説明

メモリーカード用ソケット装置

【課題】2枚のメモリーカードの実装容積を削減して、機器の大型化を回避すると共に、メモリーカードの脱着を容易にできるメモリーカード用ソケット装置を提供する。
【解決手段】このメモリーカード用ソケット装置100は、2枚のメモリーカード601,602を互いに一部を重ねた状態で装填可能な段付凹部101aを有し、該段付凹部101aに、2枚のメモリーカード601,602の信号端子群と個別に接触可能な接触端子群201,202を配置したソケット本体101と、該ソケット本体101の段付凹部101aを開閉自在に覆う蓋部104と、を備える。そして、該蓋部104を閉じることにより、2枚のメモリーカード601,602に対して、厚さ方向に荷重を印加して、メモリーカード601,602の信号端子群をソケット本体101の接触端子群201,202に接触させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厚さ方向の一方の面に信号端子群が配置されたメモリーカードを複数枚装填可能なメモリーカード用ソケット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2枚以上のPCカードを装填可能な多段型カードコネクタにおいて、基板側コネクタに接続した場合の全体の高さ方向の薄型化を図ることで、カードの実装面積/容積を小さくした技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一般に、この種の多段型カードコネクタは、複数のカードごとに挿脱式のスロットを有しており、各スロットに対してカードを脱着する際には、スロットごとに機器のカード挿入蓋を開けてからカードを脱着する。
【特許文献1】特開平10−321312号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、PCカードではなく、デジタルカメラなどの小型携帯機器等に用いられる、厚さ方向の一方の面に信号端子群が配置されたメモリーカードの場合は、機器に2つのカードスロットを設けると、カードの実装容積が増して機器の大型化を招く原因になる。
【0005】
また、複数のスロットに対してメモリーカードを脱着する場合も、スロットごとにカード挿入蓋を開けてからメモリーカードを脱着する必要があるため、メモリーカードの脱着に手間がかかってしまう。
【0006】
そこで、本発明は、複数枚のメモリーカードの実装容積を削減して、機器の大型化を回避することができると共に、メモリーカードの脱着の容易化を図ることができるメモリーカード用ソケット装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載のメモリーカード用ソケット装置は、厚さ方向の一方の面に信号端子群を配置した複数のメモリーカードを互いに一部を重ねた状態で装填可能な段付凹部を有し、該段付凹部に、前記複数のメモリーカードの信号端子群と個別に接触可能な接触端子群を該メモリーカードの数に応じて配置したソケット本体と、該ソケット本体の前記段付凹部を開閉自在に覆う蓋部と、を備え、該蓋部を閉じることにより、少なくとも前記蓋部に最も近い前記メモリーカードに対して、該メモリーカードの厚さ方向に荷重を印加して、前記メモリーカードの前記信号端子群を前記ソケット本体の前記接触端子群に接触させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ソケット本体の段付凹部に、複数のメモリーカードを互いに一部を重ねた状態で装填することができるので、複数枚のメモリーカードの実装容積が削減され、小型携帯機器等が大型化するのを回避することができる。
【0009】
また、蓋部を開けるだけで、ソケット本体に対してメモリーカードの脱着ができるので、メモリーカードの脱着を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図を参照して説明する。
【0011】
図1は本発明の第1の実施の形態であるメモリーカード用ソケット装置を説明するための図、図2は図1に示すメモリーカード用ソケット装置のソケット本体に第1のメモリーカードと第2のメモリーカードとを装填した状態を示す図である。図3は図1に示すメモリーカード用ソケット装置のソケット本体に第1のメモリーカードを装填した状態を示す図、図4は図1に示すメモリーカード用ソケット装置のソケット本体に第2のメモリーカードを装填した状態を示す図である。図5はソケット本体の接触端子群とソケット信号端子群との信号接続の一例を説明するための説明図、図6はソケット本体の接触端子群とソケット信号端子群との信号接続の他の例を説明するための説明図である。
【0012】
本発明の第1の実施の形態であるメモリーカード用ソケット装置100は、図1に示すように、ソケット本体101と、蓋部104とを備えている。
【0013】
ソケット本体101は、平面視して長方形状をなしており、厚さ方向の一方の面(上面)には、図1及び図2に示すように、2枚のメモリーカード601,602を装填可能な段付凹部101aが形成されている。
【0014】
段付凹部101aは上段凹部102及び下段凹部103を有しており、上段凹部102には第1のメモリーカード601が装填可能とされ、下段凹部103には第2のメモリーカード602が装填可能とされている。
【0015】
なお、この実施の形態では、第1のメモリーカード601及び第2のメモリーカード602は、同じ規格の例えばSDカードを採用している。また、メモリーカード601,602は、厚さ方向の一方の面に信号端子群(図示せず)が配置されている。
【0016】
上段凹部102は、ソケット本体101の短手方向の長さが第1のメモリーカード601の幅と略同一寸法とされ、ソケット本体101の上面からの深さが第1のメモリーカード601の厚さと略同一寸法とされている。また、上段凹部102のソケット本体101の長手方向の長さは、第1のメモリーカード601より短い寸法とされている。
【0017】
一方、下段凹部103は、ソケット本体101の短手方向の長さが第2のメモリーカード602の幅と略同一寸法とされ、ソケット本体101の上面からの深さが2枚のメモリーカード601,602分の厚さと略同一寸法とされている。また、下段凹部103のソケット本体101の長手方向の長さは、第2のメモリーカード602と略同一寸法とされている。
【0018】
そして、上段凹部102及び下段凹部103にそれぞれ第1のメモリーカード601及び第2のメモリーカード602を装填した際には、第1のメモリーカード601及び第2のメモリーカード602が互いに一部を重ねた状態で段付凹部101aに装填される。
【0019】
また、上段凹部102の底部には、該上段凹部102に第1のメモリーカード601を装填した際に、該第1のメモリーカード601の信号端子群と接触する接触端子群201が配置されている。
【0020】
同様に、下段凹部103の底部には、該下段凹部103に第2のメモリーカード602を装填した際に、該第2のメモリーカード602の信号端子群と接触する接触端子群202が配置されている。
【0021】
なお、この実施の形態では、接触端子群201,202をスプリングプローブ形状としているが、メモリーカードの信号端子群と接触可能な形状であれば、接触端子群の形状は特に限定されない。例えば、一般的に使用されている板バネ形状の接触端子群であってもよい。
【0022】
ソケット本体101の長手方向の上段凹部102側の端部には、接触端子群201とソケット本体101内で導通するソケット信号端子群301、及び接触端子群202とソケット本体101内で導通するソケット端子群302が設けられている。
【0023】
ソケット信号端子群301,302は、メモリーカード用ソケット装置100を実装する基板等に半田等を用いて接続され、メモリーカード601,602との間で制御信号の伝達を行う。なお、この実施の形態では、ソケット信号端子群301,302を基板に半田を用いて実装する場合を例示したが、これに限定されない。
【0024】
図5は、ソケット本体101の接触端子群201,202とソケット信号端子群301,302との信号接続の一例を示したものである。
【0025】
この例では、ソケット端子101の接触端子群201とソケット信号端子群301とが接続されるとともに、ソケット端子101の接触端子群202とソケット信号端子群302とが接続されている。ここで、SDカードの場合、1枚のメモリーカードの信号端子群が9個であるため、接触端子群201,202の端子数、及びソケット信号端子群301,302の端子数は、それぞれ18個ずつ配置されることになる。
【0026】
これにより、第1のメモリーカード601及び第2のメモリーカード602)に対して、同時に異なるアクセスをすることが可能なシステムとすることができる。
【0027】
図6は、ソケット本体101の接触端子群201,202とソケット信号端子群301,302との信号接続の他の例を示したものである。
【0028】
この例では、基本的には、上記の例と同様に、ソケット端子101の接触端子群201とソケット信号端子群301とが接続されるとともに、ソケット端子101の接触端子群202とソケット信号端子群302とが接続されている。しかし、ソケット信号端子群301とソケット信号端子群302とが、部分的に共通する信号端子303を有している。
【0029】
このように、ソケット信号端子群301とソケット信号端子群302とが信号端子303を共用することで、ソケット信号端子群301,302の端子数の合計を、図5の例の18個から17個に削減することができる。SDカードの場合、ソケット本体101の上段凹部102及び下段凹部103のいずれかにメモリーカードを搭載しても、メモリーカードの略中央に配置された4番ピン(VDD端子)の位置は略同じになるため、信号端子の共用を容易に行うことができる。
【0030】
このように、ソケット信号端子群301とソケット信号端子群302とが信号端子303を共用することで、ソケット信号端子群301,302の端子数の合計を削減することができるので、製造時の部品点数を減らすことができる。なお、共用する信号端子の数は、1本に限定する必要はなく、メモリーカードの信号配置や部品点数を考慮して、共用可能であれば2本以上でもよい。
【0031】
蓋部104は、ソケット本体101の段付凹部101aを開閉自在に覆うためのものであり、ソケット本体101の長手方向の上段凹部102側の端部に支持軸401を介して回動可能に支持されている。
【0032】
蓋部104のソケット本体101の段付凹部101a側を向く面の形状は、上段凹部102及び下段凹部103に装填されたメモリーカード601,602の外形に沿うように形成されている。
【0033】
また、蓋部104は、閉じ状態で、ソケット本体101の長手方向の下段凹部103側の端部に支持軸402を介して回動可能に支持された係止部材403によって係脱可能に係止される。
【0034】
そして、蓋部104を閉じることにより、蓋部104から少なくとも上段凹部102に装填された第1のメモリーカード601に対して、該メモリーカード601の厚さ方向に荷重が印加される。
【0035】
これにより、第1のメモリーカード601の信号端子群をソケット本体101の接触端子群201に接触させるとともに、第2のメモリーカード602の信号端子群をソケット本体101の接触端子群202に接触させる。
【0036】
荷重の印加例を説明すると、蓋部104を閉じることで、該蓋部104から第1のメモリーカード601に対して厚さ方向に荷重が印加されて、第1のメモリーカード601の信号端子群がソケット本体101の接触端子群201に接触する。
【0037】
同時に、第1のメモリーカード601から第2のメモリーカード602に対して厚さ方向に荷重が印加されて、第2のメモリーカード602の信号端子群がソケット本体101の接触端子群202に接触する。
【0038】
この例の場合、第2のメモリーカード602に対する荷重は、第1のメモリーカード601から与えられるため、第2のメモリーカード602を装填する場合は、第1のメモリーカード601の装填が必須となる。
【0039】
また、他の荷重の印加例として、蓋部104を閉じることで、蓋部104から第1のメモリーカード601に対して厚さ方向に荷重が印加されて、第1のメモリーカード601の信号端子群がソケット本体101の接触端子群201に接触する。
【0040】
同時に、該蓋部104から第2のメモリーカード602に対して厚さ方向に荷重が印加されて、第2のメモリーカード602の信号端子群がソケット本体101の接触端子202に接触する。
【0041】
この例の場合、第1のメモリーカード601及び第2のメモリーカード602に対する荷重は、共に蓋部104から与えられる。このため、ソケット本体101の段付凹部101aにどちらか一方のメモリーカードのみを装填する場合(図3及び図4参照)でも、装填されたメモリーカードの信号端子をソケット本体101の接触端子に接触させることができる。
【0042】
このように、蓋部104を閉じることで、蓋部104から第1のメモリーカード601に荷重を加えて該メモリーカード601の信号端子と接触端子201とを接触させる。また、これと同時に、蓋部104若しくは第1のメモリーカード601からの荷重を第2のメモリーカード602に加えて該メモリーカード602の信号端子と接触端子202とを接触させる。従って、この実施の形態では、蓋部104を閉じるだけで、メモリーカード601,602へのアクセスを可能にすることができる。
【0043】
ここで、この実施の形態では、信号端子群の向きが相反するようにメモリーカード601,602を段付凹部101aに装填して、接触端子群201,202が段付凹部101aの長手方向の両端に離間配置されるようにしている。
【0044】
これは、蓋部104を閉じた際に、蓋部104から荷重が加わる位置近傍にメモリーカードの信号端子群及び接触端子群201,202を配置して、信号端子群と接触端子群との接触を確実に行うことを意図したものであるが、必ずしもこのようにする必要はない。
【0045】
以上説明したように、この実施の形態では、ソケット本体101の段付凹部101aに2枚のメモリーカード601,602を互いに一部を重ねた状態で装填することができる。
【0046】
これにより、2つのカードスロットを設ける場合に比べて、2枚のメモリーカード601,602の実装容積を削減することができ、小型携帯機器等が大型化するのを回避することができる。
【0047】
また、蓋部104を開けるだけで、ソケット本体101の段付凹部101aに対してメモリーカード601,602の脱着ができるので、メモリーカードの脱着を容易に行うことができる。
【0048】
なお、上記実施の形態では、第1のメモリーカード601及び第2のメモリーカード602として、同規格のSDカードを採用したが、これに限定されない。厚さ方向の一方の面に信号端子群が配置されたメモリーカードであれば、例えば、MMCカード、セキュアMMCカード、スマートメディア(登録商標)、メモリースティック(登録商標)等のメモリーカードを採用してもよい。
【0049】
また、上記実施の形態では、ソケット本体の段付凹部に2枚のメモリーカードを装填する場合を例示したが、これに限定されず、ソケット本体の段付凹部に3枚以上のメモリーカードを装填するようにしてもよい。
【0050】
次に、図7〜図9を参照して、本発明の第2の実施の形態であるメモリーカード用ソケット装置について説明する。
【0051】
図7は本発明の第2の実施の形態であるメモリーカード用ソケット装置を説明するための図、図8は図7に示すメモリーカード用ソケット装置のソケット本体に第1のメモリーカードと第2のメモリーカードとを装填した状態を示す図である。図9は、蓋部の開閉機構の変形例を説明するための図である。
【0052】
本発明の第2の実施の形態であるメモリーカード用ソケット装置1100は、図7に示すように、ソケット本体1101と、蓋部1104とを備えている。
【0053】
ソケット本体1101は、平面視して長方形状をなしており、厚さ方向の一方の面(上面)には、図7及び図8に示すように、2枚のメモリーカード1601,1602を装填可能な段付凹部1101aが形成されている。
【0054】
段付凹部1101aは上段凹部1102及び下段凹部1103を有しており、上段凹部1102には第1のメモリーカード1601が装填可能とされ、下段凹部1103には第2のメモリーカード1602が装填可能とされている。なお、この実施の形態では、第1のメモリーカード1601及び第2のメモリーカード1602は、異なる規格の例えばSDカード及びminiSDカード採用している。また、メモリーカード1601,1602は、厚さ方向の一方の面に信号端子群(図示せず)が配置されている。
【0055】
上段凹部1102は、ソケット本体1101の短手方向の長さが第1のメモリーカード1601の幅と略同一寸法とされ、ソケット本体1101の上面からの深さが第1のメモリーカード1601の厚さと略同一寸法とされている。また、上段凹部1102のソケット本体1101の長手方向の長さは、幅方向の両側部を除く部分が第1のメモリーカード1601より短い寸法とされ、幅方向の両側部が第1のメモリーカード1601と略同一寸法とされている。
【0056】
一方、下段凹部1103は、ソケット本体1101の短手方向の長さが第2のメモリーカード1602の幅と略同一寸法とされ、ソケット本体1101の上面からの深さが2枚のメモリーカード1601,1602分の厚さと略同一寸法とされている。また、下段凹部1103のソケット本体1101の長手方向の長さは、第2のメモリーカード1602と略同一寸法とされている。
【0057】
そして、上段凹部1102及び下段凹部1103にそれぞれ第1のメモリーカード1601及び第2のメモリーカード1602を装填した際には、2枚のメモリーカード1601,1602が互いに一部を重ねた状態で段付凹部1101aに装填される。
【0058】
また、上段凹部1102の底部には、該上段凹部1102に第1のメモリーカード1601を装填した際に、該第1のメモリーカード1601の信号端子群と接触する接触端子群1201が配置されている。
【0059】
同様に、下段凹部1103の底部には、該下段凹部1103に第2のメモリーカード1602を装填した際に、該第2のメモリーカード1602の信号端子群と接触する接触端子群1202が配置されている。なお、この実施の形態では、接触端子群1201,1202をスプリングプローブ形状としているが、メモリーカードの信号端子群と接触可能な形状であれば、接触端子群の形状は特に限定されない。例えば、一般的に使用されている板バネ形状の接触端子群であってもよい。
【0060】
ソケット本体1101の長手方向の上段凹部1102側の端部には、接触端子群1201とソケット本体1101内で導通するソケット信号端子群1301、及び接触端子群1202とソケット本体1101内で導通するソケット端子群1302が設けられている。
【0061】
ソケット信号端子群1301,1302は、メモリーカード用ソケット装置1100を実装する基板等に半田等を用いて接続され、メモリーカード1601,1602との間で制御信号の伝達を行う。なお、この実施の形態では、ソケット信号端子群1301,1302を基板に半田を用いて実装する場合を例示したが、これに限定されない。
【0062】
なお、ソケット本体1101の接触端子群1201,1202とソケット信号端子群1301,1302との信号接続例については、上記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0063】
蓋部1104は、ソケット本体1101の段付凹部1101aを開閉自在に覆うためのものであり、ソケット本体1101の長手方向の下段凹部1103側の端部に支持軸1401を介して回動可能に支持されている。
【0064】
蓋部1104のソケット本体1101の段付凹部1101a側を向く面の形状は、上段凹部1102及び下段凹部1103に装填されたメモリーカード1601,1602の外形に沿うように形成されている。
【0065】
また、蓋部1104は、閉じ状態で、ソケット本体1101の長手方向の上段凹部102側の端部に支持軸1402を介して回動可能に支持された係止部材1403によって係脱可能に係止される。
【0066】
そして、蓋部1104を閉じることにより、蓋部1104から少なくとも上段凹部1102に装填された第1のメモリーカード1601に対して、該メモリーカード1601の厚さ方向に荷重が印加される。
【0067】
これにより、第1のメモリーカード1601の信号端子群をソケット本体1101の接触端子群1201に接触させるとともに、第2のメモリーカード1602の信号端子群をソケット本体1101の接触端子群1202に接触させる。
【0068】
荷重の印加例を説明すると、蓋部1104を閉じることで、該蓋部1104から第1のメモリーカード1601に対して厚さ方向に荷重が印加されて、第1のメモリーカード1601の信号端子群がソケット本体1101の接触端子群1201に接触する。
【0069】
同時に、第1のメモリーカード1601から第2のメモリーカード1602に対して厚さ方向に荷重が印加されて、第2のメモリーカード1602の信号端子群がソケット本体1101の接触端子群1202に接触する。
【0070】
この例の場合、第2のメモリーカード1602に対する荷重は、第1のメモリーカード1601から与えられるため、第2のメモリーカード1602を装填する場合は、第1のメモリーカード1601の装填が必須となる。
【0071】
また、他の荷重の印加例として、蓋部1104を閉じることで、蓋部1104から第1のメモリーカード1601に対して厚さ方向に荷重が印加されて、第1のメモリーカード1601の信号端子群がソケット本体1101の接触端子群1201に接触する。
【0072】
同時に、該蓋部1104から第2のメモリーカード1602に対して厚さ方向に荷重が印加されて、第2のメモリーカード1602の信号端子群がソケット本体1101の接触端子群202に接触する。
【0073】
この例の場合、第1のメモリーカード1601及び第2のメモリーカード1602に対する荷重は、共に蓋部1104から与えられる。このため、ソケット本体1101の段付凹部1101aにどちらか一方のメモリーカードのみを装填する場合でも、装填されたメモリーカードの信号端子をソケット本体1101の接触端子に接触させることができる。
【0074】
このように、蓋部1104を閉じることで、蓋部1104から第1のメモリーカード1601に荷重を加えて該メモリーカード1601の信号端子を接触端子1201に接触させる。また、これと同時に、蓋部1104若しくは第1のメモリーカード1601からの荷重を第2のメモリーカード1602に加えて該メモリーカード1602の信号端子を接触端子1202に接触させる。従って、この実施の形態では、蓋部1104を閉じるだけで、メモリーカード1601,1602へのアクセスを可能にすることができる。
【0075】
ここで、この実施の形態では、信号端子群の向きが相反するようにメモリーカード1601,1602を段付凹部1101aに装填して、接触端子群1201,1202が段付凹部1101aの長手方向の両端に離間配置されるようにしている。
【0076】
これは、蓋部1104を閉じた際に、蓋部1104から荷重が加わる位置近傍にメモリーカードの信号端子群及び接触端子群1201,1202を配置して、信号端子群と接触端子群との接触を確実に行うことを意図したものであるが、必ずしもこれに限定されない。
【0077】
以上説明したように、この実施の形態では、ソケット本体1101の段付凹部1101aに異なる規格の2枚のメモリーカード1601,1602を互いに一部を重ねた状態で装填することができる。
【0078】
これにより、2つのカードスロットを設ける場合に比べて、2枚のメモリーカード1601,1602の実装容積を削減することができ、小型携帯機器等が大型化するのを回避することができる。
【0079】
また、蓋部1104を開けるだけで、ソケット本体1101の段付凹部1101aに対してメモリーカード1601,1602の脱着ができるので、メモリーカードの脱着を容易に行うことができる。
【0080】
なお、上記実施の形態では、第1のメモリーカード1601及び第2のメモリーカード1602として、異なる規格のSDカード及びminiSDカードの組合せを採用したが、メモリーカードの組み合わせは、これに限定されない。厚さ方向の一方の面に信号端子群が配置されたメモリーカードであれば、例えば、MMCカード、セキュアMMCカード、スマートメディア(登録商標)、メモリースティック(登録商標)等のメモリーカードを組み合わせてもよい。
【0081】
また、上記実施の形態では、ソケット本体の段付凹部に2枚のメモリーカードを装填する場合を例示したが、これに限定されず、ソケット本体の段付凹部に3枚以上のメモリーカードを装填するようにしてもよい。
【0082】
更に、蓋部1104及び係止部材1403の形状や開閉機構等についても、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、図9に示すように、蓋部1104をソケット本体1101に対して回動可能、且つソケット本体1101の長手方向にスライド可能に支持するようにしてもよい。この場合、蓋部1104を閉じた後、前方にスライドさせることで、蓋部1104が係止部材1405によって係止される。なお、この開閉機構は、上記第1の実施の形態に適用してもよいのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の第1の実施の形態であるメモリーカード用ソケット装置を説明するための図であり、(a)はソケット本体の平面図、(b)はメモリーカード用ソケット装置の断面図である。
【図2】図1に示すメモリーカード用ソケット装置のソケット本体に第1のメモリーカードと第2のメモリーカードとを装填した状態を示す図であり、(a)はソケット本体の平面図、(b)はメモリーカード用ソケット装置の断面図である。
【図3】図1に示すメモリーカード用ソケット装置のソケット本体に第1のメモリーカードを装填した状態を示す図であり、(a)はソケット本体の平面図、(b)はメモリーカード用ソケット装置の断面図である。
【図4】図1に示すメモリーカード用ソケット装置のソケット本体に第2のメモリーカードを装填した状態を示す図であり、(a)はソケット本体の平面図、(b)はメモリーカード用ソケット装置の断面図である。
【図5】ソケット本体の接触端子群とソケット信号端子群との信号接続の一例を説明するための説明図である。
【図6】ソケット本体の接触端子群とソケット信号端子群との信号接続の他の例を説明するための説明図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態であるメモリーカード用ソケット装置を説明するための図であり、(a)はソケット本体の平面図、(b)はメモリーカード用ソケット装置の断面図である。
【図8】図7に示すメモリーカード用ソケット装置のソケット本体に第1のメモリーカードと第2のメモリーカードとを装填した状態を示す図であり、(a)はソケット本体の平面図、(b)はメモリーカード用ソケット装置の断面図である。
【図9】蓋部の開閉機構の変形例を説明するための図であり、(a)はソケット本体の平面図、(b)はメモリーカード用ソケット装置の断面図である。
【符号の説明】
【0084】
100 メモリーカード用ソケット装置
101 ソケット本体
101a 段付凹部
102 上段凹部
103 下段凹部
104 蓋部
201 接触端子群
202 接触端子群
301 ソケット信号端子群
302 ソケット信号端子群
401 支持軸
402 支持軸
403 係止部材
601 第1のメモリーカード
602 第2のメモリーカード
1100 メモリーカード用ソケット装置
1101 ソケット本体
1101a 段付凹部
1102 上段凹部
1103 下段凹部
1104 蓋部
1201 接触端子群
1202 接触端子群
1301 ソケット信号端子群
1302 ソケット信号端子群
1401 支持軸
1402 支持軸
1403 係止部材
1405 係止部材
1601 第1のメモリーカード
1602 第2のメモリーカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向の一方の面に信号端子群を配置した複数のメモリーカードを互いに一部を重ねた状態で装填可能な段付凹部を有し、該段付凹部に、前記複数のメモリーカードの信号端子群と個別に接触可能な接触端子群を該メモリーカードの数に応じて配置したソケット本体と、
該ソケット本体の前記段付凹部を開閉自在に覆う蓋部と、を備え、
該蓋部を閉じることにより、少なくとも前記蓋部に最も近い前記メモリーカードに対して、該メモリーカードの厚さ方向に荷重を印加して、前記メモリーカードの前記信号端子群を前記ソケット本体の前記接触端子群に接触させる、
ことを特徴とするメモリーカード用ソケット装置。
【請求項2】
前記ソケット本体に、前記メモリーカードの数に応じて配置された前記接触端子群に個別に導通するソケット信号端子群を設けた、
ことを特徴とする請求項1に記載のメモリーカード用ソケット装置。
【請求項3】
一のメモリーカードに対応する前記ソケット信号端子群と、他のメモリーカードに対応する前記ソケット信号端子群とが、部分的に共通する信号端子を有する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のメモリーカード用ソケット装置。
【請求項4】
前記複数のメモリーカードは、少なくとも一つのメモリーカードの形状又は大きさが他のメモリーカードと異なる、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のメモリーカード用ソケット装置。
【請求項5】
前記蓋部を閉じることにより、全ての前記メモリーカードに対して、該メモリーカードの厚さ方向に荷重を印加して、前記メモリーカードの前記信号端子群を前記ソケット本体の前記接触端子群に接触させる、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のメモリーカード用ソケット装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−60003(P2008−60003A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−238157(P2006−238157)
【出願日】平成18年9月1日(2006.9.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】