説明

リサイクル対応ハードコーティング

傷防止コーティングを有するリサイクル可能なプラスチック製品。射出成形された熱可塑性製品は、リサイクルプロセスの間にコーティングを熱可塑性物質と適合できるようにするために高分子または無機コーティングでコーティングされる。ポリマーハードコートは、リサイクル可能なプラスチック製品が粉砕され、ペレット化され、成形されるときに、コーティングを熱可塑性樹脂と混合できるようにするために、下にある熱可塑性樹脂と相互作用する機能官能基を含む。粉砕、ペレット化、及び成形するという典型的なリサイクルプロセスの後に、熱可塑性樹脂は未使用樹脂の元の機械特性の少なくとも95%を保持する。相溶化剤及び他の処理ステップは、適切なリサイクルを保証するために必要とされない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概してコーティングされた熱可塑性プラスチックに関する。さらに詳細には、本発明はプラスチックのリサイクルプログラムに対応したコーティングに関する。
【背景技術】
【0002】
環境上の懸念等のためにプラスチックのリサイクリングは人気を拡大し続けている。プラスチックのリサイクリングの分野では、消費者がそれを自らの日常生活に組み込むまでに多くの進歩が遂げられてきた。膨大な量のポリエチレン(PE)およびポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチックが、世界中でリサイクルされ、プラスチックをリサイクルする他の機会が大きく残されている。リサイクルの大きな可能性のある1つの市場区分は、電子デバイス、特に携帯電話等の携帯端末である。残念なことに、瓶と比較して電子デバイスのリサイクルには重大な技術的問題がある。
【0003】
典型的なリサイクル事業では、収集されたプラスチックは樹脂の種類によって分類される。その後、多様な色に分類されてから、粗い粉砕と粉砕のために押し潰され、次に射出成形される準備が完了した樹脂を得るためにペレット化される。瓶とは異なり、電子デバイスは通常、例えば傷防止コーティングまたはハードコーティング(デバイスの表面的な見かけを強化し、耐用寿命を延ばすために)、塗料、ラベル等のプラスチック筐体の外観に対する多数の改良を有している。これらの外観処理は、プラスチック樹脂を別の人工物に作り直す前に取り除かれなければならない。取り除かない場合、多様な処理がプラスチックを汚染し、成形品で欠陥を生じさせる、あるいはリサイクルされたプラスチックの物理特性を劣化させる。特許文献の中で、コーティングされた熱可塑性樹脂の成形品の再利用のための多くのシナリオが作られ、提案されてきた。
【0004】
従来の技術で説かれる方法は、大きく以下に分類できる。つまり、物理的に塗膜を取り除くことと、溶媒で分離することと、塗膜を加水分解すること、相溶化剤を加えること、及び成形品が押し潰され、そのまま使用される方法に分類できる。塗料とラベルを取り除くこれらの多様な方法は業界で開発されてきたが、傷防止コーティングの除去はいまだ未解決の問題である。これは、通常傷防止コーティングに使用されている物質が成形プラスチック品を形成するために使用されるものとは違うタイプであるためである。さらに詳細には、成形品のために使用される樹脂は熱可塑性樹脂から構成されるのに対して、ハードコーティングはおもにウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂である。これらのコーティングは設計技師によって、耐久性があり、下にあるプラスチックにしっかりと付着することを意図されているので、下にあるプラスチックを破壊することなくそれらを取り除くことはほぼ不可能である。ハードコーティングされた熱可塑性樹脂がリサイクルプロセスにさらされるとき、2つの異なる種類の樹脂は互いに対して親和性を持たず、分離し、リサイクルされたプラスチックの特性を劣化させる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、ハードコーティングされた熱可塑性樹脂をどのようにしてリサイクルするのかという問題は未解決のままであり、この問題が解決されると、業界において大きな改善となるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は多くのさまざまな形の実施形態を可能にするが、本開示は本発明の原理の一例と見なされるべきであり、本発明を示され、説明されている特定の実施形態に限定することを目的としていないことを理解した上で特定の実施形態が図面に示され、本書に詳細に説明されるであろう。引用時、特定の物質は手元の作業のためのいくつかの適切な物質の教示として役立つことを目的とし、引用は、制限的となる、あるいはこれらが適切である唯一の物質であることを示すことを目的としていない。射出成形された熱可塑性製品は、リサイクルプロセスの間にコーティングが熱可塑性物質と相溶性を備え得るように高分子塗膜または無機コーティングでコーティングされる。ポリマーハードコートは、リサイクル可能なプラスチック製品が粉砕され、ペレット化され、成形されるときに、コーティングを熱可塑性樹脂と混和性とするために下にある熱可塑性樹脂と相互作用する化学官能基を含んでいる。粉砕し、ペレット化し、成形するというこの典型的なリサイクルプロセスの後、熱可塑性樹脂は、未使用樹脂の元の機械特性の少なくとも95%を保持する。相溶化剤及び他の処理ステップは、適切なリサイクルを保証するために必要とされない。
【0007】
例えば携帯電話、送受信兼用の無線機、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ラップトップコンピュータ、リモートコントロール装置、従来の電話等の携帯電子デバイスのために作られる筐体は、通常はアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン、ポリメチルメタクレート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、スチレン改質アクリル、塩素化ポリプロピレン、ポリアミド、及びその混合物等の熱可塑性樹脂から射出成形される。これらの樹脂は、その外観、成形の容易さ、及び装飾能力のために選択される。携帯端末は継続的に扱われることから広範囲な「擦り切れ」にさらされているので、いくぶん柔らかである熱可塑性樹脂は容易に傷が付く傾向があり、製品の「新品のような」表面的外観は迅速に減少する。この問題に対処する1つの方法は、筺体の外側に軽く模様をつけて傷を目立たなくすることである。しかしながら、経時的に、そのように模様付けされた表面も劣化し、摩滅し、デバイスの外観を劇的に変化させる。レンズに特定の模様をつけることができないのは確実であるために、微細な傷もきわめて目に付くとされる、液晶ディスプレイを覆うために使用される透明なプラスチックレンズは特に傷つきやすい。この問題の別の解決策は熱可塑性筐体の影響を受ける表面に「ハードコーティング」または「傷防止コーティング」を付着させることである。これらのコーティングは、通常は透明な熱硬化性のポリウレタン樹脂である。ポリウレタン(PU)は、きわめて傷つきにくく、透明で、化学的耐性があり、耐久性があり、黄ばまず、多様な熱可塑性物質にきわめて付着性があるように調製することが可能である。その結果ポリウレタンは、プラスチックを傷つけず、削り落とさず、色あせさせず、プラスチックから剥がれない。これは、下にある成形された熱可塑性樹脂の魅力的な工場仕上げを保持することによって、携帯端末の表面的な外観を大きく改善する。しかしながら、架橋PUの極端な安定性は、筐体がリサイクルされるときに不利な条件になる。筐体が熱可塑性樹脂であるのに対して、PUは熱硬化性樹脂である(再溶解しない)ため、ハードコーティングは、成形された筐体をリサイクルし、別の人工物に成形する前に取り除かなければならない。熱可塑性樹脂がリサイクルプロセスで再溶解されるとき、PUは熱可塑性樹脂の中で混合せず「界面」を作り、分離する。取り除かれない場合、PUハードコートは熱可塑性樹脂を汚染し、第2世代の成形品で欠陥を生じさせるか、あるいはリサイクルされたプラスチックの物理特性を劣化させる。リサイクルされたプラスチックの特性を改善するために、コーティングを取り除く前処理が必要とされるが、耐久性、耐化学性、及び強力な粘着性が下にある熱可塑性樹脂に損傷を与えることなく、あるいは劣化させずに、ハードコーティングを取り除くことをほぼ不可能にする。
【0008】
この問題に対する取り組みは、ポリマー混合剤の混合しない部分の間の混合を改善するために、ペレット化プロセスで、あるいは押し出し及び/または成形プロセスの間に反応性相溶化剤を樹脂に添加することであった。米国特許第6469099号等の複数の混合しないポリマー材料の回復後の相溶化に関連するいくつかの特許がある。しかしながら、この取り組みはわずかに成功をおさめ、回復後の相溶化はリサイクルプロセスにおいて高価なさらなるステップに相当する。
【0009】
開示された発明は、筐体の初期製造の前にまたは間に傷防止ハードコート膜を改変する。コーティングは使用中の必要とされる保護を提供し、追加の処理を行わなくても筐体のリサイクルを可能にするためにリサイクルに対応し、リサイクルされたポリマー特性の劣化を最小限にとどめる。コーティングはリサイクルの間に取り除かれる必要はなく、したがって製品の耐用年数を経た処理のための費用及びサイクル時間を削減する。
【0010】
「引っかき抵抗性」という概念は、解釈上、明らかにばらつきの度合いの大きい概念である。。確かに、硬鋼工具に必要とされる引っかき抵抗性は、可撓性のビニル樹脂に必要とされる引っかき抵抗性と大きく異なる。熱可塑性筐体付きの家庭用携帯電子機器の目的のため、現在では多くの試験方法が使用されており、例えば、多くの場合、浅い傷に対する耐性がスチールウールスクラッチテストで定義され、深い傷に対する耐性は多くの場合鉛筆硬度試験で定義され、両方ともインディアナ州エバンズビルのノーマンツール社製のノーマン摩損試験装置、型番7-IBB−64によって実施される。これらの試験での成績の適切な組み合わせが、深い傷と浅い傷の両方の保護を実現し、一般的な実地使用に適切な保護を提供する。鉛筆硬度試験は、ASTM D3363−74に従って実施される。試験面の硬度は、最後の鉛筆の硬度として定義され、最も柔らかい硬度から最も硬い硬度に進み、絶対に表面に傷を付けない、または台無しにしない。スチールウールスクラッチテストは、1個の#0000スチールウールを、1ポンドの重みを受けたハードコーティングされたプラスチックの表面上に置き、多くのサイクル、表面全体でスチールウールを前後に動かすことによって実行される。失敗は18インチの距離から照明された環境で見られるときの任意の有意数の傷の外観を生じさせるために必要とされるサイクル数として定義される。いくつかの小さな傷の存在は許容できるが、傷の「濁り」は許容できない。したがって、これらの反復可能な試験は、定量的な引っかき抵抗性の定格を提供するために使用できる。明らかに、各製品及び製造業者は引っかき抵抗性について独自の一意の要件を有するであろうが、平均的な要件はHBの鉛筆硬度試験における抵抗性となり、スチールウールスクラッチテストの20サイクル後は傷なしとするであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の一実施形態では、傷防止コーティングを有するリサイクル可能なプラスチック製品は、電子デバイス用の筐体等の射出成形された熱可塑性製品にポリウレタンコーティングを適用することによって作られる。アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、スチレン改質アクリル、塩素化ポリプロピレン、ポリアミド、及びその混合物等の熱可塑性物質が使用できるが、今日、家庭用電子機器にとって最も一般的なプラスチックはポリカーボネートとポリカーボネート混合物である。ポリウレタンハードコートは、リサイクル可能なプラスチック製品が粉砕され、ペレット化され、成形されるときに熱可塑性樹脂と混合できる化学官能基を含む。以下の例は、これを達成するために利用できるいくつかの反応を描くために提示され、制限的となることを目的としていない。
例1
ポリウレタンハードコートは、以下の反応に描かれているように、メチレン−4,4’−ジフェニルジイソシアネート(MDI)等のジイソシアネートと、ビスフェノールA(BPA)等のジオールとを反応させることによって形成される。
【0012】
【化1】

この典型的なPUハードコート(A)は、ブロック共重合体を形成するために別のポリマーと結合できる。反応物ポリマー(B)は、メチレン−4,4’−ジフェニルジイソシアネート(MDI)等のジイソシアネートと、エチレンジアミン等のジアミンとを反応させることによって形成される。
【0013】
【化2】

2つのポリマー(AとB)は、次にブロック共重合体を形成するためにさらに反応させられる。
【0014】
【化3】

この熱硬化性共重合体は、ここでポリカーボネート熱可塑性物質のための大きな親和性とともに、ハードコートの特性も有する。
例2
ABブロック共重合体の別のバージョンは、例1で使用されたビスフェノールAの代わりに、ポリカーボネート三量体をMDIと反応させることによって形成される。三量体ジイソシアネートが、主要ポリマーの骨格鎖の一部であるだけではなく、最終的なコーティング調合物の中でリンカージイソシアネートとしても使用できることに留意する。
【0015】
【化4】

ブロック共重合体に対する改質は、例えば成形された熱可塑性筐体として利用される可塑性樹脂の種類のブロック共重合体を添加することなど、多数ある。ポリカーボネートの場合、これはビスフェノールAまたはそのPCオリゴマーであろう。これはブタンジオールに代用することもできる。
【0016】
加えて、ペンダント基は、プレポリマーまたはカルバミン酸塩の活性水素尿素結合に移植することもできる。再び、PCの場合、これはリンカー分子を、Rが有機であり、Xがハロゲンである形式RXを有するハロゲンを含んだビスフェノールAのヒドロキシル基に付着することによって行うことができる。RXは活性水素を攻撃し、以下の化合物を生じさせるためにHXが排除される。
【0017】
【化5】

これは、基板の上に「コーティングされる」ときに硬化ステップのために、余分なジイソシアネートとの最終的な調製の前にすべて行われる。
例3
別の種類の反応は、熱可塑性樹脂の上の(例えばイソシアネート等の)官能基、あるいは例えば、PC三量体のどちらかとの追加の反応のために使用できる、ペンダントアミン基とイソシアネート基とを有するアミド重合体を形成する。反応物ペンダント基は、コーティングを、溶解段階における熱可塑性樹脂と相溶性にすることもできる。
【0018】
【化6】

例4
ハードコーティングの溶解した熱可塑性物質との相溶性を高めるポリカーボネート樹状突起を生じさせるために多くの反応が使用できる。ジイソシアネートとの反応がウレタンを形成する。加えて、ポリオールまたはジアミンは、すでにイソシアネート基を備えたポリマーまたはプレポリマーと反応できる。例4から15において、Rはポリカーボネート二量体、三量体あるいは他のオリゴマー形態である。以下の例で描かれている波状の鎖(UUU)は、一つの有機鎖を構成する1つまたは複数のメチレン、芳香環、または、他の有機基を表す。以下に示されている反応生成物は必ずしも好ましいものではなく、必ずしも唯一の生成物ではない。例4においてのように、酸塩化物は第1級アミンと反応してもよく、第2級アミン、第1級アミン、及びアミド窒素をイソシアネート端末基と反応させて、ハードコード骨格鎖を形成するために使用可能にしておく。さらに、試薬が例示的に過ぎないことが当業者によって理解される。したがって、例4の酸塩化物はカルボン酸または無水物で置換できるであろうし、あるいはそれは酸臭化物であろう。
【0019】
【化7】

例5
【0020】
【化8】

例6
【0021】
【化9】

例7
【0022】
【化10】

例8
【0023】
【化11】

例9
【0024】
【化12】

例10
【0025】
【化13】

例11
【0026】
【化14】

例12
【0027】
【化15】

例13
【0028】
【化16】

例14
【0029】
【化17】

例15
【0030】
【化18】

これらのペンダント官能基はハードコーティングされた筐体を、相分離という問題を経験せずに粉砕し直し、再成形できるようにするために、ポリカーボネートと相互作用する。したがって、リサイクルプロセス間の、従来の技術で教示された相溶化剤の添加という高価なステップは排除される。
【0031】
本発明の別の実施形態では、傷防止コーティングを有するリサイクル可能なプラスチック製品は、例えば、電子デバイス用の筐体等の射出成形熱可塑性製品にエポキシコーティングを適用することによって作られる。エポキシプレポリマー及びポリマーに対する改質は、前述されたポリウレタンと同様にであるが、適宜に変更された化学反応で実行される。
【0032】
本発明のさらに別の実施形態では、傷防止コーティングを有するリサイクル可能なプラスチック製品は、例えばコランダムまたはガラス(シリカ)等の無機ハードコーティングを、例えば電子デバイス用の筐体等の射出成形された熱可塑性製品に適用することによって作られる。適切なコランダムコーティングの例はアルミナ、サファイア、ルビー、及びガーネットである。シリカまたはコランダムは、分子の表面で活性ヒドロキシル基を使用してシラン化できる。シランリンカーは典型的なシラン化の化学的性質に従い、YがCl部分の数であって1から3の数であるCl−Si−R(4−y)等の酸ハロゲン化物のメトキシバージョン、エトキシバージョンまたはシリコンバージョンである。R基は再びPCをベースにした熱可塑性物質のためのPCオリゴマーまたはビスフェノールAである。当業者は、混和性を達成するためにこれらの無機ハードコート添加物に相溶化基を付着するために使用できる多くの可能性を認識する。無機コーティングは、プラスチック筐体表面に薄膜を形成するために、蒸発、化学蒸着、フレーム溶射、プラズマ蒸着等の多様な方法で適用できる。
【0033】
本発明の追加の実施形態では、傷防止コーティングを有するリサイクル可能なプラスチック製品は、例えばコランダムまたはガラス(シリカ)等の無機物質を、エポキシ樹脂基体またはウレタン樹脂基体の中で混合してから、電子デバイス用の筐体等の射出成形された熱可塑性製品に混合物を適用することによって作られる。適切なコランダムコーティングの例は、アルミナ、サファイア、ルビー、及びガーネットである。リサイクルプロセスの間、無機物質は、物理特性を劣化させることなく熱可塑性ポリマーマトリクスの中に均一に組み込まれるようになり、充填剤として働く。
【0034】
本発明の追加の実施形態では、本書に説明されているようなリサイクル可能なプラスチック製品は、携帯通信応用例での特定の用途を見出すことができる。携帯無線機は受信モードまたは送信モードのどちらかで動作してよく、通常は受信機、及び要すれば送信機を含む。受信モードでは、携帯無線機はアンテナを介して通信信号を受信する。送信/受信スイッチは、受信された通信信号を受信機に結合する。受信機は受信された通信信号を受信し、復調する。送信モードでは、音声またはデータが周知のように送信される。本書に説明されていない他の機能が、無線の全体的な動作を制御するコントローラ手段を含む任意の適切な手段により提供されてよいことが当業者によって理解される。
【0035】
粉砕する、ペレット化する、及び成形するという典型的なリサイクルプロセスの間に傷防止ハードコーティングを熱可塑性樹脂と適合させるために、それを、熱可塑性筐体の上に付着する前に改質するという本発明により、未使用の樹脂の元の機械特性の少なくとも95%を保持する一方で、第二世代の成形物を作ることができる。相溶化剤及び他の後処理ステップは、適切なリサイクルを保証するために必要とされていない。例えば、溶解流量、曲げ弾性率、降伏強さ、切り欠きアイゾッド衝撃力、及び引っ張り強さ等の物理特性は、それぞれその元の値の少なくとも95%を保持する。例えば、本発明に従ってポリウレタンハードコートでコーティングされた、典型的な業務用のポリカーボネート樹脂から成形された電子デバイス筐体は、リサイクルの前後に以下の特性を有する。
【0036】
【表1】

要約すれば、本発明の範囲を制限することを目的とせずに、射出成形された熱可塑性製品は、前述された発明の特定の実施形態に一致する方法に従って、リサイクルプロセスの間に、コーティングが熱可塑性物質と適合できるようにするために、高分子塗膜または無機コーティングでハードコーティングすることができる。当業者は、本発明が、成形されたポリカーボネート筐体の上でのポリウレタン樹脂またはエポキシ樹脂の使用に基づき、例示的な実施形態に関して説明されてきたことを認識する。しかしながら、他の変形が本書の教示を検討するときに当業者に思い浮かぶように、本発明はそのように制限されるべきではない。本発明は特定の実施形態との関連で説明されてきたが、前記説明を鑑みて当業者に多くの代替策、変型、置換、及び変形が明らかになることは明白である。例えば、全体的な筐体が傷防止ハードコートで覆われる必要はないが、選択された部分だけが所望されるように覆われてよい。加えて、筐体は、ポリカーボネートの代わりにナイロン(ポリアミド)から製造され、その上にハードコートが適用できるであろう。したがって、本発明は、添付の請求項の範囲に含まれるようにすべてのこのような代替策、変型、及び変形を包含することが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂と、化学官能基を有するポリウレタンとを備え、リサイクル可能プラスチック製品の引っかき抵抗性を実質的に高めるために、該リサイクル可能プラスチック製品の少なくとも一部に前記ポリウレタンがコーティングされ、該リサイクル可能プラスチック製品が粉砕、ペレット化、及び成形されるときに該化学官能基がポリウレタンを熱可塑性樹脂と混合できるようにする該リサイクル可能製品とを備える、
傷防止コーティングを有するリサイクル可能プラスチック製品。
【請求項2】
溶解流量、曲げ弾性率、降伏強さ、切り欠きアイゾッド衝撃力、及び引っ張り強さから成るグループから選択される1つまたは複数の物理特性は、リサイクル可能プラスチック製品が、相溶化剤を添加することなく、粉砕、ペレット化、及び成形されることによってリサイクルされた後に元の値の少なくとも95%を保持する請求項1に記載のリサイクル可能プラスチック製品。
【請求項3】
該熱可組成樹脂がポリカーボネートまたはポリカーボネート混合物である請求項1に記載のリサイクル可能プラスチック製品。
【請求項4】
該ポリウレタンが、ポリウレタンとポリカーボネートのブロック共重合体からなる請求項1に記載のリサイクル可能プラスチック製品。
【請求項5】
該化学官能基が、該熱可組成樹脂と相互作用する部分を備える請求項1に記載のリサイクル可能プラスチック製品。
【請求項6】
熱可塑性樹脂と、リサイクル可能プラスチック製品の引っかき抵抗性を実質的に高めるために該リサイクル可能製品の少なくとも一部の上に位置する無機コーティングとを備え、該無機コーティングは、該リサイクル可能プラスチック製品が粉砕、ペレット化、及び成形されるときに該熱可塑性樹脂と混合できる該リサイクル可能プラスチック製品を備える、
傷防止コーティングを有するリサイクル可能プラスチック製品。
【請求項7】
溶解流量、曲げ弾性率、降伏強さ、切り欠きアイゾッド衝撃力、及び引っ張り強さから成るグループから選択される1つまたは複数の物理特性は、リサイクル可能プラスチック製品が、相溶化剤を添加することなく、粉砕、ペレット化、及び成形されることによってリサイクルされた後に、元の値の少なくとも95%を保持する請求項6に記載のリサイクル可能プラスチック製品。
【請求項8】
該熱可塑性樹脂がポリカーボネートまたはポリカーボネート混合物である請求項6に記載のリサイクル可能プラスチック製品。
【請求項9】
該無機コーティングがコランダムまたはガラスを備える請求項6に記載のリサイクル可能プラスチック製品。
【請求項10】
該無機コーティングが、アルミナ、サファイア、ルビー及びガーネットから成るグループから選択される1つまたは複数の物質を備える請求項9に記載のリサイクル可能プラスチック製品。
【請求項11】
該無機コーティングが、該リサイクル可能プラスチック製品に適用される前にシラン化される請求項6に記載のリサイクル可能プラスチック製品。
【請求項12】
該無機コーティングが、ポリウレタン樹脂またはエポキシ樹脂の基質の中で懸濁されるガラスまたはコランダムの粒子を備える請求項6に記載のリサイクル可能プラスチック製品。
【請求項13】
該粒子がナノ粒子である請求項12に記載のリサイクル可能プラスチック製品。
【請求項14】
該リサイクル可能プラスチック製品が粉砕、ペレット化、及び成形されるときに、該プリウレタン樹脂は、該ポリウレタン樹脂を該熱可塑性樹脂と混合できるようにする化学官能基を含む請求項12に記載のリサイクル可能プラスチック製品。
【請求項15】
傷防止コーティングを有するリサイクル可能プラスチック無線筐体であって、
アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、スチレン改質アクリル、塩素化ポリプロピレン、ポリアミド、及びその混合物から成るグループから選択される1つまたは複数のポリマーを備えるプラスチック無線筐体と、
該プラスチック無線筐体の引っかき抵抗性を実質的に高めるために該プラスチック無線筐体の少なくとも一部上の傷防止コーティングであって、溶解流量、曲げ弾性率、降伏強さ、切り欠きアイゾッド衝撃力、及び引っ張り強さから成るグループから選択される1つまたは複数の物理特性は、該リサイクル可能プラスチック無線筐体が、相溶化剤を添加することなく、粉砕、ペレット化、及び成形されることによってリサイクルされた後に、元の値の少なくとも95%を保持する傷防止コーティングと、
を備える、リサイクル可能プラスチック無線筐体。
【請求項16】
該傷防止コーティングが、ポリウレタン、エポキシ、ガラス、アルミナ、サファイア、ルビー及びガーネットから成るグループから選択される1つまたは複数の物質を備える請求項15に記載のリサイクル可能プラスチック無線筐体。
【請求項17】
該リサイクル可能プラスチック無線筐体が粉砕、ペレット化、及び成形されるときに、該ポリウレタンは、該ポリウレタンを該熱可塑性樹脂と混合できるようにする化学官能基を含む請求項15に記載のリサイクル可能プラスチック無線筐体。
【請求項18】
該リサイクル可能プラスチック無線筐体が粉砕、ペレット化、及び成形されるときに、該エポキシは、該エポキシを該熱可塑性樹脂と混合できるようにする化学官能基を含む請求項15に記載のリサイクル可能プラスチック無線筐体。
【請求項19】
該傷防止コーティングが、該プラスチック無線筐体に適用される前にシラン化される請求項15に記載のリサイクル可能プラスチック無線筐体。

【公表番号】特表2009−505831(P2009−505831A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−529020(P2008−529020)
【出願日】平成18年6月23日(2006.6.23)
【国際出願番号】PCT/US2006/024443
【国際公開番号】WO2007/027281
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(390009597)モトローラ・インコーポレイテッド (649)
【氏名又は名称原語表記】MOTOROLA INCORPORATED
【Fターム(参考)】