説明

メモリ制御システム、メモリ制御装置、メモリ制御方法

【課題】 予備のメモリモジュールを設けず、ミラーリング構成のメモリモジュールに障害が発生したとき、ミラーリング動作を継続させ、信頼性を向上したメモリ制御システム、メモリ制御装置、メモリ制御方法を提供する。
【解決手段】 メモリ制御装置200は、メモリモジュール(#0)41に障害が発生したとき、障害発生のメモリ領域を縮退する手段と、障害発生のメモリモジュール(#0)41とペアになっているメモリモジュール(#2)51を、第1メモリ装置40と第2メモリ装置50とのミラーリングのペアとして再構築する手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリ制御システム、メモリ制御装置、メモリ制御方法に関し、特に、ミラーリング構成のメモリ装置のメモリモジュールに障害が発生した場合に、ミラーリング動作を継続させることにより、信頼性を向上させるメモリ制御システム、メモリ制御装置、メモリ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータシステムの信頼性に対する市場の要求は、年々増大している。要求に応えるべくメーカでは、無停止システムなどの開発を行っている。しかし、市場要求は、信頼性向上と共に、システムにかかるトータルコストの削減要求もあり、その両立を求めている。
【0003】
そこで、二重化したメモリモジュールの一方に故障が発生したとき、他のメモリモジュールと再構成でき、更にメモリモジュール間のデータのコピーを効率よくできるものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
特許文献1は、二重化したメモリモジュールとは別のメモリモジュールを設ける。メモリモジュールは、故障を検出しバックアップ用のメモリモジュールと通信するための二重化制御回路を設ける。二重化したメモリモジュールの一方に故障が発生したとき、正常な他方のメモリモジュールは、別のメモリモジュールにメモリ内容のコピーを実行し、別のメモリモジュールとで二重化構成をとる。
【0005】
更に、メモリモジュールは、リフレッシュサイクルに同期して他のメモリモジュールへメモリ内容を転送するコピー制御回路を設け、別のメモリモジュールにメモリ内容を効率よくコピーする。
【0006】
【特許文献1】特開平05ー298192号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の特許文献1の技術は、二重化したメモリモジュールの一方に故障が発生したとき、他方のメモリモジュールと再構成するため、二重化したメモリモジュールとは別のメモリモジュールを設ける。他方の正常なメモリモジュールは、別のメモリモジュールにメモリ内容のコピーを実行し、別のメモリモジュールとで二重化構成をとる。
【0008】
従って、二重化したメモリモジュールとは別のメモリモジュールを設ける必要があり、且つ、別のメモリモジュールに障害が発生したときには、二重化構成をとれないという課題がある。
【0009】
本発明の目的は、予備のメモリモジュールを設けず、ミラーリング構成のメモリモジュールに障害が発生したとき、ミラーリング動作を継続させ、信頼性を向上したメモリ制御システム、メモリ制御装置、メモリ制御方法を提供することにある。このため、本発明は、障害発生のメモリモジュールとペアになっているメモリモジュールを、運用系と待機系とのミラーリングのペアに再構築する手段を備えた構成とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のメモリ制御システムは、メモリアクセスリクエストを発行するプロセッサと、プロセッサからのメモリアクセスリクエストを受信しデータがミラーリング構成となるように制御を行うメモリ制御装置と、メモリ制御装置から受信するデータを記憶するミラーリング構成の第1メモリ装置と第2メモリ装置とを有するメモリ制御システムにおいて、第1メモリ装置と第2メモリ装置とは、各々複数のメモリモジュールを有し、メモリ制御装置は、メモリモジュールに障害が発生したとき、障害発生のメモリ領域を縮退する手段と、障害発生のメモリモジュールとペアになっているメモリモジュールを、第1メモリ装置と第2メモリ装置とのミラーリングのペアとして再構築する手段とを有することを特徴とする。
【0011】
メモリ制御装置は、第1メモリ装置と第2メモリ装置との間のミラーリング構成情報を保持するミラーリング構成管理テーブルと、障害が発生したメモリモジュールに応じてミラーリング構成を再構築するミラーリング構成管理テーブル管理手段と、ミラーリング構成管理テーブルの内容に応じてミラーリングアクセスを実施するミラーリングアクセス実施手段と、第1メモリ装置または第2メモリ装置からの障害情報により障害発生のメモリモジュールを特定し、特定情報をミラーリング構成管理テーブル管理手段へ通知する障害箇所判定手段とを有するメモリ制御手段と、メモリモジュールのメモリ使用領域を管理するメモリ管理手段とを有することを特徴とする。
【0012】
ミラーリング構成管理テーブル管理手段は、障害箇所判定手段から特定情報を受信すると、ミラーリング構成管理テーブルの特定情報に該当するメモリモジュールのアクセス可否フラグをアクセス不可に設定する手段と、ミラーリング構成情報から障害発生のメモリ領域に対応して縮退させるアドレス範囲を特定する手段と、特定したアドレス範囲の情報を障害発生によるメモリ縮退要求としてメモリ管理手段へ通知する手段と、メモリ管理手段からのメモリ縮退完了通知によりミラーリング構成管理テーブルの書き換えを行いミラーリング構成情報を再構築する手段とを有することを特徴とする。
【0013】
メモリ管理手段は、ミラーリング構成管理テーブル管理手段からのメモリ縮退要求により、縮退要求の対象メモリ領域を使用しているデータを、対象メモリ領域から移動させる手段と、対象メモリ領域を未使用状態にする手段と、ミラーリング構成管理テーブル管理手段に対して、メモリ縮退完了通知を発行する手段とを有することを特徴とする。
【0014】
メモリモジュールは、2分割した2つのランクから構成することを特徴とする。
【0015】
ミラーリング構成管理テーブルは、プロセッサからのメモリアクセスリクエストが示すアドレス値に対応するアドレス範囲情報と、第1メモリ装置と第2メモリ装置とのメモリモジュール情報と、メモリモジュール情報に対するアクセス可否を示すフラグ情報とを有することを特徴とする。
【0016】
メモリモジュール情報は、メモリモジュール番号と、ランク番号とを有することを特徴とする。
【0017】
本発明のメモリ制御装置は、プロセッサの発行するメモリアクセスリクエストを受信しデータがミラーリング構成となるように制御を行い、ミラーリング構成の第1メモリ装置と第2メモリ装置とへメモリアクセスリクエストを発行するメモリ制御装置であって、第1メモリ装置と第2メモリ装置とは、各々複数のメモリモジュールを有し、メモリモジュールに障害が発生したとき、障害発生のメモリ領域を縮退する手段と、障害発生のメモリモジュールとペアになっているメモリモジュールを、第1メモリ装置と第2メモリ装置とのミラーリングのペアとして再構築する手段とを有することを特徴とする。
【0018】
1メモリ装置と第2メモリ装置との間のミラーリング構成情報を保持するミラーリング構成管理テーブルと、障害が発生したメモリモジュールに応じてミラーリング構成を再構築するミラーリング構成管理テーブル管理手段と、ミラーリング構成管理テーブルの内容に応じてミラーリングアクセスを実施するミラーリングアクセス実施手段と、第1メモリ装置または第2メモリ装置からの障害情報により障害発生のメモリモジュールを特定し、特定情報をミラーリング構成管理テーブル管理手段へ通知する障害箇所判定手段とを有するメモリ制御手段と、メモリモジュールのメモリ使用領域を管理するメモリ管理手段とを有することを特徴とする。
【0019】
ミラーリング構成管理テーブル管理手段は、障害箇所判定手段から特定情報を受信すると、ミラーリング構成管理テーブルの特定情報に該当するメモリモジュールのアクセス可否フラグをアクセス不可に設定する手段と、ミラーリング構成情報から障害発生のメモリ領域に対応して縮退させるアドレス範囲を特定する手段と、特定したアドレス範囲の情報を障害発生によるメモリ縮退要求としてメモリ管理手段へ通知する手段と、メモリ管理手段からのメモリ縮退完了通知によりミラーリング構成管理テーブルの書き換えを行いミラーリング構成情報を再構築する手段とを有することを特徴とする。
【0020】
メモリ管理手段は、ミラーリング構成管理テーブル管理手段からのメモリ縮退要求により、縮退要求の対象メモリ領域を使用しているデータを、対象メモリ領域から移動させる手段と、対象メモリ領域を未使用状態にする手段と、ミラーリング構成管理テーブル管理手段に対して、メモリ縮退完了通知を発行する手段とを有することを特徴とする。
【0021】
メモリモジュールは、2分割した2つのランクから構成することを特徴とする。
【0022】
ミラーリング構成管理テーブルは、プロセッサからのメモリアクセスリクエストが示すアドレス値に対応するアドレス範囲情報と、第1メモリ装置と第2メモリ装置とのメモリモジュール情報と、メモリモジュール情報に対するアクセス可否を示すフラグ情報とを有することを特徴とする。
【0023】
メモリモジュール情報は、メモリモジュール番号と、ランク番号とを有することを特徴とする。
【0024】
本発明のメモリ制御方法は、プロセッサによりメモリアクセスリクエストを発行するステップと、メモリ制御装置によりプロセッサからのメモリアクセスリクエストを受信しデータがミラーリング構成となるように制御を行うステップと、メモリ制御装置から受信するデータをミラーリング構成の第1メモリ装置と第2メモリ装置とへ記憶するステップとを有するメモリ制御方法において、第1メモリ装置と第2メモリ装置とは、各々複数のメモリモジュールを有し、メモリ制御装置は、メモリモジュールに障害が発生したとき、障害発生のメモリ領域を縮退するステップと、障害発生のメモリモジュールとペアになっているメモリモジュールを、第1メモリ装置と第2メモリ装置とのミラーリングのペアとして再構築するステップとを有することを特徴とする。
【0025】
メモリ制御装置は、第1メモリ装置と第2メモリ装置との間のミラーリング構成情報をミラーリング構成管理テーブルに保持するステップと、ミラーリング構成管理テーブル管理手段により障害が発生したメモリモジュールに応じてミラーリング構成を再構築するステップと、ミラーリングアクセス実施手段によりミラーリング構成管理テーブルの内容に応じてミラーリングアクセスを実施するステップと、障害箇所判定手段により第1メモリ装置または第2メモリ装置からの障害情報により障害発生のメモリモジュールを特定し、特定情報をミラーリング構成管理テーブル管理手段へ通知するステップとを有するメモリ制御手段と、メモリモジュールのメモリ使用領域を管理するステップを有するメモリ管理手段とを有することを特徴とする。
【0026】
ミラーリング構成管理テーブル管理手段は、障害箇所判定手段から前記特定情報を受信すると、ミラーリング構成管理テーブルの特定情報に該当するメモリモジュールのアクセス可否フラグをアクセス不可に設定するステップと、ミラーリング構成情報から障害発生のメモリ領域に対応して縮退させるアドレス範囲を特定するステップと、特定したアドレス範囲の情報を障害発生によるメモリ縮退要求としてメモリ管理手段へ通知するステップと、メモリ管理手段からのメモリ縮退完了通知によりミラーリング構成管理テーブルの書き換えを行いミラーリング構成情報を再構築するステップとを有し、メモリ管理手段は、ミラーリング構成管理テーブル管理手段からのメモリ縮退要求により、縮退要求の対象メモリ領域を使用しているデータを、対象メモリ領域から移動させるステップと、対象メモリ領域を未使用状態にするステップと、ミラーリング構成管理テーブル管理手段に対して、メモリ縮退完了通知を発行するステップとを有することを特徴とする。
【0027】
メモリモジュールは、2分割した2つのランクから構成するステップを有することを特徴とする。
【0028】
ミラーリング構成管理テーブルは、プロセッサからのメモリアクセスリクエストが示すアドレス値に対応するアドレス範囲情報と、第1メモリ装置と第2メモリ装置とのメモリモジュール情報と、メモリモジュール情報に対するアクセス可否を示すフラグ情報とを有することを特徴とする。
【0029】
メモリモジュール情報は、メモリモジュール番号と、ランク番号とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明のメモリ制御システム、メモリ制御装置、メモリ制御方法は、ミラーリング構成のメモリ装置内のメモリモジュールに障害が発生した場合に、ミラーリング動作を継続させることができ、信頼性を向上できるという効果がある。
【0031】
その理由は、メモリ制御手段が障害メモリ領域を縮退し、障害メモリモジュールとペアになっているメモリモジュールを、運用系と待機系とのミラーリングのペアとして再構築するためである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0033】
図1は、本発明のメモリ制御システム100を示す概略構成ブロック図である。
【0034】
図1を参照すると、メモリ制御システム100は、メモリアクセスリクエストを発行するプロセッサ10と、メモリ制御装置200と、第1メモリ装置40と、第2メモリ装置50とで構成する。メモリ制御装置200は、プロセッサ10からのメモリアクセスリクエストを受信して解析し、データがミラーリング構成となるように制御を行う。第1メモリ装置40と第2メモリ装置50とは、ミラーリング構成を有し、メモリ制御装置200から受信するデータを二重化して記憶する。
【0035】
第1メモリ装置40は、メモリモジュール(#0)41とメモリモジュール(#1)42を備え、第2メモリ装置50は、メモリモジュール(#2)51、メモリモジュール(#3)52とを備える。また、各々のメモリモジュール(#0)41、メモリモジュール(#1)42、メモリモジュール(#2)51、メモリモジュール(#3)52は、後述の2分割した2つのランクから構成する。なお、通常運用においては、第1メモリ装置40が運用系、第2メモリ装置50が待機系となるミラーリング構成とする。
【0036】
メモリ制御装置200は、メモリ制御手段20と、メモリ管理手段30とで構成する。
【0037】
メモリ制御手段20は、ミラーリング構成管理テーブル22と、ミラーリング構成管理テーブル管理手段24と、ミラーリングアクセス実施手段21と、障害箇所判定手段23とで構成する。メモリ制御手段20は、メモリ管理手段30との間で、実装するメモリモジュール(#0)41、メモリモジュール(#1)42、メモリモジュール(#2)51、メモリモジュール(#3)52、およびアドレッシング情報を制御する。
【0038】
メモリ管理手段30は、メモリモジュール(#0)41、メモリモジュール(#1)42、メモリモジュール(#2)51、メモリモジュール(#3)52のメモリ使用領域を管理する。また、メモリ管理手段30は、ミラーリング構成管理テーブル管理手段24と接続し、ミラーリング構成変更時の、データ移送制御、およびソフトウエアに対する使用可能メモリ領域の変更通知を行う。
【0039】
ミラーリング構成管理テーブル22は、第1メモリ装置40と第2メモリ装置50との間のミラーリング構成情報を保持する。ミラーリング構成情報は、ミラーリングアクセス実施手段21により、読み出し可能である。また、ミラーリング構成情報は、ミラーリング構成管理テーブル管理手段24により、書き換え、および新規登録が可能である。
【0040】
ミラーリング構成管理テーブル管理手段24は、ミラーリング構成管理テーブル22を用いて、ミラーリング構成情報の管理を行い、障害が発生したメモリモジュール(#0)41、メモリモジュール(#1)42、メモリモジュール(#2)51、メモリモジュール(#3)52に対応してミラーリング構成を再構築する。
【0041】
ミラーリングアクセス実施手段21は、ミラーリング構成管理テーブル22に保持しているミラーリング構成情報により、プロセッサ10からのメモリアクセスリクエストをミラーリングアクセスとなるよう展開し、必要に応じて、第1メモリ装置40、第2メモリ装置50へメモリアクセスリクエストを発行する。
【0042】
障害箇所判定手段23は、第1メモリ装置40または第2メモリ装置50からの障害情報により障害発生のメモリモジュール(#0)41、メモリモジュール(#1)42、メモリモジュール(#2)51、メモリモジュール(#3)52を特定し、特定情報をミラーリング構成管理テーブル管理手段24へ通知する。
【0043】
次に、ミラーリング構成管理テーブル22について図面を参照して説明する。
【0044】
図2は、ミラーリング構成管理テーブル22を説明するための図である。
【0045】
図2を参照すると、ミラーリング構成管理テーブル22は、プロセッサ10からのメモリアクセスリクエストが示すアドレス値に対応するアドレス範囲情報221と、第1メモリ装置40と第2メモリ装置50とに対してそれぞれメモリモジュール情報410、510と、メモリモジュール情報410、510に対するアクセス可否を示すフラグ情報420、520とを備える。メモリモジュール情報410、510は、メモリモジュール番号411、511と、ランク番号412、512とをそれぞれ備える。
【0046】
アドレス範囲情報221は、最小アドレス222と最大アドレス223とからなり、ミラーリング構成管理テーブル22のエントリを検索するキーとなる。
【0047】
メモリアクセスリクエストのアドレス値により、第1メモリ装置40および第2メモリ装置50のメモリモジュール番号411、511と、ランク番号412、512とを取得できる。アクセス可否フラグ421、521は、当該メモリモジュール(#0)41、メモリモジュール(#1)42、メモリモジュール(#2)51、メモリモジュール(#3)52に対して、アクセスが実施可能かどうかを示す。障害により当該メモリモジュール(#0)41、メモリモジュール(#1)42、メモリモジュール(#2)51、メモリモジュール(#3)52へのアクセスが不可の状態にある場合には、アクセス可否フラグ421、521が’0’となる。
【0048】
次に、上述のように構成したメモリ制御システム100の動作について図面を参照して説明する。
【0049】
図2〜図4は、ミラーリング構成管理テーブル22を説明するための図である。
【0050】
なお、ミラーリング構成管理テーブル22は、最初、図2のように登録しているものとする。
【0051】
図2を参照すると、メモリモジュール情報410、510のランク番号412、512は、各々2つのランク’0’、’1’で構成している。例えば、メモリモジュール(#0)41は、メモリモジュール番号411の’0’に対応し、2分割してランク番号412の’0’と’1’との2つのランクで構成している。また、アドレス’000’へのアクセス要求であれば、運用系の第1メモリ装置40は、メモリモジュール番号411が’0’でランク番号412が’0’においてアクセス対応し、待機系の第2メモリ装置50は、メモリモジュール番号511が’2’でランク番号512が’0’においてアクセス対応することになる。
【0052】
図1〜図4を参照すると、プロセッサ10は、メモリアクセスリクエストを発行し、ミラーリングアクセス実施手段21へ送出する。ミラーリングアクセス実施手段21は、メモリアクセスリクエストのアドレス値により、ミラーリング構成管理テーブル22を索引し、メモリアクセスリクエストのターゲットとなる、第1メモリ装置40および第2メモリ装置50のメモリモジュール情報410、510を取得する。
【0053】
次に、ミラーリングアクセス実施手段21は、ミラーリング構成に応じたメモリアクセスリクエストを第1メモリ装置40および第2メモリ装置50に対して発行する。
【0054】
メモリモジュール(#0)41、メモリモジュール(#1)42、メモリモジュール(#2)51、メモリモジュール(#3)52の何れかに障害が発生すると、第1メモリ装置40または第2メモリ装置50は、障害箇所判定手段23に対して、障害通知を送出する。
【0055】
ここで、第1メモリ装置40内のメモリモジュール(#0)41に障害が発生した場合について、以降、説明する。
【0056】
障害箇所判定手段23は、受信した障害通知により、障害が発生したメモリモジュール(#0)41を認識して特定する。障害箇所判定手段23は、特定したメモリモジュール(#0)41が故障したことをミラーリング構成管理テーブル管理手段24へ通知する。
【0057】
ミラーリング構成管理テーブル管理手段24は、まず、障害発生のメモリモジュール(#0)41へのアクセスを不可(禁止)にするために、ミラーリング構成管理テーブル22を図3に示すように更新する。ミラーリング構成管理テーブル管理手段24は、メモリモジュール番号411が’0’のアクセス可否フラグ421を’0’に更新し、アクセスを不可にする。また、ミラーリング構成管理テーブル管理手段24は、図2に示すミラーリング構成管理テーブル22に登録しているミラーリング構成情報の内容から、メモリモジュール番号411の’0’に対応するアドレス範囲情報221を特定する。ここでは、アドレス’000’へのアクセス要求に対する障害故、アドレス範囲情報221として(0x000〜0x1FF)を特定する。
【0058】
次に、ミラーリング構成管理テーブル管理手段24は、故障したメモリモジュール(#0)41とミラーリング構成をなすペアのメモリモジュール(#2)51により、ミラーリング構成を再構築する。このため、メモリモジュール(#2)51は、アドレス領域を2つに分割し、ランク’0’とランク’1’との2つに分割している。再構築によって、分割したメモリアドレス領域の下位側(0x100〜0x1FF)は、対応するメモリモジュール(#2)51がなくなり、縮退させる必要がある。そこで、ミラーリング構成管理テーブル管理手段24は、メモリ管理手段30に対して、障害発生によるメモリ縮退要求として、メモリ領域使用禁止要求、ならびに禁止領域(0x100〜0x1FF)情報を通知する。
【0059】
次に、メモリ縮退要求を受けたときのメモリ管理手段30の動作について、図面を参照して説明する。
【0060】
図5は、メモリ管理手段30の動作を示すフローチャートである。
【0061】
図5を参照すると、メモリ管理手段30は、使用禁止要求のメモリ領域(0x100〜0x1FF)の使用状況を確認し(S11)、使用している場合には、使用中のデータを図示しない他のメモリ、または磁気ディスクなどに退避させ、使用禁止要求メモリ領域を未使用状態にする(S12)。要求メモリ領域が未使用状態になったなら、メモリ管理手段30は、ミラーリング構成管理テーブル管理手段24に対して、メモリ縮退完了通知を発行する。このように、メモリ管理手段30は、メモリ縮退要求により、動的にメモリ使用領域を縮退することができる。
【0062】
ミラーリング構成管理テーブル管理手段24は、メモリ管理手段3からのメモリ縮退完了通知により、ミラーリング構成管理テーブル22の内容を書き換える。図4は、ミラーリング構成管理テーブル22を書き替え更新した状態を示す。
【0063】
図4を参照すると、メモリモジュール番号411が’2’でランク番号412が’0’と、メモリモジュール番号511が’2’でランク番号512が’1’とのペアにより、新たなミラーリングペアを構成する。
【0064】
ミラーリング構成管理テーブル22の更新後、プロセッサ10からのメモリアクセスリクエストは、図4に示す更新したミラーリング構成管理テーブル22の内容により、ミラーリング構成の動作を継続する。アドレス範囲情報221の(0x100〜0x1FF)に関しては、縮退し、アクセス不可となる。
【0065】
上述のように、メモリ制御システム100は、ミラーリング構成のメモリモジュール(#0)41とメモリモジュール(#2)51とにおいて、例えばメモリモジュール(#0)41に障害が発生した場合に、故障交換を行うまでの間、メモリモジュール(#2)51で自動的にミラーリング動作を継続することができ、信頼性を向上できるという効果がある。
【0066】
なお、以上の説明では、第1メモリ装置40内および第2メモリ装置50内に各々、メモリモジュール(#0)41とメモリモジュール(#1)42、メモリモジュール(#2)51とメモリモジュール(#3)52とを備える構成としている。メモリモジュール(#0)41、メモリモジュール(#1)42、メモリモジュール(#2)51、メモリモジュール(#3)52に代え、磁気ディスクドライブを設ける構成としても本発明と同様な効果を得ることができ、この構成とすることも本発明に含まれることは云うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明のメモリ制御システムを示す概略構成ブロック図である。
【図2】ミラーリング構成管理テーブルを説明するための図である。
【図3】ミラーリング構成管理テーブルを説明するための図である。
【図4】ミラーリング構成管理テーブルを説明するための図である。
【図5】メモリ管理手段の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0068】
10 プロセッサ
20 メモリ制御手段
21 ミラーリングアクセス実施手段
22 ミラーリング構成管理テーブル
23 障害箇所判定手段
24 ミラーリング構成管理テーブル管理手段
30 メモリ管理手段
40 第1メモリ装置
41 メモリモジュール(#0)
42 メモリモジュール(#1)
50 第2メモリ装置
51 メモリモジュール(#2)
52 メモリモジュール(#3)
100 メモリ制御システム
200 メモリ制御装置
221 アドレス範囲情報
222 最小アドレス
223 最大アドレス
410、510 メモリモジュール情報
411、511 メモリモジュール番号
412、512 ランク番号
420、520 フラグ情報
421、521 アクセス可否フラグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリアクセスリクエストを発行するプロセッサと、前記プロセッサからの前記メモリアクセスリクエストを受信しデータがミラーリング構成となるように制御を行うメモリ制御装置と、前記メモリ制御装置から受信する前記データを記憶するミラーリング構成の第1メモリ装置と第2メモリ装置とを有するメモリ制御システムにおいて、前記第1メモリ装置と前記第2メモリ装置とは、各々複数のメモリモジュールを有し、前記メモリ制御装置は、前記メモリモジュールに障害が発生したとき、障害発生のメモリ領域を縮退する手段と、障害発生の前記メモリモジュールとペアになっている前記メモリモジュールを、前記第1メモリ装置と前記第2メモリ装置とのミラーリングのペアとして再構築する手段とを有することを特徴とするメモリ制御システム。
【請求項2】
前記メモリ制御装置は、前記第1メモリ装置と前記第2メモリ装置との間のミラーリング構成情報を保持するミラーリング構成管理テーブルと、障害が発生した前記メモリモジュールに応じてミラーリング構成を再構築するミラーリング構成管理テーブル管理手段と、前記ミラーリング構成管理テーブルの内容に応じてミラーリングアクセスを実施するミラーリングアクセス実施手段と、前記第1メモリ装置または前記第2メモリ装置からの障害情報により障害発生の前記メモリモジュールを特定し、特定情報を前記ミラーリング構成管理テーブル管理手段へ通知する障害箇所判定手段とを有するメモリ制御手段と、前記メモリモジュールのメモリ使用領域を管理するメモリ管理手段とを有することを特徴とする請求項1記載のメモリ制御システム。
【請求項3】
前記ミラーリング構成管理テーブル管理手段は、前記障害箇所判定手段から前記特定情報を受信すると、前記ミラーリング構成管理テーブルの前記特定情報に該当する前記メモリモジュールのアクセス可否フラグをアクセス不可に設定する手段と、前記ミラーリング構成情報から障害発生の前記メモリ領域に対応して縮退させるアドレス範囲を特定する手段と、特定したアドレス範囲の情報を障害発生によるメモリ縮退要求として前記メモリ管理手段へ通知する手段と、前記メモリ管理手段からのメモリ縮退完了通知により前記ミラーリング構成管理テーブルの書き換えを行い前記ミラーリング構成情報を再構築する手段とを有することを特徴とする請求項2記載のメモリ制御システム。
【請求項4】
前記メモリ管理手段は、前記ミラーリング構成管理テーブル管理手段からのメモリ縮退要求により、縮退要求の対象メモリ領域を使用しているデータを、前記対象メモリ領域から移動させる手段と、前記対象メモリ領域を未使用状態にする手段と、前記ミラーリング構成管理テーブル管理手段に対して、メモリ縮退完了通知を発行する手段とを有することを特徴とする請求項2または3記載のメモリ制御システム。
【請求項5】
前記メモリモジュールは、2分割した2つのランクから構成することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載のメモリ制御システム。
【請求項6】
前記ミラーリング構成管理テーブルは、前記プロセッサからの前記メモリアクセスリクエストが示すアドレス値に対応するアドレス範囲情報と、前記第1メモリ装置と前記第2メモリ装置とのメモリモジュール情報と、前記メモリモジュール情報に対するアクセス可否を示すフラグ情報とを有することを特徴とする請求項2乃至4の何れか1項記載のメモリ制御システム。
【請求項7】
前記メモリモジュール情報は、メモリモジュール番号と、ランク番号とを有することを特徴とする請求項6記載のメモリ制御システム。
【請求項8】
プロセッサの発行するメモリアクセスリクエストを受信しデータがミラーリング構成となるように制御を行い、ミラーリング構成の第1メモリ装置と第2メモリ装置とへ前記メモリアクセスリクエストを発行するメモリ制御装置であって、前記第1メモリ装置と前記第2メモリ装置とは、各々複数のメモリモジュールを有し、前記メモリモジュールに障害が発生したとき、障害発生のメモリ領域を縮退する手段と、障害発生の前記メモリモジュールとペアになっている前記メモリモジュールを、前記第1メモリ装置と前記第2メモリ装置とのミラーリングのペアとして再構築する手段とを有することを特徴とするメモリ制御装置。
【請求項9】
前記第1メモリ装置と前記第2メモリ装置との間のミラーリング構成情報を保持するミラーリング構成管理テーブルと、障害が発生した前記メモリモジュールに応じてミラーリング構成を再構築するミラーリング構成管理テーブル管理手段と、前記ミラーリング構成管理テーブルの内容に応じてミラーリングアクセスを実施するミラーリングアクセス実施手段と、前記第1メモリ装置または前記第2メモリ装置からの障害情報により障害発生の前記メモリモジュールを特定し、特定情報を前記ミラーリング構成管理テーブル管理手段へ通知する障害箇所判定手段とを有するメモリ制御手段と、前記メモリモジュールのメモリ使用領域を管理するメモリ管理手段とを有することを特徴とする請求項8記載のメモリ制御装置。
【請求項10】
前記ミラーリング構成管理テーブル管理手段は、前記障害箇所判定手段から前記特定情報を受信すると、前記ミラーリング構成管理テーブルの前記特定情報に該当する前記メモリモジュールのアクセス可否フラグをアクセス不可に設定する手段と、前記ミラーリング構成情報から障害発生の前記メモリ領域に対応して縮退させるアドレス範囲を特定する手段と、特定したアドレス範囲の情報を障害発生によるメモリ縮退要求として前記メモリ管理手段へ通知する手段と、前記メモリ管理手段からのメモリ縮退完了通知により前記ミラーリング構成管理テーブルの書き換えを行い前記ミラーリング構成情報を再構築する手段とを有することを特徴とする請求項9記載のメモリ制御装置。
【請求項11】
前記メモリ管理手段は、前記ミラーリング構成管理テーブル管理手段からのメモリ縮退要求により、縮退要求の対象メモリ領域を使用しているデータを、前記対象メモリ領域から移動させる手段と、前記対象メモリ領域を未使用状態にする手段と、前記ミラーリング構成管理テーブル管理手段に対して、メモリ縮退完了通知を発行する手段とを有することを特徴とする請求項9または10記載のメモリ制御装置。
【請求項12】
前記メモリモジュールは、2分割した2つのランクから構成することを特徴とする請求項8乃至11の何れか1項記載のメモリ制御装置。
【請求項13】
前記ミラーリング構成管理テーブルは、前記プロセッサからの前記メモリアクセスリクエストが示すアドレス値に対応するアドレス範囲情報と、前記第1メモリ装置と前記第2メモリ装置とのメモリモジュール情報と、前記メモリモジュール情報に対するアクセス可否を示すフラグ情報とを有することを特徴とする請求項9乃至11の何れか1項記載のメモリ制御装置。
【請求項14】
前記メモリモジュール情報は、メモリモジュール番号と、ランク番号とを有することを特徴とする請求項13記載のメモリ制御装置。
【請求項15】
プロセッサによりメモリアクセスリクエストを発行するステップと、メモリ制御装置により前記プロセッサからの前記メモリアクセスリクエストを受信しデータがミラーリング構成となるように制御を行うステップと、前記メモリ制御装置から受信する前記データをミラーリング構成の第1メモリ装置と第2メモリ装置とへ記憶するステップとを有するメモリ制御方法において、前記第1メモリ装置と前記第2メモリ装置とは、各々複数のメモリモジュールを有し、前記メモリ制御装置は、前記メモリモジュールに障害が発生したとき、障害発生のメモリ領域を縮退するステップと、障害発生の前記メモリモジュールとペアになっている前記メモリモジュールを、前記第1メモリ装置と前記第2メモリ装置とのミラーリングのペアとして再構築するステップとを有することを特徴とするメモリ制御方法。
【請求項16】
前記メモリ制御装置は、前記第1メモリ装置と前記第2メモリ装置との間のミラーリング構成情報をミラーリング構成管理テーブルに保持するステップと、ミラーリング構成管理テーブル管理手段により障害が発生した前記メモリモジュールに応じてミラーリング構成を再構築するステップと、ミラーリングアクセス実施手段により前記ミラーリング構成管理テーブルの内容に応じてミラーリングアクセスを実施するステップと、障害箇所判定手段により前記第1メモリ装置または前記第2メモリ装置からの障害情報により障害発生の前記メモリモジュールを特定し、特定情報を前記ミラーリング構成管理テーブル管理手段へ通知するステップとを有するメモリ制御手段と、前記メモリモジュールのメモリ使用領域を管理するステップを有するメモリ管理手段とを有することを特徴とする請求項15記載のメモリ制御方法。
【請求項17】
前記ミラーリング構成管理テーブル管理手段は、前記障害箇所判定手段から前記特定情報を受信すると、前記ミラーリング構成管理テーブルの前記特定情報に該当する前記メモリモジュールのアクセス可否フラグをアクセス不可に設定するステップと、前記ミラーリング構成情報から障害発生の前記メモリ領域に対応して縮退させるアドレス範囲を特定するステップと、特定したアドレス範囲の情報を障害発生によるメモリ縮退要求として前記メモリ管理手段へ通知するステップと、前記メモリ管理手段からのメモリ縮退完了通知により前記ミラーリング構成管理テーブルの書き換えを行い前記ミラーリング構成情報を再構築するステップとを有し、前記メモリ管理手段は、前記ミラーリング構成管理テーブル管理手段からのメモリ縮退要求により、縮退要求の対象メモリ領域を使用しているデータを、前記対象メモリ領域から移動させるステップと、前記対象メモリ領域を未使用状態にするステップと、前記ミラーリング構成管理テーブル管理手段に対して、メモリ縮退完了通知を発行するステップとを有することを特徴とする請求項16記載のメモリ制御方法。
【請求項18】
前記メモリモジュールは、2分割した2つのランクから構成するステップを有することを特徴とする請求項15乃至17の何れか1項記載のメモリ制御方法。
【請求項19】
前記ミラーリング構成管理テーブルは、前記プロセッサからの前記メモリアクセスリクエストが示すアドレス値に対応するアドレス範囲情報と、前記第1メモリ装置と前記第2メモリ装置とのメモリモジュール情報と、前記メモリモジュール情報に対するアクセス可否を示すフラグ情報とを有することを特徴とする請求項16乃至18の何れか1項記載のメモリ制御方法。
【請求項20】
前記メモリモジュール情報は、メモリモジュール番号と、ランク番号とを有することを特徴とする請求項19記載のメモリ制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−134809(P2008−134809A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−320297(P2006−320297)
【出願日】平成18年11月28日(2006.11.28)
【出願人】(000168285)エヌイーシーコンピュータテクノ株式会社 (572)
【Fターム(参考)】