リベット穴のき裂抑制方法
【課題】リベット穴並びに皿形リベットを改良して、リベット穴からき裂が発生するのを極力抑制し、金属疲労による不安定破壊の発生を未然に防止する。
【解決手段】リベット穴等の角部を無くすべく、角部を全周に渡って凸曲面6rとする方法によって、応力集中を抑制し、締結穴の角部がき裂発生の起点となるのを抑制する。リベット穴の凸曲面6rの形成は、パンチング形成したり、ドリルや回転研磨器でも容易にできる。リベット3の製造は、内周が凸曲面6rの締結穴と同様な形状の金型を形成し、該金型の成型穴中に金属体を圧入して塑性成型する。リベット穴から万一き裂が発生した場合は、隣接する締結穴同士の間の最短経路以外の迂回ルートに1以上のき裂迂回穴を最短経路に対し反対側に開けることによって、き裂を迂回穴側に誘導することで応急処置できる。
【解決手段】リベット穴等の角部を無くすべく、角部を全周に渡って凸曲面6rとする方法によって、応力集中を抑制し、締結穴の角部がき裂発生の起点となるのを抑制する。リベット穴の凸曲面6rの形成は、パンチング形成したり、ドリルや回転研磨器でも容易にできる。リベット3の製造は、内周が凸曲面6rの締結穴と同様な形状の金型を形成し、該金型の成型穴中に金属体を圧入して塑性成型する。リベット穴から万一き裂が発生した場合は、隣接する締結穴同士の間の最短経路以外の迂回ルートに1以上のき裂迂回穴を最短経路に対し反対側に開けることによって、き裂を迂回穴側に誘導することで応急処置できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機などのようなリベット締結構造体の安全性を高めるべく、リベット穴と皿形リベットの形状を改良することによって、リベット穴からのき裂(裂け目)の発生を抑制することを目的とする。
【背景技術】
【0002】
リベットやボルト、ネジ類による締結部から疲労き裂が発生したという報告事例が多数ある。リベットは航空機や橋梁、鉄骨構造体等の締結要素として多用されている。リベットを用いて板材や骨材を締結する場合には、締結のために多数のリベット穴を加工する必要があるが、そのリベット穴が構造体の強度低下の要因となっている。特に、航空機の場合は、機体に加工したリベット穴群から多数のき裂(マルチサイトクラック)が発生し、それらが一斉に進展して不安定破壊をもたらした例は新聞等でも報道されている。
【0003】
リベット穴からの疲労き裂の発生は、構造物の破壊をもたらす恐れがあるので、そのき裂の発生の監視や検出技術は盛んに研究されている。また、発生したき裂の先端にストップホール加工を施し、き裂の進展を抑制する手法も提案されている。そして、航空機の機体等の構造物に加工したリベット穴群に発生した多数のき裂群が構造物の不安定破壊をもたらすメカニズムについても研究が進んでいる。しかしながら、リベット穴そのものからのき裂発生の抑制を目的とした研究や技術は非常に少ない。
【0004】
リベット締結を施した構造体における破壊の原因は、静的な破壊はリベットそのものの破壊に起因することもある。しかし、繰返し負荷が作用する疲労による破壊の場合には、リベットではなく、それを用いて締結された板材等の破壊に起因することがほとんどである。そして、その破壊は、リベット穴を起点として発生した疲労き裂に起因している。
本発明は、このようなリベット穴からのき裂発生を抑制し、疲労寿命を延命させるには、リベット穴並びにリベットの形状を改良することが有効と判断し、特に、航空機の機体等に加工される皿形のリベット穴からのき裂発生の抑制に着目した。
【特許文献1】特開2007-69229
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図1はボーイング社が用いている従来形の航空機用の皿形リベットによる締結状態を示す縦断面図であり、2枚の金属板1、2に開けたリベット穴に皿形リベット3を挿入し、加締めてある。31が皿形リベット3の皿形ヘッド部、32が加締め部である。
図2は、皿形リベット3を挿入し加締める前のリベット穴を示す縦断面図であり、上側の金属板1には、リベット形状に合わせて、皿形のリベット穴4を予め開けてある。この皿形のリベット穴4は、内径が一定の円筒状穴41と、テーパ状に開いた皿穴42との間に、鋭い角部4eが全周に渡ってできるが、応力集中が生じ易い突起形状である。この応力集中は、疲労き裂の発生を助長し、機体の疲労寿命を低下させる。また、リベット3外周の凹角部33は、断面の急激な変化によって、応力集中が顕著に生じる。
【0006】
一方、特許文献1によると、ボルト穴などのような直角の角部が疲労破壊の起点となり易いので、角部に衝撃塑性加工を加えてほぼ45度に面取りすることによって、疲労強度を向上させることが提案されている。
しかしながら、この場合でも、角度が緩和されるというだけであって、リベット穴4における鋭い角部4eと同様なエッジは残ることになるので、確実な解決にはならない。
【0007】
本発明の技術的課題は、このような問題に着目し、リベット穴並びに皿形リベットを改良することによって、リベット穴からき裂が発生するのを極力抑制し、金属疲労による不安定破壊の発生を未然に防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の技術的課題は次のような手段によって解決される。請求項1は、リベット、ボルト又はネジ類を含む締結手段を挿入する締結穴又はワッシャー穴において、角部がき裂発生の起点となるのを抑制すべく、角部を全内周に渡って凸曲面とすることによって、角部を無くすことを特徴とする締結穴又はワッシャー穴のき裂抑制方法である。このように、リベット穴やワイヤー穴等の角部を無くすべく、角部を全内周に渡って凸曲面とする方法によって、応力集中を抑制し、締結穴やワッシャー穴の角部がき裂発生の起点となるのを抑制できる。
【0009】
請求項2は、締結穴から万一き裂が発生した場合、き裂の発生した締結穴と隣接する締結穴同士の間の最短経路以外の迂回ルートに1以上のき裂迂回穴を各締結穴ごとに最短経路に対し反対側に開けることによって、き裂を迂回穴側に誘導することを特徴とする請求項1記載の締結穴き裂の応急処置法である。
このように、締結穴から万一き裂が発生した場合、き裂の発生した締結穴と隣接する締結穴同士の間の最短経路以外の迂回ルートに1以上のき裂迂回穴を開けると、発生したき裂が最短経路以外の迂回穴側に誘導されるため、き裂の進展による最終破壊を遅延させ、延命できる。また、このき裂迂回穴を、最短経路に対し反対側に、各連結穴ごとに開けることによって、隣接する連結穴から進展して来た迂回き裂同士が遭遇するのを避けることができ、疲労破壊の遅延効果は格段と大きくなる。
【0010】
請求項3は、前記のき裂迂回穴に金属体を圧入することを特徴とする請求項2に記載の締結穴き裂の応急処置法である。このように、前記のき裂迂回穴に金属体を圧入することによって、圧縮の残留応力の効果による疲労強度向上が期待でき、き裂の進展をさらに遅延できる。
【0011】
請求項4は、リベット、ボルト又はネジ類を含む締結手段を挿入する締結穴又はワッシャー穴において、角部がき裂発生の起点となるのを抑制すべく、角部を全周に渡って凸曲面とすることによって、角部を無くしてあることを特徴とする締結穴又はワッシャー穴である。
このように、リベット、ボルト又はネジ類を含む締結手段を挿入する締結穴又はワッシャー穴における角部を全周に渡って凸曲面とすることによって、応力集中が生じ易い突起形状を無くすと共に、断面が連続的に変化する曲面形状にしてあるので、角部がき裂発生の起点となる問題を低減できる。
【0012】
請求項5は、リベット、ボルト又はネジ類を含む締結手段を挿入する締結穴又はワッシャー穴の全周に渡って凸曲面を形成する方法であって、前記締結手段のヘッド部と軸部との間に形成した凹曲面と同等の形状を有するパンチを用いて締結穴又はワッシャー穴をパンチング形成することを特徴とする締結穴又はワッシャー穴の形成方法である。
このように、締結穴又はワッシャー穴の全周に渡って凸曲面を形成する際に、締結手段のヘッド部と軸部との間に形成した凹曲面と同等の形状を有するパンチで締結穴又はワッシャー穴をパンチング形成する方法によると、内周が凸曲面となった皿形リベット穴やワッシャー穴を瞬時に形成できる。
【0013】
請求項6は、リベット、ボルト又はネジ類を含む締結手段を挿入する締結穴又はワッシャー穴の全周に渡って凸曲面を形成するドリル又は回転研磨器であって、前記凸曲面と対応する領域が凹曲面になっていることを特徴とする締結穴又はワッシャー穴形成器である。
このように、締結穴又はワッシャー穴内周に凸曲面を形成するドリル又は回転研磨器において、凸曲面を形成する領域が、全周にわたって凹曲面になっているため、研削又は研磨によって、全周に渡って凸曲面を有する締結穴又はワッシャー穴を容易に形成できる。
【0014】
請求項7は、角部を無くして、凸曲面としてなる締結穴又はワッシャー穴に挿入して締結するリベット、ボルト又はネジ類を含む締結手段において、
前記締結穴又はワッシャー穴の凸曲面の部分と対応する部位を、締結穴又はワッシャー穴の凸曲面と同等の曲率の凹曲面としてなることを特徴とする締結手段である。
このように、締結手段において、締結穴又はワッシャー穴の凸曲面とした部分と対応する部位を、締結穴又はワッシャー穴の凸曲面と同等の曲率の凹曲面としてあるため、リベットやボルト、ネジ類を含む締結手段と凸曲面となった締結穴又はワッシャー穴とがぴったりと合致するため、締結の信頼性が向上するだけでなく、断面の急激な変化による応力集中も抑制できると共に、締結時の相互の衝撃塑性加工による疲労強度向上も期待できる。
【0015】
請求項8は、角部を無くして、凸曲面としてなる締結穴又はワッシャー穴に挿入して締結するリベット、ボルト又はネジ類を含む締結手段を製造する際に、
前記のように凸曲面としてなる締結穴又はワッシャー穴と同様な形状の金型を形成し、該金型の成型穴中に金属体を圧入して塑性成型することを特徴とする締結手段の製造方法である。
このように、角部を無くして、凸曲面としてなる締結穴又はワッシャー穴に挿入して締結するリベット、ボルト又はネジ類を含む締結手段を製造する際に、凸曲面としてなる締結穴又はワッシャー穴と同様な形状の金型を形成し、該金型の成型穴中に金属体を圧入して塑性成型する製法によると、形状変化が凹曲面によって連続的となった皿形リベットなどを瞬時に容易に製造できる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1のように、リベット穴等の締結穴やワッシャー穴の角部を無くすべく、角部を全内周に渡って凸曲面とする方法によると、応力集中を抑制して、締結穴やワッシャー穴の角部がき裂発生の起点となるのを抑制できる。
【0017】
請求項2のように、締結穴から万一き裂が発生した場合、き裂の発生した締結穴と隣接する締結穴同士の間の最短経路以外の迂回ルートに1以上のき裂迂回穴を開けると、発生したき裂が最短経路以外の迂回穴側に誘導されるため、き裂の進展による最終破壊を遅延させ、延命できる。また、このき裂迂回穴を、最短経路に対し反対側に、各連結穴ごとに開けることによって、隣接する連結穴から進展して来た迂回き裂同士が遭遇するのを避けることができ、疲労破壊の遅延効果は格段と大きくなる。
【0018】
請求項3のように、前記のき裂迂回穴に金属体を圧入することによって、圧縮の残留応力の効果による疲労強度向上が期待でき、き裂の進展をさらに遅延できる。
【0019】
請求項4のように、リベット、ボルト又はネジ類を含む締結手段を挿入する締結穴又はワッシャー穴における角部を全周に渡って凸曲面とすることによって、応力集中が生じ易い突起形状を無くすと共に、断面が連続的に変化する形状にしてあるので、角部がき裂発生の起点となる問題を低減できる。
【0020】
請求項5のように、締結穴又はワッシャー穴の全周に渡って凸曲面を形成する際に、締結手段のヘッド部と軸部との間に形成した凹曲面と同等の形状を有するパンチで締結穴又はワッシャー穴をパンチング形成する方法によると、内周が凸曲面となった皿形リベット穴などの締結穴やワッシャー穴を瞬時に形成できる。
【0021】
請求項6のように、締結穴やワッシャー穴内周に凸曲面を形成するドリル又は回転研磨器において、凸曲面を形成する領域が、全周にわたって凹曲面になっているため、研削又は研磨によって、全周に渡って凸曲面を有する締結穴又はワッシャー穴を容易に形成できる。
【0022】
請求項7のように、締結手段において、締結穴又はワッシャー穴の凸曲面とした部分と対応する部位を、締結穴又はワッシャー穴の凸曲面と同等の曲率の凹曲面としてあるため、リベットやボルト、ネジ類を含む締結手段と凸曲面となった締結穴又はワッシャー穴とがぴったりと合致するため、締結の信頼性が向上するだけでなく、断面の急激な変化による応力集中も抑制できると共に、締結時の相互の衝撃塑性加工による疲労強度向上も期待できる。
【0023】
請求項8のように、角部を無くして、凸曲面としてなる締結穴又はワッシャー穴に挿入して締結するリベット、ボルト又はネジ類を含む締結手段を製造する際に、凸曲面としてなる締結穴又はワッシャー穴と同様な形状の金型を形成し、該金型の成型穴中に金属体を圧入して塑性成型する製法によると、形状変化が凹曲面によって連続的となった皿形リベットなどの締結手段を瞬時に容易に製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に本発明によるリベット穴のき裂抑制方法が実際上どのように具体化されるか実施形態を説明する。図3は、本発明によるリベット締結構造を示す縦断面図で、2枚の金属板1、2に開けたリベット穴に、本発明による凹曲面付きの皿形リベット5を挿入し、加締めてある。51は皿形ヘッド部、52は加締め部である。
【0025】
図4は、本発明による皿形リベット穴6を示す縦断面図で、凹曲面付き皿形リベット5を挿入して加締める前の状態である。上側の金属板1には、前記皿形リベット5の形状に合わせて、凸曲面6r付きのリベット穴6を予め開けてある。この凸曲面6r付きリベット穴6は、凹曲面付き皿形リベット5の軸部53が挿入される軸穴61とテーバ状に開いた皿穴62とが形成されている。したがって、図2の鋭い角部4eは存在せず、凸曲面6rとなっている。その結果、応力集中し易い角部形状4eが解消され、かつ断面の急激な変化に起因する応力集中も発生しないので、従来のような応力集中に起因するき裂の発生が抑制される。したがって、航空機の機体などの疲労寿命の低下を抑制し、延命が可能となる。
【0026】
図4のように、皿形リベット穴6に凸曲面6rがついているため、図3の皿形リベット5も、皿形ヘッド部51と軸部53との間に、図1の凹角部33は存在せず、丸みを帯びた凹曲面5Rになっている。その結果、皿形ヘッド部51と軸部53との間の断面形状すなわち直径が連続的に変化するので、皿形リベット5自体も、従来の凹角部33による応力集中が緩和され、き裂の発生が抑制される。
【0027】
図2のように角部4eの有るリベット穴4は、図5のように、ドリル刃部71と軸部72との間に角張った凹角部73を有するドリル7を回転させて、切削加工される。これに対し、本発明の場合は、角張った凹角部73に代わって、図6のように、断面すなわち直径が連続的に変化するような凹曲面8Rになっており、しかも刃部81の領域に形成されている。したがって、このドリル8を回転させると、凹曲面8Rによって、図4のような凸曲面6rのついたリベット穴6が形成される。
なお、図6のドリル8と同様な凹曲面8Rを有する回転研磨器を使用すれば、図2のような皿形リベット穴4を加工した後に、その角部4eを研磨除去することで丸みを帯びた凸曲面6rに形成することができる。
【0028】
このようなリベット穴加工用の工具を使用しないで、図7のように、アルミニウムなどの金属板1にパンチ9を用いてパンチング加工することで、瞬時に、凸曲面6r付きの皿形リベット穴6を形成することもできる。この場合、パンチ9には、前記ドリル8における凹曲面8Rと同様な凹曲面9Rを有しているため、皿形リベット穴6における凸曲面6rも同時形成される。
なお、図2のような従来の角部4eつきのリベット穴4を形成した後に、図7のような凹曲面9Rつきのパンチ9を圧入すると、角部4eの部分だけが凹曲面9Rで加圧圧縮されて塑性変形し、凸曲面6rに変形される。その結果、機械的な衝撃塑性加工による疲労強度向上の効果も奏する。
【0029】
次に、図3のように丸みを帯びた凹曲面5Rを有する皿形リベット5の製造方法を説明する。図8は金型の断面図で、図4に示す皿形リベット穴6と同様な形状になっている。金型10に形成した軸穴11と皿形のヘッド穴12を形成してあり、両者の間に丸みを帯びた凸曲面12rを形成してある。したがって、この金型穴に円柱状のリベット材を挿入し、加圧することによって、図9のように、皿形ヘッド部51と軸部53との間に丸みを帯びた凹曲面5Rを外周に有する皿形リベット5が瞬時に容易に成型できる。
【0030】
この皿形リベット5を、図4のように凸曲面6rを内周に有するリベット穴6に打ち込んでリベット締結すると、リベット穴6に皿形リベット5を機械的に圧入して加締めることによって、互いに多少は衝撃塑性変形されることになるので、この際にも疲労強度が向上する。
しかしながら、リベット穴からのき裂発生を抑止する改善がなされても、限界以上の予期せぬ応力を受けたり、予想以上に金属疲労が進んだりして、き裂発生が避けられない場合もありうる。このように、万一き裂が発生したとしても、本発明によると、き裂破壊を遅らせる応急処置も可能である。
【0031】
いま、図10のように、隣接する皿形リベット穴6、6から、繰返し疲労によって自然とき裂14、15が発生したとすると、両者間の最短距離の経路をき裂14、15が延びてくる。そして、最終的に両き裂14、15がつながることで、破壊に到る。
本発明では、リベット穴6、6から万一き裂が発生した場合は、図11のように、応急的に、最短経路以外の迂回ルートを設定して、1以上のき裂迂回穴16、17をそれぞれの皿形リベット穴6、6寄りに開ける手法も開発した。その穴16、17の加工の結果、最短経路にき裂は進展せずに、き裂迂回穴16側に迂回してき裂20のように進展する。あるいは、右側のリベット穴6側のように、き裂迂回穴17で迂回き裂21の進展が中断する。
【0032】
このように、それぞれの皿形リベット穴6、6寄りにき裂迂回穴16、17を1個ずつ開けてもよいが、図12のように、き裂迂回穴を16・18と17・19のように、2個以上開けてあると、より効果な場合がある。図示のように、き裂迂回穴16・18と17・19は、最短経路に対し互いに反対側に配置すると、迂回き裂20、21はそれぞれ反対側に迂回して誘導されるので、互いに遭遇するまでの時間が格段と遅延される。
リベット穴からき裂が発生した後に応急的に加工するき裂迂回穴16・18、17・19の配置条件は、隣接するリベット穴6、6間において、それぞれのリベット穴6、6から、対向方向に向けて5〜45度の範囲に配設するのが効果的である。5度以下では、最短経路の自然発生き裂と迂回き裂が接近しすぎて、わざわざ迂回き裂を誘導する意味が少ない。45度を越えると、き裂の誘導が困難になり、自然発生き裂が依然として最短経路方向に進展してしまう恐れがある。
き裂迂回穴16・18、17・19のサイズは、リベット穴6、6と同程度かそれ以下の直径が適しているようである。
【0033】
このように、き裂迂回穴16・18と17・19を開けると、皿形リベット穴6、6を起点とする迂回き裂20、21は、最短ルートに進展しないで、リベット穴6→き裂迂回穴16→18→、またリベット穴6→き裂迂回穴17→19→のように、それぞれき裂迂回穴に誘導されて迂回方向に進展する。その結果、最短ルートで自然に進展するき裂に比べて、最終破壊に到るまでの時間を遅延させることができる。この場合、前記のき裂迂回穴16・18と17・19にピンなどの金属を圧入して詰めることで、塑性加工による疲労強度向上を図っておくと、き裂の進展をさらに遅らせることができる。
なお、このようにき裂を迂回させる手法は、凸曲面6r付きの皿形リベット穴に限らず、通常のリベット穴やボルト穴、ネジ穴などにも適用可能である。
【0034】
図13は金属の圧入例で、(1)は、金属板に開けた真円の穴H中に断面が楕円状の大径ピンPを打ち込んだ試料であり、真円穴Hは、楕円ピンPの長円側が当接する部位11、11を加圧して押し広げる方向の負荷が作用し、引っ張りの残留応力が生じると共に塑性加工される。その結果、加工硬化によって強度が向上し、疲労寿命が延命される。
また、真円穴H周縁は、楕円ピンPの短円側の領域12、12には、加圧力p・pによって引っ張り方向の負荷が作用するので、圧縮方向の残留応力が残り、この残留応力によって、楕円ピンPの長円方向の繰り返し荷重に対する疲労寿命が延命されるものと考えられる。
【0035】
ところが、前記楕円ピンPの長円部の円周方向の長さは極めて短いため、被加圧領域11・11も極めて狭く、その結果、短円側の引っ張り領域12・12に充分に引っ張り力が作用しない恐れがある。これに対し、図13(2)の円弧状楕円ピンPcは、楕円ピンPの長円部に代わって円弧になっているため、円弧部の全周にわたって、真円穴Hの内径の2〜5%増しというような大径になるので、円弧部の全周が被加圧部11・11と均一に圧接する。
その結果、被加圧部11・11の領域が広くなり、塑性変形する領域も広くなるので、結果的に、引っ張り領域12・12にも確実に引っ張り力が伝わり、広い領域に渡って確実に残留圧縮応力が発生する。
なお、楕円ピンPや円弧状楕円ピンPcに代えて、外径が真円穴Hの2〜5%増しの真円の大径ピンを圧入することも可能だが、強度アップの効果は小さい。圧入したピンは抜いてもよいし、小径のピンを挿入してから加締めることによって楕円ピン状や円弧状楕円ピン状、大径真円状に変形させてもよい。
【0036】
以上の実施形態では、皿形リベット穴を例示したが、他の各種形状の締結穴にも適用できることは言うまでもない。
また、皿形リベットに限らず、皿形のネジ類や他の種のリベット、ボルト、ネジなどの他の種の締結手段にも適用できる。皿形状以外の場合は、リベット、ボルト、ネジ等の頭部と軸部間の直角凹部と、当該直角凹部と対応する軸部挿入穴の直角凸部に本発明を適用することになる。
【0037】
さらに、複数の板材を重ねてリベットなどで締結する際の締結穴6に限らず、図14のように、ワッシャーWに凸曲面6rを形成することもできる。
図4のように被締結板1自体の締結穴6に凸曲面6rを加工形成するのは作業性が悪いが、ワッシャーWの穴の凸角部を凸曲面に加工するのは容易であり、また図7のように、パンチ9でパンチング加工すれば、凸曲面6r付きのワッシャーWを量産することも容易である。
一方、ワッシャーWの凸曲面6rとぴったり重なる形状の凹曲面5Rを有すリベット5のヘッド部形状は、皿形でなく丸形51cであり、このように各種のヘッド部形状を採用できる。
【0038】
リベット5に代えて、鎖線で示すようにボルトを用いる場合、ボルトの頭部Bと軸部53との間が、通常の90度の凹角部に代えて凹曲面5Rとなっているので、リベット5の凹曲面5Rと同じ原理で、ボルトの断面の急激な変化による応力集中を抑制して、ボルトの破損も抑制できると共に、締結時の相互の衝撃塑性加工による疲労強度向上も可能となる。
なお、本発明による作用効果は、試作品による実験の結果でも確認されている。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上のように、リベット、ボルト又はネジ類を含む締結手段を挿入する締結穴やワッシャーにおいて、角部がき裂発生の起点となるのを抑制すべく、凸曲面とすることによって角部を無くすと共に、皿形リベットなどの締結手段自体の凹角部を無くして、断面変形が連続的な凹曲面とすることによって、締結穴やワッシャーからき裂が発生するのを抑制し、金属疲労による不安定破壊の発生を抑止することが可能となり、締結手段自体の強度も向上する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】従来の航空機用の皿形リベットによる締結状態を示す縦断面図である。
【図2】皿形リベットを挿入し加締める前のリベット穴を示す縦断面図である。
【図3】本発明によるリベット締結構造を示す縦断面図である。
【図4】本発明による丸み皿形リベット穴を示す縦断面図である。
【図5】従来のリベット穴加工用のドリルを示す側面図である。
【図6】丸み皿形リベット穴を加工するための本発明による丸みドリルの側面図である。
【図7】丸み皿形リベット穴を加工するための本発明によるパンチを示す縦断面図である。
【図8】本発明によるリベット製造金型の縦断面図である。
【図9】図8のリベット製造金型で製造される皿形リベットの側面図と平面図である。
【図10】隣接する皿形リベット穴からき裂が発生し進展する挙動を示す平面図である。
【図11】隣接する皿形リベット穴間の最短ルート以外の迂回ルートにそれぞれ1個のき裂迂回穴を開けてある実施形態である。
【図12】隣接する皿形リベット穴間にき裂迂回穴を2個以上開けてある実施形態である。
【図13】き裂迂回穴に金属を圧入した例で、(1)は楕円ピンを打ち込んだ例、(2)は円弧状楕円ピンを打ち込んだ例である。
【図14】ワッシャーに凸曲面を形成した実施形態である。
【符号の説明】
【0041】
1・2 金属板
3 皿形リベット
31 皿形ヘッド部
32 加締め部
33 凹角部
4 皿形のリベット穴
41 円筒状穴
42 テーパ状の皿穴
4e 凸角部
5 凹曲面つきの皿形リベット
51 皿形ヘッド部
52 加締め部
53 軸部
5R 凹曲面
6 皿形リベット穴
61 軸穴
62 テーパ状の皿穴
6r 凸曲面
7 従来のドリル
73 凹角部
8 本発明のドリル
8R 凹曲面
9 パンチ
9R 凹曲面
10 金型
11 軸穴
12 皿状ヘッド穴
12r 凸曲面
14・15 最短経路の自然き裂
16・18、17・19 き裂迂回穴
20・21 迂回き裂
P 楕円状の大径ピン
Pc 円弧状楕円ピン
H 真円穴
W ワッシャー
B ボルト頭部
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機などのようなリベット締結構造体の安全性を高めるべく、リベット穴と皿形リベットの形状を改良することによって、リベット穴からのき裂(裂け目)の発生を抑制することを目的とする。
【背景技術】
【0002】
リベットやボルト、ネジ類による締結部から疲労き裂が発生したという報告事例が多数ある。リベットは航空機や橋梁、鉄骨構造体等の締結要素として多用されている。リベットを用いて板材や骨材を締結する場合には、締結のために多数のリベット穴を加工する必要があるが、そのリベット穴が構造体の強度低下の要因となっている。特に、航空機の場合は、機体に加工したリベット穴群から多数のき裂(マルチサイトクラック)が発生し、それらが一斉に進展して不安定破壊をもたらした例は新聞等でも報道されている。
【0003】
リベット穴からの疲労き裂の発生は、構造物の破壊をもたらす恐れがあるので、そのき裂の発生の監視や検出技術は盛んに研究されている。また、発生したき裂の先端にストップホール加工を施し、き裂の進展を抑制する手法も提案されている。そして、航空機の機体等の構造物に加工したリベット穴群に発生した多数のき裂群が構造物の不安定破壊をもたらすメカニズムについても研究が進んでいる。しかしながら、リベット穴そのものからのき裂発生の抑制を目的とした研究や技術は非常に少ない。
【0004】
リベット締結を施した構造体における破壊の原因は、静的な破壊はリベットそのものの破壊に起因することもある。しかし、繰返し負荷が作用する疲労による破壊の場合には、リベットではなく、それを用いて締結された板材等の破壊に起因することがほとんどである。そして、その破壊は、リベット穴を起点として発生した疲労き裂に起因している。
本発明は、このようなリベット穴からのき裂発生を抑制し、疲労寿命を延命させるには、リベット穴並びにリベットの形状を改良することが有効と判断し、特に、航空機の機体等に加工される皿形のリベット穴からのき裂発生の抑制に着目した。
【特許文献1】特開2007-69229
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図1はボーイング社が用いている従来形の航空機用の皿形リベットによる締結状態を示す縦断面図であり、2枚の金属板1、2に開けたリベット穴に皿形リベット3を挿入し、加締めてある。31が皿形リベット3の皿形ヘッド部、32が加締め部である。
図2は、皿形リベット3を挿入し加締める前のリベット穴を示す縦断面図であり、上側の金属板1には、リベット形状に合わせて、皿形のリベット穴4を予め開けてある。この皿形のリベット穴4は、内径が一定の円筒状穴41と、テーパ状に開いた皿穴42との間に、鋭い角部4eが全周に渡ってできるが、応力集中が生じ易い突起形状である。この応力集中は、疲労き裂の発生を助長し、機体の疲労寿命を低下させる。また、リベット3外周の凹角部33は、断面の急激な変化によって、応力集中が顕著に生じる。
【0006】
一方、特許文献1によると、ボルト穴などのような直角の角部が疲労破壊の起点となり易いので、角部に衝撃塑性加工を加えてほぼ45度に面取りすることによって、疲労強度を向上させることが提案されている。
しかしながら、この場合でも、角度が緩和されるというだけであって、リベット穴4における鋭い角部4eと同様なエッジは残ることになるので、確実な解決にはならない。
【0007】
本発明の技術的課題は、このような問題に着目し、リベット穴並びに皿形リベットを改良することによって、リベット穴からき裂が発生するのを極力抑制し、金属疲労による不安定破壊の発生を未然に防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の技術的課題は次のような手段によって解決される。請求項1は、リベット、ボルト又はネジ類を含む締結手段を挿入する締結穴又はワッシャー穴において、角部がき裂発生の起点となるのを抑制すべく、角部を全内周に渡って凸曲面とすることによって、角部を無くすことを特徴とする締結穴又はワッシャー穴のき裂抑制方法である。このように、リベット穴やワイヤー穴等の角部を無くすべく、角部を全内周に渡って凸曲面とする方法によって、応力集中を抑制し、締結穴やワッシャー穴の角部がき裂発生の起点となるのを抑制できる。
【0009】
請求項2は、締結穴から万一き裂が発生した場合、き裂の発生した締結穴と隣接する締結穴同士の間の最短経路以外の迂回ルートに1以上のき裂迂回穴を各締結穴ごとに最短経路に対し反対側に開けることによって、き裂を迂回穴側に誘導することを特徴とする請求項1記載の締結穴き裂の応急処置法である。
このように、締結穴から万一き裂が発生した場合、き裂の発生した締結穴と隣接する締結穴同士の間の最短経路以外の迂回ルートに1以上のき裂迂回穴を開けると、発生したき裂が最短経路以外の迂回穴側に誘導されるため、き裂の進展による最終破壊を遅延させ、延命できる。また、このき裂迂回穴を、最短経路に対し反対側に、各連結穴ごとに開けることによって、隣接する連結穴から進展して来た迂回き裂同士が遭遇するのを避けることができ、疲労破壊の遅延効果は格段と大きくなる。
【0010】
請求項3は、前記のき裂迂回穴に金属体を圧入することを特徴とする請求項2に記載の締結穴き裂の応急処置法である。このように、前記のき裂迂回穴に金属体を圧入することによって、圧縮の残留応力の効果による疲労強度向上が期待でき、き裂の進展をさらに遅延できる。
【0011】
請求項4は、リベット、ボルト又はネジ類を含む締結手段を挿入する締結穴又はワッシャー穴において、角部がき裂発生の起点となるのを抑制すべく、角部を全周に渡って凸曲面とすることによって、角部を無くしてあることを特徴とする締結穴又はワッシャー穴である。
このように、リベット、ボルト又はネジ類を含む締結手段を挿入する締結穴又はワッシャー穴における角部を全周に渡って凸曲面とすることによって、応力集中が生じ易い突起形状を無くすと共に、断面が連続的に変化する曲面形状にしてあるので、角部がき裂発生の起点となる問題を低減できる。
【0012】
請求項5は、リベット、ボルト又はネジ類を含む締結手段を挿入する締結穴又はワッシャー穴の全周に渡って凸曲面を形成する方法であって、前記締結手段のヘッド部と軸部との間に形成した凹曲面と同等の形状を有するパンチを用いて締結穴又はワッシャー穴をパンチング形成することを特徴とする締結穴又はワッシャー穴の形成方法である。
このように、締結穴又はワッシャー穴の全周に渡って凸曲面を形成する際に、締結手段のヘッド部と軸部との間に形成した凹曲面と同等の形状を有するパンチで締結穴又はワッシャー穴をパンチング形成する方法によると、内周が凸曲面となった皿形リベット穴やワッシャー穴を瞬時に形成できる。
【0013】
請求項6は、リベット、ボルト又はネジ類を含む締結手段を挿入する締結穴又はワッシャー穴の全周に渡って凸曲面を形成するドリル又は回転研磨器であって、前記凸曲面と対応する領域が凹曲面になっていることを特徴とする締結穴又はワッシャー穴形成器である。
このように、締結穴又はワッシャー穴内周に凸曲面を形成するドリル又は回転研磨器において、凸曲面を形成する領域が、全周にわたって凹曲面になっているため、研削又は研磨によって、全周に渡って凸曲面を有する締結穴又はワッシャー穴を容易に形成できる。
【0014】
請求項7は、角部を無くして、凸曲面としてなる締結穴又はワッシャー穴に挿入して締結するリベット、ボルト又はネジ類を含む締結手段において、
前記締結穴又はワッシャー穴の凸曲面の部分と対応する部位を、締結穴又はワッシャー穴の凸曲面と同等の曲率の凹曲面としてなることを特徴とする締結手段である。
このように、締結手段において、締結穴又はワッシャー穴の凸曲面とした部分と対応する部位を、締結穴又はワッシャー穴の凸曲面と同等の曲率の凹曲面としてあるため、リベットやボルト、ネジ類を含む締結手段と凸曲面となった締結穴又はワッシャー穴とがぴったりと合致するため、締結の信頼性が向上するだけでなく、断面の急激な変化による応力集中も抑制できると共に、締結時の相互の衝撃塑性加工による疲労強度向上も期待できる。
【0015】
請求項8は、角部を無くして、凸曲面としてなる締結穴又はワッシャー穴に挿入して締結するリベット、ボルト又はネジ類を含む締結手段を製造する際に、
前記のように凸曲面としてなる締結穴又はワッシャー穴と同様な形状の金型を形成し、該金型の成型穴中に金属体を圧入して塑性成型することを特徴とする締結手段の製造方法である。
このように、角部を無くして、凸曲面としてなる締結穴又はワッシャー穴に挿入して締結するリベット、ボルト又はネジ類を含む締結手段を製造する際に、凸曲面としてなる締結穴又はワッシャー穴と同様な形状の金型を形成し、該金型の成型穴中に金属体を圧入して塑性成型する製法によると、形状変化が凹曲面によって連続的となった皿形リベットなどを瞬時に容易に製造できる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1のように、リベット穴等の締結穴やワッシャー穴の角部を無くすべく、角部を全内周に渡って凸曲面とする方法によると、応力集中を抑制して、締結穴やワッシャー穴の角部がき裂発生の起点となるのを抑制できる。
【0017】
請求項2のように、締結穴から万一き裂が発生した場合、き裂の発生した締結穴と隣接する締結穴同士の間の最短経路以外の迂回ルートに1以上のき裂迂回穴を開けると、発生したき裂が最短経路以外の迂回穴側に誘導されるため、き裂の進展による最終破壊を遅延させ、延命できる。また、このき裂迂回穴を、最短経路に対し反対側に、各連結穴ごとに開けることによって、隣接する連結穴から進展して来た迂回き裂同士が遭遇するのを避けることができ、疲労破壊の遅延効果は格段と大きくなる。
【0018】
請求項3のように、前記のき裂迂回穴に金属体を圧入することによって、圧縮の残留応力の効果による疲労強度向上が期待でき、き裂の進展をさらに遅延できる。
【0019】
請求項4のように、リベット、ボルト又はネジ類を含む締結手段を挿入する締結穴又はワッシャー穴における角部を全周に渡って凸曲面とすることによって、応力集中が生じ易い突起形状を無くすと共に、断面が連続的に変化する形状にしてあるので、角部がき裂発生の起点となる問題を低減できる。
【0020】
請求項5のように、締結穴又はワッシャー穴の全周に渡って凸曲面を形成する際に、締結手段のヘッド部と軸部との間に形成した凹曲面と同等の形状を有するパンチで締結穴又はワッシャー穴をパンチング形成する方法によると、内周が凸曲面となった皿形リベット穴などの締結穴やワッシャー穴を瞬時に形成できる。
【0021】
請求項6のように、締結穴やワッシャー穴内周に凸曲面を形成するドリル又は回転研磨器において、凸曲面を形成する領域が、全周にわたって凹曲面になっているため、研削又は研磨によって、全周に渡って凸曲面を有する締結穴又はワッシャー穴を容易に形成できる。
【0022】
請求項7のように、締結手段において、締結穴又はワッシャー穴の凸曲面とした部分と対応する部位を、締結穴又はワッシャー穴の凸曲面と同等の曲率の凹曲面としてあるため、リベットやボルト、ネジ類を含む締結手段と凸曲面となった締結穴又はワッシャー穴とがぴったりと合致するため、締結の信頼性が向上するだけでなく、断面の急激な変化による応力集中も抑制できると共に、締結時の相互の衝撃塑性加工による疲労強度向上も期待できる。
【0023】
請求項8のように、角部を無くして、凸曲面としてなる締結穴又はワッシャー穴に挿入して締結するリベット、ボルト又はネジ類を含む締結手段を製造する際に、凸曲面としてなる締結穴又はワッシャー穴と同様な形状の金型を形成し、該金型の成型穴中に金属体を圧入して塑性成型する製法によると、形状変化が凹曲面によって連続的となった皿形リベットなどの締結手段を瞬時に容易に製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に本発明によるリベット穴のき裂抑制方法が実際上どのように具体化されるか実施形態を説明する。図3は、本発明によるリベット締結構造を示す縦断面図で、2枚の金属板1、2に開けたリベット穴に、本発明による凹曲面付きの皿形リベット5を挿入し、加締めてある。51は皿形ヘッド部、52は加締め部である。
【0025】
図4は、本発明による皿形リベット穴6を示す縦断面図で、凹曲面付き皿形リベット5を挿入して加締める前の状態である。上側の金属板1には、前記皿形リベット5の形状に合わせて、凸曲面6r付きのリベット穴6を予め開けてある。この凸曲面6r付きリベット穴6は、凹曲面付き皿形リベット5の軸部53が挿入される軸穴61とテーバ状に開いた皿穴62とが形成されている。したがって、図2の鋭い角部4eは存在せず、凸曲面6rとなっている。その結果、応力集中し易い角部形状4eが解消され、かつ断面の急激な変化に起因する応力集中も発生しないので、従来のような応力集中に起因するき裂の発生が抑制される。したがって、航空機の機体などの疲労寿命の低下を抑制し、延命が可能となる。
【0026】
図4のように、皿形リベット穴6に凸曲面6rがついているため、図3の皿形リベット5も、皿形ヘッド部51と軸部53との間に、図1の凹角部33は存在せず、丸みを帯びた凹曲面5Rになっている。その結果、皿形ヘッド部51と軸部53との間の断面形状すなわち直径が連続的に変化するので、皿形リベット5自体も、従来の凹角部33による応力集中が緩和され、き裂の発生が抑制される。
【0027】
図2のように角部4eの有るリベット穴4は、図5のように、ドリル刃部71と軸部72との間に角張った凹角部73を有するドリル7を回転させて、切削加工される。これに対し、本発明の場合は、角張った凹角部73に代わって、図6のように、断面すなわち直径が連続的に変化するような凹曲面8Rになっており、しかも刃部81の領域に形成されている。したがって、このドリル8を回転させると、凹曲面8Rによって、図4のような凸曲面6rのついたリベット穴6が形成される。
なお、図6のドリル8と同様な凹曲面8Rを有する回転研磨器を使用すれば、図2のような皿形リベット穴4を加工した後に、その角部4eを研磨除去することで丸みを帯びた凸曲面6rに形成することができる。
【0028】
このようなリベット穴加工用の工具を使用しないで、図7のように、アルミニウムなどの金属板1にパンチ9を用いてパンチング加工することで、瞬時に、凸曲面6r付きの皿形リベット穴6を形成することもできる。この場合、パンチ9には、前記ドリル8における凹曲面8Rと同様な凹曲面9Rを有しているため、皿形リベット穴6における凸曲面6rも同時形成される。
なお、図2のような従来の角部4eつきのリベット穴4を形成した後に、図7のような凹曲面9Rつきのパンチ9を圧入すると、角部4eの部分だけが凹曲面9Rで加圧圧縮されて塑性変形し、凸曲面6rに変形される。その結果、機械的な衝撃塑性加工による疲労強度向上の効果も奏する。
【0029】
次に、図3のように丸みを帯びた凹曲面5Rを有する皿形リベット5の製造方法を説明する。図8は金型の断面図で、図4に示す皿形リベット穴6と同様な形状になっている。金型10に形成した軸穴11と皿形のヘッド穴12を形成してあり、両者の間に丸みを帯びた凸曲面12rを形成してある。したがって、この金型穴に円柱状のリベット材を挿入し、加圧することによって、図9のように、皿形ヘッド部51と軸部53との間に丸みを帯びた凹曲面5Rを外周に有する皿形リベット5が瞬時に容易に成型できる。
【0030】
この皿形リベット5を、図4のように凸曲面6rを内周に有するリベット穴6に打ち込んでリベット締結すると、リベット穴6に皿形リベット5を機械的に圧入して加締めることによって、互いに多少は衝撃塑性変形されることになるので、この際にも疲労強度が向上する。
しかしながら、リベット穴からのき裂発生を抑止する改善がなされても、限界以上の予期せぬ応力を受けたり、予想以上に金属疲労が進んだりして、き裂発生が避けられない場合もありうる。このように、万一き裂が発生したとしても、本発明によると、き裂破壊を遅らせる応急処置も可能である。
【0031】
いま、図10のように、隣接する皿形リベット穴6、6から、繰返し疲労によって自然とき裂14、15が発生したとすると、両者間の最短距離の経路をき裂14、15が延びてくる。そして、最終的に両き裂14、15がつながることで、破壊に到る。
本発明では、リベット穴6、6から万一き裂が発生した場合は、図11のように、応急的に、最短経路以外の迂回ルートを設定して、1以上のき裂迂回穴16、17をそれぞれの皿形リベット穴6、6寄りに開ける手法も開発した。その穴16、17の加工の結果、最短経路にき裂は進展せずに、き裂迂回穴16側に迂回してき裂20のように進展する。あるいは、右側のリベット穴6側のように、き裂迂回穴17で迂回き裂21の進展が中断する。
【0032】
このように、それぞれの皿形リベット穴6、6寄りにき裂迂回穴16、17を1個ずつ開けてもよいが、図12のように、き裂迂回穴を16・18と17・19のように、2個以上開けてあると、より効果な場合がある。図示のように、き裂迂回穴16・18と17・19は、最短経路に対し互いに反対側に配置すると、迂回き裂20、21はそれぞれ反対側に迂回して誘導されるので、互いに遭遇するまでの時間が格段と遅延される。
リベット穴からき裂が発生した後に応急的に加工するき裂迂回穴16・18、17・19の配置条件は、隣接するリベット穴6、6間において、それぞれのリベット穴6、6から、対向方向に向けて5〜45度の範囲に配設するのが効果的である。5度以下では、最短経路の自然発生き裂と迂回き裂が接近しすぎて、わざわざ迂回き裂を誘導する意味が少ない。45度を越えると、き裂の誘導が困難になり、自然発生き裂が依然として最短経路方向に進展してしまう恐れがある。
き裂迂回穴16・18、17・19のサイズは、リベット穴6、6と同程度かそれ以下の直径が適しているようである。
【0033】
このように、き裂迂回穴16・18と17・19を開けると、皿形リベット穴6、6を起点とする迂回き裂20、21は、最短ルートに進展しないで、リベット穴6→き裂迂回穴16→18→、またリベット穴6→き裂迂回穴17→19→のように、それぞれき裂迂回穴に誘導されて迂回方向に進展する。その結果、最短ルートで自然に進展するき裂に比べて、最終破壊に到るまでの時間を遅延させることができる。この場合、前記のき裂迂回穴16・18と17・19にピンなどの金属を圧入して詰めることで、塑性加工による疲労強度向上を図っておくと、き裂の進展をさらに遅らせることができる。
なお、このようにき裂を迂回させる手法は、凸曲面6r付きの皿形リベット穴に限らず、通常のリベット穴やボルト穴、ネジ穴などにも適用可能である。
【0034】
図13は金属の圧入例で、(1)は、金属板に開けた真円の穴H中に断面が楕円状の大径ピンPを打ち込んだ試料であり、真円穴Hは、楕円ピンPの長円側が当接する部位11、11を加圧して押し広げる方向の負荷が作用し、引っ張りの残留応力が生じると共に塑性加工される。その結果、加工硬化によって強度が向上し、疲労寿命が延命される。
また、真円穴H周縁は、楕円ピンPの短円側の領域12、12には、加圧力p・pによって引っ張り方向の負荷が作用するので、圧縮方向の残留応力が残り、この残留応力によって、楕円ピンPの長円方向の繰り返し荷重に対する疲労寿命が延命されるものと考えられる。
【0035】
ところが、前記楕円ピンPの長円部の円周方向の長さは極めて短いため、被加圧領域11・11も極めて狭く、その結果、短円側の引っ張り領域12・12に充分に引っ張り力が作用しない恐れがある。これに対し、図13(2)の円弧状楕円ピンPcは、楕円ピンPの長円部に代わって円弧になっているため、円弧部の全周にわたって、真円穴Hの内径の2〜5%増しというような大径になるので、円弧部の全周が被加圧部11・11と均一に圧接する。
その結果、被加圧部11・11の領域が広くなり、塑性変形する領域も広くなるので、結果的に、引っ張り領域12・12にも確実に引っ張り力が伝わり、広い領域に渡って確実に残留圧縮応力が発生する。
なお、楕円ピンPや円弧状楕円ピンPcに代えて、外径が真円穴Hの2〜5%増しの真円の大径ピンを圧入することも可能だが、強度アップの効果は小さい。圧入したピンは抜いてもよいし、小径のピンを挿入してから加締めることによって楕円ピン状や円弧状楕円ピン状、大径真円状に変形させてもよい。
【0036】
以上の実施形態では、皿形リベット穴を例示したが、他の各種形状の締結穴にも適用できることは言うまでもない。
また、皿形リベットに限らず、皿形のネジ類や他の種のリベット、ボルト、ネジなどの他の種の締結手段にも適用できる。皿形状以外の場合は、リベット、ボルト、ネジ等の頭部と軸部間の直角凹部と、当該直角凹部と対応する軸部挿入穴の直角凸部に本発明を適用することになる。
【0037】
さらに、複数の板材を重ねてリベットなどで締結する際の締結穴6に限らず、図14のように、ワッシャーWに凸曲面6rを形成することもできる。
図4のように被締結板1自体の締結穴6に凸曲面6rを加工形成するのは作業性が悪いが、ワッシャーWの穴の凸角部を凸曲面に加工するのは容易であり、また図7のように、パンチ9でパンチング加工すれば、凸曲面6r付きのワッシャーWを量産することも容易である。
一方、ワッシャーWの凸曲面6rとぴったり重なる形状の凹曲面5Rを有すリベット5のヘッド部形状は、皿形でなく丸形51cであり、このように各種のヘッド部形状を採用できる。
【0038】
リベット5に代えて、鎖線で示すようにボルトを用いる場合、ボルトの頭部Bと軸部53との間が、通常の90度の凹角部に代えて凹曲面5Rとなっているので、リベット5の凹曲面5Rと同じ原理で、ボルトの断面の急激な変化による応力集中を抑制して、ボルトの破損も抑制できると共に、締結時の相互の衝撃塑性加工による疲労強度向上も可能となる。
なお、本発明による作用効果は、試作品による実験の結果でも確認されている。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上のように、リベット、ボルト又はネジ類を含む締結手段を挿入する締結穴やワッシャーにおいて、角部がき裂発生の起点となるのを抑制すべく、凸曲面とすることによって角部を無くすと共に、皿形リベットなどの締結手段自体の凹角部を無くして、断面変形が連続的な凹曲面とすることによって、締結穴やワッシャーからき裂が発生するのを抑制し、金属疲労による不安定破壊の発生を抑止することが可能となり、締結手段自体の強度も向上する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】従来の航空機用の皿形リベットによる締結状態を示す縦断面図である。
【図2】皿形リベットを挿入し加締める前のリベット穴を示す縦断面図である。
【図3】本発明によるリベット締結構造を示す縦断面図である。
【図4】本発明による丸み皿形リベット穴を示す縦断面図である。
【図5】従来のリベット穴加工用のドリルを示す側面図である。
【図6】丸み皿形リベット穴を加工するための本発明による丸みドリルの側面図である。
【図7】丸み皿形リベット穴を加工するための本発明によるパンチを示す縦断面図である。
【図8】本発明によるリベット製造金型の縦断面図である。
【図9】図8のリベット製造金型で製造される皿形リベットの側面図と平面図である。
【図10】隣接する皿形リベット穴からき裂が発生し進展する挙動を示す平面図である。
【図11】隣接する皿形リベット穴間の最短ルート以外の迂回ルートにそれぞれ1個のき裂迂回穴を開けてある実施形態である。
【図12】隣接する皿形リベット穴間にき裂迂回穴を2個以上開けてある実施形態である。
【図13】き裂迂回穴に金属を圧入した例で、(1)は楕円ピンを打ち込んだ例、(2)は円弧状楕円ピンを打ち込んだ例である。
【図14】ワッシャーに凸曲面を形成した実施形態である。
【符号の説明】
【0041】
1・2 金属板
3 皿形リベット
31 皿形ヘッド部
32 加締め部
33 凹角部
4 皿形のリベット穴
41 円筒状穴
42 テーパ状の皿穴
4e 凸角部
5 凹曲面つきの皿形リベット
51 皿形ヘッド部
52 加締め部
53 軸部
5R 凹曲面
6 皿形リベット穴
61 軸穴
62 テーパ状の皿穴
6r 凸曲面
7 従来のドリル
73 凹角部
8 本発明のドリル
8R 凹曲面
9 パンチ
9R 凹曲面
10 金型
11 軸穴
12 皿状ヘッド穴
12r 凸曲面
14・15 最短経路の自然き裂
16・18、17・19 き裂迂回穴
20・21 迂回き裂
P 楕円状の大径ピン
Pc 円弧状楕円ピン
H 真円穴
W ワッシャー
B ボルト頭部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リベット、ボルト又はネジ類を含む締結手段を挿入する締結穴又はワッシャーにおいて、角部がき裂発生の起点となるのを抑制すべく、角部を全内周に渡って凸曲面とすることによって、角部を無くすことを特徴とする締結穴又はワッシャーのき裂抑制方法。
【請求項2】
締結穴から万一き裂が発生した場合、き裂の発生した締結穴と隣接する締結穴同士の間の最短経路以外の迂回ルートに1以上のき裂迂回穴を各締結穴ごとに最短経路に対し反対側に開けることによって、き裂を迂回穴側に誘導することを特徴とする請求項1記載の締結穴き裂の応急処置法。
【請求項3】
前記のき裂迂回穴に金属体を圧入することを特徴とする請求項2に記載の締結穴き裂の応急処置法。
【請求項4】
リベット、ボルト又はネジ類を含む締結手段を挿入する締結穴又はワッシャー穴において、角部がき裂発生の起点となるのを抑制すべく、角部を全周に渡って凸曲面とすることによって、角部を無くしてあることを特徴とする締結穴又はワッシャー穴。
【請求項5】
リベット、ボルト又はネジ類を含む締結手段を挿入する締結穴又はワッシャー穴の全周に渡って凸曲面を形成する方法であって、前記締結手段のヘッド部と軸部との間に形成した凹曲面と同等の形状を有するパンチを用いて締結穴又はワッシャー穴をパンチング形成することを特徴とする締結穴又はワッシャー穴の形成方法。
【請求項6】
リベット、ボルト又はネジ類を含む締結手段を挿入する締結穴又はワッシャーの全周に渡って凸曲面を形成するドリル又は回転研磨器であって、前記凸曲面と対応する領域が、全周に渡って凹曲面になっていることを特徴とする締結穴又はワッシャー穴形成器。
【請求項7】
角部を無くして、凸曲面としてなる締結穴又はワッシャー穴に挿入して締結するリベット、ボルト又はネジ類を含む締結手段において、
前記締結穴又はワッシャー穴の凸曲面の部分と対応する部位を、締結穴又はワッシャー穴の凸曲面と同等の曲率の凹曲面としてなることを特徴とする締結手段。
【請求項8】
角部を無くして、凸曲面としてなる締結穴又はワッシャー穴に挿入して締結するリベット、ボルト又はネジ類を含む締結手段を製造する際に、
前記のように凸曲面にしてなる締結穴又はワッシャー穴と同様な形状の金型を形成し、該金型の成型穴中に金属体を圧入して塑性成型することを特徴とする締結手段の製造方法。
【請求項1】
リベット、ボルト又はネジ類を含む締結手段を挿入する締結穴又はワッシャーにおいて、角部がき裂発生の起点となるのを抑制すべく、角部を全内周に渡って凸曲面とすることによって、角部を無くすことを特徴とする締結穴又はワッシャーのき裂抑制方法。
【請求項2】
締結穴から万一き裂が発生した場合、き裂の発生した締結穴と隣接する締結穴同士の間の最短経路以外の迂回ルートに1以上のき裂迂回穴を各締結穴ごとに最短経路に対し反対側に開けることによって、き裂を迂回穴側に誘導することを特徴とする請求項1記載の締結穴き裂の応急処置法。
【請求項3】
前記のき裂迂回穴に金属体を圧入することを特徴とする請求項2に記載の締結穴き裂の応急処置法。
【請求項4】
リベット、ボルト又はネジ類を含む締結手段を挿入する締結穴又はワッシャー穴において、角部がき裂発生の起点となるのを抑制すべく、角部を全周に渡って凸曲面とすることによって、角部を無くしてあることを特徴とする締結穴又はワッシャー穴。
【請求項5】
リベット、ボルト又はネジ類を含む締結手段を挿入する締結穴又はワッシャー穴の全周に渡って凸曲面を形成する方法であって、前記締結手段のヘッド部と軸部との間に形成した凹曲面と同等の形状を有するパンチを用いて締結穴又はワッシャー穴をパンチング形成することを特徴とする締結穴又はワッシャー穴の形成方法。
【請求項6】
リベット、ボルト又はネジ類を含む締結手段を挿入する締結穴又はワッシャーの全周に渡って凸曲面を形成するドリル又は回転研磨器であって、前記凸曲面と対応する領域が、全周に渡って凹曲面になっていることを特徴とする締結穴又はワッシャー穴形成器。
【請求項7】
角部を無くして、凸曲面としてなる締結穴又はワッシャー穴に挿入して締結するリベット、ボルト又はネジ類を含む締結手段において、
前記締結穴又はワッシャー穴の凸曲面の部分と対応する部位を、締結穴又はワッシャー穴の凸曲面と同等の曲率の凹曲面としてなることを特徴とする締結手段。
【請求項8】
角部を無くして、凸曲面としてなる締結穴又はワッシャー穴に挿入して締結するリベット、ボルト又はネジ類を含む締結手段を製造する際に、
前記のように凸曲面にしてなる締結穴又はワッシャー穴と同様な形状の金型を形成し、該金型の成型穴中に金属体を圧入して塑性成型することを特徴とする締結手段の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−115314(P2009−115314A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−268026(P2008−268026)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(504145308)国立大学法人 琉球大学 (100)
【出願人】(507343833)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(504145308)国立大学法人 琉球大学 (100)
【出願人】(507343833)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]