ラップトップサイズの近接場の増幅を利用した高次高調波の生成装置
【課題】ラップトップサイズの近接場の増幅を利用した高次高調波の生成装置を提供する。
【解決手段】フェムト秒レーザー発生器と、フェムト秒レーザー発生器から出力される光を伝達する光伝達手段と、光伝達手段を通じて伝達された光が通過するときに近接場の増幅を起し得るナノ開口を有する金属薄膜の微細パターンと、光伝達手段を通じて伝達された光が微細パターンを通過するとき、非活性ガスを供給させるガス供給部と、微細パターン及びガス供給部を真空雰囲気内で収容するための真空チャンバと、を備えるラップトップサイズの近接場の増幅を利用した高次高調波の生成装置である。これにより、外部の光増幅器なしに微細パターンを通じて近接場の増幅に入射されるフェムト秒レーザーの反復率を維持させつつ高次高調波の生成を達成することによって、ラップトップサイズに小型化することができる。
【解決手段】フェムト秒レーザー発生器と、フェムト秒レーザー発生器から出力される光を伝達する光伝達手段と、光伝達手段を通じて伝達された光が通過するときに近接場の増幅を起し得るナノ開口を有する金属薄膜の微細パターンと、光伝達手段を通じて伝達された光が微細パターンを通過するとき、非活性ガスを供給させるガス供給部と、微細パターン及びガス供給部を真空雰囲気内で収容するための真空チャンバと、を備えるラップトップサイズの近接場の増幅を利用した高次高調波の生成装置である。これにより、外部の光増幅器なしに微細パターンを通じて近接場の増幅に入射されるフェムト秒レーザーの反復率を維持させつつ高次高調波の生成を達成することによって、ラップトップサイズに小型化することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラップトップサイズの近接場の増幅を利用した高次高調波(High-order Harmonic)の生成装置に係り、さらに詳細には、共振器または光学的増幅を使用せずに、装置を小型化して簡単に入射されるフェムト秒レーザーの反復率を維持させつつ、可干渉性EUV(極紫外線)や軟X線を生成することができるラップトップサイズの近接場の増幅を利用した高次高調波の生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
EUV及びX線は、可視光より波長の短い領域であって、光を用いた精密測定において波長の長さに制限される回折限界による測定分解能を向上させ、X線領域にまで拡張することによって、優れた透過特性を利用して生命工学に係る微細測定や非破壊検査に活用することができる。
【0003】
特に、これと同時に可干渉性に優れた光源を生成することができれば、光の干渉及び回折現象を利用した多様な応用が可能である。
そして、入射されるフェムト秒レーザーの反復率を維持させることができるため、EUV及びX線領域での精密分光学や周波数の標準測定などに使用することができる。
【0004】
EUV及びX線を生成する多くの方法の一つがシンクロトロン(synchrotron)を利用する方法である。シンクロトロンによるEUV及びX線を生成する場合、多量の光及び良質の光が得られ、これと同時に多様な波長帯域が得られるという長所はあるが、施設そのもののサイズが非常に大きくかつ高価であるため、実験室では簡単に構成することができないという問題点がある。
【0005】
そのような問題点を解決するために、最近、フェムト秒レーザーを用いた高次高調波の生成方法が提案され、比較的に小さい実験装置をもって可干渉性EUV及び軟X線を生成することができるようになった。
【0006】
高次高調波の生成は、アルゴン(Ar)、ネオン(Ne)、ゼノン(Xe)などの非活性ガスに時間変化する高い電場を加えることによって、電子がイオン化して軌跡によって運動し再び結合することによって、イオン化エネルギーと電子の運動エネルギーとの和dに当たるエネルギーがEUV及びX線帯域の光として発生する。
【0007】
このような高次高調波の生成のために電子をイオン化させるためには、少なくとも1013W/cm2の光度が求められる。
【0008】
しかし、現在、約1011W/cm2の光度を有するフェムト秒レーザーは、高次高調波の生成のための最小の光度を満たすために、外部共振器を用いた光学的増幅であるチャープパルス増幅(CPA;chirped pulse amplification)方法を利用している。1個ないし2個のCPAを直列に連結して増幅させれば、ガス原子をイオン化させるに足りる光量を満足させる。
【0009】
しかし、CPA方法は、高次高調波の生成のための臨界値は達成することができるが、フェムト秒レーザーの反復率を維持できず、KHzレベルの反復率を有する。これは、精密分光学に適用するだけの高反復率を達成することができない。また、構造が複雑になり、かつ装置の体積が大きくなるという最大の問題点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記問題点を解決するための本発明は、光の光子と、ナノサイズの金属微細パターン(構造体)の内部の電子との相互作用によって現れる表面プルラズモン共鳴(surface plasmon resonance)現象を利用して、既存の高出力増幅技術なしにコヒーレンス特性を有するEUV光源をラップトップサイズの装置によって小型化して、産業上の面でより効果的な高次高調波の生成装置を提供するところにその目的があり、それと同時にフェムト秒レーザーの反復率を維持させることによって、EUV及びX線領域での精密分光学や周波数の標準測定などに使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記のような目的を解決するための本発明は、フェムト秒レーザー発生器と、前記フェムト秒レーザー発生器から出力される光を伝達する光伝達手段と、前記光伝達手段を通じて伝達された光が通過するときに近接場の増幅を起し得るナノ開口を有する金属薄膜の微細パターンと、前記光伝達手段を通じて伝達された光が前記微細パターンを通過するとき、非活性ガスを供給させるガス供給部と、前記微細パターン及びガス供給部を真空雰囲気内で収容するための真空チャンバと、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、前記微細パターンの材質は、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)のうち何れか一つであることを特徴とする。
【0013】
また、前記微細パターンは、三角形または四角形の金属薄膜が所定間隔をおいて対向して形成されたナノ開口を有するか、または円形のナノ開口が所定部分重畳されて形成されたナノ開口を有することを特徴とする。
【0014】
また、前記微細パターンは、三角形または四角形の金属薄膜が所定間隔をおいて対向して形成されたナノ開口を有するとき、160ないし200nmの長さと20ないし30nmの間隔を有することを特徴とする。
【0015】
また、前記微細パターンは、近接場の増幅の割合が最小20dB以上であり、前記微細パターンの周りに生成された光度が最小1013W/cm2以上であることを特徴とする。
【0016】
また、前記ガス供給部は、前記微細パターンの周りに、Ar、Ne、Xeを含む非活性ガスのうち何れか一つまたはそれらの混合物をガスまたは流体としてマイクロノズルを通じて供給することを特徴とする。
【0017】
また、前記光伝達手段は、前記フェムト秒レーザー発生器から出力される光を集光して前記微細パターンに集光させるフォーカシングレンズと、前記フェムト秒レーザー発生器から出力される光の分散を補償するためのウェッジプリズム及びチャープミラーとをさらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、外部の光増幅器なしに近接場増幅の理論に基づく微細パターンを製作して高次高調波を生成することによって、簡単な構造によって小型化することができる。
さらに、高反復率のEUV及びX線光源を生成することができ、それによって精密分光学、次世代露光光源、生命工学、非破壊検査の光源などに広く適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明に係るラップトップサイズの近接場の増幅を利用した高次高調波の生成装置の好ましい実施形態を詳細に説明すれば、以下の通りである。
【0020】
図1は、本発明に係るラップトップサイズの近接場の増幅を利用した高次高調波の生成装置の概略的な構成図であり、図2は、本発明に係る近接場の増幅を起こす微細パターンの多様な実施形態を示す拡大図であり、図3は、本発明に係る微細パターンの一実施形態を示す拡大図である。図4は、本発明に係るラップトップサイズの近接場の増幅を利用した高次高調波の生成装置の微細パターンの好ましい一実施形態を示す拡大図であり、図5は、本発明に係る微細パターンにおいて近接場の増幅によって照射された光が増幅された形状を示す図面であり、図6は、本発明に係るラップトップサイズの近接場の増幅を利用した高次高調波の生成装置の一実施形態を示す構成図である。
【0021】
本発明に係るラップトップサイズの近接場の増幅を利用した高次高調波の生成装置は、フェムト秒レーザーを出力するフェムト秒レーザー発生器100と、前記フェムト秒レーザー発生器100から出力されるレーザーを伝達する光伝達手段200と、前記光伝達手段200を通じて伝達された光を近接場現象によって増幅させる金属の微細パターン300と、光が前記微細パターン300を通過するときに非活性ガスを供給するガス供給部400と、を備えることを特徴とする。
【0022】
前記フェムト秒レーザー発生器100は、約1011W/cm2の光度を出力するレーザー発振器であって、本発明に係る高次高調波の生成のための光源でフェムト秒レーザーを出力する。
【0023】
本発明に係る好ましい一実施形態として、前記フェムト秒レーザー発生器100は、10フェムト秒のパルス幅を有するものであって、レーザー利得媒質としてはチタンサファイア(Ti:s)を使用したレーザー発振器を通じてフェムト秒レーザーを出力する。このようなフェムト秒レーザーのパルス幅や波長などの条件は、使用目的または環境によって光ファイバ基盤のフェムト秒レーザーなどの多様な実施形態に変更可能であるいうことは言うまでもない。
【0024】
前記フェムト秒レーザー発生器100に発生するフェムト秒レーザーは数MHz以上のレーザー反復率を有し、最大パルス当りエネルギーが数nJ、最大光度が1013W/cm2を超えない原子時計に安定化可能なフェムト秒レーザーである。
【0025】
光伝達手段200は、前記フェムト秒レーザー発生器100から出力される光を適切に伝達するためのものであって、近接場の増幅のために使用される後述する微細パターン300に伝達させるために、一実施形態として、ミラー、多くの光学部品から発生し得る分散を補償するためのウェッジプリズム、チャープミラー、及び伝達された光を集光させるフォーカシングレンズを備え、このような前記光伝達手段200は、当業者ならば設計によって多様に変更することが可能である。
【0026】
微細パターン300は、前記光伝達手段200を通じて伝達された光の近接場の増幅を発生させるための構成要素である。
【0027】
近接場の増幅は、媒質の表面から数十nm以内の非常に狭い領域で得られるもので、基本理論は、表面プルラズモン共鳴とライトニング・ロッド効果(lightning-rod effect)をもって説明されることができる。金属と誘電体との境界面に光が入射されれば、境界面で表面電子が誘導され、入射波及び表面電子の動きが共振条件を満たせば表面波が発生するが、これを表面プルラズモン共鳴効果と言う。
【0028】
入射された光に誘導された表面電子が、ナノ開口を有する前記微細パターン300の先端部の尖っている所に集まれば、表面電子密度が急速に上昇し、大きい増幅が得られるが、これをライトニング・ロッド効果と言う。すなわち、媒質に入射される光と電子との相互作用による現象であるが、表面プルラズモン共鳴は、金属媒質の誘電率と、ライトニング・ロッド効果は媒質の模様と密接な関係にある。
【0029】
前記微細パターン300を通じて最適化した光の増幅を得る条件を説明すれば、媒質の誘電率、入射される光の波長及び偏光方向、そして媒質の模様及びサイズなどである。金属媒質の誘電率は、実数部値が負数であり、虚数部値は小さいほど増幅が良好に行われるが、これを最も十分に満足させる金属媒質としては、Ag、Au、Alなどの金属を用いて前記微細パターン300を製作することができる。
【0030】
ここでAgがAuより増幅率も高くかつ誘電率の虚数部値が少ないため、さらに良好に増幅が行われるが、AuがAgに比べて酸化に強くかつ化学的に安定化しているため、本発明で好ましい実施形態として、微細パターンの材質としてはAuを使用する。
材質の決定された前記微細パターン300は、光の波長より小さいサイズのナノ開口が形成されるが、金属薄膜で製作され、波長サイズより小さいナノ開口であるにもかかわらず著しい透光量の増加を表す。
【0031】
このような要件を考慮して、前記微細パターン300を製作する方法は二つに大別されるが、ガラス板のような基板上に金属を蒸着して、ナノ開口を有する微細パターンを形成するか、またはガラス板のない単一の金属薄膜に直接的にナノ開口を製作する方法がある。
【0032】
単一の金属薄膜の場合には、ガラス板を有さないため、レーザーを集光したとき、ガラス板によるレーザーの吸収または反射による損失を無くすことができる。そして、ナノ開口が開いているため、流体またはガスをナノ開口に通過させつつ、増幅されたレーザーとの反応実験に応用することができる。したがって、本発明では、単一の金属薄膜の微細パターンを使用する。
【0033】
ここで前記微細パターン300のナノ開口の形状は、図2に示すように、ボウタイ型(三角形;a)、四角形(b)を有する二つの金属薄膜が所定間隔をおいて配列されて、これを通じて形成されるナノ開口、または二つの円形の開口が所定部分重畳されて8字状(c)を有するナノ開口など、多様な形状に製作することができる。
【0034】
図3は、本発明に係る一実施形態として、三角形の金属薄膜によってナノ開口を有する微細パターンを示す。二つの三角形が所定間隔をおいて対向している。このとき、二つの三角形の高さh及び厚さt、間隔d、三角形の頂点の角度θによって増幅率が変わるため、これら四つの値を適切に調節しなければならない。したがって、前記微細パターンを利用して高次高調波の生成のための最小光度である1013W/cm2を満足させようとする。
【0035】
図4は、本発明に係る好ましい実施形態として、ボウタイ型(三角形)に配列された微細パターン300を示す図面であって、フェムト秒レーザーの光度が1011W/cm2であり、高次高調波の生成のために必要な最小光度が1013W/cm2であるため、近接光の増幅のためには最小100倍以上の増幅が必要である。
【0036】
したがって、100倍以上の増幅が発生せねばならないことを考慮して、FDTD(Finite-Difference Time-Domain)を利用した電磁気シミュレーションを通じて獲得した最適のナノ開口の形状の設計値としては、厚さ50nm、二つの三角形間の間隔20nm、三角形の高さと角度をそれぞれ175nm、30度に製作した。
【0037】
これにより、前記微細パターン300の約60nm×50nmの領域内で最小100倍以上の増幅比を有し、最大増幅比は、対向している三角形の頂点で約500倍以上になるように設計した。これに基づき、集束イオンビーム(Focused ion beam:FIB)方法によって2次元に10um×10umの領域内でボウタイ型の微細パターンを配列し、入射される光の偏光方向に200nmのピッチを有し、その垂直方向には500nmのピッチを有するようにする。
【0038】
前述の前記微細パターン300の設計は、単に本発明に係る一実施形態であり、FDTD電磁気シミュレーションによる多様な形状及び設計値を通じて必要な増幅比が得られる形状に変形することが可能である。
【0039】
このようなEUV及びX線は、空気中で吸収されやすいため、微細パターンを利用した高次高調波の生成は真空雰囲気上で配置されねばならない。したがって、近接場の増幅を起こす前記微細パターン300は、真空チャンバ内に備えられ、前記光伝達手段に含まれるフォーカシングレンズと共に真空チャンバ内に備えられて、集光された光を微細パターン300に入射する。
【0040】
図5は、三角形の微細パターン及び四角形の微細パターンの実際に増幅された光度分布を示す図であって、50nmの厚さの金薄膜に、中心波長が800nm、パルス幅が約10fsであるフェムト秒レーザーを基にして、三角形を配列した微細パターンについて行った。
【0041】
FDTD解釈を通じて最適の増幅値が得られる変数を求めた。このとき、入射するレーザーの偏光方向はX軸であり、その理由は、共振する電子密度の上昇のためには、頂点の尖った部分の方向と電子の動きとが平行にならなければならないが、X軸の偏光方向がこの条件を満たすためである。
【0042】
好ましくは、前記微細パターンが三角形または四角形である場合、金属薄膜が所定間隔をおいて対向してナノ開口を形成するが、160ないし200nmの長さと、20ないし30nmの間隔を有することが好ましい。
【0043】
このような前記微細パターンにより、別途のレーザー光源や共振器なしに、近接場の増幅の割合が最小20dB以上、微細パターンの周りに生成されたフェムト秒レーザーの光度が最小1013W/cm2以上を有することができる。
【0044】
ガス供給部400は、前記微細パターン300に非活性ガスを供給することによって、微細パターン300を通過する光を増幅させる。高次高調波の生成は、Ar、Ne及びXeを含む非活性ガスまたはその混合ガスに時間変化する高い電場を加えることによって、電子がイオン化して軌跡によって運動し再び結合することによって、イオン化エネルギーと電子の運動エネルギーとの和に当たるエネルギーがEUVまたはX線帯域の光として発生する。
【0045】
前記ガス供給部400は、Ar、Ne、Xeの他にも多様な非活性ガスを使用し、前記ガス供給部400から供給されるガスに限られず、流体でも可能であり、マイクロノズルを通じて非活性ガスを供給する。
【0046】
図6は、本発明に係る近接場の増幅を利用した高次高調波の生成装置の一実施形態を示す構成図である。図6に示すように、高次高調波の生成装置は、大きくフェムト秒レーザー発生器100、光伝達手段200、真空チャンバ内に備えられる微細パターン300、ガス供給部400、及び前記微細パターン300で生成されたEUVまたはX線光を分光させる回折格子270、及びスペクトラムを獲得するための光子検出器280を備える。
【0047】
フェムト秒レーザー発生器100は、前述のように、同じ条件を有するレーザーソースを利用する。前記フェムト秒レーザー発生器100に出力されるレーザーは、ミラー210によって反射されてウェッジプリズム220を通過した後、第1チャープミラー230及び第2チャープミラー240を経て真空チャンバ上に備えられたウィンドウミラー250を通って真空チャンバ内に入射される。
【0048】
前記ウィンドウミラー250に入射された光は、真空チャンバの内部に備えられるフォーカシングレンズ260で集光された後、所定の領域に焦点が結ばれ、これが微細パターン300に入射されれば、近接場の増幅を通じて高次高調波の生成のためのスレショルド値だけ増幅される。
【0049】
前記フォーカシングレンズ260で集光された光が前記微細パターン300に照射されるとき、ガス供給部400からArガスを流せば、相互作用によってさらに高い増幅効果が得られ、EUVが生成される。
【0050】
ここで生成されたEUV(高次高調波)は、元来フェムト秒レーザーの奇数倍(n=3、5、7)に当たる周波数を有するEUVであって、約10nmないし200nmで奇数次の波長を有するEUVが生成される。
【0051】
一方、生成されたEUVは、回折格子270で分光され、光子検出器280によってスペクトラムを得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
このように構成され、かつ作用する本発明は、フェムト秒レーザー及びナノサイズの金属微細パターンのみを用いた簡単な構造により、シンクロトロンを用いた大規模の設備または外部共振器を用いた複雑な設備から逸脱して、ラップトップサイズに小型化することができるため、先端産業及び基礎学問分野に多様に活用することができるという利点がある。
【0053】
以上、本発明の原理を例示するための好ましい実施形態について説明し、かつ図示したが、本発明は、そのままの構成及び作用に限定されるものではない。
【0054】
むしろ、特許請求の範囲の思想及び範囲を逸脱せずに、本発明についての多様な変更及び修正が可能であるということを当業者ならば理解できるであろう。したがって、その全ての適切な変更及び修正と均等物も本発明の範囲に属すると見なされねばならないであろう。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る近接場の増幅を利用した高次高調波の生成装置の概略的な構成図である。
【図2】本発明に係る近接場の増幅を起こす微細パターンの多様な実施形態を示す拡大図である。
【図3】本発明に係る微細パターンの一実施形態を示す拡大図である。
【図4】本発明に係る近接場の増幅を利用した高次高調波の生成装置の微細パターンの好ましい一実施形態を示す拡大図である。
【図5】本発明に係る微細パターンにおいて近接場の増幅によって照射された光が増幅された形状を示す図である。
【図6】本発明に係る近接場の増幅を利用した高次高調波の生成装置の一実施形態を示す構成図である。
【符号の説明】
【0056】
100 フェムト秒レーザー発生器
200 光伝達手段
300 微細パターン
400 ガス供給部
500 真空チャンバ
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラップトップサイズの近接場の増幅を利用した高次高調波(High-order Harmonic)の生成装置に係り、さらに詳細には、共振器または光学的増幅を使用せずに、装置を小型化して簡単に入射されるフェムト秒レーザーの反復率を維持させつつ、可干渉性EUV(極紫外線)や軟X線を生成することができるラップトップサイズの近接場の増幅を利用した高次高調波の生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
EUV及びX線は、可視光より波長の短い領域であって、光を用いた精密測定において波長の長さに制限される回折限界による測定分解能を向上させ、X線領域にまで拡張することによって、優れた透過特性を利用して生命工学に係る微細測定や非破壊検査に活用することができる。
【0003】
特に、これと同時に可干渉性に優れた光源を生成することができれば、光の干渉及び回折現象を利用した多様な応用が可能である。
そして、入射されるフェムト秒レーザーの反復率を維持させることができるため、EUV及びX線領域での精密分光学や周波数の標準測定などに使用することができる。
【0004】
EUV及びX線を生成する多くの方法の一つがシンクロトロン(synchrotron)を利用する方法である。シンクロトロンによるEUV及びX線を生成する場合、多量の光及び良質の光が得られ、これと同時に多様な波長帯域が得られるという長所はあるが、施設そのもののサイズが非常に大きくかつ高価であるため、実験室では簡単に構成することができないという問題点がある。
【0005】
そのような問題点を解決するために、最近、フェムト秒レーザーを用いた高次高調波の生成方法が提案され、比較的に小さい実験装置をもって可干渉性EUV及び軟X線を生成することができるようになった。
【0006】
高次高調波の生成は、アルゴン(Ar)、ネオン(Ne)、ゼノン(Xe)などの非活性ガスに時間変化する高い電場を加えることによって、電子がイオン化して軌跡によって運動し再び結合することによって、イオン化エネルギーと電子の運動エネルギーとの和dに当たるエネルギーがEUV及びX線帯域の光として発生する。
【0007】
このような高次高調波の生成のために電子をイオン化させるためには、少なくとも1013W/cm2の光度が求められる。
【0008】
しかし、現在、約1011W/cm2の光度を有するフェムト秒レーザーは、高次高調波の生成のための最小の光度を満たすために、外部共振器を用いた光学的増幅であるチャープパルス増幅(CPA;chirped pulse amplification)方法を利用している。1個ないし2個のCPAを直列に連結して増幅させれば、ガス原子をイオン化させるに足りる光量を満足させる。
【0009】
しかし、CPA方法は、高次高調波の生成のための臨界値は達成することができるが、フェムト秒レーザーの反復率を維持できず、KHzレベルの反復率を有する。これは、精密分光学に適用するだけの高反復率を達成することができない。また、構造が複雑になり、かつ装置の体積が大きくなるという最大の問題点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記問題点を解決するための本発明は、光の光子と、ナノサイズの金属微細パターン(構造体)の内部の電子との相互作用によって現れる表面プルラズモン共鳴(surface plasmon resonance)現象を利用して、既存の高出力増幅技術なしにコヒーレンス特性を有するEUV光源をラップトップサイズの装置によって小型化して、産業上の面でより効果的な高次高調波の生成装置を提供するところにその目的があり、それと同時にフェムト秒レーザーの反復率を維持させることによって、EUV及びX線領域での精密分光学や周波数の標準測定などに使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記のような目的を解決するための本発明は、フェムト秒レーザー発生器と、前記フェムト秒レーザー発生器から出力される光を伝達する光伝達手段と、前記光伝達手段を通じて伝達された光が通過するときに近接場の増幅を起し得るナノ開口を有する金属薄膜の微細パターンと、前記光伝達手段を通じて伝達された光が前記微細パターンを通過するとき、非活性ガスを供給させるガス供給部と、前記微細パターン及びガス供給部を真空雰囲気内で収容するための真空チャンバと、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、前記微細パターンの材質は、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)のうち何れか一つであることを特徴とする。
【0013】
また、前記微細パターンは、三角形または四角形の金属薄膜が所定間隔をおいて対向して形成されたナノ開口を有するか、または円形のナノ開口が所定部分重畳されて形成されたナノ開口を有することを特徴とする。
【0014】
また、前記微細パターンは、三角形または四角形の金属薄膜が所定間隔をおいて対向して形成されたナノ開口を有するとき、160ないし200nmの長さと20ないし30nmの間隔を有することを特徴とする。
【0015】
また、前記微細パターンは、近接場の増幅の割合が最小20dB以上であり、前記微細パターンの周りに生成された光度が最小1013W/cm2以上であることを特徴とする。
【0016】
また、前記ガス供給部は、前記微細パターンの周りに、Ar、Ne、Xeを含む非活性ガスのうち何れか一つまたはそれらの混合物をガスまたは流体としてマイクロノズルを通じて供給することを特徴とする。
【0017】
また、前記光伝達手段は、前記フェムト秒レーザー発生器から出力される光を集光して前記微細パターンに集光させるフォーカシングレンズと、前記フェムト秒レーザー発生器から出力される光の分散を補償するためのウェッジプリズム及びチャープミラーとをさらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、外部の光増幅器なしに近接場増幅の理論に基づく微細パターンを製作して高次高調波を生成することによって、簡単な構造によって小型化することができる。
さらに、高反復率のEUV及びX線光源を生成することができ、それによって精密分光学、次世代露光光源、生命工学、非破壊検査の光源などに広く適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明に係るラップトップサイズの近接場の増幅を利用した高次高調波の生成装置の好ましい実施形態を詳細に説明すれば、以下の通りである。
【0020】
図1は、本発明に係るラップトップサイズの近接場の増幅を利用した高次高調波の生成装置の概略的な構成図であり、図2は、本発明に係る近接場の増幅を起こす微細パターンの多様な実施形態を示す拡大図であり、図3は、本発明に係る微細パターンの一実施形態を示す拡大図である。図4は、本発明に係るラップトップサイズの近接場の増幅を利用した高次高調波の生成装置の微細パターンの好ましい一実施形態を示す拡大図であり、図5は、本発明に係る微細パターンにおいて近接場の増幅によって照射された光が増幅された形状を示す図面であり、図6は、本発明に係るラップトップサイズの近接場の増幅を利用した高次高調波の生成装置の一実施形態を示す構成図である。
【0021】
本発明に係るラップトップサイズの近接場の増幅を利用した高次高調波の生成装置は、フェムト秒レーザーを出力するフェムト秒レーザー発生器100と、前記フェムト秒レーザー発生器100から出力されるレーザーを伝達する光伝達手段200と、前記光伝達手段200を通じて伝達された光を近接場現象によって増幅させる金属の微細パターン300と、光が前記微細パターン300を通過するときに非活性ガスを供給するガス供給部400と、を備えることを特徴とする。
【0022】
前記フェムト秒レーザー発生器100は、約1011W/cm2の光度を出力するレーザー発振器であって、本発明に係る高次高調波の生成のための光源でフェムト秒レーザーを出力する。
【0023】
本発明に係る好ましい一実施形態として、前記フェムト秒レーザー発生器100は、10フェムト秒のパルス幅を有するものであって、レーザー利得媒質としてはチタンサファイア(Ti:s)を使用したレーザー発振器を通じてフェムト秒レーザーを出力する。このようなフェムト秒レーザーのパルス幅や波長などの条件は、使用目的または環境によって光ファイバ基盤のフェムト秒レーザーなどの多様な実施形態に変更可能であるいうことは言うまでもない。
【0024】
前記フェムト秒レーザー発生器100に発生するフェムト秒レーザーは数MHz以上のレーザー反復率を有し、最大パルス当りエネルギーが数nJ、最大光度が1013W/cm2を超えない原子時計に安定化可能なフェムト秒レーザーである。
【0025】
光伝達手段200は、前記フェムト秒レーザー発生器100から出力される光を適切に伝達するためのものであって、近接場の増幅のために使用される後述する微細パターン300に伝達させるために、一実施形態として、ミラー、多くの光学部品から発生し得る分散を補償するためのウェッジプリズム、チャープミラー、及び伝達された光を集光させるフォーカシングレンズを備え、このような前記光伝達手段200は、当業者ならば設計によって多様に変更することが可能である。
【0026】
微細パターン300は、前記光伝達手段200を通じて伝達された光の近接場の増幅を発生させるための構成要素である。
【0027】
近接場の増幅は、媒質の表面から数十nm以内の非常に狭い領域で得られるもので、基本理論は、表面プルラズモン共鳴とライトニング・ロッド効果(lightning-rod effect)をもって説明されることができる。金属と誘電体との境界面に光が入射されれば、境界面で表面電子が誘導され、入射波及び表面電子の動きが共振条件を満たせば表面波が発生するが、これを表面プルラズモン共鳴効果と言う。
【0028】
入射された光に誘導された表面電子が、ナノ開口を有する前記微細パターン300の先端部の尖っている所に集まれば、表面電子密度が急速に上昇し、大きい増幅が得られるが、これをライトニング・ロッド効果と言う。すなわち、媒質に入射される光と電子との相互作用による現象であるが、表面プルラズモン共鳴は、金属媒質の誘電率と、ライトニング・ロッド効果は媒質の模様と密接な関係にある。
【0029】
前記微細パターン300を通じて最適化した光の増幅を得る条件を説明すれば、媒質の誘電率、入射される光の波長及び偏光方向、そして媒質の模様及びサイズなどである。金属媒質の誘電率は、実数部値が負数であり、虚数部値は小さいほど増幅が良好に行われるが、これを最も十分に満足させる金属媒質としては、Ag、Au、Alなどの金属を用いて前記微細パターン300を製作することができる。
【0030】
ここでAgがAuより増幅率も高くかつ誘電率の虚数部値が少ないため、さらに良好に増幅が行われるが、AuがAgに比べて酸化に強くかつ化学的に安定化しているため、本発明で好ましい実施形態として、微細パターンの材質としてはAuを使用する。
材質の決定された前記微細パターン300は、光の波長より小さいサイズのナノ開口が形成されるが、金属薄膜で製作され、波長サイズより小さいナノ開口であるにもかかわらず著しい透光量の増加を表す。
【0031】
このような要件を考慮して、前記微細パターン300を製作する方法は二つに大別されるが、ガラス板のような基板上に金属を蒸着して、ナノ開口を有する微細パターンを形成するか、またはガラス板のない単一の金属薄膜に直接的にナノ開口を製作する方法がある。
【0032】
単一の金属薄膜の場合には、ガラス板を有さないため、レーザーを集光したとき、ガラス板によるレーザーの吸収または反射による損失を無くすことができる。そして、ナノ開口が開いているため、流体またはガスをナノ開口に通過させつつ、増幅されたレーザーとの反応実験に応用することができる。したがって、本発明では、単一の金属薄膜の微細パターンを使用する。
【0033】
ここで前記微細パターン300のナノ開口の形状は、図2に示すように、ボウタイ型(三角形;a)、四角形(b)を有する二つの金属薄膜が所定間隔をおいて配列されて、これを通じて形成されるナノ開口、または二つの円形の開口が所定部分重畳されて8字状(c)を有するナノ開口など、多様な形状に製作することができる。
【0034】
図3は、本発明に係る一実施形態として、三角形の金属薄膜によってナノ開口を有する微細パターンを示す。二つの三角形が所定間隔をおいて対向している。このとき、二つの三角形の高さh及び厚さt、間隔d、三角形の頂点の角度θによって増幅率が変わるため、これら四つの値を適切に調節しなければならない。したがって、前記微細パターンを利用して高次高調波の生成のための最小光度である1013W/cm2を満足させようとする。
【0035】
図4は、本発明に係る好ましい実施形態として、ボウタイ型(三角形)に配列された微細パターン300を示す図面であって、フェムト秒レーザーの光度が1011W/cm2であり、高次高調波の生成のために必要な最小光度が1013W/cm2であるため、近接光の増幅のためには最小100倍以上の増幅が必要である。
【0036】
したがって、100倍以上の増幅が発生せねばならないことを考慮して、FDTD(Finite-Difference Time-Domain)を利用した電磁気シミュレーションを通じて獲得した最適のナノ開口の形状の設計値としては、厚さ50nm、二つの三角形間の間隔20nm、三角形の高さと角度をそれぞれ175nm、30度に製作した。
【0037】
これにより、前記微細パターン300の約60nm×50nmの領域内で最小100倍以上の増幅比を有し、最大増幅比は、対向している三角形の頂点で約500倍以上になるように設計した。これに基づき、集束イオンビーム(Focused ion beam:FIB)方法によって2次元に10um×10umの領域内でボウタイ型の微細パターンを配列し、入射される光の偏光方向に200nmのピッチを有し、その垂直方向には500nmのピッチを有するようにする。
【0038】
前述の前記微細パターン300の設計は、単に本発明に係る一実施形態であり、FDTD電磁気シミュレーションによる多様な形状及び設計値を通じて必要な増幅比が得られる形状に変形することが可能である。
【0039】
このようなEUV及びX線は、空気中で吸収されやすいため、微細パターンを利用した高次高調波の生成は真空雰囲気上で配置されねばならない。したがって、近接場の増幅を起こす前記微細パターン300は、真空チャンバ内に備えられ、前記光伝達手段に含まれるフォーカシングレンズと共に真空チャンバ内に備えられて、集光された光を微細パターン300に入射する。
【0040】
図5は、三角形の微細パターン及び四角形の微細パターンの実際に増幅された光度分布を示す図であって、50nmの厚さの金薄膜に、中心波長が800nm、パルス幅が約10fsであるフェムト秒レーザーを基にして、三角形を配列した微細パターンについて行った。
【0041】
FDTD解釈を通じて最適の増幅値が得られる変数を求めた。このとき、入射するレーザーの偏光方向はX軸であり、その理由は、共振する電子密度の上昇のためには、頂点の尖った部分の方向と電子の動きとが平行にならなければならないが、X軸の偏光方向がこの条件を満たすためである。
【0042】
好ましくは、前記微細パターンが三角形または四角形である場合、金属薄膜が所定間隔をおいて対向してナノ開口を形成するが、160ないし200nmの長さと、20ないし30nmの間隔を有することが好ましい。
【0043】
このような前記微細パターンにより、別途のレーザー光源や共振器なしに、近接場の増幅の割合が最小20dB以上、微細パターンの周りに生成されたフェムト秒レーザーの光度が最小1013W/cm2以上を有することができる。
【0044】
ガス供給部400は、前記微細パターン300に非活性ガスを供給することによって、微細パターン300を通過する光を増幅させる。高次高調波の生成は、Ar、Ne及びXeを含む非活性ガスまたはその混合ガスに時間変化する高い電場を加えることによって、電子がイオン化して軌跡によって運動し再び結合することによって、イオン化エネルギーと電子の運動エネルギーとの和に当たるエネルギーがEUVまたはX線帯域の光として発生する。
【0045】
前記ガス供給部400は、Ar、Ne、Xeの他にも多様な非活性ガスを使用し、前記ガス供給部400から供給されるガスに限られず、流体でも可能であり、マイクロノズルを通じて非活性ガスを供給する。
【0046】
図6は、本発明に係る近接場の増幅を利用した高次高調波の生成装置の一実施形態を示す構成図である。図6に示すように、高次高調波の生成装置は、大きくフェムト秒レーザー発生器100、光伝達手段200、真空チャンバ内に備えられる微細パターン300、ガス供給部400、及び前記微細パターン300で生成されたEUVまたはX線光を分光させる回折格子270、及びスペクトラムを獲得するための光子検出器280を備える。
【0047】
フェムト秒レーザー発生器100は、前述のように、同じ条件を有するレーザーソースを利用する。前記フェムト秒レーザー発生器100に出力されるレーザーは、ミラー210によって反射されてウェッジプリズム220を通過した後、第1チャープミラー230及び第2チャープミラー240を経て真空チャンバ上に備えられたウィンドウミラー250を通って真空チャンバ内に入射される。
【0048】
前記ウィンドウミラー250に入射された光は、真空チャンバの内部に備えられるフォーカシングレンズ260で集光された後、所定の領域に焦点が結ばれ、これが微細パターン300に入射されれば、近接場の増幅を通じて高次高調波の生成のためのスレショルド値だけ増幅される。
【0049】
前記フォーカシングレンズ260で集光された光が前記微細パターン300に照射されるとき、ガス供給部400からArガスを流せば、相互作用によってさらに高い増幅効果が得られ、EUVが生成される。
【0050】
ここで生成されたEUV(高次高調波)は、元来フェムト秒レーザーの奇数倍(n=3、5、7)に当たる周波数を有するEUVであって、約10nmないし200nmで奇数次の波長を有するEUVが生成される。
【0051】
一方、生成されたEUVは、回折格子270で分光され、光子検出器280によってスペクトラムを得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
このように構成され、かつ作用する本発明は、フェムト秒レーザー及びナノサイズの金属微細パターンのみを用いた簡単な構造により、シンクロトロンを用いた大規模の設備または外部共振器を用いた複雑な設備から逸脱して、ラップトップサイズに小型化することができるため、先端産業及び基礎学問分野に多様に活用することができるという利点がある。
【0053】
以上、本発明の原理を例示するための好ましい実施形態について説明し、かつ図示したが、本発明は、そのままの構成及び作用に限定されるものではない。
【0054】
むしろ、特許請求の範囲の思想及び範囲を逸脱せずに、本発明についての多様な変更及び修正が可能であるということを当業者ならば理解できるであろう。したがって、その全ての適切な変更及び修正と均等物も本発明の範囲に属すると見なされねばならないであろう。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る近接場の増幅を利用した高次高調波の生成装置の概略的な構成図である。
【図2】本発明に係る近接場の増幅を起こす微細パターンの多様な実施形態を示す拡大図である。
【図3】本発明に係る微細パターンの一実施形態を示す拡大図である。
【図4】本発明に係る近接場の増幅を利用した高次高調波の生成装置の微細パターンの好ましい一実施形態を示す拡大図である。
【図5】本発明に係る微細パターンにおいて近接場の増幅によって照射された光が増幅された形状を示す図である。
【図6】本発明に係る近接場の増幅を利用した高次高調波の生成装置の一実施形態を示す構成図である。
【符号の説明】
【0056】
100 フェムト秒レーザー発生器
200 光伝達手段
300 微細パターン
400 ガス供給部
500 真空チャンバ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェムト秒レーザー発生器と、
前記フェムト秒レーザー発生器から出力される光を伝達する光伝達手段と、
前記光伝達手段を通じて伝達された光が通過するときに近接場の増幅を起し得るナノ開口を有する金属薄膜の微細パターンと、
前記光伝達手段を通じて伝達された光が前記微細パターンを通過するとき、非活性ガスを供給させるガス供給部と、
前記微細パターン及びガス供給部を真空雰囲気内で収容するための真空チャンバと、を備えることを特徴とするラップトップサイズの近接場の増幅を利用したことを特徴とする高次高調波の生成装置。
【請求項2】
前記微細パターンの材質は、
Au、Ag、Alのうち何れか一つであることを特徴とする請求項1に記載のラップトップサイズの近接場の増幅を利用した高次高調波の生成装置。
【請求項3】
前記微細パターンは、
三角形または四角形の金属薄膜が所定間隔をおいて対向して形成されたナノ開口を有するか、または円形のナノ開口が所定部分重畳されて形成されたナノ開口を有することを特徴とする請求項1に記載のラップトップサイズの近接場の増幅を利用した高次高調波の生成装置。
【請求項4】
前記微細パターンは、
三角形または四角形の金属薄膜が所定間隔をおいて対向して形成されたナノ開口を有するとき、160ないし200nmの長さと20ないし30nmの間隔を有することを特徴とする請求項3に記載のラップトップサイズの近接場の増幅を利用した高次高調波の生成装置。
【請求項5】
前記微細パターンは、
近接場の増幅の割合が最小20dB以上であり、前記微細パターンの周りに生成された光度が最小1013W/cm2以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のうち何れか1項に記載のラップトップサイズの近接場の増幅を利用した高次高調波の生成装置。
【請求項6】
前記ガス供給部は、
前記微細パターンの周りに、Ar、Ne、Xeを含む非活性ガスのうち何れか一つまたはそれらの混合物をガスまたは流体としてマイクロノズルを通じて供給することを特徴とする請求項1に記載のラップトップサイズの近接場の増幅を利用した高次高調波の生成装置。
【請求項7】
前記光伝達手段は、
前記フェムト秒レーザー発生器から出力される光を集光して前記微細パターンに集光させるフォーカシングレンズと、
前記フェムト秒レーザー発生器から出力される光の分散を補償するためのウェッジプリズム及びチャープミラーとをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のラップトップサイズの近接場の増幅を利用した高次高調波の生成装置。
【請求項1】
フェムト秒レーザー発生器と、
前記フェムト秒レーザー発生器から出力される光を伝達する光伝達手段と、
前記光伝達手段を通じて伝達された光が通過するときに近接場の増幅を起し得るナノ開口を有する金属薄膜の微細パターンと、
前記光伝達手段を通じて伝達された光が前記微細パターンを通過するとき、非活性ガスを供給させるガス供給部と、
前記微細パターン及びガス供給部を真空雰囲気内で収容するための真空チャンバと、を備えることを特徴とするラップトップサイズの近接場の増幅を利用したことを特徴とする高次高調波の生成装置。
【請求項2】
前記微細パターンの材質は、
Au、Ag、Alのうち何れか一つであることを特徴とする請求項1に記載のラップトップサイズの近接場の増幅を利用した高次高調波の生成装置。
【請求項3】
前記微細パターンは、
三角形または四角形の金属薄膜が所定間隔をおいて対向して形成されたナノ開口を有するか、または円形のナノ開口が所定部分重畳されて形成されたナノ開口を有することを特徴とする請求項1に記載のラップトップサイズの近接場の増幅を利用した高次高調波の生成装置。
【請求項4】
前記微細パターンは、
三角形または四角形の金属薄膜が所定間隔をおいて対向して形成されたナノ開口を有するとき、160ないし200nmの長さと20ないし30nmの間隔を有することを特徴とする請求項3に記載のラップトップサイズの近接場の増幅を利用した高次高調波の生成装置。
【請求項5】
前記微細パターンは、
近接場の増幅の割合が最小20dB以上であり、前記微細パターンの周りに生成された光度が最小1013W/cm2以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のうち何れか1項に記載のラップトップサイズの近接場の増幅を利用した高次高調波の生成装置。
【請求項6】
前記ガス供給部は、
前記微細パターンの周りに、Ar、Ne、Xeを含む非活性ガスのうち何れか一つまたはそれらの混合物をガスまたは流体としてマイクロノズルを通じて供給することを特徴とする請求項1に記載のラップトップサイズの近接場の増幅を利用した高次高調波の生成装置。
【請求項7】
前記光伝達手段は、
前記フェムト秒レーザー発生器から出力される光を集光して前記微細パターンに集光させるフォーカシングレンズと、
前記フェムト秒レーザー発生器から出力される光の分散を補償するためのウェッジプリズム及びチャープミラーとをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のラップトップサイズの近接場の増幅を利用した高次高調波の生成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2010−103078(P2010−103078A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−26298(P2009−26298)
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【出願人】(592045430)コリア アドヴァンスト インスティテュート オブ サイエンス アンド テクノロジー (12)
【氏名又は名称原語表記】KOREA ADVANCED INSTITUTE OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【出願人】(592045430)コリア アドヴァンスト インスティテュート オブ サイエンス アンド テクノロジー (12)
【氏名又は名称原語表記】KOREA ADVANCED INSTITUTE OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
【Fターム(参考)】
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