ユーザインタフェースシステム
好適な実施形態のユーザインタフェースシステムが:表面を規定する層部と、当該層部を支持して空洞部を少なくとも部分的に規定する基板と、前記空洞部に連結されて前記空洞部を拡張するように構成され、これにより前記表面の特定領域を変形させる変位デバイスと、前記基板に連結されて前記表面の特定領域の近くのユーザタッチを検出するように適用されるタッチセンサと、前記基板に連結されて前記ユーザに画像を出力するように適用されるディスプレイとを具える。好適な実施形態のユーザインタフェースシステムは、携帯電話のディスプレイのような電子機器に組み込まれるように特に設計されているが、視覚的および触覚的な方法でユーザとのインタフェースとなる適切なデバイスに組み込まれてもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2008年1月4日に出願され、「System and Method for Raised Touch Screens」という名称の先の米国特許出願第11/969,848号の一部継続出願であり、参照によりその総てが組み込まれる。
【0002】
本発明は一般に、タッチセンシティブディスプレイに関する。より具体的には、本発明はタッチセンシティブディスプレイの一部を選択的に上昇させるためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
例えばタッチスクリーンのようなタッチセンシティブディスプレイは、ユーザがディスプレイ上に直接コマンドおよびデータを入力できる用途において非常に有用である。タッチスクリーンの一般的な用途は、携帯電話および産業用プロセス制御用のユーザインタフェースといった消費者製品を含む。特定の用途によって、これらのタッチセンシティブディスプレイは、小型の手持ち型PDAから、中型のタブレットコンピュータ、大型の工業機器にまでわたるデバイスにおいて、通常用いられている。
【0004】
同一のディスプレイ上でユーザがデータを入出力可能であることが、大抵は便利である。別個の輪郭のはっきりとしたキーを有するキーパッドのような専用の入力機器と異なり、殆どのタッチセンシティブディスプレイはほぼ平坦である。その結果、タッチセンシティブスクリーンには、1以上の制御「ボタン」について触覚的誘導が設けられていない。代わりに、タッチセンシティブディスプレイは、ユーザ入力について視覚的誘導に依拠している。
【0005】
従って、タッチセンシティブディスプレイの重大な欠点は、近接するボタンを手触りで区別できないため、正確にデータを入力することが本質的に難しいことである。キー打ちを誤って入力することはよくあり、ユーザはディスプレイを見続けることを要求される。触覚的誘導の重要性は、Apple社のiPhoneとBlackBerry8800との間の競争において自明である。限られた大きさでは、本発明以前の携帯電話は、大きい画面または触覚的ボタンの何れかを具えることができる。本発明では、携帯電話および他の適切な電子機器は、両方を具えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、好適な実施形態のユーザインタフェースシステムの平面図である。
【図2】図2は、好適な実施形態に応じたボタンアレイの操作を示す断面図である。
【図3】図3aおよび図3bは、収縮した体積状態と拡張した体積状態それぞれにおける空洞部を有する、好適な実施形態の層部、基板、空洞部、タッチセンサ、およびディスプレイの断面図である。
【図4】図4aおよび図4bは、収縮した体積状態と拡張した体積状態それぞれにおける空洞部を有する、基板上に配置されたタッチセンサの断面図である。
【図5】図5aおよび図5bは、収縮した体積状態と拡張した体積状態それぞれにおける空洞部を有する、単一構造として結合した層部および基板の断面図である。
【図6A】図6aは、収縮した体積状態における空洞部を有する、層部と基板との間の支持部材の断面図である。
【図6B】図6bは、拡張した体積状態における空洞部を有する、層部と基板との間の支持部材の断面図である。
【図6C】図6cは、支持部材の平面図である。
【図6D】図6dは、空洞部を部分的に規定する代替の支持部材の断面図である。
【図7】図7aおよび図7bは、収縮した体積状態と拡張した体積状態それぞれにおける空洞部を有する、層部、基板、空洞部、タッチセンサ、ディスプレイ、および空洞部内にある流動体を変更する変位デバイスの断面図である。
【図8】図8は、層部、基板、空洞部、タッチセンサ、ディスプレイ、および空洞部内に更なる流動体を移動させる第1の実施例の変位デバイスの概略図である。
【図9】図9は、層部、基板、空洞部、タッチセンサ、ディスプレイ、および空洞部内に更なる流動体を移動させる第2の実施例の変位デバイスの概略図である。
【図10】図10aおよび図10bは、収縮した体積状態と拡張した体積状態それぞれにおける空洞部を有する、層部、基板、空洞部、タッチセンサ、ディスプレイ、および空洞部に更なる流動体を出し入れして移動させる第3の実施例の変位デバイスの概略図である。
【図11】図11は、ボタンの変形の平面図および側面図である。
【図12】図12は、スライダの変形の平面図および側面図である。
【図13】図13は、スライダリングの変形の平面図および側面図である。
【図14】図14は、ガイドの変形の平面図および側面図である。
【図15】図15は、ポインティングスティックの変形の平面図および側面図である。
【図16】図16は、好適な実施形態の異なる操作モードのフローチャートである。
【図17】図17は、好適な実施形態の異なる入力グラフィック、異なる空洞部状態、および異なるユーザタッチの概略図である。
【図18】図18aおよび図18bは、収縮した体積状態と拡張した体積状態それぞれにおける空洞部を有する、単一の変位デバイスに接続された空洞部および別の空洞部の概略図である。
【図19】図19aおよび図19bは、収縮した体積状態と拡張した体積状態それぞれにおける空洞部を有する、別個の変位デバイスに接続された空洞部および別の空洞部の概略図である。
【図20】図20a、図20b、および図20cは、拡張した体積状態における空洞部および収縮した体積状態における別の空洞部と、収縮した体積状態における空洞部および別の空洞部と、収縮した体積状態における空洞部および拡張した体積状態における別の空洞部とをそれぞれ有する、リニアアクチュエータに接続された空洞部および別の空洞部の概略図である。
【図21A】図21aは、ダイヤルパッドに配置された第1の空洞部のアレイ、および同じデバイス上のクウェルティ(QUERTY)キーボードに配置された第2の空洞部のアレイの概略図である。
【図21B】図21bは、第1の空洞部のアレイに位置合わせしたダイヤルパッドのディスプレイの概略図である。
【図21C】図21cは、第2の空洞部のアレイに位置合わせしたQUERTYキーボードの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の好適な実施形態の以下の説明は、本発明をこれらの好適な実施形態に限定するのではなく、むしろ当該技術分野の当業者が本発明を実施および利用可能にすることを意図する。
【0008】
図1および図2に示されるように、好適な実施形態のユーザインタフェースシステム100は:表面115を規定する層部110と、層部110を支持し空洞部125を少なくとも部分的に規定する基板120と、空洞部125に連結され空洞部125が拡張するように適用されており、これにより表面115の特定領域が変形する変位デバイス130と、基板120に連結され表面115の特定領域の近くのユーザタッチを検出するように適用されるタッチセンサ140と、基板120に連結されユーザに画像を出力するように適用されるディスプレイ150とを具える。
【0009】
好適な実施形態のユーザインタフェースシステム100は、自動制御盤のディスプレイ、デスクトップ型コンピュータ、ラップトップ型コンピュータ、タブレット型コンピュータ、テレビ、ラジオ、卓上電話、携帯電話、PDA、携帯ナビゲーション機器、携帯メディアプレーヤ、カメラ、または時計といった電子機器内に組み込まれるように特に設計されてきた。しかしながら、ユーザインタフェースシステムは、視覚的かつ触覚的方法の双方でユーザとのインタフェースとなる様々な適切なデバイスに組み込まれてもよい。
【0010】
[1.基板および層部]
図2に示されるように、好適な実施形態の層部110は、触覚的方法でユーザとのインタフェースになる表面115を提供するように機能する。表面115は好適には連続であり、そのため表面115にわたって指を強く打った時、ユーザは切れ目または継ぎ目を感じることはない。表面115はまた、好適には平面状である。表面115は好適には平面に配置されるが、代替的に湾曲面に配置されてもよい。空洞部125が拡張すると変形し、空洞部125が収縮すると好適に通常の平面状態まで「弛緩(relax)」または「元の形に戻る(deform)」ように、層部110はさらに機能する。層部110は好適には弾性である。ある実施例では、層部110は、特定部位において比較的に弾性が高く、他の部位において比較的に弾性が低く、比較的に弾性が高い部位で変形する。他の実施例では、層部110は弾性がほぼ均一である。さらに他の実施例では、層部110は、ニッケルチタン(通常「ニチノール」と称される)のようなスマート材料を含むか、これから作られており、選択的および/または調整可能な弾力性を有する。層部110は好適には光学的に透明だが、代替的に半透明または不透明にしてもよい。透明性に加えて、層部110は好適に以下の特性:高伝導性と、低ヘイズと、広い視野角と、ディスプレイ150上における最小限の後部反射度(ディスプレイ150がユーザインタフェースに連結されている場合)と、耐傷性と、耐薬品性と、耐汚性と、比較的滑らか(粘着性でない)な手触りとを有する。層部110は好適に、ポリジメチルシロキサン(PDMS)またはRTVシリコン(例えば、RTVシリコン615)といったポリマおよびシリコンベースのエラストマを含む適切な弾性材料から作られる。しかしながら、層部110は、表面115を提供して変形される適切な材料から作られてもよい。ある実施例では、層部110は、1mm未満(好適には50乃至200ミクロン)の厚さの単一の均質な層部である。他の実施例では、層部110は、複数の層部またはコーティングを用いて同じ材料または異なる適切な材料で構成してもよい。
【0011】
好適な実施形態の基板120は、層部110を支持して空洞部125を少なくとも部分的に規定するように機能する。ある実施例では、図3aおよび図3bに示されるように、層部110は、接着剤、超音波接着、酸素プラズマ表面処理、または当業者に知られている他の適切な手法を用いて、基板120に直接取り付けられる。この実施例では、基板120と層部110は協働して空洞部125を規定する(「容器」を規定する基板120と、「容器」上に「膜」を規定する層部110とを用いる)。他の実施例では、図4aおよび図4bに示されるように、層部110は、層部110と基板120との間に配置されるタッチセンサ140および/またはディスプレイ150といった他の要素と共に、基板120に間接的に取り付けられる。この実施例では、基板120と介在する要素とが空洞部125を規定する。さらに他の実施例では、図5aおよび図5bに示されるように、層部110と基板120とが単一構造として形成され、空洞部125を完全に規定している。さらにもう1つの実施例では、図6aおよび図6bに示されるように、基板120は、表面115の特定領域の下に格子状の支持部材160を具えてもよい。空洞部125が拡張され、表面115に変形がある場合、支持部材160は、表面115の平面の下方で変形するまでユーザが「押しすぎる」のを防止するように機能する。空洞部125が拡張せず表面115に変形がない場合、支持部材160は、表面115にわたって指を強く打った時にユーザが感じる表面115の「引掛り」を減らす(または場合によっては取除く)ように機能する。図6cに示されるように、支持部材160は好適には、空洞部125の拡張および表面115の変形を可能にする孔または流路を具える。支持部材160は好適には、基板120と一体形成されるが、代替的に層部110と共に形成されるか、あるいは別個に形成した後に基板120に取り付けてもよい。最終的には、図6dに示されるように、支持部材160は代替的に、空洞部125を部分的に規定してもよい。基板120は好適には硬質であるが、代替的に1以上の方向にフレキシブルであってもよい。基板120がディスプレイ150の上に配置される場合、基板は好適には光学的に透明だが、ディスプレイ150の下に配置、あるいはディスプレイ150と組み合わせない場合は、半透明または不透明でもよい。基板120は好適には、例えばエラストマ、ポリジメチルシロキサン(PDMS)のようなシリコンベース有機ポリマ、ポリメチルメタクリル酸(PMMA)のような熱硬化性プラスチック、ぺルフルオロポリエーテルのような光硬化性の耐溶剤性エラストマといった、ポリマまたはガラスを含む材料から作られる。しかしながら、基板120は、層部110を支持して空洞部125を少なくとも部分的に規定する適切な材料から作られてもよい。好適な実施例では、基板120は約1mm乃至0.1mmの厚さの単一の均質な層部であり、1以上の空洞部および/またはマイクロ流路を作るためのマイクロ流体アレイの周知の技術を用いて製造することができる。代替の実施例では、基板120は、複数の層部を用いて同一材料または異なる適当な材料から構成されてもよい。
【0012】
図3aおよび図3bに示されるように、好適な実施形態の空洞部125は流動体を保持し、少なくとも2つの体積状態:収縮した体積状態(図3aに示す)と拡張した体積状態(図3bに示す)とを有するように機能する。流動体は好適には液体(例えば水、グリセリン、またはエチレングリコール)であるが、代替的には空洞部125を拡張させて表面115を変形させる気体(例えば空気、窒素、またはアルゴン)あるいは他の物質(例えばゲルまたはエーロゲル)であってもよい。拡張した体積状態では、空洞部125は表面115の平面を超えて拡張し、これにより表面115の特定領域を変形させる。上述のように、空洞部125は好適には、基板120と層部110(または介在する要素)とによって、あるいは単一構造としての基板120と層部110とによって規定される。ある実施例では、図6aおよび図6bによって示され、以下でさらに説明されるように、空洞部125は、ユーザインタフェースシステム100の他の要素との流体連結を有していない。この実施例では、変位デバイス130は、空洞部125の内部に、あるいは近接して配置してもよい。別の実施例では、空洞部125は、流路を介して(遠位に配置された)変位デバイス130との流体連結を具える。両方の場合において、空洞部125は好適には液密であるため(変位デバイス130との流体連結を除く)、空洞部125は「閉鎖空洞部」と考えることができる。携帯電話機器に用いられる場合、空洞部125の直径は、好適には2乃至10mmである。しかしながら、この、あるいは他の用途に用いられる場合、空洞部125は適切な寸法を有していてもよい。
【0013】
[2.変位デバイス]
好適な実施形態の変位デバイス130は流動体の体積を変更するように機能し、その結果、収縮した体積状態から拡張した体積状態に空洞部125を拡張して、最終的に表面115の特定領域を変形させる。変位デバイス130は、(1)空洞部125内にある流動体の体積を変更することにより、あるいは(2)空洞部125内に流動体を追加および除去することにより、流動体の体積を好適に変更する。しかしながら、変位デバイス130は、適切なデバイスまたは方法によって流動体の体積を変更してもよい。空洞部125内にある流動体の体積を変更することは、一般的に複雑性が少ないという利点を有するが、空洞部125内に流動体の追加および除去することは、一般的に追加のエネルギを必要とせずに表面115の変形を保持するという利点を有する(バルブまたは他の固定機構が利用される場合)。携帯電話機器に用いられる場合、変位デバイス130は、空洞部125内の流動体の体積を約0.003乃至0.1ml程度に好適に増加させる。しかしながら、この、あるいは他の用途に用いられる場合、流動体の体積は、適量増加(または、減少)させてもよい。
【0014】
空洞部125内にある流動体の変更は、いくつかの方法で達成することができる。第1の実施例では、図7aおよび図7bに示されるように、流動体は膨張性の流動体であり、変位デバイス130は膨張性の流動体を加熱する加熱要素を具えることができ、その結果、空洞部125内にある流動体の体積が膨張する(理想気体の法則によると、PV=nRT)。加熱要素は、空洞部125の内部に、あるいは近接して配置することができ、好適には抵抗加熱器(TaNまたはニクロムのような材料から作られる)である。第2の実施例では、流動体は、プラスチックの膨張性微粒子のような膨張性の物質を含んでもよい。第3の実施例では、流動体はパラフィンを含んでもよい。これらが3つの実施例であるが、変位デバイス130は、空洞部125内にある流動体を変更することによって、収縮した体積状態から拡張した体積状態に空洞部125を最終的に拡張する、他の適切なデバイスまたは方法であってもよい。
【0015】
空洞部125への流動体の追加および除去もまた、いくつかの方法で達成することができる。第1の実施例では、図8に示されるように、変位デバイス130は更なる流動体を保持する容器132と、容器132から空洞部125に流動体を移動させるポンプ134とを具える。容器132は、好適には空洞部125から遠位である(かつ、流路138または他の適切なデバイスによって接続される)が、代替的に空洞部125に近接して配置され、空洞部125に直接接続されてもよい。流路138の一部は、好適には微小流体の流路だが(1乃至1000マイクロメータの範囲の断面寸法を有する)、ユーザインタフェースシステム100の寸法および費用の制約に応じて、流路138は適切な寸法を有していてもよい。ポンプ134は好適には微小ポンプ(例えば、ドイツ、ツヴァイブリュッケンのThinXXs Microtechnology AG社の#MDP2205のポンプ、またはドイツ、ドルトムントのBartels Mikrotechnik社の#mp5のポンプ)だが、ある位置から他の位置に流動体を汲み上げる適切なデバイスであってもよい。ポンプ134は、好適には空洞部125から離れて配置され、かつ好適には流路138によって空洞部125に接続される。収縮した体積状態から拡張した体積状態に空洞部125を拡張させるために、ポンプ134は、容器132から、流路138を介して空洞部125内部に流動体を移動させる。拡張した体積状態から収縮した体積状態に空洞部125を収縮させるために、ポンプ134は好適に、空洞部125から容器132へ逆方向に「放出する」か、あるいは汲み上げる。第2の実施例では、図9に示されるように、変位デバイス130は、更なる流動体を保持する容器132と、容器132から空洞部125に流動体を移動させる第1のポンプ134と、空洞部125から容器132に流動体を移動させる第2のポンプ136と、第1のポンプ134と空洞部125との間に配置される第1のバルブと、空洞部125と第2のポンプ136との間に配置される第2のバルブとを具える。収縮した体積状態から拡張した体積状態に空洞部125を拡張するために、第1のバルブが開放され、第2のバルブが閉鎖され、第1のポンプ134は、容器132から、流路138を通って空洞部125内部に流動体を移動させる。拡張した状態から収縮した状態へ空洞部125を収縮させるために、第1のバルブが閉鎖され、第2のバルブが開放され、第2のポンプ136は、空洞部125から流路138を通って容器132内部へ流動体を移動させる。他の態様では、第2の実施例は、上記の第1の実施例と類似する。ユーザインタフェースシステム100は、第2のポンプ136を省き、第2のバルブを開放して空洞部125が容器132に放出または「排出」できるようにすることにより、拡張した体積状態から収縮した体積状態に空洞部125を簡単に収縮することができる(非変形状態に戻る層部110の弾力性によって、潜在的に補助される)。第3の実施例では、図10aおよび図10bに示されるように、変位デバイス130は、リニアアクチュエータのようなアクチュエータを具えており、空洞部125の内外に流動体を移動させる。図10aに示されるように、収縮した体積状態から拡張した体積状態に空洞部125を拡張するために、リニアアクチュエータは流路138を通って空洞部125内に流動体を移動させる。図10bに示されるように、拡張した体積状態から収縮した体積状態に空洞部125を収縮させるために、リニアアクチュエータは空洞部125から容器132へ逆方向に流動体を排出する。他の態様では、第3の実施例は上記の第2の実施例と類似する。これらが3つの実施例であるが、変位デバイス130は、空洞部125内に流動体を追加および除去することにより、収縮した体積状態から拡張した体積状態に空洞部125を最終的に拡張する、他の適切なデバイスまたは方法であってもよい。
【0016】
表面115の特定領域の変形の原因が空洞部125内の流動体の体積の変更として説明してきたが、表面115上の圧力に対する表面115下の圧力の増加として変形の原因を説明することも可能である。携帯電話機器に利用される時、約0.1乃至10.0psiの層部110上の圧力に対する層部110下の圧力の増加は、表面115の特定領域を変形させるのに十分であることが好ましい。しかしながら、この又は他の用途に利用される場合、圧力の変化が適量増加(または、減少)してもよい。
【0017】
表面115の変形は、表面115の特定領域の位置を知らせる触覚的なフィードバックを与えるように作用する。ディスプレイ150上の入力グラフィックと併用して用いられる場合、表面115の変形は、好適にはタッチセンサ140上の入力の位置を知らせる。変形は好適に、(1)ユーザによって押下でき、下にあるタッチセンサ140上の単一の入力の位置を知らせるボタン、(2)ユーザによって押下でき、下にあるタッチセンサ140上の複数の入力の位置を知らせるスライダ、(3)近接するタッチセンサ140上の複数の入力の位置を知らせるガイド、(4)下にあり、近接するタッチセンサ140上の複数の入力位置を知らせるポインティングスティックとして作用する。しかしながら、この変形は、表面115の特定領域の位置を知らせる他の適切なデバイスまたは方法として作用してもよい。図11に示されるように、ボタンは好適にはドームのような形状を有するが、代替的には円柱のような形状(平坦な上面を有する)、ピラミッドのような形状、立方体のような形状(平坦な頂部を有する)、または他の適切なボタン形状を有してもよい。タッチセンサ140は好適に、ユーザ入力としてボタンへのユーザタッチ145を認識する。図12および図13に示されるように、スライダは好適には隆起部のような形状を有するが(図12に示される)、代替的にはリングのような形状(図13に示される)、プラスのような形状、または他の適切なスライダ形状を有してもよい。タッチセンサ140は好適に、スライダへの異なる位置におけるユーザタッチ145を認識し、異なるユーザ入力としてこのようなユーザタッチを識別する。例として、リングのような形状を有するスライダは、Apple社のiPod(第2世代)の「クリックホイール」のように作用してもよい。図14に示されるように、ガイドは好適に、二重の隆起形状または二重のリング形状を有する。ユーザに押されるべきボタンやスライダと異なり、ガイドはユーザに押されるべき領域の横の位置を知らせるべきである。タッチセンサ140は好適に、2つの隆起部の間の異なる位置におけるユーザタッチ145を認識し、異なるユーザ入力としてこれらのユーザタッチを識別する。他の実施例では、ガイドは第2の隆起部を省略してもよい。ボタンのようなポインティングスティックは、図15に示されるように好適にはドームのような形状を有するが、代替的に円柱のような形状(平坦な上面を有する)、ピラミッドのような形状、立方体のような形状(平坦な頂部を有する)、または他の適切なボタン形状を有してもよい。ポインティングスティックは、ユーザに押されるべき領域の下および近接する位置を知らせるべきである。タッチセンサ140は好適には、ポインティングスティックの下および回りの異なる位置におけるユーザタッチ145を認識し、異なるユーザ入力としてこれらのユーザタッチを識別する。例として、ポイントスティックは、IBM社によるTRACKPOINT、およびSynaptics社によるTOUCHSTYKとして商標登録されたポインティングスティックのように作用してもよい(「ニップル」として両方とも非公式的に知られている)。
【0018】
[3.タッチセンサおよびディスプレイ]
好適な実施形態のタッチセンサ140は、表面115の特定領域の近くのユーザタッチを検出するように機能する。タッチセンサ140は、(図3aおよび図3bに示されるように)好適には基板120の下に配置されるが、(図4aおよび図4bに示されるように)代替的には基板120の上に配置してもよい。基板120上に配置される場合、ユーザタッチの検出に加えて、タッチセンサ140はさらに空洞部125が拡張すると変形するように機能し、従って、タッチセンサ140は好適に層部110と同様の弾性特性を有する。この実施例の変形例として、タッチセンサ140は層部110として作用して、空洞部125を部分的に規定してもよい。タッチセンサ140は好適には、連続的または複数のステップにおいてユーザタッチを検出する。例えば、タッチセンサ140は好適には、静止しているユーザタッチ(表面115の変形を顕著に変更しない)と、緩やかなユーザタッチ(部分的に表面115を押して、通常の拡張していない表面115の平面に戻る)と、強いユーザタッチ(完全に表面115を押して、通常の拡張していない表面115の平面に戻る)とを区別する。換言すると、タッチセンサ140は好適に、変形の異なる「高さ」を検出する。しかしながら、タッチセンサ140は、バイナリ方法(「オン」または「オフ」)でユーザタッチを簡単に検出してもよい。ある実施例では、タッチセンサ140は好適に、商標CLEARPADの下、Synaptics社によって販売されているタッチパネルのような、静電容量型の従来のタッチセンサであるが、ユーザタッチを検出する適切なデバイスであってもよい。静電容量型のタッチセンサは好適に、空洞部125の内部または近くの2か所の間の静電容量の変化に基づいて、ユーザタッチを検出する。他の実施例では、タッチセンサ140は、空洞部125の中に配置されるか、あるいはそこに接続される圧力センサである。圧力センサは好適には、表面115の変形上のユーザタッチによって起こる空洞部125内部の圧力の変化に基づいて、ユーザタッチを検出する。さらに別の実施例では、タッチセンサ140は変位デバイス130と一体化され、表面115の変形上のユーザタッチによって起こる、流動体の移動または圧力の変化の何れかを検出する。これらは3つの実施例であるが、タッチセンサ140は、表面115の変形の近くのユーザタッチを検出する他の適切なデバイスまたは方法であってもよい。
【0019】
好適な実施形態のディスプレイ150は、視覚的な方法でユーザとのインタフェースになるように機能する。ディスプレイ150は好適には従来の液晶クリスタルディスプレイ(LCD)であるが、代替的には出力を表示する適切なデバイスでもよい。ある実施例では、図3aおよび図3bに示されるように、ディスプレイ150は基板120の下に配置される。他の実施例では、タッチセンサ140およびディスプレイ150は、ユーザの入力を検出し、出力を表示する単一構造として一体化してもよい。例えば、タッチスクリーンとスキャナ機能の両方の埋め込み型の光学センサを有するLCDが、日本のSharp Electronics社によるプレスリリースにおいて2007年に発表された。この結合型のタッチセンサ/ディスプレイは、フレキシブルな場合は基板120の上に配置され、フレキシブルでない場合は基板120の下に配置することができる。ディスプレイ150が基板120と流動体の下に配置される場合、基板120と流動体は好適に透明であり、好適には実質的に同等(同一ではない場合)の屈折率を有するように選択される。実質的に同等の屈折率を有する基板120および流動体の実施例は:PMMA(屈折率1.489を有する)およびCargille Laboratories社のAシリーズの流動体(1.460乃至1.640の範囲に及ぶ)、またはジエチルフタル酸と水の混合物を含む。携帯電話に用いられる場合、この文脈中の「実質的に同等」は好適に、互いに対して+/−0.1を意味する。この、あるいは他の用途例に用いられる場合、「実質的に同等」は代替的に、ディスプレイ150の目に見える歪みを十分防ぐのと同等であることを意味してもよい。ディスプレイ150は好適に、いくつかの異なる視覚的結果を出力する。出力の1つは好適に、表面115の特定領域に位置合わせされた入力グラフィックであり、この領域は拡張した体積状態における空洞部125によって変形されうる。適切な入力グラフィックの実施例は、QUERTYキーボードのそれぞれの文字と、ダイヤルパッドのそれぞれの数字と、マップ上の異なる位置とを含む。
【0020】
[4.プロセッサ]
好適な実施形態のユーザインタフェースシステム100はさらに、変位デバイス130およびタッチセンサ140に接続されるプロセッサを具える。図16に示されるように、プロセッサは、拡張した空洞部モードおよび収縮した空洞部モードにおいてユーザインタフェースシステム100を作動するように機能する。拡張した空洞部モードでは、表面115の特定領域が変形した場合、表面115の特定領域をさらに顕著に変形させるユーザタッチは、好適には第1のタイプのユーザ入力として認識される。変形に対して指が静止しているユーザタッチのように、表面115の特定領域を顕著に変形させないユーザタッチは、好適には第1のタイプのユーザ入力として認識されない(かつ、好適には無視される)。この方法では、表面115の変形は、ユーザタッチをタッチセンサ140から遠ざけて、入力を作動させることなくユーザが変形(入力位置)に対して指を静止できるように、さらに機能する。ユーザが表面115の特定領域を顕著に変形させているか否かの問題は製造者、プロセッサ、またはユーザによって設定あるいは変更される。収縮した空洞部モードでは、表面115の特定領域が変形しない場合、表面115内の特定の領域におけるユーザタッチは、好適には第1のタイプのユーザ入力として認識されないが、代わりに第1のタイプのユーザ入力と区別できる第2のタイプのユーザ入力として認識される。
【0021】
プロセッサはさらに、ユーザインタフェースシステム100の設定を自動的に変更するように機能してもよい。第1の実施例では、非常に低い温度では、変位デバイス130は流動体の体積を変更して空洞部125を拡張し、表面115を変形させることはできないであろう。プロセッサを温度センサに接続して、このような状況下で変位デバイス130を使用不能にしてもよい。第2の実施例では、高度が高い状況では(または気圧が下がる航空機内では)、変位デバイス130は流動体の体積を変更して空洞部125を収縮させることはできないであろう。プロセッサを圧力センサに接続して、変位デバイス130を使用不能にする(または特定のバルブを閉鎖する)か、あるいはこのような状況下で変更される流動体の体積を単純に調整してもよい。
【0022】
図17に示されるように、プロセッサはさらに、異なる入力グラフィックが表面115の同じ変形のもとに表示され、異なる入力が認識されるようにディスプレイ150に接続してもよい。例として、空洞部125が拡張した体積状態にある場合、ディスプレイ150は(文字のような)第1のタイプの入力グラフィックを具えることができ、変形に対するユーザ入力は(文字のような)第1のタイプとなり、ディスプレイ150は(数字のような)第2のタイプの入力グラフィックを具えることができ、かつ変形に対するユーザ入力は(数字のような)第2のタイプとなる。空洞部125が収縮した体積状態にある場合、ディスプレイ150はさらに、(「入力」または「承認」入力のような)第3のタイプの入力グラフィックを具えることができ、タッチセンサ140上のユーザ入力は(「入力」または「承認」入力のような)第3のタイプとなる。
【0023】
プロセッサはさらに、ディスプレイ150の出力を変更し、表面115内の変形によって起こる光学的な歪みを補正または調整するように機能してもよい。ある適用例において、ディスプレイ150を見ている時、変形が大きいと「フィッシュアイ」効果を起こしうるという事が考えられる。プロセッサは好適に、実験データを通して、この歪みの補正を助けるために出力を調整する。
【0024】
プロセッサは、好適には変位デバイス130用の別個のリモートコントローラと、タッチセンサ140用の別個のリモートコントローラと、ディスプレイ150用の別個のリモートコントローラとを具える。しかしながら、プロセッサは、1以上のこれら要素のためのコントローラを一体化して具えてもよい。
【0025】
[5.別の空洞部]
図1および図2に示されるように、好適な実施形態のユーザインタフェースシステム100はさらに別の空洞部225を具える。以下に詳述されるものを除いて、更なる空洞部は好適には空洞部125と同一である。ある実施例では、図18aおよび図18bに示されるように、変位デバイス130は空洞部125および別の空洞部225の両方に接続され、アレイのように共に作用しながら空洞部125および別の空洞部225を一緒に拡張するように構成されており、これにより、同時に表面115の1以上の領域を変形する。第2の実施例では、ユーザインタフェースシステム100は、変位デバイス130と空洞部125との間に配置されたバルブと、変位デバイス130と別の空洞部225との間に配置された別のバルブとを具えており、空洞部125および別の空洞部225内に流入する流動体をそれぞれ選択的に制御する。第3の実施例では、図19aおよび図19bに示されるように、ユーザインタフェースシステム100は、別の空洞部225に接続された別の変位デバイス230を具えており、別の空洞部225を拡張するように機能し、これにより、表面115の別の領域を変形する。それ以外では、別の変位デバイス230は、変位デバイス130と同等または同一である。変位デバイス130と別の変位デバイス230とを別個に制御することにより、空洞部125および別の空洞部225は独立して拡張することができる。第4の実施例では、図20a、図20b、および図20cに示されるように、変位デバイス130はリニアアクチュエータであり、空洞部125を拡張して別の空洞部225を収縮する(図20aに示される)か、空洞部125および別の空洞部225を収縮する(図20bに示される)か、あるいは空洞部125を収縮して別の空洞部225を拡張する(図20cに示される)かの何れかを行うことができる。図21aに示されるように、この構成は多数の空洞部のアレイにおいて特に有用であり、この場合、ダイヤルパッドに位置合わせされた空洞部が拡張する(図21bに示される)か、あるいはQUERTYキーボードに位置合わせされた空洞部が拡張する(図21cに示される)。
【0026】
[6.電源]
好適な実施形態のユーザインタフェースシステム100はさらに、電源または電力利用デバイスの何れかを具え、双方が変位デバイス130(および、タッチセンサ140および/またはディスプレイ150といった、ユーザインタフェースシステムの他の要素)に動力を供給するように機能する。電源は好適には従来の電池だが、変位デバイス130に動力を供給する適切なデバイスまたは方法であってもよい。電力利用デバイスは、好適には折りたたみ携帯電話またはラップトップのヒンジ部と一体型であり、(折りたたみ携帯電話の開口部またはラップトップの画面のように)電子機器の通常利用に関連する動力の一部を利用するように機能する。電力利用デバイスは代替的には、(携帯電話の側面上のボタン、または自動時計に見出される「自動巻き」デバイスのような)別個の機械的な入力機器、あるいは他の適切なデバイスまたは方法に一体化され、電子機器の通常利用に関連する動力の一部を利用する。
【0027】
[7.代替の実施形態]
本発明の代替の実施形態のユーザインタフェースシステムは、ディスプレイ150を省略する。代替の実施形態のユーザインタフェースシステムは、それ以外では好適な実施形態のユーザインタフェースシステム100と同等または同一である。代替の実施形態のユーザインタフェースシステムは、通常は電子機器の周辺装置のようなディスプレイを含まない電子機器に組み込むことができる。適切な周辺装置は、マウスと、トラックパッドと、キーボードと、リモートコントロールとを含む。これらの周辺装置は大抵、触覚的によってのみ利用され、視覚的には利用されない。しかしながら、ユーザインタフェースシステムは、様々な適切なデバイスに組み込まれてもよい。
【0028】
ユーザインタフェースの技術分野の当業者が、以上の詳述、図面および特許請求の範囲から分かるように、以下の請求項に規定された本発明の範囲を超えることなく、本発明の好適な実施例に対する改良および変更がなされうる。
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2008年1月4日に出願され、「System and Method for Raised Touch Screens」という名称の先の米国特許出願第11/969,848号の一部継続出願であり、参照によりその総てが組み込まれる。
【0002】
本発明は一般に、タッチセンシティブディスプレイに関する。より具体的には、本発明はタッチセンシティブディスプレイの一部を選択的に上昇させるためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
例えばタッチスクリーンのようなタッチセンシティブディスプレイは、ユーザがディスプレイ上に直接コマンドおよびデータを入力できる用途において非常に有用である。タッチスクリーンの一般的な用途は、携帯電話および産業用プロセス制御用のユーザインタフェースといった消費者製品を含む。特定の用途によって、これらのタッチセンシティブディスプレイは、小型の手持ち型PDAから、中型のタブレットコンピュータ、大型の工業機器にまでわたるデバイスにおいて、通常用いられている。
【0004】
同一のディスプレイ上でユーザがデータを入出力可能であることが、大抵は便利である。別個の輪郭のはっきりとしたキーを有するキーパッドのような専用の入力機器と異なり、殆どのタッチセンシティブディスプレイはほぼ平坦である。その結果、タッチセンシティブスクリーンには、1以上の制御「ボタン」について触覚的誘導が設けられていない。代わりに、タッチセンシティブディスプレイは、ユーザ入力について視覚的誘導に依拠している。
【0005】
従って、タッチセンシティブディスプレイの重大な欠点は、近接するボタンを手触りで区別できないため、正確にデータを入力することが本質的に難しいことである。キー打ちを誤って入力することはよくあり、ユーザはディスプレイを見続けることを要求される。触覚的誘導の重要性は、Apple社のiPhoneとBlackBerry8800との間の競争において自明である。限られた大きさでは、本発明以前の携帯電話は、大きい画面または触覚的ボタンの何れかを具えることができる。本発明では、携帯電話および他の適切な電子機器は、両方を具えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、好適な実施形態のユーザインタフェースシステムの平面図である。
【図2】図2は、好適な実施形態に応じたボタンアレイの操作を示す断面図である。
【図3】図3aおよび図3bは、収縮した体積状態と拡張した体積状態それぞれにおける空洞部を有する、好適な実施形態の層部、基板、空洞部、タッチセンサ、およびディスプレイの断面図である。
【図4】図4aおよび図4bは、収縮した体積状態と拡張した体積状態それぞれにおける空洞部を有する、基板上に配置されたタッチセンサの断面図である。
【図5】図5aおよび図5bは、収縮した体積状態と拡張した体積状態それぞれにおける空洞部を有する、単一構造として結合した層部および基板の断面図である。
【図6A】図6aは、収縮した体積状態における空洞部を有する、層部と基板との間の支持部材の断面図である。
【図6B】図6bは、拡張した体積状態における空洞部を有する、層部と基板との間の支持部材の断面図である。
【図6C】図6cは、支持部材の平面図である。
【図6D】図6dは、空洞部を部分的に規定する代替の支持部材の断面図である。
【図7】図7aおよび図7bは、収縮した体積状態と拡張した体積状態それぞれにおける空洞部を有する、層部、基板、空洞部、タッチセンサ、ディスプレイ、および空洞部内にある流動体を変更する変位デバイスの断面図である。
【図8】図8は、層部、基板、空洞部、タッチセンサ、ディスプレイ、および空洞部内に更なる流動体を移動させる第1の実施例の変位デバイスの概略図である。
【図9】図9は、層部、基板、空洞部、タッチセンサ、ディスプレイ、および空洞部内に更なる流動体を移動させる第2の実施例の変位デバイスの概略図である。
【図10】図10aおよび図10bは、収縮した体積状態と拡張した体積状態それぞれにおける空洞部を有する、層部、基板、空洞部、タッチセンサ、ディスプレイ、および空洞部に更なる流動体を出し入れして移動させる第3の実施例の変位デバイスの概略図である。
【図11】図11は、ボタンの変形の平面図および側面図である。
【図12】図12は、スライダの変形の平面図および側面図である。
【図13】図13は、スライダリングの変形の平面図および側面図である。
【図14】図14は、ガイドの変形の平面図および側面図である。
【図15】図15は、ポインティングスティックの変形の平面図および側面図である。
【図16】図16は、好適な実施形態の異なる操作モードのフローチャートである。
【図17】図17は、好適な実施形態の異なる入力グラフィック、異なる空洞部状態、および異なるユーザタッチの概略図である。
【図18】図18aおよび図18bは、収縮した体積状態と拡張した体積状態それぞれにおける空洞部を有する、単一の変位デバイスに接続された空洞部および別の空洞部の概略図である。
【図19】図19aおよび図19bは、収縮した体積状態と拡張した体積状態それぞれにおける空洞部を有する、別個の変位デバイスに接続された空洞部および別の空洞部の概略図である。
【図20】図20a、図20b、および図20cは、拡張した体積状態における空洞部および収縮した体積状態における別の空洞部と、収縮した体積状態における空洞部および別の空洞部と、収縮した体積状態における空洞部および拡張した体積状態における別の空洞部とをそれぞれ有する、リニアアクチュエータに接続された空洞部および別の空洞部の概略図である。
【図21A】図21aは、ダイヤルパッドに配置された第1の空洞部のアレイ、および同じデバイス上のクウェルティ(QUERTY)キーボードに配置された第2の空洞部のアレイの概略図である。
【図21B】図21bは、第1の空洞部のアレイに位置合わせしたダイヤルパッドのディスプレイの概略図である。
【図21C】図21cは、第2の空洞部のアレイに位置合わせしたQUERTYキーボードの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の好適な実施形態の以下の説明は、本発明をこれらの好適な実施形態に限定するのではなく、むしろ当該技術分野の当業者が本発明を実施および利用可能にすることを意図する。
【0008】
図1および図2に示されるように、好適な実施形態のユーザインタフェースシステム100は:表面115を規定する層部110と、層部110を支持し空洞部125を少なくとも部分的に規定する基板120と、空洞部125に連結され空洞部125が拡張するように適用されており、これにより表面115の特定領域が変形する変位デバイス130と、基板120に連結され表面115の特定領域の近くのユーザタッチを検出するように適用されるタッチセンサ140と、基板120に連結されユーザに画像を出力するように適用されるディスプレイ150とを具える。
【0009】
好適な実施形態のユーザインタフェースシステム100は、自動制御盤のディスプレイ、デスクトップ型コンピュータ、ラップトップ型コンピュータ、タブレット型コンピュータ、テレビ、ラジオ、卓上電話、携帯電話、PDA、携帯ナビゲーション機器、携帯メディアプレーヤ、カメラ、または時計といった電子機器内に組み込まれるように特に設計されてきた。しかしながら、ユーザインタフェースシステムは、視覚的かつ触覚的方法の双方でユーザとのインタフェースとなる様々な適切なデバイスに組み込まれてもよい。
【0010】
[1.基板および層部]
図2に示されるように、好適な実施形態の層部110は、触覚的方法でユーザとのインタフェースになる表面115を提供するように機能する。表面115は好適には連続であり、そのため表面115にわたって指を強く打った時、ユーザは切れ目または継ぎ目を感じることはない。表面115はまた、好適には平面状である。表面115は好適には平面に配置されるが、代替的に湾曲面に配置されてもよい。空洞部125が拡張すると変形し、空洞部125が収縮すると好適に通常の平面状態まで「弛緩(relax)」または「元の形に戻る(deform)」ように、層部110はさらに機能する。層部110は好適には弾性である。ある実施例では、層部110は、特定部位において比較的に弾性が高く、他の部位において比較的に弾性が低く、比較的に弾性が高い部位で変形する。他の実施例では、層部110は弾性がほぼ均一である。さらに他の実施例では、層部110は、ニッケルチタン(通常「ニチノール」と称される)のようなスマート材料を含むか、これから作られており、選択的および/または調整可能な弾力性を有する。層部110は好適には光学的に透明だが、代替的に半透明または不透明にしてもよい。透明性に加えて、層部110は好適に以下の特性:高伝導性と、低ヘイズと、広い視野角と、ディスプレイ150上における最小限の後部反射度(ディスプレイ150がユーザインタフェースに連結されている場合)と、耐傷性と、耐薬品性と、耐汚性と、比較的滑らか(粘着性でない)な手触りとを有する。層部110は好適に、ポリジメチルシロキサン(PDMS)またはRTVシリコン(例えば、RTVシリコン615)といったポリマおよびシリコンベースのエラストマを含む適切な弾性材料から作られる。しかしながら、層部110は、表面115を提供して変形される適切な材料から作られてもよい。ある実施例では、層部110は、1mm未満(好適には50乃至200ミクロン)の厚さの単一の均質な層部である。他の実施例では、層部110は、複数の層部またはコーティングを用いて同じ材料または異なる適切な材料で構成してもよい。
【0011】
好適な実施形態の基板120は、層部110を支持して空洞部125を少なくとも部分的に規定するように機能する。ある実施例では、図3aおよび図3bに示されるように、層部110は、接着剤、超音波接着、酸素プラズマ表面処理、または当業者に知られている他の適切な手法を用いて、基板120に直接取り付けられる。この実施例では、基板120と層部110は協働して空洞部125を規定する(「容器」を規定する基板120と、「容器」上に「膜」を規定する層部110とを用いる)。他の実施例では、図4aおよび図4bに示されるように、層部110は、層部110と基板120との間に配置されるタッチセンサ140および/またはディスプレイ150といった他の要素と共に、基板120に間接的に取り付けられる。この実施例では、基板120と介在する要素とが空洞部125を規定する。さらに他の実施例では、図5aおよび図5bに示されるように、層部110と基板120とが単一構造として形成され、空洞部125を完全に規定している。さらにもう1つの実施例では、図6aおよび図6bに示されるように、基板120は、表面115の特定領域の下に格子状の支持部材160を具えてもよい。空洞部125が拡張され、表面115に変形がある場合、支持部材160は、表面115の平面の下方で変形するまでユーザが「押しすぎる」のを防止するように機能する。空洞部125が拡張せず表面115に変形がない場合、支持部材160は、表面115にわたって指を強く打った時にユーザが感じる表面115の「引掛り」を減らす(または場合によっては取除く)ように機能する。図6cに示されるように、支持部材160は好適には、空洞部125の拡張および表面115の変形を可能にする孔または流路を具える。支持部材160は好適には、基板120と一体形成されるが、代替的に層部110と共に形成されるか、あるいは別個に形成した後に基板120に取り付けてもよい。最終的には、図6dに示されるように、支持部材160は代替的に、空洞部125を部分的に規定してもよい。基板120は好適には硬質であるが、代替的に1以上の方向にフレキシブルであってもよい。基板120がディスプレイ150の上に配置される場合、基板は好適には光学的に透明だが、ディスプレイ150の下に配置、あるいはディスプレイ150と組み合わせない場合は、半透明または不透明でもよい。基板120は好適には、例えばエラストマ、ポリジメチルシロキサン(PDMS)のようなシリコンベース有機ポリマ、ポリメチルメタクリル酸(PMMA)のような熱硬化性プラスチック、ぺルフルオロポリエーテルのような光硬化性の耐溶剤性エラストマといった、ポリマまたはガラスを含む材料から作られる。しかしながら、基板120は、層部110を支持して空洞部125を少なくとも部分的に規定する適切な材料から作られてもよい。好適な実施例では、基板120は約1mm乃至0.1mmの厚さの単一の均質な層部であり、1以上の空洞部および/またはマイクロ流路を作るためのマイクロ流体アレイの周知の技術を用いて製造することができる。代替の実施例では、基板120は、複数の層部を用いて同一材料または異なる適当な材料から構成されてもよい。
【0012】
図3aおよび図3bに示されるように、好適な実施形態の空洞部125は流動体を保持し、少なくとも2つの体積状態:収縮した体積状態(図3aに示す)と拡張した体積状態(図3bに示す)とを有するように機能する。流動体は好適には液体(例えば水、グリセリン、またはエチレングリコール)であるが、代替的には空洞部125を拡張させて表面115を変形させる気体(例えば空気、窒素、またはアルゴン)あるいは他の物質(例えばゲルまたはエーロゲル)であってもよい。拡張した体積状態では、空洞部125は表面115の平面を超えて拡張し、これにより表面115の特定領域を変形させる。上述のように、空洞部125は好適には、基板120と層部110(または介在する要素)とによって、あるいは単一構造としての基板120と層部110とによって規定される。ある実施例では、図6aおよび図6bによって示され、以下でさらに説明されるように、空洞部125は、ユーザインタフェースシステム100の他の要素との流体連結を有していない。この実施例では、変位デバイス130は、空洞部125の内部に、あるいは近接して配置してもよい。別の実施例では、空洞部125は、流路を介して(遠位に配置された)変位デバイス130との流体連結を具える。両方の場合において、空洞部125は好適には液密であるため(変位デバイス130との流体連結を除く)、空洞部125は「閉鎖空洞部」と考えることができる。携帯電話機器に用いられる場合、空洞部125の直径は、好適には2乃至10mmである。しかしながら、この、あるいは他の用途に用いられる場合、空洞部125は適切な寸法を有していてもよい。
【0013】
[2.変位デバイス]
好適な実施形態の変位デバイス130は流動体の体積を変更するように機能し、その結果、収縮した体積状態から拡張した体積状態に空洞部125を拡張して、最終的に表面115の特定領域を変形させる。変位デバイス130は、(1)空洞部125内にある流動体の体積を変更することにより、あるいは(2)空洞部125内に流動体を追加および除去することにより、流動体の体積を好適に変更する。しかしながら、変位デバイス130は、適切なデバイスまたは方法によって流動体の体積を変更してもよい。空洞部125内にある流動体の体積を変更することは、一般的に複雑性が少ないという利点を有するが、空洞部125内に流動体の追加および除去することは、一般的に追加のエネルギを必要とせずに表面115の変形を保持するという利点を有する(バルブまたは他の固定機構が利用される場合)。携帯電話機器に用いられる場合、変位デバイス130は、空洞部125内の流動体の体積を約0.003乃至0.1ml程度に好適に増加させる。しかしながら、この、あるいは他の用途に用いられる場合、流動体の体積は、適量増加(または、減少)させてもよい。
【0014】
空洞部125内にある流動体の変更は、いくつかの方法で達成することができる。第1の実施例では、図7aおよび図7bに示されるように、流動体は膨張性の流動体であり、変位デバイス130は膨張性の流動体を加熱する加熱要素を具えることができ、その結果、空洞部125内にある流動体の体積が膨張する(理想気体の法則によると、PV=nRT)。加熱要素は、空洞部125の内部に、あるいは近接して配置することができ、好適には抵抗加熱器(TaNまたはニクロムのような材料から作られる)である。第2の実施例では、流動体は、プラスチックの膨張性微粒子のような膨張性の物質を含んでもよい。第3の実施例では、流動体はパラフィンを含んでもよい。これらが3つの実施例であるが、変位デバイス130は、空洞部125内にある流動体を変更することによって、収縮した体積状態から拡張した体積状態に空洞部125を最終的に拡張する、他の適切なデバイスまたは方法であってもよい。
【0015】
空洞部125への流動体の追加および除去もまた、いくつかの方法で達成することができる。第1の実施例では、図8に示されるように、変位デバイス130は更なる流動体を保持する容器132と、容器132から空洞部125に流動体を移動させるポンプ134とを具える。容器132は、好適には空洞部125から遠位である(かつ、流路138または他の適切なデバイスによって接続される)が、代替的に空洞部125に近接して配置され、空洞部125に直接接続されてもよい。流路138の一部は、好適には微小流体の流路だが(1乃至1000マイクロメータの範囲の断面寸法を有する)、ユーザインタフェースシステム100の寸法および費用の制約に応じて、流路138は適切な寸法を有していてもよい。ポンプ134は好適には微小ポンプ(例えば、ドイツ、ツヴァイブリュッケンのThinXXs Microtechnology AG社の#MDP2205のポンプ、またはドイツ、ドルトムントのBartels Mikrotechnik社の#mp5のポンプ)だが、ある位置から他の位置に流動体を汲み上げる適切なデバイスであってもよい。ポンプ134は、好適には空洞部125から離れて配置され、かつ好適には流路138によって空洞部125に接続される。収縮した体積状態から拡張した体積状態に空洞部125を拡張させるために、ポンプ134は、容器132から、流路138を介して空洞部125内部に流動体を移動させる。拡張した体積状態から収縮した体積状態に空洞部125を収縮させるために、ポンプ134は好適に、空洞部125から容器132へ逆方向に「放出する」か、あるいは汲み上げる。第2の実施例では、図9に示されるように、変位デバイス130は、更なる流動体を保持する容器132と、容器132から空洞部125に流動体を移動させる第1のポンプ134と、空洞部125から容器132に流動体を移動させる第2のポンプ136と、第1のポンプ134と空洞部125との間に配置される第1のバルブと、空洞部125と第2のポンプ136との間に配置される第2のバルブとを具える。収縮した体積状態から拡張した体積状態に空洞部125を拡張するために、第1のバルブが開放され、第2のバルブが閉鎖され、第1のポンプ134は、容器132から、流路138を通って空洞部125内部に流動体を移動させる。拡張した状態から収縮した状態へ空洞部125を収縮させるために、第1のバルブが閉鎖され、第2のバルブが開放され、第2のポンプ136は、空洞部125から流路138を通って容器132内部へ流動体を移動させる。他の態様では、第2の実施例は、上記の第1の実施例と類似する。ユーザインタフェースシステム100は、第2のポンプ136を省き、第2のバルブを開放して空洞部125が容器132に放出または「排出」できるようにすることにより、拡張した体積状態から収縮した体積状態に空洞部125を簡単に収縮することができる(非変形状態に戻る層部110の弾力性によって、潜在的に補助される)。第3の実施例では、図10aおよび図10bに示されるように、変位デバイス130は、リニアアクチュエータのようなアクチュエータを具えており、空洞部125の内外に流動体を移動させる。図10aに示されるように、収縮した体積状態から拡張した体積状態に空洞部125を拡張するために、リニアアクチュエータは流路138を通って空洞部125内に流動体を移動させる。図10bに示されるように、拡張した体積状態から収縮した体積状態に空洞部125を収縮させるために、リニアアクチュエータは空洞部125から容器132へ逆方向に流動体を排出する。他の態様では、第3の実施例は上記の第2の実施例と類似する。これらが3つの実施例であるが、変位デバイス130は、空洞部125内に流動体を追加および除去することにより、収縮した体積状態から拡張した体積状態に空洞部125を最終的に拡張する、他の適切なデバイスまたは方法であってもよい。
【0016】
表面115の特定領域の変形の原因が空洞部125内の流動体の体積の変更として説明してきたが、表面115上の圧力に対する表面115下の圧力の増加として変形の原因を説明することも可能である。携帯電話機器に利用される時、約0.1乃至10.0psiの層部110上の圧力に対する層部110下の圧力の増加は、表面115の特定領域を変形させるのに十分であることが好ましい。しかしながら、この又は他の用途に利用される場合、圧力の変化が適量増加(または、減少)してもよい。
【0017】
表面115の変形は、表面115の特定領域の位置を知らせる触覚的なフィードバックを与えるように作用する。ディスプレイ150上の入力グラフィックと併用して用いられる場合、表面115の変形は、好適にはタッチセンサ140上の入力の位置を知らせる。変形は好適に、(1)ユーザによって押下でき、下にあるタッチセンサ140上の単一の入力の位置を知らせるボタン、(2)ユーザによって押下でき、下にあるタッチセンサ140上の複数の入力の位置を知らせるスライダ、(3)近接するタッチセンサ140上の複数の入力の位置を知らせるガイド、(4)下にあり、近接するタッチセンサ140上の複数の入力位置を知らせるポインティングスティックとして作用する。しかしながら、この変形は、表面115の特定領域の位置を知らせる他の適切なデバイスまたは方法として作用してもよい。図11に示されるように、ボタンは好適にはドームのような形状を有するが、代替的には円柱のような形状(平坦な上面を有する)、ピラミッドのような形状、立方体のような形状(平坦な頂部を有する)、または他の適切なボタン形状を有してもよい。タッチセンサ140は好適に、ユーザ入力としてボタンへのユーザタッチ145を認識する。図12および図13に示されるように、スライダは好適には隆起部のような形状を有するが(図12に示される)、代替的にはリングのような形状(図13に示される)、プラスのような形状、または他の適切なスライダ形状を有してもよい。タッチセンサ140は好適に、スライダへの異なる位置におけるユーザタッチ145を認識し、異なるユーザ入力としてこのようなユーザタッチを識別する。例として、リングのような形状を有するスライダは、Apple社のiPod(第2世代)の「クリックホイール」のように作用してもよい。図14に示されるように、ガイドは好適に、二重の隆起形状または二重のリング形状を有する。ユーザに押されるべきボタンやスライダと異なり、ガイドはユーザに押されるべき領域の横の位置を知らせるべきである。タッチセンサ140は好適に、2つの隆起部の間の異なる位置におけるユーザタッチ145を認識し、異なるユーザ入力としてこれらのユーザタッチを識別する。他の実施例では、ガイドは第2の隆起部を省略してもよい。ボタンのようなポインティングスティックは、図15に示されるように好適にはドームのような形状を有するが、代替的に円柱のような形状(平坦な上面を有する)、ピラミッドのような形状、立方体のような形状(平坦な頂部を有する)、または他の適切なボタン形状を有してもよい。ポインティングスティックは、ユーザに押されるべき領域の下および近接する位置を知らせるべきである。タッチセンサ140は好適には、ポインティングスティックの下および回りの異なる位置におけるユーザタッチ145を認識し、異なるユーザ入力としてこれらのユーザタッチを識別する。例として、ポイントスティックは、IBM社によるTRACKPOINT、およびSynaptics社によるTOUCHSTYKとして商標登録されたポインティングスティックのように作用してもよい(「ニップル」として両方とも非公式的に知られている)。
【0018】
[3.タッチセンサおよびディスプレイ]
好適な実施形態のタッチセンサ140は、表面115の特定領域の近くのユーザタッチを検出するように機能する。タッチセンサ140は、(図3aおよび図3bに示されるように)好適には基板120の下に配置されるが、(図4aおよび図4bに示されるように)代替的には基板120の上に配置してもよい。基板120上に配置される場合、ユーザタッチの検出に加えて、タッチセンサ140はさらに空洞部125が拡張すると変形するように機能し、従って、タッチセンサ140は好適に層部110と同様の弾性特性を有する。この実施例の変形例として、タッチセンサ140は層部110として作用して、空洞部125を部分的に規定してもよい。タッチセンサ140は好適には、連続的または複数のステップにおいてユーザタッチを検出する。例えば、タッチセンサ140は好適には、静止しているユーザタッチ(表面115の変形を顕著に変更しない)と、緩やかなユーザタッチ(部分的に表面115を押して、通常の拡張していない表面115の平面に戻る)と、強いユーザタッチ(完全に表面115を押して、通常の拡張していない表面115の平面に戻る)とを区別する。換言すると、タッチセンサ140は好適に、変形の異なる「高さ」を検出する。しかしながら、タッチセンサ140は、バイナリ方法(「オン」または「オフ」)でユーザタッチを簡単に検出してもよい。ある実施例では、タッチセンサ140は好適に、商標CLEARPADの下、Synaptics社によって販売されているタッチパネルのような、静電容量型の従来のタッチセンサであるが、ユーザタッチを検出する適切なデバイスであってもよい。静電容量型のタッチセンサは好適に、空洞部125の内部または近くの2か所の間の静電容量の変化に基づいて、ユーザタッチを検出する。他の実施例では、タッチセンサ140は、空洞部125の中に配置されるか、あるいはそこに接続される圧力センサである。圧力センサは好適には、表面115の変形上のユーザタッチによって起こる空洞部125内部の圧力の変化に基づいて、ユーザタッチを検出する。さらに別の実施例では、タッチセンサ140は変位デバイス130と一体化され、表面115の変形上のユーザタッチによって起こる、流動体の移動または圧力の変化の何れかを検出する。これらは3つの実施例であるが、タッチセンサ140は、表面115の変形の近くのユーザタッチを検出する他の適切なデバイスまたは方法であってもよい。
【0019】
好適な実施形態のディスプレイ150は、視覚的な方法でユーザとのインタフェースになるように機能する。ディスプレイ150は好適には従来の液晶クリスタルディスプレイ(LCD)であるが、代替的には出力を表示する適切なデバイスでもよい。ある実施例では、図3aおよび図3bに示されるように、ディスプレイ150は基板120の下に配置される。他の実施例では、タッチセンサ140およびディスプレイ150は、ユーザの入力を検出し、出力を表示する単一構造として一体化してもよい。例えば、タッチスクリーンとスキャナ機能の両方の埋め込み型の光学センサを有するLCDが、日本のSharp Electronics社によるプレスリリースにおいて2007年に発表された。この結合型のタッチセンサ/ディスプレイは、フレキシブルな場合は基板120の上に配置され、フレキシブルでない場合は基板120の下に配置することができる。ディスプレイ150が基板120と流動体の下に配置される場合、基板120と流動体は好適に透明であり、好適には実質的に同等(同一ではない場合)の屈折率を有するように選択される。実質的に同等の屈折率を有する基板120および流動体の実施例は:PMMA(屈折率1.489を有する)およびCargille Laboratories社のAシリーズの流動体(1.460乃至1.640の範囲に及ぶ)、またはジエチルフタル酸と水の混合物を含む。携帯電話に用いられる場合、この文脈中の「実質的に同等」は好適に、互いに対して+/−0.1を意味する。この、あるいは他の用途例に用いられる場合、「実質的に同等」は代替的に、ディスプレイ150の目に見える歪みを十分防ぐのと同等であることを意味してもよい。ディスプレイ150は好適に、いくつかの異なる視覚的結果を出力する。出力の1つは好適に、表面115の特定領域に位置合わせされた入力グラフィックであり、この領域は拡張した体積状態における空洞部125によって変形されうる。適切な入力グラフィックの実施例は、QUERTYキーボードのそれぞれの文字と、ダイヤルパッドのそれぞれの数字と、マップ上の異なる位置とを含む。
【0020】
[4.プロセッサ]
好適な実施形態のユーザインタフェースシステム100はさらに、変位デバイス130およびタッチセンサ140に接続されるプロセッサを具える。図16に示されるように、プロセッサは、拡張した空洞部モードおよび収縮した空洞部モードにおいてユーザインタフェースシステム100を作動するように機能する。拡張した空洞部モードでは、表面115の特定領域が変形した場合、表面115の特定領域をさらに顕著に変形させるユーザタッチは、好適には第1のタイプのユーザ入力として認識される。変形に対して指が静止しているユーザタッチのように、表面115の特定領域を顕著に変形させないユーザタッチは、好適には第1のタイプのユーザ入力として認識されない(かつ、好適には無視される)。この方法では、表面115の変形は、ユーザタッチをタッチセンサ140から遠ざけて、入力を作動させることなくユーザが変形(入力位置)に対して指を静止できるように、さらに機能する。ユーザが表面115の特定領域を顕著に変形させているか否かの問題は製造者、プロセッサ、またはユーザによって設定あるいは変更される。収縮した空洞部モードでは、表面115の特定領域が変形しない場合、表面115内の特定の領域におけるユーザタッチは、好適には第1のタイプのユーザ入力として認識されないが、代わりに第1のタイプのユーザ入力と区別できる第2のタイプのユーザ入力として認識される。
【0021】
プロセッサはさらに、ユーザインタフェースシステム100の設定を自動的に変更するように機能してもよい。第1の実施例では、非常に低い温度では、変位デバイス130は流動体の体積を変更して空洞部125を拡張し、表面115を変形させることはできないであろう。プロセッサを温度センサに接続して、このような状況下で変位デバイス130を使用不能にしてもよい。第2の実施例では、高度が高い状況では(または気圧が下がる航空機内では)、変位デバイス130は流動体の体積を変更して空洞部125を収縮させることはできないであろう。プロセッサを圧力センサに接続して、変位デバイス130を使用不能にする(または特定のバルブを閉鎖する)か、あるいはこのような状況下で変更される流動体の体積を単純に調整してもよい。
【0022】
図17に示されるように、プロセッサはさらに、異なる入力グラフィックが表面115の同じ変形のもとに表示され、異なる入力が認識されるようにディスプレイ150に接続してもよい。例として、空洞部125が拡張した体積状態にある場合、ディスプレイ150は(文字のような)第1のタイプの入力グラフィックを具えることができ、変形に対するユーザ入力は(文字のような)第1のタイプとなり、ディスプレイ150は(数字のような)第2のタイプの入力グラフィックを具えることができ、かつ変形に対するユーザ入力は(数字のような)第2のタイプとなる。空洞部125が収縮した体積状態にある場合、ディスプレイ150はさらに、(「入力」または「承認」入力のような)第3のタイプの入力グラフィックを具えることができ、タッチセンサ140上のユーザ入力は(「入力」または「承認」入力のような)第3のタイプとなる。
【0023】
プロセッサはさらに、ディスプレイ150の出力を変更し、表面115内の変形によって起こる光学的な歪みを補正または調整するように機能してもよい。ある適用例において、ディスプレイ150を見ている時、変形が大きいと「フィッシュアイ」効果を起こしうるという事が考えられる。プロセッサは好適に、実験データを通して、この歪みの補正を助けるために出力を調整する。
【0024】
プロセッサは、好適には変位デバイス130用の別個のリモートコントローラと、タッチセンサ140用の別個のリモートコントローラと、ディスプレイ150用の別個のリモートコントローラとを具える。しかしながら、プロセッサは、1以上のこれら要素のためのコントローラを一体化して具えてもよい。
【0025】
[5.別の空洞部]
図1および図2に示されるように、好適な実施形態のユーザインタフェースシステム100はさらに別の空洞部225を具える。以下に詳述されるものを除いて、更なる空洞部は好適には空洞部125と同一である。ある実施例では、図18aおよび図18bに示されるように、変位デバイス130は空洞部125および別の空洞部225の両方に接続され、アレイのように共に作用しながら空洞部125および別の空洞部225を一緒に拡張するように構成されており、これにより、同時に表面115の1以上の領域を変形する。第2の実施例では、ユーザインタフェースシステム100は、変位デバイス130と空洞部125との間に配置されたバルブと、変位デバイス130と別の空洞部225との間に配置された別のバルブとを具えており、空洞部125および別の空洞部225内に流入する流動体をそれぞれ選択的に制御する。第3の実施例では、図19aおよび図19bに示されるように、ユーザインタフェースシステム100は、別の空洞部225に接続された別の変位デバイス230を具えており、別の空洞部225を拡張するように機能し、これにより、表面115の別の領域を変形する。それ以外では、別の変位デバイス230は、変位デバイス130と同等または同一である。変位デバイス130と別の変位デバイス230とを別個に制御することにより、空洞部125および別の空洞部225は独立して拡張することができる。第4の実施例では、図20a、図20b、および図20cに示されるように、変位デバイス130はリニアアクチュエータであり、空洞部125を拡張して別の空洞部225を収縮する(図20aに示される)か、空洞部125および別の空洞部225を収縮する(図20bに示される)か、あるいは空洞部125を収縮して別の空洞部225を拡張する(図20cに示される)かの何れかを行うことができる。図21aに示されるように、この構成は多数の空洞部のアレイにおいて特に有用であり、この場合、ダイヤルパッドに位置合わせされた空洞部が拡張する(図21bに示される)か、あるいはQUERTYキーボードに位置合わせされた空洞部が拡張する(図21cに示される)。
【0026】
[6.電源]
好適な実施形態のユーザインタフェースシステム100はさらに、電源または電力利用デバイスの何れかを具え、双方が変位デバイス130(および、タッチセンサ140および/またはディスプレイ150といった、ユーザインタフェースシステムの他の要素)に動力を供給するように機能する。電源は好適には従来の電池だが、変位デバイス130に動力を供給する適切なデバイスまたは方法であってもよい。電力利用デバイスは、好適には折りたたみ携帯電話またはラップトップのヒンジ部と一体型であり、(折りたたみ携帯電話の開口部またはラップトップの画面のように)電子機器の通常利用に関連する動力の一部を利用するように機能する。電力利用デバイスは代替的には、(携帯電話の側面上のボタン、または自動時計に見出される「自動巻き」デバイスのような)別個の機械的な入力機器、あるいは他の適切なデバイスまたは方法に一体化され、電子機器の通常利用に関連する動力の一部を利用する。
【0027】
[7.代替の実施形態]
本発明の代替の実施形態のユーザインタフェースシステムは、ディスプレイ150を省略する。代替の実施形態のユーザインタフェースシステムは、それ以外では好適な実施形態のユーザインタフェースシステム100と同等または同一である。代替の実施形態のユーザインタフェースシステムは、通常は電子機器の周辺装置のようなディスプレイを含まない電子機器に組み込むことができる。適切な周辺装置は、マウスと、トラックパッドと、キーボードと、リモートコントロールとを含む。これらの周辺装置は大抵、触覚的によってのみ利用され、視覚的には利用されない。しかしながら、ユーザインタフェースシステムは、様々な適切なデバイスに組み込まれてもよい。
【0028】
ユーザインタフェースの技術分野の当業者が、以上の詳述、図面および特許請求の範囲から分かるように、以下の請求項に規定された本発明の範囲を超えることなく、本発明の好適な実施例に対する改良および変更がなされうる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザインタフェースシステムにおいて、
表面を規定する層部と;
当該層部を支持し、空洞部を少なくとも部分的に規定する基板と;
前記空洞部に連結され、前記空洞部を拡張するように構成されており、これにより、前記表面の特定領域が変形する変位デバイスと;
前記基板に接続され、前記表面の特定領域の近くのユーザタッチを検出するように構成されるタッチセンサとを具えることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記層部がほぼ弾性であることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記表面が実質的に連続であることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記基板および前記層部が協働して前記空洞部を規定することを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記層部および前記基板が単一構造として形成されることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記空洞部が、少なくとも2つの体積状態:収縮した体積状態と拡張した体積状態とを有することを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項7】
請求項6に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記表面は実質的に平面であり、前記拡張した体積状態において前記空洞部が前記表面の平面を超えて拡張することを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項8】
請求項1に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記空洞部が流動体を具えることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項9】
請求項8に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記空洞部を拡張するために、前記変位デバイスが前記流動体の体積を変更するように構成されることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項10】
請求項9に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記流動体の体積を変更するために、前記変位デバイスが前記流動体を加熱する加熱要素を具えることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項11】
請求項8に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記変位デバイスが前記空洞部に接続され、前記空洞部を拡張するために更なる流動体を前記空洞部に移動させるように構成されることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項12】
請求項11に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、更なる流動体を含むように構成される容器と、当該容器と前記空洞部とを接続する流路とをさらに具えており、前記変位デバイスが、前記空洞部を拡張するために前記容器から前記流路を通って前記空洞部に更なる流動体を移動させることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項13】
請求項12に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記変位デバイスがリニアアクチュエータであることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項14】
請求項12に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記流路の少なくとも一部が、微小流体の流路であることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項15】
請求項1に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、変形がボタンであって、前記タッチセンサが前記ボタンを変形させるユーザタッチを検出するように構成されることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項16】
請求項15に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記ボタンが、実質的にドーム形状の突出部を具えることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項17】
請求項1に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、変形がガイドであって、前記タッチセンサが前記ガイドに近接する前記表面上の異なる位置におけるユーザタッチを検出するように構成されることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項18】
請求項17に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記ガイドが、実質的に隆起形状の突出部を具えることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項19】
請求項17に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記ガイドが、2つの実質的に隆起形状の突出部を具えることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項20】
請求項1に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記基板が、前記層部と前記タッチセンサとの間に配置されることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項21】
請求項1に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記タッチセンサが、前記表面を規定する前記層部を具えることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項22】
請求項1に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記タッチセンサが、静電容量型タッチセンサを具えることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項23】
請求項1に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記タッチセンサに接続され、少なくとも以下の2つのモードにおいてユーザインタフェースシステムを作動するように構成されるプロセッサをさらに具えており、前記2つのモードが:
第1のモード:前記表面の特定領域が変形する場合、前記表面の特定領域をさらに変形させるユーザタッチが第1のタイプのユーザ入力として認識される第1のモードと、
第2のモード:前記表面の特定領域が変形しない場合、前記表面の特定領域におけるユーザタッチが前記第1のタイプのユーザ入力として認識されない第2のモードとであることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項24】
請求項23に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記第1のモードがさらに:前記表面の特定領域が変形する場合、前記表面の特定領域を実質的にさらに変形させないユーザタッチが、前記第1のタイプのユーザ入力として認識されないように規定されることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項25】
請求項23に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記第2のモードがさらに:前記表面の特定領域が変形しない場合、前記表面の特定領域におけるユーザタッチが、前記第1のタイプと区別可能な第2のタイプのユーザ入力として識別されるように規定されることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項26】
請求項1に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記基板に接続されたディスプレイをさらに具えることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項27】
請求項26に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記ディスプレイが少なくとも2の画像を視覚的に出力するように構成されており、1の画像が前記空洞部によって変形可能な前記表面の特定領域に実質的に位置合わせされた入力キーの画像を含むことを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項28】
請求項26に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記ディスプレイと前記タッチセンサとが、単一デバイスとして一体化されることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項29】
請求項26に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記ディスプレイが、前記表面を規定する前記層部を具えることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項30】
請求項26に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記基板が、前記層部と前記ディスプレイとの間に配置されることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項31】
請求項30に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記空洞部が流動体を保持しており、前記流動体および前記基板が実質的に透明であることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項32】
請求項31に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記流動体および前記基板が、実質的に同等の屈折率を有することを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項33】
請求項26に記載の前記ユーザインタフェースシステムを有する電子機器において、当該電子機器が、自動制御盤、デスクトップ型コンピュータ、ラップトップ型コンピュータ、タブレット型コンピュータ、テレビ、ラジオ、卓上電話、携帯電話、PDA、携帯ナビゲーション機器、携帯メディアプレーヤ、カメラ、および時計からなるグループから選択されることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項34】
請求項1に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記基板が第2の空洞部を少なくとも部分的に規定しており、前記変位デバイスがさらに前記第2の空洞部に接続され、第1の空洞部および前記第2の空洞部の両方を拡張するように構成され、これにより、前記表面の2つの領域が変形することを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項35】
請求項1に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記基板が別の空洞部を少なくとも部分的に規定し、前記別の空洞部に接続され、前記別の空洞部を拡張するように構成され、これにより、前記表面の第2の領域を変形させる第2の変位デバイスをさらに具えることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項36】
請求項1に記載の前記ユーザインタフェースシステムを有する電子機器用の周辺機器において、マウス、トラックパッド、キーボード、およびリモートコントロールからなるグループから選択されることを特徴とする周辺機器。
【請求項37】
ユーザインタフェースシステムにおいて:
実質的に連続であり、実質的に平面状の表面を規定する弾性の層部と;
当該層部を支持し、流動体を保持して少なくとも2つの体積状態:収縮した体積状態と拡張した体積状態とを有する空洞部を少なくとも部分的に規定する基板と;
前記空洞部に接続され、前記流動体の体積を変更するように構成されて、これにより、前記収縮した体積状態から前記拡張した体積状態に前記空洞部を拡張する変位デバイスであって、前記拡張した体積状態における前記空洞部が前記表面の平面を超えて拡張し、これにより、前記表面の特定領域を変形させる変位デバイスと;
前記基板に接続され、前記表面の特定領域に近いユーザタッチを検出するように構成されるタッチセンサと;
前記基板に接続され、少なくとも2の画像を視覚的に出力するように構成されたディスプレイであって、1の画像が前記空洞部によって変形可能な前記表面の特定領域に実質的に位置合わせされた入力キーの画像を含み、前記基板が前記層部と前記ディスプレイとの間に配置され、前記流動体および前記基板が実質的に透明で実質的に屈折率整合されたディスプレイと;
前記タッチセンサに接続され、少なくとも以下の2つのモードにおいて前記ユーザインタフェースシステムを作動するように構成されるプロセッサとを具えており、前記2つのモードが:
第1のモード:前記表面の特定領域が変形する場合、前記表面の特定領域をさらに変形させるユーザタッチが第1のタイプのユーザ入力として認識される第1のモードと;
第2のモード:前記表面の特定領域が変形しない場合、前記表面の特定領域におけるユーザタッチが前記第1のタイプのユーザ入力と区別可能な第2のタイプのユーザ入力として認識される第2のモードとであることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項1】
ユーザインタフェースシステムにおいて、
表面を規定する層部と;
当該層部を支持し、空洞部を少なくとも部分的に規定する基板と;
前記空洞部に連結され、前記空洞部を拡張するように構成されており、これにより、前記表面の特定領域が変形する変位デバイスと;
前記基板に接続され、前記表面の特定領域の近くのユーザタッチを検出するように構成されるタッチセンサとを具えることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記層部がほぼ弾性であることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記表面が実質的に連続であることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記基板および前記層部が協働して前記空洞部を規定することを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記層部および前記基板が単一構造として形成されることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記空洞部が、少なくとも2つの体積状態:収縮した体積状態と拡張した体積状態とを有することを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項7】
請求項6に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記表面は実質的に平面であり、前記拡張した体積状態において前記空洞部が前記表面の平面を超えて拡張することを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項8】
請求項1に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記空洞部が流動体を具えることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項9】
請求項8に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記空洞部を拡張するために、前記変位デバイスが前記流動体の体積を変更するように構成されることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項10】
請求項9に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記流動体の体積を変更するために、前記変位デバイスが前記流動体を加熱する加熱要素を具えることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項11】
請求項8に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記変位デバイスが前記空洞部に接続され、前記空洞部を拡張するために更なる流動体を前記空洞部に移動させるように構成されることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項12】
請求項11に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、更なる流動体を含むように構成される容器と、当該容器と前記空洞部とを接続する流路とをさらに具えており、前記変位デバイスが、前記空洞部を拡張するために前記容器から前記流路を通って前記空洞部に更なる流動体を移動させることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項13】
請求項12に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記変位デバイスがリニアアクチュエータであることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項14】
請求項12に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記流路の少なくとも一部が、微小流体の流路であることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項15】
請求項1に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、変形がボタンであって、前記タッチセンサが前記ボタンを変形させるユーザタッチを検出するように構成されることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項16】
請求項15に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記ボタンが、実質的にドーム形状の突出部を具えることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項17】
請求項1に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、変形がガイドであって、前記タッチセンサが前記ガイドに近接する前記表面上の異なる位置におけるユーザタッチを検出するように構成されることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項18】
請求項17に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記ガイドが、実質的に隆起形状の突出部を具えることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項19】
請求項17に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記ガイドが、2つの実質的に隆起形状の突出部を具えることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項20】
請求項1に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記基板が、前記層部と前記タッチセンサとの間に配置されることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項21】
請求項1に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記タッチセンサが、前記表面を規定する前記層部を具えることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項22】
請求項1に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記タッチセンサが、静電容量型タッチセンサを具えることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項23】
請求項1に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記タッチセンサに接続され、少なくとも以下の2つのモードにおいてユーザインタフェースシステムを作動するように構成されるプロセッサをさらに具えており、前記2つのモードが:
第1のモード:前記表面の特定領域が変形する場合、前記表面の特定領域をさらに変形させるユーザタッチが第1のタイプのユーザ入力として認識される第1のモードと、
第2のモード:前記表面の特定領域が変形しない場合、前記表面の特定領域におけるユーザタッチが前記第1のタイプのユーザ入力として認識されない第2のモードとであることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項24】
請求項23に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記第1のモードがさらに:前記表面の特定領域が変形する場合、前記表面の特定領域を実質的にさらに変形させないユーザタッチが、前記第1のタイプのユーザ入力として認識されないように規定されることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項25】
請求項23に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記第2のモードがさらに:前記表面の特定領域が変形しない場合、前記表面の特定領域におけるユーザタッチが、前記第1のタイプと区別可能な第2のタイプのユーザ入力として識別されるように規定されることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項26】
請求項1に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記基板に接続されたディスプレイをさらに具えることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項27】
請求項26に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記ディスプレイが少なくとも2の画像を視覚的に出力するように構成されており、1の画像が前記空洞部によって変形可能な前記表面の特定領域に実質的に位置合わせされた入力キーの画像を含むことを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項28】
請求項26に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記ディスプレイと前記タッチセンサとが、単一デバイスとして一体化されることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項29】
請求項26に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記ディスプレイが、前記表面を規定する前記層部を具えることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項30】
請求項26に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記基板が、前記層部と前記ディスプレイとの間に配置されることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項31】
請求項30に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記空洞部が流動体を保持しており、前記流動体および前記基板が実質的に透明であることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項32】
請求項31に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記流動体および前記基板が、実質的に同等の屈折率を有することを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項33】
請求項26に記載の前記ユーザインタフェースシステムを有する電子機器において、当該電子機器が、自動制御盤、デスクトップ型コンピュータ、ラップトップ型コンピュータ、タブレット型コンピュータ、テレビ、ラジオ、卓上電話、携帯電話、PDA、携帯ナビゲーション機器、携帯メディアプレーヤ、カメラ、および時計からなるグループから選択されることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項34】
請求項1に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記基板が第2の空洞部を少なくとも部分的に規定しており、前記変位デバイスがさらに前記第2の空洞部に接続され、第1の空洞部および前記第2の空洞部の両方を拡張するように構成され、これにより、前記表面の2つの領域が変形することを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項35】
請求項1に記載のユーザインタフェースシステムにおいて、前記基板が別の空洞部を少なくとも部分的に規定し、前記別の空洞部に接続され、前記別の空洞部を拡張するように構成され、これにより、前記表面の第2の領域を変形させる第2の変位デバイスをさらに具えることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【請求項36】
請求項1に記載の前記ユーザインタフェースシステムを有する電子機器用の周辺機器において、マウス、トラックパッド、キーボード、およびリモートコントロールからなるグループから選択されることを特徴とする周辺機器。
【請求項37】
ユーザインタフェースシステムにおいて:
実質的に連続であり、実質的に平面状の表面を規定する弾性の層部と;
当該層部を支持し、流動体を保持して少なくとも2つの体積状態:収縮した体積状態と拡張した体積状態とを有する空洞部を少なくとも部分的に規定する基板と;
前記空洞部に接続され、前記流動体の体積を変更するように構成されて、これにより、前記収縮した体積状態から前記拡張した体積状態に前記空洞部を拡張する変位デバイスであって、前記拡張した体積状態における前記空洞部が前記表面の平面を超えて拡張し、これにより、前記表面の特定領域を変形させる変位デバイスと;
前記基板に接続され、前記表面の特定領域に近いユーザタッチを検出するように構成されるタッチセンサと;
前記基板に接続され、少なくとも2の画像を視覚的に出力するように構成されたディスプレイであって、1の画像が前記空洞部によって変形可能な前記表面の特定領域に実質的に位置合わせされた入力キーの画像を含み、前記基板が前記層部と前記ディスプレイとの間に配置され、前記流動体および前記基板が実質的に透明で実質的に屈折率整合されたディスプレイと;
前記タッチセンサに接続され、少なくとも以下の2つのモードにおいて前記ユーザインタフェースシステムを作動するように構成されるプロセッサとを具えており、前記2つのモードが:
第1のモード:前記表面の特定領域が変形する場合、前記表面の特定領域をさらに変形させるユーザタッチが第1のタイプのユーザ入力として認識される第1のモードと;
第2のモード:前記表面の特定領域が変形しない場合、前記表面の特定領域におけるユーザタッチが前記第1のタイプのユーザ入力と区別可能な第2のタイプのユーザ入力として認識される第2のモードとであることを特徴とするユーザインタフェースシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21A】
【図21B】
【図21C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21A】
【図21B】
【図21C】
【公表番号】特表2011−508935(P2011−508935A)
【公表日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−541559(P2010−541559)
【出願日】平成21年1月5日(2009.1.5)
【国際出願番号】PCT/US2009/000037
【国際公開番号】WO2009/088985
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(510180522)タクタス テクノロジー,インク. (1)
【氏名又は名称原語表記】TACTUS TECHNOLOGY,INC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月5日(2009.1.5)
【国際出願番号】PCT/US2009/000037
【国際公開番号】WO2009/088985
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(510180522)タクタス テクノロジー,インク. (1)
【氏名又は名称原語表記】TACTUS TECHNOLOGY,INC.
【Fターム(参考)】
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