説明

モノリシックパッケージ化された基板上のマイクロバッテリ

【課題】十分な酸素および湿気バリア値と劣化を防止する種々の層を形成する材料の整合性を有するマイクロバッテリを提供する。
【解決手段】マイクロバッテリは、基板(1)に配設された第1の電流集電体(2)および第2の電流集電体(3)と、電解質膜(5)によって分離された2個の電極(4,7)を含む積層体とを備える。各電極(4,7)は対応する集電体に接続され、電極の一方がリチウムベースのアノード(7)である。積層体は金属層(8)を含むパッケージによって覆われている。第1の電流集電体(2)はパッケージから突出し、第2の電流集電体(3)は金属層(8)と接触している。30nm未満の厚さをもつアルミナプラグ(9)が第1の電流集電体(2)と金属層(8)との間に配設され、第1の電流集電体(2)と接触している電極はアルミナプラグ(9)によって金属層(8)から電気的に絶縁されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に配設された第1の電流集電体および第2の電流集電体と、電解質膜によって分離された2個の電極を含む積層体とを備え、各電極が対応する集電体に接続され、電極の一方がリチウムベースのアノードであり、上記積層体が金属層を含むパッケージによって覆われ、第1の電流集電体がパッケージから突出し、第2の集電体が金属層と接触しているマイクロバッテリに関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムマイクロバッテリは、原則的に、反応性要素、特に、非常に多くの場合にリチウム化合物によって形成されているアノードを備える。金属リチウムは、酸素、窒素、または、水蒸気のような大気要素への暴露に急速に反応し、バッテリの加速エージングをもたらす。これらの劣化問題を克服するための保護体が開発されている。したがって、従来、マイクロバッテリには、いかなる漏れをも防止するために大気に関して十分に気密性があり、マイクロバッテリで使用される層と完全に共存できる保護外装が設けられている。
【0003】
外装およびモノリシックパッケージという2つの保護概念が存在する。
【0004】
マイクロバッテリは、大気に対して密封されたカバーがマイクロバッテリを保護するためマイクロバッテリを覆って配設されているときに外装されている、と言われる。従来、カバーの固定は、アルゴンのような不活性ガス中の大気が制御された状態で行われる。この技術はいくつかの欠点を包含し、主な欠点はマイクロバッテリの長期信頼性、および、外側からのいかなる汚染をも防止するためにカバーの緊密性を監視することの困難さである。さらに、外装されたマイクロバッテリは、一般に、仕様の要件を満たさない非常に大きい寸法を有する。
【0005】
モノリシックパッケージでは、危険に晒される部品を外部環境から分離するバリアが薄層の堆積によって実現される。
【0006】
特許文献1はモノリシックパッケージを有するマイクロバッテリについて記載している。図1に示されているように、マイクロバッテリは、第1の電流集電体2および第2の電流集電体3が配設されたベース基板1に作られ、電流集電体2および3は基板の部分6によって分離されている。カソード4を形成する層は、電気的接続部が作られるための第1の集電体2の空き外側領域12をカソード4の左側に残した状態で、(図1の左側で)第1の電流集電体2に堆積される。電解質膜5がその後にカソード4と、2つの集電体2および3を分離する基板の部分6の区域と、第1の集電体2の空き領域の一部とを覆うように成膜される。リチウムアノード7は電解質膜5の上に配設され、第2の電流集電体3の一部を覆う。カソード/電解質膜/アノードの積層体はその後に、ポリマ層および金属層を含む封入層13によって覆われる。この特許は、金属層が電気的に絶縁されることを提案し、絶縁がなければ、図1の2つの集電体2、3は実際には短絡される。しかし、この特許は、絶縁が行われるべき場所を特定せず、使用されるべき金属のタイプを特定していない。現行の要件は、リチウムマイクロバッテリが少なくとも10年間持ちこたえることを要求し、このことはある特定のタイプのバッテリの場合、10−4g/m/Jの酸素および湿気バリア値に対応する。したがって、材料の選定はこれらの要件を考慮に入れる必要があり、隣接する層を破損しないように隣接する層と整合していることが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,561,004号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
発明の目的は、十分な酸素および湿気バリア値と、マイクロバッテリのいかなる劣化をも防止する、種々の層を形成する材料の整合性とを有するマイクロバッテリを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は、特許請求の範囲に記載された請求項によって、特に、第1の電流集電体と金属層との間に配設された30nm未満の厚さをもつアルミナプラグであって、第1の電流集電体と接触している電極がアルミナプラグによって金属層から電気的に絶縁されているアルミナプラグを用いて実現される。
【0010】
本発明はまた、
第1の電流集電体および第2の電流集電体を基板上に形成することと、
第1の集電体にプラグを形成し、積層体を製作することと、
一方で第2の電流集電体と電気的に接触し、他方でアルミナプラグと接触している金属層によって積層体を封入することと、
を逐次的に備える製造方法に関する。
【0011】
本発明のその他の優位性および特徴は、非限定的な例示目的のみのために記載され、添付図面に示された本発明の特有の実施形態についての以下の説明からより明瞭に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】従来技術によるマイクロバッテリを示す図である。
【図2】本発明の実施の一形態によるマイクロバッテリを示す図である。
【図3】図2によるマイクロバッテリの製造方法を示す図である。
【図4】図2によるマイクロバッテリの製造方法を示す図である。
【図5】図2によるマイクロバッテリの製造方法を示す図である。
【図6】本発明によるマイクロバッテリの第2の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図2に示されているように、マイクロバッテリは、基板1に配設された第1の電流集電体2および第2の電流集電体3を備える。電解質膜5によって分離された2つの電極4、7を含む従来の積層体が2つの電流集電体2および3の間に配設されている。各電極4、7は対応する集電体2、3と電気的に接触している。電極の一方はリチウムアノードまたはリチウムベースのアノードである。積層体は、外部環境からの作用に対抗して上記積層体を最適に保護する金属層8を含むパッケージによって覆われている。2つの電流集電体2および3の間のいかなる短絡をも防止するため、第1の電流集電体2の金属層8は絶縁される必要があり、同時にマイクロバッテリの透磁性に関して優れた妥協を維持する。要件を満たす絶縁は第1の電流集電体2と、マイクロバッテリの効果的なパッケージングを可能にする金属層8と、の間に配設されたアルミナプラグ9によって実現される。第1の電流集電体2の一部はパッケージから突出し、マイクロバッテリの接続を実行するために上記第1の電流集電体2をアクセスできるようにする。第2の電流集電体3はそれ自体としてはパッケージの金属層8と接触している。当然ながら、第1の電流集電体2に接触している電極と金属層8との間の短絡を防止するため、これらの2つの要素は互いに電気的に絶縁され、この絶縁はアルミナプラグ9によって行うことが可能である。
【0014】
今日の技術は、無孔アルミナの薄層が得られる可能性を与えない、すなわち、厚い層として生成されたアルミナプラグ9の水蒸気、酸素、および、窒素に対する漏洩気密性は、たとえば、10−4g/m/J未満である所要の透過性条件を満たさない。さらに、マイクロバッテリの底部分にアルミナプラグ9を位置付け、電解質膜5および/またはリチウムアノード7と接触させることは、マイクロバッテリの効率に関する問題を提起する。マイクロバッテリが動作しているとき、イオンは実際にアノード7からカソード4へ移動し、リチウムがバッテリのボトム層に拡散する危険性は無視できない。もしもリチウムが、プラグ9としての役目を果たす材料に拡散するならば、それは、外部環境からの攻撃に対して上記プラグ9を穴だらけにし得る、または、電気的に導通させることすれも可能な、バッテリの効率低下およびプラグ9の破損という2重の結末をもたらすであろう。この危険性は、アルミナ層の厚さを増大させることにより部分的に補うことが可能であるが、これにより緊密性の損失がもたらされるであろう。アルミナプラグ9は、緊密性とリチウム拡散との間で優れた妥協を実現することが必要である。この妥協は、アルミナプラグが30nm未満の厚さを有するならば、好ましくは、20nmと30nmとの間に含まれるならば達成される。このようなプラグは、実際に化学的に安定であり、物理的に非常に密であり、すなわち、プラグは非常に低い空隙率を示す。リチウム層、および、たとえば、原子層堆積法(ALD)によって堆積させられた25nmのアルミナ層によって形成された積層体に関して試験が実施された。これらの2層の間で拡散または相互作用は観察されなかった。さらに、試験の間に、積層体は、相互作用が観察されることなく、300℃でアニーリングが施された。したがって、これらの試験は、リチウム層と接触したナノメトリック厚さのアルミナ層の慣性、化学安定性、および、熱的安定性を示した。
【0015】
一般的に、好ましくは、原子層堆積法ALDを使用するアルミナプラグ9を形成する層の堆積は、超薄層が酸素不透過性になり、同時に電気的絶縁特性を有するような原子密度および原子配設をプラグ9に与える。反例として、80nmのアルミナ層は、10−3g/m/Jと10−2g/m/Jとの間に含まれる係数を有し、このような係数は優れた不透過性を確実にするためには不十分である。
【0016】
アルミナプラグ9を形成する層は、好ましくは、20nmと30nmとの間に含まれる厚さを有する。
【0017】
ナノメトリック層のアルミナは、酸化性ガス透過特性に関する限り、非常に優れた材料になる。アルミナは、実際には、マイクロバッテリの長期動作を可能にさせる好ましい必要最大限の10−4g/m/Jより小さい10−5g/m/Jの透過率を有する可能性がある。アルミナパッケージ層を設ければ十分となり得るのであるが、この材料は比較的壊れやすく、動作中のマイクロバッテリの膨脹はパッケージを破損する傾向がある機械的応力の原因となるであろう。パッケージ層が破損すると、パッケージ層は環境に対してバリアを設ける特性のすべてを失うであろう。こういうわけで、基板の一方の表面で集電体をアクセスできる状態にしたまま金属パッケージを完成するため、リチウム拡散に対する抵抗の特性がこれまでは未知であったアルミナプラグをナノメトリック層に使用することが選択された。
【0018】
シリカまたは窒化珪素のようなその他の材料がプラグ9を製作するため試験された。シリカはこの材料の透過率が不十分な約10−2g/m/Jであるので切り捨てられた。窒化珪素も同様にその透過率が10−3g/m/Jであるので切り捨てられた。
【0019】
アルミナプラグ9が配設された第1の電流集電体2はパッケージから突出し、第1の接続端子10aが取り付けられることを可能にさせる該突起によって領域12が空いた状態のままにされ、第2の端子10bは金属層8に配設させることが可能である。この突起は、第1の電流集電体2に電気的接続を行うためマイクロバッテリと反対側の基板の表面を介して基板に穴を開けなければならないことを回避する。これが可能であるのは、バッテリを早期に劣化させることなく第1の電流集電体2がパッケージから突出することを可能にし、かつ、同時に第1の電流集電体2を第2の電流集電体3から電気的に絶縁するプラグ9を形成するアルミナのナノメトリック層の透過率が低いからである。
【0020】
図2に示された特有の実施形態によれば、マイクロバッテリは、基板の部分6によって分離された第1および第2の電流集電体2、3が配設されたベース基板1に製作される。カソード4は第1の電流集電体2(図1の左側)に配設され、アルミナプラグ9は、カソード4の左側で、アルミナプラグ9の左側に集電体の空き領域12を残した状態でカソード4に隣接している。電解質膜5はプラグ9の全体(図2)と、2つの電流集電体2および3を分離する少なくとも基板の部分6の区域とを覆う。この場合、電解質膜5はアルミナプラグ9の一部をも覆うことが可能である。電解質膜5は、2つの電流集電体2および3を分離する基板1の部分6の全体と、第2の集電体3の領域とを覆うことも可能であり、電解質の体積は、電解質の厚さを増加させることなく増加され得る。リチウムベースのアノード7は電解質膜5の上に配設され、第2の電流集電体3と電気的に接触している。アノード7は電解質膜5を完全に覆うことも可能であり、したがって、アルミナプラグ9と接触することも可能である。カソード/電解質膜/アノードの積層体はパッケージによって覆われる。パッケージは、ポリマ製であることが好ましい被覆層11を含み、被覆層11の後に金属層8が設けられる。金属層8はアノード7の上に直接的に堆積されても構わないが、金属層の堆積はリチウムが構成するアノード7を破損することになり、その結果、バッテリの効率の損失をもたらす。こういうわけで、積層体が金属層8によって2つの電流集電体2および3に至るまで覆われる前に、アノードを完全に覆う被覆層11が堆積される。ポリマ層はアノードの表面より低い表面粗さをさらに示す可能性がある。金属バリアの性能はそれによって高められる。第2の集電体3はパッケージの金属層8と電気的に接触し、第1の集電体2はアルミナプラグ9によって金属層8から電気的に絶縁されている。被覆層11が第1の電流集電体2および第2の電流集電体3と接触するならば、上記被覆層11は電気的に絶縁されている。
【0021】
図6に示された第2の実施形態によれば、カソード4は第2の電流集電体3に配設されている。電解質膜5は、カソード4と、基板の部分6と、第1の電流集電体2の一部とを覆う。リチウムアノード7は電解質膜の上に配設され、第1の電流集電体2と電気的に接触している。ポリマ被覆層11は積層体を覆う。封入は、第1の電流集電体2に配設されたアルミナプラグ9と、アルミナプラグ9によって第1の電流集電体2から絶縁され、第2の電流集電体3と接触している金属層8とによって完成される。第1の集電体2は第1の接続端子10aが作られることを可能にするためパッケージから突出している。第2の接続端子10bは金属層8に接続されている。
【0022】
積層体が金属層8と短絡することを防止するため、第1の電流集電体2と接触した電極は金属層8から電気的に絶縁されなければならない。この絶縁は、アルミナプラグ9と、たとえば、ポリマ製であり、金属層8と積層体との間にはめ込まれた被覆層11とによって実現され得る。上述されているように、アルミナプラグ9は電気的絶縁にも関与する。
【0023】
マイクロバッテリを製造する方法は、少なくとも以下のステップ、すなわち、
第1の電流集電体2および第2の電流集電体3を基板1に形成するステップと、
30nm未満の厚さ、好ましくは、20nmと30nmとの間に含まれる厚さをもつアルミナプラグ9を第1の電流集電体2に形成し、アノード7とカソード4との間に挟まれた電解質膜5を含む積層体を製作するステップと、
一方で第2の電流集電体3と接触し、他方でアルミナプラグ9と接触した金属層8によって積層体を封入するステップと、
を備える。
【0024】
図2〜5に示された特有の実施形態によれば、マイクロバッテリを製造する方法は、第1および第2の電流集電体2、3を支持基板1の全く同一の表面に形成することを含む第1のステップを備え(図3)、第1および第2の電流集電体2、3は、基板の部分6によって分離されている。使用される基板は、一般に、ガラス、シリコン、または、窒化珪素で作られる。窒化珪素は、リチウム拡散に対するより大きい抵抗性という優位性があり、したがって好ましい。第1および第2の電流集電体2、3を形成するこのステップは、物理的気相成長法(PVD)または化学的気相成長法(CVD)のようないかなるタイプの薄層堆積技術を使用して実行されてもよい。第1および第2の電流集電体2、3は、好ましくは、チタン、タングステン、または、金から作られ、約200nmの厚さを有する。
【0025】
アルミナ層はその後に、プラグ9のそれぞれの側に第1の電流集電体2の空き領域を残して、第1の集電体2にプラグ9を形成するため堆積される。このアルミナプラグ9は30nm未満、好ましくは、20nmと30nmとの間に含まれる厚さを有し、大気温度で原子層堆積法(ALD)によって実現される。大気温度とは、20℃と60℃との間に含まれる温度を指す。カソード4がその後にプラグ9の右側に形成される(図4)。このカソード4はアルミナプラグ9と接触し、アルミナプラグ9の厚さより大きい厚さを有する。カソードは、好ましくは、プラグ9から、第2の電流集電体3の方へ向けられた第1の電流集電体2の端まで延在する。カソード4は、好ましくは、真空蒸着法、または、カソードスパッタリング法のような従来の方法によって堆積される。殆どの場合、カソード4は、酸硫化チタンTiOS、五酸化バナジウムV、または、二硫化チタンTiSから作ることができる。ALD法の一つの優位性は低温が関係していることである。したがって、既に堆積しているその他の材料は、約400℃の堆積温度を必要とする従来型のシリカまたは窒化珪素堆積法とは異なって、破損しにくい。
【0026】
したがって、カソード4は、プラグが形成される前後どちらで堆積されてもよい。しかし、従来の堆積フレームでは第1のステップにおいて基板/集電体/プラグの組立体を製作し、その後、この組立体をマイクロバッテリ積層体の特定の層の堆積専用の別のフレームへ移転する方が有利であるかもしれない。
【0027】
次のステップは、LiPONで作られることが好ましい電解質膜5を成膜することを含む。この膜は、一般に、カソードスパッタリング法(PVD)または化学的気相成長法(CVD)によって製作される。カソードスパッタリング法は、非常に薄い厚さ、約1.5μmの厚さをもつ無欠陥連続層を得ることを可能にさせるのでよく使われる。電解質膜5は、好ましくは、カソード4とプラグ9の一部との両方と、2つの集電体を分離する基板1の部分6の少なくとも一部とを覆うように形成される(図5)。電解質膜5は、好ましくは、2つの集電体を分離する部分の全体と、第2の集電体3の一部を覆う。
【0028】
電解質膜5が成膜された後、リチウムアノード7が、たとえば、スパッタリング法によって形成される。このアノード7の平均厚さは、好ましくは、3μmであり、第2の電流集電体3および電解質膜5と電気的に接触するように堆積される。代替的な実施形態によれば、アノード7は電解質膜の全体を覆い、アルミナプラグ9の一部と接触する(図2)。
【0029】
最後のステップにおいて、マイクロバッテリは外気の湿気からマイクロバッテリを保護するために封入される。封入ステップは、カソード/電解質膜/アノードの積層体を完全に覆う被覆層の堆積を含む。この被覆層11は、好ましくは、パリレンのようなポリマ製の歪みの無い平坦化層である。平坦化層は、表面のトポグラフィが堆積後に低減されること、すなわち、堆積前より堆積後により平坦な表面を有することを可能にする層である。この被覆層11はさらに、動作中にマイクロバッテリの機械的応力が吸収されることを可能にする。この被覆層は、好ましくは、2μmと5μmとの間に含まれる厚さ、たとえば、3μmの厚さを有し、真空蒸着法によって得ることが可能である。ポリマ層はそれ自体ではマイクロバッテリの緊密性を実現するために十分ではないので、マイクロバッテリは、金属層8によって覆われ、金属層8は、第2の集電体3に電気的に接続され、かつ、2つの電流集電体2、3の間で短絡が起こり得ないことを保証するアルミナプラグ9と接触している。金属封入層8は、好ましくは、チタン、プラチナ、アルミニウム、銅、または、これらの材料の合金からなる群から選択される。
【0030】
上述の方法は図6に示されたマイクロバッテリを製造するために当然ながら適合させることが可能である。
【符号の説明】
【0031】
1:基板
2:第1の電流集電体
3:第2の電流集電体
4:カソード電極
5:電解質膜
6:基板の部分
7:アノード電極
8:金属層
9:アルミナプラグ
10a:第1の接続端子
10b:第2の接続端子
11:被覆層
12:集電体の空き領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(1)に配設された第1の電流集電体(2)および第2の電流集電体(3)と、
電解質膜(5)によって分離された2つの電極(4,7)を含む積層体と、を備え、
各電極(4,7)は、対応する前記集電体に接続され、
前記電極の一方がリチウムベースのアノード(7)であり、
前記積層体は、金属層(8)を含むパッケージによって覆われ、
前記第1の電流集電体(2)は前記パッケージから突出し、
前記第2の電流集電体(3)が前記金属層(8)と接触しているマイクロバッテリであって、
30nm未満の厚さをもつアルミナプラグ(9)が前記第1の電流集電体(2)と前記金属層(8)との間に配設され、
前記第1の電流集電体(2)と接触している前記電極が前記アルミナプラグ(9)によって前記金属層(8)から電気的に絶縁されている、ことを特徴とするマイクロバッテリ。
【請求項2】
前記アルミナプラグ(9)が20nmと30nmとの間に含まれる厚さを有することを特徴とする、請求項1に記載のマイクロバッテリ。
【請求項3】
前記アルミナプラグ(9)は、10−4g/m/J未満の透過率を有することを特徴とする、請求項1または2に記載のマイクロバッテリ。
【請求項4】
前記パッケージは、前記金属層(8)と前記積層体との間に挿入されたポリマ製の被覆層(11)を含むことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のマイクロバッテリ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のマイクロバッテリを製造する方法であって、
前記第1の電流集電体(2)および前記第2の電流集電体(3)を前記基板(1)に形成することと、
前記アルミナプラグ(9)を前記第1の集電体(2)に形成し、前記積層体を製作することと、
一方で前記第2の電流集電体(3)と接触し、他方で前記アルミナプラグ(9)と接触している前記金属層(8)によって前記積層体を封入することと、
を逐次的に備えることを特徴とする方法。
【請求項6】
前記電極の一方は、前記第1の電流集電体と接触しているカソードであり、
前記カソードは、TiOS、TiS、またはVから選択された材料から作られることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記アルミナプラグは、20℃と60℃との間に含まれる温度でALDによって堆積されることを特徴とする、請求項5または6に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−123576(P2010−123576A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−265986(P2009−265986)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【出願人】(502142323)コミサリア、ア、レネルジ、アトミク−セーエーアー (195)
【氏名又は名称原語表記】COMMISSARIAT A L’ENERGIE ATOMIQUE
【Fターム(参考)】