説明

リニアモータを内蔵した立型XZスライド装置

【課題】この立型XZスライド装置は,ベッドにXテーブルとZテーブルとを独立的に移動させ,構造を簡潔にして可動テーブルのタクトタイムを短縮させる。
【解決手段】ベッド1は,Xテーブル2を取り付けた水平方向に延びる第1平面部分38,Zテーブル3を取り付けた鉛直方向に延びる第2平面部分39,及び両平面部分が交差する第3平面部分40から構成する。可動テーブル32は,第3平面部分40に対応して位置し,Xテーブル2とZテーブル3とに直動案内ユニット4,5を介してXテーブル2とZテーブル3とに重なって配設されている。可動テーブル32は,Xリニアモータ42でX方向に移動され,Zリニアモータ41でZ方向に移動してベッド1に対してX方向とZ方向との所定位置に位置決め可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,例えば,半導体製造装置,各種の組立装置等のピック&プレイスユニットとして使用され,X方向(水平方向)及びZ方向(鉛直方向)にワーク等の部品を位置決めするためのテーブル等を移動させるリニアモータを内蔵した立型XZスライド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年,半導体製造装置,各種の組立装置では,装置そのものの小形化,高速性,高加減速性,高応答性,高精度な位置決め等の各種の性能が要求され,当該装置に組み込まれるピック&プレイスユニット,即ち,特定の位置にあるワーク等の部品をつまみ上げ,該部品を挿入位置まで移送し,その挿入位置に部品を下ろすという一連の作業を行う装置及びその機構,或いはワーク等の部品のつまみ挿入機構の装置も同様の各種の性能が求められている。
【0003】
従来,ピック&プレイスユニットに使用されるリニアモータを内蔵したスライド装置として,先に本出願人が開発して出願したものが知られている。当該スライド装置は,スライド装置自体が鉛直方向に立設した状態になっており,即ち立型の構成であり,おもて面(表面)とうら面(裏面)が鉛直平面になる板状で固定側になるベッド,ベッドに対してX方向(水平方向)にXリニアモータにより可動となるXテーブル,及びXテーブルに対してZ方向(垂直方向,主として鉛直方向)にZリニアモータにより可動となるZテーブルとを有する。上記スライド装置は,装置自体の厚み即ち嵩高さを抑えて装置自体をコンパクトに構成するために,ZテーブルがXテーブルのベッドに対向する面側に配設され,ベッドとXテーブルとZテーブルとが磁性材料である鋼製で成り,XテーブルがXリニアモータのマグネットヨークとして機能し且つZリニアモータのコイルヨークとして機能して構成されている(例えば,特許文献1参照)。
【0004】
また,リニアモータを内蔵したスライド装置として,本出願人により開発された可動マグネット型リニアモータを内蔵したスライド装置が知られている。当該スライド装置は,テーブルの下面にテーブルの移動方向に極性が交互に異にして並設された多数のマグネットでなる界磁マグネット,及び界磁マグネットに対向してベッドの上面に長手方向に沿って矩形状のコアレスでなる電機子コイルを多数配設した電機子組立体を有している。電機子組立体は,ベッド上面に固着する基板上面に電機子コイルを配設し,その電機子コイル上面を薄膜状の表面保護シートが覆って一体的に接着剤でモールドした一体構造に構成され,リミットセンサ,原点前センサ等の機器が無く,電機子コイルとその配線のみが配設された構造に構成され,テーブルの下面は,界磁マグネットに付随して,従来配置されていた端板,補助マグネット,センサ用マグネット及び原点マークが設けられておらず,界磁マグネット及びリニアスケールのみが配設された構造に構成されてスライド装置がコンパクト構造でシンプルなシステムに構成され,更に,スライド装置の推力を向上させるために電機子コイル及び界磁マグネットの大きさを大きく構成したものである(例えば,特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−238540号公報
【特許文献2】特開2007−300759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の特許文献1に開示されたピック&プレイスユニットに使用されるリニアモータを内蔵したスライド装置は,ZテーブルがXテーブルに配設され,Zテーブルがベッドに対してX方向及びZ方向に可動する構造に構成されており,作業効率を上げる(タクトタイムを向上させる)ために内蔵するXリニアモータ及びZリニアモータの推力を上げるように構成しても,Xテーブルの重量が自身の増加とZテーブルの増加とで益々増加してスライド装置が大型になってしまうという問題を有していた。そこで,スライド装置として,大型にならず作業効率を上げることができる高タクト,即ち,タクトタイムが短い生産性が高い特性を有するものが要望されている。
【0007】
また,特許文献2に開示された上記リニアモータを内蔵したスライド装置は,応用例で,一対のスライド装置自体を互いに直交させて直接固着するだけで,X方向及びY方向に移動自在なXYスライド装置を簡単に構成することができるものになっているが,ピック&プレイスユニットとして,タクトタイムの短縮には,可動部の重量を軽量化する必要があり,その点で開発されるべき課題を有している。
【0008】
この発明の目的は,上記の課題を解決することであり,固定側をベッドで構成し,移動側をXテーブル,Zテーブル及び可動テーブルから構成して,移動するテーブルを可能な限り大型にならず,言い換えれば,可及的に小型に構成し,移動するテーブルを軽量に構成するため,可動テーブルをX方向にXリニアモータで移動させるXテーブルと,可動テーブルをZ方向にZリニアモータで移動させるZテーブルとを独立的に作動して軽量化し,可動テーブルを高タクトで且つ高精度に移動させることができるピック&プレイスユニットに使用されることから成る立型XZスライド装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は,おもて面とうら面とが互いに平行な平面に形成され且つ前記平面が鉛直方向に配設される固定側になる板状のベッド,及び水平方向であるX方向に駆動するXリニアモータと前記X方向に直交する前記鉛直方向であるZ方向に駆動するZリニアモータとによって前記X方向と前記Z方向とに移動可能な可動テーブルから構成された立型XZスライド装置において,
前記ベッドは,前記水平方向に延びる第1平面部分,前記鉛直方向に延びる第2平面部分,及び前記第1平面部分と前記第2平面部分とが交差する第3平面部分から鉤状の形状に形成され,前記ベッドには,前記第1平面部分を前記X方向に移動自在な矩形板状のXテーブルが配設されると共に,前記第2平面部分から前記第3平面部分にわたって前記Z方向に移動自在な矩形板状のZテーブルが配設され,
前記可動テーブルは,前記ベッドの大きさに比較して小さい板状に形成され,前記Xテーブルと前記Zテーブルとにそれぞれ配設された直動案内ユニットにうら面がそれぞれ連結されて前記Xテーブルと前記Zテーブルとのおもて面に重なって配設され,前記Xテーブルに対して設けられた前記Xリニアモータによって前記X方向に移動可能に且つ前記Zテーブルに対して設けられた前記Zリニアモータによって前記Z方向に移動可能に構成されて,前記ベッドに対して前記X方向と前記Z方向との予め決められた所定位置に位置決め可能に構成されていることを特徴とする立型XZスライド装置に関する。
【0010】
また,前記可動テーブルは,一部分が前記ベッドから突出してなる突出部に形成され,前記突出部にチャック,グリップ等の部品が取り付けられる。
【0011】
また,前記Xテーブルは,前記ベッドの前記第1平面部分を覆う大きさに前記X方向が長辺になる長方形形状に形成され,前記Zテーブルは,前記ベッドの前記第2平面部分と前記第3平面部分とを覆う大きさに前記Z方向が長辺になる長方形形状に形成され,前記Xテーブルと前記Zテーブルとは,互いに衝突することなく可動であって互いに可動領域を確保して前記ベッドに配設されている。
【0012】
また,前記可動テーブルは,前記Xテーブルと前記Zテーブルとの前記おもて面に重なる水平部と,前記水平部から前記Zテーブルの前記おもて面に重なって前記Z方向の下方に延びて前記Zテーブルの下方に突出する前記突出部とから鉤状の形状に形成されている。更に,前記可動テーブルは,前記Xテーブルの前記おもて面に配設された前記Z方向に沿って摺動自在な一方の前記直動案内ユニットに前記うら面が連結されると共に,前記Zテーブルの前記おもて面に配設された前記X方向に沿って摺動自在な他方の前記直動案内ユニットに前記うら面が連結されている。
【0013】
また,この立型XZスライド装置において,前記Zテーブルに配設された前記直動案内ユニットは前記Xテーブルの前記おもて面の前記Zテーブル側の短辺になる端部分に配設され,前記Xテーブルに配設された前記直動案内ユニットは前記Zテーブルの前記おもて面の下側の短辺になる端部分に配設されている。更に,前記Xテーブルと前記Zテーブルとにそれぞれ配設された前記直動案内ユニットは,軌道レールの底面からスライダの上面までの高さが同一であり且つ前記Xテーブルと前記Zテーブルとの前記おもて面が同一平面に形成され,それぞれの前記スライダに前記可動テーブルの前記うら面が固着されることによって,前記可動テーブルは自ずと前記ベッドの前記平面に対向して前記鉛直方向に設置されるものである。
【0014】
また,この立型XZスライド装置において,前記Xリニアモータは,前記Xテーブルのうら面に前記Xテーブルの移動方向に極性が交互に異にして並設された多数のマグネットでなる界磁マグネット,及び前記界磁マグネットに対向して前記ベッドの対向面に前記Xテーブルの移動方向に沿って矩形状のコアレスでなる電機子コイルを多数配設した電機子組立体を有しており,前記Zリニアモータは,前記Zテーブルのうら面に前記Zテーブルの移動方向に極性が交互に異にして並設された多数のマグネットでなる界磁マグネット,及び前記界磁マグネットに対向して前記ベッドの対向面に前記Zテーブルの移動方向に沿って矩形状のコアレスでなる電機子コイルを多数配設した電機子組立体を有しており,
前記Xリニアモータと前記Zリニアモータとの前記電機子組立体は,同一の構造に形成されており,前記電機子組立体の基板の一方の面を前記ベッドの前記対向面に固着し,前記基板の他方の面に前記電機子コイルを配設し,前記電機子コイルの外面を薄膜状の表面保護シートが覆って一体的に接着剤でモールドした一体構造に構成されている。
【0015】
また,この立型XZスライド装置において,前記ベッド,前記Xテーブル,及び前記Zテーブルは,鋼製でなる磁性材料から構成され,前記Xテーブルが前記Xリニアモータのマグネットヨークとして機能し,前記Zテーブルが前記Zリニアモータのマグネットヨークとして機能し,及び前記ベッドが前記Xリニアモータ及び前記Zリニアモータのコイルヨークとしてそれぞれ機能し,前記ベッドには,前記第1平面部分から前記第3平面部分に続き前記第2平面部分に掛けて前記Xリニアモータ及び前記Zリニアモータの発熱を放熱するための冷却用流路が形成されている。具体的には,前記冷却用流路は,前記Xリニアモータ及び前記Zリニアモータに対向した前記ベッドの前記うら面にあって,前記第1平面部分,前記第2平面部分及び前記第3平面部分にわたって平行に隔置して連続して延びて形成された複数の凹溝によって構成されている。
【発明の効果】
【0016】
この発明による立型XZスライド装置は,上記のように,固定側でなるベッドにそれぞれXテーブルとZテーブルとを独立的に移動できるように配設し,XテーブルとZテーブルとに可動テーブルを取り付けて構成したので,可動テーブルのX方向とZ方向との移動において,互いのテーブルの重量が影響を及ぼし合うことが無く,XリニアモータとZリニアモータとの推力が大きくなるように構成し,可動テーブルがX方向(水平方向)に移動自在なXリニアモータを設けたXテーブルとZ方向(垂直方向,特に,鉛直方向)に移動自在なZリニアモータを設けたZテーブルとに直動案内ユニットを介してそれぞれ配設され,可動テーブルがX方向及びZ方向に移動可能な構造に構成でき,移動する対象物の重量を小さくして軽量化を達成し,移動体の重量を軽くしてXリニアモータ及びZリニアモータの推力をアップさせ,可動テーブルのタクトタイムを大幅に短縮することを特徴としている。また,可動テーブルは,XテーブルとZテーブルとに配設されたそれぞれの直動案内ユニットにうら面(裏面)を固着するだけで構成されるので,可動テーブルをXテーブルとZテーブルとに簡単に取り付け取り外しすることができる。更に,XテーブルとZテーブルとに配設された直動案内ユニットは,互いに同一構造のものでなり,Xテーブル及びZテーブルが同一平面に構成可能に成っている。また,XリニアモータとZリニアモータとの電機子組立体を同一構造に構成できるように成っている。更に,ベッドを冷却することによって,Xリニアモータ及びZリニアモータの放熱を同時に行うことが可能に成っている。上記のように,この立型XZスライド装置は,推力アップを図ると共にコンパクト構造でシンプルなシステムに構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明によるリニアモータを内蔵した立型XZスライド装置の実施例を示す部分断面を含んだ斜視図である。
【図2】図1の背面側を見たスライド装置を示し,背面カバーを外した状態に示す斜視図である。
【図3】図1のスライド装置の正面図である。
【図4】図3のスライド装置の側面図である。
【図5】図3のスライド装置の背面図である。
【図6】図5から背面カバーを取り外した背面図である。
【図7】図1のスライド装置の作動例を示し,(a)は可動テーブルの軌跡を示し,(b)は可動テーブルの動作の実測結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
この発明によるリニアモータを内蔵した立型XZスライド装置は,例えば,半導体製造装置,各種の組立装置等のピック&プレイスユニット等として使用して好ましいものである。この立型XZスライド装置は,可動テーブルがX方向(水平方向)及びZ方向(鉛直方向,ここでは,装置自体を設置するベースに対して垂直方向を意図している)に移動可動であり,可動テーブルを可能な限り軽量化すると共に,X方向とZ方向とにそれぞれ移動する移動荷重を可能な限り軽量化し,X方向に移動自在なXリニアモータを設けたXテーブルとZ方向に移動自在なZリニアモータを設けたZテーブルとに直動案内ユニットを介して可動テーブルを摺動自在に連結し,可動テーブルをX方向及びZ方向に移動させる構造に構成されており,X方向とZ方向とに移動させる移動荷重が軽量であるので慣性力が小さくなり,可動テーブルのタクトタイムを大幅に短縮できるものになっている。また,本願発明の立型XZスライド装置におけるXテーブルとZテーブルとに設けられたXリニアモータとZリニアモータは,本願出願人により開発された特許文献2の特開2007−300759号公報に開示されたものを採用して推力アップを図ると共に,コンパクトな構造でシンプルなシステムに構成されている。
【実施例】
【0019】
以下,図面を参照して,この発明によるリニアモータを内蔵した立型XZスライド装置の実施例を説明する。この立型XZスライド装置では,図1〜図6に示すように,ベッド1は,おもて面(表面)46及びうら面(裏面)47とが互いに平行な平面の板状に形成され,鉛直方向に立った状態即ち延びた状態に配置された固定側を構成している。可動テーブル32は,ベッド1の上記平面が鉛直方向に設置された状態のおもて面46にXテーブル2及びZテーブル3を介して配設されている。可動テーブル32は,ベッド1に対してX方向(水平方向)及びZ方向(鉛直方向)に移動可能な立型XZスライド装置を構成している。可動テーブル32は,ベッド1の大きさに比較して格段に小さな板状に形成され,一部分がベッド1から下端部から突出してなる突出部26を有している。突出部26のおもて面45又はうら面50には,ワーク等の部品をつまむための各種のチャックやグリップ(図示せず)が取り付けられて利用されるものであり,この立型XZスライド装置は,ピックアンドプレース仕様の装置に構成されている。
【0020】
この立型XZスライド装置は,固定側であって板状でなるベッド1が,図3に示すように,正面に見ておもて面46が鉤状(逆L字状,裏面から見てL字状)の形状に形成されている。ベッド1のおもて面46は,水平方向に延びる第1平面部分38,鉛直方向に延びる第2平面部分39,及び第1平面部分38と第2平面部分39とが交差する第3平面部分40によって形成されている。矩形板状のXテーブル2は,ベッド1のおもて面46の第1平面部分38にベッド1に対してX方向(水平方向)に移動可能に配設されており,また,矩形板状のZテーブル3は,ベッド1のおもて面46の第2平面部分39から第3平面部分40に掛けてX方向に直交したZ方向(鉛直方向)に移動可能に配設されている。板状の可動テーブル32は,Xテーブル2のおもて面43及びZテーブル3のおもて面44に重なって配設されている。可動テーブル32は,そのうら面50がXテーブル2に配設された直動案内ユニット4とZテーブル3に配設された直動案内ユニット5とにそれぞれ連結されている。従って,可動テーブル32は,Xテーブル2に設けられたXリニアモータ42でXテーブル2をX方向に駆動することによって,Xテーブル2の移動に従ってX方向に移動する。また,可動テーブル32は,Zテーブル3に設けたZリニアモータ41でZテーブル3をZ方向に駆動することによって,Zテーブル3の移動に従ってZ方向に移動する。言い換えれば,図7(a)に可動テーブル32の位置P1と位置P2間の移動軌跡を示すように,可動テーブル32をX方向に位置P1から位置P2へ移動する時には,可動テーブル32とXテーブル2とが移動し,また,可動テーブル32をZ方向に移動する時には,可動テーブル32とZテーブル3とが移動するのみであるので,移動する重量即ち移動荷重は,大幅に低減されることになり,慣性力等は小さくなると共に,Zリニアモータ41とXリニアモータ42との可動テーブル32を移動させる駆動力は低減され,可動テーブル32の推力をアップでき,従って,可動テーブル32のタクトタイムを大幅に短縮できる作動を可能にする。
【0021】
矩形板状のXテーブル2は,ベッド1のおもて面46の第1平面部分38を覆う大きさにX方向が長辺になる長方形形状に形成されている。矩形板状のZテーブル3は,ベッド1のおもて面46の第2平面部分39及び第3平面部分40を覆う大きさにZ方向が長辺になる長方形形状に形成されている。Xテーブル2とZテーブル3とは,互いに衝突することなく可動であり,それぞれの可動範囲即ち可動領域(ストローク範囲)を確保して,互いに近接した状態で,ベッド1に配設されている。なお,符号28,29はXテーブル2の可動範囲を規制するストッパであり,符号23,24はZテーブル3の可動範囲を規制するストッパである。
【0022】
また,板状に成る可動テーブル32は,Xテーブル2のおもて面43からZテーブル3のおもて面44に掛けて重なる水平部37と,水平部37からZテーブル3のおもて面44に重なってZ方向の下方に垂直に延びてZテーブル3の下方に突出する突出部26とで成る鉤状(即ち,逆向き倒立状のL字形)の形状に形成されている。板状の可動テーブル32は,図1,図3及び図4に示すように,矩形板状でなるXテーブル2のおもて面43に配設されたZ方向に沿って摺動自在な直動案内ユニット5のスライダ7に,可動テーブル32のうら面50が連結されると共に,矩形板状でなるZテーブル3のおもて面44に配設されたX方向に沿って摺動自在な直動案内ユニット4のスライダ6に,可動テーブル32のうら面50が固定ボルト30によって連結されている。
【0023】
直動案内ユニット5は,矩形板状でなるXテーブル2のおもて面43のZテーブル3側の短辺になる端部分に配設されており,また,直動案内ユニット4は,矩形板状でなるZテーブル3のおもて面44の下側の短辺になる端部分に配設されている。直動案内ユニット5は,Xテーブル2のおもて面43にZ方向に延びて固着された長尺状の一つの軌道レール9と,軌道レール9に跨架して長手方向に沿って摺動自在な一つのスライダ7が可動テーブル32のうら面50に固着されて構成されている。直動案内ユニット4は,Zテーブル3のおもて面44にX方向に延びて固着された長尺状の一つの軌道レール8と,軌道レール8に跨架して長手方向に沿って摺動自在な二つのスライダ6が可動テーブル32のうら面50に固着されて構成されている。また,直動案内ユニット4及び直動案内ユニット5は,軌道レール8,9の底面からスライダ6,7の上面までのユニット高さが同一もの,即ち同一形番品で成り,且つXテーブル2のおもて面43とZテーブル3のおもて面44とが同一平面に形成されている。従って,直動案内ユニット4のスライダ6及び直動案内ユニット5のスライダ7に,可動テーブル32のうら面50を固着することによって,可動テーブル32は,自ずと鉛直方向に設置されたベッド1の平面であるXZ平面に対向して予め決められた所定の位置になる鉛直平面上で鉛直方向に設置され,可動テーブル32の位置設定が簡単にできる構造に構成されている。
【0024】
可動テーブル32は,Z方向に相対移動する直動案内ユニット5によってXテーブル2に連結され,X方向に相対移動する直動案内ユニット4とによってZテーブル3に連結されるので,Zテーブル3がZ方向に移動すると,可動テーブル32はZ方向に直交した直動案内ユニット4に結合されて,Zテーブル3に連動してZ方向に移動する。この時に,可動テーブル32に連結している直動案内ユニット5のスライダ7はZ方向に移動自在に構成されているので,直動案内ユニット5により移動が阻止されることがない構造である。また,可動テーブル32は,Xテーブル2がX方向に移動すると,X方向に直交した直動案内ユニット5に結合されて,Xテーブル2に連動してX方向に移動する。この時に,可動テーブル32に連結している直動案内ユニット4のスライダ6は,X方向に移動自在に成っているので,直動案内ユニット4により移動が阻止されることがない構造に構成されている。また,可動テーブル32は,同時にZテーブル3及びXテーブル2が移動する時にも,上記構造により鉛直方向に設置されたベッド1に対して予め決められたXZ平面の所定の位置に移動可能に構成されている。
【0025】
この立型XZスライド装置において,Zテーブル3の構造は,固定側のベッド1に対して直動案内ユニット55を介してZ方向に摺動自在に支持され,且つベッド1との対向間にリニアエンコーダ16を含むZリニアモータ41が設けられたZテーブル3がZ方向に移動し,Zテーブル3に取り付けられた可動テーブル32が予め決められた所定の位置へ位置決め駆動される。また,Xテーブル2の構造は,固定側のベッド1に対して直動案内ユニット60を介してX方向に摺動自在に支持され,且つベッド1との対向間にリニアエンコーダ16と同様なリニアエンコーダを含むXリニアモータ42が設けられたXテーブル2がX方向に移動し,Xテーブル2に取り付けられた可動テーブル32が予め決められた所定の位置へ位置決め駆動される。また,Xリニアモータ42とZリニアモータ41とは,略同一の構造に構成され,本願出願人により開発された特開2007−300759号公報に開示されているリニアモータを踏襲して推力アップを図ると共に,コンパクト構造でシンプルなシステムに構成されている。
【0026】
Xリニアモータ42は,Xテーブル2のうら面49にXテーブル2の移動方向に極性が交互に異にして並設された多数のマグネット54でなる界磁マグネット51,及び界磁マグネット51に対向してベッド1の対向面にXテーブル2の移動方向にに沿って矩形状のコアレスでなる電機子コイル53を多数配設した電機子組立体52を有しており,電機子組立体52は,基板25の一方の面をベッド1の対向面に固着し,基板25の他方の面に電機子コイル53を配設し,それらの電機子コイル53の外面を薄膜状の表面保護シートが覆って一体的に接着剤でモールドした一体構造に構成されている。また,Zリニアモータ41は,Xリニアモータ42と同様に,Zテーブル3のうら面48にZテーブル3の移動方向に極性が交互に異にして並設された多数のマグネット15でなる界磁マグネット14,及び界磁マグネット14に対向してベッド1の対向面にZテーブル3の移動方向にに沿って矩形状のコアレスでなる電機子コイル13を多数配設した電機子組立体11を有しており,電機子組立体11は,基板12の一方の面をベッド1の対向面に固着し,基板12の他方の面に電機子コイル13を配設し,それらの電機子コイル13の外面を薄膜状の表面保護シートが覆って一体的に接着剤でモールドした一体構造に構成されている。
【0027】
この実施例では,Xリニアモータ42を構成する界磁マグネット51におけるマグネット54の数は9個で構成され,電機子組立体52における電機子コイル53の数は6個で構成されている。また,Zリニアモータ41を構成する界磁マグネット14におけるマグネット15の数は8個で構成され,電機子組立体11における電機子コイル13の数は6個で構成されている。
【0028】
この立型XZスライド装置において,ベッド1,Xテーブル2,及びZテーブル3は,鋼製でなる磁性材料から構成されており,Xテーブル2及びZテーブル3は,Xリニアモータ42及びZリニアモータ41を構成するそれぞれマグネットヨークとして機能し,また,ベッド1は,Xリニアモータ42及びZリニアモータ41のコイルヨークとして機能して,スライド装置自体がコンパクトに構成されている。また,この立型XZスライド装置において,ベッド1は,コイルヨークを兼ねているので,図2,図5,及び図6に示すように,ベッド1に冷却装置を設けることによって電機子コイル13,53による発熱を容易に放熱することが可能になり,実効推力を向上させることが可能に成っている。実施例の冷却装置は,空冷装置に構成されており,空冷装置は,ベッド1のうら面47に形成され,ベッド1のうら面47における第1平面部分38から第3平面部分40に通って第2平面部分39に掛けて複数の凹溝33を形成し,それらの複数の凹溝33を覆う背面カバー31をベッド1に取り付けることによって,複数の凹溝33と背面カバー31とによって冷却用の空気流路36が形成され,第1平面部分38の端部に形成された注入口34から空気を供給され,第2平面部分39の端部に形成された排出口35から空気を排出することで構成されている。この立型XZスライド装置は,この空冷装置によって定格推力が16Nから20Nに向上させることが可能になっている。
【0029】
可動テーブル32は,図3に示されるように,ほぼ装置の大きさに相当するベッド1の大きさに比較して格段に小さな板状に形成され,1/5程度に形成可能に成り,実際には,面積比で1/8に形成され,且つ材質がアルミで構成され,軽量化され,具体的には,質量50gにすることができた。また,この実施例では,X方向における可動テーブル32と連結したXテーブル2との可動質量は,0.38kgに成り,Z方向における可動テーブル32と連結したZテーブル3との可動質量は,0.35kgに成り,質量kg当たりの推力は,X方向で42になり,Z方向で45になるという高推力に構成されている。従来の特許文献1の装置では,X方向が16であり,Z方向が21に成っており,本願発明は,従来例に比較して,2倍以上の高推力を確保できるように構成されている。
【0030】
Zテーブル3の位置検知をするリニアエンコーダ16は,光学式でなり,リニアスケール17がZテーブル3の長辺になる側部外端のうら面48にZテーブル3の移動方向に沿って固着され,リニアスケール17に対向するベッド1にセンサ18が固着されて構成され,可動テーブル32に近い位置に設定されている。同様に,Xテーブル2の位置検知をするリニアエンコーダ(符号16と同様であって図示せず)は,光学式でなり,リニアスケール(符号17と同様であって図示せず)がXテーブル2の長辺になる側部上端のうら面49にXテーブル2の移動方向に沿って固着され,上記リニアスケールに対向するベッド1にセンサ27が固着されて構成され,可動テーブル32に近い位置に設定されている。この立型XZスライド装置は,上記の構成により,センサ27から延びるセンサ信号線19及びセンサ18から延びるセンサ信号線22は,固定側であるベッド1に固着されて構成され,従来の信号線の繰り返し動作に寄る断線が無いものであり,クリーン環境にも対応可能に成っている。また,センサ信号線19及びセンサ信号線22は,装置の外側に沿って配線されるので,配線作業が容易であり安全なものに成っている。また,図示されていないが,Xリニアモータ42及びZリニアモータ41の関わる電源装置及び制御装置は,スライド装置の外部に設けられている。なお,符号20はXリニアモータ42の電機子コイル53のコイル電源線であり,また,符号21はZリニアモータ41の電機子コイル13のコイル電源線である。
【0031】
また,この立型XZスライド装置において,Xテーブル2を摺動自在に支持する直動案内ユニット60は,ベッド1の対向面にX方向に沿って長尺状でなる一対の軌道レール58がねじによって固着され,各軌道レール58にそれぞれ2つのスライダ56が軌道レール58に沿って摺動自在に跨架され,各スライダ56がXテーブル2のうら面49に固定ねじ61によって固着されている。同様に,Zテーブル3を摺動自在に支持する直動案内ユニット55は,ベッド1の対向面にZ方向に沿って長尺状でなる一対の軌道レール59がねじによって固着され,各軌道レール59に2つのスライダ57が軌道レール59に沿って摺動自在にそれぞれ跨架され,各スライダ57がZテーブル3のうら面48に固定ねじ61によって固着されている。更に,図1及び図3に示されるように,ベッド1とZテーブル3との間には,鉛直方向の重量バランスを平衡させるために,Zテーブル3のXテーブル2側になる側方上部の位置にコイル状に成るZ軸バランス用ばね10が配設されており,Z軸バランス用ばね10の上端係止部がベッド1に取り付けられ,ばね10の下端係止部がZテーブル3に取り付けられいる。コイル状のばね10の構成は,本願出願人が先に発明した特開2007−325389号公報に開示されているばねと同様なものが使用されている。
【0032】
図7の(a)及び(b)には,この立型XZスライド装置の可動テーブル32の動作例が示されている。本動作例では,空冷しない状態で試験したものであり,可動テーブル32への部品の搭載質量が150g,可動テーブル32のストロークがX方向で25mmであり,Z方向で8mmであり,この時の整定幅が±5μmで設定している。可動テーブル32の動作タクトが1サイクルが250msで240cpmであり,加減速時間がX方向で20msであり,Z方向で10msであり,また,実効推力がX方向に15Nであり,Z方向に15.6Nであり,高分解能と高応答を実現している。ここで,整定幅は,目標位置に対して許容する設定値であり,±5μmは,高精度の設定値であり,高精度に設定可能な状態になっている。図7の(b)に示されるグラフでは,一点鎖線がX軸位置決め信号であり,二点鎖線がZ軸位置決め信号を示しており,これらの信号に応じてXリニアモータ42とZリニアモータ41が作動して可動テーブル32が移動するが,実線が可動テーブル32のX方向の速度であるX軸速度を示し,三点鎖線がZ方向の速度であるZ軸速度を示している。
【0033】
可動テーブル32の稼動は,図7(a)に示すように,Zテーブル3がZ方向に駆動されると,Zテーブル3に直動案内ユニット4で連結された可動テーブル32が同時にZ方向に動作し,可動テーブル32に装着されたチャック(図示なし)が所定の位置にあるワークをつまみ上げ,次いで,Xテーブル2がX方向に駆動されると,Xテーブル2に直動案内ユニット5で連結された可動テーブル32が同時にX方向に動作し,チャックが挿入位置まで移送され,次いで,Zテーブル3がZ方向に駆動され,Zテーブル3に直動案内ユニット4で連結された可動テーブル32が同時にZ方向に動作して可動テーブル32のチャックが所定の位置にワークを下ろす一連の作業を行うことに成る。
【0034】
この立型XZスライド装置の動作例を示す図7(b)における矩形状の位置決め信号(一転鎖線及び二点鎖線)は,水平位置から下がった時にONになり,水平位置から上がった時にOFFになる。また,図7(a)において,可動テーブル32の動作を分解した動き(1)〜動き(8)とすると,図7(b)に示すように,動き(1)でZ方向に上昇して動作し,動き(2)でX方向に右側へ動作し,動き(3)でZ方向に下降して動作し,動き(4)でZ方向とX方向で停止状態になり,動き(5)でZ方向に上昇して動作し,動き(6)でX方向に左側へ動作し,動き(7)でZ方向に下降して動作し,動き(8)でZ方向とX方向で停止状態になり,次いで再び動き(1)に動作が続いて,動き(1)〜動き(8)が繰り返されることになる。また,図7(b)において,例えば,動き(1)で,Z方向に加速・減速して速度が零からZ信号のOFFまでの時間をZ0 で示されている。この時間Z0 は,Z方向に速度零に成りつつ目標位置(OFF位置)で停止した状態(時間)を示しており,この時間が短い程,整定幅に対しての応答性が良いものになる。同様に,動き(2)で,X方向に加速・減速して速度が零からX信号のOFFまでの時間をX0 で示されている。この時間X0 は,X方向に速度零に成りつつ目標位置(OFF位置)で停止した状態(時間)を示しており,この時間が短い程,整定幅に対しての応答性が良いものになる。従って,可動テーブル32の動作結果の時間Z0 ,X0 から,応答性が良好になっていることが解る。
【0035】
上記実施例は,ベッド1を正面に見たときに,ベッド1の水平方向の第1平面部分38が,鉛直方向の第2平面部分39及び交差した第3平面部分40の左側に位置しているが,右側に位置する構成でも実施可能なものであることは勿論であり,更に,ベッド1のおもて面46及びうら面47に一対に配置しても実施可能なものに成っている。また,ベッド1のおもて面46及びうら面47に配設する場合は,うら面47には空冷装置の凹溝33は無く,ベッド1のうら面47が配設可能な平面に形成され,空冷装置はベッド1の内部に流路36を形成すればよいものである。
【産業上の利用可能性】
【0036】
この立型XZスライド装置は,例えば,半導体製造装置,組立装置等の各種の装置のピック&プレイスユニットとして使用して好ましいものである。
【符号の説明】
【0037】
1 ベッド
2 Xテーブル
3 Zテーブル
4,5 直動案内ユニット
6,7 スライダ
8,9 軌道レール
11,52 電機子組立体
12,25 基板
13,53 電機子コイル
14,51 界磁マグネット
15,54 マグネット
26 突出部
32 可動テーブル
33 凹溝
36 流路
37 水平部
38 第1平面部分
39 第2平面部分
40 第3平面部分
41 Zリニアモータ
42 Xリニアモータ
43,44,45,46 おもて面
47,48,49,50 うら面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
おもて面とうら面とが互いに平行な平面に形成され且つ前記平面が鉛直方向に配設される固定側になる板状のベッド,及び水平方向であるX方向に駆動するXリニアモータと前記X方向に直交する前記鉛直方向であるZ方向に駆動するZリニアモータとによって前記X方向と前記Z方向とに移動可能な可動テーブルから構成された立型XZスライド装置において,
前記ベッドは,前記水平方向に延びる第1平面部分,前記鉛直方向に延びる第2平面部分,及び前記第1平面部分と前記第2平面部分とが交差する第3平面部分から鉤状の形状に形成され,前記ベッドには,前記第1平面部分を前記X方向に移動自在な矩形板状のXテーブルが配設されると共に,前記第2平面部分から前記第3平面部分にわたって前記Z方向に移動自在な矩形板状のZテーブルが配設され,
前記可動テーブルは,前記ベッドの大きさに比較して小さい板状に形成され,前記Xテーブルと前記Zテーブルとにそれぞれ配設された直動案内ユニットにうら面がそれぞれ連結されて前記Xテーブルと前記Zテーブルとのおもて面に重なって配設され,前記Xテーブルに対して設けられた前記Xリニアモータによって前記X方向に移動可能に且つ前記Zテーブルに対して設けられた前記Zリニアモータによって前記Z方向に移動可能に構成されて,前記ベッドに対して前記X方向と前記Z方向との予め決められた所定位置に位置決め可能に構成されていることを特徴とする立型XZスライド装置。
【請求項2】
前記可動テーブルは,一部分が前記ベッドから突出してなる突出部に形成され,前記突出部にチャック,グリップ等の部品が取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の立型XZスライド装置。
【請求項3】
前記Xテーブルは,前記ベッドの前記第1平面部分を覆う大きさに前記X方向が長辺になる長方形形状に形成され,前記Zテーブルは,前記ベッドの前記第2平面部分と前記第3平面部分とを覆う大きさに前記Z方向が長辺になる長方形形状に形成され,前記Xテーブルと前記Zテーブルとは,互いに衝突することなく可動であって互いに可動領域を確保して前記ベッドに配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の立型XZスライド装置。
【請求項4】
前記可動テーブルは,前記Xテーブルと前記Zテーブルとの前記おもて面に重なる水平部と,前記水平部から前記Zテーブルの前記おもて面に重なって前記Z方向の下方に延びて前記Zテーブルの下方に突出する前記突出部とから鉤状の形状に形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の立型XZスライド装置。
【請求項5】
前記可動テーブルは,前記Xテーブルの前記おもて面に配設された前記Z方向に沿って摺動自在な一方の前記直動案内ユニットに前記うら面が連結されると共に,前記Zテーブルの前記おもて面に配設された前記X方向に沿って摺動自在な他方の前記直動案内ユニットに前記うら面が連結されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の立型XZスライド装置。
【請求項6】
前記Zテーブルに配設された前記直動案内ユニットは前記Xテーブルの前記おもて面の前記Zテーブル側の短辺になる端部分に配設され,前記Xテーブルに配設された前記直動案内ユニットは前記Zテーブルの前記おもて面の下側の短辺になる端部分に配設されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の立型XZスライド装置。
【請求項7】
前記Xテーブルと前記Zテーブルとにそれぞれ配設された前記直動案内ユニットは,軌道レールの底面からスライダの上面までの高さが同一であり且つ前記Xテーブルと前記Zテーブルとの前記おもて面が同一平面に形成され,それぞれの前記スライダに前記可動テーブルの前記うら面が固着されることによって,前記可動テーブルは自ずと前記ベッドの前記平面に対向して前記鉛直方向に設置されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の立型XZスライド装置。
【請求項8】
前記Xリニアモータは,前記Xテーブルのうら面に前記Xテーブルの移動方向に極性が交互に異にして並設された多数のマグネットでなる界磁マグネット,及び前記界磁マグネットに対向して前記ベッドの対向面に前記Xテーブルの移動方向に沿って矩形状のコアレスでなる電機子コイルを多数配設した電機子組立体を有しており,
前記Zリニアモータは,前記Zテーブルのうら面に前記Zテーブルの移動方向に極性が交互に異にして並設された多数のマグネットでなる界磁マグネット,及び前記界磁マグネットに対向して前記ベッドの対向面に前記Zテーブルの移動方向に沿って矩形状のコアレスでなる電機子コイルを多数配設した電機子組立体を有しており,
前記Xリニアモータと前記Zリニアモータとの前記電機子組立体は,同一の構造に形成されており,前記電機子組立体の基板の一方の面を前記ベッドの前記対向面に固着し,前記基板の他方の面に前記電機子コイルを配設し,前記電機子コイルの外面を薄膜状の表面保護シートが覆って一体的に接着剤でモールドした一体構造に構成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の立型XZスライド装置。
【請求項9】
前記ベッド,前記Xテーブル,及び前記Zテーブルは,鋼製でなる磁性材料から構成され,前記Xテーブルが前記Xリニアモータのマグネットヨークとして機能し,前記Zテーブルが前記Zリニアモータのマグネットヨークとして機能し,及び前記ベッドが前記Xリニアモータ及び前記Zリニアモータのコイルヨークとしてそれぞれ機能し,
前記ベッドには,前記第1平面部分から前記第3平面部分に続き前記第2平面部分に掛けて前記Xリニアモータ及び前記Zリニアモータの発熱を放熱するための冷却用流路が形成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の立型XZスライド装置。
【請求項10】
前記冷却用流路は,前記Xリニアモータ及び前記Zリニアモータに対向した前記ベッドの前記うら面にあって,前記第1平面部分,前記第2平面部分及び前記第3平面部分にわたって平行に隔置して連続して延びて形成された複数の凹溝によって構成されていることを特徴とする請求項9に記載の立型XZスライド装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−250592(P2011−250592A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−121489(P2010−121489)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(000229335)日本トムソン株式会社 (96)
【Fターム(参考)】