説明

メラノコルチン−4受容体アゴニスト作用を有する新規ピペリジン誘導体

【課題】 本発明の目的は、メラノコルチン―4受容体アゴニスト作用を有する新規ピペリジン誘導体若しくはその医薬的に許容できる塩、並びにメラノコルチン―4受容体が関与する疾患の治療及び/又は予防のための医薬を提供することにある。
【解決手段】 下記一般式(I)


〔式中、各記号は明細書の記載と同義である。〕で示されるピペリジン誘導体若しくはその医薬的に許容できる塩に代表される化合物による、メラノコルチン―4受容体が関与する疾患の治療及び/又は予防のための医薬。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規なピペリジン誘導体に関する。より詳しくは、メラノコルチン−4受容体アゴニスト作用を有するピペリジン誘導体及びその塩、並びにそれら用途に関する。
【背景技術】
【0002】
肥満、耐糖能異常、高脂血症、高血圧症などの代謝異常は、各々の異常は軽度であっても、複数が合併した病態では心筋梗塞・脳梗塞を含むいわゆる動脈硬化性疾患(イベント)が高頻度に発症することが明らかになってきている。つまり、これらの代謝異常は動脈硬化の発症、進展と綿密な関係を持つ危険因子(risk factor)として着目されるようになった。このような危険因子が連携した病態はメタボリック症候群と称され、本症候群の根本的な原因は、諸国におけるストレスと過食、飽食、TVや車の普及による運動量の不足であることが示唆されている。
【0003】
肥満はイベント発症へのリスクであるのみならず、心身へも有害な影響をもたらす。心理テストによって評価される一般的な精神病理学的レベルにおいては、肥満の人もそうでない人も変らない。しかし、比較的高い、あるいは中間の社会的経済的集団に属する一部の女性にとっては、肥満と彼女らが有する心理的問題に関連性のあることが示唆されている。近年の肥満に向けられている強い偏見・差別が、こうした問題の原因ではないかとも考えられている。米国では約30万人が肥満に関連した疾患で死亡した例が報告されるなど、肥満に関する有害事象が報告される一方、先進諸国における肥満者の数は増加の一途をたどる。そのため、摂食を調節する薬剤、特に肥満の予防・治療剤の開発が強く望まれるが、未だ有効な薬剤は開発されていない。米国では、D-fenfluramineやFenfluramineとPhentermineの併用(Fen-Phen療法)が効果的に摂食を抑制でき、過去において一年あたり約1800万人に処方された例があるが、副作用をもとに使用されなくなっている。つまり肥満症に対する摂食調節剤としてそのニーズを十分に充足する薬物療法は未だ開発されていない。
【0004】
不妊症は様々な原因が考慮されるが、近年のストレスフルな社会が女性や男性の不妊症に関与している可能性が指摘されている。さらにその社会への一層の女性進出と晩婚化などが相まって特に先進諸国では小子化も問題になってきている。
【0005】
つまり、肥満症、不妊症などの疾患は現代の車社会又はストレス社会がもたらした社会的疾患であると意義づけることができる。
【0006】
生命科学領域では脂肪細胞から分泌されるレプチンの発見以後、肥満に関連した生体のエネルギー代謝研究が飛躍的な躍進を遂げている。レプチンは摂食を抑制し、基礎代謝を上昇させることのできる究極の抗肥満薬として着目され、それ自体も医薬品として開発が見込まれている。しかし生体の血中レプチン濃度はボディ・マス・インデックス(BMI)に比例して増加しており、肥満症などメタボリック症候群では「レプチン抵抗性」状態に陥っているケースが多く知られている。レプチン抵抗性の原因としては、病態におけるレプチンの脳移行性の障害等が可能性としてあげられている。従ってレプチン抵抗性に陥った状態で末梢からレプチンを投与しても有効であるかどうかは不明である。更にレプチンレセプターはGPCR(G-protein coupled receptor)ではないため、中枢移行性のあるレプチンレセプターに対する低分子リガンドを創製することは困難であることが予想される。
【0007】
メラノコルチン前駆体のプロオピオメラノコルチンは脳内でレプチンによってその発現が誘導され、レプチンの摂食調節作用はメラノコルチン−4型受容体を介して発揮されていることが報告されている(非特許文献1)。
【0008】
メラノコルチンはプロオピオメラノコルチンがプロテアーゼによりプロセッシングを受けて産生されるペプチドホルモンで、抗炎症作用、色素形成、ホルモン分泌制御、摂食調節、基礎代謝調節、記憶・学習、性行動、情動行動等多彩な作用を有することが知られている。これらの作用はメラノコルチン受容体を介して発揮される。
【0009】
メラノコルチン受容体はGPCR(G-protein coupled receptor)の一種で、現在までに5種類のサブタイプ(1型、2型、3型、4型、5型受容体)が存在することが知られている。5種類のサブタイプの中でも4型受容体(melanocortin receptor type-4)(以下「メラノコルチン−4型受容体」もしくは「MC4R」と略すこともある)は中枢に発現しており、メラノコルチンの作用の中では摂食調節、基礎代謝調節、性行動への関与が示唆されているレセプターである。
【0010】
摂食調節に関わる知見としては生理的メラノコルチンレセプターアゴニストであるα-Melanocyte stimulating hormone (以下「αMSH」と略すこともある)や、4型、3型受容体によく作用する合成環状ペプチドであるメラノタン2(MT-II)が動物の摂食を抑制できることの報告がある(非特許文献2)。さらにメラノコルチン−4型受容体に選択的なアンタゴニストであるHS014は摂食を亢進させることが報告されている(非特許文献3)。これらの知見からメラノコルチン−4型受容体は動物の摂食行動に密接に関与していることが示唆される。
【0011】
代謝調節に関わる知見としてはαMSHがThyrotropin releasing hormoneの遺伝子発現を増加させるという報告(非特許文献4)、MC4Rノックアウトマウスは食餌誘導性熱産生が損なわれているという報告(非特許文献5)がある。
【0012】
従って、メラノコルチン−4型受容体はエネルギーインプット(摂食調節)のみならず、エネルギーアウトプット(基礎代謝量調節)にも関与することが示唆される。
【0013】
性行動に関わる知見としてはMT-IIが中枢を介して雄性動物の勃起を促進すること(非特許文献6)、雌性動物の性行動を誘起すること(非特許文献7)が報告されている。
【0014】
更にメラノコルチンレセプターはこれまで多数の医薬品が結合するGPCRの一種であり、作用物質の低分子化が期待できる。つまり、メラノコルチンレセプター作用物質は「レプチン抵抗性」を解除し得るコンセプトと有すると同時に、経口投与可能な低分子化を見込むことができる。
【0015】
以上のことからメラノコルチン−4型受容体への作用物質は摂食行動や性行動を調節でき、肥満症の予防・治療、さらに性機能不全、性交渉不全をはじめとする不妊症など現代社会がもらたした疾患に対する効果を有することが強く期待できる。
【0016】
一方で、メラノコルチン受容体への作用を示唆するスピロピペリジン誘導体(特許文献1〜3)、および特定のピペリジン誘導体(特許文献4〜8)が開示されている。
【特許文献1】PCT国際公開WO99/64002号公報
【特許文献2】PCT国際公開WO01/70337号公報
【特許文献3】PCT国際公開WO01/91752号公報
【特許文献4】PCT国際公開WO00/74679号公報
【特許文献5】PCT国際公開WO01/70708号公報
【特許文献6】PCT国際公開WO02/15909号公報
【特許文献7】PCT国際公開WO03/007949号公報
【特許文献8】PCT国際公開WO03/093234号公報
【非特許文献1】Cheung CC et al, Endocrinology 138 p4489-4492 (1997)
【非特許文献2】Michelle M et al, Peptides 22 p129-134.(2001)
【非特許文献3】Kask A et al, BBRC 245, p90-93 (1998)
【非特許文献4】Harris M et al, JCI 107, p111-120 (2001)
【非特許文献5】Butler AA et al, Science 4 p605-611 (2001)
【非特許文献6】Wessells-H et al, Ann.N.Y.Acad.Sci. 994 p90-95 (2003)
【非特許文献7】Pfaus JG et al, PNAS 101 p10201-10204 (2004)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、メラノコルチン-4受容体(MC4R)作用を有すること、更にはアゴニスト作用を有するような新規なピペリジン誘導体またはその塩、ならびにMC4Rアゴニスト作用に基づいた肥満症の予防・治療薬や性機能不全若しくは不妊症の改善剤などとしての有用な薬剤を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究した結果、特定のピペリジン誘導体またはその塩を初めて合成し、その構造的特徴に基づいて、本発明が優れたMC4Rアゴニスト作用を有していること、薬物動態的に優れていること、さらに上記疾患の予防・治療剤として臨床上有用であること見出し、本発明者らは本発明を完成するに至った。
【発明の効果】
【0019】
本発明の式(I)で表される化合物は、メラノコルチン−4受容体(MC4R)にアゴニストとして強く作用するものであるので、種々の疾患(例えば肥満症や性機能不全、性交渉不全をはじめとする不妊症)の予防、治療、改善剤として有用である。
【0020】
また、本発明の化合物は肝臓での薬物代謝酵素阻害が弱く、薬物相互作用の低い医薬を提供することとして有用である。
【0021】
また、本発明の化合物は代謝安定性に優れているものであり、薬効作用の持続性に優れた医薬を提供することとして有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は、下記のピペリジン誘導体若しくはその医薬的に許容できる塩、並びにその用途に関する。
【0023】
(1)下記一般式(I)
【0024】
【化1】

【0025】
{式中
1は、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基であり、
2は、
水素原子、
炭素数1〜8のアルキル基、
(CR3−8シクロアルキル基、
(CRアリール基、
(CRヘテロアリール基、
(CRヘテロサイクル基、
(CR−N(R1c)C(O)R2c
(CR−N(R1c)S(O)2c
(CR−N(R1c)(R2c)、
(CR−C(O)OR1c
(CR−C(O)N(R1c)(R2c)、
(CR−OR1cであることを示し、
〔上記Rにおける(3)のシクロアルキル基、(4)のアリール基、(5)のヘテロアリール基、(6)のヘテロサイクル基は、R若しくはオキソから任意に選択される1〜4個の基で置換されていてよく、更に該置換基が2以上の場合には、それぞれの該置換基は同一又は異なっていてよく、
nは0、1、2又は3であり、
mは0、1又は2であり、
、R、R1c及びR2cは、同一又は異なっていてよく、それぞれ
水素原子、
炭素数1〜8のアルキル基、
アリール基、
アリールアルキル基(炭素数1〜4のアルキル基)、
ヒドロキシ基、
炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基であることを示し、
更にはRとRは、一緒になってC3−8シクロアルキル基を形成していてもよい。〕
1及びR2は、それらが一緒になって、ヘテロサイクル基を形成していてもよく(該ヘテロサイクル基は、R若しくはオキソから選択される1〜4個の基で置換されていてよく、更に該置換基が2以上の場合には、それぞれの該置換基は同一又は異なっていてよい。)、
3及びR4は、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基、ヒドロキシ基であることを示し、
2とR3は、それらが一緒になって、炭素数3〜10のシクロアルキル基又はヘテロサイクル基を形成していてもよく(該シクロアルキル基又はヘテロサイクル基は、R若しくはオキソから選択される1〜4個の基で置換されていてよく、更に、2以上の該置換基で置換されている場合には、それぞれの該置換基は同一又は異なっていてもよい。)、
2、R3及びR4は、それらが一緒になって、アリール基またはヘテロアリール基を形成していてもよく(該アリール基または該ヘテロアリール基は、R若しくはオキソから選択される1〜4個の基で置換されていてよく、更に該置換基が2以上の場合には、それぞれの該置換基は同一又は異なっていてよい。)、
〔上記R1〜RのRは、
ハロゲン原子、
シアノ基、
炭素数1〜8のアルキル基、
炭素数3〜8のシクロアルキル基、
アリール基、
アリールアルキル基(炭素数1〜4のアルキル基)、
ヘテロアリール基、
ヘテロサイクル基、
−OR1d
−NH−SO1d
−N(R1d)(R2d)、
−NH−C(O)R1d
−C(O)OR1d
−C(R1d)(R2d)−N(R3d)(R4d)、
−C(O)R1d
−SO−N(R1d)(R2d)、
−S(O)−R1d
−CF
−OCFであることを示し、
上記Rにおける、シクロアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、ヘテロアリール基及びヘテロサイクル基は、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜8のアルキル基によって置換されていてもよく、更に該置換基が2以上の場合には、それぞれの該置換基は同一又は異なっていてよく、
mは0、1又は2であり、
1d、R2d、R3d及びR4dは、同一又は異なっていてよく、それぞれ、
水素原子、
炭素数1〜8のアルキル基、
アリール基、
アリールアルキル基(炭素数1〜4のアルキル基)、
ヘテロアリール基であることを示し、
上記R1d、R2d、R3d及びR4dのアリール基、アリールアルキル基及びヘテロアリール基は、炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子又はシアノ基により置換されていてよく、更に該置換基が2以上の場合には、それぞれの該置換基は同一又は異なっていてよい。〕
5は、
水素原子、
炭素数1〜8のアルキル基、
(CHR3−8シクロアルキル基、
(CHRアリール基、
(CHRヘテロアリール基、
(CHRO(CHRアリール基であることを示し、
〔上記Rにおけるシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基は、1〜4個のRで置換されていてよく、Rが2個以上の場合には、それぞれのRは同一、又は異なっていてよく、
pは、0、1又は2であり、
は、
水素原子、
炭素数1〜8のアルキル基、
アリール基、
アリールアルキル基(炭素数1〜4のアルキル基)、
シクロアルキル基であることを示し、
は、Rと同義である。〕
は、
水素原子、
炭素数1〜8のアルキル基、
(CH3−8シクロアルキル基、
(CHアリール基、
(CHヘテロアリール基、
(CHヘテロサイクル基であり、
は、
水素原子、
炭素数1〜8のアルキル基、
(CH3−8シクロアルキル基、
(CHアリール基、
(CHヘテロアリール基、
(CHヘテロサイクル基、
(CHシアノ基、
(CH−C(O)N(R1g)(R2g)、
(CH−C(O)OR1g
(CH−N(R1g)C(O)R2g
(CH−N(R1g)C(O)OR2g
(CH−N(R1g)C(O)N(R2g)(R3g)、
(CH−N(R1g)S(O)N(R2g)(R3g)、
(CH−S(O)1g
(CH−SON(R1g)(R2g)、
(CH−OC(O)R1g
(CH−OC(O)OR1g
(CH−OC(O)N(R1g)(R2g)、
(CH−N(R1g)(R2g)、
(CH−N(R1g)S(O)2g
(CH−C(O)N(R1g)(CHN(R2g)(R3g)、
(CH−C(O)N(R1g)(CHN(R2g)S(O)3g
(CH−N(R1g)C(O)(CHN(R2g)(R3g)であること
〔上記W、Wにおいて
qは、0、1、2又は3であり、
mは0、1又は2であり、
1g、R2g、R3gは、同一又は異なっていてよく、それぞれ、水素原子又は、炭素数1〜8のアルキル基を示す。〕を示す。}で表されるピペリジン誘導体若しくはその薬理学的に許容されるその塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物。(2)Rが、水素原子又は−CHである前記(1)に記載のピペリジン誘導体若しくはその薬理学的に許容されるその塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物。(3)Rが、水素原子である前記(2)に記載のピペリジン誘導体若しくはその薬理学的に許容されるその塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物。(4)下記一般式(II)
【0026】
【化2】

【0027】
〔一般式(II)は、一般式(I)のR、R、Rが水素原子であり、Rが(CHRアリール基であり、さらにRが水素原子、p=1、アリール基がフェニル基であり、一般式(II)のR、R、W、Wは、それぞれ、一般式(I)のR、R、W、Wと同義であることを示す。〕で表される前記(1)に記載のピペリジン誘導体若しくはその薬理学的に許容されるその塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物。(5)nが0、1又は2である前記(4)に記載のピペリジン誘導体若しくはその薬理学的に許容されるその塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物。(6)Rが(CR3−8シクロアルキル基、(CRアリール基、(CRヘテロアリール基、(CRヘテロサイクル基である前記(5)に記載のピペリジン誘導体若しくはその薬理学的に許容されるその塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物。(7)Rが、
シクロへキシル、シクロへプチル、シクロペンチル、
フェニル、ナフチル、
フリル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリニル、オキサゾリニル、ピラニル、チアジニル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、オキサジニル、トリアジニル、インドリル、インドリニル、ベンゾイミダソリル、ベンゾオキサゾリル、キノリル、イソキノリル、イソチアゾリル、
ピロリジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、ピペリジノ、ピペリジル、ピペラジニル、モルフォリノ、モルフォリニルから選択される前記(6)に記載のピペリジン誘導体若しくはその薬理学的に許容されるその塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物。(7)下記一般式(III)
【0028】
【化3】

【0029】
〔一般式(III)は、一般式(I)のR、Rが水素原子であり、R2とR3は、それらが一緒になって、炭素数3〜10のシクロアルキル基又はヘテロサイクル基(一般式(III)中、「Ar」と略する。)を形成し、(Arは、R若しくはオキソから選択される1〜4個の基で置換されていてよく、更に、2以上の該置換基で置換されている場合には、それぞれの該置換基は同一又は異なっていてもよい。)Rが(CHRアリール基であり、さらにRが水素原子、p=1、アリール基がフェニル基であり、一般式(III)のR、R、W、Wは、それぞれ、一般式(I)のR、R、W、Wと同義であることを示す。〕で表される前記(1)に記載のピペリジン誘導体若しくはその薬理学的に許容されるその塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物。(9)Arのシクロアルキル基が、シクロヘキシル、シクロへプチル、シクロペンチル、アダマンチル、並びにヘテロサイクル基が、ピロリジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、ピペリジノ、ピペリジル、ピペラジニル、モルフォリノ、モルフォリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、キヌキリジニルから選択されるものである前記(8)に記載のピペリジン誘導体若しくはその薬理学的に許容されるその塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物。(10)Wの(CH3−8シクロアルキル基が、シクロヘキシル、シクロへプチル、シクロペンチルから選択されるものである前記(4)〜(9)に記載のピペリジン誘導体若しくはその薬理学的に許容されるその塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物。(11)Wが(CH3−8シクロアルキル基、(CHアリール基、(CHヘテロアリール基、(CHヘテロサイクル基、(CH−C(O)N(R1g)(R2g)、(CH−N(R1g)C(O)R2g、(CH−S(O)1g、(CH−N(R1g)S(O)2g、(CH−C(O)N(R1g)(CHN(R2g)(R3g)、(CH−C(O)N(R1g)(CHN(R2g)S(O)3g、(CH−N(R1g)C(O)(CHN(R2g)(R3g)である前記(10)に記載のピペリジン誘導体若しくはその薬理学的に許容されるその塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物。(12)Wが、q=1であり、C3−8シクロアルキル基が、シクロへキシル、シクロへプチル、シクロペンチルであり、アリール基がフェニル、ナフチルであり、ヘテロアリール基がフリル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリニル、オキサゾリニル、ピラニル、チアジニル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、オキサジニル、トリアジニル、インドリル、インドリニル、ベンゾイミダソリル、ベンゾオキサゾリル、キノリル、イソキノリル、イソチアゾリルであり、ヘテロサイクル基が、ピロリジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、ピペリジノ、ピペリジル、ピペラジニル、モルフォリノ、モルフォリニルから選択されるものである前記(11)に記載のピペリジン誘導体若しくはその薬理学的に許容されるその塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物。(13)Wが下記置換基から選択される前記(11)に記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容出来る塩。
【0030】
【化4】

【0031】
アセチルアミド、プロパンアミド、ブタンアミド、2−メチルプロパンアミド、2,2−ジメチルプロパンアミド。(14)以下の化合物から選ばれるいずれかのピペリジン誘導体若しくはその薬理学的に許容されるその塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物。
N−{1−〔4−クロロ−N−(1−メチルピぺリジン−4−イル)−D−フェニルアラニル〕−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル}−2−メチルプロパンアミド、
N−{1−[N−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)−4−クロロ−D−フェニルアラニル]−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル}−2−メチルプロパンアミド、
N−{1−[N−(1−アセチルピペリジン−4−イル)−4−クロロ−D−フェニルアラニル]−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル}−2−メチルプロパンアミド、
N−[1−(4−クロロ−N−{[1−メチルピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド、
N−(tert−ブチル)−1−(4−クロロ−N−{[1−メチルピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−カルボキシアミド、
N−[1−(4−クロロ−N−{[1−エチルピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド、
N−[1−(4−クロロ−N−{[1−イソプロピルピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド、
N−[1−(4−クロロ−N−{[1−ブチルピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド、
N−[1−(4−クロロ−N−{[1−イソブチルピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド、
N−[1−(4−フルオロ−N−{[1−メチルピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド、
N−(1−{4−クロロ−N−[ピロリジン−2−イルメチル]−D−フェニルアラニル}−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル)−2−メチルプロパンアミド、
N−(tert−ブチル)−1−{4−フルオロ−N−[ピロリジン−2−イルメチル]−D−フェニルアラニル}−4−シクロヘキシルピペリジン−4−カルボキシアミド、
N−[1−(4−クロロ−N−{[4−メチルピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド
N−[1−(4−クロロ−N−{[4−(メチルチオ)ピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド、
N−(1−{4−フルオロ−N−[ピロリジン−2−イルメチル]−D−フェニルアラニル}−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル)−2−メチルプロパンアミド、
N−(tert−ブチル)−1−(4−クロロ−N−{[4−フルオロピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−カルボキシアミド、
N−(tert−ブチル)−1−(4−フルオロ−N−{[4−フルオロピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−カルボキシアミド、
N−[1−(4−フルオロ−N−{[4−フルオロピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド、
N−[1−(4−クロロ−N−{[4−モルホリン−4−イルピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド。(15)以下の化合物から選ばれるいずれかのピペリジン誘導体若しくはその薬理学的に許容されるその塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物。
N−[1−(4−クロロ−N−{[(2R)−1−メチルピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド、
N−(tert−ブチル)−1−(4−クロロ−N−{[(2R)−1−メチルピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−カルボキシアミド、
N−[1−(4−クロロ−N−{[(2R)−1−エチルピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド、
N−[1−(4−クロロ−N−{[(2R)−1−イソプロピルピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド、
N−[1−(4−クロロ−N−{[(2R)−1−ブチルピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド、
N−[1−(4−クロロ−N−{[(2R)−1−イソブチルピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド、
N−[1−(4−フルオロ−N−{[(2R)−1−メチルピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド、
N−(1−{4−クロロ−N−[(2R)−ピロリジン−2−イルメチル]−D−フェニルアラニル}−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル)−2−メチルプロパンアミド、
N−(tert−ブチル)−1−{4−フルオロ−N−[(2R)−ピロリジン−2−イルメチル]−D−フェニルアラニル}−4−シクロヘキシルピペリジン−4−カルボキシアミド、
N−[1−(4−クロロ−N−{[(2R,4R)−4−メチルピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド、
N−[1−(4−クロロ−N−{[(2R,4S)−4−(メチルチオ)ピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド、
N−(1−{4−フルオロ−N−[(2R)−ピロリジン−2−イルメチル]−D−フェニルアラニル}−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル)−2−メチルプロパンアミド、
N−(tert−ブチル)−1−(4−クロロ−N−{[(2R,4S)−4−フルオロピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−カルボキシアミド、
N−(tert−ブチル)−1−(4−フルオロ−N−{[(2R,4S)−4−フルオロピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−カルボキシアミド、
N−[1−(4−フルオロ−N−{[(2R,4R)−4−フルオロピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド、
N−[1−(4−クロロ−N−{[(2R,4R)−4−モルホリン−4−イルピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド。
【0032】
また、本発明は以下の治療剤や改善剤に関する。(16)前記(1)〜(15)のいずれかに記載のピペリジン誘導体若しくはその薬理学的に許容されるその塩を有効成分とする医薬又は医薬組成物。(17)前記(1)〜(15)のいずれかに記載のピペリジン誘導体若しくはその薬理学的に許容されるその塩を有効成分とする、メラノコルチン−4受容体作用剤。(18)メラノコルチン−4受容体作用がアゴニスト作用である、前記(1)〜(15)のいずれかに記載のピペリジン誘導体若しくはその薬理学的に許容されるその塩を有効成分とする、メラノコルチン−4受容体作用剤。(19)前記(1)〜(15)のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容出来る塩を有効成分とする、肥満症若しくは摂食亢進症の、予防剤又は治療剤。(20)前記(1)〜(15)のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容出来る塩を有効成分とする、性機能不全の改善剤。(21)前記(1)〜(15)のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容出来る塩を有効成分とする、不妊症の改善剤。
【0033】
本明細書において、「炭素数1〜8のアルキル基」とは、炭素数1〜8で直鎖状でも分岐鎖状でもよく、例えばメチル、エチル、ノルマル(以下、n-と記す。)プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第3級(以下、t-と記す。)ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、又はn-オクチル等が挙げられる。
【0034】
本明細書において、「炭素数3〜10のシクロアルキル基」とは、単環式炭化水素、縮合多環式炭化水素、架橋式炭化水素を示し、シクロヘキシル、シクロへプチル、シクロペンチル、アダマンチル等が挙げられる。また、本明細書において「炭素数3〜8(C3-8)シクロアルキル基」とは、シクロヘキシル、シクロへプチル、シクロペンチル等が挙げられる。
【0035】
本明細書において、「アリール基」とは、フェニル、ナフチル、又はインデニル等のオルト融合した二環式の基で8〜10個の環原子を有し少なくとも一つの環が芳香環であるものが挙げられる。
【0036】
本明細書において、「ヘテロアリール基」とは、1〜4個のヘテロ原子(酸素、硫黄または窒素)を有する5〜6員環基、またはそれから誘導される8〜10個の環原子を有するオルト融合した二環式ヘテロアリール、特にベンズ誘導体、もしくはプロペニレン、トリメチレンもしくはテトラメチレン基をそれに融合して導かれるもの、ならびにその安定なN-オキシド等が挙げられる。具体的には、フリル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリニル、オキサゾリニル、ピラニル、チアジニル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、オキサジニル、トリアジニル、インドリル、インドリニル、ベンゾイミダソリル、ベンゾオキサゾリル、キノリル、イソキノリル、イソチアゾリルが挙げられる。
【0037】
本明細書において、「ヘテロサイクル基」とは、少なくとも1個のヘテロ原子(窒素、酸素または硫黄)を有する4〜6員環基であり、具体的には、ピロリジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、ピペリジノ、ピペリジル、ピペラジニル、モルフォリノ、モルフォリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、キヌキリジニル
等が挙げられる。
【0038】
本明細書において、「アリールアルキル基」とは、そのアリール部は「アリール基」と同義であり、そのアルキル部は、炭素数1〜4で直鎖状でも分岐鎖状でもよく、例えばベンジル、フェネチル、3-フェニルプロピル、1-ナフチルメチルが挙げられる。
【0039】
本明細書において、「炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基」とは、ヒドロキシメチル、2-ヒドロキシエチル、又は3-ヒドロキシプロピル等が挙げられる。
【0040】
本明細書において、「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素が挙げられる。
【0041】

本明細書において「メラノコルチン−4受容体」と表記した受容体は、Gタンパク共役型受容体(GPCR)であるメラノコルチン受容体の4型のサブタイプである。
【0042】
本明細書において、「メラノコルチン−4受容体作用」とは、アゴニスト作用又はアンタゴニスト作用、並びに結合活性を示すことをいう。
【0043】
次に本発明の化合物の製造方法について説明する。
【0044】
本発明の化合物は、目的とする化合物に適した反応の組合せにより製造することができる。以下に代表的な反応スキームを例示するが、以下に記載の方法のみに限定されるものではない。
【0045】
(製造方法1)
一般式(I)において、R、R又はRが、水素若しくはアルキルであり、R1が水素である化合物(3a)の製造方法を以下に示す。
【0046】
【化5】

【0047】
(工程中、R、R又はRは、水素若しくはアルキルであり、他の各記号は前記と同義である。)
工程1は、化合物(1)で表されるアミンと脱離基を有する化合物(2)からアミン化合物(3a)を得る工程である。
【0048】
この反応は、通常、塩基の存在下反応に悪影響を及ぼさない溶媒中、−50〜200℃(好適には−10〜100℃)で行われる。この場合の塩基とは、例えば炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩、ナトリウムメトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド、水酸化カリウムなどの水酸化アルカリ金属、水素化ナトリウムなどの金属水素化物、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミンなどのアミン類が挙げられ、溶媒としてはジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、ヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素類、N、N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類などが用いられる。必要に応じて添加剤として、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウムなどを用いても良い。
【0049】
(製造方法2)

一般式(I)において、Rが水素であり、R1が水素である化合物(3b)の製造方法を以下に示す。
【化6】

【0050】
(工程中、各記号は前記と同義である。)
工程2は、化合物(1)で表されるアミンと化合物(4)で表されるケトンまたはアルデヒドを反応させた後に還元して化合物(3b)のアミンを得る工程である。
【0051】
この反応は、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム等の存在下、反応に悪影響を及ぼさないような溶媒中で通常0〜100℃の温度下で行われる。溶媒としてはメタノール、エタノール、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、1,4−ジオキサン等があげられ、必要に応じて、酸性触媒、例えば酢酸、p−トルエンスルホン酸、三フッ化ホウ素・ジエチルエーテル錯体等を用いてもよい。
【0052】
(製造方法3)
一般式(I)において、R1が水素である場合の化合物(10)、(12)の製造方法を以下に示す。
【0053】
【化7】

【0054】
(工程中、各記号は前記と同義である。)
工程3は、化合物(1)で表されるアミンと化合物(5)で表される2−ニトロベンゼンスルホンニルクロリドを反応させて化合物(6)で表されるスルホンアミド誘導体を得る工程である。
【0055】
この反応は、通常、塩基の存在下反応に影響を及ぼさない溶媒中、−50〜100℃、好適には−10〜50℃にて実施することができる。この場合の溶媒は、例えばテトラヒドロフラン、ジクロロメタン、N、N−ジメチルホルムアミドなどが用いられ、塩基は、例えば炭酸カリウム、などのアルカリ金属炭酸塩、ナトリウムメトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド、水酸化ナトリウムなどの水酸化アルカリ金属、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、N、N−ジメチルアニリン、4−ジメチルアミノピリジンなどのアミン類が用いられる。
【0056】
工程4は、化合物(6)と化合物(7)で表されるアルコールから化合物(8)を得た後に、脱保護反応を行い化合物(10)のアミンを得る工程である。
【0057】
通常、化合物(6)と(7)の反応はホスフィン類およびアゾジカルボン酸誘導体の存在下、通常−50〜150℃で行われる。ホスフィン類としては、例えばトリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィンなどが、アゾジカルボン酸誘導体としては、例えば、アゾジカルボン酸ジエチル、アゾジカルボン酸ジイソプロピル、アゾジカルボニルジピペラジンなどが用いられる。この場合の溶媒は、例えばテトラヒドロフラン、などのエーテル類、ジクロロメタン、などのハロゲン化炭化水素類、トルエンなどの炭化水素類、N、N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類などが用いられ、これらの溶媒は、適宜の割合で混合してもよい。ここで得られた化合物(8)にベンゼンチオールなどのチオアルコールを塩基存在下、通常−10〜100℃で反応させることにより脱保護を行い化合物(10)のアミンを得ることが出来る。この場合の塩基としては例えば炭酸カリウム、炭酸セシウムなどのアルカリ金属炭酸塩、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、N、N−ジメチルアニリン、4−ジメチルアミノピリジンなどのアミン類が用いられる。
【0058】
工程5は化合物(6)と化合物(2)を反応させて化合物(11)を得た後に、脱保護反応を行い化合物(12)のアミンを得る工程である。
化合物(2)における式中のXは脱離基であり、例えばハロゲン、O−メシル、O−トシルなどである。
【0059】
通常、化合物(6)と(2)の反応は塩基存在下、反応に悪影響を及ぼさない溶媒中、−50〜200℃(好適には−10〜100℃)で行われる。この場合の塩基としては、例えば炭酸カリウム、炭酸セシウムなどのアルカリ金属炭酸塩、ナトリウムメトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド、水酸化ナトリウムなどの水酸化アルカリ金属、水素化ナトリウムなどの金属水素化物、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、N、N−ジメチルアニリン、4−ジメチルアミノピリジン、などのアミン類が用いられ、溶媒としては、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、クロロホルム、ジクロロメタン、などのハロゲン化炭化水素類、トルエンなどの炭化水素類、N、N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類などを用いられる。これらの溶媒は、適宜の割合で混合してもよい。ここで得られた化合物(11)にベンゼンチオールなどのチオアルコールを塩基存在下、通常−10〜100℃で反応させることにより脱保護を行い化合物(12)のアミンを得ることが出来る。この場合の塩基としては例えば炭酸カリウム、炭酸セシウムなどのアルカリ金属炭酸塩、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、N、N−ジメチルアニリン、4−ジメチルアミノピリジンなどのアミン類が用いられる。
【0060】
(製造方法4)
化合物(10)若しくは(12)を出発原料として、ハロゲン化アルキルと反応させることによりRがアルキルである一般式(I)の化合物の製造が可能である。
【0061】
この反応は、通常、塩基の存在下反応に悪影響を及ぼさない溶媒中、−50〜200℃(好適には−10〜100℃)で行われる。この場合の塩基とは、例えば炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩、ナトリウムメトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド、水酸化カリウムなどの水酸化アルカリ金属、水素化ナトリウムなどの金属水素化物、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミンなどのアミン類が挙げられ、溶媒としてはジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、ヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素類、N、N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類などが用いられる。必要に応じて添加剤として、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウムなどを用いても良い。
【0062】
(製造方法5)

一般式(I)のおいて、R2とR3がそれらが一緒になって、ヘテロサイクル基を形成している化合物や、R2、R3及びR4が一緒になって、アリール基またはヘテロアリール基を形成している化合物の製造方法を以下に示す。
【化8】

【0063】
(工程中、Arはヘテロサイクル基、アリール基、ヘテロアリール基である。他の各記号は前記と同義である。)
工程6は化合物(1)と化合物(13)を反応させて化合物(14)を得る工程である。
化合物(13)における式中のXは脱離基であり、例えばハロゲン、O−メシル、O−トシルなどである。
【0064】
通常、金属触媒、金属配位子および塩基の存在下、反応に悪影響を及ぼさない溶媒中で行われる。金属触媒としては、例えばトリス(ジベンジリデン)ジパラジウム、酢酸パラジウムなどが挙げられる。金属配位子としては例えば2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ビフェニルなどが挙げられる。塩基としては、例えば炭酸セシウム、リン酸三カリウム、ナトリウム第3級ブトキシドなどが挙げられる。反応温度は、通常、0℃から溶媒の還流温度にて実施することができる。溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類、メタノール、エタノールなどのアルコール類などが用いられる。これらの溶媒は、適宜の割合で混合して用いてもよい。
【0065】
(中間体の製造方法1)
製造方法1〜3の出発原料である化合物(1)の製造方法を以下に示す。
【0066】
【化9】

【0067】
(工程中、Qは、tert−ブトキシカルボニル(以下、「Boc」と略す)、ベンジルオキシカルボニル(以下、「Z」と略す)、9H−フルオレン−9−イルメチルオキシカルボニル(以下、「Fmoc」と略す)などの保護基を示す。他の各記号は、前記と同義である。)
工程7は化合物(15)を脱保護させて化合物(16)を得る工程である。
【0068】
通常、保護基がBocの場合は、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、ヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素類等の反応に悪影響を及ぼさない溶媒中で、塩化水素又はトリフルオロ酢酸等の酸を用いて−30〜60℃で10分〜24時間で脱保護できる。
【0069】
工程8は化合物(16)で表されるアミンと化合物(17)で表されるカルボン酸を縮合させてアミド化合物(18)を得る反応である。
【0070】
通常カルボン酸を活性化する縮合剤の存在下、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、ヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素類、N、N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類などの(これらの溶媒は、適宜の割合で混合してもよい。)反応に悪影響を及ぼさない溶媒中で行われる。縮合剤としては、例えば、シクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド(EDC)またはその塩酸塩、2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキシキノリン(EEDQ)、カルボニルジイミダゾール(CDI)、ジエチルホスホリルシアニド、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリスピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)、クロロギ酸イソブチル、塩化ジエチルアセチル、塩化トリメチルアセチルなどが挙げられる。これらの縮合剤を単独で、あるいはN−ヒドロキシスクシンイミド(HONSu)、ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)、3−ヒドロキシ−4−オキソ3,4−ジヒドロ−1,2,3−ベンゾトリアジン(HOOBT)、または4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)などの添加剤を組み合わせて用いられる。縮合剤および添加剤の使用量は、化合物(16)に対し、好ましくは1〜5モル当量である。反応温度は、通常、−30〜80℃、好適には−10〜50℃にて実施することができる。
【0071】
工程9は化合物(18)を脱保護させて化合物(1)で表されるアミンを得る工程である。
この反応は、通常、工程7と同様の方法にて行うことが出来る。従って、保護基がBocの場合は、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、ヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素類等の反応に影響を及ぼさない溶媒中で、塩化水素又はトリフルオロ酢酸等の酸を用いて−30〜60℃で10分〜24時間で脱保護できる。
【0072】
(中間体の製造方法2)
中間体の製造方法1の出発原料である化合物(15)において、Wがシクロヘキシルであり、かつ、Wが−CONRgRgである化合物(20)、-NHCOORgである化合物(23)又は-NHCORgである化合物(25)の製造方法を以下に示す。
【0073】
【化10】

【0074】
(工程中、各記号は前記と同義である。)
工程10は、化合物(19)で表されるカルボン酸とアミンを反応させて化合物(20)で表されるアミドを得る工程である。
【0075】
通常カルボン酸を活性化する縮合剤の存在下、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、ヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素類、N、N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類などの(これらの溶媒は、適宜の割合で混合してもよい。)反応に悪影響を及ぼさない溶媒中で行われる。縮合剤としては、例えば、シクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド(EDC)またはその塩酸塩、2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキシキノリン(EEDQ)、カルボニルジイミダゾール(CDI)、ジエチルホスホリルシアニド、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリスピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)、クロロギ酸イソブチル、塩化ジエチルアセチル、塩化トリメチルアセチルなどが挙げられる。これらの縮合剤を単独で、あるいはN−ヒドロキシスクシンイミド(HONSu)、ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)、3−ヒドロキシ−4−オキソ3,4−ジヒドロ−1,2,3−ベンゾトリアジン(HOOBT)、または4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)などの添加剤を組み合わせて用いられる。縮合剤および添加剤の使用量は、化合物(14)に対し、好ましくは1〜5モル当量である。反応温度は、通常、−30〜80℃、好適には−10〜50℃にて実施することができる。この他にも、カルボン酸(19)を塩化チオニル、塩化オギザリルなどを不活性溶媒中(例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、ヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素類等)で反応させることにより酸ハライドへと導き、得られた酸ハライドとアミンを塩基存在下(例えば炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩、ナトリウムメトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド、水酸化ナトリウムなどの水酸化アルカリ金属、水素化ナトリウムなどの金属水素化物、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、N、N−ジメチルアニリン、4−ジメチルアミノピリジンなどのアミン類)反応に悪影響を及ぼさない溶媒中(例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、ヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素類、N、N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類など)で0℃〜120℃で反応させることによりアミド化合物(20)を得ることができる。
【0076】
工程11は、化合物(19)で表されるカルボン酸からアミン化合物(22)、またはカルバミン酸誘導体である(23)、(24)を得る工程である。
【0077】
通常、カルボン酸化合物(19)を酸アジド化合物(例えば、化合物(19)と塩化オギザリルとの反応から得られる酸ハライドとアジ化ナトリウムとの反応により得られる。)に変換し有機溶媒中で加熱することによりイソシアネート(21)を得ることが出来る(Curtius転位)。この他にジフェニルリン酸アジド(DPPA)を用いたCurtius転位の改良法を用いることによりイソシアネートを得ることもできる。さらにこのイソシアネート(21)を加熱し水と加水分解反応を行うことによりアミン化合物(22)を得ることができ、イソシアネート(21)とアルコールを反応させてカルバミン酸誘導体(23)を得ることが出来る。またイソシアネート(21)とベンジルアルコールとを反応させた場合には化合物(24)で表されるカルバミン酸誘導体が得られる。このカルバミン酸誘導体(24)はパラジウム等の金属触媒を用いる接触還元法などを用いてアミン化合物(22)へと誘導することが出来る。
【0078】
工程12は、アミン化合物(22)で表されるアミンと酸ハライド、もしくはカルボン酸から化合物(25)で表されるアミドを得る工程である。
【0079】
通常、酸ハライドの場合は塩基の存在下反応に影響を及ぼさない溶媒中0〜120℃で行われる。この場合の塩基としては、例えば炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩、ナトリウムメトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド、水酸化ナトリウムなどの水酸化アルカリ金属、水素化ナトリウムなどの金属水素化物、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、N、N−ジメチルアニリン、4−ジメチルアミノピリジンなどのアミン類が挙げられ、溶媒としては、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、ヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素類、N、N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類などが用いられる。カルボン酸とアミンより(25)で表されるアミド化合物を得る場合は、通常カルボン酸を活性化する縮合剤の存在下、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、ヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素類、N、N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類などの(これらの溶媒は、適宜の割合で混合してもよい。)反応に悪影響を及ぼさない溶媒中で行われる。縮合剤としては、例えば、シクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド(EDC)またはその塩酸塩、2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキシキノリン(EEDQ)、カルボニルジイミダゾール(CDI)、ジエチルホスホリルシアニド、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリスピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)、クロロギ酸イソブチル、塩化ジエチルアセチル、塩化トリメチルアセチルなどが挙げられる。これらの縮合剤を単独で、あるいはN−ヒドロキシスクシンイミド(HONSu)、ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)、3−ヒドロキシ−4−オキソ3,4−ジヒドロ−1,2,3−ベンゾトリアジン(HOOBT)、または4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)などの添加剤を組み合わせて用いられる。縮合剤および添加剤の使用量は、化合物(22)に対し、好ましくは1〜5モル当量である。反応温度は、通常、−30〜80℃、好適には−10〜50℃にて実施することができる。
【0080】
(中間体の製造方法3)
中間体の製造方法1の出発原料である化合物(15)において、Wがシクロヘキシルであり、かつ、Wが−CH2P(PはN3(アジド基)、CN(シアノ基)、ヘテロアリールなどを意味する。)である化合物(30)の製造方法を以下に示す。
【0081】
【化11】

【0082】
(工程中、PはN3(アジド基)、CN(シアノ基)、ヘテロアリールなどを意味する。他の各記号は前記と同義である。)
工程13は化合物(26)から化合物(27)を得る工程である。
【0083】
この反応は、通常、酢酸またはアルコールなどの溶媒中でPtO2、Rh/Cなどの金属触媒を用いた水素化で、化合物(26)のベンゼン環をシクロヘキサン環へと変換することが出来る。なお、この場合は高圧の条件下で反応させることが必要な場合が多い。
【0084】
工程14は、化合物(27)から化合物(28)で表されるアルコールを得る工程である。
【0085】
通常、反応に影響を及ぼさない溶媒中(例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類など。)で水素化アルミニウムリチウム等を用いて還元反応を行うことによりエステル体からアルコール体を得ることが出来る。
【0086】
工程15は、化合物(28)から化合物(29)を得る工程である。
【0087】
通常、塩基の存在下メタンスルホニルクロリドを用いて反応に影響を及ぼさない溶媒中、―30〜60℃で行われる。塩基としては、例えばピリジン、トリエチルアミンが挙げられ、溶媒としては、例えばジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどが用いられる。また、メタンスルホニルスロリドの代わりにp−トルエンスルホニルクロリドを用いた場合は同様の条件で(28)のトシラート体へと誘導できる。
【0088】
工程16は、化合物(29)から化合物(30)を得る工程である。
化合物(30)のPがヘテロアリールである化合物を得たい場合はトリアゾールなどの複素環のアニオンと反応させることにより目的物を得ることが出来る。トリアゾールの場合には、溶媒はジメチルホルムアミドなどを選択し、水素化ナトリウムなどの塩基存在下で反応させることにより目的物質が得られる。PがN3(アジド基)、CN(シアノ基)の化合物を得たい場合は、アジ化ナトリウム、シアン化ナトリウムで置換反応を行うことにより得られる。この場合には、溶媒にはN,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが用いられる。さらにそれらを還元によりアミンへ誘導することができる。方法としては、パラジウム、白金、ニッケル等を用いた接触還元、金属水素化物による還元、トリフェニルホスフィン、チオール、スルフィド、ジボラン、あるいは遷移金属を用いる還元等で得ることができる。得られたアミンは、塩基存在下、反応に影響を及ぼさない溶媒中で、酸ハライド、またはアルキルスルホニルハライドとを反応させることによりアミド、スルホンアミドを得ることができる。
このようにして得られた化合物は、化合物(15)として使用することができる。
【0089】
(中間体の製造方法4)
製造方法1、3に使用する化合物(2)の製造方法を以下に示す。
【0090】
【化12】

【0091】
(工程中、各記号は前記と同義である。)
工程17は、市販品または公知の方法により得ることのできるアルコール(31)から脱離基を持つ化合物(32)を得る工程である。
【0092】
通常、アルコール体である化合物(31)に塩化チオニル、またはトリフェニルホスフィンと四塩化炭素(四臭化炭素)を反応させることにより化合物(32)としてハロゲン化アルキルを得ることができる。また、アルコール体である化合物(31)にアルキルスルホニルハライドを反応させて、化合物(32)としてアルキルスルホン酸エステルへと導くこともできる。
【0093】
化合物(32)は、製造方法1、3における化合物(2)として使用できる。
【0094】
(中間体の製造方法5)
製造方法2における化合物(4)の製造方法を以下に示す。
【0095】
【化13】

【0096】
(工程中、各記号は前記と同義である。)
工程18は、市販品または公知の方法により得ることのできるアルコール化合物(33)を酸化して化合物(34)で表されるケトン、またはアルデヒドを得る工程である。化合物(34)は、製造方法2における化合物(4)として使用できる。
【0097】
通常、公知の酸化法を用いることにより2級アルコールからケトンを、1級アルコールからアルデヒドを得ることができる。
【0098】
(中間体の製造方法6)
(工程中、各記号は前記と同義である。)
製造方法2における化合物(4)において、R3がHの場合の製造方法を以下に示す。
【0099】
【化14】

【0100】
工程19は、市販品または公知の方法により得ることのできるエステル(35)からアルデヒド(36)を得る工程である。
【0101】
通常、水素化ジイソプロピルアルミニウムなどの還元剤を用いることにいよりエステル体をアルデヒド体へと導くことができる。反応は、溶媒としてヘキサン、トルエン、ジクロロメタンなどを用い、−78℃などの低温で還元することによりアルデヒドを得ることができる。
【0102】
【化15】

【0103】
工程20は、市販品または公知の方法により得ることのできるエステル化合物(35)からアルコール化合物(37)を経由してアルデヒド化合物(36)を得る工程である。
【0104】
通常、化合物(35)のエステル体に水素化リチウムアルミニウム等を還元剤として用いてアルコール体へ公知の方法で還元し、そのアルコール体を公知の酸化法を用いてアルデヒド体へと導くことができる。
【0105】
【化16】

【0106】
工程21は、カルボン酸(38)からエステル(35)またはアミド(39)を経由してアルデヒド(36)を得る工程である。
【0107】
通常、化合物(38)のカルボン酸体をエステル体へと公知の方法を用いて変換し、工程19または工程20の方法を用いて、エステル体からアルデヒドを得ることができる。また、カルボン酸(38)とモルホリン、またはカルボン酸とN,O−ジメチルヒドロキシルアミンからアミド(39)(40)へと導き、さらにアミド(39)(40)を水素化リチウムアルミニウムなどを用いて還元しアルデヒドを得ることもできる。

以上のようにして得られた一般式(I)の化合物及び各中間体は、抽出、結晶化、再結晶、各種クロマトグラフィーなどの通常の化学操作により単離精製される。
【0108】
前記、一般式(I)の化合物の塩としては、酸付加塩又は塩基付加塩を用いることができるが、生理的に許容されるものであれば塩の種類は特に限定されることはない。
【0109】
一般式(I)の化合物の塩、またはこれらの水和物若しくは溶媒和物は、一般式(I)のピペリジン誘導体から公知の方法により製造することができる。
【0110】
一般式(I)の化合物、又はその塩が光学活性体を含んでいる場合には、通常の光学分割手段により個々の光学異性体に分離することができる。あるいは、光学的に純粋な出発原料若しくは立体配置が既知の化合物を用いて、一般式(I)の化合物、又はその塩の光学活性体を合成しても良い。
【0111】
本発明の式(I)の化合物又はその塩の1種又は2種以上をそのまま患者に投与してもよいが、好ましくは、有効成分と薬理学的及び製剤学的に許容しうる添加物を加え、当業者に周知な形態の製剤として提供されうる。
【0112】
本発明の化合物は、通常用いられる適当な希釈剤や他の添加剤とともに適当な投与形態(粉末剤、注射剤、錠剤、カプセル剤又は局所外用剤など)に調整した後、その投与形態応じた適当な投与方法(例えば静脈内投与、経口投与、経皮投与又は局所投与など)によって、ヒト又は動物に投与する事ができる。
【0113】
薬理学的及び製剤学的に許容しうる添加物としては、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、色素、希釈剤、基剤、及び等張化剤等を用いることが出来る。
【0114】
経口投与に適する製剤の例としては、錠剤、カプセル剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、液剤、又はシロップ剤等を挙げることができ、非経口投与に適する製剤としては、注射剤、点滴剤、又は坐剤等を挙げることが出来る。
【0115】
経口投与に適する製剤には、添加物として、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤又は基剤等を用いることが出来る。また、本発明の化合物を治療の対象となる患者に対して投与する場合、対象疾患の治療のために適切な他剤と本発明の化合物とを併用してもよい。
【0116】
本発明の医薬の投与経路は特に限定されず、経口的又は非経口的に投与することができる。投与量は年齢、体重、一般的健康状態、性別、食事、投与時間、投与方法、排泄速度、薬物の組合せ、患者のその時に治療を行っている病状の程度に応じ、それらあるいはその他の要因を考慮して決められる。本発明化合物、その光学異性体またはその医薬上許容しうる塩は、低毒性で安全に使用することができ、その1日の投与量は、患者の状態や体重、化合物の種類、投与経路などによって異なるが、たとえば非経口的には皮下、静脈内、筋肉内または直腸内に、約0.01〜50mg/人/日、好ましくは0.01〜20mg/人/日投与され、また経口的には約0.01〜150mg/人/日、好ましくは0.1〜100mg/人/日投与されることが望ましい。
【0117】
以下、本発明の実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。 以下の参考例、実施例中の「室温」は0ないし30℃を示す。また、混合溶媒を用いる場合の溶媒比は、容積比を示す。
【0118】
赤外吸収スペクトルは、フーリエ変換型赤外分光光度計を用い、拡散反射法で測定した。
【0119】
マススペクトルにはLC−MS(液体クロマトグラフ質量分析計)を用いて測定し、カラムには、Chromolith SpeedROD RP−18e (4.6×50mm)(メルク社製)を用いた。測定条件として、溶媒にはA液(0.05%トリフルオロ酢酸/水)とB液(0.05%トリフルオロ酢酸/アセトニトリル)の混合溶媒を用い、A液:B液=95:5からA液:B液=0:100になるように2分間でグラジエント溶出を行った。MSの測定モードにはESI(エレクトロスプレーイオン化)法を用いて測定した。

NMR(核磁気共鳴スペクトル)は特に明記しない限り300MHzで測定を行なった。H―NMRのケミカルシフトは、内部標準としてテトラメチルシラン(TMS)を用い、相対的なデルタ(δ)値をppmで表した。カップリング定数は自明な多重度をヘルツ(Hz)で示しsが単一線、dが二重線、tが三重線、qが四重線、mが多重線、brが巾広い吸収ピークを意味する。 なお本文中で用いられているその他の略号は下記の意味を示す。
CDCl3: 重クロロホルム
DMSO−d6: 重ジメチルスルホキシド
THF : テトラヒドロフラン
DMF : N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO : ジメチルスルホキシド
WSC : 1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド 塩酸塩
HOBt : 1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール
IR : 赤外吸収スペクトル
Me : メチル
Et : エチル
Boc : tert−ブトキシカルボニル
Ts : p−トルエンスルホニル
Ac : アセチル
1H−NMR: プロトン核磁気共鳴スペクトル
Rt : 保持時間(Retention Time)。
【0120】
(参考例1)1−tert−ブトキシカルボニル−4−シクロヘキシル−4−(tert−ブチルアミノカルボニル)ピペリジン
1−tert−ブトキシカルボニル−4−シクロヘキシル−4−ピペリジンカルボン酸(50.0g)およびジメチルホルムアミド(4.97mL)の塩化メチレン溶液(500mL)に氷冷下、塩化オギザリル(15.7mL)を加え室温で2時間攪拌した。反応液を減圧濃縮後、残渣を塩化メチレンに溶解し、室温下t−ブチルアミン(500mL)を加え18時間室温で攪拌した。反応液を減圧濃縮し、残渣に酢酸エチル(1.00L)および0.5mol/L塩酸(1.00L)を加えて分液し、水層を除いた。水層を酢酸エチル(300mL)で3回抽出し、有機層を合わせ、飽和食塩水(300mL)で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;クロロホルムからクロロホルム−酢酸エチル=10:1)で精製し、表題化合物(28.1g)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ0.92-1.88 (15H, m), 1.36 (9H, s), 1.45 (9H, s), 2.83 (2H, br), 3.94 (2H, br), 5.29 (1H, brs)。
【0121】
(参考例2)1−tert−ブトキシカルボニル−4−シクロヘキシル−4−[(ベンジルオキシカルボニル)アミノ]ピペリジン
1−tert−ブトキシカルボニル−4−シクロヘキシル−4−ピペリジンカルボン酸(62.3g)のトルエン溶液(300mL)にトリエチルアミン(33.5mL)ジフェニルリン酸アジド(55.0g)を加えた。反応液を還流下で12時間攪拌した後に室温まで冷却し、ベンジルアルコール(64.8g)を加えさらに還流下で10時間攪拌を行った。その後反応液を室温まで冷却し減圧濃縮し、残渣に酢酸エチル(1.00L)を加え有機層を水、1.0mol/L塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で順次洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、表題化合物(58.8g)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ0.88-1.82 (24H, m), 1.44 (9H, s), 2.8-2.95 (2H, m), 3.82-4.04 (2H, br), 4.44 (1H, s), 5.05 (2H, s), 7.2-7.4(5H, m)。
【0122】
(参考例3)1−tert−ブトキシカルボニル−4−シクロヘキシル−4−アミノピペリジン
参考例2の表題化合物(58.8g)のエタノール溶液(300mL)に触媒として含水(51%)10%パラジウム−炭素(3.50g)を加え水素ガス気流下室温で10時間攪拌を行った。触媒をセライトを用いて除去し反応液を減圧濃縮して表題化合物(39.9g)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ 0.88-1.88 (17H, m), 1.45 (9H, s), 3.05-3.20 (2H, m), 3.70-3.90 (2H, brs)。
【0123】
(参考例4)1−tert−ブトキシカルボニル−4−シクロヘキシル−4−(イソブチリルアミノ)ピペリジン
参考例3の表題化合物(15.0g)、トリエチルアミン(7.40mL)を加えた塩化メチレン溶液(200mL)に氷冷下 塩化イソブチル(6.79g)を滴下し、反応液を室温まで加温した後4時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し残渣に酢酸エチル(300mL)を加え、有機層を1.0mol/L塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(300mL)で2回および飽和食塩水(300mL)で順次洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、表題化合物(18.3g)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ0.88-1.82 (14H, m), 1.16 (6H, d), 1.45 (9H, s), 1.82-1.98 (1H,m), 2.30-2.45(1H,m), 2.75-2.90 (2H, m), 3.95 (2H, br), 4.93 (1H, s)。
【0124】
(参考例5) tert−ブチル[(1R)−2−{4−[(tert−ブチルアミノ)カルボニル]−4−シクロヘキシルピペリジン−1−イル}−1−(4−クロロベンジル)−2−オキソエチル]カルバメート
参考例1の表題化合物(44.2g)の塩化メチレン溶液(80.0mL)に室温下、トリフルオロ酢酸(20mL)を加えた。反応液を室温で30分間攪拌し、減圧濃縮した。残渣にクロロホルム(500mL)および飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(700mL)を加えて分液後、水層をクロロホルム(200mL)で3回抽出し、有機層を合わせ、飽和食塩水(500mL)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し、白色固体(28.6g)を得た。白色固体(18.5g)およびN−tert−ブトキシカルボニル−D−4−クロロフェニルアラニン(25.0g)の塩化メチレン(500mL)溶液に氷冷下、HOBt(14.9g)、WSC(18.7g)およびN−メチルモルホリン(30.6mL)を順次加え、反応液を室温まで昇温し4時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、残渣に酢酸エチル(700mL)を加え、有機層を0.5mol/L塩酸(500mL)で2回、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(300mL)で2回および飽和食塩水(300mL)で順次洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;酢酸エチル−ヘキサン=2:1から1:1)で精製し、表題化合物(27.7g)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ0.80-1.91 (14H, m), 1.32, 1.36 (9H, 2s), 1.42 (9H, s), 2.52-3.89 (6H, m), 4.35-5.56 (4H, m), 7.04-7.28 (4H, m)。
【0125】
(参考例6)N−(tert−ブチル)−4−シクロヘキシル−1−(4−クロロ−D−フェニルアラニル)ピペリジン−4−カルボキシアミド
参考例5の表題化合物(27.7g)の塩化メチレン溶液(120mL)に室温下、トリフルオロ酢酸(40.0mL)を加え室温で3時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、残渣にクロロホルム(300mL)および1.0mol/L水酸化ナトリウム水溶液(300mL)を加え分液し、水層を除いた。水層をクロロホルム(200mL)で3回抽出し、有機層を合わせ無水硫酸ナトリウムで乾燥後減圧濃縮し、標題化合物(20.4g)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ0.77-2.04 (17H, m), 1.33, 1.36 (9H, 2s), 2.50-3.08 (4H, m), 3.46-3.64 (1H, m), 3.88-3.97 (1H, m), 4.51 (1H, brd), 5.24 (1H, brd), 7.08-7.28 (4H, m)。
【0126】
(参考例7)tert−ブチル[(1R)−2−{4−[(tert−ブチルアミノ)カルボニル]−4−シクロヘキシルピペリジン−1−イル}−1−(4−フルオロベンジル)−2−オキソエチル]カルバメート
参考例1の表題化合物(15.0g)に室温下、4.0mol/L塩酸−ジオキサン溶液(300mL)を加え、室温で16時間攪拌した。反応液を減圧濃縮した後、残渣にクロロホルム(300mL)および1.0mol/L水酸化ナトリウム水溶液(300mL)を加えて分液し、水層を除いた。水層をクロロホルム(300mL)で2回抽出し、有機層を合わせ、飽和食塩水(300mL)で洗浄した後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し減圧濃縮した。得られた残渣およびN−tert−ブトキシカルボニル−D−4−フルオロフェニルアラニン(13.9g)の塩化メチレン(200mL)溶液に氷冷下、HOBt(8.77g)、WSC(11.0g)およびN−メチルモルホリン(13.5mL)を順次加え、反応液を室温で3時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、残渣に酢酸エチル(500mL)を加え、有機層を0.5mol/L塩酸(200mL)で2回、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(200mL)で2回および飽和食塩水(300mL)で順次洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後に減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;酢酸エチル−ヘキサン=2:1から1:1)で精製し、表題化合物(21.0g)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ0.76-1.87 (14H, m), 1.32, 1.35 (9H, 2s), 1.41 (9H, s), 2.52-2.63 (2H, m), 2.92 (2H, dd), 3.04 (1H, t), 3.57 (1H, brd), 4.43 (brd), 4.75-4.85 (1H, m), 5.20 (1H, brd), 5.41 (1H, dd)。
【0127】
(参考例8)N−(tert−ブチル)−4−シクロヘキシル−1−(4−フルオロ−D−フェニルアラニル)ピペリジン−4−カルボキシアミド
参考例7の表題化合物(20.8g)に室温下、4.0mol/L塩酸−ジオキサン溶液(100mL)を加え室温で4時間攪拌後、減圧濃縮した。残渣にクロロホルム(300mL)および1.0mol/L水酸化ナトリウム水溶液(500mL)を加え分液し、水層を除いた。水層をクロロホルム(200mL)で2回抽出し、有機層を合わせ無水硫酸ナトリウムで乾燥後減圧濃縮し、表題化合物(16.1g)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ0.77-2.00 (17H, m), 1.33, 1.36 (9H, 2s), 2.54-3.10 (4H, m), 3.52-3.66 (1H, m), 3.88-3.96 (1H, m), 4.50 (1H, brd), 5.24 (1H, brd), 6.94-7.20 (4H, m)。
【0128】
(参考例9)N−[4−シクロヘキシル−1−(4−クロロ−D−フェニルアラニル)ピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド・塩酸塩
参考例4の表題化合物(15.8g)に4.0mol/L塩酸−酢酸エチル溶液(100mL)を加え室温下で4時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣とN−tert−ブトキシカルボニル−D−4−クロロフェニルアラニン(22.5g)のジメチルホルムアミド溶液(250mL)に室温下、HOBt(14.0)、WSC(17.5g)およびN−メチルモルホリン(29.5mL)を順次加え室温で16時間攪拌した。反応液に酢酸エチル(500mL)および飽和食塩水(500mL)を加え分液し、水層を酢酸エチル(250mL)で2回抽出した。有機層を合わせ、0.5mol/L塩酸(250mL)で2回、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(300mL)で2回、飽和食塩水(500mL)で2回順次洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;酢酸エチル−ヘキサン=5:1から1:1)で精製した。減圧濃縮して得られた残渣を酢酸エチル(100mL)で希釈し、室温下、4.0mol/L塩酸−酢酸エチル溶液(100mL)を加えて1時間攪拌した。反応液にイソプロピルアルコール(200mL)およびジイソプロピルアルコール(50mL)を加え析出する白色固体をろ別し減圧下で乾燥して表題化合物(15.5g)を得た。
IR: 3312, 2927, 2853, 1665, 1540, 1492, 1462, 1410cm-1.
MS(ESI)m/z 434(M+H)
【0129】
(参考例10)N−[4−シクロヘキシル−1−(4−フルオロ−D−フェニルアラニル)ピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド
参考例4の表題化合物(6.69g)の塩化メチレン溶液(20.0mL)に室温下、トリフルオロ酢酸(20mL)を加え3時間攪拌した後、減圧濃縮した。残渣に塩化メチレン(300mL)、N−tert−ブトキシカルボニル−D−4−フルオロフェニルアラニン(9.15g)を加え、氷冷下、HOBt(4.95g)、WSC(6.20g)およびN−メチルモルホリン(9.4mL)を順次加えた。反応液を室温まで昇温し一夜攪拌した。反応液を減圧濃縮し、残渣に酢酸エチル(500mL)を加え、1mol/L塩酸(300mL)で2回、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液(300mL)で2回および飽和食塩水(300mL)で順次洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し白色固体(7.39g)を得た。得られた白色固体を塩化メチレン(100mL)に溶解し室温下でトリフルオロ酢酸を加え2時間攪拌した。反応液を減圧下にて溶媒を留去し、残渣に酢酸エチル(300mL)および飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(200mL)を加えて分液し、水層を除いた。水層を酢酸エチル(200mL)で3回抽出し、有機層を合わせ、飽和食塩水(500mL)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し、表題化合物(5.96g)を得た。
IR: 3314, 2929, 2854, 1647, 1539, 1510, 1450, 1366cm-1.
MS(ESI)m/z 418(M+H)
【0130】
(参考例11)N−tert−ブチル(2R)−2−(モルホリン−4−イルカルボニル)ピロリジン−1−カルボキシレート
N−tert−ブトキシカルボニル−D−プロリン(99.8g)およびモルホリン(48.5mL)の塩化メチレン溶液(1.16L)に氷冷下でWSC(132.3g)およびHOBt(107g)を加えた後、室温まで昇温し2時間攪拌した。反応液を0.5mol/L塩酸(1.00L)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(1.00L)で順次洗浄し、水層を塩化メチレン(500mL)で2回抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水(500mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;酢酸エチル−ヘキサン=1:1)で精製し、表題化合物(119g)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ1.42, 1.46 (9H, 2s), 1.76-2.22 (4H, m), 3.41-3.80 (10H, m), 4.50-4.67 (1H, m)。
【0131】
(参考例12)N−tert−ブトキシカルボニル−D−プロリナール
参考例11の表題化合物(13.1g)のテトラヒドロフラン溶液(460mL)に氷冷下、水素化リチウムアルミニウム(2.73g)を加え氷冷下で1時間攪拌した。反応液に氷冷下で攪拌しながら、5%硫酸水素カリウム水溶液(100mL)を加えた後、反応液をセライトろ過し、得られたろ液を減圧濃縮し、ジエチルエーテル(150mL)で2回抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;酢酸エチル−ヘキサン=4:1から1:1)で精製し、表題化合物(4.83g)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ1.43, 1.46 (9H, 2s), 1.84-2.19 (4H, m), 3.38-3.61 (2H, m), 4.02-4.23 (1H, m), 9.46-9.56 (1H, m)。
【0132】
参考例1〜12の化合物を以下に示す。
【0133】
【化17】

【0134】
(参考例13)N−tert−ブトキシカルボニル−D−プロリンメチルエステル
N−tert−ブトキシカルボニル−D−プロリン(25.0g)のジメチルホルムアミド溶液(232mL)に氷冷下、炭酸水素ナトリウム(14.6g)およびヨウ化メチル(36.2mL)を加え室温で8時間攪拌した。反応液に酢酸エチル−ヘキサン=1:1(500mL)および0.5mol/L塩酸(1.00L)を加え分液し、有機層を除いた。水層を酢酸エチル−ヘキサン=1:1(300mL)で3回抽出した後に有機層を合わせチオ硫酸ナトリウム水溶液(500mL)および飽和食塩水(300mL)で順次洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、表題化合物(26.60g)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ1.41, 1.46 (9H, 2s), 1.79-2.02 (3H, m), 2.12-2.30 (1H, m), 3.34-3.60 (2H, m), 3.72 (3H, s), 4.20-4.35 (1H, m)。
【0135】
(参考例14)N−tert−ブトキシカルボニル−D−プロリノール
参考例13の表題化合物(26.6g)のテトラヒドロフラン溶液(232mL)に氷冷下、水素化リチウムアルミニウム(13.8g)を加え氷冷下で2間攪拌した。反応液を攪拌しながら氷冷下で水(13.8mL)を加え、さらに水酸化ナトリウム水溶液(41.4mL)、水(41.4mL)を順次加えた。析出する白色沈殿物をセライトろ過し、ろ液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;酢酸エチル−ヘキサン=1:1)で精製し、表題化合物(12.0g)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ1.47 (9H, s), 1.68-2.07 (4H, m), 3.27-3.35 (1H, m), 3.41-3.49 (1H, m), 3.55-3.68 (2H, m), 3.96 (1H, br), 4.77-4.79 (1H, brm)。
【0136】
(参考例15)N−メチル−D−プロリノール
参考例14の表題化合物(9.98g)のテトラヒドロフラン溶液(93.0mL)に氷冷下、水素化リチウムアルミニウム(4.40g)を加え氷冷下で6時間攪拌した。反応液を氷冷下で攪拌しながら、水(4.40mL)、4mol/L水酸化ナトリウム水溶液(17.6mL)、水(17.6mL)を順次加えた。析出する白色沈殿物をセライトろ過し、ろ液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;酢酸エチル−ヘキサン=1:1)で精製し、表題化合物(5.34g)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ1.66-1.95 (4H, m), 2.24-2.40 (2H, m), 2.34 (3H, s), 2.74 (1H, brd), 3.05-3.10 (1H, m), 3.40-3.45 (1H, m), 3.63-3.67 (1H, m)。
【0137】
(参考例16)N−メチル−D−プロリナール
ジメチルスルホキシド(5.36mL)の塩化メチレン溶液(125mL)に−45℃下、塩化オギザリル(6.66mL)、参考例15の表題化合物(2.24g)およびトリエチルアミン(20.85mL)を順次加えた。反応液を−45℃で30分間攪拌後、室温で90分間攪拌した。反応液を水(100mL)で2回洗浄後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣にジエチルエーテル(100mL)を加え、析出した白色固体をセライトを用いて除き、ろ液を減圧濃縮して表題化合物(4.95g)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ1.74-2.09 (4H, m), 2.25-2.74 (2H, m), 2.41 (3H, s), 3.12-3.19 (1H, m), 9.48 (1H, d)。
【0138】
(参考例17)N−メチル−L−プロリナール
ジメチルスルホキシド(1.87mL)の塩化メチレン溶液(44.0mL)に−45℃下、塩化オギザリル(2.32mL)、N−メチル−L−プロリノール(1.83g)およびトリエチルアミン(7.26mL)を順次加えた。反応液を−45℃で30分間攪拌後、室温で2時間攪拌した。反応液を水(100mL)で2回洗浄後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣にジエチルエーテル(30mL)を加え、析出した白色固体をセライトを用いて除き、ろ液を減圧濃縮して表題化合物の粗生成物(1.06g)を得た。この粗生成物はそのまま次の反応に使用した。
【0139】
(参考例18)N−エチル−D−プロリノール
N−エチル−D−プロリンメチルエステル(10.4g)のテトラヒドロフラン溶液(120mL)に氷冷下水素化リチウムアルミニウム(2.88g)を加え、室温まで昇温し20分間攪拌した。反応液を氷冷下で攪拌しながら、水(2.88mL)、4.0mol/L 水酸化ナトリウム水溶液(8.64mL)、水(8.64mL)を順次加えた後、室温で30分間攪拌した。反応液をセライトろ過し、得られたろ液を減圧濃縮し、表題化合物(7.59g)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ1.10 (3H, t), 1.69-1.89 (4H, m), 2.18-2.30 (2H, m), 2.54-2.58 (1H, m), 2.58-2.86 (1H, m), 2.88 (1H, br), 3.14-3.21 (1H), 3.38 (1H, brd), 3.62 (1H, dd)。
【0140】
(参考例19)N−エチル−D−プロリナール
ジメチルスルホキシド(6.64mL)の塩化メチレン溶液(250mL)に−55℃下、塩化オギザリル(8.25mL)、参考例18の表題化合物(7.98g)およびトリエチルアミン(25.8mL)を順次加え、−40℃で1時間攪拌後、室温で1時間攪拌した。有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣にジエチルエーテルを加え、析出した白色固体をセライトを用いて除き、ろ液を減圧濃縮して表題化合物(7.45g)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ1.10 (3H, t), 1.69-2.08 (4H, m), 2.15-2.35 (1H, m), 2.42-2.57 (1H, m), 2.62-2.72 (1H, m), 2.84-2.89 (1H, m), 9.49 (1H, d)。
【0141】
(参考例20)N−イソプロピル−D−プロリンメチルエステル
D−プロリンメチルエステル(4.00g)のクロロホルム溶液(31.0mL)に室温下、アセトン(11.4mL)および酢酸(1.93mL)を加え30分間室温下で攪拌後、反応液にトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(9.70g)を加え1時間室温で攪拌した。反応液にクロロホルム(100mL)そして飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)を加え分液し水層を除いた。水層をクロロホルム(50mL)で3回抽出した後、有機層を合わせて無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、表題化合物(3.62g)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ1.07 (6H, d), 1.76-2.18 (4H, m), 2.59 (1H, q), 2.75-2.84 (1H, m), 3.08-3.15 (1H, m), 3.43 (1H, dd), 3.71 (3H, s)。
【0142】
(参考例21)N−イソプロピル−D−プロリノール
参考例20の表題化合物(3.61g)のテトラヒドロフラン溶液(42.0mL)に氷冷下、水素化リチウムアルミニウム(999mg)を加え氷冷下で1時間攪拌した。反応液を氷冷下で攪拌しながら、水(1.00mL)、4mol/L 水酸化ナトリウム水溶液(3.00mL)、水(3.00mL)を順次加え1時間室温で攪拌した。白色沈殿物をセライトを用いて除き、ろ液を減圧濃縮し、表題化合物(2.44g)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ 1.05 (6H, dd), 1.64-1.91 (4H, m), 2.52-2.61 (1H, m), 2.85-2.99 (3H, m), 3.08 (1H, br), 3.32 (1H, dd), 3.54 (1H, dd)。
【0143】
(参考例22)N−イソプロピル−D−プロリナール
ジメチルスルホキシド(1.68mL)の塩化メチレン溶液(63.0mL)に−55℃下、塩化オギザリル(2.09mL)、参考例21の表題化合物(2.24g)およびトリエチルアミン(6.54mL)を順次加え−40℃で1時間攪拌した後、室温で1時間攪拌した。反応液に水(50mL)を加えて分液し、水層を除いた。水層を塩化メチレン(30mL)で2回抽出し、有機層を合わせ無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣にジエチルエーテル(50mL)を加え、析出した白色固体をセライトを用いて除き、ろ液を減圧濃縮して表題化合物(1.91g)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ1.06 (6H, dd), 1.71-2.01 (4H, m), 2.55 (1H, q), 2.42-2.57 (1H, m), 2.71-2.84 (1H, m), 3.10-3.17 (1H, m), 9.48 (1H, d)。
【0144】
(参考例23)N−プロピル−D−プロリンメチルエステル
D−プロリンメチルエステル(4.00g)のクロロホルム溶液(31.0mL)に室温下、プロピオンアルデヒド(2.68mL)および酢酸(1.92mL)を加え30分間室温で攪拌後、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(9.18g)を加えた。反応液を1時間室温で攪拌した後、クロロホルム(100mL)および飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)を加えて分液し、水層を除いた。水層をクロロホルム(50mL)で3回抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、表題化合物(5.35g)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ0.90 (3H, t), 1.45-1.57 (2H, m), 1.75-1.98 (3H, m), 2.06-2.17 (1H, m), 2.34 (2H, m), 2.57-2.63 (1H, m), 3.12-3.22 (2H, m), 3.73 (3H, s)。
【0145】
(参考例;24)N−プロピル−D−プロリノール
参考例23の表題化合物(5.34g)のテトラヒドロフラン溶液(62mL)に氷冷下、水素化リチウムアルミニウム(1.48g)を加え氷冷下で1時間攪拌した。反応液を氷冷下で攪拌しながら、水(1.50mL)、4.0mol/L 水酸化ナトリウム水溶液(4.50mL)、水(4.50mL)を順次加え1時間室温で攪拌した。白色沈殿物をセライトを用いて除き、ろ液を減圧濃縮し、表題化合物(3.90g)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ 0.91 (3H, t), 1.30-1.94 (6H, m), 2.17-2.27 (2H, m), 2.52-2.69 (2H, m), 2.90 (1H, br), 3.13-3.19 (1H, m), 3.34-3.40 (1H, m), 3.63 (1H, dd)。
【0146】
(参考例25)N−プロピル−D−プロリナール
ジメチルスルホキシド(2.72mL)の塩化メチレン溶液(63.0mL)に−45℃下、塩化オギザリル(3.37mL)、参考例24の表題化合物(3.62g)およびトリエチルアミン(10.6mL)を順次加え−40℃で30分間攪拌した後、室温で30分間攪拌した。反応液に水(50mL)を加えて分液し、水層を除いた。水層を塩化メチレン(30mL)で2回抽出し、有機層を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣にジエチルエーテル(50mL)を加え、析出した白色固体をセライトを用いて除き、ろ液を減圧濃縮して、表題化合物(3.31g)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ 1.06 (6H, dd), 1.71-2.01 (4H, m), 2.55 (1H, q), 2.42-2.57 (1H, m), 2.71-2.84 (1H, m), 3.10-3.17 (1H, m), 9.48 (1H, d)。
【0147】
(参考例26)N−イソブチル−D−プロリンメチルエステル
D−プロリンメチルエステル(4.00g)のクロロホルム溶液(31.0mL)に室温下、イソブチルアルデヒド(3.40mL)および酢酸(1.92mL)を加え30分間室温で攪拌後、反応液にトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(9.18g)を加え1時間室温で攪拌した。反応液にクロロホルム(100mL)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)を加え分液し、水層を除いた。水層を、クロロホルム(50mL)で3回抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、表題化合物(4.00g)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ0.90 (3H, t), 1.61-1.99 (4H, m), 2.02-2.15 (1H, m), 2.22 (1H, dd), 2.30-2.43 (2H, m), 3.10-3.19 (2H, m), 3.71 (3H, s)。
【0148】
(参考例27)N−イソブチル−D−プロリノール
参考例26の表題化合物(4.00g)のテトラヒドロフラン溶液(42mL)に氷冷下、水素化リチウムアルミニウム(1.03g)を氷冷下で1時間攪拌した。反応液を氷冷下で攪拌しながら、水(1.00mL)、4.0mol/L 水酸化ナトリウム水溶液(3.00mL)、水(3.00mL)を順次加え1時間室温で攪拌した。白色沈殿物をセライトを用いて除き、ろ液を減圧濃縮し、表題化合物(2.77g)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ0.90 (6H, dd), 1.62-1.93 (5H, m), 2.13-2.34 (3H, m), 2.50-2.56 (1H, m), 2.90 (1H, br), 3.12-3.18 (1H, m), 3.36 (1H, brd), 3.62 (1H, dd)。
【0149】
(参考例28)N−イソブチル−D−プロリナール
ジメチルスルホキシド(1.76mL)の塩化メチレン溶液(63.0mL)に−45℃下、塩化オギザリル(2.18mL)、参考例27の表題化合物(2.57g)およびトリエチルアミン(6.82mL)を順次加え−40℃で30分間攪拌後、室温で30分間攪拌した。反応液に水(50mL)を加えて分液し水層を除き、水層を塩化メチレン(30mL)で2回抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後に減圧濃縮した。残渣にジエチルエーテル(50mL)を加え、析出した白色固体をセライトを用いて除き、ろ液を減圧濃縮して表題化合物(2.52g)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ1.06 (6H, dd), 1.61-2.01 (5H, m), 2.21-2.34 (3H, m), 2.80-2.86 (1H, m), 3.44-3.52 (1H, m), 9.43 (1H, d)。
【0150】
(参考例29)(R)−N−tert−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシ−D−プロリンメチルエステル
メタノール(280mL)に氷冷下、塩化オギザリル(40.8mL)、4−ヒドロキシ−D−プロリン・塩酸塩(63.9g)のメタノール溶液(190mL)を順次加えた。反応液を18時間室温で攪拌後、減圧濃縮し、ジエチルエーテル(500mL)を加えた。混合液を5時間攪拌後、白色粉末をろ取し、減圧乾燥した。この白色粉末およびトリエチルアミン(46.1mL)を塩化メチレン(330mL)に溶解させ、氷冷下、二炭酸ジ−t−ブチル(43.3g)を加え、反応液を室温まで昇温させ、28時間攪拌した。反応液に塩化メチレン(500mL)および0.5mol/L塩酸(500mL)を加えて分液し、水層を塩化メチレン(300mL)で2回抽出した。有機層をあわせ、飽和食塩水(300mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、表題化合物(40.6g)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ1.42, 1.47 (9H, 2s), 2.06-2.13 (1H, m), 2.26-2.40 (1H, m), 3.30-3.74 (3H, m), 3.79 (3H, d), 4.28-4.40 (2H, m)。
【0151】
(参考例30)(S)−N−tert−ブトキシカルボニル−4−フルオロ−D−プロリンメチルエステル
参考例29の表題化合物(15.0g)の塩化メチレン溶液(612mL)に−78℃下、三フッ化N,N-ジエチルアミノ硫黄(12.1mL)を加えた後、室温まで昇温させながら25時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、残渣に酢酸エチル(500mL)および飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(300mL)を加え分液した。水層を酢酸エチル(200mL)で2回抽出し、有機層を合わせ、飽和食塩水(300mL)で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;酢酸エチル−ヘキサン=4:1から1:1)で精製し、表題化合物(10.7g)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ1.42, 1.47 (9H, 2s), 1.98-2.22 (1H, m), 2.48-2.66 (1H, m), 3.53-3.71 (1H, m), 3.79-3.99 (1H, m), 4.37-4.50 (1H, m), 5.21 (1H, brd)。
【0152】
参考例13〜30の化合物を以下に示す。
【0153】
【化18】

【0154】
(参考例31)(S)−N−tert−ブトキシカルボニル−4−フルオロ−D−プロリノール
参考例30の表題化合物(2.52g)のテトラヒドロフラン溶液(21.0mL)に氷冷下水素化リチウムアルミニウム(482mg)を加え、15分間氷冷下で攪拌した。反応液を氷冷下で攪拌しながら、水(482uL)、4mol/L 水酸化ナトリウム水溶液(1.45mL)、水(1.45mL)を順次加え、1時間室温で攪拌した。白色沈殿物をセライトを用いて除き、ろ液を減圧濃縮し表題化合物(2.40g)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ1.48 (9H, s), 1.64-1.83 (1H, m), 2.27-2.34 (1H, m), 3.33-3.61 (2H, m), 3.74-3.91 (2H, m), 4.09-4.19 (1H, m), 4.88 (1H, brd), 5.10 (1H, brd)。
【0155】
(参考例32)(S)−N−tert−ブトキシカルボニル−4−フルオロ−D−プロリナール
参考例31の表題化合物(8.63g)とジメチルスルホキシド(80.0mL)の塩化メチレン溶液(200mL)に氷冷下、トリエチルアミン(14.3mL)およびピリジン三酸化硫黄錯体(12.8g)を加え、氷冷下で3時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、残渣に酢酸エチル−ヘキサン=1:1(200mL)および水(200mL)を加え分液し、水層を除いた。水層を酢酸エチル−ヘキサン=1:1(200mL)で3回抽出し、有機層を合わせ無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、表題化合物(8.55g)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ1.44, 1.49 (9H, 2s), 1.88-2.59 (1H, m), 3.48-3.68 (1H, m), 3.77-4.03 (1H, m), 4.24-4.43 (1H, m), 5.13-5.32 (1H, m), 9.44-9.58 (1H, m)。
【0156】
(参考例33)N−tert−ブトキシカルボニル−4−オキソ−D−プロリンメチルエステル
参考例29の表題化合物(26.6g)およびジメチルスルホキシド(100mL)の塩化メチレン(220mL)溶液に氷冷下、トリエチルアミン(39.2mL)、ピリジン三酸化硫黄錯体(34.5g)を加え、室温まで昇温させ3時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、残渣に酢酸エチル−ヘキサン=1:1(300mL)および水(300mL)を加え分液し、水層を除いた。水層を酢酸エチル−ヘキサン=1:1(200mL)で3回抽出し、有機層をあわせ飽和食塩水(300mL)で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;酢酸エチル−ヘキサン=5:1)で精製し、表題化合物(23.7g)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ1.46, 1.48 (9H, 2s), 2.59 (1H, d), 2.88-3.02 (1H, m), 3.77 (3H, s), 3.90 (2H, m), 4.70-4.83 (1H, m)。
【0157】
(参考例34)(R)−N−tert−ブトキシカルボニル−4−モルホリニル−D−プロリンメチルエステル
参考例33の表題化合物(4.00g)およびモルホリン(1.72mL)のクロロホルム(33mL)溶液に室温下、酢酸(1.02mL)を加え、室温で30分間攪拌後、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(5.02g)を加えた。反応液を室温で15時間攪拌した後に、反応液にクロロホルム(50mL)および飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(30mL)を加えて分液し、水層を除いた。水層をクロロホルム(20mL)で3回抽出し、有機層を合わせ、飽和食塩水(30mL)で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;酢酸エチル−ヘキサン=5:1から1:1)で精製し、表題化合物(5.09g)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ1.41, 1.46 (9H, 2s), 1.77-1.91 (1H, m), 2.38-2.54 (5H, m), 2.70-2.85 (1H, m), 3.23 (1H, t, J = 9.8 Hz), 3.60-3.90 (8H, m), 4.21-4.32 (1H, m)。
【0158】
(参考例35)(R)−N−tert−ブトキシカルボニル−4−モルホリニル−D−プロリノール
参考例34の表題化合物(5.09g)のテトラヒドロフラン溶液(33.0mL)に氷冷下、水素化リチウムアルミニウム(779mg)を加え20分間攪拌した後に、氷冷下で攪拌しながら、水(780uL)、4.0mol/L水酸化ナトリウム水溶液(2.34mL)、水(2.34mL)を順次加えた。析出する白色沈殿物をセライトを用いて除き、ろ液を減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;酢酸エチル−ヘキサン=1:1)で精製し、表題化合物(2.51g)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ1.47 (9H, s), 1.63-1.83 (1H, m), 2.19-2.28 (1H, m), 2.42-2.73 (5H, m), 3.17 (1H, brt), 3.48-4.03 (8H, m), 5.15 (1H, br)。
【0159】
(参考例36)(R)−N−tert−ブトキシカルボニル−4−モルホリニル−D−プロリナール
参考例35の表題化合物(1.42g)およびジメチルスルホキシド(10.0mL)の塩化メチレン溶液(25.0mL)に氷冷下、トリエチルアミン(1.80mL)およびピリジン三酸化硫黄錯体(1.58g)を加え3時間氷冷下で攪拌した。反応液に水(50mL)を加え、分液し水層を除いた。水層を塩化メチレン(20mL)で3回抽出し、飽和食塩水(30mL)で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣に酢酸エチル−ヘキサン=1:1(30mL)および水(30mL)を加え分液し水層を除いた。水層を酢酸エチル−ヘキサン=1:1(30mL)で3回抽出し、有機層を合わせ硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、表題化合物(1.08g)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ1.44,1.48 (9H, 2s), 1.63 (1H, br), 1.91-2.12 (1H, m), 2.15-2.26 (1H, m), 2.41-2.52 (4H, m), 2.72-2.84 (1H, m), 3.35-3.47 (1H, m), 3.56-3.74 (5H, m), 3.99-4.16 (1H, m), 9.41-9.48 (1H, m)。
【0160】
(参考例37)N−tert−ブトキシカルボニル−4−メチレン−D−プロリンメチルエステル
tert−ブトキシカリウム(1.47g)のテトラヒドロフラン懸濁液(18.0mL)に室温下、トリフェニルホスフィンメチルブロマイド(4.67g)を加えた。反応液を50℃で30分間攪拌し、参考例33の表題化合物(2.12g)のテトラヒドロフランの溶液(5mL)を室温下で加えた。反応液を50℃で1時間攪拌し、減圧濃縮後、酢酸エチル(30mL)および0.5mol/L塩酸(30mL)を加え分液し、水層を除いた。水層を酢酸エチル(15mL)で2回抽出し、有機層を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;酢酸エチル−ヘキサン=5:1から2:1)で精製し、表題化合物(1.00g)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ1.45 (9H, d), 2.62 (1H, brd), 2.96 (1H, brq), 3.73 (3H, s), 4.07 (2H, brd), 4.45 (1H, ddd), 5.00 (2H, br)。
【0161】
(参考例38)(R)−N−tert−ブトキシカルボニル−4−メチル−D−プロリンメチルエステル
参考例37の表題化合物(990mg)のメタノール溶液(8.20mL)に窒素雰囲気にて10%パラジウム−炭素(873mg)を室温下で加えた。水素雰囲気下にした後、反応液を室温で5時間攪拌した。触媒をセライトを用いて除き、減圧濃縮し、表題化合物(1.01g)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ1.03-1.07 (3H, m), 1.46-1.61 (10H, m), 1.74-1.89 (1H, m), 2.15-2.43 (2H, m), 2.98 (1H, t), 3.72 (3H, s), 4.09-4.38 (1H, m)。
【0162】
(参考例39)(R)−N−tert−ブトキシカルボニル−4−メチル−D−プロリノール
参考例38の表題化合物(963mg)のテトラヒドロフラン溶液(120mL)に氷冷下,水素化リチウムアルミニウム(187mg)を加え20分間氷冷下で攪拌した。反応液を氷冷下で攪拌しながら、水(187uL)、4.0mol/L 水酸化ナトリウム水溶液(561uL)、水(561uL)を順次加え、30分間室温で攪拌した。析出する白色沈殿物をセライトを用いて除いた後、減圧濃縮し、表題化合物(840mg)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ1.01-1.08 (4H, m), 1.47 (9H, m), 1.58-1.68 (1H, m), 2.05-2.31 (2H, m), 2.70-2.98 (1H, m), 3.37-4.25 (4H, m)。
【0163】
(参考例40)(R)−N−tert−ブトキシカルボニル−4−メチル−D−プロリナール
参考例39の表題化合物(825mg)の塩化メチレン溶液(19.0mL)に室温下、ジメチルスルホキシド(8.00mL)を加えた後、氷冷下に冷却し、トリエチルアミン(1.39mL)およびピリジン三酸化硫黄錯体(1.22g)を加えた。反応液を氷冷下で30分間攪拌した後、減圧濃縮し、残渣に水(30mL)、酢酸エチル−ヘキサン=1:1(50mL)を加え分液し、水層を除いた。水層を酢酸エチル−ヘキサン=1:1(20mL)で2回抽出し、有機層を合わせ無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、表題化合物(813mg)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ1.03-1.09 (3H, m), 1.42, 1.47 (9H, 2s), 2.07-2.39 (3H, m), 2.92-3.09 (1H, m), 3.60-3.80 (1H, m), 3.99-4.17 (1H, m), 9.38-9.62 (1H, m)。
【0164】
(参考例41)(R)−N−tert−ブトキシカルボニル−4−トシル−D−プロリンメチルエステル
参考例29の表題化合物(10.0g)のピリジン(25mL)−塩化メチレン(84mL)溶液に氷冷下、p−トルエンスルホニルクロリド(10.1g)を加え、室温まで昇温させ、2時間攪拌した。反応液に水(100mL)およびクエン酸(80g)を加えて攪拌後分液し、水層を塩化メチレン(300mL)で3回抽出した。有機層をあわせて無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;酢酸エチル−ヘキサン=5:1から2:1)で精製し、表題化合物(9.01g)得た。
1H-NMR (CDCl3):δ1.40, 1.44 (9H, 2s), 2.34-2.52 (1H, m), 2.45 (3H, s), 3.54-3.75 (5H, m), 4.31-4.46 (1H, m), 5.00-5.09 (1H, m), 7.35 (2H, brd), 7.76 (2H, brd)。
【0165】
(参考例42)(R)−N−tert−ブトキシカルボニル−4−アセチルチオ−D−プロリンメチルエステル
参考例41の表題化合物(4.22g)のジメチルホルムアミド溶液(26.5mL)に室温下、チオ酢酸カリウム(1.54g)を加えた。70℃で5時間攪拌した。反応液に酢酸エチル−ヘキサン=1:1(100mL)および0.5mol/L塩酸(50mL)を加え、分液し水層を除いた。水層を酢酸エチル−ヘキサン=1:1(20mL)で3回抽出し、有機層を合わせ飽和食塩水(30mL)で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;酢酸エチル−ヘキサン=5:1から2:1)で精製し、表題化合物(2.70g)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ1.41, 1.46 (9H, 2s), 2.15-2.45 (2H, m), 2.33 (3H, s), 3.28-3.46 (1H, m), 3.75 (3H, s), 3.91-4.09 (2H, m), 4.26-4.42 (1H, m)。
【0166】
(参考例43)(R)−N−tert−ブトキシカルボニル−4−メチルチオ−D−プロリノール
参考例42の表題化合物(2.25g)のテトラヒドロフラン溶液(37.0mL)に氷冷下、水素化リチウムアルミニウム(530mg)を加え、反応液を氷冷下で2時間攪拌した。反応液を氷冷下で攪拌しながら、水(580uL)を加え、4mol/L塩酸(1.74mL)および水(1.74mL)を順次加えた。析出する白色沈殿物をセライトろ過で除き、減圧濃縮した。残渣および炭酸カリウム(1.44g)のメタノール溶液(17.4mL)に室温下、ヨウ化メチル(4.33mL)を加えた。反応液を室温で4時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、残渣にクロロホルム(30.0ml)および0.5mol/L塩酸水溶液(20.0mL)を加えて分液し、水層を除いた。水層をクロロホルム(20mL)で3回抽出した。有機層を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;酢酸エチル−ヘキサン=2:1から1:1)で精製し、表題化合物(998mg)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ1.48 (9H, 2s), 1.88-2.07 (2H, m), 2.13 (3H, s), 3.25-3.70 (5H, m), 3.99 (1H, br), 4.25 (1H, brd)。
【0167】
(参考例44)(R)−N−tert−ブトキシカルボニル−4−メチルチオ−D−プロリナール
参考例43の表題化合物(998mg)およびジメチルスルホキシド(8.1mL)の塩化メチレン溶液(20.0mL)に氷冷下、トリエチルアミン(1.34mL)およびピリジン三酸化硫黄錯体(1.28g)を加え、室温で2時間攪拌した。反応液に酢酸エチル−ヘキサン=1:1(40.0mL)および0.5mol/L塩酸(40.0mL)を加え、分液し水層を除いた。水層を酢酸エチル−ヘキサン=1:1(30mL)で3回抽出、有機層を合わせ飽和食塩水(30mL)で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮して表題化合物(986mg)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ1.43, 1.47 (9H, 2s), 2.01-2.39 (2H, m), 1.81-2.56 (2H, m), 2.14 (3H, s), 3.56-3.72 (1H, m), 3.16-3.86 (3H, m), 4.23-4.42 (1H, m), 9.52-9.62 (1H, m)。
【0168】
参考例31〜44の化合物を以下に示す。
【0169】
【化19】

【0170】
(実施例1)N−{1−〔4−クロロ−N−(1−メチルピぺリジン−4−イル)−D−フェニルアラニル〕−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル}−2−メチルプロパンアミド、・2塩酸塩
参考例9の表題化合物(150mg)及び1−メチル−4−ピペリドン(43.0uL)をテトラヒドロフランに溶解し、氷冷下トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(106mg)および酢酸(22.0uL)を加え室温で12時間攪拌した。反応液に1.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加えクロロホルムで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後に減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した後にメタノールおよび4.0mol/L塩酸−ジオキサン溶液を加え塩酸塩とし、溶媒を留去、減圧下で乾燥し表題化合物(184mg)を得た。
MS(ESI)m/z 531(M+H)
Rt(分) 1.11。
【0171】
(実施例2)N−{1−[N−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)−4−クロロ−D−フェニルアラニル]−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル}−2−メチルプロパンアミド・2塩酸塩
参考例9の表題化合物(150mg)及び1−ベンジル−4−ピペリドン(65.0uL)を用いて実施例1と同様の手法により表題化合物(156mg)を得た。
MS(ESI)m/z 607(M+H)
Rt(分) 1.19。
【0172】
(実施例3)N−{1−[N−(1−アセチルピペリジン−4−イル)−4−クロロ−D−フェニルアラニル]−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル}−2−メチルプロパンアミド・塩酸塩
参考例9の表題化合物(150mg)及び1−アセチル−4−ピペリドン(43.0uL)を用いて実施例1と同様の手法を用いることにより表題化合物(150mg)を得た。
MS(ESI)m/z 559(M+H)
Rt(分) 1.22。
【0173】
(実施例4)N−(tert−ブチル)−1−(4−クロロ−N−{[(2R)−1−メチルピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−カルボキシアミド・2塩酸塩
参考例6の表題化合物(300mg)及び参考例16の表題化合物(226mg)をクロロホルムに溶解し、氷冷下トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(521mg)および酢酸(124uL)を加え室温で17時間攪拌した。反応液に1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加えクロロホルムで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後に減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した後にメタノールおよび4mol/L塩酸−ジオキサン溶液を加え塩酸塩とし、溶媒を留去、減圧下で乾燥し表題化合物(62.2mg)を得た。
MS(ESI)m/z 545(M+H)
Rt(分) 1.26。
【0174】
(実施例5)N−[1−(4−クロロ−N−{[(2R)−1−エチルピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド・2塩酸塩
参考例9の表題化合物(300mg)及び参考例19の表題化合物(131mg)をクロロホルムに溶解し氷冷下、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(263mg)および酢酸(42.8uL)を加え室温で23時間攪拌した。反応液に1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加えクロロホルムで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後に減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した後にメタノールおよび4.0mol/L塩酸−ジオキサン溶液を加え塩酸塩とし、溶媒を留去、減圧下で乾燥し表題化合物(57.6mg)を得た。
MS(ESI)m/z 545(M+H)
Rt(分) 1.18。
【0175】
(実施例6)N−[1−(4−クロロ−N−{[(2R)−1−イソプロピルピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド・2塩酸塩
参考例9の表題化合物(300mg)及び参考例22の表題化合物(127mg)を用いて実施例6と同様の手法を用いることにより表題化合物(315mg)を得た。
MS(ESI)m/z 559(M+H)
Rt(分) 1.20。
【0176】
実施例1〜6の化合物を以下に示す。
【0177】
【化20】

【0178】
(実施例7)N−[1−(4−クロロ−N−{[(2R)−1−ブチルピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド・2塩酸塩
参考例9の表題化合物(300mg)及び参考例25の表題化合物(137mg)を用いて実施例6と同様の手法を用いることにより表題化合物(255mg)を得た。
MS(ESI)m/z 559(M+H)
Rt(分) 1.22。
【0179】
(実施例8)N−[1−(4−クロロ−N−{[(2R)−1−イソブチルピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド・2塩酸塩
参考例9の表題化合物(300mg)及び参考例28の表題化合物(139mg)を用いて実施例6と同様の手法を用いることにより表題化合物(190mg)を得た。
MS(ESI)m/z 572(M+H)
Rt(分) 1.26。
【0180】
(実施例9)N−[1−(4−フルオロ−N−{[(2R)−1−メチルピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド・2トリフルオロ酢酸塩
参考例10の表題化合物(250mg)及び参考例16の表題化合物(226mg)をクロロホルムに溶解し、氷冷下トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(254mg)、酢酸(70uL)を加え室温で10時間攪拌した。反応液に1.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加えクロロホルムで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後に減圧濃縮した。残渣をトリフルオロ酢酸を含んだ水・アセトニトリルを移動層とする逆相カラムクロマトグラフィーで精製し溶出液を減圧下で乾燥し表題化合物(314mg)を得た。
MS(ESI)m/z 515(M+H)
Rt(分) 1.10。
【0181】
(実施例10)N−(1−{4−クロロ−N−[(2R)−ピロリジン−2−イルメチル]−D−フェニルアラニル}−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル)−2−メチルプロパンアミド・2塩酸塩
参考例9の表題化合物(200mg)及び参考例12の表題化合物(84.6mg)をクロロホルムに溶解し、氷冷下トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(130mg)、酢酸(26.4uL)を加え室温にて17時間攪拌した。反応液に1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加えクロロホルムで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後に減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した後にメタノールに溶解し4.0mol/L塩酸−酢酸エチル溶液を加え室温にて3時間攪拌した。溶媒を減圧下留去し、表題化合物(43.3mg)を得た。
MS(ESI)m/z 517(M+H)
Rt(分) 1.13。
【0182】
(実施例11)N−(1−{4−クロロ−N−[(2S)−ピロリジン−2−イルメチル]−D−フェニルアラニル}−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル)−2−メチルプロパンアミド
参考例9の表題化合物(200mg)及び参考例17の粗生成物(84.7mg)を用いて実施例10と同様の手法を用いることにより表題化合物(43.3mg)を得た。
MS(ESI)m/z 518(M+H)
Rt(分) 1.12。
【0183】
(実施例12)N−(tert−ブチル)−1−{4−フルオロ−N−[(2R)−ピロリジン−2−イルメチル]−D−フェニルアラニル}−4−シクロヘキシルピペリジン−4−カルボキシアミド
参考例8の表題化合物(120mg)及び参考例12の表題化合物(112mg)を用いて実施例10と同様の手法を用いることにより表題化合物(108mg)を得た。
MS(ESI)m/z 515(M+H)
Rt(分) 1.16。
【0184】
実施例7〜12の化合物を以下に示す。
【0185】
【化21】

【0186】
(実施例13)N−[1−(4−クロロ−N−{[(2R,4R)−4−メチルピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド・2塩酸塩
参考例9の表題化合物(300mg)及び参考例40の表題化合物(192mg)を用いて実施例10と同様の手法を用いることにより表題化合物(341mg)を得た。
MS(ESI)m/z 531(M+H)
Rt(分) 1.16。
【0187】
(実施例14)N−[1−(4−クロロ−N−{[(2R,4S)−4−(メチルチオ)ピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド・2塩酸塩
参考例9の表題化合物(200mg)及び参考例44の表題化合物(147mg)を用いて実施例10と同様の手法を用いることにより表題化合物(204mg)を得た。
MS(ESI)m/z 563(M+H)
Rt(分) 1.18。
【0188】
(実施例15)N−(1−{4−フルオロ−N−[(2R)−ピロリジン−2−イルメチル]−D−フェニルアラニル}−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル)−2−メチルプロパンアミド・2塩酸塩
参考例10の表題化合物(300mg)及び参考例12の表題化合物(287mg)を用いて実施例10と同様の手法を用いることにより表題化合物(323mg)を得た。
MS(ESI)m/z 501(M+H)
Rt(分) 1.08。
【0189】
(実施例16)N−(tert−ブチル)−1−(4−クロロ−N−{[(2R,4S)−4−フルオロピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−カルボキシアミド・2塩酸塩
参考例6の表題化合物(250mg)及び参考例32の表題化合物(294mg)を用いて実施例10と同様の手法を用いることにより表題化合物(236mg)を得た。
MS(ESI)m/z 549(M+H)
Rt(分) 1.24。
【0190】
(実施例17)N−(tert−ブチル)−1−(4−フルオロ−N−{[(2R,4S)−4−フルオロピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−カルボキシアミド・2塩酸塩
参考例8の表題化合物(250mg)及び参考例32の表題化合物(252mg)を用いて実施例10と同様の手法を用いることにより表題化合物(199mg)を得た。
MS(ESI)m/z 533(M+H)
Rt(分) 1.20。
【0191】
(実施例18)N−[1−(4−フルオロ−N−{[(2R,4R)−4−フルオロピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド・2塩酸塩
参考例10の表題化合物(300mg)及び参考例32の表題化合物(313mg)を用いて実施例10と同様の手法を用いることにより表題化合物(194mg)を得た。
MS(ESI)m/z 519(M+H)
Rt(分) 1.10。
【0192】
実施例13〜18の化合物を以下に示す。
【0193】
【化22】

【0194】
(実施例19)N−[1−(4−クロロ−N−{[(2R,4R)−4−モルホリン−4−イルピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド・3塩酸塩
参考例9の表題化合物(900mg)及び参考例36の表題化合物(707mg)を用いて実施例10と同様の手法を用いることにより表題化合物(893mg)を得た。
MS(ESI)m/z 602(M+H)
Rt(分) 1.11。
【0195】
実施例19の化合物について、以下に示す。
【0196】
【化23】

【0197】
実験例の化合物について薬理試験結果を以下に記す。
【0198】
(実験例1)ヒト4型受容体のクローニングと安定発現株の取得方法
ヒトメラノコルチン4型受容体は1つのエクソン構造からなる遺伝子であるため、ヒト血球由来のジェノミック(500ng)を鋳型に用い、PCR法により増幅を行った。プライマーはジェンバンクに登録されたcDNA塩基配列をもとに設計した。フォワードプライマー(hMC4R-F)とし5’-GGTACCATGGTGAACTCCACCCACCGT-3’(配列番号1)を用いた。リバースプライマー(hMC4R-R)として5’-CTCGAGTAATATCTGCTAGACAAGTCACAAAGG-3’(配列番号2)を用いた。上述プライマーセット(F,R)を20pmolずつ添加し、Takara Ex Taq(宝酒造)を使用して、PCR反応をPeltier Thermal Cycler PTC-200 (MJ Reseach)にて行った(反応条件:98℃で2分30秒インキュベーション後、96℃で30秒間(変性)、65℃で30秒間(アニーリング)、72℃で2分間(伸長)の各変性、アニーリング、伸長反応のセットを35回実施後、更に72℃で6分間インキュベーション)。
【0199】
目的サイズ(1011塩基対)の遺伝子断片をアガロースゲル電気泳動により分離回収し、pT7-Blueベクター(Novagen)にサブクローニングし、オートシークエンサー:ABI PRISM 377 Genetic Analyzer (Applied Biosystems)にて目的の配列であることを確認した。哺乳動物細胞用の発現ベクターに乗せ換えるため、サブクローニングに用いたプラスミドをKpnIとXho I(プライマーセット内に導入した制限酵素認識配列)で消化し、上述と同様にDNA断片を回収した。得られたDNA断片を同じ制限酵素で処理した動物細胞発現用プラスミドpcDNA3.1(+)(invitrogen)と混合、Ligation High(TOYOBO)を用いて連結し、動物細胞発現用コンストラクトhMC4R/pcDNA3.1(+)を得た。更にhMC4R/pcDNA3.1(+)で大腸菌コンピテントセルDH5α(TOYOBO)を形質転換、増幅した。このコンストラクトをcAMP応答性レポーター遺伝子(CRE-Luciferase)を導入済みの哺乳動物細胞CRE-Luc/HEK293にFugene6を用いて導入した。その後、安定発現株を取得するため、HEK293由来株を100ug/mL Hygromycin,400ug/mL G418を添加したDMEM(10% FBS)で培養(37℃,5% CO2)し、限界希釈法により単一クローン株(hMC4R/CRE-Luc/HEK293細胞)を取得した。
【0200】
(実験例2)メラノコルチン−4受容体に対する化合物の活性測定
上記のようにして得られたhMC4R/CRE-Luc/HEK293細胞は、通常75cm2細胞培養用フラスコを用い、5%CO2、37℃下にて、10% FCS(Gibco BRL)、100μg/mL hyglomycin(WAKO)および400μg/mL G418(ナカライテスク)を含有するDMEM培地(Sigma, phenol red(+))中で培養した。活性測定時には継代培養されているhMC4R/CRE-Luc/HEK293細胞をトリプシン(Gibco BRL)にて剥がし、血清を含まないDMEM培地(Sigma, phenol red(-))に懸濁、22×104 cells/mLの細胞密度に調整したものを90μL/wellずつ96穴白色プレート(スミロンMS8096W)に播種し、5%CO2、37℃下にて一昼夜培養した。被験化合物はDMSOを使用して溶解し、well上における終濃度の200倍濃度になるように順次希釈した。なお、ネガティブコントロールにはDMSOを用いた。順次希釈した化合物のDMSO溶液を1% BSA(Sigma)を含むPBS(Gibco BRL)を用いて20倍に希釈し、これを上述の通り前日より準備した96穴プレートの細胞培養液に10μL/wellずつ添加した。4から5時間後、各wellにBright-Glo(Promega)を10μL/wellで添加し攪拌、ARVO (Perkin Elmer)を用いてwell毎に発光強度を測定した。計測されたルシフェラーゼ発光強度の平均値を被験化合物ごとに算出し、これらを各被験化合物刺激時の発光強度の代表値とした。EC50値およびEmaxはPrism (ver.4.02, GraphPad Software, Inc.)を用いて算出した。
【0201】
結果を以下に示す。
【0202】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0203】
本発明の式(I)で表される化合物は、メラノコルチン−4受容体(MC4R)にアゴニストとして強く作用するものであるので、種々の疾患(例えば肥満症や性機能不全、性交渉不全をはじめとする不妊症)の予防、治療、改善剤として有用な医薬となりうる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)
【化1】

{式中
1は、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基であり、
2は、
(1)水素原子、
(2)炭素数1〜8のアルキル基、
(3)(CR3−8シクロアルキル基、
(4)(CRアリール基、
(5)(CRヘテロアリール基、
(6)(CRヘテロサイクル基、
(7)(CR−N(R1c)C(O)R2c
(8)(CR−N(R1c)S(O)2c
(9)(CR−N(R1c)(R2c)、
(10)(CR−C(O)OR1c
(11)(CR−C(O)N(R1c)(R2c)、
(12)(CR−OR1cであることを示し、
〔上記Rにおける(3)のシクロアルキル基、(4)のアリール基、(5)のヘテロアリール基、(6)のヘテロサイクル基は、R若しくはオキソから任意に選択される1〜4個の基で置換されていてよく、更に該置換基が2以上の場合には、それぞれの該置換基は同一又は異なっていてよく、
nは0、1、2又は3であり、
mは0、1又は2であり、
、R、R1c及びR2cは、同一又は異なっていてよく、それぞれ
(1)水素原子、
(2)炭素数1〜8のアルキル基、
(3)アリール基、
(4)アリールアルキル基(炭素数1〜4のアルキル基)、
(5)ヒドロキシ基、
(6)炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基であることを示し、
更にはRとRは、一緒になってC3−8シクロアルキル基を形成していてもよい。〕
1及びR2は、それらが一緒になって、ヘテロサイクル基を形成していてもよく(該ヘテロサイクル基は、R若しくはオキソから選択される1〜4個の基で置換されていてよく、更に該置換基が2以上の場合には、それぞれの該置換基は同一又は異なっていてよい。)、
3及びR4は、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基、ヒドロキシ基であることを示し、
2とR3は、それらが一緒になって、炭素数3〜10のシクロアルキル基又はヘテロサイクル基を形成していてもよく(該シクロアルキル基又はヘテロサイクル基は、R若しくはオキソから選択される1〜4個の基で置換されていてよく、更に、2以上の該置換基で置換されている場合には、それぞれの該置換基は同一又は異なっていてもよい。)、
2、R3及びR4は、それらが一緒になって、アリール基またはヘテロアリール基を形成していてもよく(該アリール基または該ヘテロアリール基は、R若しくはオキソから選択される1〜4個の基で置換されていてよく、更に該置換基が2以上の場合には、それぞれの該置換基は同一又は異なっていてよい。)、
〔上記R1〜RのRは、
(1)ハロゲン原子、
(2)シアノ基、
(3)炭素数1〜8のアルキル基、
(4)炭素数3〜8のシクロアルキル基、
(5)アリール基、
(6)アリールアルキル基(炭素数1〜4のアルキル基)、
(7)ヘテロアリール基、
(8)ヘテロサイクル基、
(9)−OR1d
(10)−NH−SO1d
(11)−N(R1d)(R2d)、
(12)−NH−C(O)R1d
(13)−C(O)OR1d
(14)−C(R1d)(R2d)−N(R3d)(R4d)、
(15)−C(O)R1d
(16)−SO−N(R1d)(R2d)、
(17)−S(O)−R1d
(18)−CF
(19)−OCFであることを示し、
上記Rにおける(4)シクロアルキル基、(5)アリール基、(6)アリールアルキル基、(7)ヘテロアリール基及び(8)ヘテロサイクル基は、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜8のアルキル基によって置換されていてもよく、更に該置換基が2以上の場合には、それぞれの該置換基は同一又は異なっていてよく、
mは0、1又は2であり、
1d、R2d、R3d及びR4dは、同一又は異なっていてよく、それぞれ、
(1)水素原子、
(2)炭素数1〜8のアルキル基、
(3)アリール基、
(4)アリールアルキル基(炭素数1〜4のアルキル基)、
(5)ヘテロアリール基であることを示し、
上記R1d、R2d、R3d及びR4dの(3)アリール基、(4)アリールアルキル基及び(5)ヘテロアリール基は、炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子又はシアノ基により置換されていてよく、更に該置換基が2以上の場合には、それぞれの該置換基は同一又は異なっていてよい。〕
5は、
(1)水素原子、
(2)炭素数1〜8のアルキル基、
(3)(CHR3−8シクロアルキル基、
(4)(CHRアリール基、
(5)(CHRヘテロアリール基、
(6)(CHRO(CHRアリール基であることを示し、
〔上記Rにおける(3)のシクロアルキル基、(4)若しくは(6)のアリール基、(5)のヘテロアリール基は、1〜4個のRで置換されていてよく、Rが2個以上の場合には、それぞれのRは同一、又は異なっていてよく、
pは、0、1又は2であり、
は、
(1)水素原子、
(2)炭素数1〜8のアルキル基、
(3)アリール基、
(4)アリールアルキル基(炭素数1〜4のアルキル基)、
(5)シクロアルキル基であることを示し、
は、Rと同義である。〕
は、
(1)水素原子、
(2)炭素数1〜8のアルキル基、
(3)(CH3−8シクロアルキル基、
(4)(CHアリール基、
(5)(CHヘテロアリール基、
(6)(CHヘテロサイクル基であり、
は、
(1)水素原子、
(2)炭素数1〜8のアルキル基、
(3)(CH3−8シクロアルキル基、
(4)(CHアリール基、
(5)(CHヘテロアリール基、
(6)(CHヘテロサイクル基、
(7)(CHシアノ基、
(8)(CH−C(O)N(R1g)(R2g)、
(9)(CH−C(O)OR1g
(10)(CH−N(R1g)C(O)R2g
(11)(CH−N(R1g)C(O)OR2g
(12)(CH−N(R1g)C(O)N(R2g)(R3g)、
(13)(CH−N(R1g)S(O)N(R2g)(R3g)、
(14)(CH−S(O)1g
(15)(CH−SON(R1g)(R2g)、
(16)(CH−OC(O)R1g
(17)(CH−OC(O)OR1g
(18)(CH−OC(O)N(R1g)(R2g)、
(19)(CH−N(R1g)(R2g)、
(20)(CH−N(R1g)S(O)2g
(21)(CH−C(O)N(R1g)(CHN(R2g)(R3g)、
(22)(CH−C(O)N(R1g)(CHN(R2g)S(O)3g
(23)(CH−N(R1g)C(O)(CHN(R2g)(R3g)であること
〔上記W、Wにおいて
qは、0、1、2又は3であり、
mは0、1又は2であり、
1g、R2g、R3gは、同一又は異なっていてよく、それぞれ、水素原子又は、炭素数1〜8のアルキル基を示す。〕を示す。}
で表されるピペリジン誘導体若しくはその薬理学的に許容されるその塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物。
【請求項2】
が、水素原子又は−CHである請求項1に記載のピペリジン誘導体若しくはその薬理学的に許容されるその塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物。
【請求項3】
が、水素原子である請求項2に記載のピペリジン誘導体若しくはその薬理学的に許容されるその塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物。
【請求項4】
下記一般式(II)
【化2】

〔一般式(II)は、一般式(I)の
、R、Rが水素原子であり、
が(4)(CHRアリール基であり、さらにRが水素原子、p=1、アリール基がフェニル基であり、
一般式(II)のR、R、W、Wは、それぞれ、一般式(I)のR、R、W、Wと同義であることを示す。〕
で表される請求項1に記載のピペリジン誘導体若しくはその薬理学的に許容されるその塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物。
【請求項5】
nが0、1又は2である請求項4に記載のピペリジン誘導体若しくはその薬理学的に許容されるその塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物。
【請求項6】
が(3)(CR3−8シクロアルキル基、(4)(CRアリール基、(5)(CRヘテロアリール基、(6)(CRヘテロサイクル基である請求項5に記載のピペリジン誘導体若しくはその薬理学的に許容されるその塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物。
【請求項7】

(3)がシクロへキシル、シクロへプチル、シクロペンチルであり、
(4)がフェニル、ナフチルであり、
(5)がフリル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリニル、オキサゾリニル、ピラニル、チアジニル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、オキサジニル、トリアジニル、インドリル、インドリニル、ベンゾイミダソリル、ベンゾオキサゾリル、キノリル、イソキノリル、イソチアゾリルであり、
(6)がピロリジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、ピペリジノ、ピペリジル、ピペラジニル、モルフォリノ、モルフォリニルから選択される請求項6に記載のピペリジン誘導体若しくはその薬理学的に許容されるその塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物。
【請求項8】
下記一般式(III)
【化3】

〔一般式(III)は、一般式(I)の
、Rが水素原子であり、
2とR3は、それらが一緒になって、炭素数3〜10のシクロアルキル基又はヘテロサイクル基(一般式(III)中、「Ar」と略する。)を形成し、(Arは、R若しくはオキソから選択される1〜4個の基で置換されていてよく、更に、2以上の該置換基で置換されている場合には、それぞれの該置換基は同一又は異なっていてもよい。)
が(4)(CHRアリール基であり、さらにRが水素原子、p=1、アリール基がフェニル基であり、
一般式(III)のR、R、W、Wは、それぞれ、一般式(I)のR、R、W、Wと同義であることを示す。〕
で表される請求項1に記載のピペリジン誘導体若しくはその薬理学的に許容されるその塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物。
【請求項9】
Arのシクロアルキル基が、シクロヘキシル、シクロへプチル、シクロペンチル、アダマンチル、並びにヘテロサイクル基が、ピロリジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、ピペリジノ、ピペリジル、ピペラジニル、モルフォリノ、モルフォリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、キヌキリジニルから選択されるものである請求項8に記載のピペリジン誘導体若しくはその薬理学的に許容されるその塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物。
【請求項10】
の(CH3−8シクロアルキル基が、シクロヘキシル、シクロへプチル、シクロペンチルから選択されるものである請求項4〜9に記載のピペリジン誘導体若しくはその薬理学的に許容されるその塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物。
【請求項11】

(3)(CH3−8シクロアルキル基、
(4)(CHアリール基、
(5)(CHヘテロアリール基、
(6)(CHヘテロサイクル基、
(8)(CH−C(O)N(R1g)(R2g)、
(10)(CH−N(R1g)C(O)R2g
(14)(CH−S(O)1g
(20)(CH−N(R1g)S(O)2g
(21)(CH−C(O)N(R1g)(CHN(R2g)(R3g)、
(22)(CH−C(O)N(R1g)(CHN(R2g)S(O)3g
(23)(CH−N(R1g)C(O)(CHN(R2g)(R3g)である
請求項10に記載のピペリジン誘導体若しくはその薬理学的に許容されるその塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物。
【請求項12】
が、
q=1であり、
(3)のC3−8シクロアルキル基が、シクロへキシル、シクロへプチル、シクロペンチルであり、
(4)のアリール基がフェニル、ナフチルであり、
(5)のヘテロアリール基がフリル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリニル、オキサゾリニル、ピラニル、チアジニル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、オキサジニル、トリアジニル、インドリル、インドリニル、ベンゾイミダソリル、ベンゾオキサゾリル、キノリル、イソキノリル、イソチアゾリルであり、
(6)のヘテロサイクル基が、ピロリジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、ピペリジノ、ピペリジル、ピペラジニル、モルフォリノ、モルフォリニルから選択されるものである請求項11に記載のピペリジン誘導体若しくはその薬理学的に許容されるその塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物。
【請求項13】
の(10)が下記置換基から選択される請求項11に記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容出来る塩。
【化4】

アセチルアミド、プロパンアミド、ブタンアミド、2−メチルプロパンアミド、2,2−ジメチルプロパンアミド。
【請求項14】
以下の化合物から選ばれるいずれかのピペリジン誘導体若しくはその薬理学的に許容されるその塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物。
N−{1−〔4−クロロ−N−(1−メチルピぺリジン−4−イル)−D−フェニルアラニル〕−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル}−2−メチルプロパンアミド、
N−{1−[N−(1−ベンジルピペリジン−4−イル)−4−クロロ−D−フェニルアラニル]−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル}−2−メチルプロパンアミド、
N−{1−[N−(1−アセチルピペリジン−4−イル)−4−クロロ−D−フェニルアラニル]−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル}−2−メチルプロパンアミド、
N−[1−(4−クロロ−N−{[1−メチルピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド、
N−(tert−ブチル)−1−(4−クロロ−N−{[1−メチルピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−カルボキシアミド、
N−[1−(4−クロロ−N−{[1−エチルピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド、
N−[1−(4−クロロ−N−{[1−イソプロピルピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド、
N−[1−(4−クロロ−N−{[1−ブチルピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド、
N−[1−(4−クロロ−N−{[1−イソブチルピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド、
N−[1−(4−フルオロ−N−{[1−メチルピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド、
N−(1−{4−クロロ−N−[ピロリジン−2−イルメチル]−D−フェニルアラニル}−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル)−2−メチルプロパンアミド、
N−(tert−ブチル)−1−{4−フルオロ−N−[ピロリジン−2−イルメチル]−D−フェニルアラニル}−4−シクロヘキシルピペリジン−4−カルボキシアミド、
N−[1−(4−クロロ−N−{[4−メチルピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド
N−[1−(4−クロロ−N−{[4−(メチルチオ)ピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド、
N−(1−{4−フルオロ−N−[ピロリジン−2−イルメチル]−D−フェニルアラニル}−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル)−2−メチルプロパンアミド、
N−(tert−ブチル)−1−(4−クロロ−N−{[4−フルオロピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−カルボキシアミド、
N−(tert−ブチル)−1−(4−フルオロ−N−{[4−フルオロピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−カルボキシアミド、
N−[1−(4−フルオロ−N−{[4−フルオロピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド、
N−[1−(4−クロロ−N−{[4−モルホリン−4−イルピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド。
【請求項15】
以下の化合物から選ばれるいずれかのピペリジン誘導体若しくはその薬理学的に許容されるその塩、又はそれらの水和物若しくは溶媒和物。
N−[1−(4−クロロ−N−{[(2R)−1−メチルピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド、
N−(tert−ブチル)−1−(4−クロロ−N−{[(2R)−1−メチルピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−カルボキシアミド、
N−[1−(4−クロロ−N−{[(2R)−1−エチルピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド、
N−[1−(4−クロロ−N−{[(2R)−1−イソプロピルピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド、
N−[1−(4−クロロ−N−{[(2R)−1−ブチルピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド、
N−[1−(4−クロロ−N−{[(2R)−1−イソブチルピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド、
N−[1−(4−フルオロ−N−{[(2R)−1−メチルピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド、
N−(1−{4−クロロ−N−[(2R)−ピロリジン−2−イルメチル]−D−フェニルアラニル}−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル)−2−メチルプロパンアミド、
N−(tert−ブチル)−1−{4−フルオロ−N−[(2R)−ピロリジン−2−イルメチル]−D−フェニルアラニル}−4−シクロヘキシルピペリジン−4−カルボキシアミド、
N−[1−(4−クロロ−N−{[(2R,4R)−4−メチルピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド、
N−[1−(4−クロロ−N−{[(2R,4S)−4−(メチルチオ)ピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド、
N−(1−{4−フルオロ−N−[(2R)−ピロリジン−2−イルメチル]−D−フェニルアラニル}−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル)−2−メチルプロパンアミド、
N−(tert−ブチル)−1−(4−クロロ−N−{[(2R,4S)−4−フルオロピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−カルボキシアミド、
N−(tert−ブチル)−1−(4−フルオロ−N−{[(2R,4S)−4−フルオロピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−カルボキシアミド、
N−[1−(4−フルオロ−N−{[(2R,4R)−4−フルオロピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド、
N−[1−(4−クロロ−N−{[(2R,4R)−4−モルホリン−4−イルピロリジン−2−イル]メチル}−D−フェニルアラニル)−4−シクロヘキシルピペリジン−4−イル]−2−メチルプロパンアミド。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれかに記載のピペリジン誘導体若しくはその薬理学的に許容されるその塩を有効成分とする医薬又は医薬組成物。
【請求項17】
請求項1〜15のいずれかに記載のピペリジン誘導体若しくはその薬理学的に許容されるその塩を有効成分とする、メラノコルチン−4受容体作用剤。
【請求項18】
メラノコルチン−4受容体作用がアゴニスト作用である、請求項1〜15のいずれかに記載のピペリジン誘導体若しくはその薬理学的に許容されるその塩を有効成分とする、メラノコルチン−4受容体作用剤。
【請求項19】
請求項1〜15のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容出来る塩を有効成分とする、肥満症若しくは摂食亢進症の、予防剤又は治療剤。
【請求項20】
請求項1〜15のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容出来る塩を有効成分とする、性機能不全の改善剤。
【請求項21】
請求項1〜15のいずれかに記載のピペリジン誘導体またはその薬理学的に許容出来る塩を有効成分とする、不妊症の改善剤。

【公開番号】特開2006−282602(P2006−282602A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−105604(P2005−105604)
【出願日】平成17年4月1日(2005.4.1)
【出願人】(000006725)三菱ウェルファーマ株式会社 (92)
【Fターム(参考)】