説明

ラック供給ユニット、ラック回収ユニット及びこれらを備えた自動分析装置

【課題】複数の搬送用ラックの取り出しや、新たな搬送用ラックの割り込み追加が容易に実行可能なラック供給ユニットを実現する。
【解決手段】ラック1はベース1b上に配列されラック1の片側端面はガイド16aで支持されラック1のもう一方の片側は可動ガイド板18、押しばね19、可動軸20、Eリング21からなる可動壁面6で支持される。可動軸20は一方の片側端面が可動ガイド板18とねじ等で連結され他方の片側はガイド16aの穴に挿入されEリング21によりスライド可能に固定される。押しばね19は可動軸20が挿入され、ベース1bに形成されたラック倒れ防止板17がラック1の切り欠き1aに挿入されラック1の倒れを防止できる。ラック1の列からラック1を抜き取る場合ガイド16a側へラック1を押し付け、ラック1を倒れ防止板17から外し、ラック1を上方に引上げて抜き取ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液、尿などの生体サンプルを分析する自動分析装置に搭載されるラック供給ユニット、ラック回収ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
検体容器の搬送用ラックを用いた自動分析装置では、オペレータが測定依頼順や測定登録順に投入した検体(試料)を載置したラックは、順次、分析装置に搬送され、所定の分析項目についての分析が行われる。
【0003】
近年の自動分析装置では、自動再検機能等の発達によって、測定終了した試料を自動で再度投入側に戻して再測定が行なわれるものもある。
【0004】
血液、尿などの生体サンプルを分析する分析部と、上記サンプルを有するラックを設置するラック投入口と、上記ラック投入口に供給された検体ラックを上記分析ユニットに搬送するラック搬送装置と、ラックを格納可能なバッファとを有する自動分析装置自動分析装置として、特許文献1、特許文献2に記載された技術がある。
【0005】
特許文献1には、尿自動分析装置において緊急検体測定時の測定時間を短縮化する手段が示されている。
【0006】
また、特許文献2には2台の分析ユニットを接続した構成において処理効率の向上のため、試料サンプリング用のメイン搬送ラインと、1台の分析ユニット側でサンプリング中のラックを追越して2台目の分析ユニット側に搬送する追い越し搬送ラインと、再検試料を戻す再検ラインと3重の搬送ラインを有する自動分析装置が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−153872号公報
【特許文献2】特開平9−281113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
検体搬送用ラックを用いた従来の自動分析装置においては、複数の搬送用ラックが、投入口に密着して配列されるが、これら複数の搬送用ラックの転倒防止のための機構が設けられている。このため、オペレータが投入した複数の搬送用ラックは、投入口において、複数の分析待機中のラックがなす列の間に別のラックを挿入したり、複数のラックのいくつかを抜き取って投入順序を変更することが困難であった。この場合、オペレータが既に投入口に投入した複数の搬送用ラック全てを投入口からいったん取り出し、搬送用ラックの順序を変更したり、新たなラックを挿入しなければならなかった。
【0009】
例えば、尿分析装置においては、試験管に貼り付けられたIDにより検体を識別するため、通常時では、ラック投入口でのラックの順序に制約はないが、優先度の高い検体を既に投入されたラックの列に割り込ませるためには、投入したラックをラック投入口から一旦取り出す必要があった。
【0010】
また、血液自動分析装置においては、得られた測定結果によっては再検が必要と判断されることがある。その際、自動再検モードで運転している場合は、ラックごと再検バッファに搬送され、投入口の先頭に割り込むことができるようになっている。
【0011】
しかし、検体の遠心分離などの処理不足や、フィブリンを多く含む検体や粘性の大きい検体などにより検体プローブが詰まることが原因で再検が必要と判断された場合には、再検しても再び検体プローブが詰まってしまう。このような検体があった場合には、オペレータは、検体の前処理をしなおしてから再検をする必要が生じるため、自動再検モードを使用せず、収納ラインに収納されたラックを手動で抜き取り、再前処理後、ラック投入口に投入といった運用となる。
【0012】
このような運用で迅速に再検を行おうとした場合、投入口に投入されているラックの列の先頭に割り込ませるためには、従来の構成では、投入されているラックをラック投入口から一旦取り出す必要があった。
【0013】
さらに、検体の分注終了後、搬送ラックは回収されるが、回収部においても、複数の搬送用ラックが密着して配列され、転倒防止機構が設けられているため、回収部に配列された複数の搬送用ラックのうちのいずれかを取り出し、さらに検査等を行う必要がある場合、全ての搬送用ラックを回収部から取り出し、必要なラックのみ抽出する必要があった。
【0014】
以上のように、従来のラック投入口の構成では、オペレータが投入口に投入されたラックを投入口から一旦取り出す作業が必要となること、また、その作業により検体こぼしなどのリスクが増加するといった課題があった。
【0015】
本発明の目的は、複数の搬送用ラックの取り出しや、新たな搬送用ラックの割り込み追加が容易に実行可能な、ラック供給ユニット、ラック回収ユニットおよびそれらを備えた自動分析装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明は、以下のように構成される。
【0017】
生体試料を収容する複数の検体容器を保持する検体ラックを、生体試料を分析する自動分析装置に供給する検体ラック供給ユニット又は検体ラック回収ユニットであって、複数の上記検体ラックが配列されるラック配列台と、上記ラック配列台の一方の側面に形成され、上記ラック配列台に配列された検体ラックをガイドする固定壁面部材と、上記ラック配列台の他方の側面側に形成され、上記ラック配列台に配列された検体ラックをガイドし、上記ラック配列台に配列された検体ラックが上記固定壁面部材側との反対方向に移動されるに伴って移動する可動壁面部材と、上記ラック配列台に形成され、上記検体ラックの底部と噛合い、この検体ラックの転倒を防止し、上記検体ラックが、上記固定壁面部材側とは反対方向に移動されることにより、上記検体ラックの底部との噛合いが解除されるラック転倒防止部材とを備える。
【0018】
また、自動分析装置が、上記検体ラック供給ユニット及び検体ラック回収ユニットを備える。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、複数の搬送用ラックの取り出しや、新たな搬送用ラックの割り込み追加が容易に実行可能な、ラック供給ユニット、ラック回収ユニットおよびそれらを備えた自動分析装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例が適用される尿自動分析装置の概略構成図である
【図2】本発明の実施例が適用される血液自動分析装置の概略構成図である。
【図3】本発明の実施例1である検体ラック供給ユニット、検体ラック回収ユニットの概略構成図である。
【図4】図3に示した例の側面図である。
【図5】本発明の実施例2である検体ラック供給ユニット、検体ラック回収ユニットの概略構成図である。
【図6】図5に示した例の側面図である。
【図7】本発明の実施例3である検体ラック供給ユニット、検体ラック回収ユニットの概略構成図である。
【図8】図7に示した例の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施例について添付図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0022】
図1は、本発明の実施例1が適用される尿自動分析装置の概略構成図である。
【0023】
図1において、本発明の実施例1に係る尿自動分析装置は、主として、ラック投入ライン2と、ラック搬送ライン3と、ラック収納ライン4と、ID読み取り装置5と、可動壁面6と、尿検体サンプリング機構7と、尿検体染色機構8と、染色尿サンプリング機構9と、フローセル10と、フラッシュランプ11と、レーザ照射部12と、レーザ受光部13と、CCDカメラ14と、画像レビュー部15とを備えている。
【0024】
図1において、検体ラック1には、採取した尿検体が入れられた複数の試験管(検体容器)41が支持され、並べられている。検体ラック1は、図示しないモータや回転軸等から構成されるラック投入ライン2によりラック搬送ライン3へ投入され、図示しないモータや回転軸等から構成されるラック搬送ライン3にて位置決め可能に移動ができる構成となっている。
【0025】
尿検体サンプリング機構7は、尿検体分注用のシリンジポンプにより、尿検体を吸引、吐出可能であり、プローブ部分を上下、回転動作させるためのモータ、検知器、検知板を備え、位置決め可能に動作可能な構成となっている。
【0026】
尿検体染色機構8は、位置固定のノズルを備え、円形のディスクの円周上に等間隔で複数個配置されたカップに尿検体を染色するための染色液を定量吐出する。ディスク回転モータにより、尿検体吐出位置、染色尿吸引位置、洗浄位置に移動することが可能な構成となっている。
【0027】
染色尿サンプリング機構9は染色尿分注用のシリンジポンプにより、染色尿を吸引、吐出可能であり、プローブ部分を上下、回転動作させるためのモータ、検知器、検知板を備え、位置決め可能に動作可能な構成となっている。
【0028】
フローセル10は、染色尿およびシース液の導入部分、厚さ数100マイクロメートルの透明な流路を備え、染色尿、シース液を流し込み、かつ流体中の粒子検出、画像撮像が可能な構成となっている。
【0029】
フローセル10内を流れる染色尿中の粒子は、レーザ照射部12により検出される。粒子検出信号によりフラッシュランプ11がレーザ検出信号と同期して動作するよう制御される。フラッシュランプ11より発光した光はフローセル10の測定部に照射され、照射された粒子画像はCCDカメラ14により撮像される構成となっている。
【0030】
以上のように構成された尿沈渣自動分析装置の動作について、以下に説明する。
【0031】
オペレータによりラック投入ライン2へ投入された検体ラック1はラック搬送ライン3へ投入され、図示しないモータや回転軸等から構成されるラック搬送ライン3により、ID読取位置まで移動される。ID読取位置にてID読取装置5により、検体IDおよびラックIDを読取った後、ラック搬送ライン3によりサンプリング位置まで移動する。
【0032】
次に、尿検体サンプリング機構7のプローブ部分が、回転動作用モータによりサンプリング位置まで到達した尿検体上に移動する。その後、尿検体サンプリング機構7は、プローブ部分を上下動作用モータにより尿検体1の吸引位置まで下降させ、図示しないシリンジポンプにより尿検体を定量吸引する。尿検体を吸引後、尿検体サンプリング機構7は、プローブ部分を回転、上下動作用モータにより、あらかじめ染色液が定量吐出された尿検体染色機構8のカップ上に移動させ、尿検体を定量吐出する。
【0033】
以上の動作により染色された染色尿は、尿検体染色機構8により染色尿サンプリング位置まで運ばれる。
【0034】
染色尿サンプリング機構9は、プローブ部分を回転動作用モータにより染色尿サンプリング位置上に移動させる。次に、上下動作用モータによりプローブ部分を染色尿吸引位置まで下降させ、図示しないシリンジポンプにより定量吸引する。染色尿を吸引後、染色尿サンプリング機構9は、プローブ部分を回転、上下動作用モータによりフローセル10上に移動する。
【0035】
一方、フローセル10内には、図示しないシリンジポンプにより染色尿導入用のシース液が一定流速で流し込まれる。
【0036】
染色尿サンプリング機構9が、プローブ部分を上下動作用モータによりフローセル6の染色尿導入部分に押し当て、図示しないシリンジポンプにより染色尿を一定流速でフローセル10内に流し込む。
【0037】
フローセル10内に流し込まれた染色尿中の粒子は、レーザ照射部12より照射されたレーザ光の散乱光がレーザ受光部13により粒子検出され、粒子検出信号と同期して動作するフラッシュランプ11、CCDカメラ14により、粒子画像を撮像する。
【0038】
撮像された粒子画像と粒子検出情報は画像レビュー部15に送られる。
【0039】
画像レビュー部15では撮像された画像や粒子検出情報が格納され、随時ディスプレイで確認することが可能である。
【0040】
分析が終了したラック1は、ラック搬送ライン3によりラック収納ライン4へ送られ格納される。
【0041】
このような一連の動作は予め定められたシーケンスによって制御される。
【0042】
次に、図2を用いて、本発明の実施例1が適用される血液自動分析装置の構成及び動作について説明する。
【0043】
図2は、本発明の実施例1が適用される血液自動分析装置の概略構成平面図である。
【0044】
図2において、本発明の実施例1が適用された血液自動分析装置は、ラック投入ライン2と、2つの分析部23、24と、再検バッファ25と、ラック収納ライン4と、メイン搬送ライン26、再検用ライン27、循環ライン28の3つの搬送ラインとを備えている。
【0045】
検体試料の収容された試料容器は、ラック1に載置され、ラック投入ライン2にセットされる。各試料の分析項目を入力し、登録し、キーボード等の入力部40のスタートキーを押すと、血液自動分析装置の機構部のリセットに引き続き、ラック1の搬送を開始する。
【0046】
ラック投入ライン2にセットされたラック1は、メイン搬送ライン26によって搬送される途中で、投入側のラック番号読み取り器29によって、ラック番号が読み取られる。また、ラック番号読み取り器29は、ラック番号に代えて、試料IDを読み取るものであってもよい。読み取られたラック番号は、メモリ31に記憶される。メモリ31は、ラック番号読み取り器29によって読み取られたラック番号を順次記憶するものであり、ラック番号読み取り器29を通過したラック1の順番が記憶されることになる。
【0047】
また、読み取られたラック番号によって、予め登録されている分析項目に応じて、分析部23、24に搬送される。各分析部23、24では、サンプリング位置において、位置決めされる。そして、ラック1の試料容器から検体試料が分取され、設定量だけ吐出され、分析部23、24の分析項目に応じた分析が行われる。なお、分析部23、24は、2台備えられているものとしているが、この台数は1台でもよく、また、3台以上でもよいものである。
【0048】
メイン搬送ライン26上でのラック1の搬送は、試料ごとの分析項目に対応したランダム動作を行い、例えば、分析部23で測定する必要がないラック1は、分析部23で測定している先行のラック1を追越して、分析部24に搬送される。
【0049】
自動再検モードにシステム設定されている場合には、分析結果が予め設定された異常値範囲を超えた試料に対して再測定を行なう。このため、サンプリングを終了したラック1は、一旦、分析結果が得られるまでは再検バッファ25で待機する。再検を必要とする場合には、再検用ライン27を利用して元の位置に戻された後、再び、メイン搬送ライン26によって、分析部23、24のサンプリング位置に搬送され、サンプリングされる。
【0050】
分析部23、24での分析や再検が終了したラック1は、収納側のラック番号読み取り器30によってラック番号が読み取られる。そして、制御部32を用いて、投入された順番に、ラック収納部32にラックが収納されるように制御する。制御部32は、収納側のラック番号読み取り器30によって読み取られたラック番号を、投入側のラック番号読み取り器29で読み取られ、メモリ31に記憶されているラックの投入順番と比較して、収納すべきラック1は、ラック収納ライン4に搬送して収納し、収納順番が来ていないラック1は、循環ライン28を用いて、投入側に循環するようにしている。
【0051】
さて、本発明の実施例1は上述した尿自動分析装置および血液自動分析装置の構成のうち、ラック投入ライン2およびラック収納ライン4の構成に係る。
【0052】
図3は、本発明の実施例1におけるラック供給ユニット、ラック回収ユニットの説明図であり、ラック1の左右両端を支持するガイド部分のうち片側が幅方向(ラック1の移動方向に直交する方向)に可動である機構の例を示す図である。また、図4は、本発明の実施例1におけるラック供給ユニット、ラック回収ユニットの側面図である。
【0053】
ラック1は、待機部又は回収部となるベース(ラック配列台)1b上に配列されている。ラック1の片側端面は固定壁面である一方のガイド16aで支持され、ラック1のもう一方の片側は、可動ガイド板18と、押しばね19と、可動軸20と、Eリング21からなる可動壁面6で支持される。
【0054】
可動ガイド板18は、ガイド16aに沿って延びる板状部材であり、複数のラック1の端面をガイドすることができる。可動軸20は片側端面が可動ガイド板18とねじ等で連結され、もう一方の片側は、一方のガイド16aに開いた穴に挿入されEリング21により、スライド可能に固定される。そして、押しばね19は可動軸20が挿入され、この押しばね19が可動ガイド板18と固定壁面16aとの間に配置され、押しばね19によって可動ガイド18がラック19の片側端面を他方のガイド16bに向かって押圧している。
【0055】
また、ベース1bに形成されたラック倒れ防止板(ラック転倒防止板)17が、ラック1の底面に設けられた切り欠き1aに挿入されることで、ラック1の倒れを防止できる構造となっている。
【0056】
通常の使用状態ではラック1は固定壁面側のガイド16bと可動ガイド板18とによって支持される。
【0057】
投入ライン2へ投入されたラック1の列や、収納ライン4に格納されたラック1の列から、ラック1を抜き取る場合には、可動壁面6側へラック1を押し付けることで、押しばね19が押し縮められ、ラック1を倒れ防止板17から外すためのスペースが切り欠き1a内に確保され、この状態でラック1を上方に引上げることで、簡単に抜き取ることができる。
【0058】
また、投入ライン2へ投入されたラック1の列において、分析優先度の高い検体を載置したラック1を分析優先度の低い検体を載置したラック1と入れ替える場合には、上記方法で分析優先度の低い検体を載置したラック1を抜き取り、空いたスペースで分析優先度の低い検体を載置したラック1を可動壁面6側に押し付け、下方へ押し下げることで簡単に入れ替えることができる。
【0059】
また、本実施例1の可動壁面6側にソレノイドやモータなどを取り付けて、電気的に制御することもできる。この場合、制御部32により上記ソレノイドやモータの動作を制御し、入力部40から、ラック1の取り出し又は並べ替え指令がオペレータから指示されると、可動ガイド18を固定壁面16a側に移動させ、ラック1が取り出し可能となるように動作させる。
【0060】
また、押しばね19の替わりに板ばねやねじりばね等の弾性部材を利用することも可能である。
【0061】
本発明の実施例1によれば、互いに密接して配列された複数の搬送用ラック1から、任意の搬送用ラック1を個別に排出可能である。このため、手動でラック割り込みする際には、オペレータが投入口に投入されたラックをベース1bから全て取り出し、任意のラックを抽出又は順番を並び替えて、再び、複数の搬送用ラック1を投入口であるベース1b上に配列するという作業を省略することができる。
【0062】
したがって、自動分析装置におけるオペレータの作業量低減、検体こぼしのリスクを軽減することができる。
【実施例2】
【0063】
図5は、本発明の実施例2におけるラック供給ユニット、ラック回収ユニットの説明図であり、図6は、本発明の実施例2におけるラック供給ユニット、ラック回収ユニットの側面図である。
【0064】
実施例2は、ラック1の左右両端を支持するガイド部分のうち片側が幅方向に可動である機構の例である。
【0065】
ラック1の片側端面は固定壁面であるガイド16bで支持され、ラック1のもう一方の片側は、可動ガイド板18と、引きばね22と、可動軸20と、Eリング21からなる可動壁面6で支持される。
【0066】
可動軸20は、その片側端面が、ラック1が配置されるベース1bに、ねじ等で連結され、ベース1bに垂直方向に直立し、可能軸20のもう一方の片側は可動ガイド板18に開いた長穴に挿入され、Eリング21により、可動板18がスライド可能に固定されている。
【0067】
可動軸20と可動ガイド板18は引きばね22により連結されている。
【0068】
また、ラック倒れ防止板17をラック1の底面に設けられた切り欠き1aに挿入することで、ラック1の倒れを防止できる構造となっている。
【0069】
通常の使用状態ではラック1は固定壁面側のガイド16bと可動ガイド板18とによって支持され、ガイドされる。
【0070】
投入ライン2へ投入されたラック1の列や、収納ライン4に格納されたラック1の列から、任意のラック1を抜き取る場合には、可動壁面6側へラック1を押し付けることで、引きばね22が押し広げられ、ラック1を倒れ防止板17から外すためのスペースが確保され、この状態でラック1を上方に引上げることで、簡単に抜き取ることができる。
【0071】
また、投入ライン2へ投入されたラック1の列において、分析優先度の高い検体を載置したラック1を分析優先度の低い検体を載置したラック1と入れ替える場合には、上記方法で分析優先度の低い検体を載置したラック1を抜き取り、空いたスペースで分析優先度の低い検体を載置したラック1を可動壁面6側に押し付け、下方へ押し下げることで簡単に入れ替えることができる。
【0072】
本発明の実施例2においても、実施例1と同様に、可動壁面6側にソレノイドやモータなどを取り付けて、電気的に制御することもできる。
【0073】
また、引きばねの替わりに板ばねやねじりばねなどの弾性体を利用してもよい。
【0074】
本発明の実施例2においても、実施例1と同様な効果を得ることができる。
【実施例3】
【0075】
図7は、本発明の実施例3におけるラック供給ユニット、ラック回収ユニットの説明図であり、図8は、本発明の実施例3におけるラック供給ユニット、ラック回収ユニットの側面図である。
【0076】
本発明の実施例3は、ラック1の倒れを防止するラック倒れ防止板17が可動である機構の例である。
【0077】
ラック1の両側端面は固定壁面であるガイド16a、16bで支持され、ラック倒れ防止板17をラック底面に設けられた切り欠き1aに挿入することで、ラック1の倒れを防止できる構造となっている。
【0078】
ここで、ベース1bに形成されたラック倒れ防止板17は、軸38によりソレノイドベース34に連結され、軸37によりリンク35に連結されている。さらに、ラック倒れ防止板17は、引きばね(噛合い駆動部材)39によりソレノイドベース34に向かって引き付けられる力が作用している。リンク35は、軸36によりソレノイド33の駆動部に連結され、ソレノイド33はソレノイドベース34に固定される。
【0079】
ソレノイド33の駆動のON/OFFにより倒れ防止板17の移動を制御する構成となっている。この移動の制御は、入力部40からの移動指示に従って、制御部32が、ソレノイド33のオン・オフを制御することにより行なわれる。
【0080】
通常の使用状態では、ラック1は両側端面を固定壁面16a、16bで支持され、ラック倒れ防止板17の噛合い部17aは、引きばね39のばね力により駆動され、ラック1底面に設けられた切り欠きに挿入された状態で、ラック1の底面と噛み合い、ラック1の倒れを防止している。
【0081】
投入ライン2へ投入されたラック1の列や、収納ライン4に格納されたラック1の列から、ラック1を抜き取る場合には、ソレノイド33をオンとすることで、ラック倒れ防止板17は、軸38を中心にして図8上では時計方向に回転し、ラック底面の切り欠き1aから外され、噛合いが解除される。このような噛合い解除部(ソレノイド33、リンク35、軸36、37、38)により、ラック1の底面部とラック倒れ防止板17との噛み合いが解除される。この状態でラック1を上方に引上げることで、任意のラック1をベース1b上から簡単に抜き取ることができる。
【0082】
また、投入ライン2へ投入されたラック1の列において、分析優先度の高い検体を載置したラック1を分析優先度の低い検体を載置したラック1と入れ替える場合には、上記方法で分析優先度の低い検体を載置したラック1を抜き取り、空いたスペースで分析優先度の低い検体を載置したラック1と簡単に入れ替えることができる。
【0083】
入れ替えた後はソレノイド33をオフとすることで、ラック倒れ防止板17は、ばね39により引っ張られ、軸38を中心として図8上の反時計方向に回転し、ラック1の切り欠き1a内で、ラック1の底面部と噛み合い、ラック1の倒れを防止することができる。
【0084】
ソレノイド33のオフは、入力部40からの指令により制御部32が、ソレノイド33の動作を制御することにより行なわれる。
【0085】
なお、本発明の実施例3によるラック倒れ防止板17の駆動機構はソレノイド33を使用した機構となっているが、ソレノイド33の代わりにモータなどにより開閉を制御してもよい。
【0086】
また、ソレノイド33やモータなどを使用せずに、ラック倒れ防止板17の駆動機構にレバーやボタンなどを連結し、オペレータの手動により動作させる構成とすることもできる。
【0087】
また、引きばね39の替わりに板ばねやねじりばねなどの弾性を利用してもよい。
【0088】
また、本発明の実施例3におけるラック倒れ防止板17の駆動機構は軸38を支点とした円弧運動であるが、レールなどを使用したスライダ機構を用いて、ラック倒れ防止板17を平行移動させて、ラック1の底面部とラック倒れ防止板17との噛み合いを解除する構成としてもよい。
【0089】
本発明の実施例3によれば、実施例1、実施例2と同様な効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0090】
1・・・ラック、1a・・・切り欠き、1b・・・ラック配列台(ベース)、2・・・ラック投入ライン、3・・・ラック搬送ライン、4・・・ラック収納ライン、5・・・ID読み取り装置、6・・・可動壁面、7・・・尿検体サンプリング機構、8・・・尿検体染色機構、9・・・染色尿サンプリング機構、10・・・フローセル、11・・・フラッシュランプ、12・・・レーザ照射部、13・・・レーザ受光部、14・・・CCDカメラ、15・・・画像レビュー部、16a、16b・・・ガイド、17・・・ラック倒れ防止板(ラック転倒防止板)、18・・・可動ガイド板、19・・・押しばね、20・・・可動軸、21・・・Eリング、22・・・引きばね、23・・・分析部1、24・・・分析部2、25・・・再検バッファ、26・・・メイン搬送ライン、27・・・再検用ライン、28・・・循環ライン、29・・・投入側のラック番号読み取り器、30・・・収納側のラック番号読み取り器、31・・・メモリ、32・・・制御部、33・・・ソレノイド、34・・・ソレノイドベース、35・・・リンク、36、37、38・・・軸、39・・・引きばね、40・・・入力部、41・・・検体容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体試料を収容する複数の検体容器を保持する検体ラックを、生体試料を分析する自動分析装置に供給する検体ラック供給ユニットであって、
複数の上記検体ラックが配列されるラック配列台と、
上記ラック配列台の一方の側面に形成され、上記ラック配列台に配列された検体ラックをガイドする固定壁面部材と、
上記ラック配列台の他方の側面側に形成され、上記ラック配列台に配列された検体ラックをガイドし、上記ラック配列台に配列された検体ラックが上記固定壁面部材側との反対方向に移動されるに伴って移動する可動壁面部材と、
上記ラック配列台に形成され、上記検体ラックの底部と噛合い、この検体ラックの転倒を防止し、上記検体ラックが、上記固定壁面部材側とは反対方向に移動されることにより、上記検体ラックの底部との噛合いが解除されるラック転倒防止部材と、
を備えることを特徴とするラック供給ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のラック供給ユニットにおいて、上記可動壁面部材は、上記ラック配列台に配列された検体ラックに接触して検体ラックをガイドする可動ガイド部材と、この可動ガイド部材と、上記ラック配列台の他方の側面との間に配置される弾性部材とを有することを特徴とするラック供給ユニット。
【請求項3】
生体試料を収容する複数の検体容器を保持する検体ラックを、生体試料を分析する自動分析装置に供給する検体ラック供給ユニットであって、
複数の上記検体ラックが配列されるラック配列台と、
上記ラック配列台の両側面に形成され、上記ラック配列台に配列された検体ラックをガイドする2つの固定壁面部材と、
上記ラック配列台に配列された上記検体ラックの底部と噛合い、この検体ラックの転倒を防止し、上記検体ラックとの噛合いが解除される方向に移動可能に上記ラック配列台に形成されるラック転倒防止部材と、
を備えることを特徴とするラック供給ユニット。
【請求項4】
請求項3に記載のラック供給ユニットにおいて、上記ラック転倒防止部材は、上記検体ラックの底部に形成された切り欠きに挿入され、上記検体ラックの底部との噛合い及びこの噛合いが解除される方向に移動される噛合い部と、この噛合い部が上記検体ラックの底部と噛合う方向に上記噛合い部を駆動する噛合い駆動部材と、上記噛合い部と上記検体ラックの底部との噛合を解除する方向に上記噛合い部を駆動する噛合い解除部材とを有することを特徴とするラック供給ユニット。
【請求項5】
生体試料を収容する複数の検体容器を保持する検体ラックを、生体試料を分析する自動分析装置から回収する検体ラック回収ユニットであって、
複数の上記検体ラックが配列されるラック配列台と、
上記ラック配列台の一方の側面に形成され、上記ラック配列台に配列された検体ラックをガイドする固定壁面部材と、
上記ラック配列台の他方の側面側に形成され、上記ラック配列台に配列された検体ラックを上記固定壁面部材側に押圧し、上記ラック配列台に配列された検体ラックが上記固定壁面部材側との反対方向に移動されるに伴って移動する可動壁面部材と、
上記ラック配列台に形成され、上記検体ラックの底部と噛合い、この検体ラックの転倒を防止し、上記検体ラックが、上記固定壁面部材側とは反対方向に移動されることにより、上記検体ラックの底部との噛合いが解除されるラック転倒防止部材と、
を備えることを特徴とするラック回収ユニット。
【請求項6】
生体試料を収容する複数の検体容器を保持する検体ラックを、生体試料を分析する自動分析装置から回収する検体ラック回収ユニットであって、
複数の上記検体ラックが配列されるラック配列台と、
上記ラック配列台の両側面に形成され、上記ラック配列台に配列された検体ラックをガイドする2つの固定壁面部材と、
上記ラック配列台に配列された上記検体ラックの底部と噛合い、この検体ラックの転倒を防止し、上記検体ラックとの噛合いが解除される方向に移動可能に上記ラック配列台に形成されるラック転倒防止部材と、
を備えることを特徴とするラック供給ユニット。
【請求項7】
生体試料を分析する自動分析装置において、請求項1に記載のラック供給ユニットと、請求項5に記載のラック回収ユニットと備えることを特徴とする自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−7692(P2011−7692A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−152727(P2009−152727)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】