説明

ランキンサイクル

【課題】膨張機の入口の冷媒の温度又は圧力を調節する制御を有し、ランキンサイクルの異常の判定を容易にするランキンサイクルの提供を課題とする。
【解決手段】冷却水ボイラ112、廃ガスボイラ113、膨張機114、コンデンサ115、及びポンプ111を順次備えるランキンサイクル101は、膨張機入口の冷媒の温度を検出する温度センサ142又は膨張機入口の冷媒の圧力を検出する圧力センサ141と、ECU130とを備える。ECU130は、膨張機入口の冷媒に設定される目標温度又は目標圧力に基づき冷媒の温度又は圧力を制御し、所定時間内における目標温度に対する温度センサ142の検出温度の乖離状態又は目標圧力に対する圧力センサ141の検出圧力の乖離状態に基づき、異常の発生の有無を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ランキンサイクルに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の内燃機関から排出される熱を発電機等の動力に変換するランキンサイクルを利用した技術が開発されている。
ランキンサイクルは、内燃機関から排出される熱を含む熱媒体と作動流体とを熱交換させて作動流体を過熱蒸気化する熱交換器、過熱蒸気状態の作動流体を膨張させて動力を得る膨張機、膨張させた作動流体を冷却して液化するコンデンサ、及び液化した作動流体を熱交換器に圧送するポンプ等から構成される。膨張機では、膨張機の入口と出口との作動流体の差圧を利用して作動流体を膨張させて回転体を回転させることによって、作動流体の熱エネルギーを膨張時のエネルギーとして回収して回転駆動力に変換しており、この回転駆動力が発電機等に動力として伝達される。そして、ランキンサイクルでは、膨張機の入口と出口との作動流体の圧力差の制御、熱交換器での作動流体による熱媒体からの吸熱量の制御、各機器及びサイクル内配管の損傷防止等のために、作動流体が高圧となる膨張機の入口側、つまりポンプから熱交換器を経由して膨張機に至る流路における作動流体の圧力が制御される。
【0003】
例えば、特許文献1には、内燃機関の廃熱を利用し、冷媒(作動流体)を流通させるランキンサイクルが記載されている。このランキンサイクルでは、凝縮器入口での冷媒の凝縮圧力に対応する飽和蒸気冷媒のエントロピを推定し、さらに、膨張機入口での冷媒温度を設定し、設定された冷媒温度と推定したエントロピに対応する冷媒圧力をモリエル線図のマップから算出して膨張機入口での冷媒の設定圧力としている。さらに、ランキンサイクルでは、膨張機入口圧力が設定圧力となるように膨張機の負荷を制御してその回転数を調節している。しかしながら、上述のランキンサイクルでは、各機器、又は各機器間を連通する冷媒配管に冷媒の漏洩等の異常が発生すると、膨張機入口での冷媒の正確な圧力制御が実施できないだけでなく、冷媒量の不足によってポンプ、膨張機等に耐久性の低下、損傷などの問題が発生するおそれがある。
【0004】
一方、特許文献2には、ランキンサイクルにおける蒸気(作動流体)漏れを判定する廃熱回収装置が記載されている。この廃熱回収装置では、エンジンの回転数から算出する予測回収仕事量と、タービン(膨張機)によって回収される実測回収仕事量とが比較され、予測回収仕事量に対して実測回収仕事量が許容される範囲を超えて小さい場合、タービンの回転に寄与する蒸気の圧力が少ないことが予想されることから、廃熱回収装置のいずれかで蒸気漏れが発生していると判断している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−48129号公報
【特許文献2】特開2008−169731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、膨張機入口での冷媒の圧力を制御するために膨張機の負荷を制御する特許文献1のランキンサイクルに、特許文献2のランキンサイクルにおける蒸気漏れを判定する技術を適用したとしても、膨張機の負荷の変化に伴って実測回収仕事量も変化するため、実測回収仕事量と予測回収仕事量とを比較することに基づいて冷媒の漏れを判定するのは困難であり判定精度も低くなるという問題がある。
【0007】
この発明はこのような問題点を解決するためになされたものであり、膨張機入口の冷媒の温度又は圧力が調節される制御を有しながら、冷媒の漏洩等の異常の判定を容易にするランキンサイクルを提供することを目的とする。
なお、膨張機入口の冷媒の温度とは、熱交換器から膨張機に至る流路の冷媒の温度をいう。また、膨張機入口の冷媒の圧力とは、ポンプ(流体圧送装置)から熱交換器を経由して膨張機に至る流路の冷媒の圧力をいう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、この発明に係るランキンサイクルは、作動流体の循環路に、作動流体と熱媒体とを熱交換させる熱交換器、作動流体を膨張させて駆動力を発生する膨張機、作動流体を凝縮させる凝縮器、及び、作動流体を熱交換器に移送する流体圧送装置が順次設けられたランキンサイクルにおいて、熱交換器から膨張機に至るまでの間の膨張機入口流路に設けられ、作動流体の温度を検出する温度検出器と、膨張機入口流路の作動流体に設定される目標温度に基づき膨張機入口流路の作動流体の温度を制御する温度制御装置と、所定時間内における目標温度に対する温度検出器による検出温度の乖離状態に基づき、該ランキンサイクルでの異常の発生の有無を判定する異常判定装置とを備える。
【0009】
異常判定装置は、所定の時間内での目標温度と検出温度との差が所定値以上となる時間が、上記所定の時間の所定割合以上となること、上記所定の時間内での目標温度と検出温度との差が所定値以上となる状態が、所定継続時間以上継続すること、上記所定の時間内での目標温度と検出温度との差の積分値が所定積分値以上となることのうち、少なくとも1つが満足される場合、異常が発生したと判定してもよい。
【0010】
温度制御装置は、異常判定装置が異常が発生したと判定した場合、目標温度を高くしてもよい。
温度制御装置は、目標温度を高くした場合、流体圧送装置の回転数を低下させること、膨張機の負荷を低下させること、膨張機の吸入容積を増大させること、膨張機から凝縮器を経て流体圧送装置に至るまでの間の第二流路に、流体圧送装置から前記熱交換器に至るまでの間の圧送装置出口流路の作動流体をバイパスさせる流量を増加させることのうちの少なくとも1つを行ってもよい。
【0011】
また、この発明に係るランキンサイクルは、作動流体の循環路に、作動流体と熱媒体とを熱交換させる熱交換器、作動流体を膨張させて駆動力を発生する膨張機、作動流体を凝縮させる凝縮器、及び、作動流体を熱交換器に移送する流体圧送装置が順次設けられたランキンサイクルにおいて、流体圧送装置から熱交換器を経て膨張機に至るまでの間の第一流路に設けられ、作動流体の圧力を検出する圧力検出器と、第一流路の作動流体に設定される目標圧力に基づき第一流路の作動流体の圧力を制御する圧力制御装置と、所定時間内における目標圧力に対する圧力検出器による検出圧力の乖離状態に基づき、該ランキンサイクルでの異常の発生の有無を判定する異常判定装置とを備えることができる。
【0012】
異常判定装置は、所定の時間内での目標圧力と検出圧力との差が所定差圧以上となる時間が、上記所定の時間の所定割合以上となること、上記所定の時間内での目標圧力と検出圧力との差が所定差圧以上となる状態が、所定継続時間以上継続すること、上記所定の時間内での目標圧力と検出圧力との差の積分値が所定積分値以上となることのうち、少なくとも1つが満足される場合、異常が発生したと判定してもよい。
【0013】
圧力制御装置は、異常判定装置が異常が発生したと判定した場合、目標圧力を低下させる、又は、ランキンサイクルの稼動を停止してもよい。
圧力制御装置は、目標圧力を低下させた場合、流体圧送装置の回転数を低下させること、膨張機の負荷を低下させること、膨張機の吸入容積を増大させること、第二流路に第一経路の作動流体をバイパスさせる流量を増加させることのうちの少なくとも1つを行ってもよい。
【0014】
上記ランキンサイクルは、異常判定装置が異常が発生したと判定した場合に異常の発生を知らせる警報装置をさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0015】
この発明に係るランキンサイクルによれば、膨張機入口の作動流体の温度又は圧力を調節する制御を有するランキンサイクルにおける異常の判定を容易にすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の実施の形態に係るランキンサイクル及びその周辺の構成を示す模式図である。
【図2】冷媒の目標温度と温度センサの検出温度との関係の例を示す図である。
【図3】冷媒の目標温度と温度センサの検出温度との関係の別の例を示す図である。
【図4】冷媒の目標圧力と圧力センサの検出圧力との関係の例を示す図である。
【図5】冷媒の目標圧力と圧力センサの検出圧力との関係の別の例を示す図である。
【図6】実施の形態に係るランキンサイクルの変形例を示す図である。
【図7】実施の形態に係るランキンサイクルの別の変形例を示す図である。
【図8】実施の形態に係るランキンサイクルのさらなる別の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施の形態1.
実施の形態1に係るランキンサイクル101の構成と、ランキンサイクル101内の異常の有無の判定について、図1〜3を用いて説明する。
まず、この発明の実施の形態に係るランキンサイクル101及びその周辺の構成を図1に基づいて説明する。なお、以下の実施形態において、内燃機関すなわちエンジン10を搭載する車両にランキンサイクルを使用した場合の例について説明する。
図1を参照すると、エンジン10を備える図示しない車両は、ランキンサイクル101を備えている。
ランキンサイクル101は、ポンプ111、冷却水ボイラ112、廃ガスボイラ113、膨張機114、コンデンサ115、レシーバ116及びサブクーラ117を順次環状に接続する循環路を形成しており、作動流体である冷媒が流通するようになっている。
【0018】
ポンプ111は、稼動して流体を圧送するものであり、本実施の形態では、液体を圧送するものとする。ポンプ111は、モータ118によって駆動され、モータ118は、車両の制御装置であるECU130に電気的に接続されてその動作が制御される。
ここで、ポンプ111は流体圧送装置を構成している。
また、ポンプ111の下流側の吐出口は、流路部1aを介して冷却水ボイラ112の冷媒入口に連通している。冷却水ボイラ112は、その内部で、エンジン10の冷却水回路20を流通するエンジン冷却用の冷却水と冷媒とを流通させて互いに熱交換させ、冷媒を加熱することができる。なお、冷却水ボイラ112は、冷却水回路20において、ラジエータ21と並列に設けられている。ラジエータ21は、内部を流通する冷却水と周囲の空気とを熱交換させて冷却水を冷却する。
【0019】
冷却水ボイラ112の冷媒出口は、流路部1bを介して廃ガスボイラ113の冷媒入口に連通している。廃ガスボイラ113は、その内部に、冷却水ボイラ112から流出した冷媒と、エンジン10の排気流路30の排気ガスとを流通させて互いに熱交換させ、冷媒を加熱することができる。
ここで、冷却水及び排気ガスは熱媒体を構成し、冷却水ボイラ112及び廃ガスボイラ113は熱交換器を構成している。
【0020】
廃ガスボイラ113の冷媒出口は、流路部1cを介して膨張機114の入口に連通している。膨張機114は、その内部で、廃ガスボイラ113で加熱された後の高温高圧の冷媒を膨張させることによってタービン等の回転体と共に駆動軸114aを回転させ、回転駆動力による仕事を得る流体機器である。また、膨張機114は、その駆動軸114aを、オルタネータである発電機119と共有し、さらに、駆動軸114aは、発電機119の外部に延びて電磁クラッチ120aを介してプーリ120bが連結されている。プーリ120bは、エンジン10から延びるエンジン駆動軸10aに連結されたエンジンプーリ10bと、駆動ベルト10cによって連結されている。電磁クラッチ120aは、駆動軸114aとプーリ120bとを接続又は切断することができ、ECU130に電気的に接続されてその断接動作が制御される。よって、膨張機114が発生する回転駆動力は、駆動軸114aを介して発電機119を一体に駆動させることができ、さらに、エンジン10の駆動を補助することができる。
なお、流路部1a、1b、及び1cは、冷媒の高圧側流路である第一流路1を構成している。また、ポンプ111から冷却水ボイラ112に至る流路部1aは圧送装置出口流路を構成する。さらに、廃ガスボイラ113から膨張機114に至る流路部1cは膨張機入口流路を構成している。
【0021】
また、発電機119は、コンバータ121と電気的に接続され、さらに、コンバータ121は、バッテリ122と電気的に接続されている。そして、膨張機114が駆動軸114aを回転駆動すると、発電機119が交流電流を発生してコンバータ121に送り、コンバータ121は、送られた交流電流を直流電流に変換してバッテリ122に供給し充電させる。
【0022】
また、膨張機114の出口は、流路部2aを介してコンデンサ115の入口に連通している。コンデンサ115は、その内部に冷媒を流通させてコンデンサ115の周囲の空気と熱交換させ、冷媒を冷却・凝縮させることができる。
ここで、コンデンサ115は、凝縮器を構成している。
【0023】
コンデンサ115の出口は、流路部2bを介してレシーバ116の入口に連通し、さらに、レシーバ116の出口は、流路部2cを介してサブクーラ117の入口に連通している。
レシーバ116は、内部に液体の冷媒を含む気液分離器であり、冷媒に含まれる冷媒の蒸気成分、水分、異物等を除去するものである。
サブクーラ117は、その内部にレシーバ116から送られる液体の冷媒を流通させてサブクーラ117の周囲の空気と熱交換させ、冷媒を過冷却することができる。
【0024】
また、サブクーラ117の出口は、流路部2dを介してポンプ111の吸入口に連通し、サブクーラ117から流出した冷媒が、ポンプ111によって吸入されて再び圧送され、ランキンサイクル101を循環する。
なお、流路部2a、2b、2c及び2dは、冷媒の低圧側流路である第二流路2を構成している。さらに、第一流路1及び第二流路2は、冷媒の閉循環路を構成している。
【0025】
また、ランキンサイクル101は、第一流路1の流路部1cにおける膨張機114の入口の近傍に、第一流路1を流通する冷媒の圧力を検出する圧力センサ141と、流路部1cを流通する冷媒の温度を検出する温度センサ142とを有している。圧力センサ141は、膨張機114の入口の冷媒の圧力、つまりポンプ111から冷却水ボイラ112及び廃ガスボイラ113を経て膨張機114までの間を流通する冷媒の圧力を検出し、電気的に接続されたECU130に検出した冷媒の圧力情報を送る。なお、第一流路1の流路部1a〜1cでは、各流路間で冷媒の圧力は同等であるため、圧力センサ141は、流路部1a〜1cのいずれに設けられてもよい。また、温度センサ142は、膨張機114の入口の冷媒の温度、つまり廃ガスボイラ113から流出した冷媒の温度を検出し、電気的に接続されたECU130に検出した冷媒の温度情報を送る。
ここで、圧力センサ141は圧力検出器を構成し、温度センサ142は温度検出器を構成している。
【0026】
また、ECU130には、警報装置150が電気的に接続されている。警報装置150は、ECU130がランキンサイクル101において異常の発生を検知したときにECU130によって起動され、車両の運転者に対して、視覚的及び/又は聴覚的に、異常の発生を示す警報を発するように構成されている。
【0027】
次に、この発明の実施の形態に係るランキンサイクル101の動作を説明する。
図1を参照すると、エンジン10の稼動中、エンジン10から圧送された冷却水は、冷却水ボイラ112及びラジエータ21を流通して再びエンジン10に戻るように冷却水回路20内を循環する。
また、稼働中のエンジン10から排気流路30に排気ガスが排出され、排出された排気ガスは、廃ガスボイラ113の内部を流通した後、車両の外部に排出される。
また、エンジン10が稼動すると、ECU130は、電磁クラッチ120aを接続させる。これにより、エンジン10の回転駆動力が、エンジン駆動軸10a、エンジンプーリ10b、駆動ベルト10c、プーリ120b及び電磁クラッチ120aを介して、駆動軸114aに伝達し、それによって、駆動軸114aが、発電機119及び膨張機114を一体に駆動する。
【0028】
また、ECU130は、モータ118を動作させ、モータ118はポンプ111を駆動する。駆動されたポンプ111は、液体状態の冷媒を冷却水ボイラ112に向かって圧送し、また、駆動された膨張機114は、タービン等の回転体を回転させ、第一流路1の流路部1cの冷媒を降圧して第二流路2の流路部2aに送る。なお、冷媒は、ポンプ111によって圧送されることで、断熱加圧作用を受ける。
【0029】
ポンプ111によって圧送された液体状態の冷媒は、流路部1aを通過して冷却水ボイラ112に流入し、その内部を流通する冷却水と熱交換を行うことによって等圧加熱されて昇温し、流出する。冷却水ボイラ112から流出した冷媒は、流路部1bを通過して廃ガスボイラ113に流入し、その内部を流通する排気ガスと熱交換を行うことによって等圧加熱されて昇温し、高温高圧の過熱蒸気となって流出する。
【0030】
さらに、廃ガスボイラ113から流出した高温高圧の過熱蒸気状態の冷媒は、流路部1cを通過して膨張機114に吸入され、膨張機114では、上流側の流路部1cと下流側の流路部2aとの間の冷媒の圧力差を利用して、冷媒が断熱膨張し、高温低圧の過熱蒸気状態で流出する。そして、冷媒の膨張エネルギーが回生エネルギーとして回転エネルギーに変換され、駆動軸114aに伝達する。
なお、駆動軸114aに伝達した回生エネルギーは、発電機119に回転駆動力として付与されるだけでなく、エンジン10に伝達してその回転駆動を補助する。また、発電機119は、与えられる回転駆動力によって稼動して交流電流を生成し、生成された交流電流は、コンバータ121で直流電流に変換された後、バッテリ122に充電される。
【0031】
膨張機114から流出した過熱蒸気状態の冷媒は、流路部2aを通過してコンデンサ115に流入し、コンデンサ115において周囲の空気すなわち外気と熱交換を行うことによって等圧冷却されて凝縮し、液体状態となって流出する。
さらに、コンデンサ115から流出した液体状態の冷媒は、流路部2bを通過してレシーバ116に流入し、レシーバ116の内部に貯められた液体冷媒中を通過して流路部2cに流出する。冷媒は、レシーバ116内を通過する際、含有する冷媒の蒸気成分、水分及び異物等が除去される。
【0032】
そして、レシーバ116から流出した冷媒は、流路部2cを通過してサブクーラ117に流入し、サブクーラ117において外気と熱交換を行うことによってさらに等圧冷却され、過冷却液状態となって流路部2dに流出する。流路部2dの冷媒は、ポンプ111に吸入されて再度圧送され、ランキンサイクル101を循環する。
【0033】
次に、このランキンサイクル101内の温度制御と異常の判定の有無について図1〜3に基づいて説明する。
【0034】
ランキンサイクル101では、膨張機114の入口での冷媒の温度が過度に上昇すると、膨張機114及び冷媒配管の耐久性が低下し、破損につながる。このため、ランキンサイクル101では、通常、その運転状態等に基づいて、膨張機114の入口での温度に目標温度を設定し、この目標温度に膨張機114の入口での温度をあわせるように制御される。
【0035】
具体的には、ECU130は、圧力センサ141によって検出される第一流路1を流通する冷媒の圧力情報、膨張機114の負荷情報、冷却水回路20の冷却水温度情報等を取得して、膨張機114の入口での冷媒の目標温度を設定し、さらに、温度センサ142による冷媒の検出温度が目標温度となるように、膨張機114の入口での冷媒の温度を調節する。そして、ECU130は、モータ118の回転数を調節してポンプ111の回転数を制御することによって温度センサ142での検出温度を制御し、例えば、温度センサ142の検出温度が目標温度より高い場合にはポンプ111の回転数を増加させて膨張機114の入口での冷媒の温度を低下させ、温度センサ142の検出温度が目標温度より低い場合にはポンプ111の回転数を低下させて膨張機114の入口での冷媒の温度を上昇させる。
ここで、ECU130は温度制御装置を構成している。
【0036】
しかしながら、ランキンサイクル101内の機器又は冷媒配管に冷媒の漏洩が発生した場合、ECU130が上述のように膨張機114の入口での冷媒の温度の調節を実施しても、温度センサ142の検出温度が目標温度より高くなる。よって、ECU130は、目標温度に対する温度センサ142の検出温度の乖離状態に基づき、ランキンサイクル101内の機器及び冷媒配管での異常の発生の有無を判定する。ここで、ECU130は異常判定装置を構成している。
なお、前述のように冷媒の温度が過度に上昇した場合は配管等の破損の可能性がある。そのため、機器の信頼性の観点より、温度センサ142の検出温度が目標温度よりも高い場合の乖離状態に基づいて異常の有無を判定することは、より安全性の高い判定方法と考えられる。
【0037】
まず、ランキンサイクル101内の機器及び冷媒配管に異常がない場合、ECU130が上述のように膨張機114の入口での冷媒の温度の調節を実施する過程では、温度センサ142の検出温度は、目標温度を中心として高温側及び低温側への変動を伴いつつ目標温度の近傍を推移する。
このため、ECU130は、目標温度に対して高温側及び低温側へ所定の許容範囲(許容温度範囲とする)を設定し、膨張機114の入口の冷媒の温度を制御する過程での温度センサ142の検出温度が、許容温度範囲の上限値以上となる場合に、ランキンサイクル101内の機器又は冷媒配管に冷媒の漏洩等の異常があると判定する。具体的には、以下の3つの要件の少なくとも1つが満たされた時点で、ECU130は、ランキンサイクル101内の機器又は冷媒配管に異常があると判定する。そして、ECU130は、ランキンサイクル101内に異常があると判定すると警報装置150を起動し、起動された警報装置150は、車両の運転者に対して、異常の発生を示す警報を視覚的及び/又は聴覚的に発する。
【0038】
図2を参照すると、冷媒の目標温度と温度センサ142の検出温度との時間的変化を表した例が示されている。図2の縦軸は冷媒の温度を示し、横軸は経過時間を示す。なお、説明を簡単にするため、目標温度はCtで一定としている。
図1及び図2をあわせて参照すると、ECU130は、常時、目標温度Ctと温度センサ142の検出温度Csとを取得し、温度センサ142の検出温度Csから目標温度Ctの許容温度範囲ACtの上限値ACをひいた温度差Dcs(Dcs=Cs−AC)を経時的に算出し記憶している。
【0039】
そこで、ECU130は、ランキンサイクル101内の機器又は冷媒配管に対する異常の有無の判定を時刻t1で行う場合、記憶している温度差Dcsを時刻t1から過去に所定の時間Trだけ遡って取得し、時刻t1−Trから時刻t1までの時間範囲Trにおいて、温度差Dcsが0(零)以上となっている時間を合計した合計時間Tscを算出する。つまり、ECU130は、検出温度Csから目標温度Ctをひいた温度差Dcs’が、所定温度差Dct2(所定温度差Dct2=許容温度の上限温度AC−目標温度Ct)以上となる時間を合計したものでもある合計時間Tscを算出する。そして、ECU130は、時間Tscが時間範囲Trのα%以上(なお、α%は100%以下の予め設定された値)を占める場合を、ランキンサイクル101内の機器又は冷媒配管に異常があると判定するための1つの要件(冷媒温度第一判定要件とする)としている。つまり、冷媒温度第一判定要件は、所定の時間範囲Tr内で、温度センサ142の検出温度Csが許容温度範囲ACtの上限値AC以上となる割合が所定割合(α%)以上となると、異常があると判定するもので、検出温度Csの異常の発生割合に基づく要件である。
【0040】
また、ECU130は、ランキンサイクル101内の機器又は冷媒配管に対する異常の有無の判定を時刻t1で行う場合、記憶している温度差Dcsを時刻t1から過去に所定の時間Trだけ遡って取得し、時刻t1−Trから時刻t1までの時間範囲Trにおいて、温度差Dcsが0以上となる場合が時刻t1までに継続している継続時間Tdcを算出する。そして、ECU130は、継続時間Tdcが所定継続時間Tdc1以上となる場合を、ランキンサイクル101内の機器又は冷媒配管に異常があると判定するための1つの要件(冷媒温度第二判定要件とする)としている。つまり、冷媒温度第二判定要件は、所定の時間範囲Tr内で、温度センサ142の検出温度Csが許容温度範囲ACtの上限値AC以上となる場合が時刻t1までに継続している継続時間Tdcが所定継続時間Tdc1以上となると、異常があると判定するもので、検出温度Csに発生する異常状態の連続発生時間に基づく要件である。
【0041】
また、ECU130は、ランキンサイクル101内の機器又は冷媒配管に対する異常の有無の判定を時刻t1で行う場合、記憶している温度差Dcsを時刻t1から過去に所定の時間Trだけ遡って取得し、0以上となる場合の温度差Dcsを、時刻t1−Trから時刻t1までの時間範囲Tr内において積分する。そして、ECU130は、温度差Dcsの積分値Icsが所定積分値Ics1以上となる場合を、ランキンサイクル101内の機器又は冷媒配管に異常があると判定するための1つの要件(冷媒温度第三判定要件とする)としている。つまり、冷媒温度第三判定要件は、所定の時間範囲Tr内で、許容温度範囲ACtの上限値AC以上となる温度センサ142の検出温度Csと上限値ACとの差の積分が、所定値(Ics1)以上となると、異常があると判定するもので、検出温度Csに発生する異常状態の積算量に基づく要件である。
【0042】
ECU130は、ランキンサイクル101内の機器又は冷媒配管に対する異常の有無の判定を常時、経時的に行っており、この経時的に判定を行っていく過程で、冷媒温度第一判定要件、冷媒温度第二判定要件及び冷媒温度第三判定要件のいずれか1つが満たされた時点で、ランキンサイクル101内の機器又は冷媒配管に異常がある、つまり冷媒の漏洩があると判定する。この場合、ECU130は、冷媒の漏洩を低減すると共に、ランキンサイクル101内で必要な冷媒量を低減させ、さらには、冷媒の漏洩によってポンプ111及び膨張機114に損傷が発生することを防止するために、目標温度を高くして再設定する。なお、冷媒の漏洩によって冷媒流量が低下すると、ポンプ111内で圧送される冷媒にキャビテーションが発生しポンプ111が損傷する、膨張機114の上下流での冷媒の差圧が小さくなり膨張機114の回生エネルギーが低下する、冷媒と共に流動する潤滑油による潤滑不足によって膨張機114が損傷する、膨張機114が損傷することによって発電機119が発電不足となり車両が停止する、廃ガスボイラ113で冷媒が過度に高温になることによって冷媒が劣化する等の問題が生じる。
そして、ECU130は、再設定した高い目標温度に基づき、ポンプ111の回転数を低減する制御を行うことによって、温度センサ142の検出温度が目標温度となるように温度制御を行う。
【0043】
なお、本実施の形態のランキンサイクル101では、冷媒は廃ガスボイラ113で高温の排気ガスと熱交換を行っているため、ランキンサイクル101の稼動を停止するつまりポンプ111及び膨張機114を停止すると、冷媒が分解してしまう。このため、ランキンサイクル101の稼動は停止されない。しかしながら、ランキンサイクル101において冷媒が冷却水ボイラ112の冷却水とのみ、又は排気ガスより大幅に低温の熱媒体とのみ熱交換を行う場合、ECU130は、異常の発生を判定したとき、モータ118を停止させることでポンプ111を停止すると共に、電磁クラッチ120aを切断することで膨張機114を停止させてもよい。
【0044】
また、ランキンサイクル101において、ECU130は、温度センサ142の検出温度Csが目標温度Ctの許容温度範囲ACtの上限値AC以上となる場合について、冷媒温度第一判定要件、冷媒温度第二判定要件及び冷媒温度第三判定要件を設定して異常を判定していたが、これに限定されない。ECU130は、温度センサ142の検出温度Csが目標温度Ctの許容温度範囲ACtの下限値AC以下となる場合について、冷媒温度第一判定要件、冷媒温度第二判定要件及び冷媒温度第三判定要件と同様の判定要件を設定し異常の判定を行うことができる。
【0045】
図1及び図3をあわせて参照すると、ランキンサイクル101では、温度センサ142の検出温度Csの異常の発生割合に基づく冷媒温度第一判定要件と同様の冷媒温度第四判定要件を設定することができる。冷媒温度第四判定要件は、異常の有無の判定を時刻t1で行う場合に、時刻t1−Trから時刻t1までの所定の時間範囲Tr内で、温度センサ142の検出温度Csが許容温度範囲ACtの下限値AC以下となる時間の合計時間Tsc’の割合が時間範囲Trの所定割合(α2%)以上となると、異常があると判定するものである。
【0046】
また、ランキンサイクル101では、温度センサ142の検出温度Csに発生する異常状態の連続発生時間に基づく冷媒温度第二判定要件と同様の冷媒温度第五判定要件も設定することができる。冷媒温度第五判定要件は、異常の有無の判定を時刻t1で行う場合に、時刻t1−Trから時刻t1までの所定の時間範囲Tr内において、温度センサ142の検出温度Csが許容温度範囲ACtの下限値AC以下となる場合が時刻t1までに継続している継続時間Tdc’が、所定継続時間Tdc2以上となると、異常があると判定するものである。
【0047】
さらに、ランキンサイクル101では、温度センサ142の検出温度Csに発生する異常状態の積算量に基づく冷媒温度第三判定要件と同様の冷媒温度第六判定要件を設定することができる。冷媒温度第六判定要件は、異常の有無の判定を時刻t1で行う場合に、時刻t1−Trから時刻t1までの所定の時間範囲Tr内において、許容温度範囲ACtの下限値AC以下となる温度センサ142の検出温度Csと下限値ACとの差の積分値Ics’が、所定積分値Ics2以上となると、異常があると判定するものである。
【0048】
そして、ECU130は、異常の有無の判定を経時的に行っていく過程で、冷媒温度第四判定要件、冷媒温度第五判定要件及び冷媒温度第六判定要件のいずれか1つが満たされた時点で、ランキンサイクル101内の機器又は冷媒配管に異常があると判定する。なお、上述の冷媒温度第四判定要件〜冷媒温度第六判定要件に基づき異常の発生が判定された場合、冷媒の温度が過剰に低下していると判断できる。この場合、具体的にはポンプ111が故障して冷媒の流量が過多となっていたり、冷却水ボイラ112又は廃ガスボイラ113が故障していたり、あるいはエンジン10の排気流路30の配管に穴が開いている等の異常が発生している可能性がある。このときも、ECU130は、警報装置150を起動するようにしてもよい。
【0049】
このように、この発明の実施の形態に係るランキンサイクル101は、冷媒の循環路に、冷媒とエンジン10の冷却水とを熱交換させる冷却水ボイラ112、冷媒とエンジン10の排気ガスとを熱交換させる廃ガスボイラ113、冷媒を膨張させて駆動力を発生する膨張機114、冷媒を凝縮させるコンデンサ115、及び、冷媒を冷却水ボイラ112に移送するポンプ111が順次設けられたものである。ランキンサイクル101は、廃ガスボイラ113から膨張機114に至るまでの間の流路部1cに設けられ、冷媒の温度を検出する温度センサ142と、ECU130とを備える。ECU130は、流路部1cの冷媒に設定される目標温度に基づき流路部1cの冷媒の温度を制御する温度制御装置として動作し、さらに、所定時間Tr内における目標温度Ctに対する温度センサ142による検出温度Csの乖離状態に基づき、ランキンサイクル101での異常の発生の有無を判定する異常判定装置として動作する。
【0050】
このとき、ランキンサイクル101のECU130は、目標温度Ctに対する検出温度Csの乖離状態に基づき、ランキンサイクル101での異常の有無を判定している。ランキンサイクル101では、流路部1cの冷媒の温度が目標温度Ctとなるように温度制御が実施されるが、ランキンサイクル101を搭載する車両の運転状態、ランキンサイクル101の運転状態等によって目標温度Ctは変動する。しかしながら、ECU130は、変動する目標温度に対して検出温度Csの乖離状態を判断することによって、異常の有無を判定する。よって、ランキンサイクル101での異常の判定は、目標温度Ctと検出温度Csという2つのパラメータを使用するだけでよく、ランキンサイクル101の運転状態、車両の運転状態等の影響を受けずに安定した異常の判定を行うことができるため、異常の判定動作を容易にすることが可能になる。
【0051】
また、ランキンサイクル101において、ECU130は、所定の時間Tr内での目標温度Ctと検出温度Csとの温度差Dcsが所定温度差Dct1以上となる時間Tscが、所定の時間Trの所定割合(α%)以上となること(冷媒温度第一判定条件)、所定の時間Tr内での目標温度Ctと検出温度Csとの温度差Dcsが所定温度差Dct1以上となる状態が、所定継続時間Tdc1以上継続すること(冷媒温度第二判定条件)、所定の時間Tr内での目標温度Ctと検出温度Csとの温度差Dcsの積分値Icsが所定積分値Ics1以上となること(冷媒温度第三判定条件)のうち、少なくとも1つが満足される場合、異常が発生したと判定する。上述の3つの要件はいずれも、目標温度Ctと検出温度Csとの乖離状態の判断を容易にすることができる。
【0052】
また、ランキンサイクル101において、ECU130は、異常が発生したと判定した場合、目標温度Ctを高くする、又は、ランキンサイクル101の稼動を停止する。これによって、ランキンサイクル101内の機器及び冷媒配管における耐久性の低下及び損傷の発生を防止することができる。
また、ランキンサイクル101は、ECU130が異常が発生したと判定した場合に異常の発生を知らせる警報装置150を備える。これによって、ランキンサイクル101での異常の発生を、車両の乗員等のユーザに知らせることができる。
【0053】
なお、実施の形態のランキンサイクル101のECU130は、冷媒温度第一判定条件、冷媒温度第二判定条件及び冷媒温度第三判定条件の3つの判定条件を使用して、冷媒の漏洩等の異常を検出していたが、これに限定されるものでなく、3つの判定条件のうちの1つのみ、又は2つのみを使用して異常の検出を行ってもよい。同様に、ランキンサイクル101のECU130は、冷媒温度第四判定条件、冷媒温度第五判定条件及び冷媒温度第六判定条件の3つの判定条件のうちの1つのみ、又は2つのみを使用して異常の検出を行ってもよい。また、ランキンサイクル101のECU130は、冷媒温度第一判定条件〜冷媒温度第六判定条件の少なくとも幾つかを組み合わせて異常の検出を行ってもよい。
【0054】
実施の形態2.
実施の形態2に係るランキンサイクル101内の異常の有無の判定について、図1、図4及び図5を用いて説明する。
実施の形態1では、目標温度に対する温度センサ142の検出温度の乖離状態に基づき異常の発生の有無が判定されるが、本実施の形態では、目標圧力に対する圧力センサ141の検出圧力の乖離状態に基づき、ランキンサイクル101内の異常の発生の有無が判定される。なお、実施の形態2においては、実施の形態1と同様のランキンサイクル101が用いられるため、ランキンサイクル101全体の詳細な説明は省力する。
【0055】
ランキンサイクル101では、冷媒の高圧側流路である第一流路1を流通する冷媒の圧力、つまり膨張機114の入口での冷媒の圧力が過度に上昇して許容される上限圧力を超えてしまうと、膨張機114及び冷媒配管の耐久性が低下し、破損にもつながる。また、膨張機114の入口での冷媒の圧力は、膨張機114の入口での冷媒の温度、膨張機114での冷媒の膨張により回収される回生エネルギー量、冷却水ボイラ112での冷却水から冷媒が吸収する熱量等に影響を及ぼす。このため、ランキンサイクル101では、その運転状態等に基づいて、膨張機114の入口での圧力に目標圧力を設定し、この目標圧力に膨張機114の入口での圧力をあわせるように制御される。
【0056】
具体的には、ECU130は、温度センサ142によって検出される流路部1cを流通する冷媒の温度情報、膨張機114の負荷情報、冷却水回路20の冷却水温度情報等を取得して、膨張機114の入口での冷媒の目標圧力を設定し、さらに、圧力センサ141による冷媒の検出圧力が目標圧力となるように、膨張機114の入口での冷媒の圧力を調節する。そして、ECU130は、モータ118の回転数を調節してポンプ111の回転数を制御することによって圧力センサ141での検出圧力を制御し、例えば、圧力センサ141の検出圧力が目標圧力より高い場合にはポンプ111の回転数を低下させて膨張機114の入口での冷媒の圧力を低下させ、圧力センサ141の検出圧力が目標圧力より低い場合にはポンプ111の回転数を上昇させて膨張機114の入口での冷媒の圧力を増加させる。
ここで、ECU130は圧力制御装置を構成している。
【0057】
しかしながら、ランキンサイクル101内の機器又は冷媒配管に冷媒の漏洩が発生した場合、ECU130が上述のように膨張機114の入口での冷媒の圧力の調節を実施しても、圧力センサ141の検出圧力が目標圧力より低くなる。よって、上述のようにECU130は、目標圧力に対する圧力センサ141の検出圧力の乖離状態に基づき、ランキンサイクル101内の機器及び冷媒配管での異常の発生の有無を判定する。
ここで、ECU130は、実施の形態1と同様に、異常判定装置を構成している。
【0058】
そこで、ランキンサイクル101内の機器及び冷媒配管に異常がない場合、ECU130が上述のように膨張機114の入口での冷媒の圧力の調節を実施する過程では、圧力センサ141の検出圧力は、目標圧力を中心として高圧側及び低圧側への変動を伴いつつ目標圧力の近傍を推移する。
このため、ECU130は、目標圧力に対して高圧側及び低圧側へ所定の許容範囲(許容圧力範囲とする)を設定し、膨張機114の入口の冷媒の圧力を制御する過程での圧力センサ141の検出圧力が、許容圧力範囲の下限値以下となる場合に、ランキンサイクル101内の機器又は冷媒配管に冷媒の漏洩等の異常があると判定する。具体的には、以下の3つの要件の少なくとも1つが満たされた時点で、ECU130は、ランキンサイクル101内の機器又は冷媒配管に異常があると判定する。そして、ECU130は、実施の形態1と同様に、ランキンサイクル101内に異常があると判定すると警報装置150を起動する。
【0059】
図4を参照すると、冷媒の目標圧力と圧力センサ141の検出圧力との時間的変化を表した例が示されている。図4の縦軸は冷媒の圧力を示し、横軸は経過時間を示す。なお、説明を簡単にするため、目標圧力はPtで一定としている。
図1及び図4をあわせて参照すると、ECU130は、常時、目標圧力Ptと圧力センサ141の検出圧力Psとを取得し、目標圧力Ptの許容圧力範囲APtの下限値APから圧力センサ141の検出圧力Psをひいた圧力差Dps(Dps=AP−Ps)を経時的に算出し記憶している。
【0060】
そこで、ECU130は、ランキンサイクル101内の機器又は冷媒配管に対する異常の有無の判定を時刻t1で行う場合、記憶している圧力差Dpsを時刻t1から過去に所定の時間Trだけ遡って取得し、時刻t1−Trから時刻t1までの時間範囲Trにおいて、圧力差Dpsが0(零)以上となっている時間を合計した合計時間Tspを算出する。つまり、ECU130は、目標圧力Ptから検出圧力Psをひいた圧力差Dps’が、所定差圧Dpt1(所定差圧Dpt1=目標圧力Pt−許容圧力の下限圧力AP)以上となる時間を合計したものでもある合計時間Tspを算出する。そして、ECU130は、時間Tspが時間範囲Trのα3%以上(なお、α3%は100%以下の予め設定された値)を占める場合を、ランキンサイクル101内の機器又は冷媒配管に異常があると判定するための1つの要件(冷媒圧力第一判定要件とする)としている。つまり、冷媒圧力第一判定要件は、所定の時間範囲Tr内で、圧力センサ141の検出圧力Psが許容圧力範囲APtの下限値AP以下となる割合が所定割合(α3%)以上となると、異常があると判定するもので、検出圧力Psの異常の発生割合に基づく要件である。
【0061】
また、ECU130は、ランキンサイクル101内の機器又は冷媒配管に対する異常の有無の判定を時刻t1で行う場合、記憶している圧力差Dpsを時刻t1から過去に所定の時間Trだけ遡って取得し、時刻t1−Trから時刻t1までの時間範囲Trにおいて、圧力差Dpsが0以上となる場合が時刻t1までに継続している継続時間Tdpを算出する。そして、ECU130は、継続時間Tdpが所定継続時間Tdp1以上となる場合を、ランキンサイクル101内の機器又は冷媒配管に異常があると判定するための1つの要件(冷媒圧力第二判定要件とする)としている。つまり、冷媒圧力第二判定要件は、所定の時間範囲Tr内で、圧力センサ141の検出圧力Psが許容圧力範囲APtの下限値AP以下となる場合が時刻t1までに継続している継続時間Tdpが所定継続時間Tdp1以上となると、異常があると判定するもので、検出圧力Psに発生する異常状態の連続発生時間に基づく要件である。
【0062】
また、ECU130は、ランキンサイクル101内の機器又は冷媒配管に対する異常の有無の判定を時刻t1で行う場合、記憶している圧力差Dpsを時刻t1から過去に所定の時間Trだけ遡って取得し、0以上となる場合の圧力差Dpsを、時刻t1−Trから時刻t1までの時間範囲Tr内において積分する。そして、ECU130は、圧力差Dpsの積分値Ipsが所定積分値Ips1以上となる場合を、ランキンサイクル101内の機器又は冷媒配管に異常があると判定するための1つの要件(冷媒圧力第三判定要件とする)としている。つまり、冷媒圧力第三判定要件は、所定の時間範囲Tr内で、許容圧力範囲APtの下限値AP以下となる圧力センサ141の検出圧力Psと下限値APとの差の積分が、所定値(Ips1)以上となると、異常があると判定するもので、検出圧力Psに発生する異常状態の積算量に基づく要件である。
【0063】
ECU130は、ランキンサイクル101内の機器又は冷媒配管に対する異常の有無の判定を常時、経時的に行っており、この経時的に判定を行っていく過程で、冷媒圧力第一判定要件、冷媒圧力第二判定要件及び冷媒圧力第三判定要件のいずれか1つが満たされた時点で、ランキンサイクル101内の機器又は冷媒配管に異常がある、つまり冷媒の漏洩があると判定する。この場合、ECU130は、冷媒の漏洩を低減すると共に、ランキンサイクル101内で必要な冷媒量を低減させ、さらには、冷媒の漏洩によってポンプ111及び膨張機114に損傷が発生することを防止するために、目標圧力を低下させて再設定する。
そして、ECU130は、再設定した低い目標圧力に基づき、ポンプ111の回転数を低減する制御を行うことによって、圧力センサ141の検出圧力が目標圧力となるように圧力制御を行う。また、実施の形態1と同様に、モータ118を停止させることでポンプ111を停止すると共に、電磁クラッチ120aを切断することで膨張機114を停止させてもよい。
【0064】
また、ランキンサイクル101において、ECU130は、圧力センサ141の検出圧力Psが目標圧力Ptの許容圧力範囲APtの下限値AP以下となる場合について、冷媒圧力第一判定要件、冷媒圧力第二判定要件及び冷媒圧力第三判定要件を設定して異常を判定していたが、これに限定されない。ECU130は、圧力センサ141の検出圧力Psが目標圧力Ptの許容圧力範囲APtの上限値AP以上となる場合について、冷媒圧力第一判定要件、冷媒圧力第二判定要件及び冷媒圧力第三判定要件と同様の判定要件を設定し異常の判定を行うことができる。
【0065】
図1及び図5をあわせて参照すると、ランキンサイクル101では、圧力センサ141の検出圧力Psの異常の発生割合に基づく冷媒圧力第一判定要件と同様の冷媒圧力第四判定要件を設定することができる。冷媒圧力第四判定要件は、異常の有無の判定を時刻t1で行う場合に、時刻t1−Trから時刻t1までの所定の時間範囲Tr内で、圧力センサ141の検出圧力Psが許容圧力範囲APtの上限値AP以上となる時間の合計時間Tsp’の割合が時間範囲Trの所定割合(α4%)以上となると、異常があると判定するものである。
【0066】
また、ランキンサイクル101では、圧力センサ141の検出圧力Psに発生する異常状態の連続発生時間に基づく冷媒圧力第二判定要件と同様の冷媒圧力第五判定要件も設定することができる。冷媒圧力第五判定要件は、異常の有無の判定を時刻t1で行う場合に、時刻t1−Trから時刻t1までの所定の時間範囲Tr内において、圧力センサ141の検出圧力Psが許容圧力範囲APtの上限値AP以上となる場合が時刻t1までに継続している継続時間Tdp’が、所定継続時間Tdp2以上となると、異常があると判定するものである。
【0067】
さらに、ランキンサイクル101では、圧力センサ141の検出圧力Psに発生する異常状態の積算量に基づく冷媒圧力第三判定要件と同様の冷媒圧力第六判定要件を設定することができる。冷媒圧力第六判定要件は、異常の有無の判定を時刻t1で行う場合に、時刻t1−Trから時刻t1までの所定の時間範囲Tr内において、許容圧力範囲APtの上限値AP以上となる圧力センサ141の検出圧力Psと上限値APとの差の積分値Ips’が、所定積分値Ips2以上となると、異常があると判定するものである。
【0068】
そして、ECU130は、異常の有無の判定を経時的に行っていく過程で、冷媒圧力第四判定要件、冷媒圧力第五判定要件及び冷媒圧力第六判定要件のいずれか1つが満たされた時点で、ランキンサイクル101内の機器又は冷媒配管に異常があると判定する。なお、上述の冷媒圧力第四判定要件〜冷媒圧力第六判定要件に基づき異常の発生が判定された場合、冷媒の圧力が過剰に増大していると判断でき、ランキンサイクル101内の機器又は冷媒配管での、曲がり、潰れ、不純物の堆積等による冷媒流路の閉塞若しくは断面積の減少、膨張機114の回転体の回転不能などの異常が発生したと判断できる。このときも、ECU130は、警報装置150を起動するようにしてもよい。
【0069】
このように、この発明の実施の形態に係るランキンサイクル101において、ECU130は、第一流路1の冷媒に設定される目標圧力に基づき第一流路1の冷媒の圧力を制御する圧力制御装置として動作し、さらに、所定時間Tr内における目標圧力Ptに対する圧力センサ141による検出圧力Psの乖離状態に基づき、ランキンサイクル101での異常の発生の有無を判定する異常判定装置として動作する。
【0070】
このとき、ランキンサイクル101のECU130は、目標圧力Ptに対する検出圧力Psの乖離状態に基づき、ランキンサイクル101での異常の有無を判定している。よって、実施の形態2に係るランキンサイクル101での異常の判定は、目標圧力Ptと検出圧力Psという2つのパラメータを使用するだけでよい。従って実施の形態2でも実施の形態1と同様に、ランキンサイクル101の運転状態、車両の運転状態等の影響を受けずに安定した異常の判定を行うことができ、異常の判定動作を容易にすることが可能になる。
【0071】
また、ランキンサイクル101において、ECU130は、所定の時間Tr内での目標圧力Ptと検出圧力Psとの差圧Dpsが所定差圧Dpt1以上となる時間Tspが、所定の時間Trの所定割合(α3%)以上となること(冷媒圧力第一判定条件)、所定の時間Tr内での目標圧力Ptと検出圧力Psとの差圧Dpsが所定差圧Dpt1以上となる状態が、所定継続時間Td1以上継続すること(冷媒圧力第二判定条件)、所定の時間Tr内での目標圧力Ptと検出圧力Psとの差圧Dpsの積分値Ipsが所定積分値Ips1以上となること(冷媒圧力第三判定条件)のうち、少なくとも1つが満足される場合、異常が発生したと判定する。上述の3つの要件はいずれも、目標圧力Ptと検出圧力Psとの乖離状態の判断を容易にすることができる。
【0072】
また、ランキンサイクル101において、ECU130は、異常が発生したと判定した場合、目標圧力Ptを低下させる、又は、ランキンサイクル101の稼動を停止する。これによって、ランキンサイクル101内の機器及び冷媒配管における耐久性の低下及び損傷の発生を防止することができる。
【0073】
なお、実施の形態2のランキンサイクル101のECU130は、冷媒圧力第一判定条件、冷媒圧力第二判定条件及び冷媒圧力第三判定条件の3つの判定条件を使用して、冷媒の漏洩等の異常を検出していたが、これに限定されるものでなく、3つの判定条件のうちの1つのみ、又は2つのみを使用して異常の検出を行ってもよい。同様に、ランキンサイクル101のECU130は、冷媒圧力第四判定条件、冷媒圧力第五判定条件及び冷媒圧力第六判定条件の3つの判定条件のうちの1つのみ、又は2つのみを使用して異常の検出を行ってもよい。また、ランキンサイクル101のECU130は、冷媒圧力第一判定条件〜冷媒圧力第六判定条件の少なくとも幾つかを組み合わせて異常の検出を行ってもよい。
【0074】
また、実施の形態1及び2のランキンサイクル101では、ポンプ111の回転数を調節することによって、温度センサ142での検出温度又は圧力センサ141での検出圧力(つまり、膨張機114の入口での冷媒の圧力又は温度)を調節していたが、これに限定されるものでなく、以下に示すランキンサイクルの変形例では、別の方法で冷媒の温度制御又は圧力制御を行うことができる。なお、以下に説明で使用する図6〜図8において、前出した図における参照符号と同一の符号は、同一または同様な構成要素であるので、その詳細な説明は省略する。
【0075】
図6を参照すると、ランキンサイクル201では、ポンプ111、膨張機114及び発電機119が駆動軸114aを共有し、駆動軸114aがエンジン10に連結されたプーリ120bと連結され、エンジン10の駆動力を受けるようになっている。さらに、第一流路1を第二流路2に、具体的には、流路部1aを流路部2bに連通するバイパス流路3が設けられ、さらに、バイパス流路3の途中にこの流路の流路断面積を調節する制御弁3aが設けられている。この場合、制御弁3aの開放度を調節することによってバイパス流路3及び第一流路1の流路部1cを流通する冷媒流量が調節され、膨張機114の入口での温度センサ142の検出温度又は圧力センサ141の検出圧力が調節される。例えば、バイパス流路3の冷媒流量を増加させることによって、温度センサ142での検出温度は上昇し、圧力センサ141での検出圧力は減少する。なお、バイパス流路3は複数あってもよい。
【0076】
また、図7を参照すると、ランキンサイクル301では、ポンプ111、膨張機114及び発電機119が駆動軸114aを共有し、駆動軸114aがエンジン10に連結されていない構成となっている。さらに、発電機119がモータ及び発電機の機能を有するモータジェネレータとなっている。この場合、モータジェネレータ119が駆動する駆動軸114aの回転数を制御することによって、ポンプ111及び膨張機114の回転数が調節され、膨張機114の入口での温度センサ142の検出温度又は圧力センサ141の検出圧力が調節される。例えば、駆動軸114aの回転数を減少させることによって、温度センサ142の検出温度は上昇し、圧力センサ141での検出圧力は減少する。
【0077】
また、図8を参照すると、ランキンサイクル401では、ポンプ111がエンジン10に連結されたプーリ120bと連結され、膨張機114及び発電機119が駆動軸114aを共有する構成となっている。この場合、発電機119の負荷を変更することによって、膨張機114の負荷を調節し、膨張機114の入口での温度センサ142の検出温度又は圧力センサ141の検出圧力が調節される。例えば、発電機119の負荷を低減することで膨張機114の負荷が低減され、それにより、膨張機114の回転数が増加して、温度センサ142の検出温度は上昇し、圧力センサ141での検出圧力が減少する。
また、図1、図6、図7及び図8において、膨張機114を、その吸入容積を任意に変更可能なものとしてもよい。このとき、吸入容積を変更することで、膨張機114が移送する冷媒の流量(体積流量)が変更され、それによって、膨張機114の上流側流路(流路部1c)の冷媒温度及び冷媒圧力が変更される。そのため、温度センサ142の検出温度又は圧力センサ141の検出圧力が調節される。例えば、膨張機114の吸入容積を増加させることによって、温度センサ142の検出温度は上昇し、圧力センサ141での検出圧力は減少する。
【0078】
また、ランキンサイクル101は、冷却水ボイラ112及び廃ガスボイラ113の2つの熱交換器を備えていたが、これに限定されるものでなく、冷却水ボイラ112又は廃ガスボイラ113のいずれか一つを有するものでも、また、3つ以上の熱交換器を備えていてもよい。また、ランキンサイクル101は、冷却水ボイラ112の代わり又はこれに追加して、エアコンの冷媒とランキンサイクル101の冷媒との熱交換器を第一流路1に備えていてもよく、ハイブリッドカーにおいて使用されるモータの冷却水とランキンサイクル101の冷媒との熱交換器を第一流路1に備えていてもよい。また、ランキンサイクル101は、冷却水ボイラ112の代わり又はこれに追加して、過給機への吸入空気を冷却するためのインタークーラを流通して吸入空気と熱交換を行う熱媒体(冷却水等)とランキンサイクル101の冷媒との熱交換器を第一流路1に備えていてもよく、排気ガスをエンジン10の吸気側に還流するEGR(排気ガス再循環装置)における還流ガスを冷却するための冷却水とランキンサイクル101の冷媒との熱交換器を第一流路1に備えていてもよい。
【0079】
また、実施の形態のランキンサイクル101は、車両に搭載されるものであったが、これに限定されるものでなく、コジェネレータ、太陽熱発電、工場廃熱発電用等に搭載してもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 第一流路(作動流体の循環路)、2 第二流路(作動流体の循環路)、1a 流路部(圧送装置出口流路)1c 流路部(膨張機入口流路)、101,201,301,401 ランキンサイクル、111 ポンプ(流体圧送装置)、112 冷却水ボイラ(熱交換器)、113 廃ガスボイラ(熱交換器)、114 膨張機、115 コンデンサ(凝縮器)、130 ECU(温度制御装置、圧力制御装置、異常判定装置)、141 圧力センサ(圧力検出器)、142 温度センサ(温度検出器)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動流体の循環路に、作動流体と熱媒体とを熱交換させる熱交換器、作動流体を膨張させて駆動力を発生する膨張機、作動流体を凝縮させる凝縮器、及び、作動流体を前記熱交換器に移送する流体圧送装置が順次設けられたランキンサイクルにおいて、
前記熱交換器から前記膨張機に至るまでの間の膨張機入口流路に設けられ、作動流体の温度を検出する温度検出器と、
前記膨張機入口流路の作動流体に設定される目標温度に基づき前記膨張機入口流路の作動流体の温度を制御する温度制御装置と、
所定時間内における前記目標温度に対する前記温度検出器による検出温度の乖離状態に基づき、該ランキンサイクルでの異常の発生の有無を判定する異常判定装置とを備えるランキンサイクル。
【請求項2】
前記異常判定装置は、前記所定の時間内での前記目標温度と前記検出温度との差が所定値以上となる時間が、前記所定の時間の所定割合以上となること、
前記所定の時間内での前記目標温度と前記検出温度との差が前記所定値以上となる状態が、所定継続時間以上継続すること、
前記所定の時間内での前記目標温度と前記検出温度との差の積分値が所定積分値以上となることのうち、
少なくとも1つが満足される場合、異常が発生したと判定する請求項1に記載のランキンサイクル。
【請求項3】
前記温度制御装置は、前記異常判定装置が異常が発生したと判定した場合、前記目標温度を高くする、又は、前記ランキンサイクルの稼動を停止する請求項1または2に記載のランキンサイクル。
【請求項4】
前記温度制御装置は、前記目標温度を高くした場合、前記流体圧送装置の回転数を低下させること、
前記膨張機の負荷を低下させること、
前記膨張機の吸入容積を増大させること、
前記膨張機から前記凝縮器を経て前記流体圧送装置に至るまでの間の第二流路に、前記流体圧送装置から前記熱交換器に至るまでの間の圧送装置出口流路の作動流体をバイパスさせる流量を増加させること
のうちの少なくとも1つを行う請求項3に記載のランキンサイクル。
【請求項5】
作動流体の循環路に、作動流体と熱媒体とを熱交換させる熱交換器、作動流体を膨張させて駆動力を発生する膨張機、作動流体を凝縮させる凝縮器、及び、作動流体を前記熱交換器に移送する流体圧送装置が順次設けられたランキンサイクルにおいて、
前記流体圧送装置から前記熱交換器を経て前記膨張機に至るまでの間の第一流路に設けられ、作動流体の圧力を検出する圧力検出器と、
前記第一流路の作動流体に設定される目標圧力に基づき前記第一流路の作動流体の圧力を制御する圧力制御装置と、
所定時間内における前記目標圧力に対する前記圧力検出器による検出圧力の乖離状態に基づき、該ランキンサイクルでの異常の発生の有無を判定する異常判定装置とを備えるランキンサイクル。
【請求項6】
前記異常判定装置は、前記所定の時間内での前記目標圧力と前記検出圧力との差が所定差圧以上となる時間が、前記所定の時間の所定割合以上となること、
前記所定の時間内での前記目標圧力と前記検出圧力との差が前記所定差圧以上となる状態が、所定継続時間以上継続すること、
前記所定の時間内での前記目標圧力と前記検出圧力との差の積分値が所定積分値以上となることのうち、
少なくとも1つが満足される場合、異常が発生したと判定する請求項5に記載のランキンサイクル。
【請求項7】
前記圧力制御装置は、前記異常判定装置が異常が発生したと判定した場合、前記目標圧力を低下させる、又は、前記ランキンサイクルの稼動を停止する請求項5または6に記載のランキンサイクル。
【請求項8】
前記圧力制御装置は、前記目標圧力を低下させた場合、前記流体圧送装置の回転数を低下させること、
前記膨張機の負荷を低下させること、
前記膨張機の吸入容積を増大させること、
前記第二流路に前記第一流路の作動流体をバイパスさせる流量を増加させることのうちの少なくとも1つを行う請求項7に記載のランキンサイクル。
【請求項9】
前記異常判定装置が異常が発生したと判定した場合に異常の発生を知らせる警報装置をさらに備える請求項1〜8のいずれか一項に記載のランキンサイクル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−100807(P2013−100807A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−116637(P2012−116637)
【出願日】平成24年5月22日(2012.5.22)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】