説明

ライナーおよびその使用

【課題】従来の剥離紙及びポリエステル剥離フィルムにおける欠点を解消した寸法安定性、有色化可能で安価な接着テープ用ライナーおよびその使用方法の提供。
【解決手段】少なくとも2枚の互いに同時押出成形された層よりなる一軸延伸されたフィルム、ポリプロピレンよりなるコア層、同時押出成形層並びに場合によっては別の層よりなるライナーであって、同時押出成形層の外側にある面に剥離被覆層が適用されているライナー。該ライナーの厚さは、好ましくは45〜55μm又は70〜80μmである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライナーおよびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
片面又は両面が接着剤で被覆されている接着テープは、製造プロセスの終わりに、通常、アルキメデスの螺旋の形態のロールを形成するように巻き取られる。両面接着性の接着テープの場合、接着剤が互いに接触することを防止するために、又は、片面接着性の接着テープの場合、接着剤が支持体に付着することを防止するために、接着テープは、巻き取る前にライナー材料に貼付され、該ライナー材料は接着テープと一緒に巻き取られる。当業者には、このようなライナー材料はライナーの名称で既知である。ライナーは、片面又は両面接着性の接着テープを覆う他に、ラベルの被覆にも使用される。
【0003】
一般に、ライナーは剥離紙(片面又は両面シリコーン層を有する紙)である。少ないが、シリコーン被覆を有するポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、およびポリエチレンフィルムも使用されている。フィルムをベースにするライナーは、感圧接着性製品業者に剥離フィルムと称されている。
【0004】
ポリオレフィン製のこのようなライナーのためのフィルムは、インフレーション又は平坦フィルム押出成形で製造される。ライナーは製造プロセス(粘着剤での被覆、乾燥、乾燥した接着剤の基体への移動、およびライナーの取り外し)に役立つ。ライナーは、貯蔵(例えば、両面接着テープの場合)にも役立つ。ライナーは、感圧接着剤層を被覆し、適用時、貼り付ける前に取り外される。
【0005】
他の加工分野における沢山の用途(いわゆる変換用途)、例えば打ち抜き物の製造のためには、湿気に弱い場合には寸法安定性がなくそして更に厚み誤差がしばしば大き過ぎるので、剥離紙を使用することができない。さらに、打ち抜きプロセス後、剥離紙に由来する紙の繊維が接着テープの切断端縁部に付着する。これは、打ち抜き物を衛生用品や電子製品に使用するのに、例えば、打ち抜き物を薄型画面又は携帯電話の組み立てに使用するのに許容できない。
【0006】
このような用途にとって今日、50〜75μmの厚さのシリコーン加工ポリエステルフィルムが使用されている。このものは剥離紙の上述の欠点を確かに有していないが、比較的に高価でそして、実際、無色の状態でしか入手できない。
【0007】
しかし有色で透明なライナーは機械中において監視するのに使用できる。有色のライナーは打ち抜き操作の制御、例えばウエブ端部の監視に有益である。しかしながら着色されたポリエステルフィルムは極めて高価であり、それ故にコーティング操作によって色を適用することが試みられている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1,234,863A1号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0378420A1号明細書
【特許文献3】欧州特許第0168713B1号明細書
【特許文献4】独国特許発明第3820294C1号明細書
【特許文献5】米国特許第4,725,630A1号明細書
【特許文献6】独国特許発明第3316166C1号明細書
【特許文献7】独国特許出願公開10145229A1号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2003/195300A1号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】D.サタス、感圧接着剤技術のハンドブック(バン・ノストランド・ラインホルド)(D.Satas, Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology (Van Nostrand Reinhold))
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、剥離紙及びポリエステル剥離フィルムの上述の欠点を有していないライナーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題は、独立請求項中により詳細に特徴が記載されているようなライナーによって解決される。従属請求項中に、本発明の有利な実施形態が記載されている。更に、本発明のライナーの使用が本発明思想に包含されている。
【0012】
従って、本発明は、少なくとも2枚の互いに同時押出成形された層よりなる一軸延伸されたフィルム、ポリプロピレンよりなるコア層、同時押出成形層並びに場合によっては別の層よりなるライナーであって、同時押出成形層の外側にある面に剥離被覆層が適用されている、上記ライナーに関する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
1%と10%の伸び率のときに十分に高い応力に調整し、そしてまた、高過ぎない曲げ強度又は脆性にしないよう調整するため、ライナーのフィルムの延伸比を個々のポリプロピレンベース原料に適合させる。例えば、1:6の延伸比は、長さ1mの最初のフィルム片から、長さ6mの延伸フィルム片が得られることを示す。延伸比は、延伸前の線速度(linear speed)と延伸後の線速度の商とも称される。
【0014】
本発明の場合には、フィルムの延伸比は好ましくは1:5〜1:10、特に好ましくは1:6〜1:9である。
【0015】
特に有利な実施態様においては、長手方向(機械方向)でのフィルム比は1%の伸び率で少なくとも15、好ましくは少なくとも20N/cmの比引張り力(tensile force)及び10%の伸び率で少なくとも100、好ましくは少なくとも130N/cmの比引張り力を有している。
【0016】
比最大引張り力(specific maximum tensile force)は本発明の別の有利な実施形態によれば少なくとも170、好ましくは少なくとも190N/cmであり及び/又は横方向への引裂伝播抵抗は少なくとも200、特に好ましくは少なくとも400N/mmである。
【0017】
強度値を算出するために、比引張り力値をライナーの厚みで割る。ライナーの厚みは好ましくは30〜120μm、特に好ましくは40〜100μm、中でも50〜75μmにする。さらに、製品が今日通常に使用される50又は75μmのポリエステルライナーに切り換えられている場合には打ち抜き機を再調整できないので、45〜55、又は70〜80μmの範囲にするのが有利である。
【0018】
別の有利な実施形態によれば、支持体の外側両面にそれぞれ剥離被覆層が塗布されており、前記剥離被覆層が、好ましくは接着剤層に対して異なる剥離力を有する。
【0019】
本発明のライナー用のフィルムは一軸延伸されたポリプロピレンフィルムのための比較的に簡単な押出成形法と同様に製造できる。この種類のフィルムは、開封ストリップ又は荷造テープ用の支持材料として使用される。これらの支持体フィルムは片面が感圧接着剤で、好ましくはプライマーを使用して被覆されている。
【0020】
これに対してライナーは接着テープ又はラベルの構成成分ではなく、それを製造及び貯蔵するための、又は打ち抜きによってさらに加工するための補助的手段でしかない。
【0021】
本発明のライナーのコア層用の適するPP−フィルム原料は、市販のポリプロピレンホモポリマー又はポリプロピレンコポリマーである。好ましくは、本発明の対象にはコモノマーとしてエチレン又はブチレンを有する耐衝撃性変性されたポリプロピレンコポリマーが使用される。
【0022】
上述のポリマーの溶融指数は平坦フィルム押出成形に適する領域内にあるべきである。この範囲は0.3〜15g/10分、好ましくは0.8〜5g/10分の範囲内(230℃/2.16kgで測定)にあるべきである。
【0023】
ポリプロピレンの曲げ弾性は好ましくは1000〜1600、特に好ましくは1200〜1400MPaの範囲内にある。
【0024】
コア層のポリプロピレンフィルムは別のポリマー、例えばエチレンコポリマー、例えばEVA又はLLDPEを含めたポリエチレン又は未だ挙げてないプロピレンポリマーを含有していてもよい。
【0025】
さらにポリプロピレンのための別の通例な添加物、例えば染料、顔料、フィラー、酸化防止剤、光安定剤、成核剤又は加工助剤も使用することができる。これらはシリコーン層の硬化にマイナスの影響を及ぼさないのが有利である。
【0026】
コア層のフィルムは好ましくは有色であるか又は無色である。
【0027】
剥離フィルムで覆われた接着テープを打ち抜くときに、機械を正しくない位置にセットする結果として又はライナーが極めて大きい許容誤差値であることの結果として、ライナー用のフィルムを個別に切断することが可能である。打ち抜き物を提供するときに、ライナーのポリプロピレンフィルムの一部が抜き取られたり又はライナーのポリプロピレンベース層と接着剤との貼り付きが起こり得る。
【0028】
それ故に本発明のライナーのコア層の片面に同時押出成形層を設ける。しかも特にライナーの打ち抜き加工側に設ける。
【0029】
この同時押出成形層は本発明の特に有利な実施形態によればコア層よりも強靱である。
【0030】
例えばシリコーン処理の間コア層を良好に平らに置く目的のために、コア層のもう一方の側に、コア層及び同時押出成形層と一緒に同時押出成形される別の層を適用することが可能である。
【0031】
フィルムの強靱さは成形行程、使用されるポリマーの延伸比及び結晶子融点によって影響されるフィルムの結晶度に左右される。
【0032】
コア層は150℃〜167℃、好ましくは160℃〜167℃の結晶子融点を持つポリプロピレンで構成されており、他方、同時押出成形層は150℃未満、好ましくは140℃未満の結晶子融点を持つポリプロピレン又はエチレン含有コポリマーを含有しているのが有利である。
【0033】
同時押出成形層のためのこのポリマーの割合は少なくとも50重量%であるのが有利である。
【0034】
この種類のポリマーの例には、ポリプロピレンランダムコポリマー、ポリプロピレンターポリマー、ポリプロピレンプラストマー(例えば、ビスタマックス(Vistamaxx)(登録商標)又はバーシファイ(Versify)(登録商標))、ポリエチレン−プラストマー(例えば、イグザクト(Exact)(登録商標)又はタフマー(Tafmer)(登録商標))、EPM、EPDM、LDPE、VLDPE又はLLDPEがある。
【0035】
同時押出成形層のポリマーがプロピレンを全く含有しないか又は少量含有する場合、コア層と同時押出成形層との間の粘着性を改善のために、好ましくはポリプロピレン含有ポリマー、特にベース層の主成分と混合され、好ましくはその割合は少なくとも約20重量%である。
【0036】
本発明に従うライナーは、同時押出成形層の外側面に、剥離被覆層(付着防止コーティング)が設けられている。
【0037】
本発明の別の有利な実施形態によれば、支持体の外側両面にそれぞれ剥離被覆層が塗布されていてもよい。剥離被覆層は、シリコーン、アクリレート(例えば、プリマール(Primal)(登録商標)205)、ポリビニルステアリルカルバメート又はクロムステアレート錯体(例えば、キロン(Quilon)(登録商標)C)の如きステアリル化合物、無水マレイン酸共重合体とステアリルアミンの反応生成物、又はポリビニルアルコールとステアリルイソシアネートの反応生成物のようなステアリル化合物から構成されていてもよい。
【0038】
好ましくは、剥離被覆層はシリコーンベースである。シリコーンは、溶媒を含まずに(100%濃度で若しくは分散物として)、又は溶媒を含有して塗布されてもよく、放射線により、熱的に、例えば、縮合反応、付加反応、若しくはラジカル反応で、又は、物理的に(例えば、ブロック構造で)架橋されていてもよい。
【0039】
場合によっては、剥離被覆層は、同時押出成形により塗布されていてもよい(例えば、ポリビニルステアリルカルバメート又はシリコーングラフトポリエチレンを含有する外側層が塗布されていてもよい)。
【0040】
好ましくは、ライナーのフィルムの両面にシリコーン層が塗布されており、それは、特に好ましくは接着剤層に対して異なる剥離力を有する。
【0041】
剥離被覆層がフィルムの機械的特性に悪影響を及ぼすことを回避するため、熱的に又は放射線誘導により架橋された溶媒不含有シリコーンが特に好ましく、とりわけビニルポリジメチルシロキサンが好ましい。これらは、好ましくは、メチル水素シロキサンで、白金触媒若しくはロジウム触媒の存在下で、又は電子線/紫外線によって架橋される。
【0042】
そのために、例えば、市販の付加架橋性シリコーン剥離剤系である、ワッカー・ヘミー(Wacker−Chemie)の「デヘーシブ(Dehesive)940A」とそれに付属する触媒系が使用可能であり、これは非架橋状態で塗布された後、その塗布された状態で後で架橋される。
【0043】
架橋性シリコーンとして、剥離被覆層に通常使用されるシリコーン系を使用することができる。それらには、架橋触媒と、いわゆる熱硬化性の縮合架橋性又は付加架橋性シロキサンとの混合物が挙げられる。更に、光活性触媒、いわゆる光開始剤を、エポキシドおよび/又はビニルエーテルをベースにする紫外線硬化性カチオン架橋性シロキサン、あるいは例えばアクリレート変性シロキサンのような紫外線硬化性ラジカル架橋性シロキサンと組み合わせて使用することもできる。同様に、電子線硬化性シリコーンアクリレートの使用も可能である。それに対応する系は、使用目的に応じて、安定剤又は加工助剤のような他の添加剤も含有していてもよい。
【0044】
更に、加熱又は照射によって架橋する様々な種類のオルガノポリシロキサン組成物が知られている。例えば、特許文献2に記載されているような、付加反応で架橋する、すなわち、直接ケイ素原子に結合している水素原子を有するオルガノポリシロキサンと、直接ケイ素原子に結合しているビニル基を有するオルガノポリシロキサンとの混合物をヒドロシリル化触媒の存在下で熱処理することによって架橋する組成物が挙げられる。
【0045】
光重合性オルガノポリシロキサン組成物も使用できる。例えば、(メタ)アクリレート基で置換された炭化水素基が直接ケイ素原子に結合しているオリガノポリシロキサン相互間の反応によって、感光剤の存在下で架橋される組成物が挙げられる。(特許文献3、特許文献4を参照されたい)。同様に、メルカプト基で置換された炭化水素が直接ケイ素原子に結合しているオルガノポリシロキサンと、直接ケイ素原子に結合しているビニル基を有するオルガノポリシロキサンとの架橋反応が感光剤の存在下で起こる組成物も使用可能である。このような組成物は、例えば、特許文献5に記載されている。
【0046】
例えば、エポキシ基で置換された炭化水素基が直接ケイ素原子に結合している特許文献6に記載のオルガノポリシロキサン組成物を使用するとき、架橋反応は、添加されたオニウム塩触媒の光分解によって得られる触媒量の酸の遊離により誘発される。カチオン機構によって硬化可能な別のオルガノポリシロキサン組成物は、例えば、プロペニルオキシシロキサン末端基を有する物質である。
【0047】
熱硬化性剥離被覆層は、典型的には次の成分からなる多成分系であることが多い:
a)約80〜200個のジメチルポリシロキサン単位からなり、鎖末端がビニルジメチルシロキシ単位で終わっている直鎖又は分岐鎖のジメチルポリシロキサン。典型的な代表例には、例えば、共にワッカー・ヘミー社(Wacker−Chemie GmbH)から市販されているデへーシブ(DEHESIVE)(登録商標)921又は610のような、溶媒不含有で末端にビニル基を有する付加架橋性シリコーン油がある。
【0048】
b)通常、メチル水素シロキシ単位とジメチルシロキシ単位から構成されている直鎖状又は分岐鎖状の架橋剤であって、鎖末端がトリメチルシロキシ基又はジメチル水素シロキシ基で飽和されている架橋剤。この種類の製品の典型的な代表例には、例えば、ワッカー・ヘミー社(Wacker−Chemie GmbH)から市販されている架橋剤V24、V90又はV06のような反応性Si−Hの含有量が高い水素ポリシロキサンがある。
【0049】
c)M単位として、通常使用されるトリメチルシロキシ単位の他にビニルジメチルシロキシ単位も有するシリコーン−MQ−樹脂。この群の典型的な代表例には、例えば、ワッカー・ヘミー社(Wacker−Chemie GmbH)から市販されている剥離力調整剤、CRA(登録商標)17又はCRA(登録商標)42がある。
【0050】
d)例えば、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のようなシリコーン可溶性白金触媒であって、通常、カルステッド(Karstedt)錯体と称され、例えば、触媒(Katalysator)OLの名称でワッカー・ヘミー社(Wacker−Chemie GmbH)から市販されているもの。
【0051】
本発明に従って使用されるシリコーン、好ましくはシリコーン油は、様々な長さと様々な置換基を有する直鎖状又は環状シロキサン鎖の多分散性混合物である。この混合物は触媒を用いる合成法で得られる。ポリシロキサンは、交互に結合しているケイ素原子と酸素原子からなっており、そのため、その特徴は、分子構造ではSi−O−Si−(=シロキサン−)結合にある。ケイ素の両方の結合していない原子価に様々な置換が可能である。
【0052】
当該シリコーン油は、化学的に正しくはポリジメチルシロキサンと称され、これは一般にPDMSと略される。それらは次式で特徴付けられる:
直鎖状(左)および環状(右)のポリジメチルシロキサンの構造
【0053】
【化1】

【0054】
ケイ素に結合している基は、また、他のシロキサン結合で飽和されていてもよい;このようにして、分岐したシリコーンと架橋されたシリコーンが得られる。前者はシリコーン樹脂、後者はシリコーンエラストマーを形成する。
【0055】
ケイ素基の官能性(一官能性、二官能性、三官能性又は四官能性)に応じて、記号表記M、D、TおよびQを導入した:
・[M]=RSiO1/2
・[D]=RSiO2/2
・[T]=RSiO3/2
・[Q]=SiO4/2
次の群を区別することができる:
・直鎖状ポリシロキサン:二官能性シロキサン単位で鎖状に構成されており、一官能性末端基を有する;構造タイプ[MDM]又はRSiO[RSiO]SiR
[式中、R=CH]。
・分岐状ポリシロキサン:二官能性、三官能性又は四官能性シロキサン単位で環状又は鎖状に構成されている;構造タイプ[M]。
・環状ポリシロキサン:二官能性シロキサン単位で環状に構成されている;構造タイプ[D]。
・架橋ポリマー:T単位およびQ単位によって二次元又は三次元網目構造を形成するように結合している鎖状又は環状の分子である。
【0056】
剥離被覆層が塗布されるフィルム面は、剥離被覆層を付着し易くするため、好ましくは表面を前処理する。これは、化学的コーティング又は気相(例えば、フッ素含有ガス)での処理、又は、フッ素処理、火炎処理、若しくはプラズマ処理、特にコロナ処理のような物理的方法であってもよく、場合によっては機械的前処理(エンボス加工)も可能である。
【0057】
本発明のライナーの卓越した特性のため、片面又は両面接着性の接着テープ、接着テープ打ち抜き物又はラベルの接着剤層を覆うのに、特に接着被覆層がアクリレートベースであるときに、有利に使用できる。
【0058】
ライナーの別の一つの有利な使用形態は、打ち抜き法で打ち抜き処理される両面接着テープを覆うライナーの使用である。
【0059】
片面又は両面接着性の接着テープ、接着テープ打ち抜き物又はラベルは、更に支持体、例えば、ティシュ、フィルム、織布、ポリオレフィンフォーム又はフリースを追加的に含有することができる。好ましくは、接着テープは両面接着性であり、好ましくは薄い紙(ティシュ)、フリース、フォーム、又はフィルムよりなる支持体を含有している。フィルムは、例えば、二軸延伸ポリエステル又はポリプロピレンフィルムであってもよい。
【0060】
適した感圧接着剤は、非特許文献1に記載されている。特に、アクリレート、天然ゴム、熱可塑性スチレンブロック共重合体、ポリイソブチレン又はシリコーンをベースにする感圧接着剤が適している。アクリレート感圧接着剤が好ましく、それは分散物、ホットメルト、又は溶液として塗布されていてもよい。性質を最適にするため、使用される感圧接着剤組成物に、粘着付与剤(樹脂)、可塑剤、充填材、顔料、紫外線吸収材、光安定剤、老化防止剤、架橋剤、架橋促進剤、又はエラストマーの如き1種類以上の添加剤が混入されていてもよい。接着剤層は、熱又は高エネルギー放射線によって架橋され得る。
【0061】
一般的な表現「接着テープ」は、本発明の意味では、二次元で広がるフィルム又はフィルム片、長く伸びる狭い幅を有するテープ、テープ片等、最後にまた打ち抜き物又はラベルのようなあらゆる平面状構造物を包含する。
【0062】
着色されたフィルムを持つライナーの一つの実施形態においては、本発明の長所が確認される。必要な色は被覆作業では適用せず、代わりの、ライナーの同時押出成形が、追加的な作業も溶剤の使用も回避する。更に種々の接着テープ又は他の製品はライナーの色によって特徴付けられる。このことが、接着テープの適用の間の混乱を防止する。
【0063】
着色されたライナーは打ち抜き加工操作を制御するのに有益である(例えばウエブ端部の監視に有益である)。
【0064】
前述のパラメータは全て、次の試験方法に従って決定される:
厚さ:DIN53370
引張強度:DIN53455−7−5(長手方向)
1%又は10%の伸び率での引張り力:DIN53455−7−5(長手方向)
破断点伸び:DIN53455−7−5(長手方向)
メルトインデックス:DIN53735
・メルトインデックス「溶融流量」(MFR)は、DIN53735に従って測定される。ポリエチレンでは、メルトインデックスは、通常、190℃、2.16kgの重量でのg/10分で示され、ポリプロピレンでもそれに対応するが、但し温度は230℃である。
曲げ弾性(曲げモジュール:Flexural Modulus)):ASTM D 790A
密度:ASTM D 792
結晶子融点:DSCでISO 3146又はMTM 15902(バゼル(Basell)法)に従って測定する。
【0065】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、実施例に本発明は限定されない。
【実施例】
【0066】
原料
ダウ(Dow)7C06:
PP−BC、MFI 1.5g/10分、成核剤不添加、曲げ弾性1280MPa、結晶子融点164℃(製造元:Dow Chemical)
ダウ・インスパイア(Dow Inspire)404.01:
ポリプロピレン、MFI 3g/10分、曲げ弾性2068MPa、成核剤添加(特許文献8に対応するポリマー成核剤を用いる)、結晶子融点164℃(ダウヘミーカル(Dow Chemical))
モプレン(Moplen)HP 501D:
1.5重量%のエチレンを含有するコポリマー、MFI 0.7g/10分、成核剤不添加、曲げ弾性1450MPa、結晶子融点161℃(製造元:Basell)
ボルシール(Borseal)TD115BF:
エチレン及びブチレン含有のポリプロピレンターポリマー、MFI 6.5g/10分、結晶子融点130℃、曲げ弾性 700MPa(製造元:Boralis)
ビスタマックス(Vistamaxx)3000:
ポリオレフィンエラストマー、MFI 3g/10分、結晶融点40℃、曲げ弾性 40.2MPa(Exxon Mobil Chemical)
ADK STAB NA−11 UH:成核剤(製造元:Adeka Palamarole)
レマフィンゲルブ(Remafingelb)HG AE30
半透明顔料を有するPP−カラーマスターバッチ(クラリアント・マスターバッチズ(Clariant Masterbatches))
TPM 1005 F5:
50重量%のTiOを含有する白色PE−カラーマスターバッチ(製造元:Techmer Polymer Modifiers)
デヒーシブ(Dehesive)914:
ビニルポリジメチルシロキサン(製造元:ワッカー・シリコーンズ(Wacker Silicones))
デヒーシブ(Dehesive)920:
ビニルポリジメチルシロキサン(製造元:Wacker Silicones)
CRA 17:
調整された剥離添加剤(製造元:Wacker Silicones)
架橋剤V24:
メチル水素ポリシロキサン(製造元:Wacker Silicones)
触媒(Catalyst)OL:
ポリジメチルシロキサン中の白金−触媒(製造元:Wacker Silicones)
【実施例1】
【0067】
3層のフィルムを、柔軟なダイリップを有するフラットダイを備えた一軸スクリュー式同時押出成形装置で層状に製造し、次いでチルロールステーション及びロールギャプの小さい1段階の延伸装置で処理される。
【0068】
65μmの厚さのコア層はダウ(Dow)7C06よりなりそしてそれぞれ5μmの厚さの外側の両方の層は68.5重量%のADK STAB NA−11 UH、30重量%のダウ(Dow)7C06及び1.5重量%のTPM 1005 E5よりなる。ダイ温度は235℃でありそして延伸比は1:6.1である。得られるフィルムは白色である。
【0069】
フィルムの特性:
厚さ 75μm
最大比引張り力 200N/cm
1%延伸時の比引張り力 22N/cm
10%伸長時の比引張り力 140N/cm
破断点伸び率 19%
フィルムの両面をコロナで前処理し、マルチロールコーターを用いて、両面に異なる剥離被覆層を塗布し、それらを次いで加熱トンネルで硬化させる。それによってライナーは段階的剥離作用を有する。
【0070】
各剥離層は100重量部のデヒーシブ(Dehesive)920、2.5重量部の架橋剤V24及び2.5重量部の触媒(Catalyst)OLよりなる層(容易な剥離;容易な分離)及び50重量部のデヒーシブ(Dehesive)920、50重量部のCRA17、4重量部の架橋剤V24及び1.0重量部の触媒(Catalyst)OLよりなる層(厳しい剥離、比較的困難な分離)である。
【0071】
このライナーを特許文献7の実施例6に従うアクリレート系ホットメルト接着剤を用いて比較的困難な分離性のシリコーン側に塗布する。塗布量は100g/mである。次いで、コロナで前処理した12μmの厚さのポリエステルフィルムを積層しそして巻いてロール状にする。第二の加工段階で保存したこの材料を巻き解きそして同様に新たに被覆するが、今度は未被覆のポリエステル側に被覆する。次いで巻いて親ロールを形成しそして切断する。
【0072】
この生成物から辺の長さ20mmの正方形の打ち抜き物を作製し、マトリックス(matrix)のブリッジ幅は5mmである。このマトリックスを剥ぎ取り、そして生成物を打ち抜き物の表面用の保護ライナーとして被覆用ライナーのシルファン(Silphan)M23 M74F(シリコーン系)で被覆した後に巻く。取り分け装置(dispensing apparatus)においてこの打ち抜き物をライナーの除去後にライナーによる妨害なく合成樹脂部材に移す(“ピックアンドプレース”)。打ち抜き用ナイフの侵入深さを更に3μm増すと、ライナーはつながることがない。
【実施例2】
【0073】
3層のフィルムを、実施例1におけるのと同じ条件のもとで製造するが、その際に延伸比は1:8に調整しそして層圧比は変更する。主要層の原料として98.9重量%のモプレン(Moplen)HP 501 D、0.9重量%のレマフィンゲルブ(Remafingelb)HG AE30及び0.2重量%のADK STAB NA−11 UHよりなる混合物を使用する。同時押出成形層はボルシール(Borseal)TD115BFよりなる。
【0074】
フィルムの特性:
全厚 50μm
主要層の厚み 45μm
各同時押出成形層の厚み 2.5μm
1%延伸時の比引張り力 40N/cm
10%伸長時の比引張り力 160N/cm
最大比引張り力 160N/cm
破断点伸び率 12%
フィルムの両面をコロナで前処理し、実施例1と同様に両面をシリコーン処理する。このライナーは比較的困難な分離性のシリコーン側にアロセット(Aroset)PS 1874(アクリレート/溶剤組成物:製造元 Ashland)を塗布し(乾燥状態での塗布量50g/cm)、次いでTLG 0700.8(800μmのPE−フォーム、製造元:Sekisui−Alveo)を積層しそして巻いててロールを形成する。第二の加工段階で保存したこの材料を巻き解きそして同様に再び被覆するが、今度は未被覆のフォーム側に被覆する。次いで巻いて親ロールを形成しそして切断する。
【0075】
更なる加工を実施例1におけるように行う。加工で問題は生じない。
【実施例3】
【0076】
2層のフィルムを、実施例1におけるのと同じ条件のもとで製造するが、その際に延伸比は1:7に調整しそして層圧比を変更する。主要層はインスパイア(Inspire)D404.01よりなりそして同時押出成形層はビスタマックス(Vistamaxx)3000よりなる。このフィルムは無色である。
【0077】
フィルムの特性:
全厚 50μm
主要層の厚み 45μm
各同時押出成形層の厚み 5μm
1%延伸時の比引張り力 28.7N/cm
最大比引張り力 145N/cm
破断点伸び率 9.5%
このフィルムの同時押出成形層の側をコロナで前処理し、この側にマルチロールコーターを用いてシリコーン剥離ラッカを塗布しそして加熱トンネルで硬化させる。シリコーン剥離ラッカは96.5重量部のデヒーシブ(Dehesive)914、2.5重量部の架橋剤V24及び1重量部の触媒(Catalyst)OLよりなる。
【0078】
得られるライナーのシリコーン処理した側に40g/cm(乾燥状態)の接着剤をコーティングバーで塗布する。この接着剤は40重量%の天然ゴム SMRL(ムーニー70)、10重量%の二酸化チタン、95℃のR&B−値を持つ37重量%のC−炭化水素樹脂及び1重量%の酸化防止剤Vulkanox(R)BKFを含有しておりそしてヘキサン中20重量%濃度溶液として存在している。
【0079】
115℃で乾燥した後に70g/cmの面積重量の白色ラベル紙を積層し、得られるラベル材料を巻いて親ロールとする。この材料から実施例1と同様に20mmの大きさのラベルを、新しいフィルム厚に合わせて実施例1におけるのと同様に製造する。この加工時に問題は生じない。
【比較例1】
【0080】
フィルムを、インスパイア(Inspire)D404.01から、柔軟なダイリップを有するフラットダイを備えた一軸スクリュー式押出成形装置で押出成形し、次いでチルロールステーション及びロールギャプの小さい1段階の延伸装置で処理する。ダイの温度は235℃である。延伸比は1:10である。
【0081】
フィルムの特性:
厚さ 68μm
1%延伸時の比引張り力 50N/cm
最大比引張り力 210N/cm
破断点伸び率 5.7%
更なる加工段階は実施例1におけるのと同様に行う。この打ち抜き用マトリックスは、実施例1の道具の古い設定においては、正方形の打ち抜き物を一緒に剥ぎ取ることなく剥ぐことができない。それ故に、薄い厚さのフィルムに適合させるために、この打ち抜き道具を7μmより深く侵入させるように合わせる。打ち抜き用マトリックスは除去される。打ち抜き物を取り分けるときに、その幾つかがライナー上に残留する。保存後には、打ち抜き物の殆ど全てが取り分けできない。打抜き機の刃の侵入深さを更に3μmだけ増した場合には、ライナーはつながることがない。(長手方向にひび割れが生じる)。
【比較例2】
【0082】
ライナーの製造を、実施例1に従って、市販の厚さ35μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムにシリコーン処理することによって実施する。機械方向の延伸比は1:5であり、機械方向に対して横方向の延伸比は1:9である。
フィルムの特性:
厚さ 35μm
1%延伸時の比引張り力 8N/cm
最大比引張り力 40N/cm
機械方向の破断点伸び率 215%
更なる加工は実施例2に従って行う。打ち抜き物を新しいフィルム厚に変更する。このライナーは無色である。マトリックスを剥がすときに、ライナーは、BOPPフィルムの耐引裂性が極めて低いのでつながって引き裂ける。
【比較例3】
【0083】
3層のフィルムを、実施例1におけるのと同様に製造するが、その際に延伸比は1:8に調整する。主要層の原料として98.9重量%のモプレン(Moplen)HP 501 D、0.9重量%のレマフィンゲルブ(Remafingelb)HG AE30及び0.2重量%の及びADK STAB NA−11 UHよりなる混合物を使用する。同時押出成形層はDow 7C06よりなる。
【0084】
フィルムの特性:
全厚 64μm
主要層の厚み 60μm
各同時押出成形層の厚み 2.5μm
1%延伸時の比引張り力 21N/cm
10%伸長時の比引張り力 154N/cm
最大比引張り力 180N/cm
破断点伸び率 17%
ライナーは透明な黄色である。打ち抜き加工のときに、比較例1に記載の問題が発生する。
【比較例4】
【0085】
未延伸のポリプロピレンフィルムをベースとする剥離フィルム(Huhtamaki社の76677 easy tight,色94333)をライナーとして実施例1に相応して使用する。機械を止めたときに、ライナーはホットメルト用コーティングダイの所で引き裂ける。打ち抜きのときにライナーは、幾つかの場合に、打ち抜き寸法が設定点からずれるほどに延伸される。取り分けのときには、過度の延伸が、打ち抜き物の一部が取り分け末端の上流でライナーから外れそして偏向ロールに貼り付くという結果を生じる。
【0086】
フィルムの特性:
支持体厚さ 100μm
1%延伸時の比引張り力 12N/cm
10%伸長時の比引張り力 29N/cm
最大比引張り力 51N/cm
破断点伸び率 800%

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2枚の互いに同時押出成形された層よりなる一軸延伸されたフィルム、ポリプロピレンよりなるコア層、同時押出成形層並びに場合によっては別の層よりなるライナーであって、同時押出成形層の外側にある面に剥離被覆層が適用されている、上記ライナー。
【請求項2】
厚さが45〜55μm又は70〜80μmである、請求項1に記載のライナー。
【請求項3】
前記フィルムが、
・1:5〜1:10、好ましくは1:6〜1:9の延伸比、
・長手方向で、1%の伸び率で少なくとも15、好ましくは少なくとも20N/cmの比引張り力
・10%の伸び率で少なくとも100、好ましくは少なくとも130N/cmの比引張り力
を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のライナー。
【請求項4】
支持体の外側両面にそれぞれ剥離被覆層が塗布されており、前記剥離被覆層が、好ましくは接着剤層に対して異なる剥離力を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のライナー。
【請求項5】
コア層のポリプロピレンがホモポリマー又は耐衝撃性変性されたポリプロピレンコポリマーである、請求項1〜4のいずれか一つに記載のライナー。
【請求項6】
コア層のポリプロピレンが1100〜1600、好ましくは1200〜1400MPaの曲げ弾性及び/又は150〜167℃、好ましくは160〜167℃の結晶子融点を有する、請求項1〜5のいずれか一つに記載のライナー。
【請求項7】
コア層が白色又は有色である、請求項1〜6のいずれか一つに記載のライナー。
【請求項8】
同時押出成形層が150℃以下、好ましくは140℃以下の結晶子融点を有するポリプロピレンポリマー又はエチレン含有ポリマーを好ましくは少なくとも50重量%まで含有する、請求項1〜7のいずれか一つに記載のライナー。
【請求項9】
剥離被覆層が好ましくはビニルポリジメチルシロキサンを含有するシリコーン層である、請求項1〜8のいずれか一つに記載のライナー。
【請求項10】
片面又は両面接着性の接着テープ、接着テープ打ち抜き物、又はラベルの接着剤層を覆うための請求項1〜9のいずれか一つに記載のライナーの使用。
【請求項11】
前記接着剤層がアクリレートをベースにすることを特徴とする、請求項10に記載のライナーの使用。
【請求項12】
打ち抜き法で加工される両面接着性接着テープを覆う、請求項1〜8のいずれか一つに記載のライナーの使用。

【公開番号】特開2009−173034(P2009−173034A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−11061(P2009−11061)
【出願日】平成21年1月21日(2009.1.21)
【出願人】(507249591)テーザ・アクチエンゲゼルシャフト (52)
【Fターム(参考)】