説明

メータ用アダプタ及び自動検針システム

【課題】単純な構造のメータに設置して追加機能を付加することができるメータ用アダプタを利用した自動検針システムにおいて、需要家の状況に応じたユーティリティ使用量を導出して、需要家に対するユーティリティの使用に関するサービスの多様化に対応することができる技術を実現する。
【解決手段】メータ用アダプタ30が、需要家Aにおける状況を示す状況信号が入力される状況信号入力部33,34を備え、メータ用アダプタ30の集計部35が、使用量信号を、状況信号入力部32に入力された状況信号の分類毎に集計して、機器40,50の状態の分類別のユーティリティの使用量である分類別使用量を導出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、需要家のユーティリティの総使用量を計量するメータに対して設置され、前記メータ側から前記ユーティリティの単位使用量毎に出力される使用量信号が入力される使用量信号入力部と、前記使用量信号入力部に入力された使用量信号を集計する集計部と、前記集計部の集計結果を出力する出力部とを備えたメータ用アダプタ、及び、複数のメータ用アダプタの夫々のアダプタ通信部、及び、複数のメータの夫々、との間で通信可能に構成されたセンタ装置とからなる自動検針システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ガス、電気、水等のユーティリティの総使用量を計量するためのガスメータ、電気メータ、水道メータ等のメータは、本来の計量機能に加え、保安機能や通信機能等を備えることにより、益々高機能化してきている。
特に、ユーティリティ事業家側のセンタ装置との有線又は無線通信機能を有するメータが開発されてからは、センタ装置から自動検針を実行する自動検針システムが普及しつつある。
また、上記自動検針システム等のように、メータを高機能化するべく、メータ自身は従来の単純構造のものを採用し、当該メータに追加機能(例えば通信機能)を付加するためのメータ用アダプタを設置する場合がある(例えば、特許文献1及び2を参照。)。
【0003】
ここで、自動検針システムを構築するべく、メータに設置されるメータ用アダプタは、当該メータと外部のセンタ装置との間の通信を中継するアダプタ通信部を備え、その通信部がメータ側から総使用量として取得したメータ指針値をセンタ装置に送信可能に構成される場合がある。
【0004】
更に、上記特許文献1に記載のメータ用アダプタでは、上記総使用量とは別にメータ側からユーティリティの単位使用量毎に出力される使用量信号が入力され、当該入力された使用量信号を、時計部で計測した時間の分類毎即ち時間帯毎に集計して、時間帯別のユーティリティの使用量に関する時間帯別使用量を導出するように構成されている。そして、自動検針時において、メータ側から取得した総使用量と共に、上記集計部で導出した時間帯別使用量を、センタ装置側に送信することで、センタ装置では、特定の時間帯におけるユーティリティの使用を促進するべく、当該特定の時間帯においてユーティリティの単価の割引を適用して、ユーティリティの料金の課金処理を行うことができる。
【0005】
上記特許文献2に記載されているメータ用アダプタでは、総使用量を計測するメータとは別にガス消費機器毎に設置された機器メータにおいて機器別使用量(ガス消費機器別のガスの使用量)が計量され、その計量された機器別使用量が入力されるように構成されている。
【0006】
【特許文献1】特開2006−90780号公報
【特許文献2】特開2002−150459号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、需要家に対するユーティリティの使用に関するサービスが多様化しており、例えば、需要家において特定の状況でユーティリティを使用している場合には、その特定の状況での使用量に対して割引を適用することにより、需要家に対して特定の状況での使用を促進させるというサービスについて検討されている。
しかしながら、特に特許文献1に記載の従来のメータ用アダプタでは、時間帯別使用量を導出するようには構成されているものの、需要家に設置されたユーティリティ消費機器の運転状態や、需要家での生活状態のように、需要家の状況に応じた使用量を導出可能には構成されていなかった。
【0008】
また、特に特許文献2に記載の従来のメータ用アダプタでは、ユーティリティ(ガス)消費機器別のガス使用量である機器別使用量を認識するために、ユーティリティ消費機器毎に機器メータを夫々設置する必要があるので、煩雑化及び高コスト化が問題となる。
更に、このような機器メータを設置した場合でも、例えば、ユーティリティを使用しない機器の状態の分類別における需要家のユーティリティ使用量や、複数の機器の夫々の状態を組み合わせた分類別における需要家のユーティリティ使用量のように、需要家の詳細な状況に応じた分類別の使用量を導出することはできず、需要家に対するユーティリティの使用に関するサービスの多様化に限界があった。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、単純な構造のメータに設置して追加機能を付加することができるメータ用アダプタを利用した自動検針システムにおいて、需要家の状況に応じたユーティリティ使用量を導出して、需要家に対するユーティリティの使用に関するサービスの多様化に対応することができる技術を実現する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係るメータ用アダプタは、需要家のユーティリティの総使用量を計量するメータに対して設置され、
前記メータ側から前記ユーティリティの単位使用量毎に出力される使用量信号が入力される使用量信号入力部と、
前記使用量信号入力部に入力された使用量信号を集計する集計部と、
前記集計部の集計結果を出力する出力部とを備えたメータ用アダプタであって、その第1特徴構成は、前記需要家における状況を示す状況信号が入力される状況信号入力部を備え、
前記集計部が、前記使用量信号を、当該使用量信号が入力されたときに前記状況信号入力部に入力された前記状況信号の分類毎に集計して、前記需要家における状況に関する分類別のユーティリティの使用量である分類別使用量を導出するように構成されている点にある。
【0011】
上記第1特徴構成を有するメータ用アダプタによれば、上記使用量信号入力部に、メータ側からユーティリティの単位使用量毎に出力された使用量信号が入力されると共に、上記状況信号入力部に、その使用量信号が入力されたときの需要家における状況を示す状況信号が入力されるので、上記集計部により、上記使用量信号を、上記状況信号の分類毎に集計することにより、上記需要家における状況に関する分類別の分類別使用量を導出することができる。
よって、その導出された夫々の分類別使用量から、例えば需要家における状況が特定の状況であるときの需要家のユーティリティ使用量などのように、需要家の状況に応じたユーティリティ使用量を認識することができ、そのユーティリティ使用量を利用して、例えば需要家における状況が特定の状況であるときの需要家のユーティリティ使用量に対して割引を適用するなどのように、需要家に対するユーティリティの使用に関するサービスの多様化に対応することができる。
【0012】
本発明に係るメータ用アダプタの第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、前記状況信号入力部が、前記状況信号として、前記需要家に設置されたユーティリティ消費機器の作動状態を示す信号、又は、前記需要家での生活状態を示す信号が入力されるように構成されている点にある。
【0013】
上記第2特徴構成を有するメータ用アダプタによれば、状況信号入力部に、ユーティリティ消費機器の運転・停止の状態などの作動状態を示す信号、又は、需要家での在・不在などの生活状態を示す信号が入力されるので、上記集計部により、上記使用量信号を、上記ユーティリティ消費機器の作動状態や上記生活状態に関する分類毎に集計することにより、例えば需要家が不在中のときのユーティリティ使用量やユーティリティ消費機器が運転中のユーティリティ使用量等のように、上記ユーティリティ消費機器の作動状態や上記需要家での生活状態に応じたユーティリティ使用量を認識することができる。
【0014】
本発明に係るメータ用アダプタの第3特徴構成は、上記第1又は上記第2特徴構成に加えて、前記状況信号入力部を複数備えた点にある。
【0015】
上記第3特徴構成を有するメータ用アダプタによれば、上記状況信号入力部を複数備えているので、複数種の需要家の状況を示す状況信号の入力を受け付けることができる。
よって、上記集計部により、例えば、需要家が不在中且つユーティリティ消費機器が運転中のユーティリティ使用量等のように、複数種の需要家の夫々の状況を組み合わせた分類別の需要家のユーティリティ使用量を導出して、当該ユーティリティ使用量から、需要家の詳細な状況に応じた分類別の使用量を認識することができる。
【0016】
本発明に係るメータ用アダプタの第4特徴構成は、上記第1乃至上記第3の何れかの特徴構成に加えて、前記出力部として、前記集計部で導出した前記分類別使用量を表示可能な表示部を備えた点にある。
【0017】
上記第4特徴構成を有するメータ用アダプタによれば、需要家は、ユーティリティ供給業者等に問い合せをしなくても、その表示部により上記分類別使用量を直接目視確認することができる。そのため、ユーティリティ供給業者は、需要家の状況に応じたユーティリティ使用量に関する個別の問い合わせに対応する専用の体制を設けることなく対応できる。
更には、特定の状況でのユーティリティ使用量に対して割引を適用する場合には、上記表示部により、その特定の状況に対応する上記分類別使用量を需要家に確認させることにより、その需要家に対して、その特定の状況で積極的にユーティリティを使用させるための動機付けを確実に行うことができる。
【0018】
本発明に係るメータ用アダプタの第5特徴構成は、上記第1乃至上記第4の何れかの特徴構成に加えて、時間を計測する時計部を備え、
前記集計部が、前記使用量信号入力部に入力される使用量信号を、前記時計部で計測される時間帯毎に集計して、前記時間帯別のユーティリティの使用量である時間帯別使用量を導出するように構成されている点にある。
【0019】
上記第5特徴構成を有するメータ用アダプタによれば、上記集計部により上記時間帯別使用量を導出することができるので、例えば、特定の時間帯において需要家の状況が特定の状況であるときの需要家のユーティリティ使用量のように、需要家の状況と時間帯とを組み合わせた分類別の需要家のユーティリティ使用量を導出して、当該ユーティリティ使用量から、需要家の詳細な状況に応じた分類別の使用量を認識することができる。
【0020】
本発明に係るメータ用アダプタの第6特徴構成は、上記第1乃至上記第5の何れかの特徴構成に加えて、前記出力部として、前記集計部で導出した前記分類別使用量を外部のセンタ装置に送信可能なアダプタ通信部を備えた点にある。
【0021】
上記第6特徴構成を有するメータ用アダプタによれば、ユーティリティ供給業者は、センタ装置において、夫々の分類別使用量を取得し、その取得した夫々の分類別使用量から、需要家における状況が特定の状況であるときの需要家のユーティリティ使用量などのように、需要家の状況に応じたユーティリティ使用量を認識することができる。そして、そのユーティリティ使用量を利用して、例えば需要家における状況が特定の状況であるときの需要家のユーティリティ使用量に対して割引を適用したり、需要家に対してユーティリティ使用方法についてのアドバイスを行うなどの、需要家に対するユーティリティの使用に関するサービスの多様化に対応することができる。
更に、上記メータ用アダプタに時計部が設けられている場合には、上記アダプタ通信部を通じてセンタ装置との間で通信可能なことにより、上記時計部を、そのアダプタ通信部によりセンタ装置から受信した時間補正信号に基づいて時間を補正するように構成することができ、よって、時計部により常に正確な時間を計測することができる。
【0022】
本発明に係るメータ用アダプタの第7特徴構成は、上記第1乃至上記第6の何れかの特徴構成に加えて、前記アダプタ通信部が、前記メータと前記センタ装置との間の通信を中継するように構成されている点にある。
【0023】
上記7特徴構成を有するメータ用アダプタによれば、メータに対して通信機能を追加したり別の通信装置を設置する必要がなく、当該メータ用アダプタを設置するだけで、ユーティリティ供給業者は、センタ装置において、遠隔で、上記アダプタ通信部を介してメータとの間で通信を行って、メータで計量された総使用量を取得する自動検針を行うことができる。
【0024】
上記目的を達成するための本発明に係る自動検針システムの特徴構成は、これまで説明してきた第6又は第7特徴構成を有するメータ用アダプタとして構成され複数のメータの夫々に設置された複数のメータ用アダプタと、
前記複数のメータ用アダプタの夫々のアダプタ通信部との間で通信を行って、特定の需要家における前記分類別使用量を取得可能、且つ、前記複数のメータの夫々との間で通信を行って、特定の需要家における前記総使用量を取得可能なセンタ装置とからなる点にある。
【0025】
上記特徴構成を有する自動検針システムによれば、ユーティリティ供給業者は、センタ装置において、自動検針時に、夫々の需要家のメータとの間で通信を行って、例えば1ヶ月の需要家におけるユーティリティ使用量を認識するべく、当該特定の需要家における総使用量を取得するのに加えて、そのこれまで説明してきたように、夫々の需要家のアダプタ通信部との間で通信を行って、需要家の特定の状況におけるユーティリティ使用量を認識するべく、上記分類別使用量を取得することができる。
そして、センタ装置側において、特定の状況でのユーティリティ使用量に対して割引を適用するべく、上記総使用量から計算した需要家の1ヶ月のユーティリティ料金に対して、上記特定の状況における分類別使用量に応じて計算した割引を適用することで、需要家に対して、その特定の状況で積極的にユーティリティを使用させるための動機付けを確実に行うことができる。また、この分類別使用量を用いて、需要家のユーティリティの使用方法を分析し、需要家に対してユーティリティ使用方法についてアドバイスを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明に係るメータ用アダプタ及び自動検針システムの実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0027】
図1及び2に示すように、需要家Aに設置されガス(ユーティリティの一例)の総使用量を計量するガスメータ10(メータの一例)は、公知の膜式メータや超音波式メータ等を利用することができ、具体的には、ガスGが流通するガス流路を流通するガスGを計量する計量機構部13と、計量機構部13の計量結果からガスGの総使用量(総積算流量)を導出するマイクロコンピュータからなる制御部11とが設けられている。
そして、この制御部11は、上記総使用量に応じてモータ12aを駆動して数字車12を回転させることにより、その数字車12に、ガスGの総使用量を表示させるように構成されている。
【0028】
一方、このガスメータ10に設置されるメータ用アダプタ30は、ガスメータ10の制御部11と外部のセンタ装置60との間の通信を中継するアダプタ通信部39を備えており、このアダプタ通信部39が、ガスメータ10側から取得した総使用量を、センタ装置60に送信可能に構成されている。
【0029】
そして、上記メータ用アダプタ30を、複数の需要家Aの夫々に設けられた複数のガスメータ10の夫々に設置し、上記センタ装置60を、その複数のメータ用アダプタ30の夫々のアダプタ通信部39との間で通信を行って、当該特定の需要家Aにおける総使用量を取得可能にする形態で、自動検針システム100を構成することにより、センタ装置60側において、夫々の需要家Aにおける1ヶ月毎のガスの総使用量を取得して、その夫々の総使用量から夫々の需要家Aに課金するガス料金が計算することができる。
【0030】
更に、メータ用アダプタ30は、ガスメータ10の数字車12側からユーティリティの単位使用量毎に出力される使用量信号が入力される使用量信号入力部32と、その使用量信号入力部32に入力された使用量信号を集計する集計部35とを備えており、上記アダプタ通信部39が、ガスメータ10の制御部11側から取得した総使用量に加えて、この集計部35の集計結果を、センタ装置60に送信可能に構成されている。即ち、このアダプタ通信部39は、集計部35の集計結果を出力する出力部であると言える。
【0031】
即ち、ガスメータ10には、単位使用量のガスGの流通毎に一のパルス信号を出力するパルス発信機31が設けられ、上記メータ用アダプタ30の使用量信号入力部32には、そのパルス発信機31が出力したパルス信号が上記使用量信号として入力される。
【0032】
具体的に、上記パルス発信機31は、上記総使用量が所定量増加する毎に回転する数字車12の回転軸に設けられた磁石31aと、その磁石31aが1回転する毎に所定数のパルス信号を出力するように配置されたリードスイッチ31bとで構成されている。
【0033】
また、メータ用アダプタ30は、集計部35の集計結果等を記憶可能なメモリ37や、時間を計測する時計部38を備えており、更に、集計部35の集計結果を出力する出力部として、集計部35の集計結果等を表示可能な表示部36を備えている。
【0034】
そして、上記集計部35は、具体的には後述するが、メモリ37に、予め設定された複数の分類毎のガスGの使用量である分類別使用量を記憶しており、更に、使用量信号入力部32に使用量信号としての一のパルス信号が入力されると、現時点での分類を特定した上で、メモリ37に記憶されている特定の分類の分類別使用量に、一のパルス信号に対応する単位使用量を加算する形態で、分類別使用量を更新するように構成されている。
例えば、集計部35は、使用量信号入力部32に入力されるパルス信号を、時計部38で計測される時間帯毎に集計することで、時間帯別のガスGの使用量である時間帯別使用量を導出することができる。
【0035】
また、需要家Aには、ガスGを消費して運転を行うガス消費機器(ユーティリティ消費機器の一例)として、熱源機41においてガスGを燃焼させて加熱した温水により床暖房を行う床暖房機器40が設置されている。そして、この床暖房機器40は、需要家Aでの状況を示す状況信号として、その床暖房機器40の運転中であるか否かの作動状態を示す信号を出力するように構成されている。
【0036】
更に、需要家Aには、ガスGを消費しない機器ではあるが、需要家Aの不在中、即ちモード切替スイッチ51により警戒モードが設定されているときに、赤外線センサ等の侵入センサ52を作動させて、需要家Aへの人の侵入を監視するセキュリティシステム50が設けられている。即ち、セキュリティシステム50は、上記警戒モードが設定されているか否かにより、需要家Aでの生活状態として、在・不在の状態を認識可能となる。そして、このセキュリティシステム50は、需要家Aでの状況を示す状況信号として、需要家Aの生活状態を示す信号、即ち警戒モードであるか、又は、警戒モードではない通常モードであるかを認識可能な信号を出力するように構成されている。
【0037】
そして、メータ用アダプタ30は、上記床暖房機器40や上記セキュリティシステム50側から状況信号が入力される状況信号入力部33,34を複数備えており、更に、上記集計部35が、使用量信号入力部32に入力された使用量信号であるパルス信号を、そのパルス信号が入力されたときに上記複数の状況信号入力部33,34の夫々に入力された状況信号の分類毎で集計して、上記床暖房機器40の作動状態や上記セキュリティシステム50で認識される需要家Aでの生活状態に関する分類別のユーティリティの使用量である分類別使用量を導出するように構成されている。
以下、この集計部35における集計処理の詳細について、図3のフロー図に基づいて説明する。
【0038】
先ず、集計部35は、分類別使用量を導出するための分類として、下記の表1に示す9つの分類を設定している。
【0039】
【表1】

【0040】
即ち、上記総使用量の分類は、時間帯、床暖房機器40の作動状態、セキュリティシステム50で認識された生活状態に拘わらず、全ての期間におけるガスGの総使用量を導出するための分類であり、上記第1乃至第8分類は、時間帯が設定時間帯であるか否か、床暖房機器40が運転中であるか否か、セキュリティシステム50が警戒モードであるか否かの複数の状態の夫々を組み合わせた8つの分類である。
そして、メモリ37は、上記複数の分類毎に、ガスGの使用量である分類別使用量を記憶するように構成されている。
【0041】
そして、集計部35は、上記使用量信号入力部32に使用量信号であるパルス信号が入力されると(ステップ#1)、先ず、メモリ37に記憶している総使用量に、一つのパルス信号に対応する単位使用量を加算する(ステップ#2)。
更に、時計部38で計測されたパルス信号が入力された時間が予め設定された設定時間帯内であるか否かを判定する処理(ステップ#3)、上記パルス信号が入力されたときに状況信号入力部33に入力された状況信号により床暖房機器40が運転中であるか否かを判定する処理(ステップ#4、#7)、状況信号入力部34に入力された状況信号によりセキュリティシステム50が警戒モードであるか否かを判定する処理(ステップ#5、#6、#8、#9)を適宜実行し、現時点の状況にあった分類を特定する。
【0042】
そして、メモリ37に記憶されている第1乃至第8分類の使用量のうちの上記特定した分類の使用量に対して、一つのパルス信号に対応する単位使用量を加算して(ステップ#11〜#18)、メモリ37に記憶されている分類別使用量を更新する(ステップ#10)。
【0043】
よって、メモリ37に記憶されている夫々の分類別使用量により、時間帯が設定時間帯であるか否か、床暖房機器40が運転中であるか否か、セキュリティシステム50が警戒モードであるか否かの複数の状態の夫々を組み合わせた8つの分類別のガスGの使用量を示すものとなる。
【0044】
例えば、図4に示すように、時間帯が設定時間帯であるか否か、床暖房機器40が運転中であるか否か、セキュリティシステム50が警戒モードであるか否かの複数の状態の夫々を組み合わせによって、第1乃至第8分類の夫々の使用量に対して、その入力された分類別のパルス信号の数(分類別パルス数)と単位使用量との積として算出した量が加算されることになる。
【0045】
また、図2に示すように、自動検針システム100において、センタ装置60は、複数のメータ用アダプタの夫々のアダプタ通信部39との間で通信を行って、上記総使用量に加えて、メモリ37に記憶されている上記分類別使用量を取得可能に構成されている。
よって、センタ装置60において、例えば、設定時間帯において床暖房設備40が運転中であり且つセキュリティシステム50が警戒モード(不在)であるときの使用量を、第1分類の使用量として認識することができ、その第1分類の使用量に応じた割引料金を決定して、総使用量から求めたガス料金から当該割引料金を差し引くなどして、割引を適用することができる。
【0046】
すると、需要家A側では、上記のように設定時間帯において床暖房設備40が運転中であり且つセキュリティシステム50が警戒モード(不在)であるという特定の状況において、ガスGを使用するほどガス料金が安くなるので、需要家Aに対してそのような特定の状況で積極的にガスGを使用させるための動機付けを行うことができる。
【0047】
また、メータ用アダプタ30の表示部36は、上記集計部35で導出されて上記メモリ37に記憶されている分類別使用量を表示可能に構成されている。
具体的に、表示部36は、上記複数の分類別使用量の夫々を、自動的又はボタン等の操作等により、順次切り換えて表示することができる。また、この表示部36は、上記割引等のサービスを行う対象の特定の分類における分類別使用量のみを表示するように構成しても構わない。
よって、需要家Aでは、この表示部36に表示された分類別使用量を確認することにより、割引等のサービスの適用を受けるべく、当該サービス対象の分類別使用量が多くなるような特定の状況でのガスGの使用を積極的に行うようになる。
【0048】
また、センタ装置60は、1ヶ月毎の自動検針時に、複数の需要家Aの夫々に設置されたメータ用アダプタ30のアダプタ通信部39に、正確な時間を認識可能な時間補正信号を送信するように構成されている。
そして、メータ用アダプタ30の時計部38は、アダプタ通信部39により上記時間補正信号を受信すると、その時間補正信号に基づいて時間を補正するように構成されており、よって、時計部38は常に正確な時間を計測することができる。
【0049】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、ユーティリティをガスGとして説明したが、ユーティリティとは、各種公共サービスにおいて需要家に供給されるエネルギー又は物資のことであり、例えば、ユーティリティを、ガス以外に、電気、水道等として、電気メータや水道メータ等に対して、本発明に係るメータ用アダプタや自動検針システムを実施することができる。
【0050】
(2)上記実施形態では、メータ用アダプタ30は、床暖房機器40側から状況信号が入力される状況信号入力部33や、セキュリティシステム50側から状況信号が入力される状況信号入力部34のように、2つの状況信号入力部33,34を設けたが、別に、需要家における機器の設置状態や、集計部35で設定する分類等に応じて、1つ又は3以上の状況信号入力部を設けても構わない。
【0051】
(3)上記実施形態では、需要家Aに設置されている床暖房機器40やセキュリティシステム50側から状況信号をメータ用アダプタ30の状況信号入力部33,34に入力するように構成したが、別に、これら床暖房機器やセキュリティシステムを適宜別の機器としても構わない。
また、上記実施の形態では、一の状況信号入力部33,34に対して一の機器側から状況信号を入力するように構成したが、例えば複数の機器からなる機器群側から、当該機器群の全ての機器の状態の組み合わせが特定の組み合わせになったか否かを示す状況信号を、一の状況信号入力部に入力するように構成しても構わない。
【0052】
(4)上記実施形態では、メータ用アダプタ30に、分類別使用量を表示するための表示部36や、時間を計測するための時計部38等のように、各種追加機能を設けたが、別にこれら機能は適宜改変又は省略可能である。
【0053】
(5)上記実施形態では、メータ用アダプタ30に設けたアダプタ通信部39を、メータ10とセンタ装置60との間の通信を中継するように構成したが、別に、メータ10に対して通信機能を追加したり別の通信装置を設置する場合には、このアダプタ通信部39の中継機能を省略しても構わない。
また、メータ用アダプタ30とセンタ装置60との間で通信を行う必要がない場合には、上記アダプタ通信部39を省略しても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明に係るメータ用アダプタ装置及び自動検針システムは、ガス、電気、水道等種々の公共サービスにおいて有効に利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】メータ用アダプタが設置されたガスメータの状態を示す立面図
【図2】ガスメータ、メータ用アダプタ、及び、自動検針システムの構成及び接続状態を示す概略構成図
【図3】メータ用アダプタの集計部における集計処理の処理フロー図
【図4】集計処理の実施例を説明する図
【符号の説明】
【0056】
10:ガスメータ(メータ)
30:メータ用アダプタ
32:使用量信号入力部
33,34:状況信号入力部
35:集計部
36:表示部(出力部)
37:メモリ
38:時計部
39:アダプタ通信部(出力部)
40:床暖房機器
50:セキュリティシステム
60:センタ装置
100:自動検針システム
A:需要家
G:ガス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
需要家のユーティリティの総使用量を計量するメータに対して設置され、
前記メータ側から前記ユーティリティの単位使用量毎に出力される使用量信号が入力される使用量信号入力部と、
前記使用量信号入力部に入力された使用量信号を集計する集計部と、
前記集計部の集計結果を出力する出力部とを備えたメータ用アダプタであって、
前記需要家における状況を示す状況信号が入力される状況信号入力部を備え、
前記集計部が、前記使用量信号を、当該使用量信号が入力されたときに前記状況信号入力部に入力された前記状況信号の分類毎に集計して、前記需要家における状況に関する分類別のユーティリティの使用量である分類別使用量を導出するように構成されているメータ用アダプタ。
【請求項2】
前記状況信号入力部が、前記状況信号として、前記需要家に設置されたユーティリティ消費機器の作動状態を示す信号、又は、前記需要家での生活状態を示す信号が入力されるように構成されている請求項1に記載のメータ用アダプタ。
【請求項3】
前記状況信号入力部を複数備えた請求項1又は2に記載のメータ用アダプタ。
【請求項4】
前記出力部として、前記集計部で導出した前記分類別使用量を表示可能な表示部を備えた請求項1〜3の何れか一項に記載のメータ用アダプタ。
【請求項5】
時間を計測する時計部を備え、
前記集計部が、前記使用量信号入力部に入力される使用量信号を、前記時計部で計測される時間帯毎に集計して、前記時間帯別のユーティリティの使用量である時間帯別使用量を導出するように構成されている請求項1〜4の何れか一項に記載のメータ用アダプタ。
【請求項6】
前記出力部として、前記集計部で導出した前記分類別使用量を外部のセンタ装置に送信可能なアダプタ通信部を備えた請求項1〜5の何れか一項に記載のメータ用アダプタ。
【請求項7】
前記アダプタ通信部が、前記メータと前記センタ装置との間の通信を中継するように構成されている請求項6に記載のメータ用アダプタ。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のメータ用アダプタとして構成され、複数のメータの夫々に設置された複数のメータ用アダプタと、
前記複数のメータ用アダプタの夫々のアダプタ通信部との間で通信を行って、特定の需要家における前記分類別使用量を取得可能、且つ、前記複数のメータの夫々との間で通信を行って、特定の需要家における前記総使用量を取得可能なセンタ装置とからなる自動検針システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−298394(P2007−298394A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−126584(P2006−126584)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】