説明

ラマン増幅器およびそれを用いた光伝送システム

【課題】より広い利得波長帯域幅が得られるラマン増幅器を提供する。
【解決手段】複数の励起光P1 〜Pm は、波長帯域λ1 〜λ3 に適切に配置される。波長帯域λ1 〜λ3 の幅は、ラマンシフト量よりも大きい。波長帯域λ1〜λ2 に配置される励起光P1 〜PQ により波長帯域λ2 〜λ3 において利得が得られる。波長帯域λ2 〜λ3 に配置される励起光PQ+1 〜Pm により波長帯域λ3 〜λ4 において利得が得られる。この結果、波長帯域λ2 〜λ4 において利得が得られる。信号光S1 〜Sn は、この波長帯域λ2 〜λ4 に配置される。利得の偏差は、励起光P1 〜Pm の各パワーを制御することにより調整される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラマン増幅器およびそれを用いた光伝送システムに係わり、特に、信号光を伝送するための波長の帯域幅を広くする技術に係わる。
【背景技術】
【0002】
従来、長距離の光伝送システムでは、各中継装置において光信号をいったん電気信号に変換した状態で3R処理(タイミング補正、波形整形、信号再生)が実行 され、その後、光信号に変換されて次の中継装置に送出されていた。しかし、現在では、光信号を電気信号に変換することなく増幅する光増幅器の実用化が進ん できており、光増幅器を線形中継装置として用いる伝送システムが検討されている。そして、上述のような光/電気変換を伴う中継器を光増幅中継器に置き換え ることにより、各中継装置を構成する部品の数が大幅に削減され、信頼性が向上し、さらにコストダウンが見込まれている。
【0003】
一方、イン ターネット等の普及に伴いネットワークを介して伝送される情報の量が増加してきており、伝送システムを大容量化するための技術が盛んに研究されている。そ して、伝送システムの大容量化を実現するための方法のひとつとして、波長多重(WDM:Wavelength Division Multiplex )光伝送方式が注目されている。波長多重光伝送とは、互いに波長の異なる複数の搬送波を用いて複数の信号を多重化して伝送する方式であり、1本の光ファイ バを介して伝送できる情報量が飛躍的に増加する。
【0004】
図29は、一般的な光中継伝送システムの構成図である。このシステムでは、光送信機100から光受 信機200へ波長多重光が伝送される。すなわち、光送信機100は、互いに波長の異なる信号光を合波することにより波長多重光を生成して伝送路に送出す る。一方、光受信機200は、受信した波長多重光を波長毎に分波することによって各信号を検出する。ここで、伝送路は光ファイバであり、所定間隔ごとに光 増幅器が設けられている。
【0005】
各光増幅器は、通常、それぞれエルビウムドープファイバ増幅器(EDFA)である。ここで、一般的な EDFAの利得波長帯域は、1.55μm帯であり、GS−EDFAのそれは1.58μm帯でる。そして、それらの帯域幅は、それぞれ約30nm程度であ る。したがって、波長多重光伝送システムの伝送路にEDFAを設ける場合には、信号光は、これらの利得波長帯域内の搬送波を利用して伝送される。
【0006】
伝送システムの大容量化を図るためには、波長多重数を増やすことが有効であり、波長多重数を増やすためのひとつの有効な方法は、利得波長帯域を広くするこ とである。そして、近年、EDFAと比較してより広い利得波長帯域を確保できる光増幅方法として、ラマン(Raman )散乱を利用するラマン増幅器が注目されている。
【0007】
ラマン増幅では、光ファイバに励起光を与えることによりその励起光の波長よりも長波 長側に利得が 得られる。例えば、GeO2 ドープのシリカ(SiO2 )系光ファイバの場合、1.55μm帯においては、図30(a) に示すように、励起光の波長よりも約100nm長波長側に利得が得られる。なお、このシフト量は、周波数に換算すると、13.2テラHzである。また、ラ マン増幅器は、励起光さえ用意できれば任意の波長を増幅できる。
【0008】
ラマン増幅器は、上記性質を利用することにより実現される。そして、 広い利得波長帯域を得るためには、図30(b) に示すように、中心周波数が互いに異なる複数の励起光が使用される。なお、この方法は、例えば、Y. Emori, et al.,"100nm bandwidth flat gain Raman amplifiers pumped and gain-equalized by12-wavelength channel WDM high power laser diodes", OFC'99 PD19 1999.に記載されている。このように、複数の励起光を使用することにより、広い利得波長帯域が確保され得る。
【0009】
図31は、ラマン増幅を利用した波長多重光伝送システムの構成図である。ラマン増幅のための励起光 は、基本的に、信号光とは逆方向に伝送されるように伝送路光ファイバに与えられる。このとき、図30(b) に示すように複数の励起光を使用する場合には、互いに発振周波数の異なる複数の光源から出力される励起光が波長合成器等により伝送路光ファイバに与えられ る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述のように、ラマン散乱を利用するラマン増幅器では、1.55μm帯においては、励起光の波長よりも約100nm程度波長の長い帯域の利得が得られる。 たとえば、図32
において、波長λ1 の励起光P1 が与えられると、波長λ1 よりも約100nmの長い波長帯域(波長λ3 の近傍領域)で利得が得られる。同様に、波長λ2 の励起光Pk が与えられると、波長λ2 よりも約100nm波長の長い帯域(波長λ4 の近傍領域)で利得が得らる。従って、複数の励起光P1 〜Pk が適切に使用されれば、約100nm程度の利得波長帯域幅が得られることになる。そして、この場合、信号光S1 〜SL は、この100nm程度の利得波長帯域を利用して伝送される。
【0011】
しかし、従来のラマン増幅器においては、利得波長帯域幅は、励起光の波 長とその励起光に起因して得られるラマン利得の波長とのシフト量により制限されていた。すなわち、励起光の波長とその励起光に起因して得られるラマン利得 の波長との差が100nmである場合には、ラマン増幅器によって得られる最大利得波長帯域幅も約100nm程度であった。
【0012】
本発明の課題は、より広い利得波長帯域幅が得られるラマン増幅器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のラマン増幅器は、複数の信号光が 波長多重により多重化された波長多重信号光を増幅する構成であって、上記波長多重信号光およびその波長多重信号光を増幅するための第1の励起光を伝搬する 伝送路と、上記波長多重信号光を増幅するための第2の励起光を生成する光源と、上記光源により生成される第2の励起光を上記伝送路に供給する光学手段とを 有し、上記第1の励起光または第2の励起光の少なくとも一方が上記波長多重信号光の帯域内に配置されるラマン増幅器。
【0014】
上記構成におい て、たとえば、第1の励起光が波長多重信号光の帯域内に適切に配置され、第2の励起光が波長多重信号光よりも短波長側に適切に配置されると、その第2の励 起光によって信号光の一部および第1の励起光が増幅されると共に、その増幅された第1の励起光によって他の信号光が増幅される。ラマンシフト量よりも広い 帯域においてラマン増幅が実現される。
【0015】
本発明の他の形態のラマン増幅器は、複数の信号光が波長多重により多重化された波長多重信号光 を増幅する構成であって、上記波長多重信号光およびその波長多重信号光の波長よりも長い波長を持った補助光を伝搬する伝送路と、上記波長多重信号光を増幅 するための励起光を生成する光源と、上記光源により生成される励起光を上記伝送路に供給する光学手段とを有する。
【0016】
上記構成において、 波長多重信号光は、励起光によって増幅される。また、補助光は、増幅された波長多重信号光のエネルギーの一部を吸収する。よって、波長多重信号光の光パ ワーが必要以上に大きくなることが回避される。
【0017】
本発明の光伝送システムは、複数の信号光が波長多重により多重化された波長多重信号光 がラマン増幅器により増幅される構成であって、上記ラマン増幅器がラマンシフト量のn分の1の周波数間隔で配置される複数の励起光を用いて上記波長多重信 号光を増幅する(nは整数)。
【0018】
上記構成において、ラマン増幅のための励起光は、ラマンシフト量のn分の1の周波数間隔で配置されているので、ある励起光によるラマン利得のピーク周波数が他の励起光の周波数と一致する。したがって、ラマン利得を等化するための各励起光パワーの調整が容易 になる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ラマン増幅器を用いてラマンシフト量よりも広い利得波長帯域幅が得られ、大容量波長多重伝送システムが実現される。また、信号光よりも長 波長側に信号光のエネルギーを吸収するための補助光が配置されているので、信号光の一部が必要以上に増幅されることを回避できる。さらに、ラマン増幅器の 励起光の配置に対応して希土類ドープファイバ増幅器が使用されるので、ラマン増幅器と希土類ドープファイバ増幅器との併用が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明のラマン増幅器が設けられる光伝送システムの構成図である。
【図2】本実施形態のラマン増幅器の構成図である。
【図3】本実施形態のラマン増幅器の概要を説明する図である。
【図4】本実施形態のラマン増幅器の動作を説明する図である。
【図5】より広い利得波長帯域幅を得るためのラマン増幅の概念を説明する図である。
【図6】図5に示すラマン増幅器の動作を説明する図である。
【図7】信号光および励起光の設定方法を説明する図である。
【図8】励起光の配置方法を説明する図である。
【図9】伝送路に励起光を供給する方法の一例を示す図である。
【図10】伝送路に励起光を供給する方法の他の例を示す図である。
【図11】図10に示す方法の変形例である。
【図12】ラマン増幅器において利得を調整する機能を説明する図である。
【図13】信号光の光S/N比を調整する方法を説明する図である。
【図14】混合伝送路ファイバが設けられた光伝送システムの構成図(その1)である。
【図15】図14に示すシステムにおけるラマン増幅器の構成図である。
【図16】混合伝送路ファイバが設けられた光伝送システムの構成図(その2)である。
【図17】図16に示すシステムにおけるラマン増幅器の構成図である。
【図18】補助光の配置を説明する図(その1)である。
【図19】補助光の配置を説明する図(その2)である。
【図20】補助光を供給する方法を示す図(その1)である。
【図21】補助光を供給する方法を示す図(その2)である。
【図22】補助光を供給する方法を示す図(その3)である。
【図23】補助光を供給する方法を示す図(その4)である。
【図24】ラマン増幅器および希土類ドープファイバ増幅器が混在する光伝送システムの構成図である。
【図25】励起光の配置を決定するための対応表である。
【図26】励起光の配置例を示す図(その1)である。
【図27】励起光の配置例を示す図(その2)である。
【図28】監視制御光を配置する方法を説明する図である。
【図29】一般的な光中継伝送システムの構成図である。
【図30】ラマン増幅の原理を説明する図である。
【図31】ラマン増幅を利用した波長多重光伝送システムの構成図である。
【図32】既存のラマン増幅器の増幅動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明のラマン増幅器が設けられる光伝送システムの構成図である。この伝送システムは、端 局10および端局20を備え、それらの間は多心光ファイバケーブルにより接続されている。そして、端局10と端局20との間で双方向に信号が伝送される。
【0022】
端局10は、複数の光送信機11および複数の光受信機12を備える。一方、端局20は、複数の光受信機21および複数の光送信機22を備える。そして、各光送信機11 から送出される信号は、光ファイバを介して伝送され、対応する光受信機21により受信される。一方、各光送信機22から送出される信号は、光ファイバを介 して伝送され、対応する光受信機12により受信される。なお、各送信機11、22は、それぞれ波長多重光を送出する。すなわち、この伝送システムでは、多 心光ファイバケーブルを構成する各光ファイバを介して、それぞれ波長多重光が伝送される。
【0023】
端局10と端局20との間の伝送路には、複数のラマン増幅器30−1〜30−nが設けられている。各ラマン増幅器30−1〜30−nは、それぞれ多心光ファイバケーブルを構成する各光ファイバを介 して伝送される波長多重光を増幅する。なお、ラマン増幅では、光ファイバに励起光を与えることによりその光ファイバ自体が光増幅器として働く。したがっ て、「ラマン増幅器」は、光ファイバおよびその光ファイバに励起光を供給する装置から構成されるが、光ファイバに励起光を供給する装置のことを「ラマン増 幅器」を呼ぶこともある。また、各ラマン増幅器は、それぞれ光中継装置の中に設けられてもよい。
【0024】
図2は、ラマン増幅器30の構成図である。なお、ラマン増幅器30−1〜30−nは、基本的に互い に同じ構成である。そして、「ラマン増幅器30」は、ラマン増幅器30−1〜30−nの中の任意の1つを表す。
【0025】
ラマン増幅器30は、 複数の励起光源31、合波器32および合波器33を備える。複数の励起光源31は、互いに異なる波長の励起光を生成する。この実施例では、4個の励起光源 により、波長λ1 〜λ4 の励起光が生成される。なお、各励起光源31は、たとえば、レーザダイオードである。レーザダイオードは、一般に、与えられた電流に対応するパワーの光を 出力する。また、多くのレーザダイオードは、発光パワーを検出するためのバックパワーモニタ機能を備えている。以下では、各励起光源31の発光パワーは、バックパワーモニタ機能または他の方法により検出可能であるものとする。
【0026】
合波器32は、複数の励起光源31から出力される励起光を合波する。この実施例では、合波器32により波長λ1 〜λ4 の励起光が合波される。また、合波器32は、複数の出力ポートを備え、合波した励起光を各出力ポートからそれぞれ出力する。なお、合波器32は、例えば、 波長多重カプラにより実現することができる。また、合波器33は、多心光ファイバケーブルに収容される各光ファイバ毎に設けられ、合波器32から出力され る励起光を対応する光ファイバに供給する。このとき、励起光は、基本的に、信号光とは逆方向に伝送されるように光ファイバに入射される。
【0027】
上記構成により、互いに波長の異なる複数の励起光が合波され、その合波励起光が複数の光ファイバにそれぞれ供給される。なお、図2に示す例では、ラマン増幅器30に4個の励起光源31が設けられているが、本発明はこれに限定 されるものではない。励起光源31の数は、例えば、必要な利得波長帯域幅に基づいて決定されてもよい。また、この例では、励起光源31の数と光ファイバの 数とが互いに一致しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらの数が互いに異なっていてもよい。
【0028】
図3は、本実施形態のラマン増幅器の概要を説明する図である。なお、本実施形態のラマン増幅器30 は、複数の光ファイバを介して伝送される波長多重光をそれぞれ増幅するが、各光ファイバについての増幅動作は、基本的に互いに同じである。したがって、以 下では、多心光ファイバケーブルに収容されている複数の光ファイバの中の任意の光ファイバについての動作を説明する。
【0029】
ラマン増幅器 30が設けられる光伝送システムでは、複数の信号が波長多重により多重化されて伝送される。すなわち、複数の信号は、互いに波長の異なる搬送波を利用して 伝送される。この例では、これらの信号は、波長λ2 〜λ4 の搬送波を利用して伝送されるものとする。なお、以下では、信号を伝送するための搬送波のことを「信号光」と呼ぶことにする。具体的には、この光伝送シス テムでは、波長λ2 〜λ4 の信号光S1 〜Sn が波長多重により多重化されて伝送される。
【0030】
ラマン増幅器30は、複数の励起光 P1 〜Pm を使用する。ここで、これらの励起光は、図2を参照しながら説明したように、それぞれ対応する励起光源31により生成され、合波器32によ り合波されて光ファイバに供給される。
【0031】
励起光P1 〜Pm は、図3に示すように、波長帯域λ1 〜λ3 の中に配置される。すなわち、励起光として使用される波長帯および信号光として使用される波長帯は、互いにその一部が重複している。具体的には、波長帯 λ2 〜λ3 において、励起光PQ+1 〜Pm および信号光S1 〜Sr が混在している。
【0032】
このように、本実施形態のラマン増幅 器が使用される光伝送システムでは、励起光として使用される波長帯域の一部および信号光として使用される波長帯域の一部が互いに重複している。
【0033】
なお、ラマン増幅においては、上述したように、与えられた励起光の波長に対応する波長帯域において利得が得られる。ここで、励起光の波長とその励起光に対 応して利得が得られる波長との差(以下、ラマンシフト量)は、1.55μm帯において約100nmである。たとえば、励起光の波長が1.45μmであれ ば、その励起光に起因して発生する利得のピークの波長は約1.55μmとなる。また、励起光の波長が1.45+Δμmであれば、その励起光に起因して発生 する利得のピークの波長は約1.55+Δμmとなる。すなわち、ラマン増幅において得られる利得の波長帯域は、励起光の波長帯域から約100nmシフトし ている。このため、図3において、信号光S1 〜Sn を伝送するための波長帯域λ2 〜λ4 は、励起光P1 〜Pm として使用される波長帯域λ1 〜λ3 に対して100nmだけシフトしている。
【0034】
図4は、本実施形態のラマン増幅器の動作を説明する図である。ラマン増幅器30により励起光P1 〜PQ が与えられると、波長帯域λ2 〜λ3 において利得が得られる。これにより、信号光S1 〜Sr は、励起光P1 〜PQ に起因するラマン増幅により増幅される。ここで、波長λ1 と波長λ2 との差が100nmであるものとすると、利得波長帯域幅λ2 〜λ3 も約100nmとなる。
【0035】
同様に、ラマン増幅器30により励起光PQ+1 〜Pm が与えられると、波長帯域λ3 〜λ4 において利得が得られる。これにより、信号光Sr 〜Sn は、励起光PQ+1 〜Pm に起因するラマン増幅により増幅される。ここで、励起光PQ+1〜Pm が設定される波長帯域λ2 〜λ3 が100nmなので、利得帯域幅λ3 〜λ4 も約100nmとなる。この結果、全利得帯域幅λ2 〜λ4 は、約200nmとなる。すなわち、ラマン増幅器において、ラマンシフト量よりも大きな利得波長帯域幅が得られる。
【0036】
ただし、本実施形 態のシステムでは、波長帯域λ2 〜λ3 において信号光および励起光が混在している。このため、この波長帯域では、励起光P1 〜PQ により、信号光だけでなく励起光も増幅される。具体的には、励起光P1 〜PQ により、信号光S1 〜Sr および励起光PQ+1 〜Pm が増幅される。この結果、波長帯域λ3 〜λ4 の利得は、励起光PQ+1 〜Pm のみに依存するのではなく、励起光PQ+1 〜Pm を増幅する励起光P1 〜PQ にも依存する。また、ラマン増幅作用は、励起光のような連続波(CW:Continuous Wave )のみにより生じるものではなく、信号光のような不連続光によっても生じる。このため、波長帯域λ2〜λ3 の信号光S1 〜Sr は、波長帯域λ3 〜λ4 において利得を発生させる。すなわち、波長帯域λ3 〜λ4 の利得は、信号光S1 〜Sr にも依存する。
【0037】
このように、励 起光として使用される波長帯域と信号光として使用される波長帯域とが互いに重複すると、利得の調整が複雑になる。なお、利得の調整方法については、後で説 明する。
【0038】
図5は、より広い利得波長帯域幅を得るためのラマン増幅の概念を説明する図である。この例では、励起光P1 〜Pm は、波長帯域λ1 〜λ5 において適切に設定されている。この場合、この励起光P1 〜Pm により、波長帯域λ2 〜λ6において利得が得られる。ここで、波長帯域λ2 〜λ6 は、波長帯域λ1 〜λ5から約100nmシフトしている。また、波長λ1 と波長λ5 との差を300nmとすると、励起光P1 〜Pm によって約300nmの利得が得られることになる。
【0039】
上記構成においては、励起光P1 〜Pm によって波長帯域λ2 〜λ6 において利得が得られるので、信号光S1 〜Sn は、この波長帯域λ2 〜λ6 に設定されている。従って、波長帯λ2 〜λ5 においては、励起光と信号光とが混在する。具体的には、この波長帯域においては、励起光PQ+1 〜Pm および信号光S1 〜Sr が混在している。
【0040】
図6は、図5に示すラマン増幅器の動作を説明する図である。このラマン増幅器では、3段階のラマン励起が生 じる。すなわち、波長帯域λ1 〜λ2 に設定されている励起光P1 〜PQ により波長帯域λ2 〜λ3 において利得が得られる。また、波長帯域λ2 〜λ3 に設定されている励起光PQ+1 〜Pk により波長帯域λ3 〜λ5 において利得が得られる。さらに、波長帯域λ3 〜λ5 に設定されている励起光Pk+1 〜Pm により波長帯域λ5 〜λ6 において利得が得られる。ここで、波長帯域λ1 〜λ2 、波長帯域λ2 〜λ3 、波長帯域λ3 〜λ5 をそれぞれ100nmとすると、全利得帯域幅λ2 〜λ6 は、約300nmとなる。すなわち、このラマン増幅器によれば、ラマンシフト量の3倍の利得波長帯域幅が得られる。
【0041】
なお、図3〜図6に示す例では、ラマンシフト量の2倍または3倍の利得波長帯域幅を得ているが、本発明はこれに 限定されるものではない。すなわち、より広い波長帯域に渡って複数の励起光を適切に設定すれば、より広い利得波長帯域幅が得られる。例えば、ラマンシフト 量の4倍の波長帯域に渡って複数の励起光を適切に設定することにより、4段階のラマン励起が起こるようにすれば、ラマンシフト量の4倍の利得波長帯域幅 (すなわち、400nm)が得られる。
【0042】
図7は、信号光および励起光の配置方法を説明する図である。本実施形態のシステムは、波長多重伝送 を前提としているが、この波長多重伝送において使用すべき搬送波の波長(周波数)はITU−T(International TelecommunicationUnion Telecommunication standardization sector)において規定されている。そして、ITU−Tにおいて規定されている仕様は、しばしばITU−Tグリッドと呼ばれている。
【0043】
ITU−Tグリッドの基準周波数は、193.1THz である。そして、搬送波としては、図7(a) に示すように、この基準周波数およびその基準周波数を25GHZ ずつシフトさせることによって得られる周波数が使用される。なお、この帯域において、25GHz は、約0.2nmに相当する。
【0044】
複数 の信号光は、基本的に、ITU−Tグリッドに従って設定される。具体的には、複数の信号光は、25GHz 毎(約0.2nm毎)に設定される。また、複数の励起光も、ITU−Tグリッドに従って設定される。即ち、各励起光の周波数は、基本的に、193.1±0.025×n(THz )である。ここで、「n」は整数である。ただし、励起光は、信号光が設定される間隔よりも大きな間隔で設定される。
【0045】
このように、本 実施形態では、信号光および励起光は、共にITU−Tグリッドに従って設定される。このとき、信号光は、基本的には25GHz 毎に設定されるが、励起光が設定されるべき波長には設定されない。即ち、信号光および励起光に対して同じ波長が割り当てられることはない。また、励起光の パワーは、通常、信号光のパワーよりも大きいので、励起光のスペクトラムは、図7(b) に示すように、信号光のそれと比較して広くなる。このため、ある波長を励起光に割り当てる場合には、その波長に近接する数個の波長は、信号光に対して割り 当てられない。
【0046】
複数の励起光は、基本的には、図8に示すように、等間隔に配置される。尚、複数の励起光が等間隔に配置されると、それらの励起光 のパワーの制御によってラマン利得を調整することが比較的容易になる。
【0047】
次に、伝送路に励起光を供給するための幾つかの構成および方法 について説明する。なお、以下では、励起光P1 〜Pm により信号光S1 〜Sn が増幅されるものとする。
図9は、伝送路に励起光を供給する方法の一例を示す図である。この方法においては、励起光P1 〜PQ が各ラマン増幅器30により供給され、励起光PQ+1〜Pm が端局10により供給される。
【0048】
端局10は、信号光S1 〜Sn を生成するための信号光源41、励起光PQ+1〜Pm を生成するための励起光原42、およびこれらの信号光および励起光を合波する合波器43を備える。これにより、信号光および励起光が波長多重により多重化 されて伝送路光ファイバに送出される。なお、信号光S1 〜Sn 及び励起光PQ+1 〜Pm の波長は、図3〜図5に示す波長λ2 よりも長いものとする。
【0049】
各ラマン増幅器30は、励起光 P1 〜PQ を生成するための励起光源31およびそれらの励起光を伝送路に導くための合波器33を備える。ここで、励起光源31は、例えば、これらの励起光を生成する ための複数のレーザダイオードLDである。また、これらの励起光は、合波器(図2の合波器32)により合波され合波器33に与えられる。なお、励起光P1 〜PQ の波長は、図3〜図5に示す波長λ2 よりも短いものとする。
【0050】
合波器33は、3つの入出力ポー ト(a〜cポート)を備える。aポートは端局10側の光ファイバに接続され、bポートは端局20側の光ファイバに接続され、cポートは励起光源31により 生成される励起光を受信する。そして、合波器33は、波長λ2 よりも長い波長を持った光をaポートから受信したときに、それをbポートを介して出力する。すなわち、合波器33は、端局10側の光ファイバを介して信号 光S1 〜Sn および励起光PQ+1 〜Pm を受信すると、それらを端局20側の光ファイバを介して出力する。また、合波器33は、波長λ2よりも短い波長を持った光をcポートから受信したときに、 それをaポートを介して出力する。すなわち、合波器33は、cポートを介して受信する励起光P1〜PQ を端局10側の光ファイバへ導く。
【0051】
続いて、図4を参照しながら上記構成のラマン増幅器の動作を説明する。上記構成において、励起光源31によ り生成される励起光P1 〜PQ は、伝送路光ファイバに供給される。この結果、波長帯域λ2 〜λ3 において利得が得られる。すなわち、励起光P1 〜PQ により、波長帯域λ2 〜λ3 に配置されている光が増幅されることになる。具体的には、波長帯域λ2 〜λ3 に配置されている信号光S1 〜Sr および励起光PQ+1 〜Pm が増幅される。また、この増幅された励起光PQ+1 〜Pm により、波長帯域λ3 〜λ4 において利得が得られる。即ち、励起光PQ+1 〜Pm により、波長帯域λ3 〜λ4 に配置されている信号光Sr+1〜Sn が増幅される。このようにして、各ラマン増幅器30により信号光S1 〜Sn が増幅される。
【0052】
図10は、伝送路に励起光を供給する方法の他の例を示す図である。この方法においては、励起光P1 〜Pm が各ラマン増幅器30により供給される。端局10は、信号光S1 〜Sn を生成するための信号光源41を備える。そして、これらの信号光S1 〜Sn は、波長多重により多重化されて伝送路光ファイバに送出される。
【0053】
各ラマン増幅器30は、励起光P1 〜Pm を生成するための励起光源31およびそれらの励起光を伝送路に導く光サーキュレータ34を備える。ここで、励起光源31は、例えば、これらの励起光を生成 するための複数のレーザダイオードLDである。また、これらの励起光は、不図示の合波器(図2の合波器32)により合波され光サーキュレータ34に与えられる。
【0054】
光サー キュレータ34は、3つの入出力ポート(a〜cポート)を備える。ここで、aポートから入力された光はbポートへ導かれ、bポートから入力された光はc ポートへ導かれ、cポートから入力された光はaポートへ導かれる。したがって、光サーキュレータ34は、端局10側の光ファイバを介して入力される信号光 S1 〜Sn を端局20側の光ファイバへ導く。また、光サーキュレータ34は、励起光源31により生成される励起光P1 〜Pm を端局10側の光ファイバへ導く。
【0055】
続いて、図4を参照しながら上記構成のラマン増幅器の動作を説明する。上記構成において、励起光源31によ り生成される励起光P1 〜Pm は、伝送路光ファイバに供給される。この結果、波長帯域λ2 〜λ4 において利得が得られる。すなわち、励起光P1 〜Pm により、波長帯域λ2 〜λ4 に配置されている信号光S1 〜Sn が増幅される。
【0056】
図11は、図10に示した方法の変形例である。この方法においては、励起光P1 〜Pm が各ラマン増幅器30により供給されると共に、端局10は、信号光が配置される波長帯域内の励起光(励起光PQ+1 〜Pm )を供給する。なお、この構成の動作は、図10を参照しながら説明した動作と基本的に同じなので、省略する。
【0057】
なお、図9〜図11に示すシステムにおいて、各励起光の光スペクトル幅は、基本的に、狭い方が望ましい。少なく とも、信号光が配置される帯域内に配置される励起光(例えば、励起光PQ+1 〜Pm )のスペクトル幅は、信号光のそれと同じ程度であることが望ましい。各励起光の光スペクトル幅は、例えば、光ファイバグレーティングによって調整される。
【0058】
ところで、波長多重伝送システムにおいては、一般に、波長多重光に含まれる各信号光のレベルが等化されていることが望ましい。そして、波長多重光に含まれる各信号光のレベルを等化するためには、各増幅器の利得を調整する必要がある。以下、各ラマン増幅器の利得を調整する方法を説明する。
【0059】
図12は、各ラマン増幅器30において利得を調整する機能を説明する図である。ラマン増幅器30 は、複数の励起光源51を備える。これらの励起光源51は、互いに発振周波数の異なるレーザダイオードであり、それぞれ対応する駆動回路52により駆動さ れる。また、駆動回路52は、制御部54からの指示に従って対応する励起光源51に電流を供給する。さらに、検出回路53は、それぞれ、信号光が伝送され る波長帯域内の対応する波長の利得を検出する。なお、波長ごとに利得を検出する方法は、既知の技術を利用する。
【0060】
制御部54は、端局 10または20からの問合せに従って、波長ごとに利得を調べる。この時、各検出回路53の出力が参照される。そして、制御部54は、その検出結果を端局 10または20に通知する。また、制御部54は、端局10または20からの指示に従って駆動回路62を制御する。これにより、端局10または20からの指 示に基づいて、特定の励起光源51の発光パワーが調整される。
【0061】
端局10または20は、各ラマン増幅器の利得を調整するための制御回路 を備える。この制御回路は、この光伝送システムの構築時に、またはその後定期的に各ラマン増幅器の利得を調整する。具体的には、この制御回路は、まず、各 ラマン増幅器に対して波長ごとの利得を問い合わせる。そして、その問合せに対する応答に従って、各ラマン増幅器における利得の波長特性が等化されるように 指示を与える。例えば、あるラマン増幅器においてある波長の利得が相対的に低かった場合には、そのラマン増幅器に対して、その波長よりも約100nm短い 波長の励起光のパワーを増加させる旨の指示が 送出される。この場合、指示を受け取ったラマン増幅器は、その指示に従って対応する励起光のパワーを調整する。これにより、各ラマン増幅器における利得が 等化される。
【0062】
なお、図9に示す構成のように、励起光の一部(励起光PQ+1 〜Pm )が端局10により生成される場合には、各ラマン増幅器により生成される励起光を調整するだけでなく、端局10により生成される励起光も調整する必要があ る。この場合、端局10が各ラマン増幅器の利得を管理するのであれば、端局10自身が励起光PQ+1 〜Pm を調整してもよい。また、端局20が各ラマン増幅器の利得を管理するのであれば、端局20から端局10への通知に基づいて励起光PQ+1〜Pm が調整されるようにしてもよい。
【0063】
このように、本実施形態のシステムでは、励起光P1 〜Pm の各光パワーを適切に調整することにより、各ラマン増幅器における利得の波長偏差を小さくしている。
図13は、信号光S1 〜Sn の光S/N比を調整する方法を説明するための図である。信号光S1 〜Sn の光S/N比は、基本的に、信号光源41により生成される信号光S1 〜Sn の光パワーを調整することによって制御される。このため、本実施形態のシステムでは、受信側の端局(端局20)において波長ごとに光S/N比が検出され、 その検出結果が送信側の端局(端局10)にフィードバックされる。
【0064】
端局20には、信号光S1 〜Sn を含む波長多重光を分岐するための分岐カプラ61、分岐カプラ61により分岐された波長多重光から信号光S1 〜Sn を取り出す分波器62、および分波器62により取り出された信号光S1 〜Sn のそれぞれについて光S/N比を検出するS/N検出回路63が設けられる。また、制御回路64は、各S/N検出回路63の出力に基づいて信号光S1 〜Sn の光S/N比の偏差を調べ、その偏差を小さくするための指示を作成する。具体的には、例えば、ある波長の信号光の光S/N比が相対的に劣悪であったとする と、その波長の信号光のパワーを大きくする旨の指示を作成する。そして、作成された指示は、端局10に送られる。
【0065】
端局10は、端局 20から指示を受け取ると、それに従って信号光源41のパワーを調整する。これにより、信号光S1 〜Sn の光S/N比の偏差が小さくなる。
このように、本実施形態の光伝送システムでは、ラマン増幅による利得および信号光の光S/N比が個別に調整される。すなわち、波長に依存するラマン利得の 偏差を小さくするために各励起光の光パワーが適切に調整され(励起光プリエンファシス)、また、複数の信号光の光S/N比の偏差を小さくするために各信号 光の光パワーが適切に調整される(信号光プリエンファシス)。
【0066】
なお、上述したように、本実施形態のラマン増幅器では、信号光の一部(例えば、図3のS1 〜Sr )が、それよりも長波長側の信号光に対して励起光として働く。しかし、各信号光の光パワーは、励起光のそれと比較して十分に小さいので、信号光により生じる利得は、励起光により生じる利得と比べて小さい。したがって、ラマン増幅器の利得は、各励起光の光パワーを制御することによって概ね所望の特性に調整さ れる。このとき、必要に応じて信号光の光パワーが微調整されてもよい。また、S/N検出回路の代わりに、各波長毎の光受信機が持つ符号誤り率を用いること も可能である。
【0067】
次に、ラマン増幅の特性を利用して光伝送システムの伝送性能を向上させる方法を説明する。図14は、混合伝送路ファイバが設けられた光伝送システムの構成図である。このシステムでは、波長 多重光を伝送するための光ファイバとして、混合伝送路ファイバが使用されている。この混合伝送路ファイバは、第1の光ファイバおよびその第1の光ファイバ と比較してモードフィールド径(実効断面積、或いはコア径)の小さい第2の光ファイバから構成される。ここで、一実施例としては、第1の光ファイバが正分 散を持ち、第2の光ファイバが負分散を持つことが望ましい。そして、信号光は、光送信機11から光受信機21へ伝送される際、各混合伝送路上では、先に第 1の光ファイバを介して伝搬され、その後に第2の光ファイバを介して伝搬されるようになっている。
【0068】
図15は、図14に示すシステムにおけるラマン増幅器の構成図である。ここでは、伝送路上に設けられる複数の ラマン増幅器のなかの任意の1つを示している。
ラマン増幅器30は、信号光とは逆方向に励起光が伝送されるように伝送路に励起光を供 給する。すなわち、励起光は、後方励起方式により伝送路に供給される。このため、励起光源31により生成される励起光は、まず、第2の光ファイバに供給さ れ、その第2の光ファイバを通過した後に第1の光ファイバに供給されることになる。ここで、ラマン増幅は、よく知られているように、光ファイバに供給され る励起光のパワー密度が高いほど効率的に利得が得られる。即ち、ラマン増幅は、光ファイバのモードフィールド径が小さいほど効率的に利得が得られる。した がって、本実施形態の構成においては、第2の光ファイバにおいて効率的に利得が得られる。この結果、信号光の光S/N比が向上する。
【0069】
また、このシステムでは、光伝送路上の非線形効果も抑えられる。ここで、光伝送路上の非線形効果は、よく知られているように、光ファイバのモードフィール ド径が小さいほど大きく、また、信号光の光パワーが大きいほど大きくなる。しかし、このシステムにおいては、信号光の光パワーが大きい状態のときは、モードフィールド径が比較的大きい第1の光ファイバを 伝搬されるので、非線形効果は小さい。また、信号光は、モードフィールド径の小さい第2の光ファイバに到達したときには十分に減衰しているので、第2の光 ファイバにおいて発生する非線形効果も小さい。すなわち、全伝送路において非線形効果が抑制され、伝送波形の歪みが小さくなる。
【0070】
この ように、第1および第2の光ファイバから構成される混合伝送路を使用すると、信号光の光S/N比が向上すると共に、非線形効果による信号波形の歪みが抑え られる。なお、第1の光ファイバの長さと第2の光ファイバの長さの比率は、例えば、2:1である。また、第1および第2の光ファイバの実効面積は、例え ば、それぞれ、110マイクロ平方メートル、20マイクロ平方メートル程度である。
【0071】
なお、図14および図15に示す例では、混合伝送路ファイバは、モードフィールド径の異なる2種類の光ファイバから構 成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、混合伝送路ファイバは、3種類以上の光ファイバから構成されてもよい。例えば、図16および図17に示す例では、各混合伝送路ファイバは、それぞれ第1〜第3の光ファイバにより構成されている。この場合、第1の光ファイバのモードフィールド径が最も大きく、第3の光ファイバのモードフィールド径が最も小さくなっている。このように、混合伝送 路ファイバは、複数種類の光ファイバが、信号光が伝送される方向において、そのモードフィールド径が徐々に小さくなっていくように接続されることによって 構成されればよい。
【0072】
ところで、ラマン増幅では、図3〜図6を参照しながら説明したように、光ファイバに励起光を供給すると、その励起光の波長からラマン シフト量だけ長波長側にシフトした波長帯域において利得が得られる。このとき、この利得波長帯域に光が存在すれば、その光は増幅される。たとえば、図4において、光ファイバに励起光P1 〜PQ を供給すると、波長帯域λ2 〜λ3 に配置されている光(信号光および励起光を含む)が増幅される。このとき、波長帯域λ2 〜λ3 に配置されている光は、励起光P1 〜PQ として与えられたエネルギーの一部を吸収することによって増幅される。
【0073】
このように、ラマン増幅は、励起光として与えられたエネルギー が、その励起光の波長よりも長波長側に配置されている光に吸収されることによって生じる。このとき、励起光の光パワーは、そのエネルギーの一部が他の光に よって吸収されたときに、その分だけ低下することになる。反対に、励起光の光パワーは、そのエネルギーの一部が他の光によって吸収されなければ、ほとんど 低下することはない。すなわち、励起光の光パワーは、そのエネルギーの一部が他の光によって吸収されるか否かによって変動する可能性がある。
【0074】
そし て、この問題は、励起光に限ったことではない。例えば、図4において、波長帯域λ1 〜λ2 に配置されている光のエネルギーは波長帯域λ2 〜λ3 に配置されている光により吸収され、波長帯域λ2 〜λ3 に配置されている光のエネルギーは波長帯域λ3 〜λ4 に配置されている光により吸収される。ところが、波長帯域λ3 〜λ4 に配置されている光のエネルギーは、他の光によって吸収されることはない。この結果、波長帯域λ3 〜λ4 における利得が必要以上に大きくなってしまう可能性がある。あるいは、波長帯域λ3 〜λ4 に配置されている信号光のレベルが必要以上に高くなってしまう可能性がある。
【0075】
本実施形態のシステムでは、上述の問題を解決するため に、図18に示すように、信号光S1 〜Sn が配置される波長帯域よりも長波長側に補助光A1 〜Atが配置される。これにより、波長帯域λ3 〜λ4 に配置されている信号光Sr 〜Sn のエネルギーは、補助光A1 〜At により吸収される。すなわち、波長帯域λ3 〜λ4 における利得が適切に抑制される。
【0076】
なお、補助光A1 〜At は、3段以上のラマン増幅が行われるシステムにおいても使用可能である。3段のラマン増幅が行われるシステムにおいて補助光A1〜At が配置される場合に例を図19に示す。
【0077】
補助光A1 〜At は、端局10により生成されてもよいし、各ラマン増幅器30により生成されてもよい。補助光A1 〜At を生成するための補助光源が設けられたシステムの構成例を図20〜図23に示す。図20および図22に示す例では、補助光A1 〜At を生成するための補助光源71は、各ラマン増幅器30に設けられる。この場合、補助光A1 〜At は、励起光P1 〜Pm と共に伝送路光ファイバに供給される。一方、図21および図23に示す例では、補助光A1〜At を生成するための補助光源71は、端局10に設けられる。この場合、補助光A1 〜At は、信号光S1 〜Sn と共に波長多重により多重化されて伝送路を伝搬される。
【0078】
補助光A1 〜At は、信号光または励起光と同様に、図7(a) に示すITU−Tグリッドに従って配置されるようにしてもよい。また、補助光A1 〜At は、励起光と同様に、一定の周波数間隔で配置されるようにしてもよい。
【0079】
さらに、補助光A1 〜At は、端局10または20が各ラマン増幅器または伝送路の状態を調べるための監視信号を伝送する搬送波として利用されてもよい。ただし、この場合は、補助光A1 〜At は、基本的に、端局によって生成される必要がある。なお、上記監視信号は、励起光P1 〜Pm を利用して伝送されるようにしてもよい。
【0080】
さらに、補助光A1 〜At の光パワーは、端局10または20からの指示によって調整されるようにしてもよい。この場合、補助光A1 〜At の光パワーは、信号光が配置されている波長帯域の利得が等化されるように調整される。具体的には、例えば、信号光が配置されている波長帯域の中の長波長領 域の利得が相対的に高くなっているか否かに基づいて、補助光A1 〜At の光パワーが調整される。
【0081】
図24は、本発明の光伝送システムの構成図である。このシステムでは、伝送路上に複数のラマン増幅 器30が設けられていると共に、端局には希土類ドープファイバを利用した増幅器(以下、希土類ドープファイバ増幅器)が設けられている。また、このシステ ムでは、上述したラマン増幅器を使用することにより、100nm以上の波長帯域を利用して信号光が伝送されるものとする。なお、図24では描かれていないが、希土類ドープファイバ増幅器は端局10にも設けられる。
【0082】
希土類ドープファイバ増幅器の利得波長帯域は、よく知られているように、光ファイバ内に注入される物質によって異なる。しかし、希土類ドープファイバ増幅 器の有効な利得波長帯域の幅は、通常、30〜40nm程度である。したがって、100nm以上の波長帯域を持った波長多重信号光を増幅するためには、互い に利得波長帯域の異なる複数の希土類ドープファイバ増幅器を用いる必要がある。図24に示す例では、互いに利得波長帯域の異なる希土類ドープファイバ増幅器81a〜81nが端局 に設けられている。なお、波長多重信号光は、端局20において不図示の分波器により希土類ドープファイバ増幅器81a〜81nの利得波長帯域ごとに分波さ れ、それぞれ対応する希土類ドープファイバ増幅器81a〜81nにおいて増幅される。以下では、ラマン増幅器と希土類ドープファイバ増幅器が混在する光伝 送システムにおいて、ラマン増幅のための励起光を有効に配置する方法を説明する本実施形態のシステムでは、複数の励起光は、下記(1) 式を満たすように配置される。ここで、「Δfr 」はラマンシフト量、「Δfe 」は励起光を配置すべき間隔、「n」は任意の整数である。
Δfr =n・Δfe ・・・(1)
図25(a) は、上記(1) 式に「n=1〜6」が代入されたときの利得帯域幅を示す対応表である。尚、ラマンシフト量(Δfr )は13.2THz である。この場合、「n」として1〜6が与えられると、励起光を配置すべき間隔(Δfe )としてはそれぞれ13.2〜2.2THz が得られる。そして、これらの間隔は、1550nm付近において波長に換算すると、それぞれ105.7〜17.6nmとなる。ここで、希土類ドープファイ バ増幅器の利得帯域幅は、それぞれ30〜40nmである。したがって、希土類ドープファイバ増幅器81a〜81nの個数を出来るだけ少なくするためには、上記 (1) 式に与えるべき「n」としては「3」が好適である。
【0083】
図26は、上記(1) 式に基づいて励起光を配置する場合の実施例である。ここでは、上記(1) 式において「n=3」が与えられた場合を示している。即ち、励起光P1 〜P10は、4.4THz 毎に配置される。
【0084】
信号光が配置さ れる波長帯域は、この実施例では、1435〜1667nmである。そして、この信号光波長帯域は、伝送路上では、励起光P1 〜P10を使用することにより各ラマン増幅器30によって一括して増幅される。一方、端局内では、この信号光波長帯域は、複数の希土類ドープファイバ増幅 器81a〜81nにより波長帯域ごとに増幅される。具体的には、この信号光波長帯域は、7つの波長帯域(S++帯域、S+ 帯域、S帯域、C帯域、L帯域、L+ 帯域、L++帯域)に分波され、それぞれ対応する希土類ドープファイバ増幅器81a〜81nによって増幅される。ここで、S++帯域〜L++帯域は、この 実施例では、励起光P4 〜P10によって仕切られる波長帯域(または、周波数帯域)のことをいう。すなわち、S++帯域〜L++帯域の幅は、それぞれ4.4(30〜40nm程 度)である。従って、希土類ドープファイ バ増幅器81a〜81nは、それぞれ対応するS++帯域〜L++帯域を増幅することができる。具体的には、例えば、希土類ドープファイバ増幅器81aは、 波長帯域1435〜1467nmを増幅し、希土類ドープファイバ増幅器81bは、波長帯域1467〜1500nmを増幅する。
【0085】
また、 上記(1) 式によれば、各励起光によるラマン利得のピーク波長と対応する励起光の波長とが一致するように各励起光が配置される。例えば、励起光P1に起因するラマン 利得がピークになる波長は励起光P4 の波長に一致し、励起光P2 に起因するラマン利得がピークになる波長は励起光P5 の波長に一致する。従って、ラマン利得を等化するために各励起光の光パワーを調整する作業(プリエンファシス)が容易になることが期待される。
【0086】
本実施形態の他の形態のシステムでは、複数の励起光は、下記(2) 式を満たすように配置される。ここで、「Δfr 」はラマンシフト量、「Δfe 」は励起光を配置すべき間隔、「n」は任意の整数である。
Δfr =(n+0.5)・Δfe ・・・(2)
図25(b) は、上記(2) 式に「n=1〜6」が代入されたときの利得帯域幅を示す対応表である。図25(b) に示すように、「n」として1〜6が与えられると、励起光を配置すべき間隔(Δfe )としてはそれぞれ8.8〜2.0THz が得られる。そして、これらの間隔は、1550nm付近において波長に換算すると、それぞれ70.5〜16.3nmとなる。ここで、希土類ドープファイバ 増幅器の利得帯域幅が30〜40nmであることを考慮すると、上記(2) 式に与えるべき「n」としては、「2」または「3」が好適である。
【0087】
図27は、上記(2) に基づいて励起光を配置する場合の実施例である。ここでは、上記(2) 式において「n=3」が与えられた場合を示している。すなわち、励起光P1 〜P10は、3.77THz 毎に配置される。なお、この実施例においても、図26に示した方法と同様に、信号光波長帯域は複数の波長帯域(S++帯域〜L++帯域)に分波さ れ、それぞれ対応する希土類ドープファイバ増幅器81a〜81nによって増幅される。
【0088】
上記(2) 式によれば、各励起光によるラマン利得のピーク波長は、その励起光から見てn個先の励起光の波長と(n+1)個先の励起光の波長のほぼ中間の波長となる。 たとえば、励起光P1 に起因するラマン利得がピークになる波長は、励起光P4 の波長と励起光P5 の波長のほぼ中間の波長となる。ここで、この実施例では、励起光P4 〜P10によって仕切られる各波長帯域(S++帯域〜L++帯域)は、それぞれ対応する希土類ドープファイバ増幅器81a〜81nにより増幅される。した がって、各励起光によるラマン利得のピーク周波数は、対応する希土類ドープファイバ増幅器81a〜81nの利得波長帯域のほぼ中心になる。したがって、安定した増幅動作が期待さ れる。
【0089】
最後に、端局10または20が各ラマン増幅器または伝送路の状態を調べるための監視信号を伝送する監視制御光の配置方法を説明 する。監視制御光は、伝送システムを監視するための監視信号を伝送する搬送波である。そして、監視信号の伝送速度は、信号光によって伝送される信号と比べて十分に低速である。たとえば、信号光によって伝送される信号の伝送速度は、10Gbps程度であるのに対し、監視信号のそれは、数10kbps〜数 Mbps程度である。このため、監視制御光は、信号光と比べて、その光S/N比が小さくても受信可能である。
【0090】
ところで、励起光の光パ ワーは、信号光のそれと比較して十分に大きい。このため、励起光の光スペクトル幅はかなり広く、その励起光の近傍では擾乱(クロストークや四光波混合な ど)が大きい。すなわち、励起光の近傍では、光S/N比が悪化することが予想される。このため、本実施形態のシステムでは、図28に示すように、励起光の近傍には、光S/N比について耐力がある監視制御光が配置される。こ れにより、励起光から離れた波長帯域が監視制御光により使用されることがなく、信号光を効率的に配置することが可能になる。
(付記 1)複数の信号光が波長多重により多重化された波長多重信号光を増幅するラマン増幅器であって、上記波長多重信号光およびその波長多重信号光を増幅するための第1 の励起光を伝搬する伝送路と、上記波長多重信号光を増幅するための第2の励起光を生成する光源と、上記光源により生成される第2の励起光を上記伝送路に供 給する光学手段とを有し、上記第1の励起光または第2の励起光の少なくとも一方が、上記波長多重信号光の帯域内に配置されるラマン増幅器。
(付記2)複数の信号光が波長多重により多重化された波長多重信号光を増幅するラマン増幅器であって、上記波長多重信号光を伝搬する伝送路と、上記波長多重信号 光の帯域内に配置される第1の励起光および上記波長多重信号光の帯域外に配置される第2の励起光を生成する光源と、上記光源により生成される第1の励起光 および第2の励起光を上記伝送路に供給する光学手段と、を有するラマン増幅器。
(付記3)付記1または付記2に記載のラマン増幅器であって、上記 第2の励起光の波長は、上記波長多重信号光の波長よりも短い。
(付記4)付記1または付記2に記載のラマン増幅器であって、上記第1の励起光およ び第2の励起光は、それぞれ等しい周波数間隔で配置される。
(付記5)付記1または付記2に記載のラマン増幅器であって、上記第1の励起光は、 ITU−Tグリッドに従って配置される。
(付記6)付記1または付記2に記載のラマン増幅器であって、上記第1の励起光および第2の励起光は、そ れぞれ2波以上の光から構成される。
(付記7)付記1または付記2に記載のラマン増幅器であって、上記第1の励起光は、上記第2の励起光によって 増幅される。
(付記8)複数の信号光が波長多重により多重化された波長多重信号光を増幅するラマン増幅器であって、上記波長多重信号光および第1 の励起光を伝搬する伝送路と、上記波長多重信号光の帯域内に配置される第2の励起光および上記波長多重信号光の帯域外に配置される第3の励起光を生成する 光源と、上記光源により生成される第2の励起光および第3の励起光を上記伝送路に供給する光学手段と、を有するラマン増幅器。
(付記9)第1の端 局装置と第2の端局装置との間にラマン増幅器が設けられ、複数の信号光が波長多重により多重化された波長多重信号光が上記第1の端局装置から上記第2の端 局装置へ伝送される光伝送システムであって、上記第1の端局装置は、上記波長多重信号光を生成する信号光源と、第1の励起光を生成する第1の励起光源とを 有し、上記ラマン増幅器は、上記波長多重信号光および第1の励起光を伝搬する伝送路と、第2の励起光を生成する第2の励起光源と、上記第2の励起光源によ り生成される第2の励起光を上記伝送路に供給する光学手段とを有し、少なくとも上記第1の励起光の一部は、上記波長多重信号光の帯域内に配置され、上記第 1および第2の励起光の光パワーは、上記ラマン増幅器による利得が等化されるように調整される光伝送システム。
(付記10)第1の端局装置と第2の端局装置との間にラマン増幅器が設け られ、複数の信号光が波長多重により多重化された波長多重信号光が上記第1の端局装置から上記第2の端局装置へ伝送される光伝送システムであって、上記第 1の端局装置は、上記波長多重信号光を生成する信号光源を有し、上記ラマン増幅器は、上記波長多重信号光を伝搬する伝送路と、上記波長多重信号光の帯域内 に配置される第1の励起光を生成する第1の励起光源と、上記波長多重信号光の帯域外に配置される第2の励起光を生成する第2の励起光源と、上記第1の励起 光源により生成される第1の励起光および上記第2の励起光源により生成される第2の励起光を上記伝送路に供給する光学手段とを有し、上記第1および第2の 励起光の光パワーは、上記ラマン増幅器による利得が等化されるように調整される光伝送システム。
(付記11)付記9または付記10に記載の光伝送 システムであって、上記第1および第2の励起光の光パワーは、上記第1または第2の端局装置からの指示に従って調整される。
(付記12)付記9ま たは付記10に記載の光伝送システムであって、上記信号光のパワーは、上記第2の端局装置により検出される各信号光の光S/N比に基づいて調整される。
(付記13)複数の信号光が波長多重により多重化された波長多重信号光をラマン増幅器を用いて増幅する光増幅方法であって、上記波長多重信号光が伝搬される伝 送路に、その波長多重信号光の波長よりも短い波長の励起光およびその波長多重信号光が配置される帯域内の励起光を供給する光増幅方法。
(付記14)複数の信号光が波長多重により多重化された波長多重信号光を増幅するラマン増幅器であって、上記波長多重信号光およびその波長多重信号光の波長より も長い波長を持った補助光を伝搬する伝送路と、上記波長多重信号光を増幅するための励起光を生成する光源と、上記光源により生成される励起光を上記伝送路 に供給する光学手段と、を有するラマン増幅器。
(付記15)複数の信号光が波長多重により多重化された波長多重信号光を増幅するラマン増幅器で あって、上記波長多重信号光を伝搬する伝送路と、上記波長多重信号光を増幅するための励起光およびその波長多重信号光の波長よりも長い波長を持った補助光 を生成する光源と、上記光源により生成される励起光および補助光を上記伝送路に供給する光学手段と、を有するラマン増幅器。
(付記16)付記14 または付記15に記載のラマン増幅器であって、上記補助光は、それぞれ等しい周波数間隔で配置される。
(付記17)付記14または付記15に記載 のラマン増幅器であって、上記補助光は、ITU−Tグリッドに従って配置される。
(付記18)付記14または付記15に記載のラマン増幅器であっ て、上記補助光は、2波以上の光から構成される。
(付記19)付記14または付記15に記載のラマン増幅器であって、上記補助光は、上記複数の信 号光の一部の信号光のエネルギーを吸収するように配置される。
(付記20)第1の端局装置と第2の端局装置との間にラマン増幅器が設けられ、複数 の信号光が波長多重により多重化された波長多重信号光が上記第1の端局装置から上記第2の端局装置へ伝送される光伝送システムであって、上記第1の端局装 置は、上記波長多重信号光を生成する信号光源と、上記波長多重信号光の波長よりも長い波長を持った補助光を生成する補助光源とを有し、上記ラマン増幅器 は、上記波長多重信号光および補助光を伝搬する伝送路と、上記波長多重信号光を増幅するための励起光を生成する励起光源と、上記励起光源により生成される 励起光を上記伝送路に供給する光学手段とを有し、上記補助光の光パワーは、上記ラマン増幅器による利得が等化されるように調整される光伝送システム。
(付記21)第1の端局装置と第2の端局装置との間にラマン増幅器が設けられ、複数の信号光が波長多重により多重化された波長多重信号光が上記第1の端局装置 から上記第2の端局装置へ伝送される光伝送システムであって、上記第1の端局装置は、上記複数の信号光を生成する信号光源を有し、上記ラマン増幅器は、上 記波長多重信号光を伝搬する伝送路と、上記波長多重信号光を増幅するための励起光を生成する励起光源と、上記波長多重信号光の波長よりも長い波長を持った 補助光を生成する補助光源と、上記励起光源により生成される励起光および上記補助光源により生成される補助光を上記伝送路に供給する光学手段とを有し、上 記補助光の光パワーは、上記ラマン増幅器による利得が等化されるように調整される光伝送システム。
(付記22)付記20または付記21に記載の光 伝送システムであって、上記補助光の光パワーは、上記第1または第2の端局装置からの指示に従って調整される。
(付記23)付記20または付記 21に記載の光伝送システムであって、当該伝送システムの状態を監視するための監視信号は、上記補助光により搬送される。
(付記24)複数の信号 光が波長多重により多重化された波長多重信号光がラマン増幅器により増幅される光伝送システムであって、上記ラマン増幅器が、ラマンシフト量のn分の1の 周波数間隔で配置される複数の励起光を用いて上記波長多重信号光を増幅する光伝送システム(nは整数)。
(付記25)複数の信号光が波長多重によ り多重化された波長多重信号光がラマン増幅器および希土類ドープファイバ増幅器により増幅される光伝送システムであって、上記ラマン増幅器は、ラマンシフ ト量のn分の1の周波数間隔で配置される 複数の励起光を用いて上記波長多重信号光を増幅し、上記希土類ドープファイバ増幅器は、上記複数の励起光に対応する複数の増幅ユニットから構成され、各増 幅ユニットがそれぞれ対応する波長帯域の信号光を増幅する光伝送システム(nは整数)。
(付記26)複数の信号光が波長多重により多重化された波 長多重信号光がラマン増幅器および希土類ドープファイバ増幅器により増幅される光伝送システムであって、上記ラマン増幅器は、ラマンシフト量の (n+0.5)分の1の周波数間隔で配置される複数の励起光を用いて上記波長多重信号光を増幅し、上記希土類ドープファイバ増幅器は、上記複数の励起光に 対応する複数の増幅ユニットから構成され、各増幅ユニットがそれぞれ対応する波長帯域の信号光を増幅する光伝送システム(nは整数)。
(付記27)複数の信号光が波長多重により多重化された波長多重信号光がラマン増幅器により増幅される光伝送システムであって、上記ラマン増幅器は、上記波長多 重信号光の帯域内に配置される励起光を用いて上記波長多重信号光を増幅し、当該伝送システムの状態を監視するための監視信号は、その波長多重信号光の帯域 内に配置される励起光の近傍に配置される。
【符号の説明】
【0091】
10、20 端局
11、22 光送信機
12、21 光受信機
30 ラマン増幅器
31、42 励起光源
32、33 合波器
34 光サーキュレータ
41 信号光源
43 合波器
71 補助光源
81a〜81n 希土類ドープファイバ増幅器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の信号光が波長多重により多重化された波長多重信号光がラマン増幅器により増幅される光伝送システムであって、
上記ラマン増幅器は、上記波長多重信号光の帯域内に配置される励起光を用いて上記波長多重信号光を増幅し、当該伝送システムの状態を監視するための監視信号は、その波長多重信号光の帯域内に配置される励起光の近傍に配置される。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2010−224567(P2010−224567A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−117620(P2010−117620)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【分割の表示】特願2001−30053(P2001−30053)の分割
【原出願日】平成13年2月6日(2001.2.6)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】