説明

ラベル、特に再利用可能な容器のためのラベル

物品(5)、より具体的には飲料用ボトルに接着させることができ、且つ少なくとも50℃の洗浄温度で、洗浄液内で再度分離することができるラベル(1)であって、該洗浄温度で縮む二軸延伸ポリマーフィルム層(9)と、印刷された装飾層(11)と、前記物品(5)に前記ラベル(1)を接着するための接着層(13)、より具体的には感圧接着層と、を少なくとも備える積層物の形態であるラベル(1)を提案する。前記ポリマーフィルム層(9)は、積層物において、前記洗浄温度で、5分以下の最大期間内で、特に3分以下の最大期間内で、50%以下まで互いと異なる、且つ50%以下とされるその2つの延伸方向のおける収縮の程度を達成するような方法で設計される。この結果として、前記ラベル(1)と前記物品(5)との間の接着力が高くなる一方、前記ラベル(1)は、分割することなく、前記物品(5)から洗い落とされることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、物品、特に飲料用ボトルに接着されるように適合され、且つ少なくとも50℃の洗浄温度で、洗浄液内で分離されるように適合されるラベルに関連する。
【背景技術】
【0002】
特に飲料製造業において、容器、例えばボトルは、一度以上使用される。それぞれの返還時に、それらの再利用可能な容器は、再充填する前に洗浄され、容器に接着されたラベルでさえ、容器が再充填され、且つラベルを再び貼り付けられる前に洗い落とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許第0 951 004 B1号明細書
【0004】
再利用可能な容器、より具体的には飲料ボトルにラベルを取り付けるのに適したラベルは、特許文献1から周知である。該ラベルは、洗浄温度で縮む二軸延伸ポリマーフィルム層と、印刷された装飾層と、容器にラベルを接着させるための感圧接着層と、を備える積層物の形態である。高温の洗浄液において、ポリマーフィルム層は、容器に接着された接着層の保持力に打ち勝つために縮む、すなわち収縮する。それによって、ラベルは容器から引き離される。接着剤は、洗浄液と接触すると、無効化状態になる再分散可能な接着剤であり、すなわちその接着力を失う再分散可能な接着剤であり、それによって、容器にラベルの再取付を防止する。
【0005】
特許文献1から周知な種類のラベルにおいて、延伸ポリマーフィルム層は、所定の初期温度に到達する場合のみに、縮み始める。温度が増加すると、延伸動作の結果として延伸ポリマーフィルム内に貯蔵されたエネルギーは次いで、部分的に開放される、又は全体的に開放される。ラベルが感圧接着剤の接着力によって容器上に固定されるので、高温の洗浄液に露出されたポリマーフィルムにおいて発生する収縮力が、接着層が容器にラベルを保持する接着力を超えることを保証することは、必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
実際には、特に再利用可能な容器の表面が既存の磨耗を覆うために又はさらなる磨耗を低減するために被覆される場合に、異なる侵食の状態及び/又は腐食の状態に起因して再利用可能な容器が、いくつかの場合において大いに変化する表面特性を有することは、明らかになる。さらなる要因は、ラベルが、様々な貯蔵状態下で、例えば2℃と55℃との間の温度で、及び様々な湿度レベル(例えば、10%と100%との相対湿度)で、又はリターンの過程におけるプレラベルボトル又はボトルの場合において、凍結状態又は強い日照状態下で、変化する表面に高い信頼性で接着するように意図されることである。これを達成するために、感圧接着剤は、比較的高いレベルの接着力を達成しなければならない。それにもかかわらず、この意図は、ラベルが製造条件下で、高い信頼性で、且つできる限り、例えばブラシなどの機械的な分離支援具(mechanical detachment aids)なしで、分離されることができることである。
【0007】
物品、より具体的には飲料用ボトルに接着されることができるラベルであって、該ラベルは、約50℃と約95℃との間の温度範囲における洗浄温度で、洗浄液内で再分離されることができ、それによって、ラベルの接着力が強力である場合でさえ、前記物品からの望まれていないラベルの分離を防止するために、ラベルの接着力がラベルを支持する物品の表面で接着力における比較的大きな変動を管理することが必要とされる、ラベルを提供することは、本願発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的の達成において、本願発明は、物品、より具体的には飲料用ボトルに接着されるように適合されるラベルであって、約50℃と約95℃との間の温度範囲における指示された洗浄温度(mandated washing temperature)で、洗浄液内で分離されるように適合されるラベルに基づく。ラベルは、洗浄温度で縮む(再収縮する)二軸延伸ポリマーフィルム層と、印刷された装飾層と、前記物品に前記ラベルを接着させるための接着層、より具体的には感圧接着層と、を少なくとも備える積層物の形態である。
【0009】
上記の目的の達成は、ポリマーフィルム層が、前記指示された洗浄温度で、且つ5分以下の最大期間内で、より具体的には3分以下の最大期間内で、及び前記ポリマーフィルム層がその2つの延伸方向において自由に収縮することを可能にさせる状態で、前記積層物が50%以下まで互いと異なる最大限の収縮の程度を達成するように設計され、且つ、前記延伸ポリマーフィルム層はさらに、前記ポリマーフィルム層の2つの延伸方向において、前記積層物が、前記指示された洗浄温度で、且つ前記最大期間内で、少なくとも0.6N/mmの収縮応力及び少なくとも0.5%の収縮の程度を達成するように設計されることを特徴とされる。
【0010】
本願発明は、接着層の接着力に打ち勝つのに十分なレベルまで延伸ポリマーフィルムの収縮力を増加させるだけではなく、ポリマーフィルム層及びそれ故に、積層物が高温洗浄液内で再収縮する、すなわち縮む時間勾配(time gradient)に従うことが重要であるとの発見に基づく。
【0011】
自由に収縮することを可能にした場合に、積層物におけるポリマーフィルム層が、2つの延伸方向において、少なくとも略均一な方法で、すなわち(高い収縮の程度に基づいて)50%以下の収縮の程度の差で縮むことは、重要である。工業用洗浄除去技術によって示された5分以下の最大期間内で、より具体的には3分以下の最大期間内で、2つの延伸方向における収縮の程度は、有利には65%以下のままであるとされるが、より具体的には(延伸した本来の状態に基づいて)50%以下のままであるべきである。本願明細書及び以下にそれぞれ記載される、収縮の程度及び収縮張力の各値が、指示された最大洗浄除去期間内で達成される値であり、且つ同様に洗浄除去期間が延長される場合に、超えられることができることは、理解される。該値が収縮の程度のために本願明細書及び以下で報告される場合に、議論されている値は常に、積層物の自由な収縮時に発生するそれらの値であり、すなわち積層物が前記物品に接着されない状態におけるそれらの値である。
【0012】
従来の縮むラベルは、縦方向において、すなわち、ラベル製造のために採用された延伸フィルムの縦方向において無視してよい程度に縮み、短い期間内で、すなわち僅かな所定の最大期間内で、例えば3分の最大期間内で高い収縮の程度を発生させる。例えば、ポリマーフィルムの横断方向において70%の収縮の程度は、積層物における高い張力を可能にするように発生される。これは、ラベルの層構造における分割に導くことができる。本願発明のラベルの場合において、2つの延伸方向の間の収縮程度における差は50%以下に制限される。2つの延伸方向において収縮の程度の範囲は、同様に、65%以下に制限される、より具体的には50%以下に制限される。従って、ラベルの積層物における応力が、5分又は3分の洗浄除去期間に亘って分散状態で、突然発生せずに、その代わりに徐々に発生することは保証される。洗浄除去期間は有利には、少なくとも2分であるように意図される。積層物における分割応力の例は、例えばラベルが分離された後で物品に、例えばインク及び感圧接着剤の残留に導く、装飾層のインク層における分割応力の例は、この方法において避けられる。
【0013】
収縮力(収縮張力)が両方の延伸方向において発生する均一性は、従来のラベルのそれらと比較して、減少した収縮の程度にもかかわらず、ラベルアセンブリの分割なしで、例えば3分の、工業用洗浄装置の洗浄除去期間内で、両方の延伸方向において分離するラベルの能力に貢献している要因の1つである。ポリマーフィルム層の2つの延伸方向における収縮の程度が互いに少なくとも略一致しているので、装飾層のインク材料は、実質的に一軸延伸ポリマーフィルム層と比較して収縮時に軽く圧縮される。これは、インク材料の接着力を促進し、分割を防止する。
【0014】
同時に、少なくとも0.6N/mmの収縮応力が達成される場合に、50%のポリマーフィルム層の収縮の程度の最小限の閾値が、高温の洗浄液内で容器からラベルを引き離すのに十分であることは、明らかである。しかしながら、議論されている値は閾値であり、該閾値は洗浄除去動作において超える場合がある。しかしながら、ラベルの分割しない分離のために、ポリマーフィルム層の漸進的な収縮が制御された方法において起こることはまた、基本的なことである。延伸ポリマーフィルム層が、前記積層物が、前記ポリマーフィルム層の前記2つの延伸方向において、且つ前記最大期間内で、
a)60℃の洗浄温度で、最大3.5N/mmの収縮応力及び最大20%の収縮の程度、より具体的には最大13%の収縮の程度を超えない、
且つ/又は、
b)70℃の洗浄温度で、最大15N/mmの収縮応力、より具体的には最大12N/mmの収縮応力、及び最大55%の収縮の程度、より具体的には最大36%の収縮の程度を超えない、
且つ/又は、
c)80℃の洗浄温度で、最大18N/mmの収縮応力及び最大60%の収縮の程度、より具体的には最大46%の収縮の程度を超えない、
且つ/又は、
d)90℃の洗浄温度で、最大20N/mmの収縮応力及び最大65%の収縮の程度、より具体的には最大50%の収縮の程度を超えないような方法で設計される場合に、有利になるように明らかになる。
【0015】
収縮応力ための規定された最大値及び収縮の程度のための規定された最大値は、洗浄温度の関数として規定し、本願発明の内容において適切であるポリマーフィルムのためのカーブを制限する。
【0016】
物品の非常に多い種類の異なる表面特性のいずれかを有する広い適用範囲のために、延伸ポリマーフィルム層は好ましくは、積層物において、その2つの延伸方向において、少なくとも70℃の洗浄温度で、且つ最大期間内で、少なくとも4%の収縮の程度及び少なくとも1.5N/mmの収縮応力が達成されるような方法で設計される。積層物において、その2つの延伸方向において、少なくとも80℃の洗浄温度で、且つ最大期間内で、延伸ポリマーフィルム層が少なくとも2%の収縮の程度及び少なくとも0.8N/mmの収縮応力を達成することは、この内容において特に有利に証明される。この内容において、80℃での接着剤の接着力が70℃のときより小さくなるであろう事実を利用することは、可能である。
【0017】
ポリマーフィルム層は、両方の延伸方向において、可能な限り均一に発生する、両方の延伸方向における収縮の程度を有するべきであり、洗浄温度で比較的高い収縮応力を達成するべきである。この目的のために、特に適切に証明することは、ポリエチレン・テレフタレート(PET)に基づいたプラスチック材料から製造された延伸ポリマーフィルム層である。さらに、他のポリマーは、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、又はポリエチレン(PS)、又はポリプロピレン(PP)、又はポリエチレン(PE)、又はポリ乳酸(PLA)、又は環状オレフィン・コポリマー(COC)などである。
【0018】
延伸ポリマーフィルム層は、装飾層が特定の精度で印刷されることを可能にし、且つラベルが、その後容器に正確に早く配置されることを可能にするために、比較的硬い材料からなるべきである。有利には、ポリマーフィルム層は、(特に、フィルムストリップの縦方向において)少なくとも2500MPaの弾性率を有し、特にPETフィルムで達成されることができる。
【0019】
ラベルの層構造は、例えば延伸ポリマーフィルム層によって慣習的に行われてもよく、該延伸ポリマーフィルム層は、フィルム複合層の層構成成分であり、分離時に、ラベルにおける収縮力を最適化するために、フィルム複合層を形成するために、少なくとも1つのさらなるポリマーフィルム層に接合される。この目的のために、さらなるポリマーフィルム層は、非延伸ポリマーフィルム層又は熱に対する露出により収縮する一軸延伸ポリマーフィルム層とされてもよいが、ここでは、その上、さらなるポリマーフィルム層は好ましくは二軸延伸される。フィルム複合層において、ポリマーフィルム層は、例えば積層接着剤又は同様のものによって積層物の方法で接合させてもよく、代替的には、それらは共押出されてもよい。
【0020】
上記に説明したラベル以外のラベルとともに使用されることができる一の好ましい実施形態において、洗浄除去中のラベルの分割に対する安全性は、接着層が特に感圧接着材料からなる場合に、増加される。該接着層は、架橋しているポリマーから形成され、接着促進剤として役立ち、且つ架橋している積層接着剤からなる中間層を介して積層物を接合させる。この実施形態において、積層している接着剤は接着層と架橋し、これは、分割防止性(splitproofness)を増加させる。中間層は、好ましくは、そのベース物質として二液型ポリウレタン接着剤を備える。接着層は有利には、そのベース物質として接着剤、より具体的には感圧接着剤を備え、照射、例えば電子線、より具体的には紫外線によって架橋に対して活性化させることができる。
【0021】
ポリマーフィルム層は、有利には、印刷された装飾層がポリマーフィルム層と接着層との間の積層物において配置される状態で、透明なプラスチック材料からなり、該ポリマーフィルム層は、機械的な損傷から装飾層を保護するために、好ましくは感圧層として設計される。代替的には、装飾層及び接着層、又は感圧接着層は、延伸ポリマーフィルム層の対向した両側に配置されてもよく、この場合において、該装飾層は、延伸ポリマーフィルムと、外側に向けてラベルを仕上げる保護層との間に有利に配置される。該保護層は、ポリマーフィルム層とされてもよく、より具体的には、熱に対する露出時に一軸的に又は二軸的に縮むことを可能にするポリマーフィルム層とされてもよい。代替的には、該保護層は、下塗り層とされてもよく、より具体的には、架橋材料を備えている下塗り層とされてもよく、好ましくは二液型材料を備えている下塗り層とされてもよい。
【0022】
第2の態様において、本願発明は、それに接着させた本願発明のラベルを有する容器に関連し、第3の態様において、本願発明はまた、物品、より具体的には飲料用ボトルに本願発明のラベルを接着させる方法に関連する。
【0023】
以下、本願の例示的な実施形態は、図面を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】洗浄液内での分離の開始時に、その外側周面に接着された本願発明によるラベルを有する容器を示す図である。
【図2】図1における線II−IIに沿って見た、容器及びラベルの断面図を示す図である。
【図3】分離の開始時の、図1のラベルのさらなる変形実施形態の断面図を示す図である。
【図4】分離の開始時の、図1のラベルのさらなる変形実施形態を示す図である。
【0025】
図1及び図2は、参照符号1によって全体として示されるラベルを示し、該ラベル1は、例えば多目的用飲料ボトルなどの容器5の略円筒状の外側表面3に接着され、高温洗浄液体(図示せず)中で、ラベル1が全ての4つの縁部7から略同時に分離し始める状態になる。ラベル1の分離前の状態において、該ラベル1は、4つの縁部7まで容器5の外側表面3に接着される。
【0026】
ラベル1は、積層物として設計され、且つ二軸延伸ポリマーフィルム層9を有し、該二軸延伸ポリマーフィルム層9は、洗浄液の洗浄温度で、例えば約80℃で、両方の延伸方向において縮む、すなわち収縮する。該二軸延伸ポリマーフィルム層9は、透明なプラスチック材料からなり、容器5に面するその側部で、印刷された装飾層11を支持し、該印刷された装飾層11は、二軸延伸ポリマーフィルム層9を通じて外側から可視である。印刷された装飾層11に塗布されるものは、感圧性接着材料からなる接着層13であり、該接着層13は容器5にラベル1を接着する。
【0027】
該二軸延伸ポリマーフィルム層9は、好ましくは、ポリエチレン・テレフタレート(PET)プラスチック材料からなる。該ポリエチレン・テレフタレート(PET)プラスチック材料は、二軸延伸され、且つその延伸方向の両方において、ポリマーフィルム材料が洗浄液内で加熱される場合に、異なる最大限の収縮の程度を有する一方、(高い程度の収縮に基づいて)50%以下まで積層物の自由な収縮を可能する。2つの延伸方向のそれぞれにおける収縮の程度は、(延伸された本来の状態に基づいて)65%以下であり、より具体的には50%以下である。二軸延伸ポリマーフィルム層9は、規定された値が約5分の洗浄期間内で、より具体的には約3分の洗浄期間内で達成されるように構成され、該洗浄期間は、工業的な洗浄設備内で再利用可能な容器のための慣習である。
【0028】
収縮張力の増加が、洗浄期間全体に亘って二軸延伸ポリマーフィルム層9の両方の延伸方向に分配されるので、且つ両方の延伸方向において略均一に発生する収縮が制限されるので、分離するラベルを分離部分及び容器上の残留部分に分割するように導く場合がある収縮プロセスによる応力集中は防止される。分離手順が、両方の延伸方向において制御された方法で実行されるので、該ラベルは、異なる表面特性を有しているボトルからラベル1の望まれない分離を防止するために、接着層13が比較的高い接着力のために設計される場合でさえ、分割することなく分離されることができる。
【0029】
二軸延伸ポリマーフィルム層9の収縮パラメータは、二軸延伸ポリマーフィルム層9の2つの延伸方向において、積層物が洗浄期間中に、少なくとも50℃の洗浄温度で、少なくとも0.5%の収縮の程度とともに少なくとも0.6N/mmの収縮張力を達成するように設定される。それらのパラメータが観察される場合に、該ラベルがポリマーフィルム材料の二軸延伸に基づいて洗い落とされることができることは、理解される。
【0030】
実際において、選択される収縮応力の値及び収縮の程度の値がまた、分離の信頼性を増加させるために、より高くなる場合があることは、理解される。同様に、多くの場合において、洗浄温度は、50℃より高くなるように選択されることができる。しかしながら、分割することなくラベルを分離することを可能にするために、収縮応力の最大値及び最大限の収縮の程度は、越えられるべきではない。60℃の洗浄温度で、例えば3分の指示された洗浄除去期間内で、二軸延伸ポリマーフィルム層の2つの延伸方向において、積層物が最大3.5N/mmの収縮応力、最大20%の収縮の程度、より具体的には最大13%の収縮の程度を越えないように、二軸延伸ポリマーフィルム層9が設計される場合に、それは最適的になるように出現する。70℃の洗浄温度においては、収縮応力は、最大15N/mmの最大値以下とされるべきであり、特に12N/mmの最大値以下とされるべきである一方、収縮の程度は、最大55%とされるべきであり、より具体的には36%とされるべきである。80℃の洗浄温度においては、収縮応力は最大18N/mmの値を越えるべきではなく、且つ収縮の程度は最大60%を超えるべきではなく、より具体的には最大46%を越えるべきではない。90℃の洗浄温度の場合において、収縮応力は、最大20N/mmを越えるべきではなく、且つ収縮の程度は最大65%を超えるべきではなく、より具体的には50%を越えるべきではない。
【0031】
洗浄温度の関数として分離の信頼性を改善するために、収縮応力のために所定の最小限の閾値も存在するべきである。70℃の洗浄温度において、例えば、二軸延伸ポリマーフィルム層9は、その2つの延伸方向において、3分の洗浄期間中に少なくとも1.5N/mmの収縮応力のために、少なくとも4%の収縮の程度を得るべきである。80℃の洗浄温度の場合において、3分の洗浄期間内に両方の延伸方向において達成される収縮の程度は、少なくとも2%になるべきであり、同一の条件下で達成される収縮応力は、少なくとも0.8N/mmになるべきである。
【0032】
洗浄温度に応じて、ポリマーフィルム層9の収縮の程度は、PETフィルムのための下記の表1に示されるように、洗浄によって除去可能である従来のラベルのポリマーフィルム層より少ない方向的な依存性(directionally dependent)であり、且つ従来のラベルのポリマーフィルム層の収縮の程度より著しく小さくなる。
【0033】
【表1】

【0034】
フィルムの自由な収縮は、対応する温度で3分間水にフィルムを浸すことによって決定される。
【0035】
長手方向における収縮の程度は、フィルム製造機の長手フィルムウェブ方向における収縮の程度である。横断方向における収縮の程度は、長手方向機械方向に対する横方向の収縮の程度と同一視する。
【0036】
表2は、先行技術のPETフィルムと比較して、本願発明に従って使用されるような約50μmの厚さを有するPETフィルムの最大限の収縮応力を示す。両方の延伸方向において、本願発明によるPETフィルムに発生した最大源の収縮応力は、従来のフィルムの最大限の収縮応力より大きい。表2は、最大限の収縮応力の比較を示す。収縮応力は、DIN 53 369に従って決定され、温度は、50又は120°K/hのDIN変化割合(DIN change rate)の代わりに、測定チャンバー内の30℃から105℃まで20°K/hで線形的に変化させる。20°K/hの変化の割合での滞留時間(residence time)は、洗浄温度を代表する温度で約3分である。
【0037】
【表2】

【0038】
表1における上記の測定は、本願発明との関連で利用されたポリマーフィルム層の収縮の開始が、従来の、延伸された収縮可能なポリマーフィルムの場合より高い温度に位置される。この場合において、従来のフィルムと対照的に約65℃であり、約55℃から約60℃のみで収縮を開始することを示す。
【0039】
図1及び図2において示されたラベル1の場合において、外側から見られるような印刷された装飾層11は、ポリマーフィルム層9の下に保護され、その最適な位置はまた、ラベルのための製造キャリアー(production carrier)として役立つ場合がある。接着層13は、インク層11に直接的に塗布される場合がある。しかしながら、好ましくは、装飾層11と接着層13との間に接着促進物として中間層15が存在する。中間層15は、従来の下塗り層とされる場合がある。好ましくは、中間層15は、二液型ポリウレタン積層接着剤の反応層であり、装飾層11だけでなく接着層13にも架橋することができる。有利には、接着層13は、同じように、架橋ポリマーからなり、より具体的には、例えばUV活性性(UV-excitable)接着材料などの、照射(radiation)によって活性化されることができる架橋ポリマーからなる。中間層15は、ラベル1の分割抵抗(splitting resistance)を生じる。
【0040】
以下の記載において、図1及び図2のラベルの変形実施形態は図示される。同一の効果を有する構成要素は、図1及び図2の参照符号と同一であり、それらと区別のために、それらに文字を付与する。構成の説明のために、動作のモード及び任意の変形、参照符号は、図1及び図2の説明で使用される。
【0041】
図3は、分離手順の開始時での、容器5aの外側表面3aに接着されたラベル1aを示す。図1及び図2のラベル1と対照的に、装飾層11aは、二軸延伸ポリマーフィルム層9aに下塗り層17を介して印刷される。その上、この例において、装飾層11aは、接着層13aとポリマーフィルム層9aとの間に配置される。二軸延伸ポリマーフィルム層9aは、積層複合層19の構成であり、該積層複合層19において、二軸延伸ポリマーフィルム層9aは、さらなるポリマーフィルム層23に、接着層21、例えば積層接着剤の接着層21を介して二次元的に接合される。全体の積層複合層19は透明であり、それによって装飾層11aは、外側から可視状態のままである。延伸ポリマーフィルム層9a及びさらなるポリマーフィルム層23の積層物を通じて、さらなるポリマーフィルム層23が一軸延伸フィルムである場合、又は好ましくは、材料の組み立てにおいて応力を少なくするために二軸延伸フィルムである場合、ラベル1aの収縮力を増加させることが可能である。さらなるポリマーフィルム層23が縮まない設計とされる場合があることは、理解される。この場合において、ラベル1の収縮力が減少されるであろう。異なって収縮するポリマーフィルム層9a及びさらなるポリマーフィルム層23が積層される場合に、収縮によるラベルの分離運動の方向は、影響を及ぼすことができ、分離挙動は改善されることができる。
【0042】
上記に説明されたラベルにおいて、積層物における装飾層は、二軸延伸ポリマーフィルム層と接着層との間に配置される。図4におけるラベル1bの場合において、接着層13bは、直接的に取り付けられ、又は適切な場合には、二軸延伸ポリマーフィルム層9bに接着促進層を介して取り付けられる一方、装飾層11bは、ポリマーフィルム層9bの対向した側に印刷され、ここでさらに製造キャリアーとして役立つ。接着促進層25を介して、例えば積層された接着層を介して装飾層11に取り付けられるものは、保護層27である。保護層27は、保護用塗料の層とされる場合があり、あるいは、さらなる延伸ポリマーフィルム層又はさらなる非延伸ポリマーフィルムとされる場合がある。ここで、さらに、ポリマーフィルム層は、二軸延伸される場合があり、又は一軸延伸される場合がある。保護層27が保護用塗料の層として構成されるので、接着促進層25、例えば、保護層27と装飾層11bとの間の積層された接着層の必要性が存在しない。オプションは、ポリマーフィルム層9bに下塗りの形態での接着促進層の使用とされるであろう。そのような場合において、装飾層11b及び接着促進層25は、図4において、互いにそれらの位置を入れ替える。
【0043】
ポリマーフィルムが保護層27として使用される場合に、装飾層11bはまた、そのポリマーフィルムに適用される場合があり、接着促進層25、より具体的には積層された接着層を介してポリマーフィルム層9bに固定される場合がある。
【符号の説明】
【0044】
1,1a ラベル
3,3a 外側表面
5,5a 容器
7 縁部
9,9a,9b 二軸延伸ポリマーフィルム層
11,11a,11b 印刷された装飾層
13,13a,13b 接着層
15 中間層
17 下塗り層
19 積層複合層
21 接着層
23 ポリマーフィルム層
25 接着促進層
27 保護層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品(5)、より具体的には飲料用ボトルに接着されるように適合されたラベル(1)であって、
該ラベル(1)が、約50℃と約95℃との間の温度範囲から指示された洗浄温度で、洗浄液内で分離するように適合され、
前記ラベルは、
前記指示された洗浄温度で再収縮するように適合された二軸延伸ポリマーフィルム層(9)と、
印刷された装飾層(11)と、
前記物品(5)に前記ラベルを接着させるための接着層(13)、より具体的には感圧接着層と、
を少なくとも備える積層物の形態であり、
前記ポリマーフィルム層(9)は、前記指示された洗浄温度で、且つ5分以下の最大期間内で、より具体的には3分以下の最大期間内で、及び前記ポリマーフィルム層(9)がその2つの延伸方向において自由に収縮することを可能にされる状態で、前記積層物が50%以下まで互いと異なる最大限の収縮の程度を達成するように設計され、且つ、
前記延伸ポリマーフィルム層(9)はさらに、前記ポリマーフィルム層(9)の2つの延伸方向において、前記積層物が、前記指示された洗浄温度で、及び前記最大期間内で、少なくとも0.6N/mmの収縮応力及び少なくとも0.5%の収縮の程度を達成するような方法で設計されることを特徴とするラベル。
【請求項2】
前記ポリマーフィルム層(9)は、前記積層物が、前記指示された洗浄温度で、前記最大期間内で、自由な収縮状態で、前記ポリマーフィルム層の2つの延伸方向において、65%以下である最大の収縮の程度、より具体的に50%以下である最大の収縮の程度を達成することを特徴とする請求項1に記載のラベル。
【請求項3】
前記延伸ポリマーフィルム層(9)は、前記積層物が、前記ポリマーフィルム層(9)の2つの延伸方向において、及び前記最大期間内で、
a)60℃の洗浄温度で、最大3.5N/mmの収縮応力及び最大20%の収縮の程度を超えない、
且つ/又は、
b)70℃の洗浄温度で、最大15N/mmの収縮応力及び最大55%の収縮の程度を超えない、
且つ/又は、
c)80℃の洗浄温度で、最大18N/mmの収縮応力及び最大60%の収縮の程度を超えない、
且つ/又は、
d)90℃の洗浄温度で、最大20N/mmの収縮応力及び最大65%の収縮の程度を超えない、
ような方法で設計されることを特徴とする請求項1又は2に記載のラベル。
【請求項4】
物品(5)、より具体的には飲料用ボトルに接着されるように適合されたラベル(1)であって、
約50℃と約95℃との間の温度範囲から指示された洗浄温度で、洗浄液内で分離されるように適合され、
前記ラベルは、
前記指示された洗浄温度で再収縮するように適合された二軸延伸ポリマーフィルム層(9)と、
印刷された装飾層(11)と、
前記物品(5)に前記ラベルを接着するための接着層(13)、より具体的には感圧接着層と、
を少なくとも備えている形態であり、
前記ポリマーフィルム層(9)は、前記積層物が、前記指示された洗浄温度で、5分以下の最大期間内で、より具体的には3分以下の最大期間内で、及び前記ポリマーフィルム層(9)がその2つの延伸方向において自由に収縮することを可能にされる状態で、50%以下まで互いと異なり、且つ50%より小さい最大限の収縮の程度を達成し、
前記延伸されたポリマーフィルム層(9)はさらに、前記ポリマーフィルム層(9)の2つの延伸方向において、前記積層物が、前記指示された洗浄温度で、及び前記最大期間内で、少なくとも0.6N/mmの収縮応力及び少なくとも0.5%の収縮の程度を達成するような方法でさらに設計されることを特徴とするラベル。
【請求項5】
前記延伸ポリマーフィルム層(9)は、前記積層物が、前記ポリマーフィルム層(9)の前記2つの延伸方向において、前記最大期間内で、及び、
a)60℃の洗浄温度で、最大3.5N/mmの収縮応力及び最大13%の収縮の程度を超えない、
且つ/又は、
b)70℃の洗浄温度で、最大12N/mmの収縮応力及び最大36%の収縮の程度を超えない、
且つ/又は、
c)80℃の洗浄温度で、最大18N/mmの収縮応力及び最大46%の収縮の程度を超えない、
且つ/又は、
d)90℃の洗浄温度で、最大20N/mmの収縮応力及び最大50%の収縮の程度を超えない、
ような方法で設計されることを特徴とする請求項3又は4に記載のラベル。
【請求項6】
前記延伸ポリマーフィルム層(9)は、前記積層物が、前記ポリマーフィルム層(9)の2つの延伸方向において、及び前記最大期間内で、
a)70℃の洗浄温度で、最大1.5N/mmの収縮応力及び最大4%の収縮の程度を超えない、
且つ/又は、
b)80℃の洗浄温度で、最大0.8N/mmの収縮応力及び最大26%の収縮の程度を超えない、
ような方法で設計されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項7】
前記延伸ポリマーフィルム層(9)は、ポリエチレン・テレフタレート(PET)、又はポリエステル、又はポリ塩化ビニル(PVC)、又はポリエチレン(PS)、又はポリプロピレン(PP)、又はポリエチレン(PE)、又はポリ乳酸(PLA)、又は環状オレフィン・コポリマー(COC)に基づいたプラスチック材料から形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項8】
前記延伸ポリマーフィルム層(9)は、少なくとも2500MPaの弾性率を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項9】
前記延伸ポリマーフィルム層(9)は、フィルム複合層(19)の層成分であり、特に積層複合層又は一軸延伸複合層の層成分であり、
前記フィルム複合層(19)は、少なくとも1つのさらなるポリマーフィルム層(23)を備え、好ましくは、熱に対する露出で収縮する非延伸ポリマーフィルム層、一軸延伸ポリマーフィルム層、又は二軸延伸ポリマーフィルム層を備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項10】
前記接着層(13)は、ポリマーから形成され、より具体的には架橋しているポリマーから形成され、架橋している積層接着剤の中間層(15)を介して前記積層物に接合されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項11】
前記中間層(15)は、そのベース物質として二液型ポリウレタン接着剤を備えることを特徴とする請求項10に記載のラベル。
【請求項12】
前記接着層(13)は、そのベース物質として、照射、より具体的には紫外線によって架橋を活性化させるように適合された接着剤であることを特徴とする請求項10又は11に記載のラベル。
【請求項13】
前記ポリマーフィルム層(9)は、透明なプラスチック材料からなり、
前記印刷された装飾層(11)は、前記ポリマーフィルム層(9)と前記接着層(13)との間に配置されることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項14】
前記装飾層(11b)及び前記接着層(13b)は、前記延伸ポリマーフィルム層(9b)の対向した側に配置され、
前記装飾層(11b)は、前記延伸ポリマーフィルム層(9b)と保護層(27)との間に配置されることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項15】
前記ポリマー層(27)は、保護用塗装として、又はポリマーフィルム層として、より具体的には熱に対する露出で収縮する一軸延伸されたポリマーフィルム層として、好ましくは熱に対する露出で収縮する二軸延伸されたポリマーフィルム層として設計されることを特徴とする請求項14に記載のラベル。
【請求項16】
容器、より具体的には、飲料用ボトルであって、
請求項1〜15のいずれか一項に記載のラベル(1)が前記容器に接着されることを特徴とする容器。
【請求項17】
物品(5)、より具体的には飲料用ボトルにラベル(1)を接着し、前記物品(5)から前記ラベル(1)を分離する方法であって、
前記ラベル(1)は、前記物品(5)に接着されるように適合され、
前記ラベル(1)は、熱に露出される場合に再収縮する二軸延伸ポリマーフィルム(9)と、印刷された装飾層(11)と、前記物品(5)に接着剤を塗布する接着層(13)と、を備える形態であり、
前記ラベル(1)は、前記物品(5)にその接着層(13)によって接着され、前記ラベル(1)は、前記ラベルの分離の目的のために、約50℃と約95℃との間の範囲における指示された洗浄温度を有する洗浄液体で処理され、それによって、前記ポリマーフィルム層(9)が再収縮し、その際、前記接着層(13)の接着力に打ち勝つ、方法において、
前記ポリマーフィルム層(9)は、前記積層物が、前記指示された洗浄温度で、5分以下の最大期間内で、より具体的には3分以下の最大期間内で、及び前記ポリマーフィルム層(9)がその2つの延伸方向において自由に収縮することを可能にされる状態で、65%以下まで収縮し、より具体的には50%以下まで収縮し、2つの延伸方向における収縮の程度が、50%以下まで互いと異なるように設計され、
前記ポリマーフィルム(9)はさらに、前記積層物が、2つの延伸方向において、前記指示された洗浄温度で、及び前記最大期間内で、少なくとも0.6N/mmの収縮応力及び少なくとも0.5%の収縮の程度を達成するような方法で設計されることを特徴とする方法。
【請求項18】
前記ポリマーフィルム層(9)は、前記積層物が、前記ポリマーフィルム層(9)の前記2つの延伸方向において、前記最大期間内で、
a)60℃の洗浄温度で、最大3.5N/mmの収縮応力及び最大20%の収縮の程度、より具体的には最大13%の収縮の程度を超えない、
且つ/又は、
b)70℃の洗浄温度で、最大15N/mmの収縮応力、より具体的には最大12N/mmの収縮応力、及び最大55%の収縮の程度、より具体的には最大36%の収縮の程度を超えない、
且つ/又は、
c)80℃の洗浄温度で、最大18N/mmの収縮応力及び最大60%の収縮の程度、より具体的には最大46%の収縮の程度を超えない、
且つ/又は、
d)90℃の洗浄温度で、最大20N/mmの収縮応力及び最大650%の収縮の程度、より具体的には最大50%の収縮の程度を超えない、
ような方法で設計されることを特徴とする請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−502305(P2012−502305A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−525539(P2011−525539)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【国際出願番号】PCT/EP2009/061351
【国際公開番号】WO2010/026163
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(511055452)ツェーツェーエル・ラベル・メラーネ・ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】