説明

ランスパイプ

【課題】溶融金属にガスを供給するランスパイプであって、高温の溶融金属による芯金の溶損や変形、及び、固化した溶融金属による芯金の詰まりが生じ難いランスパイプを提供する。
【解決手段】ランスパイプ1は、金属製で円管状の芯金10、及び、芯金の外周面を被覆する被覆耐火物層5を備え、芯金の内部の流通路21,22を介してガスを溶融金属に供給するものであって、溶融金属に浸漬される側の芯金12(10)の端部には、多孔質耐火物層6が接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランスパイプに関するものであり、特に、溶融金属にガスを供給するために使用されるランスパイプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ランスパイプは、製銑・製鋼工程などにおいて、溶銑や溶鋼等の溶融金属の撹拌、脱リン・脱炭素・脱珪・脱硫処理等の非金属成分の除去処理、成分調整、温度制御等のために、ガスや粉末状等の溶湯処理剤を溶融金属中に吹き込む長尺のパイプである。このランスパイプは、鋼等の金属製の管(芯金)と、芯金の外周面を被覆するように設けられる耐火物層とによって主に構成され、耐火物層としては不定形耐火物が用いられるのが一般的である。このようなランスパイプの下端側を溶融金属に浸漬し、上端の開口をガス等の供給源に接続することにより、ガス等は芯金の内部の流通路を経て下端の開口から溶融金属中に吐出される。
【0003】
このように使用されるランスパイプでは、極めて高温の溶融金属に浸漬される下端側が損傷を受け易く、下端側の損傷の程度がランスパイプ全体の耐用寿命を左右する。そこで、従来、下端側で芯金の外周面を円筒状の耐火レンガで被覆したランスパイプが提案されている(特許文献1参照)。これは、溶融金属によって最も損傷を受け易い部分を被覆する耐火物層として、不定形耐火物より耐熱性及び耐食性に優れる耐火レンガを用いることにより、ランスパイプの耐用寿命の長期化を図るものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のランスパイプでは、確かに耐火物層の損傷は低減されるものの、金属製の芯金の下端が溶融金属によって溶損したり変形したりすることを防止することはできなかった。加えて、ランスパイプの溶融金属への浸漬と引き上げを繰り返すことにより、芯金の下端から浸入した溶融金属が冷えて固化し、芯金内部の流通路に詰まりが生じ、ガス等の吹き込みが困難となるという問題もあった。このようなランスパイプの詰まりの問題は、図5に示すように、ランスパイプの長軸方向に伸びる長尺管111と、下端側で径方向に延設された分岐管112とから芯金110が構成されているランスパイプ100において、より顕著であった。かかる構成のランスパイプ100は、主にガス供給用に用いられるものであり、分岐管112から多方向にガスを噴出させて効率よく溶融金属を撹拌できる利点を有するが、複数が設けられることが多い分岐管112は一般的に長尺管111に比べて小径となるため、付着した溶融金属の固化による詰まりが生じ易い。
【0005】
そこで、本発明は、上記の実情に鑑み、溶融金属にガスを供給するランスパイプであって、高温の溶融金属による芯金の溶損や変形、及び、固化した溶融金属による芯金の詰まりが生じ難いランスパイプの提供を、課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明にかかるランスパイプは、「金属製で円管状の芯金、及び、該芯金の外周面を被覆する被覆耐火物層を備え、前記芯金の内部の流通路を介してガスを溶融金属に供給するランスパイプであって、溶融金属に浸漬される側の前記芯金の端部に、ガス透過性耐火物層が接続されている」ものである。
【0007】
「芯金」は、鋼や合金鋼等の金属で構成される管状の部材であり、「円管状」とは断面が円形または楕円形であることを指している。なお、芯金の材質や寸法は、対象とする溶融金属の処理量、処理温度、流通させるガスの流量等により適宜設定することができる。
【0008】
「被覆耐火物層」を構成する耐火材料の種類は特に限定されず、例えば、耐スポーリング性に優れるアルミナ−シリカ質、ハイアルミナ質、アルミナ−クロム質耐火材料や、耐熱衝撃性や耐食性に優れるアルミナ−マグネシア質耐火材料を使用することができる。また、一つのランスパイプに設けられる被覆耐火物層は、単一種類の耐火材料により構成されるものであっても、部分的に異なる種類の耐火材料が配されるものであっても構わない。更に、被覆耐火物層は、キャスタブル耐火材料の泥しょうを固化、乾燥させたキャスタブル耐火物層であっても、加圧成形工程を経て形成された定形耐火物層であっても、両者を複合させた耐火物層であっても良い。
【0009】
溶融金属に供給される「ガス」としては、溶融金属中で酸化反応を行わせるための酸素ガス、溶融金属の撹拌や温度制御等のために吹き込まれるアルゴン等の不活性ガスや窒素ガスを例示することができる。
【0010】
「ガス透過性耐火物層」は、多孔質の耐火物、あるいは、スリット状の貫通孔が多数形成された緻密質の耐火物を用いて形成することができる。また、「ガス透過性耐火物層」を構成する耐火材料の種類は特に限定されるものではないが、例えば、アルミナ−クロム質、ハイアルミナ質、アルミナ−クロム−ジルコニア質の耐火材料を使用することができる。更に、「ガス透過性耐火物層」を構成する耐火物が焼成体であれば、溶融金属に対する耐食性や耐熱性により優れるため、好適である。なお、スリット状の貫通孔が多数形成された緻密質の耐火物は、例えば、耐火材料を用いて所定形状に成形された成形体に、焼成により焼失する線条の可燃性材料を貫通するように多数配しておき、燃焼させることにより製造することができる。
【0011】
上記構成により、本発明のランスパイプでは、芯金の上端の開口から導入されたガスは、芯金の内部の流通路を流通し、芯金の下端すなわち溶融金属に浸漬される側の端部からガス透過性耐火物層に流入し、ガス透過性耐火物層内を流通してから溶融金属中に吐出される。従って、従来のランスパイプとは異なり、金属製の芯金は溶融金属と接触することがなく、芯金と溶融金属との間に介在しているのは、溶融金属に対する耐食性や耐熱性に優れる耐火物の層であるため、高温の溶融金属による芯金の溶損や変形を有効に防止することができる。
【0012】
また、ガス透過性耐火物層においてガスが流通する透孔は、管状の芯金の内部の孔(流通路)よりずっと小径であるため、溶融金属はその表面張力により浸入し難い。従って、本発明によれば、溶融金属の固化によるガスの流路の詰まりを抑制することができる。
【0013】
本発明にかかるランスパイプは、「前記ガス透過性耐火物層の断面積は、前記芯金側で前記流通路の断面積より大であり、前記ガス透過性耐火物層は、ガスが流通可能な断面積を前記流通路の断面積より拡大させるガスプール部を介して前記芯金に接続されている」ものとすることができる。
【0014】
ガス透過性耐火物層中をガスが流通する際には、芯金の内部の流通路を流通するときより大きな抵抗が作用する。そのため、ガス透過性耐火物層の断面積が芯金の内部の流通路と同程度である場合は、芯金からガス透過性耐火物層へガスが流入し難く、芯金にガスを導入する装置に負荷がかかるおそれがある。これに対し、上記構成の本発明では、流通路を流れてきたガスはガスプール部で拡げられた後、流通路より断面積の大きなガス透過性耐火物層に流入する。これにより、ガス透過性耐火物層における単位面積当たりのガスの流通抵抗が低減するため、芯金の上端から導入されたガスを、ガス透過性耐火物層内を介して、スムーズに溶融金属中に供給することができる。
【0015】
本発明にかかるランスパイプは、「前記ガス透過性耐火物層は、面積が前記流通路の断面積より大であると共に前記芯金を開口させつつ前記芯金の端部に固着された基底面、及び、該基底面の外周から立ち上がり前記ガス透過性耐火物層の側周面を被覆する周壁部を備える金属製のケーシングを介して前記芯金に接続されており、前記基底面と前記ガス透過性耐火物層との間にはリング状のスペーサ部材が介設されている」ものとすることができる。
【0016】
上記構成により、基底面とガス透過性耐火物層との間には、スペーサ部材の厚みに相当する空間が形成される。そして、基底面の面積は流通路の断面積より大であるため、上記空間はガスの流路を芯金の内部の流通路より拡大させるガスプール部となる。これにより、リング状のスペーサ部材を基底面とガス透過性耐火物層との間に配するという極めて簡易な構成により、ガスプール部を形成することができる。また、スペーサ部材はリング状であるため、基底面に開口する芯金内部の流通路を塞ぐおそれなく配設することができる。加えて、ガス透過性耐火物層をケーシングに収容し、金属製のケーシングと金属製の芯金とを接合することにより、金属製の芯金とガス透過性耐火物層とを容易に接続することができる。
【0017】
本発明にかかるランスパイプは、「前記ガス透過性耐火物層は前記芯金側から外側に向かって断面積が減少する截頭円錐形または截頭角錐形に形成され、前記ガス透過性耐火物層の側周面は前記被覆耐火物層で被覆されている」ものとすることができる。
【0018】
ガスの吹き込みによって、ガス透過性耐火物層に対しては、芯金側から外側に向かって押し出すような力が作用する。これに対し、本発明のガス透過性耐火物層は、芯金側から外側に向かって断面積が減少する截頭円錐形または截頭角錐形に形成されており、その側周面は被覆耐火物層によって被覆されているため、外側に向かって押し出されるような力が働いても、被覆耐火物層がガス透過性耐火物層を抑え込むようにその力に対抗する。従って、被覆耐火物層が抜け止めのように作用し、ガス透過性耐火物層と芯金の端部との接続状態を安定的に保持することができる。なお、ガス透過性耐火物層の側周面は被覆耐火物層によって被覆されているが、截頭円錐形または截頭角錐形の頭部に相当する面は被覆されずに露呈しているため、この部分から問題なくガスを吐出することができる。
【0019】
本発明にかかるランスパイプは、「前記芯金は、溶融金属に浸漬される側で径方向に延設された分岐管を備え、前記ガス透過性耐火物層は、前記分岐管の端部に接続されている」ものとすることができる。
【0020】
径方向に延設された分岐管を芯金が備える場合は、上述のように、効率よく溶融金属を撹拌し易い利点を有する半面で、従来では固化した溶融金属による詰まりが分岐管に生じ易いという問題があった。これに対し、本発明では、分岐管の端部にガス透過性耐火物層が接続されており、ガス透過性耐火物層はガスは流通できても溶融金属は浸入し難いため、固化した溶融金属による分岐管の詰まりを有効に防止することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明の効果として、溶融金属にガスを供給するランスパイプであって、高温の溶融金属による芯金の溶損や変形、及び、固化した溶融金属による芯金の詰まりが生じ難いランスパイプを、提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態のランスパイプの縦断面図である。
【図2】図1におけるA範囲の拡大図である。
【図3】図2のケーシング内部におけるX−X線断面図である。
【図4】他の実施形態のランスパイプの縦断面図である。
【図5】従来のランスパイプの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態であるランスパイプの構成について、図1乃至図3に基づいて説明する。
【0024】
本実施形態のランスパイプ1は、金属製で円管状の芯金10、及び、芯金10の外周面を被覆する被覆耐火物層5を備えており、溶融金属に浸漬される側の芯金10の端部に、ガス透過性耐火物層としての多孔質耐火物層6が接続されている。
【0025】
より詳細に説明すると、芯金10は、鋼や合金鋼等の耐熱性を有する金属製で、断面が略円形の管状であり、ランスパイプ1の長軸方向に伸びる長尺管11と、長尺管11の一端側で径方向に延設された二本の分岐管12とから構成されている。そして、多孔質耐火物層6は、それぞれの分岐管12の端部に接続されている。なお、長尺管11において分岐管12が設けられている側の端部は閉端となっている。
【0026】
本実施形態の多孔質耐火物層6は截頭円錐形に形成されており、頭部6tを外側に向けて、すなわち、芯金側から外側に向かって断面積が減少する向きで、分岐管12の端部に接続されている。そして、多孔質耐火物層6の側周面は、被覆耐火物層5で被覆されている。また、多孔質耐火物層6は、芯金側の端面の面積が分岐管12内部の流通路22の断面積より大きくなるように形成されている。
【0027】
ここで、多孔質耐火物層6は金属製のケーシング30を介して芯金10に接続されており、ケーシング30は、多孔質耐火物層6の芯金側の端面より僅かに大径の基底面31と、基底面31の外周から立ち上がった周壁部32を備えており、周壁部32によって多孔質耐火物層6の側周面が被覆されるように、多孔質耐火物層6がケーシング30内に収容されている。なお、周壁部32は多孔質耐火物層6の頭部6tにまでは達しておらず、多孔質耐火物層6の側周面を途中まで被覆している。
【0028】
基底面31には貫通孔35が穿設されており、この貫通孔35と分岐管12内部の流通路22とが連通するように、分岐管12の端部と基底面31とが溶接されている。また、基底面31と多孔質耐火物層6との間には、リング状のスペーサ部材39が介設されており、これによりスペーサ部材39の厚み分、基底面31と多孔質耐火物層6との間にガスプール部35としての空間が形成されている。また、スペーサ部材39はリング状であるため、図3に示すように、分岐管12内部の流通路22が連通する貫通孔35を塞ぐことなく、基底面31と多孔質耐火物層6との間に空間が形成される。
【0029】
上記構成のランスパイプ1を使用する際は、取鍋等の容器に収容された溶融金属に、分岐管12が設けられている側を浸漬する。そして、長尺管11の上端からガスを導入すると、ガスは長尺管11内部の流通路21を流通し、更に分岐管12内部の流通路22を流通して、ガスプール部35に流入する。ガスは、ガスプール部35で拡げられた後、多孔質耐火物層6に流入し、多孔質耐火物層6内の連続気孔を流通して、頭部6tから溶融金属中に吐出される。
【0030】
上記のように、本実施形態のランスパイプ1によれば、金属製の芯金10は溶融金属と接触することがなく、芯金10と溶融金属との間に介在するのは多孔質耐火物層6であって、溶融金属に対する耐食性や耐熱性に優れる層であるため、溶融金属による芯金10の溶損や変形を有効に防止することができる。
【0031】
また、溶融金属はその表面張力により、多孔質耐火物層6の連続気孔には浸入し難いため、溶融金属の固化によるガスの流路の詰まりを抑制することができる。特に、本実施形態のように、芯金が径方向に延設された複数の分岐管を備える場合、従来では固化した溶融金属によって分岐管に詰まりが生じ易い問題があったが、本実施形態では多孔質耐火物層6を介してガスを吐出する構成としたことにより、分岐管12の詰まりを有効に防止することができる。
【0032】
なお、従来では、ランスパイプを溶融金属から引き上げる際にガスを流し続けていたとしても、芯金の下端の開口縁に付着した溶融金属が固化することによって芯金に詰まりが生じ易いものであったが、本実施形態のランスパイプ1では、ごく低圧でガスを流し続けておけば、ガスの流れに逆らって多孔質耐火物層6の気孔内部に溶融金属が浸入してくることはほとんどない。
【0033】
更に、多孔質耐火物層6中をガスが流通する際には、芯金10の内部の流通路21,22を流通するときより大きな抵抗が作用するところ、本実施形態の多孔質耐火物層6は芯金側の端面の面積が分岐管12内の流通路22の断面積より大きく、且つ、流通路22を流れてきたガスはガスプール部35で拡げられた後に多孔質耐火物層6に流入するため、ガスを多孔質耐火物層6内でスムーズに流通させることができる。
【0034】
また、本実施形態の多孔質耐火物層6は頭部6tを外側に向けた截頭円錐形に形成されており、その側周面は被覆耐火物層5で被覆されているため、ガスの圧力により多孔質耐火物層6に対して外側に向かって押し出すような力が作用しても、被覆耐火物層5が多孔質耐火物層6を抑え込むようにその力に対抗する。これにより、多孔質耐火物層6と分岐管12の端部との接続を安定的に保持することができる。
【0035】
加えて、本実施形態では、金属製のケーシング30を介することにより、多孔質耐火物層6と金属製の分岐管12の端部とを容易に接続することができる。なお、ケーシング30の周壁部32が多孔質耐火物層6の頭部6tにまでは達しない設定とされていることにより、金属製のケーシング30が溶融金属に接触して溶損するおそれが防止されている。
【0036】
また、ケーシング30の内部にガスプール部35を設ける構成としては、例えば、周壁部32からケーシング内部に向けて突出する突起部を設け、多孔質耐火物層6と基底面31との間に空隙が生じるように突起部で多孔質耐火物層6を支持する構成等も想到し得るところ、本実施形態では、リング状のスペーサ部材39を多孔質耐火物層6と基底面31との間に配置するという極めて簡易な構成で、ガスプール部35が形成されている。
【実施例】
【0037】
上記構成の実施例のランスパイプ、及び、対照例のランスパイプを用いて、実際に溶融金属にガスを供給する処理を行い、芯金の溶損や変形、及び、詰まりの発生について対比した結果を、以下に示す。ここで、実施例のランスパイプでは、多孔質耐火物層としてアルミナ−クロム質耐火物の焼成体を使用した。また、対照例は従来のランスパイプであり、図5に示すように、分岐管の端部から溶融金属に直接ガスを吹き込む構成である。なお、処理条件は以下のようであった。
<処理条件>
溶融金属の温度:1590〜1620℃
供給ガス:アルゴン
ガス圧力:400kgf/cm(約39MPa)
ガス流量:600L/分
処理時間:約25分/回
【0038】
その結果、実施例のランスパイプでは、溶融金属への浸漬及び引き上げを伴う処理を、23回(総処理時間約580分)繰り返した後でも、ガスの流路に詰まりが生じることなく、また芯金の溶損・変形もなく良好であった。これに対し、対照例のランスパイプでは、5回使用後に分岐管の開口縁に付着した溶融金属の固化により、ガスの吐出が困難となったため、固化した金属の除去処理が必要となった。その後、計12回まで使用した時点で(総処理時間約300分)、分岐管の変形等に起因して被覆耐火物層に剥離が生じ、使用を中止せざるを得なかった。
【0039】
上記のように、ランスパイプを溶融金属に浸漬しても、芯金(分岐管)を溶融金属に接触させず、多孔質耐火物層を介して溶融金属中にガスが吹き込まれる構成とすることにより、ガスの流路の詰まりや芯金の溶損・変形を有効に防止できることが確認された。
【0040】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0041】
例えば、本実施形態では、芯金が分岐管を二本備えている場合を例示したが、これに限定されず、分岐管を一本備えるランスパイプや分岐管を三本以上備えるランスパイプに対しても、本発明を適用することができる。
【0042】
また、図4に示すように、分岐管を備えず長尺管11’のみで構成される芯金10’の端部に多孔質耐火物層6’が接続されている構成のランスパイプ2とすることもできる。
【符号の説明】
【0043】
1,2 ランスパイプ
5 被覆耐火物層
6,6’ 多孔質耐火物層
10,10’ 芯金
11 長尺管(芯金)
12 分岐管(芯金)
21,22 流通路
30 ケーシング
31 基底面
32 周壁部
35 ガスプール部
39 スペーサ部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0044】
【特許文献1】特開平5−39522号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製で円管状の芯金、及び、該芯金の外周面を被覆する被覆耐火物層を備え、前記芯金の内部の流通路を介してガスを溶融金属に供給するランスパイプであって、
溶融金属に浸漬される側の前記芯金の端部に、ガス透過性耐火物層が接続されている
ことを特徴とするランスパイプ。
【請求項2】
前記ガス透過性耐火物層の断面積は、前記芯金側で前記流通路の断面積より大であり、
前記ガス透過性耐火物層は、ガスが流通可能な断面積を前記流通路の断面積より拡大させるガスプール部を介して前記芯金に接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載のランスパイプ。
【請求項3】
前記ガス透過性耐火物層は、面積が前記流通路の断面積より大であると共に前記芯金を開口させつつ前記芯金の端部に固着された基底面、及び、該基底面の外周から立ち上がり前記ガス透過性耐火物層の側周面を被覆する周壁部を備える金属製のケーシングを介して前記芯金に接続されており、
前記基底面と前記ガス透過性耐火物層との間にはリング状のスペーサ部材が介設されている
ことを特徴とする請求項2に記載のランスパイプ。
【請求項4】
前記ガス透過性耐火物層は前記芯金側から外側に向かって断面積が減少する截頭円錐形または截頭角錐形に形成され、前記ガス透過性耐火物層の側周面は前記被覆耐火物層で被覆されている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載のランスパイプ。
【請求項5】
前記芯金は、溶融金属に浸漬される側で径方向に延設された分岐管を備え、
前記ガス透過性耐火物層は、前記分岐管の端部に接続されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一つに記載のランスパイプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−159460(P2010−159460A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−2701(P2009−2701)
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(000220767)東京窯業株式会社 (211)
【Fターム(参考)】