説明

モジュール間の直接メモリアクセスを用いるマルチモジュール回路カード

取り外し可能な電子回路カード(33)は、不揮発性大容量記憶メモリを有するメモリモジュール、および分離した入出力モジュール(37a)などの複数のモジュールを有し、カードがホストシステム(31)内に挿入されているが、ホストシステムを介してデータを送信する必要のないときに、第1のモジュールを介して他のモジュールとのデータ転送を直接メモリアクセス(DMA)タイプの転送で直接に行うことができる。ホストがDMAコマンドを与えた後、カードとの直接的なこのようなデータ転送中、ホストが電力を供給し、場合によりクロック信号および他の類似の支援を供給することを除いて、データ転送はホストシステムと無関係に達成される。無線または電気接続手段のどちらかを介して転送用のデータを入出力モジュールと外部装置との間で伝達することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、取り外し可能な電子回路カードの使用および構造に関し、特に、不揮発性メモリモジュールおよび入出力(「I/O」)モジュールの双方を有するカードに関する。
【背景技術】
【0002】
普及が進んでいる様々な市販の不揮発性メモリカードは極めて小形であり、異なる機械的および/または電気的インターフェイスを有している。例として、本願の譲受人であるカリフォルニア州、サニーベールのサンディスク コーポレイションから入手することができる関連のマルチメディアカード(「MMC」)およびセキュアデジタル(「SD」)メモリカードが挙げられる。国際標準化機構(「ISO」)および国際電気技術委員会(「IEC」)の規格に準拠するカードが他にもあり、広範囲にわたって実施されているものの一例は、ISO/IEC7816規格として知られている。
【0003】
MMCの物理的および電気的仕様は、カリフォルニア州、クーペルティーノのマルチメディアカード協会(「MMCA」)により時々更新され発行されている「マルチメディアカードシステム仕様」に記載されている。1999年6月付および2000年1月付のこの仕様の2.11版および2.2版は、本願明細書において参照により明確に援用されている。1つのカードに64メガバイトまでの可変記憶容量を有するMMC製品がサンディスク コーポレイションから現在入手することができ、128メガバイトの容量を近い将来利用することができると期待されている。これら製品は、2000年4月付でサンディスク コーポレイションから発行された「マルチメディアカード製品マニュアル」改訂版2に記載されている。このマニュアルは、本願明細書において参照により明確に援用されている。また、MMC製品の電気動作の特定の態様は、サンディスク コーポレイションに譲渡されたトーマス・エヌ・トームスおよびミッキー・ホルツマンによる1998年11月4日出願の同時係属出願中の米国特許出願第09/185,649号(特許文献1)および第09/186,064号(特許文献2)に記載されている。物理的カード構造体およびその製造方法は、サンディスク コーポレイションに譲渡された米国特許第6,040,622号(特許文献3)に記載されている。これら特許出願および特許の双方も、本願明細書において参照により明確に援用されている。
【0004】
最近のSDカードは、MMCカードに類似し、さらなるメモリチップを収容する増大した厚みを除いて、同じ大きさを有する。これらの間の主な違いは、SDカードが、カードとホストとの間で高速のデータ転送を可能にするために、さらなるデータ接点を含むということである。SDカードを受け入れるように設計されたソケットがMMCカードも受け入れるために、SDカードのその他の接点はMMCカードの接点と同じである。双方の種類のカードを収容するようにホストの動作へ幾つかの変更を行う必要があるため、ほとんど、SDカードとの電気的インターフェイスは、前に援用されている仕様の2.11版に記載されているMMC製品と下位互換性のあるようにさらに製造されている。SDカードの特定の態様は、本願明細書において参照により援用されている2000年8月17日出願の米国特許出願第09/641,023号(特許文献4)に記載されている。
【0005】
ISO/IEC7816規格に準じて製造されたカードは、MMCおよびSDカードと異なる形状を有し、異なる位置に表面接点を有し、異なる電気的インターフェイスを有する。ISO/IEC7816規格は、「接点を有する識別カード−ICカード」という一般的な題名を有し、1994年から2000年まで個々の日付を有する1〜10の部分から成っている。この規格のコピーは、スイスのジュネーブにあるISO/IECから入手することができ、この規格は、本願明細書において参照により明確に援用されている。データが不正に読み取られることを極めて困難または不可能にさせて、データを安全に記憶する必要がある場合、ISO/IEC7816カードは特に有用である。小形のISO/IEC7816カードは、幾つかある用途の中で特に携帯電話で一般に用いられている。
【0006】
現在、メモリカードが接続されているホストシステムを介してメモリカードと幾つかの外部装置との間でデータが転送される。このようなメモリカードが用いられるホストシステムのすべてが、特定の種類または大量のデータを高速で、かつ効率良く、便利に転送するのに特に適しているとは限らない。
【特許文献1】米国特許出願第09/185,649号
【特許文献2】米国特許出願第09/186,064号
【特許文献3】米国特許第6,040,622号
【特許文献4】米国特許出願第09/641,023号
【特許文献5】米国特許出願第09/924,185号
【特許文献6】欧州特許出願第0 891 047号
【特許文献7】国際公開パンフレット第WO02/19266号
【特許文献8】欧州特許出願第1 001 348号
【特許文献9】ヨシー・ピントらによる2003年12月9日出願の「着脱可能な電子回路カードのモジュール間の効率的な接続」という米国特許出願
【発明の開示】
【0007】
従って、簡潔かつ一般的に言えば、本発明は、不揮発性大容量記憶メモリを有するメモリモジュールと、分離した入出力モジュールとの双方を有する取り外し可能な電子回路カードを用い、これによって、カードがホストシステム内に挿入されているが、ホストシステムを介してデータを送信する必要のないときに、入出力モジュールを介して大容量記憶メモリとのデータ転送を直接メモリアクセス(DMA)タイプの転送で直接に行うことができる。ホストがDMAコマンドを与えた後、カードとの直接的なこのようなデータ転送中、ホストが電力を供給し、場合によりクロック信号および他の類似の支援を供給することを除いて、データ転送はホストシステムと無関係に達成される。メモリモジュールと入出力モジュールとの間のこのようなDMA転送のコントローラとしても作用することができるように、メモリカードのコントローラ構造は変更されている。無線または電気接続手段のどちらかを介して転送用のデータを入出力モジュールと外部装置との間で伝達することができる。例えば、入出力モジュールはアンテナまたは他の種類の送受信機を有することができる。
【0008】
単一カード内の入出力モジュールとメモリモジュールとの間へのDMA機構の導入は、多数の利点を有する。ホストがデータ転送を開始するだけなので、ホストは実際のデータ転送に最小限に関与し、従って、入出力およびメモリモジュールがこれらの間でデータを転送する間、ホストは他のタスクを処理することができる。しかも、データ転送中、バスをアイドル状態とすることができるので、電力消費量は減少される。その上、DMA機構は、より少ないコマンドおよび応答処理を要し、従ってデータ転送は従来の方法よりも高速になる。
【0009】
第1の実施形態のセットでは、メモリモジュールおよび入出力モジュールの各々は、カードのバスを介してホストと個々に通信するそれぞれのコントローラを有する。この場合、DMA転送はこのバスを用いることができ、クロック信号はホストから供給される。第2の実施形態のセットでは、双方のモジュールに単一コントローラが用いられ、DMA転送は、ホストへ/ホストからデータおよびコマンドを転送するためにコントローラにより用いられるバスと異なる経路を用いる。
【0010】
他の実施形態は、DMA処理がメモリモジュールと入出力モジュールとの間で生じる場合を超えて、より一般的なモジュール間のDMA処理までDMA処理を拡張する。具体的な例として、2つの入出力モジュールの間のDMA処理および2つのメモリモジュール間のDMA処理が挙げられ、前者をSDカード環境に即して提起し、後者をUSB大容量記憶装置に即して提起する。
【0011】
本発明のさらなる詳細な説明、特徴、および利点は、添付図面と一緒に理解すべきである以下の説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1を参照すると、ホスト電子システム31は、前に背景技術の欄で要約されたメモリカードなどの1つまたはそれ以上の種類の市販の取り外し可能な電子回路カードをユーザにより挿入し、かつ取り外すことができるソケット33を含むように示されている。ソケット33をホスト31に組み込むか、或いは物理的に分離し、ケーブルによりまたはケーブルなしで接続することができる。ホスト31を、このようなカードを受け入れるソケット33を含むデスクトップまたはノート形のパーソナルコンピュータとすることができる。このようなカードソケットを含むホストシステムのその他の例として、ハンドヘルドコンピュータ、電子手帳、他の携帯情報端末(「PDA」)、携帯電話、音楽プレーヤなどのような様々な携帯用電子装置が挙げられる。その上、自動無線および全地球測位システム(「GPS」)受信機も、このようなメモリカードソケットを有することができる。本発明の改善は、メモリカードソケットを含む幅広い種類のホストシステムへの応用を有する。
【0013】
本願明細書に記載されている例では、SDカードについて説明するが、当然のことながら、本発明は、何らかの特定種類の取り外し可能な電子回路カードを用いる実施形態に限定されるものではない。図2には、SDカード35および嵌め合いソケット33の物理構成を示す。SDカードの形状は、24mm×32mmの寸法を有する長方形であり、SDカードは2.1mmの厚みと、長い方の側に沿って延在し、1.4mmの厚みを持つ幅の狭いレール(図2に示されていない)とを有する。本発明を多種多様な大きさの一つを有するカードで実施することができるが、本発明は、50mmに満たない長さと、40mmに満たない幅と、3mmに満たない厚みとを有するカードで高度の実用性を有する。
【0014】
SDカード35は9個の表面電気接点10〜18を含む。ホストシステムソケット33が挿入されると、接点13、14および16は電力(VSS、VDD、およびVSS2 )に接続される。カード接点15はクロック信号(CLK)をホストから受信する。接点12はコマンド(CMD)をホストから受信し、応答および状態信号をホストに送信する。残りの接点10、11、17、および18(それぞれ、DAT2、DAT3、DAT0、およびDAT1)は不揮発性メモリに記憶するデータを並行して受信し、メモリからデータを並行してホストに送信する。ただ1つのデータ接点17のような少数のデータ接点を使用のために選択することができる。ホストとカードとの間のデータ転送の最大速度は、用いられる並列データ経路の数により限定される。前に背景技術の欄で説明したMMCカードは、類似の接点配置およびインターフェイスを有するが、データピン10および18を省略し、予備として設けられている接点11を用いない。MMCカードは、カードの厚みがたった1.4mmであり、カードがただ1つのデータ接点17を有するということを除いてSDカードと同一の寸法を有し、SDカードに類似して動作する。カード35の接点は、ソケット33のそれぞれのピン20〜28を介してホストシステムに接続される。本発明と互換性のあるメモリカードのその他の拡張は、本願明細書において参照により援用されている2001年8月2日出願の米国特許出願第09/924,185号(特許文献5)に記載されている。
【0015】
本発明は、36で示されているようなメモリモジュールに加えて入出力モジュール37を含むように変更されたカード35のような取り外し可能な電子回路カードに基づく。入出力モジュール37は、通信経路41上の幾つかの他のシステム39と直接に通信する。例えば赤外線または無線周波数信号を用いて通信経路41を無線とするか、或いは通信経路41が有線接続を含むこともできる。有線による場合、カード35は、線に取り付けられているプラグを取り外し可能に受け入れるために、外部ソケットを含む。無線の場合、無線周波数通信を用いるならば、カード35は内部にアンテナを含み、或いは赤外線通信が用いられるならば、赤外線エミッタおよび検出器を含む。無線周波数データ通信の新たな規格は、(62ページから始まる)2000年3月および(58ページから始まる)2000年4月のドクタドブズジャーナルの刊行物に載っている「Inside Bluetooth PartI」および「Inside Bluetooth PartII」と題された2つの論文でウィルソンおよびクロンツにより論じられているブルートゥース仕様として発行されている。これら論文は、本願明細書において参照により援用されている。その他の無線方式は、WiFiなどの802.11プロトコルと超広帯域(UWB)技術とに基づく無線方式を含む。通信経路41上のデータ転送は通常、2つの方向にあるが、特定の用途に対して、データ転送をどちらか1つの方向に確実に限定することができる。
【0016】
幾つかの応用において、外部システム39で入射信号41を明確に生じさせない場合がある。例えば、入出力モジュール37は、カメラモジュールとして機能するために、カード内に組み入れられた光センサまたはレンズを含むことができる。この場合、信号41は入射放射線であり、カードはスタンドアロン形のユニットを形成し、ケーブルまたはアンテナを介してホスト以外のいかなる実体とも相互作用する必要がない。
【0017】
例示的な実施形態では、入出力モジュール37を含むコンビカード35は、前に背景技術の欄に記載したようなSDメモリカードに基づき、これと互換性がある。この互換性は、機械的、電気的、電力、信号送信、およびソフトウェアを含む。コンビカード35の目的は、携帯用電子装置に対して低電力消費量で高速データI/Oを行うことである。第1の目標は、ホストを知っている非コンビカードに挿入されたコンビカードが装置またはソフトウェアの物理的な損傷または破壊を生じさせないことにある。この場合、コンビカードを単に無視すべきである。ホストを知っているコンビカードが挿入された後、カードの検出は、幾つかの拡張の場合、双方とも前に本願明細書において参照により援用されているMMC仕様の2.11版または米国特許出願第09/641,023号(特許文献4)に説明されている標準手段を介して行われる。この状態では、コンビカードはアイドル状態であり、少量の電力(1秒について平均して15mA)を引き出す。その後の通常の初期化およびホストによるカードの問い合わせ中、カードは、それ自体をコンビカード装置と識別する。次に、ホストソフトウェアはカード情報をタプル(連結リスト)形式で獲得し、カードの(複数の)I/O機能を起動することを容認することができるかを判断する。この判断は、ソフトウェアドライバに充てられる可用性または電力要件などのパラメータに基づく。カードが容認されると、充分に出力を上げ、I/Oおよび組み込まれた(複数の)機能を始動することができる。
【0018】
一実施形態では、FAT(ファイルアクセステーブル)ファイル構造、または(ブロックアクセスが支援されているが)ブロックの概念なしに、レジスタに個別かつ直接に読み書きすることができるという点でI/Oアクセスはメモリアクセスと異なる。これらレジスタはI/Oデータへのアクセス、I/O機能の制御、およびホストへ/ホストからの状態に関する報告またはI/Oデータの転送を可能にする。SDメモリは、固定サイズのブロックの倍数を読み出し/書き込むコマンドを用いる固定ブロック長の概念に典型的に依存する。I/Oは固定ブロック長を持つことも持たないこともでき、読み出しサイズは書き込みサイズと異なってもよい。このため、I/O動作は、長さ(バイト数)またはブロックサイズのどちらかに基づくことができる。
【0019】
カードソケットを介して外部の通信システムとホストシステムとの間でデータの転送を可能にするシステムは、欧州特許出願第0 891 047号(特許文献6)および国際公開特許出願第WO02/19266号(特許文献7)に記載されている。しかし、これら双方は、入出力カードが他のカードに取り付けられ、この他のカードがカードソケットに取り付けられている2カード構造に依存する。欧州特許出願第1 001 348号(特許文献8)は、データ通信機構を含むが、かなり制限されたメモリおよび他の機能を有するメモリタイプのカード構造体について説明している。
【0020】
ただ1つのIOモジュール37を形成するか、或いは幾つかのモジュールを有するカード35内に多数の入出力機能の1つまたはそれ以上を含めることができる。通信システム39が電話システムである場合、モデムは一例である。一般的なデータ転送機能は、ユーザが転送したい幅広い種類のデータのために、高度の有用性を有する可能性が高い。この転送は、音声および映像データ、膨大なデータベースファイル、ゲーム、並びに様々な他のコンピュータプログラムの転送を含む。本発明の主な態様によれば、このようなデータは、ホストシステム31を通る必要なしに遠隔システム39とメモリモジュール36との間で直接に転送される。この転送は直接メモリアクセス(「DMA」)の形態であり、転送されるデータストリームが長い場合に著しい利点を有する。ホスト31は、このようなデータおよび通信機能を処理するハードウェアまたはソフトウェアを有する必要がない。この処理は、カード35により完全に実行される。高速データ転送を処理するためのホストシステム31の何らかの制限や、限られた内部メモリ容量などは、メモリモジュール36との直接のデータ転送を制限しない。しかし、ホスト31は電力およびクロック信号をカード35に供給することができる。
【0021】
例示的な実施形態では、カードソケット33に適合するメモリおよび入出力のコンビカード35の一部は(双方とも前に参照により援用されているMMC仕様の2.11版または米国特許出願第09/641,023号(特許文献4)に説明されている)MMCカードまたはSDカードの規格などの適切な規格に裏付けられなければならないが、ソケットを超えて延在するコンビカード35の大きさについて、コンビカード35を可能な限り小形かつ軽量に製造するのが好ましいが、特別な制約はない。特に、SDカード仕様は、このような拡張を許容する。拡張部分の実際の大きさは、I/Oモジュール37または複数のモジュールの性質を決定することがしばしばある。例えば、I/Oモジュール37は、カード35により写真をメモリモジュール内に記憶することができるようにする光センサ、すなわちI/Oモジュール37に対して前述した例の幾つかよりも大きい物理サイズを要求する使用を可能にする光センサを含むことができる。
【0022】
一般に、50mmに満たない長さと40mmに満たない幅とを有する平面図の拡張部分の大きさは、この大きさにこの場合も満たない挿入可能な部分で形成されている場合にかなり便利である。さらなる数の集積回路チップおよび/または無線周波数通信用のアンテナを収容するために、カードの大きい外側部分の厚みを標準のSDメモリカードの厚みよりも大きく製造するだけで足りる場合がある。しかし、拡張されたカード部分の厚みを6mmよりも小さく製造することができ、4mmよりも小さく製造することが多い。
【0023】
コンビカード35の例示的な実施形態は、SDカード形式のファクタ内に一緒に存在する2つの別個のモジュール、すなわち1つのメモリモジュール36および1つのI/Oモジュール37を示す。ホスト31は、メモリカードプロトコルおよびI/Oプロトコルを介して2つのモジュールの各々にそれぞれ別々にアクセスすることができる。2つの例示的な実施形態のブロック図を図3および図5に示す。(図3および図5では、カードソケット、すなわち図1の33をホスト31の一部として見ることができる。)
【0024】
図3には、この場合もコンビカード35に接続されているホスト31を示す。この実施形態では、メモリモジュール(図1の36)はメモリコントローラ101およびメモリ103で構成され、IOモジュール(図1の37)はIOコントローラ105およびIO素子107で構成されている。双方のコントローラ101および105は、米国特許出願第09/641,023号(特許文献4)に充分に説明されているように、幾つかある特徴の中で特に選択可能な幅を有するSDカードバス43に接続されている。IO素子107は、本願明細書では、通信経路41上のローカルエリアネットワーク(LAN)と見る外部システム39とこの場合も通信する。前述したように、カード35上の別個のモジュール(メモリおよびIO)は、SDカードバス43を介してホスト31と自律的に通信することができる。
【0025】
メモリおよびIOモジュールが同一のカードの一部分であるが、いかなる手段も、集中的なホスト介入による以外は、2つのモジュール間のデータ転送に規定されない場合を最初に検討する。この場合、モジュール間で転送されたデータのあらゆるビットに対して、ホストはソースモジュール(メモリ/IO)から最初に読み出し、次に、ターゲットモジュールに(IO/メモリそれぞれに)書き込まなければならない。このことは時間を消費し、電流を引き出すSDカードバス動作を引き起こし、ホストを多忙にし続ける。また、ホストは、転送されるデータをバッファリングするのに充分なRAMメモリを有することを必要とし、このことは幾つかの応用においてそうでない場合がある。ホストは、比較的限られたRAM容量を有する可能性があるが、説明されているDMA処理を、データがホストを通る必要なしに、将来ホストで用いるために、大量のデータをメモリモジュールの大容量記憶メモリ内に記憶するのに用いることができる。例えば、ホストは、実行している他の処理を処理しながら、インターネットからの大きなファイルを、IOモジュールを介してメモリモジュールにダウンロードすることができる。
【0026】
特に、メモリモジュールと入出力モジュールとの間に直接メモリアクセス(DMA)を用いずに、LAN39から情報をダウンロードし、メモリ103の大容量記憶フラッシュメモリ内に記憶するために、ホスト31がコンビカード35をどのように用いることができるかを検討する。この状況は、2つのモジュールが1つのカード内に組み込まれていない場合に類似する。この場合、ホスト31がIOプロトコルを介してLAN39からダウンロードし、SDメモリカードプロトコル(本願明細書では、SDプロトコル)を介して不揮発性メモリ103に記憶したい情報の1つ1つのビットをホスト31により直接に処理しなければならない。特に、音楽または映像コンテンツなどの大量のデータの場合、このことは、とりわけ非効率的である。本発明の主な態様は、このような動作においてホストの関与を劇的に減少させるコンビカード内の2つのモジュール間へのDMA機構の導入である。
【0027】
SDまたは他のコンビカード35内のIOモジュールとメモリモジュールとの間へのDMA機構の導入は、多数の利点を有する。ホスト31がデータ転送を開始するだけなので、ホストは実際のデータ転送に最小限に関与し、従ってIOおよびメモリモジュールがこれらの間でデータを転送する間、ホストは他のタスクを処理することができる。しかも、データ転送中、SDバス43はアイドル状態であり、電力消費量は減少される。その上、DMA機構は、より少ないコマンドおよび応答処理を要し、従ってデータ転送は従来の方法よりも高速になる。
【0028】
提案されたDMA機構の基本概念は、DMAデータ転送をホストに開始させ、カードモジュールがそれらの間でデータを転送する間、DMA終了を待たせることにある。SDコンビカード設計に対して2種類の例示的な実施形態を提起する。図3および図4を参照して説明し、「バスDMA」と本願明細書で称する第1の実施形態では、2つのモジュールのコントローラはそれらの間に最小限のつながりを有し、これら双方はSDバスに接続されている。図5および図6を参照して説明し、「内部DMA」と本願明細書で称する第2の実施形態では、2つの機能(メモリおよびIO)は、SDバスと直接にインターフェイスをとるカード側にある唯一の構成要素である1つのコントローラにより管理されている。
【0029】
図3は、バスDMAの実施形態のブロック図である。カード内には、SDバス43とのインターフェイスを各々有する2つのコントローラ101および105がある。SDバス43を介してメモリ103とIO107との間でデータが転送される。この実施形態では、ホストはクロックを供給するが、その他の点でホストはデータの転送に関与しない。このモードでは、DMA転送をSD単一バスモード、広域バスモード、またはSPIモードで支援することができるが、好ましくは、米国特許出願第09/641,023号(特許文献4)に充分に説明されているようにDMA動作前にバス幅を1ビットに設定する。(というのは、DMA転送を終了する際、SDカードは、(MMC仕様の2.11版または米国特許出願第09/641,023号(特許文献4)に説明されている)DAT1を用いて割り込みを生じさせ、ホストは、広域バスモードにおいて正当な割り込み期間を判断するためにバス処理をトレースしない場合があるためである。)
【0030】
この実施形態では、LAN39からメモリ103の不揮発性大容量記憶メモリにデータを転送する場合、データは最初に通信経路41を超えてIO107に転送される。そこから、データはSDバス43を介してIOコントローラ105からメモリコントローラ101に転送され、その後、メモリ103へ転送される。SDバス43を介してデータが転送されるので、ホストも、DMA転送中、このデータにアクセスすることができる。この処理を点線により線図的に示す。ホストが、転送を実行するようカードに指示した後、クロック信号の供給を別にしてホストとは無関係に処理が実行される。メモリからの転送は、対応する逆方向に実行される。
【0031】
図4を参照すると、図3に従って修正されたSDカード35内の電子システムを詳細な形でブロック図に示す。メモリコントローラ101は線104上の1つ以上のメモリユニット103と通信する。コントローラ101はマイクロプロセッサ106およびインターフェイス回路109を含む。インターフェイス回路109はメモリ111、SDバス/ホストインターフェイス回路113、およびメモリインターフェイス回路115と相互接続されている。メモリユニット103は、線104に接続されているコントローラインターフェイス119と、フラッシュメモリまたは不揮発性大容量記憶アレイ121とを含む。処理技術の改善が可能であれば、より多く単一チップ上に結合する傾向にあるが、コントローラ101および各メモリユニット103は、カードのプリント回路基板に取り付けられ相互接続されている別々の集積回路チップ上に一般に設けられている。
【0032】
バス43を介してインターフェイス113に接続され、線図的に示してあるコネクタ123は、カードソケット33(図1および図2)に挿入されているSDカードの表面接点を含む。コントローラ101は、メモリユニット103と、カードが接続されているホストとの間のコマンドおよびデータの流れを制御する。コントローラ101は、現在のSDカードにおいて管理するのとほぼ同様に、メモリユニット103の動作およびホストとの通信を管理する。
【0033】
IOモジュールでは、IOコントローラ105は線145上の1つ以上のIOユニット107と通信する。この場合も、IOコントローラはマイクロプロセッサ147およびインターフェイス回路149を含む。インターフェイス回路149は、メモリ151、SDバス/ホストインターフェイス回路153、および入出力ユニット107とインターフェイスをとる回路155に相互接続されている。処理技術の改善が可能であれば、より多く単一チップ上に結合する傾向にあるが、コントローラ105および各IOユニット107は、この場合も、カードのプリント回路基板に取り付けられ、相互接続されている別個の集積回路チップ上に一般に設けられる。線145はコントローラインターフェイス回路133と接続され、コントローラインターフェイス回路133はプロセッサインターフェイス回路135に接続されている。入出力カードの動作を制御するマイクロプロセッサ137とメモリ139も、プロセッサインターフェイス135と接続されている。他の実装例は、IOユニット107内にマイクロプロセッサ137を持たないが、その代わりに、I/Oコントローラ105により管理される一連のレジスタに加えて幾つかの専用のロジックを有する。一般に、メモリコントローラ101およびI/Oコントローラ105の双方がDMAプロトコルを承知しているので、特定のDMA素子は必要とされない。最後に、プロセッサと、送信装置143を介して送信および/または受信される信号またはデータとの間にインターフェイスをとるため、回路141がさらにプロセッサインターフェイス135と接続されている。有線通信が用いられる場合、装置143は差し込み用コンセントである。無線周波数を用いる無線の場合、装置143はアンテナである。赤外線通信を用いる無線の場合、装置143は赤外線放射信号の放出器および/または検出器を含む。いずれにしても、マイクロプロセッサ137は装置143とコネクタ131との間のデータ転送を制御する。
【0034】
内部DMAを図5および図6を参照して示す。単一のコントローラ101’はIOユニット107とメモリユニット103との間のデータ転送を内部で実行する。DMA転送中、SDバス43を完全にアイドル状態にし、これにより電力消費量を減少させることができる。従って、これは、より効率の良い方法である。ホストは、内部DMA動作中、内部DMA動作で転送されたデータを読み出すことができ、この場合、モジュールの1つはデータ源である。並列処理を達成するために、ホストは広域バスモード割り込みを支援しなければならないか、或いはDMA動作前にカードを単一バスモードに切り換えなければならない。というのは、内部DMA動作を終了する際、カードがDAT1を用いて割り込みを生じさせるためである。(バスモードの詳細については、この場合も米国特許出願第09/641,023号(特許文献4)を参照されたい。)
【0035】
LAN39からメモリ103の不揮発性大容量記憶メモリにデータを転送する場合、内部DMAが支援する実施形態では、この場合も、データは最初に通信経路41を超えてIO107に転送される。しかし、データは、次に、SDバス43を用いずにコントローラ101’を介して直接メモリ103へ転送される。この処理を点線により線図的に示す。ホストが、転送を実行するようにカードに指示した後、(ホスト31もIOモジュールから読み取らなければ、)SDバス43はアイドル状態となり、ホストとは無関係に処理が実行される。メモリ103からLAN39への転送は、対応する逆方向に実行される。コントローラ101’からホスト31への点線は、内部DMA処理中の選択的なデータの読み出しを示している。逆の処理中、データの書き込みの場合では、その矢印は、もう一方の方向にも進む。
【0036】
図6は、図5に従って修正されたSDカード35内の電子システムを詳細な形で示す。単一のコントローラ101’は、線104上の1つ以上のメモリユニット103と、線145上の1つ以上のIOユニット107と通信する。メモリユニット103およびIOユニット107は、図4を参照して前に説明したものと同じである。コントローラ101’は図4のメモリコントローラ101に類似し、この場合も、マイクロプロセッサ106’およびインターフェイス回路109’を含み、ここでインターフェイス回路109’はメモリ111’、SDバス/ホストインターフェイス回路113’、およびメモリインターフェイス回路115’と相互接続されている。コントローラ101’は、入出力カードとインターフェイスをとる回路117をも含む。図4のIOコントローラ105で前に取り扱われていた機能がここでは、結合形のコントローラ101’に転送されているので、構成要素が多少異なる場合があるため、「’」記号を用いて、図6のコントローラ101’内の構成要素が、図4において類似する符号の構成要素と異なる場合があることを示す。
【0037】
処理技術の改善が可能であれば、より多く単一チップ上に結合する傾向にあるが、コントローラ101’、各メモリユニット103、および各IOユニット107は、この場合も、カードのプリント回路基板に取り付けられ、相互接続されている別々の集積回路チップ上に一般に設けられる。バス43を介してインターフェイス113に接続され、線図的に示してあるコネクタ123は、カードソケット33(図1および図2)に挿入されているSDカードの表面接点を含む。コントローラ101’は、メモリユニット103と、IOユニット107と、カードが接続されているホストとの間のコマンドおよびデータの流れを制御する。
【0038】
一般に、所定のカードは、2つのDMA方法の一方のみを支援する。図3および図4の実施形態が2つのコントローラを示し、図5および図6の実施形態が1つのコントローラを有しているが、実際には、この区分に多少手を加えることができ、カードの異なるチップ間に様々な機能を様々に分散することができる。単一チップ上に構成要素が結合されているので、コントローラ間の分離はなお一層、慣習の問題になる。バスDMAおよび内部DMA処理を区別する原則に基づく特徴は、IOモジュールと大容量記憶モジュールとの間に用いられている経路であり、すなわち、例示的な実施形態ではSDバスが用いられるかどうかである。
【0039】
次に、例示的なSDカードの実施形態における実装例について詳細に説明する。より具体的に説明するため、前に参照により援用されている「マルチメディアカードシステム仕様」2.11版および2.2版、米国特許出願第09/185,649号(特許文献1)、米国特許出願第09/186,064号(特許文献2)、および米国特許出願第09/641,023号(特許文献4)で充分に説明されている様々なコマンド、構造、およびレジスタを参照する。
【0040】
DMA支援を知らせるために、2つのビットをDMA方法の判断のためにカード制御レジスタに割り当てることができる。例えば、これらのビットの「00」値は、DMAを支援しないことを意味し、「01」はバスDMAを意味し、「10」は内部DMAを意味することができる。ホストはこれらビットを一度だけ読み出す必要があり、これを以下のカードとのDMA処理のすべてに適用する。
【0041】
SDカードコマンド構造体では、新たなコマンドDMA_CMDがDMA処理について規定される。ホストがDMA動作を呼び出すことを望めば、ホストは、このコマンドを用いなければならない。例示的なコマンド構造体は図8の表である。表の1行目は、2行目の各項目に当てられているビット数であり、この例では、2行目の項目は以下の通りに規定されている。
S(tart bit):開始ビット。常に「0」。
D(irection):方向。常に「1」であり、ホストからカードへの転送を示す。
DMA方向:「1」は、データがIOからメモリに転送されることを意味し、「0」は、データがメモリからIOに転送されること意味する。
IO機能数:ホストがメモリモジュールから読み出し/メモリモジュールへ書き込みたいIOモジュール内の機能の数。
OPコード:IOアドレスを「0」−固定アドレス、「1」−増分されているアドレスに規定する。
IOレジスタアドレス:読み出しまたは書き込みのためのIOレジスタの開始アドレス。
ブロック数:DMA動作で転送すべきデータブロックの数。
スタッフビット:何の意味もなく、常に「0」。
CRC7:7ビットのコマンド周期的冗長検査(CRC)。
E(nd bit):終了ビット。常に「1」。
SDまたはMMCコマンド構造体では、カードが転送状態にあり、ホストからデータ処理コマンドを獲得する準備ができている場合、コマンドは正当であり、その後、カードはモード適正応答と応答する。
【0042】
図7は、本発明のDMA動作について説明するフローチャートである。ステップ701では、ホストはカード制御レジスタ内のDMA指定ビットを読み出して、(複数の)DMA方法が支援されているか、またどのDMA方法が支援されているかを判断する。カードがDMA方法の双方を支援することができるが、好ましい実施形態は、1つのカードにつき1つの方法に限定されている。というのは、このことが仕様および実施を簡単にするからである。ステップ703では、ホストはDMAコマンド、すなわちDMA_CMDをカードに送信する。DMAコマンドは、(メモリモジュールからIO機能へ転送が要求される場合、「0」であり、逆の場合であれば、「1」である)DMA方向と、必要とされるIO機能に設定されるIO機能数と、(IOアドレスが固定されていれば、「0」であり、増分されていれば、「1」である)OPコードと、(開始IOレジスタアドレスを反映するように設定されている)IOレジスタアドレスと、ブロック数とを含む。ブロック数は、メモリについてSD/MMCコマンド構造体のCMD16により、IOについてはCMD52/53により前もって設定されたサイズを有するデータブロックの数を反映するように設定されている。
【0043】
ステップ705では、カードはDMA_CMDに応答する。何か問題(例えば、不正コマンド)があれば、フローを終了する。ステップ707では、ホストは、書き込み/読み出しコマンド(SD/MMCコマンド構造体のCMD17/18または24/25)をメモリモジュールに送信する。DMAタイプに基づいて、ホストは、転送中、カードに供給する必要のある信号を判断する。例えば、方法がバスDMAであれば、ホストはSDバスにクロック信号を供給し続け、そうでなければ、ホストはクロックを停止することができる。
【0044】
次に、ステップ711では、2つのモジュールは、それらの間でデータを転送し、ステップ713では、処理が完了したことをカードが知らせる。SDカードの場合、DMA動作を終了する際、カードはDAT1線に割り込みを生じさせる(「0」にアサートする)。最後に、ステップ715では、ホストは正常なメモリおよびIO状態(SD/MMCコマンド構造体のCMD13およびCMD52)を読み出して終了状態を判断する。
【0045】
SDカードコマンド構造体に基づくバスDMAの実施形態では、周期的冗長検査(CRC)、CRC応答およびビジー指示の観点から、2つのモジュール間の結びつきは、正常動作中のホストとカードとの間の結びつきと同一である。ソースモジュールは、後にCRC16および終了ビットが続くデータをデータ線に表示する。ターゲットモジュールはCRC応答およびビジー指示と応答する。すべてのバスタイミング規定は、規則正しいSDバスタイミングに忠実である。
【0046】
前述したように、本発明をSDカードの実施形態に即して説明してきたが、本発明はいかなるメモリ/IOコンビカードにも拡張する。例えば、スマートカードコントローラを内蔵するカードなどの内部ファイルシステムを用いるコンビカードの標準規格まで本発明を拡張することができる。このようなシステムでは、ホストが、ファイルのチャンク(例えば、動作システムのディスククラスタまたは他の適切な単位)ごとにDMA転送を開始する必要があるというよりはむしろ、ファイル全体にDMA動作を指定することができるので、ホストの関与を著しく減少させることができる。
【0047】
これまでの説明はメモリ/入出力コンビカードの場合を検討してきたが、本発明の説明は、他のマルチモジュール構造を有するカードまで拡張する。例えば、前述したように、カードは、幾つかのメモリ、または図6の線145に沿って接続されたIOモジュールを有することができる。メモリモジュール/IOモジュールの場合に類似して、複数の入出力モジュールを有するカード上の異なる入出力モジュール間でDMAタイプの転送を実行することができる。
【0048】
このようなカードの一例として、多機能IOカードがカメラ機能およびブルートゥースまたは他の無線周波数データ通信機能を含む場合を検討する。ホスト、例えばPDAは、カメラを介して映像を獲得し、ブルートゥースを用いて映像を中央局に転送したいものとする。ナノ、ピコ、またはミリ秒という点から映像クリップの長さが何であれ、処理は長時間かかる。この時、ホスト装置(PDA、PC、ハンドヘルドなど)は、映像の獲得および送信処理を厳密に管理する必要がある代わりに、実行している他の処理を取り扱わなければならないおそれがある。従来技術では、このようなシステム構造においてデータを2つのIO機能間に直接転送する別の方法はない。複数のIO機能を有するIOカード(例えば、PCMCIA、SDIO、SDコンボ、メモリスティックIO)をホストする装置がIO機能の2つの間でデータを転送したければ、ホストはソースIO機能からホストの内部RAMへのデータを読み出し、次に、ターゲットIO機能に書き込まなければならない。この処理は時間を消費し、カードバス動作が電流を引き出し、ホストを多忙にし続ける。
【0049】
従って、これまで説明したメモリモジュール/入出力モジュールの例を超えて本発明の他の態様は、モジュール間のDMA動作をIO間のDMA処理のような一般的なモジュール間の処理まで拡張する。これまでのように、ホストは、単一カードがシステムに取り付けられていると理解するが、追加のカードが最初のカードに結合し、最初のカードを介してホストと通信する2つ以上のカードにわたって実際のモジュールを分散することができる。
【0050】
単一カードで、かつ2つの入出力モジュールの場合を検討し、図9は、このような装置のブロック図である。2つのIOモジュール37aおよび37bと2つの外部通信経路41aおよび41bとがあることを除いて、図9は図1に類似する。信号41aも、カードと、39のような第2のLANまたは通信システム(図示せず)との間に存在することができ、或いは、例えば、撮像機能により送信された入射光とすることができる。破線は、IOカードにおける2つのIO機能間のDMAアクセスを示す。
【0051】
コンビカード上のメモリモジュールと入出力モジュールとの間について既に説明した処理を拡張して、処理により、複数のIO機能カードは、ホストの関与を最小限にする直接メモリアクセス(DMA)動作を2つのIO機能間で実行することができる。このようなDMA動作を実行するために、新たなホストコマンド(または一連のコマンド)がコマンドセットに加えられる。新たなコマンド、いわゆるIO−DMAコマンドは、DMA方向(ソースおよびターゲットIO機能)と、転送すべきブロック数と、各IO機能内の開始アドレスと、固有のカードプロトコルが指示する他のパラメータとを規定する。コマンド(または一連のコマンド)を出した後、カードは「DMAモード」に入る。
【0052】
図3および図4並びに図5および図6をそれぞれ参照して前述したように、DMAモードの動作には、この場合も2つの方法がある。第1のモードでは、カードは、IO機能間にデータを転送するのと同時にホスト−カードバス上にデータを表示する。このことは、図3に類似する構造ではあるが、メモリコントローラおよびメモリを第2のI/OコントローラおよびI/Oユニットに置き換え、DMA転送の一終点がメモリである代わりに、データが第2の外部経路(図9の41b)に沿って送信または受信されることは除く。カードは、割り込み信号をアサートすることによりDMA転送の終了をホストに指示する。
【0053】
第2のモードでは、カードはDMA転送を内部で管理する。ホスト−カードバスは完全にアイドル状態であり続ける。すなわち、カードはDMAデータをバス上に表示しない。カードはDMA転送を内部で管理する。ホスト−カードバスはアイドル状態であり続けることができる。すなわち、カードはDMAデータをバス上に表示しない。固有のカードプロトコルが「ビジー」指示の方法を割り当てると、「ビジー」指示の方法がDMA処理全体を通じて信号送信される。転送が終了すると、カードはビジー信号を解除し、割り込み信号をアサートする。DMA転送中、ホスト−カードバス動作が必要とされないので、この方法は、第1のモードよりも電力の消費を少なくする。このことは、図5に類似する構造ではあるが、メモリコントローラおよびメモリを第2のI/OコントローラおよびI/Oユニットに置き換え、DMA転送の一終点がメモリである代わりに、データが第2の外部経路(図9の41b)に沿って送信または受信されることは除く。
【0054】
これら2つのモードは、多数のコントローラまで用いることができる多数のトポロジーを用いることができ、これらトポロジーは、コントローラをホスト−カードバス(例示的な実施形態のSDバス)にどのように取り付けるかに用いることもできる。入出力ユニットは単一コントローラを有することができ、或いは各モジュールが、ホスト−カードバスに結合するそれぞれのコントローラを有することができる。メモリモジュールも含まれれば、その結果、多数のさらなる組み合わせを使用することができる。例えば、複数のIOユニットを有するメモリ/入出力コンビカードでは、さらなるI/Oユニットは図4および図6のユニット107に類似して構成され、線145に沿ってコントローラに取り付けられる。特に、単一バス上のホストと通信する様々な数の独立モジュールがあり、従来技術では、これら独立モジュールはホストにより互いに通信する必要があるが、本発明によれば、DMA処理により互いに通信することができる。様々なモジュール間制御信号は、ヨシー・ピントらによる2003年12月9日出願の「着脱可能な電子回路カードのモジュール間の効率的な接続」という米国特許出願(特許文献9)に詳細に説明されている。この特許出願は、本願明細書において参照により援用されている。
【0055】
今までのところ、説明には、SDバス構造体を用いてホストと通信するSDカードの例示的な実施形態を用いた。モジュール間のDMA機能を有するマルチモジュール構造の別の例として、図4および図6の線104に沿って接続されるような複数のメモリモジュールの場合を検討する。前述したようなSDに基づく実施形態を説明するよりはむしろ、USBバス構造体を用いてメモリモジュール間のDMA処理を説明する。前述した実施形態でのように、USB大容量記憶装置は、メモリモジュールに対して多数の異なる構造を有することができ、メモリモジュールは、USB装置、またはUSB装置を介してUSBバスに接続する外部装置に組み込まれている。
【0056】
この実施形態および前の実施形態の双方では、従来技術の下、バス構造体は、ホストが1度に1つのモジュールと通信することができ、1つのモジュールがホストを介してもう1つのモジュールだけにデータを送信することができるようになっている。2つの論理ユニット間のファイルの複写はホストにより直接に行われ、例示的な実施形態では、論理ユニットが接続されているUSBまたはSDバスを用いる。ホストは、CPUを用いてバスに沿ってソースモジュールからRAMへファイルを複写し、次に、RAMからバスに沿って送信先モジュールへファイルを転送して、各転送中、バスの帯域幅の一部を複写する。前に援用されているヨシー・ピントらによる2003年12月9日出願の「着脱可能な電子回路カードのモジュール間の効率的な接続」という米国特許出願(特許文献9)に説明されているように、双方のモジュールをホストにより単一実体として見ることができるにしても、このように従来技術は依然としてホストの注意を必要とする。本発明の主な態様によれば、DMAのような動作が直接異なる論理ユニット間で可能になり、従来技術に必要とされたある種の直接管理からバスおよびホストを解放する。
【0057】
図10は、複数の論理ユニットを支援することができるUSB大容量記憶装置を示し、多数の実行可能な構造を表す。ホスト31はUSBバス803に沿ってUSB大容量記憶装置835に接続され、USBバス803は他の装置へも延在することができる。多数のメモリモジュールを示し、メモリモジュール836aおよび836bは、装置に組み込まれ、メモリモジュール853aおよび853bは、それぞれのソケット833aおよび833bを介して835に接続されている外部カード851aおよび851bにそれぞれ組み込まれている。このような装置は典型的に、これら異なる構造のすべてを持っていないが、これら異なる構造を用いて、同一装置上の2つの大容量記憶論理ユニット間でファイルを複写するのに異なる種類のDMA転送を示すことができる。これら構造は、DMA転送がメモリモジュール836aおよび836b間に存在するようにすべての論理ユニットが装置に組み込まれている場合を含む。USB装置がカード読み取り器としても機能する別の例では、DMA転送は、853aのようなカード上のメモリモジュールと836aのようなUSB装置上のメモリモジュールとの間に存在する。USB装置が幾つかのカードを同時に読み出すことができる場合、DMA転送は2つの外部メモリカード851aおよび851b間に存在することができる。前に説明した実施形態でのように、この転送は、データを第1のモジュールの第1のアドレスからホスト装置へ送信する必要性を伴って実行され、この転送は、その後、送信先モジュール上の特定の第2のアドレスを有する第2のモジュールへデータを送信しなければならない。
【0058】
これら構造のいずれも、ホストは、ソース論理ユニット数、ソースアドレス、送信先論理ユニット数、送信先アドレス、およびバイト数を含む複写データコマンドを送信することができる。装置は、ホストとの間でデータを転送せず、内部でデータの複写を実施することができる。「パススルー」コマンド、または新たに規定されたCBW/CBI(コマンドブロックラッパー/コマンドブロック割り込み)コマンド、或いはベンダ固有コマンドとして複写コマンドを転送することができる。ソースおよび送信先USB装置が同一であるファイル複写処理を認識する動作システムは、この複写コマンドを用いることができる。ファイルシステムが装置上で実施される場合、DMA複写コマンドはファイルを基準とすることができる。DMA複写も、大容量記憶装置クラスおよび音声装置クラス間のやり取り、通信装置クラスおよび音声装置クラス間のやり取りなどのような異なるプロトコルを支援する異なる終点(EP)間に拡張することができる。
【0059】
本発明の様々な態様を具体的な実施形態に関して説明してきたが、本発明が添付の特許請求の範囲の全範囲内においてその権利が保護されるべきであることが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】不揮発性メモリモジュールおよび入出力モジュールのコンビカードを用いるシステムを示す。
【図2】例示的なカードと、このカードが挿入されているシステムソケットとのピン割り当てを示す。
【図3】図1および図2のカードの第1の実施形態の動作を示すブロック図である。
【図4】図3のカードの詳細な電子ブロック図である。
【図5】図1および図2のカードの第2の実施形態の動作を示すブロック図である。
【図6】図5のカードの詳細な電子ブロック図である。
【図7】本発明のDMA動作について説明するフローチャートである。
【図8】例示的なコマンド構造体を示す表である。
【図9】2つの入出力機能を有するカードを示すブロック図である。
【図10】USB大容量記憶装置の実施形態を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホストシステムに接続可能な電子回路カードにおいて、前記カードは、
第1のモジュールと、
外部的にホスト−カードシステムからデータを受信し、かつ/または前記ホスト−カードシステムへデータを送信することを含む外部データ転送を実行するための入出力機能を有する第2のモジュールであって、前記カードが接続されるホストからのコマンドに応答して、前記第2のモジュールと前記第1のモジュールとの間に前記データの直接メモリアクセスタイプの転送を用いて、前記カードが前記第1のモジュールへ/前記第1のモジュールからの外部データ転送を実行する第2のモジュールと、
を備える電子回路カード。
【請求項2】
前記第1のモジュールは、入出力機能を有し、前記データは、前記第2のモジュールを介して外部から前記ホスト−カードシステムへ受信される請求項1記載のカード。
【請求項3】
前記データは、画像情報である請求項2記載のカード。
【請求項4】
前記第1のモジュールは、画像センサを含む請求項3記載のカード。
【請求項5】
前記第2のモジュールは、赤外線送受信機を含む請求項1記載のカード。
【請求項6】
前記第2のモジュールは、無線周波数送受信機を含む請求項1記載のカード。
【請求項7】
前記第1のモジュールおよび前記第2のモジュールは、共通のコントローラを有する請求項1記載のカード。
【請求項8】
前記第1のモジュールおよび前記第2のモジュールは、異なるコントローラを有する請求項1記載のカード。
【請求項9】
ホストシステムと取り外し可能に接続される電子回路カードの第1のモジュールと、外部装置との間でデータを伝達する方法であって、前記ホストから前記カードへコマンドを出すステップと、これに応答して、入出力機能を有する前記カードの第2のモジュールを介して前記第1のモジュールと前記外部装置との間で、前記ホストシステムを介すよりはむしろ、前記第1のモジュールと前記第2のモジュールとの間に直接メモリアクセス転送を用いてデータを伝達するステップとを含む方法。
【請求項10】
データは、入出力モジュール内に含まれるアンテナを介して無線で前記第2のモジュールと前記外部装置との間で伝達される請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記第1のモジュールは、入出力機能を有し、前記方法は、前記第2のモジュールを介して外部からホスト−カードシステムへ前記データを受信するステップをさらに含む請求項9記載の方法。
【請求項12】
前記データは、画像情報である請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記第1のモジュールは、画像センサを含む請求項12記載の方法。
【請求項14】
システムにおいて、
ホストと、
前記ホストに接続されるバス構造体と、
電子回路装置と前記ホストとの間でデータおよびコマンドを伝達するための前記バスに接続可能な電子回路装置であって、前記電子回路装置が複数の論理ユニットの前記ホストと共にデータおよびコマンドの通信を行い、前記論理ユニットの1つだけが前記バスにわたって一度にデータを前記ホストと交換することができるように前記バス構造体が構成され、前記ホストからのコマンドに応答して、前記データの直接メモリアクセスタイプの転送を用いて前記回路装置が前記論理ユニットの第1の論理ユニットと第2の論理ユニットとの間でデータ転送を実行する電子回路装置と、
を備えるシステム。
【請求項15】
前記第1および第2の論理ユニットは、メモリモジュールである請求項14記載のシステム。
【請求項16】
前記第1および第2の論理ユニットは、前記電子回路装置の一部である請求項15記載のシステム。
【請求項17】
前記第1および第2の論理ユニットの1つ以上は、前記電子回路装置の外部にあり、ソケット構造体により前記電子回路装置に取り外し可能に接続される請求項15記載のシステム。
【請求項18】
前記電子回路装置は、SDカード規格に従う電子カードである請求項14記載のシステム。
【請求項19】
前記電子回路装置は、USB装置である請求項14記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−518160(P2007−518160A)
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−545727(P2006−545727)
【出願日】平成16年12月7日(2004.12.7)
【国際出願番号】PCT/US2004/040952
【国際公開番号】WO2005/062248
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(506197901)サンディスク コーポレイション (175)
【Fターム(参考)】