説明

モニタ検証システム、モニタ検証方法、モニタ検証プログラム

【課題】 モニタの性能を統一基準でランク付けする技術を提供する。
【解決手段】 所定色に対応する基準色情報を予め格納する基準色情報格納手段と、色差の程度によって区分けされたランクテーブルを予め格納するランクテーブル格納手段と、前記所定色の有彩色画像データに基づく色が表示されるモニタと、前記有彩色画像データに基づく色が表示された前記モニタを測色して表示色情報を取得する測色手段と、前記基準色情報と前記表示色情報との色差を算出する算出手段と、前記算出された色差に基づいて、前記ランクテーブルを参照し、前記モニタの色再現性をランク付けするランク付け手段と、を備えるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モニタの発色性能を検証するモニタ検証技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷写真原稿を入稿する前に、その印刷写真原稿のリバーサルフィルムをビューアを用いて確認することが行われていた。この確認に用いるビューアは、光源の白色ポイントの色温度が5000K(ケルビン)に統一されているので、色の見え方の統一性は確保されていた。
【0003】
一方、近年のデジタルカメラの普及により、リバーサルフィルムに代わりデジタルデータ(画像データ)での入稿が一般化してきた。デジタルデータによる印刷写真原稿の確認は、デジタルデータに基づく画像をモニタ等のモニタに表示して行われる。この場合、色の見え方は使用するモニタに依存するので、システム内のモニタの色管理をモニタの表示する有彩色を測定してカラー画像表示性能を評価することにより行い、モニタの表示する色について高い色再現性を実現することができるようにするものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2003−241732号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、モニタの色再現範囲は個々のモニタの方式や性能で異なるので、例えば、複数の拠点の各モニタに同じデジタルデータの画像を表示させて双方で画像の色についての評価を行う場合に、色再現範囲の違いにより表示色が異なることがある。そして、この表示色の違いによる問題が発生する場合がある。この問題を解決するため、モニタの色再現範囲を統一することが必要であるが、共通の指標がないため、モニタが標準に対してどのような性能を有するか確認することができなかった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、システム内のモニタのカラー画像表示性能を統一基準でランク付けする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、所定色に対応する基準色情報を予め格納する基準色情報格納手段と、色差の程度によって区分けされたランクテーブルを予め格納するランクテーブル格納手段と、前記所定色の有彩色画像データに基づく色が表示されるモニタと、前記有彩色画像データに基づく色が表示された前記モニタを測色して表示色情報を取得する測色手段と、前記基準色情報と前記表示色情報との色差を算出する算出手段と、前記算出された色差に基づいて、前記ランクテーブルを参照し、前記モニタの色再現性をランク付けするランク付け手段と、を備えること、を特徴とする。
【0008】
また、請求項5記載の発明は、ネットワークを介して接続される複数の端末とサーバを備え、前記端末は、所定色の有彩色画像データに基づく色が表示されるモニタと、前記有彩色画像データに基づく色が表示された前記モニタを測色して表示色情報を取得する測色手段と、を備え、前記サーバに前記表示色情報を送信し、前記サーバは、前記所定色に対応する基準色情報を予め格納する基準色情報格納手段と、色差の程度によって区分けされたランクテーブルを格納するランクテーブル格納手段と、前記端末毎の測色手段固有の測色特性を補正する補正情報を予め格納する補正情報格納手段と、前記補正情報により前記表示色情報を補正する補正手段と、前記基準色情報と前記補正手段により補正された表示色情報との色差を算出する算出手段と、前記算出された色差に基づいて、前記ランクテーブルを参照し、測色されたモニタをランク付けするランク付け手段と、を備えること、を特徴とする。
【0009】
また、請求項6記載の発明は、所定色に対応する基準色情報を予め格納しておき、色差の程度によって区分けされたランクテーブルを予め格納しておき、モニタに前記所定色の有彩色画像データに基づく色を表示させ、前記有彩色画像データに基づく色が表示された前記モニタを測色して表示色情報を取得し、前記基準色情報と前記表示色情報との色差を算出し、前記算出された色差に基づいて、前記ランクテーブルを参照し、前記モニタをランク付けすること、を特徴とする。
【0010】
また、請求項9記載の発明は、所定色に対応する基準色情報を予め格納しておき、モニタに前記所定色の有彩色画像データに基づく色を表示させ、前記有彩色画像データに基づく色が表示された前記モニタを測色して表示色情報を取得し、前記測色の特性を補正する補正情報を予め格納しておき、前記補正情報により前記表示色情報を補正し、前記基準色情報と補正された表示色情報との色差を算出し、色差の程度によって区分けされたランクテーブルを予め格納しておき、前記算出された色差に基づいて、前記ランクテーブルを参照し、前記モニタをランク付けすること、を特徴とする。
【0011】
また、請求項10記載の発明は、モニタを測色手段により測色することで当該モニタの表示色情報を得る端末とネットワークを介して接続されるとともに、所定色に対応する基準色情報を予め格納する基準色情報格納手段と、色差の程度によって区分けされたランクテーブルを格納するランクテーブル格納手段とを備えるサーバを、前記表示色情報と前記基準色情報との色差を算出する算出手段と、前記算出された色差に基づいて、前記ランクテーブルを参照し、前記モニタをランク付けするランク付け手段と、して機能させること、を特徴とする。
【0012】
また、前記基準色情報格納手段と前記算出手段と前記ランクテーブル格納手段と前記ランク付け手段とを有するサーバと、前記モニタと前記測色手段とを有する複数の端末と、を備え、前記複数の端末のうち、一の端末から前記表示色情報が前記サーバに送信されると、前記サーバより前記表示色情報を送信した端末へ前記ランク付けの結果を返すようにしてもよい(請求項2記載の発明に相当)。
【0013】
また、前記基準色情報は、前記有彩色画像データに基づく印刷物を測色して得られたものとすることができる(請求項3、7記載の発明に相当)。
【0014】
また、前記有彩色画像データは、
前記基準有彩色画像データに対して、当該基準有彩色画像データが有する色と前記印刷物が有する色とを一致させる色変換を施して生成されたものとすることができる(請求項4、8記載の発明に相当)。
【0015】
また、前記端末毎の前記測色手段固有の測色特性を補正する補正情報を予め格納する補正情報格納手段を更に備える前記サーバを、前記補正情報により前記表示色情報を補正する補正手段と、前記基準色情報と前記補正手段により補正された表示色情報との色差を算出する算出手段と、してさらに機能させるようにしてもよい(請求項11記載の発明に相当)。
【発明の効果】
【0016】
本発明のモニタ検証技術は、所定色に対応する基準色情報を予め格納しておき、モニタに前記所定色を有する有彩色画像データを表示させ、前記有彩色画像データが表示された前記モニタを測色して表示色情報を取得し、前記基準色情報と前記表示色情報との色差を算出し、前記基準色情報と比較対象の色情報との色差の程度によって区分けされたランクテーブルを予め格納しておき、前記算出された色差に基づいて、前記ランクテーブルを参照し、前記モニタをランク付けするようにした。従って、モニタのカラー画像表示性能を統一の基準でランク付けすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本実施形態に係るモニタ検証システムの好適な一実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。図1は、モニタ検証システムの構成図であり、図2は、モニタ検証システムが備える端末の構成図である。
【0018】
図1に示すように、本実施形態に係るモニタ検証システム100は、サーバ1と複数の端末2とをネットワークNを介して接続する構成を有する。図2に示すように、端末2は、コンピュータ21とモニタ22と測色計23と入力装置25とから構成されている。
【0019】
このモニタ検証システム100では、端末2が備えるモニタ22を測色計23で測色し、測色により得られた表示色情報をサーバ1にネットワークNを介して送信する。表示色情報が送信されたサーバ1は、予め保持している基準色情報と、送信された表示色情報との色差を算出して、その色差に基づきモニタ22のカラー画像表示性能をランク付けする。
【0020】
表示色情報及び基準色情報は、例えば、XYZ表色系である。XYZ表色系は、デバイスに依存しない色空間で、CIE(Commission International del´Eclairage:国際照明委員会)で定められたx−bar,y−bar,z−barの分光特性で光量を積算して求められたものである。デバイスに依存しない色空間であればよく、その他、L*a*b*表色系等であってよい。
【0021】
基準色情報は、予め定義されたN個のXYZ表色系の数値であり、モニタ22のカラー画像表示性能をランク付けする基準となるものである。本実施形態においては、基準となる色を有するN枚の基準印刷物を測色して得られたXYZ表色系の数値である。
【0022】
基準色情報がN枚の基準印刷物に基づく場合、N個のXYZ表色系の数値は、0%、10%、20%、70%、100%の各網%のC(シアン)M(マゼンタ)Y(イエロー)K(スミ)の組合せ毎の色を有する網点の基準有彩色画像データを出力した基準印刷物を測色したものである。すなわち、N個のXYZ表色系の数値、及びN枚の基準印刷物は、125通りとなる。
【0023】
又、所定階調、例えば0,64,128,255の各階調のR(レッド)G(グリーン)B(ブルー)の組み合わせ毎の基準有彩色画像データを出力した基準印刷物を測色したものであってもよい。
【0024】
その他、基準色情報は、例えばsRGB色空間やAdobeRGB色空間等の原刺激値と基礎刺激値が公開された色空間のN個の任意の座標を、同様に原刺激値と基礎刺激値が公開されたXYZ表色系に線形変換したものであってよい。
【0025】
表示色情報は、基準色情報作成の際に用いた基準有彩色画像データから生成した有彩色画像データに基づく色をモニタ22に表示した場合のモニタ22上の表示色である。この有彩色画像データは、基準色情報が基準印刷物を測色したものである場合、基準有彩色画像データが示す色と基準印刷物が有する色との関係を示す線形マトリックスを用いて基準有彩色画像データが示す色と基準印刷物が有する色とを一致させる色変換と、モニタ22の特性を補正する色変換とが予め施され、基準有彩色画像データに基準印刷物の色が忠実にフィードバックされ、生成されたものである。
【0026】
すなわち、モニタ22には、基準有彩色画像データに基づく色を表示させるが、表示させようとする色は基準印刷物の色である。従って、基準有彩色画像データを出力して基準印刷物を作成した際の出力特性による影響に伴う基準有彩色画像データが有する色と基準印刷物が有する色との違いを基準有彩色画像データにフィードバックしている。以下、基準有彩色画像データと有彩色画像データとを双方単に有彩色画像データと呼ぶ。
【0027】
表示色情報を取得してサーバ1に当該表示色情報を送信する構成として、端末2は、図3に示すように、CPU、ROM、RAM等のコンピュータ21と、CRT(cathode ray tube)やLCD(liquid crystal display)等のモニタ22と、測色計23と、モデム等の通信部24と、キーボードやマウス等の入力装置25とを備える。
【0028】
コンピュータ21では、ROM又はRAMに端末側モニタ検証プログラムが格納されており、当該端末側モニタ検証プログラムをCPUが実行することで、制御手段21a、色変換手段21bが機能する。ROM又はRAMは有彩色画像データ記憶手段21cとなり、基準色情報に準じた基準有彩色画像データがサーバ1から送信され、当該有彩色画像データ記憶手段21cに格納される。基準色情報が基準印刷物の測色により得られる本実施形態の場合、有彩色画像データは、基準印刷物の画像データである。
【0029】
制御手段21aは、モニタ22、測色計23、及び通信部24を制御する。モニタ22の制御は、本実施形態の場合、N個の有彩色画像データの順次表示である。測色計23の制御は、モニタ22の測色であり、N個の有彩色画像データを順次表示するモニタ22上の表示色を順次数値化してN個の表示色情報を作成させる。通信部24の制御は、表示色情報及び制御手段21aで作成した測色情報の送信、及びサーバ1から送信されるランク付けの受信である。
【0030】
測色情報は、例えば、図5に示すように、装置操作者が入力装置25を用いて、測色計名、フードの有無、環境光測定の有無と使用したファイル名、使用した有彩色画像データ、使用したプロファイル、表示色情報が含まれるファイル名等を入力することで、制御手段21aにより作成される。
【0031】
色変換手段21bは、制御手段21aがモニタ22に有彩色画像データに基づく色を表示させる前段として、モニタ22が表示する表示色が基準印刷物を忠実に再現するように有彩色画像データに色変換を施す。基準色情報が基準印刷物の測色により得られる場合は、基準印刷物と当該基準印刷物の有彩色画像データとのプリンタ特性に基づく乖離を補正する色変換と、モニタ22の特性を補正する色変換を行う。双方の変換は、プロファイルを用いて行われる。
【0032】
基準印刷物と当該基準印刷物の有彩色画像データとのプリンタ特性に基づく乖離を補正する色変換は、サーバ1から有彩色画像データとともに送信される、有彩色画像データが示す色の表色系と基準印刷物を測色して得られた表色系との関係を示す線形マトリックスを含む色変換プロファイルを用いる。
【0033】
色変換プロファイルは、以下の関係式を含む。
[R,G,B]=[Amn][X,Y,Z]
ここで、X、Y、Zは、有彩色画像データが示すCMYK各色データをXYZ表色系に変換した値である。[Amn]は、有彩色画像データが示す色と基準印刷物が有する色との差分を含んだ3×3の線形マトリックスである。
【0034】
すなわち、[Amn]は、以下の変換式の3×3の線形マトリクス[Bmn]で表される差分と所定の線形マトリクスの積をとったものである。
[X,Y,Z]=[Bmn][X´,Y´,Z´]
ここで、X、Y、Zは、基準印刷物を測色して得たXYZ表色系の三刺激値であり、X´、Y´、Z´は、変換前の有彩色画像データのXYZ表色系の値である。
【0035】
モニタ22は、制御手段21aの制御によって、N個の基準色情報が有する色を忠実に再現したN個の有彩色画像データに基づく色を順次表示する。
【0036】
測色計23は、制御手段21aの制御によって、モニタ22が順次表示する表示色を測色して、XYZ表色系におけるX、Y、Zの三刺激値を測定し、N個の表示色情報を得る。三刺激値は、刺激値直読方法又は分光測色方法により測定される。尚、測色計23は、各端末2,2・・・において異なる製品や機種であってもよい。
【0037】
通信部24は、制御手段21aの制御によって、測色計23が得たN個の表示色情報を制御手段21aが生成した測色情報とともにサーバ1に送信する。
【0038】
送信された表示色情報からモニタ22のランク付けを行うサーバ1は、図4に示すように、図示しないCPU、ROM、RAM等のコンピュータ11と、モデム等の通信部12を備える。
【0039】
コンピュータ11は、ROM又はRAMにおいてサーバ側モニタ検証プログラムが格納されており、当該サーバ側モニタ検証プログラムをCPUが実行することで、補正手段11b、算出手段11e、ランク付け手段11gが機能する。ROM又はRAMは補正情報格納手段11cと基準色情報格納手段11dとランクテーブル11fと有彩色画像データ記憶手段11hと色変換プロファイル格納手段11iとなり、RAMは表示色情報格納手段11aとなる。
【0040】
表示色情報格納手段11aには、端末2から送出されたN個の表示色情報が格納される。補正情報格納手段11cには、端末2が備える測色計23が取得する数値の特性を補正する補正情報が格納されている。基準色情報格納手段11dには、N個の基準色情報が格納される。ランクテーブル11fは、色差の程度にランクを関連付けたテーブルである。有彩色画像データ記憶手段11hには、N個の有彩色画像データが格納されている。色変換プロファイル格納手段11iには、有彩色画像データが表す色と基準印刷物が有する色とを一致させる色変換プロファイルが格納される。
【0041】
ランクテーブル11fを図6に示す。図6に示すように、ランク付けテーブル11fは、後述するΔE*abの数値に応じてランク付けしたものである。
【0042】
ランクは、例えば、ランクA、ランクB、ランクC、ランク外に区分されている。ランクAは、色校正確認に適するモニタ22が分類され、ランクBは、画像レイアウト確認までは好適であるモニタ22が分類され、ランクCは、一般的なモニタ22が分類される。本実施形態では、ΔE*abが2以内である場合をランクAに分類し、ΔE*abが5以内である場合をランクBに分類し、ΔE*abが7以内である場合をランクCに分類している。
【0043】
補正手段11bは、表示色情報と共に送信された測色情報より測色計名を取得し、その測色計名を有する測色計23が示す表示色情報の特性を補正する。すなわち、表示色情報が示す値から測色計23の製品特性や機種特性の影響を取り除く。
【0044】
補正の際には、測色名と補正情報とを対にして格納している補正情報格納手段11cから、測色計名を参照して補正情報を読み出し、同時に表示色情報格納手段11aから表示色情報を読み出す。補正情報は、表示色情報に含まれているXYZ表色系の三刺激値を補正する係数又は加算値であり、補正手段11bは、表示色情報に当該補正情報を乗じ、又は加減する。
【0045】
算出手段11eは、N個の表示色情報を表示色情報格納手段11aから順次読み出し、対応する基準色情報を基準色情報格納手段11dから読み出し、順次色差を算出する。色差は、L*a*b*表色系で算出される。
【0046】
L*a*b*は、デバイスに依存しない色空間で、CIE(Commission International del´Eclairage:国際照明委員会)で定められたx−bar,y−bar,z−barの分光特性で光量を積算して求められたXYZ表色系の値に基づく一般的なもので表色系の値である。
【0047】
具体的には、算出手段11eは、XYZ表色系の値をL*a*b*表色系の値に変換する。すなわち、明度指数L*、クロマティクネス指数a*及びb*を以下に示すようにして求める。
【0048】
L*=116(Y/Yn)^(1/3)−16
(N^Mは、NのM乗を示す。以下同じ。)
a*=500〔(X/Xn)^(1/3)−(Y/Yn)^(1/3)〕
b*=200〔(Y/Yn)^(1/3)−(Z/Zn)^(1/3)〕、
Xn、Yn、Znは、完全拡散反射面の三刺激値であり、X/Xn>0.008856、Y/Yn>0.008856、Z/Zn>0.008856により、算出する。
【0049】
ただし、X/Xn、Y/Yn、Z/Znに0.008856以下のものがある場合には、上述のa*、b*についての式の(X/Xn)^(1/3)、(Y/Yn)^(1/3)、(Z/Zn)^(1/3)を、それぞれ7.787(X/Xn)+16/116、7.787(Y/Yn)+16/116、7.787(Z/Zn)+16/116に置き換えて算出する。
【0050】
尚、Xn、Yn、Znは、光源により変化する値で、例えば、D50光源の場合、
Xn=96.417、Yn=100、Zn=82.487である。
【0051】
さらに、算出手段11eは、L*a*b*表色系の値に変換されたN個の表示色情報とN個の基準色情報とを対応毎に読み出して、以下に従った演算を行い、それぞれの色差ΔE*abを得る。
【0052】
ΔE*ab=〔(L*−L*)^2+(a*−a*)^2+(b*−b*)^2〕^(1/2)
(L*、a*、b*は、L*a*b*表色系における表示色情報の座標を示し、L*、a*、b*は、L*a*b*表色系における基準色情報の指数を示す。)
【0053】
ランク付け手段11gは、算出手段11eが算出した色差ΔE*abに基づいて、ランクテーブル11fを参照しながら、ランク付けを行う。ランク付けは、N個の色差ΔE*abを平均したものをランク付けする。また、最大乖離の色差ΔE*abを検索して、検索した色差ΔE*abをランク付けしてもよい。
【0054】
ランク付け手段11gの行ったランク付けは、通信部12を介して表示色情報が送出された端末2へ送信してもよい。
【0055】
このようなモニタ検証システム100における動作を図7乃至10に示す。図7は、モニタ検証システム100の全体動作を示し、図8は、端末2における測色動作を示し、図9は、サーバ1における色差算出動作を示し、図10は、サーバ1におけるランク付け動作を示す。
【0056】
まず、図7に示すように、モニタ検証システム100では、ランク付けを行うモニタ22を有する端末2に対し、サーバ1からネットワークNを介して所定色を表すN個の有彩色画像データと色変換プロファイルが送信される(S101)。
【0057】
サーバ1では、有彩色画像データ記憶手段11hから有彩色画像データが読み出され、色変換プロファイル格納手段11iから色変換プロファイルが読み出され、ランク付けを行う端末2へ通信部12及びネットワークを介して送信される。データの送信先は、ランク付け要求が端末2の入力装置25を用いて送信された場合の送信元端末2や、定期的なランク付け作業における全端末2に対してである。
【0058】
端末2は、送信された有彩色画像データと色変換プロファイルを通信部24を介して受け取ると、有彩色画像データ記憶手段21cに一時的に記憶し、色変換手段21bより読み出されて色変換が施され、制御手段21aにより有彩色画像データに基づく色をモニタ22に順次表示させ、モニタ22上の表示色を測色計23により順次測色する(S102)。測色計23が得たN個の表示色情報は、測色計23の測色計名を含む測色情報とともにサーバ1へ通信部24及びネットワークNを介して送信される(S103)。
【0059】
サーバ1は、通信部12を介して送信されてきた表色情報と測色情報を表示色情報格納手段11aに格納する。補正手段11bは、測色情報に記述されている測色計23名に対応する補正情報に基づいて表示色情報を補正し、表示色情報への測色計23の製品特性や機種特性の影響を取り除く(S104)。
【0060】
基準色情報格納手段11dに格納されている基準色情報と、補正後の表示色情報とが算出手段11eに読み出され、色差ΔE*abが算出される(S105)。更に、ランク付け手段11gにより、ランクテーブル11fを参照して、算出された色差ΔE*abから表示色情報が送信された端末2が有するモニタ22をランク付けされる(S106)。ランク付けの結果は、サーバ1より通信部12とネットワークNを介して表示色情報が送信された端末2に送信される(S107)。
【0061】
S102におけるモニタ22の測色について図8に基づき更に詳細に説明する。まず、制御手段21aは、カウント値iをi=1にセットし(S201)、i番目の有彩色画像データを選択する(S202)。
【0062】
色変換手段21bは、i番目の有彩色画像データについて、共に送信された色変換プロファイルを参照して基準印刷物の有する色を表す有彩色画像データに変換し、更にモニタ22の出力特性を反映した有彩色画像データに変換し、モニタ22上の表示色を基準印刷物の有する色に近づける(S203)。
【0063】
制御手段21aは、色変換後のi番目の有彩色画像データから表示信号を生成して、モニタ22に入力し、モニタ22上には、i番目の有彩色画像データが表示される(S204)。
【0064】
モニタ22上にi番目の有彩色画像データに基づく色が表示されると、制御手段21aは、同期して測色計23を制御し、測色計23によりモニタ22上の表示色がX、Y、Zの三刺激値として測定され、i番目の表示色情報が取得される(S205)。
【0065】
制御手段21aは、カウント値iをi=i+1とし(S206)、iが有彩色画像データの数であるNを超えない限り(S207,No)、S202〜S206の動作を繰り返し、N個の表示色情報を取得する。
【0066】
S105における色差算出動作について図9に基づき更に詳細に説明する。まず、算出手段11eは、カウント値IをI=1にセットし(S501)、I番目の表示色情報を表示色情報格納手段11aから読み出し、同時にI番目の基準色情報を基準色情報格納手段11dから読み出す(S502)。
【0067】
I番目の表示色情報と基準色情報は、算出手段11eにて、XYZ表色系からL*a*b*表色系に変換される(S503)。
【0068】
ここで、図11は、算出手段11eによりL*a*b*表色系に変換された表示色情報と基準色情報をL*a*b*表色系色度図上にプロットしたものである。図11では、網点100%のC及び網点0%のMYK、網点100%のM及び網点0%のCYK、網点100%のY及び網点0%のCMK、網点100%のK及び網点0%のCMYの表色情報と基準色情報を色度図上にプロットしている。Sは、基準色情報を示し、Iは、表示色情報を示す。図に示すように、モニタ22のカラー画像表示性能によって、SとIは異なる位置にプロットされ、SとIの距離を算出することによりそのカラー画像表示性能が導かれる。
【0069】
算出手段11eは、L*a*b*表色系となったI番目の表示色情報と基準色情報から色差ΔE*abを算出する(S504)。算出したΔE*abは、RAM等の記憶手段に一時的に記憶される。
【0070】
算出手段21aは、カウント値IをI=I+1とし(S505)、Iが表示色情報や基準色情報の数であるNを超えない限り(S506,No)、S502〜S505の動作を繰り返し、N個の色差ΔE*abを取得する。
【0071】
S106におけるランク付け動作について図10に基づき更に詳細に説明する。まず、ランク付け手段11gは、RAMに一時的に保存されているN個の色差ΔE*abの平均値Avを算出し(S601)、同時にランクテーブル11fを読み込む。
【0072】
次にランクテーブル11fを参照し、例えば、平均値Av≦2であれば(S602,Yes)、対応するランクAにランク付けする(S603)。平均値2<Av≦5であれば(S604,Yes)、対応するランクBにランク付けする(S505)。平均値5<Av≦7であれば(S606,Yes)、対応するランクCにランク付けする(S607)。平均値Avが7より高い場合は、ランク外にランク付けする(S608)。
【0073】
このようなモニタ認証システム100では、サーバ1において、端末2が備えるモニタ22の発色性能をランク付けすることができる。特に基準印刷物を測色して、当該基準印刷物を再現した基準色情報や有彩色画像データを用いて色差算出を行う場合、基準色情報を作成したデバイスに影響されない統一基準を下にランク付けを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本実施形態に係るモニタ検証システムのシステム構成を示す図である。
【図2】測色計が設置された端末装置を示す外観図である。
【図3】本実施形態に係る端末の機能ブロック図である。
【図4】本実施形態に係るサーバの機能ブロック図である。
【図5】本実施形態に係る測色情報の一例を示す図である。
【図6】本実施形態に係るランクテーブルを示す図である。
【図7】本実施形態に係るモニタ検証システムの動作を示すフローチャート図である。
【図8】本実施形態に係るモニタの測色動作を示すフローチャート図である。
【図9】本実施形態に係る色差算出動作を示すフローチャート図である。
【図10】本実施形態に係るランク付け動作を示すフローチャート図である。
【図11】本実施形態に係る色差を説明する図である。
【符号の説明】
【0075】
1 サーバ
11 コンピュータ
11a 表示色情報格納手段
11b 補正手段
11c 補正情報格納手段
11d 基準色情報格納手段
11e 算出手段
11g ランク付け手段
11f ランクテーブル
11h 有彩色画像データ記憶手段
11i 色変換プロファイル格納手段
12 通信部
2 端末
21 コンピュータ
21a 制御手段
21b 色変換手段
21c 有彩色画像データ記憶手段
22 モニタ
23 測色計
24 通信部
25 入力装置
100 モニタ検証システム
N ネットワーク
S 基準色情報
I 表示色情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定色に対応する基準色情報を予め格納する基準色情報格納手段と、
色差の程度によって区分けされたランクテーブルを予め格納するランクテーブル格納手段と、
前記所定色の有彩色画像データに基づく色が表示されるモニタと、
前記有彩色画像データに基づく色が表示された前記モニタを測色して表示色情報を取得する測色手段と、
前記基準色情報と前記表示色情報との色差を算出する算出手段と、
前記算出された色差に基づいて、前記ランクテーブルを参照し、前記モニタの色再現性をランク付けするランク付け手段と、
を備えること、
を特徴とするモニタ検証システム。
【請求項2】
前記基準色情報格納手段と前記算出手段と前記ランクテーブル格納手段と前記ランク付け手段とを有するサーバと、
前記モニタと前記測色手段とを有する複数の端末と、
を備え、
前記複数の端末のうち、一の端末から前記表示色情報が前記サーバに送信されると、
前記サーバより前記表示色情報を送信した端末へ前記ランク付けの結果を返すこと、
を特徴とする請求項1記載のモニタ検証システム。
【請求項3】
前記基準色情報は、
基準有彩色画像データに基づく印刷物を測色して得られたものであること、
を特徴とする請求項1記載のモニタ検証システム。
【請求項4】
前記有彩色画像データは、
前記基準有彩色画像データに対して、当該基準有彩色画像データが有する色と前記印刷物が有する色とを一致させる色変換を施して生成されたものであること、
を特徴とする請求項3に記載のモニタ検証システム。
【請求項5】
ネットワークを介して接続される複数の端末とサーバを備え、
前記端末は、
所定色の有彩色画像データに基づく色が表示されるモニタと、
前記有彩色画像データに基づく色が表示された前記モニタを測色して表示色情報を取得する測色手段と、
を備え、
前記サーバに前記表示色情報を送信し、
前記サーバは、
前記所定色に対応する基準色情報を予め格納する基準色情報格納手段と、
色差の程度によって区分けされたランクテーブルを格納するランクテーブル格納手段と、
前記端末毎の測色手段固有の測色特性を補正する補正情報を予め格納する補正情報格納手段と、
前記補正情報により前記表示色情報を補正する補正手段と、
前記基準色情報と前記補正手段により補正された表示色情報との色差を算出する算出手段と、
前記算出された色差に基づいて、前記ランクテーブルを参照し、測色されたモニタをランク付けするランク付け手段と、
を備えること、
を特徴とするモニタ検証システム。
【請求項6】
所定色に対応する基準色情報を予め格納しておき、
色差の程度によって区分けされたランクテーブルを予め格納しておき、
モニタに前記所定色の有彩色画像データに基づく色を表示させ、
前記有彩色画像データに基づく色が表示された前記モニタを測色して表示色情報を取得し、
前記基準色情報と前記表示色情報との色差を算出し、
前記算出された色差に基づいて、前記ランクテーブルを参照し、前記モニタをランク付けすること、
を特徴とするモニタ検証方法。
【請求項7】
前記基準色情報は、
基準有彩色画像データに基づく印刷物を測色して得られたものであること、
を特徴とする請求項6記載のモニタ検証方法。
【請求項8】
前記有彩色画像データは、
前記基準有彩色画像データに対して、当該基準有彩色画像データが有する色と前記印刷物が有する色とを一致させる色変換を施して生成されたものであること、
を特徴とする請求項7に記載のモニタ検証方法。
【請求項9】
所定色に対応する基準色情報を予め格納しておき、
モニタに前記所定色の有彩色画像データに基づく色を表示させ、
前記有彩色画像データに基づく色が表示された前記モニタを測色して表示色情報を取得し、
前記測色の特性を補正する補正情報を予め格納しておき、
前記補正情報により前記表示色情報を補正し、
前記基準色情報と補正された表示色情報との色差を算出し、
色差の程度によって区分けされたランクテーブルを予め格納しておき、
前記算出された色差に基づいて、前記ランクテーブルを参照し、前記モニタをランク付けすること、
を特徴とするモニタ検証方法。
【請求項10】
モニタを測色手段により測色することで当該モニタの表示色情報を得る端末とネットワークを介して接続されるとともに、所定色に対応する基準色情報を予め格納する基準色情報格納手段と、色差の程度によって区分けされたランクテーブルを格納するランクテーブル格納手段とを備えるサーバを、
前記表示色情報と前記基準色情報との色差を算出する算出手段と、
前記算出された色差に基づいて、前記ランクテーブルを参照し、前記モニタをランク付けするランク付け手段と、
して機能させること、
を特徴とするモニタ検証プログラム。
【請求項11】
前記端末毎の前記測色手段固有の測色特性を補正する補正情報を予め格納する補正情報格納手段を更に備える前記サーバを、
前記補正情報により前記表示色情報を補正する補正手段と、
前記基準色情報と前記補正手段により補正された表示色情報との色差を算出する算出手段と、
してさらに機能させること、
を特徴とする請求項10記載のモニタ検証プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−166123(P2006−166123A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−355725(P2004−355725)
【出願日】平成16年12月8日(2004.12.8)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】