説明

ラケット糸押出成型方法とその製品

【課題】ラケット糸押出成型方法とその製品の提供。
【解決手段】本発明は一種のラケット糸押出成型方法とその製品に関わるものである。一つの機械において、押出と捩り加工を順番に行うことにより、2種以上材質の若干数の芯線を押し出した後、軸心方向に絡めながら捩り加工し、1本の完全な線体を該機械において完成する。前記の生産方法より得られた製品の断面は、2種以上材質より構成し、若干数の芯線を有する。各該芯線はもう1種の材質によって内部に覆い、1本の完全な線体を形成する。前記の生産工程により、一つの機械において、押出と捩り加工を1回加工でラケット糸体を成型するため、生産工程に化学酸洗加工プロセスが不要となり、環境保護の要求に合致し、生産フローを確実に簡素化でき、材料と生産設備投資及び生産コストを軽減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一種のラケット糸の生産工程、特に異なる多種類の芯線を一つの機械において、押出と捩り加工を1回に成型する生産方法で成型するラケット糸体に関わるものである。
【背景技術】
【0002】
ラケット糸の構造は、主にテニスボールなどを撃ったとき、そのエネルギーをロスしないように吸収する。よって、理想なものはボールを撃って弾き返すとき、ラケット糸より蓄積されたエネルギー量の95%をボールに伝える。通常、ラケット糸は弾性が高いほどに、蓄積するエネルギーの量も大きい、ボールの飛行速度も早くなり、より遠く飛ばせることができる。
【0003】
ラケット糸の材質はボールの撃つ結果に影響を与える。その材質は、ナイロン、合成繊維、ガット又はセミガットがある。そのうち、合成繊維が最も多く使われている。頑丈、かつ、弾性高い特長を有するため、利用者の必要に応じて、それぞれの編み線又は絡め方式により、様々な直径と太さのラケット糸を生産し、選択使用に備えることができる。
【0004】
ラケット糸の製造は、若干数の芯線をミニメータより微細な線体に絡めて、芯線を互いに被覆することにより、「ゴム輪原理」の高い弾性を形成する。その上、長期間使用、丈夫の特性を有する。現在のラケット糸捩り加工の技術は、異なる材質の数組の糸を絡めながら織込むとき、軸線方向に沿って、又は1本の芯線を指定し編み込み、1ミリメータずつの芯線に伸長力と引張力をもたせる。通常、絡める芯線の本数、材質の種類が多いほど、ラケット糸の機能や働きも多い。
【0005】
公知のラケット糸体の製造方法は図9に示す通り、主に以下の手順を含まれる。押出、酸洗、及び捩り加工。そのうち、押し出し手順は、それぞれの押出成型機より異なる材質の若干数のA、B芯線を押し出す。引き続きに酸洗手順において、措定の化学溶剤を用いて、各該A、B芯線の表面及び所定の結合部位に対する粗面化処理を行う。最後の捩り加工手順は、捩り加工機において、所定の配列順に従い、各該A、B芯線をもう1種のC部材を押し込み、各該A、B芯線を被覆する同時に、捩り加工を行い、ラケット糸体を形成する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記の技術より成型されたラケット糸体の各該芯線は、らせん方式にて、1本の軸線を基準として、絡めながら所定長さのラケット糸を形成し、各該芯線間それぞれの伸長係数を有する。このため、らせん方式の捩り加工後、該ラケット糸にはっきりした凹凸な表面を形成し、該ラケット糸を使用したラケットは撃球のときに、優れたボール制御性を有する。しかしながら、この生産プロセスのハードウエアは、少なくとも2台の押出成型機によるA、B芯線を引出す。酸洗加工の設備、及び捩り加工機による捩り加工が必須設備である。そのコストが高く、大きいスペースが必要のほか、酸洗加工のとき、化学溶剤の取り扱いとその保存の危険性が大きいため、使用後の破棄材料の処理も大きい問題である。本発明者はラケット糸の生産方法は改善の余地があることを突き止め、もう1種のラケット糸成型の生産技術を発明した。
【0007】
前記の課題に鑑みて、本発明のラケット糸押出成型方法は主に、一つの機械において、押出と捩り加工を順番に行うことにより、2種以上材質の若干数の芯線を押し出した後、軸心方向に絡めながら捩り加工し、1本の完全な線体を該機械において完成する。前記の生産方法より得られた製品の断面は、2種以上材質より構成し、若干数の芯線を有する。各該芯線はもう1種の材質によって内部に覆い、1本の完全な線体を形成する。前記の生産工程により、一つの機械において、押出と捩り加工を1回加工でラケット糸体を成型するため、生産工程に化学酸洗加工プロセスが不要となり、環境保護の要求に合致し、生産フローを確実に簡素化でき、材料と生産設備投資及び生産コストを軽減できる。
【0008】
酸洗加工プロセスをなくしたため、生産プロセスの簡素化を実現し、作業環境の安全の向上を図り、環境保護の要求に合致できる、一種のラケット糸押出成型方法とその製品を提供することが本発明の主な目的とする。
【0009】
一つの機械において、押出と捩り加工を行い、ハードウエア設備の投資、コストを確実に軽減できるほか、省スペースを図る、一種のラケット糸押出成型方法とその製品を提供することが本発明の次の目的とする。
【0010】
生産されたラケット糸体は、材質、ポンド数が同じのとき、その糸体の径は従来の生産プロセスより小さい、一種のラケット糸押出成型方法とその製品を提供することが本発明のさらに一つの目的とする。
【0011】
生産されたラケット糸体は、酸洗プロセスによる粗面化処理をなくしたため、溶剤を用いた酸洗加工で各該芯線を破壊し強度低下の問題を引き起こさない、一種のラケット糸押出成型方法とその製品を提供することが本発明のさらに一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、一つの機械において、押出と捩り加工を順番に行うことにより、2種以上材質の若干数の芯線を押し出した後、軸心方向に絡めながらラケット糸体を該機械において完成することを特徴とするラケット糸押出成型方法としている。
請求項2の発明は、押出工程より押出成型した各該芯線は、所定の形状を有することを特徴とする請求項1記載のラケット糸押出成型方法としている。
請求項3の発明は、押出工程より押出成型した各該芯線は所定の配列方法に従い、押出成型することを特徴とする請求項1記載のラケット糸押出成型方法としている。
請求項4の発明は、捩り加工工程において、各該芯線は所定の配列方法により、互いに絡み合わせて、ラケット糸体を仕上げることを特徴とする請求項1記載のラケット糸押出成型方法としている。
請求項5の発明は、2種以上材質より構成し若干数の芯線を有するほか、もう1種の材質により、各該芯線を内部に覆い、ラケット糸体を形成することを特徴とするラケット糸押出成型方法とその製品としている。
請求項6の発明は、各該芯線は2種以上の材質を所定の配列方法により、捩り合わせることを特徴とする請求項5記載のラケット糸押出成型方法とその製品としている。
請求項7の発明は、各該芯線は、所定の形状を有することを特徴とする請求項5記載のラケット糸押出成型方法としている。
請求項8の発明は、該ラケット糸体はA、B、C合計3種類の材料を有する、そのうち、B材料の各該芯線はA材料の芯線に環設する、C材料の芯線はA、B材料を完全に覆い、各該芯線に充填することを特徴とする請求項5記載のラケット糸押出成型方法とその製品としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明のラケット糸押出成型方法とその製品は、一つの機械において、押出と捩り加工を順番に行うことにより、2種以上材質の若干数の芯線を押し出した後、軸心方向に絡めながらラケット糸体を仕上げるため、強度の高い、使用材料を減少する効果を有する。さらに、酸洗プロセスを取り除いているため、生産コストを軽減し、環境保護の要求に合致できる実用性の高い生産プロセスを実現する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
まず、図1から図3を合わせて参照する。本発明のラケット糸押出成型方法は、主に一つの機械10において、押出と捩り加工を順番に行う。その生産プロセスと手順は以下のとおり詳細説明する、
a.押出工程は押出成型装置20にA、Bの材質の原料タンク21、22を設け、押出成型方式により糸引のように、所定の配列に従い、1本のA部材芯線51と12本のB部材芯線52をそれぞれ押し、各該A、B芯線51、52は丸い外径を形成する。b. 捩り加工において、押し出された各該芯線51、52を受入、C部材の原料タンク23より原料を注入する同時、捩り加工装置30でもって、各該A、B芯線51、52を所定の編み方にて捩り加工を行い、該B芯線52は該A芯線51を軸心にして、交互に捩り合わせてラケット糸を形成する。
【0015】
前記の生産プロセスにより、A、B、C合計3種類部材若干数の芯線を押し出した後、軸芯方向にからめながらラケット糸体50を該機械10において仕上げる。
【0016】
本発明の生産プロセスによって生産された該ラケット糸体50は図3における糸体の断面より、1本のA芯線と12本のB芯線51、52が見られる。そのうち、該A芯線51は軸線上にあり、各該B芯線52は該A芯線の周りに囲む。さらに、C被覆部材53により各該A、B芯線51、52をその内部とその間に被覆して、完全なラケット糸体50を仕上げる。
【0017】
本発明の構造と特長、応用技術と予期効果のさらなる理解を図るため、本発明の使用方法を以下のとおり詳細説明する。
【0018】
本発明は一つの機械において、押出と捩り加工を順番に行う。A、B、C合計3種類の異なる部材の各該芯線51、52を押し出した後、引き続きにC被覆部材53を注入して、各該A、B芯線51、52は軸心方向に絡めながら、ラケット糸体50を該機械において仕上げる。
【0019】
本発明は従来の生産プロセスにおける酸洗加工プロセスを取り除き、酸洗プロセスの設備・器具並びに化学溶剤・資材も不要のため、購入及び保存の必要がない。このため、生産コストを低減できるほか、作業環境の安全を向上し、環境保護の要求に合致できる。一方、ハードウエア設備と資材購入及び工場生産スペースを軽減できる。
【0020】
構造分析の観点から、従来の生産工程は主に、引き出された芯線の表面及び所定の結合部位において、化学溶剤より粗面化処理を行うことにより、捩り加工ときの密着度の向上を図る。しかしながら、このような酸洗プロセスは芯線表面を破壊、腐食するほか、芯線の従来の強度を低下させる。一方、本発明の生産工程より生産されたラケット糸体は、酸洗プロセスのフローを取り除いているため、芯線はなお従来の強度を維持できる。
【0021】
本発明のラケット糸体50と公知技術のラケット糸との構造を比較すると、材質、ポンド数が同じ条件において、本発明のラケット糸体50の径はより細く仕上げることができるため、使用材料を軽減できる。また、同じ径の条件において、本発明のラケット糸体50の強度は従来の生産プロセスによって生産されたラケット糸体より強い。よって、実用性は極めて高い。
【0022】
図4は本発明の生産プロセスによるもう一つ実施例のラケット糸体構造図である。1種類の若干数の該A芯線51は該C被覆部材53によって内部に覆い、捩り加工によりラケット糸体を仕上げる。又は、図5に示すもう一つの実施例において、該A材質の芯線51を太い径作り上げて、軸線上において、12本の同じくA材質の細い径の芯線を外部に環設した上、該C被覆部材53を覆い、捩り加工によりラケット糸体50を仕上げる。
【0023】
図6から図8に示すものは、本発明の生産プロセスによるさらに一つの実施例のラケット糸体50の構造図である。同じくA、B、C材質の芯線51、52、53を捩り合わせてラケット糸体50を形成する。なお、各該A、B芯線51、52の配列及び形状について、設計又は機能に応じて、柔軟に運用し変化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の好ましい実施例のフロー概略図である。
【図2】本発明の好ましい実施例の機械の概略図である。
【図3】本発明の好ましい実施例の製品の断面概略図である。
【図4】本発明のもう一つの好ましい実施例の製品の断面概略図である。
【図5】本発明さらに一つの好ましい実施例の製品の断面概略図である。
【図6】本発明さらに一つの好ましい実施例の製品の断面概略図1である。
【図7】本発明さらに一つの好ましい実施例の製品の断面概略図2である。
【図8】本発明さらに一つの好ましい実施例の製品の断面概略図3である。
【図9】公知技術のフロー概略図である。
【符号の説明】
【0025】
10 機械
20 押出成型装置
21 A原料タンク
22 B原料タンク
23 C原料タンク
30 捩り加工装置
50 ラケット糸体
51 A芯線
52 B芯線
53 C被覆部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つの機械において、押出と捩り加工を順番に行うことにより、2種以上材質の若干数の芯線を押し出した後、軸心方向に絡めながらラケット糸体を該機械において完成することを特徴とするラケット糸押出成型方法。
【請求項2】
押出工程より押出成型した各該芯線は、所定の形状を有することを特徴とする請求項1記載のラケット糸押出成型方法。
【請求項3】
押出工程より押出成型した各該芯線は所定の配列方法に従い、押出成型することを特徴とする請求項1記載のラケット糸押出成型方法。
【請求項4】
捩り加工工程において、各該芯線は所定の配列方法により、互いに絡み合わせて、ラケット糸体を仕上げることを特徴とする請求項1記載のラケット糸押出成型方法。
【請求項5】
2種以上材質より構成し若干数の芯線を有するほか、もう1種の材質により、各該芯線を内部に覆い、ラケット糸体を形成することを特徴とするラケット糸押出成型方法とその製品。
【請求項6】
各該芯線は2種以上の材質を所定の配列方法により、捩り合わせることを特徴とする請求項5記載のラケット糸押出成型方法とその製品。
【請求項7】
各該芯線は、所定の形状を有することを特徴とする請求項5記載のラケット糸押出成型方法。
【請求項8】
該ラケット糸体はA、B、C合計3種類の材料を有する、そのうち、B材料の各該芯線はA材料の芯線に環設する、C材料の芯線はA、B材料を完全に覆い、各該芯線に充填することを特徴とする請求項5記載のラケット糸押出成型方法とその製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−154667(P2008−154667A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−344138(P2006−344138)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(502015728)耀億工業股▲ふん▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】