説明

ユーザ優先順位付けを可能とする印刷ジョブ割当方法

【課題】複数プリンタのプリントショップ環境において印刷ジョブを処理する印刷ジョブ管理装置で実行される方法が記載されている。
【解決手段】各印刷ジョブは、印刷条件を示すジョブチケットパラメータを指定する。各ジョブは、ジョブの印刷条件をプリンタの機能と比較することによって処理される。プリンタがジョブのすべての印刷条件を満たすことができない場合、プリンタは、プリンタ候補としては除外される。それから、ジョブのすべての印刷条件を満たすことができるすべてのプリンタから、予め決められた優先度の設定に基づいて一のプリンタが選択され、選択されたプリンタにジョブが送出される。プリンタ優先度の設定は、コストおよび他の要因に基づいてオペレータにより作成される。オペレータは、ジョブのすべての条件を満たすすべてのプリンタの中から、最小待ち時間を有するプリンタが選択される代替的な実行モードを選択できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
技術分野
本発明は、印刷ジョブ処理方法および装置に関し、特に、複数のプリンタを使用しているプリントショップのための印刷ジョブ処理方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
複数のプリンタで多くの印刷ジョブを処理する環境において、整理された方式で印刷ジョブを効率的に管理するというニーズがある。そのような環境の代表例は、職業プリントショップおよび大きな組織の印刷/複写部門であり、そこでは、大量の複製および大きな文書の印刷のような多様な印刷要求が、複数のプリンタを利用することによって、短い処理時間の範囲内で処理され、完了される必要がある。これらの環境は、本出願において、まとめて「プリントショップ」と称される。一般的に、各印刷ジョブは、印刷ジョブリクエスタの要求に応じて、印刷される文書を電気的に含むソースファイル、文書が印刷される用紙のサイズ、色、および種類、印刷解像度、両面または片面印刷、ならびに、製本、ステープル、部単位印刷(collate printing)等のような特定の仕上げ条件を指定する。これらのジョブパラメータにおいて各々異なる大容積の印刷ジョブを処理するために、プリントショップは、多数の業務用プリンタを利用する。一般的に、1つ以上のモノクロ(B&W)プリンタは、モノクロ印刷を処理するために作動される。また、カラープリンタは、カラー印刷を取り扱うために設置される。しかしながら、これらの各プリンタは、用紙サイズ、用紙種類、解像度設定等のような利用可能な印刷設定について制限を有する。大容積の印刷ジョブが、複数のモノクロおよびカラープリンタで取り扱われる場合、各印刷ジョブを適切なプリンタに割り当てることは困難な作業である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明は、従来技術の制限および不利な点に起因する1つ以上の問題を実質的に取り除く印刷ジョブ処理方法および装置に向けられる。
【0004】
本発明の目的は、改良された印刷ジョブ処理方法および装置を提供することである。
【0005】
本発明の付加的または別の特徴および利点は、後続する説明において説明され、部分的には説明から明らかであり、あるいは、本発明の実施によって学ばれることができる。本発明の目的および他の利点は、添付の図面ととともに明細書および特許請求の範囲において詳しく指摘されている構成によって実現され、達成される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これらの利点および他の利点を達成するために、かつ、本発明の目的にしたがって、具体化されて広範に記載されているように、一形態において、本発明は、複数の印刷装置を管理するための印刷ジョブ管理装置において実行される印刷ジョブ処理方法を提供し、その方法は、印刷条件を示すジョブチケットパラメータを指定している印刷ジョブを受信するステップ(a)と、複数の印刷装置のそれぞれについて、印刷ジョブのすべての印刷条件を印刷装置が満たすかどうかを判定するステップ(b)と、印刷ジョブのすべての印刷条件を満たすと判定されたすべての印刷装置の中から、オペレータによって予め決められた印刷装置の優先度の設定(priority preference)に基づいて、一の印刷装置を選択するステップ(c)と、選択された印刷装置に印刷ジョブを印刷のために送出するステップ(d)と、を有する。
【0007】
別の形態において、本発明は、複数の印刷装置に接続されるデータ処理装置を制御するためのコンピュータプログラムを提供し、コンピュータプログラムは、印刷ジョブを処理するための上記プロセスをデータ処理装置に実行させるように構成されている。
【0008】
上述の概要および以下の詳細な説明は、ともに模範的かつ説明的なものであり、特許請求の範囲に記載されている本発明のさらなる説明を提供することを目的としていることは理解される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態が実行される、複数のプリンタおよび印刷ジョブ管理サーバを有する印刷管理システムを概略的に例示する。
【図2A】本発明の一実施形態による、印刷ジョブを印刷装置に自動的に割り当てるための処理を例示する。
【図2B】本発明の一実施形態による、印刷ジョブを印刷装置に自動的に割り当てるための処理を例示する。
【図3】本発明の他の実施形態による、印刷ジョブを印刷装置に自動的に割り当てるための処理を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
好ましい実施形態の詳細な説明
本発明の実施形態は、プリントショップ環境のプリンタに印刷ジョブを自動的に割り当てる方法を提供する。印刷ジョブの条件とプリンタの機能とを調べて、印刷ジョブをどのようにプリンタに割り当てるかを判定するアルゴリズムが使用される。この方法を使用して、多くの印刷ジョブが、迅速にかつ効率的に処理される。
【0011】
図1は、本発明の実施形態が実行される、複数のプリンタを有するプリントショップの一例を示す。プリントショップシステムにおいて、クライアントコンピュータ1および2は、ローカルエリアネットワーク(LAN)を介してサーバ4に接続されている。また、スキャナ3は、LANを介してサーバ4に接続されている。この例において、モノクロプリンタ5,6,7およびカラープリンタ8,9は、LANを通じてサーバに接続されている。この例では、プリンタ5〜9は、高速、高品質印刷を取り扱うことができる商業標準の高性能のプリンタである。各プリンタ5〜9は、様々なサイズ、カラー、および種類の用紙を収納するための複数の用紙トレイを有する。さらに、プリンタ5〜9のいくつかは、複数の出力トレイをともなう高機能の出力ソート機構を備えており、部単位印刷または他の印刷仕上げ機能を実行する。各プリンタは、1つ以上のディスプレイモニタを有し、印刷状況および様々な警告および指示メッセージをユーザに表示する。各プリンタは、それぞれの中央処理装置(CPU)と、それぞれの印刷動作を制御する適切なハードウエア/ソフトウエアとを備え、LANを介してサーバ4と通信する。また、これらのプリンタのいくつかは、文書の複写および読み取りを実行することができる多機能プリンタであってもよい。適切なサーバソフトウエアが、サーバ4にインストールされて、様々な標準的なネットワーク管理機能を実行する。
【0012】
本発明の実施形態によれば、サーバ管理ソフトウエアに加えて、プリントショップに入って来る多くの印刷ジョブを管理するために、印刷ジョブ管理ソフトウエアがサーバ4にインストールされている。印刷ジョブ管理ソフトウエアは、読取り専用メモリ(ROM)またはハードディスクドライブ(HDD)のいずれかに格納されることができ、サーバ4のCPUによってアクセスされることができる。一旦、プリントショップのオペレータが印刷ジョブ管理ソフトウエアを呼び出すと、サーバ4は、印刷ジョブ管理ソフトウエアをROMまたはHDDからサーバのランダムアクセスメモリ(RAM)に読み出して、印刷ジョブの管理を含むソフトウエアの様々な機能を実行する。好ましくは、印刷ジョブ管理ソフトウエアは、Windows OS、Macintosh OS、またはUnixX Windowsもしくはタッチスクリーンおよび/またはディスプレイモニタに連結されたマウスおよびキーボードのようなGUI(グラフィックユーザインタフェース)を実行している他のコンピュータオペレーティングシステムで動作するように設計されている。本発明の実施形態における印刷ジョブ管理ソフトウエアを実行しているサーバ4(または、任意の適切なデータ処理装置)は、以下、「印刷ジョブ管理サーバ」と称される。本出願において、「印刷ジョブ管理サーバ」および「印刷ジョブ管理装置」という用語は、適切なハードウエア/ソフトウエアをともなって後述される本発明の実施形態における様々な機能を実行することができる任意のデータ処理装置を広く示す。
【0013】
印刷ジョブは、印刷される1つ以上の文書とともに、様々な所望のオプションまたは条件を指定している印刷要求である。たとえば、顧客は、特定の仕上げオプションをともなう印刷のために、PDF形式のファイルを含むフロッピーディスクを持ってくるかもしれない。プリントショップのオペレータは、印刷ジョブパラメータを算定するために、どのような種類の印刷ジョブが望まれているか顧客に尋ねる。あるいは、顧客は、アンケート用紙に記入してどのような印刷オプションを彼/彼女が望むかについて記載するように依頼されるかもしれない。たとえば、顧客は、24ポンド25%コットンレターサイズの用紙にフルカラー両面印刷モードで文書が100部印刷されることを望むかもしれない。それから、プリントショップのオペレータは、これらのジョブパラメータ値を顧客情報とともにファイルとして記録し、ファイルと印刷ジョブパラメータとが関連付けられるように、ファイルとソースPDFファイルとをハードディスクドライブまたは装着された他の記憶装置に格納する。
【0014】
また、印刷ジョブは、文書を複製(copy)するという顧客の要求によって生成されることができる。顧客が複製するための文書を持ってくる場合、ショップオペレータは、(カラーおよび/またはモノクロスキャナであり得る)スキャナ3を使用して文書を取り込み、文書をデジタルファイルに変換し、その後、上記と同様のやり方で、読み取られたソース文書に関連付けられたデータファイルを作成する。
【0015】
印刷ジョブおよび関連するファイルを示すこれらのデータファイルは、サーバ4に転送される。このように、多くの印刷ジョブが生成され、印刷ジョブ管理ソフトウエアが動作しているサーバ4によって集められる。印刷ジョブ管理ソフトウエアが動作している印刷ジョブ管理サーバ4は、印刷ジョブファイルを受信して、印刷ジョブを解析および処理し、印刷および(必要であれば)仕上げのために、それらを印刷装置に送出する。
【0016】
サーバ4が印刷ジョブを割り当てる印刷装置は、プリンタおよびクラスタを含む。プリンタは、サーバ4に接続されている(ステープル留めのような仕上げ機能を含み得る)実際の物理的プリンタである。クラスタは、より効率的かつ正確に特定の種類の印刷ジョブを実行するように設計されているソフトウエア定義の仮想印刷装置である。それは、指定されたルールまたはアルゴリズムをともなう2つ以上のプリンタの組み合わせである。印刷ジョブがクラスタに割り当てられる場合、予め設定されたまたはユーザ定義のルールまたはアルゴリズムによって印刷ジョブは2つ以上のジョブに分割され、分割されたジョブは、クラスタによって指定されたそれぞれのプリンタおよび/または仕上げ装置によって処理される。たとえば、10ページのカラーページおよび20ページのモノクロページを含む印刷ジョブが、すべてのカラーページがカラープリンタ1によって印刷され、すべてのモノクロページがモノクロプリンタ1によって印刷されることを要求するルールをともなう、カラープリンタ1およびモノクロプリンタ1を組み合わせたクラスタに送出されると仮定する。次に、印刷ジョブは、すべてのカラーページを含むサブジョブ1と、残りのモノクロページを含むサブジョブ2とに分割される。その後、それぞれの印刷動作ために、サブジョブ1はカラープリンタ1に送信され、サブジョブ2はモノクロプリンタ2に送信される。クラスタの他の実施形態は、場合によっては、数量型クラスタと称され、大量の印刷ジョブを印刷するために使用される類似の機能を有する多くのモノクロプリンタを含む。また、プリンタおよびクラスタ範囲内のプリンタは、オンライン仕上げ装置、すなわち、プリンタに機械的かつ電気的に関連付けられる仕上げ装置(ソータ、ステープラ等)を含むことができる。
【0017】
本発明の実施形態において、印刷ジョブは、「ジョブチケット」と称されるデータベース登録を使用することによって整理される。ジョブチケットは、様々な印刷ジョブパラメータの値を指定し、ソースファイルにそれ自体を関連付ける。一の特別な例において、ジョブチケットは、ジョブ情報設定、基本設定、レイアウト設定、カバーシート、仕上げ設定、用紙間設定(inter−sheet settings)、タブ紙設定、画質設定、および顧客情報といった他の様々なジョブパラメータの群の値と同様に、ジョブチケット番号、チケット名を含むことができる。ジョブ情報設定は、ジョブ名、送出時間、完了時間、期日、種類(印刷または複製)、優先順位、ジョブチケットを作成した人物の身元、ジョブ位置(job location)等を含む。ジョブ情報設定は、印刷される文書を含むファイルのローカルまたはネットワークハードドライブ内での位置であるディレクトリパス、モノクロページの数、カラーページの数、および特殊な指示をさらに含む。基本設定は、作成部数、用紙の方向(ポートレイトまたはランドスケープ)、部単位印刷情報、オフセット印刷情報、元の用紙サイズ、出力用紙サイズ、用紙種類、およびトレイ番号のような用紙供給元情報を含む。レイアウト設定は、印刷レイアウトに関する設定を含む。カバーシートは、生成または準備されるカバーシートに関する設定を含む。仕上げ設定は、綴じ、ステープル、およびパンチのような用紙製本オプションを含む用紙仕上げ設定を指定する。
【0018】
顧客から受けた指示および情報に基づいて、プリントショップのオペレータは、グラフィックユーザインタフェース(GUI)であるジョブチケットエディタを使用して、これらのジョブパラメータの値を手動で入力することができる。加えて、サーバ4は、ソースファイルにアクセスして解析し、ソースファイルからいくつかのジョブパラメータの値を直接的に判定するように構成されることができる。それから、サーバは、ユーザにこれらの値を手動で入力することを要求することなく、対応するジョブチケットの対応するジョブパラメータ項目にこれらの値を入力する。このことは、事務的なエラーを除去することに役立ち、さらにプリントショップのオペレーションを容易にする。
【0019】
本出願において、「値」という用語は、変数またはパラメータに関して言及される場合、任意の数量、文字、および変数またはパラメータを特定することができる他の種類の事項を意味し、ここに登場する任意のジョブパラメータの具体的な設定を含むが、これに限定されるものではない。
【0020】
毎日、プリントショップは、様々な印刷条件を指定する多くの新規な印刷ジョブを受ける。届いたままでは、これらの印刷ジョブは整理されていないが、それにもかかわらず、それらは迅速かつ正確に処理されなければならない。印刷ジョブ管理サーバは、入ってくる印刷ジョブを解析し、印刷のためにそれらを適切な印刷装置に自動的に割り当てる。図2Aおよび2Bは、ジョブチケットパラメータを解析してジョブがどの印刷装置に割り当てられるかを判定するために、サーバで動作している印刷ジョブ管理ソフトウエアによって実行される処理を例示する。
【0021】
自動印刷ジョブ割当処理における第1のステップは、ジョブグループ化、すなわち、予め決められたジョブグループに印刷ジョブを割り当てることである(ステップS21)。ジョブグループは、関連付けられた1つ以上のジョブチケットパラメータを有する保持フォルダである。グループの目的は、予め決められた同じ特性を共有する複数の印刷ジョブを集め、十分なジョブがある場合、それらを同時にバッチ処理することである。これは、プリンタのより効率的な使用という効果がある。ジョブグループは、割当処理を開始する前に、オペレータによって決められる。ステップS21において、サーバは、印刷ジョブのジョブチケットパラメータを、予め決められたすべてのジョブグループの特定のパラメータと比較する。一致が見つかる場合、ジョブは、そのグループに割り当てられる(ステップS31)。一致は、グループに対して指定されてない他の条件をジョブが有しているかもしれないが、印刷ジョブがグループのすべての条件を有していることを意味する。グループに割り当てられるジョブは、手動で処理されることができ、すなわち、オペレータが、グループのすべてのジョブを特定のプリンタに手動で割り当てることができる。
【0022】
ジョブがグループの基準と一致しないために、ジョブがいかなるグループにも割り当てられない場合、次に、サーバは、ジョブのカラー条件(カラーインテント)を調べ、サーバによって管理されるプリンタおよびクラスタのカラー機能とそれらとを比較する(ステップS22)。印刷ジョブのカラー条件と一致しないプリンタまたはクラスタは、印刷ジョブに対して可能性のある印刷装置候補としては除外される。それから、サーバは、用紙サイズ、用紙重量、および用紙種類のような印刷ジョブの用紙条件を考慮する(ステップS23)。もし、残っている任意のプリンタまたはクラスタが、これらの用紙設定をサポートしない場合、プリンタまたはクラスタは、装置候補としては除外される。次に、サーバは、残りのプリンタおよびクラスタのレイアウトサポートを調べる(ステップS24)。レイアウトオプションの例は、片面、両面、無線綴じ、および小冊子を含む。印刷ジョブの指定されたレイアウト設定を処理することができないプリンタまたはクラスタは、装置候補としては除外される。
【0023】
次に、サーバは、ジョブチケット制約検査を実施して、ジョブチケット自体が、内部矛盾(すなわち、矛盾するジョブ条件)を引き起こす任意の設定を含むかどうかを判定する(ステップS25)。たとえば、ステープルおよびZ折りの両方がジョブについて指定されている場合、それは内部矛盾と考えられる。内部矛盾が見つけられる場合、ジョブはいかなる印刷装置にも割り当てられることができず、サーバは、そのようなコンフリクトをオペレータに知らせる。この状況は、オペレータがジョブチケットを修正して内部矛盾を解決することを必要とする。したがって、サーバは、警告メッセージを表示し、その印刷ジョブの処理を停止する(ステップS32)。
【0024】
また、サーバは、各プリンタに対して、プリンタ制約検査を実施して、印刷装置が残りのすべてのジョブチケットの設定をサポートするかどうかを確かめる(ステップS26)。もし、印刷装置がすべてのジョブチケットの設定をサポートすることができない場合、印刷装置は印刷装置候補としては除外される。
【0025】
次に、サーバは、残りのプリンタおよびクラスタに割り当てられるプリンタのそれぞれの定期メンテナンスカウントを調べ、残りの定期メンテナンスカウントを印刷ジョブの原稿ページ数(copy page count)と比較する(ステップS27)。原稿ページ数は、印刷される印刷ジョブの総ページ数である。たとえば、印刷ジョブのモノクロページを印刷するモノクロプリンタおよびカラーページを印刷するカラープリンタのような印刷ジョブの異なる部分を印刷する2つ以上のプリンタを含むクラスタの場合、原稿ページ数は、たとえば、モノクロページの総数およびカラーページの総数のような各プリンタについての総ページ数をそれぞれ含む。定期メンテナンスカウント(PM)は、現在のメンテナンス期間の間にプリンタによって印刷されたページ数を示す数である。次の定期メンテナンスが実施される前に、各プリンタは、特定数のページを印刷することを予定されている。したがって、残りのPMカウントは、メンテナンス前にプリンタが印刷することができるページの数を示す。印刷ジョブの原稿ページ数がプリンタの残りのPMカウントを超える場合、プリンタおよびプリンタが属するクラスタは、印刷装置候補としては除外される。
【0026】
それから、サーバは、残りのプリンタおよびクラスタに割り当てられるプリンタをそれぞれ考慮し、消耗品レベルとともに、プリンタに現在搭載されている用紙サイズおよび用紙種類を調べる(ステップS28)。ステップS23が、要求される用紙のサイズおよび種類をサポートするプリンタの機能について調べる一方で、ステップS28は、印刷ジョブによって要求される用紙のサイズおよび種類が、プリンタに実際に搭載されているかどうかを調べる。消耗品は、たとえば、トナー、ステープル等を含む。正しい用紙が現在プリンタに搭載されていない場合、または消耗品レベルが不十分な場合、サーバは、プリンタおよびそれが帰属するクラスタを除外する。また、サーバは、警告メッセージを生成して、この事実を示すことができる。警告メッセージの効果は、自動印刷ジョブ割当処理が任意の印刷装置に印刷ジョブを割り当てない(すなわち、印刷ジョブのすべての条件を満たす印刷装置がない)場合、オペレータは、警告メッセージに関わらず、それでもなお印刷装置に手動で印刷ジョブを割り当てる、あるいは、彼は、問題を修正し(たとえば、正しい用紙を搭載し)、それから手動で印刷ジョブをその印刷装置に割り当てる、ということである。
【0027】
ステップS22、S23、S24、およびS26において、クラスタの機能は、クラスタ内の個々のプリンタおよびそれらがどのようにタスクを共有するかを定義するアルゴリズムの機能に依存する。たとえば、モノクロプリンタおよびカラープリンタを含み、2つのプリンタによって印刷ジョブのカラーおよびモノクロページがどのように印刷されるかを定めるアルゴリズムを備えるクラスタについて、クラスタは、ステップS22の目的に対するカラー印刷機能を有すると考えられる。他の例において、数量型クラスタは、複数のモノクロプリンタを含み、複数のプリンタによって複数部数の印刷ジョブがどのように印刷されるかを定めるアルゴリズムを備える。印刷ジョブが穴打抜きを要求するが、クラスタのすべてのプリンタが穴打抜き機能を有していない場合、クラスタは、穴打抜き要求をサポートすることができず、ステップS26において除外される。
【0028】
ステップS21〜S28の後、多くの印刷装置は、印刷装置候補として残ることができ、そのすべては、印刷ジョブのすべての印刷条件を満たすことが可能である。残りの印刷装置候補の中で、サーバは、予め決められたプリンタ優先度の設定に基づいて1つの印刷装置を選択し、選択された印刷装置に印刷ジョブを送出する(ステップS29)。したがって、上記した方法を使用することによって、サーバは、各印刷ジョブを印刷装置に自動的に割り当て、印刷のためにジョブをその印刷装置に自動的に送出する。
【0029】
プリンタ優先度の設定は、オペレータによって予め生成される優先度の一覧である。それは、複数のプリンタが印刷ジョブを取り扱うことができる場合に、サーバによって印刷装置が選択される順序を特定する。ステップS29において、そのような予め決められたプリンタ優先度の設定を使用することの1つの理由は、2つ以上のプリンタが印刷ジョブを取り扱うことができる中で、プリントショップが一のプリンタを他のプリンタよりも好む他の要因があり得るということである。説明に役立つ実例において、プリントショップは、すべてが白黒のプリンタである2つのモデル1プリンタと1つのモデル2プリンタとを有する。これら2つのモデルのプリンタの動作コストは、同一でなく、モデル2は、印刷がより高価である。追加的に、2つのモデル1のプリンタは、異なるPMサービス契約またはPMカウントを有し、プリントショップのオペレータが他のプリンタよりも一のプリンタを好むことは妥当である。したがって、プリンタの使用に関するプリントショップの好みを反映するプリンタ優先度の設定の作成をオペレータに可能とすることは、都合が良いことである。
【0030】
プリンタ優先度の設定は、印刷装置にジョブを割り当てる処理をサーバが開始する前に作成される。サーバ管理ソフトウエアは、プリンタ優先度の設定として、プリンタの順序リストを編集するためのGUIをオペレータに提供することができる。説明に役立つ実例において、オペレータは、プリンタ優先度の設定として、第1ポジションのプリンタA、第2ポジションのプリンタB、および第3ポジションのプリンタCのようなプリンタの一覧を作成する。サーバが、印刷ジョブ割当処理を実行する場合、ステップS21〜S28は、プリンタBおよびプリンタCの両方がジョブを処理するための候補であるという結果になる。ステップS29において、予め決められたプリンタ優先度の設定においてプリンタCよりもプリンタBが高いポジションにあるため、サーバは、プリンタBを選択して印刷ジョブを割り当てる。
【0031】
別の実施形態において、オペレータは、プリンタ優先度の設定モードまたは最小待ち時間モードの2つの択一的な選択モードのうち、印刷ジョブ割当処理を実行するための一のモードを選択することができる。図2Aおよび2Bに示されるステップS21〜S28は、両方のモードについての共通のステップである。ステップS21〜S28を実行した後、2つ以上の印刷装置が、印刷装置候補として残っていることができる。それから、図3に示されるように、サーバは、選択モードを判定する(ステップS33)。処理がプリンタ優先度の設定モードで実行されている場合(ステップS33の「Y」)、サーバは、予め決められたプリンタ優先度の設定に基づいて印刷装置を選択し、選択された印刷装置に印刷ジョブを送出する(ステップS29A)。ステップS29Aは、図2BのステップS29と同様である。処理が最小待ち時間モードで実行されている場合(ステップS33の「N」)、サーバは、残りの印刷装置候補の中から最も短い待ち時間を有する印刷装置を選択し、選択された印刷装置に印刷ジョブを送出する(ステップS29B)。これは、各プリンタの「残り時間」カウントを調べることによってなされることができる。2つ以上のプリンタが同じ待ち時間を有する場合、サーバは、初期設定の順序に基づいて、それらの中から一つを選択する。
【0032】
図2A、2B、および3に示される印刷ジョブ割当処理の実行中に、処理の進展は、印刷ジョブ管理ソフトウエアのGUIに表示されることができる。たとえば、GUIは、すべての利用可能なプリンタおよびクラスタの一覧を示し、ステップS21〜S29のうちの一つにおいてプリンタまたはクラスタが除外されるとき、結果は、たとえば、除去された印刷装置を一覧内でグレイアウトすることによってGUI上に示される。
【0033】
実施形態は、プリントショップ環境において適用されるものとして述べられているけれども、本発明は、ショップまたはネットワークの任意の物理的設定に限定されず、異なる場所のプリンタがサーバに接続されている分散設定を有するプリントショップシステムに適用されられることができる。特に、プリントショップシステムの1つ以上の構成要素が、仮想プライベートネットワーク(VPN)またはインターネットを通じた類似の手段を介して他のシステムと通信することができることは明らかである。さらに、図1を参照すれば、上記の例のサーバ4が、ネットワークサーバと同様に印刷ジョブ管理サーバとして機能するけれども、分離されたスタンドアロンコンピュータが、印刷ジョブ管理ソフトウエアを実行するために提供されることができる。選択的に、適切に構成される場合、クライアントコンピュータ1および2の一つ、または、プリンタ5〜9の一つに取り付けられるコンピュータ(そのようなプリンタがそれらの中に存在する場合)は、印刷ジョブ管理サーバの役割を果たすために使用されることができる。さらに、適切なソフトウエアを備えるWindowsベースのサーバコンピュータが例として上述されたけれども、本発明の印刷管理システムは、印刷管理システムの上記の様々な機能を実行するように特別に設計されている専用のハードウエアシステムで実行されることができる。
【0034】
本発明の精神または範囲から逸脱することなく、本発明の印刷ジョブ割当方法および装置において様々な修正および変更がなされることができることは、当業者にとって明らかである。したがって、本発明が、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内に入る修正および変更に及ぶことは意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の印刷装置を管理するための印刷ジョブ管理装置において実行される印刷ジョブ処理方法であって、
印刷条件を示すジョブチケットパラメータを指定している印刷ジョブを受信するステップ(a)と、
前記複数の印刷装置のそれぞれについて、前記印刷ジョブのすべての印刷条件を印刷装置が満たすかどうかを判定するステップ(b)と、
前記印刷ジョブのすべての印刷条件を満たすと判定されたすべての印刷装置の中から、オペレータによって予め決められた印刷装置の優先度の設定に基づいて、一の印刷装置を選択するステップ(c)と、
前記選択された印刷装置に前記印刷ジョブを印刷のために送出するステップ(d)と、
を有する方法。
【請求項2】
前記ステップ(b)の前に、
予め決められた一つ以上のグループであって、各グループがそのグループに割り当てられるジョブを印刷する印刷装置を定めている前記各グループの設定に、前記ジョブチケットパラメータが一致するかどうかを判定するステップ(e)と、
前記ジョブチケットパラメータが、前記予め決められたグループの設定に一致する場合、前記一致するグループに、前記印刷ジョブを割り当てるステップ(f)と、をさらに有し、
前記ジョブチケットパラメータが、前記予め決められたどのグループの設定とも一致しない場合、前記ステップ(b)、(c)、および(d)が実行される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記印刷条件は、カラー条件、用紙条件、およびレイアウト条件を含み、前記ステップ(b)は、
前記印刷ジョブの前記カラー条件を印刷装置のカラー機能と比較するステップ(b1)と、
前記印刷ジョブの前記用紙条件を印刷装置の用紙機能と比較するステップ(b2)と、
前記印刷ジョブの前記レイアウト条件を印刷装置のレイアウト機能と比較するステップ(b3)と、を有する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ステップ(b)は、
前記印刷ジョブの原稿ページ数を印刷装置の残りの定期メンテナンスカウントと比較するステップ(b4)をさらに有する請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ステップ(b)は、
正しい用紙サイズおよび種類の用紙が、印刷装置に現在搭載されているかどうかを判定するステップ(b5)と、
前記印刷装置が十分な消耗品レベルを有するかどうかを判定するステップ(b6)と、をさらに有する請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ステップ(c)の前に、ジョブチケット制約検査を実施して、前記ジョブチケットパラメータが何らかの内部矛盾を生じているかどうかを判定するステップ(g)と、
前記ジョブチケットパラメータが何らかの内部矛盾を生じている場合、警告メッセージを表示するステップ(h)と、をさらに有し、
前記ジョブチケットパラメータが内部矛盾を生じていない場合のみ、前記ステップ(c)および(d)が実行される請求項1に記載の方法。
【請求項7】
オペレータによって予め指定される選択モードを判定するステップ(i)と、
前記選択モードが第1モードである場合、前記ステップ(b)において前記印刷ジョブのすべての印刷条件を満たすと判定されたすべての印刷装置の中から、最小待ち時間を有する印刷装置を選択するステップ(j)と、をさらに有し、
前記選択モードが第2モードである場合、前記ステップ(d)が実行される請求項1に記載の方法。
【請求項8】
複数の印刷装置を管理するためのデータ処理装置を制御するためのコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは、印刷ジョブを処理するためのプロセスを前記データ処理装置に実行させるように構成されており、
前記プロセスは、
印刷条件を示すジョブチケットパラメータを指定している印刷ジョブを受信するステップ(a)と、
前記複数の印刷装置のそれぞれについて、前記印刷ジョブのすべての印刷条件を印刷装置が満たすかどうかを判定するステップ(b)と、
前記印刷ジョブのすべての印刷条件を満たすと判定されたすべての印刷装置の中から、オペレータによって予め決められた印刷装置の優先度の設定に基づいて、一の印刷装置を選択するステップ(c)と、
前記選択された印刷装置に前記印刷ジョブを印刷のために送出するステップ(d)と、
を有するコンピュータプログラム。
【請求項9】
前記プロセスは、前記ステップ(b)の前に、
予め決められた一つ以上のグループであって、各グループがそのグループに割り当てられるジョブを印刷する印刷装置を定めている前記各グループの設定に、前記ジョブチケットパラメータが一致するかどうかを判定するステップ(e)と、
前記ジョブチケットパラメータが、前記予め決められたグループの設定に一致する場合、前記一致するグループに、前記印刷ジョブを割り当てるステップ(f)と、をさらに有し、
前記ジョブチケットパラメータが、前記予め決められたどのグループの設定とも一致しない場合、前記ステップ(b)、(c)、および(d)が実行される請求項8に記載のコンピュータプログラム。
【請求項10】
前記印刷条件は、カラー条件、用紙条件、およびレイアウト条件を含み、前記ステップ(b)は、
前記印刷ジョブの前記カラー条件を印刷装置のカラー機能と比較するステップ(b1)と、
前記印刷ジョブの前記用紙条件を印刷装置の用紙機能と比較するステップ(b2)と、
前記印刷ジョブの前記レイアウト条件を印刷装置のレイアウト機能と比較するステップ(b3)と、を有する請求項8に記載のコンピュータプログラム。
【請求項11】
前記ステップ(b)は、
前記印刷ジョブの原稿ページ数を印刷装置の残りの定期メンテナンスカウントと比較するステップ(b4)をさらに有する請求項10に記載のコンピュータプログラム。
【請求項12】
前記ステップ(b)は、
正しい用紙サイズおよび種類の用紙が、印刷装置に現在搭載されているかどうかを判定するステップ(b5)と、
前記印刷装置が十分な消耗品レベルを有するかどうかを判定するステップ(b6)と、をさらに有する請求項11に記載のコンピュータプログラム。
【請求項13】
前記プロセスは、
前記ステップ(c)の前に、ジョブチケット制約検査を実施して、前記ジョブチケットパラメータが何らかの内部矛盾を生じているかどうかを判定するステップ(g)と、
前記ジョブチケットパラメータが何らかの内部矛盾を生じている場合、警告メッセージを表示するステップ(h)と、をさらに有し、
前記ジョブチケットパラメータが内部矛盾を生じていない場合のみ、前記ステップ(c)および(d)が実行される請求項8に記載のコンピュータプログラム。
【請求項14】
前記プロセスは、
オペレータによって予め指定される選択モードを判定するステップ(i)と、
前記選択モードが第1モードである場合、前記ステップ(b)において前記印刷ジョブのすべての印刷条件を満たすと判定されたすべての印刷装置の中から、最小待ち時間を有する印刷装置を選択するステップ(j)と、をさらに有し、
前記選択モードが第2モードである場合、前記ステップ(d)が実行される請求項8に記載のコンピュータプログラム。
【請求項15】
請求項8〜14のいずれか一つに記載のコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−193572(P2009−193572A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−330741(P2008−330741)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WINDOWS
2.フロッピー
【出願人】(507031918)コニカ ミノルタ システムズ ラボラトリー, インコーポレイテッド (157)
【Fターム(参考)】