説明

リリーフ機能付き低圧流体減圧弁

【課題】 操作力の増減に応じて2次側圧力を増減できるリリーフ機能付き低圧流体減圧弁を提供する。
【解決手段】 第1の弾性シール材(ベローズ14)と第2の弾性シール材(ベローズ21)と、第1のポペット10と挿通孔9の縁部間に形成された減圧絞り部13と、該減圧絞り部13と出力側弁室7を連通する減圧通路12と、第2のポペット17が当接する前記第1のポペット10端部と前記第2のポペット17端部間に形成されたリリーフ絞り部18と、第1のポペット10を貫通してリリーフ絞り部18と第1の封止スペース15を連通させるリリーフ通路19とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道水等の低圧流体を使用したリリーフ機能付き減圧弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の水道用減圧弁は、2次側の設定圧力をバネの圧縮力で設定する半固定のものであり、リリーフ機能は有していない(例えば特許文献1参照)。また、外部漏れや内部漏れ防止のパッキンやシールによる摩擦力が大きく、摩擦力はそのまま不感帯として存在することになってしまう。不感帯は制御結果の安定上必要な要素ではあるが、大きすぎれば制御できない領域が広がる結果となり、全体の制御領域に対してその比率は安定な範囲で小さく計画することが望ましい。したがって、従来の水道用減圧弁では摩擦力の影響を軽減するために、2次圧力を受けるピストンやダイヤフラムの面積を比較的大きくとっており、設定のためのバネ圧縮力は比較的大きくする必要がある。このため、2次側圧力を制御する場合に、バネの力に対抗して大きな操作力が必要になる。
【0003】
また、従来の減圧弁は、リリーフ機能を有していないため、一旦上がった2次側圧力を下げる方向に制御することはできない。すなわち、操作力を小さくして設定圧力を下げても2次側圧力が下がることはなく、高い圧力のままである。
【0004】
また、従来より油圧用リリーフ機能付き減圧弁は存在するが、それらはスプール形式の弁であり、油のように粘度が大きく内部漏れの起こりにくい流体には適しているが、水のように粘度が小さく内部漏れの起こりやすい流体には適さない。また、油圧用減圧弁は、使用する圧力領域が高圧であり、これを単に水道水のような低圧レベルの流体の減圧制御に適用することはできない。
【0005】
【特許文献1】特開2002−023856号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記従来技術を考慮したものであって、水道水のような低圧流体を適用対象とし、例えば指で押す程度の小さな操作力で減圧制御が可能になるとともに、リリーフ機能を備えることにより、操作力を弱めたときに2次側圧力を逃がして常に操作力に応じた2次側圧力を発生させ、操作力の増減に応じて2次側圧力を増減できるリリーフ機能付き低圧流体減圧弁の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、入力側弁室と出力側弁室を有する弁本体と、前記入力側弁室及び出力側弁室間を仕切る隔壁と、該隔壁に設けた挿通孔を通して摺動する第1のポペットと、一方の端部が前記出力側弁室内で前記第1のポペットの端部に当接するとともに他方の端部が前記弁本体を通して外部に突出する第2のポペットと、前記第1のポペットを前記出力側弁室方向に付勢する弾性を備えるとともに前記入力側弁室内で該第1のポペットの端部と前記弁本体間に前記入力側弁室から水密的に封止された第1の封止スペースを形成する第1の弾性シール材と、前記第2のポペットが前記第1のポペットを押圧したときに該第2のポペットを戻す方向に付勢する弾性を備えるとともに前記出力側弁室外で前記第2のポペットの突出部と前記弁本体間に該突出部を前記出力側弁室から水密的に封止する第2の封止スペースを形成する第2の弾性シール材と、前記第1のポペットと前記挿通孔の縁部間に形成された減圧絞り部と、該減圧絞り部と前記出力側弁室を連通する減圧通路と、前記第2のポペットが当接する前記第1のポペット端部と前記第2のポペット端部間に形成されたリリーフ絞り部と、前記第1のポペットを貫通して前記リリーフ絞り部と前記第1の封止スペースを連通させるリリーフ通路とを備えたことを特徴とするリリーフ機能付き低圧流体減圧弁を提供する。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記第1及び第2の弾性シール材はベローズからなることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記入力側弁室に水道水の圧力を導入することを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項2又は3の発明において、前記第1のベローズの径は、前記リリーフ絞り部での前記第1のポペット端部の径と等しく、前記第1のベローズと第2のベローズの受圧面積の差に応じた操作力で前記第2のポペットを押圧することにより入力圧力を減圧することを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項2〜4のいずれかの発明において、前記第2のベローズの径は前記第1のベローズの径より大きいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、入力側(1次側)弁室と出力側(2次側)弁室間の隔壁の挿通孔を摺動する第1のポペットと、その第1のポペット背面側のテーパ部と前記隔壁の挿通孔周縁との間に減圧絞り部が形成され、この減圧絞り部により減圧作用が得られ、さらに第1及び第2のポペット端部同士が当接する部分にリリーフ絞り部が形成され、このリリーフ絞り部により出力側弁室内の圧力が高くなったときに第2のポペットを第1のポペットから離間させてリリーフ作用が得られ、簡単な構造で減圧弁とリリーフ弁を組合せることができる。リリーフ後に、第2のポペットを押し込めば再び第1のポペットが押圧されて減圧絞り部での減圧作用が得られるため、第2のポペットの押圧操作によりリリーフ機能と併せて常に必要な減圧された出力圧力が得られる。
【0013】
また、第1及び第2の弾性シール材により、両方のポペットを反対方向から封止して両弁室から水密的に封止されたスペースを形成することにより、弁本体から外部への流体の漏れがなくなるとともに、ポペットの摺動部のシールや弁本体の内部漏れ防止用のパッキンが不要となって摺動摩擦抵抗がなくなり軽い力でポペットを操作することができる。この場合、各弾性シール材と弁本体やポペットとの結合部の面積は、それぞれの弾性シール材について伸縮方向に沿って一定(受圧面積が一定)であることが製造上及び制御性の点で好ましい。なお、弾性シール材としては、例えばベローズあるいはダイヤフラムシリンダなどを用いることができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、弾性シール材としてベローズを用いることにより、簡単な構造でバネ性(弾性)及びシール性を兼ね且つ受圧面積が一定のシール材が形成できる。またベローズ自体のバネ性を利用することにより、ポペットを定常的に柔軟に押えておく専用のバネが不要になり、構造が簡素化する。
【0015】
請求項3の発明によれば、家庭用の水道水を利用することにより、簡単に低圧流体の圧力源が得られ、この水道圧を軽い力で容易に減圧制御操作して必要な圧力を出力させることができる。このような圧力を各種動作するアクチュエータに接続すれば、電気を使用しないアクチュエータが家庭で容易に実現でき、例えば浴室などの電気の使用に適さない場所で指圧器その他の機器を動作させることができる。
【0016】
請求項4の発明によれば、入力側弁室内の第1のベローズの径を出力側弁室内に突出する第1のポペットの径と同じにすることにより、出力側弁室内の第2のポペットに対する押圧操作力と両ベローズの受圧面積の差に応じた出力圧力を容易に確実に得ることができる。
【0017】
請求項5の発明によれば、弁本体の外側に突出する第2のベローズの受圧面積が大きくなるため、この第2のベローズに連結された第2のポペットを弁本体から引き出す方向に力が作用する。したがって、この力に抗して第2のポペット側から押圧操作力を付与して両方の力がバランスした状態で押圧操作力に応じた出力圧力が得られる。この場合、両ベローズの径の差が小さい程弱い力で受圧面積の差に応じた操作をすることができ、微妙な圧力制御が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、本発明実施例の基本構成図である。
弁本体1は、上カバー2及び下カバー3を有する。弁本体1の内部に、入力ポート4が開口する入力側弁室5及び出力ポート6が開口する出力側弁室7が隔壁8を介して形成される。隔壁8の中央部に挿通孔9が形成される。挿通孔9を通して第1のポペット10が装着される。第1のポペット10は、円錐状のテーパ部10aとその上部の円柱部10bとにより構成される。第1のポペット10の円柱部10bが、挿通孔9内を摺動する。円柱部10bの周囲にリング状の円環状通路11が形成される。円環状通路11は、減圧通路12を介して出力側弁室7と連通する。なお、円環状通路11に代えて、隔壁8の上下方向厚さを越える長さの複数本の縦方向の溝を円柱部10bの周囲に形成し、これらの溝により出力側弁室7に連通する減圧通路を構成してもよい。
【0019】
第1のポペット10のテーパ部10aは、隔壁8の挿通孔9の下端部周縁に当接又は近接して減圧絞り部13を形成する。絞り部13は、円環状通路11及び減圧通路12を介して出力側弁室7に連通する。この挿通孔9の下端部周縁には、ポペット側のテーパ部10aに対応する角度のテーパ面が形成される。
【0020】
入力側弁室5内の第1のポペット10の下部に第1のベローズ14が設けられる。第1のベローズ14は、第1のポペット10の下側に入力側弁室5から水密的に封止された第1の封止スペース15を形成する。第1の封止スペース15は、下カバー3に形成したドレンポート16に連通する。
【0021】
第1のポペット10の上部に第2のポペット17が連続して設けられる。第2のポペット17は、円柱部17aの下端部に円錐状のテーパ凹部17bを備えたものである。テーパ凹部17bは、第1のポペット10の上端部周縁に当接して両者間にリリーフ絞り部18を形成する。リリーフ絞り部18は、第1のポペット10の円柱部10bを縦に貫通するリリーフ通路19を介して第1の封止スペース15及びドレンポート16と連通する。第1のポペット10の上端部周縁には、第2のポペット17のテーパ部17bに対応する角度のテーパ面が形成される。
【0022】
第2のポペット17は、上カバー2を貫通する貫通孔20を通して外部に突出する。この突出した部分を覆って第2のベローズ21が設けられる。第2のベローズ21はその内部側に、第2のポペット17の突出部を外部から水密的に封止する第2の封止スペース23を形成する。第2のベローズ21の上端部にベローズ内部を水密的に封止する押圧板22が設けられる。この押圧板22の内面側に第2のポペット17の端部が固定される。上カバー2に、連通孔24が設けられ、出力側弁室7とベローズ内部の第2の封止スペース23とを連通する。
【0023】
第1のベローズ14は、第1のポペット10を常に上方に付勢する弾性を有する。第2のベローズ21は、最初は弾性が作用しない初期状態より上方に引き伸ばされた状態でセットされる。したがって、最初は第2のベローズ21を下方に付勢する。押圧板22が押圧されると第2のベローズ21が縮んで弾性が初期状態に戻り、さらに押圧されると、押圧力に対抗して上向きの弾性力が発生する。
【0024】
上記減圧弁の減圧制御動作について説明する。
まず、入力ポート4から低圧の水道水を入力側弁室5に導入する。このとき、本実施例の構成では、減圧絞り部13において、第1のポペット10のテーパ部10aの上面に当接する隔壁8の挿通孔9の径と、テーパ部10aの下面に結合された第1のベローズ14の径が等しい。したがって、第1のベローズ14に対しては、水道水の圧力による力は作用せず、第1のポペット10はベローズのバネ力によって上方に押し上げられる。これにより、減圧絞り部13が閉じられるとともに、第1のポペット10の円柱部10b端部が第2のポペット17を押し上げる。したがって、円柱部10b端部のリリーフ絞り部18は閉じる。このように、第2のポペット17が最大限上方に突出した初期状態では、第2のベローズ21は中立状態(バネ力が作用しない状態)より僅かに引き延ばされた状態であり、バネ力は引っ張り方向(ポペット17を下げる方向)に作用する。
【0025】
ここで、押圧板22を介して指(矢印Fの力)で第2のポペット17とともに第1のポペット10を押し下げる。これにより、減圧絞り部13が開く。この場合、指の力Fに応じて減圧絞り部13の開き量が変わる。これにより、水道水の入力圧力が減圧絞り部13の開き度合いに応じて減圧され、この減圧された圧力が減圧通路12を介して出力側弁室7に導入される。さらに、この減圧された圧力が、出力ポート6を通して、図示しないアクチュエータに導入され圧力に応じて各種動作を行う。
【0026】
ここでリリーフ機能について説明する。
アクチュエータ側の負荷が大きくなって圧力が高まると、この高い圧力が出力ポート6を介して逆に出力側弁室7内に導入される。出力側弁室7は連通孔24を介して第2のベローズ21内の封止スペース23と連通するため、この第2の封止スペース23内の圧力が高まる。これにより、第2のポペット17が押し上げられるとともに、これに追随して第1のポペット10が第1のベローズ14のバネ力により上昇して減圧絞り部13を閉じる。さらに第2のポペット17が上昇すると、第1のポペット10が上限位置で停止しているため、リリーフ絞り部18が開く。これにより、出力側弁室7内の高圧流体の一部が第2のポペット17底部のテーパ凹部17b内に流入するとともにリリーフ通路19及び第1の封止スペース15を介してドレンポート16から外部に放出される。高圧流体が逃がされると、出力側弁室7内の圧力が低下し、第2のポペット17が下降して再び第1のポペット10の上端部に当接してリリーフ絞り部18を閉じる。これにより初期状態に戻る。この後、再び指で押し下げれば、前述の減圧動作により所望の減圧された圧力が得られる。
【0027】
なお、リリーフ動作中に、ある程度圧力が下がった時点で、初期状態に戻る前に、指で押圧板22を押し下げてリリーフ絞り部18を閉じるとともに減圧絞り部13から適当な圧力を出力側弁室7に導入することもできる。
【0028】
図2は、本発明実施例における指の力Fと出力圧力の関係を示すグラフである。
前述のように、弁本体1の上下から減圧用ポペット(第1のポペット10)とリリーフ用ポペット(第2のポペット17)が挿入されている。両ポペット10,17は、それぞれ第1、第2のベローズ14,21を介して弁本体1の上下のカバー2,3と結合されている。弁本体1と減圧用ポペットにより減圧絞り部13が構成され、減圧用ポペットの上端とリリーフ用ポペットによりリリーフ絞り部18が構成されている。下部ベローズ(第1のベローズ)の口径ならびに減圧絞り部13及びリリーフ絞り部18の口径は同一であり、上部ベローズ(第2のベローズ)の口径はそれより大きい。
【0029】
減圧絞り部13及びリリーフ絞り部18がちょうど閉じた状態で上下のベローズが自由長(中立位置)になっている場合、上部ベローズと下部ベローズの受圧面積の差をδAとすると、指で押す力(外力)Fと出力圧力Pcの関係は
Pc=F/δA (1)
で表される。
【0030】
これは、Pcがこの圧力に達したとき、下向きの力Fと上向きの力Pc・δAがつりあって減圧絞り部13が閉じるためであり、さらにPcが上がろうとすると、今度はリリーフ絞り部18が開いて水をドレンポート16に逃がし、その上昇を止めるためである。
【0031】
実際には、減圧絞り部13及びリリーフ絞り部18がちょうど閉じた状態で、上下のベローズは自由長ではなく、上部ベローズは初期伸張、下部ベローズは初期圧縮がかかっている。これは弁の作動安定性を保つと同時に、内部漏れを防止するためである。上部ベローズの初期伸張力をF0、下部ベローズの初期圧縮力をその2倍の2F0とすると、出力圧力Pcの範囲は
(F−F0)/δA≦Pc≦(F+F0)/δA (2)
で表される。
【0032】
図2はこの式(2)を示したもので、出力圧力Pcは、図の2本の直線の間に入ることになり、入力Fに対して不感帯2F0(式(1)に対して±F0の幅)を有することになる。この不感帯は制御の安定上必要なものであり、全体の制御領域に対してその比率は安定を損なわない範囲で小さく計画することが望ましい。もし不感帯がなければ、この弁は常に減圧絞り部13からの流入あるいはリリーフ絞り部からの流出のいずれかの状態を取らねばならず、振動を繰り返して無駄な流量を発生させる。また不感帯が大きすぎれば制御しない領域が広がることになる。本弁では摩擦力が非常に小さいと見なすことができるので、この不感帯は上下のベローズのバネ力等の第1と第2のポペットを押す弾性力に応じて定まることになり、予め制御範囲に対して、適当な大きさに設定することが可能である。
【0033】
図3は、本発明の好ましい実施例の構成図である。
この例では、前述の図1の例に比べ、第1のベローズ14の径を大きくし、第2のベローズ21の径を、第1のベローズ14の径より大きい範囲でなるべく小さくして、両ベローズ14,21の受圧面積の差δAを極力小さくしている。これにより、前述の式(1)から分るように、より小さな指の力FでδAとバランスさせることができ、小さな力で微小な圧力制御が可能になる。
【0034】
また、構成上このように第2のベローズ21の径を小さくしたため、第2のポペット17の円柱部17bを小さくしている。また、第1のベローズ14の径を大きくしたため、これと同径の第1のポペット10の円柱部10bに当接する第2のポペット17のテーパ凹部17bの外径が大きくなる。
【0035】
第1のポペット10の円柱部10bの外周面に1本あるいは複数本の縦の溝25が形成され、この溝25を介して、絞り部13と出力側弁室7が連通する。したがって、この実施例では、溝25が請求項でいう減圧通路を構成する。
【0036】
第2のポペット17の円柱部17aの外周面に1本あるいは複数本の縦の溝26が形成される。この溝26により、出力側弁室7と第2のベローズ21内の封止スペース23が連通する。
【0037】
下カバー3の側面にドレンポート16が開口する。下カバー3の装着部に第1のベローズ14の初期圧縮量調整用のパッド28が設けられる。また、押圧板22と第2のポペット17の円柱部17aの端部間に、第2のベローズ21の初期伸張量調整用のパッド29が設けられる。上下カバー2,3の装着部に弁内の流体が外部に漏れないようにするためのOリング27が設けられる。その他の構成及び作用効果は前述の図1の実施例と同様である。
【0038】
言い換えて説明すると、弁本体1は上カバー2、下カバー3で上下から覆われている。下カバー3には減圧用ポペット(第1のポペット10)が下部ベローズ(第1のベローズ14)を介して接続されている。上カバー2にはリリーフ用ポペット(第2のポペット17)が上部ベローズ(第2のベローズ21)を介して接続されている。弁本体1の中央に設けられたスリーブ穴(挿通孔9)の下部周縁のシート面(テーパ面)と減圧用ポペットとによって減圧絞り部13が構成されている。また、減圧用ポペットの上端とリリーフ用ポペットの下端によってリリーフ絞り部18が構成されている。入力ポート4から入力側弁室5に流入した水は、この弁室5から減圧絞り部13を通って出力側弁室7に流入し、さらに出力ポート6から流出する。出力圧力による上向きの力が、外力(指などの力)に等しくなったところで減圧絞り部13は閉じる。
【0039】
出力圧力がそれより上昇しようとすると、リリーフ絞り部18が開いて出力側弁室7の水をドレンポート16に逃がすため、その上昇は止まる。その結果、押圧板22を押す指などの外力に比例して出力圧力が制御されることになる。その際、摺動部(第1及び第2のポペットが弁本体1側に対して摺動する部分)にパッキンが存在しないのでその摩擦力も存在せず、微妙な圧力制御を行うことができる。また、上部ベローズの初期伸張量及び下部ベローズの初期圧縮量の調整のための調整パッド28,29を用い、さらに上下カバーからの外部漏れ防止のためのOリング27を用いている。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、電気を使わずに水道水などの一般家庭で簡易に利用可能な低圧流体を用いた指圧器などの各種機器の駆動源として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明実施例の基本構成図。
【図2】本発明実施例における指の力Fと出力圧力の関係を示すグラフ。
【図3】本発明の好ましい実施例の構成図。
【符号の説明】
【0042】
1:弁本体、2:上カバー、3:下カバー、4:入力ポート、5:入力側弁室、6:出力ポート、7:出力側弁室、8:隔壁、9:挿通孔、10:第1のポペット、10a:テーパ部、10b:円柱部、11:円環状通路、12:減圧通路、13:減圧絞り部、14:第1のベローズ、15:第1の封止スペース、16:ドレンポート、17:第2のポペット、17a:円柱部、17b:テーパ凹部、18:リリーフ絞り部、19:リリーフ通路、20:貫通孔、21:第2のベローズ、22:押圧板、23:第2の封止スペース、24:連通孔、25:溝、26:溝、27:Oリング、28:パッド、29:パッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力側弁室と出力側弁室を有する弁本体と、
前記入力側弁室及び出力側弁室間を仕切る隔壁と、
該隔壁に設けた挿通孔を通して摺動する第1のポペットと、
一方の端部が前記出力側弁室内で前記第1のポペットの端部に当接するとともに他方の端部が前記弁本体を通して外部に突出する第2のポペットと、
前記第1のポペットを前記出力側弁室方向に付勢する弾性を備えるとともに前記入力側弁室内で該第1のポペットの端部と前記弁本体間に前記入力側弁室から水密的に封止された第1の封止スペースを形成する第1の弾性シール材と、
前記第2のポペットが前記第1のポペットを押圧したときに該第2のポペットを戻す方向に付勢する弾性を備えるとともに前記出力側弁室外で前記第2のポペットの突出部と前記弁本体間に該突出部を前記出力側弁室から水密的に封止する第2の封止スペースを形成する第2の弾性シール材と、
前記第1のポペットと前記挿通孔の縁部間に形成された減圧絞り部と、
該減圧絞り部と前記出力側弁室を連通する減圧通路と、
前記第2のポペットが当接する前記第1のポペット端部と前記第2のポペット端部間に形成されたリリーフ絞り部と、
前記第1のポペットを貫通して前記リリーフ絞り部と前記第1の封止スペースを連通させるリリーフ通路とを備えたことを特徴とするリリーフ機能付き低圧流体減圧弁。
【請求項2】
前記第1及び第2の弾性シール材はベローズからなることを特徴とする請求項1に記載のリリーフ機能付き低圧流体減圧弁。
【請求項3】
前記入力側弁室に水道水の圧力を導入することを特徴とする請求項1又は2に記載のリリーフ機能付き低圧流体減圧弁。
【請求項4】
前記第1のベローズの径は、前記リリーフ絞り部での前記第1のポペット端部の径と等しく、前記第1のベローズと第2のベローズの受圧面積の差に応じた操作力で前記第2のポペットを押圧することにより入力圧力を減圧することを特徴とする請求項2又は3に記載のリリーフ機能付き低圧流体減圧弁。
【請求項5】
前記第2のベローズの径は前記第1のベローズの径より大きいことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のリリーフ機能付き低圧流体減圧弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−156895(P2007−156895A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−352307(P2005−352307)
【出願日】平成17年12月6日(2005.12.6)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2005年(平成17年)6月9日 社団法人日本機械学会発行の「ロボティクス・メカトロニクス講演会2005 講演論文集」に発表
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】