施し、
HCOOH + 2H3O+ + 2e- → HCHO + 3H2O (b)
反応生成物を第二段階(2)から第三段階(3)に導き、そこで所望の第三カソード反応(c)に最適化した触媒を用いながら、本反応(c)を実施する
HCHO + 2H3O+ + 2e- → CH3OH + 2H2O (c)
ことを特徴とするプロセス。
【請求項2】
前記第一段階のカソード反応に銀単独又は二酸化チタン及び/又はテルルと一緒の触媒を使用することを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記第二段階のアノード反応に銀と一緒の二酸化ケイ素と二酸化チタンの触媒を使用することを特徴とする請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記第三段階のアノード反応に銀60−94%、テルル及び/又はルテニウム5−30%、及び白金1−10%単独、又は金及び/又は二酸化チタンと一緒に、好ましくは90:9:1の割合で含有する触媒を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
各段階(1−3)の以下のアノード反応(d)でカーボンブラック、アントラキノン及び銀触媒と一緒に陽極での還元剤として水を用いる
4H20 → H2O2 + 2H3O+ + 2e- (d)
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
反応器に直列接続の流れを有する三つのセル(1,2,3)で三つの反応段階を実施することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記陽極側と前記陰極側の反応を各段階それぞれで互いに化学量論的な平衡に維持することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
二酸化炭素と水からのメタノール生成に用いる燃料電池型反応器で、陰極(11)とカソード反応用触媒を有する陰極側、陽極(12)とアノード反応用触媒を有する陽極側、及び前記陰極側と前記陽極側を分離する中間膜(13)を含み、前記反応器が多段階カソード反応を実施するために直列接続の流れを有する複数の燃料電池型リアクターセル(1,2,3)に分割され、各セル(1,2,3)はセル中で実施すべき前記反応段階に最適化した触媒を有することを特徴とする反応器。
【請求項9】
陰極側では第一セル(1)は以下のカソード反応(a)を実施するために、銀単独又は二酸化チタン及び/又はテルルと一緒の触媒を有し、
CO2 + 2H3O+ + 2e- → HCOOH + 2H2O (a)
第二セル(2)は以下のカソード反応(b)を実施するために、銀と一緒の二酸化ケイ素と二酸化チタン触媒を有し、
HCOOH + 2H3O+ + 2e- → HCHO + 3H2O (b)
且つ第三セル(3)は以下のカソード反応(c)を実施するために、銀60−94%、テルル及び/又はルテニウム5−30%、及び白金1−10%単独、又は金及び/又は二酸化チタンと一緒に、好ましくは90:9:1の割合で含有する触媒を有する
HCHO + 2H3O+ + 2e- → CH3OH + 2H2O (c)
ことを特徴とする請求項8に記載の反応器。
【請求項10】
セル(1,2,3)の全てが液体還元剤を用いるように設計されることを特徴とする請求項9に記載の反応器。
【請求項11】
陽極側では、全セル(1,2,3)が、液体還元剤として水を用い、以下のアノード反応(d)で過酸化水素を生成するようにカーボンブラック、アントラキノン、及び銀触媒を有する
4H20 → H2O2 + 2H3O+ + 2e- (d)
ことを特徴とする請求項10に記載の反応器。
【請求項12】
膜(13)が陰極側及び/又は陽極側の触媒用担体であることを特徴とする請求項8〜11のいずれか一項に記載の反応器。
【請求項13】
陰極(11)、陽極(12)、及び膜(13)が薄板で、互いに貼り付けられ、1mmより薄い厚さを有し、膜(13)の両側は平面で、陰極(11)と陽極(12)は一平面側と膜(13)に面する反対面を有し、実質的に前記板全面上で最適化流れの液体を生ずる表面構造(16)を備えることを特徴とする請求項8〜12のいずれか一項に記載の反応器。
【請求項14】
前記表面構造が波形断面を有する通路(16)で構成されることを特徴する請求項13に記載の反応器。
【請求項15】
陰極薄板と陽極薄板(11,12)は、厚さが0.6mmから減って0.1mm程度、好ましくは0.3mmを有する板金からなり、通路(16)は幅が2mmから増えて3mm程度で、深さが0.5mmから減って0.05mm程度であることを特徴とする請求項14に記載の反応器。
【請求項16】
膜(13)がガラスからなることを特徴とする請求項8〜15のいずれか一項に記載の反応器。
【請求項17】
前記ガラスがプロトン/ヒドロキソニウムイオンの通過を可能にするようにドープされることを特徴とする請求項16に記載の反応器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−540130(P2009−540130A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−515352(P2009−515352)
【出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際出願番号】PCT/SE2007/050418
【国際公開番号】WO2007/145586
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(504344978)モルフィック テクノロジーズ アクティエボラグ (ピーユービーエル) (14)
【Fターム(参考)】