説明

メッセージ配信システム及びデータ提供方法

【課題】本システムのネットワーク上のデータを他のネットワーク上のサーバが自由に利用可能とする。
【解決手段】第一のネットワーク11上に公開APIリストカタログサーバ25を設け、統計情報収集サーバ23、SIPアプリケーションサーバ24が保有するデータを利用可能とするAPIのリストを保持しておく。そして、第二のネットワーク12上のサーバ26からデータの利用要求があったときに、上記APIのリストに基づいて利用可能なAPIを通知して統計情報収集サーバ23またはSIPアプリケーションサーバ24が保有するデータを第二のネットワーク12上のサーバ26に転送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広告等のメッセージを配信するメッセージ配信システムに係り、特に、3GPP(Third Generation Partnership Project)によって標準化されたIMS(IP Multimedia Subsystem)でSIP(Session Initiation Protocol)を用いて通信相手の端末にメッセージを配信するシステムと同システムに用いられるデータ提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ITU等で議論しているNGN(Next Generation Network:次世代ネットワーク)は、サービスがIPネットワークを経て提供されるネットワークアーキテクチャを想定している。また、NGNでは、第三世代の移動ネットワークの標準化団体である3GPPで策定されたIPマルチメディアサブシステム(IMS)の採用を決めており、IMSを用いたネットワークサービスの提供が検討されている。
【0003】
IMSはSIPベースを用い、端末間のセッション制御や、登録処理、課金処理等を行うサブシステムである。IMSと組み合わせて利用できる機能として、プレゼンスサーバがあり、IMS上のユーザのプレゼンス状態をプレゼンスサーバで管理する機能になり、IETF、OMA等で標準仕様が議論されている。
【0004】
また、SIP技術を用いたメッセージサービスについては、SIPのパケット内に所望のメッセージを挿入してユーザにメッセージを通知することができる(例えば、非特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「RFC 2543 SIP: Session Initiation Protocol」,M. Handly, H. Schulzrinne 他 March 1999
【非特許文献2】「The IMS:IP Multimedia Concepts And Services」,Miikka Poikselka 他 , John Wiley & Sons Inc;2版(2006/03)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、IMSネットワークとは異なるネットワーク上でサービスを提供するサーバからIMSネットワーク上のデータ利用が求められている。しかしながら、従来のシステムにあっては、IMSネットワーク上のデータは同じネットワークに属するサーバや端末間でしか利用できないのが現状であり、他のネットワーク上のサーバが利用することはできなかった。
【0007】
本発明は上記のような点に鑑みなされたもので、本システムのネットワーク上のデータを他のネットワーク上のサーバが自由に利用できるメッセージ配信システム及びデータ提供方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るメッセージ配信システムは、第一のネットワーク上の各ユーザの端末で再生されたコンテンツに関する情報をユーザの属性情報と共にプレゼンス情報として登録する情報登録手段と、この情報登録手段によって登録された各ユーザのプレゼンス情報を統計処理した結果を収集する統計処理手段と、この統計処理手段によって収集された統計情報に基づいて上記各ユーザの端末に対してメッセージを選択的に配信するメッセージ配信手段と、上記統計処理手段または上記メッセージ配信手段が保有するデータを上記第一のネットワークとは異なる第二のネットワーク上のサーバに提供するためのAPIのリストを保持するリスト保持手段と、上記第二のネットワーク上のサーバから上記統計処理手段または上記メッセージ配信手段が保有するデータの利用要求があったときに、上記APIリスト保持手段に保持されたAPIのリストに基づいて利用可能なAPIを通知する通知手段と、この通知手段によって通知されたAPIに従って上記統計処理手段または上記メッセージ配信手段が保有するデータを上記第二のネットワーク上のサーバに転送するデータ転送手段とを具備して構成される。
【0009】
このような構成によれば、第一のネットワークとは異なる第二のネットワーク上のサーバからデータの利用要求があったときに、APIのリストに基づいて利用可能なAPIが通知され、その通知されたAPIに従って第一のネットワーク上のデータ(統計処理手段またはメッセージ配信手段が保有するデータ)が第二のネットワーク上のサーバに転送される。これにより、他のネットワークに存在するサーバが本システムのデータを自由に利用することができる。
【0010】
また、上記情報登録手段において、第一のネットワーク上の各ユーザの端末で再生されたコンテンツに関する情報を登録する場合に、上記第一のネットワーク上の各ユーザの端末で再生されたコンテンツに関する情報を当該コンテンツの再生時にリアルタイムで登録することを特徴とする。これにより、コンテンツ再生時にリアルタイムで統計情報に反映させることができる。
【0011】
また、上記情報登録手段において、第一のネットワーク上の各ユーザの端末で再生されたコンテンツに関する情報を登録する場合に、上記第一のネットワーク上の各ユーザの端末で一定期間の間に再生されたコンテンツに関する情報を一括して登録することを特徴とする。これにより、各ユーザの端末がコンテンツ再生の度にデータ送信することを回避して、第一のネットワークの負荷を軽減することができる。
【0012】
また、上記情報登録手段において、第一のネットワーク上の各ユーザの端末で再生されたコンテンツに関する情報を登録する場合に、上記第一のネットワーク上の各ユーザの端末で再生されたコンテンツに関する情報を上記端末側でのボタン操作によって登録が明示的に指示されたときに登録することを特徴とする。これにより、ユーザが承認したコンテンツに関する情報だけを対象にして登録を行うことができる。
【0013】
また、上記第一のネットワークとしてIMSを用いたネットワーク、上記第二のネットワークとしてIMS以外のネットワークで構築される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、本システムのネットワーク上のデータを利用可能なAPIを公開し、そのAPIに従ってデータを転送する構成としたことにより、他のネットワーク上のサーバが本システムのデータを自由に利用でき、そのネットワーク上のサービスとの連携が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は本発明の一実施形態に係るメッセージ配信システムの全体構成を示す図である。
【図2】図2は同実施形態におけるメッセージ配信システムに用いられ各サーバの基本的な構成を示すブロック図である。
【図3】図3は同実施形態における第一のネットワーク側でユーザのプレゼンス情報をリアルタイムに収集して即時登録する場合の処理の流れを示すシーケンス図である。
【図4】図4は同実施形態における第一のネットワーク側でユーザのプレゼンス情報を定期的に収集して登録する場合の処理の流れを示すシーケンス図である。
【図5】図5は同実施形態における第一のネットワーク側でユーザのプレゼンス情報をボタン操作により収集して登録する場合の処理の流れを示すシーケンス図である。
【図6】図6は同実施形態におけるメッセージ配信システムのAPI機能を説明するためのシステム構成図である。
【図7】図7は同実施形態におけるメッセージ配信システムの公開APIリストカタログサーバによるデータ提供処理を示すフローチャートである。
【図8】図8は同実施形態におけるメッセージ配信システムのメッセージ配信機能を説明するためのシステム構成図である。
【図9】図9は同実施形態における統計情報収集サーバのデータ構造の例を示す図であり、図9(a)は統計結果、同図(b)はその統計結果から算出された配信料金の例である。
【図10】図10は同実施形態における第一のネットワーク上の統計情報収集サーバのデータと第二のネットワーク上のWebサーバの地図アプリケーションとを組み合わせた場合の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るメッセージ配信システムの全体構成を示す図である。
【0017】
このメッセージ配信システムは、第一のネットワーク11と第二のネットワーク12からなる。第一のネットワーク11は、IMSを用いたネットワークを想定している。すなわち、この第一のネットワーク11は、通信オペレータ等の事業者が運営している、所謂「マネージドネットワーク」である。これに対し、第二のネットワーク12は、例えばインターネットのような広域の通信ネットワークであり、ここではWebサーバ26,27が接続されている。
【0018】
以下では、第一のネットワーク11側でウェブやブログ、ビデオオンデマンド(VoD)、IPTVなどのコンテンツ情報を視聴している各ユーザの端末に対して、第二のネットワーク12側から広告事業者が作成した広告メッセージを配信する場合を想定して説明する。
【0019】
今、第一のネットワーク11にコンテンツ受信者であるユーザA,Bの端末13a,13bが接続され、第二のネットワーク12に広告メッセージの配信者α,βの端末14a,14bが接続されているものとする。端末13a,13bは、IMSのシステムで用いられるSIPを備える。端末14a,14bは、インターネットへの接続機能を備えた汎用のコンピュータからなる。
【0020】
図1に示すように、第一のネットワーク11上には、ウェブやプログ、ビデオオンデマンド(VoD)、IPTV等のコンテンツの配信サービスを行うコンテンツ配信サーバ21、ユーザのプレゼンス情報を登録するプレゼンスサーバ22、プレゼンスサーバ22に登録されたプレゼンス情報を統計処理した結果を登録する統計情報収集サーバ23、統計情報収集サーバ23に収集された統計情報に従って各ユーザの端末にメッセージ配信を選択的に行うメッセージ配信用のSIPアプリケーションサーバ(SIP−AS)24が接続されている。
【0021】
さらに、第一のネットワーク11上には、本システムの特徴となる公開APIリストカタログサーバ25が接続されている。この公開APIリストカタログサーバ25は、第一のネットワーク11上の統計情報収集サーバ23とSIPアプリケーションサーバ24がそれぞれに保有するデータを提供するためのAPI(Application Programming Interface)のリストをカタログとして保持している。
【0022】
統計情報収集サーバ23、SIPアプリケーションサーバ24、公開APIリストカタログサーバ25は、それぞれにSOAP等のプロトコルを用いたインタフェース(IF)を有している。このインタフェースを介して第二のネットワーク12上のWebサーバ25が接続される形態になっている。
【0023】
また、各サーバ21〜25は、図2に示すように、CPU31、プログラムメモリ32、データメモリ33、通信I/F(インタフェース)34などを備えたコンピュータからなる。各サーバ21〜25に設けられたプログラムメモリ32には、それぞれのサーバの機能を実現するためのプログラムが記憶されている。
【0024】
特に、プレゼンスサーバ22、統計情報収集サーバ23、SIPアプリケーションサーバ24、公開APIリストカタログサーバ25には、以下のような機能を実現するためのプログラムがプログラムメモリ32に記憶されている。
【0025】
すなわち、プレゼンスサーバ22は、各ユーザの端末で再生されたコンテンツに関する情報をユーザの属性情報と共にプレゼンス情報として登録する機能を実現するためのプログラムを有する。
【0026】
統計情報収集サーバ23は、プレゼンスサーバ22に登録された各ユーザのプレゼンス情報を統計処理した結果を収集する機能を実現するためのプログラムを有する。
【0027】
SIPアプリケーションサーバ24は、統計情報収集サーバ23の統計情報と、配信者が指定したユーザの属性情報及びメッセージ内容に基づいて配信先を決定する機能と、この配信先として決定された各ユーザの端末に配信者のメッセージを配信処理する機能を実現するためのプログラムを有する。
【0028】
公開APIリストカタログサーバ25は、統計情報収集サーバ23またはSIPアプリケーションサーバ24に対するデータの利用要求があったときに、APIのリストに基づいて利用可能なAPIを通知し、その通知したAPIに従ってデータを転送する機能を実現するためのプログラムを有する。
【0029】
次に、本システムにて実現される各機能の動作について詳しく説明する。
(a)情報登録機能
まず、本システムの情報登録機能の動作について説明する。
【0030】
本システムでは、第一のネットワーク11上の各ユーザの端末で再生されたコンテンツに関する情報がユーザの属性情報と共にプレゼンス情報としてプレゼンスサーバ22に登録される。その場合の登録方法として、以下のような3つの方法がある。
【0031】
(即時登録方法)
図3は第一のネットワーク11側でユーザのプレゼンス情報をリアルタイムに収集して即時登録する場合の処理の流れを示すシーケンス図である。
【0032】
今、ユーザAが端末13aにて音楽のコンテンツを再生しているものとする。その場合、まず、ユーザAが一曲目の音楽を視聴したときに(ステップS101,S102)、ユーザAの端末13aから第一のネットワーク11を介して視聴情報がプレゼンスサーバ22に送られる(ステップS103,S104)。
【0033】
ここで、視聴情報には、再生された音楽の曲名や歌手名などの他に、以下のようなユーザの属性情報が含まれる。
・視聴者の性別
・視聴者の年齢
・視聴者の所在地・ロケーション情報
なお、上記属性情報は所定の操作により予めユーザ端末内に登録されており、コンテンツ情報と共にプレゼンスサーバ22に送られるようになっている。
【0034】
プレゼンスサーバ22は、ユーザAの端末13aから視聴情報(コンテンツ情報とユーザの属性情報)を受信すると、これをユーザAのプレゼンス情報として所定のメモリ(データメモリ22)に登録した後、登録完了通知を端末13aに返す(ステップS105,S106)。
【0035】
他のユーザについても同様であり、例えばユーザBが端末13bにて音楽のコンテンツを再生した場合には、そのときのコンテンツ情報がユーザBの属性情報と共にプレゼンスサーバ22にリアルタイムに送られることになる。
【0036】
ここで、プレゼンスサーバ22は、各ユーザの端末から収集したプレゼンス情報を統計処理し(ステップS107)、その結果を統計情報収集サーバ23へ送信する(ステップS108,S109)。具体的には、各ユーザのプレゼンス情報を音楽のジャンル、性別、年齢、視聴場所で分類すると共に、その分類単位で視聴者数を算出した結果を統計情報として統計情報収集サーバ23へ送信することになる(図9参照)。
【0037】
ユーザAが2曲目の音楽を視聴したときも同様であり(ステップS110)、そのときの視聴情報がプレゼンスサーバ22に送られて、プレゼンス情報として追加登録される(ステップS111〜S114)。また、このプレゼンス情報の追加登録に伴い、統計情報収集サーバ23にて統計情報が更新される(ステップS115〜S117)。
【0038】
このように、ユーザがコンテンツを再生したときに、そのコンテンツに関わる情報をプレゼンスサーバ22に直ぐに登録することにより、リアルタイムで統計情報に反映させることができる。したがって、常に最新の統計情報を用いてメッセージ配信などのサービスを行うことができる。
【0039】
(定期登録)
図4は第一のネットワーク11側でユーザのプレゼンス情報を定期的に収集して登録する場合の処理の流れを示すシーケンス図である。
【0040】
今、ユーザAが端末13aにて音楽のコンテンツを再生した場合において(ステップS201)、そのコンテンツ情報をプレゼンスサーバ22に直ぐに送るのではなく、一定期間が経過するのを待ち、その間にユーザAが再生した複数の音楽に関するコンテンツ情報を端末13a側で保持しておくようにする(ステップS202)。
【0041】
そして、一定期間が経過したときに、端末13aは、その期間中に保持されたコンテンツ情報をユーザAの属性情報と共に第一のネットワーク11を介してプレゼンスサーバ22に一括して送信する(ステップS203,S204)。
【0042】
プレゼンスサーバ22は、ユーザAの端末13aから視聴情報(コンテンツ情報とユーザの属性情報)を受信すると、これをユーザAのプレゼンス情報として所定のメモリ(データメモリ22)に登録した後、登録完了通知を端末13aに返す(ステップS205,S206)。
【0043】
他のユーザについても同様であり、例えばユーザBが端末13bにて音楽のコンテンツを再生した場合には、一定期間が経過するまでの間に再生された複数の音楽のコンテンツ情報がユーザBの属性情報と共にプレゼンスサーバ22に一括して送られることになる。
【0044】
ここで、プレゼンスサーバ22は、各ユーザの端末から収集したプレゼンス情報を統計処理し(ステップS207)、その結果を統計情報収集サーバ23へ送信する(ステップS208,S209)。
【0045】
このように、一定期間の間に再生された複数のコンテンツ情報を纏めてプレゼンスサーバ22に登録することにより、各ユーザの端末がコンテンツ再生の度にデータ送信することを回避して、第一のネットワーク11の負荷を軽減することができる。
【0046】
(ボタン操作登録)
図5は第一のネットワーク11側でユーザのプレゼンス情報をボタン操作により収集して登録する場合の処理の流れを示すシーケンス図である。
【0047】
今、ユーザAが端末13aにて音楽のコンテンツを再生する場合において(ステップS301)、そのコンテンツ情報をプレゼンスサーバ22に直ぐに送るのではなく、一定期間が経過するのを待ち、その間にユーザAが再生した複数の音楽に関するコンテンツ情報を端末13a側で保持しておくようにする(ステップS302)。
【0048】
そして、一定期間経過後、ユーザAが端末13aに設けられた図示せぬ登録ボタンを押下したときに(ステップS303)、端末13aは、その期間中に得られた複数のコンテンツ情報をユーザAの属性情報と共に第一のネットワーク11を介してプレゼンスサーバ22に一括して送信する(ステップS304,S305)。
【0049】
プレゼンスサーバ22は、ユーザAの端末13aから視聴情報(コンテンツ情報とユーザの属性情報)を受信すると、これをユーザAのプレゼンス情報として所定のメモリ(データメモリ22)に登録した後、登録完了通知を端末13aに返す(ステップS306,S307)。
【0050】
なお、ユーザAが登録ボタンを押下しなかった場合には、その間に端末側で保持していたコンテンツ情報をすべてキャンセルして、プレゼンスサーバ22への登録を中止するものとする。
【0051】
他のユーザについても同様であり、例えばユーザBが端末13bにて音楽のコンテンツを再生した場合には、一定期間が経過するまでの間に再生された複数の音楽のコンテンツ情報が端末13b側に保持された後、登録ボタンの操作に伴い、これらのコンテンツ情報がユーザBの属性情報と共にプレゼンスサーバ22に一括して送られることになる。
【0052】
ここで、プレゼンスサーバ22は、各ユーザの端末から収集したプレゼンス情報を統計処理し(ステップS308)、その結果を統計情報収集サーバ23へ送信する(ステップS309,S310)。
【0053】
このように、ユーザがボタン操作により明示的に登録を指示したときに、それまでに再生されたコンテンツをプレゼンスサーバ22に登録することで、例えばユーザの好みに合わなかったコンテンツや、誤って再生したコンテンツを除外して、ユーザが承認したコンテンツに関する情報だけを対象にして登録を行うことができる。
【0054】
(b)API機能
次に、図6および図7を参照して、本システムのAPI機能について説明する。
【0055】
本システムでは、第一のネットワーク11に属するプレゼンスサーバ22、統計情報収集サーバ23が保有しているデータを他のネットワークである第二のネットワーク12に属するWebサーバが自由に利用させるためのAPI機能を備えている。
【0056】
図6は本システムのAPI機能を説明するためのシステム構成図である。ここでは、第二のネットワーク12側のWebサーバとして、メッセージ配信用のWebアプリケーションサーバ(Web−AS)26a、Webサーバ27、広告用のWebサーバ28が設けられているものとする。
【0057】
Webアプリケーションサーバ26aは、第二のネットワーク12側でのメッセージの配信処理を行うサーバであり、第一のネットワーク11側の統計情報収集サーバ23とSIPアプリケーションサーバ24とはXCAPまたはSOAP等のIF(インタフェース)を介して接続されている。
【0058】
また、Webサーバ27は、Web上で地図アプリを提供するサーバである。Webサーバ28は、Web上で広告管理を行うサーバである。なお、図中の29はゲートウェイ(GW)であり、第一のネットワーク11と第二のネットワーク12との接続を行う機能を備える。
【0059】
ここで、第一のネットワーク11側において、公開可能なAPIは複数あるので、その公開APIのリストをカタログとして第一のネットワーク11の公開APIリストカタログサーバ25に保持しておく。この場合、公開APIのリストは、公開可能なAPIの仕様の名称とバージョンをリスト形式で保持するか、あるいは、命令や関数名とその引数などをリスト形式で保持することが考えられる。
【0060】
このような構成により、第二のネットワーク12のWebアプリケーションサーバ26aから公開APIのカタログの問い合わせがあった場合、または、予め決められた期日に定期的に公開APIのリストをWebアプリケーションサーバ26aに提供する。これにより、Webアプリケーションサーバ26aは、公開APIリストカタログサーバ25から取得したカタログの中から所望の公開APIを用いて、第一のネットワーク11の統計情報収集サーバ23やSIPアプリケーションサーバ24のデータを自由に利用できるようになる。
【0061】
このときの処理動作を図7に示す。
図7は本システムの公開APIリストカタログサーバ25によるデータ提供処理を示すフローチャートである。
【0062】
まず、公開APIリストカタログサーバ25は、第一のネットワーク11上の統計情報収集サーバ23が保有するデータと、SIPアプリケーションサーバ24が保有するデータを外部に提供するためのAPIのリストを作成し、そのリストを所定のメモリ(データメモリ33)に保持する(ステップS11,S12)。
【0063】
ここで言う外部とは、第二のネットワーク12上のWebアプリケーションサーバ26aのことである。
【0064】
このWebアプリケーションサーバ26aから統計情報収集サーバ23またはSIPアプリケーションサーバ24にデータ利用要求のアクセスがあると(ステップS13のYes)、公開APIリストカタログサーバ25は、上記メモリに保持されたAPIのリストのカタログをWebアプリケーションサーバ26aに送ることで、利用可能なAPIを通知する(ステップS14)。
【0065】
そして、Webアプリケーションサーバ26aが所望のAPIを選択すると、公開APIリストカタログサーバ25は、その選択されたAPIに従って第一のネットワーク11上の統計情報収集サーバ23またはSIPアプリケーションサーバ24のデータを第二のネットワーク12に転送する(ステップS15)。
【0066】
このように、第一のネットワーク11上の統計情報収集サーバ23やSIPアプリケーションサーバ24で利用可能なAPIを公開することで、他のネットワークである第二のネットワーク12に属するWebサーバが自由に第一のネットワーク11上のデータを利用できるようになる。
【0067】
なお、統計情報収集サーバ23、SIPアプリケーションサーバ24で用意するAPIを新規で作成あるいは修正した場合において、第一のネットワーク11を介して公開APIリストカタログサーバ25のリストを更新させることで、公開APIリストカタログサーバ25は常に最新の公開APIのリストを持ってデータを提供することができる。
【0068】
(c)メッセージ配信機能
次に、本システムのメッセージ配信機能について説明する。
【0069】
図8は本システムのメッセージ配信機能を説明するためのシステム構成図である。
【0070】
第一のネットワーク11に公開APIリストカタログサーバ25が設けられていることで、統計情報収集サーバ23は、第二のネットワーク12上にあるWebアプリケーションサーバ26aに対して、公開APIレベルでデータを配信する機能を持つ。これにより、Webアプリケーションサーバ26aでは、統計情報収集サーバ23の統計情報を元に第一のネットワーク11上の所望のユーザに対してメッセージを配信することが可能である。
【0071】
逆に、公開APIを用いて第一のネットワーク11上のSIPアプリケーションサーバ24から所望のユーザに対してメッセージを配信することも可能である。
【0072】
また、第二のネットワーク12上のWebアプリケーションサーバ26aが第一のネットワーク11上の情報を入手することにより、第二のネットワーク12上のアプリケーションとの組合せにより、新しいアプリケーションの創出も可能になる。
【0073】
図9および図10に具体例を示す。
図9は統計情報収集サーバ23のデータ構造の例を示す図であり、図9(a)は統計結果、同図(b)はその統計結果から算出された配信料金の例である。この例では、各ユーザが音楽のコンテンツを視聴している場合でのプレゼンス情報を音楽のジャンル、性別、年齢、視聴場所で分類すると共に、その分類単位で視聴者数を算出した結果を示している。
【0074】
配信料金に関しては、第一のネットワーク11側が設定しても良いし、第二のネットワーク12側あるいは第三者が設定しても良い。この場合、各事業者との間で配信料金が決定されるが、第一のネットワーク11側は料金設定のための基礎データとして統計情報を管理することになる。
【0075】
図10は第一のネットワーク11上の統計情報収集サーバ23のデータと第二のネットワーク12上のWebサーバ26の地図アプリケーションとを組み合わせた場合の例を示す図である。この例では、統計情報からAの音楽を視聴しているユーザを地図上で地域別に分類した例が示されている。
【0076】
ここで、第一のネットワーク11上にあるメッセージ配信用のSIPアプリケーションサーバ24や統計情報収集サーバ23には、第二のネットワーク12上のWebサーバに対し、公開APIの利用を許可するときに、第二のネットワーク12上のサービスに必要な情報を公開APIのカタログの中から任意に選べる仕組みとする。
【0077】
その場合、公開APIのカタログの中から選んだ情報と第二のネットワーク12上のWebサーバが選んだAPIとを第二のネットワーク12上のサービスに応じて自由に組み合わせることが可能である。
【0078】
図8の例でみると、第二のネットワーク12上の地図プリケーションと公開APIで得られる第一のネットワーク上の統計情報をWebアプリケーションサーバ26a側で組み合わせて、第二のネットワーク12のユーザに対して、1つの組み合わせたサービスとして提供できる。
【0079】
これにより、広告メッセージの配信者αは、端末14aから第二のネットワーク12を介してWebアプリケーションサーバ26aに接続することにより、図10のような情報を入手することができる。したがって、地図上でメッセージ内容に適した各ユーザを確認でき、これらのユーザの端末に対してメッセージを配信することができる。つまり、例えばAの音楽ジャンルに関する広告メッセージを配信する場合であれば、地域別にAの音楽ジャンルに興味のある各ユーザに的を絞って効率的に広告メッセージを配信して広告効果を得ることができる。
【0080】
この第二のネットワーク12上の地図アプリケーションと公開APIで得られる第一のネットワーク11上の統計情報は完全に別々で制御されているが、共通可能な情報をキーに組み合わせることにより、多様なサービスを実現できる。
【0081】
また、第二のネットワーク12上のWebアプリケーションサーバ26aが第一のネットワーク11上の公開APIに対し、定期的にアクセスすることで、最新の情報を入手することができる。
【0082】
また、第二のネットワーク12上のWebアプリケーションサーバ26aがメッセージ配信用のSIPアプリケーションサーバ24の公開APIをサービス内容に応じて利用することにより、第一のネットワーク11上の任意のユーザ端末に対してメッセージが送ることも可能である。
【0083】
このように、本システムによれば、第一のネットワーク11上の統計情報収集サーバ23、SIPアプリケーションサーバ24で利用可能なAPIを公開することで、他のネットワークである第二のネットワーク12上のWebサーバが第一のネットワーク11上のデータを自由に利用して各ユーザの端末にメッセージを配信することができる。
【0084】
この場合、実際にメッセージの配信処理を行うのは、第二のネットワーク12上のWebアプリケーションサーバ26aではなく、第一のネットワーク11に属するSIPアプリケーションサーバ24である。これにより、ユーザの配信先(アドレス等)を第二のネットワーク12側の広告業者などのメッセージ配信事業者に秘匿して、ユーザのセキュリティを確保することができる。
【0085】
特に、第一のネットワーク11としてIMSを用いたネットワーク、第二のネットワーク12としてIMS以外のネットワークを用いたシステムにおいて、第一のネットワーク11側でメッセージの配信処理を行う構成とすることで、IMSのネットワークにおける信頼性を損なわずに、異種ネットワークからのメッセージの配信を実現することができる。
【0086】
なお、上記実施形態では、広告メッセージを配信する場合を例にして説明したが、メッセージの種類は特に限定されるものではなく、広告以外のメッセージをそのメッセージ内容に合致するユーザ群に配信する場合であれば本発明の手法を適用することができる。
【0087】
また、第一のネットワーク11側において、各ユーザの端末で音楽のコンテンツを再生した場合に情報収集を行うものとしたが、音楽に限らず、例えば映画等の他のコンテンツ情報を再生する場合でも同様に適用可能である。
【0088】
要するに、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0089】
11…第一のネットワーク、12…第二のネットワーク、13a,13b,13c…ユーザの端末、14a,14b…配信者の端末、21…コンテンツ配信サーバ、22…プレゼンスサーバ、23…統計情報収集サーバ、24…メッセー配信用SIPアプリケーションサーバ、25…公開APIリストカタログサーバ、26,27…Webサーバ、26a…メッセージ配信用Webアプリケーションサーバ、28…広告用Webサーバ、29…ゲートウェイ、31…CPU、32…プログラムメモリ、33…データメモリ、34…通信I/F。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一のネットワーク上の各ユーザの端末で再生されたコンテンツに関する情報をユーザの属性情報と共にプレゼンス情報として登録する情報登録手段と、
この情報登録手段によって登録された各ユーザのプレゼンス情報を統計処理した結果を収集する統計処理手段と、
この統計処理手段によって収集された統計情報に基づいて上記各ユーザの端末に対してメッセージを選択的に配信するメッセージ配信手段と、
上記統計処理手段または上記メッセージ配信手段が保有するデータを上記第一のネットワークとは異なる第二のネットワーク上のサーバに提供するためのAPIのリストを保持するリスト保持手段と、
上記第二のネットワーク上のサーバから上記統計処理手段または上記メッセージ配信手段が保有するデータの利用要求があったときに、上記APIリスト保持手段に保持されたAPIのリストに基づいて利用可能なAPIを通知する通知手段と、
この通知手段によって通知されたAPIに従って上記統計処理手段または上記メッセージ配信手段が保有するデータを上記第二のネットワーク上のサーバに転送するデータ転送手段と
を具備したことを特徴とするメッセージ配信システム。
【請求項2】
上記情報登録手段は、上記第一のネットワーク上の各ユーザの端末で再生されたコンテンツに関する情報を当該コンテンツの再生時にリアルタイムで登録することを特徴とする請求項1記載のメッセージ配信システム。
【請求項3】
上記情報登録手段は、上記第一のネットワーク上の各ユーザの端末で一定期間の間に再生されたコンテンツに関する情報を一括して登録することを特徴とする請求項1記載のメッセージ配信システム。
【請求項4】
上記情報登録手段は、上記第一のネットワーク上の各ユーザの端末で再生されたコンテンツに関する情報を上記端末側でのボタン操作によって登録が明示的に指示されたときに登録することを特徴とする請求項1記載のメッセージ配信システム。
【請求項5】
上記第一のネットワークとしてIMSを用いたネットワーク、上記第二のネットワークとしてIMS以外のネットワークで構築されていることを特徴とする請求項1記載のメッセージ配信システム。
【請求項6】
第一のネットワーク上の各ユーザの端末で再生されたコンテンツに関する情報をユーザの属性情報と共にプレゼンス情報として登録し、
この登録された各ユーザのプレゼンス情報を統計処理した結果を収集し、
この収集された統計情報に基づいて上記各ユーザの端末に対してメッセージを選択的に配信し、
上記統計情報または上記メッセージに関するデータを上記第一のネットワークとは異なる第二のネットワーク上のサーバに提供するためのAPIのリストを保持しておき、
上記第二のネットワーク上のサーバから上記統計情報または上記メッセージに関するデータの利用要求があったときに、上記APIのリストに基づいて利用可能なAPIを通知し、
この通知されたAPIに従って上記統計情報または上記メッセージに関するデータを上記第二のネットワーク上のサーバに転送することを特徴とするデータ提供方法。
【請求項7】
上記第一のネットワーク上の各ユーザの端末で再生されたコンテンツに関する情報を登録する場合に、上記第一のネットワーク上の各ユーザの端末で再生されたコンテンツに関する情報を当該コンテンツの再生時にリアルタイムで登録することを特徴とする請求項6記載のデータ提供方法。
【請求項8】
上記第一のネットワーク上の各ユーザの端末で再生されたコンテンツに関する情報を登録する場合に、上記第一のネットワーク上の各ユーザの端末で一定期間の間に再生されたコンテンツに関する情報を一括して登録することを特徴とする請求項6記載のデータ提供方法。
【請求項9】
上記第一のネットワーク上の各ユーザの端末で再生されたコンテンツに関する情報を登録する場合に、上記第一のネットワーク上の各ユーザの端末で再生されたコンテンツに関する情報を上記端末側でのボタン操作によって登録が明示的に指示されたときに登録することを特徴とする請求項6記載のデータ提供方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−13972(P2011−13972A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−158042(P2009−158042)
【出願日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】