説明

ラベルプリンタ

【課題】 第1のラベルの粘着剤層に第2のラベルの粘着剤層を向き合わせて積層し、第2のラベルに印字された情報を隠蔽して貼付することに適したラベルプリンタを提供すること。
【解決手段】 剥離シートSに第1のラベルL1と、これより平面積が小さい第2のラベルL2が仮着された原反Mを繰り出す途中で第1及び第2のラベルL1,L2にそれぞれ印字を行う印字手段12と、第1及び第2のラベルL1,L2を剥離シートSから剥離するピールプレート27と、剥離された各ラベルL1,L2を保持する第1及び第2のラベル吸着プレート30,31と、第1のラベルの粘着剤層に第2のラベルの粘着剤層を向き合わせて第1及び第2のラベルL1,L2を積層する積層手段17とを備えている。第2のラベルを積層した第1のラベルは、粘着剤層が第2のラベルの外周全域に閉ループ状に表出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はラベルプリンタに係り、更に詳しくは、第1のラベルの粘着剤層側に第2のラベルを位置させて当該第2のラベルを第1のラベルと被着体との間に挟み込んで貼付することに適したラベルプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
近時、インターネットやテレビショッピング等の普遍的な拡大に伴い、伝統的な店頭販売に加えて通信販売が普及するに至っている。後者の販売方法は、配送業者が販売者に代わって商品を消費者に届けるものであり、それに伴う代金支払いは、銀行振り込み、クレジットカードによる決済、郵便振替、コンビニエンスストアでの支払いが周知の手法として採用されている。この一方、金融機関等に出向く手間を面倒に感じる消費者や、個人情報の漏洩を危惧する消費者にとっては、代金引換方法が多く採用されている。
【0003】
代金引換方法による場合には、配送業者が集金代行業務を兼務することになる関係上、消費者に商品を引き渡して集金を行った際に領収書を発行しなければならないことになる。この領収書は、梱包された商品の価値を金額より把握できる性質を有しているため、盗難防止等の観点からは秘匿すべき情報となる。また、梱包された商品の内容を示す商品名等も、消費者のプライバシーに関わる秘匿情報であり、特に、商品名等は、配送業者にも知られたくない事項である。
この点、配送伝票の構造が複数枚の帳票を積層して束ねられたものであれば、当該配送伝票の一部に領収書や商品名記載を行って秘密性を担保した状態で商品を消費者に手渡すことができるが、このタイプの配送伝票を用いた場合には、利用できるラベルプリンタが限定されてしまうことになる。
そこで、プリンタの制約を解消するために、枚葉タイプの配送伝票を採用すればよいことになるが、当該配送伝票では、他人に見られたくない秘匿情報も外部より見えてしまうことになる。
【0004】
特許文献1には、枚葉タイプの配送伝票として用いることができるラベルが開示されている。同ラベルは公開情報帳票部に秘匿情報帳票部が連設された枚葉タイプであり、秘匿情報帳票部を公開情報帳票部の裏面側に折り返して当該公開情報帳票部を被着体に貼付することで、秘匿情報帳票部を外部から見ることができない構成となっている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−246882号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたラベルは、ラベルを手作業によって折り返す工程が必要になる、という不都合がある。また、裏面側に折り返したラベルの外周全域に粘着剤層が表出するものではなく、一部の領域に粘着剤層が表出する状態となる。つまり、ラベルの折り返し縁に沿う領域は被着体に接着されない状態となり、貼付された後のラベルの外周が部分的に浮き上がったり、波打ったりし、これにより、ラベルの意図しない剥離を招来するという不都合がある。
【0007】
[発明の目的]
本発明は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、大小のラベルを自動的に積層することができるとともに、小さい平面積となるラベルに秘匿情報を印刷して当該ラベルを大きい平面積となるラベルと被着体との間に隠蔽した状態で貼付することに適したラベルプリンタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明のラベルプリンタは、剥離シートの一方の面に第1のラベル及び当該第1のラベルよりも平面積が小さい第2のラベルが仮着された原反を繰り出す繰出手段と、前記原反を繰り出す途中で前記第1及び第2のラベルにそれぞれ印字を行う印字手段と、前記剥離シートから第1及び第2のラベルを剥離する剥離手段と、当該剥離手段で剥離された第1及び第2のラベルを保持する第1及び第2のラベル保持手段と、前記第1のラベルの粘着剤層に第2のラベルの粘着剤層が向き合うように第1及び第2のラベルを積層させる積層手段とを備える、という構成を採っている。
【0009】
本発明において、前記第2のラベルの外周側に、第1のラベルの粘着剤層が閉ループ状に表出するように当該第1のラベルに第2のラベルが積層される、という構成が採用されている。
【0010】
また、前記第1のラベル保持手段はシリンダ装置に支持されて所定の被着体に対して進退可能に設けられ、第1のラベル保持手段が被着体に押圧されたときに、第1のラベルの外周側に表出する粘着剤層を介して第2のラベルが第1のラベルと被着体との間に挟み込まれる、という構成を採っている。
【0011】
更に、前記第1及び第2のラベル保持手段は、第1のラベル吸着プレートと第2のラベル吸着プレートとを含み、当該第2の吸着プレートは、ラベル繰り出し方向に沿って進退可能に設けられている。
【0012】
また、前記第1のラベルの面内に、第2のラベルを積層した状態で第1のラベルを部分的に切り取り可能とする切り取り線が形成される、という構成を採っている。
この際、前記切り取り線に沿う所定箇所に切欠部が形成され、この切欠部は、前記第2のラベルが第1のラベルと被着体との間に挟み込まれた状態で貼付された後の捲り部を形成することができる。
【0013】
更に、前記第1の保持手段と第2の保持手段のラベル吸着面は第1及び第2のラベルの平面積に略対応するように設けられている。
【発明の効果】
【0014】
本発明のラベルプリンタによれば、第2のラベルが第1のラベルよりも平面積が小さく形成され、第2のラベルを第1のラベルに積層した後に、第1のラベルと被着体との間に第2のラベルを挟み込んで貼付することができるので、第1のラベルの外周全域を被着体に粘着させることが可能となる。従って、貼付された後のラベル外周の部分的な浮き上がり等を効果的に防止することができ、第2のラベルに印刷された情報を完全に隠蔽することが可能となる。
【0015】
また、第2のラベル吸着プレートが、ラベル繰り出し方向に沿って進退可能に設けられているため、第2のラベルを第1のラベルの粘着剤層側に貼付する際の、前記繰出方向に沿う位置調整が可能となる。
【0016】
更に、第1のラベルの面内に切り取り線と切欠部を形成することにより、第2のラベルが第1のラベルの一部と共に容易に切り取りできる一方、この切り取りに際して捲り部を利用することが可能となる。
【0017】
また、第1の保持手段と第2の保持手段のラベル吸着面が第1及び第2のラベルの平面積に略対応することにより、各ラベルの吸着位置調整が極めて容易となり、第1及び第2のラベルの積層位置精度を良好に維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1には、本実施形態に係るラベルプリンタの概略正面図が示され、図2には、その概略平面図が示されている。これらの図において、ラベルプリンタ10は、プリンタケースCと、当該プリンタケースCの領域内に設けられるとともに、帯状をなす剥離シートSの一方の面に第1及び第2のラベルL1,L2が仮着された原反Mを繰出可能に支持する繰出手段としての支持ロール11と、原反Mを繰り出す途中で前記第1及び第2のラベルL1,L2に印字を行う印字手段12と、剥離シートSから第1及び第2のラベルL1,L2を剥離する剥離手段13と、当該剥離手段13で剥離された第1及び第2のラベルL1,L2を保持する第1及び第2のラベル保持手段15,16と、前記第1のラベルの粘着剤層に第2のラベルL2の粘着剤層が向き合うように第1及び第2のラベルL1,L2を積層する積層手段17と、前記原反Mに繰出力を付与する繰出力付与手段18と、第1及び第2のラベルL1,L2が剥離された後の剥離シートSを巻き取る巻取手段19とを備えて構成されている。なお、前記プリンタケースCは、前記剥離手段13の前方(図1中左方)から第1及び第2のラベルL1,L2を排出する図示しない排出口が形成されている。
【0020】
本実施形態における原反Mは、図2に示されるように、剥離シートSの一方の面に仮着された第1及び第2のラベルL1,L2を含む。これら第1及び第2のラベルL1,L2は、剥離シートSの幅方向(図2中上下方向)に沿って各一枚ずつ並ぶ対を一組とし、これが剥離シートSの延出方向に沿って所定間隔を隔てて断続的に配置され、第2のラベルL2は、第1のラベルL1の平面積よりも小さく形成されている。具体的には、第2のラベルL2の長さ(図2中左右寸法)と幅(同図中上下寸法)は、第1のラベルL1の長さと幅よりも短い略方形に設けられている。また、第2のラベルL2の後端L2e位置と、第1のラベルL1の後端L1e位置は、剥離シートSの幅方向に沿う略同一線上に設定され、これにより、第2のラベルL2の剥離開始タイミングは、第1のラベルL1の剥離開始タイミングよりも若干遅れる一方、剥離終了タイミングは略一致するようになっている。これら第1及び第2のラベルL1,L2は、裏面側に設けられた粘着剤層を介して剥離シートSにそれぞれ仮着されている。なお、原反Mは、剥離シートSと同一幅となる帯状のラベル基材に第1及び第2のラベルL1,L2の形状に対応した切り込み(ハーフカット)を所定間隔毎に形成し、ラベルL1,L2の外周側のラベル基材部分をカスとして剥離することによって形成されている。但し、ハーフカットを形成するダイカット装置や、カス巻取装置をラベルプリンタ10内に設けることにより、第1及び第2のラベルL1,L2を形成しながらこれら第1及び第2のラベルL1,L2に印字を行うこともできる。
【0021】
図2に示されるように、前記第1のラベルL1の面内には、前記第2のラベルL2の外形サイズに対応した切り取り線としてのミシン目PLがそれぞれ形成されている。このミシン目PLは、第1のラベルL1の裏面すなわち粘着剤層に、第2のラベルL2の粘着剤層が向き合うように各ラベルL1,L2を積層した後に、当該第2のラベルL2と共に、第1のラベルL1の外周領域を除く内側領域を切り取りできるようにするものである。なお、ミシン目PLに替えて、連続する切り込みを形成してもよい。また、ミシン目PLの一つのコーナー領域には、第1のラベルL1を部分的に抜いて形成された捲り部Laが形成され、この捲り部Laにより、前記ミシン目PL位置にて第1のラベルL1の内側領域を第2のラベルL2と共に切り取るときの捲り操作が容易に行われる。本実施形態において、前記第1のラベルL1には、例えば、被着体が宅配商品である場合の当該商品の受取人住所、送り主等、秘匿の必要性のない情報が印字される一方、第2のラベルL2には、公開を欲しない秘匿情報が印字される。
【0022】
前記印字手段12は、ロール状に巻回されたインキリボンRを保持するリボン保持ロール20と、当該リボン保持ロール20から繰り出されたインキリボンRが巻き掛けられて所定の印字情報を印字する印字ヘッド21と、原反Mを介して印字ヘッド21に対向するプラテンロール22と、インキリボンRのリボン巻取ロール23と、当該リボン巻取ロール23を回転駆動させる図示しない駆動装置とを備えて構成されている。本実施形態における印字ヘッド21は第1及び第2のラベルL1,L2にそれぞれ印字を行うサーマルヘッドにより構成され、インキリボンRを使用して印字しているが、感熱紙によって第1及び第2のラベルL1,L2を構成すればインキリボンRは不要である。また、サーマルヘッドに替えて、インクジェットプリンタ、レーザプリンタ等も採用することができる。
【0023】
前記剥離手段13は、前記印字ヘッド21に対して、原反Mの繰出方向下流側に配置されたピールプレート27により構成され、当該ピールプレート27の先端位置で、原反Mを急激に反転させることで、剥離シートSから第1及び第2のラベルL1,L2がそれぞれ剥離できるように構成されている。
【0024】
前記第1及び第2のラベル保持手段15,16は、前記第1及び第2のラベルL1,L2の平面積に略対応した平面積となる吸着面を下面側に有する第1及び第2のラベル吸着プレート30,31を備えて構成されている。これら第1及び第2のラベル吸着プレート30,31は、前記プリンタケースCの前端面(図1中左端面)に固定された後部フレームF1と、当該後部フレームF1に連結フレームF2,F2を介して連結された前部フレームF3との下部間に配置されている。ここで、第1のラベル吸着プレート30は、その後端30Aが、後部フレームF1の下端よりも後方(図1中右方)に延びてピールプレート27の先端直近位置となるように配置されている。また、第1のラベル吸着プレート30は、後部フレームF1の面内にブラケット32を介して固定されたシリンダ装置33に支持されており、搬送路P(図4参照)に沿って下方を通過する被着体Wの上面に対して進退可能に設けられている。
【0025】
前記第2のラベル吸着プレート31は、前記積層手段17を介して後部フレームF1と前部フレームF3との間に支持されている。積層手段17は、後部フレームF1及び前部フレームF3の下部相対面にそれぞれ固定された一対の軸受プレート35,36と、これら軸受プレート35,36の下部間に延びるとともに、前端側(図1中左端側)が軸受プレート36を貫通して前方に延びる長さを備えた回転軸38と、当該回転軸38に固定されて前記軸受プレート35,36の内方に位置する一対の旋回軸固定プレート40,41と、これら旋回軸固定プレート40,41の上部間に固定された旋回軸43と、当該旋回軸43及び前記回転軸38に跨る状態で固定された側面視略L型をなす第1アーム45及び第2アーム46と、これら第1、第2アーム45,46と第2のラベル吸着プレート31との間に位置して当該第2のラベル吸着プレート31を第1、第2アーム45,46に連結する複数のボルト50と、前記回転軸38に回転力を付与する回転駆動装置51と、第2のラベル吸着プレート31をラベル繰出方向に沿って進退させる進退装置52とを備えて構成されている。
【0026】
前記旋回軸43において、第1及び第2アーム45,46の図1中各右側には、環状のばね受け部材53,54が固定されており、これらばね受け部材53,54と第1,第2アーム45,46との間にコイルばね56,57が介装され、これにより、第1、第2アーム45,46は、旋回軸43の前方に付勢される。この一方、旋回軸43の略中央部に固定されたストッパ58で第1アーム45の移動が規制され、初期位置、つまり、回転後の第2のラベル吸着プレート31に吸着された第2のラベルL2が、第1のラベルL1のミシン目PL内に貼り合わせられる位置で止まるようになっている。
【0027】
前記回転駆動装置51は、前部フレームF3の後面(内面)側に固定されたロータリーアクチュエータ60と、このロータリーアクチュエータ60の出力軸に固定された上部プーリ61と、前記回転軸38の前端に固定された下部プーリ63と、これら上下の各プーリ61,63間に掛け回されたタイミングベルト64とにより構成されている。この回転駆動装置51は、ロータリーアクチュエータ60が駆動することにより、前記回転軸38が回転可能となり、この回転軸38を回転中心位置として旋回軸43と共に第1及び第2のアーム45,46が回転し、これら第1及び第2のアーム45,46に固定されている第2のラベル吸着プレート31が第1のラベル吸着プレート30の下面側に上下面を反転する状態で回転可能となる。
【0028】
前記進退装置52は、前部フレームF3の前面に固定されるとともに、ピストンロッド66が前部フレームF3を貫通して当該前部フレームF3の内側に延びるように配置されたエアシリンダ67と、ピストンロッド66の先端に固定されて前記第2のラベル吸着プレート30の前端面に接する当接パッド68とにより構成されている。この進退装置52は、ピストンロッド66が突出したときに、図3に示されるように、コイルばね56,57の付勢力に抗して第2のラベル吸着プレート31をピールプレート27側に後退させ、第2のラベル吸着プレート31の後端31Aが第1のラベル吸着プレート30の後端30Aと略同一直線上に位置するようになっている。この一方、ピストンロッド66が引き込まれた位置にあるときに、前記コイルばね56,57の付勢力により、第2のラベル吸着プレート31は初期位置に戻るようになっている。
【0029】
前記駆動手段18は、駆動ロール70と、当該駆動ロール70との間に剥離シートSを挟み込むピンチロール71と、駆動ロール70を回転駆動させるモータAとにより構成されている。
【0030】
前記巻取手段19は、剥離シートSのリード端を固定して当該剥離シートSを巻き取る巻取ロール80により構成されている。この巻取ロール80は、前記プリンタケースCの背面側に図示しなし回転軸が突出しており、当該回転軸は、駆動手段18を構成する前記モータAの出力軸にプーリ、ベルト等の図示しない動力伝達手段を介して駆動可能に設けられ、これにより、剥離シートSの巻き取りを行えるようになっている。
【0031】
次に、本実施形態の全体動作について、図4ないし図8をも参照しながら説明する。ここで、説明の便宜上、被着体Wは、宅配商品であるとし、第1及び第2のラベルL1,L2には、当該商品の配達先情報を含む関連情報が印字されるものとする。
【0032】
予め、図示しない入力装置及び制御装置を介して所定の印字情報が入力され、駆動手段18のモータAが駆動することにより、原反Mの繰り出しと、剥離シートSの巻き取り動作が開始される。この際、初期位置に位置していた第2のラベル吸着プレート31は、前記進退装置52を構成するエアシリンダ67の駆動に伴う当接パッド68の押圧力により、コイルばね56,57の付勢力に抗して第1及び第2のアーム45,46と共にピールプレート27側に移動する(図3参照)。この移動量は、第2のラベル吸着プレート31の後端31Aが第1のラベル吸着プレート30の後端30Aと略一致するまでの長さとなっている。これにより、第1及び第2のラベル吸着プレート30,31の各吸着面全域に第1及び第2のラベルL1,L2を吸着保持する状態が確保される。
【0033】
第1及び第2のラベルL1,L2には、印字ヘッド21を通過する際に予め入力された情報が印字される。この印字に際し、第1のラベルL1には受取人の住所、氏名、送り主の住所、名称等、秘匿の必要性のない情報が印字される。この一方、第2のラベルL2には、例えば、領収書としての機能を発揮させるべく領収金額、商品名等の秘匿情報及び日付等が印字される。なお、送り主の名称は、商品の内容によっては秘匿情報となる場合もある。
【0034】
印字された第1及び第2のラベルL1,L2は、ピールプレート27の先端位置で剥離され、前記第1のラベルL1は第1のラベル吸着プレート30に吸着保持される一方、第2のラベルL2は第2のラベル吸着プレート31に吸着保持される(図4参照)。
【0035】
このようにして、各ラベル吸着プレート30,31に第1及び第2のラベルL1,L2が吸着されると、前記エアシリンダ67のピストンロッド66が引き戻され、これに伴って当接パッド68がエアシリンダ67側に移動する。これにより、コイルばね56,57の付勢力により、第1及び第2のアーム45,46が回転軸38及び旋回軸43の軸線に沿って移動し、これに保持されている第2のラベル吸着プレート31が初期位置に復帰する(図2参照)。
【0036】
次いで、図5に示されるように、回転駆動装置51のロータリーアクチュエータ60が回転し、プーリ61,63及びタイミングベルト64を介して回転軸38が回転し、これに固定されている旋回軸固定プレート40,41を介して旋回軸43、第1,第2のアーム45,46及び第2のラベル吸着プレート31が一体となって図5中時計方向に向かって回転する。この回転角度は、略180度であり、これにより、第2の吸着プレート31が第1の吸着プレート30に対して略平行な位置まで回転し、第1のラベルL1の粘着剤層に、第2のラベルL2の粘着剤層を向き合わせて第1及び第2のラベルL1,L2が積層され、これにより、第2のラベルL2の外周に第1のラベルL1の粘着剤層が閉ループ状に表出することとなる。
【0037】
前記積層が完了すると、第2の吸着プレート31は、初期位置に復帰し(図6参照)、第1のラベル吸着プレート30は、シリンダ装置33を介して下方に移動し、第1のラベル吸着プレート30の下方で待機する被着体Wの面に押圧され、第2のラベルL2を第1のラベルL1と被着体Wとの間に挟み込んだ状態で、第1のラベルL1の粘着剤層が被着体Wの面に貼付することとなる(図7参照)。この状態では、第2のラベルL2の外周側全域に第1のラベルL1の粘着剤層が粘着しているため、貼付された後のラベル外周が部分的に浮き上がったりする領域はないものとなる。
【0038】
被着体Wに貼付された第1及び第2のラベルL1,L2は、前記ミシン目PLで囲まれる内側を切り取ることができる。この際、捲り部Laに指先を引っかけて上方に引き上げるように操作することで、ミシン目PLの内側領域を全体的に捲り取ることができ(図7,図8参照)、これにより、第2のラベルL2に印字された内容を確認することができ、必要に応じて保管することができる。
【0039】
従って、このような実施形態によれば、枚葉タイプのラベルを用いて印字を行い、秘匿情報を隠蔽した状態で被着体に貼付する機能を備えたラベルプリンタを提供することが可能となる。また、貼付されたラベルは、その外周側に非粘着領域の存在が無く、以後の不用意なる捲れ、剥離が防止されることとなる。
【0040】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施形態に対し、形状、位置若しくは配置等に関し、必要に応じて当業者が様々な変更を加えることができるものである。
【0041】
例えば、本発明に適用される第1のラベルL1のミシン目PLは、図示構成例に限定されるものではなく、更に細分化することができるミシン目としてもよい。この際、第2のラベルL2にも同様のミシン目や、切り取り線を形成しておくことで、被着体Wから剥離する単位を複数にすることができる。
【0042】
また、第2のラベルにも捲り部Laに位置する部分に切欠きを設けてもよい。これによって、前記ミシン目PL位置にて第1のラベルL1の内側領域を第2のラベルL2と共に切り取るときの捲り操作がより簡単に行われる。
【0043】
また、ラベルLの平面形状は、方形に限らず、多角形、円形、楕円形等、種々の平面形状を備えたものを対象とすることができる。要するに、本発明は、ラベルに印字を行って秘匿情報を隠した状態で貼付することができ、しかも、第2のラベルL2の外周全域に、第1のラベルL1の粘着剤層が表出して被着体に貼付することができるものである限り、種々の設計変更が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本実施形態に係るラベルプリンタの概略正面図。
【図2】前記ラベルプリンタの要部概略平面図。
【図3】第2のラベル吸着プレートがピールプレート側に移動した状態を示す要部概略平面図。
【図4】前記ラベルプリンタの概略側面図。
【図5】第2のラベル吸着プレートが第1のラベル吸着プレートの下面側に回転した状態を示す概略側面図。
【図6】第1及び第2のラベルを積層した状態で被着体に貼付する状態を示す概略側面図。
【図7】被着体にラベルが貼付された状態を示す概略斜視図。
【図8】被着体に貼付されたラベルの内側領域をミシン目に沿って切り取った状態を示す概略斜視図。
【符号の説明】
【0045】
10 ラベルプリンタ
11 支持ロール(繰出手段)
12 印字手段
13 剥離手段
15 第1のラベル保持手段
16 第2のラベル保持手段
17 積層手段
27 ピールプレート
30 第1のラベル吸着プレート
31 第2のラベル吸着プレート
33 シリンダ装置
52 進退装置
L1 第1のラベル
L2 第2のラベル
M 原反
S 剥離シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
剥離シートの一方の面に第1のラベル及び当該第1のラベルよりも平面積が小さい第2のラベルが仮着された原反を繰り出す繰出手段と、前記原反を繰り出す途中で前記第1及び第2のラベルにそれぞれ印字を行う印字手段と、前記剥離シートから第1及び第2のラベルを剥離する剥離手段と、当該剥離手段で剥離された第1及び第2のラベルを保持する第1及び第2のラベル保持手段と、前記第1のラベルの粘着剤層に第2のラベルの粘着剤層が向き合うように第1及び第2のラベルを積層させる積層手段とを備えたことを特徴とするラベルプリンタ。
【請求項2】
前記第2のラベルの外周側に、第1のラベルの粘着剤層が閉ループ状に表出するように当該第1のラベルに第2のラベルが積層されることを特徴とする請求項1記載のラベルプリンタ。
【請求項3】
前記第1のラベル保持手段はシリンダ装置に支持されて所定の被着体に対して進退可能に設けられ、第1のラベル保持手段が被着体に押圧されたときに、第1のラベルの外周側に表出する粘着剤層を介して第2のラベルが第1のラベルと被着体との間に挟み込まれることを特徴とする請求項1又は2記載のラベルプリンタ。
【請求項4】
前記第1及び第2のラベル保持手段は、第1のラベル吸着プレートと第2のラベル吸着プレートとを含み、当該第2の吸着プレートは、ラベル繰り出し方向に沿って進退可能に設けられていることを特徴とする請求項1,2又は3記載のラベルプリンタ。
【請求項5】
前記第1のラベルの面内に、第2のラベルを積層した状態で第1のラベルを部分的に切り取り可能とする切り取り線が形成されていることを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載のラベルプリンタ。
【請求項6】
前記切り取り線に沿う所定箇所に切欠部が形成され、この切欠部は、前記第2のラベルが第1のラベルと被着体との間に挟み込まれた状態で貼付された後の捲り部を形成することを特徴とする請求項5記載のラベルプリンタ。
【請求項7】
前記第1の保持手段と第2の保持手段のラベル吸着面は第1及び第2のラベルの平面積に略対応していることを特徴とする請求項1ないし6の何れかに記載のラベルプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−205413(P2006−205413A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−17671(P2005−17671)
【出願日】平成17年1月26日(2005.1.26)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】