説明

ランチビオティック107891の生合成のための遺伝子およびタンパク質

【課題】本発明は、ランチビオティックの分野、より詳細にはランチビオティック107891およびそのホモログの生合成経路のために必要とされる酵素をコードする核酸分子の単離に関する。
【解決手段】a)配列番号1のmlb遺伝子クラスター(配列番号1);b)mlb遺伝子クラスターのヌクレオチド配列以外の、配列番号1のmlb遺伝子クラスターによってコードされる同じポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;c)配列番号2〜18によってコードされるポリペプチドをコードする、mlb ORF1〜17の任意のヌクレオチド配列;ならびに d)前記ORFのヌクレオチド配列以外の、mlb ORF1〜17(配列番号2〜18)のいずれかによってコードされる同じポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、から成る群から選択されるヌクレオチド配列を含む、単離核酸。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランチビオティックの分野、より詳細にはランチビオティック107891およびそのホモログの生合成経路のために必要とされる酵素をコードする核酸分子の単離に関する。107891の産生に関与する遺伝子産物の機能が開示される。本発明は、107891の産生のために必要な新規生合成遺伝子、コードされるポリペプチド、前記ポリペプチドをコードする核酸配列を含む組換えベクター、前記ベクターで形質転換された宿主細胞、および107891、その前駆体、その誘導体、または107891若しくはその前駆体とは異なる修飾ランチビオティックを生産するための方法を含む、前記形質転換宿主細胞を使用してランチビオティックを生産するための方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
既存の抗生物質に対して耐性な病原菌が増加し続けていることは健康衛生上の世界的な問題であり、そのため耐性菌に対して活性な新しい化合物を発見し、開発することが急務である。これにより、過去にペニシリン、マクロライドおよび糖ペプチドなどの抗生物質の豊かな供給源であった天然生成物に新たな関心が寄せられることになった。抗菌性ペプチド、中でも特にランチビオティックと称されるもの、すなわちランチオニン含有抗生物質も、魅力的な候補物質である。ランチビオティックは抗菌性ペプチドの中で特殊な群を形成し、一次構造および空間構造特徴、独特の生合成経路およびペプチド修飾反応、ならびに強力な抗菌活性などのいくつかの特徴によって区別される。これらは、グラム陽性細菌によって分泌されるペプチド由来の抗菌性化合物の群であり、主としてグラム陽性細菌に作用する。ランチビオティックはプレプロペプチドとしてリボソームで合成され、それらの生物活性形態へと翻訳後修飾される。このプレペプチドは、全く翻訳後修飾を受けず、細胞からの分泌の間にまたは分泌後に切断されるN末端リーダー配列、および翻訳後修飾されるC末端領域(プロペプチド)から成る。ランチビオティックは種々の細菌によって産生される:これらの化合物の共通の特徴は、チオエーテル結合によって共有結合で架橋される2つのアラニン残基から成る、1またはそれ以上のランチオニン残基の存在である。チオエーテル架橋は、システイン残基がデヒドロアラニンまたはデヒドロブチリン部分と反応して、それぞれランチオニンまたはメチルランチオニン残基を生成するときに形成される。次に、それぞれセリンとトレオニンの脱水によってデヒドロアミノ酸残基が形成される。構造的および機能的性質に基づき、ランチビオティックは通常A型とB型の2つの群に分けられる。A型ランチビオティックは、20〜34アミノ酸残基にわたる様々な長さの伸長したカチオン性ペプチドである:ナイシン、サブチリン、エピデルミンおよびPep5はこの群の成員である。B型は、実効負電荷を有する球状ペプチドである:この群のランチビオティックの例は、メルサシジン、シンナマイシン、ラクチシン481およびアクタガルジンである。これらの構造的相違が作用機構に反映する。A型化合物は、細胞標的脂質IIへの事前のドッキングによって補助されてもよくまたは補助されなくてもよい機構を介して、細胞壁の生合成をブロックすることによっておよび細胞膜に細孔を形成することによって、それらの抗菌活性を及ぼす。B型ランチビオティックも、ペプチドグリカンの生合成を阻害することによって抗菌活性を及ぼすが、これらの化合物は、ひとたび脂質IIに結合すると孔を形成しない。
【0003】
ランチビオティックは、食品添加物および抗菌薬として効果と有用性を有することが示された。最も広く検討されているランチビオティック、ナイシンは、ラクチス乳酸菌(ラクトコッカス・ラクティス)(Lactococcus lactis)によって産生され、薬剤耐性株および食品媒介病原菌であるボツリヌス菌(Clostridium botulinum)およびリステリア菌(Listeria monocytogenes)を含む多くのグラム陽性細菌に対して低濃度で活性である(低いナノモルMIC)。ナイシンは、細菌耐性を実質的に発現することなく食品防腐剤として広く使用されてきた。他のランチビオティックは興味深い生物活性を示す:たとえば、エピデルミンはアクネ菌(プロピオニバクテリウム・アクネス)(Propionibacterium acnes)に対して高い効力を示す;シンナマイシンおよびデュラマイシンはホスホリパーゼA2およびアンギオテンシン変換酵素を阻害し、それぞれ抗炎症薬としておよび血圧調節のために潜在的な用途を提供する;そしてメルサシジンは、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(MRSA)を含む多くのグラム陽性細菌を阻害する。
【0004】
ランチビオティックの生合成に関与する遺伝子は、遺伝子座記号lanによって表されるクラスターに組織化され、各々のランチビオティックについてより詳細な遺伝子型表示が与えられる(たとえば、ナイシンについてはnis、ガリデルミンについてはgdm、シンナマイシンについてはcin)。多くのlan遺伝子が配列決定されており、遺伝子構成における高レベルの類似性を明らかにした。各々のクラスターは、プレペプチドをコードする構造遺伝子lanA;ならびにLanAのプロペプチド部分中のSerおよびThr残基の脱水のためおよびチオエーテル形成のために必要とされる遺伝子を含む。A型ランチビオティックに関しては、LanBが脱水反応を実施し、LanCはもっぱらチオエーテル架橋を担当するが、B型ランチビオティックでは、単一のLanM酵素が両方の反応を触媒する。ランチビオティッククラスター内には付加的な遺伝子が通常存在する:lanTは、lanEFG遺伝子によってコードされる第2の輸送系としばしば共同して、ランチビオティックの分泌のためのABC輸送体をコードする;lanPはプロセシングプロテアーゼをコードするが、一部のクラスターは、lanTの一部であり得るそのような遺伝子を欠くかまたはその機能が細胞プロテアーゼによって提供され得る;lanIは、自己防御に関与するタンパク質をコードする;そしてlanKRは、lan遺伝子の発現を調節する役割を担う。
【0005】
存在する天然化合物の操作によって改善されたランチビオティックを得る潜在的可能性と有用性が存在する。しかし、ランチビオティックは構造的に複雑なペプチドであり、それらへの化学的アクセスの可能性は分子内の少数の位置に限定される。化学にとっての主要な制限の1つは、ペプチド骨格内に存在するアミノ酸の種類または順序を変更することである。前記を考慮すると、化学的手段によって作製することが難しいまたは不可能な誘導体を得るために、ランチビオティック形成においてこれらの段階を再指令するために有用な遺伝子および酵素を得ることが望ましい。厳密に工作された菌株を用いた発酵工程によって直接的に新規ランチビオティック誘導体を設計するための一般的な方法は、それ故、極めて望ましい。
【0006】
実際に、ランチビオティックの異常アミノ酸がもっぱらそれらの生物活性に寄与し、同時にそれらの構造安定性も増強する。ランチビオティック生合成に関与する酵素は、所望ペプチドに異常アミノ酸を導入することによるペプチド工作のための高い潜在的可能性を示す。
【0007】
ランチビオティック107891は、メチシリン耐性およびバンコマイシン耐性株を含むグラム陽性細菌に対して抗菌活性を示すが、グラム陰性細菌(たとえば、一部のモラクセラ(Moraxella)、ナイセリア(Neisseria)およびヘモフィルス(Haemophilus)種)に対しては限られた活性を示す。107891は、ミクロビスポラ(Microbispora)種、PTA−5024の発酵から単離された(国際公開公報第WO2005/04628 A1号)。107891は、密接に関連する因子A1およびA2の複合体から成り、それらの構造は、ランチオニンおよびメチルランチオニンを成分として含む、24アミノ酸長のペプチド骨格に再構成する(reconducted)ことができる。加えて、塩素原子および1または2個の−OH残基が分子上に存在する。107891複合体の成分の構造は、図3の式1によって表され、式中、Rは、係数A1(R=OH)、係数A2(R=−(OH)2)を有する[OH]を表す。107891は、A型およびB型ランチビオティックのエレメントを組み合わせると思われる:107891中の環AおよびBは、A型化合物中の等価環に高度に関連する;しかし、B型ランチビオティックにおけるように、107891はむしろ球状であり、柔軟なC末端尾部を欠き、荷電アミノ酸残基を有さない。その結果として、107891形成を担当するlanクラスターが単一LanM酵素をコードするのか、または別々のLanBおよびLanCタンパク質をコードするのかは予測できない。さらに、塩素含有ランチビオティックについての先例はなく、それ故この翻訳後修飾に関与する遺伝子を入手可能なデータから予測することはできない。
【0008】
抗生物質生産のための工業的工程の設計は比較的成功を収めており、1リットル当たり数グラムのレベルに達する抗体力価での大規模発酵をもたらした。これは主として経験的な試行錯誤アプローチに従うことによって達成されたものであり、合理的根拠を欠く。新しい工程の開発と現在の技術の改善は、それ故、依然として多大の時間を要し、不安定で、一貫して機能せず、望ましくない副産物を蓄積する細菌培養物を生じ得る。近年、合理的な方法がストレプトミセス種による抗生物質産生のレベルを高めるために成功裏に適用されており、それらの方法はしばしば、対象遺伝子クラスター内に存在する鍵となる調節エレメントの操作、または経路における律速工程の過剰発現を含んだ。それ故、そのようなクラスター関連調節因子または合成における律速工程をコードする遺伝子は、収率改善のための有効なツールであり得る。しかし、放線菌類においてこれまでに同定されたクラスター関連調節因子はいくつかの異なるタンパク質ファミリーに属する。1つのファミリー内でさえも、配列同一性にはかなりの変動がある。それ故、クラスター関連調節因子の存在、性質、数および配列は、関連抗生物質を規定するものでさえも、他のクラスターとの比較によって予測することができない。一例として、タイロシン遺伝子クラスターは4つの異なる調節因子をコードするが、そのいずれもが、関連するマクロライド系抗生物質、エリスロマイシンを規定するクラスター内では認められなかった。同様に、生合成経路における律速工程についての性質と理由も、推測的に確立することはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
それ故、107891の収率を高めるためのツールは極めて望ましい。しかし、ミクロビスポラ属(Microbispora)の他の成員からのクラスターの例はない。そのため、プロデューサー株が107891の作用から自衛する、その他のlan遺伝子の発現を支配する、またはlan遺伝子の発現をその他の細胞プロセスと調整する機構は、予測することができない。これらについての情報は、生産工程を最適化するために非常に有用である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、微生物におけるランチビオティック107891の生合成のために必要とされる一組の単離ポリヌクレオチド分子を提供する。
【0011】
そこで、その態様の1つによれば、本発明は、ミクロビスポラ種PTA−5024から単離されたmlb遺伝子クラスターであり、107891形成のために必要とされるポリペプチドをコードする17個のORFから成る、隣接DNA配列(配列番号1)から選択されるポリヌクレオチド分子に関する。
【0012】
前記17個のORFによってコードされるポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号2〜18において提供される。
【0013】
本発明はまた、
a)107891およびそのホモログの合成のために必要とされるポリペプチドをコードするmlb遺伝子クラスター(配列番号1);
b)mlb遺伝子クラスター自体のヌクレオチド配列以外の、mlb遺伝子クラスター(配列番号1)によってコードされる同じポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
c)配列番号2〜18によってコードされるポリペプチドをコードする、mlb ORF1〜17の任意のヌクレオチド配列;
d)前記ORFのヌクレオチド配列以外の、mlb ORF1〜17(配列番号2〜18)のいずれかによってコードされる同じポリペプチドをコードするヌクレオチド配列
から成る群から選択されるヌクレオチド配列を含む単離核酸(isolated nucleic acid)を提供する。
【0014】
本発明のさらなる対象は、
e)その完全長にわたって、mlb ORF1〜17(配列番号2〜18)のいずれかによってコードされるポリペプチドに、アミノ酸配列が少なくとも65%、好ましくは86%、より好ましくは90%、最も好ましくは95%またはそれ以上同一であるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列
から成る群より選択されるヌクレオチド配列を含む単離核酸を提供することである。
【0015】
1つの実施形態では、本発明の単離核酸は、107891のプレプロペプチドの合成のために必要とされるポリペプチドをコードする、ORF1〜17(配列番号2〜18)から選択されるORFを含む。
【0016】
もう1つの実施形態では、核酸は、107891デヒドラターゼ酵素の合成のために必要とされるポリペプチドをコードする、ORF1〜17(配列番号2〜18)から選択されるORFを含む。さらにもう1つの実施形態では、核酸は、107891のランチオニンおよびメチルランチオニン残基の合成のために必要とされるポリペプチドをコードする、ORF1〜17(配列番号2〜18)から選択されるORFを含む。
【0017】
もう1つの実施形態によれば、本発明の核酸において、107891のアミノ酸4のトリプトファン残基の塩素化のために必要とされるポリペプチドをコードする、ORF1〜17(配列番号2〜18)から選択されるORFが提供される。
【0018】
さらにもう1つの実施形態では、107891のアミノ酸14のプロリン残基のヒドロキシル化のために必要とされるポリペプチドをコードする、ORF1〜17(配列番号2〜18)から選択されるORFを含む核酸が提供される。
【0019】
さらにもう1つの実施形態では、107891の21位と24位に存在するS−[(Z)−2−アミノビニル]−(3S)−3−メチル−D−システイン(AviMeCys)残基を生じる酸化的脱炭酸のために必要とされるフラボタンパク質をコードする、ORF1〜17(配列番号2〜18)から選択されるORFを含む核酸が提供される。
【0020】
もう1つの実施形態によれば、本発明の核酸において、フラボタンパク質の還元のために必要とされるポリペプチドをコードする、ORF1〜17(配列番号2〜18)から選択されるORFが提供される。
【0021】
さらにもう1つの実施形態によれば、107891の輸送および107891に対する耐性のために必要とされるポリペプチドをコードする、ORF1〜17(配列番号2〜18)から選択されるORFの組合せを含む核酸が提供される。
【0022】
さらにもう1つの実施形態では、mlb遺伝子クラスターの発現を調節するために必要とされるポリペプチドをコードする、ORF1〜17(配列番号2〜18)から選択されるORFの組合せを含む核酸が提供される。
【0023】
当業者は、107891生合成経路のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を提供した本発明が、そのようなポリペプチドに由来するフラグメントをコードするヌクレオチドも同時に提供することを理解する。本発明によれば、当業者は、遺伝暗号は縮重しているため、配列番号2〜8によってコードされる同じポリペプチドが、ORF1〜17の天然または人為的変異体によって、すなわちORF1〜17によって規定されるゲノムヌクレオチド配列以外であるが同じポリペプチドをコードするヌクレオチド配列によってコードされ得ることを理解する。
【0024】
さらに、天然に生じるまたは人為的に製造された変異体が配列番号2〜18によってコードされるポリペプチドについて生じ得ること、そして前記変異体は、前述したもとのポリペプチドと同じ機能を有するが、折りたたみ若しくは触媒機能のために必須でないアミノ酸の付加、欠失若しくは置換、または必須アミノ酸の保存的置換を含むことも了解される。
【0025】
当業者はまた、107891生合成のために必要とされるクラスター全体のヌクレオチド配列を提供した本発明が、前記クラスター内に存在する遺伝子の発現のために必要とされるヌクレオチド配列も同時に提供することを理解する。そのような調節配列は、プロモーターおよびエンハンサー配列、アンチセンス配列、転写終結因子および抗転写終結因子配列を含むが、これらに限定されない。これらの配列は、mlb遺伝子クラスター内に存在する遺伝子の発現を調節するために有用である。単独のまたは他のヌクレオチド配列に融合した前記ヌクレオチド配列を担持する細胞も、本発明の範囲内に含まれる。
【0026】
1つの態様では、本発明は、107891のプレプロペプチドをコードする、ORF6ポリペプチド(配列番号7)、または前記ポリペプチドの天然に生じる変異体若しくは誘導体をコードするヌクレオチド配列を含む単離核酸を提供する。
【0027】
もう1つの態様では、本発明は、ランチビオティック前駆体におけるセリンおよびトレオニン残基の脱水のために有用な、ORF7ポリペプチド(配列番号8)、または前記ポリペプチドの天然に生じる変異体若しくは誘導体をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。
【0028】
さらにもう1つの態様では、本発明は、ランチビオティック前駆体におけるランチオニンおよびメチルランチオニン形成のために有用な、ORF8ポリペプチド(配列番号9)、または前記ポリペプチドの天然に生じる変異体若しくは誘導体をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。
【0029】
もう1つの態様では、本発明は、抗生物質前駆体におけるAviMeCys形成のために有用な、ORF9ポリペプチド(配列番号10)または前記ポリペプチドの天然に生じる変異体若しくは誘導体をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。もう1つの態様では、本発明は、ランチビオティック前駆体におけるトリプトファン残基を塩素化するために有用な、ORF15ポリペプチド(配列番号16)、または前記ポリペプチドの天然に生じる変異体若しくは誘導体をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。
【0030】
さらにもう1つの態様では、本発明は、ランチビオティック前駆体におけるプロリン残基をヒドロキシル化するために有用な、ORF2ポリペプチド(配列番号3)、または前記ポリペプチドの天然に生じる変異体若しくは誘導体をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。
【0031】
もう1つの態様では、本発明は、107891若しくは107891前駆体の細胞外への輸送のために有用な、ORF1、10〜11、13〜14および17(配列番号2、11〜12、14〜15および18)によって規定されるポリペプチド、または前記ポリペプチドの天然に若しくは人為的に生じる変異体若しくは誘導体をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。
【0032】
もう1つの態様では、本発明は、ランチビオティック産生を調節するために有用な、ORF3および5ポリペプチド(配列番号4および6)、または前記ポリペプチドの天然に若しくは人為的に生じる変異体若しくは誘導体をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。
【0033】
1つの実施形態では、本発明は、ORF1〜17(配列番号2〜18)のいずれかから選択される少なくとも1つのORFを規定するヌクレオチド配列の余分なコピーを担持するランチビオティック産生株を提供する。
【0034】
1つの好ましい実施形態では、そのようなランチビオティック産生株は、放線菌目に属する任意の菌株である。
【0035】
さらにもう1つの好ましい実施形態では、そのようなランチビオティック産生株は、ミクロビスポラ属の成員である。
【0036】
1つの好ましい実施形態では、本発明は、配列番号1において規定されるヌクレオチド配列内に1またはそれ以上の変異を含むミクロビスポラ属株を提供し、そのような変異は、ORF1〜17(配列番号2〜18)の1またはそれ以上の発現上昇または発現低下を生じさせる。
【0037】
1つの好ましい実施形態では、本発明は、別の細胞による107891、その前駆体の1若しくはそれ以上またはその誘導体の生産のために有用な、1またはそれ以上のベクターに担持される、配列番号1によって規定されるヌクレオチド配列またはその部分を含む核酸を提供する。
【0038】
1つの好ましい実施形態では、前記ヌクレオチド配列またはその部分は、単一ベクター上に担持される。適切なベクターは、本明細書で定義されるmlbクラスター全体を担持することができる任意のコスミド、フォスミド、BAC、PAC、ESACベクターである。適切なベクターは当業者に周知であり、文献に記載されている( Kieser et al.,2000およびその中に記載される参考文献)。
【0039】
1つの態様では、本発明は、107891の生産を高めるための方法であって、以下の工程:
−生合成経路によって107891若しくはそのホモログまたは107891の前駆体若しくはそのホモログを産生する微生物を、組換えDNAベクターで形質転換すること、但し、前記DNAベクターは、前記経路において律速性である活性をコードする、ORF1〜17(配列番号2〜18)のいずれかから選択されるDNA配列を含む;
−前記ベクターで形質転換した前記微生物を細胞増殖に適する条件下で培養し、前記遺伝子を発現させて、前記抗生物質または抗生物質前駆体を生産すること
を含む方法を提供する。
【0040】
適切な宿主細胞は、放線菌目、ストレプトスポランギウム科(Streptosporangiaceae)、ミクロモノスポラ科(Micromonosporaceae)、シュードノカルジア科(Pseudonocardiaceae)およびストレプトミセス科(Streptomycetaceae)、ミクロビスポラ属(Microbispora)、アクチノプラネス属(Actinoplanes)、プラノモノスポラ属(Planomonospora)、ストレプトミセス属(Streptomyces)等である。
【0041】
もう1つの態様では、本発明は、107891の誘導体およびそのホモログを生産するための方法であって、以下の工程:
−配列番号1によって定義されるヌクレオチド配列から選択されるセグメントを適切なベクターにクローニングすること、但し、前記セグメントは、ORF1〜17(配列番号2〜18)の1つの少なくとも一部を含み、前記ORFは、回避しようとする生合成工程を触媒するポリペプチドをコードする;
−前記ポリペプチドの活性のために必須であるアミノ酸を規定する1またはそれ以上のコドンを除去するまたは置換することによって、前記ORFを不活性化すること;
−生合成経路によって107891またはそのホモログまたはその107891前駆体を産生する微生物を前記組換えDNAベクターで形質転換すること;
−生じた形質転換体を、前記DNA配列が突然変異コピーによって置換されているものに関してスクリーニングすること;
−突然変異細胞を細胞増殖に適する条件下で培養し、前記経路を発現させて、前記経路の類似体を生産すること
を含む方法を提供する。
さらにもう1つの態様では、本発明は、新規ランチビオティックを生産するための方法であって、以下の工程:
−生合成経路によってランチビオティックまたはそのホモログまたはその前駆体を産生する微生物を組換えDNAベクターで形質転換すること、但し、前記ベクターは、前記ランチビオティックまたはランチビオティック前駆体を修飾することができる酵素をコードする、ORF1〜17(配列番号2〜18)から選択される1またはそれ以上のORFを含む;
−前記ベクターで形質転換した前記微生物を細胞増殖に適する条件下で培養し、前記遺伝子を発現させて、前記ランチビオティックまたはそのホモログまたはそのランチビオティック前駆体を生産すること
を含む方法を提供する。
【0042】
さらにもう1つの態様では、本発明は、新規ランチビオティックを生産するための方法であって、以下の工程:
−微生物を組換えDNAベクターで形質転換すること、但し、前記ベクターは、ランチビオティックまたはランチビオティック前駆体を修飾することができる酵素をコードする、ORF1〜17(配列番号2〜18)から選択される1またはそれ以上のORFを含む;
−前記ベクターで形質転換した前記微生物を細胞増殖に適する条件下で培養し、前記ランチビオティックまたはランチビオティック前駆体の存在下で前記遺伝子を発現させること
を含む方法を提供する。
【0043】
さらにもう1つの態様では、本発明は、新規ランチビオティックを生産するための方法であって、以下の工程:
−微生物を組換えDNAベクターで形質転換すること、但し、前記ベクターは、ランチビオティックまたはランチビオティック前駆体を修飾する1またはそれ以上のポリペプチドをコードする、ORF1〜17(配列番号2〜18)から選択される1またはそれ以上のORFを含む;
−前記微生物の細胞抽出物または細胞画分を、活性ポリペプチドの存在に適する条件下で調製すること、但し、前記細胞抽出物または細胞画分は、少なくとも前記ポリペプチドを含む;
−前記細胞抽出物または細胞画分にランチビオティックまたはランチビオティック前駆体を添加し、前記ポリペプチドが前記ランチビオティックまたはランチビオティック前駆体を修飾することができる条件下で前記混合物をインキュベートすること
を含む方法を提供する。
【0044】
本発明のさらなる態様は、
−mlb ORF1〜17(配列番号2〜18)のいずれか1つによってコードされるORFポリペプチド;および
−その完全長にわたって、mlb ORF1〜17(配列番号2〜18)のいずれか1つによって、好ましくはmlb ORF1〜3、5〜11、13〜17(配列番号2〜4、6〜12、14〜18)のいずれか1つによってコードされるポリペプチドに、アミノ酸配列が少なくとも65%、好ましくは95%またはそれ以上同一であるポリペプチド
から選択される、107891の生合成経路に関与する単離ポリペプチドを含む。
【0045】
ポリペプチドの好ましい群は、mlb ORF1〜3、5〜11、13〜17(配列番号2〜4、6〜12、14〜18)のいずれかによってコードされる任意のORFポリペプチド、またはその完全長にわたって、前記mlb ORFのいずれかによってコードされるポリペプチドに、アミノ酸配列が少なくとも65%、好ましくは86%、より好ましくは90%、最も好ましくは95%若しくはそれ以上同一である任意のポリペプチドを含む。
【0046】
定義
本明細書における「単離核酸(isolated nucleic acid)」という用語は、天然または合成起源の、一本鎖または二本鎖であり得る、ゲノムDNAまたは相補的DNA(cDNA)のいずれかとしてのDNA分子を指す。この用語はまた、天然または合成起源のRNA分子をも指す。
【0047】
本明細書における「ヌクレオチド配列」という用語は、本明細書で開示するORFおよび遺伝子間領域の完全長または部分長配列を指す。
【0048】
本明細書における「ヌクレオチド配列」という用語はまた、配列表に示す本発明のヌクレオチド配列のいずれか1つを指すおよび/またはいずれか1つを含む。配列表のヌクレオチド配列のいずれか1つは、
A)コード配列、
B)(A)の転写に由来するRNA分子、
C)同一ポリペプチドをコードする遺伝暗号の縮重を利用するコード配列、
D)プロモーター、エンハンサー、終結因子および抗終結因子配列を含む遺伝子間領域
である。
【0049】
本明細書における「遺伝子クラスター」、「クラスター」および「生合成クラスター」という用語は、二次代謝産物の合成のために必要とされるすべての遺伝子を含む微生物のゲノムの隣接セグメントを表す。
【0050】
本明細書における「mlb」という用語は、ミクロビスポラ種PTA−5024において107891生合成の役割を担う遺伝的エレメントを指す。この用語は、ミクロビスポラ種ランチビオティック(Microbispora LantiBiotic)の頭字語である。
【0051】
本明細書における「ORF」という用語は、1つのポリペプチドをコードするゲノムヌクレオチド配列を指す。本発明に関して、ORFという用語は「遺伝子」と同義である。
【0052】
本明細書における「ORFポリペプチド」という用語は、ORFによってコードされるポリペプチドを指す。
【0053】
本明細書における「mlb ORF」という用語は、mlb遺伝子クラスター内に含まれるORFを指す。
【0054】
本明細書における「二次代謝産物」という用語は、遺伝子クラスターによって規定される一組の遺伝子の発現を介して微生物によって産生される生物活性物質を指す。
【0055】
本明細書における「ベクター」という用語は、中でも特に、細胞ゲノムへの組込みによって原核生物宿主を形質転換することができるまたは染色体外に存在することができる(たとえば複製起点を有する自律複製プラスミド)、任意のプラスミド、コスミド、ファージを包含すると定義される。
【0056】
本明細書における「生産宿主」、「宿主細胞」という用語は、二次代謝産物の形成が供与体生物に由来する遺伝子クラスターによって指令される微生物である。
【0057】
本明細書における「相同な」という用語は、mlbクラスターによってコードされるポリペプチドのいずれかとその長さ全体にわたって少なくとも65%の配列同一性を共有する、生合成遺伝子クラスターによってコードされるポリペプチドを指す。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】ミクロビスポラ種PTA−5024の染色体に由来する単離DNAセグメントを示す。太い線は、配列番号1に記述されるセグメントを示す。前記単離DNAセグメントを担持するコスミドを1G6および6H6と称する。
【図2】mlbクラスターの遺伝子構成を示す。各々のORFを矢印によって表し、表1(図4)におけるように番号づけている。方向は図1と同じである。スケールバー上の数字は配列座標(kb)を指示する。
【図3】107891複合体の成分の構造を示す。
【図4】ORFの主要特徴を示す。
【発明を実施するための形態】
【0059】
A.ミクロビスポラ種から単離したmlb遺伝子
【0060】
107891は、ミクロビスポラ種PTA−5024によって産生される密接に関連するペプチド抗生物質の複合体である。本発明は、107891生合成のためのmlb遺伝子クラスターの核酸配列および特徴づけを提供する。mlb遺伝子クラスターの物理的構成を、隣接するDNA配列と共に図1に報告しており、図1は、ミクロビスポラ種PTA−5024のゲノムからの20kbのゲノムセグメントの物理地図を、そのようなセグメントを定義する2つのコスミドと共に例示する。107891生合成を支配するDNAセグメントの遺伝子構成を図2に示しており、そのヌクレオチド配列を配列番号1として報告する。
【0061】
クラスターの正確な境界は、その遺伝子産物の機能から確立することができる。それ故、左端では(図1)、mlbクラスターは、107891の輸送に関与するABC輸送体をコードするmlb ORF1(配列番号2)によって境界を定められる。右側では、mlbクラスターは、膜イオン対向輸送体、mlb ORF17(配列番号18)によって境界を定められる。mlbクラスターは約20,000塩基対にわたり、mlb ORF1〜mlb ORF17と称される17個のORFを含む。配列番号1の隣接ヌクレオチド配列(20,000塩基対)は、配列番号2〜18に列挙される17個の推定タンパク質をコードする。
【0062】
ORF1(配列番号2)は、配列番号1のヌクレオチド67〜969を翻訳することから推定される300個のアミノ酸である。
【0063】
ORF2(配列番号3)は、配列番号1のヌクレオチド966〜2210を翻訳することから推定される414個のアミノ酸である。
【0064】
ORF3(配列番号4)は、配列番号1のヌクレオチド2941〜3723を翻訳することから推定される260個のアミノ酸である。
【0065】
ORF4(配列番号5)は、配列番号1のヌクレオチド3948〜4614を翻訳することから推定される221個のアミノ酸である。
【0066】
ORF5(配列番号6)は、相補鎖上の配列番号1のヌクレオチド5283〜4621を翻訳することから推定される220個のアミノ酸である。
【0067】
ORF6(配列番号7)は、配列番号1のヌクレオチド5414〜5587を翻訳することから推定される57個のアミノ酸である。
【0068】
ORF7(配列番号8)は、配列番号1のヌクレオチド5706〜9053を翻訳することから推定される1115個のアミノ酸である。
【0069】
ORF8(配列番号9)は、配列番号1のヌクレオチド9080〜10507を翻訳することから推定される475個のアミノ酸である。
【0070】
ORF9(配列番号10)は、配列番号1のヌクレオチド10537〜11184を翻訳することから推定される215個のアミノ酸である。
【0071】
ORF10(配列番号11)は、配列番号1のヌクレオチド11181〜12131を翻訳することから推定される316個のアミノ酸である。
【0072】
ORF11(配列番号12)は、配列番号1のヌクレオチド12253〜12981を翻訳することから推定される242個のアミノ酸である。
【0073】
ORF12(配列番号13)は、配列番号1のヌクレオチド13357〜13992を翻訳することから推定される211個のアミノ酸である。
【0074】
ORF13(配列番号14)は、配列番号1のヌクレオチド14795〜15544を翻訳することから推定される249個のアミノ酸である。
【0075】
ORF14(配列番号15)は、配列番号1のヌクレオチド15546〜16256を翻訳することから推定される236個のアミノ酸である。
【0076】
ORF15(配列番号16)は、配列番号1のヌクレオチド16370〜17995を翻訳することから推定される541個のアミノ酸である。
【0077】
ORF16(配列番号17)は、配列番号1のヌクレオチド17992〜18528を翻訳することから推定される178個のアミノ酸である。
【0078】
ORF17(配列番号18)は、配列番号1のヌクレオチド18525〜19817を翻訳することから推定される430個のアミノ酸である。
【0079】
mlbクラスターのゲノム構成および一次配列は107891をA型ランチビオティックに位置づける。
【0080】
mlbと他のランチビオティック遺伝子クラスターの間での比較は、重要な相違を明らかにする。実際に、mlbクラスターは、他のランチビオティッククラスターではホモログが見出されないいくつかのORFの存在によって特徴づけられる。これらは、mlb ORF1〜6、12、15〜18(配列番号2〜7、13、16〜19)を含む。結論として、本明細書で述べるmlbクラスターの構成は、他のランチビオティックの合成に関与する他のクラスターのものとは実質的に異なる。mlbクラスターは、それ故、そのようなゲノム構成を有するクラスターの最初の例である。
【0081】
B.mlb遺伝子の役割
【0082】
本発明は、107891のプレプロペプチド前駆体の合成に関与するDNA配列を開示する。107891プレプロペプチドは、33アミノ酸長のリーダーペプチドおよび24アミノ酸のプロペプチドから成る。本明細書で言及される核酸配列は、107891プレプロペプチドまたはそのフラグメントをコードするものである。57アミノ酸の107891プレプロペプチドは、その長さ全体にわたって、スタフィロコッカス・ガリナルム(Staphylococcus gallinarum)からのランチビオティック、ガリデルミンのプレプロペプチド、UniProtアクセッション番号P21838と41%だけの同一性を示す新規エレメントである。
【0083】
mlbクラスター内に存在する他の遺伝子は、107891の生産を高めるためまたは新規代謝産物を合成するために有用な新規遺伝的エレメントである。これらの中で、mlb ORF7〜8(配列番号8〜9)は、成熟107891にランチオニン残基を導入する、mlb ORF6の翻訳産物の翻訳後修飾に関与するタンパク質をコードする。特に、mlb ORF7ポリペプチドは、それぞれデヒドロアラニンおよびデヒドロブチリン(dehybutyrine)残基を生じる107891のプレプロペプチド部分のSerおよびThr残基の脱水に関与する。mlb ORF8ポリペプチドは、デヒドロアミノ酸残基へのプレプロペプチド内のシステイン残基の求核攻撃を触媒する。これらの遺伝子を異種宿主にクローニングし、発現させて、ランチオニン残基を他のプレプロペプチドに導入することができる活性酵素を生成し得る。
【0084】
本発明のさらなる他の好ましい核酸分子は、S−[(Z)−2−アミノビニル]−(3S)−3−メチル−D−システイン残基(式I)を生じる酸化的脱炭酸に関与するタンパク質をコードするmlb ORF9(配列番号10)を含む。
【0085】
本発明のさらなる他の好ましい核酸分子は、107891のアミノ酸4への塩素原子の付加に関与する、トリプトファンハロゲナーゼをコードするmlb ORF16(配列番号17)を含む。mlb ORF16は、これまで他のランチビオティッククラスターでは報告されていない、新規で独特の遺伝的エレメントである。実際に、塩素化は、公知のランチビオティックの中で107891のかなり独特の特徴である。この遺伝子を異種宿主にクローニングし、発現させて、ランチビオティック分子のトリプトファン残基を塩素化することができる活性酵素を生成し得る。あるいは、mlb ORF16を産生株において不活性化して、アミノ酸4に結合した塩素を欠く107891誘導体の形成をもたらすことができる。
【0086】
本発明のさらなる他の好ましい核酸分子は、14位のプロリン残基に1または2個の酸素を付加することにより、107891プレプロペプチドの翻訳後修飾に関与するシトクロムP450ヒドロキシラーゼをコードするmlb ORF2(配列番号3)を含む。mlb ORF2は、これまで他のランチビオティッククラスターでは一度も報告されたことがない、新規で独特の遺伝的エレメントである。実際に、107891のプロリンヒドロキシル化プロフィールはランチビオティックの中でかなり独特である。この遺伝子を異種宿主にクローニングし、発現させて、ランチビオティック分子中に存在するプロリン残基を酸化することができる活性酵素を生成し得る。あるいは、mlb ORF2を産生株において不活性化して、アミノ酸14の酸素原子を欠く107891誘導体の形成をもたらすことができる。
【0087】
mlbクラスターはまた、107891産生の間に生合成遺伝子および耐性遺伝子の発現を直接的または間接的に活性化する役割を担う、多くの調節遺伝子を含む。これらの遺伝子は、mlb ORF3および5(配列番号4および6)を含む:mlb ORF3(配列番号4)は、一部には、107891産生の調節の役割を担う、別個の定数感知ペプチド(quorum−sensing peptide)である;そしてmlb ORF5(配列番号6)は、正の転写調節因子として働くRNAポリメラーゼσ因子の細胞質外機能ファミリーである、Sigma−70に強く関連する。mlb ORF3および5は、他のランチビオティッククラスターには存在しない、新規遺伝的エレメントである。2つの遺伝子、mlb ORF3および5を、形成される産物の収率を高めるために別のランチビオティックプロデューサー株に個別にまたはそれらの任意の組合せでクローニングし、発現させることができる。
【0088】
宿主株は、放線菌目、ストレプトスポランギウム科、ミクロモノスポラ科、シュードノカルジア科およびストレプトミセス科、ミクロビスポラ属、アクチノプラネス属、プラノモノスポラ属、ストレプトミセス属等に属する菌株を含むが、これらに限定されない。あるいは、これらの遺伝子を、107891の収率を高めるために107891産生株において個別にまたはそれらの任意の組合せで過剰発現させることができる。
【0089】
mlbクラスターはまた、ランチビオティック中間体または最終産物を細胞質から外側に輸送する、およびプロデューサー細胞に耐性を付与する役割を担う、多くの遺伝子を含む。これらの遺伝子は、mlb ORF1、10〜11、13〜14および17(配列番号2、11〜12、14〜15および18)を含む。mlb ORF1、10〜11、13〜14は、107891またはその中間体のATP依存性排出に関与する、ABCクラスの輸送体をコードする。mlb ORF17は、プロトン勾配に逆らって107891またはその中間体を輸送することに関与する、Na/Kイオン対向輸送体をコードする。これらの遺伝子を、形成される産物の収率を高めるために別のランチビオティックプロデューサー株に個別にまたはそれらの任意の組合せでクローニングし、発現させることができる。宿主株は、放線菌目、ストレプトスポランギウム科、ミクロモノスポラ科、シュードノカルジア科およびストレプトミセス科、ミクロビスポラ属、アクチノプラネス属、プラノモノスポラ属、ストレプトミセス属等に属する菌株を含むが、これらに限定されない。あるいは、これらの遺伝子を、107891の収率を高めるために107891産生株において個別にまたはそれらの任意の組合せで過剰発現させることができる。
【0090】
C.mlbクラスターの使用
【0091】
本発明はまた、107891分子全体、その前駆体のいずれかまたはその誘導体の発現のための核酸を提供する。そのような核酸は、107891の構築を指令するのに十分なポリペプチドをコードするORFを含有する単離遺伝子クラスターを含む。一例では、mlbクラスター全体(配列番号1)を適切なベクターに導入し、所望の生産宿主を形質転換するために使用できる。もう1つの態様では、mlbクラスターを2つの別々のセグメントとして、所望の生産宿主において適合性であり得る2つの異なるベクターにクローニングする。さらにもう1つの態様では、mlbクラスターを3つのセグメントに細分し、各々を別々の適合性ベクターにクローニングすることができる。1、2または3ベクター系の使用の例は文献に記載されている。
【0092】
ひとたびmlbクラスターが1またはそれ以上のベクターに適切にクローニングされれば、それを多くの適切な生産宿主に導入することができ、前記生産宿主では、ネイティブ宿主におけるよりも高い効率でランチビオティックの生産が起こり得る。好ましい宿主細胞は、放線菌類遺伝子を効率良く発現することができる種または菌株の宿主細胞である。そのような宿主は、放線菌目、ストレプトスポランギウム科、ミクロモノスポラ科、シュードノカルジア科およびストレプトミセス科、ミクロビスポラ属、アクチノプラネス属、プラノモノスポラ属、ストレプトミセス属等を含むが、これらに限定されない。あるいは、1またはそれ以上の適切なベクターにクローニングされたmlbクラスターの第2のコピーを107891産生株に導入することができ、前記産生株においてmlb遺伝子の第2のコピーは107891の収率を上昇させる。
【0093】
十分に特徴づけられた宿主に生産能力を導入することは、主要な最適化および開発の過程のいくつかの部分を実質的に改善することができる:産生株における天然産物の力価をより有効に高めることができる;天然産物の精製を、起こり得る干渉作用が公知であるバックグラウンドで実施することができる;複合体の組成物をより有効に制御することができる;天然産物の変化した誘導体を、発酵条件の操作を介してまたは経路の工作によってより有効に生産することができる。
【0094】
あるいは、生合成遺伝子クラスターを修飾し、宿主細胞に挿入して、多種多様な代謝産物を合成するまたは化学修飾するために使用することができる:たとえば、オープンリーディングフレームを並べ替えて、修飾し、他のランチビオティック生合成遺伝子クラスターと組み合わせることができる。
【0095】
本明細書で提供する情報を利用して、常套的な周知の方法を用いて107891核酸のクローニングおよび発現を達成することができる。
【0096】
もう1つの可能な使用では、mlb遺伝子クラスターからの選択ORFを、常套的な分子生物学手法を用いて単離し、不活性化する。ミクロビスポラ種PTA−5024染色体内で前記ORFに隣接するDNAセグメントを含む適切なベクターにクローニングした突然変異ORFを前記ミクロビスポラ株に導入し、前記株において相同的組換えの2つの二重交差事象がプロデューサー株における前記ORFの不活性化を生じさせる。この手順は、107891の前駆体または誘導体の効率的な生産のために有用である。
【0097】
もう1つの可能な使用では、mlb遺伝子クラスターからの選択ORFを単離し、所望のプロモーターの制御下に置く。適切なベクターにクローニングした工作ORFを、次に、前述したようにもとのORFを置換することによって、または前記ORFの付加的なコピーとして、ミクロビスポラ種PTA−5024に導入する。この手順は、107891分子、その前駆体または誘導体の生産のために重要なORFの発現レベルを高めるまたは低下させるために有用である。
【0098】
実験項
以下の実施例は、それを介して107891遺伝子クラスターを同定する原理および方法、ならびにすべてのmlb遺伝子を同定し、分析する原理および方法を説明するのに役立つ。これらの実施例は、本発明の原理および方法を説明するのに役立つが、その範囲を限定することを意図されない。
【0099】
一般的方法
特に指示されない限り、細菌株およびクローニングベクターはすべて、公的コレクションまたは市販の供給源から入手することができる。分子生物学のための標準的な手順を使用する。ミクロビスポラ菌は、HT寒天およびV6培地(20g/lグルコース、5g/l酵母抽出物、3g/lカゼイン加水分解産物、5g/l肉エキス、5g/lペプトン、1.5g/l NaCl、0.5%グリセロール)中で増殖させた。公表されている手順に従ってランチビオティックを単離する。配列解析は標準的なプログラムを使用して実施する。データベース検索は、公的サイトでBlastまたはFastaプログラムを用いて実施する。
【実施例1】
【0100】
107891生合成遺伝子の単離
【0101】
接合性コスミドベクターSupercos 3においてミクロビスポラ種PTA−5024からのDNAを用いてゲノムライブラリーを作製する。これは、pSET152からのaacIV−oriT−intФC31カセットを以下のようにSupercos 1(Stratagene,La Jolla,CA 92037)に挿入することによって構築した:aacIV−oriT−intФC31カセットを、PCRによってベクターpSET152から3.8kb長のNrulフラグメントとして得、Supercos 1の同じ部位に挿入する。フラグメントの大きさを40kbの範囲内に最適化するため、ミクロビスポラ種PTA−5024からの全DNAをSau3AIで部分消化する。部分消化したDNAをアルカリホスファターゼで処理し、あらかじめBamHIで消化したSupercos 3に連結する。連結混合物をインビトロでパッケージングし、大腸菌XL1Blue細胞をトランスフェクトするために使用する。生じたコスミドライブラリーをオリゴヌクレオチドプローブ5’−GTS ACS WSS TGG WSS YTS WSS ACS GGS CCS TGC ACS WSS CCS GGS GGS WSS AAC WSS WSS TCC WSS TG−3’(配列番号19)とのハイブリダイゼーションによってスクリーニングする。オリゴヌクレオチドは、107891の構造から推定したアミノ酸配列から設計する。このプローブに対して陽性の2つのコスミドを単離し、制限酵素で物理地図を作製する。そのような実験から、図1に報告するコスミドを同定する。このようにしてミクロビスポラ種PTA−5024のゲノムから同定したセグメントは、抗生物質107891の合成の役割を担うmlb遺伝子クラスターを含む。
【0102】
上記実施例は、それを介してmlbクラスターを単離することができる原理および方法を説明するのに役立つ。mlbクラスターが様々なベクターにクローニングできることは当業者に認識される。しかし、当業者は、mlbクラスターの20kbという大きさを考慮すると、好ましいベクターは、λ、コスミドおよびBACベクターのような、大きな挿入物を担持することができるものであることを理解する。当業者は、そのようなライブラリーからmlbクラスターを同定するために他のプローブも使用できることを理解する。配列番号1に報告する配列から、任意のフラグメントをミクロビスポラ種PTA−5024 DNAからPCR増幅することができ、そのようなDNAを用いて作製したライブラリーをスクリーニングするために使用できる。配列番号1によってカバーされる任意のセグメントを含む、前記ライブラリーからの1またはそれ以上のクローンを同定することができる。さらに、表1で提供される情報を利用して、他のlanクラスターに由来するもののような異種プローブの使用を介してmlbクラスターを同定することも可能である。あるいは、二次代謝産物の合成を指令する他の遺伝子クラスターは、異種ハイブリダイゼーションを可能にするのに十分な程度でmlb遺伝子に関連する遺伝子を含む。これらの変法はすべて本発明の範囲内に包含される。
【実施例2】
【0103】
107891遺伝子クラスターの配列解析
【0104】
実施例1で述べたように同定したmlbクラスターをショットガンアプローチによって配列決定する。mlbクラスターの配列は、本明細書において配列番号1として提供される。生じたDNA配列を解析して推定コード配列を同定し、それを他のlanクラスターと比較するかまたはGenBankに対して検索する。各々のORFについての正確な開始コドンは、関連配列のマルチプルアラインメントによって、または上流のリボソーム結合部位を探索することによって確立される。全体で、mlb ORF1〜ORF17と称される17個のORFが同定される。これらの解析の結果を表1に要約し、本明細書では配列番号2〜配列番号18として配列表に提示する。詳細を以下で述べる。
【0105】
2A.107891プレプロペプチドの合成
【0106】
mlb ORF6はプレプロペプチドの合成の役割を担う。プレプロペプチドは、49アミノ酸のリーダー配列、および翻訳後修飾されて成熟ランチビオティックを生成する24アミノ酸のプロペプチド(配列番号7)を含む。ランチビオティックリーダーペプチドの2つの共通の特徴は107891において保存されている:A型ランチビオティックの保存された配列(たとえばF−D/N−L−D/Eモチーフ)および2位のプロリン残基。プレプロペプチドのC末端部分(配列番号7)は、公表されている107891一次構造およびその提案されているプロペプチド配列と一致する。
【0107】
2B.107891プロペプチドの翻訳後修飾
【0108】
mlb ORF7〜9(配列番号8〜10)およびmlb ORF17(配列番号18)によってコードされる4つのタンパク質は、107891プレプロペプチドの翻訳後修飾に関与する。これらの遺伝子産物のホモログは多くのランチビオティッククラスターで認められる。他のランチビオティッククラスターで認められるデヒドラターゼおよびシクラーゼとの配列同一性およびそれらの役割に基づき、以下の予測を立てることができる。mlb ORF7ポリペプチドは、107891プロペプチドの3、5、13、18および21位のセリン残基ならびに2および8位のトレオニン残基を脱水して、対応する脱水残基を生成する役割を担う。mlb ORF8ポリペプチドは、107891プロペプチド中に存在するシステイン残基を4つのデヒドロアラニン残基および1つのデヒドロブチリン残基に位置特異的および立体特異的にコンジュゲート付加して、対応する5つのチオエーテルを生成することを触媒する。特に、mlb ORF8ポリペプチドは、3〜7、13〜20、18〜23および21〜24のランチオニンならびに8〜11のメチルランチオニン(methylanthionine)の形成に関与する。
【0109】
エピデルミンおよびメルサシジンクラスターによってコードされるデカルボキシラーゼとの間で認められる配列同一性に基づき、mlb ORF9は、21〜24ランチオニン部分の脱炭酸の役割を担う酵素をコードする。他の抗生物質クラスターによってコードされるフラビンレダクターゼとの間で認められる配列同一性に基づき、mlb ORF16はフラボタンパク質レダクターゼをコードした。エピデルミンおよびメルサシジン形成の間の酸化的脱炭酸に関して予測される役割を考慮すると、mlb ORF9および16ポリペプチドは、107891中に存在するS−[(Z)−2−アミノビニル]−D−システイン残基(式I)の形成を触媒する。
【0110】
2C.β−ヒドロキシプロリンの形成およびトリプトファンの塩素化
【0111】
mlb ORF2および15(配列番号3および16)によってコードされる2つのタンパク質は、107891プロペプチドの14位のプロリン残基への1または2個のβ−ヒドロキシル基の付加、および4位のトリプトファン残基の塩素化に関与する。mlb ORF2ポリペプチドは、P450モノオキシゲナーゼに有意の同一性を示し(表1)、プロリン残基のヒドロキシル化に関与する。mlb ORF2のホモログは他のランチビオティッククラスターでは認められておらず、それによりこの遺伝子は、ランチビオティック分子のヒドロキシル化に関与するP450モノオキシゲナーゼの唯一の例である。加えて、他のハロゲナーゼとの同一性のレベルに基づき、mlb ORF15ポリペプチドはトリプトファンの塩素化に関与し、ランチビオティック分子の修飾に関与するハロゲナーゼの唯一の例である。
【0112】
2D.輸送および耐性
【0113】
ORF1、10、11、13、14および17(配列番号2、11、12、14、15および18)によってコードされる5つのタンパク質は、107891またはその前駆体を細胞質の外側に輸送すること、および産生株に対する耐性を付与することに関与する。それらの予測される役割は以下のとおりである。
【0114】
ORF1(配列番号2)のホモログは他のランチビオティッククラスターでは認められない。この遺伝子は、付加的なABC型輸送体をコードし(表1)、それ故、産生株であるミクロビスポラ種PTAにおいて107891に対する耐性を付与することに関与する。ORF10、13〜14および17(配列番号11、14〜15および18)のホモログは他のランチビオティッククラスターに存在する(表1)。それらは、それぞれABC型輸送体およびイオン依存性膜貫通輸送体をコードする。それらは、従って、107891またはその前駆体の輸送および/または区画化(compartimentalization)に関与する。mlb ORF17は、プロトン勾配に逆らって107891またはその中間体を輸送する役割を担う、Na/Kイオン対向輸送体をコードする。
【0115】
2E.調節
【0116】
ORF3および5(配列番号4および6)によってコードされる2つのタンパク質は、mlb遺伝子の1またはそれ以上の発現を調節することに関与する。mlb ORF5ポリペプチド(配列番号6)は、そのホモログが他のランチビオティッククラスターでは認められない、新規遺伝的エレメントである。このタンパク質は、正の転写調節因子として働くσ因子の細胞質外機能ファミリーに属する。ORF3ポリペプチド(配列番号4)は、LuxR型転写調節因子のファミリーに属する。ORF3(配列番号4)は、それ故、mlb遺伝子の1またはそれ以上の発現のために必要である可能性が高い。
【0117】
2F.付加的な機能
【0118】
2つの付加的なORF、すなわちORF4(配列番号5)およびORF12(配列番号13)がmlbクラスター内に存在する。2つのORFは、それぞれ海産放線菌(サリニスポラ・トロピカ)(Salinispora tropica)およびストレプトミセス・アンボファシエンス(Streptomyces ambofaciens)に存在する未知の機能のタンパク質に関連する(表1)。しかし、107891生合成におけるそれらの正確な役割はまだ予測することができない。
【実施例3】
【0119】
遺伝子置換による107891経路の操作
【0120】
実施例2で提供される情報を利用して、ORF2内のインフレーム欠失を以下のように構築する。フラグメントAは、オリゴヌクレオチド5’−AAGCTTGCATCTGCGTGGGCGTCCTGC−3’(配列番号20)および5’−TCTAGACGGTCCGAAGATCATGGCCGCGG−3’(配列番号21)を用いた増幅を介して得た;そしてフラグメントBは、オリゴヌクレオチド5’−TCTAGATCCATGTGAACCGGCGGGTGGCCG−3’(配列番号22)および5’−GAATTCCGGTCGCTCTCCTCGTCCTTTGCC−3’(配列番号23)を用いた増幅を介して得る。
【0121】
次に、フラグメントAをEcoRIとXbaIで消化し、フラグメントBをXbaIとHindIIIで消化して、両者を、あらかじめEcoRIとHindIIIで消化したpSET152に連結する。大腸菌DH5α細胞の形質転換後、pDM1と称される生じたプラスミドは、EcoRIとHindIIIでの消化後に4kbおよび1.5kbのフラグメントの存在によって認識される。pDM1のアリコートを大腸菌ET12567(pUB307)細胞に移入し、DM1株を生成する。次に、LBでの一晩培養からの約108CFUのDM1細胞を、Rare3培地で約80時間増殖させた約107CFUのミクロビスポラ種PTA−5024と混合する。生じた混合物をHTプレートに塗布し、次にそれを28℃で約20時間インキュベートする。水で静かに洗って過剰の大腸菌細胞を除去した後、プレートを、ナリジクス酸200μgおよびアプラマイシン15μg/mlを含む軟寒天3mlに重ね合わせる。28℃で3〜5週間のさらなるインキュベーション後、アプラマイシンを含む新鮮培地にミクロビスポラ接合完了体(exconjugants)を線条接種する。Mb−DM1株と命名された1つのそのような接合完了体をさらに処理する。Mb−DM1株を、次に、アプラマイシンを含まないHT培地で数継代増殖させ、適切な希釈物を、アプラマイシンを含まないHT寒天に塗布する。個々のコロニーを、その後、オリゴヌクレオチド5’−CGCGCTGCTCGGGGCCAAC−3’(配列番号24)および5’−AGGAAACGGCCAGCCCGTGG−3’(配列番号25)を用いてPCRによって分析する。
【0122】
ORF2の欠失対立遺伝子を含むコロニーは、1.5kbのバンドの存在によって認識される。Mb−DM2と称される1つのそのようなコロニーをHT培地で増殖させ、デヒドロキシル−107891の形成を標品との比較によって確認する。
【0123】
前記実施例は、107891産生株であるミクロビスポラ種PTA−5024において、それを介して配列番号2〜18によって規定されるもののいずれかから選択されるORFを突然変異コピーで置換することができる原理および方法を説明するのに役立つ。ORF2(配列番号3)が、配列番号1によって規定されるクラスター内にインフレーム欠失を作製するための方法の単なる一例であることは当業者に認識される。
【0124】
当業者はまた、インフレーム欠失が突然変異を生じさせるための単なる1つの方法にすぎないこと、そしてフレームシフト突然変異、挿入および部位指定突然変異を含むがこれらに限定されない他の方法も、配列番号2〜18によって規定されるORFのいずれかにおいてヌル突然変異体を生成するために使用できることを理解する。
【0125】
当業者はまた、配列番号1によって規定されるORFのいずれかにおいて突然変異を生じさせるための方法が確立されているので、これらの同じ方法がこれらの同じORFの発現レベルを変化させるために適用できることを理解する。これを達成できる方法の例は、ミクロビスポラ種PTA−5024ゲノムの任意の位置への前記ORFの多数のコピーの組込み、前記ORFの発現を制御するプロモーターにおける変化、それらの発現に干渉するアンチセンスRNAまたは転写終結因子の除去を含むが、これらに限定されない。
【0126】
最後に、ミクロビスポラ種PTA−5024に突然変異対立遺伝子を導入するために使用されるベクター、供与体株と受容体株の接合および培養のための条件、接合完了体およびそれらの誘導体を選択し、スクリーニングするための方法におけるバリエーションは、すべて本発明の範囲内に包含される。
【実施例4】
【0127】
ランチビオティックのインビトロハロゲン化
【0128】
実施例2で提供される情報を利用して、mlb ORF15(配列番号16)を以下のように大腸菌において過剰発現させる。オリゴヌクレオチド5’−TTTTTCATATGGGTGGGAGTGATCGGCGGCG−3’(配列番号26)および5’−TTTTTGTCGACCTACTGCTGGCCGCGGTCCGGACT−3’(配列番号27)を用いた増幅によって得られる1.6kbフラグメントをNcoIとSalIで消化し、あらかじめNcoIとXhoIで消化したpET22bに連結する。大腸菌DH5a細胞を形質転換した後、NdeIとXhoIによる消化後に5.5kbと1.6kbのフラグメントの存在が認識できる、生じたプラスミドpHALを、大腸菌BL21(DE3)細胞に導入する。pHALを保持する大腸菌BL21(DE3)細胞の培養物をLB中20℃で0.6のOD600まで増殖させる。次に、IPTGを1mMまで添加し、細胞をさらに6時間増殖させる。細胞を採集し、超音波処理によって破壊して、HisタグORF15ポリペプチドをNi−アガロースカラムから回収する。ラクチシン481または97518などの基質のインビトロハロゲン化を実施し、ランチビオティックの塩素誘導体の形成をMS分析によって確認する。
【0129】
前記実施例は、それを介して配列番号2〜18によって規定されるもののいずれかから選択されるORFを好都合な宿主において過剰発現させ、生じた酵素を過剰生産して、ランチビオティック天然産物を異なる化合物に形質転換するために使用することができる原理および方法を説明するのに役立つ。ORF15(配列番号16)が、単に、配列番号1によってコードされる任意のポリペプチドを過剰生産するための方法の一例として使用されていることは当業者に認識される。当業者はまた、異なるアフィニティータグの使用、異なるベクター、異なる宿主菌株および誘導方法の使用を含むがこれらに限定されない、タンパク質を過剰生産するための他の方法も、ORF1〜17(配列番号2〜18)によって規定されるポリペプチドを過剰生産するために使用できることを理解する。
【0130】
トリプトファン残基を含むまたは含まない他のランチビオティック基質を、ORF15(配列番号16)による塩素原子の付加のために使用できることは当業者に認識される。また、mlbクラスター(配列番号1)によって規定される他のORFポリペプチドが、他のランチビオティックプレプロペプチドの翻訳後修飾のために使用できることも当業者に認識される。このために使用できるORFポリペプチドは、ORF2(配列番号3)を含むが、これに限定されない。特に、ORF7および8(配列番号8および9)は、他のランチビオティックプレプロペプチドにおける脱水およびチオエーテル架橋の導入のために使用できる;ORF9および16(配列番号10および17)は、C末端Cys残基を含む他のランチビオティックを脱炭酸するために使用できる;そしてORF2(配列番号3)は、他のプロリン含有ランチビオティックをヒドロキシル化するために使用できる。
【実施例5】
【0131】
異種宿主におけるmlbクラスターの発現
【0132】
実施例1および2で提供される情報を利用して、mlbクラスター全体(配列番号1)を含むコスミド1G6(図1)を、Kieser et al.,2000によって記述されたように接合によってストレプトミセス・アルバス(Streptomyces albus)に導入する。アプラマイシン耐性接合完了体を適切な条件下で増殖させ、107891を記述されているように精製する。
【0133】
当業者はまた、S.アルバスは単に1つのプロデューサー株にすぎないこと、ならびに他の菌株もmlbクラスター全体(配列番号1)を導入するためおよび107891の生産のために使用できることを理解する。好ましい宿主細胞は、放線菌類遺伝子を効率良く発現することができる種または株の細胞である。そのような宿主は、放線菌目、ストレプトスポランギウム科、ミクロモノスポラ科、シュードノカルジア科およびストレプトミセス科、ミクロビスポラ属、アクチノプラネス属、プラノモノスポラ属、ストレプトミセス属等を含むが、これらに限定されない。当業者は、適切なプロモーターがmlbオペロンの前に置かれていれば、生産宿主は放線菌類遺伝子を効率良く発現することができる細胞に限定される必要がないことを理解する。この後者の範疇の適切な生産宿主は、遺伝的に操作しやすいもの、または他のランチビオティックを天然に生産するものの中から見出すことができる。そのような生産宿主の例は、大腸菌および関連種、バチルス種、連鎖球菌種、乳酸杆菌種、ブドウ球菌種等を含むが、これらに限定されない。
【0134】
当業者はまた、この実施例で述べる方法を使用して、mlbクラスターをもとの107891プロデューサー株、ミクロビスポラ種PTA−5024に第2のコピーとして導入することができ、前記株においてmlb遺伝子の第2のコピーは107891の収率を上昇させることを理解する。
【0135】
当業者はまた、mlbクラスターを導入するための異なるベクター、異なる方法、mlbクラスターを担持する組換えクローンを選択する異なる方法、前記組換えクローンを増殖させるための異なる方法および条件、ならびに107891産生を検出するための異なる方法が、異種宿主におけるmlbクラスターの発現のために有効であり得ることを理解する。
【実施例6】
【0136】
107891変異体のライブラリーの作製
【0137】
実施例2、3および5で提供される情報を利用して、mlb ORF6(配列番号7)を、107891の変異体を産生するように以下のように修飾する。まず第一に、ORF6を増幅するために、ORF6(配列番号7)内にインフレーム欠失を担持するベクターを、フラグメントAについてはオリゴヌクレオチド5’−GCAGCCAGGCTCGCACCGGC−3’およびCGCCCGTAACGAGCGA(配列番号28および29)を使用し、フラグメントBについてはオリゴヌクレオチド5’−GCAGCTTCTGCTGCTGA−3’および5’−TCCCGGCCAGCCACTT−3’(配列番号30および31)を使用して実施例3の方法に従って構築する。生じた構築物を、実施例3の方法に従って、実施例5で述べたようにして得られたS.アルバス株においてORF6を置換するために使用し、SA−D6株を作製する。次に、オリゴヌクレオチド5’−CCGGAAAGGAGCGAGCATATG−3’(配列番号32)および5’−CAGATCTGCCAATACAGT−3’(配列番号33)を用いた増幅によって得られるmlb ORF6(配列番号7)のプレペプチド部分をNdeIとBglIIで消化し、あらかじめNdeIとBglIIで消化したpIJ8600(Kieser et al,2000)に連結して、プラスミドpPRE1を作製する。並行する実験では、オリゴヌクレオチドA 5’−C GGT GTC GAG GAG ATC ACC GCC GGG CCG GCG NNN NNN AGC NNN NNN NNN TGC ACC NNN NNN TGC NNN AGC NNN NNN NNN NNN AGC NNN TGC AGC NNN TGC TGC TGA AGA TCT−3’およびオリゴヌクレオチドB 5’−T TCA GCA GCA NNN GCT GCA NNN GCT NNN NNN NNN NNN GCT NNN GCA NNN NNN GGT GCA NNN NNN NNN GCT NNN NNN CGC CGG CCC GGC GGT GAT CTC CTC GAC ACC GAT CGA−3’(配列番号34および35)を変性し、アニーリングして、チオエーテル形成に関与するもの(具体的にはアミノ酸3、7、8、11、13、18、20、21、23および24)を除く、ORF6ポリペプチドのプロペプチド領域のアミノ酸配列におけるすべての可能な変更を有するポリペプチドをコードする、DNAセグメントの混合物(配列番号36)を作製する。このDNAセグメントの混合物を、あらかじめBSA OIとBglIIで消化したプラスミドpPRE1に連結して、リーダーペプチドをコードするORF6セグメントに融合したプロペプチドをコードする、ORF6セグメントのすべての可能な変異形態((メチル)ランチオニン架橋を除く)を担持するプラスミドのライブラリーを作製する。このプラスミドライブラリーをSA−D6株に導入し、μg/mlチオストレプトンの存在下で増殖させた、生じる接合完了体を、生物学的アッセイまたはHPLC分析によって107891変異体の産生に関してスクリーニングする。興味深い変異体を、ORF6変異体のプロペプチド部分を配列決定することおよび構造解明によってさらに特徴づける。
【0138】
当業者は、ORF6ポリペプチドのリーダーペプチド部分も、翻訳後修飾に関与する酵素(配列番号8および9)がそれらの異なるリーダーペプチドを認識することができる限り、修飾し得ることを理解する。ORF6ポリペプチドのリーダーペプチド部分の変異は本発明の範囲内に包含される。
【0139】
ORF6変異体のライブラリーを構築するために、異なるオリゴヌクレオチド、ベクター、誘導系および宿主株の使用を含むがこれらに限定されない、他の方法が使用できることは当業者に認識される。さらに、当業者は、付加的なORF6変異体を作製するためにメチルランチオニン残基をランチオニン残基によって置換し得ること、またはその逆も実施し得ることを理解する。当業者はまた、ORF6の選択変異体を作製して、107891の特定誘導体の産生を生じさせるために部位指定突然変異誘発が利用できることを理解する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)107891およびそのホモログの合成のために必要とされるポリペプチドをコードするmlb遺伝子クラスター(配列番号1);
b)mlb遺伝子クラスターのヌクレオチド配列以外の、mlb遺伝子クラスター(配列番号1)によってコードされる同じポリペプチドをコードするヌクレオチド配列;
c)配列番号2〜18によってコードされるポリペプチドをコードする、mlb ORF1〜17の任意のヌクレオチド配列;ならびに
d)前記ORFのヌクレオチド配列以外の、mlb ORF1〜17(配列番号2〜18)のいずれかによってコードされる同じポリペプチドをコードするヌクレオチド配列
から成る群から選択されるヌクレオチド配列を含む、単離核酸。
【請求項2】
e)その長さ全体にわたって、mlb ORF2、6〜9、15〜16(配列番号3、7〜10、16〜17)のいずれかによってコードされるポリペプチドに、アミノ酸配列が少なくとも65%、少なくとも86%、少なくとも90%および少なくとも95%またはそれ以上同一であるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列
から成る群より選択されるヌクレオチド配列を含む、単離核酸。
【請求項3】
mlb ORF6(配列番号7)から成る107891のプレプロペプチドの合成のために必要とされるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、または前記ORFのヌクレオチド配列以外の、同じポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の組合せを含む、請求項1または2に記載の単離核酸。
【請求項4】
mlb ORF9および16(配列番号10および17)から成るORF6ポリペプチドのC末端Cys残基の酸化的脱炭酸のために必要とされるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、または前記ORFのヌクレオチド配列以外の、同じポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の組合せを含む、請求項1または2に記載の単離核酸。
【請求項5】
mlb ORF7および8(配列番号8および9)から成る107891プロペプチド部分の脱水および(メチル)ランチオニン形成のために必要とされるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、または前記ORFのヌクレオチド配列以外の、同じポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の組合せを含む、請求項1または2に記載の単離核酸。
【請求項6】
mlb ORF15(配列番号16)から成るアミノ酸4の芳香族残基の塩素化のために必要とされるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、または前記ORFのヌクレオチド配列以外の、同じポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、請求項1または2に記載の単離核酸。
【請求項7】
mlb ORF2(配列番号3)から成る107891のアミノ酸14のプロリン残基のヒドロキシル化のために必要とされるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、または前記ORFのヌクレオチド配列以外の、同じポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、請求項1または2に記載の単離核酸。
【請求項8】
107891若しくはその前駆体の一部を細胞質の外側に輸送するため、ならびにmlb ORF1、10、11、13、14および17(配列番号2、11、14、15および18)から成る産生株に107891に対する耐性を付与するためために必要とされるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、または前記ORFのヌクレオチド配列以外の、同じポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の組合せを含む、請求項1または2に記載の単離核酸。
【請求項9】
mlb ORF3および5(配列番号4および6)から成るmlb遺伝子クラスターの1若しくはそれ以上の遺伝子の発現を調節するために必要とされるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、または前記ORFのヌクレオチド配列以外の、同じポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の組合せを含む、請求項1または2に記載の単離核酸。
【請求項10】
107891の合成のために必要とされるポリペプチドをコードするmlb遺伝子クラスターから成るヌクレオチド配列を含み、プロリン残基のヒドロキシル化のために必要とされるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列内にインフレーム欠失が導入されている、請求項1または2に記載の単離核酸。
【請求項11】
mlb ORF1〜17(配列番号2〜18)の少なくとも1つ、または前記mlb ORFのヌクレオチド配列以外の、前記mlb ORFによってコードされる同じポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の、少なくとも1つの余分なコピーを担持するヌクレオチド配列を含む、請求項1または2に記載の単離核酸配列。
【請求項12】
ヌクレオチド配列がDNA配列である、請求項1〜11のいずれかに記載の単離核酸。
【請求項13】
請求項12のいずれかにおいて定義されるDNA配列を含む、組換えDNAベクター。
【請求項14】
請求項13のベクターで形質転換された宿主細胞。
【請求項15】
放線菌目(Actinomycetales)に属する、請求項14に記載の形質転換宿主細胞。
【請求項16】
ストレプトスポランギウム科(Streptosporangiaceae)、ミクロモノスポラ科(Micromonosporaceae)、シュードノカルジア科(Pseudonocardiaceae)およびストレプトミセス科(Streptomycetaceae)から選択される科に属する、請求項15に記載の形質転換宿主細胞。
【請求項17】
ミクロビスポラ属(Microbispora)、アクチノプラネス属(Actinoplanes)、プラノモノスポラ属(Planomonospora)、ストレプトミセス属(Streptomyces)等から選択される属に属する、請求項16に記載の形質転換宿主細胞。
【請求項18】
バチルス目(Bacillales)に属する、請求項14に記載の形質転換宿主細胞。
【請求項19】
バチルス科(Bacillaceae)、乳酸杆菌科(Lactobacillaceae)、連鎖球菌科(Streptococcaceae)またはブドウ球菌科(Staphylococcaceae)から選択される科に属する、請求項18に記載の形質転換宿主細胞。
【請求項20】
バチルス属(Bacillus)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、連鎖球菌属(Streptococcus)、ブドウ球菌属(Staphylococcus)等から選択される属に属する、請求項19に記載の形質転換宿主細胞。
【請求項21】
大腸菌(Escherichia coli)種に属する、請求項14に記載の形質転換宿主細胞。
【請求項22】
生合成経路によって107891またはその前駆体を産生することができる微生物による、107891またはそのホモログの生産を高めるための方法であって、
−生合成経路によって107891または107891前駆体を産生する微生物を請求項13の組換えDNAベクターで形質転換すること、但し、前記DNAベクターは、前記経路において律速性である活性の発現をコードする;
−前記ベクターで形質転換した前記微生物を細胞増殖に適する条件下で培養し、前記遺伝子を発現させて、前記抗生物質または抗生物質前駆体を生産すること
を含む、方法。
【請求項23】
そのゲノム内の107891生合成遺伝子が請求項10に記載のヌクレオチド配列の挿入によって修飾されている、107891またはそのホモログまたはその前駆体若しくは誘導体を産生する形質転換微生物。
【請求項24】
請求項23の形質転換107891産生微生物を培養することを含む、107891またはその前駆体若しくは誘導体を生産するための工程。
【請求項25】
そのゲノム内に107891生合成遺伝子を有し、mlb ORF1〜17(配列番号2〜18)から選択される107891生合成遺伝子の少なくとも1つが破壊されている、形質転換107891産生微生物。
【請求項26】
破壊されている生合成遺伝子が塩素残基の結合に関与する遺伝子である、請求項25に記載の形質転換微生物。
【請求項27】
請求項25の形質転換107891産生微生物を含む、107891前駆体または誘導体を生産するための工程。
【請求項28】
107891またはその前駆体とは異なるランチビオティックを生産するための方法であって、
−生合成経路によって107891またはその前駆体とは異なるランチビオティックまたはランチビオティック前駆体を産生する微生物を組換えDNAベクターで形質転換すること、但し、前記ベクターまたはその部分は、前記ランチビオティックまたはランチビオティック前駆体を修飾する酵素活性の発現をコードする、請求項1〜11のいずれかのヌクレオチド配列を含む;および
−前記ベクターで形質転換した前記微生物を細胞増殖に適する条件下で培養し、前記遺伝子を発現させて、前記抗生物質または抗生物質前駆体を生産すること
を含む、方法。
【請求項29】
−mlb ORF1〜17(配列番号2〜18)のいずれかによってコードされるORFポリペプチド;ならびに
−mlb ORF1〜17(配列番号2〜18)のいずれかによってコードされるORFポリペプチドに、アミノ酸配列が少なくとも65%同一であるポリペプチド、少なくとも90%同一であるポリペプチドおよび少なくとも95%またはそれ以上同一であるポリペプチドから成る群より選択されるポリペプチド
から選択される、単離ポリペプチド。
【請求項30】
mlb ORF2、6〜9、15〜16(配列番号3、7〜10、16〜17)のいずれか1つである、請求項29に記載の単離ポリペプチド。
【請求項31】
mlb ORF2、6〜9、15〜16(配列番号3、7〜10、16〜17)のいずれか1つによってコードされるmlb ORFポリペプチド、または前記mlb ORFのいずれかによってコードされるポリペプチドに、アミノ酸配列が少なくとも65%同一であるポリペプチド、少なくとも90%同一であるポリペプチドおよび少なくとも95%若しくはそれ以上同一であるポリペプチドから成る群より選択されるポリペプチドを含む、請求項29に記載の単離ポリペプチド。
【請求項32】
mlb ORF1、10〜11、13〜14および17(配列番号2、11〜12、14〜15および18)のいずれかによってコードされるmlb ORFポリペプチド、または前記mlb ORFのいずれかによってコードされるポリペプチドに、アミノ酸配列が少なくとも65%同一であるポリペプチド、少なくとも90%同一であるポリペプチドおよび少なくとも95%若しくはそれ以上同一であるポリペプチドから成る群より選択されるポリペプチドを含む、請求項29に記載の単離ポリペプチド。
【請求項33】
mlb ORF3および5(配列番号4および6)のいずれかによってコードされるmlb ORFポリペプチド、または前記mlb ORFのいずれかによってコードされるポリペプチドに、アミノ酸配列が少なくとも65%同一であるポリペプチド、少なくとも90%同一であるポリペプチドおよび少なくとも95%若しくはそれ以上同一であるポリペプチドから成る群より選択されるポリペプチドを含む、請求項29に記載の単離ポリペプチド。
【請求項34】
請求項1〜12のいずれかの核酸のいずれかによってコードされるポリペプチドから選択される、107891の生合成経路に関与するポリペプチドを含む単離ポリペプチド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−535492(P2010−535492A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−519531(P2010−519531)
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【国際出願番号】PCT/IB2007/002270
【国際公開番号】WO2009/019524
【国際公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(510031040)センティネラ ファーマスティカル インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】