説明

メルカプトオルガニル(アルコキシシラン)の製造方法

【課題】公知方法と比較してより穏やかな温度および/または圧力条件下で、少なくとも同等の変換率を達成する、ビス(アルコキシシリルオルガニル)−ポリスルフィドの還元的開裂のための方法を提供する。
【解決手段】少なくとも1種のアルコールおよびドープされた金属触媒の存在下に、ビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィドを、水素を用いて水素化し、その際、ドープされた金属触媒が、鉄、鉄化合物、ニッケル、ニッケル化合物、白金、白金化合物、オスミウム、オスミウム化合物、ルテニウム、ルテニウム化合物、ロジウム、ロジウム化合物、イリジウムおよびイリジウム化合物の群から成る少なくとも1種の物質および少なくとも1種のドーピング成分を含有することを特徴とする方法により解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メルカプトオルガニル(アルコキシシラン)の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
US6433206から、第VIII族の金属触媒の使用下で、ビス(オルガニルシリル)ポリスルフィドを水素化することによる、ケイ素含有オルガノメルカプタンの製造方法が記載されており、この場合、この金属触媒は、それぞれ水、HSまたはアルコールによる毒から保護しなければならないことが知られている。
【0003】
これらの方法は、省力(energy-sparing)条件下での変換率がかなり低いといった欠点を有する(形成される生成物シランg/分/触媒金属mmol)。公知の反応は、プラントのための高い金属装填量のために、実現には技術的困難を伴ってのみ、高い圧力−および温度条件下(>100バールおよび>180℃)でのみ、十分な変換率で実施される。
【0004】
DE102004043094.2から、メルカプトオルガニル(アルコキシシラン)を製造するための方法が知られており、この場合、この方法は、ビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィドを、<190℃の温度および<100バールの圧力で、水および遷移金属触媒を用いて、水、アルコールまたはHSを添加することなく水素化することを含む。
【0005】
さらにDE102004043093.4から、メルカプトオルガニル(アルコキシシラン)を製造するための方法が知られており、この場合、この方法は、ビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィドを溶剤中で、水素および遷移金属触媒と一緒に、水、アルコールまたはHSを添加することなく水素化することを含む。
【特許文献1】US6433206
【特許文献2】DE102004043094.2
【特許文献3】DE102004043093.4
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、ビス(アルコキシシリルオルガニル)−ポリスルフィドの還元的開裂のための方法を提供するものであって、この場合、この方法は、US6433206から公知の方法と比較して、より穏やかな温度および/または圧力条件下で、少なくとも同等の変換率を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の課題は以下の方法により解決された。
【0008】
本発明は、少なくとも1種のアルコールおよびドープされた金属触媒の存在下に、ビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィドを、水素を用いて水素化することによる、メルカプトオルガニル(アルコキシシラン)の製造方法に関し、この場合、この方法は、ドープされた金属触媒が、鉄、鉄化合物、ニッケル、ニッケル化合物、白金、白金化合物、オスミウム、オスミウム化合物、ルテニウム、ルテニウム化合物、ロジウム、ロジウム化合物、イリジウムおよびイリジウム化合物の群から成る少なくとも1種の物質および少なくとも1種のドーピング成分を含有することを特徴とする。
【0009】
ビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィドは、アルコール中の溶液にすることができる。
【0010】
ビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィドは、一般式(I)
Z−A−S−A−Z (I)
[式中、xは1〜14、好ましくは1〜8、より好ましくは2〜4、特に好ましくは2.0〜2.6および3.2〜3.9であり、
Zはそれぞれ同じかまたは異なって、SiXまたはSi(OCH−CH−)Nであり、かつ、
、X、Xは、それぞれ互いに独立して、炭素原子1〜18個(C〜C18)、好ましくは1〜10個(C〜C10)を有する直鎖、分枝または環状の炭化水素鎖であってもよく、特に好ましくはメチル−、エチル−、プロピル−またはブチル−、直鎖または分枝のアルキル酸基(C2a+1)−C(=O)O−(式中、a=1〜25)、たとえばアセトキシ−CH−(C=O)O−、直鎖または分枝の、アルケニル酸置換基(C2b−1)−C(=O)O−(式中、b=2〜25)、直鎖または分枝の、置換されたアルキル酸基またはアルケニル酸基、
5〜12個の炭素原子を有する非置換の、ハロゲン置換またはアルキル置換されたシクロアルカン基、
ベンジル基、
直鎖および/または分枝の炭化水素鎖を有する、ハロゲン置換またはアルキル置換されたフェニル基、アルコキシ基、好ましくは(C〜C24)アルコキシ、より好ましくはメトキシ−(CHO−)、エトキシ−(CO−)、プロポキシ−(CO−)、ブトキシ−(CO−)、ドデシルオキシ−(C1225O−)、テトラドデシルオキシ−(C1429O−)、ヘキサデシルオキシ−(C1633O−)またはオクタデシルオキシ−(C1837O−)、
炭素原子5〜12個を有するシクロアルコキシ基、たとえばシクロヘキサノール、
ハロゲン置換またはアルキル置換されたフェノキシ基またはベンジルオキシ基、
アルキルエーテル基O−(CR−CR)−O−Alkまたはアルキルポリエーテル基O−(CR−CR−O−Alk(式中、yは2〜25、好ましくは、yは2〜15、さらに好ましくは、yは3〜10、特に好ましくは、yは3〜6であり、Rは互いに独立してHまたはアルキル基、好ましくはCH基であり、Alkは、炭素原子1〜30個(C〜C30)、好ましくはC〜C20、より好ましくはC〜C18、特に好ましくはC〜C16を有する直鎖または分枝の、飽和または不飽和のアルキル鎖であり、
Aは直鎖または分枝の、飽和または不飽和の、芳香族または混合脂肪族/芳香族の、二価のC〜C30炭素原子、好ましくはC〜C、より好ましくは(−CH−)、(−CH−)、(−CH−)、(−CH(CH)−CH−)、(−CH−CH(CH)−)、(−CH−CH−CH(CH)−)または(−CH−CH(CH)−CH−)である]の化合物であってもよい。
【0011】
アルコキシポリエーテル基はエチレンオキシド−(CH−CH−O)およびプロピレンオキシド(CH(CH)−CH−O)または(CH−CH(CH)−O)−単位を、ランダムに分散されたかまたはブロックの形で含有していてもよい。
【0012】
アルキルポリエーテル基O−(CR−CRO)−Alkは、
【0013】
【化1】

【0014】
【化2】

であってもよい。
【0015】
Aは直鎖または分枝であり、かつ、飽和さらには不飽和の結合を含有していてもよい。Aは、Hの代わりに、種々の置換基が互いに独立して置換されていてもよく、たとえば−CN、−SN、−NH、ハロゲン、たとえば−Cl、−Brまたは−F、アルコール官能基−OHまたはアルコキシド−O−アルキルで置換していてもよい。Aとして、CH、CHCH2、CHCHCH2、CHCH(CH)、CHCHCHCH、CHCHCH(CH)、CHCH(CH)CH、CHCHCHCHCH、CHCH(CH)CHCH、CHCHCH(CH)CH、CH(CH)CHCH(CH)またはCHCH(CH)CH(CH)を使用することができる。
【0016】
一般式(I)のシランとして、たとえば以下の化合物を使用することができる:
【0017】
【化3】

【0018】
【化4】

【0019】
出発材料として使用されたビス(アルコキシシリルオルガニル)−ポリスルフィドは、種々のビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィドと−S−〜−S14−(x=1〜14)との混合物または純粋なビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィド(x=2〜14)である。
【0020】
ビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィドとして、平均硫黄鎖長2.0〜4.0を有する化合物または化合物の混合物を使用することができる。ビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィドのための平均硫黄鎖長は、相加平均S〜S14として定められてもよく、この場合、これらはHPLCにより測定されたものである。
【0021】
好ましくはビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィドとして、平均鎖長S=S2.0〜S2.6およびS=S3.2〜S3.9を有する化合物を使用することができる。
【0022】
特に好ましくは、平均鎖長2.0〜2.6を有するビス(アルコキシシリルオルガニル)ジスルフィドを使用することができ、それというのも、ビス(アルコキシシリルオルガニル)−ポリスルフィド(Sx=S2.7〜S3.9)と比較して、生成物g/分/触媒mmolでより高い変換率を達成することが可能であり、かつより少ないHSを放出するためである。
【0023】
基Z=−SiXは、一般式I中で、好ましくは、
【0024】
【化5】

【0025】
形成されたメプカプトオルガニル(アルコキシシラン)は、一般式(II)
W−A−SH (II)
[式中、Wは−SiYまたはSi(OCH−CH−)Nであり、その際、Y、Y、Yは互いに独立してX、X、Xまたはヒドロキシ(−OH)であってもよく、かつX、X、XおよびAは、それぞれ互いに独立して、式(I)の意味を有する]の化合物であってもよい。
【0026】
式II中の基W=−SiYは、好ましくは、
【0027】
【化6】

【0028】
一般式(II)のメルカプトオルガニル(アルコキシシラン)は、たとえば:
3−メルカプトプロピル(トリメトキシシラン)、
3−メルカプトプロピル(ジメトキシヒドロキシシラン)、
3−メルカプトプロピル(トリエトキシシラン)、
3−メルカプトプロピル(ジエトキシヒドロキシシラン)、
3−メルカプトプロピル(ジエトキシメトキシシラン)、
3−メルカプトプロピル(トリプロポキシシラン)、
3−メルカプトプロピル(ジプロポキシメトキシシラン)、
3−メルカプトプロピル(ジプロポキシヒドロキシシラン)、
3−メルカプトプロピル(トリドデカンオキシシラン)、
3−メルカプトプロピル(ジドデカンオキシヒドロキシシラン)、
3−メルカプトプロピル(トリテトラデカンオキシシラン)、
3−メルカプトプロピル(トリヘキサデカンオキシシラン)
3−メルカプトプロピル(トリオクタデカンオキシシラン)、
3−メルカプトプロピル(ジドデカンオキシ)テトラデカンオキシシラン、
3−メルカプトプロピル(ドデカンオキシ)テトラデカンオキシ(ヘキサデカンオキシ)シラン、
3−メルカプトプロピル(ジメトキシメチルシラン)、
3−メルカプトプロピル(メトキシメチルヒドロキシシラン)、
3−メルカプトプロピル(メトキシジメチルシラン)、
3−メルカプトプロピル(ヒドロキシジメチルシラン)、
3−メルカプトプロピル(ジエトキシメチルシラン)、
3−メルカプトプロピル(エトキシヒドロキシメチルシラン)、
3−メルカプトプロピル(エトキシジメチルシラン)、
3−メルカプトプロピル(ジプロポキシメチルシラン)、
3−メルカプトプロピル(プロポキシメチルヒドロキシシラン)、
3−メルカプトプロピル(プロポキシジメチルシラン)、
3−メルカプトプロピル(ジイイソプロポキシメチルシラン)、
3−メルカプトプロピル(イソプロポキシジメチルシラン)、
3−メルカプトプロピル(ジブトキシメチルシラン)、
3−メルカプトプロピル(ブトキシジメチルシラン)、
3−メルカプトプロピル(ジイソブトキシメチルシラン)、
3−メルカプトプロピル(シオブトキシメチルヒドロキシシラン)、
3−メルカプトプロピル(イソブトキシジメチルシラン)、
3−メルカプトプロピル(ジドデカンオキシメチルシラン)、
3−メルカプトプロピル(ドデカンオキシジメチルシラン)、
3−メルカプトプロピル(ジテトラデカンオキシメチルシラン)、
3−メルカプトプロピル(テトラデカンオキシメチルヒドロキシシラン)、
3−メルカプトプロピル(テトラデカンオキシジメチルシラン)、
2−メルカプトエチル(トリメトキシシラン)、
2−メルカプトエチル(トリエトキシシラン)、
2−メルカプトエチル(ジエトキシメトキシシラン)、
2−メルカプトエチル(トリプロポキシシラン)、
2−メルカプトエチル(ジプロポキシメトキシシラン)、
2−メルカプトエチル(トリドデカンオキシシラン)、
2−メルカプトエチル(トリテトラデカンオキシシラン)、
2−メルカプトエチル(トリヘキサデカンオキシシラン)、
2−メルカプトエチル(トリオクタデカンオキシシラン)、
2−メルカプトエチル(ジドデカンオキシ)テトラデカンオキシシラン、
2−メルカプトエチル(ドデカンオキシ)テトラデカンオキシ(ヘキサデカンオキシ)シラン、
2−メルカプトエチル(ジメトキシメチルシラン)、
2−メルカプトエチル(メトキシメチルヒドロキシシラン)、
2−メルカプトエチル(メトキシジメチルシラン)、
2−メルカプトエチル(ジエトキシメチルシラン)、
2−メルカプトエチル(エトキシジメチルシラン)、
2−メルカプトエチル(ヒドロキシジメチルシラン)、
1−メプカプトメチル(トリメトキシシラン)、
1−メプカプトメチル(トリエトキシシラン)、
1−メルカプトメチル(ジエトキシメトキシシラン)、
1−メプカプトメチル(ジエトキシヒドロキシシラン)、
1−メプカプトメチル(ジプロポキシメトキシシラン)、
1−メプカプトメチル(トリプロポキシシラン)、
1−メプカプトメチル(トリメトキシシラン)、
1−メプカプトメチル(ジメトキシメチルシラン)、
1−メプカプトメチル(メトキシジメチルシラン)、
1−メプカプトメチル(ジエトキシメチルシラン)、
1−メプカプトメチル(エトキシメチルヒドロキシシラン)、
1−メプカプトメチル(エトキシジメチルシラン)、
3−メルカプトブチル(トリメトキシシラン)、
3−メルカプトブチル(トリエトキシシラン)、
3−メルカプトブチル(ジエトキシメトキシシラン)、
3−メルカプトブチル(トリプロポキシシラン)、
3−メルカプトブチル(ジプロポキシメトキシシラン)、
3−メルカプトブチル(ジメトキシメチルシラン)、
3−メルカプトブチル(ジエトキシメチルシラン)、
3−メルカプトブチル(ジメチルメトキシシラン)、
3−メルカプトブチル(ジメチルエトキシシラン)、
3−メルカプトブチル(ジメチルヒドロキシシラン)、
3−メルカプトブチル(トリデカンオキシシラン)、
3−メルカプトブチル(トリテトラデカンオキシシラン)、
3−メルカプトブチル(トリヘキサデカンオキシシラン)、
3−メルカプトブチル(ジドデカンオキシ)テトラデカンオキシシラン、
3−メルカプトブチル(ドデカンオキシ)テトラデカンオキシ(ヘキサデカンオキシ)シラン、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(トリメトキシシラン)、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(トリエトキシシラン)、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(ジエトキシメトキシシラン)、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(トリプロポキシシラン)、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(ジプロポキシメトキシシラン)、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(トリドデカンオキシシラン)、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(トリテトラデカンオキシシラン)、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(トリヘキサデカンオキシシラン)、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(トリオクタデカンオキシシラン)、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(ジドデカンオキシ)テトラデカンオキシシラン、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(ドデカンオキシ)テトラデカンオキシ(ヘキサデカンオキシ)シラン、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(ジメトキシメチルシラン)、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(メトキシジメチルシラン)、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(ジエトキシメチルシラン)、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(エトキシジメチルシラン)、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(ヒドロキシジメチルシラン)、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(ジプロポキシメチルシラン)、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(プロポキシジメチルシラン)、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(ジイソプロポキシメチルシラン)、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(イソプロポキシジメチルシラン)、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(ジブトキシメチルシラン)、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(ブトキシジメチルシラン)、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(ジイソブトキシメチルシラン)、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(イソブトキシジメチルシラン)、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(ジドデカンオキシメチルシラン)、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(ドデカンオキシジメチルシラン)、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(ジテトラデカンオキシメチルシラン)、
3−メルカプト−2−メチル−プロピル(テトラデカンオキシジメチルシラン)、
【0029】
【化7】

【0030】
【化8】

【0031】
【化9】

【0032】
【化10】

【0033】
アルコールは、ビス(アルコキシシリルオルガニル)−ポリスルフィドおよびアルコールの全質量に対して0.01〜95質量%、好ましくは0.1〜60質量%、より好ましくは0.1〜40質量%、殊に好ましくは0.1〜30質量%、特に好ましくは1〜5質量%の量で、使用することができる。
【0034】
使用されるアルコールは、アルコール混合物であってもよい。
【0035】
アルコールは50〜280℃、好ましくは50〜150℃、特に好ましくは50〜120℃であってもよい。
【0036】
アルコールは、第1級、第2級または第3級アルコール、アルキルエーテルアルコールHO−(CR−CR)−O−AlkまたはアルキルポリエーテルアルコールHO−(CR−CRO)−Alkであってもよい。
【0037】
第1級、第2級または第3級のアルコールとして、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、i−ブタノール、n−ブタノール、t−ブタノール、ドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノールまたはオクタデカノールを使用することができる。
【0038】
アルキルポリエーテルアルコールは以下のものであってもよい:
【0039】
【化11】

【0040】
反応は、好ましくは、空気および水素の排除下で実施することができる。
【0041】
反応前、反応中または反応後に、添加剤を反応混合物に添加することができる。
【0042】
添加剤は、使用する触媒の寿命を延長させることができる。添加剤は、使用される触媒の取り扱いを簡単にするか、あるいは、改善させる。添加剤は、使用された触媒の再利用性を高める。添加剤は、方法の経済性を高めることができる。
【0043】
添加剤は、有機硫黄化合物、チタンアルコキシレート、アミン、水、有機または無機の酸または塩基、またはこれら化合物の混合物であってもよい。
【0044】
添加剤はカルボン酸、DMSO、モノアルキルアミン、ジアルキルアミンまたはトリアルキルアミンであってもよい。添加剤はTi(OCまたはTi(OCであってもよい。
【0045】
反応混合物は、副生成物および/または不純物を含有していてもよく、この場合、これらは、ビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィドを製造する際の、予備工程において生じるものである。
【0046】
副生成物および/または不純物は、ビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィドの製造および水素化を包含する、全工程の複雑性およびコストを減少させることができる。副生成物および/または不純物の存在は、水素化のための出発材料として使用されるビス(アルコキシリルオルガニル)ポリスルフィドの後処理中における分離工程を省略することに起因するものであってもよい。
【0047】
副生成物および/または不純物は、アルカリ金属ハロゲン化物、好ましくは塩化ナトリウムおよび塩化カリウムであってもよい。
【0048】
水素化は5〜250バール、好ましくは5〜99バール、より好ましくは5〜55バール、特に好ましくは5〜40バールの水素過圧下で実施することができる。
【0049】
水素化は、50〜250℃、好ましくは75〜189℃、より好ましくは100〜175℃、特に好ましくは110〜160℃の温度で実施することができる。
【0050】
水素化反応のための時間は360分を下廻り、好ましくは300分を下廻り、より好ましくは240分を下廻り、特に好ましくは180分を下廻る。
【0051】
ドープされた金属触媒のドーピング成分は、少なくとも1種の金属および/または少なくとも1種の金属化合物であってもよい。
【0052】
ドープされた金属触媒は、鉄、鉄化合物、ニッケル、ニッケル化合物、パラジウム、パラジウム化合物、オスミウム、オスミウム化合物、ルテニウム、ルテニウム化合物、ロジウム、ロジウム化合物、イリジウムまたはイリジウム化合物から成る群からの少なくとも1種の物質と、少なくとも1種の金属および/または少なくとも1種の金属化合物から成る混合物であってよく、この場合、これらは、互いに独立して、元素の形で、合金の形で、化学結合した形で、あるいは、物理的に混合した形で存在していてもよい。
【0053】
鉄、鉄化合物、ニッケル、ニッケル化合物、パラジウム、パラジウム化合物、オスミウム、オスミウム化合物、ルテニウム、ルテニウム化合物、ロジウム、ロジウム化合物、イリジウムまたはイリジウム化合物から成る群からの物質は、ドープされた金属触媒のドープ成分とは異なる。
【0054】
ドープされた金属触媒のドーピング成分は、少なくとも1種の金属および/または少なくとも1種の金属化合物から成るものであってもよく、この場合、これらは、鉄、鉄化合物、ニッケル、ニッケル化合物、パラジウム、パラジウム化合物、オスミウム、オスミウム化合物、ルテニウム、ルテニウム化合物、ロジウム、ロジウム化合物、イリジウムまたはイリジウム化合物から成る群からの物質とは異なる。
【0055】
ドーピング成分は、吸収、吸着または蒸着により、ドープされる金属触媒上に適用することができる。
【0056】
ドープされた金属触媒は、少なくとも2種の金属および/または金属化合物から構成される混合物であってよく、その際、触媒的に活性の種は、専ら水素化中において先駆物質から形成されるものである。
【0057】
ドープされた金属触媒のためのドーピング成分は、アルカリ金属またはアルカリ金属化合物、好ましくはLi、Na、KまたはRbをベースとするもの、アルカリ土類金属またはアルカリ土類金属化合物、好ましくはBe、Mg、Ca、SrまたはBaをベースとするもの、第3主族の元素および第3主族の化合物、好ましくはB、Al、GaまたはInをベースとするもの、第4主族の元素および第4主族の化合物、好ましくはC、Si、Ge、SnまたはPbをベースとするもの、第5主族の元素および第5主族の化合物、好ましくはN、P、AsまたはSbをベースとするもの、第6主族の元素および第6主族の化合物、好ましくはO、S、SeまたはTe、第7主族の元素および第7主族の化合物、好ましくはF、Cl、BrまたはI、遷移族元素および遷移族の化合物、好ましくはSc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、ZnまたはCdをベースとするもの、ランタノイド族の原子およびランタノイド族の化合物、好ましくはランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリウム、イッテルビウムまたはルテチウムをベースとするもの、である。
【0058】
ドーピング成分は、ルテニウムオキシド、ニッケルオキシドおよびパラジウムオキシドを含まないものであってもよい。
【0059】
ドーピング成分は、触媒担持材料とは異なっていてもよい。
【0060】
好ましいドーピング成分は水素化物、酸化物、ハロゲン化物、たとえばフッ化物、塩化物、臭化物またはヨウ化物、スルフィドまたはニトリドであってもよい。
【0061】
ドープされた金属触媒は、好ましくは物質としてFe、Ni、Ru、Rh、Pd、OsまたはIrの水素化物、酸化物、ハロゲン化物、硫化物および/または窒化物を含有していてもよい。
【0062】
ドープされた金属触媒は、好ましくはドーピング成分としてFe、Ni、Ru、Rh、Pd、OsまたはIrの水素化物、酸化物、ハロゲン化物、硫化物および/または窒化物を含有していてもよい。
【0063】
ドーピング成分は、好ましくは酸化物、たとえば酸化ニッケル、酸化鉄、酸化ルテニウム、酸化ロジウム、酸化オスミウム、酸化イリジウムおよび酸化パラジウムを含有していてもよい。
【0064】
ドーピング成分は、好ましくは硫化物、たとえば硫化ニッケル、硫化鉄、硫化ルテニウム、硫化ロジウム、硫化オスミウム、硫化イリジウムおよび硫化パラジウムを含有していてもよい。
【0065】
ドープされた金属触媒は、ラネー型の有孔骨格触媒であってもよく、この場合、これらは、遷移金属および/または遷移金属化合物、たとえばモリブデンでドーピングされていてもよい。
【0066】
ドープされた金属触媒は、ラネー型の有孔活性ニッケル金属触媒であってもよく、この場合、これらは遷移金属および/または遷移金属化合物、たとえばモリブデンでドーピングされていてもよい。
【0067】
ドープされた金属触媒は、好ましくはラネー型の活性ニッケル金属触媒であってよく、この場合、これらは、遷移金属および/または遷移金属化合物、たとえばモリブデンでドーピングされていてもよい。
【0068】
ドープされた金属触媒の例としては、触媒BK111W(ニッケルベースの活性金属触媒、この場合、これは<5質量%のモリブデンでドーピングされているもの)およびBK113W(ニッケルベースの活性金属触媒、この場合、<5質量%のモリブデンでドーピングされているもの)(Degussa AG)を使用することができる。
【0069】
ドーピング成分の質量割合(元素または化合物として存在するもの)は、ドープされた金属触媒の質量に対して、0.00001〜80質量%、好ましくは0.0001〜50質量%、より好ましくは0.001〜15質量%、特に好ましくは0.01〜7.5質量%であってもよい。
【0070】
ドーピング成分は、ドープされた金属触媒の物質および/またはその先駆物質および/または触媒担持材料との、物理的混合物を形成することができる。
【0071】
ドーピング成分は、ドープされた金属触媒の物質および/またはその先駆物質および/または触媒担持材料との、化学的化合物を形成することができる。
【0072】
ドーピング成分は、ドープされた金属触媒および/またはその先駆物質との合金を形成することができる。
【0073】
ドーピング成分は、ドープされた金属触媒および/またはその先駆物質との混合結晶を形成することができる。
【0074】
ドープされた金属触媒は、微粉化された、非担持型の活性金属および/または金属化合物から成るものであってもよい。
【0075】
ドープされた金属触媒は、公知および通常の触媒担持材料の一種、たとえばケイソウ土(シリカゲル)、炭素、シリカ、活性炭、アルミナまたはアルミノシリケートに適用することができる。
【0076】
ドープされた金属触媒の物質およびさらにドーピング成分は、公知および通常の触媒担持材料の一種、たとえばケイソウ土(シリカゲル)、炭素、シリカ、活性炭、アルミナまたはアルミノシリケートと一緒にか、別個にか、あるいは、連続的に適用することができる。
【0077】
ドープされた金属触媒は、反応のために固体の形で、懸濁液中でか、あるいは、ワックスまたは油中に包埋された形で使用することができる。
【0078】
ドープされた金属触媒の物質のモル量に対する触媒濃度は、ビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィド1g当たり、0.0001〜1mmolであってもよい。
【0079】
ドープされた金属触媒の物質量に対するニッケルおよび鉄の濃度は、ビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィド1g当たり、好ましくは0.001〜1mmol、より好ましくは0.01〜1mmol、特に好ましくは0.05〜0.5mmolであってもよい。
【0080】
ドープされた金属触媒の物質量に対するルテニウム、ロジウム、オスミウムまたはイリジウムに関する濃度は、ビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィド1g当たり、好ましくは0.0001〜1mmol、より好ましくは0.005〜0.5mmol、特に好ましくは0.005〜0.1mmolであってもよい。
【0081】
ドープされた金属触媒の物質の量に対するパラジウムに関する濃度は、ビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィド1g当たり、好ましくは0.0001〜1mmol、より好ましくは0.005〜1mmol、特に好ましくは0.01〜0.5mmolであってもよい。
【0082】
示された温度Tおよび一定の圧力pでの、水素分解速度の比較のために提供されたパラメータは、質量変換率であってもよく、この場合、これらは、“生成物g/ドープされた金属触媒の物質mmol/分”の関係式によって、定量的に示すことができる。
【0083】
示された温度Tおよび一定の圧力pでの、水素分解速度の比較のために提供された他のパラメータとして、モル変換率を使用することができ、この場合、これらは、“生成物mmol/ドープされた金属触媒の物質mmol/分”の関係式によって、定量的に示すことができる。
【0084】
低い温度および/または低い圧力で、変換率を上昇させることが可能である場合には、これは、環境、エネルギーおよび経済的観点からの本質的な改善に寄与する。
【0085】
質量変換率は、メルカプトオルガニル−(アルコキシシラン)0.001〜10g/ドープされた金属または金属化合物1mmol/分であってもよい。
【0086】
モル変換率は、メルカプトオルガニル−(アルコキシシラン)0.001〜50mmol/ドープされた金属1mmol/分であってもよい。
【0087】
ドープされた金属触媒の物質に関して、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、イリジウムまたはパラジウムとしては、質量変換率は好ましくは0.001〜10g、より好ましくは0.01〜10g、特に好ましくは0.1〜10gのメルカプトオルガニル(アルコキシシラン)/ドープされた金属1mmol/分であってもよい。
【0088】
ドープされた金属触媒の物質に関して、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、イリジウムまたはパラジウムとしては、モル変換率は好ましくは0.001〜50mmol、好ましくは0.01〜40mmol、より好ましくは0.05〜30mmol、特に好ましくは0.1〜20mmolのメルカプトオルガニル(アルコキシシラン)/ドープされた金属1mmol/分であってもよい。
【0089】
本発明による方法を用いて、使用されたビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィドの80質量%以上、好ましくは83質量%以上、より好ましくは86質量%以上、特に好ましくは90質量%以上を、メルカプトオルガニル(アルコキシシラン)に変換することが可能である。
【0090】
本発明による方法を用いた場合には、使用されたビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィド中のビス(アルコキシシリルオルガニル)モノスルフィドの相対的割合は一定であってもよい。
【0091】
本発明による方法を用いた場合には、エダクト中に存在するビス(アルコキシシリルオルガニル)モノスルフィドの相対的割合は<10質量%、好ましくは<8質量%、より好ましくは<6質量%、特に好ましくは<4質量%であってもよい。
【0092】
本発明の方法はバッチ工程または連続工程であってもよい。
【0093】
バッチ工程の場合には、撹拌型オートクレーブまたはBuss反応器中での、スラリー工程または懸濁液工程であってもよい。
【0094】
連続工程の場合には、気体および液体を連続的に供給するスラリー工程であってもよい。
【0095】
連続工程の場合には、気体/液体/固体反応のための公知反応器を使用することができる。固定床反応器の典型的な例としては、トリクル床反応器または液体充填反応器、たとえば懸濁液反応器、撹拌槽、泡鐘カラムおよび流動床である。
【0096】
本発明による方法は、ドーピングされた触媒を使用する場合には、ドーピングされていない触媒を使用する際の変換率と比較して、高い変換率で達成することができる。
【0097】
公知技術と比較(US6433206)した場合に、ドープされた触媒を使用して、金属または物質−特異的な高い変換率が、より穏やかな温度および/または圧力で得ることはできる。高い変換率は、空時収量を顕著に改善するのみならず、さらにメルカプトオルガニル(アルコキシシラン)を、ビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィドからのHでの還元的開裂によって製造するための特定のエネルギー消費を減少させる。少ないエネルギー消費および穏やかな反応条件は、プラントにおける応力を少なくするものであって、結果として特に、摩耗およびメンテナンスに係る支出を減少させる。メプカプトオルガニル(アルコキシシラン)の製造における低いエネルギー消費により、工程のエネルギー平衡が改善され、かつ環境的負荷を減少させる。工業プラントの複雑性は、一般には、工程温度および圧力が低下することにより減少する。
【実施例】
【0098】
第1表では、US6433206からの例を挙げる。使用されたポリスルファンシランは、特定されていないジスルファンシラン混合物であり、この場合、主にビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドを含有する。
【0099】
副生成物の形成については記載されていない。生成物の分析は、ガスクロマトグラフィー法またはガスクロマトグラフィー技術により実施する。
【0100】
第2表では、比較例1として、155℃および51バールでの、ドープされていないパラジウム触媒の使用を記載している。
【0101】
結果を良好に比較するために、第1表および第2表における比較例中の質量%は、生成物溶液のアルコール割合について補正する(たとえば、アルコールおよびシランからの50%濃度の生成物溶液、この場合、これらは、25質量%のメルカプトシランおよび25質量%のジスルファンシランを含有する。いいかえれば、生成物のシラン構成成分は、50質量%メルカプトシランおよび50質量%ジスルファンシランである)。
【0102】
同様に、第3表および第4表中のシラン構成成分の示された質量%は、溶液のアルコール割合について補正した。
【0103】
【表1】

【0104】
【表2】

【0105】
第3表および第4表中で、本発明による例は、ジスルファンシランをベースにしたものに集約される(Si266=Degussa AGの商品=[ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド])。それぞれ20mlの反応器容量を有し、かつアンカーマグネットステーラーを備えた、8個の平衡な、油浴−加熱されたオートクレーブから成る1個の装置において、この場合、このステーラーは、反応器中心部に位置する固定されたシャフト上で、1300rpmで回転するものであって、Si266は、第3表および第4表中の条件および関係式にしたがって接触水素化された。
【0106】
反応は、示された時間後に終了した。生成物の組成はH−NMRを用いて測定した。
【0107】
変換率は、H−NMRにより測定された生成物組成から測定された。
【0108】
ポリスルファン混合物の平均鎖長は、この場合、HPLCにより測定され、2.14であった(S2−S14のHPLCで測定された平均値のみを考慮する)。これにより得られたSi 266の平均モル質量は、479g/モルであった。
【0109】
第3表および第4表における「生成物の組成」の段においては以下の成分のみを考慮する:
3−メルカプトプロピル(トリエトキシシラン)、
ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、
ビス(トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィドおよび
ビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド(Sx、その際、x>3)。
【0110】
ビス(トリエトキシシリルプロピル)モノスルフィドおよび3−クロロプロピル(トリエトキシシラン)については、考慮しない。
【0111】
【表3】

【0112】
【表4】

【0113】
表中の略記は以下の意味を示す:
SH=3−メルカプトプロピル(トリエトキシシラン)、
S2=ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、
S3=ビス(トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、
ポリスルフィド=ビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド(Sx、その際x>3)、
略記で示された触媒、
E105Y/W 5%Pd、
E105XRS/W 5%Pd;S ドーピング、
CE101XR/W 5%Pd+1%Sn、
CE105XR/W 5%Pd+0.5%Mo
は、Degussa AGの商品であり、この場合、これらは貴金属、たとえばパラジウムを、有孔の、高い表面積を有する担持材料上に塗布することによって製造されたものである。触媒は、流動性の粉体状固体の形で使用する。挙げられた触媒は、活性炭上に担持されている。以下の略記で示された触媒は、以下の量の活性金属を含有する:
E105Y/W 5%Pd=触媒の乾燥質量に対する5%Pd。
E105XRS/W 5%Pd=触媒の乾燥質量に対する5%Pd。
【0114】
CE101XR/W 5%Pd+1%Sn=触媒の乾燥質量に対する5%Pd。
【0115】
CE105XR/W 5%Pd+0.5%Mo=触媒の乾燥質量に対する5%Pd。
【0116】
以下に略記で示された触媒は、以下の量のドーピング成分を含有する:
E105XRS/W 5%Pd=Sでドーピングされているもの、
CE101XR/W 5%Pd+1%Sn=1%Snでドーピングされているもの、
CE105XR/W 5%Pd+0.5%Mo=0.5%Moでドーピングされているもの。
【0117】
触媒G−49BおよびT8027は、Sued-Chemie AGの製品である。
【0118】
触媒G−49Bは55%ニッケルを含有し、かつドーピングされていないものである。
【0119】
触媒T8027は、52%ニッケルを含有し、2.4%ジルコニウムでドープした。
【0120】
製品の分析のために、DRX500 NMR−装置(Bruker)を当業者に公知の方法および操作工程にしたがって使用した。この測定周波数は、29Si−核に関して99.35MHzであり、かつH−核に関して500.13MHzであった。対照としてテトラメチルシラン(TMS)を使用した。
【0121】
ビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィドおよびこれらの混合物の分析は、GCおよびHPLCを用いて実施した(U. Goerl, J. Muenzenberg, D. Luginsland, A. Mueller Kautschunk Gummi Kunstoffe 1999, 52(9), 588, D. Kuginsland Kautschunk Gummi Kunststoffe 2000, 53(1-2), 10, M. W. Backer et al, Polymer Preprints 2003, 44(1), 245)。
【0122】
第1表〜第4表に示されたデータから、ドープした金属触媒の使用が、技術水準(US6433206)と比較してより省力的条件下においても、少なくとも同様に高い変換率を示すことが明らかである。
【0123】
さらに硫黄、錫またはモリブデンでのパラジウムのドーピングが、より省力的条件下または同等の条件下において、より高い変換率を生じた。
【0124】
ジルコニウムでのニッケルのドーピングは、たとえば、技術水準(US6433206)と比較して、より省力的条件下で変換率の増加を導いた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のアルコールおよびドープされた金属触媒の存在下で、ビス(アルコキシシリルオルガニル)−ポリスルフィドを、水素を用いて水素化する、メルカプトオルガニル−(アルコキシシラン)の製造方法において、ドープされた金属触媒が、鉄、鉄化合物、ニッケル、ニッケル化合物、パラジウム、パラジウム化合物、オスミウム、オスミウム化合物、ルテニウム、ルテニウム化合物、ロジウム、ロジウム化合物、イリジウムまたはイリジウム化合物の群から成る少なくとも1種の物質および少なくとも1種のドーピング成分を含有することを特徴とする、メルカプトオルガニル−(アルコキシシラン)の製造方法。
【請求項2】
メルカプトオルガニル(アルコキシシラン)が、一般式(II)
W−A−SH (II)
[式中、Wは−SiYまたはSi(OCH−CH−)Nであり、かつ、Y、Y、Yはそれぞれ互いに独立してヒドロキシ(−OH)、炭素原子1〜18個(C1〜C18)を有する直鎖、分枝または環状の炭化水素鎖、直鎖または分枝のアルキル酸基(C2a+1)−C(=O)O−、その際、aは1〜25であり、直鎖または分枝のアルケニル酸基(C2b−1)−C(=O)O−、その際、bは2〜25であり、直鎖または分枝の置換されたアルキル酸基またはアルケニル酸基、5〜12個の炭素原子を有する非置換、ハロゲン置換またはアルキル置換されたシクロアルカン基、ベンジル基、ハロゲン置換またはアルキル置換されたフェニル基、直鎖または分枝のアルコキシ基、炭素原子5〜12個を有するシクロアルコキシ基、ハロゲン置換またはアルキル置換されたフェノキシ基またはベンジルオキシ基、アルキルエーテル基O−(CR−CR)−O−Alkまたはアルキルポリエーテル基O−(CR−CRO)−Alk、その際、yは2〜25であり、かつ、Rは互いに独立してHまたはアルキル基であり、Alkは、炭素原子1〜30個(C1〜C30)を有する直鎖または分枝の、飽和または不飽和の、アルキル鎖であり、
Aは直鎖または分枝の、飽和または不飽和の、脂肪族、芳香族または混合脂肪族/芳香族の、二価のC1〜C30炭化水素鎖である]の化合物であることを特徴とする、請求項1に記載のメルカプトオルガニル(アルコキシシラン)の製造方法。
【請求項3】
メルカプトオルガニル(アルコキシシラン)が、一般式IIの化合物の混合物である、請求項2に記載のメルカプトオルガニル(アルコキシシラン)の製造方法。
【請求項4】
水素化を5〜250バールの圧力で実施する、請求項1または2に記載のメルカプトオルガニル(アルコキシシラン)の製造方法。
【請求項5】
水素化を50〜250℃の温度で実施する、請求項1または2に記載のメルカプトオルガニル(アルコキシシラン)の製造方法。
【請求項6】
ドープされた金属触媒の質量に対するドーピング成分の量が、0.00001質量%〜80質量%である、請求項1から5までのいずれか1項に記載のメルカプトオルガニル(アルコキシシラン)の製造方法。
【請求項7】
ドープされた金属触媒の物質が、ビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィド1g当たり0.0001〜1mmolである、請求項1から5までのいずれか1項に記載のメルカプトオルガニル(アルコキシシラン)の製造方法。
【請求項8】
ドープされた金属触媒を、固体として、懸濁液中でか、あるいは、ワックスまたは油中に包埋された形で使用する、請求項1から7までのいずれか1項に記載のメルカプトオルガニル(アルコキシシラン)の製造方法。
【請求項9】
アルコールを、ビス(アルコキシシリルオルガニル)ポリスルフィドおよびアルコールの全質量に対して0.01〜95質量%の割合で使用する、請求項1に記載のメルカプトオルガニル(アルコキシシラン)の製造方法。
【請求項10】
反応混合物が、添加剤を含有する、請求項1に記載のメルカプトオルガニル(アルコキシシラン)の製造方法。
【請求項11】
質量変換率が、メルカプトオルガニル(アルコキシシラン)0.001〜10g/ドープされた金属触媒の物質1mmol/分である、請求項1に記載のメルカプトオルガニル(アルコキシシラン)の製造方法。
【請求項12】
モル変換率が、メルカプトオルガニル(アルコキシシラン)0.001〜50mmol/ドープされた金属触媒の物質1mmol/分である、請求項1に記載のメルカプトオルガニル(アルコキシシラン)の製造方法。

【公開番号】特開2006−312633(P2006−312633A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−128431(P2006−128431)
【出願日】平成18年5月2日(2006.5.2)
【出願人】(501073862)デグサ アクチエンゲゼルシャフト (837)
【氏名又は名称原語表記】Degussa AG
【住所又は居所原語表記】Bennigsenplatz 1, D−40474 Duesseldorf, Germany
【Fターム(参考)】