ラジアル軸受及びスラスト軸受を備えたスピンドルモータ
【課題】軸受摩擦を低減し、これによりモータの消費電力を低減することができる軸受装置を備えたスピンドルモータを提供すること。
【解決手段】スピンドルモータは、ラジアル軸受及びスラスト軸受によって相対回転可能に支持された固定部と回転部とを有し、ラジアル軸受が流体軸受で構成され、回転部が電磁駆動装置により駆動される。スラスト軸受は、磁気軸受で構成されており、この磁気軸受は、磁気的な予圧に対して反対方向の力を発するよう構成されている。
【解決手段】スピンドルモータは、ラジアル軸受及びスラスト軸受によって相対回転可能に支持された固定部と回転部とを有し、ラジアル軸受が流体軸受で構成され、回転部が電磁駆動装置により駆動される。スラスト軸受は、磁気軸受で構成されており、この磁気軸受は、磁気的な予圧に対して反対方向の力を発するよう構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジアル軸受及びスラスト軸受を備えたスピンドルモータに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばハードディスクドライブにおいてハードディスクを回転駆動するために、高速で回転するスピンドルモータが用いられる。このようなスピンドルモータにおいては、できる限り遊びがなく、なお且つ摩擦の少ない軸受を実現することが必要である。
【0003】
スピンドルモータのどの仕様にも共通しているのは、固定されたベースに、ラジアル軸受及びスラスト軸受を介して、回転駆動されるロータ(ハブ)を設けている点である。また、モータを駆動するため、ベース上において、回転駆動されるロータの内側にマグネットを設け、このマグネットとエアギャップを介して対向するように、(マグネットと協働する)ステータ体を設けることが知られている。ステータ体の内側で生じる回転電磁界により、ロータが回転運動する。
【0004】
ここで用いられるラジアル軸受及びスラスト軸受は、できる限り摩擦が少ないものであることが望ましい。そこで、近年、軸受損失が非常に少ない流体動圧滑り軸受が好んで用いられている。しかしながら、流体動圧スラスト軸受の構成部品は、それだけで、軸受全体の約30%の軸受損失を生じる。加えて、流体動圧スラスト軸受は、製造公差が厳しいため、製造コストがかかり、割高なものとなる。また、流体動圧スラスト軸受の軸受面は、モータが静止している時には互いに接触しているため、モータの始動時や停止時には軸受面の間に固体摩擦が生じ、モータの始動時には消費電力が増加する。スピンドルモータのこのような流体動圧軸受の構成例は、特許文献1(ドイツ国特許公報DE102004040295A1に対応)に開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2006−57838号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、従来の流体軸受を備えたスピンドルモータと比較して、軸受摩擦が小さく、これによりモータの消費電力を低減することができるスピンドルモータを提供することにある。
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明は、請求項1に記載された技術的特徴を備えている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の本質的な特徴は、ラジアル流体軸受にスラスト磁気軸受を組み合わせ、そのスラスト磁気軸受が、磁気的な予圧に対して反対方向の力を発するよう構成されていることにある。
【0009】
磁気軸受が、他の公知の軸受に対して有する主な利点は、磁気軸受が静止状態(すなわちモータが静止しているとき)及び動的な状態のいずれにあっても、ほぼ摩擦なしで動作することである。モータの回転数に関わらず、磁気軸受が機能するため、モータの固定部と可動部との間で固体摩擦が生じることを回避することができる。
【0010】
本発明の好ましい構成例では、モータの固定部は、ベースと、ベースに結合された軸受スリーブと、ベース上に設けられたステータ体とを有している。回転部は、軸受スリーブに回転可能に支持された軸と、軸に結合されたハブと、ハブに設けられたマグネット体とを有している。
【0011】
また、本発明の好ましい構成例では、ステータ体及びマグネット体は、スピンドルモータの回転軸に対して略垂直な平面上に配設されている。なお、インナーロータ型のモータでは、マグネット体がステータ体に囲まれている。一方、アウターロータ型のモータでは、ステータ体がマグネット体に囲まれている。
【0012】
本発明の好ましい構成例では、磁気軸受が、回転部に設けられた第1のマグネットを有しており、この第1のマグネットには、固定部に設けられた第2のマグネットが対向している。より好ましくは、第1のマグネットは、ハブの略半径方向に延在する面に設けられており、その面(第1のマグネットが配設されたハブの面)は、第2のマグネットが支持されている軸受スリーブの半径方向に延在する面と対向している。
【0013】
考えられる一つの構成例では、第1及び第2のマグネットの両方を、環状に形成することができる。この場合、好ましくは、一方のマグネットのみが完全なマグネットリングにより形成され、他方のマグネットは、環状に配列された複数のマグネットセグメントにより構成されていてもよい。また、第1及び第2のマグネットの両方が、環状に配列された複数のマグネットセグメントで構成されていてもよい。
【0014】
本発明の別の構成例では、第1及び第2のマグネットの少なくとも一方を、直径の異なる同軸の着磁された複数のマグネットリングとし、これらを同軸に配置して形成することができる。各マグネットリングは、全て同じ方向に着磁されていてもよく、或いは、逆方向に着磁されていてもよい。さらに、各マグネットリングを異なる材料で形成してもよく、また、各マグネットリングを異なる磁気強度で着磁してもよく、また、これら両方を採用してもよい。さらに別の態様では、同軸の複数のマグネットリングの間に、エアギャップあるいは磁性材料からなる環状部材を設けてもよい。
【0015】
磁気軸受の良好な耐荷重特性を確保するため、特に、マグネットの横方向変位時(軸に対して垂直な方向への変位時)の均一な耐荷重性能を確保するため、一つの好ましい実施の形態では、第1のマグネット(好ましくは、ハブに取り付けられたマグネット)の半径方向の幅を、第2のマグネット(好ましくは、軸受スリーブに取り付けられたマグネット)よりも大きくしている。
【0016】
磁気的な予圧は、マグネット体の磁気的な中心に対し、ステータ体の磁気的な中心を軸方向に距離dだけ変位させることにより発生させることが好ましい。
【0017】
マグネット体(ロータマグネット)とスラスト軸受のマグネットは、プラスチックで結合されたマグネット(プラスチックボンド磁石)であることが好ましいが、このようなマグネットが特に強度が高い訳ではない。ここで用いるマグネット材料は同種の特性(例えば温度特性)を有しており、磁気軸受のバランスを取ることが比較的容易である。
【0018】
磁気軸受では、マグネット同士が互いに反発するように着磁されていることが好ましい。これに対し、磁気的な予圧は、磁気軸受におけるマグネット同士の反発力とは反対方向の力が生じるように設定される。これにより、磁気軸受のバランスを保つことができる。これとは逆に、磁気軸受のマグネット同士が互いに引き付け合うように着磁され、磁気的な予圧が、磁気軸受のマグネット同士の引き付け合う力に対して反対方向の力を生じる場合もあり得る。
【0019】
磁気軸受を使用することにより、全体として、モータの起動直後の出力損失が小さく抑えられ、寿命が長くなる。特に、起動トルクが小さくて済む。
【0020】
加えて、スラスト磁気軸受は、(例えばスラスト流体軸受と比較して)軸方向の軸受隙間が大きく許容されるため、例えばスラスト流体軸受よりもはるかに容易に製造することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、スピンドルモータの固定部と可動部との間で固体摩擦が生じることを回避することができ、これにより軸受摩擦を低減し、スピンドルモータの消費電力を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。図面及びその説明から、本発明の更なる特徴及び長所が見出される。
【0023】
第1の実施の形態.
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるスピンドルモータを示す概略断面図である。このスピンドルモータは、例えばベースプレート又はベースフランジとして形成可能なベース10を有している。ベース10の穴部10aには、軸受スリーブ12が挿入されている。軸受スリーブ12は、例えば圧入、接着又は溶接によりベース10に固定されている。ベース10の外側には、軸受スリーブ12を環状に囲むステータ体14が、公知の方法で設けられている。
【0024】
軸受スリーブ12には、軸16が挿入された中心孔12cが形成されている。軸受スリーブ12の中心孔12cの内周面と、軸16の外周面とは、軸受隙間22によって相互に隔てられている。軸受隙間22は、軸受流体(より好ましくは軸受オイル)で満たされていることが好ましい。軸16は、上下2つのラジアル軸受38,40を介して、軸受スリーブ12に取り付けられていることが好ましい。これらのラジアル軸受38,40は、流体動圧軸受として形成されており、この流体動圧軸受は、軸16の外周面又は軸受スリーブ12(中心孔12c)の内周面に形成された軸受構造(例えば複数の溝)に特徴を有している。流体動圧軸受の構造及び作用は公知であるため、ここでは詳細説明を省略する。
【0025】
軸16の上端部は、軸受スリーブ12の上方に突出し、ハブ18につながっている。軸16とハブ18とは、図1に示されているように一体に形成されていてもよいし、互いに連結された2つの部材で構成されていてもよい。ハブ18は、ほぼ釣鐘型に形成されており、軸受スリーブ12の上方に延在し、さらに軸受スリーブ12の一部を囲んでいる。
【0026】
ハブ18の外周面には、環状の永久磁石であるマグネット体20が配置されている。このマグネット体(ロータマグネット)20は、ステータ体14に対向配置され、このステータ体14と共に、スピンドルモータの電磁駆動装置を形成している。ステータ体14は、ステータコイル14aと、このステータコイルが配設されたステータコア14bとを有している。
【0027】
軸受スリーブ12のハブ18に対向する端面(図中上端面)、軸受スリーブ12の外周面、及び、これらに対向するハブ18の面は、傾斜していることが好ましく、これによりハブ18と軸受スリーブ12との間に断面三角形の毛細管状隙間24が形成される。毛細管状隙間24は、軸受隙間22に近づくにつれて狭くなっている。毛細管状隙間24は、断面三角形の毛細管シールとして利用され、少なくとも部分的に軸受流体で満たされている。断面三角形の毛細管シールは、軸受隙間22を外部に対して密封する機能を有する一方、軸受流体溜め(貯蔵部)としても機能する。
【0028】
軸受スリーブ12の下側の開放端は、その領域を密封するカバープレート28によって覆われている。
【0029】
軸受スリーブ12からの軸16の脱落を防止するため、軸16の下側の自由端には、ストッパリング26が設けられていることが好ましい。ストッパリング26は、軸受スリーブ12に設けられた環状の溝12b内に(固定されない状態で)配置されている。スピンドルモータが通常の動作状態にあるときには、ストッパリング26は、軸受スリーブ12の内周面及びカバープレート28の表面とは接触しない。
【0030】
ハブ18又は軸16は、固定用クランプ(図示せず)を固定するためのネジ穴30を中心に備えている。スピンドルモータをハードディスクドライブの駆動源として使用する際には、固定用クランプにより、例えばハードディスク(図示せず)をハブ18に固定することができる。
【0031】
スピンドルモータの回転部、すなわち軸16及びハブ18を、軸受スリーブ12及びベース10に対して軸方向に保持するのは、スピンドルモータの固定部と回転部との間に設けられた磁気軸受である。この磁気軸受は、第1のマグネット32を有している。第1のマグネット32は、その配設用にハブ18に設けられた環状の空洞部18aに配設されている。この環状の空洞部18aは、軸受スリーブ12に形成された段部12aの、ハブ18の半径方向に延在する面に対向している。その軸受スリーブ12の段部12aには、第1のマグネット32に軸方向に対向する第2のマグネット34が支持されている。第1のマグネット32がハブ18の上述した空洞部18aに配置されているのに対し、第2のマグネット34は、例えば、軸受スリーブ12の環状の突起36により支持されている。
【0032】
第1及び第2のマグネット32,34は、同極を対向させ、互いに反発し合うように着磁されている。この反発力により、第1及び第2のマグネット32,34の間に空隙(エアギャップ)が生じ、ハブ18が軸受スリーブ12から浮上し、これらの半径方向に延在する面同士が接触しない状態となる。第1及び第2のマグネット32,34は、環状に形成されているか、あるいは、少なくとも環状に配列された複数のマグネットセグメントで構成されることが好ましい。その際、マグネット32,34の直径は、軸受の安定性を確保できるよう、できるだけ大きく設定する。
【0033】
磁気軸受は、安定性を確保するため、(磁気軸受とは反対に作用する)磁気的な予圧に対して該予圧とは反対方向の力を発することが好ましい。磁気的な予圧は、磁気軸受に対してカウンターベアリングとして作用するものであり、ステータ体14の磁気的な中心とマグネット体(ロータマグネット)20の磁気的な中心とを、距離dだけ変位して配置したことによって発生させる。この場合、ステータ体14の磁気的な中心14cから距離dだけ上方に配置されたマグネット体20は、ステータ体14に対してベース10側に引っ張られる。この引っ張り力は、磁気軸受の両マグネット32,34の反発力とは反対方向に作用するため、ハブ18は、軸方向に浮遊した状態で安定に保持される。
【0034】
第1及び第2のマグネット32,34のいずれか一方(この例では第1のマグネット32)は、他方のマグネットよりも、半径方向に広く延在して形成されている。このように一方のマグネットを広くすることにより、例えば組み立て誤差により両マグネット32,34の半径方向の位置関係が変化した場合であっても、磁力の変動を最小限に抑えることができる。
【0035】
第2の実施の形態.
図2は、本発明の第2の実施の形態におけるスピンドルモータを示す。第2の実施の形態におけるスピンドルモータでは、ベース110の穴部110aに軸受スリーブ112が挿入されており、ベース110の外部には、軸受スリーブ112を環状に囲むステータ体114が公知の方法で設けられている。
【0036】
軸受スリーブ112は、軸116が挿入された中心孔112cを備えている。軸受スリーブ112の中心孔112cの内周面と、軸116の外周面とは、軸受隙間122により互いに隔てられている。軸受隙間122は、軸受流体(より好ましくは軸受オイル)により満たされていることが好ましい。軸116は、第1の実施の形態で説明した流体動圧ラジアル軸受を介して、軸受スリーブ112に支持されている。軸116の上端部は、軸受スリーブ112の上方から突出し、ハブ118とつながっている。軸116とハブ118とは、例えば図2に示されているように一体に形成されている。ハブ118は、ほぼ釣鐘型に形成されており、軸受スリーブ112を越えて外側に延在し、軸受スリーブ112の一部を囲んでいる。ハブ118又は軸116は、固定用クランプ(図示せず)を固定するためのネジ穴130を中心に備えていても良い。
【0037】
ハブ118の外周には、環状の永久磁石であるマグネット体120が配置されている。このマグネット体(ロータマグネット)120は、ステータ体114に対向しており、このステータ体114と共にスピンドルモータの電磁駆動装置を構成している。ステータ体114は、ステータコイル114aと、このステータコイルが配設されたステータコア114bとを有している。
【0038】
軸受スリーブ112のハブ118に対向する側の面(図中上面)、及びこれと対向するハブ118の面は、傾斜していることが好ましい。これにより、ハブ118と軸受スリーブ112との間には、軸受隙間122に近づく方向に狭くなる断面三角形の毛細管状隙間124が形成され、毛細管シールとして機能する。毛細管状隙間124は、軸受隙間122とつながっており、少なくとも部分的に軸受流体で満たされている。毛細管状隙間124は、軸受隙間122を外部に対して密封する機能を有する一方、軸受流体溜め(貯蔵部)としても機能する。軸受スリーブ112の下側の開放端は、この領域を密封するカバープレート128によって覆われている。
【0039】
軸受スリーブ112からの軸116の脱落を防止するため、軸116の下側の自由端には、ストッパリング126が設けられていることが好ましい。このストッパリング126は、軸受スリーブ112に設けられた環状の溝112b内に(固定されない状態で)配置されている。スピンドルモータが通常の動作状態にあるときには、ストッパリング126は、軸受スリーブ112の内周面及びカバープレート128の表面とは接触しない。
【0040】
スピンドルモータの回転部(すなわち軸116及びハブ118)を、軸受スリーブ112及びベース110に対して軸方向に保持するのは、モータの固定部と回転部との間に設けられた磁気軸受である。この磁気軸受は、第1のマグネット132を有している。第1のマグネット132は、軸受スリーブ112に面するハブ118の内面118aに設けられている。第1のマグネット132は、軸受スリーブ112の段部112aに設けられた第2マグネット134に対向している。
【0041】
第1及び第2のマグネット132,134は、同極を対向させ、互いに反発し合うように着磁されている。この反発力により、マグネット132,134の間に空隙(エアギャップ)が生じる。これによりハブ118が軸受スリーブ112から浮上し、これらの少なくとも半径方向に延在する面同士が接触しない状態となる。両マグネット132,134は、環状に形成されているか、又は、環状に配置された複数のマグネットセグメントにより構成されていることが好ましい。この場合、第1及び第2のマグネット132,134の直径は、軸受の安定性を確保できるよう、できるだけ大きく設定する。
【0042】
磁気軸受は、安定性を確保するため、図1を参照して説明した磁気的な予圧に対して反対方向の力を発することが好ましい。
【0043】
第3の実施の形態.
図3は、本発明の第3の実施の形態におけるスピンドルモータを示す。第3の実施の形態におけるスピンドルモータでは、ベース210の穴部210aに軸受スリーブ212が挿入されており、ベース210の外部には、軸受スリーブ212を環状に囲むステータ体214が公知の方法で設けられている。
【0044】
軸受スリーブ212は、軸216が収容された中心孔212cを備えている。軸受スリーブ212の中心孔212cの内周面と、軸216の外周面は、軸受隙間222によって互いに隔てられている。軸受隙間222は、軸受流体(より好ましくは軸受オイル)で満たされていることが好ましい。軸216は、上述した流体動圧ラジアル軸受を介して、軸受スリーブ212に支持されている。軸216の上端部は、軸受スリーブ212から上方に突出し、ハブ218とつながっている。軸216とハブ218とは、例えば、図3に示したように一体に形成されている。ハブ218は、ほぼ釣鐘型に形成され、軸受スリーブ212を越えて外側に延在し、軸受スリーブ212の一部を囲んでいる。ハブ218又は軸216は、ネジ穴230を中心に備えていてもよい。
【0045】
ハブ218の外周には、環状の永久磁石であるマグネット体220が配置されている。このマグネット体(ロータマグネット)220は、ステータ体214に対向し、ステータ体214と共にスピンドルモータの電磁駆動装置を構成している。ステータ体214は、ステータコイル214aと、このステータコイルが配設されたステータコア214bとを有している。
【0046】
軸受スリーブ212の外周面と、これに対向するハブ218の内周面は、傾斜していることが好ましい。これにより、ハブ218と軸受スリーブ212との間には、断面三角形の毛細管状隙間224が形成される。この毛細管状隙間224は、ハブ218と軸受スリーブ212との間に水平に延在する環状隙間244を介して、軸受隙間222とつながっている。毛細管状隙間224は、少なくとも部分的に軸受流体で満たされている。環状隙間244は、全体が軸受流体で満たされている。毛細管状隙間224は、軸受隙間222を外部に対して密封する機能を有する一方、環状隙間244と共に軸受流体溜め(貯蔵部)としても機能する。毛細管状隙間224の下側の開放端は、全体として、回転軸に向かって内側に傾斜している。この傾斜により、軸受流体は、ハブ218の回転に伴う遠心力によって半径方向外側に付勢され、毛細管状隙間224の内部に押し込まれて保持される。軸受スリーブ212の下側の開放端は、この領域を密封するカバープレート228によって覆われている。
【0047】
軸216の軸受ブシュ212からの脱落を防止するため、軸216の下側の自由端には、ストッパリング226が設けられている。ストッパリング226は、軸受スリーブ212に設けられた環状の溝内212bに(固定されない状態で)配置されている。スピンドルモータが通常の動作状態にあるときには、ストッパリング226は、軸受スリーブ212の内周面及びカバープレート228の表面とは接触しない。
【0048】
スピンドルモータの回転部(すなわち軸216及びハブ218)を、軸受スリーブ212及びベース210に対して軸方向に保持するのは、モータの固定部と回転部との間に設けられた磁気軸受である。この磁気軸受は、第1のマグネット232を有している。第1のマグネット232は、ハブ218に設けられた空洞部218aに配置されており、環状隙間244に面している。第1のマグネット232には、軸受スリーブ212の空洞部212aに設けられ、なお且つ、(第1のマグネット232と同様に)環状隙間244に面している第2のマグネット234が軸方向に対向している。第1及び第2のマグネット232,234は、同極を対向させ、互いに反発し合うように着磁されている。この反発力により、マグネット232,234の間に生じる環状隙間244の間隔が決定される。両マグネット232,234は、環状に形成されているか、又は、環状に配置された複数のマグネットセグメントにより構成されていることが好ましい。この場合、第1及び第2のマグネット232,234の直径は、軸受の安定性を確保できるよう、できるだけ大きく設定する。
【0049】
磁気軸受は、安定性を確保するため、図1を参照して説明した磁気的な予圧に対して反対方向の力を発することが好ましい。
【0050】
図4は、スラスト軸受(磁気軸受)に作用する力を模式的に示す図である。図4において、横軸は、軸方向におけるマグネット同士の間隔、すなわち、例えば図1における第1のマグネット32と第2のマグネット34との間隔をミリメートル単位で示している。縦軸は、軸方向の力をニュートン単位で示している。
【0051】
曲線310は、図1に示したスピンドルモータに設けられた第1及び第2のマグネット32,34の間に生じる軸方向の力の典型例を示している。軸方向の力は、第1及び第2のマグネット32,34の間の距離が増加するにつれて、ほぼ直線的に減少する。これに対し、曲線300は、マグネット体(ロータマグネット)20の磁気的な中心がステータ体14の磁気的な中心14cから距離dだけ変位して配置されたことによる磁気的な予圧の大きさを示している。磁気的な予圧(曲線300)は、第1及び第2のマグネット32,34により生じる力に対して反対方向に作用するため、両方の力が同じになる安定した作用点APが得られる。この作用点APに基づき、第1及び第2のマグネット32,34の間隔が決定され(図4に示した例では、約0.2mm)、これにより軸受スリーブ12とハブ18との間の毛細管状隙間24の間隔が決定される。
【0052】
図5は、各実施の形態における第1及び第2のマグネット(例えば図1の第1及び第2のマグネット32,34)の他の構成例を示す模式図である。
【0053】
図5(A)に示した構成例では、第1のマグネット32は、直径の異なる同軸の複数(ここでは4つ)の環状のマグネットリング32a,32b,32c,32dにより構成されている。各マグネットリング32a〜32dは、隣り合うマグネットリングの着磁方向が互いに反対になるようにそれぞれ着磁されている。なお、各マグネットリング32a〜32dは、互いに異なる材料で形成されていてもよく、また、互いに異なる磁気強度で着磁されていてもよい。
【0054】
また、第2のマグネット34は、第1のマグネット32と同様、直径の異なる同軸の複数(ここでは4つ)の環状のマグネットリング34a,34b,34c,34dにより構成されている。各マグネットリング34a〜34dは、回転軸42の方向において、第1のマグネット32のマグネットリング32a〜32dにそれぞれ対向しており、なお且つ、対向するマグネットリング32a〜32dとは反対方向にそれぞれ着磁されている。なお、各マグネットリング34a〜34dは、互いに異なる材料で形成されていてもよく、また、互いに異なる磁気強度で着磁されていてもよい。
【0055】
図5(B)に示した別の構成例では、第1のマグネット32は、一つの環状のマグネットリング32eとして構成されている。これに対し、第2のマグネット34は、直径の異なる同軸の複数(ここでは2つ)の環状のマグネットリング34e,34fにより構成されている。第2のマグネット34のマグネットリング34e,34fは、回転軸42の方向において、第1のマグネット32のマグネットリング32eに対向している。
【0056】
第2のマグネット34のマグネットリング34e,34fの間には、環状のエアギャップが形成されるか、或いは、強磁性材料(鉄、フェライト、磁性鋼など)からなる環状部材が設けられている。また、各マグネットリング34e,34fは、互いに同方向に、なお且つ、対向する第1のマグネット32のマグネットリング32eとは反対方向にそれぞれ着磁されている。なお、各マグネットリング34e,34fは、互いに異なる材料で形成されていてもよく、また、互いに異なる磁気強度で着磁されていてもよい。
【0057】
上述した説明、特許請求の範囲又は添付の図面において開示され、特定の形態で若しくは開示された機能を実行する手段として表現された特徴、又は、開示された結果を得るための方法若しくはプロセスとして表現された特徴は、必要に応じて、単独で、又は、組み合わせて、本発明を様々な形態で具現化するために利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の第1の実施の形態における磁気軸受を備えたスピンドルモータの概略断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態における磁気軸受を備えたスピンドルモータの概略断面図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態における磁気軸受を備えたスピンドルモータの概略断面図である。
【図4】スラスト軸受において作用する力を例示した図である。
【図5】第1及び第2のマグネットの構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0059】
10 ベース
12 軸受スリーブ
14 ステータ体
16 軸
18 ハブ
20 マグネット体(ロータマグネット)
22 軸受隙間
24 断面三角形の毛細管状隙間
26 ストッパリング
28 カバープレート
30 ネジ穴(ハブ側)
32 第1のマグネット(ハブ側)
32a,32b,32c,32d,32e マグネットリング
34 第2のマグネット(軸受スリーブ側)
34a,34b,34c,34d,34e,34f マグネットリング
36 突起
38 ラジアル軸受
40 ラジアル軸受
42 回転軸
d 変位量(オフセット量)
110 ベース
112 軸受スリーブ
114 ステータ体
116 軸
118 ハブ
120 マグネット体
122 軸受隙間
124 断面三角形の毛細管状隙間
126 ストッパリング
128 カバープレート
130 ネジ穴(ハブ側)
132 第1のマグネット(ハブ側)
134 第2のマグネット(軸受スリーブ側)
210 ベース
212 軸受スリーブ
214 ステータ体
216 軸
218 ハブ
220 マグネット体
222 軸受隙間
224 断面三角形の毛細管状隙間
226 ストッパリング
228 カバープレート
230 ネジ穴(ハブ側)
232 第1のマグネット(ハブ側)
234 第2のマグネット(軸受スリーブ側)
244 環状隙間
300 磁気的な予圧を示す曲線
310 マグネットによる力を示す曲線
AP 作用点
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジアル軸受及びスラスト軸受を備えたスピンドルモータに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばハードディスクドライブにおいてハードディスクを回転駆動するために、高速で回転するスピンドルモータが用いられる。このようなスピンドルモータにおいては、できる限り遊びがなく、なお且つ摩擦の少ない軸受を実現することが必要である。
【0003】
スピンドルモータのどの仕様にも共通しているのは、固定されたベースに、ラジアル軸受及びスラスト軸受を介して、回転駆動されるロータ(ハブ)を設けている点である。また、モータを駆動するため、ベース上において、回転駆動されるロータの内側にマグネットを設け、このマグネットとエアギャップを介して対向するように、(マグネットと協働する)ステータ体を設けることが知られている。ステータ体の内側で生じる回転電磁界により、ロータが回転運動する。
【0004】
ここで用いられるラジアル軸受及びスラスト軸受は、できる限り摩擦が少ないものであることが望ましい。そこで、近年、軸受損失が非常に少ない流体動圧滑り軸受が好んで用いられている。しかしながら、流体動圧スラスト軸受の構成部品は、それだけで、軸受全体の約30%の軸受損失を生じる。加えて、流体動圧スラスト軸受は、製造公差が厳しいため、製造コストがかかり、割高なものとなる。また、流体動圧スラスト軸受の軸受面は、モータが静止している時には互いに接触しているため、モータの始動時や停止時には軸受面の間に固体摩擦が生じ、モータの始動時には消費電力が増加する。スピンドルモータのこのような流体動圧軸受の構成例は、特許文献1(ドイツ国特許公報DE102004040295A1に対応)に開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2006−57838号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、従来の流体軸受を備えたスピンドルモータと比較して、軸受摩擦が小さく、これによりモータの消費電力を低減することができるスピンドルモータを提供することにある。
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明は、請求項1に記載された技術的特徴を備えている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の本質的な特徴は、ラジアル流体軸受にスラスト磁気軸受を組み合わせ、そのスラスト磁気軸受が、磁気的な予圧に対して反対方向の力を発するよう構成されていることにある。
【0009】
磁気軸受が、他の公知の軸受に対して有する主な利点は、磁気軸受が静止状態(すなわちモータが静止しているとき)及び動的な状態のいずれにあっても、ほぼ摩擦なしで動作することである。モータの回転数に関わらず、磁気軸受が機能するため、モータの固定部と可動部との間で固体摩擦が生じることを回避することができる。
【0010】
本発明の好ましい構成例では、モータの固定部は、ベースと、ベースに結合された軸受スリーブと、ベース上に設けられたステータ体とを有している。回転部は、軸受スリーブに回転可能に支持された軸と、軸に結合されたハブと、ハブに設けられたマグネット体とを有している。
【0011】
また、本発明の好ましい構成例では、ステータ体及びマグネット体は、スピンドルモータの回転軸に対して略垂直な平面上に配設されている。なお、インナーロータ型のモータでは、マグネット体がステータ体に囲まれている。一方、アウターロータ型のモータでは、ステータ体がマグネット体に囲まれている。
【0012】
本発明の好ましい構成例では、磁気軸受が、回転部に設けられた第1のマグネットを有しており、この第1のマグネットには、固定部に設けられた第2のマグネットが対向している。より好ましくは、第1のマグネットは、ハブの略半径方向に延在する面に設けられており、その面(第1のマグネットが配設されたハブの面)は、第2のマグネットが支持されている軸受スリーブの半径方向に延在する面と対向している。
【0013】
考えられる一つの構成例では、第1及び第2のマグネットの両方を、環状に形成することができる。この場合、好ましくは、一方のマグネットのみが完全なマグネットリングにより形成され、他方のマグネットは、環状に配列された複数のマグネットセグメントにより構成されていてもよい。また、第1及び第2のマグネットの両方が、環状に配列された複数のマグネットセグメントで構成されていてもよい。
【0014】
本発明の別の構成例では、第1及び第2のマグネットの少なくとも一方を、直径の異なる同軸の着磁された複数のマグネットリングとし、これらを同軸に配置して形成することができる。各マグネットリングは、全て同じ方向に着磁されていてもよく、或いは、逆方向に着磁されていてもよい。さらに、各マグネットリングを異なる材料で形成してもよく、また、各マグネットリングを異なる磁気強度で着磁してもよく、また、これら両方を採用してもよい。さらに別の態様では、同軸の複数のマグネットリングの間に、エアギャップあるいは磁性材料からなる環状部材を設けてもよい。
【0015】
磁気軸受の良好な耐荷重特性を確保するため、特に、マグネットの横方向変位時(軸に対して垂直な方向への変位時)の均一な耐荷重性能を確保するため、一つの好ましい実施の形態では、第1のマグネット(好ましくは、ハブに取り付けられたマグネット)の半径方向の幅を、第2のマグネット(好ましくは、軸受スリーブに取り付けられたマグネット)よりも大きくしている。
【0016】
磁気的な予圧は、マグネット体の磁気的な中心に対し、ステータ体の磁気的な中心を軸方向に距離dだけ変位させることにより発生させることが好ましい。
【0017】
マグネット体(ロータマグネット)とスラスト軸受のマグネットは、プラスチックで結合されたマグネット(プラスチックボンド磁石)であることが好ましいが、このようなマグネットが特に強度が高い訳ではない。ここで用いるマグネット材料は同種の特性(例えば温度特性)を有しており、磁気軸受のバランスを取ることが比較的容易である。
【0018】
磁気軸受では、マグネット同士が互いに反発するように着磁されていることが好ましい。これに対し、磁気的な予圧は、磁気軸受におけるマグネット同士の反発力とは反対方向の力が生じるように設定される。これにより、磁気軸受のバランスを保つことができる。これとは逆に、磁気軸受のマグネット同士が互いに引き付け合うように着磁され、磁気的な予圧が、磁気軸受のマグネット同士の引き付け合う力に対して反対方向の力を生じる場合もあり得る。
【0019】
磁気軸受を使用することにより、全体として、モータの起動直後の出力損失が小さく抑えられ、寿命が長くなる。特に、起動トルクが小さくて済む。
【0020】
加えて、スラスト磁気軸受は、(例えばスラスト流体軸受と比較して)軸方向の軸受隙間が大きく許容されるため、例えばスラスト流体軸受よりもはるかに容易に製造することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、スピンドルモータの固定部と可動部との間で固体摩擦が生じることを回避することができ、これにより軸受摩擦を低減し、スピンドルモータの消費電力を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。図面及びその説明から、本発明の更なる特徴及び長所が見出される。
【0023】
第1の実施の形態.
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるスピンドルモータを示す概略断面図である。このスピンドルモータは、例えばベースプレート又はベースフランジとして形成可能なベース10を有している。ベース10の穴部10aには、軸受スリーブ12が挿入されている。軸受スリーブ12は、例えば圧入、接着又は溶接によりベース10に固定されている。ベース10の外側には、軸受スリーブ12を環状に囲むステータ体14が、公知の方法で設けられている。
【0024】
軸受スリーブ12には、軸16が挿入された中心孔12cが形成されている。軸受スリーブ12の中心孔12cの内周面と、軸16の外周面とは、軸受隙間22によって相互に隔てられている。軸受隙間22は、軸受流体(より好ましくは軸受オイル)で満たされていることが好ましい。軸16は、上下2つのラジアル軸受38,40を介して、軸受スリーブ12に取り付けられていることが好ましい。これらのラジアル軸受38,40は、流体動圧軸受として形成されており、この流体動圧軸受は、軸16の外周面又は軸受スリーブ12(中心孔12c)の内周面に形成された軸受構造(例えば複数の溝)に特徴を有している。流体動圧軸受の構造及び作用は公知であるため、ここでは詳細説明を省略する。
【0025】
軸16の上端部は、軸受スリーブ12の上方に突出し、ハブ18につながっている。軸16とハブ18とは、図1に示されているように一体に形成されていてもよいし、互いに連結された2つの部材で構成されていてもよい。ハブ18は、ほぼ釣鐘型に形成されており、軸受スリーブ12の上方に延在し、さらに軸受スリーブ12の一部を囲んでいる。
【0026】
ハブ18の外周面には、環状の永久磁石であるマグネット体20が配置されている。このマグネット体(ロータマグネット)20は、ステータ体14に対向配置され、このステータ体14と共に、スピンドルモータの電磁駆動装置を形成している。ステータ体14は、ステータコイル14aと、このステータコイルが配設されたステータコア14bとを有している。
【0027】
軸受スリーブ12のハブ18に対向する端面(図中上端面)、軸受スリーブ12の外周面、及び、これらに対向するハブ18の面は、傾斜していることが好ましく、これによりハブ18と軸受スリーブ12との間に断面三角形の毛細管状隙間24が形成される。毛細管状隙間24は、軸受隙間22に近づくにつれて狭くなっている。毛細管状隙間24は、断面三角形の毛細管シールとして利用され、少なくとも部分的に軸受流体で満たされている。断面三角形の毛細管シールは、軸受隙間22を外部に対して密封する機能を有する一方、軸受流体溜め(貯蔵部)としても機能する。
【0028】
軸受スリーブ12の下側の開放端は、その領域を密封するカバープレート28によって覆われている。
【0029】
軸受スリーブ12からの軸16の脱落を防止するため、軸16の下側の自由端には、ストッパリング26が設けられていることが好ましい。ストッパリング26は、軸受スリーブ12に設けられた環状の溝12b内に(固定されない状態で)配置されている。スピンドルモータが通常の動作状態にあるときには、ストッパリング26は、軸受スリーブ12の内周面及びカバープレート28の表面とは接触しない。
【0030】
ハブ18又は軸16は、固定用クランプ(図示せず)を固定するためのネジ穴30を中心に備えている。スピンドルモータをハードディスクドライブの駆動源として使用する際には、固定用クランプにより、例えばハードディスク(図示せず)をハブ18に固定することができる。
【0031】
スピンドルモータの回転部、すなわち軸16及びハブ18を、軸受スリーブ12及びベース10に対して軸方向に保持するのは、スピンドルモータの固定部と回転部との間に設けられた磁気軸受である。この磁気軸受は、第1のマグネット32を有している。第1のマグネット32は、その配設用にハブ18に設けられた環状の空洞部18aに配設されている。この環状の空洞部18aは、軸受スリーブ12に形成された段部12aの、ハブ18の半径方向に延在する面に対向している。その軸受スリーブ12の段部12aには、第1のマグネット32に軸方向に対向する第2のマグネット34が支持されている。第1のマグネット32がハブ18の上述した空洞部18aに配置されているのに対し、第2のマグネット34は、例えば、軸受スリーブ12の環状の突起36により支持されている。
【0032】
第1及び第2のマグネット32,34は、同極を対向させ、互いに反発し合うように着磁されている。この反発力により、第1及び第2のマグネット32,34の間に空隙(エアギャップ)が生じ、ハブ18が軸受スリーブ12から浮上し、これらの半径方向に延在する面同士が接触しない状態となる。第1及び第2のマグネット32,34は、環状に形成されているか、あるいは、少なくとも環状に配列された複数のマグネットセグメントで構成されることが好ましい。その際、マグネット32,34の直径は、軸受の安定性を確保できるよう、できるだけ大きく設定する。
【0033】
磁気軸受は、安定性を確保するため、(磁気軸受とは反対に作用する)磁気的な予圧に対して該予圧とは反対方向の力を発することが好ましい。磁気的な予圧は、磁気軸受に対してカウンターベアリングとして作用するものであり、ステータ体14の磁気的な中心とマグネット体(ロータマグネット)20の磁気的な中心とを、距離dだけ変位して配置したことによって発生させる。この場合、ステータ体14の磁気的な中心14cから距離dだけ上方に配置されたマグネット体20は、ステータ体14に対してベース10側に引っ張られる。この引っ張り力は、磁気軸受の両マグネット32,34の反発力とは反対方向に作用するため、ハブ18は、軸方向に浮遊した状態で安定に保持される。
【0034】
第1及び第2のマグネット32,34のいずれか一方(この例では第1のマグネット32)は、他方のマグネットよりも、半径方向に広く延在して形成されている。このように一方のマグネットを広くすることにより、例えば組み立て誤差により両マグネット32,34の半径方向の位置関係が変化した場合であっても、磁力の変動を最小限に抑えることができる。
【0035】
第2の実施の形態.
図2は、本発明の第2の実施の形態におけるスピンドルモータを示す。第2の実施の形態におけるスピンドルモータでは、ベース110の穴部110aに軸受スリーブ112が挿入されており、ベース110の外部には、軸受スリーブ112を環状に囲むステータ体114が公知の方法で設けられている。
【0036】
軸受スリーブ112は、軸116が挿入された中心孔112cを備えている。軸受スリーブ112の中心孔112cの内周面と、軸116の外周面とは、軸受隙間122により互いに隔てられている。軸受隙間122は、軸受流体(より好ましくは軸受オイル)により満たされていることが好ましい。軸116は、第1の実施の形態で説明した流体動圧ラジアル軸受を介して、軸受スリーブ112に支持されている。軸116の上端部は、軸受スリーブ112の上方から突出し、ハブ118とつながっている。軸116とハブ118とは、例えば図2に示されているように一体に形成されている。ハブ118は、ほぼ釣鐘型に形成されており、軸受スリーブ112を越えて外側に延在し、軸受スリーブ112の一部を囲んでいる。ハブ118又は軸116は、固定用クランプ(図示せず)を固定するためのネジ穴130を中心に備えていても良い。
【0037】
ハブ118の外周には、環状の永久磁石であるマグネット体120が配置されている。このマグネット体(ロータマグネット)120は、ステータ体114に対向しており、このステータ体114と共にスピンドルモータの電磁駆動装置を構成している。ステータ体114は、ステータコイル114aと、このステータコイルが配設されたステータコア114bとを有している。
【0038】
軸受スリーブ112のハブ118に対向する側の面(図中上面)、及びこれと対向するハブ118の面は、傾斜していることが好ましい。これにより、ハブ118と軸受スリーブ112との間には、軸受隙間122に近づく方向に狭くなる断面三角形の毛細管状隙間124が形成され、毛細管シールとして機能する。毛細管状隙間124は、軸受隙間122とつながっており、少なくとも部分的に軸受流体で満たされている。毛細管状隙間124は、軸受隙間122を外部に対して密封する機能を有する一方、軸受流体溜め(貯蔵部)としても機能する。軸受スリーブ112の下側の開放端は、この領域を密封するカバープレート128によって覆われている。
【0039】
軸受スリーブ112からの軸116の脱落を防止するため、軸116の下側の自由端には、ストッパリング126が設けられていることが好ましい。このストッパリング126は、軸受スリーブ112に設けられた環状の溝112b内に(固定されない状態で)配置されている。スピンドルモータが通常の動作状態にあるときには、ストッパリング126は、軸受スリーブ112の内周面及びカバープレート128の表面とは接触しない。
【0040】
スピンドルモータの回転部(すなわち軸116及びハブ118)を、軸受スリーブ112及びベース110に対して軸方向に保持するのは、モータの固定部と回転部との間に設けられた磁気軸受である。この磁気軸受は、第1のマグネット132を有している。第1のマグネット132は、軸受スリーブ112に面するハブ118の内面118aに設けられている。第1のマグネット132は、軸受スリーブ112の段部112aに設けられた第2マグネット134に対向している。
【0041】
第1及び第2のマグネット132,134は、同極を対向させ、互いに反発し合うように着磁されている。この反発力により、マグネット132,134の間に空隙(エアギャップ)が生じる。これによりハブ118が軸受スリーブ112から浮上し、これらの少なくとも半径方向に延在する面同士が接触しない状態となる。両マグネット132,134は、環状に形成されているか、又は、環状に配置された複数のマグネットセグメントにより構成されていることが好ましい。この場合、第1及び第2のマグネット132,134の直径は、軸受の安定性を確保できるよう、できるだけ大きく設定する。
【0042】
磁気軸受は、安定性を確保するため、図1を参照して説明した磁気的な予圧に対して反対方向の力を発することが好ましい。
【0043】
第3の実施の形態.
図3は、本発明の第3の実施の形態におけるスピンドルモータを示す。第3の実施の形態におけるスピンドルモータでは、ベース210の穴部210aに軸受スリーブ212が挿入されており、ベース210の外部には、軸受スリーブ212を環状に囲むステータ体214が公知の方法で設けられている。
【0044】
軸受スリーブ212は、軸216が収容された中心孔212cを備えている。軸受スリーブ212の中心孔212cの内周面と、軸216の外周面は、軸受隙間222によって互いに隔てられている。軸受隙間222は、軸受流体(より好ましくは軸受オイル)で満たされていることが好ましい。軸216は、上述した流体動圧ラジアル軸受を介して、軸受スリーブ212に支持されている。軸216の上端部は、軸受スリーブ212から上方に突出し、ハブ218とつながっている。軸216とハブ218とは、例えば、図3に示したように一体に形成されている。ハブ218は、ほぼ釣鐘型に形成され、軸受スリーブ212を越えて外側に延在し、軸受スリーブ212の一部を囲んでいる。ハブ218又は軸216は、ネジ穴230を中心に備えていてもよい。
【0045】
ハブ218の外周には、環状の永久磁石であるマグネット体220が配置されている。このマグネット体(ロータマグネット)220は、ステータ体214に対向し、ステータ体214と共にスピンドルモータの電磁駆動装置を構成している。ステータ体214は、ステータコイル214aと、このステータコイルが配設されたステータコア214bとを有している。
【0046】
軸受スリーブ212の外周面と、これに対向するハブ218の内周面は、傾斜していることが好ましい。これにより、ハブ218と軸受スリーブ212との間には、断面三角形の毛細管状隙間224が形成される。この毛細管状隙間224は、ハブ218と軸受スリーブ212との間に水平に延在する環状隙間244を介して、軸受隙間222とつながっている。毛細管状隙間224は、少なくとも部分的に軸受流体で満たされている。環状隙間244は、全体が軸受流体で満たされている。毛細管状隙間224は、軸受隙間222を外部に対して密封する機能を有する一方、環状隙間244と共に軸受流体溜め(貯蔵部)としても機能する。毛細管状隙間224の下側の開放端は、全体として、回転軸に向かって内側に傾斜している。この傾斜により、軸受流体は、ハブ218の回転に伴う遠心力によって半径方向外側に付勢され、毛細管状隙間224の内部に押し込まれて保持される。軸受スリーブ212の下側の開放端は、この領域を密封するカバープレート228によって覆われている。
【0047】
軸216の軸受ブシュ212からの脱落を防止するため、軸216の下側の自由端には、ストッパリング226が設けられている。ストッパリング226は、軸受スリーブ212に設けられた環状の溝内212bに(固定されない状態で)配置されている。スピンドルモータが通常の動作状態にあるときには、ストッパリング226は、軸受スリーブ212の内周面及びカバープレート228の表面とは接触しない。
【0048】
スピンドルモータの回転部(すなわち軸216及びハブ218)を、軸受スリーブ212及びベース210に対して軸方向に保持するのは、モータの固定部と回転部との間に設けられた磁気軸受である。この磁気軸受は、第1のマグネット232を有している。第1のマグネット232は、ハブ218に設けられた空洞部218aに配置されており、環状隙間244に面している。第1のマグネット232には、軸受スリーブ212の空洞部212aに設けられ、なお且つ、(第1のマグネット232と同様に)環状隙間244に面している第2のマグネット234が軸方向に対向している。第1及び第2のマグネット232,234は、同極を対向させ、互いに反発し合うように着磁されている。この反発力により、マグネット232,234の間に生じる環状隙間244の間隔が決定される。両マグネット232,234は、環状に形成されているか、又は、環状に配置された複数のマグネットセグメントにより構成されていることが好ましい。この場合、第1及び第2のマグネット232,234の直径は、軸受の安定性を確保できるよう、できるだけ大きく設定する。
【0049】
磁気軸受は、安定性を確保するため、図1を参照して説明した磁気的な予圧に対して反対方向の力を発することが好ましい。
【0050】
図4は、スラスト軸受(磁気軸受)に作用する力を模式的に示す図である。図4において、横軸は、軸方向におけるマグネット同士の間隔、すなわち、例えば図1における第1のマグネット32と第2のマグネット34との間隔をミリメートル単位で示している。縦軸は、軸方向の力をニュートン単位で示している。
【0051】
曲線310は、図1に示したスピンドルモータに設けられた第1及び第2のマグネット32,34の間に生じる軸方向の力の典型例を示している。軸方向の力は、第1及び第2のマグネット32,34の間の距離が増加するにつれて、ほぼ直線的に減少する。これに対し、曲線300は、マグネット体(ロータマグネット)20の磁気的な中心がステータ体14の磁気的な中心14cから距離dだけ変位して配置されたことによる磁気的な予圧の大きさを示している。磁気的な予圧(曲線300)は、第1及び第2のマグネット32,34により生じる力に対して反対方向に作用するため、両方の力が同じになる安定した作用点APが得られる。この作用点APに基づき、第1及び第2のマグネット32,34の間隔が決定され(図4に示した例では、約0.2mm)、これにより軸受スリーブ12とハブ18との間の毛細管状隙間24の間隔が決定される。
【0052】
図5は、各実施の形態における第1及び第2のマグネット(例えば図1の第1及び第2のマグネット32,34)の他の構成例を示す模式図である。
【0053】
図5(A)に示した構成例では、第1のマグネット32は、直径の異なる同軸の複数(ここでは4つ)の環状のマグネットリング32a,32b,32c,32dにより構成されている。各マグネットリング32a〜32dは、隣り合うマグネットリングの着磁方向が互いに反対になるようにそれぞれ着磁されている。なお、各マグネットリング32a〜32dは、互いに異なる材料で形成されていてもよく、また、互いに異なる磁気強度で着磁されていてもよい。
【0054】
また、第2のマグネット34は、第1のマグネット32と同様、直径の異なる同軸の複数(ここでは4つ)の環状のマグネットリング34a,34b,34c,34dにより構成されている。各マグネットリング34a〜34dは、回転軸42の方向において、第1のマグネット32のマグネットリング32a〜32dにそれぞれ対向しており、なお且つ、対向するマグネットリング32a〜32dとは反対方向にそれぞれ着磁されている。なお、各マグネットリング34a〜34dは、互いに異なる材料で形成されていてもよく、また、互いに異なる磁気強度で着磁されていてもよい。
【0055】
図5(B)に示した別の構成例では、第1のマグネット32は、一つの環状のマグネットリング32eとして構成されている。これに対し、第2のマグネット34は、直径の異なる同軸の複数(ここでは2つ)の環状のマグネットリング34e,34fにより構成されている。第2のマグネット34のマグネットリング34e,34fは、回転軸42の方向において、第1のマグネット32のマグネットリング32eに対向している。
【0056】
第2のマグネット34のマグネットリング34e,34fの間には、環状のエアギャップが形成されるか、或いは、強磁性材料(鉄、フェライト、磁性鋼など)からなる環状部材が設けられている。また、各マグネットリング34e,34fは、互いに同方向に、なお且つ、対向する第1のマグネット32のマグネットリング32eとは反対方向にそれぞれ着磁されている。なお、各マグネットリング34e,34fは、互いに異なる材料で形成されていてもよく、また、互いに異なる磁気強度で着磁されていてもよい。
【0057】
上述した説明、特許請求の範囲又は添付の図面において開示され、特定の形態で若しくは開示された機能を実行する手段として表現された特徴、又は、開示された結果を得るための方法若しくはプロセスとして表現された特徴は、必要に応じて、単独で、又は、組み合わせて、本発明を様々な形態で具現化するために利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の第1の実施の形態における磁気軸受を備えたスピンドルモータの概略断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態における磁気軸受を備えたスピンドルモータの概略断面図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態における磁気軸受を備えたスピンドルモータの概略断面図である。
【図4】スラスト軸受において作用する力を例示した図である。
【図5】第1及び第2のマグネットの構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0059】
10 ベース
12 軸受スリーブ
14 ステータ体
16 軸
18 ハブ
20 マグネット体(ロータマグネット)
22 軸受隙間
24 断面三角形の毛細管状隙間
26 ストッパリング
28 カバープレート
30 ネジ穴(ハブ側)
32 第1のマグネット(ハブ側)
32a,32b,32c,32d,32e マグネットリング
34 第2のマグネット(軸受スリーブ側)
34a,34b,34c,34d,34e,34f マグネットリング
36 突起
38 ラジアル軸受
40 ラジアル軸受
42 回転軸
d 変位量(オフセット量)
110 ベース
112 軸受スリーブ
114 ステータ体
116 軸
118 ハブ
120 マグネット体
122 軸受隙間
124 断面三角形の毛細管状隙間
126 ストッパリング
128 カバープレート
130 ネジ穴(ハブ側)
132 第1のマグネット(ハブ側)
134 第2のマグネット(軸受スリーブ側)
210 ベース
212 軸受スリーブ
214 ステータ体
216 軸
218 ハブ
220 マグネット体
222 軸受隙間
224 断面三角形の毛細管状隙間
226 ストッパリング
228 カバープレート
230 ネジ穴(ハブ側)
232 第1のマグネット(ハブ側)
234 第2のマグネット(軸受スリーブ側)
244 環状隙間
300 磁気的な予圧を示す曲線
310 マグネットによる力を示す曲線
AP 作用点
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジアル軸受(38,40)及びスラスト軸受(32,34,132,134,232,234)によって互いに相対回転可能に支持された固定部と回転部とを有し、前記ラジアル軸受(38,40)が流体軸受で構成され、前記回転部が電磁駆動装置(14,20,114,120,214,220)により回転駆動されるスピンドルモータであって、
前記スラスト軸受が、磁気軸受で構成されており、
前記磁気軸受が、磁気的な予圧に対して反対方向の力を発するよう構成されていることを特徴とするスピンドルモータ。
【請求項2】
前記固定部が、ベース(10,110,210)と、前記ベースに結合された軸受スリーブ(12,112,212)と、ステータ体(14,114,214)とを有することを特徴とする請求項1に記載のスピンドルモータ。
【請求項3】
前記回転部が、前記軸受スリーブ(12,112,212)に回転可能に支持された軸(16,116,216)と、前記軸に結合されたハブ(18,118,218)と、前記ハブに取り付けられたマグネット体(20,120,220)とを有することを特徴とする請求項2に記載のスピンドルモータ。
【請求項4】
ステータ体(14,114,214)とマグネット体(20,120,220)とが、前記スピンドルモータの回転軸(42)に対して略垂直な平面上に配置されており、
前記ステータ体(14,114,214)の磁気的な中心と前記マグネット体(20,120,220)の磁気的な中心とをずらせることにより、前記磁気的な予圧を発生させることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載のスピンドルモータ。
【請求項5】
前記磁気軸受が、前記回転部に設けられた第1のマグネット(32,132,232)を有し、前記第1のマグネットに対し、前記固定部に設けられた第2のマグネット(34,134,234)が対向していることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1に記載のスピンドルモータ。
【請求項6】
前記第1のマグネット(32,132,232)及び前記第2のマグネット(34,134,234)が、互いに反発し合うように着磁されていることを特徴とする請求項5に記載のスピンドルモータ。
【請求項7】
前記第1のマグネット(32,132,232)が、前記第2のマグネット(34,134,234)が取り付けられた軸受スリーブ(12,112,212)の面に対向するハブ(18、118,218)の面(18a,118a,218a)に取り付けられていることを特徴とする請求項5又は6に記載のスピンドルモータ。
【請求項8】
前記第1のマグネット(32,132,232)及び前記第2のマグネット(34,134,234)の少なくとも一方が、環状に形成されていることを特徴とする請求項5から7までのいずれか1項に記載のスピンドルモータ。
【請求項9】
前記第1のマグネット(32,132,232)及び前記第2のマグネット(34,134,234)の少なくとも一方が、環状に配列された複数のマグネットセグメントにより構成されていることを特徴とする請求項5から7までのいずれか1項に記載のスピンドルモータ。
【請求項10】
前記第1のマグネット(32,132,232)及び前記第2のマグネット(34,134,234)の少なくとも一方が、互いに同軸に配置された直径の異なる複数のマグネットリングにより構成されていることを特徴とする請求項5から9までのいずれか1項に記載のスピンドルモータ。
【請求項11】
前記複数のマグネットリングが、同一の方向又は異なる方向に着磁されていることを特徴とする請求項10に記載のスピンドルモータ。
【請求項12】
前記複数のマグネットリングが、異なる磁気強度を有するように着磁されていることを特徴とする請求項10又は11に記載のスピンドルモータ。
【請求項13】
前記第1のマグネット(32,132)及び前記第2のマグネット(34,134)のうち、一方のマグネット(32,132)の半径方向の幅が、他方のマグネット(34,134)の半径方向の幅よりも小さいことを特徴とする請求項5から12までのいずれか1項に記載のスピンドルモータ。
【請求項14】
前記第1のマグネット(32,132,232)及び前記第2のマグネット(34,134,234)が、永久磁石で構成されていることを特徴とする請求項5から13までのいずれか1項に記載のスピンドルモータ。
【請求項15】
前記第1のマグネット(32,132,232)及び前記第2のマグネット(34,134,234)が、プラスチックで結合されたマグネットであることを特徴とする請求項5から14までのいずれか1項に記載のスピンドルモータ。
【請求項1】
ラジアル軸受(38,40)及びスラスト軸受(32,34,132,134,232,234)によって互いに相対回転可能に支持された固定部と回転部とを有し、前記ラジアル軸受(38,40)が流体軸受で構成され、前記回転部が電磁駆動装置(14,20,114,120,214,220)により回転駆動されるスピンドルモータであって、
前記スラスト軸受が、磁気軸受で構成されており、
前記磁気軸受が、磁気的な予圧に対して反対方向の力を発するよう構成されていることを特徴とするスピンドルモータ。
【請求項2】
前記固定部が、ベース(10,110,210)と、前記ベースに結合された軸受スリーブ(12,112,212)と、ステータ体(14,114,214)とを有することを特徴とする請求項1に記載のスピンドルモータ。
【請求項3】
前記回転部が、前記軸受スリーブ(12,112,212)に回転可能に支持された軸(16,116,216)と、前記軸に結合されたハブ(18,118,218)と、前記ハブに取り付けられたマグネット体(20,120,220)とを有することを特徴とする請求項2に記載のスピンドルモータ。
【請求項4】
ステータ体(14,114,214)とマグネット体(20,120,220)とが、前記スピンドルモータの回転軸(42)に対して略垂直な平面上に配置されており、
前記ステータ体(14,114,214)の磁気的な中心と前記マグネット体(20,120,220)の磁気的な中心とをずらせることにより、前記磁気的な予圧を発生させることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載のスピンドルモータ。
【請求項5】
前記磁気軸受が、前記回転部に設けられた第1のマグネット(32,132,232)を有し、前記第1のマグネットに対し、前記固定部に設けられた第2のマグネット(34,134,234)が対向していることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1に記載のスピンドルモータ。
【請求項6】
前記第1のマグネット(32,132,232)及び前記第2のマグネット(34,134,234)が、互いに反発し合うように着磁されていることを特徴とする請求項5に記載のスピンドルモータ。
【請求項7】
前記第1のマグネット(32,132,232)が、前記第2のマグネット(34,134,234)が取り付けられた軸受スリーブ(12,112,212)の面に対向するハブ(18、118,218)の面(18a,118a,218a)に取り付けられていることを特徴とする請求項5又は6に記載のスピンドルモータ。
【請求項8】
前記第1のマグネット(32,132,232)及び前記第2のマグネット(34,134,234)の少なくとも一方が、環状に形成されていることを特徴とする請求項5から7までのいずれか1項に記載のスピンドルモータ。
【請求項9】
前記第1のマグネット(32,132,232)及び前記第2のマグネット(34,134,234)の少なくとも一方が、環状に配列された複数のマグネットセグメントにより構成されていることを特徴とする請求項5から7までのいずれか1項に記載のスピンドルモータ。
【請求項10】
前記第1のマグネット(32,132,232)及び前記第2のマグネット(34,134,234)の少なくとも一方が、互いに同軸に配置された直径の異なる複数のマグネットリングにより構成されていることを特徴とする請求項5から9までのいずれか1項に記載のスピンドルモータ。
【請求項11】
前記複数のマグネットリングが、同一の方向又は異なる方向に着磁されていることを特徴とする請求項10に記載のスピンドルモータ。
【請求項12】
前記複数のマグネットリングが、異なる磁気強度を有するように着磁されていることを特徴とする請求項10又は11に記載のスピンドルモータ。
【請求項13】
前記第1のマグネット(32,132)及び前記第2のマグネット(34,134)のうち、一方のマグネット(32,132)の半径方向の幅が、他方のマグネット(34,134)の半径方向の幅よりも小さいことを特徴とする請求項5から12までのいずれか1項に記載のスピンドルモータ。
【請求項14】
前記第1のマグネット(32,132,232)及び前記第2のマグネット(34,134,234)が、永久磁石で構成されていることを特徴とする請求項5から13までのいずれか1項に記載のスピンドルモータ。
【請求項15】
前記第1のマグネット(32,132,232)及び前記第2のマグネット(34,134,234)が、プラスチックで結合されたマグネットであることを特徴とする請求項5から14までのいずれか1項に記載のスピンドルモータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2008−106938(P2008−106938A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−260979(P2007−260979)
【出願日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(000114215)ミネベア株式会社 (846)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(000114215)ミネベア株式会社 (846)
【Fターム(参考)】
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