説明

ラインが受ける振動の減衰システム

【課題】検知ラインが受ける振動のレベルを減衰させるためのシステムを提供する。
【解決手段】原子炉圧力容器内でジェットポンプに結合される検知ラインが受ける振動を減衰させるためのシステム。このシステムは、偏心クランプアセンブリ(ECA)200を含むことができる。このECA200は、カム部材230とサドル250;t字形ボルトなどのキー部材220;偏心部材230;クランプ部材240;クランプ本体とを含む。ジャッキボルト260、ワッシャ280、およびECA200接続具270はアセンブリを定位置に固定する。このECA200は、多方向での調整を可能にし、設置時間を短縮する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、一般に原子炉に関し、より詳しくは原子炉圧力容器内の検知ラインが受ける振動のレベルを減衰させるためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
原子炉の1つの型式、従来型の沸騰水型原子炉(BWR)を図1に示す。原子炉の動作中、原子炉圧力容器(RPV)10の内側を循環する冷却水は、核燃料コア35内で生じる核分裂によって加熱される。供給水は供給水入口15および供給水スパージャ20を介してRPV10内に入れられる。この供給水は、RPV10と炉心シュラウド30の間の環状区域である、降水管アニュラス25を通り下向きに流れる。
【0003】
炉心シュラウド30は、(図1には数個しか図示していない)複数の燃料束アセンブリ40を含む、核燃料コア35を取り囲むステンレス鋼の円筒である。頂部ガイド45および炉心板50がこの燃料束アセンブリ40の各々を支持する。
【0004】
冷却水は、降水管アニュラス25を通り下向きに流れ、炉心下部プレナム55に入る。次いでこの炉心下部プレナム55内の水は、核燃料コア35を通り上向きに流れる。特に、水は燃料束アセンブリ40内に入り、沸騰境界層が形成される。水と蒸気の混合物が核燃料コア35を出て、シュラウドヘッド65の下の炉心上部プレナム60に入る。次いでこの蒸気−水混合物は、シュラウドヘッド65の頂部上のスタンドパイプ70を通り流れ、水を蒸気から分離する蒸気分離器75に入る。この分離された水は、降水管アニュラス25に再循環で戻され、蒸気はRPV10から出て蒸気タービン等(図示せず)に流れて行く。
【0005】
このBWRは、要求出力密度を達成するのに必要な核燃料コア35を通る強制対流流れを生成する冷却剤再循環システムも含む。水の一部分は、降水管アニュラス25の下側端部から再循環水出口80を介して吸われ、再循環ポンプ(図示せず)によって(1つが図1に図示される)複数のジェットポンプアセンブリ85内に再循環水入口90を介して強制的に入れられる。このジェットポンプアセンブリ85は、炉心シュラウド30の周りに通常円周方向に分配され、必要とされる原子炉炉心流れを供給する。典型的なBWRは、16から24基の入口混合器95を有する。
【0006】
図1に図示するように、従来型のジェットポンプアセンブリ85は、一対の入口混合器95を備える。各入口混合器95はこの混合器に溶接されたエルボを有し、このエルボが再循環ポンプ(図示せず)から入口ライザを介して加圧された駆動水を受け取る。入口混合器95の1つの型式は、入口混合器軸(不図示)周りに等しい角度で円周方向に分配された5本ノズルのセットを備える。この場合、各ノズルはノズル出口のところで半径方向内向きにテーパが付いている。この収束ノズルがジェットポンプアセンブリ85を付勢する。2次入口開口部(図示せず)は、ノズル出口の半径方向外側に存在する。したがって、水ジェットがノズルを出るとき、降水管アニュラス25からの水はこの2次入口開口部を介して入口混合器95内に引き込まれ、次いで再循環ポンプからの水との混合がそこで起きる。次いでこの水はディフューザ105内に流入する。
【0007】
各ジェットポンプアセンブリ85は、ディフューザ105の頂部の複数の圧力タップおよびRPV10外側に配置された計測器(不図示)と流体連通する(図2に図示)検知ライン110を有する。これらの検知ライン110によって、炉心流れを測定し監視するのが可能になる。ジェットポンプアセンブリ85を通るかつその外側の流れは、原子炉システム内の様々な源からの圧力変動を含む。これらの圧力変動は、検知ライン配管配管110の1つ以上の固有振動モードに近い周波数を有する場合がある。検知ライン110が受けるこの振動モードは、検知ライン配管110をディフューザ105に取り付ける支持ブロック115の間隔および剛性によって変わる。この圧力変動に加えて、検知ライン配管110の1つ以上の固有振動モードに近い周波数を持っているかもしれない他の振動源もあり得る。発生する励起振動数が検知ライン配管110の固有振動数に近いときは、特定の位置で、配管110の振動が支持取付具に荷重を加える。これが繰り返し疲労クラック、ならびに配管110および支持ブロック115への溶接取付具両方の破壊を引き起こしてきた。これは炉心流れの指示の喪失に結果としてなり、プラントシャットダウンを必要とする可能性がある。
【0008】
現在は、RPV10の作業者は、検知ライン110が受ける振動モードを減衰させるシステムを使用する。この現行のシステムは、ライン110の振動を減衰させるまたは周波数を変更するための1つ以上の追加の指示ブロック115を組み込む。
【0009】
振動を減衰させるための現行知られたシステムについて、いくつかの起こり得る問題点が存在する。現行知られたシステムは特別注文であり、そのために、ディフューザ105および検知ライン110の現在の状態での正確な測定値を必要とする。これらのシステムは、設置中に検知ライン110を屈曲させる可能性もある。これらのシステムは、一般により長い設置時間を要し、作業者を放射能により長い時間に曝す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5752807号公報
【特許文献2】米国特許第6435839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前述の理由のために、検知ライン110が受ける振動を減衰させるための新たなシステムが求められている。このシステムは、ディフューザ105などの既存の形態の正確な測定値を必要とすべきではない。このシステムは、様々な形態に適用可能であり、設置後の調整が可能であるべきである。このシステムは、検知ライン110を屈曲させるべきではない。このシステムは、注文生産構成部品を必要とすべきではない。このシステムは、設置時間を減少させ、放射能への作業者の暴露を低下させるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態によれば、偏心クランプアセンブリ(ECA)を備える、構造体と統合されるラインが受ける振動を減衰させるためのシステムが提供され、このECAは構造体上の取付部と係合し、かつこのECAは、前方端部に配置されたねじ切り部および後方端部に配置されたヘッド部分を備えるシャンク部分を備えるキー部材と;取付部と係合しかつ中央部を備えるベースと、このベースに後方端部が偏心的に取り付けられたシャフトと、キー部材が偏心部材を通過するのを可能にする、偏心部材を貫通する開口部とを備える偏心部材と;空洞の内側部分が円筒状シャフトの外径より大きく、円筒状シャフトに沿ってカム部材が摺動可能に連通するのを可能にする空洞と、ラインと係合する受け部分と、空洞に対してほぼ直角に配置されたカム開口部とを備えるカム部材と;カム部材を受ける凹部であって、カム部材がクランプ部材を通過するのを防止する少なくとも1つのショルダを有し、かつクランプ部材が偏心部材の一部分が通過するのを可能にする、凹部と、カム部材によって受けられたラインの一部分を固定するクランプアームとを備えるクランプ部材と;凹部にほぼ直角に配置されたクランプ部材開口部とを備え、かつこのECAが取付部と係合するように順応しかつラインを受け、構造体、ライン、およびECAが、ラインが受ける振動のレベルを低減させる統合ユニットを形成するのを可能にする。
【0013】
本発明の別の実施形態によれば、原子炉圧力容器内で検知ラインが受ける振動を減衰させるためのシステムが提供され、このシステムは、ジェットポンプアセンブリと、入口ライザと、ディフューザと、ディフューザに隣接して少なくとも1つの支持ブロックによって位置決めされる検知ラインと、ディフューザ上の取付部と係合する偏心クランプアセンブリ(ECA)とを備え、このECAは、前方端部に配置されたねじ切り部および後方端部に配置されたヘッド部分とを備えるシャフトを備えるキーと;取付部と係合しかつ中央部を備えるベースと、このベースに後方端部が偏心的に取り付けられた円筒状シャフトと、キーが偏心部を通過するのを可能にする、偏心部を貫通する開口部を備える偏心部と;内径が円筒状シャフトの外径より大きく、円筒状シャフトに沿ってカムが移動するのを可能にする空洞と、検知ラインを受ける受け部分と、空洞に隣接して配置されたカム開口部とを備えるカムと;カムを受ける凹部であって、カムがクランプを通過するのを防止する少なくとも1つのショルダを有し、かつクランプが偏心部の一部分が通過するのを可能にする、凹部とカムによって受けられた検知ラインの一部分を固定するクランプアームとを備えるクランプと;凹部に隣接して配置されたクランプ開口部とを備え、かつこのECAが取付部と係合するように複数方向に調整可能でありかつ検知ラインを受け、ディフューザ、検知ライン、およびECAが統合するのを可能にし、それが検知ラインが受ける振動を低減させる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態が動作する環境の概略図である。
【図2】本発明の一実施形態による、図1に図示するジェットポンプアセンブリの、部品を取り外した概略立面図である。
【図3】本発明の一実施形態による、偏心クランプアセンブリの概略分解等角投影図である。
【図4】本発明の一実施形態による、組み立てられた偏心クランプアセンブリの概略等角投影図である。
【図5A】本発明の代替実施形態による、偏心クランプアセンブリの概略平面図、立面図、および横断面図である。
【図5B】本発明の代替実施形態による、偏心クランプアセンブリの概略平面図、立面図、および横断面図である。
【図5C】本発明の代替実施形態による、偏心クランプアセンブリの概略平面図、立面図、および横断面図である。
【図5D】本発明の代替実施形態による、偏心クランプアセンブリの概略平面図、立面図、および横断面図である。
【図6A】本発明の代替実施形態による、ジェットポンプアセンブリ上に設置された偏心クランプアセンブリの概略立面図、詳細図および横断面図である。
【図6B】本発明の代替実施形態による、ジェットポンプアセンブリ上に設置された偏心クランプアセンブリの概略立面図、詳細図および横断面図である。
【図6C】本発明の代替実施形態による、ジェットポンプアセンブリ上に設置された偏心クランプアセンブリの概略立面図、詳細図および横断面図である。
【図6D】本発明の代替実施形態による、ジェットポンプアセンブリ上に設置された偏心クランプアセンブリの概略立面図、詳細図および横断面図である。
【図6E】本発明の代替実施形態による、ジェットポンプアセンブリ上に設置された偏心クランプアセンブリの概略立面図、詳細図および横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書では特定の用語が便宜のためにのみ使用され、本発明の限定として理解すべきではない。例えば、「上側」、「下側」、「左」、「前面」、「右」、「水平」、「垂直」、「上流側」、「下流側」、「前方」、および「後方」などの言語は、図に示す形態を単に記述する。実際、これらの構成部品は任意の方向に向けることができ、したがってこの用語は、そうではないと特に特定されない限りそのような変形形態を包含すると理解すべきである。
【0016】
本発明の一実施形態は、ジェットポンプアセンブリ85に連結される検知ラインが受ける振動のレベルを減少させることができるシステムの形態を取る。本発明の一実施形態は、検知ラインをジェットポンプアセンブリ85と連結する、追加の支持部を一般的に加える少なくとも1つの偏心クランプアセンブリ(ECA)を提供する。設置後、この(複数の)ECAは、検知ラインが受ける振動の振幅を減少させ、かつ/または振動の周波数を変更させることができる。
【0017】
本発明は、限定ではなく、少なくとも1つの独立した構造体に連結される、パイプ、ケーブル、配管等などのラインが受ける振動のレベルを減少させる技術的効果を有する。この構造体は、振動を発生させるかつ/または振動を受ける装置である。例えば、限定ではなく、この装置には、ジェットポンプアセンブリ85、蒸気発生器、パイプ、圧力容器、熱交換器、ポンプ、凝縮器、タンク等が含まれる。本発明は、新たな位置のところでこのラインに追加の支持を与え、または、限定ではなく、スタンドオフなどの既存の支持ブロックを交換することができ、それは、この構造体が励起されるとき共鳴が起きるのを避けるように、固有周波数を変更することができる。
【0018】
図を再度参照すると、そこでは様々な番号がいくつかの図を通して同様な部品を示す。図2は、図1のジェットポンプアセンブリ85の概略立面図であり、かつ本発明の一実施形態による、検知ライン110上に設置される偏心クランプアセンブリ200も示す。
【0019】
少なくとも1つの検知ライン110を複数の支持ブロック115によってジェットポンプアセンブリ85に搭載することができる。偏心クランプアセンブリ(ECA)200は、検知ライン110をディフューザ105にクランプする。このECA200は、ジェットポンプアセンブリ85、検知ライン110、および支持部ロック115を結合する。これが、ジェットポンプアセンブリ85から検知ライン110が受け取る振動の影響を減少させる。本発明の一実施形態では、ディフューザ105は振動レベルを減少させるのに単一のECA200しか必要としない。本発明の代替の実施形態では、ディフューザ105は振動レベルを減少させるのに多数のECA200を必要とする。
【0020】
図3は、本発明の一実施形態による偏心クランプアセンブリ200の概略分解等角投影図である。このECA200の一実施形態は、キー部材210、偏心部材220、カム部材230、クランプ部材240、サドル250、ジャッキボルト260、ECA連結具270、および少なくとも1つのワッシャ(280,280)を含むことができる。
【0021】
キー部材210によって、ECA200を組み立てかつ固定するのが可能になる。本発明の一実施形態では、このキー部材210は、前方端部に配置されたねじ切り部分を有するシャンク部211、および後方端部に配置されたヘッド部212を含む。キー部材210は、ECA200構成部品が上に直接的にまたは間接的に組み立てられる表面を提供する。構成部品が結合、係合、組立等がされた後、このキー部材210は構成部品を定位置に固定する手段も提供する。ヘッド部212の先端部の一部は、取付部125(例えば、図6Dに示す)に結合可能である。この先端部分212は、図6Dに図示された取付部125内に挿入可能で、かつその中で回転可能な形状を有する。本発明の代替実施形態では、この先端部分は取付部125上の対合する一連の刻み目またはねじと係合する一連の刻み目またはねじであってもよい。キー部材210は、少なくとも1つの物品を構造体に結合するために使用されるTボルト、トグルボルト、ボルトまたは他の構成部品に似た全体的な形状を有するものであってよい。
【0022】
偏心部材220は、ディフューザ105に結合されると、その軸方向および接線方向に調節する能力をECA200に与える。これは、取付部125の臨界的に高精度の測定を不要とすることによって使用者に利益をもたらす。この偏心部材220は、取付部125と係合するベース223と、後方部分がベース223に偏心的に取り付けられた円筒状シャフト222と、偏心部材220の全長を貫通する開口部221とを有することができ、例えば円筒状孔などのような、この開口部221によって、キー部材210を偏心部材220の全長にわたって通すことが可能になる。
【0023】
カム部材230は、ECA200をディフューザ105および検知ライン110の色々な形態に適用可能にすることができる。使用者は、検知ライン110の位置を移動しない検知ライン110を係合させるために、このカム部材230を偏心部材220のシャフト222に沿って摺動させる。このカム部材230は、空洞233を含みを含むことができ、この空洞233の内径は偏心部材220のシャフト222の外径より大きくされており、カム部材230が円筒状シャフト222に沿って摺動可能に行き来するのを可能にする。このカム部材230は、検知ライン110を受ける受け部231、ねじ切りされかつ空洞233に対してほぼ直角に配置されたカム開口部232も含む。図示のように、このカム部材230は、検知ライン110と対合するような形状を有するサドル250を含む。このサドル250は、検知ライン110の軸や領域を収容できるように回転可能である。このサドル250は検知ライン110の移動を制限するが、ECA200により大きな柔軟性を加える。サドル250は、カム部材230上で空洞233に対して直角な区域内に配置してもい。
【0024】
ジャッキボルト260およびワッシャ280は、カム部材開口部232を介してカム部材230と係合する。ジャッキボルト260は、全体的に、カム部材230とサドル250を偏心部材220上で固定するように働く。このジャッキボルト260は、ヘッド部261、統合したワッシャ部262、およびねじ切りされたシャフト部263を含む。統合したワッシャ部263の外周は、一連の溝、刻み目、ギザギザ等を含むことができる。ワッシャ280は、円盤状の形状を有し、かつラチェット部を含む。ワッシャ280のこのラチェット部は、ジャッキボルト260の上記一連の溝(または同様なもの)と係合する。この係合は、ジャッキボルト260が締め付けられた後、ジャッキボルト260が緩むのを防止する。
【0025】
クランプ部材240は、検知ライン110をカム部材230にクランプする。このクランプ部材240によって、本発明の一実施形態による、ジャッキボルト260、ワッシャ280、カム部材230、およびサドル250を全体的に組み立てるのが可能になる。クランプ部材240は、ECA200を組み立てかつ検知ライン110およびディフューザ105に結合させることができるならば、任意の形状に形成することができる。
【0026】
図示のように、このクランプ部材240は、カム部材230を受ける凹部241を含む。この凹部241は、カム部材230がクランプ部材240を通過してしまうのを防止するための少なくとも1つのショルダを有しても良い。クランプ部材240は、偏心部材220の一部が通過するのは許す。クランプ部材240は、検知ライン110の一部を固定するクランプアーム242も含んでもよい。このクランプ部材240は、凹部241に対してほぼ直角に配置されたクランプ部材開口部も含むことができる。この開口部は、ジャッキボルト260のねじ切り部と対合するようにねじ切りすることができ、それによってジャッキボルト260が、偏心部材220と係合するためにワッシャ280およびカム部材230を通過するのが可能になる。本発明の代替実施形態では、カム部材開口部に隣接する側面は、クランプ部材240上にワッシャ280を配置するのを助けるために、スロットまたは蟻継ぎを含むことができる。
【0027】
ECA接続具270および(前に説明した)ワッシャ280は、キー部材210上のねじ切り部と統合することができる。共同で、これらの構成部品はECA200を定位置を固定する圧縮荷重を伝達する。図3に図示するように、このECA接続具270は、ロックワッシャ部と統合したねじ切りされたナットを形成することができる。このロックワッシャ部は全体的に円盤状の形状を備え、キー部材210の一部の通過を可能にすることができる開口部を含むことができる。このロックワッシャは、説明したように、ワッシャ280のラチェット部と対合する一連の溝、刻み目、等を外径の周囲周りに含むこともできる。この外径は十分大きく、ECA接続具270がクランプ部材240を通り移動するのを防止する。組み立てられるとき、このECA接続具270は、偏心部材220の位置をキー部材210上に固定する圧縮力をECA200に加える。
【0028】
図4は、本発明の一実施形態による偏心クランプアセンブリ200の概略等角投影図である。この場合は、図3のECA200が組み立てられている。それぞれのワッシャ280を有するECA接続具270、およびジャッキボルト260の係合が図示されている。ジャッキボルト260上の、かつECA接続具270上の一連の溝は、各ワッシャ280上のラチェット部と対合する。論じたように、この対合は、ECA200の設置の後、ジャッキボルト260および接続具270が緩むのを防止することができる。
【0029】
図5A〜5D、集合的に図5は、本発明の代替実施形態による、偏心クランプアセンブリ200の平面、立面および横断面を示す概略図である。図5Aは、図4の組み立てられたECA200の側平面図を示す。この場合は、キー部材210は、後方端部に配置されたt字形状を含む。このt字形状は、説明したように、取付部125と係合することができる。t字形状のサイズは、取付部125のサイズおよび形状に基づいて標準化することができる。図5Bは、図5Aの線A−Aに沿った横断面図を示す。図5Bは、クランプ部材240の一部分がどのように、(図5に図示されない)検知ライン110をECA200内で固定する、サドル250と重なる傾向にあるかを特に示す。図5Cおよび図5Dはそれぞれ、ECA200の追加の平面図および立面図を示し、使用者がECA200を理解するのを助けることができる。
【0030】
図6A〜6Dは、本発明の代替実施形態による、ジェットポンプアセンブリ85上に設置される偏心クランプアセンブリ200の立面、詳細および横断面を示す概略図である。図6Aは、典型的な動作環境内に設置されるECA200の立面図を具体的に示す。この場合、このECA200は、ディフューザ105に結合される検知ライン110に追加の支持を与える。使用者は、(複数の)ECA200をスタンドオフブラケット120の間に配置することができる。図6Bは、図6A内の詳細B−Bの拡大図を示す。
【0031】
図6Cは、図6Bの線C−Cに沿った、部分的に横断面の、断面図を示す。この場合、偏心部材220はディフューザ105と適度に面一で嵌合する。これはディフューザ105の内側と外側部分の間の漏れを最小限にする。図6Cに、カム部材230、クランプ部材240、サドル250、および検知ライン110の係合も示されている。論じたように、アーム等などのクランプ部材240の一部は、ECA接続具270によって供給されるクランプ力の一部を検知ライン110に伝達する。
【0032】
図6Dは、図6Cの線D−Dに沿った横断面図を示す。この場合、キー部材210、および偏心部材220の取付部125との係合が示されている。t字形ボルトなどのキー部材210の一部は、取付部125と係合する。この場合、使用者はキー部材210を取付部125内に挿入し、それを回転させることができる。次いで偏心部材220が取付部125を取り囲み、ECA200がディフューザ105上に締め付けられるとき、取付部125と偏心部材220の間にシール等を形成することができる。
【0033】
図6Eは、図6Bの線E−Eに沿った断面図を示す。図6Bは、ディフューザ105上の取付部125を示す。本発明の一実施形態では、この取付部125はスロットと座ぐり溝(spotface groove)(本明細書ではこの後「スロット面(slot−face)」)であることができる。このスロット面は、ディフューザ105の外側直径内に機械加工することができる。このスロット部によって、キー部材210の挿入および取り扱いが可能になる。この座ぐり溝によって、ディフューザ105の内側直径から外側直径への漏れを最小限にするための、平らなシール表面を作り出すことが可能になる。このスロット面は、偏心部材220の中央線/軸として働くことができる。
【0034】
本発明の構成部品は、ECA200が曝される動作環境に耐えることができる任意の材料で形成することができる。
【0035】
使用では、偏心部材220によって、検知ライン110に対する取付部125のスロット面の円周方向位置決めが、決定的に重要な測定値ではないようにすることが可能になる。例えば、限定ではなく、この円周方向位置は±6.35ミリメートル(.250インチ)以内であることができる。偏心部材220が回転させられるとき、カム部材230も回転し検知ライン110の軸との位置合わせに入ることができる。次に、サドル250を検知ライン110を受けるように調整することができる。次に、ディフューザ105からの検知ライン110の距離の変動に対処するために、カム部材230を偏心部材220の円筒状シャフト部に沿って操作することができる。偏心部材220が回転させられ、カム部材230が位置決めされた後、キー部材210はECA接続具270をワッシャ280内に締め込むことによって固定することができる。最後に、ジャッキボルト260をワッシャ280に締め込み、クランプ部材240を検知ライン110に固定することができる。
【0036】
本発明をそのいくつかの例示的な実施形態のみに対してかなりの詳細で示しかつ説明してきたが、本発明のこの新規な教示および利点から実質的に逸脱することなく、特に前述の教示に照らして開示された実施形態に対して様々な改変、省略、追加を行うことができるので、我々は本発明を本実施形態に限定することを意図していないことを当業者は理解されたい。したがって我々は、以下の特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨および範囲内に含まれることができる全てのそのような改変、省略、追加および均等物を包含することを意図している。
【符号の説明】
【0037】
10 原子炉圧力容器
15 供給水入口
20 供給水スパージャ
25 降水管アニュラス
30 炉心シュラウド
35 核燃料コア
40 燃料束アセンブリ
45 頂部ガイド
50 コアプレート
55 炉心下部プレナム
60 炉心上部プレナム
65 シュラウドヘッド
70 スタンドパイプ
75 蒸気分離器
80 再循環水出口
85 ジェットポンプアセンブリ
90 再循環水入口
95 入口混合器
100 入口ライザ
105 ディフューザ
110 検知ライン
115 支持ブロック
120 スタンドオフブラケット
125 取付部
200 偏心クランプアセンブリ(ECA)
210 カム部材
220 キー部材
230 偏心部材
240 クランプ部材
250 サドル
260 ジャッキボルト
270 ECA接続具
280 ワッシャ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
、構造体(105)と統合したライン(110)が受ける振動を減衰させるための偏心クランプアセンブリ(ECA)(200)を備える振動減衰システムであって、
前記ECA(200)は、前記構造体(105)上の取付部(125)と係合すると共に、かつこのECA(200)は、
前方端部に配置されたねじ切り部(211)を有するシャンク部分と、後方端部に配置されたヘッド部分(212)とを備えるキー部材(210)と;
前記取付部と係合すると共に中央部を有するベース(223)と、前記ベースに後方端部が偏心的に取り付けられたシャフト(222)と、前記キー部材(210)が通過可能ならしめる開口部(221)とを備える偏心部材(220)と;
空洞と受け部分とカム開口部とを有するカム部材(230)であって、前記空洞の内側部分が前記円筒状シャフトの外径より大きく、前記円筒状シャフトに沿って前記カム部材(230)が摺動して連通可能になっており、前記受け部分は前記ライン(110)と係合するようになっており、前記カム開口部は前記空洞に対してほぼ直角に配置された構成を有するカム部材(230)と;
少なくとも1つのショルダが設けられ前記カム部材(230)を受ける構造を有する凹部と、前記カム部材によって受けられた前記ライン(110)の一部分を固定するクランプアームとを備えるクランプ部材(240)であって、このクランプ部材(240)の前記ショルダは前記カム部材(230)がこのクランプ部材(240)を通過してしまうのを防止するが、このクランプ部材(240)は、前記偏心部材(220)の一部分が通過するのを許すように構成されたクランプ部材(240)と;
前記凹部に対してほぼ直角に配置されたクランプ部材開口部とを備え、さらに
前記ECA(200)が、前記取付部(125)と係合するように調整して前記ラインを受けることにより、前記構造体(105)とライン(110)とこのECA(200)とが前記ライン(110)が受ける振動のレベルを低減させる統合ユニットを形成することを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記ECA(200)が、前記キー部材のねじ切り部と対合するナットを備え、前記偏心部材とカム部材とクランプ部材とを一緒に圧する圧縮力を加えることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項3】
少なくとも1つのワッシャをさらに備え、このワッシャが、前記ECA(200)の接続具が締め付けられた後に前記接続具が緩むのを防止するためのラチェット部分を備えると共に、前記ワッシャの外側直径は前記ECA(200)の前記接続具が前記クランプ部材を通過するのを妨げる大きさであることを特徴とする請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記ナットと統合されるロックワッシャをさらに備え、前記ロックワッシャが前記キー部材(210)が通過するのを可能にする開口部と、前記ロックワッシャの外側直径の周囲周りに一連の溝とを備え、この溝が前記少なくとも1つのワッシャの前記ラチェット部分と対合することを特徴とする請求項3記載のシステム。
【請求項5】
前記カム部材(230)が前記ライン(110)を受けるサドルを備え、前記サドル(250)が前記ラインの並進移動を制限することを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記クランプ部材(240)開口部がねじを備えかつジャッキボルトを受け、前記ジャッキボルト(260)が、ヘッド部分、ねじ切りされるシャフト部分、および前記ヘッド部分と前記ねじ切りされるシャフト部分の間に位置決めされる統合されるワッシャ部分を備えることを特徴とする請求項5記載のシステム。
【請求項7】
前記統合されるワッシャ部分が、外側外径の周囲周りに一連の溝を備えることを特徴とする請求項6記載のシステム。
【請求項8】
締め付けられた後、前記ジャッキボルト(260)が緩むのを防止するラチェット部分を備える、少なくとも1つのワッシャをさらに備えることを特徴とする請求項7記載のシステム。
【請求項9】
前記統合されるワッシャ部分がラチェット部分と係合し、前記クランプ部材、カム部材、ワッシャ部分およびライン(110)が前記ジャッキボルトによって加えられた圧縮荷重によって互いに圧されることを特徴とする請求項8記載のシステム。
【請求項10】
前記円筒状シャフトの前方端部が、前記ワッシャを前記偏心部材に固定するスロットを備えることを特徴とする請求項1記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【公開番号】特開2009−287567(P2009−287567A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−129978(P2009−129978)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(508177046)ジーイー−ヒタチ・ニュークリア・エナージー・アメリカズ・エルエルシー (101)
【氏名又は名称原語表記】GE−HITACHI NUCLEAR ENERGY AMERICAS, LLC
【Fターム(参考)】