説明

ラインヘッド、画像形成装置および画像形成方法

【課題】高精度な露光処理を実現することができるラインヘッドを提供すること、また、高品位な画像を得ることができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】ラインヘッド13は、複数の発光素子74で構成される発光素子群71をN(Nは、2以上の整数)個配設した発光素子アレイと、発光素子群71を構成する発光素子74を駆動する駆動信号を発光素子群71毎に順次出力する出力部と、出力部から出力された駆動信号が発光素子74に入力される入力タイミングを遅延させる遅延部とを有し、遅延部は、出力部から1〜N−1番目に出力された駆動信号の入力タイミングを、出力部からN番目に出力された駆動信号の入力タイミングまで遅延させ、発光素子74を発光させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラインヘッド、画像形成装置および画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いる複写機、プリンタ等の画像形成装置には、回転する感光体の外表面を露光処理して静電潜像を形成する露光手段が備えられている。かかる露光手段としては、複数の発光素子を感光体の回転軸線方向に配列した構造を有するラインヘッドが知られている(例えば、特許文献1参照)。
例えば、特許文献1に開示されたラインヘッドは、複数のLED(発光ダイオード)が1列に配列され、この複数のLEDは、所定数毎にモジュール化されている。そして、このようなラインヘッドでは、複数のLEDをモジュール毎に順次点灯させる。
【0003】
このようなラインヘッドでは、複数の発光素子をモジュール毎に順次点灯させるため、感光体の回転速度(周速度)を考慮してモジュール毎の点灯の切換タイミングを設定しなければならない。このような切換タイミングには、若干の誤差が生じてしまうが、この誤差は、最終的に得られる潜像の画質に悪影響を与えてしまうと言う問題がある。特に、かかる誤差は、主走査方向に配列された発光素子の行が副走査方向に複数配設されている場合、最終的に得られる潜像の画質に対する影響が大きくなる。
また、各発光素子を点灯制御する信号の配線の数はできるだけ少なくすることが好ましい。これにより、かかる配線からノイズが混入するのを防止または抑制し、高精度な露光処理を実現することができる。
【0004】
【特許文献1】特開昭59−38079号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、高精度な露光処理を実現することができるラインヘッドを提供すること、また、高品位な画像を得ることができる画像形成装置および画像形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のラインヘッドは、複数の発光素子で構成される発光素子群をN(Nは、2以上の整数)個配設した発光素子アレイと、
前記発光素子群を構成する発光素子を駆動する駆動信号を前記発光素子群毎に順次出力する出力部と、
前記出力部から出力された駆動信号が前記発光素子に入力される入力タイミングを遅延させる遅延部と、を有し、
前記遅延部は、前記出力部から1〜N−1番目に出力された駆動信号の入力タイミングを、前記出力部からN番目に出力された駆動信号の入力タイミングまで遅延させ、異なる前記発光素子群で同時に前記発光素子を発光させることを特徴とする。
【0007】
本発明のラインヘッドでは、前記遅延部は、保持手段を有し、前記出力部から1〜N番目に出力された駆動信号を前記保持手段に順次保持した後に、前記保持手段に保持された前記1〜N番目に出力された駆動信号の保持を同時に解除することが好ましい。
本発明のラインヘッドでは、前記保持手段は、前記発光素子群毎に対応して設けられたラッチ回路を有し、前記遅延部は、前記ラッチ回路のON/OFFを同時に切り換えるラッチスイッチを備えることが好ましい。
【0008】
本発明の画像形成装置は、潜像が形成される潜像担持体と、
前記潜像担持体に露光して前記潜像を形成するラインヘッドと、を有し、
前記ラインヘッドは、
複数の発光素子を構成する発光素子群をN(Nは、2以上の整数)個配設した発光素子アレイと、
前記発光素子群を構成する発光素子を駆動する駆動信号を前記発光素子群毎に順次出力する出力部と、
前記出力部から出力された駆動信号が前記発光素子に入力される入力タイミングを遅延させる遅延部と、を有し、
前記遅延部は、前記出力部から1〜N−1番目に出力された駆動信号の入力タイミングを、前記電圧出力部からN番目に出力された駆動信号の入力タイミングまで遅延させ、異なる前記発光素子群で同時に前記発光素子を発光させることを特徴とする。
【0009】
本発明の画像形成方法は、N(Nは、2以上の整数)個の発光素子群を構成する発光素子を駆動する駆動信号を前記発光素子群毎に順次出力するとともに、
1〜N−1番目に出力された前記駆動信号の入力タイミングを、N番目に出力された前記駆動信号の入力タイミングまで遅延させ、異なる前記発光素子群で同時に前記発光素子を発光させ、潜像担持体に潜像を形成することを特徴とする。
【0010】
本発明の画像形成方法では、前記発光素子群に対応して設けられ、前記発光素子からの光を結像する結像光学系を有し、
前記発光素子群は、第1の方向に配設されているとともに、該第1の方向に直交もしくは略直交する第2の方向に配設されており、
前記発光素子群を構成する発光素子を同時に発光させたときに、当該発光素子群からの光が前記結像光学系で結像して形成されるスポット群の前記第2の方向の間隔は、潜像の画素の前記第2の方向の間隔の整数倍とすることが好ましい。
【0011】
本発明の画像形成方法では、前記発光素子群を構成する発光素子を同時に発光させたときに、当該発光素子の光が前記結像光学系で結像して形成されるスポットの前記第2の方向の間隔は、潜像の画素の前記第2の方向の間隔の整数倍となるように設定されていることが好ましい。
本発明の画像形成方法では、前記結像光学系は、前記第1の方向に配設されているとともに、前記第2の方向に配設されており、
前記結像光学系の前記第2の方向の間隔は、潜像の画素の前記第2の方向の間隔の整数倍とすることが好ましい。
【0012】
以上のような構成を有する本発明のラインヘッドによれば、異なる発光素子群で発光素子を同時に発光させる(駆動する)ことができるので、発光素子群間でこれらに属する複数の発光素子の発光の切換に伴う誤差の発生を防止し、その結果、高精度な露光処理を実現することができる。特に、かかるラインヘッドでは、1つの出力部から順次出力された駆動信号を用いて複数の発光素子群のそれぞれに属する複数の発光素子を発光(点灯)させるので、各発光素子を点灯制御する信号の配線の数を少なくすることができる。その結果、かかる配線からノイズが混入するのを防止または抑制し、高精度な露光処理を実現することができる。
また、本発明の画像形成装置および画像形成方法によれば、高精度な露光処理を実現することで、高品位な画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明のラインヘッド、画像形成装置および画像形成方法を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかる画像形成装置の全体構成を示す概略図、図2は、図1に示す画像形成装置に備えられたラインヘッドの部分断面斜視図、図3は、図2中のA−A線断面図、図4は、図2に示すラインヘッドを平面視したときのレンズと発光素子との位置関係を示す図、図5は、図2に示すラインヘッドの作用を説明するための概略斜視図、図6は、図2に示すラインヘッドの制御系を示す図、図7は、図6に示す制御系の作用を説明するためのタイミングチャート、図8は、図2に示すラインヘッドにより潜像担持体上に形成されたスポット(スポット潜像)の配置を示す図である。なお、以下では、説明の都合上、図1〜図3、図5および図6中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
【0014】
(画像形成装置)
図1に示す画像形成装置1は、帯電工程・露光工程・現像工程・転写工程・定着工程を含む一連の画像形成プロセスによって画像を記録媒体Pに記録する電子写真方式のプリンタである。本実施形態では、画像形成装置1は、いわゆるタンデム方式を採用するカラープリンタである。
このような画像形成装置1は、図1に示すように、帯電工程・露光工程・現像工程のための画像形成ユニット10と、転写工程のための転写ユニット20と、定着工程のための定着ユニット30と、紙などの記録媒体Pを搬送するための搬送機構40と、この搬送機構40に記録媒体Pを供給する給紙ユニット50とを有している。
【0015】
画像形成ユニット10は、イエローのトナー像を形成する画像形成ステーション10Yと、マゼンタのトナー像を形成する画像形成ステーション10Mと、シアンのトナー像を形成する画像形成ステーション10Cと、ブラックのトナー像を形成する画像形成ステーション10Kとの4つの画像形成ステーションを備えている。
各画像形成ステーション10Y、10C、10M、10Kは、それぞれ、静電的な潜像を担持する感光ドラム(感光体)11を有し、その周囲(外周側)には、帯電ユニット12、ラインヘッド(露光ユニット)13、現像装置14、クリーニングユニット15が配設されている。各画像形成ステーション10Y、10C、10M、10Kを構成するこれらの装置は、用いるトナーの色が異なる以外は、ほぼ同じ構成であるため、以下、1つの装置について説明する。
【0016】
感光ドラム11は、全体形状が円筒状をなし、その軸線まわりに図1中矢印方向に回転可能となっている。そして、感光ドラム11の外周面(円筒面)付近には、感光層(図示せず)が設けられている。このような感光ドラム11の外周面は、ラインヘッド13からの光L(出射光)を受光する受光面111を有している(図2参照)。
帯電ユニット12は、コロナ帯電などにより感光ドラム11の受光面111を一様に帯電させるものである。
【0017】
ラインヘッド13は、図示しないパーソナルコンピュータなどのホストコンピュータから画像情報を受け、これに応じて、感光ドラム11の受光面111に向けて光Lを照射するものである。一様に帯電された感光ドラム11の受光面111に光Lが照射されると、その光Lの照射パターンに対応した潜像(静電潜像)が受光面111上に形成される。なお、ラインヘッド13の構成については、後に詳述する。
【0018】
現像装置14は、トナーを貯留する貯留部(図示せず)を有しており、当該貯留部から、静電的な潜像を担持する感光ドラム11の受光面111にトナーを供給し、付与する。これにより、感光ドラム11上の潜像がトナー像として可視化(現像)される。
クリーニングユニット15は、感光ドラム11の受光面111に当接するゴム製のクリーニングブレード151を有し、後述する一次転写後の感光ドラム11上に残存するトナーをクリーニングブレード151により掻き落として除去するようになっている。
【0019】
転写ユニット20は、前述したような各画像形成ステーション10Y、10M、10C、10Kの感光ドラム11上に形成された各色のトナー像を一括して記録媒体Pに転写するようになっている。
各画像形成ステーション10Y、10C、10M、10Kでは、それぞれ、感光ドラム11が1回転する間に、帯電ユニット12による感光ドラム11の受光面111の帯電と、ラインヘッド13による受光面111の露光と、現像装置14による受光面111へのトナーの供給と、後述する一次転写ローラ22との圧着による中間転写ベルト21への一次転写と、クリーニングユニット15による受光面111のクリーニングとが順次行なわれる。
【0020】
転写ユニット20は、エンドレスベルト状の中間転写ベルト21を有し、この中間転写ベルト21は、複数(図1に示す構成では4つ)の一次転写ローラ22と駆動ローラ23と従動ローラ24とで張架されており、駆動ローラ23の回転により、図1に示す矢印方向に、感光ドラム11の周速度とほぼ同じ周速度で回転駆動される。
各一次転写ローラ22は、それぞれ、対応する感光ドラム11に中間転写ベルト21を介して対向配設されており、感光ドラム11上の単色のトナー像を中間転写ベルト21に転写(一次転写)するようになっている。この一次転写ローラ22は、一次転写時に、トナーの帯電極性とは逆の極性の一次転写電圧(一次転写バイアス)が印加される。
【0021】
中間転写ベルト21上には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのうちの少なくとも1色のトナー像が担持される。例えば、フルカラー画像の形成時には、中間転写ベルト21上に、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナー像が順次重ねて転写されて、フルカラーのトナー像が中間転写像として形成される。
また、転写ユニット20は、中間転写ベルト21を介して駆動ローラ23に対向配設される二次転写ローラ25と、中間転写ベルト21を介して従動ローラ24に対向配設されるクリーニングユニット26とを有している。
【0022】
二次転写ローラ25は、中間転写ベルト21上に形成された単色あるいはフルカラーなどのトナー像(中間転写像)を、給紙ユニット50から供給される紙、フィルム、布等の記録媒体Pに転写(二次転写)するようになっている。二次転写ローラ25は、二次転写時に、中間転写ベルト21に押圧されるとともに二次転写電圧(二次転写バイアス)が印加される。このような二次転写時には、駆動ローラ23は、二次転写ローラ25のバックアップローラとしても機能する。
【0023】
クリーニングユニット26は、中間転写ベルト21の表面に当接するゴム製のクリーニングブレード261を有し、二次転写後の中間転写ベルト21上に残存するトナーをクリーニングブレード261により掻き落として除去するようになっている。
定着ユニット30は、定着ローラ301と、定着ローラ301に圧接される加圧ローラ302とを有しており、定着ローラ301と加圧ローラ302との間を記録媒体Pが通過するよう構成されている。また、定着ローラ301は、その内側に当該定着ローラの外周面を加熱するヒータが内蔵されており、通過する記録媒体Pを加熱および加圧することができる。このような構成の定着ユニット30より、トナー像の二次転写を受けた記録媒体Pを加熱および加圧して、トナー像を記録媒体Pに融着させて永久像として定着する。
【0024】
搬送機構40は、前述した二次転写ローラ25と中間転写ベルト21との間の二次転写部へ給紙タイミングを計りつつ記録媒体Pを搬送するレジストローラ対41と、定着ユニット30での定着処理済みの記録媒体Pを挟持搬送する搬送ローラ対42、43、44とを有している。
このような搬送機構40は、記録媒体Pの一方の面のみに画像形成を行う場合には、定着ユニット30によって一方の面に定着処理された記録媒体Pを搬送ローラ対42により挟持搬送して、画像形成装置1の外部へ排出する。また、記録媒体Pの両面に画像形成する場合には、定着ユニット30によって一方の面に定着処理された記録媒体Pを一旦搬送ローラ対42により挟持した後に、搬送ローラ対42を反転駆動するとともに、搬送ローラ対43、44を駆動して、当該記録媒体Pを表裏反転してレジストローラ対41へ帰還させ、前述と同様の動作により、記録媒体Pの他方の面に画像を形成する。
給紙ユニット50は、未使用の記録媒体Pを収容する給紙カセット51と、給紙カセット51から記録媒体Pを1枚ずつレジストローラ対41へ向け給送するピックアップローラ52とを備えている。
【0025】
(ラインヘッド)
ここで、ラインヘッド13について詳述する。なお、以下では、説明の都合上、長尺なレンズアレイ6の長手方向(第1の方向)を「主走査方向」と言い、幅方向(第2の方向)を「副走査方向」と言う。
図3に示すように、ラインヘッド13は、感光ドラム11の下方に、その受光面111に対向して配置されている。このラインヘッド13は、感光ドラム11側から、カバーガラス(レンズ保護部材)100、第1の遮光部材8、レンズアレイ6、第2の遮光部材8’および発光素子アレイ7がこの順で配置され、これらの部材がケーシング9内に収納されている。
このラインヘッド13では、発光素子アレイ7から出射した光Lが、第2の遮光部材8’の貫通孔84’、レンズアレイ6、第1の遮光部材8の貫通孔84およびカバーガラス100をこの順で通過し、感光ドラム11の受光面111に照射される。
【0026】
図2および図4に示すように、レンズアレイ6は、外形が長尺状をなす板状体で構成されている。
図3に示すように、レンズアレイ6は、レンズアレイ6の光Lが入射する下面(入射面)61には、複数の第1の凸曲面(レンズ面)62が形成されている。また、レンズアレイ6の光Lが出射する上面(出射面)63には、前述した複数の第1の凸曲面62に対応してそれぞれ対向するように、複数の第2の凸曲面(レンズ面)62’が形成されている。
【0027】
すなわち、レンズアレイ6では、光Lの入射側の面を第1の凸曲面62とし、光Lの出射側の面を第2の凸曲面62’とする両凸レンズであるレンズ64が複数配置されている。ここで、各レンズ64は、対応する発光素子群71の各発光素子74からの光を結像する結像光学系を構成する。また、レンズアレイ6の各レンズ64以外の部分(主に各レンズ64の周囲の部分)は、各レンズ64を支持するレンズ支持部65を構成する。
【0028】
図2および図4に示すように、レンズ64は、主走査方向(第1の方向)に複数列配置されるとともに、主走査方向およびレンズ64の光軸方向のそれぞれに直交する副走査方向(第2の方向)に複数行配置されている。
より具体的には、複数のレンズ64は、3行n列(nは2以上の整数)の行列状に配置されている。なお、以下、1つの列(レンズ列)に属する3つのレンズ64のうち、中央に位置するレンズ64を「レンズ64b」と言い、それに対して図3中左側(図4中上側)に位置するレンズ64を「レンズ64a」と言い、図3中右側(図4中下側)に位置するレンズ64を「レンズ64c」と言う。また、以下、レンズ64aの光の入射面、出射面の凸曲面をそれぞれ「第1の凸曲面62a」、「第2の凸曲面62’a」と言い、レンズ64bの光の入射面、出射面の凸曲面をそれぞれ「第1の凸曲面62b」、「第2の凸曲面62’b」と言い、レンズ64cの光の入射面、出射面の凸曲面をそれぞれ「第1の凸曲面62c」、「第2の凸曲面62’c」と言う。
【0029】
本実施形態では、1つの列に属する複数のレンズ64(64a〜64c)のうち、副走査方向の中心側に最も近い位置のレンズ64bが、感光ドラム11の受光面111に対し、最も近い位置になるようにラインヘッド13が画像形成装置に設置される。これにより、複数のレンズ64の光学的特性の設定が容易となる。
また、図2および図4に示すように、各レンズ列では、それぞれ、レンズ64a〜64cが順に主走査方向(図4中右方向)に等距離ずつずれて配置されている。すなわち、各レンズ列では、それぞれ、レンズ64a〜64cの各レンズ中心同士を結ぶ線が主走査方向および副走査方向に対して所定角度傾斜している。なお、これらのレンズ64同士のずれ量については、後に詳述する。
レンズ64の副走査方向(第2の方向)での間隔(ピッチ)は、形成すべき潜像の画素PXの副走査方向での間隔(ピッチ)p2の整数倍となるように設定されている(図4および図8参照)。これにより、比較的簡単に、後述するような形成位置となるようにスポットSPおよびスポットグループSGを設定することができる。
【0030】
図3に示す断面でみたときに、1つのレンズ列に属する3つのレンズ64、すなわちレンズ64a〜64cでは、レンズ64aとレンズ64cとは、それらのレンズ軸641同士がレンズ64bのレンズ軸641を介して対称的に配置さている。また、レンズ64a〜64cは、互いのレンズ軸641が平行となるように配置されている。
このように配置されたレンズ64a〜64cの各第1の凸曲面62および各第2の凸曲面62’の曲率半径は、それぞれ、レンズ64a〜64cの各集光点(焦点)642が感光ドラム11の受光面111上に位置するように設定されている。
【0031】
本実施形態では、レンズ64aの焦点距離とレンズ64cの焦点距離とが互いに同じであり、また、レンズ64bの焦点距離は、レンズ64a(レンズ64c)の焦点距離よりも短い。したがって、レンズ64a(レンズ64cも同様)の焦点距離とレンズ64bの焦点距離とは、互いに異なる。このような焦点距離の関係をレンズ64a〜64cが有することで、前述したようにレンズ64bを感光ドラム11の受光面111に対し最も近い位置になるように設置した状態において、後述する発光素子アレイ7の各発光素子74からの光をレンズ64a〜64cが感光ドラム11の受光面111上で結像(集光)することができる。
【0032】
このようなレンズ64a〜64cの光学的特性は、例えば、レンズ64a〜64cの第2の凸曲面62’の曲率半径を同等とし、また、レンズ64aとレンズ64cとの第1の凸曲面62同士を同等とし、かつ、レンズ64a(レンズ64cも同様)とレンズ64bとの第1の凸曲面62同士の曲率半径を異ならせることによって得られている。具体的には、レンズ64bの第1の凸曲面62bの曲率半径は、レンズ64aの第1の凸曲面62aの曲率半径よりも小さい。
【0033】
なお、焦点距離を異ならせる手段としては、上記のような構成に限定されず、例えば、レンズ64a〜64cの第1の凸曲面62の曲率半径を同等とし、また、レンズ64aとレンズ64cとの第2の凸曲面62’同士を同等とし、かつ、レンズ64a(レンズ64cも同様)とレンズ64bとの第2の凸曲面62’同士の曲率半径を異ならせることにより焦点距離を異ならせるものであってもよい。
【0034】
各レンズ64の構成材料としては、前述したような光学特性を発揮することができるものであれば、特に限定されないが、例えば、樹脂材料および/またはガラス材料が好適に用いられる。
この樹脂材料としては、各種樹脂材料を用いることができ、例えば、ポリアミド、熱可塑性ポリイミド、ポリアミドイミド芳香族ポリエステル等の液晶ポリマー、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレン等のポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリカーボネート、アクリル(メタクリル)、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアセタール等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0035】
このような樹脂材料の中でも、熱硬化性樹脂や、光硬化性樹脂を用いた場合には、以下のような効果を得ることができる。すなわち、このような樹脂材料は、屈折率が比較的高いという利点を持つ他、熱膨張係数が比較的低く、熱による膨張(変形)、変性、劣化が発生しにくい材料である。
また、ガラス材料としては、ソーダガラス、結晶性ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス等の各種ガラス材料等が挙げられるが、後述する発光素子アレイ7を構成する支持板72がガラス材料で構成されたものである場合、このガラス材料と略等しい線膨張率のガラス材料を用いることによって、温度変動による発光素子と各レンズの相対位置ずれを防止することができる。
【0036】
例えば、前述したような樹脂材料およびガラス材料を複合してレンズアレイ6を構成する場合、ガラス材料で構成されたガラス基板の両面に、樹脂材料で構成された1対の樹脂層を形成した積層構造において、一方の樹脂層のガラス基板とは反対側の面に第1の凸曲面62を形成し、他方の樹脂層のガラス基板とは反対側の面に第2の凸曲面62’を形成すればよい。また、レンズアレイ6は、例えば、上面および下面がそれぞれ平坦面をなす平板状の部材(基板)の両面に凸曲面状に突出した複数の凸部を付与することによっても形成することができる。この場合、製造の容易さおよびレンズアレイ6の剛性確保等の観点から、平板状の部材を例えばガラス材料で構成し、各凸部をそれぞれ樹脂材料で構成するのが好ましい。
【0037】
図2、図3に示すように、レンズアレイ6の光Lの出射側には、カバーガラス(レンズ保護部材)100が設置されている。
カバーガラス100は、レンズアレイ6の光Lの出射面に異物が付着するのを防止するものであり、外形が長尺状をなす板状体で構成されている。また、カバーガラス100は、その光Lが出射する上面(出射面)101および光Lが入射する下面(入射面)102が平坦面となっているものである。
【0038】
このカバーガラス100は、レンズアレイ6と平行または略平行に配置されている。
また、カバーガラス100は、その下面102とレンズアレイ6の第2の凸曲面62’とが互いに離間するよう配置されている。このようにレンズアレイ6の第2の凸曲面62’と離間して配置することにより、レンズアレイ6の第2の凸曲面62’に、カバーガラス100から不本意な圧力が掛かり、第2の凸曲面62’が変形し、レンズ64の光学的特性が損なわれるのを防止することができる。
【0039】
このカバーガラス100は、ガラス材料で構成されたものである。このようにガラス材料で構成することにより、付着した異物を容易に除去することができるとともに、清掃の際に、上面101に傷が付くのを効果的に防止することができる。
なお、カバーガラス100の上面101には、防汚処理が施されていてもよい。この防汚処理としては、上面101に汚れが付着するのを防止または抑制する処理と、上面101に汚れが付着してもその汚れを容易に除去することが可能な処理とが挙げられる。このような防汚処理としては、例えば、上面101に含フッ素シラン化合物を例えばディッピング法で塗布する方法が挙げられる(例えば、特開2005−3817号公報参照)。
【0040】
また、カバーガラス100の上面101には、防傷処理が施されていてもよい。防傷処理としては、例えば、上面101にC14とCとを主材料とする層を高周波プラズマCVD法等の気相成膜法により形成する方法が挙げられる(例えば、特開2006−133420号公報参照)。
また、このような防汚処理や防傷処理をカバーガラス100の上面101に施す際、当該上面101が平坦面であるため、その作業を容易に行なうことができる。また、上面101が平坦面であるため、防汚処理や防傷処理で形成される層を、上面101に均一に形成することができる。
【0041】
なお、カバーガラス100は、レンズアレイ6から離間していなくてもよく、例えば、レンズアレイ6の第2の凸曲面62’と当接していてもよい。このような構成とすることにより、レンズアレイ6とカバーガラス100との位置決めが確実となる。また、カバーガラス100は、省略することができる。この場合、レンズアレイ6の光の出射側の面に、前述したような防汚処理や防傷処理が施されているのが好ましい。
図3に示すように、レンズアレイ6とカバーガラス100との間には、第1の遮光部材8が設置されている。この第1の遮光部材8は、隣接するレンズ64同士間の光Lのクロストークを防止するとともに、レンズアレイ6のレンズ64が設けられていない領域等を透過してくる不要光を除去する機能を有している。
【0042】
第1の遮光部材8は、前述したカバーガラス100の下面102上に膜として形成されたものである。このような構成とすることにより、第1の遮光部材8の形成を容易とすることができる。また、膜として形成することにより、より安価に、かつ、薄く第1の遮光部材8を形成することができる。
このような第1の遮光部材8は、当該第1の遮光部材8を図3中上下方向(厚さ方向)に貫通する複数の貫通孔(開口部)84が形成されている。これらの貫通孔84は、それぞれ、各レンズ64に対応した位置に配置されている。また、各貫通孔84は、平面視で円形をなしており、各レンズ64からの出射光が通過可能となっている。
【0043】
第1の遮光部材8を構成する材料としては、光を透過しない材料であれば特に限定されず、例えば、各種着色剤や、クロム、酸化クロム等の金属系材料、カーボンブラックや着色剤を混練した樹脂等が挙げられる。
なお、第1の遮光部材8は、膜状のものに限定されず、板状であってもよいし、ブロック状であってもよい。
【0044】
図3に示すように、レンズアレイ6の光Lの入射側には、第2の遮光部材8’を介して、発光素子アレイ7が設置されている。発光素子アレイ7は、複数の発光素子群(発光素子グループ)71と、支持板(ヘッド基板)72とを有している。
支持板72は、各発光素子群71をそれぞれ支持するものであり、外形が長尺状をなす板状体で構成されている。この支持板72は、レンズアレイ6と平行に配置されている。
【0045】
また、支持板72は、その主走査方向の長さがレンズアレイ6の主走査方向の長さよりも長いものである。支持板72の副走査方向の長さも、レンズアレイ6の副走査方向の長さよりも長く設定されている。
支持板72の構成材料としては、特に限定されないが、本実施形態のように、支持板72の裏面側に発光素子群71を設ける場合(すなわち発光素子74としてボトムエミッション型の発光素子を用いる場合)、各種ガラス材料や各種プラスチック等の透明性を有する材料が好適に用いられる。なお、発光素子74としてトップエミッション型の発光素子を用いる場合、支持板72の構成材料としては、透明性を有する材料に限定されず、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼のような各種金属材料、各種ガラス材料や各種プラスチック等を単独または組み合わせて用いることができる。支持板72を各種金属材料や各種ガラス材料で構成した場合には、各発光素子74の発光により生じる熱を支持板72を介して効率良く放熱することができる。また、支持板72を各種プラスチックで構成した場合には、支持板72の軽量化に寄与する。
【0046】
また、支持板72の裏面側には、支持板72側に開放する箱状の収納部73が設置されている。この収納部73には、複数の発光素子群71やこれらの発光素子群71(各発光素子74)に電気的に接続された導線類(図示せず)、または、各発光素子74を駆動させるための回路(図示せず)が収納されている。
複数の発光素子群71は、前述した複数のレンズ64に対応して、互いに離間して、3行n列(nは2以上の整数)の行列状に配置されている(例えば、図4参照)。また、各発光素子群71は、それぞれ、複数(本実施形態では8つ)の発光素子74で構成されている。
【0047】
図3に示すように、各発光素子群71を構成する8つの発光素子74は、支持板72の下面721に沿って配置されている。各発光素子74から発せられた光Lは、それぞれ、対応するレンズ64を経て、感光ドラム11の受光面111上で集光(結像)する。なお、後に詳述するが、各発光素子74から発せられた光Lが受光面111を露光することで、スポットSPが形成される(図5および図8参照)。また、1つの発光素子群71に対応する8つのスポットSPによりスポット群SGが形成される。ここで、各発光素子群71と受光面111との間にはレンズ64が配されているので、1つの発光素子群71に属する8つの発光素子74と、これに対応する8つのスポットSPとは、図5にて左右の位置関係が逆になっている。
【0048】
また、図4に示すように、8つの発光素子74は、互いに離間して、主走査方向に4列配置され、副走査方向に2行配置されている。このように、8つの発光素子74は、2行4列の行列状をなしている。1つの列(発光素子列)に属する互いに隣接した2つの発光素子74同士は、主走査方向にずれて配置されている。
そして、このように2行4列の行列状をなす8つの発光素子74では、主走査方向に隣接する発光素子74同士の間を、次の行の1つの発光素子74で補完している。
【0049】
8つの発光素子74を例えばできる限り密に1つの行に配置するのには限界が生じるが、8つの発光素子74を前述したようにずらして配置することにより、これらの発光素子74の配置密度をより高いものとすることができる。これにより、画像を記録媒体Pに記録した際、その記録媒体Pに対する記録密度をより高めることができる。よって、解像度が高く、多階調で、かつ鮮明な画像が担持された記録媒体Pが得られる。
【0050】
特に、本実施形態では、各発光素子群71に属する8つ発光素子74を同時に発光させたときに、図8に示すように、当該発光素子71からの光がレンズ64で結像して形成されるスポットSPの副走査方向(第2の方向)での間隔(ピッチ)ps2は、形成すべき潜像の画素PXの副走査方向での間隔(ピッチ)p2の整数倍となるように設定されている。これにより、後述するように、当該8つの発光素子74を同時発光(同時点灯)させ、所望の潜像を形成することができる。また、当該8つの発光素子74を順次発光させる場合のような発光素子74の発光切換が不要であるため、高精度な露光処理を実現することができる。
【0051】
かかる間隔(ピッチ)ps2は、特に限定されないが、間隔(ピッチ)p2の1倍程度(1〜3倍)であるのが好ましい。
なお、1つの発光素子群71に属する8つの発光素子74は、本実施形態では2行4列の行列状に配置されているが、これに限定されず、例えば、4行2列の行列状に配置されていてもよい。
【0052】
前述したように、複数の発光素子群71は、互いに離間して、3行n列の行列状に配置されている。図4に示すように、1つの列(発光素子群列)に属する3つの発光素子群71は、主走査方向(図4中右方向)に等間隔にずれて配置されている。
そして、このように3行n列の行列状をなす発光素子群71では、隣接する発光素子群71同士の間隔を、次の行の発光素子群71およびその次の行の発光素子群71で順次補完している。
【0053】
複数の発光素子群71を例えばできる限り密に1つの行に配置するのには限界が生じるが、複数の発光素子群71を前述したようにずらして配置することにより、これらの発光素子群71の配置密度をより高いものとすることができる。これにより、1つの発光素子群71内の8つの発光素子74がずれて配置されていることと相まって、画像を記録媒体Pに記録した際、その記録媒体Pに対する記録密度を高めることができる。よって、解像度がより高く、多階調で色再現性が良く、より鮮明な画像が担持された記録媒体Pが得られる。
【0054】
特に、本実施形態では、複数の発光素子群71のぞれぞれに属する複数の発光素子74を同時に発光させたときに、当該発光素子群71からの光がレンズ64で結像して形成されるスポット群SGの副走査方向(第2の方向)での間隔(ピッチ)pg2は、形成すべき潜像の画素PXの副走査方向での間隔(ピッチ)p2の整数倍となるように設定されている。これにより、後述するように、異なる発光素子群71で発光素子74を同時発光させ、所望の潜像を形成することができる。また、複数の発光素子群71間で発光素子74を順次発光させる場合のような発光素子74の発光切換が不要であるため、高精度な露光処理を実現することができる。
【0055】
かかる間隔(ピッチ)pg2は、特に限定されないが、間隔(ピッチ)p2の160倍程度(50〜200倍)であるのが好ましい。
なお、後に詳述するが、同一行(発光素子行)に属する発光素子群71および発光素子74については、同一のタイミングで点灯/消灯する。また、本実施形態では、支持板72上に設けられた全ての発光素子74は、同一のタイミングで点灯/消灯する。
【0056】
また、各発光素子74は、ボトムエミッション構造の有機EL素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)である。なお、発光素子74は、ボトムエミッション構造の素子に限定されず、トップエミッション構造の素子であってもよい。この場合、前述したように、支持板72には、光透過性は要求されない。
各発光素子74が有機EL素子であると、発光素子74同士の間隔(ピッチ)を比較的小さく設定することができる。これにより、画像を記録媒体Pに記録した際、その記録媒体Pに対する記録密度が比較的高くなる。また、各種成膜法を用いて高精度な寸法および位置で各発光素子74を形成することができる。よって、より鮮明な画像が担持された記録媒体Pが得られる。
【0057】
本実施形態では、各発光素子74がいずれも赤色光を発光するように構成されている。ここで、赤色光を発光する発光層の構成材料としては、例えば、(4−ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(パラジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM)およびナイルレッド等が挙げられる。なお、各発光素子74は、赤色光を発光するよう構成されているのに限定されず、他の色の単色光や白色光を発光するよう構成されていてもよい。このように、有機EL素子では、発光層の構成材料に応じて当該発光層が発する光Lを任意の色の単色光に適宜設定することができる。
なお、一般に電子写真プロセスに用いられる感光ドラムの分光感度特性は、半導体レーザーの発光波長である赤色から近赤外の領域でピークを持つように設定されているので、上記のように赤色の発光材料を利用することが好ましい。
【0058】
図3に示すように、レンズアレイ6と発光素子アレイ7との間には、第2の遮光部材8’が設置されている。この第2の遮光部材8’は、隣接する発光素子群71同士間の光Lのクロストークを防止するものである。
第2の遮光部材8’は、外形が長尺なブロック体で構成されている。このブロック体で構成された第2の遮光部材8’には、当該第2の遮光部材8’を図3中上下方向(厚さ方向)に貫通する複数の貫通孔84’が形成されている。これらの貫通孔84’は、それぞれ、前述した各レンズ64に対応した位置に配置され、発光素子群71からそれに対応するレンズ64までの光路を形成する。また、各貫通孔84’は、平面視で円形をなしており、その内側に、当該貫通孔84’に対応する発光素子群71の8つの発光素子74を包含している。
【0059】
なお、各貫通孔は、図3に示す構成では円筒状をなしているが、これに限定されず、例えば、上方に向かって拡がった円錐台状をなしていてもよい。
また、第2の遮光部材8’の上端面および下端面は、それぞれ平坦面であり、互いに平行となっている。そして、第2の遮光部材8’は、上端面がレンズアレイ6の下面61に当て付けられ、下端面が発光素子アレイ7の支持板72の上面722に当て付けられている。これにより、第2の遮光部材8’は、レンズアレイ6と支持板72との間の距離、位置関係および姿勢を高精度に規定することができる。
【0060】
各レンズ64の第1の凸曲面62とそれに対応する発光素子群71との距離は、集光点642の図3中の上下方向の位置を定める上で重要な条件(要素)である。したがって、前述したように、第2の遮光部材8’がレンズアレイ6と発光素子アレイ7との間の距離であるギャップ長を規制するスペーサとしても機能していると、高精度で、信頼性の高い画像形成装置1が得られる。
【0061】
なお、第2の遮光部材8’とレンズアレイ6および/または支持板72とは、例えば接着(接着剤や溶媒による接着)により固定されていてもよい。
また、各貫通孔84’は、それぞれ、当該貫通孔84’に対応するレンズ64の第1の凸曲面62と、発光素子アレイ7の支持板72の上面722とにより、両端が光密的に封止されている。すなわち、ラインヘッド13では、各貫通孔84’の内周面と、当該貫通孔84’に対応するレンズ64の第1の凸曲面62と、支持板72の上面722とにより、光密的な閉空間が形成されている。
【0062】
このような光密的な閉空間を形成することで、各発光素子74からの光Lが、対応するレンズ64に確実に入射する。具体的には、各発光素子74からの光Lは、その発光素子74に対応するレンズ64のみに入射し、例えば隣接する他のレンズ64に入射するのが防止される。すなわち、隣接する発光素子群71同士間の光Lのクロストークが確実に防止される。
【0063】
また、前記各閉空間に、それぞれ、異物が侵入するのが防止されているため、各第1の凸曲面62に異物が付着するのが防止される。これにより、各第1の凸曲面62は、それぞれ、清浄に保たれる。
また、第2の遮光部材8’は、少なくとも各貫通孔84’の内周面が黒色、茶褐色、紺色等の暗色となっているのが好ましい。これにより、光Lが貫通孔84’を通過する際、その貫通孔84’の内周面841’で反射するのを防止することができる。よって、光Lが内周面841’で反射した場合、その反射した光Lが他のレンズ64へ入射するのを防止することや、他のレンズ64に入射するには至らないまでも、光Lが受光面111の結像するべき部分に結像せずに像ボケが生じるのを防止することができる。
なお、第2の遮光部材8’の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、支持板72と同様の構成材料を用いることができる。
【0064】
図2、図3に示すように、前述したレンズアレイ6と発光素子アレイ7とカバーガラス100と第1の遮光部材8と第2の遮光部材8’とは、一括してケーシング9に収納さている。このケーシング9は、枠部材(ケーシング本体)91と、蓋部材(裏蓋)92と、蓋部材92を枠部材91に固定する複数のクランプ部材93とを有している(図3参照)。
【0065】
図2、図5および図6に示すように、枠部材91は、全体形状が長尺なものである。
また、枠部材91は、枠状をなしていて、図3に示すように、枠部材91には、その上側および下側に開口する内腔部911が形成されている。この内腔部911の幅は、図3中下方から上方に向かって、段階的に減少している。
内腔部911には、カバーガラス100および第1の遮光部材8と、レンズアレイ6と、第2の遮光部材8’と発光素子アレイ7とがそれぞれはめ込まれており、これらが例えば接着剤で固定されている。これにより、カバーガラス100および第1の遮光部材8とレンズアレイ6と第2の遮光部材8’と発光素子アレイ7とが枠部材91に一括して保持され、カバーガラス100および第1の遮光部材8とレンズアレイ6と第2の遮光部材8’と発光素子アレイ7との主走査方向および副走査方向の位置決めがなされる。
【0066】
ここで、発光素子アレイ7の支持板72の上面722は、内腔部911の壁面に形成された段差部915と、第2の遮光部材8’の下面82’とにそれぞれ当て付いて(当接して)いる。そして、内腔部911には、下方から蓋部材92がはめ込まれている。
蓋部材92は、その上部に収納部73が挿入される凹部922を有する長尺部材で構成されている。この蓋部材92の上端面は、枠部材91の境界部915との間で、発光素子アレイ7の支持板72の縁部を挟持している。
【0067】
さらに、各クランプ部材93によって、蓋部材92が上方に押し付けられている。これにより、蓋部材92が枠部材91に固定される。また、押し付けられた蓋部材92によって、発光素子アレイ7と第2の遮光部材8’とレンズアレイ6との主走査方向、副走査方向および図3中上下方向のそれぞれの位置関係が固定される。
クランプ部材93は、主走査方向に沿って等間隔に複数配置されているのが好ましい。これにより、枠部材91と蓋部材92とを主走査方向に沿って均一に挟持することができる。
【0068】
クランプ部材93は、図3に示す断面において、略コ字状をなしていて、金属板を折り曲げ加工することで形成されたものである。このクランプ部材93の両端部は、それぞれ、内側に曲げられた爪部931を形成している。各爪部931は、それぞれ、枠部材91の肩部916に係合している。
また、クランプ部材93の中間部には、上向きにアーチ状に湾曲した湾曲部932が形成されている。この湾曲部932の頂部は、前述したように各爪部931が肩部916に係合した状態で、蓋部材92の下面に圧接している。これにより、湾曲部932が弾性変形した状態で、蓋部材92を上方に付勢する。
【0069】
なお、枠部材91と蓋部材92とを挟持している各クランプ部材93をそれぞれ取り外した場合には、枠部材91から蓋部材92を取り外すことができる。これにより、発光素子アレイ7の交換、修理等のメンテナンスを施すことができる。
また、枠部材91および蓋部材92の構成材料としては、特に限定されず、例えば、支持板72と同様の構成材料を用いることができる。クランプ部材93の構成材料としては、特に限定されず、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼が挙げられる。また、クランプ部材93は、硬質樹脂材料で構成されていてもよい。
さらに、図示しないが、枠部材91の長手方向での両端部には、それぞれ、上方に突出するスペーサが設けられている。このスペーサは、受光面111とレンズアレイ6との距離を規制するものである。
【0070】
次に、ラインヘッド13の制御系について説明する。
図6に示すように、ラインヘッド13は、回路部82を有している。そして、回路部82は、各発光素子74を駆動するための駆動回路821と、この駆動回路821の作動を制御する制御回路822とを備える。
駆動回路821は、いわゆるマルチプレックス機能を有し、前述した各発光素子74を駆動するためのものである。
【0071】
本実施形態では、駆動回路821は、各発光素子74毎に対応して設けられたゲート電圧保持型の複数の定電流駆動回路83と、選択スイッチ841と、発光素子群71毎に対応して設けられた複数のラッチ回路842と、ラッチスイッチ843と、イネーブルスイッチ845と、所定数の発光素子群71毎に対応して設けられた複数のドライバIC85(出力部)とを備えている。
【0072】
各定電流駆動回路83は、定電流トランジスタ831と、電圧保持コンデンサ832と、選択トランジスタ833とを有している。
このような各定電流駆動回路83では、選択トランジスタ833がオンされると、後述するドライバIC85の駆動信号(ラッチ回路842を経た電圧)に応じた定電流が定電流トランジスタ831を通じて発光素子74に流れ、発光素子74が発光する。また、ドライバIC85の駆動信号(ラッチ回路842を経た電圧)が電圧保持コンデンサ832に保持されることで、選択トランジスタ833がオフされても、発光素子74に電流が所定時間流れ続け、発光素子74の発光が維持される。
【0073】
選択スイッチ841は、制御回路822からのselect信号によりSEL1とSEL2とで切り替えられ、ドライバIC85からの駆動信号の入力先となるラッチ回路842を選択する。この選択スイッチ841を切り替えることで、発光素子群71毎に、各発光素子74に通電する電圧を設定することができる。なお、図6では、選択スイッチ841がSEL1のときにおけるドライバIC85からの駆動信号の入力先のラッチ回路842をラッチ回路842aとし、選択スイッチ841がSEL2のときにおけるドライバIC85からの駆動信号の入力先のラッチ回路842をラッチ回路842bとして図示している。
【0074】
ラッチ回路842は、発光素子群71毎に対応して複数設けられている。各ラッチ回路842は、ドライバIC85から出力された駆動信号(電圧)、より具体的には、対応する発光素子群71に属する複数の発光素子74を駆動する信号を保持する。
ラッチスイッチ843は、ラッチ回路842のON/OFFを切り換える機能を有する。特に、ラッチスイッチ843は、複数のラッチ回路842のON/OFFを一斉(同時)に切り換える。このようなラッチスイッチ843は、例えば1回の主走査動作において、前述したように複数のラッチ回路842の全てが信号を保持するまでOFF状態とされ、その後ON状態とされる。これにより、異なる発光素子群71に属する複数の発光素子74を同時に発光させることができる。また、全ての発光素子群71(発光素子74)の各発光素子74を同時に発光させることができる。このラッチスイッチ843は、前述した制御回路822によりON状態とOFF状態とに切り換えられる。
【0075】
このとき、ラッチスイッチ843に同期して(ほぼ同タイミングで)、前述した制御回路822によりイネーブルスイッチ845の切り換えが行われる。
イネーブルスイッチ845は、各発光素子74に対応して設けられ、対応する発光素子74が発光可能なON状態と発光不可能なOFF状態とを切り換える機能を有する。このようなイネーブルスイッチ845は、前述したラッチスイッチ843がON状態のときにOFF状態とされ、ラッチスイッチ843がOFF状態のときにON状態とされる。これにより、高精度なタイミングで、異なる発光素子群71の発光素子74を同時に発光させることができる。
【0076】
ここで、図7に基づいて、全ての発光素子74の同時点灯について、より具体的に説明する。なお、図6では、説明の便宜上、一部の図示を省略し、1つのドライバIC85に2つの発光素子群71が接続されたものを図示しているが、図7では、1つのドライバIC85に4つの発光素子群71が接続された場合を図示している。以下の説明では、1つのドライバIC85に4つの発光素子群71が接続された場合を例に説明する。また、選択スイッチ841がSEL1のときにおけるドライバIC85からの駆動信号の入力先のラッチ回路842をラッチ回路842aとし、選択スイッチ841がSEL2のときにおけるドライバIC85からの駆動信号の入力先のラッチ回路842をラッチ回路842bとし、選択スイッチ841がSEL3のときにおけるドライバIC85からの駆動信号の入力先のラッチ回路842をラッチ回路842cとし、選択スイッチ841がSEL4のときにおけるドライバIC85からの駆動信号の入力先のラッチ回路842をラッチ回路842dとして説明する。
【0077】
まず、後述するドライバIC85(出力部)のDAC853から1番目(N−3番目)の駆動信号としてDATA1−1が出力され、その間、select信号により選択スイッチ841の状態がSEL1となり、ラッチ回路842aにDATA1−1がラッチ(保持)される。このとき、ラッチスイッチ843がOFF状態とされるとともに、イネーブルスイッチ845がON状態とされる。なお、以下のDATA1−2〜1−4の出力時についても同様、ラッチスイッチ843がOFF状態とされるとともに、イネーブルスイッチ845がON状態とされる。
【0078】
次いで、ラッチ回路842aにDATA1−1がラッチ(保持)された状態のまま、DAC853から2番目(N−2番目)の駆動信号としてDATA1−2が出力され、その間、select信号により選択スイッチ841の状態がSEL2となり、ラッチ回路842bにDATA1−2がラッチ(保持)される。
次に、ラッチ回路842aにDATA1−1、ラッチ回路842bにDATA1−2がラッチ(保持)された状態のまま、DAC853から3番目(N−1番目)の駆動信号としてDATA1−3が出力され、その間、select信号により選択スイッチ841の状態がSEL3となり、ラッチ回路842cにDATA1−3がラッチ(保持)される。
【0079】
さらに、ラッチ回路842aにDATA1−1、ラッチ回路842bにDATA1−2、ラッチ回路842cにDATA1−3がラッチ(保持)された状態のまま、DAC853から4番目(N番目)の駆動信号としてDATA1−4が出力され、その間、select信号により選択スイッチ841の状態がSEL4となり、ラッチ回路842dにDATA1−4がラッチ(保持)される。
【0080】
その後、DAC(電圧出力部)853からの電圧の出力が一時中断した状態(blank)で、ラッチスイッチ843がON状態となり、各ラッチ回路842a〜842dに保持されたDATA1−1〜1−4が同時に(一斉に)、対応する各電圧保持コンデンサ832に出力され保持される。
電圧保持コンデンサ832に出力電圧が保持され、ラッチスイッチ843がOFFされた後、イネーブルスイッチ845がON状態となり、各電圧保持コンデンサ832に保持された電圧(DATA1−1〜1−4)に応じた定電流が定電流トランジスタ831を通じて各発光素子74に流れ、各発光素子群71の各発光素子74が発光する。
【0081】
そして、その後のDATA2−1〜2−4の出力時およびそれ以降についても、前述したDATA1−1〜1−4の出力時と同様に、選択スイッチ841、ラッチスイッチ843およびイネーブルスイッチ845が繰り返し作動する。これにより、各画素PXにスポットSPを形成することができる。
このようにして、ドライバIC85から1〜N−1番目に出力された駆動信号が各発光素子74に入力されるタイミングを、ドライバIC85からN番目に出力された駆動信号が各発光素子74に入力されるタイミングまで遅延させ、異なる発光素子71群で発光素子74を同時に発光させることができる。これにより、異なる発光素子群71間でこれらに属する複数の発光素子74の発光の切換に伴う誤差の発生を防止し、その結果、高精度な露光処理を実現することができる。特に、本実施形態では、ドライバIC85から1〜N番目に出力された駆動信号を順次保持した後に、これらの駆動信号の保持を同時に解除することで、異なる発光素子群71の発光素子74の発光タイミングを高精度に制御することができる。なお、N番目の駆動信号は保持せずに発光素子74に入力する構成とすることも可能である。この場合、N番目の駆動信号が入力される発光素子群71の発光素子74に対応するラッチ回路842dを省略し、N番目の駆動信号の出力タイミングで、1〜N−1番目の駆動信号の保持を解除すればよい。
【0082】
ドライバIC85は、各発光素子群71に属する各発光素子74を駆動する駆動信号を発光素子群71毎に順次出力する出力部である。このドライバIC85は、1つのドライバIC85から順次出力された駆動信号を用いて複数の発光素子群71のそれぞれに属する複数の発光素子74を発光させる。したがって、各発光素子74を点灯制御する信号の配線の数を少なくすることができる。その結果、かかる配線からノイズが混入するのを防止または抑制し、高精度な露光処理を実現することができる。
【0083】
このようなドライバIC85は、シフトレジスタ851と、ラッチ回路852と、DAC853(D/Aコンバータ)とを備えている。
このようなドライバIC85では、制御回路822からシフトレジスタ851に、startパルス信号(start)をトリガにして、クロック信号(CLK)に同期したデータ信号(DATA)が送られる。一方、ラッチ回路852には制御回路822からLatch信号(Latch)が送られ、シフトレジスタ851でデータ信号が所定タイミングで揃うように、データ信号がラッチされる。そして、データ信号(デジタル信号)が所定タイミングで揃えられた状態でDAC853に送られ、DAC853は前述したラッチ回路842に所定の(画像情報に応じた)電圧信号(アナログ信号)を駆動信号として出力する。
【0084】
なお、前述した駆動回路821は、アクティブ型の駆動回路であるが、この駆動回路821に代えて、パッシブ型の駆動回路821Aを用いてもよい。
ここで、複数の定電流駆動回路83、選択スイッチ841、複数のイネーブルスイッチ845、ラッチスイッチ843およびラッチ回路842は、前述した支持板72上に設けられており、第1の回路部を構成する。この第1の回路部は、ドライバIC85(出力部)から出力された駆動信号が各発光素子74に入力されるタイミングを遅延させる遅延部を構成する。また、ドライバIC85は、駆動回路821の一部を構成する半導体素子である。また、ラッチ回路842は、保持手段を構成する(保持手段に備えられる)。
【0085】
以上説明したような駆動回路821は、制御回路822により制御される。
制御回路822は、駆動回路821の作動を制御するものである。この制御回路822は、後述するプリンタコントローラ18からの信号に基づき、駆動回路821の作動を制御する。ここで、制御回路822は、第2の回路部を構成する。
このような制御回路822は、インターフェース回路86と、複数(本実施形態では2つ)のデータ制御回路87と、補正値メモリ88とを備えている。
【0086】
インターフェース回路86は、画像形成装置1本体(ラインヘッド13の外部)に備えられたプリンタコントローラ18から信号を受け取るものである。本実施形態では、インターフェース回路86は、図6に示すように、LVDS(Low voltage differential signaling)を用いた受信回路で構成されており、プリンタコントローラ18から、タイミングクロックとともに、データ線に展開されたデータを受け取り、各データ制御回路87に分配する。
【0087】
データ制御回路87は、インターフェース回路86からのデータを補正値メモリ88の補正データに基づいて、各発光素子74の発光量が最適となるように補正し、補正後のデータを制御信号とともに前述したドライバIC85(シフトレジスタ851)に送る。また、データ制御回路87は、前述したラッチスイッチ843および選択スイッチ841の切り換えのための信号を出力する。
【0088】
プリンタコントローラ18は、各発光素子74の駆動制御のための信号を制御回路822に送信する機能を有するものである。本実施形態では、プリンタコントローラ18は、ラインヘッド13の駆動制御のためのヘッド制御部181と、このヘッド制御部181からの信号を前述したインターフェース回路86に送信するための送信回路182とを備えている。また、プリンタコントローラ18は、画像形成装置1の各部を制御する機能をも有する。
【0089】
このような制御系(回路部82)により各発光素子74の駆動が制御される。なお、上述した制御系の構成は、一例であり、これに限定されるものではない。
以上説明したようなラインヘッド13によれば、異なる発光素子群71で発光素子74を同時に発光させることができるので、異なる発光素子群71で発光素子74の発光の切換に伴う誤差の発生を防止し、その結果、高精度な露光処理を実現することができる。特に、かかるラインヘッド13では、1つの出力部(ドライバIC85のDAC853)から順次出力された駆動信号を用いて複数の発光素子群71のそれぞれに属する複数の発光素子74を発光させるので、各発光素子74を点灯制御する信号の配線の数を少なくすることができる。その結果、かかる配線からノイズが混入するのを防止または抑制し、高精度な露光処理を実現することができる。
【0090】
また、画像形成装置1によれば、高精度な露光処理を実現することで、高品位な画像を得ることができる。
すなわち、N(Nは、2以上の整数)個の発光素子群71のそれぞれに属する複数の発光素子74をそれぞれ発光させる駆動信号を発光素子群71毎に順次出力するとともに、1〜N−1番目に出力された駆動信号の入力タイミングを、N番目に出力された駆動信号の入力タイミングまで遅延させ、異なる発光素子群71間で発光素子74を同時に発光させ、感光ドラム11に対し潜像を形成することで(本発明の画像処理方法を用いることで)、高精度な露光処理を実現することで、高品位な画像を得ることができる。
【0091】
以上、本発明のラインヘッドおよび画像形成装置を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、ラインヘッドおよび画像形成装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、レンズアレイは、複数のレンズが2行n列の行列状に配置さているのに限定されず、例えば、3行n列、4行n列等の行列状に配置されていてもよい。
【0092】
また、1つの結像光学系は、複数のレンズで構成されていてもよく、また、1つまたは3つ以上のレンズ面で構成されていてもよい。
また、レンズアレイとして、複数の屈折率分布型のロッドレンズからなるレンズ列を主走査方向に俵積みするように多数配した構造を有するレンズアレイを用いることもできる。
また、前述した実施形態では、説明の便宜上、発光素子が1行n列に配列したものを説明したが、これに限定されるものではなく、発光素子が2行n列、3行n列等の行列状に配列されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の実施形態にかかる画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】図1に示す画像形成装置に備えられたラインヘッドの部分断面斜視図である。
【図3】図2中のA−A線断面図である。
【図4】図2に示すラインヘッドを平面視したときのレンズと発光素子との位置関係を示す図である。
【図5】図2に示すラインヘッドの作用を説明するための概略斜視図である。
【図6】図2に示すラインヘッドの制御系を示す図である。
【図7】図6に示す制御系の作用を説明するためのタイミングチャートである。
【図8】図2に示すラインヘッドにより潜像担持体上に形成されたスポット(スポット潜像)の配置を示す図である。
【符号の説明】
【0094】
1…画像形成装置 6…レンズアレイ 61…下面(入射面) 62、62a、62b、62c…第1の凸曲面(レンズ面) 62’、62’a、62’b、62’c…第2の凸曲面(レンズ面) 63…上面(出射面) 64、64a、64b、64c…レンズ 641…レンズ軸 642…集光点(焦点) 65…レンズ支持部 7…発光素子アレイ 71、71a、71b、71c、71d…発光素子群(発光素子グループ) 72…支持板(ヘッド基板) 721…下面 722…上面 73…収納部 74…発光素子 8…第1の遮光部材 8’…第2の遮光部材 81’…上面 82…回路部 821、821A…駆動回路 822…制御回路 82’…下面 83…定電流駆動回路 831…定電流トランジスタ 832…電圧保持コンデンサ 833…選択トランジスタ 83’…側面 84、84’…貫通孔(開口部) 841…選択スイッチ 841’…内周面 842、842a、842b、842c、842d、852…ラッチ回路 843…ラッチスイッチ 845…イネーブルスイッチ 85…ドライバIC 851…シフトレジスタ 853…DAC 86…インターフェース回路 87…データ制御回路 88…補正値メモリ 9…ケーシング 91…枠部材(ケーシング本体) 911…内腔部 915…境界部(段差部) 916…肩部 92…蓋部材(裏蓋) 922…凹部 93…クランプ部材 931…爪部 932…湾曲部 94…スペーサ 941…ピン 942…当接部 943…当接面 95…コイルバネ 100…カバーガラス(レンズ保護部材) 101…上面(出射面) 102…下面(入射面) 10…画像形成ユニット 10C、10K、10M、10Y…画像形成ステーション 11…感光ドラム(感光体) 111…受光面 112…非感光領域 12…帯電ユニット 13…ラインヘッド(露光ユニット) 14…現像装置 15…クリーニングユニット 151…クリーニングブレード 18…プリンタコントローラ 181…ヘッド制御部 182…送信回路 20…転写ユニット 21…中間転写ベルト 22…一次転写ローラ 23…駆動ローラ 24…従動ローラ 25…二次転写ローラ 26…クリーニングユニット 261…クリーニングブレード 30…定着ユニット 301…定着ローラ 302…加圧ローラ 40…搬送機構 41…レジストローラ対 42、43、44…搬送ローラ対 50…給紙ユニット 51…給紙カセット 52…ピックアップローラ P…記録媒体 SP…スポット(潜像) SG、SG1、SG2、SG3…スポット群 L…光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子で構成される発光素子群をN(Nは、2以上の整数)個配設した発光素子アレイと、
前記発光素子群を構成する発光素子を駆動する駆動信号を前記発光素子群毎に順次出力する出力部と、
前記出力部から出力された駆動信号が前記発光素子に入力される入力タイミングを遅延させる遅延部と、を有し、
前記遅延部は、前記出力部から1〜N−1番目に出力された駆動信号の入力タイミングを、前記出力部からN番目に出力された駆動信号の入力タイミングまで遅延させ、異なる前記発光素子群で同時に前記発光素子を発光させることを特徴とするラインヘッド。
【請求項2】
前記遅延部は、保持手段を有し、前記出力部から1〜N番目に出力された駆動信号を前記保持手段に順次保持した後に、前記保持手段に保持された前記1〜N番目に出力された駆動信号の保持を同時に解除する請求項1に記載のラインヘッド。
【請求項3】
前記保持手段は、前記発光素子群毎に対応して設けられたラッチ回路を有し、前記遅延部は、前記ラッチ回路のON/OFFを同時に切り換えるラッチスイッチを備える請求項2に記載のラインヘッド。
【請求項4】
潜像が形成される潜像担持体と、
前記潜像担持体に露光して前記潜像を形成するラインヘッドと、を有し、
前記ラインヘッドは、
複数の発光素子を構成する発光素子群をN(Nは、2以上の整数)個配設した発光素子アレイと、
前記発光素子群を構成する発光素子を駆動する駆動信号を前記発光素子群毎に順次出力する出力部と、
前記出力部から出力された駆動信号が前記発光素子に入力される入力タイミングを遅延させる遅延部と、を有し、
前記遅延部は、前記出力部から1〜N−1番目に出力された駆動信号の入力タイミングを、前記電圧出力部からN番目に出力された駆動信号の入力タイミングまで遅延させ、異なる前記発光素子群で同時に前記発光素子を発光させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
N(Nは、2以上の整数)個の発光素子群を構成する発光素子を駆動する駆動信号を前記発光素子群毎に順次出力するとともに、
1〜N−1番目に出力された前記駆動信号の入力タイミングを、N番目に出力された前記駆動信号の入力タイミングまで遅延させ、異なる前記発光素子群で同時に前記発光素子を発光させ、潜像担持体に潜像を形成することを特徴とする画像形成方法。
【請求項6】
前記発光素子群に対応して設けられ、前記発光素子からの光を結像する結像光学系を有し、
前記発光素子群は、第1の方向に配設されているとともに、該第1の方向に直交もしくは略直交する第2の方向に配設されており、
前記発光素子群を構成する発光素子を同時に発光させたときに、当該発光素子群からの光が前記結像光学系で結像して形成されるスポット群の前記第2の方向の間隔は、潜像の画素の前記第2の方向の間隔の整数倍とする請求項5に記載の画像形成方法。
【請求項7】
前記発光素子群を構成する発光素子を同時に発光させたときに、当該発光素子の光が前記結像光学系で結像して形成されるスポットの前記第2の方向の間隔は、潜像の画素の前記第2の方向の間隔の整数倍となるように設定されている請求項6に記載の画像形成方法。
【請求項8】
前記結像光学系は、前記第1の方向に配設されているとともに、前記第2の方向に配設されており、
前記結像光学系の前記第2の方向の間隔は、潜像の画素の前記第2の方向の間隔の整数倍とする請求項6または7に記載の画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−125785(P2010−125785A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−304982(P2008−304982)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】