説明

モンテルカストを製造するためのプロセスおよびそのための中間体

式(11)の化合物を用いて式(1)の製薬学的に有用な化合物およびその塩であるモンテルカストを製造するためのプロセスが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許法第119条e項の下で、2005年11月18日に出願された米国仮特許出願第60/737,752号;2006年4月24日に出願された米国仮特許出願第60/794,429号;および2006年9月1日に出願された米国仮特許出願第60/824,382号からの優先権の利益を主張するが、各仮特許出願の全内容は引用することにより本発明の一部をなすものとする。
【0002】
[発明の分野]
本発明は、医薬物質であるモンテルカストの合成、ならびに合成において有用な中間体およびプロセスに関する。
【0003】
モンテルカストは化学的に[R−(E)]−1−[[[1−[3−[2−(7−クロロ−2−キノリニル)エテニル]フェニル]−3−[2−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)フェニル]プロピル]チオ]メチル]シクロプロパン酢酸であり、以下の式(1)
【化1】

の構造を有する。
【背景技術】
【0004】
モンテルカスト一ナトリウム塩(モンテルカストナトリウム)は、一般に喘息および/または季節性アレルギーを治療するために使用される。これは、経口錠剤、チュアブル錠、および顆粒剤の形状で、SINGULAIR(登録商標)(Merck社)という商標名で市販されている。
【0005】
BELLEY et al.に付与された米国特許第5,565,473号(対応する欧州特許第0480717号もまた参照)は、モンテルカストおよびその塩を含む製薬学的に有用な化合物類を開示している。米国特許第5,565,473号の実施例146と関連して実施例161は、以下のようなモンテルカストナトリウムの合成を開示している。
【化2】

【0006】
本明細書で使用されるTHPは、テトラヒドロピラニル基を意味する。
【0007】
一般的にモンテルカストを含む可能性がある不飽和ヒドロキシアルキルキノリン酸を製造するための、多数の他の合成スキームは、米国特許第5,565,473号において提案されている。しかし、これらの他のスキームはいずれも、モンテルカストの製造に特別には適用されなかった。例えば、米国特許第5,565,473号における方法Bは、「一般式(XII)」の化合物を式R2Mの有機金属化合物と反応させて「一般式(Ia)」の化合物を生じさせる工程を含む。モンテルカストのための対応する置換基を適用することで、本方法は以下のスキームに従うが、式(2)の化合物は「一般式(XII)」
【化3】

の代表的化合物である。Mは、方法AにおいてMgBrまたはLiであると示唆されている。「一般式(XII)」の化合物を製造するために唯一開示されたプロセスは、モンテルカストを製造するためには、すなわち式(2)の仮説的な化合物を製造するためには望ましくない。詳細には、方法Bにおけるプロセスは、「一般式(XI)」の化合物とのカップリング反応を必要とする。モンテルカストのために対応する置換基が適用されると、反応は以下のようになる。
【化4】

しかしこのプロセスは、モンテルカスト合成のために必要とされる上記で示唆したR−立体配置にある化合物(2)を立体選択的に提供できない。その代わりに、ラセミ体生成物しか得られず、ラセミ化合物を単一エナンチオマーに分割する方法は全く提案されていない。
【0008】
モンテルカストを製造するための適切なプロセスは、メチルエステル化合物(18)
【化5】

から出発する。化合物(18)は、先行技術の既知の化合物(欧州特許第480717号における化合物XXVII)であり、欧州特許第480717号における実施例146の工程1〜2によって生成できる。これは一水和物として固体状で単離できる。
【0009】
2005年3月17日に出願された特許出願US−2005−0245568−A1号においては、式(20)
【化6】

のアセチルチオエステル化合物は、モンテルカストを製造するためのプロセスにおける中間体として開示され、以下の反応スキーム
【化7】

に示したように化合物(18)から生成できる。化合物(20)は、任意選択的にチオール化合物(3)
【化8】

への変換後に、上述したUS−2005−0245568においてより十分に記載するようなヒドラジンを用いた処理によって、式(5)
【化9】

(上記の式中、Rは水素もしくはC1−C4アルキル基であり、そしてLはハロゲンまたはアルキル−スルホニルオキシ基もしくはアリール−スルホニルオキシ基から選択される脱離である)の化合物と反応させられると、米国特許第5,565,473号におけるように式(2)もしくは(2a)
【化10】

(式中、RはC1−C4アルキル基である)の化合物を生成することができる。そこで、式(5)においてRが水素である場合は、化合物(2)が直接的に形成される。式(5)においてRがC1−C4アルキル基である場合は、式(2a)の化合物が生成される。Lは、典型的には、クロロ基、ブロモ基、メシルオキシ基、ベシルオキシ(besyloxy)基もしくはトシルオキシ基を表すと記載されている。この反応は、塩基の存在下で、好ましくは不活性ガスの雰囲気下において、不活性溶媒中で起こさせることができる。式(2)および(2a)の化合物は、米国特許第5,565,473号に示されるように、一般にはハロゲン化メチルマグネシウムによって、モンテルカストもしくはその塩へ変換させることができる。
【0010】
2005年3月17日に出願されたUS−2005−0245569−A1において開示されている代替的な反応経路では、化合物(20)が、テトラヒドロフランなどの不活性溶媒中でメチルリチウムと反応させられると、以下の反応スキーム
【化11】

に示されるように化合物(6)が生成される。
【0011】
次の工程では、化合物(4)が、式(6)の化合物からヒドラジンとの反応によってインサイチューで製造されるが、これは引き続いてモンテルカストへ変換させられる。この反応スキームは、以下のように表すことができる。
【化12】

【0012】
大規模製造のために、および/または上述した様々な方法を改善するために適切なモンテルカストを製造する代替方法を提供することが望ましい。詳細には、良好な収量および高純度を達成できる、そして確実に制御できるプロセスが工業的製薬化学において重要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、モンテルカストおよび/またはモンテルカストナトリウムを製造するための新規な固体中間体を含む数種の新規な化合物ならびにこれらを製造および使用するプロセスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
第1態様では、本発明は、式(11)
【化13】

の新規な、好ましくは固体状態にあるチオラクトン化合物((3R)−{3−[(E)−2(7−クロロ−2−キノリニル)ビニル]フェニル}−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[c]チエピン−1−オンである)およびその塩を取り扱う。
【0015】
第2態様では、本発明は、以下の順序
【化14】

を含む、式(11)の化合物を製造するプロセスを提供する。本プロセスは、化合物(11)の単離、および必要に応じて、精製を含む。
【0016】
第3態様では、本発明は、化合物(11)の使用によって、好ましくは単離および/または精製された化合物(11)から、モンテルカストを製造するためのプロセスを提供する。便宜的には、化合物(11)の使用またはモンテルカストへの変換は、以下の順序
【化15】

を含む。
【0017】
全体的なプロセスは、固体状態で単離して精製できる適切な中間体を提供できる点に長所があり、化合物(20)から化合物(4)を製造する製造プロセスのために有毒なヒドラジンの使用を必要としない。
【0018】
本発明の第4態様は、化合物(4)の酸付加塩、特に化合物(4)のトシレート塩もしくはベシレート塩に関する。これらの塩は、固体状態で、典型的には結晶状態で単離することができるが、このことはモンテルカストの合成において有利であり得る。
【0019】
本発明の第5態様は、不純物を抑制するため、および/またはモンテルカストもしくはその中間体を製造する際におけるハロゲン化メチルマグネシウム(例、塩化メチルマグネシウム、臭化メチルマグネシウム、またはヨウ化メチルマグネシウム)とエステル基との間の還元的メチル化反応の間に起こる任意の反応を完了させるための、セリウム(III)化合物の使用に関する。そのような反応は、上記で言及した式(20)、(11)、(2)もしくは(2a)の化合物をハロゲン化メチルマグネシウムと反応させる工程を含む。これらのタイプの反応のために、三価セリウム化合物、特に三塩化セリウムの存在は、有利であり得る。
【0020】
本発明の第6態様は、式(5b)
【化16】

(式中、Rは直鎖状もしくは分枝状のC1−C4アルキル基であり、好ましくはメチル基である)の化合物に関する。これらの化合物は、モンテルカストを製造するための様々な合成アプローチにおいて有用である。
【0021】
本発明の第7態様は、式(20)の化合物の酸付加塩、特に塩酸塩およびベシレート塩に関する。そのような酸付加塩は、化合物(20)の精製において有用である。
【0022】
本発明の第8態様は、モンテルカスト酸を精製するためのプロセスであって、
i)モンテルカスト酸のトルエン溶液をシリカゲルなどの極性吸着剤に通して濾過し、そして任意選択的に前記モンテルカスト酸を沈降させる工程と;および
ii)光の非存在下でエタノールなどのプロトン性溶媒からモンテルカスト酸を結晶化させる工程とのうちの少なくとも1つを含むプロセスに関する。これら2つの工程は、組み合わせて使用でき、および/または個々の工程を1回以上繰り返すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本明細書を通して化合物もしくは化学式についての言及は、別なふうに規定されない限り、それらの塩基ならびに酸付加塩を含む。さらに、本明細書を通して使用する用語「単離された」は、より濃縮した形で標的化合物を回収できるように、その環境の少なくとも一部分から標的化合物を分離することを意味する。典型的には、単離工程は、相分離技術を含むが、標的化合物は、より濃縮された形でより容易に回収できる1つの相において選択的に得られる。単離技術の従来例には、沈降および/または結晶化(例、固液分離)、溶媒の全部もしくは一部分の蒸発もしくは蒸留による除去(例、気液分離)、例えば抽出もしくはデカンテーションなどによる液液相分離が含まれる。単離は精製作用を有することができ、そして頻回に精製作用を有するが、不純物自体が減少もしくは除去されることを必要としない。
【0024】
本発明の化合物(11)を製造するための出発物質は式(20)の化合物であるが、これは以下の反応スキーム
【化17】

に示されるように、メチルエステル化合物(18)から出発するプロセスによって得られる。化合物(18)は既知の化合物である。これは一水和物として固体状態で単離できる。化合物(18)は明確に特徴付けられた固体物質であるので、全モンテルカスト合成のための極めて好都合な出発物質である。
【0025】
化合物(18)を化合物(20)へ変換させるために適切なプロセスは、以下の順序を含む。
【0026】
第1工程では、化合物(18)のOH−基は、最初にそれをアルキル−スルホニルオキシ基もしくはアリール−スルホニルオキシ基、好ましくはメシルオキシ基などの反応性基Lに変化させることによって不安定化される。この生成物は一般式(19)の化合物であり、典型的にはメシルオキシ基を有する化合物(19a)
【化18】

が好ましい。メシル化反応は、適切な塩基、例えばトリエチルアミンなどの3級アミンの存在下で、不活性溶媒中において化合物(18)を塩化メタンスルホニルと接触させる工程を含む。
【0027】
不安定化合物(19)は次に、不活性溶媒中において、そのチオ酢酸もしくはその塩、例えばチオ酢酸ナトリウムもしくはチオ酢酸カリウムとの反応によってアセチルチオエステル化合物(20)に変換される。チオ酢酸が使用される場合は、典型的には塩基、例えばトリエチルアミンもまた存在する。この方法により、不安定性L基は、CH3−CO−S−基と置換される。この反応は、通常は、トルエン、ジメチルホルムアミドもしくはその混合物などの適切な不活性溶媒中で、そして一般には常温に近い温度、および常温を含む温度、例えば0〜60℃で進む。
【0028】
反応混合物の従来型のワークアップに、化合物(20)は、典型的には、油である遊離塩基として単離される。しかし本発明者らは、塩基(20)が、極めて弱い塩基ではあるが、酸付加塩に変換されることができ、その一部は固体化合物として単離され得ることを見い出した。この態様から、好ましい塩は塩酸塩(20a)およびベンゼンスルホン酸塩(20b)
【化19】

であり、さらに適しているのは、p−トルエンスルホン酸塩(20c)および硫酸塩(20d)である。固体状の化合物(20)の単離は、副生成物の多くが反応混合物中に残留するので、通常は精製作用と結び付いている。さらに単離された生成物の光学純度は、一般には化合物(20)が遊離塩基として単離される場合より高い。
【0029】
酸付加塩は、化合物(20)をC2−C8脂肪族ケトン、例えばアセトン、C2−C8脂肪族エステル、例えば酢酸エチル、C1−C4脂肪族アルコール、例えばイソプロパノール、C2−C6脂肪族アミド、例えばジメチルホルムアミド、およびそれらの混合物などの適切な溶媒中で対応する酸と接触させることによって調製され得る。接触温度は、−20℃から溶媒の沸点までであってよい。塩は、一般に自然に沈殿し、常温で、または常温に近い温度、典型的には0〜35℃で単離できる。化合物(20)を酸付加塩として、および好ましくは塩酸塩(20a)として単離した後、生成物は99%の化学純度または98%以上の光学純度を有し得る。
【0030】
化合物(20)の単離された塩は、遊離塩基に変換することができ、または次の反応工程において塩として使用できる。これらの工程の全体的な長所は、化合物(20)が安定した、処理に適した固体で単離され、塩の単離が次の反応工程の前に化合物(20)の精製の可能性をもたらすことにある。従って塩酸塩(20a)およびベシレート(20b)は、本発明の特定の態様を形成する。
【0031】
化合物(20)もしくはその酸付加塩は、次に中間体化合物(11)に変換させることができる。この変換は、一般に、化合物(20)をハロゲン化メチルマグネシウム、好ましくは塩化メチルマグネシウム、臭化メチルマグネシウム、またはヨウ化メチルマグネシウムと反応させることによって実施される。典型的には、反応はトルエンなどの不活性溶媒中で2〜3モル当量のハロゲン化メチルマグネシウムのエーテル溶液を用いて実施される。反応温度は、一般には10℃を超えてはならず、好ましくは0〜5℃の間であるが、特に反応の後期にはより高温を使用できる。反応時間は、好ましくは1〜6時間である。反応経過は、適切な分析技術、例えばHPLCによってモニタリングできる。反応が完了した後、反応混合物は水溶液(好ましくは希釈酢酸などの酸性水溶液)を用いた処理によってワークアップされ、生成物は、好ましくは有機溶媒によって抽出されて溶媒から単離される。
【0032】
得られたままの粗固体生成物(11)は、さらに必要であれば所望の純度を得るために、結晶化、またはカラムクロマトグラフィなどの任意の適切な技術によってさらに精製することができる。有利には、化合物(11)は、環状エーテル溶液(例、テトラヒドロフランもしくはジオキサン)と、C1−C4アルコール(例、メタノールもしくはエタノール)、C2−C6エステル(例、酢酸エチル)、C4−C8炭化水素(例、トルエン)、C3−C8ケトン(例、アセトン)およびそれらの混合物から選択される第2の液体との混合物を含む溶媒からの結晶化によって精製され得る。結晶化は、(i)化合物(11)を高温溶媒混合物中に溶解させてその後にこの溶液を冷却させる工程と、(ii)貧溶媒としての第2の液体を環状エーテル溶液中の化合物(11)の溶液に加える工程と、または(iii)これらの冷却する工程と貧溶媒技術の組み合わせによって実施することができる。または、精製は、化合物(11)を酸付加塩として結晶化させる工程によって達成できる。一般に、化合物(11)は、塩を形成するために有機酸もしくは無機酸で処理され、またはこれらと結合させられる。例えば、塩酸と接触させる工程は、塩酸塩(11a)
【化20】

を形成する。塩、および好ましくは塩酸塩(11a)は、反応混合物から固体状態で単離でき、それによりほとんどの副生成物および剰余の試薬は母液中に残留する。この塩は、適切な有機もしくは無機塩基を用いた処理によって遊離塩基に変換することができ、それにより化合物(11)はより高純度で得られるが、このことは次の反応工程を実施するためには必要とされない。
【0033】
有利には、化合物(11)は少なくとも90%の化学的純度および/または光学純度を有し、98%以上の純度を示すことさえある。
【0034】
式(11a)の塩酸塩は、本発明の特定の態様を形成する。生成物(11)、特別には(11a)などのその塩は、品質の低下を伴わずに従来型の保存条件で保存されてもよく、このことは特に工業規模で有利である。
【0035】
次の工程では、化合物(11)はモンテルカストに変換される。典型的なスキームでは、このプロセスは式(4)の中間体もしくはその塩を介して進行する。
【化21】

化合物(11)は、ハロゲン化メチルマグネシウム、すなわち塩化メチルマグネシウム、臭化メチルマグネシウム、もしくはヨウ化メチルマグネシウムを用いて、例えばテトラヒドロフラン中などのエーテル溶媒中において、任意選択的にトルエンなどの不活性共溶媒の存在下で、化合物(4)を製造するために処理される。少なくとも2モル当量のメチルマグネシウム試薬が必要とされるが、有利には3〜8当量を使用してもよい。反応温度は、一般に−15〜15℃の範囲内にある。
【0036】
この反応工程では多量の不純物が出現することが見い出されている。この不純物は、式(12)
【化22】

のケトンであり、これは化合物(11)の開環反応の一次生成物である。このケトンは次の当量のハロゲン化メチルマグネシウムと反応して所望の3級アルコール(4)を形成することが予測できるが、この反応はある程度までしか起こらず、10〜20%のケトンは、典型的には過剰のモル濃度のハロゲン化メチルマグネシウムの存在下および長時間処理下でさえ反応混合物中に残存する。これは、化合物(12)が、エノール化する傾向にあり、その化合物がそれ以上反応するのを阻害するためであると理論付けられている。しかし、反応混合物中における化合物(12)の形成は、エノール化を抑制し、このため化合物(12)のより完全な変換をもたらすセリウム(III)塩、例えば三塩化セリウムを反応混合物に添加する工程によって最小限に抑えることができることが見い出されている。セリウム(III)塩は、有利には活性セリウム(III)塩であってよい。セリウム(III)塩の活性は、その使用前にその塩を環状エーテル、例えばテトラヒドロフランなどのエーテル溶媒を用いて、コンディショニングもしくはインキュベートする工程によって増強できる。そのようなコンディショニングの結果として強化された活性を示すセリウム(III)塩は、「活性化されたセリウム(III)塩」である。便宜的には、セリウム(III)塩は、環状エーテル、好ましくはテトラヒドロフランの溶液もしくは懸濁液中に加えられ、これにより塩および環状エーテルは、この試薬の使用前に、少なくとも4時間、典型的には少なくとも8時間にわたり、そして一部の実施形態では、少なくとも12時間にわたり相互に接触させられる。そのような方法で、セリウム(III)塩の活性は、実質的に強化され、「活性化されたセリウム(III)塩」の使用が可能になる。塩化メチルマグネシウムもしくは臭化メチルマグネシウムの場合には、活性化されたセリウム(III)塩が存在しないと、これら2つのハロゲン化物は極めて低い変換率をもたらすことから、活性化されたセリウム(III)塩の存在は特に重要であることが観察された。セリウム化合物の量は、少なくとも1モル当量であり、有利には2〜4モル当量である。セリウム(III)塩、および好ましくは活性セリウム(III)塩を使用することにより、反応混合物中に残存しているケトン化合物(12)の量は、5%未満および1%未満でさえであり得る。反応の経過は、適切な分析方法、例えばHPLCによってモニタリングできる。
【0037】
従来型ワークアップ(酸性水溶液によるマグネシウムを含む錯体の分解)後に、不活性溶媒中の化合物(4)の溶液は、次の反応工程のために直ちに使用されてもよく、または不活性溶媒を最初に蒸発させてもよい。しかし、一般に、化合物(4)は以下でより詳細に記載されるように塩として単離される。
【0038】
代替プロセスでは、化合物(4)は、かなりの過剰なハロゲン化メチルマグネシウム、詳細にはヨウ化メチルマグネシウムを使用することによって、化合物(11)の単離を行わずに化合物(20)から直接的に製造することもできる。このプロセスは、CN1420113Aにおいて提案されている。このプロセスでは、ケトン不純物も相当な量(5〜10%)が形成されるので、ケトン不純物(12)についての同様の問題が発生する。セリウム(III)塩、例えば三塩化セリウム、および好ましくは上記に規定した活性セリウム(III)塩が、ハロゲン化メチルマグネシウムを活性化させるために使用できることは見い出されている。このように、ケトン不純物の量は、驚くほど最小限に抑えられ、プロセスは相当に大きく改善される。さらに、CN1420113に開示された条件下ではヨウ化メチルマグネシウムしか反応しないことが観察されているが、塩化メチルマグネシウムもしくは臭化物メチルマグネシウムがそのような修飾後の反応に使用されてもよい。
【0039】
化合物(4)は、上述した合成プロセスのいずれかによって調製された場合は、塩基として固体状態では一般に単離不能である。このため、その精製は、所望の場合は必ず、問題を生じさせる。しかし、化合物(4)は、結晶である酸付加塩に変換させることができる。反応混合物から結晶塩を沈降させることによって、副生成物、特にケトン不純物の多くが溶液中に残留するので、化合物(4)の全体の純度は改善される。
【0040】
化合物(4)の固体状態で沈降させることのできる適切な塩は、塩酸塩(4a)、トシレート(4b)およびベシレート(4c)
【化23】

である。
【0041】
有利な態様においては、化合物(4)、特に化合物(4a)、(4b)もしくは(4c)の塩は、化合物(4)の溶液を例えばトルエン中で当量の対応する酸と常温で反応させることによって固体状態で調製できる。沈降を誘導もしくは改善する貧溶媒(例、酢酸エチル)は、このプロセスを改善するために引き続いて添加することができる。
【0042】
1つの実施例では、化合物(4)の最初の80%の純度は、この単純なプロセスによって沈降させられたトシレート(4b)またはベシレート(4c)の純度を96%へ強化することができる。詳細には、望ましくないケト不純物は、生成物からこの方法で除去され得る。
【0043】
さらに、塩は長時間にわたり実質的に分解を生じさせずに化合物(4)を貯蔵するための適切な手段である(化合物(4)はもともと極めて不安定な化合物である)。この態様から、化合物(4b)および(4c)は、それらが結晶性の安定性な物質として単離できるので、特に適している。さらに、塩(4a)、(4b)および(4c)は、化合物(4)の品質および/または化合物(4)を使用する反応の経過をモニタリングするための分析標準として機能できる。
【0044】
モンテルカストを製造するプロセスにおけるさらなる工程のために、塩は、適切な塩基を用いた中和反応によって化合物(4)に容易に変換することができ、またはそれは塩として使用できる。次の工程では、化合物(4)(塩基および/またはその塩として)は、式(5)
【化24】

の化合物と反応させられる。式(5)の化合物中のRは水素もしくはC1−C4アルキル基であってよく、そして好ましくはメチル基もしくはエチル基である。脱離基Lは、ハロゲンまたは/およびアルキルスルホニルオキシ基もしくはアリールスルホニルオキシ基であってよい。
【0045】
チオール中間体(4)は、塩に変換されない場合は、特にチオール基のジスルフィド基への酸化反応を含む自然発生的な副反応を起こす傾向が強い。そこで塩基(4)が開裂工程後に使用される場合は常に、式(5)の化合物は不純物/副生成物を減少させるためにその後すぐに、一般には3時間以内、および典型的には1時間以内に添加されなければならない。同様に、(4)が塩へ変換され、そして塩基へ再変換される場合は、化合物(5)との反応は、再変換の比較的直後に行なわれなければならない。そのようなタイミングの問題は、後に使用するために固体状態で貯蔵さえできる化合物(4)の塩については余り重要ではない。後者は、化合物(5)との反応のために十分な反応性を維持しながら、そのような副反応に対してより安定である。実際には、化合物(4)がその塩基の形で使用される場合は、それはテトラヒドロフランなどのエーテル溶媒中に溶解/分散させられる。
【0046】
典型的には、水酸化リチウムまたはナトリウムメトキシドなどのアルカリ水酸化物もしくはアルコキシドは、(5)の側鎖の求核置換反応において塩基として機能する。この反応は、通常は、アルコールを含む溶媒混合物、例えばメタノール/アセトニトリル混合物もしくはメタノール/テトラヒドロフラン混合物である溶媒中で進行する。この反応は、一般には、窒素もしくはアルゴンなどの不活性ガスの雰囲気下で実施される。上記の条件の組み合わせは、チオール基のジスルフィド基への望ましくない副反応を最小限に抑えるために役立つ。
【0047】
上記で言及した公表された特許出願では、モンテルカストを製造するための一般式(5)の好ましい化合物は、式(5a)
【化25】

のブロモ−エステルであった。しかし本発明者らは、この化合物は所望の反応条件下で重大な副反応を起こすこと、特に環状構造(5−1)のシクロブタン誘導体を転位して産生し、頻回にはその後に構造(5−2)の開環生成物を産生することを見い出した。
【化26】

【0048】
どちらの副生成物も化合物(5a)自体と同様に反応性であるので、モンテルカストに構造的に関連する一連の不純物を産生し、所望の生成物からこれらを除去するためには困難が伴う。
【0049】
この態様から、モンテルカスト合成のためにより好ましい試薬は、式(5b)
【化27】

(式中、R’は直鎖状もしくは分枝状C1−C4アルキル基であり、好ましくはメチル基である)のp−メトキシベンゼンスルホニルオキシ化合物である。
【0050】
この分子内のp−メトキシ基の存在は、所望の改良された安定性を達成するために十分に高く、意図される反応相手との反応性が維持されるために十分に低い電子供与作用を提供する。
【0051】
メチルエステル[(5b)、R=メチル]は対応するブロモ化合物(5a)に類似する化学的安定性を有するが、それは例えば類似のメタンスルホニルオキシ化合物、p−トルエンスルホニルオキシ化合物もしくはベンゼンスルホニルオキシ化合物(これらは非常に不安定であるため、単離するのに困難が伴う)より安定である。この化合物は、ブロモ化合物について上記に示した転位および開環反応を起こす傾向が低い。そしてこれは、UV検出を用いるHPLCによる反応プロセスをモニタリングするために有用である従来型の波長254nmのUV光で極めて明確に検出することができる。したがって、化合物(5b)および特にメチルエステルは、本発明の特定の態様を形成する。
【0052】
化合物(5b)は、一般式(5)の化合物を製造するために当分野において既知の任意のプロセスによって生成できる。詳細には、それは式(15)
【化28】

(式中、RはC1−C4アルキル基である)の化合物をp−メトキシベンゼンスルホニルハロゲン化物、特にp−メトキシベンゼンスルホニル塩化物と、塩基、好ましくはピリジンの存在下で、スキーム
【化29】

にしたがって反応させることによって生成できる。
【0053】
それは、モンテルカストを製造するための任意のプロセスにおいて、すなわち本発明において好まれるように式(4)の化合物と反応させるためだけではなく、例えば反応相手として式(2)もしくは式(3)の化合物を使用するプロセスにおいても有用である。
【0054】
化合物(5)との反応の生成物が式(1a)
【化30】

(式中、RはC1−C4アルキル基であり、そして典型的にはメチル基である)のエステル化合物である場合は、それは通常は所望のモンテルカスト化合物(1)を提供するために加水分解によって変換される。好ましい加水分解条件は、アルカリ加水分解を含む。有利には、加水分解は、化合物(4)と化合物(5)とのカップリング後に反応混合物中において直接に起きる。これを実現するために、反応混合物は少なくとも等モル量の水を含む(添加されてもよく、またはもとから存在していてよい)。
【0055】
このプロセスの最終生成物はモンテルカスト酸である。これは製薬学的な用途自体において、例えば2004年10月8日に出願された米国特許公開第US−2005−0107426−A1号に開示されているように固体状態で使用されてもよい。または、モンテルカスト酸は既知の方法によって様々な塩に変換されてもよく、そのうちではナトリウム塩が好ましい。
【0056】
いくつかの重要な観察を含めなければならない。
a)セリウム(III)化合物の役割は、ハロゲン化メチルマグネシウムがエステル基の還元的メチル化のために使用される、モンテルカストを製造するための他のプロセスにおいても重要である。例えば、以前に公表された特許出願第US−2005−0245568−A1号に開示され、上記で略述した式(1)のモンテルカストへの化合物(2)の変換は、各々式(13)および式(14)
【化31】

を有し、所望の生成物中で不純物を生成する可能性がある安定性のケト−中間体の形成という同様の問題に苦しめられる可能性がある。三塩化セリウム、および好ましくは活性化された三塩化セリウムをハロゲン化メチルマグネシウムに添加することは、モンテルカスト中のこの不純物の量を実質的に最小限に抑える手段である。
b)本発明によるモンテルカストを製造する際の反応プロセスにおいて副生成物、および詳細には化合物(12)を最小限に抑えることの重要性は、式(12)の副生成物が基本的には主要試薬と同一の反応経路をたどるという発見から明白になる。従って、化合物(4)中に不純物として存在する場合は常に、それは化合物(5)と反応して、式(13)の不純物、典型的には式(13a)
【化32】

のメチルエステルが形成される。モンテルカスト酸を導く従来型の条件下でけん化させるに際し、それもまたけん化されて、最終のモンテルカストから除去するのが極めて困難である式(14)の不純物を生成する。
【0057】
結論として、本質的に、エステル基を備える試薬としてハロゲン化メチルマグネシウムを使用する、モンテルカストを製造するための任意の生成プロセスは、上記の式(12)の化合物に類似の対応するケト−不純物が形成されるという問題、特に化合物(13)および(14)の形成という問題に直面する可能性がある。したがって、そのような反応プロセスは化合物(12)、(13)および/または(14)の存在についてモニタリングされなければならず、そしてそれらの生成を抑制するための適切な手段が講じられなければならない。そのような手段の1つは、上記で例示したようにハロゲン化メチルマグネシウムにセリウム(III)塩を添加することであるが、精製プロセスを含む他の方法もまた見出されることは排除されない。結果として、化合物(12)、(13)および(14)は、モンテルカストを製造するプロセス、特に化合物(20)から出発する場合に、これをモニタリングする工程において参照標準物質として機能できるため、それら自体有用な化学生成物である。そこで、化合物(20)からモンテルカストを製造するプロセスは、有利には、関連する製造工程(例えば、ハロゲン化メチルマグネシウムとの反応のための基質として化合物(20)、(11)、(2)または(2a)を使用する工程)が、化合物(12)、(13)および(14)の群の適切なメンバーの存在についてモニタリングされ、そしてこの関連化合物の含量が、5%未満、好ましくは1%未満の規定限界を下回らない限りその後の反応工程が開始されないような方法で改良されることができる。このため、モニタリングを伴う、またはモニタリングを伴わない上述したプロセスは、1%未満の任意の不純物(12)、(13)および/または(14)の含量を有し、および/または99%より高いクロマトグラフィ純度を有するモンテルカストを提供することができる、そして好ましくは提供する。そのような高純度は、医薬品の製造において有利である。
【0058】
本発明のいくつかの態様と同程度に、式(11)のチオラクトン化合物を含んでいないモンテルカストの他の関連合成においても使用されることができ、以下のフローチャートは、例えばセリウム塩の使用、化合物(5b)の使用、化合物(20)の精製、特定種類の不純物のモニタリング等様々な合成スキームへの広範な適用性を図解しており、これらのすべてが本発明の一部と見なされる。
【化33】

【0059】
示されている試薬は必須ではなく、そしてすべての工程もしくは条件が図解されてはいないことを理解されたい。さらに全化合物は、化合物(20)からのスキームで得られるが、実際には、化合物(4)および(2)などの中間体化合物の多くは一般にBelley et al.において教示された方法などよって他の出発物質から製造できる。
【0060】
モンテルカストが生成されると、それを例えば製薬学的に許容される品質に精製するのが望ましいことが多い。典型的には、モンテルカスト酸は、ナトリウム塩へ変換される前に精製される。この段階での精製は、最終のモンテルカストナトリウムを精製する場合より容易で、より有効である。モンテルカスト酸はジシクロヘキシルアミンを用いて塩へ変換することができ、これによりそのような変換が精製作用を示すことは知られている。しかし本発明者らは、粗モンテルカスト酸を塩に変換せずに、効果的に精製することが可能であることを見い出した。改良されたプロセスは、以下の
i)モンテルカスト酸のトルエン溶液をシリカゲルなどの極性吸着剤に通して濾過し、そしてその後に任意選択的に沈降させる工程と;および
ii)光の非存在下でエタノールなどのプロトン性溶媒から結晶化させる工程とのうちの少なくとも1つを含む。
【0061】
トルエンは、多数の他の溶媒とは反対に、二重結合では実質的にシス−トランスの異性化は起こらないため、結晶化のために有利な溶媒である。極性吸着剤は、特に不安定な中間体(4)が合成プロセス内で使用される場合に生成される酸化生成物を効果的に除去する。アルコール溶媒は、化合物(4)および(5)の縮合による副生成物、特にシクロプロパン環の転位によって形成される副生成物を効果的に除去する。光の不在は、シス−トランスの異性化を最小限に抑える。
【0062】
有利には、これらの工程の両方が精製プロセスにおいて実施される。これらの工程は、2つ以上を使用する場合は、任意の順序で使用することができ、任意の工程を1回以上繰り返してもよい。これにより、99%を超える、そして99.5%さえを超える純度のモンテルカストが得られる。
【0063】
モンテルカストは、既知の技術によって、ナトリウム塩などのモンテルカスト塩に変換することができる。塩であるモンテルカストナトリウムのために有用な固体状の形態は、非晶質形態である。これはモンテルカストナトリウムを例えば石油エーテル、ヘキサン、ヘプタンおよびそれらの混合物などの脂肪族直鎖状もしくは分枝状C5−C10炭化水素溶媒と接触させ、非晶質モンテルカストナトリウムを沈降させることによって製造できる。n−ヘプタンは、一般に好ましい溶媒である。通常、溶媒は(少なくとも)モンテルカストナトリウムと接触させる間、攪拌される。有利な態様では、モンテルカスト酸は、水混和性有機溶媒中で水酸化ナトリウムもしくはナトリウムアルコキシドと接触させてその後に溶媒を除去することによってモンテルカストナトリウムに変換され、濃縮物(典型的には液体もしくは油である)は攪拌された炭化水素液中に緩徐に加えられ、それによって非晶質モンテルカストナトリウムが沈降する。沈降の温度は、有利には常温である。
【0064】
以下では本発明を非限定的な実施例によってさらに詳細に説明する。
【0065】
本明細書を通して、反対のことが言及されない限り、7−クロロ−2−キノリニル環に付着している二重結合は、すべての式において、モンテルカストにおけるのと同一の配置に2つの非水素置換基を有する。
【実施例1】
【0066】
[化合物(11)]
[工程1−化合物(20)]
500gのメチル2−((3S)−3−[2−(7−クロロ−2−キノリニル)−エテニル]−フェニル)−3−ヒドロキシプロピル)−安息香酸一水和物[化合物(18)]を反応器内に入れて3,000mLのトルエンを加えた。トルエン/水の混合物を共沸蒸留して除去した(800mL)。次に、トルエン溶液を室温に冷却した。この溶液は、480.11gの無水物の(18)を含有していた。
【0067】
この溶液に、227.0mLのトリエチルアミンを室温で加え、反応温度が40℃を超えないように110.2mLの塩化メタンスルホニルを滴下した。反応混合物を引き続いて25〜30℃で1時間攪拌した。次に605mLのトリエチルアミンを反応混合物に加え、さらに室温で5分間以内に156mLのチオ酢酸を加えた。反応混合物は引き続き3.5時間にわたり40〜45℃へ加熱した。1,000mLの水を反応混合物に加え、これを15分間攪拌した。層を分離し、有機層を引き続いて2×1,000mLの食塩液で洗浄し、減圧蒸留によってトルエンの大部分を除去した。その結果生じた溶液を濾過し、残留しているトルエンをロータリーエバポレータで乾燥するまで蒸発させると、粗化合物(20)の橙色がかった茶色の油性残留物が得られた。
収量:588g(104.3%)
【0068】
[工程2−化合物(11)]
アルゴン下で作業する。
24.40gの化合物(20)(実施例1から得た粗化合物)を260mLの無水トルエン(ベンゾフェノン/Naから蒸留した)中に溶解させた。溶液を0〜5℃に冷却した(氷/水浴)。温度が5℃を超えないように、ジエチルエーテル中の41mLのMeMgIをこの溶液に(20分間かけて)滴下した。反応混合物を攪拌し、0〜5℃に冷却した。反応はHPLCによってモニタリングした。反応を4.5時間後に停止させ、200mLの水を外側から冷却しながら緩徐に添加した。引き続いて反応混合物を12mLの氷酢酸により酸性化した。層を分離し、水層を100mLのトルエンで抽出した。有機抽出物をまとめ、硫酸マグネシウムを通して乾燥させた。混合物を濾過し、溶媒を乾燥するまで蒸発させると(45℃に加熱した浴)、25.52gの粗化合物(11)が得られた。
1H NMR(溶媒:CDCl3、領域[MHz]:400)
【0069】
【表1】

【実施例2】
【0070】
[化合物(11)]
アルゴン下での作業。
24.50gの化合物(20)を180mLの無水トルエン(ベンゾフェノン/Naから蒸留した)中に溶解させた。溶液を0〜5℃に冷却した(ドライアイス/水浴)。温度が5℃を超えないように、THF中の41mLの3MのMeMgClをこの溶液に(30分間かけて)滴下した。反応混合物を攪拌し、0〜5℃に冷却した。沈降は観察されなかった。反応はHPLCによってモニタリングした。反応混合物は混濁してきた(わずかな沈降)。反応を3時間後に停止させて100mLの水を外側から冷却しながら緩徐に添加した。引き続いて反応混合物を3mLの氷酢酸によりpH=4〜5に酸性化した。層を分離し、有機抽出物を無水硫酸マグネシウムを通して乾燥させた。混合物を濾過し、溶媒を乾燥するまで蒸発させると(45℃に加熱した浴)、20.05gの粗チオラクトン(11)塩基が得られた。
HPLC−蒸発後−80.69%
【実施例3】
【0071】
[化合物(11a)]
2.586gのチオラクトン(11)を18mLのトルエン中に40℃で溶解させた。溶液を室温に冷却し、7.1mLの1MのHCl水溶液を攪拌しながら加えた。混合物を室温で2時間攪拌した。沈降した固体物質を吸引によって分離し、5mLのトルエンで洗浄し、室温で乾燥させた。
HPLC:95.43%
収量:1.43g(63%)
【実施例4】
【0072】
[化合物(11a)]
2.182gのチオラクトン(11)を15mLのトルエン中に40℃で溶解させた。溶液を室温に冷却し、10mLの1MのHCl水溶液を攪拌しながら加えた。厚い沈殿物が出現したので、5mLのトルエンを用いて混合物を希釈した。混合物を室温で2時間攪拌した。沈降した固体物質は吸引によって分離し、5mLのトルエンで洗浄し、室温で乾燥させた。
HPLC:87.56%
収量:1.48g(77.26%)
【実施例5】
【0073】
[化合物(11)]
9.6mLのNaHCO3の5%水溶液を25mLフラスコ内に入れ、10mLのトルエンを加えた。混合物を攪拌し、1.43gの化合物(11a)を数回に分けて加えた。懸濁液を1.5時間にわたり40℃へ加熱した(42℃に加熱した油浴)(全固体物質は完全に溶解した)。層を分離し、水層を5mLのトルエンで抽出した。トルエン抽出物をまとめ、無水硫酸ナトリウムを通して乾燥させた。混合物を濾過し、溶媒を乾燥するまで蒸発させると(45℃に加熱した浴)、泡状の茶色がかった固体物質が得られた。
収量:0.132g(89.90%)
HPLC:91.93%
【実施例6】
【0074】
[化合物(4)]
アルゴン雰囲気下での作業。
0.450gの粉末状無水塩化セリウム(III)を1.44mLの無水THFと混合し、混合物を室温で16時間にわたり攪拌した。引き続き混合物を0℃に冷却し、0.96mLのMeMgCl(3M、THF溶液)を(5分間にわたり)滴下した。混合物は0℃で2.5時間攪拌した。その間に、0.234gのチオラクトン(11)を7mLの無水トルエンと混合し、すべての固体物質が溶解するまで混合物を60℃へ加熱した。溶液を室温へ冷却し、引き続いて0℃で有機金属反応剤の混合物へ(5分間かけて)滴下した。反応混合物を攪拌し、0℃に冷却した。反応の進行はHPLCによってモニタリングした。
50分後:RT=13.12分間−94.54%
【0075】
反応を1時間後に停止させ、外側から冷却しながら2.5mLの1MのHCl水溶液を用いてpH=4〜5へクエンチした。橙色から淡黄色へ変色した。混合物を室温で15分間攪拌し、層を分離させた。水層は2×10mLの酢酸エチルを用いて抽出した。有機抽出物をまとめ、10mLの食塩液および10mLの飽和炭酸水素ナトリウム溶液を用いて洗浄した。有機相は続いて硫酸ナトリウムを用いて乾燥させた。混合物を濾過し、溶媒をロータリーエバポレータで蒸発させると(45℃に加熱した浴)、部分的に結晶性の黄色残留物が得られた。
収量:0.23g(93%)の粗物質
【実施例7】
【0076】
[化合物(11a)]
[工程1]
化合物(20)(254.3g)を無水トルエン(1,870mL)中に溶解させた。溶液を0〜5℃に冷却した。テトラヒドロフラン(420mL)中のMeMgClの3M溶液を、温度が5℃を超えないように、化合物(20)の溶液へ滴下漏斗によって(40分間かけて)滴下した。反応混合物を攪拌し、0〜5℃に冷却した。反応はHPLCによってモニタリングした。
【0077】
反応を3時間後に停止させ、氷酢酸(72mL)を、外側から冷却(発泡)しながら反応混合物に緩徐に添加した。冷却を中断し、反応混合物を10分間攪拌した。引き続いて水(500mL)で希釈し、生じた混合物を室温で15分間攪拌した。層を分離し、有機抽出物を暗色フラスコ内に貯蔵した。これをそれ以上精製もしくは単離せずに次の工程において使用した。
【0078】
[工程2]
高濃度HCl(54mL)を工程1で調製したチオラクトン塩基の溶液に緩徐に添加した。混合物を室温で1.5時間攪拌し、次にさらに1時間0〜5℃で攪拌した。沈降した固体物質を吸引によって分離し、トルエン(2×150mL)を用いてフィルターケーキを洗浄した。固体の塩酸チオラクトンを室温で乾燥させた。
【実施例8】
【0079】
[化合物(4)]
アルゴン下および乾燥したガラス器具で作業する。
2.15gの粉末状無水三塩化セリウムを6.90mLの無水テトラヒドロフランと懸濁し、混合物を実験室の室温で19時間にわたり攪拌した。白色懸濁液を0℃に冷却し、テトラヒドロフラン中の3M塩化メチルマグネシウム(4.5当量)溶液を2.91mL滴下した。混合物を0℃で1.5時間攪拌し、14.60mLの無水トルエン中の1.00gの化合物(20)(純度87%、1.938mmol)を20分間かけて滴下した。混合物を0℃で265分間攪拌し、次に冷蔵庫(8℃)内に一晩(19時間)放置した。HPLCによって反応が不完全であることが見出されたので、テトラヒドロフラン中の1.94mgの3M塩化メチルマグネシウム(3当量)溶液を滴下した。この混合物をさらに2.5時間、8℃で攪拌した。
【0080】
この反応混合物に、15mLの水を8℃で加え、混合物を15分間攪拌した。pH値を氷酢酸(約4mL)によって4〜5へ調整し、混合物を濾過し、ろ液の層を分離し、10mLのトルエンを用いて水層を抽出した。まとめられた有機層を無水硫酸ナトリウムを通して乾燥させ、濾過した。
最後に、トルエン溶液を濃縮した。
収量:1.10g
【実施例9】
【0081】
[化合物(4b)]
化合物(4)のトルエン溶液は、8.5mmolの化合物(20)を用いて出発して、実施例8に従って調製した。
【0082】
この溶液(約100mL)に、p−トルエンスルホン酸一水和物(1.5g)を室温で攪拌しながら数回に分けて加えた。この混合物を室温で1時間攪拌した。25mLの酢酸エチルを加え、混合物をさらに20分間攪拌した。
【0083】
固体を濾過によって収集し、10mLの酢酸エチルを用いて洗浄した。
収量:2.75g、96%純度。
【実施例10】
【0084】
[モンテルカスト(化合物(1))]
1.00gのトシレート(4b)を5.00mLの無水テトラヒドロフランおよび13.00mLのメタノールの混合物中に懸濁させた。次に、0.42gの化合物(5a)を加えた。攪拌されたこの混合物に、3.0mLのメタノール中の0.251gのナトリウムメトキシドの溶液を20℃で40分間かけて滴下した。この混合物を実験室温度で21.5時間攪拌した。次に、1.5mLの水に溶けた0.31gの水酸化ナトリウムを1回で加え、混合物を55℃で105分間にわたり加熱した。次に10mLのトルエンを加え、揮発性溶媒(メタノール、テトラヒドロフラン)を減圧エバポレータ(50℃)で除去した。6mLの水を加え、0.5mLの氷酢酸を用いてpH値を5に調整した。混合物を15分間攪拌し、次に層を分離させるために放置した。水層は2×10mLのトルエンを用いてアルゴン存在下で抽出した。
【0085】
まとめられた有機相を濃縮し、5mLのジクロロメタンを加え、再び濃縮した。残留物を10mLのトルエンと混合し、35℃に加熱し、モンテルカストの結晶を播種し、この温度で20時間にわたり維持した。混合物を20℃に冷却した後に濾過し、固体を2×2mLのトルエンで洗浄した。固体結晶生成物は、光から保護して20℃で乾燥させた。
収量:0.47g。純度(HPLC)96.93%。ケトン化合物(14)の含量、0.03%。
【実施例11】
【0086】
[化合物(4)]
98gの無水塩化セリウム(III)を370mLの無水テトラヒドロフランと混合し、混合物を20〜25℃で13時間にわたり攪拌した。混合物を次に0〜5℃に冷却し、テトラヒドロフラン中の132mLの塩化メチルマグネシウムの3M溶液を5分間で滴下した。混合物は0〜5℃で2.5時間攪拌した。
【0087】
別個に、50.5gの化合物(11)を2Lのフラスコ内に入れ、20〜25℃で攪拌しながら550mLの無水テトラヒドロフラン中で溶解させた。この溶液を次に−10〜−15℃に冷却し、調製して事前に冷却した塩化セリウム/塩化メチルマグネシウムの混合物を化合物(4)の溶液に−10〜−15℃で3分間かけて添加した。この混合物をHPLC制御下において同一の温度で攪拌し、この反応を50分後に停止させた。250mLの水に溶けた36mLの氷酢酸の溶液を2分間かけて−5〜0℃で反応混合物へ緩徐に加え、この混合物を室温で15分間攪拌した。層を分離し、水層を、100mLのテトラヒドロフランを用いて洗浄した。3×100mLの飽和NaHCO3水溶液および200mLの食塩液を用いて、まとめられた有機抽出物を洗浄し、硫酸マグネシウムによって乾燥させ、濾過すると、テトラヒドロフラン中の950mLの化合物(4)の溶液が得られた。純度:96.00%(HPLC、IN)
【実施例12】
【0088】
[(20)の固体状態の酸付加塩]
a)化合物(20a)
152gの化合物(20)を457gの酢酸エチルと混合し、この混合物を65〜70℃に加熱した。ガス状のHCl(少なくとも1モル当量)を攪拌された溶液に通した(NB、または、酢酸エチル中の飽和HCl溶液、エタノールもしくはイソプロパノールを同様に使用してもよい)。生じた懸濁液を0〜5℃へ冷却し、2時間にわたり攪拌した。生成された結晶を濾過によって分離し、低温の酢酸エチルで洗浄した。結晶は12時間にわたり、減圧下、60℃で乾燥させた。収量:153gの黄色結晶、m.p.168℃。
【0089】
b)化合物(20b)
15.6gの化合物(20)および24gのアセトンを攪拌しながら30〜40℃に加熱した。5.3gのベンゼンスルホン酸をこの溶液に加えた。約3分後、結晶は分離し始めた。この懸濁液を25℃に冷却し、30分間攪拌した。固体生成物を濾過によって分離し、冷却されたアセトンを用いて洗浄した。結晶は12時間にわたり、減圧下、60℃で乾燥させた。収量:9gの黄色結晶、m.p.96〜97℃。
【0090】
c)化合物(20c)
17.9gの化合物(20)を16gのアセトンおよび47gのイソプロパノールの混合物中に懸濁させ、混合物を攪拌しながら60℃に加熱した。7.3gのp−トルエンスルホン酸一水和物を加え、生じた混合物に25℃へ冷却し、8時間攪拌した。結晶を濾過によって分離し、20gの冷却されたイソプロパノールを用いて洗浄した。結晶を12時間にわたり、減圧下、60℃で乾燥させた。収量:12.4gの黄色結晶、m.p.78.5℃。
【0091】
d)化合物(20d)
17.2gの化合物(20)を120gのアセトンと混合し、攪拌しながら3.7gの98%硫酸を緩徐に加えた。混合物を25℃に冷却した。固体生成物を濾過によって分離し、20gの冷却されたアセトンを用いて洗浄した。結晶は12時間にわたり、減圧下、60℃で乾燥させた。収量:4.1gの黄色結晶、m.p.90℃。
【実施例13】
【0092】
[化合物(5b)[R=メチル]]
アルゴン下での作業。
14.71gの化合物(15)[R=メチル]を41mLの無水ピリジン中に溶解させた。この混合物を0℃に冷却し、温度が7℃を超えないように25.05gのp−メトキシベンゼンスルホニル塩化物を7分間以内で少しずつ加えた。混合物を0℃で6時間攪拌した。変換はTLC(シリカゲル60 F254 Merck、トルエン中の10%(v/v)アセトン、UV 254nm)によってモニタリングした。混合物を−10℃で100mLのジクロロメタンで希釈し、温度が0℃を超えないような方法で34.2mLの濃HClを緩徐に加え、形成された2つの層を分離させた。水層(pH<1)を50mLのジクロロメタンで抽出し、まとめられた有機層を50mLの水、50mLの飽和NaHCO3水溶液および50mLの食塩液で洗浄した。有機層はMgSO4によって乾燥させ、揮発性物質は35℃、20トルで蒸発させた。収量:34.12gの浅黄色油。
【実施例14】
【0093】
[モンテルカスト(1)]
1.89gの化合物(5b)を15mLのトルエン中に溶解させ、この溶液を5℃に冷却した。次に3.5mLのナトリウムメトキシドの24%メタノール溶液を加えた。同一の温度で、44mLのテトラヒドロフラン中の2.37gの化合物(4)の溶液を6分間の間に滴下した。この混合物をHPLC制御下で23時間にわたり10℃で攪拌した。
【0094】
混合物を0℃に冷却した。次に25mLの5%NaCl水溶液中の1.44mLの酢酸溶液を温度が2℃を超えないような方法で加えた。透明な水層を分離し、有機層を、2%NaHCO3および5%NaClを含有する4×20mLの水溶液、次に20mLの食塩液を用いて洗浄した。有機層をMgSO4に通して乾燥させ、濾過し、揮発性物質を45℃、減圧下で蒸発させた。得られた黄色油を3mLの高温トルエン中に溶解させ、混合物を室温で一晩攪拌した。固体沈殿を濾過し、乾燥させると2.48gの浅黄色固体が生じた。
【実施例15】
【0095】
[モンテルカストの精製]
19.7gのモンテルカスト(純度93.2%)を96℃の180mLのトルエン中に溶解させ、この溶液を65℃に冷却した。2.0gのシリカゲル(Merck社、SiO2 60、40〜63ミクロン、230〜400メッシュ)を加え、混合物を10分間攪拌した。シリカゲルを濾過して除去し、20mLの高温のトルエン(65℃)を用いて洗浄した。濾液を28℃に徐々に冷却し、沈降した固体生成物を濾過し、2×5mLの低温のトルエンを用いて洗浄した。収量:16.39gの事前に精製されたモンテルカスト、純度(HPLC、IN)97.54%の光学純度(HPLC、キラルカラム)99.5%。
【0096】
16.10gの事前に精製されたモンテルカストを100℃の160mLのトルエン中に溶解させ、この混合物を25℃に徐々に冷却した。固体生成物を濾過して除去し、2×5mLの低温のトルエンを用いて洗浄した。収量:15.43gの精製モンテルカスト、純度(HPLC、IN)98.24%。
【0097】
15.20gの精製モンテルカストを80℃(浴温度)の77mLの無水エタノール中に光の非存在下で溶解させ、混合物を25℃に冷却した。固体生成物を濾過して除去し、2×5mLの低温エタノールを用いて洗浄した。収量:12.97gの純粋モンテルカスト、純度(HPLC、IN)99.0%、光学純度99.65%。
【実施例16】
【0098】
[非晶質モンテルカストナトリウム]
2.0gのモンテルカストを5mLのトルエン−メタノール混合物(4:1(v/v))中に50℃で溶解させた。混濁液を25℃に攪拌しながら冷却した。この温度で、0.33mLのNaOH水溶液(0.15g、3.75mmol)を20分間以内に滴下した。この溶液をこの温度で30分間維持し、0.05gの活性炭を加え、この懸濁液をセライトフィルタに通して濾過した。セライトは2×2mLのトルエンを用いて洗浄した。まとめられた溶液は38℃の浴温度で、減圧下でほぼ乾燥するまで蒸発させた。黄色粘性油が得られた。
【0099】
この油を10mLの攪拌されたn−ヘプタン中に滴下し、25℃で15分間にわたり攪拌した。白色沈殿が形成された。次に混合物をさらに17時間、25℃で攪拌した。沈殿を吸引濾過し、2×10mLのn−ヘプタンを用いて洗浄し、光から保護して室温で乾燥させた。収量:1.85gの白色非晶質固体。
【実施例17】
【0100】
[化合物(11)の調製および精製]
3.10kgの化合物(20a)(純度95%)を31Lの無水トルエン中に溶解させた。溶液を0℃に冷却し、60〜75分間、温度が5℃を超えないように、THF中の5.84Lの3MのMeMgClをこの溶液に滴下した。温度を15℃に上昇させ、反応混合物を15℃で3時間攪拌した。次に18Lの水を緩徐に加えた。水層を排出させ、反応混合物を引き続いて13.0kgの水中の1.50kgの氷酢酸を用いてpH=4〜5へ酸性化した。相を分離し、有機抽出物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液で抽出し、次に減圧下(35℃)でほぼ半分の濃度に一部濃縮した。濃縮された溶液を85℃へ加温し、3.0kgの酢酸エチルおよび2.0kgのエタノールを加え、還流された混合物を0℃に冷却した。固体生成物を濾過して除去すると、1.6kgの粗チオラクトン(11)塩基が得られた(HPLC純度>95%)。チオラクトン塩基を60℃で7.5kgのテトラヒドロフラン中に溶解させ、メタノール(7.5kg)を攪拌しながら30分間で添加し、溶液を0℃に緩徐に冷却した。沈降した固体を濾過し、500gのメタノールを用いて洗浄した。収量:1.56kgの化合物(11)、HPLC純度>99%。
【0101】
上記で言及した特許、特許出願、および学術論文の各々は、引用することにより本明細書の一部をなすものとする。本発明をこのように記載してきたが、当業者には、本発明の精神から逸脱せずに多数の方法で本発明を変化させられること、そしてそのような修飾のすべては特許請求の範囲に記載した本発明の範囲内に含まれることは明白である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)または(1a)
【化1】

(式中、RはC1〜C4アルキル基である)の化合物を製造するプロセスであって、
式(11)
【化2】

の化合物またはその酸付加塩を、塩化メチルマグネシウム、臭化メチルマグネシウム、ヨウ化メチルマグネシウム、およびそれらの組み合わせから選択されるハロゲン化メチルマグネシウムと反応させて、式(4)
【化3】

の化合物またはその酸付加塩を生成する工程を含むプロセス。
【請求項2】
前記反応が、少なくとも2モル当量、好ましくは少なくとも3モル当量の前記ハロゲン化メチルマグネシウムを使用する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記反応が、セリウム(III)塩の存在下で実施される、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記反応が、エーテル共溶媒をさらに含む不活性溶媒中で実施され、好ましくは前記セリウム(III)塩が前記エーテル溶媒と接触させることによって活性化される、請求項1〜3に記載のプロセス。
【請求項5】
前記反応が、トルエンおよびテトラヒドロフランを含む溶媒系中で、3〜8当量の前記ハロゲン化メチルマグネシウムを使用して、三塩化セリウム(III)の存在下で実施される、請求項1〜4に記載のプロセス。
【請求項6】
任意選択的に前記式(4)の化合物を精製する工程と;
前記式(4)の化合物を式(5)
【化4】

(式中、Rは水素もしくはC1−C4アルキル基であり、好ましくはメチル基であり、およびLはハロゲン、アルキルスルホニルオキシ基、およびアリールスルホニルオキシ基から選択される脱離基である)の化合物と反応させて式(1)または(1a)の化合物を生成する工程とをさらに含む、請求項1〜5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記脱離基がp−メトキシベンゼンスルホニルオキシ基である、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記精製工程が、酸性塩として前記式(4)の化合物を結晶化させる工程を含む、請求項6または7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記酸性塩が、塩酸、トルエンスルホン酸、およびベンゼンスルホン酸から選択される酸を用いて形成される、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記式(1a)の化合物が、加水分解されて式(1)の化合物またはその塩が生成される、請求項1〜9に記載のプロセス。
【請求項11】
式(20)
【化5】

の化合物を塩化メチルマグネシウム、臭化メチルマグネシウムおよびヨウ化メチルマグネシウムから選択されるハロゲン化メチルマグネシウムと反応させて前記式(11)の化合物を生成する工程をさらに含み、好ましくは前記反応が炭化水素溶媒とエーテル共溶媒の混合物中で実施される、請求項1〜10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記化合物(11)が反応混合物から固体状態で単離される、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記化合物(20)が、ハロゲン化マグネシウムと接触させる工程の前に、前記化合物(20)を有利には塩酸塩(20a)、ベンゼンスルホン酸塩(20b)、p−トルエンスルホン酸塩(20c)および硫酸塩(20d)を含む群から選択される酸付加塩に変換させる工程によって好ましくは精製される、請求項11または12に記載のプロセス。
【請求項14】
前記化合物(11)を酸付加塩に変換させる工程と、前記酸性塩を単離する工程と、前記塩を中和する工程とによる前記化合物(11)の精製をさらに含む、請求項1〜13に記載のプロセス。
【請求項15】
前記塩が、式(11a)
【化6】

の塩酸塩である、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
前記塩(11a)が前記中和の前に反応混合物から固体状態で単離される、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
前記化合物(11)を前記中和の後に固体状態で単離する工程をさらに含む、請求項14〜16に記載のプロセス。
【請求項18】
化合物(11)が、環状エーテル溶液(例、テトラヒドロフランもしくはジオキサン)と、好ましくはC1−C4アルコール(例、メタノールもしくはエタノール)、C2−C6エステル(例、酢酸エチル)、C4−C8炭化水素(例、トルエン)またはC3−C8ケトン(例、アセトン)およびそれらの混合物から選択される第2の液体との混合物を含む溶媒から結晶化される、請求項1〜17に記載のプロセス。
【請求項19】
前記化合物(11)を高温の溶媒混合物中に溶解させ、その後、前記溶液を冷却する工程、貧溶媒としての第2の液体を環状エーテル溶液中の前記化合物(11)の溶液に加える工程、またはこれらの技術の組み合わせを含む、請求項18に記載のプロセス。
【請求項20】
塩化メチルマグネシウム、臭化メチルマグネシウムもしくはヨウ化メチルマグネシウムとの前記反応が、式(12)、(13)および/または(14)
【化7】

の化合物の存在についてモニタリングされ、前記反応条件は、好ましくはこれらの化合物のいずれかの含量が5%未満、好ましくは1%未満となるように調整される、請求項11〜19に記載のプロセス。
【請求項21】
式(1)のモンテルカスト酸の精製を含むプロセスであって、
i)モンテルカスト酸のトルエン溶液をシリカゲルなどの極性吸着剤に通して濾過する工程と、任意選択的に前記モンテルカスト酸を沈降させる工程と;および/または
ii)光の非存在下でエタノールなどのプロトン性溶媒からモンテルカスト酸を結晶化させる工程とを含む、請求項1〜20に記載のプロセス。
【請求項22】
式(11)
【化8】

の化合物またはその酸付加塩を、塩化メチルマグネシウム、臭化メチルマグネシウム、ヨウ化メチルマグネシウム、およびそれらの組み合わせから選択されるハロゲン化メチルマグネシウムと反応させて、式(4)
【化9】

の化合物またはその酸付加塩を生成する工程を含むプロセスであって、好ましくは前記反応が少なくとも2モル当量、好ましくは少なくとも3モル当量の前記ハロゲン化メチルマグネシウムを使用するプロセス。
【請求項23】
前記反応が、セリウム(III)塩の存在下で実施され、好ましくはエーテル溶媒と接触させる工程によって活性化される、請求項22に記載のプロセス。
【請求項24】
前記反応が、エーテル共溶媒をさらに含む不活性溶媒中で実施され、好ましくは前記反応がトルエンおよびテトラヒドロフランを含む溶媒系中において、3〜8当量の前記ハロゲン化メチルマグネシウムを使用し、そして三塩化セリウム(III)の存在下で実施される、請求項22または23に記載のプロセス。
【請求項25】
式(11)の化合物および/またはその酸付加塩を製造するプロセスであって、前記式(20)
【化10】

の化合物を塩化メチルマグネシウム、臭化メチルマグネシウムもしくはヨウ化メチルマグネシウムから選択されるハロゲン化メチルマグネシウムと反応させて、式(11)
【化11】

の化合物を生成する工程と、任意選択的に前記化合物(11)を酸付加塩に、好ましくは塩酸塩(11a)に変換させる工程とを含み、好ましくは前記反応が炭化水素溶媒およびエーテル共溶媒の混合物中で実施されるプロセス。
【請求項26】
前記化合物(11)が反応混合物から固体状態で単離される、請求項25に記載のプロセス。
【請求項27】
前記化合物(20)が、ハロゲン化マグネシウムと接触させる工程の前に精製され、および好ましくは前記精製が、前記化合物(20)を塩酸塩(20a)、ベンゼンスルホン酸塩(20b)、p−トルエンスルホン酸塩(20c)および硫酸塩(20d)を含む群から有利には選択される酸付加塩に変換させる工程を含む、請求項25または26に記載のプロセス。
【請求項28】
前記化合物(11)を酸付加塩に変換する工程と、前記酸性塩を単離する工程と、前記塩を中和する工程とを含む、前記化合物(11)を精製するプロセス。
【請求項29】
前記塩が、式(11a)
【化12】

の塩酸塩であり、および好ましくは前記塩(11a)が前記中和の前に反応混合物から固体状態で単離され、および/または好ましくは前記化合物(11)が中和の後に固体状態で単離される、請求項28に記載のプロセス。
【請求項30】
環状エーテル溶液(例、テトラヒドロフランもしくはジオキサン)と好ましくはC1−C4アルコール(例、メタノールもしくはエタノール)、C2−C6エステル(例、酢酸エチル)、C4−C8炭化水素(例、トルエン)、C3−C8ケトン(例、アセトン)およびそれらの混合物から選択される第2の液体との混合物を含む溶媒からの化合物(11)の結晶化を含む、化合物(11)を精製するためのプロセス。
【請求項31】
前記化合物(11)を高温の溶媒混合物中に溶解させる工程と、その後、前記溶液を冷却する工程と、貧溶媒としての第2の液体を環状エーテル溶液中の前記化合物(11)の溶液に加える工程と、またはこれらの技術の組み合わせを含む、請求項30に記載のプロセス。
【請求項32】
式(20)の化合物からモンテルカストを製造するためのプロセスであって、塩化メチルマグネシウム、臭化メチルマグネシウムもしくはヨウ化メチルマグネシウムとの反応を含む反応工程が化合物(12)、(13)または(14)の存在についてモニタリングされるプロセス。
【請求項33】
塩化メチルマグネシウム、ヨウ化メチルマグネシウムもしくは臭化メチルマグネシウムが式(11)または(20)または(2)または(2a)の化合物と反応する、請求項32に記載のプロセス。
【請求項34】
式(20)の化合物を精製するためのプロセスであって、未精製の化合物(20)を酸付加塩に、好ましくは塩酸塩(20a)に変換する工程と、前記塩を固体状態で単離する工程と、任意選択的に前記単離された塩を塩基に変換する工程とを含むプロセス。
【請求項35】
式(1)のモンテルカスト酸を精製するためのプロセスであって、
i)モンテルカスト酸のトルエン溶液をシリカゲルなどの極性吸着剤に通して濾過する工程と、任意選択的に前記モンテルカスト酸を沈降させる工程と;および/または
ii)光の非存在下でエタノールなどのプロトン性溶媒からモンテルカスト酸を結晶化させる工程とを含むプロセス。
【請求項36】
式(11)
【化13】

の化合物またはその酸付加塩であって、好ましくは前記化合物が式(11a)
【化14】

の塩酸塩である化合物。
【請求項37】
前記化合物が固体状態にあり、任意選択的に少なくとも90%の純度を有する、請求項36に記載の化合物。
【請求項38】
式(12)または(13)
【化15】

(式中、RはC1−C4アルキル基、好ましくはメチル基である)の化合物。
【請求項39】
式(4)
【化16】

の化合物の酸付加塩であって、好ましくは式(4b)
【化17】

のトシレート塩または式(4c)
【化18】

のベシレート塩である酸付加塩。
【請求項40】
式(20)
【化19】

の化合物の酸付加塩であって、好ましくは式(20a)の塩酸塩または式(20b)
【化20】

のベシレートである酸付加塩。
【請求項41】
式(1)または(1a)
【化21】

(式中、RはC1〜C4アルキル基である)の化合物を製造する際の、請求項36〜40に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2009−515922(P2009−515922A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540534(P2008−540534)
【出願日】平成18年11月20日(2006.11.20)
【国際出願番号】PCT/EP2006/011127
【国際公開番号】WO2007/057225
【国際公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(500415715)シントン・ベスローテン・フェンノートシャップ (10)
【Fターム(参考)】