説明

メディアレジストレーションシステムおよび方法

【課題】コストを増加させることなく、性能を向上させるプリンタおよび複写機の中のメディアレジストレーションを提供する。
【解決手段】印刷および複写装置の1つの中のメディアを移動させるように適応された駆動ニップアセンブリ内の駆動ローラに接続された駆動モータに印加された電流および電圧レベルの少なくとも1つを含む電流/電圧レベルを測定する工程と、前記電流/電圧レベルに基づいて前記駆動ローラの速度と前記メディアの速度との違いを判定する工程と、 前記メディアの実際の速度が前記メディアの所期の速度と異なる場合は、前記駆動モータに印加される前記電流/電圧レベルを変更する工程とを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中の諸実施形態は、一般に、プリンタおよび複写機の中のメディアのレジストレーション/アライメントおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の電子レジストレーションシステムは、レジストレーション中にメディアのアライメントを制御するために、1対の狭い駆動ニップを使用する。大量のメディア、高い加速度、または大きな抗力が存在する場合、レジストレーションニップの表面が歪められる。この歪は、理想的なロール表面速度とは違うメディア速度を引き起こし、その結果、レジストレーションエラーが発生することが証明されている。このニップ歪エラーは、レジストレーションシステムによく使用される狭い駆動ニップの場合のほうがひどいが、比較的広いローラを使用するシステムでもプロセスレジストレーションエラーを引き起こすことが確認されている。実際の紙の動きを測定することによって、制御システムがこのニップの歪を補正することができるようにする新しいフィードバック制御システムが開発されつつある。
【0003】
【特許文献1】米国特許第6,533,268号明細書
【特許文献2】米国特許第6,168,153号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コストを増加させることなく、レジストレーションシステムの性能を向上させることが非常に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書中の方法では、駆動モータに所期の駆動モータの電流/電圧レベル(電流および/または電圧レベル)のプログラムを与えて、駆動モータの所期の速度、およびそれに対応する、駆動ローラによって移動させられるメディアの所期の速度を設定する。たとえば、本明細書中の方法では、駆動モータの所期の電流/電圧レベルを調節することによって、印刷装置の駆動ニップアセンブリの中のメディアを整列させる。所期の電流/電圧レベルを使用して、駆動モータおよび関連する駆動ローラの所期の速度を調節して、印刷/複写装置のメディアパスの中のメディアの位置または角度を決める。
【0006】
しかし、駆動ローラとメディアのそれぞれ異なる影響のために、ローラ対メディアの速度比は、所期の電流/電圧レベルから期待したようなものではない可能性がある。言い換えれば、ローラの速度とメディアの速度には多少の違いがある可能性がある。この速度の違いまたは「速度比」は、ローラおよびメディアの表面の通常の相互作用によって生じる。速度比は、ローラとメディアとの最大許容摩擦係数を超えると生じる「滑り」とは違う。滑りが生じた後では、ローラの速度とメディアの速度との関係を設定することは難しい、あるいは可能性がなくなる。ただし、滑りが生じる前には(最大許容摩擦係数を超える前には)、本明細書中の諸実施形態は、駆動モータのトルク(駆動モータの電流/電圧レベル)と速度比との関係を設定することができる。
【0007】
一般に、駆動モータに印加される電流/電圧が大きくなると、駆動モータが生成するトルクが大きくなり、このトルクがローラとメディアとの相互作用力を増大させる。かなり大きな抗力または慣性力が存在しない場合、または、抗力または慣性力がローラとメディアとの駆動力を増大させる場合、速度比を1:1(単位元)の初期値から1より小さい比または大きい比(たとえば、1:0.95、1:0.90、1:0.98、1:1.02など)に減少、増大させる。さらに、そのような速度比の変化は、一般に、所与の駆動ニップアセンブリ(あるいは所与のクラスまたはタイプの駆動ニップアセンブリ)によって処理され得る様々な紙のタイプの間で同じである。したがって、本明細書中の諸実施形態は、駆動モータの電流/電圧レベルを測定するだけで、駆動ローラとメディアとの駆動力を判定することができる。次に、この測定結果を使用して、どの時点においても速度比を判定し、ローラの速度を、その速度比に対応するメディアの速度を、補正することができる。それによって、ローラ速度とメディア速度との実際の違いを検出するために、追加のハードウェアメディアセンサなどを用意する必要がなくなる。
【0008】
さらに詳細には、方法の諸実施形態は、特定の駆動ニップアセンブリ(または特定のタイプの駆動ニップアセンブリ)の電流/電圧レベルとメディア/駆動ローラ速度比との予め決められた関係を設定する。「電流/電圧レベル」は、駆動モータに印加された電流および/または電圧レベルを含み、その駆動モータによって出力されるトルクの表示を提供する。「メディア/駆動ローラ速度比」は、メディアが駆動ローラと接触しているときの駆動ローラとメディアとの速度関係を含む。予め決められた関係は、1つの(あるいは1つのタイプまたはクラスの)駆動ニップアセンブリのテスト結果に基づくので、予め決められた関係は、所与の駆動ニップアセンブリと「関連する」と考えられる。
【0009】
本明細書中の諸実施形態は、メディアが駆動ローラと接触しているときに駆動モータの電流/電圧レベルを測定して、駆動モータによって出力される駆動力を判定する。したがって、本明細書中の諸実施形態は、電流/電圧レベルとメディア/駆動ローラ速度比との予め決められた関係を参照して、駆動力に基づいて、駆動ローラ速度とメディア速度との違いを判定することができる。これらの速度の違いが判定された後は、本明細書中の諸実施形態は、メディアの実際の速度がメディアの所期の速度と違う場合は、駆動モータに印加される電流/電圧レベルを変更してメディアの速度を補正することができる。したがって、本明細書中の諸実施形態は、予め決められた関係を参照するときに速度比補正係数を生成する。この速度比補正係数の計算は、駆動モータのどんな速度プロフィール中にも行われることができる。さらに、メディアが駆動ニップアセンブリに存在しないときに、指定された速度プロフィールによってシステムを駆動するのに必要な電流/電圧レベルを測定することによって、モータおよび駆動システムからの固有の抗力および慣性力をキャリブレートすることができる。
【0010】
本明細書中の装置実施形態は、印刷および/または複写装置の中のメディアを移動させるように適応された駆動ニップアセンブリを含むことができる。駆動モータは、駆動ニップアセンブリの中に含まれ、駆動ローラが駆動モータに接続される。さらに、制御システムが駆動モータに接続される。制御システムは、駆動モータの実際の速度が駆動モータの所期の速度と違う場合、所期の電流/電圧レベルを変更することができるようにする。
【0011】
さらに詳細には、制御システムは、上記で議論されたように、電流/電圧レベルとメディア/駆動ローラ速度比との予め決められた関係を設定する。この後、メディアが駆動ローラに接触しているときに駆動モータの電流/電圧レベルを測定して、メディア上の駆動力を判定することができる。電流/電圧レベルとメディア/駆動ローラ速度比との予め決められた関係を参照して、駆動ローラ速度とメディア速度との違いを判定する。これによって、制御システムは、メディアの実際の速度がメディアの所期の速度と違う場合、駆動モータに印加される電流/電圧レベルを変更して、駆動ニップアセンブリに補正を提供することができるようになる。
【0012】
制御システムは、予め決められた関係を参照するときに速度比補正係数を生成し、駆動モータの全ての速度プロフィールのための速度比補正係数を計算することができる。さらに、メディアが駆動ニップアセンブリに存在しないときに、制御システムを使用して、システムを駆動するのに必要な電流/電圧レベルをキャリブレートする。制御システムは、システムの全ライフにわたって摩擦の変化を補正するために、定期的にこのキャリブレーションを繰り返すことができる。
【0013】
滑りが生じる前に(最大許容摩擦係数を超える前に)、本明細書中の諸実施形態は、駆動モータトルク(駆動モータ電流/電圧レベル)と速度比との関係を設定する。メディアが駆動ローラに接触していないときに駆動モータの電流/電圧レベルを測定して、メディア上の駆動力を判定することができる。電流/電圧レベルとメディア/駆動ローラ速度比との予め決められた関係を参照して駆動ローラの速度とメディアの速度との違いを判定する。これによって、制御システムは、メディアの実際の速度がメディアの所期の速度と異なる場合、駆動モータに印加される電流/電圧レベルを変更して、駆動ニップアセンブリに補正を提供することができるようになる。したがって、駆動モータの電流/電圧レベルを測定するだけで、本明細書中の諸実施形態は、ローラがメディア上に与える駆動力を判定し、次に、現在の速度比を計算し、ローラの速度、したがってそれに対応するメディアの速度を補正することができる。それによって、ローラ速度とメディア速度との間の実際の違いを検出するために、追加のハードウェアメディアセンサを提供する必要がなくなる。
【0014】
これら特徴および他の特徴は、以下の詳細な説明に記載される、あるいは以下の詳細な説明から明らかになる。
【0015】
システムおよび方法の様々な実施形態が、添付の図面の図を参照しながら、以下で詳細に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本明細書中の諸実施形態は、追加のハードウェアを必要とすることなく、(最大許容摩擦係数を超える前に生じる)ニップ歪によって誘導されたエラーを補正する「電子」レジストレーション制御方式を使用する。バッフルによってメディアを加速し、並進させ、傾きを直す動作は、慣性力および摩擦抗力を発生する。その結果、ニップ歪が生じ、それによってメディアと駆動ニップとの間に単位元以外の値を有する速度比が生じる。
【0017】
本発明者は、レジストレーションシステム内でモータにかけられる駆動トルクは、ニップがメディアに加える駆動力に比例することを発見した。したがって、本明細書中の諸実施形態は、(システムの駆動ニップのニップ歪カーブが前もって特徴づけられた後で)サーボモータに供給された電流または電圧を検出することによって、どんな所与の動作プロフィール中にも、各ニップの速度比を正確に予測する制御システムを提供する。本明細書中の諸実施形態は、サーボモータまたはステップモータに印加された必要な電流または電圧を使用して、ニップにおいて駆動力を誘導し、次いで、ロール速度に対するリアルタイム補正を計算してニップ歪を補正する。次いで、制御システムは、メディアが正確に元々の所期の速度プロフィールに従うように駆動ニップの目標速度を調節する。あるいは、リアルタイムでニップ歪を補正するのではなく、計算されたニップ歪からの速度エラーおよびメディア位置エラーを追跡し、レジストレーションプロフィールの終り近くで補正を行うことができる。
【0018】
駆動ローラとメディアの影響がそれぞれ異なるため、ローラ対メディアの速度比は、所期の電流/電圧レベルから期待されたようなものではない可能性がある。言い換えれば、ローラ速度とメディア速度には多少の違いがある可能性がある。この速度の違いまたは「速度比」は、ローラ表面とメディア表面の通常の相互作用によって生じる。速度比は、ローラとメディアとの最大許容摩擦係数を超えたときに生じる「滑り」とは違う。滑りが生じた後では、ローラ速度とメディア速度との関係を設定するのは困難あるいは不可能である可能性がある。ただし、滑りが生じる前(最大許容摩擦係数を超える前)には、本明細書中の諸実施形態は、駆動モータトルク(駆動モータ電流/電圧レベル)と速度比との関係を設定する。
【0019】
図1は、異なるタイプおよび厚さのメディアは、同じ駆動ニップアセンブリまたは同じタイプの駆動ニップアセンブリ内の同じ抗力下に置かれた場合、同じまたは非常に似た速度比プロフィールを生じることを示す。したがって、図1は、負荷が分かれば速度比の変化が分かることを示す。各タイプの駆動ニップアセンブリでは、速度比曲線は非常に似通ったものになる。このタイプのテストは、駆動ニップアセンブリ設計中または製作中に行うことができる。望むなら、これらの曲線を、個々の設計者の要求事項/許容差に対応させるために、あるいは、より広範囲のクラスまたはタイプの駆動ニップアセンブリに、より一般に使用するために、他の統計ルーチンを使って平均する、あるいは処理することができる。本明細書中の諸実施形態は、(ローラがメディア上に与える駆動力に直接関連する)モータ上の負荷が、速度比に対する補正を生成するのを確認する。この補正は、駆動モータにリアルタイムで適用され、印刷装置の中のメディアの正確な位置決めを提供することができる。
【0020】
一般に、駆動モータに印加される電流/電圧が大きければ大きいほど、駆動モータが生成するトルクは大きくなる。それによって、ローラとメディアの間の相互作用力が増大し、それによって、速度比が、理想的な1:1(単位元)から、1より小さいまたは大きい比(たとえば、1:0.95、1:0.90、1:0.98、1:1.02など)に変化する可能性がある。さらに、そのような速度比の変化は、一般に、所与の駆動ニップアセンブリ(または所与のクラスまたはタイプの駆動ニップアセンブリ)によって処理される可能性のある様々な紙のタイプの間で、また、所与の駆動ニップアセンブリ(または所与のタイプの駆動ニップアセンブリ)に適用される可能性のある様々な速度プロフィールの間で、同じである。したがって、本明細書中の諸実施形態は、駆動モータの電流/電圧レベルを測定するだけで、速度比を測定し、ローラの速度とそれに対応する全てのタイプのメディアの速度を補正することができる。それによって、ローラ速度とメディア速度との実際の違いを検出するために、追加のハードウェアのメディアセンサなどを提供しなくてもよいようになる。
【0021】
したがって、駆動ニップ内のメディアの速度は、メディア上の抗力に依存している。メディアの速度対ローラの理論速度の比は、抗力がメディアに作用する場合は1より小さく、抗力と慣性力の組み合わせに応じて1より小さくなるか、あるいは大きくなる可能性がある。これは、レジストレーションシステムでは、そのようなシステムが処理指令レジストレーションを遂行するために、また、多くの場合、傾き直しを遂行するために、予測可能なメディア速度に依存しているので、問題を生じる可能性がある。
【0022】
ニップ歪によって生じるエラーは、大部分は、レジストレーション動作中はずっと各ニップにある接線力に依存する。この力は、初期レジストレーションエラー、レジストレーション動作中の加速プロフィール、バッフル、および/または他の紙のパスコンポーネントシートの抗力など、様々な要因に応じて、登録されるシートごとに変わる可能性がある。このために、この力を、「学習」または設定手順を介して、「完全にキャリブレートする」ことはできない。多くのレジストレーションシステムでは、メディアは、傾き直しプロセス中は依然として曲線の上昇部分にある。したがって、大量の紙および長く重い紙は、より高い駆動力を必要とし、その結果、より高いニップ歪が生じる。1つの方向に傾いてまたは斜めに置かれた大きくて重いメディアには、反対の方向に傾いてまたは斜めに置かれたメディアとは異なるニップ歪によって誘導されるエラーが生じる。本明細書中の諸実施形態は、これらのエラーを自動的に補正し、レジストレーションされるメディアの大きさも重さも知る必要がない。
【0023】
上述のように、これらのエラーを補正する1つの方法は、駆動ロールアイドラに取り付けられ制御システムに接続された1連の追加センサまたはエンコーダを使用してシートの位置を検出する方法である。しかし、この解決策は、追加の感知ハードウェアを必要とする。
【0024】
図2は、2つのニップローラ204が、別々に制御されるDCサーボモータ200によって駆動される2ニップレジストレーション装置を示す。傾きセンサ212を使用してメディア206の傾きを検出し、メディア206が画像転写点210に達する前に、モータ/ローラ、200/204の不均一使用によってその傾きを補正することができる。入力センサ212は、メディア206のリーディングエッジ、ならびにそのメディアの速度、位置、および傾きを検出するために使用される。
【0025】
上記で説明されたように、2ニップレジストレーションシステムでモータ200にかけられるドライブトルクは、ニップ204がメディア206に加える駆動力に正比例する。この情報を使用して、制御システム220は、このシステムの駆動ニップのニップ歪曲線が前もって特徴づけられた後で、サーボモータ200に送達された電流または電圧を検出することによって、どんな所与の動作プロフィール中にでも、各ニップ204の速度比を正確に知ることができる。
【0026】
本明細書中の諸実施形態は、サーボモータに個別に印加された電流または電圧を感知し、その値を使用して、各異なるローラ速度に対するリアルタイム補正を計算し、ニップ歪を補正し、次いで、メディアが正確に元々の所期のプロフィールに従うように駆動ニップの速度を調節する方法を提供する。このシステムは、1つまたは複数のローラ204および制御システム220を有する、図2に示された駆動ニップアセンブリを備える。この制御システム220は、モータが規定の速度プロフィールに従うように、1つまたは複数の駆動モータ200への電圧または電流を制御する。この制御システム220はまた、駆動モータ200に印加された電流または電圧を使用して、メディア206上に駆動ローラ204によって加えられた駆動力を推定し、電圧または電流値に基づいて、規定の速度プロフィールに対する補正係数も提供する。
【0027】
本明細書中の諸実施形態では、少なくとも1つのモータ200、および少なくとも1つの駆動ニップを有する1つのドライブシャフト(ギアなど)が使用される。ただし、当業者によって理解されるように、2つまたはそれ以上のモータ200、ドライブシャフトなどを使用することもできる。モータ200は、DCサーボモータ、ステップモータなどでよい。駆動ローラ204は、エラストマ材料またはその他の類似の材料で作ることができる。ドライブシステムに入るメディア206のリードエッジの位置および傾きは、入力センサ212を使用して検出することができる。
【0028】
制御システム220は、特定の駆動ニップアセンブリ(または特定のタイプの駆動ニップアセンブリ)の電流/電圧レベルとメディア/駆動ローラ速度比との予め決められた関係を設定する。「電流/電圧レベル」は、駆動モータ200に印加された電流および/または電圧レベルを含み、駆動モータ200によって出力されるトルクの表示を提供する。「メディア/駆動ローラ速度比」は、メディアが駆動ローラに接触しているときの駆動ローラとメディアとの速度関係を含む。予め決められた関係は、1つの(または1つのタイプまたはクラスの)駆動ニップアセンブリの経験的テストの結果に基づくので、予め決められた関係は、駆動ニップアセンブリのタイプ「に関連する」あるいは「にとって一意である」と考えられる。コントローラによってモータに供給される電流/電圧は、対立する抗力/慣性力を考慮して十分な感度を有していなければならない。したがって、コントローラの利得/帯域幅は、この電流/電圧レベルを検出するのに十分なほど大きくなければならない。
【0029】
本明細書中の諸実施形態は、メディア206が駆動ローラ204に接触しているときに駆動モータ200の電流/電圧レベルを測定して、駆動モータ200によって出力される駆動力を判定する。次いで、制御システムが、電流/電圧レベルとメディア/駆動ローラ速度比との予め決められた関係を参照して、(駆動力に基づいて)駆動ローラの速度とメディアの速度との違いを判定することができる。この速度の違いが判定された後は、制御システム220は、メディアの実際の速度がメディアの所期の速度と違う場合は、(メディアの速度を補正するために)、駆動モータ200に印加される電流/電圧レベルを変えることができる。
【0030】
したがって、本明細書中の諸実施形態は、予め決められた関係を参照するときに速度比補正係数を生成する。この速度比補正係数は、駆動モータ200の全ての速度プロフィールに適用することができる。例えば、この速度プロフィールは、結果として、動き始めには(慣性力がより高いときには)力が大きくなり、メディアが部分的に駆動ニップアセンブリを通過しているときには(メディアの一定の速度を維持しているときには)力が小さくなる。1例では、本明細書中の諸実施形態は、強い抗力または慣性力が存在する場合、自動的に、より大きな電圧または電流をモータに印加する。次いで、上記で示されたように、この信号を使用して所望の速度プロフィールのための補正係数が計算され、ニップ歪エラーが補正される。
【0031】
様々な速度プロフィールは、本開示を考慮すれば当業者によって理解されるであろうように、メディアの動きの様々な局面に有用である。さらに、メディアが駆動ニップアセンブリに存在しないときに駆動モータ200の電流/電圧レベルをキャリブレートすることができる。キャリブレーションは、紙が存在しないときにドライブシステムで行われ、それによって、システムに固有のドライブトルクを減じることができる。
【0032】
補正係数は、システムに使用される駆動ローラの様々な抗力に関するメディア速度の変化の予め定義された測定値に基づく。システムの駆動力は、紙が存在しないときにモータを駆動し、この動作中に測定された電流または電圧の測定値を使用することによってキャリブレートされる。この電流または電圧の測定値は、メディアの移送中にメディアに与えられた追加の駆動力を推定するのに役立つ。ニップ歪によるニップ速度エラーは、連続してまたは頻繁に補正され、蓄積されたニップ歪エラーは、メディアが画像転写位置に達する直前に補正されることができる。あるいは、推定されたニップ歪によるエラーを追跡することができ(ただし、連続して補正することはできない)、レジストレーションロール速度プロフィールの終り近くで補正を行うことができる。
【0033】
一例示的制御方式が図3に流れ図の形で示されている。さらに詳細には、項目300で、メディアの新しいシートが感知される。入力センサは、やはり入力センサ212を使用して、メディアの存在およびメディアの傾きを検出する。項目302は、駆動ローラのレジストレーションから所望の速度(または位置)プロフィールを判定する速度プロフィールの計算を表す。この情報は、結局項目306内のコントローラに供給され、制御信号(モータエンコーダによってコード化された信号)を電流/電圧増幅器(項目312)に供給する。電流/電圧が、項目314内の「プラント」(モータ、ドライブ、メディア駆動ローラ、および最後にはメディア)に印加される。フィードバックループが、モータの出力から項目304に供給されて、項目302によって出力される所期の信号に生じた可能性のあるどんなエラーでも補正する。
【0034】
本明細書中の諸実施形態は、項目308および310内で追加のフィードバックループを提供する。さらに詳細には、項目310で、項目306内のコントローラによって出力されるコントローラ信号は、電流および/または電圧に関して測定される。この電流/電圧は、次いで、項目322で示されているように、力キャリブレーションルックアップテーブル、または電流/電圧をニップ駆動力に変換する方程式上で参照される。次に、ニップ駆動力が分かった後は、(たとえば上記の図1に示されているニップ歪およびキャリブレーション曲線に基づく)ニップ速度補正係数が項目308で参照される。したがって、項目308は、項目310で判定されたニップ駆動力に対応するメディア/駆動ローラ速度比に基づく補正係数を出力する。この補正係数は項目302に供給され、その結果、項目302によって出力される速度プロフィールが連続的に調節されて、メディアとニップローラとの相互作用中に変化する、動的に変化するメディア/駆動ローラ速度比を明らかにすることができるようになる。
【0035】
図2および3に示されているように、本明細書中の諸実施形態は、項目320内の特定の駆動ニップアセンブリ(または特定のタイプの駆動ニップアセンブリ)の電流/電圧レベルとメディア/駆動ローラ速度比との予め決められた関係を経験的に設定する(上記の図1に関する議論を参照)。さらに、所与のモータまたはモータタイプでは、所与の電流または電圧印加に関連する実際の力(抗力)を得て、項目322として示されている力キャリブレーションルックアップテーブルを経験的に生成することができる。したがって、項目310へのフィードバックループ入力を使用して、本明細書中の諸実施形態は、メディアが駆動ローラと接触しているときに駆動モータの電流/電圧レベルを測定して、駆動モータによって出力される駆動力を判定する(項目310)。次に、本明細書中の諸実施形態は、電流/電圧レベルとメディア/駆動ローラ速度比との予め決められた関係を参照して、駆動力に基づいて、駆動ローラの速度とメディアの速度との違いを判定することができる(項目308)。この速度の違いが判定された後では、本明細書中の諸実施形態は、メディアの実際の速度がメディアの所期の速度と異なる場合、駆動モータに印加される電流/電圧レベルを変更して、項目302内のメディアの速度を補正することができる。
【0036】
したがって、本明細書中の諸実施形態は、予め決められた関係を参照するときに、項目308から項目302に供給される速度比補正係数を生成する。速度比補正係数は、全てのメディアタイプで同じまたは非常に類似していて(あるいは上記で議論されたように、平均されることができて)、かけられた力に基づくので、項目320内のルックアップテーブルまたは方程式から選択された速度補正係数を、駆動モータの全ての速度プロフィールおよび全てのメディアタイプに全般的に適用することができる。さらに、メディアが項目320内の駆動ニップアセンブリに存在しないときに駆動モータの電流/電圧レベルをキャリブレートすることができる。図3の枠302内に定義されている所望の速度プロフィールは、いくつかの方法で機能することができる。これは、機能308から入力を取り、連続的に駆動ニップの速度を補正することができる。あるいは、速度、および、計算されたニップ歪の結果としてのシート内の結果としての位置のエラーの経過を追うことができるが、レジストレーションプロフィールが完成間際になるまでニップ速度プロフィールに補正を加えることはできない。これらの2つの制御選択肢のその他の変形形態も可能であるが、全て駆動モータに送られた信号を利用して、ニップ駆動力を推定し、それから各ニップのニップ歪または速度比を推定する。さらに、力キャリブレーションおよびニップ補正係数の計算が図3の別々の枠に示されているが、これらの関数は組み合わせることができ、直接モータ電流または電圧からニップ速度補正係数へ単一変換を行うことができることに留意されたい。したがって、本明細書中の諸実施形態は、(システムの駆動ニップのニップ歪曲線が前もって特徴づけられた後で)サーボモータに送達された電流または電圧を検出することによって、どんな所与の動作プロフィール中にでも各ニップの速度比を正確に予測する制御システムを提供する。本明細書中の諸実施形態は、サーボモータにかけられた必要な電流または電圧を使用してニップにある駆動力を推定し、次いで、ロール速度に加えるリアルタイムの補正を計算してニップ歪を補正する。制御システムは、次いで、メディアが正確に元々の所期の速度プロフィールに従うように、駆動ニップの目標速度を調節する。
【0037】
上記で開示された、またその他の特徴および機能、あるいはそれらの代替物は、望ましくは、多くのその他の様々なシステムまたは用途に組み入れられることができることを理解されたい。さらに、様々な、現在は予見しない、あるいは予知しない代替、変更、変形、またはそれらの改良が、当業者によってその後行われ得るが、それらも添付の特許請求の範囲に記載の請求項によって包含されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本明細書中の諸実施形態による力対速度比曲線を示すグラフである。
【図2】駆動ニップアセンブリの概略図である。
【図3】本明細書中の諸実施形態の諸局面を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0039】
200 DCサーボモータ、204 ニップローラ、206 メディア、210 画像転写点、212 傾きセンサ、220 制御システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷および複写装置の1つの中のメディアを移動させるように適応された駆動ニップアセンブリ内の駆動ローラに接続された駆動モータに印加された電流および電圧レベルの少なくとも1つを含む電流/電圧レベルを測定する工程と、
前記電流/電圧レベルに基づいて前記駆動ローラの速度と前記メディアの速度との違いを判定する工程と、
前記メディアの実際の速度が前記メディアの所期の速度と異なる場合は、前記駆動モータに印加される前記電流/電圧レベルを変更する工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
印刷および複写装置の1つの中のメディアを移動させるように適応された駆動ニップアセンブリ内の駆動ローラに接続された駆動モータに印加された電流および電圧レベルの少なくとも1つを含む電流/電圧レベルと、
前記メディアが前記駆動ローラと接触しているときに前記駆動ローラと前記メディアとの速度関係を含む前記メディア/駆動ローラ速度比と、
を含み、
前記電流/電圧レベルと前記メディア/駆動ローラ速度比との予め決められた関係を設定する工程と、
前記メディアが前記駆動ローラと接触しているときに前記駆動モータの電流/電圧レベルを測定する工程と、
前記予め決められた関係を参照して前記電流/電圧レベルに基づいて前記駆動ローラの速度と前記メディアの速度との違いを判定する工程と、
前記メディアの実際の速度が前記メディアの所期の速度と異なる場合は、前記駆動モータに印加される前記電流/電圧レベルを変更する工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
印刷および複写装置の1つの中のメディアを移動させるように適応された駆動ニップアセンブリと、
前記駆動ニップアセンブリの中の駆動モータと、
前記駆動モータに接続された駆動ローラと、
前記駆動モータに接続された制御システムと、
を有し、
前記制御システムは、
前記駆動モータに印加された電流および電圧レベルの少なくとも1つを含む電流/電圧レベルを測定し、
前記電流/電圧レベルに基づく前記駆動ローラの速度と前記メディアの速度との違いを判定し、
前記メディアの実際の速度が前記メディアの所期の速度と異なる場合は、前記駆動モータに印加される電流/電圧レベルを変更する、
ことを特徴とする装置。
【請求項4】
印刷および複写装置の1つの中のメディアを移動させるように適応された駆動ニップアセンブリと、
前記駆動ニップアセンブリの中の駆動モータと、
前記駆動モータに接続された駆動ローラと、
前記駆動モータに接続された制御システムと、
前記駆動モータに印加された電流および電圧レベルの少なくとも1つを含む前記電流/電圧レベルと、
前記メディアが前記駆動ローラと接触しているときに前記駆動ローラと前記メディアとの速度関係を含む前記メディア/駆動ローラ速度比と、
を有し、
前記電流/電圧レベルと前記メディア/駆動ローラ速度比との間に予め決められた関係が存在し、
前記制御システムは、
前記メディアが前記駆動ローラと接触しているときに前記駆動モータの電流/電圧レベルを測定し、
前記予め決められた関係を参照して、前記電流/電圧に基づいて、前記駆動ローラの速度と前記メディアの速度との違いを判定し、
前記メディアの実際の速度が前記メディアの所期の速度と異なる場合は、前記駆動モータに印加される前記電流/電圧レベルを変更する、
ことを特徴とする装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2007−39247(P2007−39247A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−204245(P2006−204245)
【出願日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】