説明

モチリン受容体の大環状拮抗薬

本発明は、式(I):
【化1】


(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、n1、m、p、Z1、Z2およびZ3は明細書に記載の通りである)の新規大環状化合物、および医薬的に許容されるその塩、水化物または溶媒化合物に関する。本発明は、モチリン受容体の拮抗薬であり、この受容体および/または運動性機能不全に関連した疾患の治療に有効な、式(I)の化合物にも関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体配座的に規定された新規大環状化合物、それを含む医薬組成物、およびその製造に使用される中間体に関する。本発明は、特に、モチリン受容体の活性に選択的に拮抗することが示された大環状化合物に関する。本発明は、さらに、胃腸障害、特に、胃の運動性の機能不全または増加したモチリン分泌が観察される一連の胃腸障害、例えば、高モチリン症(hypermotilinemia)、過敏性腸症候群および消化不良、の治療に有用な、大環状化合物にも関する。
【背景技術】
【0002】
多くのペプチドホルモンが、吸収、分泌、血流および運動性を包含する胃腸(GI)管の種々の機能の調節に関与している(Mulvihill,et al.in Basic and Clinical Endocrinology,4th edition,Greenspan,F.S.;Baxter,J.D.,eds.,Appleton & Lange:Norwalk,CT,1994,pp.551−570)。脳とGI系との相互作用が、これらの機能の適正な調節に不可欠である故に、GI管において局所的に、またはCNSにおいて遠位的に、これらのペプチドを産生することができる。
【0003】
これらのペプチドホルモンの1つであるモチリン(直鎖22−アミノ酸ペプチド)は、空腹時胃腸運動活性を制御することによって、GI生理学的系において重要な調節機能を果たしている。従って、該ペプチドは、ヒトを含む哺乳動物において空腹時に十二指腸粘膜から定期的に放出される。より正確には、モチリンは、胃腸管平滑筋の収縮によって胃の運動性に強力な作用を発揮して、胃内容物排出を刺激し、腸管通過時間を短縮し、小腸における移動性運動複合体(migrating motor complex)のIII相を開始させる(Itoh,Z.,Ed.,Motilin,Academic Press:San Diego,CA,1990,ASIN:0123757304;Nelson,D.K.Dig.Dis.Sci.1996,41,2006−2015;Peeters,T.L.;Vantrappen,G.;Janssens,J.Gastroenterology 1980,79,716−719)。
【0004】
モチリンは、主にヒト幽門洞および近位十二指腸に存在する受容体を介して、これらの作用を発揮するが、その受容体はGI管の他の領域にも見出される(Peeters,T.L.;Bormans,V.;Vantrappen,G.Regul.Pept.1988,23,171−182)。従って、モチリンホルモンは、GI系の上部および下部の両方の運動性に関与している(Williams et al.Am.J.Physiol.1992,262,G50−G55)。さらに、モチリンおよびその受容体はCNSおよび末梢にも見出され、まだ明確に解明されていない神経系での生理学的役割を示唆している(Depoortere,I.;Peeters,T.L.Am.J.Physiol.1997,272,G994−999 and O’Donohue,T.L et al.Peptides 1981,2,467−477)。例えば、脳におけるモチリン受容体は、摂食および摂水行動、排尿反射、中枢および脳幹神経調節および脳下垂体ホルモン分泌を包含する多くのCNS機能において、調節的役割を果たすことが示唆されている(Itoh,Z.Motilin and Clinical Applications.Peptides 1997,18,593−608;Asakawa,A.;Inui,A.;Momose,K.;et al.,M.Peptides 1998,19,987−990 and Rosenfeld,D.J.;Garthwaite,T.L.Physiol.Behav.1987,39,753−756)。生理学的研究は、モチリンが摂食行動に及ぼす作用を実際に有することの確かな証拠を提供している(Rosenfeld,D.J.;Garthwaite,T.L.Phys.Behav.1987,39,735−736)。
【0005】
最近のヒトモチリン受容体の同定およびクローン化(WO 99/64436)は、特定の治療目的のためにその活性を調節し得る薬剤の研究を、簡略化し、促進している。
【0006】
モチリンは、胃の運動性の調節に不可欠かつ直接的に関与するため、モチリン受容体における活性を減少させる(低運動性)かまたは増加させる(高運動性)薬剤は、これらの適応症の新規有効薬剤を探すさらなる研究において、特に興味のもたれる分野である。
【0007】
低運動性障害の治療において臨床的用途を有するモチリン受容体のペプチド作用薬が報告されている(U.S.5,695,952、同5,721,353、同6,018,037、同6,380,158、同6,420,521、U.S.Appl.2001/0041791、WO 98/42840、WO 01/00830およびWO 02/059141)。モチライド(motilides)と一般に称されるエリスロマイシン誘導体も、モチリン受容体の作用薬として報告されている(U.S.4,920,102、同5,008,249、同5,175,150、同5,418,224、同5,470,961、同5,523,401、同5,554,605、同5,658,888、同5,854,407、同5,912,235、同6,100,239、同6,165,985、同6,403,775)。
【0008】
モチリン受容体の拮抗薬は、下記の疾患を包含する運動高進症および高モチリン症に関連した疾患の治療薬として潜在的に極めて有用である:過敏性腸症候群、消化不良、胃食道逆流性疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、膵臓炎、乳児肥厚性幽門狭窄症、真性糖尿病、肥満症、吸収不良症候群、カルチノイド症候群、下痢、萎縮性結腸炎または胃炎、胃腸ダンピング症候群、胃腸切除後症候群、胃うっ滞、および肥満を生じる摂食障害。
【0009】
種々のペプチド化合物が、モチリン受容体の拮抗薬として記載されている(Depoortere,I.;Macielag,M.J.;Galdes,A.;Peeters,T.L.Eur.J.Pharmacol.1995,286,241−247;US 5,470,830、同6,255,285、同6,586,630、同6,720,433、U.S.2003/0176643、WO 02/64623)。これらのペプチド拮抗薬は、薬剤分子としてのペプチドの既知の限界、特に低い経口バイオアベイラビリティおよび分解代謝を有する。
【0010】
ペプチド誘導体の環化は、代謝安定性および立体配座自由性の両方に対して、直鎖ペプチドの特性を向上させるために使用される方法である。環状分子は、代謝酵素に対し、より耐性を示す傾向がある。そのような環化テトラペプチドモチリン拮抗薬が報告されている(Haramura,M.et al J.Med.Chem.2002,45,670−675、U.S.2003/0191053、WO 02/16404)。
【0011】
自然界の非ペプチドおよび非環状の、他のモチリン拮抗薬も報告されている(U.S.5,972,939、同6,384,031、同6,392,040、同6,423,714、同6,511,980、同6,624,165、同6,667,309、U.S.2002/0111484、同2001/041701、同2002/0103238、同2001/0056106、同2002/0013352、同2003/0203906および同2002/0002192)。
【0012】
本発明の大環状モチリン拮抗薬は、ペプチドおよび非ペプチド構造物の両方の成分を組み合わせて含み、この組合せはこの用途に関してこれまで探求されたことがない。
【0013】
実際に、本発明の拮抗薬の構造的特徴は異なっている。特に、環状ペプチドである既知のモチリン拮抗薬に関して、D−アミノ酸を含有するそのような誘導体は活性が欠如していることが分かった。これに対して、本発明のトリペプチド擬似化合物については、3つの構造成分の2つにD−立体化学が必要とされる。
【0014】
本発明のモチリン拮抗薬は、立体配座の調節と、疎水性相互作用、水素結合または双極子−双極子相互作用による相互作用のための追加的部位の付与との、2重の役割を果たすテザー(tether)成分を含むという点でも、先行技術と異なる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0015】
第一の態様において、本発明は、式(I):
【化1】

[式中、
1、Z2およびZ3は、O、NおよびNR10からなる群より独立して選択され、ここで、R10は、水素、低級アルキルおよび置換低級アルキルからなる群より選択され、
1は、アリールで置換された低級アルキル、置換アリールで置換された低級アルキル、ヘテロアリールで置換された低級アルキル、および置換ヘテロアリールで置換された低級アルキルからなる群より独立して選択され、
2は、水素であり、
3は、アルキルおよびシクロアルキルからなる群より独立して選択され、但し、Z1がNであるとき、R3はZ1と共に4、5、6または7員の複素環を形成し得るものとし、
4は、水素であり、
5およびR6は、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群より独立して選択され、但し、R5およびR6の少なくとも1つは水素であるものとし、
Xは、O、NR8およびN(R92+からなる群より選択され、ここで、R8は、水素、低級アルキル、置換低級アルキル、ホルミル、アシル、カルボキシアルキル、カルボキシアリール、アミド、スルホニル、スルホンアミドおよびアミジノからなる群より選択され、R9は、水素、低級アルキルおよび置換低級アルキルからなる群より選択され、
m、n1およびpは、0、1または2から独立して選択され、
Tは、式II:
−U−(CH2d−W−Y−Z−(CH2e− (II)
(式中、dおよびeは、0、1、2、3、4または5から独立して選択され、
Uは、式(I)のXに結合し、−CH2−または−C(=O)−であり、
YおよびZは、それぞれ、場合により存在し、
W、YおよびZは、−O−、−NR28−、−S−、−SO−、−SO2−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−NH−、−NH−C(=O)−、−SO2−NH−、−NH−SO2−、−CR2930−、ZまたはE配置を有する−CH=CH−、および−C≡C−からなる群よりか、または下記の群:
【化2】

から独立して選択される環構造物から、独立して選択され、
該環構造物に含有される任意の炭素原子は、窒素原子で置換することができ、但し、該環構造物が単環式環構造物である場合は、4個以下の窒素原子を有し、該環構造物が2環式環構造物である場合は、6個以下の窒素原子を有すものとし、
1およびG2は、それぞれ独立して、−O−、−NR41−、−S−、−SO−、−SO2−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)NH−、−NH−C(=O)−、−SO2−NH−、−NH−SO2−、−CR4243−、ZまたはE配置を有する−CH=CH−、および−C≡C−からなる群より選択される共有結合または二価の基を表し、但し、G1は、G2より近くでUに結合するものとし、
1、K2、K3、K4、K6、K15およびK16は、O、NR44およびSからなる群より独立して選択され、
fは、1、2、3、4、5または6から選択され、
31、R32、R38、R39、R48およびR49は、水素、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、ハロゲン、ホルミル、アシル、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルボキシアリール、アミド、カルバモイル、グアニジノ、ウレイド、アミジノ、シアノ、ニトロ、メルカプト、スルフィニル、スルホニルおよびスルホンアミドから独立して選択され、
33、R34、R35、R36、R37、R47、R50およびR51は、水素、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、オキソ、アミノ、ハロゲン、ホルミル、アシル、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルボキシアリール、アミド、カルバモイル、グアニジノ、ウレイド、アミジノ、シアノ、ニトロ、メルカプト、スルフィニル、スルホニルおよびスルホンアミドから独立して選択される)の二価の基である]の化合物、および医薬的に許容されるその塩、水化物または溶媒化合物に関する。
【0016】
第二の態様において、本発明は、モチリン受容体の拮抗薬である式(1)の化合物も提供する。
【0017】
第三の態様において、本発明は、治療有効量の式(1)の化合物を投与することを含む、ヒトおよび他の哺乳動物におけるモチリン受容体に関連した疾患または運動性機能不全の治療法を提供する。
【0018】
本発明を例示的実施形態と共に記載するが、本発明の範囲をそのような実施形態に限定するものではないと理解されるものとする。それどころか、添付の特許請求の範囲によって規定されるあらゆる代替物、改変物および等価物を包含するものとする。
【0019】
[発明の詳細な説明]
前記の式(I)において、R1は、−(CH2q11および−CHR1213からなる群より選択するのが好ましく、
ここで、
qは、0、1、2または3であり、
11およびR12は、下記の群:
【化3】

の環構造物から独立して選択され、
ここで、該環構造物中の任意の炭素原子は、窒素原子で置換することができ、但し、該環構造物が単環式環構造物である場合は、4個以下の窒素原子を有し、該環構造物が2環式環構造物である場合は、6個以下の窒素原子を有すものとし、
1、A2、A3、A4およびA5は、それぞれ場合により存在し、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、ハロゲン、ホルミル、アシル、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルボキシアリール、アミド、カルバモイル、グアニジノ、ウレイド、アミジノ、シアノ、ニトロ、メルカプト、スルフィニル、スルホニルおよびスルホンアミドからなる群より独立して選択され、
1、B2、B3およびB4は、NR14、SまたはOから独立して選択され、ここで、R14は、水素、アルキル、置換アルキル、ホルミル、アシル、カルボキシアルキル、カルボキシアリール、アミド、スルホニルおよびスルホンアミドからなる群より選択され、
13は、R11およびR12と同様に定義されるか、または低級アルキル、置換低級アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルボキシアリールおよびアミドを含む群より選択される。
1、A2、A3、A4およびA5は、ハロゲン、トリフルオロメチル、C16アルキルまたはC16アルコキシから選択するのが最も好ましい。
【0020】
11、R12およびR13は、
【化4】

[式中、RaおよびRbは、Cl、F、CF3、OCH3、OH、C(CH33およびCH3からなる群より選択される]からなる群より選択するのが好ましい。
【0021】
式(I)のR3を、下記:
−(CH2sCH3、−CH(CH3)(CH2tCH3、−CH(OR15)CH3、−CH2SCH3、−CH2CH2SCH3、−CH2S(=O)CH3、−CH2CH2S(=O)CH3、−CH2S(=O)2CH3、−CH2CH2S(=O)2CH3、−(CH2uCH(CH32、−C(CH33および−(CH2y−R21
からなる群より選択することも好ましく、
ここで、
sおよびuは、0、1、2、3、4または5から独立して選択され、
tは、1、2、3または4から独立して選択され、
yは、0、1、2、3または4から選択され、
15は、水素、アルキル、置換アルキル、ホルミルおよびアシルからなる群より選択され、
21は、下記の群:
【化5】

から選択される環構造物から選択され、
ここで、該環構造物中の任意の炭素原子は、窒素原子で置換することができ、但し、該環構造物が単環式環構造物である場合は、4個以下の窒素原子を有し、該環構造物が2環式環構造物である場合は、6個以下の窒素原子を有すものとし、
zは、1、2、3、4または5から選択され、
1、E2およびE3は、それぞれ場合により存在し、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、ハロゲン、ホルミル、アシル、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルボキシアリール、アミド、カルバモイル、グアニジノ、ウレイド、アミジノ、シアノ、ニトロ、メルカプト、スルフィニル、スルホニルおよびスルホンアミドからなる群より独立して選択され、
Jは、場合により存在し、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、オキソ、アミノ、ハロゲン、ホルミル、アシル、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルボキシアリール、アミド、カルバモイル、グアニジノ、ウレイド、アミジノ、メルカプト、スルフィニル、スルホニルおよびスルホンアミドからなる群より選択される。
【0022】
式(I)のテザー部分(T)は、下記:
【化6】

[式中、
1は、O、NHまたはNMeであり、
2は、CHまたはNであり、
3は、CHまたはNであり、
4は、OまたはCH2であり、
5は、CHまたはNであり、
6は、CR5253またはOであり、
46は、HまたはCH3であり、
52、R53、R54、R55、R56およびR57は、水素、低級アルキル、置換低級アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アミノおよびオキソから独立して選択されるか、または、R52とR53、またはR54とR55、またはR56とR57とが一緒になって、炭素、酸素、硫黄および/または窒素原子を含有する3〜7員環を独立して形成することができ、
(X)は、式(I)のXへの共有結合部位であり、
(Z3)は、式(I)のZ3への共有結合部位である]からなる群より選択するのが好ましい。
【0023】
本発明の特に好ましい実施形態において、m、nおよびpが0であり、X、Z1、Z2およびZ3がNHであり、R2、R4およびR5が水素であり、式(III):
【化7】

で示される式(I)の化合物を提供する
【0024】
本発明の他の態様によれば、Z1が窒素原子である場合に、R3がZ1と共に4、5、6または7員の複素環を形成し、式(IV):
【化8】

[式中、
該複素環は、第二窒素原子、または酸素原子または硫黄原子を含有してよく、
2は、0、1、2または3から選択され、
7は、場合により存在し、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、オキソ、アミノ、ハロゲン、ホルミル、アシル、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルボキシアリール、アミド、カルバモイル、グアニジノ、ウレイド、アミジノ、メルカプト、スルフィニル、スルホニルおよびスルホンアミドからなる群より選択される]で示される式(I)の化合物を提供する。
【0025】
本発明の本文中、アミノ、グアニジン、ウレイドおよびアミジノという用語は、それらの置換誘導体も含むものと理解される。
【0026】
好ましくは、本発明は、式(1)の化合物を治療有効量で投与することを含む、ヒトおよび他の哺乳動物における自発運動過剰症または高モチリン症に関連した疾患の治療法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の好ましい実施形態を、本明細書に詳しく説明し、不随する構造式、スキームおよび表に示したが、本発明はこれらの実施形態に厳密に限定されるものではなく、本発明の範囲または精神を逸脱せずに、種々の変更および改変をそれらに加え得るものと理解すべきである。
【0028】
特に好ましい本発明の化合物は、下記の化合物:
【化9】

【化10】

【化11】

を包含するがそれらに限定されない。
前記の好ましいテザー部分(T)に加えて、本発明の化合物に使用される他の特定のテザー部分を下記:
【化12】

に示す。
【0029】
好ましい実施形態において、本発明は、式(I)の化合物を治療有効量で投与することを含む、ヒトおよび他の哺乳動物における、過敏性腸症候群、消化不良、クローン病、胃食道逆流性疾患、潰瘍性大腸炎、膵臓炎、乳児肥厚性幽門狭窄症、カルチノイド症候群、吸収不良症候群、下痢、真性糖尿病、肥満症、胃腸切除後症候群、萎縮性結腸炎または胃炎、胃うっ滞、胃腸ダンピング症候群、セリアック病、および肥満を生じる摂食障害の治療法に関する。
【0030】
合成方法
A.一般情報
試薬および溶媒は、試薬品質またはそれ以上であり、特に記載がなければ、種々の商業的供給会社から入手した状態のままで使用した。使用したDMF、DCMおよびTHFは、(i)脱保護、(ii)樹脂キャッピング反応、および(iii)洗浄用以外は、DriSolv(登録商標)(EM Science,E.Merck)または合成等級品質である。アミノ酸(AA)カップリング反応に使用したNMPは、分析等級である。DMFは、使用前に、真空下に最低30分間置くことによって十分に脱気した。Tyr(3tBu)は、JP2000 44595に記載されている方法によって合成した。Cpaは、文献法(Tetrahedron:Asymmetry 2003,14,3575−3580)を使用して製造するか、または商業的に入手した。Boc−およびFmoc−保護アミノ酸および側鎖保護誘導体(N−メチルおよび非天然アミノ酸の誘導体を包含する)は、商業的供給会社から入手するか、または当業者に既知の標準法によって合成した。Ddz−アミノ酸は、標準法によって合成するか、またはOrpegen(Heidelberg,Germany)またはAdvanced ChemTech(Louisville,KY,USA)から商業的に入手した。Bts−アミノ酸は、実施例6に記載のように合成した。ヒドロキシ酸は、商業的供給会社から入手するか、または文献法によって対応するアミノ酸から合成した。分析TLCは、蛍光指示薬を含有するシリカゲル60F254のプレコート板(厚さ0.25mm)上で行った。「減圧濃縮/蒸発」という用語は、除去される溶媒に適切な、水流吸引器圧、またはメカニカルオイル真空ポンプによって供給されるそれより強い真空下において、回転蒸発器を使用する蒸発を意味する。「ドライパック」は、溶媒で前処理されていないシリカゲル上でのクロマトグラフィーを意味し、これは、一般に、所望生成物と任意不純物の間にRfの大差が存在する場合に、より大きい規模で精製に適用される。固相化学工程に関して、「標準法での乾燥」は、先ず空気中で(1時間)、次に、真空下(一般に油ポンプ)で、完全に乾燥するまで(約30分からO/N(一晩)まで)樹脂を乾燥させることを意味する。
【0031】
B.本発明の構成単位の合成法
実施例6:Bts−アミノ酸の合成の標準手順
【化13】

初期pH約9.5(pHメーター)の、0.25N水酸化ナトリウム(0.08mol、0.8当量)中のアミノ酸またはアミノ酸誘導体(0.1mol、1.0当量)の溶液に、室温で、固体Bts−Cl(0.11mol、1.1当量)を一度に添加した。得られた懸濁液を、2〜3日間勢いよく撹拌した。この間、反応のpHを、9.5〜10.0の範囲に維持するのに必要とされる5.0N水酸化ナトリウムで調節すべきである。一般に、pHを、最初の5時間は、20〜30分ごとに調節すべきである。一旦pHが低下しなくなったら、反応がほぼ終了したことを示す。これは、TLC(EtOAc:MeOH、95:5)によって確認できる。終了後、反応混合物をEt2Oで洗浄した。水性相における非極性不純物の非存在がTLCによって確認されるまで、洗浄を継続する(一般に3×100mL)。次に、水溶液を0℃に冷却し、さらに混濁が生じなくなるまで、1N HClでpH2.0に酸性化し、EtOAc(3×100mL)で抽出した。または、種々のアミノ酸または誘導体から得た生成物の溶解性に依存して、DCMおよびEtOAcの混合物を抽出溶剤として使用してもよい。抽出の間に形成されるエマルジョンの故に、DCMを溶剤として単独で使用できないことに注意すべきである。合わした有機相をブライン(2×150mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、減圧蒸発させた。DCM(1×)およびヘキサン(2×)を残渣から蒸発させて、EtOAcの完全除去を確実にし、所望化合物を収率55〜98%で固形物として得た。
【0032】
特定のアミノ酸に有効であることがわかった変更を下記に示す:
Gly、Ala、D−Ala、β−AlaおよびGABA:ジベトシレーション(dibetsylation)を防止するために、Bts−Cl 1当量につき、アミノ酸1.5当量を使用。
【0033】
Met:酸化を防止するためにN2下で反応を実施する。
GlnおよびAsn:Bts−GlnおよびBts−Asnの溶解性のため、標準手順に必要とされる変更を加えてワークアップを行う。反応の終了後、反応混合物をジエチルエーテルで洗浄した。水性層における非極性不純物の非存在がTLCによって確認されるまで、洗浄を継続する(一般に3×100mL)。次に、水性相を0℃に冷却し、6N HClでpH2.0に酸性化した。Bts−GlnおよびBts−Asnの水溶性のために、溶液の容量を最小限にするために、6N HClを使用した(これと対照的に、それらはDCM、EtOAcまたはクロロホルムに溶解しにくい)。溶液を0℃で10分間維持し、生成物を濾過によって、白色沈殿物として収集した。固形物を、冷水(1×)、冷たいブライン(2×)および水(1×、25℃)で洗浄した。この洗液のpHを測定し、約4でない場合は、固形物を水で再び洗浄した。最後に、固形物を冷EtOAc、次に冷Et2O(2×)で洗浄し、最後に真空乾燥した(油ポンプ)(収率83〜85%)。
【0034】
C.立体配座的に規定された本発明の大環状化合物の一般的合成法
スキーム1
【化14】

【0035】
式Iの化合物は、従来の溶液合成技術または固相化学法を使用して合成できる。いずれの場合も、合成は4つのステップを含む。第一に、生物学的標的受容体の認識要素、さらに主に立体配座の調節および規定用のテザー部分1つを含む1〜4個の部分を包含する構成単位の合成。標準化学変換を使用する第二ステップにおいて、これらの構成単位を、一般に逐次的に、集成する。次に、第三ステップで、集成からの先駆物質を環化して、大環状構造物を得る。最後に、保護基の除去および任意精製を含む後環化処理ステップを行って、所望の最終化合物を得る(スキーム1)。この方法は、WO 01/25257および米国特許出願第09/679,331号に既に開示されている。
【0036】
D.本発明の代表的テザーの合成手順
本発明の化合物に必要とされる重要なテザー成分は、WO 01/25257、米国暫定特許出願第60/491,248号または本明細書に開示されているように合成される。
【0037】
実施例16:テザーT8の合成の標準手順
【化15】

【0038】
ステップT8−1:クロロトリメチルシラン(116mL、0.91mol、1.5当量)を、MeOH(500mL、HPLC等級)中の2−ヒドロキシケイ皮酸(100g、0.61mol、1.0当量)の懸濁液に、0℃で30分間にわたって添加した。得られた混合物を室温で撹拌した(O/N)。反応をTLC(EtOAc/MeOH、98/2)によって監視した。必要であれば、温水中での反応混合物の加熱によって、工程を加速することができる。反応の終了後、反応混合物を減圧蒸発させて、メチル2−ヒドロキシシンナメートを、量的収量(quantitative yield)で白色固形物(108.5g)として得た。この中間体の素性をNMRによって確認する。この反応をより大きい(kg)規模で行って、同様の結果を得ることができる。
【0039】
ステップT8−2:3,4−ジヒドロ−2H−ピラン(DHP、140mL、1.54mol、2.52当量)を、2Lの三つ口フラスコ中の2−ブロモエタノール(108mL、1.51mol、2.5当量)に、機械撹拌しながら0℃で2時間にわたって滴下した。得られた混合物を室温でさらに1時間撹拌した。ステップT8−1からのメチル2−ヒドロキシシンナメート(108g、0.61mol、1.0当量)、炭酸カルシウム(92.2g、0.67mol、1.1当量)、ヨウ化カリウム(20g、0.12mol、0.2当量)およびDMF(300mL、分光分析等級)を、前記のフラスコに添加した。反応混合物を70℃(外部温度)で24時間撹拌した。反応をTLC(DCM/Et2O:95/5)によって監視した。反応物を室温に冷まし、Et2O(450mL)を添加した。無機塩を濾過によって除去し、Et2O(3×50mL)で洗浄した。濾液をヘキサン(400mL)で希釈し、水(3×500mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、濾液を減圧蒸発させた。粗エステル(所望生成物および過剰のBr−C24−OTHP)を、さらに精製せずに次の還元に使用した。
【0040】
ステップT8−3:DIBAL(1.525L、1.525mol、2.5当量、DCM中1.0M)を、無水DCM(610mL)中のステップT8−2からの前記粗エステル(理論収量に基づいて0.61mol)の溶液に、機械撹拌しながら−35℃で1.5時間にわたってゆっくり添加した。得られた混合物を、−35℃で1.5時間、次に0℃で1.5時間撹拌した。反応をTLC(ヘキサン/EtOAc:50/50)によって監視した。反応が終了したら、Na2SO4・10H2O(100g、0.5当量)をゆっくり添加した。水素の発生が観察され、それが沈静化した時に、水を添加した(100mL)。混合物を室温に温め、10分間撹拌し、次に、温水で40℃に温め、20分間にわたって還流させながら撹拌した。混合物を室温に冷却し、DCM(600mL)で希釈し、上部溶液を濾過器にデカントした。フラスコに残留する固形物を、機械撹拌しながらジクロロメタン(5×500mL)で洗浄し、濾過した。各洗浄からの濾液をTLCによって検査し、必要であれば、追加洗浄を行って、追加生成物を回収した。代替ワークアップ手順において、DCM(600mL)での希釈後に、混合物を濾過した。次に、Soxhlet抽出器を使用して、生じた固形物をジクロロメタン中0.5%のTEAで連続的に抽出した。この代替手順によって、より高い収量が一般に得られたが、これは、より長い時間を要する。濾液を減圧濃縮して、残渣をドライパック(EtOAc/ヘキサン/Et3N:20/80/0.5)によって精製して、生成物アルコールを黄色がかった油状物として得た(収率:90%)。素性および純度をNMRによって確認した。
【0041】
ステップT8−4:無水DMF200mL中の、ステップT8−3からのアリル型アルコール(28g、0.100mol、1.0当量)と、コリジン(0.110mol、1.1当量)との混合物に、無水DMF100mLに溶解させた無水LiCl(4.26g、0.100mol、1.0当量)をN2下に添加した。次に、混合物を0℃に冷却し、MsCl(12.67g、0.110mol、1.1当量、P25で新たに蒸留)を滴下した。反応を室温に温め、TLC(3:7 EtOAc/ヘキサン)によって監視した。反応が終了した際に、NaN3(32.7g、0.500mol、5.0当量)を添加した。反応混合物をO/N 室温で撹拌して進行させ、次に、NMRを行った(stirred at rt O/N with progress followed by NMR)。反応が終了したら、混合物を氷冷水浴に注ぎ、ジエチルエーテル(3×)で抽出した。次に、合わした有機相を、クエン酸緩衝液(2×)、飽和炭酸水素ナトリウム(2×)、最後にブライン(1×)で順次に洗浄した。有機相をMgSO4で乾燥し、濾過し、濾液を減圧濃縮した。アリル型アジドを合計収率90%で得、それは次のステップに使用するのに十分な質であった。
【0042】
ステップT8−5:PPh3(25.9g、0.099mol、1.5当量)を、THF100mL中のステップT8−4からのアリル型アジド(20.0g、0.066mol、1.0当量)の溶液に、0℃で添加した。溶液を、0℃で30分間および室温で20時間撹拌した。次に、水(12mL)を添加し、得られた溶液を60℃で4時間加熱した。溶液を室温に冷却し、2N HCl(15mL)を添加し、混合物を50℃で90分間撹拌した。分離した有機相を0.05N HCl(2×100mL)で抽出した。合わした水性相をEt2O(5×150mL)およびトルエン(4×150mL)で洗浄し(TLC後に、さらなる抽出が必要な場合がある)、それらを合わし、0.05N HCl(1×100mL)で逆抽出した。この逆抽出からの酸性水性相を、主要水性相と合わし、エーテル(5×150mL)で再び洗浄した。次に、水性相のpHを、水酸化ナトリウム(5N)の添加によって8〜9に調節した。次のステップで必要とされる反応条件により、9より高いpHにならないように注意すべきである。水性相を減圧濃縮する(アスピレーター、次に、油ポンプ)か、または凍結乾燥した。トルエン(2×)を残渣に添加し、次に、減圧蒸発して、微量の水を除去した。粗生成物(所望アミノアルコール、および無機塩)を、さらに精製せずに次の反応に使用した。
【0043】
ステップT8−6:DMF(180mL)中の、ステップT8−5からの粗アミノアルコール(理論収量に基づいて0.5mol)と、Ddz−OPh(174g、0.55mol、1.1当量)と、Et3N(70mL、0.5mol、1.0当量)との混合物を、50℃で24時間撹拌した。必要であれば追加のDMFを添加して、全ての物質を溶解させる。反応をTLC(ヘキサン/EtOAc:50/50、ニンヒドリン検出)によって監視した。反応の終了後、反応混合物を、Et2O(1.5L)および水(300mL)で希釈した。分離した水性相をEt2O(2×150mL)で抽出した。合わした有機相を水(3×500mL)およびブライン(1×500mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、濾液を減圧濃縮した。生成物が水性相に残らないことを確実にするために、相をTLCによって監視した。残っていることが示された場合は、Et2Oを使用して水性相をさらに1回またはそれ以上抽出して、この物質を回収する。粗生成物をドライパック(推奨カラム条件:EtOAc/ヘキサン/Et3N、35/65/0.5〜65/35/0.5)によって精製して、テザーDdz−T8を淡黄色シロップ状物として得た(収率:〜40%)。生成物の素性および純度をNMRによって確認した。
1H NMR(DMSO−d6):1.6ppm(s,6H,2×CH3),3.6−3.8ppm(広幅 s,10 H,2×OCH3,2×OCH2),3.95ppm(三重項,2H,CH2N),6−6.2ppm(m,2H,2×CH),6.2−6.5ppm(m,3H,3×CH,芳香族),6.6−7.6ppm(m,5H,芳香族)。
【0044】
実施例17:テザーT9の標準合成手順
【化16】

【0045】
65g規模における、T9−0からのDdz−T9の収量は、60.9g(91%)であった。
1H NMR(CDCl3):δ7.19−7.01(m,2H),6.92−9.83(m,2H),6.53(bs,2H),6.34(t,1H),5.17(bt,1H),4.08(m,2H),3.98(m,2H),3.79(s,6H),3.01(bq,2H),2.66(t,3H),1.26(bs,8H);
13C NMR(CDCl3)δ160.9,156.8,155.6,149.6,130.4,127.5,121.2,111.7,103.2,98.4,80.,69.7,61.6,55.5,40.3,30.5,29.3,27.4。
【0046】
テザーT9は、T8から、ステップT9−3のような還元によるか、または当業者に既知の他の適切な水素化触媒を使用して合成することもできる。
【0047】
実施例18:Ddz−プロパルギルアミンの合成の標準手順
【化17】

乾燥させた三つ口フラスコ中で、脱気したDMF(Drisolv、388mL)中のプロパルギルアミン(53.7g、0.975mol、1.5当量)の溶液を、Ddz−N3(170.9g、0.65mol、1.0当量)、テトラメチルグアニジン(TMG、81.4mL、0.65mol、1.0当量)およびDIPEA(113.1mL、0.65mol、1.0当量)で処理し、O/N 50℃で撹拌した。反応をTLC(条件:25/75 EtOAc/ヘキサン、Rf:0.25;検出:UV、ニンヒドリン)によって監視した。終了後、DMFを乾燥するまで減圧蒸発させ、残渣をEt2O(1L)に溶解させた。有機溶液を、クエン酸緩衝液(pH4.5、3×)、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(2×)およびブライン(2×)で順次に洗浄し、次に、MgSO4で乾燥し、濾過し、濾液を減圧蒸発させた。薄オレンジ色固形物を得た。この固形物をヘキサン中の1%EtOAcですりつぶし、次に、濾過によって収集し、真空乾燥させて(油ポンプ)、所望生成物(153.4g、85.2%)を得た。
【0048】
実施例19:テザーT10の合成の標準手順
方法A
【化18】

【0049】
このテザーを得る2つの選択的経路を開発した。第一の合成法は、商業的に入手可能なレゾルシノールのモノベンゾエート(T10−0)から出発して進めた。実施例9からの保護アミノアルコールを使用する標準条件下のミツノブ反応、次に、ベンゾエートの鹸化を行って、再結晶後に高収量でT10−1を得た。示された最適化条件を使用する2−ブロモエタノールでのフェノールのアルキル化を行って、ドライパック精製後に所望生成物Ddz−T10を収率42%で得た。
TLC(EtOAc/ヘキサン 1:1、検出:UV、ニンヒドリン;Rf=0.17)。
1H NMR(CDCl3)δ 7.18,t,1H,J=8.2Hz;6.51,m,5H;6.34,t,1H,J=2.2Hz;5.19,s,1H;4.05,t,2H,J=5.0Hz;3.94,m,4H;3.75,s,6H;3.49,d,2H J=5.2Hz;1.73,s,6H。
13C NMR(CDCl3)δ 160.856;δ 160.152;160.005;155.410;149.305;130.279;107.438;107.310;103.163;101.877;98.517;69.488;67.382;61.595;55.427;40.420;29.427。
HPLC(標準勾配)tR:7.25分。
MS:420(M+H)。
【0050】
方法B
T10を得る第二合成経路を、下記のスキーム:
【化19】

に示す。
【0051】
レゾルシノールから出発して、2つの連続ミツノブ反応を、図示した適切な2個の炭素シントン(それら自体は、既知の保護法によって、2−アミノエタノールおよびエチレングリコールからそれぞれ誘導される)を使用して行う。最後に、ここでも標準条件下に、シリルエーテルを脱保護してBoc−T10を得た。
【0052】
2つの方法の収量は同程度であるが、第一の方法は、必要とされる機械操作が少なく、より大きい規模の場合に好ましい。
【0053】
実施例20:テザーT11の合成の標準手順
【化20】

【0054】
TLC(15:85 THF/DCM;検出:UV;Rf:0.33)。
1H NMR(DMSO−d6)δ 8.00,d,1H;7.32,d,1H;7.15,m,1H;6.44,s,2H;6.33,s,1H;3.99,t,2H;3.71,m,8H;2.89,m=4,2H;2.71,t,2H;1.71,m=5,2H;1.61,s,6H。
13C NMR(溶媒 DMSO−d6)δ 160.879;153.275;151.405;150.447;140.773;122.666;118.934;103.347;98.456;79.778;70.449;60.212;55.717;55.599;29.740;28.592。
HPLC(標準勾配)tR:5.4分。
MS:419(M+H)。
【0055】
実施例26:テザーT12の合成の標準手順
【化21】

【0056】
火炎乾燥した3Lの三つ口フラスコ中で、脱気したDMF(1L、0.4M)中の(アミノメチル)フェニルチオベンジルアルコール(12−0、96g、0.39mol)の溶液を調製した。この溶液に、DdzN3(0.95当量)、次にTMG(0.39mol、49mL)を添加した。反応物を10分間撹拌し、次に、DIPEA(68mL、0.39mol)を添加した。DdzN3が残留していないことがTLCによって示されるまで(一般に48時間)、混合物をN2下に50℃で加熱した(TLC溶離剤:EtOAc:ヘキサン 50:50;検出:ニンヒドリン)。終了後に、クエン酸緩衝液3Lを反応混合物に添加し、分離した水性相をEt2O(3×1500mL)で抽出した。合わした有機相を、クエン酸緩衝液(2×200mL)、水(2×200mL)およびブライン(2×200mL)で順次に洗浄した。有機相をMgSO4で乾燥し、濾過し、濾液を減圧蒸発させた。ダークオレンジの油状物を得、これをドライパックで精製した。この手順のために、油状物をEtOAc:ヘキサン:DCM:TEA(20:80:1:0.5、v/v/v/v)に先ず溶解させた。ここで、完全な溶解を確実にするために、少し余分のDCMが必要な場合もあった。溶液をカラムに装填し、次に、所望生成物に極めて類似した物質に特に注意を払って、全ての不純物が分離されたことがTLCによって示されるまで、カラムをEtOAc:ヘキサン:DCM:Et3N(20:80:1:0.5)で溶離した。次に、EtOAc:ヘキサン:Et3N 30:70:0.5(v/v/v)、最後にEtOAc:ヘキサン:Et3N(50:50:0.5)で溶離を継続して、所望生成物を得た。生成物を含有する画分から溶媒を減圧除去した後に、残渣を最少量のDCMに溶解させ、3倍の量のヘキサンを添加し、次に、溶媒を再び減圧蒸発させた。この処理を、灰色がかった白色の泡状物が得られるまで繰り返した。該泡状物を、真空乾燥(油ポンプ)しながら凝固させた。または、該物質は、DCM(1×)およびヘキサン(2×)での逐次濃縮後に固形物を生じた。テザーDdz−T12を灰色がかった白色の固形物として得た(収率85〜90%)。
【0057】
実施例29:ミツノブ反応を使用する、テザーの付加の標準手順
実施例29−A:PPh3−DIAD単離アダクトを使用
THFまたはTHF−トルエン(1:1)中の適切なテザー(1.5当量)の0.2M溶液に、PPh3−DIAD(当量の試薬を混合することによって予備形成し、溶媒の蒸発によって単離した;実施例29−C参照)アダクト(1.0当量)を添加した。得られた混合物を、手で10秒間撹拌し(溶液を混濁状に維持した)、次に、樹脂に添加した。または、樹脂を溶液に添加した。反応懸濁液を、O/N撹拌した(約5分後に、混合物が清澄になった)。樹脂を濾過し、2×DCM、1×トルエン、1×EtOH、1×トルエン、1×(DCM/MeOH)、1×(THF/MeOH)、1×(DCM/MeOH)、1×(THF/MeOH)、2×DCMで洗浄し、次に、標準法で乾燥した。
【0058】
実施例29−B:「PPh3−DIADインサイチュー手順」を使用
THFまたはTHF−トルエン(1:1)中の適切なテザー(4当量)の0.2M溶液に、トリフェニルホスフィン(4当量)を添加した。得られた混合物を、均質溶液が得られるまで手でシェイクし、次に、樹脂に添加した。または、樹脂(または樹脂含有MiniKans)を溶液に添加した。次に、この懸濁液に、DIAD(3.9当量)を添加し、反応を撹拌した(O/N)。注意:より大きい規模の場合、反応が発熱性である故に、反応を氷浴で冷却すべきである。それに加えて、適切な通気孔を与えて、蓄積された圧力を放出させるべきである。樹脂を濾過し、DCM(2×)、トルエン(1×)、EtOH(1×)、トルエン(1×)、DCM/MeOH(1×)、1×THF/MeOH(1×)、DCM/MeOH(1×)、THF/MeOH(1×)、2×DCMで洗浄し、次に、標準法で乾燥した。
【0059】
実施例29−C:PPh3−DIADアダクトの合成手順
【化22】

【0060】
THF(0.4M)中のトリフェニルホスフィン(1当量)の十分に撹拌した溶液に、DIAD(1当量)を、窒素下に0℃で滴下した。次に、混合物を、撹拌しながら0℃に30分間維持した。得られた白色固形物を濾過によって収集し(中型フリット濾過器を使用)、洗液が無色になるまで、冷たい無水THFで洗浄し、最後に、無水Et2Oで1回洗浄した。次に、白色固体生成物を真空乾燥し(油ポンプ)、窒素下に保存した。(注意:PPh3−DIADアダクトは、すぐに必要とされる量より多く製造して、窒素下に保存することができ、この試薬を無水条件下に保存することが極めて重要である。)
【0061】
実施例30:還元的アミノ化による、テザーの付加の標準手順
実施例29のミツノブ法は、適用することができないか、またはテザーの組み込みに有効でない場合がある。従って、好ましいテザーの1つについて下記に示すように、テザーの組み込みに使用できる還元的アミノ化が、代替法として開発された。同様の化学を使用して、本発明の他のテザーを組み込むことができる。
【化23】

【0062】
DMSO−Et3N−DCM中のSO3・ピリジンを使用して、Ddz誘導体として保護されたアミンを有するテザー(30−2)を、対応するアルデヒド30−2に効率的に酸化した。このアルデヒド(0.14mmol、56mg、1.5当量、樹脂支持体の添加量に基づく)を、TMOF−MeOHの1:3混合物(DriSolv、4mL)に室温で溶解させた。トリペプチドを含有する樹脂(30−1、末端アミンの脱保護からのそのトリフルオロ酢酸塩として)をこれに添加し、混合物を短時間撹拌して、樹脂を湿らせ、次に、ボラン−ピリジン錯体(商業的に入手可能な8M溶液として、23μL、2当量)を懸濁液に導入した。反応を撹拌し(O/N)、次に、樹脂を濾過し、DCM(2×)、THF(1×)、DCM/MeOH[3:1](1×)、THF/MeOH[3:1](1×)、DCM(2×)で洗浄し、標準法で乾燥した。所望の樹脂結合生成物30−3が、ジアルキル化物質で汚染されないよう注意すべきである。しかし、反応が終了まで進まなくても、または少量のジアルキル化副生成物が存在していても、生成物は大環状化反応に十分な純度である。
【0063】
実施例32:テザーT28の合成の標準手順
【化24】

2−ヒドロキシベンズアルデヒド28−0のヘンリー反応によって、28−1を収率79%で得た。次に、先ず水素化硼素ナトリウムで、次に接触水素添加によって、還元して、アミンを得、次に、これをそのBoc誘導体28−2として保護した。これらの最初の2つのステップの収率は、より大きい規模の場合、より低かった。2−ブロモエタノールのTBDMSエーテル(それ自体は標準法で合成される)での28−2のアルキル化によって、28−3を収率74%で得た。標準条件下でのシリルエーテルの脱保護によって、所望の保護テザーBoc−T28を得た。保護/脱保護ステップを避けるフェノールアルキル化用の炭酸エチレンの代替的使用では、収率73%を生じた。
【0064】
実施例36:テザーT32の合成の標準手順
【化25】

【0065】
TLC(100% EtOAc;検出:UV,CMA;Rf=0.24)。
1H NMR(CDCl3,ppm):7.74(1H,dd),7.35(1H,d),6.72(1H,d),6.53−6.49(2H,m),3.61−3.29(1H,m),5.06(1H,t),4.25−4.01(2H,m),3.91−3.89(2H,m),3.73(3H,s),2.99(2H,dd),2.63(2H,t),1.71(8H,広幅),1.53(9H,s)。
13C NMR(CDCl3,ppm):163.8,162.2,161.0,159.7,155.9,149.4,130.0,129.1,128.0,126.8,110.8,98.1,80.9,79.3,69.7,61.3,55.5,39.1,29.3,28.5,26.7。
【0066】
実施例37:テザーT33aおよびT33bの合成の標準手順
【化26】

【0067】
このテザーの(R)−異性体(T33a)の合成は、2−ヨードフェノール(33−0)および(S)−メチルラクテート(33−A)から出発して行った。33−0および33−Aのミツノブ反応を、立体配置の反転と共に極めて高い収率で進めて、33−1を得た。対応するアルコール(33−2)へのエステルの還元も、高い収率で行われ、次に、Ddz−プロパルギルアミンとのソナガシラ(Sonagashira)反応を行った。得られたカップリング生成物33−3におけるアルキンを、接触水素添加によって還元した。スカベンジャー樹脂でのワークアップを行って、所望生成物Ddz−T33aを得た。
【0068】
1H NMR(CDCl3)δ(ppm)7.18−7.11(m,2H),6.90(m,2H),6.52(m,2H),6.33(m,1H),5.09(bt,1H),4.52(m,1H),3.77(s,6H),3.08(bq,2H),2.64(bt,2H),1.75(m,8H);1.27(bd,3H),13C NMR(CDCl3)δ 160.8,155.5,149.5,131.2,130.6,127.4,121.2,113.3,103.2,98,4,80.7,74.8,66.5,55,4,40.2,30.6,29.3,29.2,27.4,16.1。
HPLC(標準勾配):tR:7.93分
【0069】
(S)−鏡像異性体(Ddz−T33b)の合成は、(R)−メチルラクテート(33−B)で開始して、同じ方法によって行われ、同程度の収率であった。
【化27】

【0070】
実施例38:テザーT34の合成の標準手順
【化28】

【0071】
TLC(100% EtOAc;検出:CMA,Rf=0.5)。
243537のMW計算値477.55;MS実測値(M+H)+ 478。
1H NMR(CDCl3)δ1.62(m,2H),1.70(m,8H),2.43(m,2H),2.67(m,2H),3.07(m,2H),3.34(s,3H),3.43(s,3H),3.61(m,2H),3.75(s,6H),5.40(sb,1H),6.31(s,1H),6.49(s,2H)。
13C NMR(CDCl3)δ23.25(2),25.97(2),28.56(3),39.31(3),30.09(3),31.25(2),32.19(2),40.16(2),55.47(3),61.38(2),80.65(q),99.38(q),103.17(q),111.01(q),149,60(q),151.33(q),152.46(q),160.80(q)。
HPLC(標準勾配)tR:6.68分。
【0072】
実施例39:テザーT35の合成の標準手順
【化29】

【0073】
TLC(25/75 EtOAc/Hex;検出:UV,ニンヒドリン;Rf=0.03)
1H NMR(CDCl3):δ 7.06−7.00(bt,1H),6.61−6.52(m,4H),6.35(m,1H),5.12(bt,1H),4.03(m,2H),3.95(m,2H),3.77(s,6H),3.11−3.04(bq,2H),2.60(bt,2H),1.75(m,8H)。
13C NMR(CDCl3):δ 163.9,160.9,160.6,157.6,157.5,155.6,149.5,130.8,130.6,125.9,107.26,106.9,103.2,98,4,80.8,77.5,69.9,61,3,60.9,60.6,55,4,40.3,30.4,29.3,26.9。
HPLC(標準勾配):tR=8.37分。
【0074】
実施例40:テザーT36の合成の標準手順
【化30】

【0075】
TLC:(25/75 EtOAc/ヘキサン;検出:UV,ニンヒドリン;Rf=0.03)
1H NMR(CDCl3)δ(ppm):6.84−6.75(m,3H),6.52(bs,2H),6.34(m,1H),5.17(bt,1H),4.01(m,2H),3.93(m,2H),3.77(s,6H),3.10(bq,2H),2.63(bt,2H),1.74(m,8H)。
13C NMR(CDCl3)δ 160.9,158.9,155.8,155.6,152.9,152.9,149.5,132.4,132.3,117.1,116.8,112.7,112.6,103.2,98.4,80.8,70.4,61.6,55.5,40.2,30.3,29.3,27.4。
HPLC(標準勾配):tR=8.29分。
【0076】
実施例41:テザーT37の合成の標準手順
【化31】

【0077】
TLC(25/75 EtOAc/ヘキサン;検出:UV,ニンヒドリン;Rf=0.03)
1H NMR(CDCl3):δ 7.12−7.08(bd,2H),6.76−6.73(d,1H),6.52(m,2H),6.33(bs,1H),5.15(bt,1H),4.02(m,2H),3.95(m,2H),3.79(s,6H),3.09(bq,2H),2.61(bt,2H),1.74(m,8H)。13C NMR(CDCl3)δ 160.8,155.6,155.4,149.5,132.4,130.1,127.0,126.0,112.8,103.2,98.4,80.8,70.0,61.4,55.5,40.3,30.2,29.3,24.5,27.4。
HPLC(標準勾配):tR=9.60分。
【0078】
実施例42:テザーT38の合成の標準手順
【化32】

【0079】
1H NMR(CDCl3):δ 7.20−7.10(m,2H),6.95−6.80(m,2H),6.55(bs,2H),6.35(s,1H),5.18(bt,1H),4.12(m,1H),3.95(m,2H),3.80(s,6H),3.15(bq,2H),2.65(t,2H),1.98(bs,2H),1.65(bs,6H),1.25(m,3H)。
13C NMR(CDCl3):δ160.8,156.6,155.8,149.6,130.4,127.5,121.3,111.7,103.2,98.4,80.7,73.5,66.6,55.5,40.2,30.5,29.3,29.1,27.3,19.5。
【0080】
キラルT38は、文献に記載されている不斉合成法、分解またはキラルクロマトグラフィー法を使用して得ることができる。
HPLC(標準勾配)tR=8.46分。
【0081】
キラル物質は、キラルエポキシドから出発して得ることができる。例えば、T38の(S)−異性体を、(S)−プロピレンオキシドから総収率89%で合成した。
【0082】
実施例43:テザーT39の合成の標準手順
【化33】

【0083】
TLC(50%EtOAc,50%ヘキサン;検出:UVおよびCMA;Rf=0.25)
1H NMR(CDCl3,ppm):7.11−7.08(2H,m),6.86(1H,t),6.76(1H,d),5.05(1H,広幅),4.26−3.85(4H,m),3.22−3.07(2H,m),2.71(1H,広幅),1.66−1.60(2H,m),1.33(9H,s),1.17(3H,d)。
13C NMR(CDCl3,ppm):156.1,135.0,127.1,127.0,121.4,111.7,69.9,61.5,39.8,38.4,28.7,20.7。
【0084】
キラルT39は、文献に記載されている不斉合成法、分解またはキラルクロマトグラフィー法を使用して得ることができる。
【0085】
実施例44:テザーT40の合成の標準手順
【化34】

【0086】
TLC(50%EtOAc,50%ヘキサン;検出:UVおよびCMA;Rf=0.25)
1H NMR(CDCl3,ppm):7.11−7.08(2H,m),6.86(1H,t),6.76(1H,d),5.05(1H,広幅),4.26−3.85(4H,m),3.22−3.07(2H,m),2.71(1H,広幅),1.66−1.60(2H,m),1.33(9H,s),1.17(3H,d)。
13C NMR(CDCl3,ppm):156.1,135.0,127.1,127.0,121.4,111.7,69.9,61.5,39.8,38.4,28.7,20.7。
【0087】
キラルT40は、文献に記載されている不斉合成法、分解またはキラルクロマトグラフィー法を使用して得ることができる。
【0088】
実施例45:テザーT41の合成の標準手順
【化35】

【0089】
TLC(100% EtOAc;検出:CMA;Rf=0.5)
1H NMR(CDCl3)δ.1.23(s,3H),1.49(s,3H),1.69(s,3H),1.74(s,3H),1.90(m,2H),2.35(m,1H),3.35(m,2H),3.76(s,6H),3.92(m,2H),4.40(m,2H),5.10(m,1H),6.15(s,1H),6.25(s,2H)。
13C NMR(CDCl3)δ25.52(3),27.53(3),28.88(3),29.61(3),35.92(2),42.62(2),55.43(3),60.60(2),82.38(H),83.33(H),83.68(H),84.96(H),98.26(H),103.23(H),118.3(q),149.50(q),156.20(q),160.02(q)。
HPLC(標準勾配):tR=6.64分。
MS:M+H 実測値:439。
【0090】
実施例46:テザーT42の合成の標準手順
【化36】

【0091】
1H NMR(300 MHz,CDCl3)δ 6.82−6.98(m,2H);6.80−6.75(m,1H);6.53(s,2H);6.35(t,1H,2 Hz);5.23(b,1H);4.08(m,1H);3.90−3.68(m,8H);3.20−2.97(m,2H);2.95−53(m,4H);2.0−1.63(m,10H)。
13C NMR(75.5 MHz,CDCl3)δ160.85;155.56;152.55;149.56;128.13;127.77;120.28;103.22;98.43;80.72;76.80;65.76;55.46;40.23;30.45;29.34;29.22;27.10;24.97;23.94。
【0092】
E.本発明の大環状化合物の合成法の例
スキーム2:本発明の大環状化合物についてのチオエステル法
【化37】

【0093】
示したアミノ酸の1つまたはそれ以上を、対応するヒドロキシ酸で置き換えることができ、当業者に既知の方法を使用して、次の構成単位に結合させることができる。
【0094】
実施例47:チオエステルリンカーを使用する大環状化の標準手順
環化先駆物質を含有する樹脂を、適切な容器中で、予備洗浄MP−カーボネート樹脂[Argonaut Technologies,Foster City,CAによって市販されているMP−カーボネート樹脂を3×THF(400gにつき1L)で処理し、真空炉において、O/N 30℃で乾燥した](合成樹脂の初期添加量に対して1.4〜1.6当量)と合わす。次に、THF中の0.2M DIPEA溶液を、合わした樹脂に添加し(1mL/60mg MP−カーボネート樹脂)、懸濁液をO/N室温で撹拌した。次に、樹脂を濾過し、2×THFで濯いだ。合わした濾液を適切な容器に収集し、次に、揮発性含有物を減圧蒸発させて[標準法に加えて、遠心蒸発(ThermoSavant Discovery,SpeedVacまたは同等物)を使用して、溶媒を真空除去することもできる]、粗大員環を得る。
【0095】
実施例48:チオエステルリンカーを使用する、銀補助大環状化の標準手順
環化自体および後のワークアップ除いて、この手順は実施例47の手順と同じである。環化先駆物質を含有する樹脂を、適切な容器中で、予備洗浄MP−カーボネート樹脂[Argonaut Technologiesによって市販されているMP−カーボネート樹脂をTHF(3×、400gにつき1L)で処理し、真空炉においてO/N 30℃で乾燥した](合成樹脂の初期添加量に対して1.4〜1.6当量)と合わす。これに、THF(樹脂100mgにつき1mL)およびトリフルオロ酢酸銀(樹脂の初期添加量に対して1当量)を添加した。最後に、0.2M溶液を得るのに十分な量のDIPEAを添加した。反応混合物を室温で撹拌した(O/N)。次に、溶液を濾過し、樹脂を2×THFで洗浄した。濾液を適切な容器に収集し、次に、減圧蒸発させて[揮発性含有物は、遠心蒸発(ThermoSavant Discovery,SpeedVacまたは同等物)を使用して、真空除去することもできる]、粗大員環を得る。この手順のために、トリフルオロ酢酸銀を、使用以外の間は、乾燥器に保存すべきである。それに加えて、酸化銀の形成を最小限にするために、新しいビン(またはN2もしくはAr下に最近開封したビン)のTHFを使用することが推奨される。
【0096】
さらに、Grubbs et al.によって開発された閉環メタセシス(RCM)法を使用して、本発明のいくつかの大環状化合物を得ることができる(例えば、US 5,811,515;Grubbs,R.H.et al.J.Org.Chem.2001,66,5291−5300;Fuerstner,A.Angew.Chem.Int.Ed.2000,39,3012−3043参照)。
【0097】
本発明の化合物の特定の誘導体を得るために、一般スキームにおける反応に付加的な反応が必要であった。いくつかの誘導体について、大環の形成前に、誘導される官能基を反応させることが好都合であった。環構造は、その官能基への試薬の接近を制限することができる。例えば、環の第二級窒素原子が誘導体化部位である大環状化合物のN−メチルおよびN−アシル誘導体の合成においては、適切な環化プロトコルの適用前に反応を行うのが好ましい。
【0098】
他の場合、例えば、側鎖官能基の誘導体化の場合、大環の形成後に反応を行うのが最も好ましかった。例えば、側鎖におけるアミノ部分のさらなる反応は、部分的に保護された大員環の反応によって一般に効率的に行われた。このように、アシル化、スルホニル化、アルキル化(還元的アミノ化による)、グアニジンおよび尿素形成を、標準法によって行った。
【0099】
下記の表1は、代表的であるが限定するものではない、本発明のいくつかの代表的化合物の化学合成の概要を示す。
【0100】
【表1A】

【表1B】

【表1C】

【表1D】

【表1E】

【表1F】

【表1G】

【0101】
D.本発明の選択化合物についての分析データ
1Hおよび13C NMRスペクトルは、Varian Mercury 300MHz分光器で記録し、溶媒の残留プロトン信号に関して内部参照する。溶液中の分子の立体配座についての情報は、当業者に既知の適切な二次元NMR法を使用して得ることができる。HPLC精製は、Waters FractionLynxシステムを使用して、Waters XTerra MS C18カラムで行った。自動中圧クロマトグラフィー精製は、16までの試料を同時に精製することができる使い捨てシリカまたはC18カートリッジを使用するIsco CombiFlash 16xシステムで行った。MSスペクトルは、Waters Micromass Platform IIまたはZQシステムで記録した。HRMSスペクトルは、VG Micromass ZAB−ZF分光器で記録した。ActivityBaseデータベースソフトウエア(IDBS、Guildford,Surrey,UK)を使用して、化学的および生物学的情報を蓄積し、分析した。
【0102】
分析用HPLC分析の一般的方法
HPLC分析は、Waters Alliance system 2695を、1mL/分で操作して、Xterra MS C18カラム4.6×50mm(3.5μm)を使用して行う。Waters 996 PDAによって、純度評価用のUVデータを得た。LCPackingsスプリッタ(50:40:10)は、流れを3部分に分離することを可能にした。第一部分(50%)は、素性確認用のAPCIプローブを取り付けたMicromass Platform II MSに行った。第二部分(40%)は、純度評価用の蒸発光散乱検出器(ELSD,Polymer Laboratories,PL−ELS−1000)に行き、最後の部分(10%)は、定量化および純度評価用の化学発光窒素検出器(CLND、Antek Model 8060)に行った。最新版のWaters Milleniumソフトウエアパッケージを使用して、データを取り込み、処理した。
【0103】
本発明の化合物に好適な例示的LC法は、溶媒AとしてMeOH、溶媒BとしてH2O、および溶媒Dとして1%TFA/H2Oを使用する。最初の移動相組成は、A5%、B85%およびD10%である。標準勾配法の詳細を下記に示す:
【0104】
時間 A% B% D% 曲線
0.00 5 85 10 6
1.00 5 85 10 6
6.00 50 40 10 6
9.00 50 40 10 6
14.00 90 0 10 6
17.00 90 0 10 6
17.50 5 85 10 6
20.00 5 85 10 6
【0105】
化合物2〜6、8〜10、56、65および144は、下記の表(3)に規定する通りである。
【0106】
化合物2
収量:純粋大環状化合物12mgを得た(CLND定量化)。
1H NMR(300MHz,DMSO−d6)δ8.83(m,1H);8.53(m,1H);7.63(m,1H);7.4−7.08(m,7H);7.00−6.84(m,2H);6.60(d,15Hz,1H);6.41(dt,15Hz,5.4 Hz,1H);4.35(m,1H);4.25−4.05(m,3H);3.94(dt,1H,6Hz,15Hz);3.79(dd,1H,3.6Hz,8.4 Hz);3.60(m,1H);3.52−3.40(bd,1H);3.22−3.06(m,4H);1.88(m,2H);1.54−1.28(m,2H);1.25(d,3H,4.8Hz);1.22(d,3H,2.7 Hz);0.92−0.80(m,6H)。
304044に関するHRMS 計算値:520.3049;実測値:520.3057±0.0016。
HPLC[標準勾配法(「分析用HPLC分析の一般的方法」において記載した方法を意味する)] tR=9.55分。
【0107】
化合物4
収量:純粋大環状化合物12mgを得た(CLND定量化)。
1H NMR(300 MHz,DMSO−d6)δ9.35(b,1H);8.98(b,1H);5.52(d,1H,8.4Hz);8.38(b,1H);7.25(b,1H);7.13−7.07(m,4H);6.86(t,2H,7.5Hz);6.57(d,2H,8.7 Hz);4.33(b,1H);4.21−4.02(m,3H);3.78(dd,1H,3.3Hz;8.1Hz);3.65−3.54(m,1H);3.31−3.23(m,1H);3.13−3.02(m,4H);2.78−2.2.28−2.18(m,1H);2.0−1.80(m,2H);1.50−1.30(m,3H);1.25(d,3H,4.5Hz);1.22(d,3H,4.5Hz);1.01(d,3H,6.6Hz);0.90(d,3H,6.6Hz);(t,3H,7.5Hz)。
13C NMR(75.5MHz,DMSO−d6)δ172.22;171.37;157.77;157.44;156.04;131.76;130.80;130.70;127.88;121.82;115.83;111.71;62.13;60.62;54.21;52.81;47.13;42.47;33.31;29.69;29.30;28.61;20.36;19.44;18.72;17.60;13.97。
304245についてのHRMS 計算値:538.3155;実測値:538.3145±0.0016。
HPLC(標準勾配)tR=8.12分。
【0108】
化合物5
収量:純粋大環状化合物17mgを得た(CLND定量化)。
1H NMR(300 MHz,DMSO−d6)δ9.02(b,1H);8.47(d,1H,8.4Hz);7.7(b,1H);7.58(d,1H,5.4Hz);7.28(dd,1H,7.8Hz,0.8Hz);7.20(t,1H,9.0Hz,0.8Hz);7.14(d,2H,8.4Hz);6.98−6.91(m,3H);6.66(d,8.7Hz);6.63(d,1H,15.0Hz);6.43(dt,1H,6.0Hz,15.0Hz);4.28−3.86(m,6H);3.60−3.40(m,2H);3.22−3.12(m,1H0);3.05(d,2H,5.4Hz);1.92−1.80(m,1H);1.56−1.40(m,1H);1.36−1.20(m,2H);1.25(d,3H,6.6Hz);0.84(t,3H,7.2Hz)。
13C NMR(75.5MHz,DMSO−d6)δ172.54;171.86;158.97;158.56;127.39;155.84;131.62;129.73;129.20;129.02;128.43;126.30;124.51;122.01;115.85;112.88;61.23;52.90;51.23;47.08;42.66;36.13;33.30;21.14;19.57;17.07;14.14;11.49。
283645についてのHRMS 計算値:508.2685;実測値:508.2681±0.0015。
HPLC(標準勾配)tR=7.67分。
【0109】
化合物6
収量:純粋大環状化合物16mgを得た(CLND定量化)。
1H NMR(300MHz,DMSO−d6)δ9.37(b,1H);8.87(b,1H);8.61(d,1H,8.7Hz);7.62(b,1H);7.27(d,1H,7.8Hz);7.21(t,1H,8.4Hz);7.14(d,2H,8.4Hz);6.98−6.87(m,3H);6.64(d,2H,8.1Hz);6.70(d,1H,15.6Hz);6.39(dt,1H,6.3Hz,15.6Hz);4.44−4.36(m,1H);4.34−4.08(m,2Hz);4.45−3.92(dt,1H,6.9Hz,15.6Hz);3.74(dd,1H,3.6Hz,8.4Hz);3.54−3.26(m,3H);3.22−3.02(m,3H);2.60−2.36(m,4H);2.24−2.14(m,1H);2.02(s,3H);1.96−1.89(m,1H);1.80−1.66(m,1H);1.01(d,3H,6.3Hz);0.90(d,3H,6.6Hz)。
13C NMR(75.5MHz,DMSO−d6)δ171.51;171.26;158.90;158.49;157.38;155.86;131.63;129.82;129.21;128.86;128.63;126.21;121.98;115.83;112.83;62.11;61.06;51.97;47.10;42.78;30.91;30.67;29.34;20.37;19.39;15.06。
304045SについてのHRMS計算値:568.2719;実測値:568.2711±0.0017。
HPLC Rt(一般法)7.92分。
【0110】
化合物8
収量:純粋大環状化合物27mgを得た(CLND定量化)。
1H NMR(300MHz,DMSO−d6)δ9.05(b,1H);8.43(b,1H);8.34(d,1H,9.3Hz);7.40(b,1H);6.97(d,1H,7.5Hz);6.92−6.74(m,9H);6.67−6.54(m,2H);6.33−6.25(m,3H);6.10(dt,1H,5.7Hz,16.2Hz);4.22(dt,1H,0.9Hz,12Hz);3.94−6.66(m,4H);3.30(dd,1H,3.6Hz,7.8Hz);3.24(m,1H);3.18(m,1H);2.85−2.68(m,3H);2.44−2.23(m,2H);1.32(o,1H,7.5Hz);0.97−0.89(m,1H);0.42(d,3H,6.6Hz);0.01(d,3H,6.6Hz)。
13C NMR(75.5MHz,DMSO−d6)δ171.20;157.35;155.88;139.12;131.61;130.87;129.74;129.21;128.77;128.88;126.85;126.19;121.97;115.82;112.84;62.04;61.10;55.07;50.01;47.09;42.85;37.42;29.11。
344245についてのHRMS 計算値:586.3155;実測値:586.3145±0.0017。
HPLC Rt(一般法)9.34分。
【0111】
化合物9
収量:純粋大環状化合物17mgを得た(CLND定量化)。
1H NMR(300MHz,DMSO−d6)δ9.39(b,1H);8.83(b,1H);8.29(d,1H,9.3Hz);7.62(b,1H);7.28(d,1H,6.6Hz);7.20(t,1H,6.9Hz);7.12(d,2H,7.8Hz);6.98−6.91(m,2H);6.63(d,2H,8.4Hz);6.58(d,1H,16.2Hz);6.40(dt,1H,5.7Hz,16.2Hz);4.29−4.13(m,3H);4.03−3.92(m,2H);3.52(m,1H);3.15−3.05(m,3H);2.45−2.37(m,1H);1.96−1.88(m,1H);1.25(dd,2H,4.5Hz;6Hz);1.01(d,3H,6.3Hz);0.91(d,3H,6.6Hz);0.86(d,3H,7.2Hz);0.81(d,3H,6.6Hz)。
13C NMR(75.5MHz,DMSO−d6)δ171.85;171.17;157.37;155.87;131.59;129.88;129.18;128.97;128.78;128.51;126.16;121.97;115.83;112.85;61.55;61.18;58.15;54.22;47.08;42.89;36.32;29.35;29.00;20.34;19.56;18.73;17.44。
304045についてのHRMS 計算値:536.2998;実測値:536.2990±0.0017。
HPLC(標準勾配)tR=8.15分。
【0112】
化合物10
収量:純粋大環状化合物24mgを得た(CLND定量化)。
1H NMR(300 MHz,DMSO−d6)δ 9.33(b,1H);8.82(b,1H);8.56(d,1H,8.3Hz);7.60(b,1H);7.27(d,2H,7.8Hz);7.20(t,1H,7.8Hz);7.13(d,2H,8.4Hz);6.95(t,2H,7.8Hz);6.64(d,2H,8.4Hz);6.57(d,1H,15.4Hz);6.38(dt,1H,15.4Hz,5.8Hz);4.26−4.10(m,3H);3.96(dt,1H,5.4Hz,8.4Hz);3.77(dd,1H,3.7Hz,7.8Hz);3.51−3.24(m,3H);3.18−3.02(m,3H);1.90(h,1H,6.4Hz);1.73−1.54(m,2H);1.45(dt,1H,6.7Hz,0.9Hz);0.99(d,3H,6.6Hz);0.89(d,3H,6.3Hz);0.87(d,3H,6.0Hz);0.80(d,3H,6.3Hz)。
13C NMR(75.5MHz,DMSO−d6)δ 172.23;171.17;157.37;155.88;131.62;129.82;129.19;128.95;128.59;126.24;121.99;115.84;112.88;64.23;61.98;61.14;51.43;61.14;51.43;47.07;42.81;29.38;24.85;24.11;21.00;20.32;19.30。
314245についてのHRMS 計算値:550.3155;実測値:550.3150±0.0016。
HPLC(標準勾配)tR=8.91分。
【0113】
化合物56
収量:純粋大環状化合物16mgを得た(CLND定量化)。
1H NMR(300 MHz,DMSO−d6)δ 9.39(b,1H);8.90(b,1H);8.67(d,1H,8.4Hz);7.74(b,4H);7.29−7.08(m,4H);6.99−6.87(m,2H);6.64(d,2H,8.1Hz);6.61(d,1H,16.5Hz);6.40(dt,1H,5.7Hz,16.5Hz);4.40−4.06(m,4H);4.02−3.95(m,1H);3.79(dd,1H,3.6Hz,7.8Hz);3.55−3.30(m,2H);3.16−3.05(m,3H);2.82−2.69(m,2H);2.02−1.85(m,2H);1.64−1.43(m,3H);1.29−1.23(m,1H);1.01(d,3H,6.3Hz);0.91(d,3H,6.3Hz);0.86−0.84(m,2H)。
HPLC(標準勾配)tR=5.71分。
【0114】
化合物65
収量:純粋大環状化合物17mgを得た(CLND定量化)。
1H NMR(300 MHz,DMSO−d6)δ 9.60(b,1H);9.39(b,1H);8.88(b,1H);8.70(d,1H,7.5Hz);8.57(d,1H,4.2Hz);7.27(t,6Hz);6.96(d,2H,8.4Hz);6.66(d,2H,8.4Hz);5.78−5.68(m,1H);5.42−5.33(m,1H);3.96−3.89(m,1H);3.80−3.57(m,5H);3.41−3.34(m,1H);3.10−2.90(m,1H);2.78−2.66(m,1H);2.21−2.10(m,1H);2.06−1.93(m,1H);1.70−1.60(m,1H);1.52−1.41(m,1H);1.39−1.26(m,1H);1.25(d,3H,4.8Hz);1.23(d,3H,4.5Hz);0.83(dd,3H,3Hz,4.5Hz)。
13C NMR(75.5MHz,DMSO−d6)δ 172.68;172.63;159.15;158.73;157.38;157.25;130.89;124.99;116.03;62.51;62.12;54.29;49.27;42.47;32.77;30.43;28.85;20.46;19.59;18.72;17.39;13.90;13.09。
243644についてのHRMS 計算値:444.2736;実測値:444.2726±0.0013。
HPLC(標準勾配)tR=6.80分。
【0115】
化合物144
1H NMR(300 MHz,CD3OD)δ 7.4(m,1H);7.27(dt,1H,1.5 Hz,6.6 Hz);7.22−7.14(m,2H);7.08−6.98(m,2H);6.78 9t,2H,6.6 Hz);4.45−4.39(m,2H);4.15(d,2H,8.1 Hz);7.74(d,1H,9.3 Hz);3.54(d,1H,10.8 Hz);3.35−3.22(m,2H);3.20(q,1H,1.5 Hz);2.82−2.71(m,1H);2.61−2.55(m,1H);2.21−2.11(m,1h);2.02−1.94(m,1H);1.74−1.40(m,5H);1.04(d,3H,6.6 Hz);0.93(d,3H,6.6 Hz);0.74−0.64 9m,1H);0.45−0.28(m,2H);0.15−0.08(m,1H);0.06――0.02(m,1H)。
13C NMR(75.5 MHz,CD3OD)δ 173.29;172.14;167.51;155.47;134.86;134.81;130.38;130.31;128.81;128.25;127.44;121.63;110.39;107.71;105.02;67.10;66.66;62.81;62.06;60.10;53.99;41.44;36.07;31.91;30.01;29.18;28.94;27.79;23.68;23.15;19.08;18.25;8.17;4.98;3.16。
314144ClについてのHRMS 計算値:568.2816;実測値:568.2802±0.0017。
【0116】
F.選択した本発明化合物の質量スペクトルデータ
【0117】
【表2A】

【表2B】

【表2C】

【表2D】

【表2E】

【表2F】

【0118】
生物学的方法および結果
方法B1に記載する競合放射性リガンド結合アッセイを使用して、ヒトモチリン受容体における相互作用能力について、本発明の化合物を評価した。方法B2、B3およびB4に記載する機能アッセイを使用して、相互作用の他の特性決定を行うことができる。必要であれば、これらの方法のいくつかを高スループットな方法で行って、多くの化合物を同時に評価することができる。ヒトモチリン受容体の合成遺伝子の安定発現に基づくアッセイのような、HTSに好適な他のアッセイも記載されている。
【0119】
方法B1を使用した本発明の代表的化合物の試験についての結果を、表3に示す。結合活性を、下記のレベルの範囲として示す:A=0.001〜0.10μM、B=0.10〜1.0μM、C=1.0〜10.0μM。その他に、この方法を使用した2つの付加的化合物のアッセイ結果を下記に示す。観測されるように、これは、D−プロリンを第二認識構成単位として組み込むことによって生じる本発明の式IVの代表的二環式化合物の活性を示す。重要なことに、化合物1(Ki=レベルB)の直鎖類似体である化合物121の場合に生じる結合活性の欠如は、所望の相互作用を得るのに環状構造が極めて重要であることを示す。
【化38】

【0120】
2つの代表的な本発明の化合物(化合物8および11)の競合結合曲線を下記に示す:
【化39】

【0121】
結合の機能的有意性の決定のために、方法B2に記載するエクオリンアッセイにおいて化合物を試験するのが好ましいが、方法B3の手順も適用できる。表4に示すデータからわかるように、試験した代表的化合物は、モチリン受容体において拮抗物質として作用し、試験した濃度において作用活性を有さない。機能的活性を、下記のレベルの範囲として示す:A=0.001〜0.10μM、B=0.10〜1.0μM。方法B2のアッセイのより高い感度(方法Cのほぼ100倍)は、それをこの評価に好ましいものにしている。このことは、正の作用物質標準モチリンに関して各方法で得られたEC50値において明らかである。それに加えて、方法B2は実際のシグナル事象を測定する(これは、該方法を、所望される効能に、より関連性のあるものにする)が、方法B3のアッセイはGTP代謝回転を測定するにすぎない。
【0122】
【表3】

【0123】
その他に、モチリン受容体に対する作用活性または拮抗活性の測定用の、一般的かつ科学的に認められている生体外アッセイは、ウサギ十二指腸または他の胃腸平滑筋組織の収縮である。A2-A4作用物質は、モチリンペプチドと比較して、>50%収縮を誘発する化合物として定義され、拮抗物質は、モチリンへの応答の>50%阻害を生じる化合物として定義される。本発明の化合物は、このアッセイにおいて、有意な拮抗活性を示した。例えば、方法B4に記載するように種々の濃度で得た反応のシルドプロットから計算して、化合物144はpA2=6.95を示し、化合物165はpA2=7.17を有していた。
【0124】
胃の運動性は、臨床的設定において、胃内容物排出に要する時間、およびそれに続くGI管の通過時間として一般に測定される。胃内容物排出スキャンは、当業者によく知られており、簡単に言えば、経口造影剤、例えばバリウム、または放射性標識食の使用を含む。固体および液体を別々に測定することができる。試験食または液体を同位体(99mTc)で放射性標識し、摂取または投与後に、GI管の通過時間および胃内容物排出時間を、ガンマカメラで可視化することによって測定する。これらの研究を、治療薬の投与前および投与後に行って、化合物の有効性を定量化する。
【0125】
方法例B1:競合放射性リガンド結合アッセイ(モチリン受容体)
材料
・ ヒトモチリン受容体で安定にトランスフェクションしたCHO細胞から膜を調製し、1.5μg/アッセイポイントの量で使用した。[PerkinElmer(商標) SignalScreen Product #6110544]
・ [125I]−モチリン(PerkinElmer,#NEX−378);最終濃度:0.04〜0.06nM
・ モチリン(Bachem(商標),#H−4385);最終濃度:1μM
・ マルチスクリーン採取皿−GF/B(Millipore(商標),#MAHFB1H60)
・ ポリプロピレン製ディープウェルタイタープレート(Beckman Coulter(商標),#267006)
・ TopSeal−A(PerkinElmer,#6005185)
・ ボトムシール(Millipore,#MATAH0P00)
・ MicroScint−0(PerkinElmer,#6013611)
・ 結合緩衝液:50mM Tris−HCl(pH 7.4)、10mM MgCl2、1mM EDTA、0.1%BSA
【0126】
アッセイ容量
・ 結合緩衝液で希釈した膜150μL
・ 結合緩衝液で希釈した化合物10μL
・ 結合緩衝液で希釈した放射性リガンド([125I]−モチリン)10μL
化合物の最終試験濃度(N=11):10、5、2、1、0.5、0.2、0.1、0.05、0.02、0.01、0.005μM
【0127】
化合物取り扱い
化合物を、100%DMSOで希釈した10mMの保存濃度においてドライアイス上で凍結し、試験日まで−20℃で保存した。試験日に、化合物を室温で解凍し、次に、アッセイ緩衝液で所望の試験濃度に希釈した。これらの条件下で、アッセイにおける最大最終DMSO濃度は0.5%であった。
【0128】
アッセイプロトコル
ディープウェルプレートにおいて、希釈細胞膜(1.5μg/L)を、10μLの、結合緩衝液(全結合、N=5)、1μM モチリン(非特異的結合、N=3)または適切な濃度の被験化合物と合わす。10μLの[125I]−モチリン(最終濃度0.04〜0.06nM)を各ウェルに添加することによって、反応を開始させる。プレートをTopSeal−Aで密閉し、ゆるやかに渦をまかせ、室温で2時間培養する。Tomtecハーベスターを使用して、予備浸漬した(0.3%ポリエチレンイミン、2時間)マルチスクリーン採取皿で試料を濾過することによって、反応を停止し、冷たい50mM Tris−HCl(pH7.4)500μLで9回洗浄し、次に、皿を換気フードで30分間空気乾燥する。25μLのMicroScint−0を各ウェルに添加する前に、ボトムシールを皿に適用する。次に、皿をTopSeal−Aで密閉し、TopCount Microplate Scintillation and Luminescence Counter(PerkinElmer)で、各ウェルにつき30秒間カウントし、結果をカウント/分(cpm)で表す。
可変勾配(variable slope)非線形回帰分析を使用して、GraphPad(商標) Prism(GraphPad Software,San Diego,CA)によって、データを分析する。Ki値は、[125I]−モチリンについて0.16nMのKd値(膜特性決定の間に前もって測定)を使用して計算した。
【数1】

[式中、全結合および非特異的結合は、1μM モチリンの非存在または存在においてそれぞれ得たcpmを表す]。
【0129】
方法例B2:エクオリン機能アッセイ(モチリン受容体)
材料
・ ヒトモチリン受容体を発現するAequoScreen(商標)(EUROSCREEN,Belgium)細胞系(細胞系ES−380−A;受容体受け入れ番号AF034632)を使用して、膜を調製した。この細胞系は、Gα16およびミトコンドリア的に標的にされるエクオリンを共発現するCHO−K1細胞(参照番号ES−WT−A5)に、ヒトモチリン受容体をトランスフェクションすることによって構成される。
・ モチリン(Bachem,#H−4385)
・ アッセイ緩衝液:DMEM−F12(Dulbeccoe’s Modified Eagles Medium)、ならびに15mM HEPESおよび0.1%BSA(pH7.0)
・ セレンテラジン(Molecular Probes(商標),Leiden,The Netherlands)
【0130】
化合物の最終試験濃度(N=5):10、3.16、1、0.316、0.1μM
【0131】
化合物取り扱い
化合物を、予備構成96ウェルプレート中に約1.2μmolの量で、乾燥薄膜として準備した。化合物を10mMの濃度で100%DMSOに溶解させ、使用まで−20℃で保存した。娘プレート(daughter plates)を30%DMSOおよび0.1%BSA中に500μMの濃度で準備し、試験まで−20℃で保存した。試験日に、化合物を室温で解凍し、次に、アッセイ緩衝液で所望の試験濃度に希釈した。これらの条件で、アッセイにおける最大最終DMSO濃度は、0.6%であった。
【0132】
細胞調製
5mM EDTAを補充したCa2+およびMg2+不含燐酸緩衝生理食塩水(PBS)を含有する培養皿から、細胞を収集し、1000xgで2分間ペレット化し、5×106細胞/mLの密度でアッセイ緩衝液(前記参照)に再懸濁し、5μMセレンテラジンの存在下に一晩培養する。装填後、細胞をアッセイ緩衝液で5×105細胞/mLの濃度に希釈した。
【0133】
アッセイプロトコル
作用試験については、細胞懸濁液50μLを、適切な濃度の被験化合物またはモチリン(基準作用物質)50μLと、96ウェルプレート中で混合した(二重試料)。受容体活性化によって生じた発光を、Functional Drug Screening System 6000「FDSS 6000」(Hamamatsu Photonics K.K.,Japan)を使用して記録した。
【0134】
拮抗試験については、作用試験の終了から15〜30分後に、約EC80濃度のモチリン(即ち、0.5nM;100μL)を、被験化合物を含有する細胞懸濁液に注入し(二重試料)、受容体の活性化によって生じた発光を、前段落に記載したように測定した。
【0135】
結果を相対光単位(RLU)で示す。濃度応答曲線を、式E=Emax/(1+EC50/C)n[式中、Eは所定作用物質濃度(C)における測定RLU値であり、Emaxは最大応答であり、EC50は50%刺激を生じる濃度であり、nは勾配指数である]に基づく非線形回帰分析(S字状用量−応答)によって、GraphPad Prism(GraphPad Software,San Diego,CA)を使用して分析した。作用試験に関しては、各濃度の被験化合物の結果を、EC80に等しい濃度(即ち、0.5nM)でモチリンによって誘発される信号に対するパーセント活性化として表した。拮抗試験に関しては、各濃度の被験化合物の結果を、EC80に等しい濃度(即ち、0.5nM)でモチリンによって誘発される信号に対するパーセント阻害として表した。
【0136】
方法例B3:FlashPlateモチリン[35S]−GTPγS機能アッセイ
材料
・ ヒトモチリン受容体で安定にトランスフェクションしたCHO細胞から膜を調製し、1.5μg/アッセイポイントの量で使用した(PerkinElmer SignalScreen Product #6110544)
・ GTPγS(Sigma,#G−8634)
・ [35S]−GTPγS(PerkinElmer,#NEX−030H)
・ モチリン(Bachem,#H−4385)
・ 96ウェルFlashPlateマイクロプレート(PerkinElmer,#SMP200)
・ ポリプロピレン製ディープウェルタイタープレート(Beckman Coulter,#267006)
・ TopSeal−A(PerkinElmer,#6005185)
・ アッセイ緩衝液:50mM Tris(pH 7.4)、100mM NaCl、10mM MgCl2、1mM EDTA、1μM GDP、0.1%BSA
【0137】
アッセイ容量
・ アッセイ緩衝液で希釈した化合物25μL
・ アッセイ緩衝液25μL(作用アッセイ)、またはアッセイ緩衝液で希釈した0.6μMモチリン(0.1μM最終濃度)(拮抗アッセイ)
・ アッセイ緩衝液で希釈した[35S]−GTPγS 100μL
【0138】
化合物の最終試験濃度(N=12):50、20、10、5、2、1、0.5、0.2、0.1、0.05、0.02、0.01μM
【0139】
化合物取り扱い
化合物を、100%DMSOで希釈した10mMの保存濃度においてドライアイス上で凍結し、試験日まで−20℃で保存した。試験日に、化合物を室温で解凍し、次に、アッセイ緩衝液で所望の試験濃度に希釈した。これらの条件において、アッセイにおける最大最終DMSO濃度は0.5%であった。
【0140】
アッセイプロトコル
CHO膜を、96ウェルFlashPlateマイクロプレートに固定化した。被験化合物GTPγS、モチリン、および[35S]−GTPγSを、前記のアッセイ容量において各ウェルで合わした。
【0141】
作用活性を測定するアッセイについては、25μLの、緩衝液(基礎値、N=4)、1μM(最終濃度)モチリン(Emax値、N=3)、25μM(最終濃度)GTPγS(非特異値、N=4)または適切な濃度の被験化合物(N=3)に加えて、さらに25μLの緩衝液を、各ウェルに添加した。
【0142】
拮抗活性を測定するアッセイについては、25μLの、緩衝液(基礎値、N=3)、1μM(最終濃度)モチリン(Emax値、N=3)、25μM(最終濃度)GTPγS(非特異値、N=4)または適切な濃度の被験化合物(N=3)に加えて、さらに25μLの緩衝液(非刺激対照)またはモチリン(0.1μM最終濃度)を、各ウェルに添加する。
【0143】
100mLの[35S]−GTPγSを各ウェルに添加することによって、反応を開始する。各プレートを密閉し(TopSeal−A)、暗所で室温において150分間培養する。次に、TopCount NXTによって、各ウェルにつき30秒間、プレートをカウントする。
【0144】
IC50/EC50値の算出のために、非線形回帰分析(S字状用量−応答)を使用して、GraphPad Prism 3.0(GraphPad Software,San Diego,CA)によって、データを分析した。
【数2】

[式中、最大および最小は、GraphPad Prismによって算出した用量−応答曲線の最大値および最小値に対応する]。
【0145】
方法例B4:ウサギ十二指腸収縮性アッセイ
クレブス緩衝液を充填し、等張力変換器(isotonic force transducer)に接続した10mLの器官槽に、十二指腸切片を前荷重1gで垂直につり下げた。安定化時間後に、筋肉細片を10-4Mアセチルコリンで刺激し、洗浄した。安定最大収縮が得られるまで、少なくとも20分間の間隔をあけてこれを繰り返した(2〜3回)。
【0146】
安定基本線に達した後、被験化合物を浴に添加した。15分間培養した後、対数的に増加する濃度のモチリンを浴に添加することによって(最終濃度10-9〜10-6M)、モチリンへの用量応答を記録した。空試験(被験化合物の非存在)も行った。用量応答曲線の最後に、超最大用量のアセチルコリン(10-4M)を添加し、この応答を基準(100%収縮)として使用した。
【0147】
種々の被験化合物濃度における実験の結果を集め、分析して、シルドプロットからpA2値を得た。
【0148】
特定の試験法を、例示目的で、本明細書に記載したが、これらの試験法の種々の変法ならびに代替試験法も、本発明の範囲を逸脱せずに使用し得るものと理解される。
【0149】
表3:選択化合物の結合活性
【表4A】

【表4B】

【表4C】

【表4D】

【表4E】

【表4F】

【表4G】

【表4H】

【表4I】

【表4J】

【表4K】

【表4L】

【表4M】

【表4N】

【表4O】

【表4P】

【表4Q】

【表4R】

【表4S】

【表4T】

【表4U】

【表4V】

【0150】
註:
方法B1を使用して、放射性リガンド競合結合アッセイを行った。
数値を範囲で示した:A=0.001〜0.100μM、B=0.100〜1.0μM、C=1.0〜10.0μM。
XはNHであり、但し、
化合物223および225において、Xは、
【化40】

であり、
化合物224において、XはNMeであり、
化合物226において、Xは、
【化41】

であり、
化合物227において、Xは、
【化42】

であり、
1、Z2およびZ3はNHであり、但し、化合物30、173および174おいてZ1はOであり、化合物111においてZ2はOであり、
2、R4およびR5は水素であり、但し、化合物85において、それは、
【化43】

であり、
m、n1およびpは0である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】

[式中、
1、Z2およびZ3は、O、NおよびNR10からなる群より独立して選択され、ここで、R10は、水素、低級アルキルおよび置換低級アルキルからなる群より選択され、
1は、アリールで置換された低級アルキル、置換アリールで置換された低級アルキル、ヘテロアリールで置換された低級アルキル、および置換ヘテロアリールで置換された低級アルキルからなる群より独立して選択され、
2は、水素であり、
3は、アルキルおよびシクロアルキルからなる群より独立して選択され、但し、Z1がNであるとき、R3はZ1と共に4、5、6または7員の複素環を形成し得るものとし、
4は、水素であり、
5およびR6は、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群より独立して選択され、但し、R5およびR6の少なくとも1つは水素であるものとし、
Xは、O、NR8およびN(R92+からなる群より選択され、ここで、R8は、水素、低級アルキル、置換低級アルキル、ホルミル、アシル、カルボキシアルキル、カルボキシアリール、アミド、スルホニル、スルホンアミドおよびアミジノからなる群より選択され、 R9は、水素、低級アルキルおよび置換低級アルキルからなる群より選択され、
m、n1およびpは、0、1または2から独立して選択され、
Tは、式II:
−U−(CH2d−W−Y−Z−(CH2e− (II)
(式中、dおよびeは、0、1、2、3、4または5から独立して選択され、
Uは、式(I)のXに結合し、−CH2−または−C(=O)−であり、
YおよびZは、それぞれ、場合により存在し、
W、YおよびZは、−O−、−NR28−、−S−、−SO−、−SO2−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−NH−、−NH−C(=O)−、−SO2−NH−、−NH−SO2−、−CR2930−、ZまたはE配置を有する−CH=CH−、および−C≡C−からなる群より、または下記の群:
【化2】

から独立して選択される環構造物より、独立して選択され、
前記環構造物に含有される任意の炭素原子は、窒素原子で置換することができ、但し、前記環構造物が単環式環構造物である場合は、4個以下の窒素原子を有し、前記環構造物が2環式環構造物である場合は、6個以下の窒素原子を有すものとし、
1およびG2は、それぞれ独立して、−O−、−NR41−、−S−、−SO−、−SO2−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)NH−、−NH−C(=O)−、−SO2−NH−、−NH−SO2−、−CR4243−、ZまたはE配置を有する−CH=CH−、および−C≡C−からなる群より選択される共有結合または二価の基を表し、但し、G1は、G2より近くでUに結合するものとし、
1、K2、K3、K4、K6、K15およびK16は、O、NR44およびSからなる群より独立して選択され、
fは、1、2、3、4、5または6から選択され、
31、R32、R38、R39、R48およびR49は、水素、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、ハロゲン、ホルミル、アシル、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルボキシアリール、アミド、カルバモイル、グアニジノ、ウレイド、アミジノ、シアノ、ニトロ、メルカプト、スルフィニル、スルホニルおよびスルホンアミドから独立して選択され、
33、R34、R35、R36、R37、R47、R50およびR51は、水素、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、オキソ、アミノ、ハロゲン、ホルミル、アシル、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルボキシアリール、アミド、カルバモイル、グアニジノ、ウレイド、アミジノ、シアノ、ニトロ、メルカプト、スルフィニル、スルホニルおよびスルホンアミドから独立して選択される)の二価の基である]で示される化合物、および医薬的に許容されるその塩、水化物または溶媒化合物。
【請求項2】
1が、−(CH2q11および−CHR1213からなる群より選択され、
ここで、
qは、0、1、2または3であり、
11およびR12は、下記の群:
【化3】

(式中、前記環構造物中の任意の炭素原子は、窒素原子で置換することができ、但し、前記環構造物が単環式環構造物である場合は、4個以下の窒素原子を有し、前記環構造物が2環式環構造物である場合は、6個以下の窒素原子を有すものとし、
1、A2、A3、A4およびA5は、それぞれ場合により存在し、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、ハロゲン、ホルミル、アシル、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルボキシアリール、アミド、カルバモイル、グアニジノ、ウレイド、アミジノ、シアノ、ニトロ、メルカプト、スルフィニル、スルホニルおよびスルホンアミドからなる群より独立して選択され、
1、B2、B3およびB4は、NR14、SまたはOから独立して選択され、ここで、R14は、水素、アルキル、置換アルキル、ホルミル、アシル、カルボキシアルキル、カルボキシアリール、アミド、スルホニルおよびスルホンアミドからなる群より選択される)の環構造物から独立して選択され、
13は、R11およびR12と同様に定義されるか、または低級アルキル、置換低級アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルボキシアリールおよびアミドを含む群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
3が、−(CH2sCH3、−CH(CH3)(CH2tCH3、−CH(OR15)CH3、−CH2SCH3、−CH2CH2SCH3、−CH2S(=O)CH3、−CH2CH2S(=O)CH3、−CH2S(=O)2CH3、−CH2CH2S(=O)2CH3、−(CH2uCH(CH32、−C(CH33および−(CH2y−R21からなる群より選択され、
ここで、
sおよびuは、0、1、2、3、4または5から独立して選択され、
tは、1、2、3または4から独立して選択され、
yは、0、1、2、3または4から選択され、
15は、水素、アルキル、置換アルキル、ホルミルおよびアシルからなる群より選択され、
21は、下記群:
【化4】

(式中、前記環構造物中の任意の炭素原子は、窒素原子で置換することができ、但し、前記環構造物が単環式環構造物である場合は、4個以下の窒素原子を有し、前記環構造物が2環式環構造物である場合は、6個以下の窒素原子を有すものとし、
zは、1、2、3、4または5から選択され、
1、E2およびE3は、それぞれ場合により存在し、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、ハロゲン、ホルミル、アシル、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルボキシアリール、アミド、カルバモイル、グアニジノ、ウレイド、アミジノ、シアノ、ニトロ、メルカプト、スルフィニル、スルホニルおよびスルホンアミドからなる群より独立して選択され、
Jは、場合により存在し、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、オキソ、アミノ、ハロゲン、ホルミル、アシル、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルボキシアリール、アミド、カルバモイル、グアニジノ、ウレイド、アミジノ、メルカプト、スルフィニル、スルホニルおよびスルホンアミドからなる群より選択される)から選択される環構造物から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
5またはR6の少なくとも1つが水素であることを条件として、R5およびR6が、水素、−(CH2aaCH3、−CH2SCH3、−CH2CH2SCH3、−CH2S(=O)CH3、−CH2CH2S(=O)CH3、−CH2S(=O)2CH3、−CH2CH2S(=O)2CH3、−(CH2bbCH(CH32、−CH(CH3)(CH2ccCH3、−(CH2dd−NR2223、−(CH2ee24、−CH2CO225および−CH2CONR2627
[式中、
aaおよびbbは、0、1、2、3、4または5から独立して選択され、
ccおよびddは、1、2、3、4または5から独立して選択され、
eeは、0、1、2、3または4から選択され、
22およびR23は、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ホルミル、アシル、カルボキシアルキル、カルボキシアリール、アミド、アミジノ、スルホニルおよびスルホンアミドからなる群より独立して選択され、但し、R22およびR23は、窒素原子と共に、5または6員の置換または非置換の複素環を形成し得るものとし、
24は、R11およびR12と同様に定義され、
25は、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、複素環、置換複素環、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群より独立して選択され、
26およびR27は、R17およびR18と同様に定義される]からなる群よりそれぞれ独立して選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
1、A2、A3、A4およびA5が、それぞれ場合により存在し、ハロゲン、トリフルオロメチル、C16アルキルまたはC16アルコキシから独立して選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
11、R12およびR13が、
【化5】

[式中、RaおよびRbは、Cl、F、CF3、OCH3、OH、CH3およびC(CH33からなる群より選択される]からなる群よりそれぞれ独立して選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項7】
Tが、
【化6】

[式中、
1は、NHまたはNMeであり、
2は、CHまたはNであり、
3は、CHまたはNであり、
4は、OまたはCH2であり、
5は、CHまたはNであり、
6は、CR5253またはOであり、
46は、HまたはCH3であり、
52、R53、R54、R55、R56およびR57は、水素、低級アルキル、置換低級アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アミノおよびオキソから独立して選択されるか、または、R52とR53、またはR54とR55、またはR56とR57とが一緒になって、炭素、酸素、硫黄および/または窒素原子を含有する3〜7員環を独立して形成することができ、
(X)は、式(I)のXへの共有結合部位であり、
(Z3)は、式(I)のZ3への共有結合部位である]からなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
m、nおよびpが0であり、X、Z1、Z2およびZ3がNHであり、R2、R4およびR5が水素であり、式(III):
【化7】

で示される、請求項1に記載の化合物
【請求項9】
3がZ1と共に4、5、6または7員の複素環を形成し、式(IV):
【化8】

[式中、
前記複素環は、第二窒素原子、または酸素原子または硫黄原子を含有してよく、
2は、0、1、2または3から選択され、
7は、場合により存在し、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、オキソ、アミノ、ハロゲン、ホルミル、アシル、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルボキシアリール、アミド、カルバモイル、グアニジノ、ウレイド、アミジノ、メルカプト、スルフィニル、スルホニルおよびスルホンアミドからなる群より選択される]で示される、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
下記:
【化9】

【化10】

【化11】

からなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の構造を有する、モチリン受容体の拮抗薬。
【請求項12】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の化合物を、治療有効量で投与することを含む、ヒトおよび他の哺乳動物におけるモチリン受容体または運動性機能不全に関連した疾患の治療法。
【請求項13】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の化合物を、治療有効量で投与することを含む、ヒトおよび他の哺乳動物における運動高進症または高モチリン症に関連した疾患の治療法。
【請求項14】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の化合物を、治療有効量で投与することを含む、ヒトおよび他の哺乳動物における過敏性腸症候群および消化不良の治療法。
【請求項15】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の化合物を、治療有効量で投与することを含む、ヒトおよび他の哺乳動物における、クローン病、胃食道逆流性疾患、潰瘍性大腸炎、膵臓炎、乳児肥厚性幽門狭窄症、カルチノイド症候群、吸収不良症候群、下痢、真性糖尿病、肥満症、萎縮性結腸炎または胃炎、胃うっ滞、胃腸ダンピング症候群、胃腸切除後症候群、セリアック病、および肥満を生じる摂食障害の治療法。

【公表番号】特表2007−523853(P2007−523853A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515603(P2006−515603)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【国際出願番号】PCT/CA2004/000913
【国際公開番号】WO2004/111077
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(505468060)トランザイム・ファーマ・インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】