リセプタクル用ケージ、リセプタクルアッセンブリー、トランシーバモジュールアッセンブリー
【課題】光モジュール用リセプタクルの内部から外部へのノイズの輻射を確実に抑制することができること。
【解決手段】リセプタクル用ケージ12における略矩形のモジュールスロットの全周縁に、第1のシールド部材としての筒状のフロントEMIフィンガー12FFが設けられるとともに、リセプタクルコネクタ収容部12D内のリセプタクルコネクタ22に接続された光モジュール14のアッパケース14Aおよびロアプレート14Bの外周面とケージ12の内周面との間の隙間が、第2のシールド部材としてのトップEMIフィンガー12TF、第3のシールド部材としてのサイドEMIフィンガー12SRF,12SLFによりシールドされ、ロアプレート14Bが、接地された底壁部12BPに当接するもの。
【解決手段】リセプタクル用ケージ12における略矩形のモジュールスロットの全周縁に、第1のシールド部材としての筒状のフロントEMIフィンガー12FFが設けられるとともに、リセプタクルコネクタ収容部12D内のリセプタクルコネクタ22に接続された光モジュール14のアッパケース14Aおよびロアプレート14Bの外周面とケージ12の内周面との間の隙間が、第2のシールド部材としてのトップEMIフィンガー12TF、第3のシールド部材としてのサイドEMIフィンガー12SRF,12SLFによりシールドされ、ロアプレート14Bが、接地された底壁部12BPに当接するもの。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リセプタクル用ケージ、リセプタクルアッセンブリー、トランシーバモジュールアッセンブリーに関する。
【背景技術】
【0002】
光通信システムにおいては、光コネクタ等により伝送される光信号をマザーボードに伝送するためにトランシーバモジュールが実用に供されている。トランシーバモジュールは、例えば、特許文献1にも示されるように、通信システムを構成するシャーシに配置されている。そのようなトランシーバモジュールは、光モジュール(特許文献1においては、モジュール組立体と呼称されている)と、マザーボードとしての回路基板上に配され光モジュールを着脱可能に収容する光モジュール用リセプタクル(特許文献1においては、リセプタクル組立体と呼称されている)と、を主な要素として含んで構成されている。
【0003】
そのシャーシの前面カバーに露出した光モジュールの端部におけるポートには、例えば、他のシステムとの相互接続を行う光ケーブル用コネクタおよび光ケーブルが接続される。光モジュールが光モジュール用リセプタクルに接続される場合、光モジュールの接続端部が光モジュール用リセプタクル内の回路基板上に実装されるリセプタクルコネクタの被接続部に接続される。そのリセプタクルコネクタの被接続部は、上述の回路基板に電気的に接続されている。これにより、光ケーブル用コネクタおよび光ケーブルが、トランシーバモジュールを介して回路基板に電気的に接続されることとなる。
【0004】
また、トランシーバモジュールにおいては、特許文献1にも示されるように、電波障害(電磁障害)(EMI:Electromagnetic interference)対策として、環状のEMIガスケットカラー、および、弾性金属ばねガスケットが、光モジュール用リセプタクルのモジュール挿入口の周縁に設けられている。また、複数のEMIガスケットが、光モジュール用リセプタクル内のリセプタクルコネクタの周辺に形成される下開口の前縁、両側縁にも、それぞれ、設けられている。これにより、EMIシールドが、リセプタクルコネクタおよび光モジュール相互間の接続部に形成されることとなる。
【0005】
さらに、トランシーバモジュールにおいては、特許文献1にも示されるように、放熱対策としてヒートシンクを、光モジュール用リセプタクルの上面にヒートシンクを設けることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2005−520296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した電波障害対策において、シャーシ内のトランシーバモジュールの内部からシャーシの内部へのノイズの不要輻射も回路基板上の他の電子部品に対し弊害となるので光モジュールの外周部と光モジュール用リセプタクルの内周部との隙間を通じてノイズがシャーシ内に放射されることも抑制されなければならない。
【0008】
特許文献1においては、複数のEMIガスケットが、光モジュール用リセプタクル内のリセプタクルコネクタの周辺に形成される下開口の前縁、両側縁にも、それぞれ、設けられる構成が提案されている。
【0009】
しかしながら、光モジュール用リセプタクル内の光モジュールの外周部における上面部とそれに対向する光モジュール用リセプタクルの内周部との間に隙間が形成されている。特に、光モジュールおよび光モジュール用リセプタクル相互間には、光モジュールにおける着脱方向に沿った所定量の相対的な遊びがあるので光モジュールの外周部と光モジュール用リセプタクルの内周部との隙間を密封することは容易でない。即ち、上述の特許文献1において提案されている構成は、その隙間を通じたノイズの輻射の虞があるので電波障害対策が十分とは言えない。
【0010】
以上の問題点を考慮し、本発明は、リセプタクル用ケージ、リセプタクルアッセンブリー、トランシーバモジュールアッセンブリーであって、リセプタクル用ケージの内部から外部へのノイズの輻射を確実に抑制することができるリセプタクル用ケージ、リセプタクルアッセンブリー、トランシーバモジュールアッセンブリーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するために、本発明に係るリセプタクル用ケージは、通信システムの筐体内の配線基板に実装されるリセプタクルアッセンブリーに用いられるリセプタクル用ケージであって、光モジュールが通過するモジュールスロットを一端に有し、該光モジュールを着脱可能に収容し、光モジュールの下面に当接する底壁部を有する金属製のモジュール収容部と、モジュール収容部に連通し、光モジュールが接続されるコネクタを収容する金属製のコネクタ収容部と、モジュールスロットの全周縁に設けられ、光モジュールの外周面に当接しモジュール収容部に発生した電磁波ノイズを筐体内に放射させないように遮蔽する金属製の第1のシールド部材と、コネクタ収容部と光モジュール収容部との境界部分に対応する部位であってコネクタ収容部の上部に設けられ、光モジュールの上面に当接しコネクタ収容部に発生した電磁波ノイズを遮蔽する金属製の第2のシールド部材と、第2のシールド部材が設けられる部位とは異なる部位であってコネクタ収容部とモジュール収容部との境界部分に対応する部位に設けられ、光モジュールの両側面に当接しコネクタ収容部に発生した電磁波ノイズを遮蔽する金属製の第3のシールド部材と、を備えて構成される。
【0012】
本発明に係るリセプタクルアッセンブリーは、通信システムの筐体内の配線基板に実装されるリセプタクルアッセンブリーであって、光モジュールと接続されるコネクタと、光モジュールが通過するモジュールスロットを一端に有し、光モジュールを着脱可能に収容し、光モジュールの下面に当接する底壁部を有する金属製のモジュール収容部と、モジュール収容部に連通し、コネクタを収容する金属製のコネクタ収容部と、モジュールスロットの全周縁に設けられ、光モジュールの外周面に当接しモジュール収容部に発生した電磁波ノイズを前記筐体内に放射させないように遮蔽する金属製の第1のシールド部材と、コネクタ収容部の上部に設けられ、光モジュールの上面に当接しコネクタ収容部に発生した電磁波ノイズを遮蔽する金属製の第2のシールド部材と、第2のシールド部材が設けられる部位とは異なる部位であってコネクタ収容部とモジュール収容部との境界部分に対応する部位に設けられ、光モジュールの両側面に当接しコネクタ収容部に発生した電磁波ノイズを遮蔽する金属製の第3のシールド部材と、を含んでなる金属製のリセプタクル用ケージと、コネクタ収容部に配され、コネクタを覆うコネクタカバーと、を備えて構成される。
【0013】
本発明に係るトランシーバモジュールアッセンブリーは、通信システムの筐体内の配線基板に実装されるトランシーバモジュールアッセンブリーであって、光モジュールと、
光モジュールと接続されるコネクタと、光モジュールが通過するモジュールスロットを一端に有し、光モジュールを着脱可能に収容するモジュール収容部と、モジュール収容部に連通し、コネクタを収容する金属製のコネクタ収容部と、モジュールスロットの全周縁に設けられ、光モジュールの外周面に当接しモジュール収容部に発生した電磁波ノイズを筐体内に放射させないように遮蔽する金属製の第1のシールド部材と、コネクタ収容部の上部に設けられ、光モジュールの上面に当接しコネクタ収容部に発生した電磁波ノイズを遮蔽する金属製の第2のシールド部材と、第2のシールド部材が設けられる部位とは異なる部位であってコネクタ収容部とモジュール収容部との境界部分に対応する部位に設けられ、光モジュールの両側面に当接しコネクタ収容部に発生した電磁波ノイズを遮蔽する金属製の第3のシールド部材と、コネクタ収容部に配され、コネクタを覆うコネクタカバーと、を含んでなる光モジュール用リセプタクルアッセンブリーと、を備えて構成される。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るリセプタクル用ケージ、リセプタクルアッセンブリー、トランシーバモジュールアッセンブリーによれば、モジュールスロットの全周縁に設けられ、光モジュールの外周面に当接し光モジュール収容部に発生した電磁波ノイズを筐体内に放射させないように遮蔽する金属製の第1のシールド部材と、コネクタ収容部の上部に設けられ、光モジュールの上面に当接しコネクタ収容部に発生した電磁波ノイズを遮蔽する金属製の第2のシールド部材と、第2のシールド部材が設けられる部位とは異なる部位であってコネクタ収容部と光モジュール収容部との境界部分に対応する部位に設けられ、光モジュールの両側面に当接しコネクタ収容部に発生した電磁波ノイズを遮蔽する金属製の第3のシールド部材を備えるので光モジュール用リセプタクルの内部から外部へのノイズの輻射を確実に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るリセプタクルアッセンブリーの一例を示す分解斜視図である。
【図2】本発明に係るトランシーバモジュールアッセンブリーの一例が実装された筐体の外観を概略的に示す斜視図である。
【図3】図2に示される例において、筐体の内部の構成を示す斜視図である。
【図4A】本発明に係るリセプタクル用ケージの一例を示す斜視図である。
【図4B】図4Aに示される例における一部を拡大して部分的に示す斜視図である。
【図4C】図4Bに示される例において、光モジュールのプラグコネクタが挿入された状態を示す斜視図である。
【図5】光モジュールの外観を示す斜視図である。
【図6A】図5に示される光モジュールの一部を、そのロアプレートを外した状態で部分的に拡大して示す斜視図である。
【図6B】図6Aに示される光モジュールの一部を破断して示す斜視図である。
【図6C】図6Bに示される光モジュールの一部の部分断面図である。
【図7】図1に示されるリセプタクルアッセンブリーの一例において用いられるリセプタクルコネクタを拡大して示す斜視図である。
【図8】図7においてVIII−VIII線に沿って示される断面図である。
【図9A】図7に示されるリセプタクルコネクタに用いられるコンタクト端子を示す斜視図である。
【図9B】図7に示されるリセプタクルコネクタに用いられるコンタクト端子を示す斜視図である。
【図10】図2に示されるトランシーバモジュールアッセンブリーの動作説明に供される断面図である。
【図11】図2に示されるトランシーバモジュールアッセンブリーの一部を拡大して示す斜視図である。
【図12】図11におけるXII−XII線に沿って示される断面図である。
【図13A】図2に示されるトランシーバモジュールアッセンブリーの動作説明に供される断面図である。
【図13B】図2に示されるトランシーバモジュールアッセンブリーの動作説明に供される断面図である。
【図14】図2に示されるトランシーバモジュールアッセンブリーにおける光モジュールの裏差し挿入の説明に供される斜視図である。
【図15】図14に示される例の側面図である。
【図16】ヒートシンクが図1に示される光モジュール用リセプタクルアッセンブリーの上部に搭載された状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図2は、本発明に係るトランシーバモジュールアッセンブリーの一例を、それが配置される筐体18と共に示す。
【0017】
筐体18の操作側端面18Fには、後述するトランシーバモジュールアッセンブリー10の光モジュール14の端部が突出している。光モジュール14の端部に設けられるポートには、光ケーブルFCの一端が接続された光コネクタが接続されている。光ケーブルFCの他端は、図示が省略される通信システムを構成する他の筐体の光コネクタに接続されている。
【0018】
密閉空間を内部に形成する筐体18は、図3に示されるように、トランシーバモジュールアッセンブリー10が実装されるプリント配線基板16を内部に収容している。なお、図3において、1個のトランシーバモジュールアッセンブリー10が一枚のプリント配線基板16に実装されているが、斯かる例に限られることなく、複数個のトランシーバモジュールアッセンブリー10が一枚のプリント配線基板16に実装されてもよい。
【0019】
筐体18の操作側端面18Fには、開口部18aが形成されている。開口部18aには、後述するリセプタクル用ケージ12のモジュールスロット側の端部に設けられる金属製のフロントEMIフィンガー12FFが挿入されている。
【0020】
トランシーバモジュールアッセンブリー10は、光モジュール14および光モジュール用リセプタクルアッセンブリーを含んで構成されている。
【0021】
光モジュール14は、図5に示されるように、外郭部を形成する金属製のアッパケース14Aおよびロアプレート14Bと、アッパケース14Aとロアプレート14Bとの間に形成される収容空間おける所定位置に位置決めされるモジュール基板14Sとを主な要素として含んで構成されている。
【0022】
アッパケース14Aの一方の端部には、アッパケース14Aの上面に連なって長手方向に突出する薄板状の保護壁14aが形成されている。保護壁14aおよび後述する保護壁14bは、光モジュール14が誤って落下された場合、後述するプラグコネクタ14Pを保護するためのものとされる。アッパケース14Aの他方の端部には、ラッチ機構が設けられている。ラッチ機構は、リリースプレートおよびラッチレバーを含んで構成されている。ラッチレバーが、ロアプレート14Bの下面と共通の仮想平面まで図5において矢印Rの示す方向、即ち、反時計回り方向に回動されるとき、リリースプレートの係止片が矢印の示す方向に移動され後述するロック片12LFに対し離脱されアンロック状態とされる。また、ラッチレバーが、図5において矢印Rの示す方向とは反対方向に回動されるとき、リリースプレートの係止片が後述するリセプタクル用ケージ12のロック片12LFに対し係止される。これにより、光モジュール14がリセプタクル用ケージ12に対しロック状態とされる。
【0023】
モジュール基板14Sは、図6Aに拡大されて示されるように、一方の端部にプラグコネクタ14Pを構成する電極部14Eを有している。電極部14Eの表面および裏面には、それぞれ、複数のコンタクトパッドが共通の平面上に所定の間隔で互いに平行に配列されている。モジュール基板14Sの電極部14Eの双方の側面近傍には、図6Aに示されるように、それぞれ、一対の爪部14Nが形成されている。爪部14Nは、アッパケース14Aの基板支持壁14AFにおける溝の周縁に係止されている。その溝には、図6Cに示されるように、モジュール基板14Sの電極部14Eが保護壁14aに対し略平行となるようにモジュール基板14Sが挿入される。図6Bおよび図6Cに拡大されて示されるように、各爪部14Nに向かい合う基板支持壁14AFを挟んで板ばね14LSが設けられている。各板ばね14LSが、基板支持壁14AFを押圧することにより、一対の爪部14Nが確実に基板支持壁14AFに係止されるのでモジュール基板14Sのアッパケース14Aに対する遊びがなくなる。従って、プラグコネクタ14Pにおける基板支持壁14AFの端面から先端までの突出長さが、精度よく管理されることとなる。
【0024】
ロアプレート14Bの一方の端部には、図5に示されるように、ロアプレート14Bの下面に連なって長手方向に突出する薄板状の保護壁14bが形成されている。保護壁14bは、図6Cに示されるように、プラグコネクタ14Pおよび保護壁14aに対し所定の間隔をもって略平行に形成されている。保護壁14aの突出長さLaは、図15に示されるように、保護壁14bの突出長さLbおよびプラグコネクタ14Pの突出長さに比して若干大に設定されている。
【0025】
光モジュール用リセプタクルアッセンブリーは、図1に示されるように、プリント配線基板16に配され上述の光モジュール14を着脱可能に収容するリセプタクル用ケージ12と、リセプタクル用ケージ12のリセプタクルコネクタ収容部12Dに収容されるリセプタクルコネクタ22と、リセプタクルコネクタ22を覆うコネクタカバー20と、を主な要素として含んで構成される。
【0026】
リセプタクル用ケージ12は、図1に示されるように、例えば、ステンレス鋼、または、りん青銅の薄板、好ましくは、熱伝導性のよいステンレス鋼、または、りん青銅でプレス加工により作られている。リセプタクル用ケージ12は、モジュール収容部12Aおよびリセプタクルコネクタ収容部12Dを内側に有している。
【0027】
モジュール収容部12Aは、所定の間隔をもって相対向する側壁12RWおよび12LWと、その底壁部12BPと、により囲まれて形成されている。側壁12RWおよび12LWは、図1における直交座標におけるX座標軸、即ち、光モジュール14の着脱方向に沿って延在している。側壁12RWおよび12LWは、それぞれ、ロック片12LFを後述するモジュールスロット近傍に有している。各ロック片12LFは、上述の光モジュール14をモジュール収容部12Aに対しロック状態とするように上述の光モジュール14のリリースプレートの係止片に選択的に係合される。
【0028】
モジュール収容部12Aは、X座標軸方向に開口しているモジュールスロットを一端に有している。これにより、光モジュール14がモジュールスロットを通じて着脱される。略矩形の断面を有するモジュールスロットの全周縁には、第1のシールド部材としての筒状のフロントEMIフィンガー12FFが設けられている。フロントEMIフィンガー12FFの内周部は、挿入される光モジュール14の外周部に当接し、また、フロントEMIフィンガー12FFの外周部は、例えば、筐体18の開口部18aの周縁に当接することとなる。これにより、図3に示されるように、リセプタクル用ケージ12が筐体18の開口部18aに圧入された場合、筐体18の開口部18aとリセプタクル用ケージ12の外周部との隙間が金属製のフロントEMIフィンガー12FFによりシールドされるのでノイズが、筐体18内に閉じ込められるとともに、光モジュール14の外周部とモジュール収容部12Aの内周部との隙間を通じてノイズが外部に漏れ出す虞がないこととなる。
【0029】
また、モジュール収容部12Aにおけるモジュールスロットに向かい合う他端は、コネクタカバー20のガイドプレート部20PW(図4A参照)を介してリセプタクルコネクタ収容部12D内に連通している。底壁部12BPに向かい合う部分には、Z座標軸に沿って開口する略矩形の開口部12bが、形成されている。開口部12bの周縁には、後述するヒートシンクホルダー32の一対の係止片(図16参照)を選択的に保持する一対のフック部12taがリセプタクル用ケージ12に一体に形成されている。一対のフック部12taは、一対の係止片の間隔に対応した所定の間隔をもってY座標軸方向に一列に形成されている。
【0030】
図4Aに示されるように、側壁12RWおよび12LWの下端を連結している底壁部12BPにおける短辺の双方の端部は、プリント配線基板16の表面に当接している。また、底壁部12BPにおける短辺の一方の端部は、図12に拡大されて示されるように、プリント配線基板16の表面に形成される環状の接地用コンタクトパッド16CPGの一辺に当接し、底壁部12BPより下方に折り曲げられた折曲片12BPTを有している。これにより、リセプタクル用ケージ12が接地される。また、折曲片12BPTによって底壁部12BPにおける短辺の端部以外の部分は、プリント配線基板16の表面に対し所定の隙間(空気層)CLDをもって配されている。これにより、筐体18内の空気がファン等により隙間CLDを通じて流れている場合、底壁部12BPが空気層により冷却されるので光モジュール14に発生した熱が、リセプタクル用ケージ12を介して効率よく放熱されることとなる。さらに、プリント配線基板16において、底壁部12BPにおける短辺の端部以外の部分の下方に対応する部分にもプリント配線基板16の表面における導体パターンを形成できるので導体パターンの設計上の自由度も増すこととなる。
【0031】
底壁部12BPにおける双方の長辺には、それぞれ、プレスフィット用爪部12Pi(i=1〜n,nは正の整数)が所定の間隔で形成されている。各プレスフィット用爪部12Piは、図1に示されるように、プレスフィット用爪部12Piの配列に対応してプリント配線基板16の表面に形成される細孔16ai(i=1〜n,nは正の整数)に圧入される。これにより、リセプタクル用ケージ12の下端面がプリント配線基板16の表面に密着固定される。その際、図4Bおよび図4Cに部分的に拡大されて示されるように、リセプタクル用ケージ12におけるリセプタクルコネクタ収容部12Dを形成する部分の下端面12EM1、12EM2、12EM3、および、12EM4が、それぞれ、上述の接地用コンタクトパッド16CPGに密着するのでEMIシールドが施される。
【0032】
プリント配線基板16の表面に向けて開口するリセプタクルコネクタ収容部12Dは、図4Aに拡大されて示されるように、リセプタクル用ケージ12におけるモジュールスロットに向き合うリセプタクルコネクタ側閉端部と、リセプタクルコネクタ側の開口部12bの周縁を形成する上面と、側壁12RWおよび12LWのリセプタクルコネクタ側部分とにより囲まれて形成されている。
【0033】
リセプタクルコネクタ収容部12Dの上面を形成する部分には、図1および図11に示されるように、第2のシールド部材としての金属製のトップEMIフィンガー12TFが設けられている。光モジュール14のプラグコネクタ14Pがリセプタクルコネクタ22に接続された場合、トップEMIフィンガー12TFは、図12に拡大されて示されるように、光モジュール14の保護壁14aの外周面に当接するものとされる。また、トップEMIフィンガー12TFよりもリセプタクルコネクタ側閉端部に近い位置には、図11に示されるように、後述するコネクタカバー20を保持する一対の爪部12Nが形成されている。
【0034】
側壁12RWおよび12LWにおけるコネクタカバー20のガイドプレート20PWに向き合う位置、例えば、リセプタクルコネクタ収容部12Dとモジュール収容部12Aとの境界部分に対応する部位にも、それぞれ、第3のシールド部材としての金属製のサイドEMIフィンガー12SRF,12SLFが設けられている。サイドEMIフィンガー12SRF,12SLFは、それぞれ、リセプタクルコネクタ収容部12Dとモジュール収容部12Aとに跨り、互いに向き合うように長手方向に延在している。従って、サイドEMIフィンガー12SRF,12SLFの一方の端部の位置は、トップEMIフィンガー12TFの端部の位置よりもモジュールスロット側に近接するように位置している。
【0035】
また、光モジュール14のプラグコネクタ14Pがリセプタクルコネクタ22に接続された場合、図4Cおよび図11に示されるように、サイドEMIフィンガー12SRF,12SLFは、それぞれ、向かい合う光モジュール14のアッパケース14Aおよびロアプレート14Bの側面に当接される。
【0036】
これにより、リセプタクル用ケージ12における内周面と光モジュール14のアッパケース14Aおよびロアプレート14Bの外周面との隙間が、トップEMIフィンガー12TF、サイドEMIフィンガー12SRF,12SLFによりシールドされるとともに、ロアプレート14Bが底壁部12BPに当接するので発生したノイズが、リセプタクル用ケージ12内に閉じ込められるとともに、光モジュール14とリセプタクルコネクタ収容部12Dとの隙間を通じてノイズが筐体18に放射する虞がないこととなる。
【0037】
リセプタクルコネクタ側閉端部には、図4Bに拡大されて示されるように、後述するヒートシンクホルダー32の一対の係止片が係止される一対のフック部材12tbがリセプタクル用ケージ12と一体に形成されている。各フック部材12tbの周縁には、開口部12aが形成されている。
【0038】
コネクタカバー20は、例えば、樹脂材料で作られ、図1に示されるように、光モジュール14の着脱のとき、光モジュール14のプラグコネクタ14Pを案内するガイドプレート20PWと、リセプタクルコネクタ22を内側に収容し所定の隙間をもってリセプタクルコネクタ22を覆う遮蔽部20Aとを含んで構成されている。
【0039】
ガイドプレート20PWは、光モジュール14のプラグコネクタ14Pが挿入されるスロット20PWcと、光モジュール14の保護壁14bが挿入される切欠部20PWaとを有している。スロット20PWcと切欠部20PWaとは、仕切壁20PWbにより仕切られている。ガイドプレート20PWは、コネクタ収容部の上面部に対し直交するように一体に形成されている。
【0040】
コネクタカバー20における遮蔽部20Aの上面部には、光モジュール14の着脱のとき、図10および図12に示されるように、光モジュール14の保護壁14aを案内する段差部20Rが形成されている。これにより、図14および図15に示されるように、光モジュール14が誤って裏差しの状態でリセプタクル用ケージ12内に挿入された場合、保護壁14aの先端がコネクタカバー20におけるガイドプレート20PWの端面に当接するので光モジュール14の誤挿入が防止される。その際、保護壁14aの先端がコネクタカバー20におけるガイドプレート20PWの端面に当接し、プラグコネクタ14Pの先端がガイドプレート20PWの端面に当接しないので光モジュール14の誤挿入のとき、プラグコネクタ14Pの先端の破損が回避される。
【0041】
また、コネクタカバー20における段差部20Rの近傍には、リセプタクル用ケージ12の一対の係止片12Nが圧入される孔20dが形成されている。
【0042】
リセプタクルコネクタ22は、図7および図8に示されるように、光モジュール14のプラグコネクタ14Pが着脱可能に挿入されるスロット22Aを有するコネクタインシュレータと、複数のコンタクト端子26ai,28ai(i=1〜n,nは正の整数)とを含んで構成されている。
【0043】
コンタクト端子26ai,28aiは、それぞれ、光モジュール14のプラグコネクタ14Pをプリント配線基板16の導体パターンに接続される電極群16CPAに電気的に接続するものとされる。コンタクト端子26aiは、光モジュール14のプラグコネクタ14Pにおける電極部14Eに当接される接点部26maを一端に有する可動接点部26Mと、電極群16CPAに半田付け固定される固定端子部26faを一端に有する連結部26Bとを含んで構成される。連結部26Bは、可動接点部26Mの他端に対し直交するように可動接点部26Mと一体に成形されている。コンタクト端子28aiは、光モジュール14のプラグコネクタ14Pにおける電極部14Eに当接される接点部28maを一端に有する可動接点部28Mと、電極群16CPAに半田付け固定される固定端子部28faを一端に有する固定部28Fと、可動接点部28Mの他端と固定部28Fの他端とを連結する連結部28Bを含んで構成される。連結部28Bは、コネクタインシュレータのスロット22Bを形成する壁部に圧入され固定される爪部を有している。
【0044】
コネクタインシュレータは、樹脂材料で成形され、光モジュール14のプラグコネクタ14Pが着脱されるスロット22Aと、保護壁14bが着脱されるスロット22BとをZ座標軸に沿って二段に有している。スロット22Bは、スロット22Aの下方に仕切壁22PWを介して互いに略平行に形成される。
【0045】
スロット22Aは、図7において、所定の間隔でY座標軸に沿って形成される複数のスリット22Si(i=1〜n,nは正の整数)が形成されている。隣接するスリット22Si相互間は、隔壁22Wi(i=1〜n,nは正の整数)により仕切られている。各スリット22Si内には、コンタクト端子26aiの可動接点部26Mとコンタクト端子28aiの可動接点部28Mとが向かい合って配置されている。
【0046】
スロット22Bは、図7において、所定の間隔でY座標軸に沿って形成される複数のスリット22Di(i=1〜n,nは正の整数)が形成されている。隣接するスリット22Di相互間は、隔壁により仕切られている。各スリット22Di内には、コンタクト端子28aiの固定部28Fが配置されている。これにより、コンタクト端子28aiの固定端子部28faが、スロット22B内に突出することとなる。従って、保守のとき、検査および半田付け作業が容易となる。
【0047】
コネクタインシュレータの底部には、プリント配線基板16の位置決め孔に嵌合される位置決めピン22Pが複数個形成されている。位置決めピン22Pは、プリント配線基板16の位置決め孔に嵌合される場合、位置決め孔の内周部を押圧し保持する一対のスプリング22PSを有している。
【0048】
斯かる構成において、図13Aに示されるように、光モジュール14のプラグコネクタ14Pがリセプタクルコネクタ22のスロット22A内のコンタクト端子26ai,28aiに接続された状態においては、光モジュール14の保護壁14aがトップEMIフィンガー12TFにより底壁部12BPの方向に向けて付勢されている。その際、光モジュール14のプラグコネクタ14Pの基端とコネクタカバー20のガイドプレート20PWのスロット20PWcの内周面との間に所定の隙間CLDが形成されている。また、保護壁14aとコネクタカバー20の段差部20Rとの間に隙間CLAが形成されている。さらに、光モジュール14のプラグコネクタ14Pとリセプタクルコネクタ22のスロット22Aの内周面との間にも、隙間CLDよりも大なる所定の隙間が形成されている。隙間CLDは、隙間CLAよりも小に設定されている。
【0049】
このような状態において、図13Bに示されるように、図7におけるZ座標軸方向に沿って衝撃力が、トランシーバモジュールアッセンブリー10およびプリント配線基板16に作用し、保護壁14aとコネクタカバー20の段差部20Rとの間の隙間CLBが隙間CLAよりも大なる隙間となった場合、プラグコネクタ14Pの基端とコネクタカバー20のガイドプレート20PWのスロット20PWcの内周面とが当接するので光モジュール14のプラグコネクタ14Pとリセプタクルコネクタ22のスロット22Aの内周面とが衝突することなく、プラグコネクタ14Pおよびコンタクト端子26ai等が破損することが回避される。
【0050】
リセプタクル用ケージ12の上面には、図16に示されるように、ヒートシンクホルダー32により保持されるヒートシンク30が、着脱可能に取付けられる。
【0051】
ヒートシンクホルダー32は、リセプタクル用ケージ12の上面に設けられる一対のフック部12taに着脱可能に係止される一対の係止片と、リセプタクル用ケージ12のリセプタクルコネクタ側閉端部の一対のフック部12tbに着脱可能に係止される一対の係止片とを両端に有している。これにより、図16に示される矢印の示す方向に沿ってフック部12taを回転中心としてヒートシンク30を伴ってヒートシンクホルダー32を回動させることにより、ヒートシンク30が、リセプタクル用ケージ12に対し容易に着脱可能とされる。
【0052】
ヒートシンク30は、例えば、アルミニウム等の熱伝導率の良好な金属で作られ、所定の間隔をもってX座標軸に沿って互いに平行に配列されるフィン30fi(i=1〜n,nは正の整数)を有している。
【0053】
斯かる構成において、光モジュール14が、リセプタクル用ケージ12に装着された場合、ヒートシンク30の下端に形成される伝熱面(不図示)は、開口部12bを介して光モジュール14のアッパケース14Aの外周面に直接的に当接するものとされる。これにより、光モジュール14において発生した熱がヒートシンク30を通じて効率よく放熱されることとなる。
【符号の説明】
【0054】
10 トランシーバモジュールアッセンブリー
12 リセプタクル用ケージ
12FF フロントEMIフィンガー
12TF トップEMIフィンガー
12SRF,12SLF サイドEMIフィンガー
12BP スライドプレート
14 光モジュール
16 プリント配線基板
20 コネクタカバー
22 リセプタクルコネクタ
26ai,28ai コンタクト端子
【技術分野】
【0001】
本発明は、リセプタクル用ケージ、リセプタクルアッセンブリー、トランシーバモジュールアッセンブリーに関する。
【背景技術】
【0002】
光通信システムにおいては、光コネクタ等により伝送される光信号をマザーボードに伝送するためにトランシーバモジュールが実用に供されている。トランシーバモジュールは、例えば、特許文献1にも示されるように、通信システムを構成するシャーシに配置されている。そのようなトランシーバモジュールは、光モジュール(特許文献1においては、モジュール組立体と呼称されている)と、マザーボードとしての回路基板上に配され光モジュールを着脱可能に収容する光モジュール用リセプタクル(特許文献1においては、リセプタクル組立体と呼称されている)と、を主な要素として含んで構成されている。
【0003】
そのシャーシの前面カバーに露出した光モジュールの端部におけるポートには、例えば、他のシステムとの相互接続を行う光ケーブル用コネクタおよび光ケーブルが接続される。光モジュールが光モジュール用リセプタクルに接続される場合、光モジュールの接続端部が光モジュール用リセプタクル内の回路基板上に実装されるリセプタクルコネクタの被接続部に接続される。そのリセプタクルコネクタの被接続部は、上述の回路基板に電気的に接続されている。これにより、光ケーブル用コネクタおよび光ケーブルが、トランシーバモジュールを介して回路基板に電気的に接続されることとなる。
【0004】
また、トランシーバモジュールにおいては、特許文献1にも示されるように、電波障害(電磁障害)(EMI:Electromagnetic interference)対策として、環状のEMIガスケットカラー、および、弾性金属ばねガスケットが、光モジュール用リセプタクルのモジュール挿入口の周縁に設けられている。また、複数のEMIガスケットが、光モジュール用リセプタクル内のリセプタクルコネクタの周辺に形成される下開口の前縁、両側縁にも、それぞれ、設けられている。これにより、EMIシールドが、リセプタクルコネクタおよび光モジュール相互間の接続部に形成されることとなる。
【0005】
さらに、トランシーバモジュールにおいては、特許文献1にも示されるように、放熱対策としてヒートシンクを、光モジュール用リセプタクルの上面にヒートシンクを設けることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2005−520296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した電波障害対策において、シャーシ内のトランシーバモジュールの内部からシャーシの内部へのノイズの不要輻射も回路基板上の他の電子部品に対し弊害となるので光モジュールの外周部と光モジュール用リセプタクルの内周部との隙間を通じてノイズがシャーシ内に放射されることも抑制されなければならない。
【0008】
特許文献1においては、複数のEMIガスケットが、光モジュール用リセプタクル内のリセプタクルコネクタの周辺に形成される下開口の前縁、両側縁にも、それぞれ、設けられる構成が提案されている。
【0009】
しかしながら、光モジュール用リセプタクル内の光モジュールの外周部における上面部とそれに対向する光モジュール用リセプタクルの内周部との間に隙間が形成されている。特に、光モジュールおよび光モジュール用リセプタクル相互間には、光モジュールにおける着脱方向に沿った所定量の相対的な遊びがあるので光モジュールの外周部と光モジュール用リセプタクルの内周部との隙間を密封することは容易でない。即ち、上述の特許文献1において提案されている構成は、その隙間を通じたノイズの輻射の虞があるので電波障害対策が十分とは言えない。
【0010】
以上の問題点を考慮し、本発明は、リセプタクル用ケージ、リセプタクルアッセンブリー、トランシーバモジュールアッセンブリーであって、リセプタクル用ケージの内部から外部へのノイズの輻射を確実に抑制することができるリセプタクル用ケージ、リセプタクルアッセンブリー、トランシーバモジュールアッセンブリーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するために、本発明に係るリセプタクル用ケージは、通信システムの筐体内の配線基板に実装されるリセプタクルアッセンブリーに用いられるリセプタクル用ケージであって、光モジュールが通過するモジュールスロットを一端に有し、該光モジュールを着脱可能に収容し、光モジュールの下面に当接する底壁部を有する金属製のモジュール収容部と、モジュール収容部に連通し、光モジュールが接続されるコネクタを収容する金属製のコネクタ収容部と、モジュールスロットの全周縁に設けられ、光モジュールの外周面に当接しモジュール収容部に発生した電磁波ノイズを筐体内に放射させないように遮蔽する金属製の第1のシールド部材と、コネクタ収容部と光モジュール収容部との境界部分に対応する部位であってコネクタ収容部の上部に設けられ、光モジュールの上面に当接しコネクタ収容部に発生した電磁波ノイズを遮蔽する金属製の第2のシールド部材と、第2のシールド部材が設けられる部位とは異なる部位であってコネクタ収容部とモジュール収容部との境界部分に対応する部位に設けられ、光モジュールの両側面に当接しコネクタ収容部に発生した電磁波ノイズを遮蔽する金属製の第3のシールド部材と、を備えて構成される。
【0012】
本発明に係るリセプタクルアッセンブリーは、通信システムの筐体内の配線基板に実装されるリセプタクルアッセンブリーであって、光モジュールと接続されるコネクタと、光モジュールが通過するモジュールスロットを一端に有し、光モジュールを着脱可能に収容し、光モジュールの下面に当接する底壁部を有する金属製のモジュール収容部と、モジュール収容部に連通し、コネクタを収容する金属製のコネクタ収容部と、モジュールスロットの全周縁に設けられ、光モジュールの外周面に当接しモジュール収容部に発生した電磁波ノイズを前記筐体内に放射させないように遮蔽する金属製の第1のシールド部材と、コネクタ収容部の上部に設けられ、光モジュールの上面に当接しコネクタ収容部に発生した電磁波ノイズを遮蔽する金属製の第2のシールド部材と、第2のシールド部材が設けられる部位とは異なる部位であってコネクタ収容部とモジュール収容部との境界部分に対応する部位に設けられ、光モジュールの両側面に当接しコネクタ収容部に発生した電磁波ノイズを遮蔽する金属製の第3のシールド部材と、を含んでなる金属製のリセプタクル用ケージと、コネクタ収容部に配され、コネクタを覆うコネクタカバーと、を備えて構成される。
【0013】
本発明に係るトランシーバモジュールアッセンブリーは、通信システムの筐体内の配線基板に実装されるトランシーバモジュールアッセンブリーであって、光モジュールと、
光モジュールと接続されるコネクタと、光モジュールが通過するモジュールスロットを一端に有し、光モジュールを着脱可能に収容するモジュール収容部と、モジュール収容部に連通し、コネクタを収容する金属製のコネクタ収容部と、モジュールスロットの全周縁に設けられ、光モジュールの外周面に当接しモジュール収容部に発生した電磁波ノイズを筐体内に放射させないように遮蔽する金属製の第1のシールド部材と、コネクタ収容部の上部に設けられ、光モジュールの上面に当接しコネクタ収容部に発生した電磁波ノイズを遮蔽する金属製の第2のシールド部材と、第2のシールド部材が設けられる部位とは異なる部位であってコネクタ収容部とモジュール収容部との境界部分に対応する部位に設けられ、光モジュールの両側面に当接しコネクタ収容部に発生した電磁波ノイズを遮蔽する金属製の第3のシールド部材と、コネクタ収容部に配され、コネクタを覆うコネクタカバーと、を含んでなる光モジュール用リセプタクルアッセンブリーと、を備えて構成される。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るリセプタクル用ケージ、リセプタクルアッセンブリー、トランシーバモジュールアッセンブリーによれば、モジュールスロットの全周縁に設けられ、光モジュールの外周面に当接し光モジュール収容部に発生した電磁波ノイズを筐体内に放射させないように遮蔽する金属製の第1のシールド部材と、コネクタ収容部の上部に設けられ、光モジュールの上面に当接しコネクタ収容部に発生した電磁波ノイズを遮蔽する金属製の第2のシールド部材と、第2のシールド部材が設けられる部位とは異なる部位であってコネクタ収容部と光モジュール収容部との境界部分に対応する部位に設けられ、光モジュールの両側面に当接しコネクタ収容部に発生した電磁波ノイズを遮蔽する金属製の第3のシールド部材を備えるので光モジュール用リセプタクルの内部から外部へのノイズの輻射を確実に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るリセプタクルアッセンブリーの一例を示す分解斜視図である。
【図2】本発明に係るトランシーバモジュールアッセンブリーの一例が実装された筐体の外観を概略的に示す斜視図である。
【図3】図2に示される例において、筐体の内部の構成を示す斜視図である。
【図4A】本発明に係るリセプタクル用ケージの一例を示す斜視図である。
【図4B】図4Aに示される例における一部を拡大して部分的に示す斜視図である。
【図4C】図4Bに示される例において、光モジュールのプラグコネクタが挿入された状態を示す斜視図である。
【図5】光モジュールの外観を示す斜視図である。
【図6A】図5に示される光モジュールの一部を、そのロアプレートを外した状態で部分的に拡大して示す斜視図である。
【図6B】図6Aに示される光モジュールの一部を破断して示す斜視図である。
【図6C】図6Bに示される光モジュールの一部の部分断面図である。
【図7】図1に示されるリセプタクルアッセンブリーの一例において用いられるリセプタクルコネクタを拡大して示す斜視図である。
【図8】図7においてVIII−VIII線に沿って示される断面図である。
【図9A】図7に示されるリセプタクルコネクタに用いられるコンタクト端子を示す斜視図である。
【図9B】図7に示されるリセプタクルコネクタに用いられるコンタクト端子を示す斜視図である。
【図10】図2に示されるトランシーバモジュールアッセンブリーの動作説明に供される断面図である。
【図11】図2に示されるトランシーバモジュールアッセンブリーの一部を拡大して示す斜視図である。
【図12】図11におけるXII−XII線に沿って示される断面図である。
【図13A】図2に示されるトランシーバモジュールアッセンブリーの動作説明に供される断面図である。
【図13B】図2に示されるトランシーバモジュールアッセンブリーの動作説明に供される断面図である。
【図14】図2に示されるトランシーバモジュールアッセンブリーにおける光モジュールの裏差し挿入の説明に供される斜視図である。
【図15】図14に示される例の側面図である。
【図16】ヒートシンクが図1に示される光モジュール用リセプタクルアッセンブリーの上部に搭載された状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図2は、本発明に係るトランシーバモジュールアッセンブリーの一例を、それが配置される筐体18と共に示す。
【0017】
筐体18の操作側端面18Fには、後述するトランシーバモジュールアッセンブリー10の光モジュール14の端部が突出している。光モジュール14の端部に設けられるポートには、光ケーブルFCの一端が接続された光コネクタが接続されている。光ケーブルFCの他端は、図示が省略される通信システムを構成する他の筐体の光コネクタに接続されている。
【0018】
密閉空間を内部に形成する筐体18は、図3に示されるように、トランシーバモジュールアッセンブリー10が実装されるプリント配線基板16を内部に収容している。なお、図3において、1個のトランシーバモジュールアッセンブリー10が一枚のプリント配線基板16に実装されているが、斯かる例に限られることなく、複数個のトランシーバモジュールアッセンブリー10が一枚のプリント配線基板16に実装されてもよい。
【0019】
筐体18の操作側端面18Fには、開口部18aが形成されている。開口部18aには、後述するリセプタクル用ケージ12のモジュールスロット側の端部に設けられる金属製のフロントEMIフィンガー12FFが挿入されている。
【0020】
トランシーバモジュールアッセンブリー10は、光モジュール14および光モジュール用リセプタクルアッセンブリーを含んで構成されている。
【0021】
光モジュール14は、図5に示されるように、外郭部を形成する金属製のアッパケース14Aおよびロアプレート14Bと、アッパケース14Aとロアプレート14Bとの間に形成される収容空間おける所定位置に位置決めされるモジュール基板14Sとを主な要素として含んで構成されている。
【0022】
アッパケース14Aの一方の端部には、アッパケース14Aの上面に連なって長手方向に突出する薄板状の保護壁14aが形成されている。保護壁14aおよび後述する保護壁14bは、光モジュール14が誤って落下された場合、後述するプラグコネクタ14Pを保護するためのものとされる。アッパケース14Aの他方の端部には、ラッチ機構が設けられている。ラッチ機構は、リリースプレートおよびラッチレバーを含んで構成されている。ラッチレバーが、ロアプレート14Bの下面と共通の仮想平面まで図5において矢印Rの示す方向、即ち、反時計回り方向に回動されるとき、リリースプレートの係止片が矢印の示す方向に移動され後述するロック片12LFに対し離脱されアンロック状態とされる。また、ラッチレバーが、図5において矢印Rの示す方向とは反対方向に回動されるとき、リリースプレートの係止片が後述するリセプタクル用ケージ12のロック片12LFに対し係止される。これにより、光モジュール14がリセプタクル用ケージ12に対しロック状態とされる。
【0023】
モジュール基板14Sは、図6Aに拡大されて示されるように、一方の端部にプラグコネクタ14Pを構成する電極部14Eを有している。電極部14Eの表面および裏面には、それぞれ、複数のコンタクトパッドが共通の平面上に所定の間隔で互いに平行に配列されている。モジュール基板14Sの電極部14Eの双方の側面近傍には、図6Aに示されるように、それぞれ、一対の爪部14Nが形成されている。爪部14Nは、アッパケース14Aの基板支持壁14AFにおける溝の周縁に係止されている。その溝には、図6Cに示されるように、モジュール基板14Sの電極部14Eが保護壁14aに対し略平行となるようにモジュール基板14Sが挿入される。図6Bおよび図6Cに拡大されて示されるように、各爪部14Nに向かい合う基板支持壁14AFを挟んで板ばね14LSが設けられている。各板ばね14LSが、基板支持壁14AFを押圧することにより、一対の爪部14Nが確実に基板支持壁14AFに係止されるのでモジュール基板14Sのアッパケース14Aに対する遊びがなくなる。従って、プラグコネクタ14Pにおける基板支持壁14AFの端面から先端までの突出長さが、精度よく管理されることとなる。
【0024】
ロアプレート14Bの一方の端部には、図5に示されるように、ロアプレート14Bの下面に連なって長手方向に突出する薄板状の保護壁14bが形成されている。保護壁14bは、図6Cに示されるように、プラグコネクタ14Pおよび保護壁14aに対し所定の間隔をもって略平行に形成されている。保護壁14aの突出長さLaは、図15に示されるように、保護壁14bの突出長さLbおよびプラグコネクタ14Pの突出長さに比して若干大に設定されている。
【0025】
光モジュール用リセプタクルアッセンブリーは、図1に示されるように、プリント配線基板16に配され上述の光モジュール14を着脱可能に収容するリセプタクル用ケージ12と、リセプタクル用ケージ12のリセプタクルコネクタ収容部12Dに収容されるリセプタクルコネクタ22と、リセプタクルコネクタ22を覆うコネクタカバー20と、を主な要素として含んで構成される。
【0026】
リセプタクル用ケージ12は、図1に示されるように、例えば、ステンレス鋼、または、りん青銅の薄板、好ましくは、熱伝導性のよいステンレス鋼、または、りん青銅でプレス加工により作られている。リセプタクル用ケージ12は、モジュール収容部12Aおよびリセプタクルコネクタ収容部12Dを内側に有している。
【0027】
モジュール収容部12Aは、所定の間隔をもって相対向する側壁12RWおよび12LWと、その底壁部12BPと、により囲まれて形成されている。側壁12RWおよび12LWは、図1における直交座標におけるX座標軸、即ち、光モジュール14の着脱方向に沿って延在している。側壁12RWおよび12LWは、それぞれ、ロック片12LFを後述するモジュールスロット近傍に有している。各ロック片12LFは、上述の光モジュール14をモジュール収容部12Aに対しロック状態とするように上述の光モジュール14のリリースプレートの係止片に選択的に係合される。
【0028】
モジュール収容部12Aは、X座標軸方向に開口しているモジュールスロットを一端に有している。これにより、光モジュール14がモジュールスロットを通じて着脱される。略矩形の断面を有するモジュールスロットの全周縁には、第1のシールド部材としての筒状のフロントEMIフィンガー12FFが設けられている。フロントEMIフィンガー12FFの内周部は、挿入される光モジュール14の外周部に当接し、また、フロントEMIフィンガー12FFの外周部は、例えば、筐体18の開口部18aの周縁に当接することとなる。これにより、図3に示されるように、リセプタクル用ケージ12が筐体18の開口部18aに圧入された場合、筐体18の開口部18aとリセプタクル用ケージ12の外周部との隙間が金属製のフロントEMIフィンガー12FFによりシールドされるのでノイズが、筐体18内に閉じ込められるとともに、光モジュール14の外周部とモジュール収容部12Aの内周部との隙間を通じてノイズが外部に漏れ出す虞がないこととなる。
【0029】
また、モジュール収容部12Aにおけるモジュールスロットに向かい合う他端は、コネクタカバー20のガイドプレート部20PW(図4A参照)を介してリセプタクルコネクタ収容部12D内に連通している。底壁部12BPに向かい合う部分には、Z座標軸に沿って開口する略矩形の開口部12bが、形成されている。開口部12bの周縁には、後述するヒートシンクホルダー32の一対の係止片(図16参照)を選択的に保持する一対のフック部12taがリセプタクル用ケージ12に一体に形成されている。一対のフック部12taは、一対の係止片の間隔に対応した所定の間隔をもってY座標軸方向に一列に形成されている。
【0030】
図4Aに示されるように、側壁12RWおよび12LWの下端を連結している底壁部12BPにおける短辺の双方の端部は、プリント配線基板16の表面に当接している。また、底壁部12BPにおける短辺の一方の端部は、図12に拡大されて示されるように、プリント配線基板16の表面に形成される環状の接地用コンタクトパッド16CPGの一辺に当接し、底壁部12BPより下方に折り曲げられた折曲片12BPTを有している。これにより、リセプタクル用ケージ12が接地される。また、折曲片12BPTによって底壁部12BPにおける短辺の端部以外の部分は、プリント配線基板16の表面に対し所定の隙間(空気層)CLDをもって配されている。これにより、筐体18内の空気がファン等により隙間CLDを通じて流れている場合、底壁部12BPが空気層により冷却されるので光モジュール14に発生した熱が、リセプタクル用ケージ12を介して効率よく放熱されることとなる。さらに、プリント配線基板16において、底壁部12BPにおける短辺の端部以外の部分の下方に対応する部分にもプリント配線基板16の表面における導体パターンを形成できるので導体パターンの設計上の自由度も増すこととなる。
【0031】
底壁部12BPにおける双方の長辺には、それぞれ、プレスフィット用爪部12Pi(i=1〜n,nは正の整数)が所定の間隔で形成されている。各プレスフィット用爪部12Piは、図1に示されるように、プレスフィット用爪部12Piの配列に対応してプリント配線基板16の表面に形成される細孔16ai(i=1〜n,nは正の整数)に圧入される。これにより、リセプタクル用ケージ12の下端面がプリント配線基板16の表面に密着固定される。その際、図4Bおよび図4Cに部分的に拡大されて示されるように、リセプタクル用ケージ12におけるリセプタクルコネクタ収容部12Dを形成する部分の下端面12EM1、12EM2、12EM3、および、12EM4が、それぞれ、上述の接地用コンタクトパッド16CPGに密着するのでEMIシールドが施される。
【0032】
プリント配線基板16の表面に向けて開口するリセプタクルコネクタ収容部12Dは、図4Aに拡大されて示されるように、リセプタクル用ケージ12におけるモジュールスロットに向き合うリセプタクルコネクタ側閉端部と、リセプタクルコネクタ側の開口部12bの周縁を形成する上面と、側壁12RWおよび12LWのリセプタクルコネクタ側部分とにより囲まれて形成されている。
【0033】
リセプタクルコネクタ収容部12Dの上面を形成する部分には、図1および図11に示されるように、第2のシールド部材としての金属製のトップEMIフィンガー12TFが設けられている。光モジュール14のプラグコネクタ14Pがリセプタクルコネクタ22に接続された場合、トップEMIフィンガー12TFは、図12に拡大されて示されるように、光モジュール14の保護壁14aの外周面に当接するものとされる。また、トップEMIフィンガー12TFよりもリセプタクルコネクタ側閉端部に近い位置には、図11に示されるように、後述するコネクタカバー20を保持する一対の爪部12Nが形成されている。
【0034】
側壁12RWおよび12LWにおけるコネクタカバー20のガイドプレート20PWに向き合う位置、例えば、リセプタクルコネクタ収容部12Dとモジュール収容部12Aとの境界部分に対応する部位にも、それぞれ、第3のシールド部材としての金属製のサイドEMIフィンガー12SRF,12SLFが設けられている。サイドEMIフィンガー12SRF,12SLFは、それぞれ、リセプタクルコネクタ収容部12Dとモジュール収容部12Aとに跨り、互いに向き合うように長手方向に延在している。従って、サイドEMIフィンガー12SRF,12SLFの一方の端部の位置は、トップEMIフィンガー12TFの端部の位置よりもモジュールスロット側に近接するように位置している。
【0035】
また、光モジュール14のプラグコネクタ14Pがリセプタクルコネクタ22に接続された場合、図4Cおよび図11に示されるように、サイドEMIフィンガー12SRF,12SLFは、それぞれ、向かい合う光モジュール14のアッパケース14Aおよびロアプレート14Bの側面に当接される。
【0036】
これにより、リセプタクル用ケージ12における内周面と光モジュール14のアッパケース14Aおよびロアプレート14Bの外周面との隙間が、トップEMIフィンガー12TF、サイドEMIフィンガー12SRF,12SLFによりシールドされるとともに、ロアプレート14Bが底壁部12BPに当接するので発生したノイズが、リセプタクル用ケージ12内に閉じ込められるとともに、光モジュール14とリセプタクルコネクタ収容部12Dとの隙間を通じてノイズが筐体18に放射する虞がないこととなる。
【0037】
リセプタクルコネクタ側閉端部には、図4Bに拡大されて示されるように、後述するヒートシンクホルダー32の一対の係止片が係止される一対のフック部材12tbがリセプタクル用ケージ12と一体に形成されている。各フック部材12tbの周縁には、開口部12aが形成されている。
【0038】
コネクタカバー20は、例えば、樹脂材料で作られ、図1に示されるように、光モジュール14の着脱のとき、光モジュール14のプラグコネクタ14Pを案内するガイドプレート20PWと、リセプタクルコネクタ22を内側に収容し所定の隙間をもってリセプタクルコネクタ22を覆う遮蔽部20Aとを含んで構成されている。
【0039】
ガイドプレート20PWは、光モジュール14のプラグコネクタ14Pが挿入されるスロット20PWcと、光モジュール14の保護壁14bが挿入される切欠部20PWaとを有している。スロット20PWcと切欠部20PWaとは、仕切壁20PWbにより仕切られている。ガイドプレート20PWは、コネクタ収容部の上面部に対し直交するように一体に形成されている。
【0040】
コネクタカバー20における遮蔽部20Aの上面部には、光モジュール14の着脱のとき、図10および図12に示されるように、光モジュール14の保護壁14aを案内する段差部20Rが形成されている。これにより、図14および図15に示されるように、光モジュール14が誤って裏差しの状態でリセプタクル用ケージ12内に挿入された場合、保護壁14aの先端がコネクタカバー20におけるガイドプレート20PWの端面に当接するので光モジュール14の誤挿入が防止される。その際、保護壁14aの先端がコネクタカバー20におけるガイドプレート20PWの端面に当接し、プラグコネクタ14Pの先端がガイドプレート20PWの端面に当接しないので光モジュール14の誤挿入のとき、プラグコネクタ14Pの先端の破損が回避される。
【0041】
また、コネクタカバー20における段差部20Rの近傍には、リセプタクル用ケージ12の一対の係止片12Nが圧入される孔20dが形成されている。
【0042】
リセプタクルコネクタ22は、図7および図8に示されるように、光モジュール14のプラグコネクタ14Pが着脱可能に挿入されるスロット22Aを有するコネクタインシュレータと、複数のコンタクト端子26ai,28ai(i=1〜n,nは正の整数)とを含んで構成されている。
【0043】
コンタクト端子26ai,28aiは、それぞれ、光モジュール14のプラグコネクタ14Pをプリント配線基板16の導体パターンに接続される電極群16CPAに電気的に接続するものとされる。コンタクト端子26aiは、光モジュール14のプラグコネクタ14Pにおける電極部14Eに当接される接点部26maを一端に有する可動接点部26Mと、電極群16CPAに半田付け固定される固定端子部26faを一端に有する連結部26Bとを含んで構成される。連結部26Bは、可動接点部26Mの他端に対し直交するように可動接点部26Mと一体に成形されている。コンタクト端子28aiは、光モジュール14のプラグコネクタ14Pにおける電極部14Eに当接される接点部28maを一端に有する可動接点部28Mと、電極群16CPAに半田付け固定される固定端子部28faを一端に有する固定部28Fと、可動接点部28Mの他端と固定部28Fの他端とを連結する連結部28Bを含んで構成される。連結部28Bは、コネクタインシュレータのスロット22Bを形成する壁部に圧入され固定される爪部を有している。
【0044】
コネクタインシュレータは、樹脂材料で成形され、光モジュール14のプラグコネクタ14Pが着脱されるスロット22Aと、保護壁14bが着脱されるスロット22BとをZ座標軸に沿って二段に有している。スロット22Bは、スロット22Aの下方に仕切壁22PWを介して互いに略平行に形成される。
【0045】
スロット22Aは、図7において、所定の間隔でY座標軸に沿って形成される複数のスリット22Si(i=1〜n,nは正の整数)が形成されている。隣接するスリット22Si相互間は、隔壁22Wi(i=1〜n,nは正の整数)により仕切られている。各スリット22Si内には、コンタクト端子26aiの可動接点部26Mとコンタクト端子28aiの可動接点部28Mとが向かい合って配置されている。
【0046】
スロット22Bは、図7において、所定の間隔でY座標軸に沿って形成される複数のスリット22Di(i=1〜n,nは正の整数)が形成されている。隣接するスリット22Di相互間は、隔壁により仕切られている。各スリット22Di内には、コンタクト端子28aiの固定部28Fが配置されている。これにより、コンタクト端子28aiの固定端子部28faが、スロット22B内に突出することとなる。従って、保守のとき、検査および半田付け作業が容易となる。
【0047】
コネクタインシュレータの底部には、プリント配線基板16の位置決め孔に嵌合される位置決めピン22Pが複数個形成されている。位置決めピン22Pは、プリント配線基板16の位置決め孔に嵌合される場合、位置決め孔の内周部を押圧し保持する一対のスプリング22PSを有している。
【0048】
斯かる構成において、図13Aに示されるように、光モジュール14のプラグコネクタ14Pがリセプタクルコネクタ22のスロット22A内のコンタクト端子26ai,28aiに接続された状態においては、光モジュール14の保護壁14aがトップEMIフィンガー12TFにより底壁部12BPの方向に向けて付勢されている。その際、光モジュール14のプラグコネクタ14Pの基端とコネクタカバー20のガイドプレート20PWのスロット20PWcの内周面との間に所定の隙間CLDが形成されている。また、保護壁14aとコネクタカバー20の段差部20Rとの間に隙間CLAが形成されている。さらに、光モジュール14のプラグコネクタ14Pとリセプタクルコネクタ22のスロット22Aの内周面との間にも、隙間CLDよりも大なる所定の隙間が形成されている。隙間CLDは、隙間CLAよりも小に設定されている。
【0049】
このような状態において、図13Bに示されるように、図7におけるZ座標軸方向に沿って衝撃力が、トランシーバモジュールアッセンブリー10およびプリント配線基板16に作用し、保護壁14aとコネクタカバー20の段差部20Rとの間の隙間CLBが隙間CLAよりも大なる隙間となった場合、プラグコネクタ14Pの基端とコネクタカバー20のガイドプレート20PWのスロット20PWcの内周面とが当接するので光モジュール14のプラグコネクタ14Pとリセプタクルコネクタ22のスロット22Aの内周面とが衝突することなく、プラグコネクタ14Pおよびコンタクト端子26ai等が破損することが回避される。
【0050】
リセプタクル用ケージ12の上面には、図16に示されるように、ヒートシンクホルダー32により保持されるヒートシンク30が、着脱可能に取付けられる。
【0051】
ヒートシンクホルダー32は、リセプタクル用ケージ12の上面に設けられる一対のフック部12taに着脱可能に係止される一対の係止片と、リセプタクル用ケージ12のリセプタクルコネクタ側閉端部の一対のフック部12tbに着脱可能に係止される一対の係止片とを両端に有している。これにより、図16に示される矢印の示す方向に沿ってフック部12taを回転中心としてヒートシンク30を伴ってヒートシンクホルダー32を回動させることにより、ヒートシンク30が、リセプタクル用ケージ12に対し容易に着脱可能とされる。
【0052】
ヒートシンク30は、例えば、アルミニウム等の熱伝導率の良好な金属で作られ、所定の間隔をもってX座標軸に沿って互いに平行に配列されるフィン30fi(i=1〜n,nは正の整数)を有している。
【0053】
斯かる構成において、光モジュール14が、リセプタクル用ケージ12に装着された場合、ヒートシンク30の下端に形成される伝熱面(不図示)は、開口部12bを介して光モジュール14のアッパケース14Aの外周面に直接的に当接するものとされる。これにより、光モジュール14において発生した熱がヒートシンク30を通じて効率よく放熱されることとなる。
【符号の説明】
【0054】
10 トランシーバモジュールアッセンブリー
12 リセプタクル用ケージ
12FF フロントEMIフィンガー
12TF トップEMIフィンガー
12SRF,12SLF サイドEMIフィンガー
12BP スライドプレート
14 光モジュール
16 プリント配線基板
20 コネクタカバー
22 リセプタクルコネクタ
26ai,28ai コンタクト端子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信システムの筐体内の配線基板に実装されるリセプタクルアッセンブリーに用いられるリセプタクル用ケージであって、
光モジュールが通過するモジュールスロットを一端に有し、該光モジュールを着脱可能に収容し、前記光モジュールの下面に当接する底壁部を有する金属製のモジュール収容部と、
前記モジュール収容部に連通し、前記光モジュールが接続されるコネクタを収容する金属製のコネクタ収容部と、
前記モジュールスロットの全周縁に設けられ、前記光モジュールの外周面に当接し前記モジュール収容部に発生した電磁波ノイズを前記筐体内に放射させないように遮蔽する金属製の第1のシールド部材と、
前記コネクタ収容部と前記光モジュール収容部との境界部分に対応する部位であって前記コネクタ収容部の上部に設けられ、前記光モジュールの上面に当接し該コネクタ収容部に発生した電磁波ノイズを遮蔽する金属製の第2のシールド部材と、
前記第2のシールド部材が設けられる部位とは異なる部位であって前記コネクタ収容部と前記モジュール収容部との境界部分に対応する部位に設けられ、前記光モジュールの両側面に当接し該コネクタ収容部に発生した電磁波ノイズを遮蔽する金属製の第3のシールド部材と、
を具備して構成されるリセプタクル用ケージ。
【請求項2】
前記コネクタ収容部は、前記コネクタを遮蔽する金属製のコネクタカバーを有することを特徴とする請求項1記載のリセプタクル用ケージ。
【請求項3】
少なくとも前記モジュール収容部の底壁部の他端には、前記モジュール収容部と前記配線基板との間に隙間を画成する折曲片を有することを特徴とする請求項1または請求項2記載のリセプタクル用ケージ。
【請求項4】
通信システムの筐体内の配線基板に実装されるリセプタクルアッセンブリーであって、
光モジュールと接続されるコネクタと、
前記光モジュールが通過するモジュールスロットを一端に有し、該光モジュールを着脱可能に収容し、前記光モジュールの下面に当接する底壁部を有する金属製のモジュール収容部と、該モジュール収容部に連通し、前記コネクタを収容する金属製のコネクタ収容部と、前記モジュールスロットの全周縁に設けられ、前記光モジュールの外周面に当接し前記モジュール収容部に発生した電磁波ノイズを前記筐体内に放射させないように遮蔽する金属製の第1のシールド部材と、前記コネクタ収容部の上部に設けられ、前記光モジュールの上面に当接し該コネクタ収容部に発生した電磁波ノイズを遮蔽する金属製の第2のシールド部材と、前記第2のシールド部材が設けられる部位とは異なる部位であって前記コネクタ収容部と前記モジュール収容部との境界部分に対応する部位に設けられ、前記光モジュールの両側面に当接し該コネクタ収容部に発生した電磁波ノイズを遮蔽する金属製の第3のシールド部材と、を含んでなる金属製のリセプタクル用ケージと、
前記コネクタ収容部に配され、前記コネクタを覆うコネクタカバーと、
を具備して構成されるリセプタクルアッセンブリー。
【請求項5】
通信システムの筐体内の配線基板に実装されるトランシーバモジュールアッセンブリーであって、
光モジュールと、
前記光モジュールと接続されるコネクタと、
前記光モジュールが通過するモジュールスロットを一端に有し、該光モジュールを着脱可能に収容するモジュール収容部と、該モジュール収容部に連通し、前記コネクタを収容する金属製のコネクタ収容部と、前記モジュールスロットの全周縁に設けられ、前記光モジュールの外周面に当接し前記モジュール収容部に発生した電磁波ノイズを前記筐体内に放射させないように遮蔽する金属製の第1のシールド部材と、前記コネクタ収容部の上部に設けられ、前記光モジュールの上面に当接し該コネクタ収容部に発生した電磁波ノイズを遮蔽する金属製の第2のシールド部材と、前記第2のシールド部材が設けられる部位とは異なる部位であって前記コネクタ収容部と前記モジュール収容部との境界部分に対応する部位に設けられ、前記光モジュールの両側面に当接し該コネクタ収容部に発生した電磁波ノイズを遮蔽する金属製の第3のシールド部材と、前記コネクタ収容部に配され、前記コネクタを覆うコネクタカバーと、を含んでなる光モジュール用リセプタクルアッセンブリーと、
を具備して構成されるトランシーバモジュールアッセンブリー。
【請求項1】
通信システムの筐体内の配線基板に実装されるリセプタクルアッセンブリーに用いられるリセプタクル用ケージであって、
光モジュールが通過するモジュールスロットを一端に有し、該光モジュールを着脱可能に収容し、前記光モジュールの下面に当接する底壁部を有する金属製のモジュール収容部と、
前記モジュール収容部に連通し、前記光モジュールが接続されるコネクタを収容する金属製のコネクタ収容部と、
前記モジュールスロットの全周縁に設けられ、前記光モジュールの外周面に当接し前記モジュール収容部に発生した電磁波ノイズを前記筐体内に放射させないように遮蔽する金属製の第1のシールド部材と、
前記コネクタ収容部と前記光モジュール収容部との境界部分に対応する部位であって前記コネクタ収容部の上部に設けられ、前記光モジュールの上面に当接し該コネクタ収容部に発生した電磁波ノイズを遮蔽する金属製の第2のシールド部材と、
前記第2のシールド部材が設けられる部位とは異なる部位であって前記コネクタ収容部と前記モジュール収容部との境界部分に対応する部位に設けられ、前記光モジュールの両側面に当接し該コネクタ収容部に発生した電磁波ノイズを遮蔽する金属製の第3のシールド部材と、
を具備して構成されるリセプタクル用ケージ。
【請求項2】
前記コネクタ収容部は、前記コネクタを遮蔽する金属製のコネクタカバーを有することを特徴とする請求項1記載のリセプタクル用ケージ。
【請求項3】
少なくとも前記モジュール収容部の底壁部の他端には、前記モジュール収容部と前記配線基板との間に隙間を画成する折曲片を有することを特徴とする請求項1または請求項2記載のリセプタクル用ケージ。
【請求項4】
通信システムの筐体内の配線基板に実装されるリセプタクルアッセンブリーであって、
光モジュールと接続されるコネクタと、
前記光モジュールが通過するモジュールスロットを一端に有し、該光モジュールを着脱可能に収容し、前記光モジュールの下面に当接する底壁部を有する金属製のモジュール収容部と、該モジュール収容部に連通し、前記コネクタを収容する金属製のコネクタ収容部と、前記モジュールスロットの全周縁に設けられ、前記光モジュールの外周面に当接し前記モジュール収容部に発生した電磁波ノイズを前記筐体内に放射させないように遮蔽する金属製の第1のシールド部材と、前記コネクタ収容部の上部に設けられ、前記光モジュールの上面に当接し該コネクタ収容部に発生した電磁波ノイズを遮蔽する金属製の第2のシールド部材と、前記第2のシールド部材が設けられる部位とは異なる部位であって前記コネクタ収容部と前記モジュール収容部との境界部分に対応する部位に設けられ、前記光モジュールの両側面に当接し該コネクタ収容部に発生した電磁波ノイズを遮蔽する金属製の第3のシールド部材と、を含んでなる金属製のリセプタクル用ケージと、
前記コネクタ収容部に配され、前記コネクタを覆うコネクタカバーと、
を具備して構成されるリセプタクルアッセンブリー。
【請求項5】
通信システムの筐体内の配線基板に実装されるトランシーバモジュールアッセンブリーであって、
光モジュールと、
前記光モジュールと接続されるコネクタと、
前記光モジュールが通過するモジュールスロットを一端に有し、該光モジュールを着脱可能に収容するモジュール収容部と、該モジュール収容部に連通し、前記コネクタを収容する金属製のコネクタ収容部と、前記モジュールスロットの全周縁に設けられ、前記光モジュールの外周面に当接し前記モジュール収容部に発生した電磁波ノイズを前記筐体内に放射させないように遮蔽する金属製の第1のシールド部材と、前記コネクタ収容部の上部に設けられ、前記光モジュールの上面に当接し該コネクタ収容部に発生した電磁波ノイズを遮蔽する金属製の第2のシールド部材と、前記第2のシールド部材が設けられる部位とは異なる部位であって前記コネクタ収容部と前記モジュール収容部との境界部分に対応する部位に設けられ、前記光モジュールの両側面に当接し該コネクタ収容部に発生した電磁波ノイズを遮蔽する金属製の第3のシールド部材と、前記コネクタ収容部に配され、前記コネクタを覆うコネクタカバーと、を含んでなる光モジュール用リセプタクルアッセンブリーと、
を具備して構成されるトランシーバモジュールアッセンブリー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−51133(P2013−51133A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188604(P2011−188604)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000177690)山一電機株式会社 (233)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000177690)山一電機株式会社 (233)
【Fターム(参考)】
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