説明

モータ

【課題】回転軸と回転体との結合強度が向上され、回転時にロータの安定性が確保されたモータを提供する。
【解決手段】本発明によるモータは、ステータ及びステータに支持されて回転するロータを含むモータにおいて、ロータは、ステータに回転可能に支持される回転軸30と、回転軸30と一体に回転する回転体10と、回転軸30と回転体10との間に介在するリング状のボディを備え、該ボディに、回転体10と結合するボディの外周面を延長した突出部22が備えられたハブ20と、を含むことを特徴とする。突出部22はステータに向かって突出していてよく、回転体10は、突出部22を支持する支持段差部を含むことができ、ハブ20は、回転軸30と結合する楔部24をさらに含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はモータに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的にスピンドルモータ(Spindle motor)はコンピュータ用ドライブなどの、精密な回転装置を必要とする電子製品に広く採用されている。スピンドルモータは、小型でありながら高速回転が可能であり、精密制御が容易であり、電力消費が少ないなどの様々な長所があり、今後その使用が増えることが見込まれている。
【0003】
このようなスピンドルモータは、回転するロータ(rotor)と、ロータの回転運動を支持するステータ(stator)と、を含むように形成されている。そして、ロータは、一般的に回転軸と、回転軸と結合している回転体と、で形成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、モータのスリム化の傾向に伴って、回転軸と回転体が結合される領域が小さくなり、これによって回転時にロータの安定性が低下するという問題が発生している。すなわち、モータのスリム化により、回転体と結合する回転軸が短くなり、回転体を支持する回転軸の面積が減少する。このため、回転体と回転軸の結合強度が低下して回転の際に発生する振動に対する抵抗力が弱まり、回転時のロータの安定性が低下することになる。
【0005】
こうした従来技術の問題点に鑑み、本発明は、ロータの回転時に安定性の確保されたモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施態様によれば、ステータ及びステータに支持されて回転するロータを含むモータにおいて、ロータは、ステータに回転可能に支持される回転軸と、回転軸と一体に回転する回転体と、回転軸と回転体との間に介在するリング状のボディを備え、該ボディに、回転体と結合するボディの外周面を延長した突出部が備えられたハブと、を含むことを特徴とするモータが提供される。
【0007】
突出部は、ステータに向かって突出していてよい。
【0008】
回転体は、突出部を支持する支持段差部を含むことができる。
【0009】
ハブは、回転軸と結合する楔部をさらに含むことができる。
【0010】
楔部はハブの内縁の部分に形成され、回転軸は楔部に対応して楔状に凹んだ結合段差部を含むことができる。
【0011】
ハブのステータに向かう面には流体溝が形成されていてよい。
【0012】
流体溝は、外径側に向かって傾斜させることができる。
【0013】
流体溝は、外径側に傾斜した辺を含む三角形の断面を有することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、回転軸と回転体との結合強度が向上して、ロータの回転時に安定性を確保することができる。また、モータのオイルの飛散を防止し、空気抵抗を低減することができる。
【0015】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施例によるモータを示す断面図である。
【図2】本発明の一実施例によるモータのロータを示す断面図である。
【図3】本発明の一実施例によるモータのハブを示す断面図である。
【図4】本発明の一実施例によるモータのハブを示す断面図である。
【図5】本発明の一実施例によるモータのハブを示す断面図である。
【図6】本発明の一実施例によるモータのハブを示す断面図である。
【図7】本発明の一実施例によるモータのハブを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、多様な変更を加えることができ、様々な実施例を有することができるが、本明細書では特定の実施例を図面に例示し、詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の実施例に限定するものではなく、本発明は、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変更、均等物及び代替物を含むものとして理解されるべきである。本発明を説明するに当たって、関係する公知技術についての具体的な説明が本発明の要旨をかえって不明瞭にすると判断される場合は、その詳細な説明を省略する。
【0018】
以下に、本発明の実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施例によるモータを示す断面図であり、図2は、本発明の一実施例によるモータのロータを示す断面図である。
【0020】
本発明の一実施例によるモータは、回転軸30、回転体10、及びハブ20を含むロータと、ロータを回転可能に支持するステータ40と、を含んでいる。
【0021】
一般的にモータは、ロータと、ロータの回転運動を支持するステータとを含むように形成されている。具体的には、ロータとしてはシャフト、ロータケースなどの形態のものがあり、ステータとしてはシャフトを回転可能に支持するハウジング、電磁石などの形態のものがある。
【0022】
本発明の一実施例によるモータは、図1に示すように、回転軸30、ロータケース、及びハブ20を含んでいる。
【0023】
回転軸30はロータの回転の中心軸であって、ロータの回転時にロータ全体を支える部分である。このために、回転軸30はステータ40に回転可能に支持されている。
【0024】
本実施例の回転軸30は、一部分がステータ40のハウジング42に挿入されて支持されている。そして、回転軸30とハウジング42との間にはベアリング44が介在し回転軸30の回転を可能としている。
【0025】
回転体10は、回転軸30と一体になって、回転軸30と共に回転する部分である。このために、後述するハブ20との結合により回転軸30に連結されている。
【0026】
本実施例の回転体10はロータケースであって、中央部にはハブ20と結合できるように貫通孔12が形成されている。
【0027】
ハブ20は回転軸30と回転体10とを一体化させる部分であって、回転軸30と回転体10との間に介在しているリング状のボディを備えている。ここで、ハブ20は、回転軸30に結合する部分だけ厚く形成でき、それによって、回転軸30と強固に結合するように回転軸30との結合領域の大きさを広くする役割を果たすことができる。
【0028】
特に、本実施例におけるハブ20は、ハブ20と回転体10との結合強度を高めるために、回転体10と結合するボディの外周面を延長した突出部22を備えている。すなわち、ハブ20の外周に沿って、回転体10と結合するハブ20の外周面の面積を拡大する突出部22が形成されている。
【0029】
これにより、回転軸30と回転体10とを、直接結合する場合に比較して、高い結合強度で結合することができる。したがって、ロータの回転時に振動に対する抵抗力が強化されてロータの回転安定性が向上する。
【0030】
ここで、突出部22はステータ40に向かって突出しているため、スリム化されたモータでもハブ20と回転体10との結合領域を最大限に確保することができる。
【0031】
また、ハブ20と回転体10との結合強度をさらに高めるために、図3に示すように、突出部22を支持する支持段差部14を回転体10に形成可能である。
【0032】
また、ハブ20と回転軸30との結合をさらに強固にするために、ハブ20は回転軸30と結合する楔部24をさらに含むことができる。具体的には、本実施例の楔部24は、回転軸30と結合するハブ20の内縁の部分に形成されている。そして、回転軸30には、楔部24が結合されるように、楔部24に対応して楔状に凹んだ結合段差部32が形成されている。
【0033】
一方、ハブ20には、ロータの回転の際の空気抵抗の低減や、オイル飛散の防止のために、ステータ40に面する面に流体溝26を形成可能である。
【0034】
図4から図7は、本発明の実施例によるハブ20における流体溝26を示す断面図である。
【0035】
ロータが高速回転するほど回転体10は空気抵抗を大きく受ける。特に、回転体10の表面で空気流の剥離が発生すると、回転体10の空気抵抗が大きく増加してロータの振動が激しくなる。このような空気流の剥離現象を防止するために、図4に示すように、ハブ20に流体溝26を多数形成して小さな乱流を発生させる。流体溝26によって発生した小さな乱流によって、空気流動が円滑になり、回転体10の表面で空気流動の剥離現象が発生するのが抑制される。このとき、図4及び図5に示すように、流体溝26の幅と深さはモータの作動回転数及び回転体10の直径などの設計仕様に応じて多様に変えることができる。
【0036】
また、流体溝26はオイルの飛散を防止する役割も果たす。この場合には、図6に示すように、流体溝26を外径側に向かって傾斜するように形成することができる。具体的には、本実施例のハブ20における流体溝26は、外径側に傾斜した辺を含む三角形の断面を有している。
【0037】
これにより、ロータの回転時に、遠心力により回転中心から外側に移動していくオイルが、傾斜した流体溝26に流入し、運動エネルギーを失って落ち込む。したがって、ロータの回転時に、オイルが回転体10の外部に流出され飛散されることを防止できる。このとき、図7に示すように、流体溝26の内径側端だけでなく、外径側端も傾斜するように形成することで、オイル飛散の防止効果をより向上させることができる。
【0038】
以上、本発明を実施例を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記の実施例の記載の範囲には限定されない。上記実施例に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0039】
10 回転体
14 支持段差部
20 ハブ
22 突出部
24 楔部
26 流体溝
30 回転軸
32 結合段差部
40 ステータ
42 ハウジング
44 ベアリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータ及び前記ステータに支持されて回転するロータを含むモータにおいて、
前記ロータは、
前記ステータに回転可能に支持される回転軸と、
前記回転軸と一体に回転する回転体と、
前記回転軸と前記回転体との間に介在するリング状のボディを備え、該ボディに、前記回転体と結合する前記ボディの外周面を延長した突出部が備えられているハブと、
を含むことを特徴とするモータ。
【請求項2】
前記突出部は、前記ステータに向かって突出していることを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記回転体は、前記突出部を支持する支持段差部を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のモータ。
【請求項4】
前記ハブは、前記回転軸と結合する楔部をさらに含むことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のモータ。
【請求項5】
前記楔部は、前記ハブの内縁の部分に形成されており、
前記回転軸は前記楔部に対応して楔状に凹んだ結合段差部を含むことを特徴とする請求項4に記載のモータ。
【請求項6】
前記ハブには、前記ステータに面して流体溝が形成されていることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載のモータ。
【請求項7】
前記流体溝は、外径側に向かって傾斜していることを特徴とする請求項6に記載のモータ。
【請求項8】
前記流体溝は、外径側に傾斜した辺を含む三角形の断面を有することを特徴とする請求項7に記載のモータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−19383(P2011−19383A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285587(P2009−285587)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】