説明

ラベル連続体およびラベル連続体の加工方法

【課題】ラベル片を一枚ごとセパレータから剥がし易いようにセパレータに切込み線からなる背割りを設けたにも関わらず、ラベル片が歪んだりシワが生じることがなく、さらに、ラベルプリンタで印字する際には紙が破れたり、印字障害が発生することがないラベル連続体およびラベル連続体の加工方法を提供する。
【解決手段】ラベル基材5と粘着剤層6とセパレータ7とがこの順に積層された長尺帯状の粘着紙2に、ラベル基材5側から粘着剤層6に至るハーフカットを所定間隔で繰り返し、ラベル片4の周囲のラベルカス9を除去したラベル連続体10である。前記セパレータ7に長手方向に延びた切込み線からなる背割り8を形成する。その背割り8は、ラベル連続体10の長手方向と平行な部分と、非平行な部分とを組み合わせて形成しておく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベル連続体と、その加工方法に関し、特に、セパレータから剥がし易く、手作業での貼り付けが容易で使い易いラベルと、そのラベルを効率良く加工する加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シールやラベル製品に用いる粘着紙は、ラベル基材、粘着剤層およびセパレータをこの順に積層したものである。粘着紙は、片面に剥離剤層を設けたセパレータの剥離剤層側に液状の粘着剤を塗工し、粘着剤の水分または溶剤を蒸発させた後、乾燥した粘着剤層にラベル基材を貼り合わせて作成される。この他、ラベル基材に粘着剤を直接塗工し、乾燥させた後にセパレータと貼り合わせる場合もある。このような工程を経て作成された粘着紙は、所定の幅にスリットされ、粘着原紙ロールになる。
【0003】
所定幅にスリットされた粘着原紙ロールは、図10に示すような印刷機(ラベル加工機)20でラベル加工される。
図10は、ラベル加工機の一例であるラベル加工機20の概略側面図である。
図11は、ラベル加工機のカス上げ工程を示す要部斜視図である。
図12は、従来のラベル連続体を巻回したラベルロールの斜視図である。
図13は、ラベル連続体のラベル基材側の平面図と断面図である。
【0004】
図10のラベル加工機20による加工方法を概説すると、巻出し部30の供給軸31に帯状の粘着紙2をロール状に巻いた粘着原紙ロール32が装着され、粘着紙2が供給軸31から巻き出される。粘着紙2は、ガイドロール22に案内されて裏面印刷工程40から第1の表面印刷工程50に至り、続いてガイドロール23、24、25および26に案内されて第2の表面印刷工程60に至る。裏面印刷工程40では、セパレータの裏面にタイミングマーク(不図示)が印刷され、第1の表面印刷工程50および第2の表面印刷工程60では、粘着紙2のラベル基材5へ文字や画像11が印刷される。印刷が施された粘着紙2は、続いてガイドロール27に案内されて、ダイカット工程70へ進み、所望のサイズにハーフカットされた後、図11に示すようにカス取りロール75でハーフカット周囲の不要な部分(以下、ラベルカス9と称す。)が引き剥がされる。
【0005】
図11に示すように粘着紙2は、セパレータ7の表面にラベル片4が一定間隔で並んだラベル連続体10となり、ガイドロール29を経て巻き取り部80の巻き取り軸81に巻き取られ、マスターロール82となる(図10参照)。ラベルカス9は、カス巻き取り部90の巻き取り軸91に巻き取られる。前述のラベル加工機や加工方法は一般的なものであり、ラベルを効率良く生産する方法として普及している。
【0006】
巻き取り軸81に巻き取られたラベル連続体10は、その後、所定の長さや枚数に小巻きされて図12に示すラベルロール15となる。または、所望の枚数単位(例えば1シートあたりラベル片が5枚等)のシート状に仕上げられ、製品となる。
【0007】
このようにして仕上げられたラベル連続体10は、用途に応じてそのままの状態で使用されたり、あるいは、ラベルプリンタ(不図示)で表面に印字が施された後に所望の物品に貼り付けられたりする。貼り付け作業は、自動貼り機を用いることもあるが、手作業でラベル片4を1枚ずつセパレータ7から剥がして貼る場合も多い。
【0008】
ラベルを手作業で貼り付ける際の作業効率向上を目的とし、セパレータ7に切込みを設けたラベルがある。図13に示すラベル連続体10は、その長手方向と平行にセパレータ7へ直線状の切込み8を設けた例である。この切込み8は「背割り」と呼ばれ、ダイカット工程70の上流でダイロール101や回転刃をセパレータ7に押し当てて形成している(図8参照)。
【0009】
図13に示すラベル連続体10の場合、セパレータ7はほぼ中央の背割り8によってセパレータ7aとセパレータ7bとに分割されている。例えば、ラベル片4を1枚だけ貼付ける場合、セパレータ7aとセパレータ7bのうちどちらかを先に剥がすと、ラベルの貼り付け作業が楽になる。ラベル片4を大量に貼付ける場合には、貼り付け作業の現場にて、ラベル片4が複数枚連なったラベル連続体10(例えば長さ30cm程度)の片側、即ちセパレータ7aを手に持ち、ラベル片4からセパレータ7bを引き剥がす。すると、セパレータ7bを引き剥がす単一の動作だけで各ラベル片4からセパレータ7bが次々に剥がされ、粘着剤6が露出する。その後は、セパレータ7aを持ってラベル片4を1枚ずつ剥がし、所定の被着体に貼付けて行く。この時、各ラベル片4は、その半分の面積の粘着剤6が既にむき出しになっているため、セパレータ7aから剥がし易くなり、貼り付けの作業効率が良くなる。
【0010】
しかし、図12に示すように、ラベル連続体10をロール状に仕上げると、背割り8の付近が盛り上がる場合がある。背割り8は、セパレータ7の裏面側からダイロール101の刃や回転刃を押し当てて形成するため、背割り8の両脇に紙がかき分けられて僅かに厚さを増す。粘着紙1枚における厚さの増加は僅かであるが、ロール状に巻回されて何層も重なるうちに「厚さの差」が累積し、背割り8の付近が盛り上がり、ラベル片4が歪んでシワ48が生じる。ラベル片4同士の間隙に切り離し用のミシン目(不図示)が設けてある場合は、盛り上がった部分に力が集中し、そこからミシン目が切れることもある。また、ラベル連続体10がプリンタ印字用のラベルである場合には、ラベル片4に歪みやシワ48が生じていると印字した文字やバーコードが、かすれるおそれもある。
【0011】
また、背割り8付近の盛り上がりに伴って背割り8の切込み自体が広がり、粘着剤6が露出することもある。粘着剤6が露出すると、ロール状に仕上げたラベル連続体10では、一周隣のラベル表面に粘着剤が転移し、ラベル基材5やセパレータ7が破れたり、印字障害が発生したりする。さらには、ラベルプリンタの走行経路に粘着剤が付着して走行が妨げられる場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2002−273803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は上記の課題を解決するためなされたもので、ラベル片を一枚ごとセパレータから剥がし易いようにセパレータに背割りを設けた場合でもラベル片が歪んだりシワが生じることがなく、さらに、ラベルプリンタで印字する際には紙が破れたり、印字障害が発生することがないラベル連続体およびラベル連続体の加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。
【0015】
請求項1の発明は、ラベル基材と粘着剤層とセパレータとがこの順に積層された長尺帯状の粘着紙に、ラベル基材側から粘着剤層に至るハーフカットを所定間隔で繰り返し、ラベル片の周囲のラベルカスを除去したラベル連続体であって、前記セパレータに長手方向に延びた切込み線からなる背割りが形成してあり、前記背割りは、ラベル連続体の長手方向と平行な部分と、非平行な部分とを組み合わせて形成されていること、を特徴とするラベル連続体である。
請求項2の発明は、請求項1に記載のラベル連続体において、前記背割りは、直線の組み合わせ、または、直線と曲線との組み合わせにより形成されていること、を特徴とするラベル連続体である。
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のラベル連続体において、前記背割りは、一定の周期でラベル連続体の幅方向を往復変位するように形成されていること、を特徴とするラベル連続体である。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のラベル連続体において、前記背割りは、ラベル連続体の間隔と同期した周期でラベル連続体の幅方向を往復変位すること、を特徴とするラベル連続体である。
請求項5の発明は、ラベル基材と粘着剤層とセパレータとがこの順に積層された長尺帯状の粘着紙を加工するラベル連続体の加工方法であって、前記粘着紙のセパレータに、その長手方向に延びる切込み線からなる背割りを形成する背割り工程と、前記粘着紙に、ラベル基材側から粘着剤層に至るハーフカットを所定間隔で繰り返し、ハーフカット線でラベル片を区画形成していくダイカット工程と、前記ハーフカット線で区画されたラベル片の周囲のラベルカスを連続的に除去するカス上げ工程とを含み、前記背割りを、ラベル連続体の長手方向と平行な部分と、非平行な部分とを組み合わせて形成すること、を特徴とするラベル連続体の加工方法である。
請求項6の発明は、請求項5に記載のラベル連続体の加工方法において、前記背割りを、直線の組み合わせ、または、直線と曲線との組み合わせにより形成すること、を特徴とするラベル連続体の加工方法である。
請求項7の発明は、請求項5または請求項6に記載のラベル連続体の加工方法において、前記背割りを、一定の周期でラベル連続体の幅方向を往復変位するように形成すること、を特徴とするラベル連続体の加工方法である。
請求項8の発明は、請求項5から請求項7までのいずれか1項に記載のラベル連続体の加工方法において、前記背割りを、ラベル連続体の間隔と同期した周期でラベル連続体の幅方向を往復変位するように形成すること、を特徴とするラベル連続体の加工方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明のラベル連続体は、セパレータに背割りを設けてあり、ラベル片を一枚ごとセパレータから剥がし易くしてある。背割りは、ラベル連続体の長手方向と平行な部分と、非平行な部分とを組み合わせて形成されているため、ラベル連続体を巻回してロール状に仕上げた場合でもロールの一部が盛り上がることがなく、ラベル片の歪みやシワの発生が回避される。ラベル片の変形がないためにラベルプリンタで印字する際にも正常な印字が行われ印字障害が発生することがない。また、背割りの切込みが開いて粘着剤が露出することがないため、粘着剤が露出して周囲に付着することがなく、ラベルプリンタ等の走行経路の汚染が回避される。また、本発明のラベル連続体の加工方法によれば、前述した効果を有するラベル連続体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るラベル連続体の実施の形態を示す図で、ラベル基材側の平面図とその断面図。
【図2】本発明に係るラベル連続体の実施の形態を示す図で、セパレータ側の平面図。
【図3】本発明に係るラベル連続体を巻回したラベルロールを示す斜視図。
【図4】本発明に係るラベル連続体の別な実施の形態を示す図で、セパレータ側の平面図。
【図5】本発明に係るラベル連続体の別な実施の形態を示す図で、セパレータ側の平面図。
【図6】本発明に係るラベル連続体の別な実施の形態を示す図で、セパレータ側の平面図。
【図7】本発明に係るラベル連続体の別な実施の形態を示す図と、使用例を説明する図。
【図8】本発明に係るラベル連続体の加工に用いるラベル加工機を表す概略側面図。
【図9】本発明に係るラベル連続体の加工に用いる別なラベル加工機を表す概略側面図。
【図10】従来のラベル連続体の加工に用いるラベル加工機を表す概略側面図。
【図11】従来のラベル連続体の加工機のカス上げ工程を説明する要部拡大斜視図。
【図12】従来のラベル連続体を巻回したラベルロールを示す斜視図。
【図13】従来のラベル連続体を示す図で、ラベル基材側の平面図とその断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】
図1に本発明のラベル連続体10を示す。図1(a)は、ラベル基材側の平面図であり、図1(b)は、b−b線断面図であり、図1(c)は、c−c線断面図である。
【0020】
ラベル連続体10は、ラベル基材5と粘着剤層6とセパレータ7とをこの順に積層した長尺帯状の粘着紙2に、所望サイズのラベル片4の輪郭に応じ、ラベル基材5側から粘着剤層6に至るハーフカットを所定間隔で施したものである。図1に示すラベル連続体は、ラベル片4の周囲のラベルカスと呼ばれる不要な部分を取り除いたものである。ラベル基材5の表面には、画像11が印刷されている。
【0021】
セパレータ7には、ラベル連続体10の長手方向に延びた切込み線による背割り8が形成されている。図2にラベル連続体10のセパレータ7側を示す。この背割り8は、ラベル連続体10の長手方向に沿って延び、連続した階段状の形状、すなわち、いわゆる階段波状になっている。背割り8は、ラベル連続体10の長手方向と平行な部分(平行部)と、非平行な部分(非平行部)とを組み合わせて形成されている。背割り8の平行部の位置は、ラベル連続体10の長手方向の位置に応じて、ラベル連続体10の幅方向の位置が順次変化する。背割り8は、この位置が異なる平行部の間を、非平行部が繋ぐ形態となっている。よって、背割り8は、一定の周期でラベル連続体の幅方向を往復変位するように形成されている。また、図1、図2に示した背割り8は、直線のみを組み合わせて形成されており、全体を連続する波としてみたときの振幅の周期は、ラベル片4の間隔と同期している。
【0022】
図3は、ラベル連続体10を巻回したラベルロール12の斜視図である。セパレータ7には、背割り8が形成されているが、背割り8の付近が盛り上がることはない。また、背割り8の切込みが開いて粘着剤層6が露出することもない。ラベル連続体10に施した背割り8は、階段波状に形成されているので、ラベル連続体10の流れとともに背割り8の幅方向の位置が変わる。
すなわち、ラベル連続体10の搬送とともに背割り8の位置は、ラベルロール110の一端部側から他端側へと段階的に変化するため、たとえ背割り8の近辺が僅かずつ盛り上がっていた場合でも、盛り上がる場所が分散する。したがって、ラベル連続体10をロール状に巻き取ってもラベルロール12の一部が盛り上がったり、膨れたりすることはない。
【0023】
図4に本発明のラベル連続体10の別な実施形態を示す。同図は、先に説明した図2と同様にセパレータ7側から見た平面図である。図4のラベル連続体の背割り8は、ラベル連続体10の長手方向と平行な直線部分と、ラベル連続体10の長手方向に対して傾いた斜めの直線部分とを組み合わせて構成されている。全体としてみたときに略V字形状の切込みが、ラベル片4一枚に対して一つ形成され、ラベル片4の間隔と切込みの周期とが同期している。この形状の背割り8が形成されたラベル連続体10をロール状に巻回した場合でも切込みの位置が幅方向に分散しているため、ロールの一部が盛り上がったり、膨れたりすることはない。
【0024】
図5は、直線と曲線を組み合わせた背割り8を形成したラベル連続体10の別な実施形態である。このラベル連続体10をロール状に巻回した場合でも切込みの位置が幅方向に分散しているため、ロールの一部が盛り上がったり、膨れたりすることはない。
【0025】
図6もラベル連続体10の別な実施形態である。同図では、長手方向と平行な部分と、非平行な部分とを組み合わせて形成してあるが、背割り8の周期をラベル片4の二枚分の送りピッチに同期させている。このように、背割りの周期とラベルの間隔との同期は任意の倍数として良い。
【0026】
図7はラベル連続体10の別な実施の形態を示す図である。図7(a)のラベル連続体10は、図1に示したラベル連続体10のラベル片4とラベル片4の間にミシン目13を設けたものである。ミシン目13を設けることでラベル片4を一枚あるいは複数枚ごとに切り離し易くしている。例えば、ラベル片4一枚をミシン目13で切り離し、背割り8をきっかけにしてセパレータ7bを剥がし取る。すると図7(b)に示すように、ラベル片4の約半分の範囲で粘着剤が露出する。この状態でセパレータ7a側を持てば、粘着剤に一切触らずにラベルを位置決めし、貼り付け作業を行なうことができる。この貼り付け作業は、複数枚のラベル片4が連なったラベル連続体10からセパレータ7bを一気に剥がし、ラベル片4を次々に貼り付ける作業にも有効である。
【0027】
上述した実施形態では、背割り8をラベル片4の中央部に設けた例を説明したが、背割り8の幅方向の位置は、ラベル片4の幅の範囲内であれば、ラベル連続体10の一方の縁に寄っていても良い。また、長手方向において、背割りの周期は、ラベル片4の間隔と同期させなくても同じ効果を得ることができる。なお、図7で説明したように、片方のセパレータ7bだけを先に剥がす貼り付け方法を採る場合は、背割り8の周期とラベル片4の間隔を同期させておくことが望ましい。同期していない場合は、ラベル片4ごとに背割り8の位置と形状が異なり、貼り付けの作業効率が低下する恐れがあるからである。
【0028】
ラベル基材5の種類や材質は、紙や合成樹脂フィルムなど特に限定されるものではなく、粘着紙として一般的に用いられているものである。例えば、上質紙、コート紙、アート紙のような紙基材、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PS(ポリスチレン)を素材とした合成樹脂フィルムや、前記の合成樹脂を複数種組み合わせたシート、合成樹脂フィルムと紙とを合わせた複合シートも使用できる。感熱紙(サーマル紙)でも構わない。
【0029】
粘着剤層6の粘着剤には、例えば、エマルジョン系(粘着剤を水に分散したもの)、ソルベント系(粘着剤を溶剤に溶解したもの)、ホットメルト系(熱可塑性を利用したもの)等の粘着剤を用いる。材質としては、合成ゴム系や天然ゴム系、アクリル樹脂系、ポリビニルエーテル樹脂系、ウレタン樹脂系、シリコーン樹脂系等の粘着剤があげられる。粘着剤の粘着力は任意である。
【0030】
セパレータ7は汎用のものである。例えば、紙やフィルムに紫外線硬化型のシリコーン、熱硬化型のシリコーン、溶剤型のシリコーン、アルキルペンダントポリマーの他、フッ素系の剥離剤を塗工したものがあげられる。
【0031】
このラベル連続体10の加工方法を図8のラベル加工機(凸版輪転印刷機)20を用いて説明する。図8のラベル加工機20は、通紙経路順に、巻出し部30、裏面印刷工程40、第1の表面印刷工程50、第2の表面印刷工程60、背割り工程100、ダイカット工程70、巻き取り部80およびカス巻き取り部90で構成される。
【0032】
裏面印刷工程40は、主に版胴42、圧胴43等からなる印刷ユニット41と、その下流に設けられたUVランプ44とからなる。裏面印刷工程40は、版胴42と圧胴43とで粘着紙2を挟圧して搬送するとともに、版胴42に紫外線硬化型インキ(紫外線の照射により瞬時に硬化するインキ)を供給して粘着紙2に印刷を行う。そしてUVランプ44から紫外線を照射して粘着紙に印刷したインキを硬化させる。粘着紙2のセパレータ側にタイミングマークを印刷する場合は、この印刷ユニット41を用いる。
【0033】
第1の表面印刷工程50は、主に版胴52、圧胴53等からなる印刷ユニット51と、その下流に設けられたUVランプ54とからなる。
【0034】
第2の表面印刷工程60は、主に版胴62、圧胴63等からなる印刷ユニット61と、その下流に設けられたUVランプ64とからなる。
【0035】
第1の表面印刷工程50、第2の表面印刷工程60とも、粘着紙2のラベル基材5側に印刷する以外は、裏面印刷工程40と同じ構成のため、詳しい説明は省略する。
【0036】
背割り工程100は、粘着紙2のセパレータ7に対して長手方向に延びる切込みを設けて背割り8を形成する工程である。ダイロール101と呼ばれる刃付きロールとアンビルロール102との間に粘着紙2を挟み、ダイロール101をセパレータ7に押し当てて回転させることによりセパレータ7を切込んで行き、背割り8を形成する。なお、ダイロール101の外周には、例えば、背割り8の1周期分の形状の刃、或いはその整数倍にあたる刃が形成されている。
【0037】
ダイカット工程70は、粘着紙2のラベル基材5側から粘着剤層6に至るハーフカットを行う工程である。ハーフカット線は、例えば、ダイロール73と呼ばれる刃付きロールとアンビルロール74との間に粘着紙を挟み、ダイロール73をラベル基材5に押し当てて回転させることにより形成する。ダイロール73の下流には、粘着紙2からラベルカス9を分離する一対のカス取りロール75、76が配置されている。
【0038】
巻き取り部80には、ラベル連続体10を巻き取る、巻き取り軸81が設けられている。カス巻き取り部90には、カスを巻き取る、巻き取り軸91が設けられている。
【0039】
その他、ラベル加工機20には、ガイドロール22、23、24、25、26、27、29が設けられている。
【0040】
ラベル連続体10は以下のようにして加工する。巻出し部30から巻き出された粘着紙2は、裏面印刷工程40へ送られ、セパレータの裏面に紫外線硬化型インキでタイミングマーク(不図示)が印刷される。印刷されたインキはUVランプ44で瞬時に硬化される。続いて粘着紙2は第1の表面印刷工程50、第2の表面印刷工程60へと搬送され、それぞれの印刷ユニット51、61にてラベル基材面に文字や画像11(図1等を参照)が紫外線硬化型インキで印刷される。印刷されたインキはUVランプ54、64によって瞬時に硬化される。
【0041】
印刷を終えた粘着紙2は、背割り工程100に至り、セパレータ7にダイロール101の刃が押し当てられて切込まれ、背割り8が形成される。セパレータ7は、背割り8によって幅方向に2分割された状態になる。ダイロール101の刃は、セパレータ7を貫通して粘着剤にやや食い込む程度の深さに設定し、ラベル基材5には到達しない。背割り8の形状は、ダイロール101の外周に形成された刃を展開した形状になる。
【0042】
背割り8が形成された粘着紙2には、続いてダイロール73によって所定形状のハーフカットが施される。カス取りロール75でラベルカス9を引き剥がすと、図1等に示したラベル連続体10の元になるマスターロール82が得られる。ラベル連続体10は巻き取り部80の巻き取り軸81に巻き取られ、マスターロール82が完成する。カス上げされたラベルカス9は、カス巻き取り部90の巻き取り軸91に巻き取られる。
【0043】
本発明のラベル連続体の加工方法によれば、セパレータに背割りを設け、ラベル片を一枚ごとセパレータから剥がし易いラベル連続体を提供できる。得られたラベル連続体は、ロール状に巻いた場合でも背割りの付近が盛り上がることがなく、ラベル片が歪んだりシワが発生したりすることはない。
【0044】
図9に別の加工方法を示す。図9のラベル加工機20は、背割り工程100以外は、図8で説明した加工機と同一構成である。背割り工程100では、ガイドロール27で粘着紙2からセパレータ7を剥離し、セパレータ7をラベル基材5および粘着剤層6の積層体3とは別経路を通す。そして、背割り工程100では、ガイドロール28a、29bの間に設けたダイロール101とアンビルロール102との間にセパレータ7のみを通し、背割り8を形成して行く。背割り8が形成されたセパレータ7は、下流の対ロール77、78で積層体3と圧着されて元の粘着紙2と同じ断面構造に戻り、ダイカット工程70へと進む。
【0045】
図9の加工方法によれば、図8を用いて説明した加工方法の効果に加え、セパレータ7だけに切込み8を入れることができ、より安定したラベル加工が可能になる。また、誤ってラベル基材5まで深くカットすることが回避される。
【0046】
前述した加工方法では、背割り工程100およびダイカット工程70にてダイロールとアンビルロールを用いたが、フラットダイを用いても良い。また、ダイロールとしてフレキシブルダイを用いても構わない。
【0047】
なお、本発明が前述した実施形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状、配置等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0048】
2 粘着紙
4 ラベル片
5 ラベル基材
6 粘着剤層(粘着剤)
7 セパレータ
8 背割り(切込み)
9 ラベルカス
10 ラベル連続体
11 文字や画像
12 ラベルロール
13 ミシン目
15 ラベルロール
20 ラベル加工機
30 巻き出し部
40 裏面印刷工程
48 シワ
50 第1の表面印刷工程
60 第2の表面印刷工程
70 ダイカット工程
80 巻き取り部
90 カス巻き取り部
100 背割り工程
101 ダイロール
102 アンビルロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベル基材と粘着剤層とセパレータとがこの順に積層された長尺帯状の粘着紙に、ラベル基材側から粘着剤層に至るハーフカットを所定間隔で繰り返し、ラベル片の周囲のラベルカスを除去したラベル連続体であって、
前記セパレータに長手方向に延びた切込み線からなる背割りが形成してあり、
前記背割りは、ラベル連続体の長手方向と平行な部分と、非平行な部分とを組み合わせて形成されていること、
を特徴とするラベル連続体。
【請求項2】
請求項1に記載のラベル連続体において、
前記背割りは、直線の組み合わせ、または、直線と曲線との組み合わせにより形成されていること、
を特徴とするラベル連続体。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のラベル連続体において、
前記背割りは、一定の周期でラベル連続体の幅方向を往復変位するように形成されていること、
を特徴とするラベル連続体。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のラベル連続体において、
前記背割りは、ラベル連続体の間隔と同期した周期でラベル連続体の幅方向を往復変位すること、
を特徴とするラベル連続体。
【請求項5】
ラベル基材と粘着剤層とセパレータとがこの順に積層された長尺帯状の粘着紙を加工するラベル連続体の加工方法であって、
前記粘着紙のセパレータに、その長手方向に延びる切込み線からなる背割りを形成する背割り工程と、
前記粘着紙に、ラベル基材側から粘着剤層に至るハーフカットを所定間隔で繰り返し、ハーフカット線でラベル片を区画形成していくダイカット工程と、
前記ハーフカット線で区画されたラベル片の周囲のラベルカスを連続的に除去するカス上げ工程とを含み、
前記背割りを、ラベル連続体の長手方向と平行な部分と、非平行な部分とを組み合わせて形成すること、
を特徴とするラベル連続体の加工方法。
【請求項6】
請求項5に記載のラベル連続体の加工方法において、
前記背割りを、直線の組み合わせ、または、直線と曲線との組み合わせにより形成すること、
を特徴とするラベル連続体の加工方法。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載のラベル連続体の加工方法において、
前記背割りを、一定の周期でラベル連続体の幅方向を往復変位するように形成すること、
を特徴とするラベル連続体の加工方法。
【請求項8】
請求項5から請求項7までのいずれか1項に記載のラベル連続体の加工方法において、
前記背割りを、ラベル連続体の間隔と同期した周期でラベル連続体の幅方向を往復変位するように形成すること、
を特徴とするラベル連続体の加工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−215608(P2012−215608A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79064(P2011−79064)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)サトーホールディングス株式会社 (1,153)
【Fターム(参考)】