説明

リングダイおよびリングダイ成形機

【課題】リングダイの内周面と円筒体の端面に硬度差を設けることで、内周面の耐摩耗性を高くしつつ、端面におけるタップ周囲を割れにくくしたリングダイおよびこのリングダイを用いたリングダイ成形機を提供する。
【解決手段】円筒体の周壁2に多数設けた貫通孔3と、前記円筒体の少なくとも一方の端面である取付部4に、リングダイ成形機の回転部材に取り付けるために設けたタップ5と、を備えたリングダイ1において、取付部4のタップ5周囲の硬度が周壁2の内周面6における貫通孔3周囲の硬度よりも低く、かつ、当該周壁2および取付部4が低合金鋼からなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物処理用のリングダイ成形機に用いるリングダイおよびこのリングダイを用いたリングダイ成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、廃プラスチックや古紙等を押し出し成形するリングダイ成形機は、投入口よりリングダイ内に投入された処理物を、リングダイの内周面に接してリングダイと共に追従回転する一対のローラにて、リングダイの円周状の穴から押し出し成形する。そして、その成形物をカッターで切断してペレット状の製品とし、下方に落下させることで、次工程に送るようになっている。
ここで、リングダイ成形機の部品として用いるリングダイは、材料を円筒状に加工して、穴あけを行った後、熱処理を行い、その後、仕上げ加工を施すことにより製造するのが一般的である。そして、穴あけを行う工程で、リングダイ内に投入された処理物を押し出すために、リングダイの周壁に多数の貫通孔を設けている。
また、リングダイ成形機に用いるリングダイの素材としては、全体が高硬度のステンレス鋼が用いられている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−293353号公報(段落[0002][0013])
【特許文献2】特開2004−9024号公報(段落[0009])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のリングダイ成形機に用いるリングダイおよびこのリングダイを用いたリングダイ成形機においては、以下に示すような問題があった。
リングダイの内周面の貫通孔周囲は、リングダイ内に投入された処理物との摩擦によって摩耗するため、高硬度であることが必要である。しかし、従来のリングダイでは、内周面と円筒体の端面の硬度がほとんど同等であり、内周面の硬度を上げると、端面の硬度も上がってしまうため、この端面に設けられた取付ボトル用のタップが、割れの起点となりやすいという問題があった。
また、リングダイには多数の穴をあけるため、難削材であるステンレス系等の材料を用いると、穴をあける際に生じる削りかすがドリルへ溶着する等により、ドリルの寿命を非常に短くするという問題があり、材料費、製造費が高くなるため、経済性に劣るという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、内周面における貫通孔周囲の耐摩耗性を高くしつつ、円筒体の端面におけるタップ周囲を割れにくくしたリングダイおよびこのリングダイを用いたリングダイ成形機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための手段として、請求項1に係るリングダイは、円筒体の周壁に多数設けた貫通孔と、前記円筒体の少なくとも一方の端面である取付部に、リングダイ成形機の回転部材に取り付けるために設けたタップと、を備えたリングダイにおいて、前記取付部のタップ周囲の硬度が前記周壁の内周面における貫通孔周囲の硬度よりも低く、かつ、当該周壁および取付部が低合金鋼からなることを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、内周面における貫通孔周囲の硬度を高くすることにより、リングダイの内周面における貫通孔周囲の耐摩耗性を高くしつつ、取付部のタップ周囲の硬度を低くすることにより、円筒体の端面におけるタップ周囲を割れにくくすることができる。
【0008】
請求項2に係るリングダイは、前記タップの開口から前記取付部の縁までの最小長さである前記取付部の最小肉厚が、隣り合う2つの貫通孔間の最小長さである前記円筒体の周壁の最小肉厚よりも大きいことを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、低合金鋼からなるリングダイの製造工程における焼入れの際に、取付部の壁が周壁に形成される隣接する2つの貫通孔間の壁よりも冷えにくく、貫通孔間の壁よりも硬度が低くなるため、取付部のタップ周囲と周壁の内周面における貫通孔周囲に硬度差をつけることができる。
【0010】
請求項3に係るリングダイは、前記取付部のタップ周囲と前記周壁の内周面における貫通孔周囲の硬度差が、ショア硬度で8Hs〜25Hsの範囲であることを特徴とする。
【0011】
このような構成によれば、内周面における貫通孔周囲と取付部のタップ周囲の硬度に十分な差異があるため、リングダイの内周面における貫通孔周囲の耐摩耗性を高くしつつ、円筒体の端面におけるタップ周囲を割れにくくすることができる。
【0012】
請求項4に係るリングダイは、前記周壁の内周面における貫通孔周囲の硬度が、ショア硬度で65Hs〜78Hsの範囲であることを特徴とする。
【0013】
このような構成によれば、内周面における貫通孔周囲の硬度が十分に高いため、内周面における貫通孔周囲の耐摩耗性を高く維持できる。
【0014】
請求項5に係るリングダイ成形機は、前記のリングダイがモータの駆動力が伝送されて回転する回転部材に片持支持で固定され、前記リングダイに追従回転する一対または複数のローラによってリングダイ内に投入された処理物を前記貫通孔から押し出し成形することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、取付部のタップ周囲の硬度が周壁の内周面における貫通孔周囲の硬度よりも低いため、リングダイの内周面における貫通孔周囲の耐摩耗性が高く、かつ、円筒体の端面におけるタップ周囲が割れにくいリングダイを提供することができる。
また、周壁および取付部が低合金鋼からなるため、経済性、加工性に優れたリングダイを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、図面を参照して本発明に係るリングダイおよびリングダイ成形機について詳細に説明する。なお、参照する図面において、図1は、リングダイを示す正面図、図2は、図1におけるA−A´断面を示す断面図、図3は、リングダイの貫通孔の配置を示す周壁の拡大図であり、(a)は、リジッド・パターンを示す図、(b)は、パトレス・パターンを示す図、(c)は、イクイラテラル・パターンを示す図である。図4は、本発明に係るリングダイ成形機の概略縦断側面図、図5は、リングダイ成形機の概略横断平面図である。
【0017】
図1および図2に示すように、リングダイ1は、円筒体に形成され、その周壁2には、リングダイ成形機に投入された処理物を押し出すための多数の貫通孔3が形成されている。
この貫通孔3は、円筒体の周壁2の全体に形成されている。
取付部4は、リングダイ成形機の回転部材である回転中空軸12(図5参照)に取り付けるためのタップ5を有しており、円筒体の端面に形成されている。
【0018】
ここで、タップ5を有する取付部4は、円筒体の一方の端面だけではなく、両端面に形成されていてもよい。リングダイ1は、その端面を左右としたときに、左右対称となるように形成し、かつ、取付部4を円筒体の両端面に形成することにより、リングダイ1の左右を反転して回転中空軸12(図5参照)に取り付けることができる。そのため、取付部4の摩耗を、一方の端面と他方の端面とで平均化することができ、リングダイ1の寿命を延ばすことができる。
【0019】
リングダイの周壁2および取付部4は、低合金鋼により形成されている。
低合金鋼としては、クロムモリブテン鋼、ニッケルクロムモリブテン鋼またはこれらと同等の焼入性を有した材料を用いることができ、例えば、JIS規格のSCM415、SCM440、SCM445、SNCM220、SNCM240、SNCM439、その他の規格としては、SAE4115、SAE4140、SAE8620、SAE8640等を用いることができるがこれらに限定されるものではない。
低合金鋼を用いることにより、材料費を低く、また、穴あけや切削等の加工を容易に行うことができるため、加工性および経済性を向上させることができる。
【0020】
ここで、取付部4のタップ5周囲の硬度は、周壁2の内周面6における貫通孔3周囲の硬度よりも低く形成されている。
取付部4のタップ5周囲とは、図中Xの部分であり、取付部4のタップ5周辺の硬度が測定できる部分である。
内周面6における貫通孔3周囲とは、図中Yの部分であり、貫通孔3の間隔が小さければ、実質的には、周壁2の内周面6全体となる。
取付部4のタップ5周囲と周壁2の内周面6における貫通孔3周囲の硬度差としては、ショア硬度で8Hs〜25Hsの範囲であることが好ましい。
【0021】
硬度差をこの範囲にすることにより、リングダイの内周面6における貫通孔3周囲の耐摩耗性を高くしつつ、円筒体の端面におけるタップ5周囲を割れにくくすることができる。
【0022】
また、周壁2の内周面6における貫通孔3周囲の硬度が、ショア硬度で65Hs〜78Hsの範囲であることが好ましい。
【0023】
ショア硬度をこの範囲にすることにより、内周面6における貫通孔3周囲の耐摩耗性を向上させることができる。
【0024】
また、図2に示すように、タップ5を有する取付部4は、取付部4の最小肉厚(タップ5の開口から取付部4の縁までの最小長さL1)が、円筒体の周壁2の最小肉厚(内周面6における隣り合う2つの貫通孔3間の最小長さL2)よりも大きく形成されている。
なお、タップ5とタップ5の間隔が狭く、タップ5の開口から開口までの長さが開口から取付部4の縁までの最小長さL1よりも小さい場合には、開口から開口までの最小長さが隣り合う2つの貫通孔3間の最小長さL2よりも大きく形成されていてもよい。
【0025】
貫通孔3の配置としては、図3(a)に示すように、b1の幅を近接させることにより穴数を増やすリジッド・パターン、図3(b)に示すように、a2の幅を近接させることにより穴数を増やすパトレス・パターン、図3(c)に示すように、すべての穴間隔(L5)を等しくするイクイラテラル・パターン等がある。
ここで、a1、a2、a3は、貫通孔3の列の幅であり、b1、b2、b3は、一列の隣りあう貫通孔3と貫通孔3の幅である。
隣り合う2つの貫通孔3間の最小長さは、リジッド・パターンの場合には、図3(a)のL3、パトレス・パターンの場合には、図3(b)のL4、イクイラテラル・パターンの場合には、図3(c)のL5の長さとなる。
L1の長さとしては、タップ5径の3/4〜5/8程度が好ましく、L2〜L5の長さとしては、貫通孔3径の1/10〜1/2程度が好ましいが、この長さは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することができる。
【0026】
このように、タップ5の開口から取付部4の縁までの最小長さを隣り合う2つの貫通孔3間の最小長さよりも大きく形成することにより、リングダイの製造工程における焼入れの際に、タップ5の周囲に形成される取付部4の壁が、隣接する2つの貫通孔3間の壁よりも冷えにくくなり、貫通孔3間の壁よりも硬度が低くなる。このため、取付部4のタップ5周囲と周壁2の内周面における貫通孔3周囲に硬度差をつけることができる。この硬度差は、低合金鋼の場合に大きくなり、従来のリングダイに使用されているステンレス鋼では、材質上焼きが入りやすいため、硬度差がつきにくい。
【0027】
次に、リングダイ成形機について説明する。
図4および図5に示すように、リングダイ1には、円周上に多数の貫通孔3が設けられており、このリングダイ1は回転中空軸12の大径の先端に芯出しが容易なようにテーパ固定され、回転中空軸12は軸受13を介して主軸14上に枢支されている。主軸14の先端の大径円板である主軸円板14aには、リングダイ1の内周面6(図2参照)に接して追従回転する一対のローラ15が取り付けられている。ローラ15は、主軸円板14aに固定軸19を介して固定されているため、運転中は、リングダイ1との間に噛み込まれた処理物31を介して回転する。ローラ15のギャップ調整は、偏芯機構により、ローラ15を外すことなく簡単に行えるようになっている。なお、ローラ15は、一対だけではなく、複数設けられていてもよい。
【0028】
モータ17の出力軸上には、V形の溝車16が設けられ、この溝車16に中間軸25を介して回転中空軸12の外周面に取り付けたV形の溝車16´が接続されている。回転中空軸12は、溝車16、16´に掛けたVベルト18、18´をモータ17により駆動することで、回転するようになっている。なお、Vベルト18、18´の張力は、油圧シリンダ(図示省略)により自動的に調節できるようになっている。
ここで、主軸14に過大な負担がかかることを防ぐため、回転中空軸12の先端部外周を、タイヤやローラ等の支持部材(図示省略)により回転自在に支持してもよい。
【0029】
投入口20は、処理物31をリングダイ1内へ投入する部位であり、カッター26は、リングダイ1の円周上の貫通孔3から押し出された成形物を切断するものである。カッター26は、リングダイ1の外周の固定側カバー内部に設けられ、ハンドル操作により、簡単に希望製品32長さに調整できるようになっている。
【0030】
上記のように構成されたリングダイ成形機においては、モータ17により、回転中空軸12が主軸14上を回転し、回転中空軸12の先端面に固定されたリングダイ1が共に回転する。
投入口20よりリングダイ1内に投入された処理物31は、回転するリングダイ1とその内周面6(図2参照)に接して追従回転する一対のローラ15との間ですり潰されながら、リングダイ1の円周上の多数の貫通孔3に押し込まれる。その際、処理物31は発熱し、一部は軟化してリングダイ1の通過抵抗により硬度を増しながら押し出し成形される。押し出された成形品は、カッター26により切断され、ペレット状の製品32となり、排出口21から機外へ排出されて、次工程に送るようになっている。
【0031】
ここで、過負荷のとき、あるいはローラ15とリングダイ1の間に異物等を噛み込んだときは、油圧支持軸24が回転スリップし、リミットスイッチ(図示省略)にて、本体を停止させる。
このようなリングダイ成形機の動作は、グリースポンプ22や油圧ユニット23等により制御されている。
【0032】
以上のように、本発明に係るリングダイによれば、リングダイの内周面における貫通孔周囲の耐摩耗性を高くしつつ、円筒体の端面におけるタップ周囲を割れにくくすることができる。
また、低合金鋼を用いることにより、材料費、製造費を低く抑えつつ、穴あけ等の加工性を向上させることができる。
本発明に係るリングダイ成形機によれば、割れに起因するリングダイ等、部品の交換や割れの有無の定期的な確認であるような保守点検等の作業頻度が少なくなり、その作業による手間を減らすことができ、リングダイ成形機の耐久性を向上させることができる。
本発明に係るリングダイの製造方法によれば、リングダイの内周面における貫通孔周囲の耐摩耗性が高く、かつ、円筒体の端面におけるタップ周囲が割れにくいリングダイを製造するこができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することができる。例えば、モータの数や動力伝達方法を変える等、種々の変更を行うことができる。
【実施例】
【0033】
次に、本発明に係る図1および図2に示すリングダイとその製造方法について説明する。
<材質>
リングダイの材質としては、クロムモリブテン鋼(SCM440)を用いた。
<寸法>
リングダイの内周面の直径は、約880mm、外周面の直径は、約1040mmであり、タップの呼径は、M24、貫通孔の直径は、φ8mmである。周壁の厚みは、約80mm、円筒体の端面から端面までの長さは、約350mm、そのうち取付部の長さは、片面約40mm(周壁の厚さの1/2以上)である。タップの開口から取付部の縁までの最小長さは、約20mm、最大長さは、約35mm(外部テーパ部含む)であり、2つの貫通孔間の壁の最小長さは、約3.5mm(面取部含む)である。
【0034】
<供試材作製法>
まず、鋼塊を鍛造し、焼ならしを行った。
次に、荒引加工、穴あけを行い、仕上げ加工を行うところ以外については、仕上寸法による加工を行った。
このようにして作製したリングダイの原型について、焼鈍工程、焼入工程、焼戻工程を行った。
その後、サンドブラスト、タップさらい、外面テーパ部および端面部の仕上加工を施すことにより、リングダイを製造した。
【0035】
<硬度分布測定>
前記工程により製造したリングダイと従来品相当のステンレス鋼(SUS420)製リングダイについて、図2に示すA、B、C、D、Eの部位の硬度を測定した。
ここで、Aは、取付部4のタップ5周囲、Bは、取付部4の外周面、Cは、周壁2の外周面における貫通孔3周囲、Dは、取付部4の内周面6、Eは、周壁2の内周面6における貫通孔3周囲を示す。
表1に、本発明に係る製造方法により作製されたリングダイ(実施例)と従来品相当のステンレス鋼(SUS420)製リングダイ(比較例)との硬度分布の実測平均値を示す。
【0036】
【表1】

【0037】
表1からわかるように、取付部4のタップ5周囲であるAと周壁2の内周面6における貫通孔3周囲であるEの硬度差は、実施例で18Hsであり、比較例で6.5Hsであった。
この結果から、本発明に係るリングダイにおいては、取付部4のタップ5周囲の硬度が周壁2の内周面6における貫通孔周囲の硬度よりも十分に低く、割れにくいことがわかる。
また、内周面6における貫通孔3周囲であるEの硬度は、ステンレス系である従来のリングダイと同等の硬度を有し、摩耗性を高く維持できることがわかる。
【0038】
次に、本発明に係るリングダイを使用したリングダイ成形機の使用例について説明する。
まず、プラスチックシートを一軸せん断式破砕機に直接投入し、約30mm〜50mmに破砕した。次に、排出コンベア上に設けられた磁選機により、破砕したプラスチックに混入している金属を除去し、このプラスチックをリングダイ成形機に投入した。その際、レベルスイッチにより一軸せん断式破砕機の運転を制御し、可変速型でリングダイ成形機負荷に合わせて投入量を調節した。そして、断面が直径8mmの廃プラスチック造粒物を成形した。
表2に、リングダイ成形機についての概略を示す。
【0039】
【表2】

【0040】
アーステクニカ製リングダイ式成形機(製品名:マルチプレスMAX、型式MPV2400K)を用い、実施例1と比較例に係るリングダイをそれぞれ複数個準備し、処理量を約2トン/時としてリングダイ成形機を稼動させて取付部の耐久試験を実施した。
その結果、実施例1に係るリングダイにおいては、摩耗寿命(設計値)である約2500〜3000時間を超えて稼動させても割れが発生せず、タップを起点とした割れに対して耐久性があることが確認された。
一方、比較例にかかるリングダイにおいては、摩耗寿命(設計値)に満たないで割れるものが複数発生し、約1500時間という短時間で割れが発生したものもあり、交換が必要となる割れが生じやすいことが確認された。
これにより、本発明に係るリングダイは取付部のタップを起点とした割れを発生しにくく、そのリングダイを用いたリングダイ成形機によれば、割れによるリングダイ等部品の交換、割れの有無の定期的な確認のような保守点検等の作業頻度が少なくて済み、その作業による手間が軽減できると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係るリングダイを示す正面図である。
【図2】図1におけるA−A´断面を示す断面図である。
【図3】本発明に係るリングダイの貫通孔の配置を示す周壁の拡大図であり、(a)は、リジッド・パターンを示す図、(b)は、パトレス・パターンを示す図、(c)は、イクイラテラル・パターンを示す図である。
【図4】本発明に係るリングダイ成形機の概略縦断側面図である。
【図5】本発明に係るリングダイ成形機の概略横断平面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 リングダイ
2 周壁
3 貫通孔
4 取付部
5 タップ
6 内周面
12 回転中空軸
15 ローラ
17 モータ
31 処理物
32 製品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒体の周壁に多数設けた貫通孔と、前記円筒体の少なくとも一方の端面である取付部に、リングダイ成形機の回転部材に取り付けるために設けたタップと、を備えたリングダイにおいて、
前記取付部のタップ周囲の硬度が前記周壁の内周面における貫通孔周囲の硬度よりも低く、かつ、当該周壁および取付部が低合金鋼からなることを特徴とするリングダイ。
【請求項2】
前記タップの開口から前記取付部の縁までの最小長さである前記取付部の最小肉厚が、
隣り合う2つの貫通孔間の最小長さである前記円筒体の周壁の最小肉厚よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のリングダイ。
【請求項3】
前記取付部のタップ周囲と前記周壁の内周面における貫通孔周囲の硬度差が、ショア硬度で8Hs〜25Hsの範囲であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のリングダイ。
【請求項4】
前記周壁の内周面における貫通孔周囲の硬度が、ショア硬度で65Hs〜78Hsの範囲であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のリングダイ。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のリングダイを用いるリングダイ成形機であって、
前記リングダイがモータの駆動力が伝送されて回転する回転部材に片持支持で固定され、前記リングダイに追従回転する一対または複数のローラによってリングダイ内に投入された処理物を前記貫通孔から押し出し成形することを特徴とするリングダイ成形機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−203255(P2007−203255A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−27513(P2006−27513)
【出願日】平成18年2月3日(2006.2.3)
【出願人】(503245465)株式会社アーステクニカ (54)
【Fターム(参考)】