説明

リソグラフィ方法

【課題】基板のフィールドの位置を割り出す方法についてスループットの向上を図る。
【解決手段】基板のフィールド間の相対的位置関係を割り出すステップであって、フィールドの1つが第一フィールドを含む、ステップと、リソグラフィ装置内で、アラインメント装置を使用して、基板の少なくとも前記第一フィールドの位置とリソグラフィ装置の部品との少なくとも1つの絶対的位置関係を獲得するステップと、相対的位置関係及び少なくとも1つの取得された絶対的関係を使用して、第一フィールド以外の少なくとも1つのフィールドと前記ソグラフィ装置の前記部品との絶対的位置関係を割り出すステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明はリソグラフィ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板のターゲット部分に適用する機械である。リソグラフィ装置は例えば、集積回路(IC)の製造に使用可能である。このような場合、代替的にマスク又はレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを使用して、ICの個々の層上に形成すべき回路パターンを生成することができ、このパターンを、放射感応性材料(レジスト)の層を有する基板(例えばシリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば1つ又は幾つかのダイの一部を備える)に結像することができる。一般的に、1枚の基板は、順次パターンが与えられる網の目状の互いに近接したターゲット部分を含んでいる。既知のリソグラフィ装置は、パターン全体をターゲット部分に1回で露光することによって各ターゲット部分が照射される、いわゆるステッパと、基板を所定の方向(「スキャン」方向)と平行あるいは逆平行にスキャンしながら、パターンを所定の方向(「スキャン」方向)に放射ビームでスキャンすることにより、各ターゲット部分が照射される、いわゆるスキャナとを具備している。
【0003】
[0003] 基板の表面全体が放射に露光している場合は、これに複数の露光フィールド(つまり複数の露光像)が設けられる。高い精度でこれらのフィールドの位置を割り出すことが、往々にして望ましい。というのは、例えばデバイスに様々な層を追加するために、幾つかの異なる時に基板のターゲット部分を放射ビームに露光できるからである。つまり、フィールドを相互の上に(つまり重ねて)基板に適用することができる。任意のターゲット部分のフィールドを相互の上に正確に適用しないと、このようなフィールドから形成された任意のデバイスが、意図されたように機能しない、又は全く機能しないことがある。例えば、フィールドが、結果となるデバイスの1つの機能層を結果となるデバイスの別の機能層に接続することが、十分にあるかもしれない。連続的に適用された層を相互の上に正確に適用しないと、電気接続部が機能層の正確な部分に作成されないことがあり、つまりデバイスが適切に、又は全く機能しないことがある。往々にして、なお許容可能なデバイス(又は他の構造体)をもたらしながら、連続的に適用されたフィールドをいかに正確に相互の上に配置できるかに関して、多少の公差がある。これは往々にして、オーバレイ要件と呼ばれる。
【0004】
[0004] 以前のパラグラフから分かるように、基板に以前に適用したフィールドの位置を知るばかりでなく、基板に適用されるその後のフィールドの位置を正確に知ることも望ましい。この理由から、重ねたフィールドを適用する間に、基板及び/又はフィールドの位置特性を割り出すことができる。例えば、重ねたフィールドのセットを露光する前に、基板のアラインメントマークを使用して、連続する露光の間に基板のサイズ又は方向が変化したかを割り出すことができる。この例では、十分な程度の精度でフィールドを一貫して適用するのに十分なほどリソグラフィ装置が正確であると仮定して、個々のフィールドの位置は測定されない。しかし、常にそうであるとは限らない。つまり、連続して適用されたフィールドが、相互の上に十分良好に位置合わせされないことがある。別の例では、リソグラフィ装置内のアラインメント装置を使用して、1つの層上/内で基板に以前に適用された全フィールドの位置を、正確に割り出すことができる。このような割り出しは、その後に位置合わせされる全フィールドが、以前に適用されたフィールドと正確に位置合わせされるのを保証しようとして実行される。しかし、リソグラフィ装置のアラインメント装置を使用して基板の各フィールド全部の位置を割り出すのは、時間がかかり、スループットを低下させることがある。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 本発明の態様によれば、基板のフィールド間の相対的位置関係を割り出すステップであって、フィールドの1つは第一フィールドを含むステップと、リソグラフィ装置内で、アラインメント装置を使用して、基板の少なくとも第一フィールドの位置とリソグラフィ装置の部品との少なくとも1つの絶対的位置関係を獲得するステップと、相対的位置関係及び少なくとも1つの獲得された絶対的関係を使用して、第一フィールド以外の少なくとも1つのフィールドとリソグラフィ装置の部品との絶対的位置関係を割り出すステップとを含む方法が提供される。
【0006】
[0006] 本発明のさらなる態様によれば、デバイスの少なくとも一部を製造する方法が提供され、方法は、基板のフィールド間の相対的位置関係を割り出すステップであって、フィールドの1つは第一フィールドを含むステップと、リソグラフィ装置内で、アラインメント装置を使用して、基板の少なくとも第一フィールドの位置とリソグラフィ装置の部品との少なくとも1つの絶対的位置関係を獲得するステップと、相対的位置関係及び少なくとも1つの獲得された絶対的関係を使用して、第一フィールド以外の少なくとも1つのフィールドとリソグラフィ装置の部品との絶対的位置関係を割り出すステップと、デバイスの少なくとも一部を形成するために、適用されたフィールドの割り出された絶対的位置に基づいて追加のフィールドを規定するステップとを含む。
【0007】
[0007] 本発明のさらなる態様によれば、本発明の別の態様の製造態様の方法に従って製造されたデバイスの少なくとも一部が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
[0008] 次に、本発明の実施形態を添付の略図を参照しながら、ほんの一例として説明する。図面では対応する参照記号は対応する部品を示している。
【図1】[0009] 本発明の実施形態によるリソグラフィ装置を示した図である。
【図2】[0010] アラインメントマークがある基板を示した図である。
【図3】[0011] 本発明の実施形態による位置合わせ方法を示した図である。
【図4】[0011] 本発明の実施形態による位置合わせ方法を示した図である。
【図5】[0011] 本発明の実施形態による位置合わせ方法を示した図である。
【図6a】[0012] 図6aは、図3から図5に示した方法の一部の変形を示した図である。
【図6b】[0012] 図6bは、図3から図5に示した方法の一部の変形を示した図である。
【図7】[0013] 本発明の実施形態による方法を概略的に示したフローチャートである。
【図8】[0014] 本発明の実施形態によるフィールドの形状及び相対的位置合わせを示した図である。
【図9】[0014] 本発明の実施形態によるフィールドの形状及び相対的位置合わせを示した図である。
【図10】[0015] 図8及び図9に示したフィールドの異なる位置合わせを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0016] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることは言うまでもない。例えば、これは、集積光学装置、磁気ドメインメモリ用誘導及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどである。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ、「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことは、当業者に明らかである。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、計測ツール(メトロロジツール)及び/又は検査ツール(インスペクションツール)で処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板処理ツールに適用することができる。さらに、基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
【0010】
[0017] 本明細書で使用する「放射」及び「ビーム」という用語は、イオンビームあるいは電子ビームといったような粒子ビームのみならず、紫外線(UV)放射(例えば、365nm、248nm、193nm、157nm又は126nmの波長を有する)及び極端紫外線光(EUV)放射(例えば、5nm〜20nmの範囲の波長を有する)を含むあらゆるタイプの電磁放射を網羅する。
【0011】
[0018] 本明細書において使用する「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成するように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用し得る任意のデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。ここで、放射ビームに与えられるパターンは、基板のターゲット部分における所望のパターンに正確には対応しないことがある点に留意されたい。一般的に、放射ビームに与えられるパターンは、集積回路などのターゲット部分に生成されるデバイスの特別な機能層に相当する。
【0012】
[0019] パターニングデバイスは透過性又は反射性でよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、さらには様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例として、小さなミラーのマトリクス配列を使用し、そのミラーは各々、入射する放射ビームを異なる方向に反射するよう個々に傾斜することができる。この方法で、反射する放射ビームにパターンを与える。
【0013】
[0020] 支持構造体は、パターニングデバイスを保持している。支持構造体は、パターニングデバイスの方向、リソグラフィ装置の設計等の条件、例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されているか否かに応じた方法で、パターニングデバイスを保持する。この支持体は、機械的クランプ、真空、又は他のクランプ技術、例えば真空状態での静電クランプを使用することができる。支持構造体は、例えばフレーム又はテーブルでよく、必要に応じて固定式又は可動式でよく、パターニングデバイスが例えば投影システムなどに対して確実に所望の位置にくるようにできる。本明細書において「レチクル」又は「マスク」という用語を使用した場合、その用語は、より一般的な用語である「パターニングデバイス」と同義と見なすことができる。
【0014】
[0021] 本明細書において使用する「投影システム」という用語は、例えば使用する露光放射、又は液浸液の使用や真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折光学システム、反射光学システム、及び反射屈折光学システムを含む様々なタイプの投影システムを網羅するものとして広義に解釈されるべきである。本明細書において「投影レンズ」という用語を使用した場合、これはさらに一般的な「投影システム」という用語と同義と見なされる。
【0015】
[0022] 照明システムは、放射ビームの誘導、成形、又は制御を行うための、屈折、反射、及び反射屈折光学コンポーネントを含む種々のタイプの光学コンポーネントを含んでいてもよく、このようなコンポーネントを以下ではまとめて、又は単独で「レンズ」と呼ぶこともある。
【0016】
[0023] リソグラフィ装置は2つ(デュアルステージ)又はそれ以上の基板テーブル(及び/又は2つ以上の支持構造体)を有するタイプでよい。このような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルを並行して使用するか、1つ又は複数の他のテーブルを露光に使用している間に1つ又は複数のテーブルで予備工程を実行することができる。
【0017】
[0024] リソグラフィ装置は、投影システムと基板との間の空間を充填するように、基板を水などの比較的高い屈折率を有する液体に浸漬するタイプでもよい。液浸技術は、投影システムの開口数を増加させるために当技術分野で周知である。
【0018】
[0025] 図1は、リソグラフィを概略的に示したものである。この装置は、放射ビームPB(例えばUV放射、DUV放射又はEUV放射)を調節する照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持し、アイテムPLに対してパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第一位置決め装置PMに接続された支持構造体(例えばマスクテーブル)MTと、基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持し、アイテムPLに対して基板を正確に位置決めするように構成された第二位置決め装置PWに接続された基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAによって放射ビームPBに与えられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つ又は複数のダイを含む)に結像するように構成された投影システム(例えば屈折投影レンズ)PLとを含む。
【0019】
[0026] ここに示している本装置は透過タイプである(例えば透過マスクを使用する)。あるいは、装置は反射タイプでもよい(例えば上記で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイを使用する)。
【0020】
[0027] イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受ける。放射源とリソグラフィ装置とは、例えば放射源がエキシマレーザである場合に、それぞれ別々の構成要素であってもよい。このような場合、放射源はリソグラフィ装置の一部を形成すると見なされず、放射ビームは、例えば適切な誘導ミラー及び/又はビームエクスパンダなどを備えるビームデリバリシステムBDの助けにより、放射源SOからイルミネータILへと渡される。他の事例では、例えば放射源が水銀ランプの場合は、放射源がリソグラフィ装置の一体部分であってもよい。放射源SO及びイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDとともに放射システムと呼ぶことができる。
【0021】
[0028] イルミネータILは、ビームの角度強度分布を調節するアジャスタAMを含んでいてもよい。通常、イルミネータの瞳面における強度分布の外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれ、σ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。また、イルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの他の種々のコンポーネントを備えていてもよい。イルミネータは、その断面にわたって所望の均一性と強度分布とを有する調整済み放射ビームPBを提供する。
【0022】
[0029] 放射ビームPBは、支持構造体MT上に保持されたパターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射する。放射ビームPBはパターニングデバイスMAを通り抜けて、基板Wのターゲット部分C上にビームを集束する投影システムPLを通過する。第二位置決め装置PW及び位置センサIF(例えば干渉計デバイス)の助けにより、基板テーブルWTを、例えばビームPBの経路において様々なターゲット部分Cに位置決めするように正確に移動できる。同様に、第一位置決め装置PM及び別の位置センサ(図1には明示されていない)を使用して、例えばマスクライブラリから機械的に検索した後に、又はスキャン中に、ビームPBの経路に対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めすることができる。一般的に、オブジェクトテーブルMT及びWTの移動は、位置決めデバイスPM及びPWの部分を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)を用いて実現される。しかしステッパの場合(スキャナとは対照的に)、支持構造体MTをショートストロークアクチュエータのみに接続するか、固定してもよい。パターニングデバイスMA及び基板Wは、パターニングデバイスアラインメントマークM1、M2及び基板アラインメントマークP1、P2を使用して位置合わせすることができる。
【0023】
[0030] 図示のリソグラフィ装置は以下の好ましいモードに使用可能である。
【0024】
[0031] 1.ステップモードにおいては、支持構造体MT及び基板テーブルWTは、基本的に静止状態に維持される一方、ビームPBに与えたパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される(すなわち1回の静止露光)。次に、別のターゲット部分Cを露光できるように、基板テーブルWTがX方向及び/又はY方向に移動される。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、1回の静止露光で結像されるターゲット部分Cのサイズが制限される。
【0025】
[0032] 2.スキャンモードにおいては、支持構造体MT及び基板テーブルWTは同期的にスキャンされる一方、ビームPBに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する(つまり1回の動的露光)。支持構造体MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPLの拡大(縮小)及び像反転特性によって求めることができる。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズによって、1回の動的露光におけるターゲット部分の(非スキャン方向における)幅が制限され、スキャン動作の長さによってターゲット部分の(スキャン方向における)高さが決まる。
【0026】
[0033] 3.別のモードでは、支持構造体MTはプログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、基板テーブルWTを移動又はスキャンさせながら、ビームPBに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する。このモードでは、一般にパルス状放射源を使用して、基板テーブルWTを移動させる毎に、又はスキャン中に連続する放射パルスの間で、プログラマブルパターニングデバイスを必要に応じて更新する。この動作モードは、以上で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に利用できる。
【0027】
[0034] 上述した使用モードの組合せ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも利用できる。
【0028】
[0035] 図2は基板Wを示す。基板Wには、複数のフィールド1が設けられている(つまり、複数のフィールド又は像が基板Wに適用されている)。各フィールドは、当技術分野で知られているように1つ又は複数のパターンを含んでよい。基板Wに複数のアラインメントマーク2を設けることが分かる。アラインメントマーク2は、フィールド1の主要本体内に設けられず、隣接するフィールド1の主要本体の間(例えばスクライブライン又はレーン)に設けられることが分かる。
【0029】
[0036] 上述したように、連続的に適用されるフィールドが(例えばオーバレイ要件に適合するように)特定の誤差マージン内で、相互の上に適用されることを保証することが往々にして望ましい。既に述べたように、図2は複数のフィールド1を設けた基板Wを示す。以前に適用した複数のフィールド1の頂部に追加の複数の、又はセットのフィールドを適用することが望ましいことがある。その場合、連続的に適用されるフィールドが正確に重ねられることを保証するために、以前に適用されたフィールド1の位置を割り出すことが望ましい。例えば、リソグラフィ装置内に設けられたアラインメント装置を使用することにより、基板W上のアラインメントマーク2とリソグラフィ装置の要素(例えばアラインメント装置)との絶対的位置関係を取得することができる。取得された関係を以前に適用した、又はその後に適用するアラインメントマークと比較して、基板Wの形状又は方向の変化の程度を割り出すことができる。例えば、基板が拡張したか、所定の位置にシフトしたか、わずかに回転したかなどを割り出すことが可能である。基板Wのこのような形状及び/又は方向の変化を示す情報をリソグラフィ装置にフィードバックして、基板にその後のフィールドを適用する間にこれらの変化を考慮していることを保証することができる。つまり、理論的に、その後に適用されるフィールドは、以前に適用されたフィールド1の頂部に正確に重ねられる。しかし、この方法は確実でないことがある。これは、アラインメントマーク2の位置を考慮に入れ、フィールドの位置を考慮に入れていないからである。つまり、例えば基板Wの反りの結果、幾つかのフィールドの位置が実際には変化していないことがある。それにもかかわらず、アラインメントマーク2の位置が十分にシフトしている場合、その後に適用されるフィールドには、補正率が必要ないにも関わらず、このような補正率が適用されることがある。
【0030】
[0037] 代替方法では、リソグラフィ装置の部品に対する基板W上の全フィールド1の絶対位置を、リソグラフィ装置内に設けられたアラインメント装置によって割り出すことができる。つまり、その後のフィールドを基板Wに適用する場合、これは以前に適用したフィールド1と適切に位置合わせしなければならない。しかし、基板Wに以前に適用した全フィールドの位置を正確に割り出すには、(基板Wにフィールドを適用するのにかかる時間と比較して)多大な時間がかかり、したがってスループットに重大な影響を及ぼすことがある。
【0031】
[0038] 図3は、複数のフィールド1が適用されている基板W(つまり、複数の像が適用されている基板W)を示す。本発明の実施形態によれば、基板W上のこれらのフィールド1の相互に対する相対位置は、リソグラフィ装置の外側に配置することができる専用の計測ツール(メトロロジツール)を使用して測定される。つまり、フィールド1の相対位置は、リソグラフィ装置内に存在するアラインメント装置を使用して測定されるものではない。これは、リソグラフィ装置のスループットがこれらの測定に影響されないことがあることを意味する。割り出された位置は相対的であるとされる。というのは、これがリソグラフィ装置のいずれかの部品に対して測定されたものではなく、他のフィールド1に対して測定されているからである。基板Wの他の全フィールド1の相対位置が割り出されると、基板がリソグラフィ装置に装填される。
【0032】
[0039] 図4は、リソグラフィ装置に装填された場合の基板Wを示す。リソグラフィ装置に装填する場合、リソグラフィ装置内に存在するアラインメント装置を使用して、幾つかのフィールド1の絶対位置を取得する。絶対位置が割り出されるフィールド1が、図では影が付けられている。本明細書で使用する「絶対」という用語は、影になったフィールドの位置が、ここでリソグラフィ装置の部品に対して分かっていることを示す。
【0033】
[0040] 方法のこの段階で、基板W上のフィールド1の相対位置が分かる。リソグラフィ装置に対して取得された幾つかのフィールドの絶対位置も分かる。残りのフィールド1の絶対位置は、計測ツールによって割り出された装置位置関係を使用し、図3に関して説明したように割り出すことができる。つまり、幾つかのフィールドの取得された絶対位置を使用して、図3に関して説明した相対的位置関係を前後関係に取り入れ、それによって相対的位置関係が絶対的位置関係を生成できるようにすることができる。図5では、全フィールド1に影が付けられていることが分かる。つまりこれらのフィールド1全部の絶対位置が割り出されている。リソグラフィ装置に対して全フィールド1の絶対位置が分かっているので、さらなるフィールドを正確にこれらのフィールド1の頂部に重ねることができる。追加のフィールドを基板に適用したら、基板をリソグラフィ装置から取り出すことができる。
【0034】
[0041] リソグラフィ装置の外側にある場合、専用計測ツールを使用して追加のフィールドの相対位置を割り出し、それによってリソグラフィ装置のスループットに影響を与えないことができる。計測ツールによって割り出された相対位置を使用して、追加の重ねられたフィールドの位置合わせに存在する誤差を全て識別することができる。誤差は、幾つかの理由のうち1つで生じることがある。例えば、図4では、わずかなフィールドの絶対位置しか取得されないことが分かる。残りのフィールドの絶対位置は、図3に関して説明したように、フィールドの相対位置を使用して割り出される。残りのフィールドの絶対位置を割り出す際に、幾つかの仮定又は補外をする必要があるようである。例えば、このような仮定又は補外は、リソグラフィ装置のアラインメント装置によって位置が絶対的に取得されたフィールドから1つ又は複数のフィールド分離れて配置されているフィールドの絶対位置を割り出すために望ましいことがある。したがって、これらの仮定又は補外の誤差を割り出し、その後の露光で基板の全フィールドの絶対位置を割り出すために使用される計算にフィードバックすることができる。こうすることによって、その後に適用されるフィールドを、以前に適用したフィールドにさらに正確に重ねることができる。
【0035】
[0042] 図4では、リソグラフィ装置内に含まれるアラインメント装置を使用して、複数のフィールドの位置が絶対的に取得されることが分かる。リソグラフィ装置内のアラインメント装置によって絶対的に取得された位置を有するフィールドの間隔が、フィールド1つ分以内であることを保証することが望ましいことがある。これは、全フィールドの絶対位置を割り出す際に実行する仮定及び補外が可能な限り少ないことを保証するために望ましい。図6a及び図6bは、リソグラフィのアラインメント装置を使用して絶対的に取得した位置を有するフィールド1が明確に選択されている代替法を示す。これは、アラインメント装置によって割り出されていない位置を有する各フィールドが、リソグラフィ装置のアラインメント装置を使用して割り出されている位置を有するフィールド1と辺又は隅部を共有するように選択される。つまり、基準として相対的位置関係を(アラインメント装置を使用して取得した)幾つかの絶対的位置関係とともに使用して、残りのフィールドの絶対位置を割り出す場合は、実行することが必要となる仮定、補外などが少なくなる。
【0036】
[0043] 図7は、本発明の実施形態による方法の動作原理を示すフローチャートを示す。図7は、図3から図6に関して上述した方法のほぼ要約である。
【0037】
[0044] ステップ700で、計測ツールを使用して基板上のフィールドの相対位置を割り出す。次に、方法はステップ705へと進み、露光するために基板をリソグラフィ装置に挿入する。次に、方法はステップ710へと進み、リソグラフィ装置内のアラインメント装置を使用して、1つ又は複数のフィールドの絶対位置を割り出す。次に、方法はステップ715へと進み、1つ又は複数のフィールドの絶対位置測定を、計測ツールを使用して基板上で探したフィールドの装置位置とともに使用して、全フィールドの絶対位置を割り出す。次に、方法はステップ720へと進み、フィールドの新しい層を露光する(つまり、新しいフィールドを規定する)。次に、方法はステップ725へと進み、基板をリソグラフィ装置から取り出す。次に、方法はステップ730へと進み、計測ツールを使用して基板上のフィールドの相対位置を割り出す。次に、方法はステップ735へと進み、割り出された絶対位置の補正が望ましいかを割り出す。照会の結果が肯定である場合、方法はステップ715に戻る。
【0038】
[0045] 基板に適用されたフィールドの位置は、その各位置を個別に測定しなくても絶対的に(つまりリソグラフィ装置に関して)割り出せることが認識される。フィールドの位置が絶対的に割り出されているので、オーバレイ精度が向上する。これは、通常は基板の形状及び/又は方向の変化を使用して、位置合わせの際に必要な変化を全て割り出す従来の方法とは対照的である。リソグラフィ装置内に各位置を個々に測定せずに、フィールドの位置が絶対的に割り出されるので、スループットを増加させることができる。これは、リソグラフィ装置内のアラインメント装置を使用して各フィールドの絶対位置を割り出す別の従来の方法とは対照的であり、この従来の方法は多大な時間がかかり、スループットを減少させることがある。
【0039】
[0046] 図3を説明した時に、計測ツールを使用して、基板Wに設けたフィールド1の相対位置を割り出すと述べた。これは、幾つかの方法のいずれか1つで達成することができる。例えば、図8は、基板上のフィールドの相対位置を割り出す際に有利なフィールドの構成を示す。図8は、主要本体10と、主要本体10の各隅部に隣接して配置されたアラインメントマーク11を示す。
【0040】
[0047] 図9は、(例えばフォトレジストの)1つの層内又は層上に適用された隣接フィールド間を割り出すか、その位置合わせを補助するためにアラインメントマーク11を使用する方法を示す。図9は、相互に隣接して適用された4つのフィールドA、B、C、Dを示す。重なったアラインメントマーク11が相互の上に正確に重ねられているので、フィールドA、B、C、Dが良好に位置合わせされていることが分かる。例えば、フィールドAの右手下のアラインメントマーク11、フィールドBの左下のアラインメントマーク11、フィールドCの右上のアラインメントマーク11、及びフィールドDの左上のアラインメントマーク11は、4つのフィールドA、B、C、Dの中心にて相互の上に正確に重ねられる。
【0041】
[0048] 図10は、4つのフィールドA、B、C、Dが良好に位置合わせされていない状態を示す。つまり、図10は、位置合わせ不良の場合の4つのフィールドA、B、C、Dを示す。図の位置合わせ不良は、明快さを期して誇張されている。また、図面では、フィールドA、B、C、D及びそのアラインメントマーク11はそれぞれ、異なる影が与えられており、したがって相互からより明白に区別することができる。フィールドA、B、C、Dの相対位置は、例えば隣接するフィールドのアラインメントマーク11間の空間的差を割り出すことによって、正確に割り出すことができる。例えば、特定のアラインメントマーク11がx及びy方向にいかに離れているかを測定することにより、x又はy方向における隣接フィールドのシフトを割り出すことができる。さらに、アラインメントマークのx及びyの間隔が異なるアラインメントマーク間で変化している場合、隣接フィールドの相対的回転を割り出すことができる。例えば、フィールドBはフィールドAに対して時計回りに回転していることが分かる。この回転の程度は、フィールドAの右上の位置合わせマーク11がフィールドBの左上のアラインメントマークからいかに離れているかを、フィールドAの右下のアラインメントマークとフィールドBの左下のアラインメントマーク11との間隔とともに割り出すことによって、容易に割り出すことができる。状況によっては、フィールドがx及びy方向に平行移動しているか、及び平行移動している場合は、どの程度平行移動しているかを割り出すことだけが望ましいことがある。他の例では、隣接するフィールド間の回転の程度、又は適用したフィールの形状の変化までも割り出すことが望ましいことがある。適用したフィールドの形状の変化は、例えばそのフィールドのアラインメントマーク11間の距離を測定することによって割り出すことができる。
【0042】
[0049] 図9及び図10は、フィールドの相対位置を割り出すことができる方法の一例のみを示す。相対位置は、幾つかの方法のいずれか1つで割り出すことができる。例えば、フィールド自体の間隔を割り出し、そのフィールドのアラインメントマークは必ずしも割り出されない。隣接フィールドのアラインメントマークは、相互に重なるか、一致するように構成することができる。例えば、アラインメントマークは回折格子でよい。隣接するフィールド間の分離度、動作などは、重なっている(又は言い換えると交錯した)回折格子から導出可能な情報から割り出すことができる。位置合わせはフィールド毎に形態又は形状が変化してよい。例えば、隣接フィールドは、異なるピッチの回折格子であるアラインメントマークを有してよい。隣接するフィールドに、大きさが異なるボックス形アラインメントマークを設けることができる。隣接するフィールドが良好に位置合わせされている場合、1つのフィールドの小さめのボックスが隣接するフィールドの大きめのボックスの内側に填る。幾つかの実施形態では、アラインメントマークを使用する必要がないことがある。
【0043】
[0050] 以上の実施形態では、以前に基板に適用したフィールドの相対位置が割り出されている。次に、この同じ基板をリソグラフィ装置に装填し、次に幾つかの(しかし全部ではない)フィールドの絶対位置を割り出す。以前に適用したフィールドの相対位置を、異なる(例えば基準)基板から取得できることが認識される。つまり、基板の一部、又はその大部分でさえ、適用されたフィールドの相対位置が割り出されないことがある。代わりに、適用されたフィールドの相対位置が、所定のリソグラフィ装置の設定で(例えば露光状態の所定の設定で)、又は露光した基板のバッチでは、全基板で同じになる。
【0044】
[0051] 基板の全フィールドの絶対位置を割り出すために、相対位置が割り出されているフィールドの少なくとも1つ(例えば「第一」フィールド)も、リソグラフィ装置内のアラインメント装置を使用して、絶対位置を割り出す必要がある。これは、他の相対的位置関係に何らかの前後関係を、又は言い換えると絶対位置を推論/割り出すことができる基準を与えるために必要である。
【0045】
[0052] 適用されたフィールドを使用して、デバイスの少なくとも一部、例えば集積回路の一部、又は電気コンポーネントなどを形成することができる。上述した方法を使用して、デバイス又は複数の層を含むデバイスの部分をより正確及び/又は確実に構築又は製作することができる。本発明は、ダブルパターニングの分野にも関連し、ここではパターンの過剰解像を上げるために、パターンが相互の隣に連続して適用される。
【0046】
[0053] 以上では光学リソグラフィに関して本発明を説明してきたが、本発明はインプリントリソグラフィにも等しく適用可能であることが認識される。
【0047】
[0054] 以上では本発明の特定の実施形態を説明してきたが、本発明を説明とは異なる方法で実践できることが認識される。この説明は本発明を限定するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板のフィールド間の相対的位置関係を割り出すステップであって、前記フィールドの1つが第一フィールドを含む、ステップと、
リソグラフィ装置内で、アラインメント装置を使用して、前記基板の少なくとも前記第一フィールドの位置と前記リソグラフィ装置の部品との少なくとも1つの絶対的位置関係を獲得するステップと、
前記相対的位置関係及び前記少なくとも1つの獲得された絶対的関係を使用して、前記第一フィールド以外の少なくとも1つのフィールドと前記リソグラフィ装置の前記部品との絶対的位置関係を割り出すステップと
を含む、方法。
【請求項2】
基板のフィールド間の相対的位置関係を割り出すステップが、基板のフィールドの大部分の前記相対的位置関係を割り出すことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
基板上のフィールド間の相対的位置関係を割り出すステップが、基板の全フィールドの相対的位置関係を割り出すことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記相対的位置関係が、前記リソグラフィ装置の外側で割り出される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記相対的位置関係が、前記リソグラフィ装置の外側に配置された計測ツールを使用して割り出される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記基板上に設けた層内の異なるフィールドの少なくとも一部のオーバーラップの程度、又は、異なるフィールド間の分離を使用して、前記相対的位置関係を割り出す、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
さらに、前記アラインメント装置を使用して、複数のフィールドの前記位置と、リソグラフィ装置の部品との間の複数の絶対的位置関係を獲得することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記複数のフィールドの各々が前記複数のフィールドの他の1つからフィールド1つ分以内の間隔であるように、前記複数のフィールドがそれぞれ選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記相対的位置関係と前記少なくとも1つの獲得した絶対的位置関係を使用して、前記第一フィールド以外の大部分のフィールドと、前記リソグラフィ装置の前記部品との絶対的位置関係を割り出すステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記相対的位置関係と前記少なくとも1つの取得した絶対的位置関係を使用して、前記第一フィールド以外の全フィールドと前記リソグラフィ装置の前記部品との絶対的位置関係を割り出すステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
さらに、前記フィールドの前記割り出された絶対的位置関係に基づいて、前記フィールドの頂部にある1つ又は複数の追加フィールドを規定するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
さらに、前記追加フィールド間の相対的位置関係を割り出すステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記追加フィールド間の前記相対的位置関係が、前記リソグラフィ装置の外側で割り出される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記追加フィールド間の前記相対的位置関係が、前記リソグラフィ装置の外側に配置された計測ツールを使用して割り出される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
さらに、前記追加フィールド間の前記相対的位置が、前記割り出された絶対的位置に対応するかを割り出すステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
さらに、前記追加フィールドの前記相対的位置と前記割り出された絶対的位置との差を示す補正ファクタを割り出すステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
さらに、その後にフィールドを適用する際、前記フィールドの前記絶対的位置を割り出す場合に、前記補正ファクタに基づくステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
デバイスの少なくとも一部を製造する方法であって、
基板のフィールド間の相対的位置関係を割り出すステップであって、前記フィールドの1つが第一フィールドを含む、ステップと、
リソグラフィ装置内で、アラインメント装置を使用して、前記基板の少なくとも前記第一フィールドの位置と前記リソグラフィ装置の部品との少なくとも1つの絶対的位置関係を獲得するステップと、
前記相対的位置関係及び前記少なくとも1つの獲得された絶対的関係を使用して、前記第一フィールド以外の少なくとも1つのフィールドと前記リソグラフィ装置の部品との絶対的位置関係を割り出すステップと、
前記適用されたフィールドの前記割り出された絶対的位置に基づいて、追加のフィールドを規定するステップと
を含む、方法。
【請求項19】
請求項18の方法により製造されたデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−152558(P2009−152558A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−279686(P2008−279686)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(504151804)エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. (1,856)
【Fターム(参考)】