説明

リファキシム抗直腸機能不全製剤

本発明は、直腸疾患を治療するための組成物および方法に関する。本発明は、罹冒領域またはその近傍に組成物を局所適用することにより、肛門疾患および疾病、例えば、肛門裂傷、肛門潰瘍、痔疾患、拳筋攣縮、クローン病、周囲皮膚炎、直腸または肛門裂傷、ならびに皮膚炎症を治療するための組成物および方法に関する。1つの態様において、抗直腸機能不全薬およびリファキシミンを含む医薬製剤が、本発明において提供される。1つの実施形態において、抗直腸機能不全薬は、一酸化窒素調節剤である。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願
本願は、2006年3月9日に出願された「Rifaximin Anti−Rectal Dysfunction Preparation」という表題の米国仮特許出願第60/781,144号、および2006年4月11日に出願された「Rifaximin Anti−Rectal Dysfunction Preparation」という表題の米国仮特許出願第60/791,236号の利益を主張する。これらは、本明細書中にその全体が参考として援用される。
【0002】
背景
一般に、肛門裂傷、肛門潰瘍、および急性痔疾患を含む肛門疾患は、すべての年齢、人種および性の対象が罹患する一般的な肛門管の良性状態である。しかし、これらの状態は、治療するには問題がある可能性があり、耐えられない痛みの場合は不都合でありうる。肛門裂傷または潰瘍を有する対象は、しばしば肛門痛および出血を経験し、その痛みは、便通中および後により著しい。
【0003】
痔核は、肛門粘膜下の特定の血管野である。症候性痔疾患は、出血、血栓および/または痔組織の脱出を特徴とする。一般に、痔内部組織が便通中に肛門管に張り出て、出血と痛みを引き起こす。組織が拡大するにつれて、さらなる出血および痛みがあり、脱出と血栓が続発しうる。痔核の血栓は、出血と痛みのもう1つの原因である。
【0004】
これらの肛門疾患の根本的原因は、殆ど解っていないが、これらの状態は、周囲組織の感染因子および感染症に関連する可能性があり、ここで組織は汚染され始めている。肛門裂傷/潰瘍の場合、疾患の一因となる異常は、内肛門括約筋のまだ正体不明の問題であると思われる。この内括約筋は、直腸の内輪筋層から生じる特定の不随意筋である。典型的な肛門裂傷/潰瘍疾患を患う人々から得られる肛門内圧力測定値は、様々な刺激に対する過大な圧力応答を示す。その異常に高い肛門内圧は、内括約筋によって生じ、裂傷または潰瘍およびそれに伴う痛みの非治癒の原因となる。
【0005】
これらの肛門疾患を治療するために、様々な治療法が考案されてきた。典型的な非手術療法には、バルク緩下薬および坐浴が含まれる。坐浴は、肛門括約筋機構の弛緩を誘導するので有用である。例えば、非特許文献1を参照されたい。
【0006】
肛門の局所療法も、治癒を促進し、痛みを軽減し、ならびに腫脹および炎症を減少させるために用いられる。局所麻酔薬、コルチコステロイド、収れん薬、および他の薬剤を含む多くの製剤が試みられてきた。しかし、これらの製剤はいずれも、最終的に治癒時間を短縮することや、関連痛を確実に改善することは示されておらず、治療の一部、例えば、ネオスポリン軟膏は、非常に感作的である。さらに、抗生物質が、該疾患の治療に有用であることは見出されていない。
【非特許文献1】Shafik、「Role of warm−water bath in anorectal conditons:The thermosphincteric reflex」、J. Clin. Gastroenterol.、16:304〜308頁、1993年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
治癒時間を短縮し、痛みを緩和し、冒された直腸および肛門組織の治癒を促進するのに有用な組成物を提供することの必要性が当該技術分野において存在している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
要旨
本発明は、罹冒領域またはその近傍に組成物を局所適用することにより、肛門疾患および疾病、例えば、肛門裂傷、肛門潰瘍、痔疾患、拳筋攣縮、クローン病、周囲皮膚炎、直腸または肛門裂傷、ならびに皮膚炎症を治療するための組成物および方法に関する。
【0009】
新規なリファキシミン抗直腸機能不全製剤およびその使用について、本明細書において記載される。
【0010】
1つの態様において、抗直腸機能不全薬およびリファキシミンを含む医薬製剤が、本発明において提供される。
【0011】
1つの実施形態において、抗直腸機能不全薬は、一酸化窒素調節剤である。
【0012】
もう1つの実施形態において、抗直腸機能不全薬は、b−遮断薬、硝酸塩、硬化薬、アセブトロール、アルプレノロール、アムロジピン、アロチノロール、アテノロール、バルニジピン、ベプリジル、べバントロール、ブクモロール、ブフェトロール、ブフラロール、ブニトロロール、ブプラノロール、カラゾロール、カルテオロール、セリプロロール、マレイン酸シネパゼット、ジルチアゼム、エルゴジピン、エパノロール、フェロジピン、ガロパミル、イモラミン、インデノロール、二硝酸イソソルビド、イスラジピン、リマプロスト、メピンドロール、メトプロロール、モルシドミン、ナドロール、ニカルジピン、ニコランジル、ニフェジピン、ニフェナロール、ニルバジピン、ニプラジロール、ニトログリセリン、オクスプレノロール、オキシフェドリン、オザグレル、ペンブトロール、四硝酸ペンタエリトリトール、ピンドロール、プロネタロール、プロプラノロール、ラノラジン、セモチアジル、ソタロール、テロジリン、チモロール、トリプロロール、トロイニトレートホスフェート、ベラパミル、ザテブラジン、ノメガ(nomega)−ニトロ−L−アルギニンメチルエステル(L−NAME)、N−モノメチル−L−アルギニン(L−NMMA)、5−ヒドロキシトリプタミン(HTまたはセロトニン)受容体アンタゴニスト、アロセトロン、ジルチアゼム、ニフェジピン、ベラパミル、四硝酸エリトリトール、二硝酸イソソルビド、または四硝酸ペンタエリトリトールの1種または複数である。
【0013】
1つの実施形態において、一酸化窒素調節剤は、肛門疾患治療条件下で一酸化窒素を放出する。
【0014】
もう1つの実施形態において、抗直腸機能不全薬は、重量で製剤の約0.1%から約10%を構成する。
【0015】
1つの実施形態において、抗直腸機能不全薬は、重量で製剤の約10%から約50%を構成する。
【0016】
1つの実施形態において、リファキシミンは、重量で製剤の約10%から約99%を構成する。
【0017】
1つの実施形態において、リファキシミンは、約25mgから約800mgを構成する。
【0018】
もう1つの実施形態において、リファキシミンは、約100mgから約200mgを構成する。
【0019】
1つの実施形態において、組成物は、1種または複数の追加の治療薬をさらに含んでもよい。
【0020】
1つの実施形態において、追加の治療薬は、抗炎症薬、ボトックス、抗生物質、抗ウイルス化合物、抗腫瘍性化合物、麻酔薬、または抗真菌薬を含む。
【0021】
1つの態様において、約100から約200mgのリファキシミンと約0.1%から約2%のヒドロコルチゾンとを含む医薬製剤が本発明において提供される。
【0022】
1つの実施形態において、組成物は、約0.01%から約1%のニトログリセリンをさらに含むことをさらに含んでもよい。
【0023】
1つの実施形態において、製剤は、浣腸剤、フォーム、軟膏、ペースト、または坐薬を含む。
【0024】
1つの態様において、有効量の抗直腸機能不全製剤を対象の罹冒領域の近傍または罹冒領域に投与することを含む肛門疾患を患う対象を治療する方法が本発明において提供される。
【0025】
もう1つの実施形態において、抗直腸機能不全製剤は、リファキシミンおよび抗直腸機能不全薬とを含む。
【0026】
1つの実施形態において、罹冒領域は、対象の外肛門または遠位肛門管の1つまたは複数を含む。
【0027】
1つの実施形態において、肛門疾患は、肛門裂傷、肛門潰瘍、急性痔疾患、クローン病、過敏腸管症候群、痔疾患、過敏腸管症候群、炎症性腸疾患、旅行者下痢、大腸肛門疾患、慢性膵炎、膵不全または術後疾患の1種または複数から選択される。
【0028】
もう1つの実施形態において、抗直腸機能不全薬は、一酸化窒素調節剤である。
【0029】
もう1つの実施形態において、抗直腸機能不全薬は、b−遮断薬、硝酸塩、硬化剤、アセブトロール、アルプレノロール、アムロジピン、アロチノロール、アテノロール、バルニジピン、ベプリジル、べバントロール、ブクモロール、ブフェトロール、ブフラロール、ブニトロロール、ブプラノロール、カラゾロール、カルテオロール、セリプロロール、マレイン酸シネパゼット、ジルチアゼム、エルゴジピン、エパノロール、フェロジピン、ガロパミル、イモラミン、インデノロール、二硝酸イソソルビド、イスラジピン、リマプロスト、メピンドロール、メトプロロール、モルシドミン、ナドロール、ニカルジピン、ニコランジル、ニフェジピン、ニフェナロール、ニルバジピン、ニプラジロール、ニトログリセリン、オクスプレノロール、オキシフェドリン、オザグレル、ペンブトロール、四硝酸ペンタエリトリトール、ピンドロール、プロネタロール、プロプラノロール、ラノラジン、セモチアジル、ソタロール、テロジリン、チモロール、トリプロロール、トロイニトレートホスフェート、ベラパミル、ザテブラジン、ノメガ(nomega)−ニトロ−L−アルギニンメチルエステル(L−NAME)、N−モノメチル−L−アルギニン(L−NMMA)、5−ヒドロキシトリプタミン(HTまたはセロトニン)受容体アンタゴニスト、アロセトロン、ジルチアゼム、ニフェジピン、ベラパミル、四硝酸エリトリトール、二硝酸イソソルビド、または四硝酸ペンタエリトリトールの1種または複数である。
【0030】
1つの実施形態において、一酸化窒素調節剤は、生理学的条件下で一酸化窒素を放出することができる。
【0031】
もう1つの実施形態において、一酸化窒素調節剤は、肛門疾患治療条件下で一酸化窒素を放出することができる。
【0032】
1つの実施形態において、投与は局所的である。
【0033】
1つの実施形態において、投与は、坐薬を介する。
【0034】
もう1つの実施形態において、製剤は、対象の外肛門または遠位肛門管の罹冒領域またはその近傍に適用される。
【0035】
1つの実施形態において、抗直腸機能不全薬は、製剤の約0.01重量%から10重量%を構成する。
【0036】
1つの実施形態において、リファキシミンは、製剤の約0.01重量%から10重量%を構成する。
【0037】
1つの実施形態において、製剤は、担体をさらに含む。
【0038】
もう1つの実施形態において、担体は、白色ワセリン、鉱油、ラノリン、蒸留水、アセトン、およびココアバターの1種または複数から選択される。
【0039】
1つの実施形態において、方法は、コルチコステロイドをさらに含んでもよい。
【0040】
1つの実施形態において、方法は、局所麻酔薬をさらに含んでもよい。
【0041】
1つの実施形態において、組成物は、軟膏、クリーム、ゲル、またはローションとして配合される。
【0042】
1つの実施形態において、組成物は、液体または半固体として配合される。
【0043】
もう1つの実施形態において、組成物は、坐薬として配合される。
【0044】
1つの態様において、対象における肛門疾患治療の効果を評価する方法、肛門疾患に対して治療されている対象の進行を監視する方法、または肛門疾患の治療に対して対象を選択する方法であって、
肛門疾患の治療前レベルを決定するステップと、
請求項の1項または複数項に記載の治療有効量の1種または複数の製剤を対象に投与するステップと、
製剤を用いる治療の初期期間後に肛門疾患の治療後レベルを決定するステップと、
を含む、方法が本発明において提供される。
【0045】
もう1つの実施形態において、肛門疾患のレベルの変化は、治療の効果を示す。
【0046】
もう1つの実施形態において、肛門疾患の減少は、治療が効果的であることを示す。
【0047】
1つの実施形態において、肛門疾患の変化は、対象が治療に対して有利な臨床応答を示す見込みがあることの指標である。
【0048】
1つの実施形態において、組成物は、局所使用のために配合される。
【0049】
1つの態様によれば、有効量のリファキシミン抗直腸機能不全製剤を、それを必要とする対象に投与するステップを含む肛門疾患を治療、予防、または緩和する方法が、本明細書において提示される。
【0050】
もう1つの実施形態によれば、肛門疾患は、肛門裂傷、肛門潰瘍、および急性痔疾患、過敏腸管症候群、炎症腸疾患(例えば、クローン病および大腸炎)、旅行者下痢、大腸肛門疾患、慢性膵炎、膵不全または術後疾患(例えば、回腸嚢炎)の1種または複数であるか、あるいはそれらに起因する。
【0051】
1つの態様によれば、対象における肛門疾患治療の効果を評価する方法、肛門疾患に対して治療されている対象の進行を監視する方法、または肛門疾患の治療対して対象を選択する方法であって、
肛門疾患の治療前レベルを決定するステップと、
治療有効量のリファキシミン抗直腸機能不全製剤を対象に投与するステップと、
リファキシミン抗直腸機能不全製剤を用いる治療の初期期間後に肛門疾患の治療後レベルを決定するステップと、
を含む、方法が本明細書において提示される。
【0052】
1つの実施形態において、肛門疾患のレベルの変化は、治療の効果を示す。1つの実施形態において、治療の効果の測定、例えば、痛みの減少、刺激の減少、身体診察時の症状の減少、例えば、腫脹の減少、および組織色の変化は、症状の改善である。
【0053】
もう1つの実施形態において、裂傷の大きさおよび/または数の減少は、治療が有効であることを示す。
【0054】
もう1つの実施形態において、肛門疾患の症状の変化は、対象が治療に対して有利な臨床応答を示す見込みがあることの指標である。
【0055】
1つの態様によれば、対象の肛門疾患を治療するためのキットであって、リファキシミン抗直腸機能不全製剤および使用説明書を含むキットが、本明細書において提示される。
【0056】
1つの態様によれば、包装された組成物であって、治療有効量のリファキシミン抗直腸機能不全製剤を含み、該製剤は、肛門疾患を患う、または患いやすい対象を治療するために配合され、肛門疾患を患う、または患いやすい対象を治療するための説明書と一緒に包装される包装された組成物が、本明細書においてまた提示される。
【0057】
他の実施形態は、以下に開示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0058】
詳細な説明
本発明は、リファキシミン軟膏製剤および皮膚疾患の局所治療のための医薬製剤の製造におけるその使用に関する。
【0059】
本明細書において用いられるように、用語「肛門の」には、肛門および/または下側消化管あるいはそれらの近傍の粘膜組織、筋組織および脈管組織が含まれる。用語「肛門疾病」または「肛門疾患」は、肛門および/または下側消化管あるいはそれらの近傍の粘膜組織、筋組織および/または脈管組織が含まれうる組織の疾病または疾患をいう。
【0060】
本明細書において用いられるように、「抗直腸機能不全薬」には、「一酸化窒素ドナー」、例えば、生理学的条件または肛門疾患治療条件下で、一酸化窒素を放出しうる化合物、または少なくとも1種のこのような化合物(1種または複数)と一緒の化合物の混合物が含まれる。
【0061】
本明細書において用いられる場合「リファキシミン抗直腸機能不全製剤」には、軟膏、ゲル、ローション、ゲル、ゾル、懸濁液、スプレー、ムース、ローション、クリーム、軟膏、ペースト、スラリー、粒子、微粒子、微小球状体、フィルム、スラブ、ラップ、バリヤー、移植、直腸坐薬、直腸クリーム、直腸軟膏、直腸ゲル、または浣腸剤が含まれる。医薬組成物は、溶液、ゲル、フォーム、軟膏、クリーム、ペースト、スプレーなどに配合することができるか;または、坐薬、フィルム、スポンジ、コンドーム、生物接着性ポリマー、ダイヤフラムなどの成分として配合することができる。直腸投与について、医薬組成物には、治療化合物を、腸、S状結腸曲および/または直腸へ放出するための坐薬、軟膏、浣腸剤、錠剤またはクリーム中に含まれうる。
【0062】
リファキシミン(INN; The Merck Index、XIII版、8304頁を参照)は、抗生物質のリファマイシンのクラス、例えば、ピリド−イミダゾリファマイシンに属する抗生物質である。リファキシミンは、例えば、胃腸管において伝染性下痢症、過敏腸管症候群、小腸肛門疾患、クローン病、および/または膵不全を引き起こす限局性胃腸細菌に対してその広範な抗菌活性を発揮する。リファキシミンは、その化学的および物理的特徴のために、無視できる程度の全身性吸収を特徴とすることが報告されている(Descombe J.J.ら、「Pharmacokinetic study of rifaximin after oral administration in healthy volunteers」、Int J Clin Pharmacol Res、14(2)、51〜56頁、(1994年))。
【0063】
リファキシミンは、イタリア特許IT1154655、EP0161534、U.S.S.N.11/135651およびEP15227に記載されており、それらは、すべての目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。治療実施において、抗生物質は同じまたは他の同様な抗生物質に対して細菌耐性を生じることがある。これは特に、リファキシミンに関連し、その理由は、リファンピシンと共にリファマイシンファミリーに属するからであり、このことは、結核の治療に対するケアの標準である。結核に対する現在の短期コース治療は、併用療法であり、4種の活性医薬成分:リファンピシリン、イソニアジド、エタンブトールおよびピラジナミドを含み、リファンピシンは、中枢の役割を果たしている。したがって、リファンピシンに対する耐性について選択することによる治療の効果を損なういずれの薬剤も有害であろう。(Kremer L.ら、「Re−emergence of tuberculosis: strategies and treatment」、Expert Opin. Investig. Drugs、11(2)、153〜157頁、(2002年))。
【0064】
リファキシミンは、式I:
【0065】
【化1】

の構造を有する化合物である。
【0066】
本明細書に用いられるように、製剤を調製するのにまたは製剤中に用いられるリファキシミンは、多形形態または非晶質形態でありうる。リファキシミンの多形形態の例としては、米国特許出願番号10/728090号、米国特許出願番号11/135651号、欧州特許出願番号04005541号、イタリア特許出願番号_および欧州特許出願番号15227号に記載されるように、例えば、リファミキシンの多形体α、多形体β、多形体γ、多形体δ、および多形体εが挙げられる。
【0067】
本明細書において用いられるように、配合中の量、pH、投与量に関連して用いられる場合、用語「約」は、測定ならびに臨床上の配合および投与量を設計するにおける内在的変動をいう。この開示の利益を有する当業者であれば、これらの文脈における「約」の使用を理解するであろう。
【0068】
本明細書で用いられるように、多形は、別個の水和物状態における単一の化合物の異なる結晶形態の存在、例えば、一部の化合物および錯体の特性をいう。したがって、多形体は、同じ分子式を共有する別個の固体であるが、それぞれの多形体は、別個の物理的特性を有しうる。したがって、単一の化合物は、様々な多形形態をもたらすことができ、それぞれの形態は、異なりかつ別個の物理的特性、例えば、溶解度プロファイル、融点温度、吸湿性、粒子形状、密度、流動性、圧縮成形性および/またはX線回折ピークを有する。それぞれの多形の溶解度は、変ることができ、したがって、医薬多形体の存在を同定することは、予測可能な溶解度プロファイルを有する医薬を提供するために必須である。すべての多形形態を含む薬剤のすべての固体状態の形態を調査し、それぞれの多形形態の安定性、溶解度および流動特性を決定することが望ましい。化合物の多形形態は、X線回折分光法および赤外分光法などの他の方法によって実験室で識別することができる。多形体および多形体の医薬利用の一般概説については、G.M.Wall,Pharm Manuf. 3、33頁(1986年);J.K.HaleblianおよびW.McCrone、J Pharm.Sci.、58、911頁(1969年);ならびにJ.K.Haleblian、J.Pharm.Sci.、64、1269頁(1975年)(それらのすべては、参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0069】
本明細書において用いられるように、「対象」には、リファキシミンによって治療可能な肛門疾患または他の疾患を患う可能性があるか、あるいは別に本発明の多形化合物の投与から利益を得ることができるであろう生物、例えば、ヒトおよび非ヒト動物が含まれる。好ましいヒト動物には、ヒト患者が含まれる。本発明の用語「非ヒト動物」には、すべての脊椎動物、例えば、哺乳動物、例えば、ゲッ歯類動物、例えば、マウス、および非哺乳動物、例えば、非ヒト霊長類、例えば、ヒツジ、イヌ、ウシ、ニワトリ、両性類、爬虫類などが含まれる。「肛門疾患を患いやすい」は、肛門疾患感染を発症させる危険にある対象、すなわち、免疫抑制を患う対象、細菌感染を有する別の者、医者、看護婦に曝された対象、旅行者下痢を起こす細菌がいると知られた遠隔地域へ旅行する対象などを含むことが意味される。
【0070】
化合物の専門用語「予防有効量」は、式(I)の本発明の化合物、または肛門疾患を予防または治療するのに、患者に単回または多回投与後有効である本明細書に別に記載される化合物の量をいう。
【0071】
本発明の化合物の用語「治療有効量」は、患者に単回または多回投与すると、ウイルスを抑制するか、またはこのような治療の非存在下で予期される生存可能性を超えてこのような肛門疾患もった患者の生存可能性を延ばすのに、有効である薬剤の量をいう。
【0072】
本明細書において用いられるように、「感染」には、すべての皮膚病変ならびに皮膚および粘膜感染が含まれる。
【0073】
リファキシミンは、嫌気性菌株を含む感染性下痢を引き起こす局所の胃腸細菌に対して、局所的におよび胃腸管において、広範は抗菌活性を発揮する。リファキシミンは、その化学的および物理的特性のために、無視できる全身性吸収を特徴とすることが報告されている(Descombe J.J.ら、「Pharmacokinetic study of rifaximin after oral adminis
tration in healthy volunteers」、Int J Clin Pharmacol Res、14(2)、51〜56頁、(1994年))。
【0074】
本明細書において用いられるように、抗直腸機能不全薬(例えば、一酸化窒素調節剤)には、例えば、b−遮断剤、硝酸塩、硬化薬が含まれ、さらにアセブトロール、アルプレノロール、アムロジピン、アロチノロール、アテノロール、バルニジンピン、ベプリジル、べバントロール、ブクモロール、ブフェトロール、ブフラロール、ブニトロロール、ブプラノロール、カラゾロール、カルテオロール、セリプロロール、マレイン酸シネパゼット、ジルチアゼム、エルゴジピン、エパノロール、フェロジピン、ガロパミル、イモラミン、インデノロール、二硝酸イソソルビド、イスラジピン、リマプロスト、メピンドロール、メトプロロール、モルシドミン、ナドロール、ニカルジピン、ニコランジル、ニフェジピン、ニフェナロール、ニルバジピン、ニプラジロール、ニトログリセリン、オクスプレノロール、オキシフェドリン、オザグレル、ペンブトロール、四硝酸ペンタエリトリトール、ピンドロール、プロネタロール、プロプラノロール、ラノラジン、セモチアジル、ソタロール、テロジリン、チモロール、トリプロロール、トロイニトレートホスフェート、ベラパミル、ザテブラジン、ノメガ(nomega)−ニトロ−L−アルギニンメチルエステル(L−NAME)、N−モノメチル−L−アルギニン(L−NMMA)、もしくは5−ヒドロキシトリプタミン(HTまたはセロトニン)受容体アンタゴニスト、例えば、オンダンセトロン(24mg最高4〜8時間ごとまでI.V;小児0.1mg/kg/日)もしくはアロセトロン、ジルチアゼム、ニフェジピン、ベラパミル、四硝酸エリトリトール、二硝酸イソソルビド、または四硝酸ペンタエリトリトールが含まれる。
【0075】
本明細書において用いられるような「一酸化窒素調節剤」は、例えば、肛門疾患治療条件下で一酸化窒素放出を引き起こすかもしくは導くことができるか、または引き起こすかもしくは導くように適合される化合物および/または組成物をいう。
【0076】
追加の治療薬が、リファキシミン抗直腸不全薬に含まれうる。例えば、抗炎症薬、ステロイド、さらなる抗生物質、抗真菌剤、鎮痛剤、または抗腫瘍薬である。
【0077】
配合において、さらなる抗生物質、例えば、ダプソン、クロラムフェニコール、ネオマイシン、セファクロール、セファドロキシル、セファレキシン、セファラジン、エリスロマイシン、クリンダマイシン、リンコマイシン、アモキシリン、アンピシリン、バカンピシリン、カルベニシリン、ジクロキサシリン、シクラシリン、ピクロキサシリン、ヘタシリン、メチシリン、ナフシリン、ペニシリン、ポリミキシン、テトラサイクリン、アムホテリシン−b、カンジシジン、デルモスタチン、フィリピン、フンジクロミン、ハチマイシン、ハマイシン、ルセンソマイシン、メパルトリシン、ナタマイシン、ナイスタチン、ペシロシン、ペリマイシン、アザセリン、グリセオフルビン、オリゴマイシン、ネオマイシン、ウンデシレネート、ピロールニトリン、シカニン、ツベルシジン、ビリジン、ピクロキサシリン、ヘタシリン、メチシリン、ナフシリン、ペニシリン、ポリミキシン、またはテトラサイクリンも望まれうる。
【0078】
有機一酸化窒素ドナーには、例えば、硝酸のエステルを含む少なくとも1種の有機硝酸塩が含まれ、非環式または環式化合物、例えば、以下の一般式:
R(−CR’R”−O−NO
(式中、Rは、有機もしくはH(ヒドロ)部分または共有結合、好ましくは2から約12個の炭素の炭化水素または酸素置換炭化水素、特には、2から6個の炭素および0から2個の酸素(1種または複数)を有するものであり;
R’は、有機もしくはヒドロ部分または共有結合、好ましくはメチル;低級アルキル(エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、およびヘキシルを含む);メトキシ;低級アルコキシ;あるいはヒドロであり;
R”は、有機もしくはヒドロ部分または共有結合、好ましくはメチル、低級アルキル、メトキシ、低級アルコキシ、またはヒドロ、特にヒドロであり;
xは、1から約12、好ましくは2から6の整数である)
により表される。
【0079】
例えば、有機硝酸塩は、エチレングリコールジニトレート;イソプロピルニトレート;グリセリル−1−モノニトレート;グリセリル−1,2−ジニトレート;グリセリル−1,3−ジニトレート;ニトログリセリン(GTN);ブタン−1,2,4−トリオール−トリニトレート;エリトリチルテトラニトレート(ETN);ペンタエリトリチルテトラニトレート(PETN);イソソルビドモノニトレート(ISMN)(これは、イソソルビド−2−モノニトレート(IS2N)および/またはイソソリビド−5−モノニトレート(IS5N)を含みうる);および/またはイソソリビドジニトレート(ISDN)などでありうる。有利な有機硝酸塩は、GTNであり、有利な他の有機硝酸塩には、ISDN、ETN、PETNなどが含まれ、これらはヒト対象に対する医薬の他の分野における治療での使用に当局の認可を与えられたものもある。一般に、有機硝酸塩を含む、有機一酸化窒素ドナーは、肛門疾患の治療の実施に有効である任意の量で存在する。本発明の典型的な実施において、有機一酸化窒素ドナーは、約0.01から約10重量パーセントの濃度で存在しうる。本明細書におけるすべての重量パーセントは、組成物の総重量を基準とする。GTNが有機硝酸塩の場合、好ましい濃度は、約0.01から約5重量パーセントの範囲にある。以下の表は、本発明の組成物中の他の有機硝酸塩について一部のより具体的な一般的範囲を掲載する:化合物概算重量パーセントISDN0.01から7.5(0.3から3を含む)ETN0.01から4(0.1から1.5を含む)PETN0.01から4(0.1から1.5を含む)。
【0080】
場合によって、コルチコステロイドが、本発明の組成物中に存在してもよい。例えば、コルチコステロイドには、ヒドロコルチゾン、すなわち、11−17−21−トリヒドロキシプレグナ−4−エン−3,20−ジオンまたはコルチゾール、コルチゾールアセテート、ヒドロコルチゾンホスフェート、ヒドロコルチゾン21−ナトリウムスクシネート、ヒドロコルチゾンテブテート、コルチコステロン、コルチコステロンアセテート、コルチゾン、コルチゾンアセテート、コルチゾン21B−シクロペンタンプロピオネート、コルチゾンホスフェート、トリアムシノロンヘキサアセトニド、デキサメタゾンホスフェート、デソニド、ベタメタゾンジプロピオネート、モメタゾンフラートなどが含まれうる。一般に、コルチコステロイドは、肛門疾患の治療の実施において有効である任意の量で存在しうる。本発明の典型的な実施において、コルチコステロイドは、約0.001から約10重量パーセント、好ましくは約0.1から約5重量パーセントの濃度で存在しうる。コルチゾールがコルチコステロイドである場合、好ましい濃度は、約0.5から約2.5重量パーセントの範囲にある。ヒドロコルチゾンがコルチコステロイドである場合、好ましい濃度は、約0.5から約5重量パーセントの範囲にある。デキサメタゾンホスフェートがコルチコステロイドである場合、好ましい濃度は、約0.005から約0.03重量パーセントの範囲にある。
【0081】
コルチコステロイドおよび局所麻酔薬は、リファキシミンおよび抗直腸機能不全薬と共に配合物において一緒に用いてもよい。
【0082】
追加の治療薬には、抗真菌薬、例えば、アリルアミン(例えば、ブテナフィン、ナフチフィン)、イミダゾール(例えば、ビフォナゾール、ブトコナゾール、クロルダントイン、クロルミダゾール、クロコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、エニルコナゾール、フェンチコナゾール、フルトリマゾール、イソコナゾール、ケトコナゾール、ラノコナゾール、ミコナゾール、オモコナゾール、オキシコナゾールニトレート、セルタコナゾール、スルコナゾール、チオコナゾール)、トリアゾール(例えば、フルコナゾール、イトラコナゾール、サペルコナゾール、テルコナゾール)、および他(例えば、アクリソルシン、アモロルフィン、ビフェナミン、ブロモサリチルクロルアニリド、ブクロサミド、プロピオン酸カルシウム、クロフェネシン、シクロピロックス、クロキシクイン、コパラフィナート、ジアムタゾール、ジヒドロクロライド、エキサルアミド、フルシトシン、ハレタゾール、ヘキセチジン、ロフルカルバン、ニフラテル、ヨウ化カリウム、プロピオン酸塩、プロピオン酸、ピリチオン、サリチルアニリド、スルベンチン、テノニトロゾール、トリアセチン、ウジョチオン、ウンデシレン酸)も挙げられる。
【0083】
抗真菌薬には、例えば、ポリエン(例えば、アンホテリシン−b、カンジシジン、デルモスタチン、フィリピン、フンジクロミン、ハチマイシン、ハマイシン、ルセンソマイシン、メパルトリシン、ナタマイシン、ナイスタチン、ペシロシン、ペリマイシン、アザセリン、グリセオフルビン、オリゴマイシン、ネオマイシンウンデシレナート、ピロールニトリン、シッカニン、ツベルシジン、ビリジン)、アリルアミン(例えば、ブテナフィン、ナフチフィン)、イミダゾール(例えば、ビフォナゾール、ブトコナゾール、クロルダントイン、クロルミダゾール、クロコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、エニルコナゾール、フェンチコナゾール、フルトリマゾール、イソコナゾール、ケトコナゾール、ラノコナゾール、ミコナゾール、オモコナゾール、オキシコナゾールニトレート、セルタコナゾール、スルコナゾール、チオコナゾール)、トリアゾール(例えば、フルコナゾール、イトラコナゾール、サペルコナゾール、テルコナゾール)、アクリソルシン、アモロルフィン、ビフェナミン、ブロモサリチルクロルアニリド、ブクロサミド、プロピオン酸カルシウム、クロフェネシン、シクロピロックス、クロキシクイン、コパラフィナート、ジアムタゾール、ジヒドロクロライド、エキサルアミド、フルシトシン、ハレタゾール、ヘキセチジン、ロフルカルバン、ニフラテル、ヨウ化カリウム、プロピオン酸塩、プロピオン酸、ピリチオン、サリチルアニリド、スルベンチン、テノニトロゾール、トリアセチン、ウジョチオン、ウンデシレン酸も含まれる。
【0084】
その他の治療薬には、ステロイドまたは非ステロイド抗炎症薬が含まれうる。有用な非ステロイド抗炎症薬には、限定されないが、アスピリン、イブプロフェン、ジクロフェナック、ナプロキセン、ベノキサプロフェン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、フルブフェン、ケトプロフェン、インドプロフェン、ピロプロフェン、カルプロフェン、オキサプロジン、プラモプロフェン、ムロプロフェン、トリオキサプロフェン、スプロフェン、アミノプロフェン、チアプロフェン酸、フルプロフェン、ブクロキシン酸、インドメタシン、スリンダック、トルメチン、ゾメピラック、チオピナック、ジドメタシン、アセメタシン、フェンチアザック、クリダナック、オキシピナック、メフェナミン酸、メクロフェナミン酸、フルフェナミン酸、ニフルミン酸、トルフェナミン酸、ジフルリサル、フルフェニサル、ピロキシカム、スドキシカム、イソキシカム;サリチル酸誘導体体(アスピリン、サリチル酸ナトリウム、コリンマグネシウムトリサリチレート、サルサレート、ジフルニサル、サリチルサリチル酸、スルファサラジン、およびオルサラジンを含む);パラ−アミノフェノール誘導体(アセタミノフェンおよびフェナセチンを含む);インドールおよびインデン酢酸(インドメタシン、スリンダック、およびエトドラックを含む);ヘレロアリール酢酸(トルメチン、ジクロフェナック、およびケトロラックを含む);アントラニル酸(フェナメート)(メフェナミン酸およびメクロフェナミン酸を含む);エノール酸[オキシカム(ピロキシカム、テノキシカム)、およびピラゾリジンジオン(フェニルブタゾン、オキシフェンタルタゾン)を含む];およびアルカノン(ナブメトンを含む)ならびにそれらの医薬的に許容される塩およびそれらの混合物が含まれる。NSAIDのより詳細な説明については、Paul A. Insel、「Analgesic−Antipyretic and Antiinflammatory Agents and Drugs Emplyoyed in the Treatment of Gout」、in Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics 617〜57頁、(Perry B. Molinhoff and Raymond W. Ruddon 編、第9版、1996年)およびGlen R. Hanson、「Analgesic、Antipyretic and Anti−Inflammmatory Drugs in Remington: The Science and Practice of Pharmacy 」、第II巻、1196〜1221頁(A.R. Gennaro 編、第19版、1995年)(それらはそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0085】
炎症について、本発明の組成物との併用療法の使用に好ましい治療には、限定されないが、ナプロキセンナトリウム(Anaprox(登録商標)およびAnaprox(登録商標)DS、Roche)、フルルビプロフェン(Ansaid(登録商標);Pharmacia)、ジクロフェナックナトリム+ミソプロスチル(Anthrotec(登録商標)、Searle)、バルデコキシブ(Bextra(登録商標)、Pharmacia)、ジクロフェナックカリウム(Cataflam(登録商標)およびVoltaren(登録商標)、Novartis)、セレコキシブ(Celebrex(登録商標)、Pfizer)、スリンダック(Clinoril(登録商標)、Merck)、オキサプロジン(Daypro(登録商標)、Pharmacia)、サルサレート(Disalcid(登録商標)、3M)、ジフルニサル(Dolobid(登録商標)、Merck)、ナプロキセンナトリウム(EC Naprosyn(登録商標)、Roche)、ピロキシカム(Feldene(登録商標)、Pfizer)、インドメタシン(Indocin(登録商標)およびIndocin SR(登録商標)、Merck)、エトドラック(Lodine(登録商標)およびLodine XL(登録商標)、Wyeth)、メロキシカム(Mobic(登録商標)、Boehringer Ingelheim)、イブプロフェン(Motrin(登録商標)、Pharmacia)、ナプロキセン(Naprelan(登録商標)、Elan)、ナプロキセン(Naprosyn(登録商標)、Roceh)、ケトプロフェン(Orudis(登録商標)およびOruvail(登録商標)、Wyeth)、ナブメトン(Relafen(登録商標)、SmithKline)、トルメチンナトリウム(Tolectin(登録商標)、McNeil)、コリンマグネシウムトリサリチレート(Trilisate(登録商標)、Purdue Fredrick)、およびロフェコキシブ(Vioxx(登録商標)、Merck)などが含まれる。
【0086】
抗腫瘍薬も、抗直腸機能不全薬に含まれてもよく、例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ブスルファン、クロルアンブシル、スピロプラチン、シスプラチン、カルボプラチン、メトトレキサーテ、アドリアマイシン、ミトマイシン、ブレオマイシン、シトシンアラビノシド、アラビノシルアデニン、メルカプトプリン、ミトタン、プロカルバジン、ダクチノマイシン(アンチノマイシンD)、ダウノルビシン、塩酸ドクソルビシン、タクソール、プリカマイシン、アミノグルテチミド、エストラムスチン、フルタミド、ロイプロリド、酢酸メゲストロール、タモキシフェン、テストラクトン、トリロスタン、アムサクリン(m−AMSA)、アスパラギナーゼ(L−アスパラギナーゼ)、エトポシド、ならびにインターフェロンa−2aおよび2bなどがある。
【0087】
抗ウイルス薬も、抗直腸機能不全薬に含まれてもよく、例えば、アシクロビル、アマンタジン、アジドチミジン、リバビリンまたはビダラビンなどがある。
【0088】
痛みが標的疾患の構成要素であるいずれの場合にも、その他の治療薬は鎮痛剤でありうる。有用な鎮痛剤には、限定されないが、フェナセチン、ブタセチン、アセトアミノフェン、ネフォパム、アセトアミドキノン、およびそれらの混合物が含まれる。
【0089】
場合によって、局所麻酔薬が、本発明の組成物中に存在してもよい。例えば、局所麻酔薬には、ジブカイン、リドカイン、プラモキシン、ベンゾカイン、テトラカインなどが含まれうる。一般に、局所麻酔薬は、肛門疾患の治療の実施において有効である任意の量で存在しうる。本発明の典型的な実施において、局所麻酔薬は、組成物の総重量を基準として約0.1から約5重量パーセント、好ましくは約0.5から約4重量パーセントの濃度で存在しうる。ジブカインが局所麻酔薬である場合、好ましい濃度は、約0.25から約2重量パーセントの範囲にある。ベンゾカインが局所麻酔薬である場合、好ましい濃度は、約10から約20重量パーセントの範囲にある。テトラカインが局所麻酔薬である場合、好ましい濃度は、約1から約2重量パーセントの範囲にある。
【0090】
医薬組成物には、例えば、ボトックス、すなわち「ボツリヌス毒素」が含まれうる。本明細書で用いられるように、ボトックスは、非クロストリジアル種によって組換え型として作られたボツリヌス毒素(またはその軽鎖もしくは重鎖)のみならず、クロストリジウムボツリヌスによって産生される神経毒素も意味する。本明細書において用いられるように、語句「ボツリヌス毒素」は、ボツリヌス毒素血清型A、B、C、D、E、FおよびGを包含する。本明細書において用いられるように、ボツリヌス毒素は、精製されたボツリヌス毒素(すなわち、約150kDa)のみならずボツリヌス毒素複合体(すなわち、300、600、および900kDa複合体)の両方を包含する。「精製ボツリヌス毒素」は、ボツリヌス毒素複合体を形成するタンパク質を含む他のタンパク質から単離または実質的に単離されるボツリヌス毒素として定義される。精製ボツリヌス毒素は、95%純度を超える、好ましくは99%純度を超えることができる。本明細書において用いられるように、ボツリヌス毒素Aは、本明細書においてさらに記載されるようなおよび当該技術分野で知られるようなA型ボツリヌス毒素をいう。本明細書において用いられるように、ボツリヌス毒素Bは、本明細書においてさらに記載されるようにおよび当該技術分野で知られるようなB型ボツリヌス毒素をいう。ボツリヌス毒素Aは、例えば、Thompson,D.Eら、(1990年)、Eur.J.Biochem. 、189:73〜81頁およびBinz, T.ら、(1990年)、J. Biol. Chem. 265:9153〜9158頁によって以前に記載されている。ボツリヌス毒素Aの配列は、例えば、Genbank Accession Number Q45894として見出すことができる。ボツリヌス毒素Bは、例えば、Whelan, S. M.ら、(1992年)、Appl. Environ. Microbiol. 、58:2345〜2354頁によって以前に記載されている。ボツリヌス毒素Bの配列は、例えば、Genbank Accession Number:P10844として見出すことができる。
【0091】
治療方法
有効量のリファキシミンをそれを必要とする対象に投与することを含む肛門疾患を治療、予防、または緩和する方法が本発明において提供される。肛門疾患には、肛門裂傷、肛門潰瘍、痔疾患、拳筋攣縮、肛門関与を有する炎症性腸疾患、過敏腸管症候群、下痢、微生物関連下痢、クロストリジウムディフィシル関連下痢、旅行者下痢、小腸肛門疾患、クローン病、慢性膵炎、膵不全、大腸炎、肝性脳症、または回腸嚢炎の1種または複数が含まれる。
【0092】
本発明による治療において、本発明の活性成分(例えば、リファキシミンと抗直腸機能不全薬)または組成物の量は、有効量の活性成分が投与されるように冒された肛門領域またはその近傍と接触させるかまたはそれらに適用される。用いられる活性成分または組成物の量は、肛門疾患の改善、制御および/または治癒ならびに該疾患から生じるまたは該疾患に伴う痛みの迅速かつ劇的な制御または軽減に有効であるべきである。例えば、本発明の軟膏組成物は、外肛門および遠位肛門管に指または塗布具を用いてそれぞれの適用において局所的に塗布することができる。例示的な代替として、薬剤は、坐薬として直腸内に送達することができる。例えば、軟膏の場合に1日3回以上または坐薬の場合に1日1回以上の方式で薬剤を適用することができる。
【0093】
リファキシミン抗直腸機能不全組成物の皮膚中への効率的な送達を達成するために、本発明の1つの実施形態には、リポソーム(リン脂質系ベシクル、カチオン性リポソーム、非イオン性リポソーム、非イオン性/カチオン性リポソーム、ペグ化リポソーム、PINCポリマー、およびポリプロピレングリコールとエタノールとの混合物(通常、ミノキシジルを投与するために用いられるビヒクル)、ならびに非イオン性リポソーム/プロピレングリコールとエタノールとの混合物の様々な配合物が含まれる。反応性リポソームは、本発明の他の実施形態に好ましいことがある。リポソームの少量成分としてカチオン性両親媒性物質を含むことは、負に荷電した溶質との会合、リポソームの細胞表面への迅速な結合、およびリポソームの細胞取り込みを容易する。pH感応性リポソームは、抗腫瘍、タンパク質、および核酸の細胞質送達の効率を改善するために開発されてきた。ほとんどのpH感応性リポソームは、ホスファチジルエタノールアミン(PE)を用いて調製されてきた。PEのみでリポソームは形成せず、逆六方相(HI)を形成しやすい。しかし、リポソームは、PEにもう1つの二層安定化両親媒性脂質成分を加えることによって調製することができる。カルボキシル基を有する滴定可能な両親媒性物質は、pH感応性リポソームの調製のための成分として用いられてきた。これらの滴定可能な両親媒性物質によって二層膜を安定化する能力は酸性条件下で低下するので、不安定化は、リポソームの融合をもたらす。pH感応性リポソームは、生理学的pHで安定であり、エンドサイトーシス経路を通って細胞内に取り込まれ、これはリポソームを酸性pHに曝す。エンドソーム内のリポソームは、不安定化され、恐らくはエンドソーム膜と融合し、リソソーム酵素により分解されることなしにそれらの内容物の細胞質中への放出をもたらす。
【0094】
本発明の他の実施形態において、立体的に安定化された不活性リポソームは特に好適である。さらに他の実施形態において、標的リポソームが有利に用いられうる。
【0095】
多くの適用のために、粘膜送達がリファキシミンおよび抗直腸機能不全薬の送達に用いられる。ここに定義される粘膜送達は、ポリアミンエフェクターの口腔、GI、および尿生殖路の粘膜への局所送達である。粘膜的に活性な薬剤は、上記成分を用いて溶液、乳濁液もしくはクリーム、軟膏、ゲルまたはリポソームのいずれかとして配合することができる。さらに、粘膜送達のために特に設計された特別の賦形剤も存在する。粘膜送達のこれらの主要なタイプの説明、組成物、および適用性は、以下に述べられる。それぞれは、本発明の様々な実施形態の実施に好適であると考えられる。
【0096】
一般に、粘膜表面の構造は、重層扁平上皮の最外層から構成され、この下に基底膜、固定膜、続けて最内層として粘膜下組織が存在する。歯肉または硬口蓋などの機械的ストレスを受ける領域の粘膜も、表皮と同様に、角質化される。角質化に依存して、粘膜はいくらか透過性である。口腔粘膜の透過性は、腸粘膜の皮膚透過性よりも4〜4000倍大きく、さらにそれを超える。上皮の細胞は、細胞間基質、粘液によって囲まれ、これらの主要な成分はタンパク質、炭水化物、脂質およびセラミドの複合体である。主に、杯細胞と呼ばれる特定の粘液−分泌細胞が、粘液を合成する。しかし、口腔粘膜において、ほとんどの粘液は、大および小唾液腺によって作られる。粘液は、強凝集性ゲル構造を形成し、これはゼラチン質の層として上皮細胞表面に結合する。その透過性のためにこの粘液層の浸透および化合物の局所保持は、有効な粘膜薬剤送達のために達成されなければならない。しかし、投与のこの経路は、癌治療から粘膜表面を保護するために設計される化合物の送達に極めて重要である。粘膜表面は望ましくない副作用の多くが生じる好発部位であるので、これらの作用を抑制するべく設計される粘膜的に活性な配合薬剤の使用は価値がある。
【0097】
粘膜送達と共に考慮されるべき問題は、(1)粘液層を通る低い流量または薬剤輸送および(2)粘膜部位における保持不良および生物接着不良である。粘膜透過向上剤は、粘膜表面での薬剤流量または浸透を改善するべく設計される。これらの向上剤の使用により薬剤の透過性を100倍以上増加させることができる。様々な透過/吸収向上剤は、分子量および物理化学的特性の点で異なる。粘膜送達のための好ましい実施形態において、透過向上剤は、粘膜表面へのリファキシミン抗直腸機能不全製剤の送達のための配合物中に含まれる。ほとんどの種類の向上剤は、界面活性剤であり、以下が含まれる:グリココール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、ポリソルベート80、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリン酸、および様々なアルキルグリコシド。向上剤の他の例には、以下が含まれる:デキストリン(シクロデキストリン、デキストランサルフェート)、脂肪酸(ホスファチジルコリン、リソホスファチジルコリン)、ヘテロ環式化合物(アゾン)、および小分子(塩化ベンザルコニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム)。当業者に認識されるであろうように、他の未掲載成分がこのような目的のために通常用いられるように、それぞれは本発明における使用のために企図される。
【0098】
配合物への粘液接着剤の添加は、粘膜送達された化合物の局所保持を改善しうる。粘膜送達のためのもう1つの好ましい実施形態において、粘液接着剤は、本発明のポリアミンエフェクター配合物に含まれる。粘液接着剤化合物は、湿った粘膜表面に接着することができる主として合成または天然ポリマーである。これらには、合成ポリマー、例えば、モノマ−性アルファシアノアクリレート、ポリアクリル酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびポリメタクリレート誘導体などがある。膠状ポリマーには、エポキシ樹脂およびポリウレタンなどがある。天然起源の粘液接着剤には、キトサン、ヒアルロン酸およびキサンタンガムなどがある。当業者に認識されるであろうように、他の未掲載成分がこのような目的のために通常用いられるように、それぞれは本発明における使用のために企図される。
【0099】
他の送達ビヒクルも、本発明の使用、特に、GIおよび尿生殖路の粘膜および内腔へのポリアミンエフェクターの投与に好適である。非限定的例には、以下がある:(1)油、例えば、植物油または魚油、例えば、オリーブ油(これは標準ゲルカプセル中にカプセル化されうる);(2)例えば、水性緩衝液中にポリオキシエチレンエーテル、例えば、10−ステアリルエーテル(Brij76)を分散させることによって調製される乳濁液。
【0100】
GIまたは尿生殖路粘膜に好適な送達ビヒクルの他の例には、ポリ乳酸ポリグリコール酸の生物分解性微粒子(好ましくは0.1〜10μM直径の範囲)などがあり、これは、経口薬剤送達を介する胃腸取り込みのための生体外モデル系としてCaco−2細胞へタンタパク質を送達するために用いられてきた(Desaiら、Pharm. Res. 14:1568〜1573頁、1997年)。ポリスチレン粒子により運ばれるタンパク質のラットの小腸の内側を覆う細胞中への相当な取り込みが示されている(Hilleryら、J. Drug Targeting 2:151〜156、1994年)。実際、GI内腔から粘膜下脈管構造までずっとのタンパク質含有微粒子の送達が報告されている(Aphrandanら、Biol. Cell 61:69〜76頁、1987年)。したがって、このようなポリマー性微粒子は、胃腸上皮細胞へのポリアミンエフェクターの経口送達に極めて好適であり、これはGI内腔の表面上で見出される。
【0101】
特定の肛門疾患の治療の長さは、その疾患に一部依存する。例えば、直腸裂傷は1日当たり4回から約6カ月の治療期間を要するのみであるが、痔核は約1日から約6カ月の間、1日当たり約2回の治療期間を要しうる。リファキシミン抗直腸機能不全製剤の投与量も病状に依存して変化する。適切な投与量範囲は、本明細書においてあとに提供される。
【0102】
肛門疾患の予防的治療を必要としている患者の識別は、十分に当業者の能力および知識の範囲内である。本発明の方法によって治療されうる肛門疾患を発症させる危険がある患者の識別のためのある種の方法は、医術、例えば、個人歴、家族歴、旅行歴および予定旅行計画、対象患者における病状の発症に関連する危険因子の存在において評価される。当該技術分野の臨床家は、例えば、臨床試験、身体検査および病歴/家族歴/旅行歴を用いてこのような候補患者を容易に識別することができる。
【0103】
対象における治療の効果を評価する方法には、当該技術分野で周知の方法(例えば、観察、検診、患者症状など)による肛門疾患の治療前レベルを決定し、次いで治療有効量のリファキシミン抗直腸機能不全製剤を対象に投与することが含まれる。製剤の投与後の適切な期間後(例えば、治療の初期期間後)、例えば、2時間、4時間、8時間、12時間、または72時間後に、肛門疾患のレベルは再度決定される。細菌レベルの変化は、治療の効果を示す。肛門疾患のレベルは、治療にわたって定期的に決定することができる。例えば、肛門疾患は、数時間、数日または数週間ごとに検査し、治療のさらなる効果を評価することができる。肛門疾患の減少は、治療が効果的であることを示す。記載される方法を用いて、リファキシミン抗直腸機能不全製剤での治療から恩恵をうることができる患者をスクリーニングまたは選択することができる。
【0104】
さらにもう1つの態様において、肛門疾患を患う、または患いやすい対象を治療する方法は、本明細書に記載される治療有効量のリファキシミン抗直腸機能不全製剤をそれを必要とする対象に投与して、それにより対象を治療するステップを含む。肛門疾患、例えば、直腸裂傷を患う、または患いやすい対象の識別後、リファキシミン抗直腸機能不全製剤が投与される。
【0105】
1つの態様において、対象におけるリファキシミン抗直腸機能不全製剤を用いる治療の効果を評価する方法は、肛門疾患の治療前レベルを決定し、対象に治療有効量のリファキシミン抗直腸機能不全製剤を投与し、リファキシミン抗直腸機能不全製剤を用いる治療の初期期間後に肛門疾患を決定することを含み、ここで、肛門疾患の変化は、リファキシミン抗直腸機能不全製剤を用いる治療の効果を示す。
【0106】
治療の効果は、例えば、肛門疾患の減退として測定しうる。効果は、肛門疾患に伴う症状の減退、症状の安定化、または肛門疾患に伴う症状の中断、例えば、出血の減少、肛門裂傷の治癒、肛門疾患に伴う痛みの減少、裂傷または痔核の数もしくは大きさ、潰瘍化、組織感染[皮膚炎、(皮膚感染)]の減少などの点でも測定することができる。
【0107】
1つの態様において、リファキシミン多形体で治療されている対象の進行を監視する方法は、肛門疾患の治療前レベルを決定し、対象に治療有効量のリファキシミン多形体を投与し、リファキシミン多形体を用いる治療の初期期間後に肛門疾患を決定することを含み、ここで、肛門疾患の変化は、抗ウイルス治療の効果を示す。
【0108】
医薬製剤および配合物
本発明ではまた、有効量のリファキシミンおよび医薬的に許容される担体を含む医薬組成物が提供される。さらなる実施形態において、有効量は、細菌感染、例えば、肛門疾患(肛門裂傷、肛門潰瘍、および急性痔疾患、過敏腸管症候群、旅行者下痢、小腸肛門疾患、クローン病、慢性膵炎、膵不全、大腸炎、肝性脳症、抗生物質関連大腸炎、および/または憩室症の1種または複数を含む)を治療するために有効である。
【0109】
特定の実施形態において、医薬製剤は、皮膚または毛嚢への局所送達のために配合され、その送達ビヒクルは、水性アルコール混合物および場合によって、プロピレングリコールを含む。この種の製剤は、クリーム、ローション、軟膏またはゲルとして配合されうる。もう1つの特定の実施形態において、医薬製剤は、口腔または経鼻食道路への局所送達のために配合される。この実施形態において、送達ビヒクルは好ましくは、粘液接着物質を含む。それは、エアロゾル、口腔洗浄剤、軟膏またはゲルとして配合されうる。さらにもう1つの特定の実施形態において、医薬製剤は、膣または直腸送達用に配合され、粘液接着物質を含む。これらの製剤は、クリーム、軟膏、ローション、ゲル、フォームまたは坐薬として配合されうる。さらにもう1つの特定の実施形態において、医薬製剤は、胃腸管への局所送達のために配合され、その送達ビヒクルは、1種または複数の非イオン性リポソームおよび粘液接着物質を含む。好ましくは、製剤は、胃腸管の表面を被覆する液体として配合される。
【0110】
軟膏、ゲル、フォーム、スプレーなどで投与される場合、約0.1から2g、一般に約0.25から0.75gであり、坐薬または固体基質と組み合わせて投与される場合。リファキシミン抗直腸機能不全製剤の有効量も重量:重量(w:w)または重量:容積(w:v)の量で測定することができ、例えば、固体基体に関して約0.1%から3%w:wまたは医薬的に許容される担体に関して約0.1%から3%w:vである。さらに、直腸疾患を減退、緩和または治癒させるのに十分なリファキシミン抗直腸機能不全製剤の量は、第I相、第II相および第III相臨床試験を含むルーチンの臨床的方法を用いて決定することができる。
【0111】
本発明では、リファキシミン抗直腸機能不全製剤を含む医薬組成物が提供される。この医薬組成物は、賦形剤、例えば、希釈剤、結合剤、潤滑剤、分解剤、着色剤、香味剤または甘味剤の1種または複数をさらに含む。組成物は、局所使用のために配合することができる。
【0112】
1つの実施形態において、リファキシミン抗直腸機能不全製剤は、医薬的に許容される配合物、例えば、対象に医薬的に許容される配合物が投与された後、少なくとも12時間、24時間、36時間、48時間、1週間、2週間、3週間、または4週間、対象へのリファキシミン抗直腸機能不全薬製剤の持続された送達を与える医薬的に許容される配合物を用いて対象に投与される。長時間放出デバイスの例には、例えば、パッチが含まれる。
【0113】
特定の実施形態において、これらの医薬組成物は、例えば、皮膚に適用されるクリーム、軟膏またはスプレーとして;例えば、ペッサリー、クリームまたはフォームとして膣内または直腸内に;あるいはエアロゾル、例えば、該化合物を含む水性エアロゾル、リポソーム製剤または固体粒子として、対象への局所または経口投与に好適である。
【0114】
語句「医薬的に許容される」は、本発明のリファキシミン多形体、このような化合物を含む組成物、および/または剤形をいい、それらは、健全な医療判断の範囲内で、合理的な利益/リスク比に見合って、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症を有さずに、ヒトおよび動物の組織と接触した使用に好適である。
【0115】
語句「医薬的に許容される担体」には、1つの臓器または身体の一部から別の臓器または身体の一部へ対象化学物質を運ぶまたは輸送することに関与する医薬的に許容される物質、組成物またはビヒクル、例えば、液体もしくは固体フィラー、希釈剤、賦形剤、溶媒またはカブセル化材が含まれる。それぞれの担体は、配合物の他の成分と適合しているという意味で「許容される」であり、患者に有害であってはならない。医薬的に許容される担体として機能しうる物質の一部の例には、以下が含まれる:(1)糖、例えば、ラクトース、グルコースおよびスクロース;(2)デンプン、例えば、トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプン;(3)セルロース、およびその誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロース;(4)粉末トラガカント;(5)モルト;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)賦形剤、例えば、ココアバターおよび坐薬ワックス;(9)油、例えば、ピーナッツ油、綿実油、紅花油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油および大豆油;(10)グリコール、例えば、プロピレングリコール;(11)ポリオール、例えばグリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール;(12)エステル、例えば、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル;(13)寒天;(14)緩衝剤、例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム;(15)アルギン酸;(16)発熱物質を含まない水;(17)等張食塩水;(18)リンガー液;(19)エチルアルコール;(20)リン酸塩緩衝溶液;ならびに(21)医薬配合物に用いられる他の非毒性適合物質。
【0116】
湿潤剤、乳化剤および潤滑剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム、ならびに着色剤、放出剤、被覆剤、甘味剤、香味剤および芳香剤、保存剤および酸化防止剤も組成物中に存在することができる。
【0117】
医薬的に許容される酸化防止剤の例には、以下が含まれる:(1)水溶性酸化防止剤、例えば、アスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど;(2)油溶性酸化防止剤、例えば、アスコルビン酸パルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、アルファ−トコフェロールなど;および(3)金属キレート剤、例えば、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸など。
【0118】
リファキシミン抗直腸機能不全製剤は、単位剤形において都合よく提示することができ、薬学の技術分野において周知の任意の方法によって調製できる。単一の剤形を製造するために担体物質と組み合わせることができる活性成分(例えば、リファキシミンおよび抗直腸機能不全薬)の量は、治療される宿主、特定の投与様式に依存して変化する。単一剤形を製造するために担体材料と組み合わせることができる活性成分の量は、一般に、治療効果を生じる化合物の量である。一般に、100%のうち、この量は約1%から約99%、好ましくは約5%から約70%、最も好ましくは約10%から約30%の活性成分の範囲である。
【0119】
これらの組成物を調製する方法には、リファキシミンおよび抗直腸機能不全薬を担体および、場合によって、1種または複数の補助成分と結合させるステップが含まれる。一般に、該配合物は、活性成分を液体担体もしくは微粉化した固体担体または両者と均一かつ密接に結合させ、次いで、必要に応じて、生成物を成形することによって調製される。
【0120】
経口投与に好適な本発明の組成物は、カプセル、カシェ、ピル、錠剤、トローチ剤(香味ベース、通常スクロースおよびアカシアまたはトラガカントを用いる)、粉末、顆粒の形態で、または水性もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液として、水中油型もしくは油中水型液体乳濁液として、またはエリキシル剤もしくはシロップとして、または芳香錠(不活性ベース、例えば、ゼラチンとグリセリン、またはスクロースとアカシアを用いる)として、および/またはうがい薬などとして存在することができ、それぞれが活性成分として所定量のリファキシミン多形体(1種または複数)を含む。化合物は、ボーラス、舐剤またはペーストとして投与することもできる。
【0121】
局所使用のための医薬製剤は、通常の賦形剤、例えば、白色ワセリン、白ろう、ラノリンおよびその誘導体、ステアリルアルコール、プロピレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、脂肪性ポリオキシエチレンアルコールのエーテル、脂肪性ポリオキシエチレン酸のエステル、モノステアリン酸ソルビタン、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、ヒドロキシメチルプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、コロイド状アルミニウムおよびケイ酸マグネシウム、アルギン酸ナトリウムと一緒にリファキシミンおよび抗直腸機能不全薬を含みうる。
【0122】
本発明は、局所製剤、例えば、軟膏、ポマード、クリーム、ゲルおよびローションのすべてに関する。
【0123】
軟膏、ゲル、フォーム、スプレーなどで投与される場合、約0.1から2g、一般に約0.25から0.75gであり、坐薬または固体基質と組み合わせて投与される場合。リファキシミン抗直腸機能不全製剤の有効量も重量:重量(w:w)または重量:容積(w:v)の量で測定することができ、例えば、固体物質に関して約0.1%から3%w:wまたは医薬的に許容される担体に関して約0.1%から3%w:vである。さらに、直腸疾患を減退、緩和または治癒させるのに十分なリファキシミン抗直腸機能不全製剤の量は、第I相、第II相および第III相臨床試験を含むルーチン臨床方法を用いて決定することができる。
【0124】
活性リファキシミンおよび抗直腸機能不全薬に加えて、懸濁液、該製剤は、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天およびトラガカント、ならびにそれらの混合物として懸濁化剤を含んでもよい。
【0125】
直腸または膣投与のための本発明の医薬組成物は、坐薬として提示することができ、これはリファキシミンおよび抗直腸機能不全薬と、例えば、ココアバター、ポリエチレングリコール、坐薬ワックスまたはサリチル酸塩を含む1種もしくは複数の好適な非刺激性の賦形剤または担体とを混合することによって調製することができ、これは室温で固体であるが、体温で液体であり、したがって、直腸または膣腔内で融解し、活性剤を放出する。
【0126】
膣投与に好適な本発明の組成物には、適切であると当該技術分野で知られている担体などを含むペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォームまたはスプレー配合物も含まれる。
【0127】
リファキシミン抗直腸機能不全薬の局所または経皮投与のための剤形には、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチおよび吸入薬が含まれる。活性リファキシミンおよび抗直腸機能不全薬は、医薬的に許容される担体と、および必要とされうる任意の保存剤、緩衝剤、または噴射剤と滅菌状態下で混合されうる。
【0128】
本発明のリファキシミンおよび抗直腸機能不全薬に加えて、軟膏、ペースト、クリームおよびゲルは、賦形剤、例えば、動物および植物脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛、またはそれらの混合物を含みうる。
【0129】
リファキシミンおよび抗直腸機能不全薬に加えて、粉末およびスプレーは、賦形剤、例えば、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物を含みうる。スプレーは、通常の噴射剤、例えば、クロロフルオロヒドロカーボンおよび揮発性非置換炭化水素、例えば、ブタンおよびプロパンをさらに含みうる。
【0130】
リファキシミン抗直腸機能不全薬は、エアロゾルによって代りに投与することができる。これは、該化合物を含む水性エアロゾル、リポソーム製剤または固体粒子を調製することによって達成される。非水性(例えば、フルオロカーボン噴射剤)の懸濁液を用いることもできるであろう。化合物の分解をもたらしうるせん断に薬剤を曝すことを最小化するので、超音波噴霧器が好ましい。
【0131】
通常、水性エアロゾルは、該薬剤の水性溶液または懸濁液と従来の医薬的に許容される担体および安定剤とを一緒に配合することによって作製される。担体および安定剤は、特定の化合物の要求で変るが、通常、非イオン界面活性剤(Tweens、Pluronics,またはポリエチレングリコール)、血清アルブミンなどの無害のタンパク質、ソルビンタンエステル、オレイン酸、レシチン、アミノ酸(例えば、グリシン)、緩衝剤、塩、糖または糖アルコールを含む。エアロゾルは一般に、等張溶液から調製される。
【0132】
経皮パッチは、リファキシミン抗直腸機能不全薬の身体への制御された送達を与える付加的利点を有する。このような剤形は、適切な媒体に該薬剤を溶解または分散させることによって作製されうる。吸収向上剤も、皮膚を通過する活性成分の流れを増加させるのに用いることができる。このような流れの速度は、速度調節膜を与えるか、または活性成分をポリマーマトリックスまたはゲル中に分散させることによって調節することができる。
【0133】
局所投与に好適な本発明の医薬組成物は、1種または複数の医薬的に許容される滅菌等張水性もしくは非水性溶液、分散液、懸濁液もしくは乳濁液、または使用直前に滅菌注入可能溶液もしくは分散液に再構成できる滅菌粉末(それらは、酸化防止剤、緩衝剤、静菌薬、意図されたレシピアントの血液と等張な配合物にする溶質、または懸濁化剤もしくは増粘剤を含みうる)と組み合わせたリファキシミンおよび抗直腸機能不全薬を含む。
【0134】
本発明の医薬組成物中に用いることができる好適な水性および非水性担体の例には、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、およびそれらの好適な混合物、植物油、例えば、オリーブ油、ならびに注入可能な有機エステル、例えば、オレイン酸エチルが含まれる。適切な流動性は、例えば、コーティング物質、例えば、レシチンの使用によって、分散液の場合に要求される粒子サイズの維持によって、および界面活性剤の使用によって維持しうる。
【0135】
これらの組成物は、アジュバント、例えば、保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤も含みうる。微生物の作用の予防は、様々な他の抗菌剤を含めることによって、および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などによって確実にすることができる。等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウムなどを組成物中に含めることも望ましいことでありうる。さらに、注入可能な医薬形態の長期吸収は、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの吸収を遅らせる薬剤を含めることによってもたらすことができる。
【0136】
一部の場合に、薬剤の作用を長期化するために、皮下または筋内注射からの薬剤の吸収を遅延させることが望ましい。これは、水溶性の低い結晶性または非晶質物質の液体懸濁液の使用によって達成することができる。このとき、薬剤の吸収速度は、その溶解速度に依存し、これは、さらに、結晶サイズおよび結晶形態に依存しうる。別に、非経口投与された薬剤形態の吸収遅延は、該薬剤を油ビヒクル中に溶解または懸濁させることによって達成される。
【0137】
注入可能なデポー形態は、ポリラクチド−ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中にリファキシミン多形体(1種または複数)のマイクロカプセル化マトリックスを形成することによって作製される。薬剤対ポリマーの比および用いられる特定のポリマーの性質に依存して、薬剤放出速度は調節できる。他の生分解性ポリマーの例には、ポリオルトエステルおよびポリ無水物が含まれる。デポー注入可能配合物は、身体組織に適合するリポソームまたはマイクロエマルジョン中に薬剤を取り込むことによっても調製される。
【0138】
リファキシミン多形体(1種または複数)がヒトおよび動物に薬剤として投与される場合、それらはそれ自体で与えることができるか、または例えば、医薬的に許容される担体と組み合わせて0.1から99.5%(より好ましくは、0.5から90%)の活性成分を含む医薬組成物として与えることができる。
【0139】
選択される投与経路に拘わらず、好適な水和形態で用いることができるリファキシミン多形体(1種または複数)、および/または本発明の医薬組成物は、当業者に知られる従来の方法によって医薬的に許容される剤形中に配合される。
【0140】
本発明の医薬組成物中の活性成分の投与の実際の投与量レベルおよび時間的経過は、患者に対して毒性なしに、特定の患者のための所望の治療応答を達成するのに有効である活性成分の量、組成物、および投与方式を得るように変化させることができる。例示的な用量範囲は、1日当たり100から1800mgである。
【0141】
本発明のためのリファキシミン多形体の好ましい用量は、患者が忍容でき、かつ重大な副作用を発症させえない最大値である。好ましくは、本発明のリファキシミン多形体は、体重1キログラム当たり約1mgから約200mg、体重1キログラム当たり約10〜約100mgまたは約40mg〜約80mgの濃度で投与される。上記の値に対する中間の範囲も本発明の一部であることが意図される。
【0142】
併用療法治療において、本発明の化合物および他の薬剤(1種または複数)の両方は、従来の方法によって哺乳動物(例えば、ヒト、男性または女性)に投与される。該薬剤は、単回投与形態または別々の投与形態で投与してもよい。他の治療薬の有効量は、当業者に周知である。しかし、他の治療薬の最適有効量範囲を決定することは、十分に当業者の理解しうる範囲内である。もう1つの治療薬が動物に投与される本発明の1つの実施形態において、本発明の化合物の有効量は、他の治療薬が投与されない場合にその有効量であろう量未満である。もう1つの実施形態において、従来の薬剤の有効量は、本発明の化合物が投与されない場合にその有効量であろう量未満である。このように、いずれかの薬剤の高用量に伴う望ましくない副作用は最小化することができる。他の可能性がある利点(限定することなく、改善された投与計画および/または薬剤費用減少を含む)は当業者に明らかであろう。
【0143】
様々な実施形態において、治療薬(例えば、予防薬または治療薬)は、5分未満の差をあけて、30分未満の差をあけて、1時間の差をあけて、約1時間の差をあけて、約1から約2時間の差をあけて、約2時間から約3時間の差をあけて、約3時間から約4時間の差をあけて、約4時間から約5時間の差をあけて、約5時間から約6時間の差をあけて、約6時間から約7時間の差をあけて、約7時間から約8時間の差をあけて、約8時間から約9時間の差をあけて、約9時間から約10時間の差をあけて、約10時間から約11時間の差をあけて、約11時間から約12時間の差をあけて、約12時間から18時間の差をあけて、18時間から24時間の差をあけて、24時間から36時間の差をあけて、36時間から48時間の差をあけて、48時間から52時間の差をあけて、52時間から60時間の差をあけて、60時間から72時間の差をあけて、72時間から84時間の差をあけて、84時間から96時間の差をあけて、または96時間から120時間の差をあけて投与される。好ましい実施形態において、2種以上の治療薬が、同じ患者の来診内に投与される。
【0144】
特定の実施形態において、本発明の1種または複数の化合物および1種または複数の他の治療薬(例えば、予防薬または治療薬)が周期的に投与される。周期療法には、ある期間第1の治療薬(例えば、第1の予防薬または治療薬)を投与し、続けて、ある期間第2の治療薬(例えば、第2の予防薬または治療薬)を投与し、続けて、ある期間第3の治療薬(例えば、予防薬または治療薬)を投与するなどおよびこの連続投与、すなわち、治療薬の1種に対する耐性の進行を減少させる、治療薬の1種の副作用を回避もしくは減少させる、および/または治療薬の効果を改善するための周期を繰り返すことが含まれる。
【0145】
特定の実施形態において、本発明の同じ化合物の投与は、繰り返してもよく、投与は、少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2カ月、75日、3カ月、または少なくとも6カ月離してもよい。他の実施形態において、リファキシミン多形体以外の同じ治療薬(例えば、予防薬または治療薬)の投与は、繰り返してもよく、投与は、少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2カ月、75日、3カ月、または少なくとも6カ月離してもよい。
【0146】
ある種の適応症は、比較的長い治療時間を要しうる。例えば、旅行者下痢治療は、約12時間から約72時間続けるだけでよいが、クローン病の治療は、約1日から約3カ月でありうる。
【0147】
溶液ベースの送達系は、小さい有機分子の送達に特に好適である。本発明の好ましい実施形態において、表皮へのリファキシミン抗直腸機能不全製剤の投与のために特に、上記の通り、アルコール溶液が利用される。水性アルコールベースの送達ビヒクルは、リファキシミン抗直腸機能不全製剤の局所投与に高度に有効であることが証明されている。この送達系の利点には、製造の容易さ、適用の容易さ、急速乾燥、皮膚上の残留物欠如、および配合後の活性薬剤化合物の分析の容易などがある。溶液タイプ配合物は、点滴ビンを用いて、またはエアロゾルとして通常投与される。
【0148】
乳濁液は、クリームおよびローションタイプの配合物の基剤を形成する。通常、これらの配合物は、乳化剤と一緒に不混和性の2相すなわち油相と水相とから構成されるコロイド分散液である。乳濁液に用いられる通常の油には、ステアリルアルコール、ラノリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、セチルアルコール、およびビタミンEなどがある。乳化剤は、本質的には不混和性の相の表面張力を下げる界面活性剤である。ほとんどの乳化剤は、グリセンロール、ソルビタン、またはポリオキシエチレン(POE)の脂肪酸エステルまたはステアリン酸塩である傾向がある。油と水との配置に依存して、乳濁液は、水中油型、油中水型またはそれらの組合せである。乳濁液の調製には、通常、内相および外相を混合するための熱と共にいくらかの機械的せん断力を必要とする。ほとんどの局所乳濁液は、該調製物を増粘させるために1〜5%で粘度ビルダー、例えば、天然ガム(アルギン酸塩、カラギナン、トラガカント、ペクチン、キサンタンまたはコラーゲン)を含む。比較的高いパーセントの粘度ビルダーはクリームを生成し、比較的低いパーセントではローションを形成する。乳濁液(クリームおよびローション)のための完全な配合物には一般に、水、アルコール、プロピレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムおよび白ろうが含まれる。別の配合物において、それらには、水、アルコール、グリセロール、ホスファチジルコリン、リソホスファチジルコリンおよびトリグリセリドが含まれる。リファキシミン抗直腸機能不全製剤の表皮への投与のために、乳濁液は特に良く適する。投与の容易さ、局所保持の良好性および薬剤の放出遅延は、局所送達系のための乳濁液の魅力的な特徴の一部である。
【0149】
軟膏は、高融点の固体炭化水素のマトリックス中に網目化された流体炭化水素から構成される。該炭化水素軟膏基剤は通常、ペトロラタムおよび白色軟膏である。軟膏は、基剤を融解し、その後賦形剤、例えば酸化防止剤を該流動体に添加することによって調製される。次いで、薬剤は製粉によって軟膏中に懸濁される。高い油含量のために、軟膏は、脂肪性である傾向がある。皮膚上で軟膏に乾燥感覚を与える微結晶性セルロースなどの成分を添加すると、べたつき感を減少させることができる。軟膏の調製のために上記に掲載されるすべての成分、ならびに当業者によってこのような目的に通常用いられる非掲載の成分は、本発明における使用に好適である。
【0150】
ゲルは、液体溶媒で浸透されるゲル化剤からなる半固体である。ゲル化剤の濃度および分子量は、ビヒクル形成の稠度に影響する。ゲル化剤は、大きな有機分子または小さな無機分子のいずれかの懸濁液である。天然または合成ポリマーのいずれかからなる大きな有機分子は、絡んで、ゲル構造を形成するランダムコイル状鎖として存在する。この種の一部の通常のポリマーは、天然ガム、セルロース誘導体およびアクリル酸ポリマーである。熱的に敏感なゲルと呼ばれるこれらのゲルの別のクラスは、ポロキサマーから調製される。対照的に、小さい無機分子は、いくらか組織化された三次元網状組織を形成することによってゲル構造を形成する。通常の小さな無機ポリマーには、シリカおよびクレーに見出されるコロイド状固体が含まれる。溶媒の性質は、ゲルがヒドロゲル(水ベース)であるかまたは有機ゲル(非水性溶媒ベース)であるかを決定する。調製するのに比較的容易であり、所望の部位で化合物の遅延放出を可能にする適用部位で長い滞留時間を有する傾向があるので、ゲルはリファキシミン抗直腸機能不全製剤にとって興味を引く局所送達ビヒクルである。ゲルの調製のために上記に掲載されたすべての成分、ならびにこのような目的のために当業者によって通常用いられる非掲載の成分は、本発明における使用に好適である。
【0151】
リポソームは、1つまたは複数の同心二重層に配列された両親媒性脂質からなるベシクルである。脂質が水性媒体に置かれる場合、脂質頭基と水との親水性相互作用は多重膜および単層系または球形シェルの形態で生物学的膜に類似するベシクルの形成をもたらす。リポソームは、小(0.025〜0.05μm)から大(0.05〜10μm)の多重膜ベシクルでありうる。リポソームを調製するために用いられる脂質には、リン脂質、スフィンゴ脂質、グリコスフィンゴ脂質、飽和グリセリド、ステロイド(例えば、コレステロール)および合成リン脂質が含まれる。リポソームは、水性溶媒中でPOEなどの乳化剤と一緒に脂質を融解させることによって通常調製される。次いで、薬剤を添加し、リポソームは混合または超音波処理によって生成させる。薬剤は通常、ベシクル構造に取り込まれる。これらの塩基性リポソームは、時に、「従来リポソーム」といわれる。いくつかの他の種類のリポソーム製剤は、(1)立体的に安定化されたリポソーム(これは不活性親水性ポリマー、例えば、ポリエチレングリコールで表面被覆されている);(2)標的リポソーム[これにターゲッティングリガンド、例えば、抗体もしくはその断片、レクチン、オリゴ糖またはペプチド(例えば、胃腸上皮に対してリポソームを標的にするためにコレラトキシンB(CTB)を用いる)が結合する];および(3)反応性または「多形の」リポソーム(これは、特定の相互作用に対する応答においてそれらの相および構造を変化させる)(この群には、他の刺激の中でも、イオン(pH、カチオン)、熱および光に敏感なリポソームが含まれる)を含んで存在する。
【0152】
リポソームは、皮膚適用に良好なビヒクルである。リポソーム送達は、より従来の配合物に対して特定の利点を与え、以下を含む:(1)望ましくなく高い全身性吸収由来の重大な副作用および不適合性の減少;(2)リポソームと角質層との高い適合性のための投与部位での送達物質の著しい蓄積向上;(3)皮膚中への広範で様々な親水性および疎水性分子の即時取り込み;(4)代謝分解由来の取り込み化合物の保護;および(5)天然膜構造に酷似およびそれに関連した生体適合性と生分解性。上記に掲載され、様々な種類のリポソームの調製のためのすべての成分、ならびにこのような目的のために当業者によって通常用いられる任意の他のこのような成分は、本発明の使用に好適である。
【0153】
したがって、リファキシミン抗直腸機能不全製剤は、患者への局所(topicl or local)投与のための医薬製剤として配合される。これらの医薬製剤の局所投与の以下の部位が企図される:口、鼻、眼、胃腸、泌尿生殖器、および皮膚。好適な医薬製剤の選択は、選ばれた投与方法に依存し、医薬化学者によく知られた手順によって行うことができる。
【0154】
リファキシミンおよび抗直腸機能不全薬を含む坐薬剤形を調製するために以下の一般的な組成物が用いられる。この剤形は、直腸疾患の治療のための直腸または膣投与に用いられる。以下の成分は、示されるおおよその量で用いられる。
【0155】
クリーム30g中リファキシミン100mgまたは200mg
1%ヒドロコルドゾン
0.2%ニトログリセリン
場合によってカルシウムチャネル遮断薬(長時間作用型)を含む
浣腸剤の形態で−4X坐薬800mg。
【0156】
リファキシミン200mg
クレモホールRH 40 222.0 222.0 222.0
マクロゴル1500(PhEur)
マクロゴル4000(PhEur)
軟膏、ペースト、クリームおよびゲルも、賦形剤、例えば、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、およびタルク、またはそれらの混合物を含みうる。粉末およびスプレーも、賦形剤、例えば、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、およびケイ酸カルシウム、またはこれらの物質の混合物を含みうる。ナノ結晶性抗菌金属の溶液は、エアロゾル医薬を製造するために通常用いられる任意の知られた手段によってエアロゾルまたはスプレーに変えることができる。一般に、このような方法は、通常不活性キャリヤーガスを用いて、溶液の容器を加圧するかまたは加圧するための手段を提供し、加圧されたガスを、小オリフィスを通すことを含む。スプレーは、通常の噴射剤、例えば、不活性ガス、例えば、窒素、二酸化炭素、アルゴンまたはネオンをさらに含みうる。
【0157】
本発明の1つの実施形態において、医薬配合物は、本明細書に定義される通りのリファキシミンおよび抗直腸機能不全薬を含む軟膏として提供される。軟膏は、約0.01から10重量%、好ましくは0.5から8重量%、より好ましくは4重量%から8重量%、および場合によって、4重量%から6重量%の活性剤を含み、これは、結晶形態であってもなくてもよい。軟膏は、活性剤が、皮膚または粘膜組織中に、および/または通って透過する速度を増加させる皮膚浸透エンハンサーまたはエンハンサーの組合せも含む。好ましくは、エンハンサーはまた薬剤を安定化する、すなわち熱および/または水分により敏感でなくさせる。軟膏は、約5重量%未満、好ましくは約1重量%未満、最も好ましくは約0.5重量%未満のプロトン性溶媒を含み、これは約30℃未満の温度で液体、例えば、水、低級アルカノールなどである。
【0158】
1つの実施形態において、軟膏は、開鎖または環状のいずれかであってもよい飽和一官能性または多官能性エステルである少なくとも1種の成分を含むエンハンサー組成物を含む。このような化合物は、本明細書における活性剤の安定性を向上させることが見出された。すなわち、このようなエステルは、化学的および物理的に安定な配合物をもたらすだけでなく、驚くべきことに、活性剤単独で示されるよりもより大きい安定性を有する配合物を提供する。さらに、飽和一官能性または多官能性エステルは、活性剤の皮膚または粘膜組織中への、および/またはそれを通る透過を増加させる潜在性を有して送達補助剤として機能する。
【0159】
エンハンサー組成物への取り込みのための好適なエステル成分は、活性剤と物理的および化学的に適合性である非毒性有機化合物であり、ここで活性剤は少なくともいくらかの溶解度を有する。好ましいエステルは、室温で液体であり、約250未満の分子量を有する。通常のエステルは、3〜18個の炭素原子および1から3個のエステル官能性を含み、一般に低級アルキルエステルまたは環状エステルである。特に好ましいエステルは、コハク酸ジエチル、プロピレンカーボネート(PC)、アジピン酸ジイソプロピル(DIA)およびトリアセチン(三酢酸グリセリンとしても知られる)である。実際、これらの後者の4つのエステルは、組み合わせて格別に良く働き、安定性の最適向上を与えることが分かっている。一般に、本明細書における医薬配合物は、およそ0.02重量%から50重量%程度、好ましくは0.02重量%から20重量%程度のエンハンサー組成物を含む。約6重量%の活性剤を含む配合物に対して、該剤は、エステル成分に少なくとも約15%(w/w)溶解しなければならない。
【0160】
この実施形態において、活性剤およびエンハンサー組成物は、軟膏基剤に存在する。当該技術分野で知られるように、軟膏は、通常、ペトロラタムまたは他の石油派生物に基づく半固体製剤である。当業者によって認められるように、用いられる特定の軟膏基剤は、最適の薬剤送達を与えるものであり、好ましくは、その上に他の所望の特性、例えば、皮膚軟化性を与える。他の担体またはビヒクルと同様に、軟膏基剤は、不活性、安定、非刺激性および非感作性でなければならない。Remington: The Science and Practice of Pharmacy、第19版、(Easton, Pa.: Mack Publishing Co.、1995年)、1399〜1404頁に説明されるように、軟膏基剤は、4つのクラス:脂肪性基剤;乳化性基剤;乳濁液基剤;および水溶解性基剤に分類することができる。脂肪性軟膏基剤には、例えば、植物油、動物から得られる脂、および石油から得られる半固体炭化水素が含まれる。乳化性軟膏基材(吸収性軟膏基剤としても知られる)は、ほとんどまたはまったく水を含まず、例えば、硫酸ヒドロキシステアリン、無水ラノリンおよび親水性ペトロラタムを含む。乳濁液軟膏基剤は、油中水(W/O)型乳濁液かまたは水中油(O/W)型乳濁液のいずれかであり、例えば、セチルアルコール、ラノリンおよびステアリン酸を含む。好ましい水溶解性軟膏基剤は、様々な分子量のポリエチレングリコールから調製され;さらなる情報について、再度、Remington: The Science and Practice of Pharmacyを参考文献として挙げうる。任意の前述の軟膏基剤を本明細書において用いることができるが、白色ワセリンが好ましい。
【0161】
活性剤、エンハンサー組成物、および軟膏基剤に加えて、配合物は、当業者に知られた様々な添加剤を含みうる。添加剤の例には、乳化剤、可溶解剤、不透明化剤、抗酸化剤、抗菌剤、ゲル化剤、増粘剤、安定剤などが含まれる。
【0162】
軟膏の調製には、薬剤配合、特に局所薬剤配合の技術を用いるが、これは当該技術分野の技術内である。このような技術は、文献に十分説明されている。Remington: The Science and Practice of Pharmacy、上記に引用、ならびにGoodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics、第9版 (New York: McGraw−Hill、1996年)を参照されたい。一般に、軟膏基剤、例えば、ペトロラタムなどは温め;最終配合物に取り込まれるすべての成分と合わせ;完全に混合させる。必ずしもではないが、活性剤は通常、エステル浸透向上剤に溶解され、最後に添加される。十分な均一化が達成された後に、軟膏は冷却する。不活性雰囲気、例えば、アルゴン下で処理を行うことが望ましいこともある。
【0163】
キット
キットも本発明において提供され、例えば、対象における肛門疾患を治療するためのキットが提供される。該キットは、例えば、リファキシミン抗直腸機能不全製剤および使用説明書を含みうる。使用説明書は、禁止情報、用量情報、保存情報などを含みうる。
【0164】
包装された組成物も提供され、治療有効量のリファキシミン抗直腸機能不全製剤および医薬的に許容される担体または希釈剤を含むことができ、ここで、該組成物は、肛門疾患を患う、または患いやすい対象を治療するために配合され、肛門疾患を患う、または患いやすい対象を治療するための説明書と共に包装される。
【実施例】
【0165】
(実施例1)
リファキシミンの錠剤をアセトンに溶解し、リファキシミン200mgまでを軟膏30gに加えた。軟膏にニトログリセリンも加えた。
【0166】
(実施例2)
白色ワセリン、ラノリン、および蒸留水中2パーセントのニトログリセリン(ニトログリセリン軟膏、USP2%;E.Fougera & Co.、Melville、N.Y)12.5gを、白色ワセリン、USP(VASELINE;Chesebrough−Ponds USA Co.、Greenwich、Conn.)37.5gおよびリファキシミン100mgと、実験室の混合容器中で室温において混合することによって、軟膏を調製する。
【0167】
(実施例3)
白色ワセリン、ラノリン、および蒸留水中2パーセントのニトログリセン(ニトログリセリンの軟膏、USP2%;E.Fougera & Co.、Melville、N.Y.)12.5gの軟膏を、白色ワセリンおよび軽鉱油中2.5パーセントのヒドロコルチゾン(ヒドロコルチゾン軟膏、USP2.5%;Clay−Park Labs、Inc.、Bronx、N.Y.)20g、リファキシミン100mg、ならびに白色ワセリン、USP(VASELINE;Chesebrough−Ponds USA Co.,Greenwich,Conn.)17.5gと、実験室の混合容器中で室温において混合する。
【0168】
(実施例4)
白色ワセリン、ラノリン、および蒸留水中2パーセントのニトログリセン(ニトログリセリン軟膏、USP2%;E.Fougera & Co.、Melville、N.Y)12.5gの軟膏を、白色ワセリン、軽油、アセトン亜硫酸水素ナトリウム、ラノリン、および精製水中1パーセントのジブカイン、USPおよびリファキシミン200mg(NUPERCAINAL;Ciba Consumer Pharmaceuticals、Edison、N.J.)25gならびに白色ワセリン、USP(VASELINE;Chesebrough−Ponds USA Co.、Greenwich、Conn.)12.5gと、実験室の混合容器中で室温において混合する。
【0169】
(実施例5)
白色ワセリン、ラノリン、および蒸留水中2パーセントのニトリグリセリン(ニトログリセリンの軟膏、USP2%;E.Fougera & Co.、Melville、N.Y.)2.5gの軟膏を、白色ワセリンおよび軽油中2.5パーセントのヒドロコルチゾンおよびリファキシミン200mg(ヒドロコルチゾン軟膏、USP2.5%;Clay−Park Labs,Inc.、Bronx、N.Y.)20gならびに白色ワセリン、軽油、アセトン亜硫酸水素ナトリウム、ラノリン、および精製水中1パーセントのジブカイン、USP(NUPERCAINAL;Ciba Consumer Pharmaceuticals、Edison、N.J.)25g、ならびに白色ワセリン、USP(VASELINE;Chesebrough−Ponds USA Co.、Greenwich、Conn.)2.5gと、実験室の混合容器中で室温において混合する。
【0170】
(実施例6)
白色ワセリン、ラノリン、および蒸留水中2パーセントニトログリセリン(ニトログリセリン軟膏、USP2%;E.Fougera & Co.、Melville、N.Y)8.75gを、白色ワセリン、USP(VASELINE;Chesebrough−Ponds USA Co.、Greenwich、Conn.)41.25gならびにリファキシミン100mgと、実験室の混合容器中で室温において混合することによって、軟膏を調製する。
【0171】
軟膏は、罹冒領域またはその近傍に局所的に適用する場合、肛門疾患の治療に有効である。それとともに、疼痛軽減および治癒は顕著であり、頭痛などの副作用は、ほとんどないおよび/または軽度である。軟膏は、ヒトに用いることができる。
【0172】
(実施例7)
リファキシミン軟膏
リファキシミン錠剤を破砕し、オリーブオイル0.5mLに溶解する。この混合物をVaseline(商標)基剤と一緒に3回軟膏ミルを通す。クリームが淡い色で出てくる。
【0173】
30g中リファキシミン200mgまたは30g中リファキシミン100mgを用いた。
【0174】
他に、リファキシミン粉末を用いてもよい。
【0175】
(実施例8)
77才の女性が反復性直腸痛のため来診した。周囲に炎症を有する裂傷を有することがわかった。過去の病歴には、反復性裂傷、結腸ポリープ、憩室症、痔切除、ならびに陣痛および分娩中の深い裂傷などがあった。内肛門括約筋の著しい破壊があった。外科手術が示唆されたが、肛門失禁の確率が高かったために行わなかった。先ず、ニトログリセリンクリーム0.2%で1日3回加えて便通後に治療した。便柔軟剤、坐浴、および高繊維治療食も勧めた。炎症には効果を示さなかったので、リファキシミン軟膏(Vaseline基剤30g中200mg)を開始した。他の療法とともに、それを1日3回および便通ごとに使用することを指示した。患者を4週後に診察し、すべての痛み、炎症、および不快症状は解消した。リファキシミン軟膏治療後、再発はなかった。
【0176】
(実施例9)
普通の身長および体重の49歳の健常男性が重度の裂傷のため来院した。患者は、逆流の病歴を有した。便柔軟剤、坐浴、タックパッド(tuck pad)、および高繊維治療食を勧めた。ニトログリセリン0.2%、Analpram HC1%および2%、AnaMantle HC、およびネオマイシン、さらにヒドロコルチゾン坐薬で18カ月の期間にわたって、裂傷を治療した。患者はまた、担当医からの指示なしに、自身でNeosporinとニトログリセリンにより処置を行った。Analpram HC、AnaMantle HC、ネオマイシンに加えてヒドロコルチゾン坐薬、およびNeosporinに加えてニトログリセリンによる治療は、不成功であった。患者はいくらかの軽減を示したので、ニトログリセリン0.2%、ならびに便柔軟剤、坐浴、タックパッド、および高繊維治療食での治療を継続した。18カ月後に、患者(50歳)は、周囲の炎症および筋肉に侵入しつつある刺激を有する深い後部裂傷を示すことが判明した。現行の治療に、Vaseline基剤30g中リファキシミン100mgを1日3回および便通ごとに加えた。4カ月間治療し、その後、治癒の徴候があった。患者は、時間経過とともに3回の再発を経験した。それぞれの時点で、リファキシミンで治療した。
【0177】
(実施例10)
4〜5年の慢性裂傷を有する50歳の男性トラック運転手が、非治癒裂傷のため来院した。以前にBotoxで治療し、外科手術を受けていた。術後6カ月目に、非治癒裂傷のため来院した。ニトログリセリン0.2%、坐浴1日2回、Preparation Hパッド、Colace1日2回、繊維サプリメント1日2回、およびVaseline基剤30g中リファキシミン100mgで開始した。患者は、リファキシミン軟膏を1日2回使用した。リファキシミン軟膏を適用する際、刺痛を訴えたが、しかし、2週間後に消散した。患者は、3カ月後治癒を示した。この患者のさらなる続報は入手できていない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗直腸機能不全薬およびリファキシミンを含む医薬製剤。
【請求項2】
前記抗直腸機能不全薬が、一酸化窒素調節剤である、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項3】
前記抗直腸機能不全薬が、b−遮断薬、硝酸塩、硬化薬、アセブトロール、アルプレノロール、アムロジピン、アロチノロール、アテノロール、バルニジピン、ベプリジル、べバントロール、ブクモロール、ブフェトロール、ブフラロール、ブニトロロール、ブプラノロール、カラゾロール、カルテオロール、セリプロロール、マレイン酸シネパゼット、ジルチアゼム、エルゴジピン、エパノロール、フェロジピン、ガロパミル、イモラミン、インデノロール、二硝酸イソソルビド、イスラジピン、リマプロスト、メピンドロール、メトプロロール、モルシドミン、ナドロール、ニカルジピン、ニコランジル、ニフェジピン、ニフェナロール、ニルバジピン、ニプラジロール、ニトログリセリン、オクスプレノロール、オキシフェドリン、オザグレル、ペンブトロール、四硝酸ペンタエリトリトール、ピンドロール、プロネタロール、プロプラノロール、ラノラジン、セモチアジル、ソタロール、テロジリン、チモロール、トリプロロール、トロイニトレートホスフェート、ベラパミル、ザテブラジン、ノメガ−ニトロ−L−アルギニンメチルエステル(L−NAME)、N−モノメチル−L−アルギニン(L−NMMA)、5−ヒドロキシトリプタミン(HTまたはセロトニン)受容体アンタゴニスト、アロセトロン、ジルチアゼム、ニフェジピン、ベラパミル、四硝酸エリトリトール、二硝酸イソソルビド、または四硝酸ペンタエリトリトールの1種または複数である、請求項2に記載の医薬製剤。
【請求項4】
前記一酸化窒素調節剤が、肛門疾患治療条件下で一酸化窒素を放出する、請求項2に記載の医薬製剤。
【請求項5】
前記抗直腸機能不全薬が、重量で製剤の約0.1%から約10%を構成する、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項6】
前記抗直腸機能不全薬が、重量で製剤の約10%から約50%を構成する、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項7】
前記リファキシミンが、重量で製剤の約10%から約99%を構成する、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項8】
前記リファキシミンが、約25mgから約800mgを構成する、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項9】
前記リファキシミンが、約100mgから約200mgを構成する、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項10】
1種または複数の追加の治療薬をさらに含む、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項11】
前記追加の治療薬が、抗炎症薬、ボトックス、抗生物質、抗ウイルス化合物、抗腫瘍化合物、麻酔薬、または抗真菌薬を含む、請求項10に記載の医薬製剤。
【請求項12】
約100mgから約200mgのリファキシミンおよび約0.1%から約2%のヒドロコルチゾンを含む医薬製剤。
【請求項13】
約0.01%から約1%のニトログリセリンをさらに含む、請求項12に記載の医薬製剤。
【請求項14】
前記製剤が、浣腸剤、フォーム、軟膏、ペースト、または坐薬を含む、請求項12に記載の医薬製剤。
【請求項15】
肛門疾患を患う対象を治療する方法であって、前記対象の罹冒領域の近傍または罹冒領域に有効量の抗直腸機能不全製剤を投与することを含む方法。
【請求項16】
前記抗直腸機能不全製剤が、リファキシミンおよび抗直腸機能不全薬を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記罹冒領域が、前記対象の外肛門または遠位肛門管の1つまたは複数を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記肛門疾患が、肛門裂傷、肛門潰瘍、急性痔疾患、クローン病、過敏腸管候群、痔疾患、過敏腸管症候群、炎症性腸疾患、旅行者下痢、大腸肛門疾患、慢性膵炎、膵不全または術後疾患の1種または複数から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記抗直腸機能不全薬が、一酸化窒素調節剤である、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記抗直腸機能不全薬が、b−遮断薬、硝酸塩、硬化薬、アセブトロール、アルプレノロール、アムロジピン、アロチノロール、アテノロール、バルニジピン、ベプリジル、べバントロール、ブクモロール、ブフェトロール、ブフラロール、ブニトロロール、ブプラノロール、カラゾロール、カルテオロール、セリプロロール、マレイン酸シネパゼット、ジルチアゼム、エルゴジピン、エパノロール、フェロジピン、ガロパミル、イモラミン、インデノロール、二硝酸イソソルビド、イスラジピン、リマプロスト、メピンドロール、メトプロロール、モルシドミン、ナドロール、ニカルジピン、ニコランジル、ニフェジピン、ニフェナロール、ニルバジピン、ニプラジロール、ニトログリセリン、オクスプレノロール、オキシフェドリン、オザグレル、ペンブトロール、四硝酸ペンタエリトリトール、ピンドロール、プロネタロール、プロプラノロール、ラノラジン、セモチアジル、ソタロール、テロジリン、チモロール、トリプロロール、トロイニトレートホスフェート、ベラパミル、ザテブラジン、ノメガ−ニトロ−L−アルギニンメチルエステル(L−NAME)、N−モノメチル−L−アルギニン(L−NMMA)、5−ヒドロキシトリプタミン(HTまたはセロトニン)受容体アンタゴニスト、アロセトロン、ジルチアゼム、ニフェジピン、ベラパミル、四硝酸エリトリトール、二硝酸イソソルビド、または四硝酸ペンタエリトリトールの1種または複数である、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記一酸化窒素調節剤が、生理学的条件下で一酸化窒素を放出できる、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記一酸化窒素調節剤が、肛門疾患治療条件下で一酸化窒素を放出できる、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記投与が局所である、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
前記投与が坐薬を介する、請求項15に記載の方法。
【請求項25】
前記製剤が、前記対象の外肛門または遠位肛門管の罹冒領域の近傍または罹冒領域に適用される、請求項15に記載の方法。
【請求項26】
前記抗直腸機能不全薬が、前記製剤の重量で約0.01%から10%を構成する、請求項15に記載の方法。
【請求項27】
前記リファキシミンが、前記製剤の重量で約0.01%から約10%を構成する、請求項15に記載の方法。
【請求項28】
前記製剤が、担体をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項29】
前記担体が、白色ワセリン、鉱油、ラノリン、蒸留水、アセトン、およびココアバターの1種または複数から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
コルチコステロイドをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項31】
局所麻酔薬をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項32】
前記組成物が、軟膏、クリーム、ゲル、またはローションとして配合される、請求項15に記載の方法。
【請求項33】
前記組成物が、液体または半固体として配合される、請求項15に記載の方法。
【請求項34】
前記組成物が、坐薬として配合される、請求項15に記載の方法。
【請求項35】
対象における肛門疾患治療の効果を評価する方法、肛門疾患に対して治療されている対象の進行を監視する方法、または肛門疾患の治療に対して対象を選択する方法であって、
前記肛門疾患の治療前レベルを決定するステップと、
請求項1から14の1項または複数項に記載の治療有効量の1種または複数の製剤を前記対象に投与するステップと、
前記製剤による治療の初期期間後に肛門疾患の治療後レベルを決定するステップと、
を含む方法。
【請求項36】
前記肛門疾患のレベルの変化が、治療の効果を示す、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記肛門疾患の減少が、治療が効果的であることを示す、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記肛門疾患の変化が、対象が治療に対して有利な臨床応答を示す見込みがあることの指標である、請求項35に記載の方法。

【公表番号】特表2009−531308(P2009−531308A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−558378(P2008−558378)
【出願日】平成19年3月6日(2007.3.6)
【国際出願番号】PCT/US2007/005846
【国際公開番号】WO2007/103448
【国際公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(506275586)サリックス ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】