説明

ラミネート装置

【課題】離型紙の先端を離型紙巻取用紙管に貼り付ける操作時において、離型紙を離型巻取用紙管まで届かせる検出手段を備えたラミネート装置を提供する。
【解決手段】ラミネート・フィルム長を検出する検出手段と、離型紙の頭出し長を指示する頭出し長と、ラミネート・フィルム送り長を指示する動作指示手段と、頭出し運転スイッチをオンすると頭出し動作指示手段の指示により搬送用ローラを回転させSTP4、前記切断基準位置で切断された離型紙の切断位置が剥離ガイドを通過し、加圧ローラの周面に接触する位置に達し、頭出し長さ分搬送されると搬送用ローラを一時停止させSTP7、搬送用ローラを再度回転させSTP10、ラミネート・フィルム実搬送長が、前記離型紙切断基準位置から剥離ガイドを経由して離型紙巻取紙管まで到達する送り長に達した時点で搬送用ローラを停止するSTP13を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ポスターや広告などの印刷物、コンピュータの出力メディアなど(以下、メディアという)の表面に、片面に粘着剤を塗布した透明または半透明なラミネート・フィルムを貼り付けて、印刷物の表面を保護することにより、メディアの耐水性、耐候性を向上させる積層体の形成に使用するラミネート装置に関するもので、さらに詳しくは、ラミネート・フィルムの粘着剤塗布面に貼り付けられた離型紙をラミネート・フィルムから剥がして離型紙巻取用紙管に巻き付ける作業を正確かつ容易に行うことができるラミネート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
以下、図8を参照して特許文献1に記載されている従来のラミネート装置について説明する。図8(b)の部分拡大図に示すように、ラミネート・フィルム原反4は、ポリエステルや塩化ビニルなどの透明または半透明なフィルムAの一面に粘着剤を塗布し、この粘着面の表面に剥離紙Bを貼り合わせられた長尺の積層体が巻芯(紙管)に巻かれている。
【0003】
このようなラミネート・フィルムをメディアの表面に密着させて被覆する従来のラミネート装置は、台枠の左右両側に平行に固定されたフレーム1を備え、このフレーム1には、搬送用ローラ3の軸31と、ラミネート・フィルムAの原反4の巻芯を支持する軸41と、搬送用フィルムCの原反5の巻芯を支持する軸51と、ラミネート・フィルムAから剥離した離型紙Bを巻き取る巻芯を支持する軸42と、剥離ガイドローラ8の軸が軸架されている。
【0004】
さらに、フレーム1の間には、メディアMを送り込むテーブル11が固設されている。
【0005】
左右のフレーム1間に軸支された搬送用ローラ3は、モータ30によって駆動され、この搬送用ローラ3の上部には上下に対をなすように加圧ローラ6が設けられている。
【0006】
この加圧ローラ6の軸は、可動板61に設けた軸受けにより保持されており、この可動板61は、一端が、フレーム1に軸支62されており、他端が、加圧ローラ上下レバー63によって回動させられるカム64およびロッド65により上下に昇降させられて、加圧ローラ6を搬送用ローラ3より離間させるように構成されている。
【0007】
図8(b)の拡大図に示す様にラミネート・フィルムは二重構造になっており(一般にコールドラミネート・フィルムという)、図8(b)の下側は透明及び半透明のラミネート・フィルムであり、図の上側(貼った時に裏側になる面)には粘着剤が塗られている。この粘着剤により離型紙Bとラミネート・フィルムAは一体に接合しており、離型紙Bをラミネート・フィルムAから剥がした時には粘着剤はラミネート・フィルム側に残り、メディア表面に接着する。
【0008】
次に、図8を用いて、ラミネート加工を始める前の事前準備の操作について説明する。まず作業者は、加圧ローラ上下レバー63を操作して加圧ローラ6を搬送用ローラ3より離間し、ラミネート加工が施こされるポスター等を搬送する為の搬送用フィルムの原反を、搬送用フィルムの軸51にセットし、ラミネート・フィルムの原反4をラミネート・フィルムの軸41に通してセットする。
【0009】
次に、搬送用フィルムの軸51にセットした搬送用フィルム原反5の先端を引き出して、入り口テーブル11上にガイドし、加圧ローラ6と搬送用ローラ3の隙間を通して、ラミネート装置の後方(排出側)へ引き出す。
【0010】
続いて、ラミネート・フィルム軸41にセットしたラミネート・フィルム原反4の先端を引き出して、加圧ローラ6に巻き付けて、ラミネート装置の後方(排出側)へ引っ張りだす。この時点では、ラミネート・フィルムAと離型紙Bとが一体になったラミネート・フィルムが、搬送用フィルムCの上に重なった状態である。
【0011】
作業者は加圧ローラ上下レバー63を再び操作して加圧ローラ6を下げると、ラミネート・フィルムAと離型紙Bとが一体になったままのラミネート・フィルムAと搬送用フィルムCが両ローラ間で重合した状態で挟み込まれる。
【0012】
次に作業者は、ラミネート装置の後方(排出側)へまわり、剥離ガイドローラ8の後方からラミネート・フィルムAを全幅に渡って専用のカッターナイフなどを用いて離型紙Bのみを切断する。この段階では離型紙Bは切れ目により前後に分離されているがラミネート・フィルムAに貼り付いたままで、切断部が離型紙の先端となる。
【0013】
この後作業者は操作部の「運転スイッチ」を押して、搬送用ローラ3を回転させて、離型紙Bの切断位置が剥離ガイドローラ8の下方を通過して、加圧ローラ6の正面に接近すると、再び「運転スイッチ」を押して搬送用ローラ3を停止させる。
【0014】
作業者は、ラミネート装置の正面(原稿挿入側)へまわり、ラミネート・フィルムAに貼り付いている離型紙Bの先端を手で剥がして持ちながら操作部の「運転スイッチ」を再び押して搬送用ローラ3を回転させる。搬送用ローラ3が回転すると離型紙Bを剥がされたラミネート・フィルムAと搬送用フィルムCが加圧ローラ6と搬送用ローラ3の隙間に挿通される。
【0015】
ここで作業者は、離型紙Bの先端を手前へ引っ張り、ラミネート・フィルムAから剥離された離型紙Bの長さを目視し、丁度良い長さになったら再び「運転スイッチ」を押して搬送用ローラ3を停止させ、最後に、離型紙Bの先端を離型紙巻取用紙管まで持ち上げてテープ等で紙管に貼り付ける。以上でラミネート加工の事前準備が完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特許第3901464号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上記した従来のラミネート装置では、離型紙Bの先端を離型紙巻取用紙管に貼り付ける操作時において、作業者は、ラミネート・フィルムAから剥離された離型紙Bの長さが離型紙巻取用紙管に貼り付けるのに丁度良い長さになったところでモータを止めて加圧ローラ6を停止させなければならないが、この動作時に、加圧ローラ6から後方へ排出される搬送用フィルムCとラミネート・フィルムAの接合にシワが発生しない様にラミネート装置後方(排出側)の両フィルムの状態に注意を払っていると、加圧ローラ6の停止が早まったり、また遅れたりするため、加圧ローラ6を停止させ離型紙Bを切断しても離型紙Bの先端をラミネート・フィルムAから剥がして離型紙巻取用紙管に貼り付けようとすると、離型紙Bが短かくて離型紙巻取用紙管まで届かなかったり、また長すぎる場合が生ずる。
【0018】
短かかった場合は、もう一度「運転スイッチ」を押して加圧ローラ6を回転させて、離型紙Bがラミネート・フィルムAに貼り付いたまま加圧ローラ6と搬送用ローラ3の隙間に引きずり込まれない様にしながら離型紙Bの先端を手前へ引っ張るという作業を行わなければならない。
【0019】
長すぎる場合は、作業はやり直さなくてもよいが、ラミネート・フィルムAに無駄が生ずる。
【0020】
また、上記の作業において、ラミネート・フィルムAに貼り付いている離型紙Bの先端を剥がして両手でしっかり保持しなければならないが、操作部の「運転スイッチ」で起動する場合には、一方の手で「運転スイッチ」を押してから素早く戻して離型紙Bの先端を持たなければならないが、この動作時にあわてると持ち損ねる場合があり、フットスイッチで搬送用ローラ3を起動させた場合は、踏んだ足を素早く床に付けて安定した姿勢にしなければならないが、姿勢がふらつく場合があり、離型紙Bがラミネート・フィルムAに貼り付いたまま加圧ローラ6と搬送用ローラ3の隙間に入ってまうことがある。この場合は、離型紙Bを切断し切れ目を入れる作業からやり直さなければならない。
【0021】
この様に、離型紙Bに切れ目を入れて先端を作り、離型紙を丁度良い長さだけラミネート・フィルムAから剥がして離型紙巻取用紙管に貼り付ける作業は困難で煩わしく、正確に実行するためには相当の熟練を要する。
【0022】
また、離型紙Bの先端に切れ目を付ける作業において、作業者は加圧ローラ6の上部からラミネート・フィルム原反4までのラミネート・フィルム経路上の任意の位置で専用のカッターナイフなどを用いて離型紙Bを切断して切れ目を付けているので、「運転スイッチ」を押して搬送用ローラ3を回転させ、次に停止させるまでのラミネート・フィルムAの搬送長さは一定せず、適正長で停止させることが困難な要因になっている。
【0023】
また、作業者はラミネート装置の後方から手を伸ばしてカッターナイフなどを移動させるが、その際にカッターナイフを斜めに移動させてしまったり、途中で手を離してしまったりすることがあるので、切断面が斜めになってり、ギザギザになったりすることがあり、ラミネート・フィルムAに無駄を生じさせてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は上記の課題を解決するもので、印刷物の表面に、ラミネート・フィルム原反から送出され離型紙が分離されたラミネート・フィルムを、制御部により回転が制御される搬送用ローラと加圧ローラ間に搬送し、印刷物にラミネート・フィルムを貼着するラミネート装置において、前記制御部は、ラミネート・フィルム原反より引き出されるラミネート・フィルム長を検出する検出手段と、ラミネート・フィルム原反と加圧ローラ間に設けられた離型紙切断基準位置からの送出長である離型紙の頭出し長を指示する頭出し長と、離型紙先端が離型紙切断基準位置から離型紙を分離する剥離ガイドに接触して、剥離ガイドの上方に配置した離型紙巻取装置まで到達する距離であるラミネート・フィルム送り長を指示する動作指示手段とを備え、前記頭出し動作指示手段は、頭出し運転スイッチをオンすると、前記頭出し動作指示手段の指示により搬送用ローラを回転させ、前記切断基準位置で切断された離型紙の切断位置が剥離ガイドを通過し、加圧ローラの周面に接触する位置に達し、頭出し長さ分搬送されると搬送用ローラを一時停止させ、一定時間停止後、再度頭出し運転スイッチをオンすると、搬送用ローラを再度回転させ、ラミネート・フィルム実搬送長が、前記離型紙切断基準位置から剥離ガイドを経由して離型紙巻取紙管まで到達する送り長に達した時点で搬送用ローラを停止することを特徴とする。
【0025】
また、頭出し運転スイッチをオンすると、一定の遅延時間経過後搬送用ローラを再度回転させることを特徴とする。
【0026】
さらにまた、前記ローラを軸支する左右フレーム間に切断基準位置を規定するガイドレールと、ガイドレールに沿って摺動する切断刃を有する離型紙切断装置を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明のラミネート装置は、離型紙の先端を離型紙巻取用紙管に貼り付けるのに必要な離型紙の長さを制御部が演算により定め、搬送用ローラを回転させながらラミネート・フィルムから剥がし、定められた長さの離型紙を剥がし終えたら搬送用ローラを停止させるようにしたのでラミネート・フィルムに無駄が生じない。
【0028】
また、制御部は、「頭出し動作指示手段」の信号発生から、遅延時間分経過後に搬送用ローラを回転させるので、「頭出し動作指示手段」を操作部の「頭出し動作」スイッチとした場合には、作業者は「頭出し動作」スイッチを押した手を戻して離型紙の先端を両手でしっかり掴んで離型紙をラミネート・フィルムから剥がして離型紙巻取用紙管に貼り付ける作業を正確に行うことができる。
【0029】
また、「頭出し動作指示手段」をフットスイッチとした場合には、作業者は「フットスイッチ」を踏んだ片足を床に付けて体勢を整えた状態で前記貼り付け作業を行うことができる。
【0030】
また、切断補助手段により、ラミネート装置の後方へまわって、カッターナイフを滑らせている時に、手をカッターナイフから離した場合でも、カッターナイフの下部突起が離型紙とラミネート・フィルムの間に保持され、また、切断補助手段はガイドレールに沿って滑らせることができるので、切断面が斜めになったり、ギザギザになったりすることはなく、ラミネート・フィルムに無駄が生じない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】(a)は本発明のラミネート装置を示す側面図、(b)は概要斜視図。
【図2】本発明のラミネート装置のブロック図。
【図3】本発明のラミネート装置の離型紙切断工程を示す工程図。
【図4】本発明のラミネート装置のフローチャート。
【図5】頭出し動作のフローチャート。
【図6】本発明の離型紙切断部の斜視図。
【図7】(a)(b)は図6の動作説明図。
【図8】従来のラミネート装置の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は本発明のラミネート装置を用いてラミネート加工を行う場合の事前準備工程が終わった状態を示す。本発明のラミネート装置は、A1やA0サイズのポスターや、ビルの垂れ幕などにラミネート・フィルムAを貼付する場合に使用されるもので、加圧ローラ6と搬送用ローラ3の幅は約1500mmで、直径は約100mm、セットできるラミネート・フィルム原反4は、幅が約600mmから約1400mmで長さは約50mである。
【0033】
以下本発明のラミネート装置について説明する。ラミネート装置のフレーム1には、搬送用ローラ3の軸31と、ラミネート・フィルムAの原反4の巻芯を支持する軸41と、搬送用フィルムCの原反5の巻芯を支持する軸51と、ラミネート・フィルムAから剥離した離型紙Bを巻き取る巻芯を支持する軸42と、離型紙Bを分離する剥離ガイドローラ8の軸が軸架されている。
【0034】
さらに、フレーム1の間にはメディアMを送り込むテーブル11が固設されている。
【0035】
左右のフレーム1間に支持された搬送用ローラ3は、モータ30によって駆動され、この搬送用ローラ3と上下に対をなすように加圧ローラ6が設けられている。2は離型紙Bを切断する切断基準位置を示し、切断基準位置には図6及び図7に記載されている切断装置が設けられている。
【0036】
この加圧ローラ6の軸は、可動板61に設けた軸受けに軸架されており、この可動板61は、一端が、フレーム1に軸支62されており、他端が、レバー63によって回動させられるカム64およびロッド65により昇降させられて、加圧ローラ6を搬送用ローラ3より離間させるように構成されている。
【0037】
作業者が、レバー63を操作して加圧ローラ6を搬送用ローラ3より離間させたのち、軸51に搬送用フィルムCの原反5をセットし、アイドル・ローラ21およびテーブル11上を経て、搬送用ローラ3と加圧ローラ6との間に挿通する。次に、ラミネート・フィルムAの原反4を軸41にセットし、ラミネート・フィルムAの先端を原反4から引き出し、ラミネート・フィルムAから離型紙Bを剥して、剥離ガイドローラ8を介して離型紙Bを巻き取る巻芯を支持する軸42に支持された巻芯に巻き付け、粘着面が露出したラミネート・フィルムAを搬送用フィルムCとともに搬送用ローラ3と加圧ローラ6との間に挿通したのち、レバー63を操作して加圧ローラ6を降下させる。以上の構成及び作用は図8に示す従来技術と同じであり、詳しい説明は省略する。
【0038】
図2は本発明のラミネート装置を制御するブロック図で、CPU制御する制御装置を備えている。本発明の制御装置は、加圧ローラ6の軸に結合されたエンコーダ13よりなる検尺部14と、このエンコーダ13から出力されるパルス信号が印加されるCPUを含む主演算部15と、この主演算部15にモータの回転速度、回転方向を指示し、ラミネート・フィルムAの原反4の長さ、を入力する操作部16およびラミネート・フィルムAの原反4の残量、モータ30の回転速度、回転方向、警報を表示する表示部17と、モータ30を制御するモータ制御部19、記憶部20より構成されている。
【0039】
モータを制御するスイッチ手段として、本発明では操作部16に頭出し運転スイッチが設けられており、さらに従来装置と同様にフットスイッチ18を設けてもよい。
【0040】
図6及び図7には本発明の離型紙切断手段が示されている。ラミネート装置の左右フレーム1の間にガイドレール32が横設されており、カッターナイフ取付ブロック33が、ガイドレール32に設けられた溝によって摺動可能に保持されている。
【0041】
図7は、離型紙Bがラミネート・フィルムAに貼り付いた状態のラミネート・フィルムAの離型紙Bを全幅に渡って切断する時のカッターナイフ34とラミネート・フィルムAの状態を示す。
【0042】
図7(a)に示す様に、カッターナイフ34はカッターナイフ取付支点35を中心に振り子の様に左右に回動する。カッターナイフ34の刃36は進行方向左右側面に上部突起36aと下部突起36bがあり両突起の谷間に前記刃36が設けられている。
【0043】
図7(b)は右側から左側へカッターナイフ34を移動させている時の状態を示す。作業者が手でカッターナイフ34を動かすことにより、下部突起36bが離型紙Bをラミネート・フィルムAから離して隙間に入り込み、刃36によって離型紙Bが切断される。カッターナイフ34はカッターナイフ取り付けブロック33によりガイドレール32に保持されているので、カッターナイフ34が斜めに走ることはない。また、切断の途中で作業者が手を離してもカッターナイフ34の下部突起36bは離型紙Bとラミネート・フィルムAの隙間に入り込んだ状態で保持される。
【0044】
次に、図3を参照して本発明のラミネート・フィルムAの離型紙Bの切断及び離型紙Bを巻芯に巻き取る工程について説明する。まず、作業者は、ラミネート装置の後方へまわって切断基準位置2に取設したカッターナイフ34を用いて、離型紙Bを全幅に渡って切断する。この時、図3(a)に示すように離型紙Bの先端はラミネート・フィルムAに貼り付いたままB1点にある。A1点は、離型紙を全幅に渡って切断した時に真下に位置しているラミネート・フィルムの位置を表している。
【0045】
切断基準位置2はラミネート装置の左右フレームの内側に▽目印シールを貼り付けておいてこれを目安としても良い。
【0046】
次に、作業者は、B1点にある離型紙Bの先端を剥離ガイドローラ8より前へ移動させる為に、操作部16に設けた「頭出し運転スイッチ」を押す。「頭出し運転スイッチ」が押されると、制御部を構成する主演算部15は「ラミネート・フィルム実搬送長」を算出する為にカウンタを0にリセットしてから搬送用ローラ3を回転起動し、加圧ローラ6に設けられた検尺部14からのパルス信号を計数して「ラミネート・フィルム実搬送長」を算出する。
【0047】
そして、「ラミネート・フィルム実搬送長」が予め定め記憶部に格納している「第一送り長」に達したら搬送用ローラ3を停止する。「第一送り長」はラミネート・フィルムAの先端が剥離ガイドローラ8から加圧ローラ6の周面に達するまでの距離で離型紙Bの頭出し長さである。この時、離型紙Bの先端は図3(b)のB2点に達し、離型紙Bを切断時に真下に位置していたラミネート・フィルムAの位置はA2点に達している。
【0048】
次に、作業者は、ラミネート装置の正面へまわり、図3(c)に示すように、B2点にある離型紙Bの先端を全幅に当たってラミネート・フィルムAから剥がす。ラミネート・フィルムAは加圧ローラ6に巻き付いておりA2点にある。続いて作業者が「頭出し運転スイッチ」を押すと、ラミネート装置の主演算部15は「動作遅延時間」分待つ。この間に作業者は両手で離型紙Bの先端をしっかり掴み体勢を整える。「動作遅延時間」分経過したら主演算部15はモータ制御部19へ指令して搬送用ローラ3を回転起動する。本実施例のラミネート装置は「動作遅延時間」=0.3秒としている。
【0049】
主演算部15は「ラミネート・フィルム実搬送長」を算出しながら搬送用ローラ3の回転を続ける。この間作業者は、図3(d)に示すように、離型紙Bがラミネート・フィルムAに貼り付いたまま加圧ローラ6と搬送用ローラ3の隙間に引きずり込まれないように、離型紙Bの先端を手前へ引っ張る。主演算部15は、「ラミネート・フィルム実搬送長」がラミネート・フィルム「送り長」に達したら搬送用ローラ3を停止する。この時、離型紙Bの先端はB3点に達し、離型紙Bを全幅に渡って切断した時に真下に位置していたラミネート・フィルムAの位置はA3点に達している。
【0050】
ラミネート・フィルム「送り長」は、ラミネート・フィルム原反4と剥離ガイドローラ8と加圧ローラ6と離型紙巻取用紙管軸42との位置関係により定められ、記憶部20に格納される。本実施例のラミネート装置では、離型紙Bの先端がB1点(つまり「離型紙切断基準位置」の位置)から、剥離ガイドローラ8に接触し、剥離ガイドローラ8の上方に配置している離型紙巻取用紙管まで到達する距離(点B1から点B3までの離型紙の長さ)と等しい長さのラミネート・フィルムの長さ(点A1からA3までのラミネート・フィルムAの長さ)として、ラミネート・フィルム「送り長」=29cmを予め記憶部に格納している。また、「第一送り長」は、離型紙Bの先端がA1点から剥離ガイドローラの下方を通過する長さ以上となる長さ(B1点からB2点)に等しいラミネート・フィルムの長さとして、「第一送り長」=15cmとして予め記憶部に格納している。
【0051】
作業者は、図3(d)の状態にある離型紙Bの先端を離型紙巻取紙管まで持っていって、図3(e)に示すように離型紙巻取紙管にセロテープ(登録商標)等で貼り付けることで、ラミネート加工を施すための前準備作業が完了する。
【0052】
次に作業者は、入り口テーブル11の上の搬送用フィルムCの上に、ポスターなどの原稿を置いて、操作部16の「ラミネート運転スイッチ」を押す。主演算部15は搬送用ローラ3を回転させ、ラミネート加工が施された原稿は装置の後方(図1の右側)に排出される。
【0053】
図4は、本発明のラミネート装置の主演算部15が、頭出し動作を実行するか、あるいは、ラミネート加工動作を実行するかを判別する処理である。図4において、STP1、STP2で「頭出し動作」の指示か、あるいは、「ラミネート加工動作」の指示かを判別して、「ラミネート加工動作」の指示であれば、従来技術のラミネート装置と同様にラミネート加工の為に搬送用ローラ3を回転させる。「頭出し動作」の指示であれば、STP4へ進む。
【0054】
図5は、本発明のラミネート装置の主演算部15が、頭出し動作(剥離動作)を実行する処理である。STP4で搬送用ローラ3の回転起動する。STP5で検尺部14からのパルス信号を計数して、「ラミネート・フィルム実搬送長」を算出する。STP6で「ラミネート・フィルム実搬送長」が前記した「第一送り長」に達したかどうかを判定し、達していなければSTP4へ戻り、達していればSTP7へ進む。主演算部15はSTP7で搬送用ローラ3を停止させる。
【0055】
STP8で「頭出し動作指示手段」から指示信号が発生し、STP9で、動作遅延時間分待ってから、STP10で搬送用ローラ3を回転起動する。STP9の動作遅延時間は離型紙Bをラミネート・フィルムAを全幅にわたって剥離する動作に要する付加時間であり、これを省略することもできる。STP11で検尺部14からのパルス信号を計数して、「ラミネート・フィルム実搬送長」を算出する。STP12で「ラミネート・フィルム実搬送長」が「送り長」に達したかどうかを判定し、達していなければSTP8へ戻り、達していればSTP11へ進む。STP13で搬送用ローラ3を停止させる。
【0056】
以上で説明した様に本発明は、ラミネート加工の準備作業の段階で作業者が目視によって定めていた剥離長さを、主演算部15が演算により定めることによって、準備作業の効率を向上させると共に、フィルムの無駄の発生を防止することができる。
【0057】
本発明の実施例では、「頭出し動作指示手段」を操作部16に設けた頭出し動作指示専用のキースイッチとしているが、フットスイッチ18を「頭出し動作指示手段」としても良い。また、搬送用ローラ3を回転させる目的が、頭出し動作を行う為か、あるいは通常のラミネート加工を行う為かの、いずれであるかを選択する為の「動作モード選択スイッチ」を操作部16に設けて、「動作モード選択スイッチ」により、「頭出し動作モード」が選択されている時には、通常のラミネート加工で使用する「運転」スイッチが押されたら、頭出し動作指示であると認識する形態とすることも可能である。又、本発明の実施例では、第1送り長、送り長をエンコーダにより計測しているが、搬送用ローラの回転速度と、回転時間の指令で制御してもよい。
【符号の説明】
【0058】
A ラミネート・フィルム
B 離型紙
C 搬送用フィルム
M メディア
1 フレーム
2 切断基準位置
3 搬送用ローラ
4 ラミネート・フィルム原反
5 搬送用フィルムCの原反
6 加圧ローラ
8 剥離ガイドローラ
11 テーブル
13 エンコーダ
14 検尺部
15 主演算部
16 操作部
17 表示部
18 フットスイッチ
19 モータ制御部
20 記憶部
21 ガイド・ローラ
30 モータ
31 搬送用ローラの軸
32 ガイドレール
33 カッターナイフ取付ブロック
34 カッターナイフ
35 カッターナイフ取付支点
36 刃
36a 上部突起
36b 下部突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷物の表面に、ラミネート・フィルム原反から送出され離型紙が分離されたラミネート・フィルムを、制御部により回転が制御される搬送用ローラと加圧ローラ間に搬送し、印刷物にラミネート・フィルムを貼着するラミネート装置において、
前記制御部は、ラミネート・フィルム原反より引き出されるラミネート・フィルム長を検出する検出手段と、
ラミネート・フィルム原反と加圧ローラ間に設けられた離型紙切断基準位置からの送出長である離型紙の頭出し長を指示する頭出し長と、離型紙先端が離型紙切断基準位置から離型紙を分離する剥離ガイドに接触して、剥離ガイドの上方に配置した離型紙巻取装置まで到達する距離であるラミネート・フィルム送り長を指示する動作指示手段とを備え、
前記頭出し動作指示手段は、頭出し運転スイッチをオンすると、前記頭出し動作指示手段の指示により搬送用ローラを回転させ、前記切断基準位置で切断された離型紙の切断位置が剥離ガイドを通過し、加圧ローラの周面に接触する位置に達し、頭出し長さ分搬送されると搬送用ローラを一時停止させ、
一定時間停止後、再度頭出し運転スイッチをオンすると、搬送用ローラを再度回転させ、
ラミネート・フィルム実搬送長が、前記離型紙切断基準位置から剥離ガイドを経由して離型紙巻取紙管まで到達する送り長に達した時点で搬送用ローラを停止することを特徴とするラミネート装置。
【請求項2】
頭出し運転スイッチをオンすると、一定の遅延時間経過後搬送用ローラを再度回転させることを特徴とする請求項1記載のラミネート装置。
【請求項3】
前記ローラを軸支する左右フレーム間に切断基準位置を規定するガイドレールと、ガイドレールに沿って摺動する切断刃を有する離型紙切断装置を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のラミネート装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−264681(P2010−264681A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−118609(P2009−118609)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【出願人】(000163121)極東産機株式会社 (68)
【Fターム(参考)】