説明

モータ駆動装置

【課題】磁極位置検出手段の情報を簡単に確認する方法を提供する。
【解決手段】磁極位置情報を出力する磁極位置検出手段と、磁極位置情報から磁極位置表示データ情報を出力する表示データ作成手段と、前記磁極位置表示データ情報を表示するデータ表示手段とを有することを特徴としたモータ駆動装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ駆動制御用アンプに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置をはじめとするFA分野の装置において、部品サイズの小型化、実装面積の省スペース化、タクトタイムの短縮などの要望が強まり、位置決め精度と応答性の向上が求められている。この要望に対応するため、磁極位置検出センサとモータ位置検出センサを用いた制御システムが考案されている。(例えば、特許文献1参照。)
また、制御システムにおいて、速度や位置を表示するための表示装置が一般的に備えられている。(例えば、特許文献2参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−182046号公報
【特許文献2】特開昭63−114589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来方式の場合、実際には磁極位置検出器とモータ位置検出器の取り付け時に初期設定が必要になり、その初期設定は煩雑である場合が多い。
【0005】
特にリニアモータを用いたシステムを構成する場合、モータ、スケール、サーボアンプなどのモータ制御器はそれぞれ別のメーカになり、さらにその組み合わせに関する初期設定を最終装置(半導体装置など)に組み込まれた状態で行われることが多い。
【0006】
通常、初期設定では、まずスケールと磁極位置検出器の各方向をモータ制御器のルールに合わせ込むことが必要になる。モータ制御器のルールとは、スケールからの位置情報の増加方向、モータを励磁するU、V、Wの三相の立ち上がり順序、磁極位置検出器からの磁極信号(CS1、CS2、CS3)の立ち上がり順序の関係を意味する。しかし、スケールを取り付けるリニアモータの仕様は数多く存在し、スケールについても取り付け方向は使用される装置によって変わるため、リニアモータとリニアスケールの組合せは無数になる。また、スケールやモータを製造・販売するメーカはそれぞれで独自のルールを持つため、リニアモータとリニアスケールを組み合せた実機への取り付けにおいて、モータへのスケールの取り付け方向と磁極位置情報の配線の関係などに一般的なルールがない。さらに、組み込む際には、モータ・スケール・サーボアンプのそれぞれについての幅広い知識が必要となる。これらの理由より、初期設定は非常に煩雑になり、またその初期設定を間違えた場合にはモータを正常に制御できず、動作確認時に装置を破損する可能性もある。そのため、その初期設定を確実に行う仕組みが必要になっている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、第1の発明は、システムに備えられた表示装置を利用し、磁極位置情報を簡単に表示することができる。
【0008】
第2の発明は、システムに備えられた表示装置を利用し、LEDの状態の変化で磁極位置情報を簡単に表示することができる。
【0009】
第3の発明は、システムに備えられた表示装置を利用し、磁極位置情報とモータ位置情
報の変化を同時に表示することで、磁極位置検出情報とモータ位置情報の関係を簡単に表示することができる。
【0010】
第4の発明は、システムに備えられた表示装置を利用し、LEDの状態の変化で磁極位置情報とモータ位置情報の関係を簡単に表示することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、磁極位置検出器からの出力信号の状態を簡単に確認することができ、磁極位置検出器の取り付けの確認を簡単に行うことができる。また、磁極位置情報とモータ位置情報の変化を同時に表示することで信号の関係を簡単に表示することができ、モータを実機に取り付ける際の初期設定の確認を簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例における装置全体の構成図
【図2】本発明の実施例における磁極位置信号とモータ位置情報と表示の関係説明図
【図3】本発明の実施例における磁極位置信号表を示す図
【図4】本発明の実施例における磁極位置構造図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施例について、図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明の信号表示方法を説明するためのシステム全体の構成図である。図1において、1はモータ、2はモータ1に取り付けられた磁極位置検出器、3はモータ1に取り付けられたモータ位置検出器、4は磁極位置検出器からの出力である磁極位置信号、5はモータ位置検出器の出力であるモータ位置情報、6は磁極位置信号4とモータ位置情報5を入力とする表示データ作成手段、7は表示データ作成手段の出力である磁極位置表示データ情報、8は表示データ作成手段の出力であるモータ位置表示データ情報、9は磁極位置表示データ情報7とモータ位置表示データ情報8を表示する表示部、10は表示データ作成手段6と表示部9を備えたモータ駆動装置である。また、図2は磁極位置信号4とモータ位置情報5と表示部9の関係説明図であり、磁極信号をそれぞれCS1,CS2,CS3とし、表示部9は7セグメントLEDとする。図2において、11はCS1の信号状態を表すセグメント、12はCS2の信号状態を表すセグメント、13はCS3の信号状態を表すセグメント、14はモータ位置情報の増加を表すセグメント、15はモータ位置情報の減少を表すセグメント、16はモータ位置情報の増減なしを表すセグメントとする。
【0015】
本発明は、図1に示すシステム全体の構成図において、モータ駆動装置10で実行され、以下に説明を記載する。まず、図2にモータ1をモータ位置情報の減少方向に回転させたときの信号の時間変化を示す。CS1、CS2、CS3はモータの磁極位置情報の信号であり、Low(または0)、High(または1)で表示される。ここで、モータの出力軸側から見てCW方向に回転した場合、磁極位置情報はCS1、CS2、CS3の順に立ち上がり、位置データは減少する関係が正しいとする。モータの磁極位置信号はCS1、CS2、CS3の3つ信号(CS信号)のH/Lの関係を持った信号として、モータ駆動装置10の表示データ作成手段6に入力される。表示データ作成手段6では、図2に示すように表示部の7セグメントLEDとCS信号の関係を予め決めておき、CS信号のH/Lの状態に応じてセグメントをオン/オフさせるように表示データを作成する。このようにすることで、CS信号の状態をオシロスコープなどの機器を用いることなく、モータ駆動装置の表示部のLEDのオン/オフ表示を利用して簡単に表示することができる。また、磁極位置情報の変化についてもLEDのオン/オフ表示の変化で簡単に確認することができる。
【0016】
また、モータ位置情報5は数値情報として表示データ作成手段6に入力され、表示データ作成部では、定期的に更新を行うモータ位置情報の変化(増加・減少・増減なし)を確認し、図2に示すように表示部の7セグメントLEDとモータ位置情報の変化の関係を予め決めておき、モータ位置情報の変化に応じてセグメントをオン/オフさせるように表示データを作成する。このようにすることで、モータ位置情報の変化を簡単に表示することができる。このモータ位置情報の変化と磁極位置情報の変化を同時に表示することで、実機にモータを取付ける際の初期設定が正しいかを簡単に確認することができる。
【0017】
なお、表示部に7セグメントLEDを用いて説明したが、単色または複色のLEDを使用してもよい。
【0018】
また、磁極位置信号の状態を各信号の状態をそのまま表示したが、図3に示すように磁極位置信号CS1、CS2、CS3の信号を0、1で表記し、CS3を上位ビット、CS1を下位ビットとして10進数で表示したものを表示データ作成部で変換し、表示してもよい。
【0019】
なお、CS3を上位ビット、CS1を下位ビットとして割当てたが、信号をどのビットに割当ててもよい。さらに変換に関しても8進数以上であれば、同様の関係を得ることができる。
【0020】
また、図4に示すように磁極位置情報は電気角一回転に対し、60度ずつで分割されている。この磁極位置情報が変化するエッジ、つまりCS1、CS2、CS3の変化の境界線に順番に番号をつけ、表示データ作成部で変換し、表示してもよい。なお、番号をつける順番は右回り、左回りのどちらでもよく、どのエッジから数え始めてもよい。
また、磁極位置情報が変化するエッジ、つまりCS1、CS2、CS3の変化の境界線に順番に番号をつけ、その番号の増加・減少と7セグメントLEDの関係を決めておき、表示データ作成部で作成して表示してもよい。
【0021】
また、モータ位置情報の変化を増加・減少・増減なしの3種類で表示したが、増加・減少のみでもよい。
【0022】
また、磁極位置信号を表示する表示部とモータ位置情報の変化を表示する表示部を分けて説明したが、1つの7セグメントLEDに割り付けてもよい。
【0023】
また、今回7セグメントLEDを2つの場合で説明したが、7セグメントLEDを多数実装された実機の場合、磁極位置信号から電気角情報(0〜360度等)に置き換えて数値で表示してもよい。
【符号の説明】
【0024】
1 モータ
2 磁極位置検出器
3 モータ位置検出器
4 磁極位置情報(CS1、CS2、CS3)
5 モータ位置情報
6 表示データ作成手段
7 磁極位置表示データ情報
8 モータ位置表示データ情報
9 表示部
10 モータ駆動装置
11 CS1の信号状態を表すセグメント
12 CS2の信号状態を表すセグメント
13 CS3の信号状態を表すセグメント
14 モータ位置情報の増加を表すセグメント
15 モータ位置情報の減少を表すセグメント
16 モータ位置情報の増減なしを表すセグメント


【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁極位置情報を出力する磁極位置検出手段と、磁極位置情報から磁極位置表示データ情報を出力する表示データ作成手段と、前記磁極位置表示データ情報を表示するデータ表示手段とを有することを特徴としたモータ駆動装置
【請求項2】
表示手段をLEDとし、前記LEDのオン/オフ状態で磁極位置情報を表示することを特徴とする請求項1記載のモータ駆動装置
【請求項3】
磁極位置情報を出力する磁極位置検出手段と、モータ位置情報を出力する位置検出手段と、前記磁極位置情報と前記モータ位置情報から磁極位置表示データ情報とモータ位置表示データ情報を出力する表示データ作成手段と、前記磁極位置表示データ情報とモータ位置表示データ情報を表示するデータ表示手段とを有することを特徴としたモータ駆動装置
【請求項4】
表示手段をLEDとし、前記LEDのオン/オフ状態で磁極位置情報とモータ位置情報を表示することを特徴とする請求項3記載のモータ駆動装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−199925(P2011−199925A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60607(P2010−60607)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】