リステリアモノサイトゲネスを選別的に認知するモノクローナル抗体、これを生産するハイブリドーマ、これを含む試験キット及びこれを使用した検出方法
【課題】
本発明はリステリアモノサイトゲネスのp60タンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体、これを生産するハイブリドーマ細胞、このようなモノクローナル抗体を含む試験キット及びこのようなモノクローナル抗体を使用してリステリアモノサイトゲネスを検出する方法に関する。
【解決手段】
本発明のモノクローナル抗体はリステリアモノサイトゲネスだけを選別的に認知することによりこのような抗体を使用して人間に病原性である菌により汚染された食品の汚染有無を迅速に検定しうる。
本発明はリステリアモノサイトゲネスのp60タンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体、これを生産するハイブリドーマ細胞、このようなモノクローナル抗体を含む試験キット及びこのようなモノクローナル抗体を使用してリステリアモノサイトゲネスを検出する方法に関する。
【解決手段】
本発明のモノクローナル抗体はリステリアモノサイトゲネスだけを選別的に認知することによりこのような抗体を使用して人間に病原性である菌により汚染された食品の汚染有無を迅速に検定しうる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリステリアモノサイトゲネスによる感染有無及び食品における汚染有無を迅速に確認するためのもので、リステリアモノサイトゲネスp60タンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体、これを生産するハイブリドーマ細胞、このようなモノクローナル抗体を含む試験キット及びこのようなモノクローナル抗体を使ってリステリアモノサイトゲネスを検出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リステリア(Listeria)の菌種はグラム陽性の通性嫌気性桿菌として自然界に幅広く分布している。リステリア種(Listeria spp.)にはリステリアモノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、Listeria ivanovii、Listeria innocua、Listeria seeligeri、Listeria welshimeri及びリステリアグライイ(Listeria grayi)などの多数の種があり、このうちリステリアモノサイトゲネスだけがヒトに病原性があり、動物に病原性のある菌株はリステリアモノサイトゲネスとListeria ivanoviiである。
【0003】
特に、リステリアモノサイトゲネスは冷蔵保存を要する食品に汚染される場合低温保存
過程で長い間生存及び増殖が可能なので、冷蔵保存食品を媒介にした食中毒発生の主な原因菌になっている。さらに、この細菌によるリステリア感染症(Listeriosis)は重症に進む場合敗血症及び脳髄膜炎を引き起こし姙産婦の流産を引き起こす。新生児、高齢者、姙産婦及び免疫欠乏患者が特に危険であり、感染症を引き起こした患者では30%に至る高い死亡率を示す。このようなリステリア感染症の発生は食肉及び食肉加工品、野菜、乳化工品などのような食品が主要感染経路であると知られている。従って、リステリア症を予防するためにリステリアモノサイトゲネスによる食品の汚染有無を迅速に診断する必要がある。
【0004】
現在、病院及び産業体(食品会社、食肉会社及び乳加工会社)などで使用できるリステリア同定方法としては色々の生化学的検査法を使用する伝統的な方法があるが、長時間と手間がかかる非効率的な方法である。
【0005】
リステリアモノサイトゲネスによる感染有無及び食品における汚染有無を迅速に確認するための診断方法として重合酵素連鎖反応(PCR)法のような分子生物学的方法が用いられているが、技術力と精度が求められるため、実際臨床及び産業的に適用し難い方法である。また、酵素免疫法(EIA:Enzyme immunoassay)のような免疫学的方法が多用されているが、非特異性が現れるので不正確な検査結果が得られたり、追加確認試験が必要な場合が発生する。
【0006】
リステリア菌を迅速に検出するためのキットとしては、PCR技法、核酸ハイブリッド化分析法を用いた非放射活性DNAプローブキット、免疫検定法を用いたキットなどが知られており、また免疫クロマトグラフィ法を用いたディップスティック(dip-stick)方法で開発された製品もあるが、これらキットの全てはリステリアモノサイトゲネスだけを特異的に検出できないか、全てのリステリア種が検出される短所を持っている。
【0007】
リステリアモノサイトゲネスに対するモノクローナル抗体の生産が困難だったので、前記菌株を選択的に認知するモノクローナル抗体を使用したELISAまたはディップスティック検出キットが開発できなかった。これは、リステリアモノサイトゲネス菌株全体を抗原として使用したり一部特定抗原を使用した場合もリステリアモノサイトゲネスについてだけ特異なモノクローナル抗体が生産されなかったためである。
【0008】
リステリア種(Listeria spp.)に共通に存在するmurein hydrolases酵素であるp60はリステリアが細胞分裂のために分泌するエッキソ(exo)酵素であって、本発明の前、p60の特定ペプチド、例えばpepA及びpepD(非特許文献1)を使ってポリクローナル抗体を製造したことがある。しかし、これは使用可能なポリクローナル抗体の低い力価とサンドイッチELISAシステムの不適切な適用によりその効果が微弱なので商用化するには足りない点があった。本発明者は前記pepA及びpepDペプチド部位と他の部位に特異的に結合して(実施例4、図4a)リステリアモノサイトゲネスだけを選別的に認知できる新規なモノクローナル抗体を製造した。
【0009】
このような背景下で、本発明者はリステリア属(genus)に共通に存在するmurein hydrolases酵素p60のうちリステリアモノサイトゲネスのp60の特異的抗原決定基を認知するモノクローナル抗体を製造した。
【非特許文献1】Bubert A.et al.,Appl. Environ Microbiol、60(9)、3120-7、1994
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は受託番号KCTC10431BPのハイブリドーマ細胞により生産される、リステリアモノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)のp60タンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体及び受託番号KCTC10432BPのハイブリドーマ細胞により生産される、リステリア種(Listeria spp.)のp60タンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体を提供する。
【0011】
本発明の他の目的は前記モノクローナル抗体を生産するハイブリドーマ細胞を提供する。
【0012】
本発明のさらに他の目的は、前述したようなリステリアモノサイトゲネスのp60タンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体を含む、リステリアモノサイトゲネス汚染を検出するための試験キットを提供する。
【0013】
本発明のさらに他の目的は、前述したようなリステリアモノサイトゲネスのp60タン
パク質に特異的に結合するモノクローナル抗体を試料サンプルと接触させリステリアモノサイトゲネスのp60タンパク質とモノクローナル抗体の抗原-抗体複合体の存在を調べることを特徴として、リステリアモノサイトゲネス汚染を検出する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の試験キットは、望ましくはELISA用キットまたは免疫クロマトグラフィを
用いたディップスティックである。
【0015】
前記試験キットにおいて、リステリアモノサイトゲネスのp60タンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体に捕獲された抗原に結合する第2抗体は望ましくはリステリア種のp60タンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体である。
【0016】
前記検出方法において、抗原-抗体複合体は、望ましくはRIA、ELISA、免疫蛍光法、色彩粒子結合法または化学発光物質結合法で検出する。
【0017】
前述した検出方法において、リステリアモノサイトゲネスのp60タンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体に捕獲された抗原に結合する第2抗体は望ましくはリステリア種のp60タンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体である。
【発明の効果】
【0018】
本発明はリステリアモノサイトゲネスだけを選別的に認知することにより、抗体を使用して人間に病原性である菌により汚染された食品の汚染有無を迅速に検定しうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明はリステリアモノサイトゲネスを特異的に検出するモノクローナル抗体に関する。
【0020】
具体的に、一つの形態として本発明は受託番号KCTC10431BPのハイブリドーマ細胞により生産される、リステリアモノサイトゲネスのp60タンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体に関する。
【0021】
また、本発明は受託番号KCTC10432BPのハイブリドーマ細胞により生産される、リステリア種(Listeria spp.)のp60タンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体に関する。
【0022】
本願において使用された用語"モノクローナル抗体"とは、当該分野に公知の用語であって、単一抗原性部位について指示される高度の特異的な抗体を意味する。通常、相異なる決定基(エピトープ)について指示される相異なる抗体を含むポリクローナル抗体とは違って、モノクローナル抗体は抗原状の単一決定基について指示される。モノクローナル抗体は抗原-抗体結合を用いる診断及び分析学的分析法の選択性と特異性を改善させる長所があり、またハイブリドーマ培養により合成されるため、他の免疫グロブリンにより汚染されない他の長所を有する。
【0023】
本発明のモノクローナル抗体はp60を免疫原にして動物を免疫化した後、免疫化された動物の脾臓細胞を骨髄腫細胞と融合してハイブリドーマを生成し、リステリアモノサイトゲネスのp60タンパク質と特異的に結合するハイブリドーマを選別してこれより製造した抗体である。
【0024】
具体的に、本発明ではモノクローナル抗体製造に組換えp60タンパク質を免疫原として使用したし、これは公知の塩基配列(Andreas B.、et al.、J.Bacteriol.、174:8166-8171、1992)を用いて当分野の通常の方法におりPCR増幅産物をpET-21aベクトルに挿入し、このベクトルをEscherichia coliで発現させ精製して製造した。精製された組換えp60タンパク質を免疫原としてマウスを免疫化させ、これより脾臓細胞を分離した後骨髄腫細胞P3X63Ag8.653と融合させた後ELISA及びウェスタンブロット試験でp60タンパク質について抗体活性が高いハイブリドーマを選別した後、これを再び培養して再びELISA及びウェスタンブロット試験で陽性ハイブリドーマp6007及び6017を選別した。前記ハイブリドーマの培養上澄液を使用したELISA及びウェスタンブロット試験結果、ハイブリドーマp6007だけがリステリアモノサイトゲネスを選別的に認知した。前記選別したハイブリドーマを動物腹腔内に注入し、注入後一定期間が経過した後回収した動物の腹水からモノクローナル抗体を分離した。
【0025】
精製されたモノクローナル抗体を使ってサンドイッチ及び直接的ELISA、ウェスタンブロット試験を通してそれぞれのモノクローナル抗体を糾明した。本願において使用された用語"モノクローナル抗体p6007"はハイブリドーマp6007により分泌されるモノクローナル抗体であり、用語"モノクローナル抗体p60017"はハイブリドーマp6017により分泌されるモノクローナル抗体である。
【0026】
サンドイッチELISA及びウェスタンブロット試験結果、モノクローナル抗体p6007がリステリアモノサイトゲネスだけを選別的に認知するモノクローナル抗体と判明されたし、モノクローナル抗体p6017はリステリア種を選別的に認知するモノクローナル抗体として判明された(図1)。
【0027】
前述したようにリステリアモノサイトゲネスだけを選別的に認知することと確認されたモノクローナル抗体p6007及びリステリア種を選別的に認知することと確認されたモノクローナル抗体p6017は食品から分離された33個のリステリアモノサイトゲネス菌株の全てを選別的に認知した(図2b及び図2c)。
【0028】
また、本発明のモノクローナル抗体p6007及びp6017がpepA及びpepDペプチドを認知するか否かを直接的ELISAで試験した。本発明のモノクローナル抗体p6007及びp6017はpepA及びpepDと結合しなかったし、これより本発明のモノクローナル抗体はpepA及びpepDのエピトープを用いないことと確認された(図4a)。pepA/pepDの競争(competition)をサンドイッチELISAで検証した場合も、モノクローナル抗体p6007がpepAとpepDのエピトープを用いるとすればpepAとpepDの添加量変化によりOD値が変わるべきであるが、ペプチド添加量の変化について差がなく飽和されたOD値を示したため、モノクローナル抗体p6007はpepAとpepDのエピトープを利用しないことと確認された(図4b及び図4c)。
【0029】
本発明のリステリアモノサイトゲネスを選別的に認知するモノクローナル抗体p6007を生産するハイブリドーマp6007はKCTC(Korean Culture for Type Cultures)に2003年2月21日付けにて受託番号KCTC10431BPとして寄託され、リステリア種を選別的に認知するモノクローナル抗体p6017を分泌するハイブリドーマp6017はKCTCに2003年2月21日付けにて受託番号KCTC10432BPとして寄託された。
【0030】
従って、他の様態として本発明はモノクローナル抗体p6007を生産するハイブリドーマp6007(KCTC10431BP)に関する。また、本発明はモノクローナル抗体p6017を生産するハイブリドーマp6017(KCTC 10432BP)に関する。
【0031】
本発明に係るモノクローナル抗体p6007は、標準菌株の免疫学的検定で接近可能な抗原決定因子との反応性に加えて、食品から分離されたリステリアモノサイトゲネスについても高い特異性と感度を有するのでリステリアモノサイトゲネスを特異的に検出するのに適している。
【0032】
従って、さらに他の様態として本発明はリステリアモノサイトゲネスのp60タンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体p6007を試料サンプルと接触させリステリアモノサイトゲネスのp60タンパク質とモノクローナル抗体の抗原-抗体複合体存在を調べることにより、リステリアモノサイトゲネスの汚染を検出する方法に関する。
【0033】
本願において使用された用語"抗原-抗体複合体"は試料中のリステリアモノサイトゲネスの存否を確認するためのp60タンパク質抗原とこれを認知するモノクローナル抗体の結合物を意味する。
【0034】
本発明の検出方法では試料サンプルとして5ないし15分間加熱した培養上澄液を使用
する。
【0035】
本発明のモノクローナル抗体p6007とリステリアモノサイトゲネスのp60タンパク質との抗原-抗体複合体の検出は当業界において公知の方法、例えば分光学的、光化学的、生物化学的、免疫化学的、電気的、吸光的、化学的、その他の方法を用いられる。
【0036】
本発明の目的上、抗原-抗体複合体の検出方法としては、放射能免疫分析法(RIA)、酵素免疫分析法(ELISA)、免疫蛍光法、色彩粒子結合法、化学発光物質結合法などが望ましく用いられる。
【0037】
抗原-抗体複合体の検出は直接的または間接的に標識された抗体の使用を伴い、使用可能な検出標識としては、例えばバイオチン-ストレプトアビジン結合体、蛍光染料(例:フルオレセイン、テキサスレッド、ロダミン、グリーン蛍光タンパク質など)、放射性標識物(例:3H、125I、35S、14Cまたは32P)、酵素(例:HRP、アルカリ性フォスファターゼ及びその他ELISAで一般に使われるもの)、及び色彩標識物、例えばコロイド状金またはカラーガラスまたはプラスチック(例:ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックスなど)ビーズを含む。このような標識物の使用を記述している文献[U.S.Pat.Nos.3、817、837;3、850、752;3、939、350;3、996、345;4、277、437;4、275、149;and 4、366、241;Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals (6th Ed.、Molecular Probes、Inc.、Eugene Oreg.)]を参照する。
【0038】
本発明において抗原-抗体複合体の検出に特に望ましい方法はELISAである。ELISA検出方法により、試料サンプルは固体支持体、例えばマイクロタイタープレート、メンブレイン、テストストリップなどにコーティングされた本発明のモノクローナル抗体と接触される。具体的な一例として、マイクロタイタープレートのウェルを本発明のモノクローナル抗体でコーティングし、占有されない(nonoccupied)結合部位を例えばBSAで遮断した後、コーティングされたプレートのウェルを試料サンプルとインキュベーションし、次いで抗原-抗体複合体の存在を決定できる。抗原-抗体複合体の存在は抗原-抗体複合体の抗原について特異的な抗体、例えばリステリアモノサイトゲネスのp60タンパク質に特異的に結合するモノクローナルまたはポリクローナル抗体を使用したり、リステリア種のp60タンパク質に特異的に結合するモノクローナルまたはポリクローナル抗体を使って確認できる。前記モノクローナルまたはポリクローナル抗体は検出標識を有することができ、検出標識を有しない場合これらモノクローナルまたはポリクローナル抗体を検出できるもう一つの抗体を処理して確認できる。
【0039】
本発明の検出方法において、リステリアモノサイトゲネスを選別的に認知するモノクローナル抗体p6007と結合された抗原に結合する第2抗体としては望ましくはリステリア種を選別的に認知するモノクローナル抗体が使用でき、特にp6017が望ましい。
【0040】
一つの例として、モノクローナル抗体p6007と試料を反応させ、次いでリステリア種のp60タンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体p6017を結合させこれより検出標識信号を測定したり、これら複合体に検出可能な信号を生成できる標識を有する抗体を添加してこれより検出標識信号を測定してリステリアモノサイトゲネスを検出できる。
【0041】
また、本発明において抗原-抗体複合体の検出に特に望ましい他の方法としてはモノクローナル抗体をコロイド状金粒子と結合させる金粒子結合法が挙げられる。
【0042】
他の様態として、本発明は前述したようなリステリアモノサイトゲネスのp60タンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体p6007を含む、リステリアモノサイトゲネスの汚染を検出するための試験キットに関する。
【0043】
本発明のリステリアモノサイトゲネスの検出試験キットに使用されるモノクローナル抗体は、この抗体がリステリアモノサイトゲネスを選別的に認知できる限り、モノクローナル抗体の断片も使用できる。このような抗体断片はF(ab')2、Fab、Fab'、Fv断片などを含める。
【0044】
本発明のリステリアモノサイトゲネス検出試験キットにはリステリアモノサイトゲネスを選別的に認知するモノクローナル抗体p6007またはその断片及び免疫学的分析に使用される道具/試薬が含まれる。
【0045】
免疫学的分析に使われる道具/試薬としては適した担体、検出可能な信号を生成できる標識、溶解剤、洗浄剤などが含まれる。また、標識物質が酵素の場合は酵素活性を測定できる基質及び反応停止剤を含める。
【0046】
適した担体としては、これに限られないが、可溶性担体、例えば当分野において公知の生理学的に許容される緩衝液、例えばPBS、不溶性担体、例えばポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、フッ素樹脂、架橋デキストラン、ポリサカライド、ラテックスに金属をメッキした磁性微粒子のような高分子、その他紙、ガラス、金属、アガロース及びこれらの組合わせでありうる。
【0047】
本発明の検出方法及びキットに使用するための検定システムはこれに限られないが、ELISAプレート、ディップスティックデバイス、免疫クロマトグラフィ試験ストリップ及び放射分割免疫検定デバイス、及びフロー-スロー(flow-through)デバイスなどを含む。
【0048】
本発明のリステリアモノサイトゲネス検出のための試験キットは望ましくはELISAキットまたは免疫クロマトグラフィを用いたディップスティックである。
【0049】
本発明の試験キットで、リステリアモノサイトゲネスを選別的に認知するモノクローナル抗体p6007と結合された抗原に結合する第2抗体としては、望ましくはリステリア種を選別的に認知するモノクローナル抗体が使用でき、特にモノクローナル抗体p6017が使用できる。
【0050】
本発明は下記の実施例に基づきさらに具体的に説明する。しかし、例示された実施例はただ本発明を説明するためのものであり、本発明はこれに限られない。
【実施例1】
【0051】
: PCR及びクローニング
リステリアモノサイトゲネスのp60タンパク質のiap(invasion-associated prote
in)遺伝子(Andreas、B.et al.、J.Bacteriol.、174:8166-8171、1992)をクローニングするために先にこの遺伝子をPCTを通して増幅した。
【0052】
プライマー、すなわちiap-F-pET(5'-GGG AAT TCC ATA TGA GCA CTG TAG TAG TCG AAG CT-3')(配列1)及びiap-R-pET(5'-GCC GCT CGA GTA CGC GAC CGA AGC CAA C-3')(配列2)をシグナル配列を除いた全ての部分が含まれるようにデザインしたし、pET-21aベクトルの特性によりストップコドンも除外した。また、クローニングのために順方向プライマーにはNdeI、逆方向プライマーにはXhoI制限酵素部位を添加した。PCRは全体ボリュームを50μlにしたし、リステリアモノサイトゲネスの染色体DNA10ng、10×fu緩衝液(Stratagene)5μl、クローニングされたPfuポリマラーゼ1U、0.2mM dNTP、それぞれ10pmolのプライマーを配合してPCRした。さらに高い信頼度(fidelity)のため、Pfuポリマラ-ゼ(Stratagene)を使用した。PCRはPTC-150(MJ Research)を使って30サイクル間94℃1分、55℃1分、72℃2分の条件にした。
【0053】
PCR完了後、PCR産物をQIAquick PCR精製キット(Qiagen)を用いて精製した。精製されたDNAはクローニングのためにNEB緩衝液4(New England Biolabs))で制限酵素NdeIとXhoI(New England Biolabs)を処理した。制限酵素処理後、1%アガロースゲルで電気泳動しGenecleanスピンキット(Q-bio gene)を用いてDNAを精製した。精製された挿入DNAをNdeIとXhoIで処理したpET-21aベクトルとT4DNA結合緩衝液でT4DNAリガーゼ(NEB)で結合してイー・コライ(E.Coli)DH0bにエレクトロポレーションした。クローニング有無はプラスミドスピンキット(Genenmed)でミニプレップして確認した。
【0054】
pETシステムの発現のためにクローニングされたベクトルを発現菌株イー・コライBL21で形質転換し再びミニプレップを介して確認した。クローニングされたイー・コライをプレートで一晩中大きくした後、一つのクロニーを5ml LBamp肉汁培地に接種して約OD600が1.0日まで培養した。この培養液5mlを新たな500ml LB amp肉汁培地に加え2ないし3時間培養してOD600が0.5ないし1.0になればIPTGを1mMされるよう加えてタンパク質の発現を誘導した。20℃で一晩中誘導した後、培養液を遠心分離して上澄液を捨てて、イー・コライだけを得た。以後のタンパク質精製はHis・Bind精製キット(Novagen)を使って行なった。細胞パレットを1/25体積の緩衝液(0.1%Triton X-100、50mM pH8.0Tris-HCl)に浮遊させた後、リソザイム0.1mg/ml(Sigma)を入れ超音波処理してイー・コライを壊した。再び27000xgで30分間遠心分離した後、充填緩衝液でNiイオンを充填させ予め用意されたNTA-キレート化アガロースCL-6B(Peptron)カラムにこの上澄液を通過させた。タンパク質が吸着されたカラムを10倍カラム体積の結合緩衝液(5mMイミダゾル、0.5M NaCl、20mMpH7.9 Tris-HCl)と6倍体積の洗浄緩衝液(60mMイミダゾル、0.5 M NaCl、20mM pH7.9Tris-HCl)で非特異的に吸着されているタンパク質を除去した。最後に、溶出緩衝液(1mMイミダゾル、0.5M NaCl、20mMpH7.9Tris-HCl)でカラムに結合されたp60を分離した。得られたp60をSDS-PAGEゲルを通して確認した。
【実施例2】
【0055】
: ハイブリドーマ細胞製造
2-1: 抗体生成細胞
実施例1で製造したp60タンパク質をSDS-PAGE(polyacrylamide gel electrophoresis)が含まれたゲルで電気電気泳動し(100μg)、ゲルの断片を切った後同じ体積の完全フロイントアジュバントが配合されたエマルジョンを製造した。前記エマルジョンを生後7週齢雌BALB/Cマウス5匹の腹腔内に注射した。1匹当たり20μgの抗原を注射し、総体積は400μlにした。2週後に不完全フロイントアジュバントと抗原を混合したエマルジョンを前記マウスの腹腔に注入した後、2週間後PBSに溶かした抗原を(10μg/mouse)腹腔内に注射して抗体生成を誘導した。抗体生成有無を確認するためにELISA及びウェスタンブロット検定を施して抗体を確認した後、細胞融合に入る3日前にマウスの尻尾静脈にPBSに溶かした抗原を再度注射した。汚染を防止するために全てのマウスを選択した領域で飼育した。
2-2: 抗体生成細胞の確認及び選別
前記方法により免疫化されたマウスで血液試料を目(eye ball)から取得して1.5ml遠心分離チューブに入れて血清を遠心分離して(1800rpm、10分)抗体の生成有無を実験する前まで-20℃で保管した。
【0056】
p60タンパク質でELISA方法により抗体の生成を確認した後抗体生成細胞に対する融合に着手した。前記イー・コライで発現させたp60タンパク質を0.5μg/ウェルで96-ウェルプレートにコーティングした後一晩中反応させた。PBST(PBS buffer、0.05% Tween20)で3次洗浄した後1%BSAで反応を終了した。再びPBSTで3次洗浄した後血清を1:500ないし2000まで稀釈して処理した後1時間反応させた。PBSTで3次洗浄した後、抗マウスIgG結合HRPを処理し1時間反応させた。次いで、PBSTで3次洗浄した後、100μlOPD(Sigma)を処理した後20分間発色させた。15μl反応終了溶液(8N硫酸)を添加した後、492nm波長で吸光度を測定した。
2-3: ハイブリドーマ細胞製造
抗体生成が確認された後マウスを犠牲させ抗体生産脾臓細胞を分離し、これと骨髄腫細胞(myeloma cell)P3X63Ag8.653を融合方法(Cesar Milstein and Georges Kohler's method)から由来した変形された方法(Method in enzymology、vol.73、 p3.Academic Press、New York)により融合した。
【0057】
マウスのP3X63Ag8.653細胞を培養トレイに10%FBS RPMI1640培地を用いて最適成長期に至るよう維持させた。細胞融合の一日前にP3X63Ag8.653細胞を3・105細胞/mlで稀釈して次の日50mlを取って3分間400xgで遠心分離した。無血清培地で2回洗浄した後、1・107細胞/mlになるよう濃度を合わせた。次いで、マウスを頚椎離脱(cervical dislocation)により犠牲させ脾臓を取得し、これをメッシュ容器に入れ細胞を一つずつ分離させた。この際、全ての培地は無血清で使用した。完全に分離された抗体生産細胞を5分間400xgで遠心分離した後、無血清培地で2回洗浄し10mlの培地に懸濁させた。リンプ球を血球計数器(haemocytomer)で計数して108のリンプ球を1×107P3X63Ag8.653細胞(10:1)と混ぜて3分間400xgで遠心分離した。37℃で前処理された50%PEG(Sigma)1ml溶液を1分にかけてゆっくり滴下しつつ混ぜた。生成された融合混合液をRPMI1640培地で4ml/3分、次いで5ml/4分、次いで20ml/5分にかけて稀釈し3分間400xgで遠心分離した後、HAT選択培地35mlに細胞を懸濁させた。100μlの懸濁液を一日前に供給細胞(feeder cell、マウスの腹腔でPBSで分離した大食球)をコーティングした96-ウェルプレートに分注して37℃、 5%CO2培養器で7ないし14日間培養した。
2-4: ハイブリドーマの選別及び分離
前記実施例で収得した培養上澄液を取って直接的ELISA方法でp60に対する陽性クローンを選別した後、ウェスタンブロットで陽性クローンであることを再び確認した。多数のハイブリドーマのうちp60タンパク質について抗体活性が高い(OD1.2以上)10種のハイブリドーマ細胞を得た。
【0058】
このように確認された陽性クローンを一連の過程で稀釈して一つの融合細胞を96-ウェルプレートの1ウェル当たり0.5細胞ずつ分注して7日間培養した後、ELISAとウェスタンブロットで検証した。これより最終陽性クローンを検証して抗体の性質と認知部位によりp6007、p6013、p6017、p6030及びp6033を分離した。最終的に検証された融合細胞を24-ウェルに移して規模を少しずつ大きくしてT25フラスコに最終的に移転させ分離培養した。
【0059】
選別されたp60タンパク質抗体を生産するハイブリドーマのうちハイブリドーマp6007及びp6017をKCTC(Korean Collection for Type Cultures、韓国大田広域市儒成区魚隠洞52番地)に2003年2月21日付けにてそれぞれKCTC 10431BP及びKCTC 10432BPとして寄託した。
【実施例3】
【0060】
: 抗体生産及び分離
前記実施例2で得られた各抗体別陽性クローンを用いてマウス腹腔培養液を製造し、これより抗体を分離した。各抗体別に生産ハイブリドーマ細胞が違うだけ、腹腔培養液製造及び分離方法は同様に行なった。
【0061】
前記実施例2で区別された抗体の腹腔培養液を得るため、ELISA方法及びウェスタンブロット方法で確認されたモノクローナル抗体をそれぞれ生成する陽性クローン3・106細胞を1週間前にプレスチンを予め処理したBALB/Cマウスの腹腔内に注射した。10ないし15日後に3ないし10mlの腹水を抽出した。モノクローナル抗体p6007及びp6017の両方同一な方法で製造したし、但し最終検証段階で五つに分かれており、それぞれの抗体を作るために独立的に腹腔培養液を収得したし、各抗体を含む腹腔培養液から抗体の分離を次のような方法で行なった。
【0062】
前記得た腹水をタンパク質A親和性カラム(Amersham Bioscience、HiTrap rProtein A FF)を通じて精製した。すなわち、タンパク質Aカラムを10倍体積のDPBSで1ml/分の速度で均質化させてから腹水を通過させた。この際速度はAKTA精製器(AmershamBioscience)により1ml/分で通過させ、溶出は100mMグリシン(pH3.0)で行なった後、1/10倍量の2M Tris(pH8.0)で中性化させた。この際、溶出速度は1ml/分にしてそれぞれの抗体を精製及び分離した。
【実施例4】
【0063】
: モノクローナル抗体を使用したELISA及びウェスタンブロット試験
前記実施例3において分離されたモノクローナル抗体p6007及びp6017についてELISA及びウェスタンブロットを行ない、これら抗体が公知のペプチドpepA(Ser-Thr-Pro-Val-Ala-Pro-Thr-Gln-Glu-Val-Lys-Lys)(配列3)及びpepD(Gln-Gln-Gln-Thr-Ala-Pro-Lys-Ala-Pro-Thr-Glu)(配列4)を認知するのかを観測した。
【0064】
捕獲抗体としてポリクローナル抗体100ngを使用した直接的ELISA分析結果、総19個のリステリア菌のうち一つのリステリアグレイを除いたリステリア菌種の全てを検出するポリクローナル抗体がリステリアモノサイトゲネスを検出するサンドイッチELISAで第2抗体として使用可能であることを確認した(図1a)。また、ポリクローナル抗体を使ってウェスタンブロット検定した結果、同様にリステリア菌のうちリステリアグライイを除いたリステリア菌種の全てを検出することを確認した(図1a)。
【0065】
捕獲抗体として200ngのモノクローナル抗体p6007を使用し、第2抗体として100ngのポリクローナル抗体を使用したサンドイッチELISA分析結果、総19個のリステリア菌のうちリステリアモノサイトゲネスを除いた6個のリステリア菌はブランクのOD値が0.3に似た水準であり、13個のリステリアモノサイトゲネスの場合OD値が0.9以上水準であった。このような結果からモノクローナル抗体p6007がリステリアモノサイトゲネスを特異的に検出するのに適していることが確認された(図1b)。また、モノクローナル抗体p6007を使ってウェスタンブロット検定した結果、同様にステリア菌のうちリステリアモノサイトゲネス菌株だけを検出することを確認した(図1b)。
【0066】
また、捕獲抗体としてリステリア菌種の全てを検出する200ngのモノクローナル抗体p6017を使用し、第2抗体として100ngのポリクローナル抗体を使用したサンドイッチELISA分析結果、p6017のモノクローナル抗体はListeria grayi、Listeria welshimeri、Listeria innocua、Listeria ivanovii、リステリアモノサイトゲネス、Listeria seeligeriの全てを検出した(図1c)。このような結果はp6017がp6007に対する第2抗体として適していることを示す。また、モノクローナル抗体p6017を使ってウェスタンブロット検定した結果、同様にモノクローナル抗体p6017はリステリアモノサイトゲネスだけではなくListeria ivanoviiまでも検出したので、p6007に対する第2抗体として適していることを確認した(図1c)。
【0067】
また、食品から分離された総33個のリステリアモノサイトゲネス菌株について捕獲抗体としてポリクローナル抗体100ngを使用した直接的ELISA分析結果、総33個のリステリアモノサイトゲネス菌を全て検出したため、図1aのようにポリクローナル抗体がリステリアモノサイトゲネスを検出するサンドイッチELISAに第2抗体として使用できることを確認した(図2a)。また、ポリクローナル抗体を使ってウェスタンブロット検定した結果、同様に全てのリステリアモノサイトゲネス菌の全部を検出することを確認した(図2a)。
【0068】
そして、捕獲抗体として200ngのp6007とp6017及び第2抗体として100ngのポリクローナル抗体を使用し、食品から分離された総33個のリステリアモノサイトゲネス菌株をBHI肉汁培地で37℃で一晩中培養した後遠心分離(3000rpm、15min)し、その上澄液をお湯に10分間処理した菌液を100μl/wellずつ接種して行なったサンドイッチELISA分析した結果、食品菌株の全てについて陽性であり、100%の感度と特異性を示した(図2b及び図2c)。このようなデータはp6007とp6017の特徴的な能力をもう一度確認している。
【0069】
また、p6007とp6017との間に存在する親和力または相違点を調べるためにウェスタンブロットとイメージ分析による結合動力学定量法を行なった。図6aに示したように、p6007はリステリアモノサイトゲネスp60の少量、5ngであっても容易く検出したが、Listeria innocua p60については5ngの10倍になる50ngを添加してこそやっと検出できた。50ngが添加された後リステリアモノサイトゲネスと Listeria innocua p60が結合された濃度結果を比較してみると、100倍の差異があることが分かる。一方、図6bにおいてp6017はリステリアモノサイトゲネスと Listeria innocua p60との間にその効果の差異が大きくない。このようなデータは培地上澄液の典型的な濃度でp6007がリステリアモノサイトゲネスp60と他のリステリア種p60を区別できることを示す。
【0070】
一方、モノクローナル抗体p6007とp6017がpepA及びpepDを認知するか否かを直接的ELISA方法で調べた。コーティング抗原としては100ngのリステリアモノサイトゲネスの組換えp60、100ngのListeria innocuaの組換えp60、500ngのpepA、500ngのpepD、500ngの陰性対照群ペプチドを使用し、捕獲抗体としては500ngのポリクローナル抗体、500ngのモノクローナル抗体p6007、500ngのp6017を使用した。その結果、図4aに示したように、ポリクローナル抗体だけがpepAと結合したし、モノクローナル抗体p6007とp6017の全てがpepA及びpepDと結合しないので、クローン抗体p6007とp6017はpepAとpepDのエピトープを用いないことと確認された。
【0071】
また、捕獲抗体として200ngのモノクローナル抗体p6007を使用し、サンプルとして100ngのリステリアモノサイトゲネスの組換えp60を使用し、第2抗体として、図4bの場合ポリクローナル抗体を使用しつつそれぞれ1μgないし1ngのpepA及びpepDを陰性調節ペプチドを添加しペプチドGly Asn Thr Phe Ser Leu Glu Glu Val Asp Lys Leu Gly Cys Arg Asp Thr Arg Leu Leu(配列5)を対照ペプチドとして使用し、図4cの場合、ビオチニル化したモノクローナル抗体p6017にそれぞれ1μgないし1ngのpepA及びpepDを陰性調節ペプチドとして添加しペプチドGly Asn Thr Phe Ser Leu Glu Glu Val Asp Lys Leu Gly Cys Arg Asp Thr Arg Leu Leu(配列5)を対照ペプチドとして使用して、pepA/pepDの競争(competition)をサンドイッチELISAで検証した。その結果、モノクローナル抗体p6007がpepAとpepDのエピトープを用いるとpepAとpepDの添加量変化によりOD値が変るべきであるが、図4b及び図4cに示したようにペプチド添加量の変化について差異がなくて飽和されたOD値を示したので、図4aのようにモノクローナル抗体p6007はpepAとpepDのエピトープを用いないことと確認された。従って、サンドイッチELISAキットに適用時モノクローナル抗体p6007及びp6017及びポリクローナル抗体はpepAとpepDをエピトープとして使用しないことと見られる。
【実施例5】
【0072】
: リステリアモノサイトゲネス検出ELISAキット
リステリアモノサイトゲネスを検出するためのELISA検定キットを製造するためにリステリアモノサイトゲネスに特異的なp6007モノクローナル抗体とリステリア種に特異的なp6017モノクローナル抗体を用いた。
【0073】
具体的に次のように行なった。
【0074】
捕獲抗体として精製したp6007モノクローナル抗体を50mM炭酸塩緩衝溶液(pH9.6)に5μg/mlで稀釈して100μlずつ96ウェルプレート(0.5μg/well)に分注し一晩中4℃で反応させた。反応液を捨てて0.05%Tween20が含まれたPBSで3回洗浄した。
【0075】
プレートの空いた空間を遮断するために0.05%Tween20と1%BSAが含まれたPBS200μlを各ウェルに入れ37℃で1時間反応させた後、再び3回洗浄した。
【0076】
サンプルはリステリア増菌培地で一晩中増菌して1mlを3000rpmで10分間遠心分離した後、上澄液を10分間沸したものを使用した。遮断したプレートに用意されたサンプルを各ウェルに100μlずつ加えた。この際実験の有効性を評価するために陽性対照群と陰性対照群をともに施した。プレートを37℃で1時間反応させた。反応液を捨てて、3回洗浄した。
【0077】
2次抗体としてモノクローナル抗体p6017を0.1%BSAが含まれたPBSに1μg/mlで稀釈して各ウェルに100μlずつ入れて37℃で1時間反応させた。反応が終わった後、3回洗浄した。
【0078】
吸光度を測定して、陽性対照群が1.5ないし2.0になり陰性対照群が0.1以下になれば正常的な反応と見做した。サンプルの値が1.5以上ならば陽性と見做し、リステリアモノサイトゲネスの菌を分離及び同定し、0.1以下になると陰性と見做してサンプルにリステリアモノサイトゲネスが汚染されないことと見なした。
【0079】
捕獲モノクローナル抗体の量を相違にしてサンドイッチELISAを行なった結果が図3aに示されている。具体的には、図3aは捕獲抗体としてモノクローナル抗体p6007の量を200ng、500ng、1μg、2μgに変化させ行なったサンドイッチELISA結果を示す。この際、第2抗体としては100ngのビオチニル化したモノクローナル抗体p6017の反応条件(検出標識物:ストレプトアビジン-HRP)下で使用した。リステリアモノサイトゲネスを選別的に認知するp6007を捕獲抗体として使用したのでリステリアモノサイトゲネスだけを検出したし、モノクローナル抗体p6007量が増加することによりOD値が増加した。その結果によれば、サンドイッチELISAキットに捕獲抗体p6007を500ngないし2μgの量として使用した時高いOD値を示した。
【0080】
リステリアモノサイトゲネスだけを選別的に認知するものとして確認されたモノクローナル抗体p6007は、前記リステリア菌株以外の他の菌株、すなわちエスケリキア、エンテロコックス、エンテロバクター、クレブシエラ、シュードモナス、スタヒロコッカス、ストレプトコックス、ビブリオ及びサルモネラ菌株は認知できなかった(図3b)。
【実施例6】
【0081】
: 免疫クロマトグラフィを用いたリステリアモノサイトゲネスの迅速診断
主要食中毒原因菌であるリステリアモノサイトゲネスを迅速にスクリーニングするための免疫クロマトグラフィを用いたディップスティックを製造するために、モノクローナル抗体p6007をコロイド状金(40nm)と結合させ、モノクローナル抗体p6017を捕獲抗体として使用し、抗マウスIgGを対照抗体として使用した。対照線にバンドが発生すれば有効な実験として見なし、二つのバンド、すなわち捕獲線と対照線にバンドが生ずると陽性と見なし、リステリアモノサイトゲネス菌を分離及び同定し、対照線だけでバンドが発生すれば陰性と見なしてリステリアモノサイトゲネスがないことと判断した。
【0082】
具体的に、リステリアモノサイトゲネスの組換えp60を試料として適用させた結果が図5aに示されている。ストリップ1ないし7はそれぞれp60を1000ng、500ng、250ng、125ng、60ng、30ng、15ng使用した結果であり、ストリップ8は陰性対照群である。一方、陰性対照物としてp60の代りにリステリアモノサイトゲネス(ストリップ0)及び多様な菌株(ストリップ1ないし12)の培養上澄液を試料で適用させた結果が図5bに示されている。ストリップ1ないし12はそれぞれストレプトコックスピオゲネス(Streptococus pyogenes)、Shigella flexneri、スタヒロコッカスオーリアス(Staphylococcus aureus)、Pseudomonas aeruginosa)、Klebsiella pneumoniae、Enterococcus faecalis、エシェリキアコライ(Escherichia coli)、エンテロバクターアエロゲネス(Enterobacter aerogenes)、Vibrio parahaemolyticus、Vibrio cholerae、スタヒロコッカスエピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)、Salmonella typhi)を使用した。
【0083】
組換えp60及びリステリアモノサイトゲネスの培養上澄液の場合捕獲線にバンドが発生したが、陰性対照群の上澄液の場合は捕獲線にいずれのバンドが発生しなかった。従って、前記製造されたディップスティックがp60だけを選別的に認知できることを確認した。
【0084】
前述した結果から、モノクローナル抗体p6007とp6017の対がリステリアサイトゲネスのp60を選別的に認知するディップスティックに望ましく適用できる。
【0085】
また、図1aにおいて使用されたポリクローナル抗体(ラビット)も2次抗体として使用できる。
本実施例に用られた試験方法は次の通りである。
【試験例1】
【0086】
: サンドイッチELISA試験
1.リステリアモノサイトゲネスを選別的に認知するモノクローナル抗体(p6007またはp6017)を各ウェルに100ng/100μlに分注し37℃で2時間30分間インキュベーションした。
2.0.05% Tween20のPBS溶液で各ウェルを3回ずつ洗浄した。
3.1%BSAを100μlずつ分注し37℃で1時間インキュベーションして遮断した。
4.0.05% Tween20のPBS溶液で各ウェルを3回ずつ洗浄した。
5.抗原を各ウェルに100μlずつ分注し37℃で1時間インキュベーションした。具体的に、ブランクの場合0.1%BSAを分注し、陽性対照群の場合リステリアモノサイトゲネスから組換えp60を100ng/ウェルになるよう分注し、試験菌株の場合5mlのBHI(brain hert infusion;DIFCO社)肉汁培地で18時間37℃で培養した後BHI肉汁培地を遠心分離(3000rpm、15分)してその上澄液を各ウェルに分注した。
6.0.05%Tween20のPBS溶液で各ウェルを3回ずつ洗浄した。
7.ポリクローナル抗体(ラビット)またはモノクローナル抗体を各ウェルに100ng/100μlずつ分注し37℃で1時間インキュベーションした。
8.HRP(horse radish peroxidase)-結合抗ラビット抗体(PBSTで1:1000に稀釈)を各ウェルに100ng/100μlずつ分注し、37℃で1時間インキュベーションした。
9.0.05%Tween20のPBS溶液で各ウェルを5回ずつ洗浄した。
10.発色試薬緩衝溶液9.45mlと4%OPD(o-フェニレンジアミン)0.5mlとH2O2 0.05mlを混合した発色試薬を製造して各ウェルに100μlずつ分注し常温で20分間インキュベーションした。
【0087】
【表1】
【0088】
11.停止溶液8N H2SO4を各ウェルに15μlずつ分注した。
12.492nmでOD値を測定した。
【試験例2】
【0089】
:直接的ELISA試験
1.抗原を各ウェルに100μlずつ分注し、37℃で2時間30分間インキュベーションした。
2.0.05%Tween20のPBS溶液で各ウェルを3回ずつ洗浄した。
3.1%BSAを100μl分注し37℃で1時間インキュベーションして遮断した。
4.0.05%Tween20のPBS溶液で各ウェルを3回ずつ洗浄した。
5.抗体または1%BSA(ブラック)を各ウェルに100μlずつ分注し37℃で1時間インキュベーションした。
6.HRP-結合抗マウス抗体またはHRP-結合抗ラビット抗体(PBSTで10、000で稀釈)を100μlずつ分注し37℃で1時間インキュベーションした。
7.発色試薬緩衝溶液9.45mlと4%OPD(o-フェニリンジアミン)0.5mlとH2O2 0.05mlを混合した発色試薬を各ウェルに100μlずつ分注し常温で20分間インキュベーションした。
【0090】
【表2】
【0091】
8.停止溶液8N N2SO4を各ウェルに15μlずつ分注した。
9.492nmでOD値を測定した。
【試験例3】
【0092】
: ウェスタンブロット試験
1.リステリア種をBHI肉汁培地で一晩中37℃で培養して得た上澄液250μlとブリリアントブルーR(brilliant blue R)を染料として使用したサンプル緩衝液(X6)50μlをよく混合してお湯に5分間浸した後そのうち20μlを取って12%スルフェイト-ポリアクリレートゲル電気泳動(SDS-PAGE)ゲルにローディングした。
2.電気電気泳動が完了された後4℃で一晩中NC(ニトロセルロース)膜に移動させた。
3.PBSに0.05%Tween20を添加した溶液で洗浄した。
4.常温で1時間5%脱脂牛乳で遮断した。
5.PBSに0.05%Tween20を添加した溶液で洗浄した。
6.ニトロセルロース膜を常温で1時間10mlの5%脱脂牛乳に抗体10μlを混合した溶液に浸漬した。
7.PBSに0.05%Tween20を添加した溶液で洗浄した。
8.ニトロセルロース膜を常温で1時間HRP-結合された抗-マウス抗体またはHRP-結合された抗ラビット抗体(5%脱脂牛乳で1:10、000で稀釈)10mlに浸漬した。
9.SuperSignal(登録商標)WestPico Chemiluminescent Substrate(PIERCEキット)を使って発光させ化学発光計で発光を測定した。
【試験例4】
【0093】
: ディップスティック試験
1.金粒子(gold particle; 40nm)に結合させるp6007モノクローナル抗体の最適濃度を決定してからコロイド状金に適した濃度の抗体を入れ30分間室温で回転させながら反応させた。30分後、BSAを入れ4℃で一晩中反応させた。4℃で10000rpmで1時間遠心分離した後、上澄液を用心深く捨てて金パレットを最初体積の10分の1程度に浮遊させた。このようにp6007モノクローナル抗体が結合された金粒子を420nmで吸光度が1になるよう調節して接合パッドに噴射した後、接合パッドを60℃で真空状態で1時間乾燥させた。乾燥してから使用前までは絶対湿度(RH)30%以下で保管した
2.ニトロセルロース膜に捕獲抗体及び対照抗体処理を施した。捕獲抗体としてリステリア種に特異的なモノクローナル抗体p6017をニトロセルロース膜1cm当り1μgを分注し、対照抗体として濃度が1ml当り1mgである抗-マウスIgGをニトロセルロース膜1cm当り1μgになるよう分注した。処理された膜を37℃で一晩中乾燥させた後、使用前まで絶対湿度(RH)30%以下で保管した。
3.サンプルの適用に適した条件のためサンプルパッドを適した緩衝溶液で遮断した。60℃で1時間乾燥させてから、使用前まで絶対湿度30%以下に保管した。
4.前記で用意されたパッドを接合パッドに連結させた後サンプルスクリーニングに使用した。
5.リステリア増菌培地で一晩中増菌し1mlを取って3000rpmで10分間遠心分離した後上澄液を10分間沸してサンプルとして使用した。
6.前記で用意されたサンプル100μlをサンプルパッドに滴下した後5分後に判読した。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明のモノクローナル抗体p6007はリステリアモノサイトゲネスだけを選別的に認知することによりこのような抗体を使って人間に病原性である菌により汚染された食品の汚染有無を迅速に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1a】図1aは、ポリクローナル抗体(ラビット)を使って多様なリステリア種について直接的ELISA及びウェスタンブロット試験したグラフである。
【図1b】図1bは、モノクローナル抗体p6007を使って多様なリステリア種についてサンドイッチELISA及びウェスタンブロット試験したグラフである。
【図1c】図1cは、モノクローナル抗体p6017を使って多様なリステリア種についてサンドイッチELISA及びウェスタンブロット試験したグラフである。
【図2a】図2aは、食品から分離された33個のリステリアモノサイトゲネスについてポリクローナル抗体(ラビット)を使って直接的ELISA試験及びウェスタンブロット試験したグラフである。
【図2b】図2bは、食品から分離された33個のリステリアモノサイトゲネスについてモノクローナル抗体p6007を使ってサンドイッチELISA試験及びウェスタンブロット試験したグラフである。
【図2c】図2cは、食品から分離された33個のリステリアモノサイトゲネスについてモノクローナル抗体p6017を使ってサンドイッチELISA試験及びウェスタンブロット試験したグラフである。
【図3a】図3aは、モノクローナル抗体p6007の量を変化させながらリステリア種についてサンドイッチELISA試験したグラフである。
【図3b】図3bは、モノクローナル抗体p6007を使ってリステリア菌株以外の他の菌株についてサンドイッチELISA試験したグラフである。
【図4a】図4aは、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体p6007及びモノクローナル抗体p6017によるpepA及びpepDペプチド認知有無を直接的ELISA試験したグラフである。
【図4b】図4bは、モノクローナル抗体p6007を捕獲抗体として使用し、第2抗体としてポリクローナル抗体を使ってpepA/pepDの競争をサンドイッチELISAで検証したグラフである。
【図4c】図4cは、モノクローナル抗体p6007を捕獲抗体として使用し、第2抗体としてモノクローナル抗体p6017を使ってpepA/pepDの競争をサンドイッチELISAで検証したグラフである。
【図5a】図5aは、組換えp60を試料として適用させたリステリアディップスティックの展開を示す写真である。
【図5b】図5bは、陰性対照物としてp60の代りにリステリアモノサイトゲネス(ストリップ0)及び多様な菌株(ストリップ1ないし12)の培養上澄液を試料として適用させたリステリアディップスティックの展開を示す写真である。
【図6a】図6aは、リステリアモノサイトゲネスp60およびListeria innocua p60に対するモノクローナル抗体p6007の親和力についてのウェスタンブロットとイメージ分析による結合動力学定量法の結果を示す。
【図6b】図6bは、リステリアモノサイトゲネスp60およびListeria innocua p60に対するモノクローナル抗体p6017の親和力についてのウェスタンブロットとイメージ分析による結合動力学定量法の結果を示す。
【配列表フリーテキスト】
【0096】
配列1はプライマーである。
【0097】
配列2はプライマーである。
【0098】
配列5は対照ペプチドである。
【技術分野】
【0001】
本発明はリステリアモノサイトゲネスによる感染有無及び食品における汚染有無を迅速に確認するためのもので、リステリアモノサイトゲネスp60タンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体、これを生産するハイブリドーマ細胞、このようなモノクローナル抗体を含む試験キット及びこのようなモノクローナル抗体を使ってリステリアモノサイトゲネスを検出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リステリア(Listeria)の菌種はグラム陽性の通性嫌気性桿菌として自然界に幅広く分布している。リステリア種(Listeria spp.)にはリステリアモノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、Listeria ivanovii、Listeria innocua、Listeria seeligeri、Listeria welshimeri及びリステリアグライイ(Listeria grayi)などの多数の種があり、このうちリステリアモノサイトゲネスだけがヒトに病原性があり、動物に病原性のある菌株はリステリアモノサイトゲネスとListeria ivanoviiである。
【0003】
特に、リステリアモノサイトゲネスは冷蔵保存を要する食品に汚染される場合低温保存
過程で長い間生存及び増殖が可能なので、冷蔵保存食品を媒介にした食中毒発生の主な原因菌になっている。さらに、この細菌によるリステリア感染症(Listeriosis)は重症に進む場合敗血症及び脳髄膜炎を引き起こし姙産婦の流産を引き起こす。新生児、高齢者、姙産婦及び免疫欠乏患者が特に危険であり、感染症を引き起こした患者では30%に至る高い死亡率を示す。このようなリステリア感染症の発生は食肉及び食肉加工品、野菜、乳化工品などのような食品が主要感染経路であると知られている。従って、リステリア症を予防するためにリステリアモノサイトゲネスによる食品の汚染有無を迅速に診断する必要がある。
【0004】
現在、病院及び産業体(食品会社、食肉会社及び乳加工会社)などで使用できるリステリア同定方法としては色々の生化学的検査法を使用する伝統的な方法があるが、長時間と手間がかかる非効率的な方法である。
【0005】
リステリアモノサイトゲネスによる感染有無及び食品における汚染有無を迅速に確認するための診断方法として重合酵素連鎖反応(PCR)法のような分子生物学的方法が用いられているが、技術力と精度が求められるため、実際臨床及び産業的に適用し難い方法である。また、酵素免疫法(EIA:Enzyme immunoassay)のような免疫学的方法が多用されているが、非特異性が現れるので不正確な検査結果が得られたり、追加確認試験が必要な場合が発生する。
【0006】
リステリア菌を迅速に検出するためのキットとしては、PCR技法、核酸ハイブリッド化分析法を用いた非放射活性DNAプローブキット、免疫検定法を用いたキットなどが知られており、また免疫クロマトグラフィ法を用いたディップスティック(dip-stick)方法で開発された製品もあるが、これらキットの全てはリステリアモノサイトゲネスだけを特異的に検出できないか、全てのリステリア種が検出される短所を持っている。
【0007】
リステリアモノサイトゲネスに対するモノクローナル抗体の生産が困難だったので、前記菌株を選択的に認知するモノクローナル抗体を使用したELISAまたはディップスティック検出キットが開発できなかった。これは、リステリアモノサイトゲネス菌株全体を抗原として使用したり一部特定抗原を使用した場合もリステリアモノサイトゲネスについてだけ特異なモノクローナル抗体が生産されなかったためである。
【0008】
リステリア種(Listeria spp.)に共通に存在するmurein hydrolases酵素であるp60はリステリアが細胞分裂のために分泌するエッキソ(exo)酵素であって、本発明の前、p60の特定ペプチド、例えばpepA及びpepD(非特許文献1)を使ってポリクローナル抗体を製造したことがある。しかし、これは使用可能なポリクローナル抗体の低い力価とサンドイッチELISAシステムの不適切な適用によりその効果が微弱なので商用化するには足りない点があった。本発明者は前記pepA及びpepDペプチド部位と他の部位に特異的に結合して(実施例4、図4a)リステリアモノサイトゲネスだけを選別的に認知できる新規なモノクローナル抗体を製造した。
【0009】
このような背景下で、本発明者はリステリア属(genus)に共通に存在するmurein hydrolases酵素p60のうちリステリアモノサイトゲネスのp60の特異的抗原決定基を認知するモノクローナル抗体を製造した。
【非特許文献1】Bubert A.et al.,Appl. Environ Microbiol、60(9)、3120-7、1994
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は受託番号KCTC10431BPのハイブリドーマ細胞により生産される、リステリアモノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)のp60タンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体及び受託番号KCTC10432BPのハイブリドーマ細胞により生産される、リステリア種(Listeria spp.)のp60タンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体を提供する。
【0011】
本発明の他の目的は前記モノクローナル抗体を生産するハイブリドーマ細胞を提供する。
【0012】
本発明のさらに他の目的は、前述したようなリステリアモノサイトゲネスのp60タンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体を含む、リステリアモノサイトゲネス汚染を検出するための試験キットを提供する。
【0013】
本発明のさらに他の目的は、前述したようなリステリアモノサイトゲネスのp60タン
パク質に特異的に結合するモノクローナル抗体を試料サンプルと接触させリステリアモノサイトゲネスのp60タンパク質とモノクローナル抗体の抗原-抗体複合体の存在を調べることを特徴として、リステリアモノサイトゲネス汚染を検出する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の試験キットは、望ましくはELISA用キットまたは免疫クロマトグラフィを
用いたディップスティックである。
【0015】
前記試験キットにおいて、リステリアモノサイトゲネスのp60タンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体に捕獲された抗原に結合する第2抗体は望ましくはリステリア種のp60タンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体である。
【0016】
前記検出方法において、抗原-抗体複合体は、望ましくはRIA、ELISA、免疫蛍光法、色彩粒子結合法または化学発光物質結合法で検出する。
【0017】
前述した検出方法において、リステリアモノサイトゲネスのp60タンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体に捕獲された抗原に結合する第2抗体は望ましくはリステリア種のp60タンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体である。
【発明の効果】
【0018】
本発明はリステリアモノサイトゲネスだけを選別的に認知することにより、抗体を使用して人間に病原性である菌により汚染された食品の汚染有無を迅速に検定しうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明はリステリアモノサイトゲネスを特異的に検出するモノクローナル抗体に関する。
【0020】
具体的に、一つの形態として本発明は受託番号KCTC10431BPのハイブリドーマ細胞により生産される、リステリアモノサイトゲネスのp60タンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体に関する。
【0021】
また、本発明は受託番号KCTC10432BPのハイブリドーマ細胞により生産される、リステリア種(Listeria spp.)のp60タンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体に関する。
【0022】
本願において使用された用語"モノクローナル抗体"とは、当該分野に公知の用語であって、単一抗原性部位について指示される高度の特異的な抗体を意味する。通常、相異なる決定基(エピトープ)について指示される相異なる抗体を含むポリクローナル抗体とは違って、モノクローナル抗体は抗原状の単一決定基について指示される。モノクローナル抗体は抗原-抗体結合を用いる診断及び分析学的分析法の選択性と特異性を改善させる長所があり、またハイブリドーマ培養により合成されるため、他の免疫グロブリンにより汚染されない他の長所を有する。
【0023】
本発明のモノクローナル抗体はp60を免疫原にして動物を免疫化した後、免疫化された動物の脾臓細胞を骨髄腫細胞と融合してハイブリドーマを生成し、リステリアモノサイトゲネスのp60タンパク質と特異的に結合するハイブリドーマを選別してこれより製造した抗体である。
【0024】
具体的に、本発明ではモノクローナル抗体製造に組換えp60タンパク質を免疫原として使用したし、これは公知の塩基配列(Andreas B.、et al.、J.Bacteriol.、174:8166-8171、1992)を用いて当分野の通常の方法におりPCR増幅産物をpET-21aベクトルに挿入し、このベクトルをEscherichia coliで発現させ精製して製造した。精製された組換えp60タンパク質を免疫原としてマウスを免疫化させ、これより脾臓細胞を分離した後骨髄腫細胞P3X63Ag8.653と融合させた後ELISA及びウェスタンブロット試験でp60タンパク質について抗体活性が高いハイブリドーマを選別した後、これを再び培養して再びELISA及びウェスタンブロット試験で陽性ハイブリドーマp6007及び6017を選別した。前記ハイブリドーマの培養上澄液を使用したELISA及びウェスタンブロット試験結果、ハイブリドーマp6007だけがリステリアモノサイトゲネスを選別的に認知した。前記選別したハイブリドーマを動物腹腔内に注入し、注入後一定期間が経過した後回収した動物の腹水からモノクローナル抗体を分離した。
【0025】
精製されたモノクローナル抗体を使ってサンドイッチ及び直接的ELISA、ウェスタンブロット試験を通してそれぞれのモノクローナル抗体を糾明した。本願において使用された用語"モノクローナル抗体p6007"はハイブリドーマp6007により分泌されるモノクローナル抗体であり、用語"モノクローナル抗体p60017"はハイブリドーマp6017により分泌されるモノクローナル抗体である。
【0026】
サンドイッチELISA及びウェスタンブロット試験結果、モノクローナル抗体p6007がリステリアモノサイトゲネスだけを選別的に認知するモノクローナル抗体と判明されたし、モノクローナル抗体p6017はリステリア種を選別的に認知するモノクローナル抗体として判明された(図1)。
【0027】
前述したようにリステリアモノサイトゲネスだけを選別的に認知することと確認されたモノクローナル抗体p6007及びリステリア種を選別的に認知することと確認されたモノクローナル抗体p6017は食品から分離された33個のリステリアモノサイトゲネス菌株の全てを選別的に認知した(図2b及び図2c)。
【0028】
また、本発明のモノクローナル抗体p6007及びp6017がpepA及びpepDペプチドを認知するか否かを直接的ELISAで試験した。本発明のモノクローナル抗体p6007及びp6017はpepA及びpepDと結合しなかったし、これより本発明のモノクローナル抗体はpepA及びpepDのエピトープを用いないことと確認された(図4a)。pepA/pepDの競争(competition)をサンドイッチELISAで検証した場合も、モノクローナル抗体p6007がpepAとpepDのエピトープを用いるとすればpepAとpepDの添加量変化によりOD値が変わるべきであるが、ペプチド添加量の変化について差がなく飽和されたOD値を示したため、モノクローナル抗体p6007はpepAとpepDのエピトープを利用しないことと確認された(図4b及び図4c)。
【0029】
本発明のリステリアモノサイトゲネスを選別的に認知するモノクローナル抗体p6007を生産するハイブリドーマp6007はKCTC(Korean Culture for Type Cultures)に2003年2月21日付けにて受託番号KCTC10431BPとして寄託され、リステリア種を選別的に認知するモノクローナル抗体p6017を分泌するハイブリドーマp6017はKCTCに2003年2月21日付けにて受託番号KCTC10432BPとして寄託された。
【0030】
従って、他の様態として本発明はモノクローナル抗体p6007を生産するハイブリドーマp6007(KCTC10431BP)に関する。また、本発明はモノクローナル抗体p6017を生産するハイブリドーマp6017(KCTC 10432BP)に関する。
【0031】
本発明に係るモノクローナル抗体p6007は、標準菌株の免疫学的検定で接近可能な抗原決定因子との反応性に加えて、食品から分離されたリステリアモノサイトゲネスについても高い特異性と感度を有するのでリステリアモノサイトゲネスを特異的に検出するのに適している。
【0032】
従って、さらに他の様態として本発明はリステリアモノサイトゲネスのp60タンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体p6007を試料サンプルと接触させリステリアモノサイトゲネスのp60タンパク質とモノクローナル抗体の抗原-抗体複合体存在を調べることにより、リステリアモノサイトゲネスの汚染を検出する方法に関する。
【0033】
本願において使用された用語"抗原-抗体複合体"は試料中のリステリアモノサイトゲネスの存否を確認するためのp60タンパク質抗原とこれを認知するモノクローナル抗体の結合物を意味する。
【0034】
本発明の検出方法では試料サンプルとして5ないし15分間加熱した培養上澄液を使用
する。
【0035】
本発明のモノクローナル抗体p6007とリステリアモノサイトゲネスのp60タンパク質との抗原-抗体複合体の検出は当業界において公知の方法、例えば分光学的、光化学的、生物化学的、免疫化学的、電気的、吸光的、化学的、その他の方法を用いられる。
【0036】
本発明の目的上、抗原-抗体複合体の検出方法としては、放射能免疫分析法(RIA)、酵素免疫分析法(ELISA)、免疫蛍光法、色彩粒子結合法、化学発光物質結合法などが望ましく用いられる。
【0037】
抗原-抗体複合体の検出は直接的または間接的に標識された抗体の使用を伴い、使用可能な検出標識としては、例えばバイオチン-ストレプトアビジン結合体、蛍光染料(例:フルオレセイン、テキサスレッド、ロダミン、グリーン蛍光タンパク質など)、放射性標識物(例:3H、125I、35S、14Cまたは32P)、酵素(例:HRP、アルカリ性フォスファターゼ及びその他ELISAで一般に使われるもの)、及び色彩標識物、例えばコロイド状金またはカラーガラスまたはプラスチック(例:ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックスなど)ビーズを含む。このような標識物の使用を記述している文献[U.S.Pat.Nos.3、817、837;3、850、752;3、939、350;3、996、345;4、277、437;4、275、149;and 4、366、241;Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals (6th Ed.、Molecular Probes、Inc.、Eugene Oreg.)]を参照する。
【0038】
本発明において抗原-抗体複合体の検出に特に望ましい方法はELISAである。ELISA検出方法により、試料サンプルは固体支持体、例えばマイクロタイタープレート、メンブレイン、テストストリップなどにコーティングされた本発明のモノクローナル抗体と接触される。具体的な一例として、マイクロタイタープレートのウェルを本発明のモノクローナル抗体でコーティングし、占有されない(nonoccupied)結合部位を例えばBSAで遮断した後、コーティングされたプレートのウェルを試料サンプルとインキュベーションし、次いで抗原-抗体複合体の存在を決定できる。抗原-抗体複合体の存在は抗原-抗体複合体の抗原について特異的な抗体、例えばリステリアモノサイトゲネスのp60タンパク質に特異的に結合するモノクローナルまたはポリクローナル抗体を使用したり、リステリア種のp60タンパク質に特異的に結合するモノクローナルまたはポリクローナル抗体を使って確認できる。前記モノクローナルまたはポリクローナル抗体は検出標識を有することができ、検出標識を有しない場合これらモノクローナルまたはポリクローナル抗体を検出できるもう一つの抗体を処理して確認できる。
【0039】
本発明の検出方法において、リステリアモノサイトゲネスを選別的に認知するモノクローナル抗体p6007と結合された抗原に結合する第2抗体としては望ましくはリステリア種を選別的に認知するモノクローナル抗体が使用でき、特にp6017が望ましい。
【0040】
一つの例として、モノクローナル抗体p6007と試料を反応させ、次いでリステリア種のp60タンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体p6017を結合させこれより検出標識信号を測定したり、これら複合体に検出可能な信号を生成できる標識を有する抗体を添加してこれより検出標識信号を測定してリステリアモノサイトゲネスを検出できる。
【0041】
また、本発明において抗原-抗体複合体の検出に特に望ましい他の方法としてはモノクローナル抗体をコロイド状金粒子と結合させる金粒子結合法が挙げられる。
【0042】
他の様態として、本発明は前述したようなリステリアモノサイトゲネスのp60タンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体p6007を含む、リステリアモノサイトゲネスの汚染を検出するための試験キットに関する。
【0043】
本発明のリステリアモノサイトゲネスの検出試験キットに使用されるモノクローナル抗体は、この抗体がリステリアモノサイトゲネスを選別的に認知できる限り、モノクローナル抗体の断片も使用できる。このような抗体断片はF(ab')2、Fab、Fab'、Fv断片などを含める。
【0044】
本発明のリステリアモノサイトゲネス検出試験キットにはリステリアモノサイトゲネスを選別的に認知するモノクローナル抗体p6007またはその断片及び免疫学的分析に使用される道具/試薬が含まれる。
【0045】
免疫学的分析に使われる道具/試薬としては適した担体、検出可能な信号を生成できる標識、溶解剤、洗浄剤などが含まれる。また、標識物質が酵素の場合は酵素活性を測定できる基質及び反応停止剤を含める。
【0046】
適した担体としては、これに限られないが、可溶性担体、例えば当分野において公知の生理学的に許容される緩衝液、例えばPBS、不溶性担体、例えばポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、フッ素樹脂、架橋デキストラン、ポリサカライド、ラテックスに金属をメッキした磁性微粒子のような高分子、その他紙、ガラス、金属、アガロース及びこれらの組合わせでありうる。
【0047】
本発明の検出方法及びキットに使用するための検定システムはこれに限られないが、ELISAプレート、ディップスティックデバイス、免疫クロマトグラフィ試験ストリップ及び放射分割免疫検定デバイス、及びフロー-スロー(flow-through)デバイスなどを含む。
【0048】
本発明のリステリアモノサイトゲネス検出のための試験キットは望ましくはELISAキットまたは免疫クロマトグラフィを用いたディップスティックである。
【0049】
本発明の試験キットで、リステリアモノサイトゲネスを選別的に認知するモノクローナル抗体p6007と結合された抗原に結合する第2抗体としては、望ましくはリステリア種を選別的に認知するモノクローナル抗体が使用でき、特にモノクローナル抗体p6017が使用できる。
【0050】
本発明は下記の実施例に基づきさらに具体的に説明する。しかし、例示された実施例はただ本発明を説明するためのものであり、本発明はこれに限られない。
【実施例1】
【0051】
: PCR及びクローニング
リステリアモノサイトゲネスのp60タンパク質のiap(invasion-associated prote
in)遺伝子(Andreas、B.et al.、J.Bacteriol.、174:8166-8171、1992)をクローニングするために先にこの遺伝子をPCTを通して増幅した。
【0052】
プライマー、すなわちiap-F-pET(5'-GGG AAT TCC ATA TGA GCA CTG TAG TAG TCG AAG CT-3')(配列1)及びiap-R-pET(5'-GCC GCT CGA GTA CGC GAC CGA AGC CAA C-3')(配列2)をシグナル配列を除いた全ての部分が含まれるようにデザインしたし、pET-21aベクトルの特性によりストップコドンも除外した。また、クローニングのために順方向プライマーにはNdeI、逆方向プライマーにはXhoI制限酵素部位を添加した。PCRは全体ボリュームを50μlにしたし、リステリアモノサイトゲネスの染色体DNA10ng、10×fu緩衝液(Stratagene)5μl、クローニングされたPfuポリマラーゼ1U、0.2mM dNTP、それぞれ10pmolのプライマーを配合してPCRした。さらに高い信頼度(fidelity)のため、Pfuポリマラ-ゼ(Stratagene)を使用した。PCRはPTC-150(MJ Research)を使って30サイクル間94℃1分、55℃1分、72℃2分の条件にした。
【0053】
PCR完了後、PCR産物をQIAquick PCR精製キット(Qiagen)を用いて精製した。精製されたDNAはクローニングのためにNEB緩衝液4(New England Biolabs))で制限酵素NdeIとXhoI(New England Biolabs)を処理した。制限酵素処理後、1%アガロースゲルで電気泳動しGenecleanスピンキット(Q-bio gene)を用いてDNAを精製した。精製された挿入DNAをNdeIとXhoIで処理したpET-21aベクトルとT4DNA結合緩衝液でT4DNAリガーゼ(NEB)で結合してイー・コライ(E.Coli)DH0bにエレクトロポレーションした。クローニング有無はプラスミドスピンキット(Genenmed)でミニプレップして確認した。
【0054】
pETシステムの発現のためにクローニングされたベクトルを発現菌株イー・コライBL21で形質転換し再びミニプレップを介して確認した。クローニングされたイー・コライをプレートで一晩中大きくした後、一つのクロニーを5ml LBamp肉汁培地に接種して約OD600が1.0日まで培養した。この培養液5mlを新たな500ml LB amp肉汁培地に加え2ないし3時間培養してOD600が0.5ないし1.0になればIPTGを1mMされるよう加えてタンパク質の発現を誘導した。20℃で一晩中誘導した後、培養液を遠心分離して上澄液を捨てて、イー・コライだけを得た。以後のタンパク質精製はHis・Bind精製キット(Novagen)を使って行なった。細胞パレットを1/25体積の緩衝液(0.1%Triton X-100、50mM pH8.0Tris-HCl)に浮遊させた後、リソザイム0.1mg/ml(Sigma)を入れ超音波処理してイー・コライを壊した。再び27000xgで30分間遠心分離した後、充填緩衝液でNiイオンを充填させ予め用意されたNTA-キレート化アガロースCL-6B(Peptron)カラムにこの上澄液を通過させた。タンパク質が吸着されたカラムを10倍カラム体積の結合緩衝液(5mMイミダゾル、0.5M NaCl、20mMpH7.9 Tris-HCl)と6倍体積の洗浄緩衝液(60mMイミダゾル、0.5 M NaCl、20mM pH7.9Tris-HCl)で非特異的に吸着されているタンパク質を除去した。最後に、溶出緩衝液(1mMイミダゾル、0.5M NaCl、20mMpH7.9Tris-HCl)でカラムに結合されたp60を分離した。得られたp60をSDS-PAGEゲルを通して確認した。
【実施例2】
【0055】
: ハイブリドーマ細胞製造
2-1: 抗体生成細胞
実施例1で製造したp60タンパク質をSDS-PAGE(polyacrylamide gel electrophoresis)が含まれたゲルで電気電気泳動し(100μg)、ゲルの断片を切った後同じ体積の完全フロイントアジュバントが配合されたエマルジョンを製造した。前記エマルジョンを生後7週齢雌BALB/Cマウス5匹の腹腔内に注射した。1匹当たり20μgの抗原を注射し、総体積は400μlにした。2週後に不完全フロイントアジュバントと抗原を混合したエマルジョンを前記マウスの腹腔に注入した後、2週間後PBSに溶かした抗原を(10μg/mouse)腹腔内に注射して抗体生成を誘導した。抗体生成有無を確認するためにELISA及びウェスタンブロット検定を施して抗体を確認した後、細胞融合に入る3日前にマウスの尻尾静脈にPBSに溶かした抗原を再度注射した。汚染を防止するために全てのマウスを選択した領域で飼育した。
2-2: 抗体生成細胞の確認及び選別
前記方法により免疫化されたマウスで血液試料を目(eye ball)から取得して1.5ml遠心分離チューブに入れて血清を遠心分離して(1800rpm、10分)抗体の生成有無を実験する前まで-20℃で保管した。
【0056】
p60タンパク質でELISA方法により抗体の生成を確認した後抗体生成細胞に対する融合に着手した。前記イー・コライで発現させたp60タンパク質を0.5μg/ウェルで96-ウェルプレートにコーティングした後一晩中反応させた。PBST(PBS buffer、0.05% Tween20)で3次洗浄した後1%BSAで反応を終了した。再びPBSTで3次洗浄した後血清を1:500ないし2000まで稀釈して処理した後1時間反応させた。PBSTで3次洗浄した後、抗マウスIgG結合HRPを処理し1時間反応させた。次いで、PBSTで3次洗浄した後、100μlOPD(Sigma)を処理した後20分間発色させた。15μl反応終了溶液(8N硫酸)を添加した後、492nm波長で吸光度を測定した。
2-3: ハイブリドーマ細胞製造
抗体生成が確認された後マウスを犠牲させ抗体生産脾臓細胞を分離し、これと骨髄腫細胞(myeloma cell)P3X63Ag8.653を融合方法(Cesar Milstein and Georges Kohler's method)から由来した変形された方法(Method in enzymology、vol.73、 p3.Academic Press、New York)により融合した。
【0057】
マウスのP3X63Ag8.653細胞を培養トレイに10%FBS RPMI1640培地を用いて最適成長期に至るよう維持させた。細胞融合の一日前にP3X63Ag8.653細胞を3・105細胞/mlで稀釈して次の日50mlを取って3分間400xgで遠心分離した。無血清培地で2回洗浄した後、1・107細胞/mlになるよう濃度を合わせた。次いで、マウスを頚椎離脱(cervical dislocation)により犠牲させ脾臓を取得し、これをメッシュ容器に入れ細胞を一つずつ分離させた。この際、全ての培地は無血清で使用した。完全に分離された抗体生産細胞を5分間400xgで遠心分離した後、無血清培地で2回洗浄し10mlの培地に懸濁させた。リンプ球を血球計数器(haemocytomer)で計数して108のリンプ球を1×107P3X63Ag8.653細胞(10:1)と混ぜて3分間400xgで遠心分離した。37℃で前処理された50%PEG(Sigma)1ml溶液を1分にかけてゆっくり滴下しつつ混ぜた。生成された融合混合液をRPMI1640培地で4ml/3分、次いで5ml/4分、次いで20ml/5分にかけて稀釈し3分間400xgで遠心分離した後、HAT選択培地35mlに細胞を懸濁させた。100μlの懸濁液を一日前に供給細胞(feeder cell、マウスの腹腔でPBSで分離した大食球)をコーティングした96-ウェルプレートに分注して37℃、 5%CO2培養器で7ないし14日間培養した。
2-4: ハイブリドーマの選別及び分離
前記実施例で収得した培養上澄液を取って直接的ELISA方法でp60に対する陽性クローンを選別した後、ウェスタンブロットで陽性クローンであることを再び確認した。多数のハイブリドーマのうちp60タンパク質について抗体活性が高い(OD1.2以上)10種のハイブリドーマ細胞を得た。
【0058】
このように確認された陽性クローンを一連の過程で稀釈して一つの融合細胞を96-ウェルプレートの1ウェル当たり0.5細胞ずつ分注して7日間培養した後、ELISAとウェスタンブロットで検証した。これより最終陽性クローンを検証して抗体の性質と認知部位によりp6007、p6013、p6017、p6030及びp6033を分離した。最終的に検証された融合細胞を24-ウェルに移して規模を少しずつ大きくしてT25フラスコに最終的に移転させ分離培養した。
【0059】
選別されたp60タンパク質抗体を生産するハイブリドーマのうちハイブリドーマp6007及びp6017をKCTC(Korean Collection for Type Cultures、韓国大田広域市儒成区魚隠洞52番地)に2003年2月21日付けにてそれぞれKCTC 10431BP及びKCTC 10432BPとして寄託した。
【実施例3】
【0060】
: 抗体生産及び分離
前記実施例2で得られた各抗体別陽性クローンを用いてマウス腹腔培養液を製造し、これより抗体を分離した。各抗体別に生産ハイブリドーマ細胞が違うだけ、腹腔培養液製造及び分離方法は同様に行なった。
【0061】
前記実施例2で区別された抗体の腹腔培養液を得るため、ELISA方法及びウェスタンブロット方法で確認されたモノクローナル抗体をそれぞれ生成する陽性クローン3・106細胞を1週間前にプレスチンを予め処理したBALB/Cマウスの腹腔内に注射した。10ないし15日後に3ないし10mlの腹水を抽出した。モノクローナル抗体p6007及びp6017の両方同一な方法で製造したし、但し最終検証段階で五つに分かれており、それぞれの抗体を作るために独立的に腹腔培養液を収得したし、各抗体を含む腹腔培養液から抗体の分離を次のような方法で行なった。
【0062】
前記得た腹水をタンパク質A親和性カラム(Amersham Bioscience、HiTrap rProtein A FF)を通じて精製した。すなわち、タンパク質Aカラムを10倍体積のDPBSで1ml/分の速度で均質化させてから腹水を通過させた。この際速度はAKTA精製器(AmershamBioscience)により1ml/分で通過させ、溶出は100mMグリシン(pH3.0)で行なった後、1/10倍量の2M Tris(pH8.0)で中性化させた。この際、溶出速度は1ml/分にしてそれぞれの抗体を精製及び分離した。
【実施例4】
【0063】
: モノクローナル抗体を使用したELISA及びウェスタンブロット試験
前記実施例3において分離されたモノクローナル抗体p6007及びp6017についてELISA及びウェスタンブロットを行ない、これら抗体が公知のペプチドpepA(Ser-Thr-Pro-Val-Ala-Pro-Thr-Gln-Glu-Val-Lys-Lys)(配列3)及びpepD(Gln-Gln-Gln-Thr-Ala-Pro-Lys-Ala-Pro-Thr-Glu)(配列4)を認知するのかを観測した。
【0064】
捕獲抗体としてポリクローナル抗体100ngを使用した直接的ELISA分析結果、総19個のリステリア菌のうち一つのリステリアグレイを除いたリステリア菌種の全てを検出するポリクローナル抗体がリステリアモノサイトゲネスを検出するサンドイッチELISAで第2抗体として使用可能であることを確認した(図1a)。また、ポリクローナル抗体を使ってウェスタンブロット検定した結果、同様にリステリア菌のうちリステリアグライイを除いたリステリア菌種の全てを検出することを確認した(図1a)。
【0065】
捕獲抗体として200ngのモノクローナル抗体p6007を使用し、第2抗体として100ngのポリクローナル抗体を使用したサンドイッチELISA分析結果、総19個のリステリア菌のうちリステリアモノサイトゲネスを除いた6個のリステリア菌はブランクのOD値が0.3に似た水準であり、13個のリステリアモノサイトゲネスの場合OD値が0.9以上水準であった。このような結果からモノクローナル抗体p6007がリステリアモノサイトゲネスを特異的に検出するのに適していることが確認された(図1b)。また、モノクローナル抗体p6007を使ってウェスタンブロット検定した結果、同様にステリア菌のうちリステリアモノサイトゲネス菌株だけを検出することを確認した(図1b)。
【0066】
また、捕獲抗体としてリステリア菌種の全てを検出する200ngのモノクローナル抗体p6017を使用し、第2抗体として100ngのポリクローナル抗体を使用したサンドイッチELISA分析結果、p6017のモノクローナル抗体はListeria grayi、Listeria welshimeri、Listeria innocua、Listeria ivanovii、リステリアモノサイトゲネス、Listeria seeligeriの全てを検出した(図1c)。このような結果はp6017がp6007に対する第2抗体として適していることを示す。また、モノクローナル抗体p6017を使ってウェスタンブロット検定した結果、同様にモノクローナル抗体p6017はリステリアモノサイトゲネスだけではなくListeria ivanoviiまでも検出したので、p6007に対する第2抗体として適していることを確認した(図1c)。
【0067】
また、食品から分離された総33個のリステリアモノサイトゲネス菌株について捕獲抗体としてポリクローナル抗体100ngを使用した直接的ELISA分析結果、総33個のリステリアモノサイトゲネス菌を全て検出したため、図1aのようにポリクローナル抗体がリステリアモノサイトゲネスを検出するサンドイッチELISAに第2抗体として使用できることを確認した(図2a)。また、ポリクローナル抗体を使ってウェスタンブロット検定した結果、同様に全てのリステリアモノサイトゲネス菌の全部を検出することを確認した(図2a)。
【0068】
そして、捕獲抗体として200ngのp6007とp6017及び第2抗体として100ngのポリクローナル抗体を使用し、食品から分離された総33個のリステリアモノサイトゲネス菌株をBHI肉汁培地で37℃で一晩中培養した後遠心分離(3000rpm、15min)し、その上澄液をお湯に10分間処理した菌液を100μl/wellずつ接種して行なったサンドイッチELISA分析した結果、食品菌株の全てについて陽性であり、100%の感度と特異性を示した(図2b及び図2c)。このようなデータはp6007とp6017の特徴的な能力をもう一度確認している。
【0069】
また、p6007とp6017との間に存在する親和力または相違点を調べるためにウェスタンブロットとイメージ分析による結合動力学定量法を行なった。図6aに示したように、p6007はリステリアモノサイトゲネスp60の少量、5ngであっても容易く検出したが、Listeria innocua p60については5ngの10倍になる50ngを添加してこそやっと検出できた。50ngが添加された後リステリアモノサイトゲネスと Listeria innocua p60が結合された濃度結果を比較してみると、100倍の差異があることが分かる。一方、図6bにおいてp6017はリステリアモノサイトゲネスと Listeria innocua p60との間にその効果の差異が大きくない。このようなデータは培地上澄液の典型的な濃度でp6007がリステリアモノサイトゲネスp60と他のリステリア種p60を区別できることを示す。
【0070】
一方、モノクローナル抗体p6007とp6017がpepA及びpepDを認知するか否かを直接的ELISA方法で調べた。コーティング抗原としては100ngのリステリアモノサイトゲネスの組換えp60、100ngのListeria innocuaの組換えp60、500ngのpepA、500ngのpepD、500ngの陰性対照群ペプチドを使用し、捕獲抗体としては500ngのポリクローナル抗体、500ngのモノクローナル抗体p6007、500ngのp6017を使用した。その結果、図4aに示したように、ポリクローナル抗体だけがpepAと結合したし、モノクローナル抗体p6007とp6017の全てがpepA及びpepDと結合しないので、クローン抗体p6007とp6017はpepAとpepDのエピトープを用いないことと確認された。
【0071】
また、捕獲抗体として200ngのモノクローナル抗体p6007を使用し、サンプルとして100ngのリステリアモノサイトゲネスの組換えp60を使用し、第2抗体として、図4bの場合ポリクローナル抗体を使用しつつそれぞれ1μgないし1ngのpepA及びpepDを陰性調節ペプチドを添加しペプチドGly Asn Thr Phe Ser Leu Glu Glu Val Asp Lys Leu Gly Cys Arg Asp Thr Arg Leu Leu(配列5)を対照ペプチドとして使用し、図4cの場合、ビオチニル化したモノクローナル抗体p6017にそれぞれ1μgないし1ngのpepA及びpepDを陰性調節ペプチドとして添加しペプチドGly Asn Thr Phe Ser Leu Glu Glu Val Asp Lys Leu Gly Cys Arg Asp Thr Arg Leu Leu(配列5)を対照ペプチドとして使用して、pepA/pepDの競争(competition)をサンドイッチELISAで検証した。その結果、モノクローナル抗体p6007がpepAとpepDのエピトープを用いるとpepAとpepDの添加量変化によりOD値が変るべきであるが、図4b及び図4cに示したようにペプチド添加量の変化について差異がなくて飽和されたOD値を示したので、図4aのようにモノクローナル抗体p6007はpepAとpepDのエピトープを用いないことと確認された。従って、サンドイッチELISAキットに適用時モノクローナル抗体p6007及びp6017及びポリクローナル抗体はpepAとpepDをエピトープとして使用しないことと見られる。
【実施例5】
【0072】
: リステリアモノサイトゲネス検出ELISAキット
リステリアモノサイトゲネスを検出するためのELISA検定キットを製造するためにリステリアモノサイトゲネスに特異的なp6007モノクローナル抗体とリステリア種に特異的なp6017モノクローナル抗体を用いた。
【0073】
具体的に次のように行なった。
【0074】
捕獲抗体として精製したp6007モノクローナル抗体を50mM炭酸塩緩衝溶液(pH9.6)に5μg/mlで稀釈して100μlずつ96ウェルプレート(0.5μg/well)に分注し一晩中4℃で反応させた。反応液を捨てて0.05%Tween20が含まれたPBSで3回洗浄した。
【0075】
プレートの空いた空間を遮断するために0.05%Tween20と1%BSAが含まれたPBS200μlを各ウェルに入れ37℃で1時間反応させた後、再び3回洗浄した。
【0076】
サンプルはリステリア増菌培地で一晩中増菌して1mlを3000rpmで10分間遠心分離した後、上澄液を10分間沸したものを使用した。遮断したプレートに用意されたサンプルを各ウェルに100μlずつ加えた。この際実験の有効性を評価するために陽性対照群と陰性対照群をともに施した。プレートを37℃で1時間反応させた。反応液を捨てて、3回洗浄した。
【0077】
2次抗体としてモノクローナル抗体p6017を0.1%BSAが含まれたPBSに1μg/mlで稀釈して各ウェルに100μlずつ入れて37℃で1時間反応させた。反応が終わった後、3回洗浄した。
【0078】
吸光度を測定して、陽性対照群が1.5ないし2.0になり陰性対照群が0.1以下になれば正常的な反応と見做した。サンプルの値が1.5以上ならば陽性と見做し、リステリアモノサイトゲネスの菌を分離及び同定し、0.1以下になると陰性と見做してサンプルにリステリアモノサイトゲネスが汚染されないことと見なした。
【0079】
捕獲モノクローナル抗体の量を相違にしてサンドイッチELISAを行なった結果が図3aに示されている。具体的には、図3aは捕獲抗体としてモノクローナル抗体p6007の量を200ng、500ng、1μg、2μgに変化させ行なったサンドイッチELISA結果を示す。この際、第2抗体としては100ngのビオチニル化したモノクローナル抗体p6017の反応条件(検出標識物:ストレプトアビジン-HRP)下で使用した。リステリアモノサイトゲネスを選別的に認知するp6007を捕獲抗体として使用したのでリステリアモノサイトゲネスだけを検出したし、モノクローナル抗体p6007量が増加することによりOD値が増加した。その結果によれば、サンドイッチELISAキットに捕獲抗体p6007を500ngないし2μgの量として使用した時高いOD値を示した。
【0080】
リステリアモノサイトゲネスだけを選別的に認知するものとして確認されたモノクローナル抗体p6007は、前記リステリア菌株以外の他の菌株、すなわちエスケリキア、エンテロコックス、エンテロバクター、クレブシエラ、シュードモナス、スタヒロコッカス、ストレプトコックス、ビブリオ及びサルモネラ菌株は認知できなかった(図3b)。
【実施例6】
【0081】
: 免疫クロマトグラフィを用いたリステリアモノサイトゲネスの迅速診断
主要食中毒原因菌であるリステリアモノサイトゲネスを迅速にスクリーニングするための免疫クロマトグラフィを用いたディップスティックを製造するために、モノクローナル抗体p6007をコロイド状金(40nm)と結合させ、モノクローナル抗体p6017を捕獲抗体として使用し、抗マウスIgGを対照抗体として使用した。対照線にバンドが発生すれば有効な実験として見なし、二つのバンド、すなわち捕獲線と対照線にバンドが生ずると陽性と見なし、リステリアモノサイトゲネス菌を分離及び同定し、対照線だけでバンドが発生すれば陰性と見なしてリステリアモノサイトゲネスがないことと判断した。
【0082】
具体的に、リステリアモノサイトゲネスの組換えp60を試料として適用させた結果が図5aに示されている。ストリップ1ないし7はそれぞれp60を1000ng、500ng、250ng、125ng、60ng、30ng、15ng使用した結果であり、ストリップ8は陰性対照群である。一方、陰性対照物としてp60の代りにリステリアモノサイトゲネス(ストリップ0)及び多様な菌株(ストリップ1ないし12)の培養上澄液を試料で適用させた結果が図5bに示されている。ストリップ1ないし12はそれぞれストレプトコックスピオゲネス(Streptococus pyogenes)、Shigella flexneri、スタヒロコッカスオーリアス(Staphylococcus aureus)、Pseudomonas aeruginosa)、Klebsiella pneumoniae、Enterococcus faecalis、エシェリキアコライ(Escherichia coli)、エンテロバクターアエロゲネス(Enterobacter aerogenes)、Vibrio parahaemolyticus、Vibrio cholerae、スタヒロコッカスエピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)、Salmonella typhi)を使用した。
【0083】
組換えp60及びリステリアモノサイトゲネスの培養上澄液の場合捕獲線にバンドが発生したが、陰性対照群の上澄液の場合は捕獲線にいずれのバンドが発生しなかった。従って、前記製造されたディップスティックがp60だけを選別的に認知できることを確認した。
【0084】
前述した結果から、モノクローナル抗体p6007とp6017の対がリステリアサイトゲネスのp60を選別的に認知するディップスティックに望ましく適用できる。
【0085】
また、図1aにおいて使用されたポリクローナル抗体(ラビット)も2次抗体として使用できる。
本実施例に用られた試験方法は次の通りである。
【試験例1】
【0086】
: サンドイッチELISA試験
1.リステリアモノサイトゲネスを選別的に認知するモノクローナル抗体(p6007またはp6017)を各ウェルに100ng/100μlに分注し37℃で2時間30分間インキュベーションした。
2.0.05% Tween20のPBS溶液で各ウェルを3回ずつ洗浄した。
3.1%BSAを100μlずつ分注し37℃で1時間インキュベーションして遮断した。
4.0.05% Tween20のPBS溶液で各ウェルを3回ずつ洗浄した。
5.抗原を各ウェルに100μlずつ分注し37℃で1時間インキュベーションした。具体的に、ブランクの場合0.1%BSAを分注し、陽性対照群の場合リステリアモノサイトゲネスから組換えp60を100ng/ウェルになるよう分注し、試験菌株の場合5mlのBHI(brain hert infusion;DIFCO社)肉汁培地で18時間37℃で培養した後BHI肉汁培地を遠心分離(3000rpm、15分)してその上澄液を各ウェルに分注した。
6.0.05%Tween20のPBS溶液で各ウェルを3回ずつ洗浄した。
7.ポリクローナル抗体(ラビット)またはモノクローナル抗体を各ウェルに100ng/100μlずつ分注し37℃で1時間インキュベーションした。
8.HRP(horse radish peroxidase)-結合抗ラビット抗体(PBSTで1:1000に稀釈)を各ウェルに100ng/100μlずつ分注し、37℃で1時間インキュベーションした。
9.0.05%Tween20のPBS溶液で各ウェルを5回ずつ洗浄した。
10.発色試薬緩衝溶液9.45mlと4%OPD(o-フェニレンジアミン)0.5mlとH2O2 0.05mlを混合した発色試薬を製造して各ウェルに100μlずつ分注し常温で20分間インキュベーションした。
【0087】
【表1】
【0088】
11.停止溶液8N H2SO4を各ウェルに15μlずつ分注した。
12.492nmでOD値を測定した。
【試験例2】
【0089】
:直接的ELISA試験
1.抗原を各ウェルに100μlずつ分注し、37℃で2時間30分間インキュベーションした。
2.0.05%Tween20のPBS溶液で各ウェルを3回ずつ洗浄した。
3.1%BSAを100μl分注し37℃で1時間インキュベーションして遮断した。
4.0.05%Tween20のPBS溶液で各ウェルを3回ずつ洗浄した。
5.抗体または1%BSA(ブラック)を各ウェルに100μlずつ分注し37℃で1時間インキュベーションした。
6.HRP-結合抗マウス抗体またはHRP-結合抗ラビット抗体(PBSTで10、000で稀釈)を100μlずつ分注し37℃で1時間インキュベーションした。
7.発色試薬緩衝溶液9.45mlと4%OPD(o-フェニリンジアミン)0.5mlとH2O2 0.05mlを混合した発色試薬を各ウェルに100μlずつ分注し常温で20分間インキュベーションした。
【0090】
【表2】
【0091】
8.停止溶液8N N2SO4を各ウェルに15μlずつ分注した。
9.492nmでOD値を測定した。
【試験例3】
【0092】
: ウェスタンブロット試験
1.リステリア種をBHI肉汁培地で一晩中37℃で培養して得た上澄液250μlとブリリアントブルーR(brilliant blue R)を染料として使用したサンプル緩衝液(X6)50μlをよく混合してお湯に5分間浸した後そのうち20μlを取って12%スルフェイト-ポリアクリレートゲル電気泳動(SDS-PAGE)ゲルにローディングした。
2.電気電気泳動が完了された後4℃で一晩中NC(ニトロセルロース)膜に移動させた。
3.PBSに0.05%Tween20を添加した溶液で洗浄した。
4.常温で1時間5%脱脂牛乳で遮断した。
5.PBSに0.05%Tween20を添加した溶液で洗浄した。
6.ニトロセルロース膜を常温で1時間10mlの5%脱脂牛乳に抗体10μlを混合した溶液に浸漬した。
7.PBSに0.05%Tween20を添加した溶液で洗浄した。
8.ニトロセルロース膜を常温で1時間HRP-結合された抗-マウス抗体またはHRP-結合された抗ラビット抗体(5%脱脂牛乳で1:10、000で稀釈)10mlに浸漬した。
9.SuperSignal(登録商標)WestPico Chemiluminescent Substrate(PIERCEキット)を使って発光させ化学発光計で発光を測定した。
【試験例4】
【0093】
: ディップスティック試験
1.金粒子(gold particle; 40nm)に結合させるp6007モノクローナル抗体の最適濃度を決定してからコロイド状金に適した濃度の抗体を入れ30分間室温で回転させながら反応させた。30分後、BSAを入れ4℃で一晩中反応させた。4℃で10000rpmで1時間遠心分離した後、上澄液を用心深く捨てて金パレットを最初体積の10分の1程度に浮遊させた。このようにp6007モノクローナル抗体が結合された金粒子を420nmで吸光度が1になるよう調節して接合パッドに噴射した後、接合パッドを60℃で真空状態で1時間乾燥させた。乾燥してから使用前までは絶対湿度(RH)30%以下で保管した
2.ニトロセルロース膜に捕獲抗体及び対照抗体処理を施した。捕獲抗体としてリステリア種に特異的なモノクローナル抗体p6017をニトロセルロース膜1cm当り1μgを分注し、対照抗体として濃度が1ml当り1mgである抗-マウスIgGをニトロセルロース膜1cm当り1μgになるよう分注した。処理された膜を37℃で一晩中乾燥させた後、使用前まで絶対湿度(RH)30%以下で保管した。
3.サンプルの適用に適した条件のためサンプルパッドを適した緩衝溶液で遮断した。60℃で1時間乾燥させてから、使用前まで絶対湿度30%以下に保管した。
4.前記で用意されたパッドを接合パッドに連結させた後サンプルスクリーニングに使用した。
5.リステリア増菌培地で一晩中増菌し1mlを取って3000rpmで10分間遠心分離した後上澄液を10分間沸してサンプルとして使用した。
6.前記で用意されたサンプル100μlをサンプルパッドに滴下した後5分後に判読した。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明のモノクローナル抗体p6007はリステリアモノサイトゲネスだけを選別的に認知することによりこのような抗体を使って人間に病原性である菌により汚染された食品の汚染有無を迅速に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1a】図1aは、ポリクローナル抗体(ラビット)を使って多様なリステリア種について直接的ELISA及びウェスタンブロット試験したグラフである。
【図1b】図1bは、モノクローナル抗体p6007を使って多様なリステリア種についてサンドイッチELISA及びウェスタンブロット試験したグラフである。
【図1c】図1cは、モノクローナル抗体p6017を使って多様なリステリア種についてサンドイッチELISA及びウェスタンブロット試験したグラフである。
【図2a】図2aは、食品から分離された33個のリステリアモノサイトゲネスについてポリクローナル抗体(ラビット)を使って直接的ELISA試験及びウェスタンブロット試験したグラフである。
【図2b】図2bは、食品から分離された33個のリステリアモノサイトゲネスについてモノクローナル抗体p6007を使ってサンドイッチELISA試験及びウェスタンブロット試験したグラフである。
【図2c】図2cは、食品から分離された33個のリステリアモノサイトゲネスについてモノクローナル抗体p6017を使ってサンドイッチELISA試験及びウェスタンブロット試験したグラフである。
【図3a】図3aは、モノクローナル抗体p6007の量を変化させながらリステリア種についてサンドイッチELISA試験したグラフである。
【図3b】図3bは、モノクローナル抗体p6007を使ってリステリア菌株以外の他の菌株についてサンドイッチELISA試験したグラフである。
【図4a】図4aは、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体p6007及びモノクローナル抗体p6017によるpepA及びpepDペプチド認知有無を直接的ELISA試験したグラフである。
【図4b】図4bは、モノクローナル抗体p6007を捕獲抗体として使用し、第2抗体としてポリクローナル抗体を使ってpepA/pepDの競争をサンドイッチELISAで検証したグラフである。
【図4c】図4cは、モノクローナル抗体p6007を捕獲抗体として使用し、第2抗体としてモノクローナル抗体p6017を使ってpepA/pepDの競争をサンドイッチELISAで検証したグラフである。
【図5a】図5aは、組換えp60を試料として適用させたリステリアディップスティックの展開を示す写真である。
【図5b】図5bは、陰性対照物としてp60の代りにリステリアモノサイトゲネス(ストリップ0)及び多様な菌株(ストリップ1ないし12)の培養上澄液を試料として適用させたリステリアディップスティックの展開を示す写真である。
【図6a】図6aは、リステリアモノサイトゲネスp60およびListeria innocua p60に対するモノクローナル抗体p6007の親和力についてのウェスタンブロットとイメージ分析による結合動力学定量法の結果を示す。
【図6b】図6bは、リステリアモノサイトゲネスp60およびListeria innocua p60に対するモノクローナル抗体p6017の親和力についてのウェスタンブロットとイメージ分析による結合動力学定量法の結果を示す。
【配列表フリーテキスト】
【0096】
配列1はプライマーである。
【0097】
配列2はプライマーである。
【0098】
配列5は対照ペプチドである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受託番号KCTC−10431BPのハイブリドーマ細胞を用いて生産される、リステリアモノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)のp60タンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体。
【請求項2】
受託番号KCTC10432BPのハイブリドーマ細胞を用いて生産される、リステリア種(Listeria spp.)のp60タンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体。
【請求項3】
請求項1のモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマ細胞KCTC10431BP。
【請求項4】
請求項2のモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマ細胞KCTC10432BP。
【請求項5】
請求項1のモノクローナル抗体を試料サンプルと接触させリステリアモノサイトゲネスのp60タンパク質とモノクローナル抗体の抗原-抗体複合体存在を調べることを特徴として、リステリアモノサイトゲネス汚染を検出する方法。
【請求項6】
抗原-抗体複合体をRIA、ELISA、免疫蛍光法、色彩粒子結合法、または化学発光物質結合法で検出する請求項5に記載の方法。
【請求項7】
請求項1のモノクローナル抗体に捕獲された抗原に結合する第2抗体として請求項2のモノクローナル抗体を使って検出する請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
請求項1のモノクローナル抗体を含むことを特徴とするリステリアモノサイトゲネス汚染を検出するためのキット。
【請求項9】
キットはELISA(enzyme-linked immunosorbent assay)法を用いる請求項8に記載のキット。
【請求項10】
キットは免疫クロマトグラフィ法を用いる請求項8に記載のディップスティックキット。
【請求項11】
請求項1のモノクローナル抗体に捕獲された抗原に結合する第2抗体として請求項2のモノクローナル抗体を使用する請求項8ないし10のうちいずれか1項に記載のキット。
【請求項1】
受託番号KCTC−10431BPのハイブリドーマ細胞を用いて生産される、リステリアモノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)のp60タンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体。
【請求項2】
受託番号KCTC10432BPのハイブリドーマ細胞を用いて生産される、リステリア種(Listeria spp.)のp60タンパク質に特異的に結合するモノクローナル抗体。
【請求項3】
請求項1のモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマ細胞KCTC10431BP。
【請求項4】
請求項2のモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマ細胞KCTC10432BP。
【請求項5】
請求項1のモノクローナル抗体を試料サンプルと接触させリステリアモノサイトゲネスのp60タンパク質とモノクローナル抗体の抗原-抗体複合体存在を調べることを特徴として、リステリアモノサイトゲネス汚染を検出する方法。
【請求項6】
抗原-抗体複合体をRIA、ELISA、免疫蛍光法、色彩粒子結合法、または化学発光物質結合法で検出する請求項5に記載の方法。
【請求項7】
請求項1のモノクローナル抗体に捕獲された抗原に結合する第2抗体として請求項2のモノクローナル抗体を使って検出する請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
請求項1のモノクローナル抗体を含むことを特徴とするリステリアモノサイトゲネス汚染を検出するためのキット。
【請求項9】
キットはELISA(enzyme-linked immunosorbent assay)法を用いる請求項8に記載のキット。
【請求項10】
キットは免疫クロマトグラフィ法を用いる請求項8に記載のディップスティックキット。
【請求項11】
請求項1のモノクローナル抗体に捕獲された抗原に結合する第2抗体として請求項2のモノクローナル抗体を使用する請求項8ないし10のうちいずれか1項に記載のキット。
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図1b】
【図1c】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【公開番号】特開2006−104154(P2006−104154A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−295072(P2004−295072)
【出願日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2004年5月 American Society for Microbiology発行の「CLINICAL AND DIAGNOSTIC LABORATORY IMMUNOLOGY,Vol.11,No.3,May 2004,pages 446−451,“Use of Monoclonal Antibodies That Recognize p60 for Identification of Listeria monocytogenes”」に発表
【出願人】(504376599)コメッド コーポレーション リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】KOMED CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】#404, A−dong, Bundang Technopark, 150, Yatab−dong, Bundang−gu, Seongnam−city, Gyeonggi−do 463−760, Republic of Korea
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2004年5月 American Society for Microbiology発行の「CLINICAL AND DIAGNOSTIC LABORATORY IMMUNOLOGY,Vol.11,No.3,May 2004,pages 446−451,“Use of Monoclonal Antibodies That Recognize p60 for Identification of Listeria monocytogenes”」に発表
【出願人】(504376599)コメッド コーポレーション リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】KOMED CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】#404, A−dong, Bundang Technopark, 150, Yatab−dong, Bundang−gu, Seongnam−city, Gyeonggi−do 463−760, Republic of Korea
【Fターム(参考)】
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