説明

モニタリングネットワークシステム

【課題】患者対応に生体信号を得て表示を行いシームレスな監視を行う。
【解決手段】保持手段31に保持されている患者識別情報が得られた収集装置(ベッドサイドモニタ13−1〜13−n、送信機14、ベッドサイドモニタ15)にアクセスして、送信処理手段52が生体信号に対してネットワーク11を伝送する信号に変換した信号の送信を受けて、この信号に基づく波形を作成し、保持手段31に保持された情報に基づき該当する表示部22の表示領域に表示する。表示部22における8領域の区分E1〜E8には夫々登録された患者に対応する生体信号に基づく波形が表示される。ここで、モニタ識別情報(ICU0001)の収集装置からモニタ識別情報(ICU0011)の収集装置へ移動して測定がなされた場合にも、同じ区分E1に患者名(光電太郎)に対応する生体信号に基づく波形が表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、患者から生体信号を得る血圧センサ、心電センサなどの生体信号取得手段に接続されて生体信号の収集を行う血圧計、心電計、及びベッドサイドモニタなどの複数の収集装置と、生体信号に基づき信号波形を表示部に表示するセントラルモニタなどのリモートビューワ装置と、上記複数の収集装置とリモートビューワ装置とを結ぶネットワークとを有するモニタリングネットワークシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ベッドサイドに配置され、患者から生体信号を得る生体信号取得手段に接続されたモニタから生体信号を送り、中央局に備えられたビデオ表示画面上に生体信号に対応する波形表示を行うシステムが知られている(特許文献1、0002欄参照)。ここで中央局が表示する生体信号は、予め中央局側で指定されたモニタから送信される(特許文献4、0002、0003欄参照)。
【0003】
上記に対し、患者の生体信号を搬送中においても途切れることなくモニタすることを目的として、ネットワークを介して搬送中の患者の生体信号を集中モニタリング装置へ集めるようにしたシステムも知られている(特許文献2、特に0008、0009欄参照)。
【0004】
更に、患者に携帯させて患者の生体信号を収集し、途切れることのないシームレスな監視を行う装置も開発されている(特許文献3のPCP装置を参照)。
【0005】
しかしながら、上記引用文献4のシステムでは、予め決まった収集装置しかモニタできない。また、引用文献2のシステムは情報の一元管理を狙ってシームレスな監視を行うことを示すに留まり、全ての収集装置をモニタした場合、一元管理する集中モニタリング装置は極めて高い性能を要求される。さらに、引用文献3では患者が特定の測定装置を用いていることを前提としており、患者に対するベッドサイドモニタなどの測定装置自体が取り替えられたような場合に対応するものではない。
【0006】
従って、患者がベッドを移動して別のベッドサイドモニタなどの収集装置により測定を行うような場合や、患者が手術室に移動されて手術中になった場合には、その患者の看護を担当する病棟や担当医がセントラルモニタなどのリモートビューワ装置に対して適切な収集装置を指定し直さない限り、当該患者の生体信号を継続して表示することができなかった。そのためその間の患者監視が途切れ、必要な監視を行うことができないという問題があった。これは院内にはモニタが多数存在し、移動先でその患者がどの収集装置で測定されているかを医療スタッフが特定し、それをシステムに対して入力することが極めて困難なためである。
【特許文献1】特開平07−163527号公報
【特許文献2】特開2000−23925号公報
【特許文献3】特開2004−536636号公報
【特許文献4】特開平04−266739号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記のような従来のモニタリングネットワークシステムが有する問題点を解決せんとしてなされたもので、その目的は、生体信号の収集を行う第1の収集装置から別の第2の収集装置により同一患者の生体信号を得るような場合にも、収集装置が患者IDを適切に保持する限りにおいて、リモートビューワ装置がモニタする収集装置を自動的に選択又は切り換えることで、生体信号による情報の漏れなく継続的な監視を行うことが可能となるモニタリングネットワークシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るモニタリングネットワークシステムは、患者から生体信号を得る生体信号取得手段に接続されて生体信号の収集を行う複数の収集装置と、生体信号に基づき信号波形を表示部に表示するリモートビューワ装置と、前記複数の収集装置とリモートビューワ装置とを結ぶネットワークとを有するモニタリングネットワークシステムにおいて、前記複数の収集装置には、患者識別情報と対応付けがなされた患者IDを保持する患者ID保持手段と、生体信号取得手段により得られる生体信号について、前記ネットワークを伝送する信号に変換して前記ネットワークへ送信する送信処理手段とが備えられ、前記リモートビューワ装置には、表示領域と患者IDとの対応を保持する保持手段と、前記保持手段に保持されている患者IDと同一の患者IDを保持する収集装置を検出する検出手段と、この検出手段により検出された収集装置の送信処理手段から生体信号を受信する受信処理手段と、この受信した信号に基づく生体信号及び/あるいは患者識別情報を表示部に表示する場合に、前記保持手段に保持された情報に基づき該当する表示領域に表示する表示制御手段とが備えられていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係るモニタリングネットワークシステムでは、前記リモートビューワ装置には、収集装置から受信した生体信号を保存する生体信号保存手段と、同一の患者IDの生体信号を時系列に結合する生体信号結合手段と、前記結合された生体信号を、前記保持手段に保持された情報に基づき該当する表示領域に表示する再生表示手段と、が備えられていることを特徴とする。
【0010】
本発明に係るモニタリングネットワークシステムでは、リモートビューワ装置は、コンピュータを備えるセントラルモニタにより構成されることを特徴とする。
【0011】
本発明に係るモニタリングネットワークシステムでは、少なくとも一つ以上のサーバとリモートビューワ端末により構成され、患者識別情報から患者IDを特定する手段及び、検出手段が前記サーバに備えられていることを特徴とする。
【0012】
本発明に係るモニタリングネットワークシステムでは、前記複数の収集装置には、少なくとも生体信号取得手段による生体信号取得不能状態を含む所定状態を検出して報知する報知手段が備えられ、前記リモートビューワ装置の前記検出手段は、前記報知手段からの報知を受けた場合に検出処理を開始することを特徴とする。
【0013】
本発明に係るモニタリングネットワークシステムでは、前記表示制御手段は、同一の患者IDに対応する生体信号を複数の収集装置から得ている場合に、この複数の収集装置における一つの収集装置の送信処理手段から生体信号を変換した前記ネットワークを伝送する信号の送信を受け、表示部の一領域に表示することを特徴とする。
【0014】
本発明に係るモニタリングネットワークシステムでは、前記表示制御手段は、同一の患者IDに対応する生体信号を複数の収集装置から得ている場合に、この複数の収集装置における二つ以上の収集装置の送信処理手段から生体信号を変換した前記ネットワークを伝送する信号の送信を受け、表示部の一領域に単数あるいは複数の収集装置による情報を総合して表示することを特徴とする。
【0015】
本発明に係るモニタリングネットワークシステムでは、前記表示制御手段は、信号に基づく生体信号及び/あるいは患者識別情報を表示部に表示する場合に、当該生体信号及び/あるいは患者識別情報に対応する生体信号を得ている収集装置を特定する識別情報を少なくとも合わせて対応付けて表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように本発明によれば、複数の収集装置には、当該収集装置に入力された患者識別情報と対応づけられた患者IDを保持する患者ID保持手段が備えられており、前記リモートビューワ装置には、患者IDに対応付けて表示部における表示領域情報を保持する保持手段と、前記保持手段に保持されている患者IDと同一の患者IDを保持する収集装置を検出する検出手段と、この検出手段により検出された収集装置の送信処理手段から生体信号を受信する受信処理手段と、この受信した信号に基づく生体信号及び/あるいは患者識別情報を表示部に表示する場合に、前記保持手段に保持された情報に基づき該当する表示領域に表示する表示制御手段とを備えているので、対応する患者IDを保持する収集装置の測定する生体信号が該当する表示領域に表示され、患者がどこでどの収集装置で測定されているかに関わらず、リモートビューワ装置での監視が可能となる。
【0017】
また、本発明に係るモニタリングネットワークシステムでは、上記複数の収集装置には、少なくとも生体信号取得手段による生体信号取得不能状態を含む所定状態を検出して報知する報知手段が備えられ、上記リモートビューワ装置の上記検出手段は、上記報知手段からの報知を受けた場合に検出処理を開始するので、所定状態が検出された場合に同一の患者IDが保持されている収集装置の検出が行われ、患者が移動しても医療スタッフが対象患者を測定している収集装置を特定し、その情報をリモートビューワ装置に入力し直す操作を行わなくても、患者IDに対応する収集装置から生体信号を得て漏れなく継続的な監視を行うことが可能となる。
【0018】
さらに、リモートビューワ装置が所望の患者の生体信号を監視するにあたり、所望の患者の生体信号を取得する収集装置を自動的に切り換えられ、全ての収集装置をモニタする必要はない。
【0019】
また、本発明に係るモニタリングネットワークシステムでは、検出手段が同一の患者IDに対応する生体信号を得ている複数の収集装置を検出した場合に、この複数の収集装置における一つの収集装置の送信処理手段から生体信号を変換した上記ネットワークを伝送する信号の送信を受け、表示部の一領域に表示するので、所定の一つの収集装置から送られる生体信号を優先して表示することによって、収集装置の変更時にも画面変化が少なく見やすい表示が可能である。
【0020】
また、本発明に係るモニタリングネットワークシステムでは、検出手段が同一の患者IDに対応する生体信号を得ている複数の収集装置を検出した場合に、この複数の収集装置における二つ以上の収集装置の送信処理手段から生体信号を変換した上記ネットワークを伝送する信号の送信を受け、表示部の一領域に総合して表示するので、複数の収集装置を検出した場合に、この複数の収集装置における二つ以上の収集装置から送られる生体信号を表示することによって、患者に追加した収集装置の測定した生体信号も対応した表示が可能である。
【0021】
さらに、該当する表示領域に、患者の生体信号と該患者の生体信号を取得する収集装置に係る情報を表示することで、監視者は該患者の状態を容易に確認し、該患者に対する処置に迅速に備えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して本発明に係るモニタリングネットワークシステムの実施例を説明する。各図において、同一の構成要素には同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0023】
<第1の実施例>
第1の実施例に係るモニタリングネットワークシステムは、図1に示すように、ネットワーク11と、生体信号に基づき信号波形を表示部に表示するリモートビューワ装置12と、患者から生体信号を得る血圧センサ、心電センサなどの生体信号取得手段1−1〜1−i、2−1〜2−i、・・・、n−1〜n−i、18−1〜18−i、19−1〜19−iに接続されて生体信号の収集を行う複数の収集装置であるベッドサイドモニタ13−1〜13−n、送信機14、ベッドサイドモニタ15とを備えて構成されている。ここでベッドサイドモニタと示した装置は、血圧計、心電計のような一つのパラメータを測定する装置でもかまわない。
【0024】
リモートビューワ装置12は、ここではセントラルモニタ20であり、図2に示すように、CPU21を中心として構成され、LCDなどにより構成される表示部22と、キーボードやタッチパネルなどの入力部23と、ネットワーク11に接続されるインタフェース24を主な構成要素としている。
【0025】
また、本実施例では、患者固有の患者識別情報を入力するためのスキャンなどを行うスキャナ25が備えられてもよい。スキャナ25は、一般的に患者識別情報を入力する手段であり、カメラや画像読取装置或いは、患者が身に付けるICタグやID番号等が記された診察カードなどの情報を読み取るリーダとすることもできる。患者識別情報は、指紋や手などの血管のパターン、光彩、顔などの画像を用いることができる。
【0026】
キーボードやタッチパネルなどの入力部23からも患者識別情報が入力される。ここで入力される患者識別情報は、例えば患者の名前、ID番号、生年月日、入院時刻等である。更に、患者識別情報は、スキャナ25に代えて入力部23から手動入力しても良いし、各種のカードにより入力しても良い。また、ネットワーク11を介して与えるようにしても良い。また、患者識別情報を心電図波形などの生体信号とすることもでき、このような構成を採用する場合には、生体信号を入力することができる構成であれば良く、心電計を用いることもできる。
【0027】
DB26には、スキャナ25や入力部23、及びインタフェース24経由で入力された患者識別情報、患者を特定するための患者ID、及び患者IDと患者識別情報の対応を、図5に示すように保持する。患者IDは新規患者の患者識別情報が入力された際に生成されるものであり、患者IDは患者識別情報の中の一つそのものでも、患者識別情報を組み合わせたり、編集したり、変換したりしたものでも、CPU21やCPU41が重複しないように生成した任意のIDでも、患者IDを生成する機器や患者IDを記憶する部材より配信されたものでもよい。またCPU21は、DB26を用いて、入力された患者識別情報に基づいて保持している情報を検索し、患者IDを特定する機能を持つ。
【0028】
収集装置への患者ID入力には、収集装置側から直接入力しても良いし、リモートビューワ装置12から入力し、収集装置へ配信されても良い。
【0029】
CPU21には、保持手段31、検出手段32、受信処理手段33、表示制御手段34が備えられている。保持手段31は、患者の生体信号に基づく波形や計測値などの生体情報を表示する表示部22における表示領域と患者IDとの対応情報を保持するものであり、例えば、図3に示すように患者IDと、表示部22における画面上の位置情報とが記憶される。これにより、患者の生体信号に基づく波形を表示する領域の位置と大きさとが特定される(図4A)。この保持手段31の情報は、患者IDと表示領域の対応付け設定画面として、例えば図4Aに示されるような8領域の区分E1〜E8を表示部22に表示して、いずれかの区分E1〜E8についてタッチパネルを介して選択すると共に患者識別情報を入力部23から入力することにより保持手段31に患者IDを保持させることができる。
【0030】
なお、該表示領域の位置及び大きさは、ユーザからの指示入力を受けて変更できるように複数種類を用意して記憶しておき、ユーザからの指示入力を受けたCPU21からの命令に応じて例えば図4Bのように表示を変更してもよい。図4Bの例では、表示領域を上下二段に分けて、上段を更に二段に分け区分E1〜E4を上に表示し、区分E5〜E8を下に表示し、全体の半分を占める区分E9に対しては、区分E1〜E8中のユーザにより指定された区分に表示されている患者の長時間波形データ/トレンドデータや設定画面を表示する。
【0031】
検出手段32は、各ベッドサイドモニタ13−1〜13−n、送信機14、ベッドサイドモニタ15から出力される患者IDに基づき、上記保持手段31に保持されている患者IDと同一の患者IDを保持する収集装置を検出するものである。
【0032】
受信処理手段33は、検出手段32により検出された収集装置である各ベッドサイドモニタ13−1〜13−n、送信機14、ベッドサイドモニタ15から生体信号や患者識別情報の送信を受信する。表示制御手段34はこの受信した信号に基づく生体信号及び/あるいは患者識別情報を上記保持手段31に保持された情報に基づき表示部22の該当する表示領域に表示する。また、この受信した患者識別情報はDB26を用いたCPU21によって患者IDの特定に用いられることもある。特定された患者IDは送信元のベッドサイドモニタなどにインタフェース24を介して送信され、ベッドサイドモニタなどが患者を特定するために用いられる。
【0033】
図1に示されているベッドサイドモニタ13−1〜13−nは、例えば一般病棟の病室に設けられたベッドサイドモニタであり、送信機14は例えば患者を別の場所へ搬送する場合などに用いるものであり、ベッドサイドモニタ15は例えば手術室、検査室などに設けられるものである。ベッドサイドモニタ13−1〜13−n、ベッドサイドモニタ15は、図6に示されるように構成されている。即ち、CPU41を中心として構成され、LCDなどにより構成される表示部42と、ネットワーク11に接続されるインタフェース43、血圧センサ、心電センサなどの生体信号取得手段1−1〜1−i、2−1〜2−i、・・・、n−1〜n−i、19−1〜19−iから生体信号を取り込むI/O部44を主な構成要素としている。
【0034】
ベッドサイドモニタ13−1〜13−n、ベッドサイドモニタ15は患者識別情報を入力するために、タッチパネルなどの入力部を有する構成としてもよい。更に、患者識別情報を取り込むためのスキャンなどを行うスキャナ45が備えられても良い。スキャナ45は、患者識別情報を入力する手段であり、図2において説明したスキャナ25に相当する。
【0035】
CPU41には、患者ID保持手段51、送信処理手段52、報知手段53、受信処理手段54が備えられている。患者ID保持手段51には、患者IDが保持されている。
【0036】
送信処理手段52は、生体信号取得手段1−1〜1−i、2−1〜2−i、・・・、n−1〜n−i、19−1〜19−iにより得られる生体信号について、上記ネットワーク11を伝送する信号に変換して上記ネットワーク11へ送信するものである。また送信処理手段52は、入力部46、スキャナ45、あるいは生体信号取得手段から入力された患者識別情報を上記ネットワーク11を介してリモートビューワ装置12へ送信する。なお、CPU41は、生体信号取得手段1−1〜1−i、2−1〜2−i、・・・、n−1〜n−i、19−1〜19−iにより得られる生体信号に基づき生体情報を表示部42に表示する機能も備えている。
【0037】
受信処理手段54は、送信処理手段52が送信した患者識別情報にてリモートビューワ装置12のDB26を検索して得られる患者IDを受信する。受信した患者IDは患者ID保持手段51に保持される。
【0038】
報知手段53は、少なくとも生体信号取得手段1−1〜1−i、2−1〜2−i、・・・、n−1〜n−i、19−1〜19−iによる生体信号取得不能状態を含む所定状態を検出して報知するものである。生体信号取得不能状態を含む所定状態は、ここでは、電極外れ、プローブオフ、コネクタ抜け、一時離床などの状態である。また、電源オンについては生体信号取得不能状態ではないが、所定状態に含まれ、報知がなされる。また、後に説明する収集装置切替時表示機能(モニタ切替時表示機能)による処理が行われるような場合、つまり、同一の患者識別情報に対応する一人の患者から生体信号を得ている第二番目の収集装置の存在が検出された場合も所定状態に含まれる。更に、電源オフに関しては、報知することはないが、セントラルモニタ20において生体信号取得不能となり、報知された場合と同様に処理がなされる。
【0039】
図1に示されている送信機14は、無線でネットワーク11に接続している収集装置であり、ベッドサイドモニタ13−1〜13−n、15と異なり表示部42を備えていない場合もある。
【0040】
以上のように構成されたモニタリングネットワークシステムにおいては、セントラルモニタ20において、複数患者のマルチモニタ表示を行う指示が与えられた場合に、図7に示されるフローチャートに対応するプログラムを各表示領域ごとに用いてCPU21が動作を行い、図2の各手段を実現するので、この図7に基づき動作を説明する。複数患者のマルチモニタ表示を行う指示が与えられる前に、図3、図4を用いて説明した通り、患者IDと、表示部22における画面上の位置情報とが対応付けられて保持手段31に記憶する処理が行われている。また、入力部やスキャナ45による患者IDの取り込みが、患者から生体信号の収集を行うベッドサイドモニタ13−1〜13−n、送信機14、ベッドサイドモニタ15において行われている。
【0041】
モニタ表示を行う指示が与えられると、セントラルモニタ20は表示領域ごとに(ここでは、8表示領域)、ベッドサイドモニタ13−1〜13−n、送信機14、ベッドサイドモニタ15の患者ID保持手段51に保持されている患者IDが一致する収集装置を検出し、検出した収集装置の送信する生体信号の受信を開始する(S11)。
【0042】
ステップS11に続いて、特定された収集装置(ベッドサイドモニタ13−1〜13−n、送信機14、ベッドサイドモニタ15)の送信処理手段52が生体信号に対してネットワーク11を伝送する信号に変換した信号の送信を受けて、この信号に基づく生体信号及び/あるいは患者識別情報を作成し、保持手段31に保持された情報に基づき該当する表示部22の表示領域に表示する(S12)。この場合に、当該波形に対応する生体信号を得ている収集装置を特定する識別情報であるモニタ名称、モニタの設置場所(病室番号やベッド番号)、管理部門などの収集装置を特定する識別情報や、保持手段31、DB26に保持された患者名などを表示する波形に対応付けて表示する。
【0043】
次に生体信号取得不能状態を含む所定状態の報知がなされたかを検出する(S13)。報知の検出がなされない場合は、ステップS12に戻って生体情報の表示処理を継続する。報知がなされた場合には、所定状態の変化に従って必要のない収集装置からの生体信号の受信を停止し、必要な収集装置を検出し、検出された収集装置から生体信号の受信を新たに開始する(S14)。続いてステップS12へ戻って処理を続ける。
【0044】
以上のようにして表示部22に表示された波形表示の例を図8に示す。表示部22における8領域の区分E1〜E8には夫々登録された患者に対応する生体信号に基づく波形が表示され、一つの患者識別情報として患者名(区分E1では光電太郎)とモニタ識別情報(ICU0001)が付記表示されている。ここで、この患者名(光電太郎)がモニタ識別情報(ICU0001)の収集装置からモニタ識別情報(ICU0011)の収集装置へ移動して測定がなされた場合にも、同じ区分E1に患者名(光電太郎)に対応する生体信号に基づく波形が表示される。この場合には収集装置が交代しているため、区分E1には患者名(光電太郎)と新たなモニタ名称(たとえば、ICU0011)が付記表示される。
【0045】
上記の図7に示すフローチャートに対応する処理の進行過程において、CPU21は収集装置から受信した生体信号を例えばDB26などの記憶手段に保存しており、CPU21とDB26などの記憶手段は、収集装置から受信した生体信号を保存する生体信号保存手段として機能している。そこで、図8のような表示が行われているときに、ユーザから図4Bのように表示を変更させる指示入力を受けると、CPU21は、表示領域の位置及び大きさの情報と及び各区分に対応付けられた患者IDを予め設定された情報から検出し、更にユーザが区分E1〜E8のいずれを指定したかに基づき、区分E9に表示させる患者IDの生体信号を検出する。CPU21は、区分E1〜E8には予め設定された患者IDに対応する生体信号に基づく波形を表示する。また、CPU21は、区分E9に表示させる患者IDの生体信号(生体信号保存手段により保持)を時系列に結合する生体信号結合手段として動作する。
【0046】
更に、CPU21は、上記結合された生体信号を、上記ユーザによる指定に基づき該当する表示領域(ここでは、E9)に表示する再生表示手段として機能する。このようにして、区分9には例えば区分E2に表示されている患者の長時間波形データ/トレンドデータや設定画面を表示することができる。なお、ここで説明したCPU21の機能は、後に説明するリモートビューワ端末70−1、70−2のCPU71においても実現されるように構成される。ここでは、区分E1〜E8のいずれをユーザが指定したかに基づき、区分E9に表示させる患者IDの生体信号を検出するようにしたが、区分E1〜E8のいずれか一つをあらかじめ設定しておき、この設定に基づき、区分E9に表示させる患者IDの生体信号を検出するようにしても良い。もちろん、CPU21に図4Bのように表示を変更させる指示がない場合、再生表示手段は当初より設定されている領域(この例におけるE2)に表示してもよい。
【0047】
<収集装置切替時表示機能(モニタ切替時表示機能)>
セントラルモニタ20のCPU21における受信処理手段33は、検出手段32が同一の患者IDに対応する生体信号を得ている複数の収集装置を検出した場合に対応して、この複数の収集装置における一つの収、集装置の送信処理手段52から送信される生体信号を受け、表示制御手段34は表示部22のその患者IDに対応付けられた表示領域に受信した信号から生成される生体情報を表示する機能(以下、単一表示機能)を有している。CPU21における受信処理手段33は、また、検出手段32が同一の患者IDに対応する生体信号を得ている複数の収集装置を検出した場合に、この複数の収集装置における二つ以上の収集装置の送信処理手段52から送信される生体信号を受け、表示制御手段34は表示部22のその患者IDに対応付けられた表示領域に総合して受信した信号から生成される生体情報を表示する機能(以下、複数表示機能)を有している。これら単一表示機能と複数表示機能を合わせて、収集装置切替時表示機能(モニタ切替時表示機能)と称する。
【0048】
この機能は、例えば患者を病院内で搬送するために、当初から当該患者の生体信号を収集しているベッドサイドモニタなどの収集装置Aと、搬送の際さらには搬送先においても当該患者の生体信号を収集するための送信機などの収集装置Bとを用い、シームレスな監視を行うために用いられる。つまり、移動元の収集装置Aにおける収集が可能であるうちに、移動先の収集装置Bによる収集を可能とすべく、収集装置Bに接続された血圧計、心電計の電極などのセンサ部分である生体信号取得手段を当該患者に同時にセットしたような場合に用いられる。
【0049】
単一表示機能の場合には、上記の例では収集装置A、Bのいずれか一方のみが収集した生体信号に対応する生体情報が表示されることになるが、いずれは収集装置Aに接続された血圧センサ、心電センサなどの生体信号取得手段が患者から取り外されることになる。この場合に、どのタイミングで収集装置Bが収集した生体信号に対応する波形を表示するかについては、監視上重要な生体信号(重要パラメータ)を例えば患者毎に対応させて予め設定して記憶しておき、先に血圧センサ、心電センサなどの生体信号取得手段が患者にセットされた側の収集装置(ここでは、収集装置A)から上記記憶されている重要パラメータが得られなくなったタイミングで表示の切り替えを行うことができる。勿論、後に血圧センサ、心電センサなどの生体信号取得手段が患者にセットされた側の収集装置(ここでは、収集装置B)から上記記憶されている重要パラメータが得られるようになったタイミングで表示の切り替えを行うようにしても良い。さらに、既に選択中の収集装置Aの生体信号に重要パラメータがなくなり、尚且つ他の収集装置Bの生体信号に重要パラメータが計測されるようになったタイミングで表示の切り替えを行うようにしても良い。
【0050】
図9に単一表示機能による処理のフローチャートを示し、このフローチャートにより単一表示機能による動作を説明する。開始直後でなく、既に収集装置(ベッドサイドモニタ13−1〜13−n、送信機14、ベッドサイドモニタ15)が選択されている場合は、その収集装置からの生体信号に対応する生体情報の表示を行い(S21)、検出手段32による検出結果により同一の患者IDに対応する複数の収集装置の生体信号を分析して(S22)、対象の患者に対応する生体信号に関して計測開始・終了のような変更があるかを判定する(S23)。
【0051】
ステップS23において生体信号に関する変更がなければステップS21へ戻って処理行い、ステップS23において生体信号に関する変更を確認すると、ステップS21において選択されている収集装置からの生体信号に予め設定されている重要パラメータが含まれているかを分析する(S24)。
【0052】
ステップS24において重要パラメータが含まれていると確認されると、ステップS21へ戻って処理を行い、ステップS24において重要パラメータが含まれていないと確認されると、選択されていない他の収集装置の生体信号の中に、重要パラメータがあるかを分析する(S25)。
【0053】
ステップS25において選択されていない他の収集装置の生体信号の中に重要パラメータが確認されると、その装置を新たに選択した収集装置とし(S26)、ステップS21へ戻って処理行う。ステップS25において選択されていない他の収集装置の生体信号の中に重要パラメータが確認できない場合には、ステップS21に戻って処理を行う。このような処理によって、既に選択中の収集装置の生体信号に重要パラメータがなくなり、尚且つ他の収集装置の生体信号に重要パラメータが計測されるようになった場合において、その重要パラメータを測定している収集装置が新たに選択され、その生体信号からの生体情報が表示されるようになる。これにより収集装置を交換・交替するような場合においても所望の患者に関する生体信号に対応する生体情報のシームレスな監視を、表示生体情報の切り替え回数を最小限にして可能とする。
【0054】
図10に複数表示機能による処理のフローチャートを示し、このフローチャートにより複数表示機能による動作を説明する。現在得られている複数収集装置からの生体信号に対応する生体情報の表示を行い(S31)、検出手段32による検出結果により同一の患者IDに対応する生体信号を送信している複数の収集装置の存在を分析して(S32)、それらの生体信号を総合し、生体情報の表示形式を決定する(S33)。その後ステップS31に戻り、決定した表示形式に従って再び表示を行う。
【0055】
上記ステップS33において、「生体信号を総合し、生体情報の表示形式を決定する」とは、到来する生体信号の種類、到来する生体信号を送信している収集装置の数に応じて、表示形式を決定することである。具体的は、到来する生体信号を送信している収集装置の数が二つであれば表示画面を二つに分割して表示を行い、到来する生体信号を送信している収集装置の数が三つであれば表示画面を三つに分割し表示を行い、一般的に、到来する生体信号を送信している収集装置の数がNであれば表示画面をNに分割して表示を行う。
【0056】
その場合に、それまでに表示していた収集装置(先発収集装置)からの情報は、基本的に大きな領域であって通常注目される側(例えば、左右二分割の場合には左側、上下二分割の場合には上側)に表示する。このように表示形式の決定アルゴリズムが設定されている場合に、二分割表示された表示例を図11A、図11B、図11Cに示す。図11Aは、上下二分割であって、上段領域U−E0が下段領域D−E0より大きく且つ先発収集装置からの情報が上段領域U−E0に表示され、後発収集装置からの情報が下段領域D−E0に表示されるようにしたものを示している。図11Bは、左右等しい二分割であって左側領域L−E0に先発収集装置からの情報が表示されるようにし、右側領域R−E0に後発収集装置からの情報が表示されるようにしたものを示している。図11Cは、ほぼ全面の領域A−E0を先発収集装置からの情報表示される領域とし、僅かな領域S−E0に後発収集装置からの情報が表示されるようしたものである。
【0057】
更に、表示形式を決定するアルゴリズムとしては、パラメータに優先順位をつけておき、優先順位の高いパラメータの生体情報を、基本的に大きな領域であって通常注目される側(例えば、左右二分割の場合には左側、上下二分割の場合には上側)に表示するものがある。図11Dは、三つのパラメータに対応する表示例を示し、領域E11、E12、E13にそれぞれ所定のパラメータの生体情報を表示したものである。この場合には、領域E11、E13に先発収集装置からの情報が表示され、領域E12に後発収集装置からの情報が表示されるようになることもあり得る。なお、表示している収集装置の患者IDが変更された場合や計測状態から非計測状態に収集装置が移行した場合には、当該収集装置対応の表示を中止し、ステップS33においてその時点で到来している生体情報の表示形式を決定する。
【0058】
以上のように表示がなされるので、収集装置を交換・交替するような場合においても所望の患者に関する生体信号に対応する生体情報のシームレスな監視を行うことが可能であり、また収集装置の一時的な追加がなされた際にも漏れなく生体情報を監視することが可能である。
【0059】
図12A、図12Bには、上記の単一表示機能と複数表示機能による表示態様の変化の一例が示されている。図12A、図12Bにおいては、先発で生体信号の収集を行っていた収集装置Aの表示画面、後発で生体信号の収集を行う収集装置Bの表示画面、単一表示機能に設定されたセントラルモニタ20の一表示領域、複数表示機能に設定されたセントラルモニタ20の一表示領域と並べられている。生体情報は波形として表示されている。重要パラメータとしては、ECG(Electrocardiogram)波形が設定されている。また複数表示機能のステップS33における表示形式を、表示領域を区分し、先行して測定している収集装置から順に収集装置ごとに表示することとしている。
【0060】
そして、初期状態であるステップ1では、収集装置Aの表示画面の画像と、単一表示機能に設定されたセントラルモニタ20の表示領域の画像、複数表示機能に設定されたセントラルモニタ20の表示領域の画像が一致し、収集装置Bの表示画面には表示がなされていない。ステップ2は、収集装置Bにおいて、スキャナ45などから患者IDが取り込まれたが、生体信号の取り込みが始まらない状態を示す。ステップ2においては、初期状態と同じ画面表示が行われている。
【0061】
ステップ3は、収集装置A、Bにおいて、生体信号の取り込みが開始された状態を示す。ステップ3では、複数表示機能に設定されたセントラルモニタ20の表示画面において、所定の表示領域を区分して、収集装置A、Bにおいて収集した生体信号に対応する波形が表示されるが、重要パラメータであるECG波形の生体信号が収集装置Aから継続して得られているために、単一表示機能に設定されたセントラルモニタ20の表示画面においては、収集装置Aの表示画面の画像と同じ画像が表示される。
【0062】
ステップ4は、収集装置Bにおいて、重要パラメータであるECG波形の生体信号の取り込みが開始された状態を示す。ステップ4においては、先発の収集装置Aから重要パラメータであるECG波形の生体信号の取り込みが継続しているので、単一表示機能に設定されたセントラルモニタ20の表示画面においては、収集装置Aの表示画面の画像と同じ画像が表示される。複数表示機能に設定されたセントラルモニタ20の表示画面においては、所定の表示領域を区分して、収集装置A、Bにおいて収集した生体信号に対応する波形が表示される。
【0063】
ステップ5は、先発の収集装置Aから重要パラメータであるECG波形の生体信号の取り込みが停止した状態を示す。ステップ5においては、単一表示機能に設定されたセントラルモニタ20の表示画面においては、後発の収集装置Bの表示画面の画像と同じ画像が表示される。複数表示機能に設定されたセントラルモニタ20の表示画面においては、所定の表示領域を区分して、収集装置A、Bにおいて収集した生体信号に対応する波形が表示される。
【0064】
ステップ6は、先発の収集装置Aから重要パラメータであるECG波形を含めて全ての生体信号の取り込みが停止した状態を示す。ステップ6においては、単一表示機能に設定されたセントラルモニタ20の表示画面においては、後発の収集装置Bの表示画面の画像と同じ画像が表示される。複数表示機能に設定されたセントラルモニタ20の表示画面においては、先発の収集装置Aから生体信号の到来が停止したために、所定の表示領域を区分する処理を止めてその表示領域に収集装置Bにおいて収集した生体信号に対応する波形が表示される。
【0065】
<第2の実施例>
図13には、リモートビューワ装置12Aをサーバ60とリモートビューワ端末70−1、70−2により構成した第2の実施例に係るモニタリングネットワークシステムが示されている。リモートビューワ端末の台数は一例に過ぎない。リモートビューワ装置12A以外の構成は第1の実施例のものと変わらない。
【0066】
リモートビューワ端末70−1、70−2は、図14に示すように、CPU71を中心として構成され、LCDなどにより構成される表示部72と、キーボードやマウスなどの入力部73と、ネットワーク11に接続されるインタフェース74を主な構成要素としている。CPU71には、保持手段31、表示制御手段34が備えられている。保持手段31、表示制御手段34は、既に説明した通りである。表示部72は、図4に示されるように表示領域が区分されても良いし、区分されずに一つの表示領域であっても良い。
【0067】
図15に示すように、サーバ60は、CPU61を中心として構成され、ネットワーク11に接続されるインタフェース62、図5に示したものと同じデータベースDBを主な構成要素としている。CPU61は、図1のCPU21が備えているものと同じ検出手段32を備えている。CPU61には、検出手段32により得られた患者IDに対応する生体信号を得ている収集装置の識別情報を、患者IDに対応付けて記憶した図16に示すような内容を有するテーブルTBが備えられている。テーブルTBは、検出手段32により更新される。
【0068】
更に、CPU61には、生体信号配信手段66が備えられ、各ベッドサイドモニタ13−1〜13−n、送信機14、ベッドサイドモニタ15から生体信号を収集して、リモートビューワ端末70−1、70−2からの要求に応じて所望の生体信号を送信する。また、サーバ60がリモートビューワ端末70−1、70−2に所望の収集装置の識別情報を送信し、リモートビューワ端末70−1、70−2が受信した識別情報に対応する収集装置から生体信号を受信してもよい。DB63は、DB26と同様に、患者識別情報、患者を特定するための患者ID、及び患者IDと患者識別情報の対応を、図5に示すように保持する。またCPU61は、DB63を用いて、入力された患者識別情報に基づいて保持している情報を検索し、患者IDを特定する手段としての機能を持つ。
【0069】
以上の通りに構成されたモニタリングネットワークシステムにおいては、リモートビューワ装置12Aにおいて、サーバ60が起動されると、ベッドサイドモニタ13−1〜13−n、送信機14、ベッドサイドモニタ15の患者ID保持手段51に保持されている患者IDを収集する。
【0070】
得られた患者IDと、その患者IDが取得できた収集装置の識別情報を対応付けてテーブルTBに記憶する。また血圧センサ、心電センサなどの生体信号取得手段1−1〜1−i、2−1〜2−i、・・・、n−1〜n−i、19−1〜19−iから、生体信号取得不能状態を含む所定状態の報知がなされた場合は、同様の報知を生体信号の送信対象であるリモートビューワ装置12Aに対して送信する。
【0071】
上記に対し、リモートビューワ端末70−1、70−2は、複数患者のマルチモニタ表示を行う指示が与えられた場合に、図17または図19に示されるフローチャート4に対応するプログラムを用いてCPU71が動作を行い、図14の各手段を実現し、これに対応してサーバ60のCPU61は図18または図20のフローチャートに対応するプログラムを用いて動作を行うので、これらの図に基づき動作を説明する。ここで、図17、図18は生体信号がサーバ60を介して送信される場合の動作である。図19、図20は生体信号がサーバ60を介さずに送信される場合の動作である。まず、図17、図18を参照して、生体信号がサーバ60を介して送信される場合の動作を説明する。CPU71は、保持手段31に保持されている全ての患者IDをサーバ60に送り、この患者IDに対応する患者の生体信号の送信要求を収集装置に送る(S71A)。
【0072】
CPU71からの要求に対し、サーバ60のCPU61は、図18のフローチャートに示すように、生体信号の送信要求の到来を監視しており(S81A)、当該要求の到来に応じてテーブルTBをサーチして該当する全ての収集装置の識別情報を検出する(S82A)。更に、サーバ60のCPU61は、上記ステップS82Aにおいて検出した収集装置の識別情報に対応する全ての収集装置により送信された生体信号をネットワーク11の伝送用に変換してリモートビューワ端末(70−1、70−2)へ配信する(S83A)。
【0073】
リモートビューワ端末(70−1、70−2)のCPU71は、配信された生体信号を受け取り、保持手段31に保持されている患者IDに対応付けされている表示領域情報に基づき、該当表示領域に配置して生体信号の表示を行い(S72A)、他の処理要求が入力されたかを検出し(S73A)、他の処理要求が入力された場合には該当処理へ進み、他の処理要求が入力されなければステップS72Aの処理を続ける。
【0074】
サーバ60のCPU61は、ステップS83Aに続いてテーブルTBを検索し、リモートビューワ端末(70−1、70−2)のCPU71から送られた全ての患者IDに対応する収集装置の識別情報に変更がなされたかを監視し(S84A)、変更ありを検出した場合には、患者IDに対応する変更前の収集装置により送信された生体信号に代えて変更後の収集装置により送信された生体信号を配信する(S85A)。ステップS84Aにおいて、変更が検出された以外の患者識別情報に対応する収集装置については、変わらずに該当する収集装置により送信された生体信号を配信する。
【0075】
次に、図19、図20を参照して、生体信号がサーバ60を介さずに送信される場合の動作を説明する。CPU71は、保持手段31に保持されている全ての患者識別情報をサーバ60に送り、この患者IDに対応付けられた識別情報を有する収集装置による生体信号の配信要求を送る(S71B)。
【0076】
CPU71からの要求に対し、サーバ60のCPU61は、図20のフローチャートに示すように、収集装置の識別情報を要求する情報の到来を監視しており(S81B)、当該要求の到来に応じてテーブルTBをサーチして該当する全ての収集装置の識別情報を検出する(S82B)。更に、サーバ60のCPU61は、上記ステップS82Bにおいて検出した収集装置の識別情報をネットワーク11の伝送用に変換してリモートビューワ端末(70−1、70−2)へ配信する(S83B)。
【0077】
CPU71は、配信された収集装置の識別情報を基に、その収集装置から生体信号を受け取る処理を行うと共に、保持手段31に保持されている患者IDに対応付けされている表示領域に表示を行い(S72B)、他の処理要求が入力されたかを検出し(S73B)、他の処理要求が入力された場合には該当処理へ進み、他の処理要求が入力されなければステップS72Bの処理を続ける。
【0078】
サーバ60のCPU61は、ステップS83Bに続いてテーブルTBを検索し、リモートビューワ端末(70−1、70−2)のCPU71から送られた全ての患者IDに対応する収集装置の識別情報に変更がなされたかを監視し(S84B)、変更ありを検出した場合には、患者IDに対応する変更前の収集装置に対応付けられた患者識別情報に代えて変更後の収集装置に対応付けられた患者識別情報を配信する(S85B)。また、ステップS84Bにおいて、変更が検出された以外の場合については、変更後の収集装置に対応付けられた患者識別情報が配信されることはなく、変わらずに既送信の収集装置に対応付けられた患者識別情報が維持される。
【0079】
上記表示部72へ表示する場合に、各波形に対応する生体信号を得ている収集装置を特定する識別情報であるモニタ名称、モニタの設置場所(病室番号やベッド番号)、管理部門などの収集装置を特定する識別情報や、保持手段31に保持された患者名などを表示する波形に対応付けて表示する。各波形に対応する生体信号を得ている収集装置を特定する識別情報は、サーバ60のCPU61から生体信号と共に送られてくるので、これを用いる。以上のようにして表示部72に表示された波形表示の例は図8に示す如くなる。ここで、この患者名(光電太郎)がモニタ名称(ICU0001)の収集装置からモニタ名称(ICU0011)の収集装置へ移動して測定がなされた場合にも、区分E1に患者名(光電太郎)に対応する生体信号に基づく波形が表示される。この場合には収集装置が交代しているため、区分E1では患者名(光電太郎)と新たなモニタ名称(たとえば、ICU0011)が付記表示される。
【0080】
<収集装置切替時表示機能(モニタ切替時表示機能)>
第1の実施例において説明した収集装置切替時表示機能は、リモートビューワ装置12Aにおいても備えられている。
【0081】
図21に単一表示機能による処理のフローチャートを示し、このフローチャートにより単一表示機能による動作を説明する。現在得られている収集装置からの生体信号に対応する波形表示を行い(S91)、同一の患者IDに対応する複数の収集装置により得られた複数の生体信号が配信されているのかを分析して(S92)、複数配信されているかを判定する(S93)。複数配信されていなければステップS91へ戻って処理行い、複数配信されている場合には、先発の収集装置からの生体信号に予め設定されている重要パラメータが含まれている状態が継続しているかを分析し(S94)、重要パラメータが含まれているかを検出する(S95)。
【0082】
ステップS95において重要パラメータの到来継続が確認されると、ステップS91へ戻って処理行い、ステップS95において重要パラメータの到来継続が確認できなくなった場合には、後発の収集装置からの生体信号に対応する波形表示を行い(S96)、ステップS92へ戻って処理を行う。このように表示がなされるので、収集装置を交換・交替するような場合においても所望の患者に関する生体信号に対応する波形のシームレスな監視を行うことが可能である。
【0083】
図22に複数表示機能による処理のフローチャートを示し、このフローチャートにより複数表示機能による動作を説明する。現在得られている収集装置からの生体信号に対応する波形表示を行い(S101)、複数の収集装置により収集された生体信号の到来を分析して(S102)、複数の収集装置から同一患者の生態信号の到来を判定する(S103)。ステップS103において生体信号の到来が確認されなければ、ステップS101へ戻って処理行い、ステップS103において複数の収集装置から生体信号の到来を確認した場合には、先発及び後発の収集装置からの生体信号(到来している限りの台数の収集装置から送られる生体信号)に対応する波形表示について表示部22の一画面を区分して表示し(S104)、ステップS102へ戻って処理を行う。
【0084】
第2の実施例においても、上記のように表示がなされるので、収集装置を交換・交替するような場合においては、複数の収集装置の送信処理手段52から生体信号を変換したネットワーク11を伝送する信号の送信を受け、表示部22の所定の表示領域を区分して表示され、所望の患者に関する生体信号に対応する波形のシームレスな監視を行うことが可能である。第2の実施例においても第1の実施例と同様に、収集装置切替時表示機能(モニタ切替時表示機能)によって図12に示されるように表示が遷移させられる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の第1の実施例に係るモニタリングネットワークシステムのブロック図。
【図2】本発明の第1の実施例に係るモニタリングネットワークシステムを構成するセントラルモニタのブロック図。
【図3】本発明の第1の実施例に係るモニタリングネットワークシステムを構成するセントラルモニタの保持手段に保持される情報の一例を示す図。
【図4A】本発明に係るモニタリングネットワークシステムにおいて、表示領域対応に患者IDを設定する場合の表示部の画面の一例を示す図。
【図4B】本発明に係るモニタリングネットワークシステムにおいて、表示領域対応に患者IDを設定する場合の表示部の画面の別の一例を示す図。
【図5】本発明の第1の実施例に係るモニタリングネットワークシステムを構成するセントラルモニタのデータベースに記憶される情報の一例を示す図。
【図6】本発明の第1の実施例に係るモニタリングネットワークシステムを構成するベッドサイドモニタのブロック図。
【図7】本発明の第1の実施例に係るモニタリングネットワークシステムを構成するセントラルモニタの動作を説明するためのフローチャート。
【図8】本発明の第1の実施例に係るモニタリングネットワークシステムを構成するセントラルモニタにおいて表示される生体信号に対応する波形表示の一例を示す図面代用写真。
【図9】本発明の第1の実施例に係るモニタリングネットワークシステムを構成するセントラルモニタの収集装置切替時表示機能による動作を説明するためのフローチャート。
【図10】本発明の第1の実施例に係るモニタリングネットワークシステムを構成するセントラルモニタの収集装置切替時表示機能による動作を説明するためのフローチャート。
【図11A】図10のフローチャートによる処理によって一画面に複数収集装置から送られる生体信号対応の情報を表示する場合の、表示例を示す図面代用写真。
【図11B】図10のフローチャートによる処理によって一画面に複数収集装置から送られる生体信号対応の情報を表示する場合の、表示例を示す図面代用写真。
【図11C】図10のフローチャートによる処理によって一画面に複数収集装置から送られる生体信号対応の情報を表示する場合の、表示例を示す図面代用写真。
【図11D】図10のフローチャートによる処理によって一画面に複数収集装置から送られる生体信号対応の情報を表示する場合の、表示例を示す図面代用写真。
【図12A】本発明の第1の実施例に係るモニタリングネットワークシステムを構成するセントラルモニタの収集装置切替時表示機能による動作が行われた場合の各モニタにおける表示の経時変化例の前半を示す図。
【図12B】本発明の第1の実施例に係るモニタリングネットワークシステムを構成するセントラルモニタの収集装置切替時表示機能による動作が行われた場合の各モニタにおける表示の経時変化例の前半を示す図。
【図13】本発明の第1の実施例に係るモニタリングネットワークシステムのブロック図。
【図14】本発明の第2の実施例に係るモニタリングネットワークシステムを構成するリモートビューワ端末のブロック図。
【図15】本発明の第2の実施例に係るモニタリングネットワークシステムを構成するサーバのブロック図。
【図16】本発明の第2の実施例に係るモニタリングネットワークシステムを構成するサーバに備えられるテーブルに記憶される情報の一例を示す図。
【図17】本発明の第2の実施例に係るモニタリングネットワークシステムを構成するリモートビューワ端末の動作を説明するためのフローチャートであって、生体信号がサーバを介して送信される場合の処理を示すフローチャート。
【図18】本発明の第2の実施例に係るモニタリングネットワークシステムを構成するサーバの動作を説明するためのフローチャートであって、生体信号がサーバを介して送信される場合の処理を示すフローチャート。
【図19】本発明の第2の実施例に係るモニタリングネットワークシステムを構成するリモートビューワ端末の動作を説明するためのフローチャートであって、生体信号がサーバを介さずに送信される場合の処理を示すフローチャート。
【図20】本発明の第2の実施例に係るモニタリングネットワークシステムを構成するサーバの動作を説明するためのフローチャートであって、生体信号がサーバを介さずに送信される場合の処理を示すフローチャート。
【図21】本発明の第2の実施例に係るモニタリングネットワークシステムを構成するサーバの収集装置切替時表示機能による動作を説明するためのフローチャート。
【図22】本発明の第2の実施例に係るモニタリングネットワークシステムを構成するサーバの収集装置切替時表示機能による動作を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
【0086】
1−1〜1−i、2−1〜2−i、・・・、n−1〜n−i 生体信号取得手段
11 ネットワーク
12、12A リモートビューワ装置
13−1〜13−n、15 ベッドサイドモニタ
14 送信機
18−1〜18−i、19−1〜19−i 生体信号取得手段
20 セントラルモニタ
22 表示部
23 入力部
24 インタフェース
25 スキャナ
31 保持手段
32 検出手段
33 表示制御手段
42 表示部
43 インタフェース
44 I/O部
45 スキャナ
51 患者ID保持手段
52 送信処理手段
53 報知手段
60 サーバ
62 インタフェース
66 生体信号配信手段
70−1、70−2 リモートビューワ端末
72 表示部
73 入力部
74 インタフェース
DB データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者から生体信号を得る生体信号取得手段に接続されて生体信号の収集を行う複数の収集装置と、生体信号に基づき信号波形を表示部に表示するリモートビューワ装置と、前記複数の収集装置とリモートビューワ装置とを結ぶネットワークとを有するモニタリングネットワークシステムにおいて、
前記複数の収集装置には、
患者識別情報と対応付けがなされた患者IDを保持する患者ID保持手段と、
生体信号取得手段により得られる生体信号について、前記ネットワークへ送信する送信処理手段と
が備えられ、
前記リモートビューワ装置には、
表示部における所定の表示領域と患者IDとの対応づけた情報を保持する保持手段と、
前記保持手段に保持されている患者IDと同一の患者IDを保持する収集装置を検出する検出手段と、
この検出手段により検出された収集装置の送信処理手段から送信される生体信号及び/あるいは患者識別情報を受信する受信処理手段と
この受信した信号に基づく生体信号及び/あるいは患者識別情報を表示部に表示する場合に、前記保持手段に保持された情報に基づき該当する表示領域に表示する表示制御手段と、
が備えられていることを特徴とするモニタリングネットワークシステム。
【請求項2】
前記リモートビューワ装置には、
収集装置から受信した生体信号を保存する生体信号保存手段と、
同一の患者IDの生体信号を時系列に結合する生体信号結合手段と、
前記結合された生体信号を、前記保持手段に保持された情報に基づき該当する表示領域に表示する再生表示手段と、
が備えられていることを特徴とする請求項1に記載のモニタリングネットワークシステム。
【請求項3】
リモートビューワ装置は、コンピュータを備えるセントラルモニタにより構成されることを特徴とする請求項1または2に記載のモニタリングネットワークシステム。
【請求項4】
リモートビューワ装置は、少なくとも一つ以上のサーバとリモートビューワ端末により構成され、患者識別情報から患者IDを特定する手段及び、検出手段が前記サーバに備えられていることを特徴とする請求項1または2に記載のモニタリングネットワークシステム。
【請求項5】
前記複数の収集装置には、少なくとも生体信号取得手段による生体信号取得不能状態を含む所定状態を検出して報知する報知手段が備えられ、
前記リモートビューワ装置の前記検出手段は、前記報知手段からの報知を受けた場合に検出処理を開始することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のモニタリングネットワークシステム。
【請求項6】
前記表示制御手段は、同一の患者IDに対応する生体信号を複数の収集装置から得ている場合に、この複数の収集装置における一つの収集装置の送信処理手段から生体信号を変換した前記ネットワークを伝送する信号の送信を受け、表示部の一領域に表示することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のモニタリングネットワークシステム。
【請求項7】
前記表示制御手段は、同一の患者IDに対応する生体信号を複数の収集装置から得ている場合に、この複数の収集装置における二つ以上の収集装置の送信処理手段から生体信号を変換した前記ネットワークを伝送する信号の送信を受け、表示部の一領域に単数あるいは複数の収集装置による生体信号を総合して表示することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のモニタリングネットワークシステム。
【請求項8】
前記表示制御手段は、信号に基づく生体信号及び/あるいは患者識別情報を表示部に表示する場合に、当該生体信号及び/あるいは患者識別情報に対応する生体信号を得ている収集装置を特定する識別情報を少なくとも合わせて対応付けて表示することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のモニタリングネットワークシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図8】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【公開番号】特開2009−153645(P2009−153645A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−333567(P2007−333567)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(000230962)日本光電工業株式会社 (179)
【Fターム(参考)】