説明

リン酸エステルの製造方法

【課題】リン酸とアルコールからリン酸エステルを簡便かつ効率的に製造できる方法を提供する。
【解決手段】溶媒中でリン酸とアルコールとを反応させてリン酸エステルを製造する方法であって、溶媒100容量%あたり、一般式(1)で表されるアミド化合物または一般式(2)で表される尿素化合物が20容量%以上であり、三級アミン、N−アルキルイミダゾール、N−アリールイミダゾール、およびホスファゼン化合物からなる群から選択される少なくとも1種の触媒の存在下で、リン酸とアルコールとを反応させることを特徴とするリン酸エステルの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リン酸とアルコールとを反応させることによりリン酸エステルを製造する方法に関する。さらに詳しくは、特定の溶媒および触媒の存在下にリン酸とアルコールとを反応させることによりリン酸エステルを効率よく製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リン酸エステルは医薬、農薬等の中間原料、界面活性剤などとして有用な化合物であり、その効率的な製造方法の開発が望まれている。その製造方法としては、リン酸とアルコールとを直接脱水縮合させる方法が最も効率的と考えられるが、これらの化合物の反応性が非常に低いためにこれまでに知られている直接合成法は極めて限定されておりまた問題点も多い。直接脱水縮合法の公知の方法としては、過剰量のトリブチルアミンの存在下にN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)中で加熱還流させる方法(非特許文献1)、同じくDMFを含む溶媒中で等モル量のトリブチルアミンと触媒量のN−アルキルイミダゾールまたはN,N−ジアルキルアミノピリジンの存在下に反応させる方法(非特許文献2)、さらには過酸化レニウム触媒とジブチルアミンの存在下に反応させる方法(非特許文献3)の3つの方法がわずかに知られているのみである。最初の2つの方法においては、反応性の低さを補うために有機塩基を等モル量以上使用しなければならない点が問題であり、また3つめの方法においては高価な金属触媒を用いる点や、生成物への金属混入の恐れがある点などが問題である。安価な塩基触媒を触媒量使用してリン酸とアルコールからリン酸エステルを製造する方法としては、非特許文献3に過酸化レニウム触媒とジブチルアミンの存在下に反応させる方法の比較例として、触媒量のジブチルアミンの存在下に反応させる方法が開示されてはいるが、リン酸エステルの収率は低く満足できるものではない。すなわち、安価な触媒を触媒量用いてリン酸とアルコールから効率よくリン酸エステルを製造する方法は未だ見出されていない。
【0003】
またリン酸とアルコールとの直接脱水縮合法以外の方法としては、例えば塩化2,4,6−トリイソプロピルフェニルスルホニルやN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミドなどの脱水縮合剤の共存下にリン酸とアルコールとを縮合させる方法や、リン酸源として塩化リンを用いこれとアルコールとを反応させる方法などが知られている。しかしながら、前者は高価な脱水縮合剤を等モル以上使用する必要があり、後者はより高価なリン化合物を原料に用いなければならないなどの欠点があった。
【非特許文献1】Chemical & Pharmaceutical Bulletin,1966年,14巻,1061頁
【非特許文献2】Organic Letters,2005年,7巻,1999頁
【非特許文献3】Kazuaki Ishihara他2名, “The Oxorhenium(VII)−Catalyzed Direct Condensation of Phosphoric Acid with an Alcohol”,Angewandte Chemie International Edition, 2007年,46巻,1423ページ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、リン酸とアルコールからリン酸エステルを簡便かつ効率的に製造できる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を続けてきた結果、特定のアミド化合
物または尿素化合物を含む溶媒と特定の塩基触媒の存在下にリン酸とアルコールを反応させると触媒量の塩基の使用で非常に効率よくリン酸エステルが製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明のリン酸エステルの製造方法は、溶媒中でリン酸とアルコールとを反応させてリン酸エステルを製造する方法であって、
溶媒100容量%あたり、一般式(1)で表されるアミド化合物または一般式(2)で表される尿素化合物が20容量%以上であり、
三級アミン、N−アルキルイミダゾール、N−アリールイミダゾール、およびホスファゼン化合物からなる群から選択される少なくとも1種の触媒の存在下で、
リン酸とアルコールとを反応させることを特徴とするものである。
【0007】
【化4】

【0008】
(式中、R1は炭素数1〜10の炭化水素基を表す。R2およびR3はそれぞれ独立に水素
原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表し、さらにはR1とR2、またはR1とR3とが互いに結合して環構造を形成していてもよい。)
【0009】
【化5】

【0010】
(式中、R4、R5、R6およびR7はそれぞれ独立に炭素数1〜10の炭化水素基を表し、さらには異なる窒素原子上の2つの炭化水素基が互いに結合して環構造を形成していてもよい。)
前記反応において、反応系中の水を反応系外に除去しながら反応させることが好ましい。
【0011】
リン酸がオルトリン酸であることが好ましい。
N−メチル−2−ピロリドンを20容量%以上含有する溶媒を使用することが好ましい。
【0012】
触媒の使用量が、リン酸に対して50モル%以下であることが好ましい。
触媒が、一般式(3)で表されるホスファゼニウム化合物であることが好ましい。
【0013】
【化6】

【0014】
(式中、nは1〜8の整数であってホスファゼニウムカチオンの数を表し、Zn-は無機酸または活性水素化合物からn個のプロトンが脱離して導かれるアニオンである。a、b、cおよびdはそれぞれ独立に3以下の正の整数または0であるが、全てが同時に0ではない。R8はそれぞれ独立に炭素数1〜10個の炭化水素基であり、同一窒素原子上の2個
のR8が互いに結合して環構造を形成していても良い。)
触媒がテトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムヒドロキシドであることがより好ましい。
【0015】
リン酸とアルコールとを反応させて製造されるリン酸エステルがリン酸モノエステルであることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、触媒量の塩基の使用により、温和な反応条件下でリン酸とアルコールとを直接脱水縮合することにより効率よくリン酸エステルを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のリン酸エステルの製造方法は、溶媒中でリン酸とアルコールとを反応させてリン酸エステルを製造する方法であって、溶媒100容量%あたり、一般式(1)で表されるアミド化合物または一般式(2)で表される尿素化合物が20容量%以上であり、三級アミン、N−アルキルイミダゾール、N−アリールイミダゾール、およびホスファゼン化合物からなる群から選択される少なくとも1種の触媒の存在下で、リン酸とアルコールとを反応させることを特徴とする。
【0018】
【化7】

【0019】
(式中、R1は炭素数1〜10の炭化水素基を表す。R2およびR3はそれぞれ独立に水素
原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表し、さらにはR1とR2、またはR1とR3とが互いに結合して環構造を形成していてもよい。)
【0020】
【化8】

【0021】
(式中、R4、R5、R6およびR7はそれぞれ独立に炭素数1〜10の炭化水素基を表し、さらには異なる窒素原子上の2つの炭化水素基が互いに結合して環構造を形成していてもよい。)
本発明のリン酸エステルの製造方法における原料であるリン酸としては、具体的にはオルトリン酸(H3PO4)をはじめとし、例えばピロリン酸、三リン酸、四リン酸などの直鎖状ポリリン酸、例えばメタリン酸などの環状ポリリン酸を挙げることができる。これらのリン酸のうちオルトリン酸を用いると、効率よくリン酸エステルを製造することができるため好ましい。
【0022】
本発明のリン酸エステルの製造方法におけるもう一方の原料であるアルコールととしては特に限定が無く、例えば、脂肪族飽和アルコール、脂肪族不飽和アルコール、脂環式アルコール、芳香族アルコール、複素環式アルコール等を用いることができる。また前記各アルコールの一部を他の基で置換した、置換アルコールも用いることができる。
【0023】
アルコールの級数に制限はなく一級アルコール、二級アルコールまたは三級アルコールのいずれであってもよい。また、アルキル基または置換アルキル基は鎖状であっても環状であってもよい。本発明に用いるアルコールは、その分子内に多重結合や脂環、芳香族環、複素環、ハロゲン原子などを含んでいてもよい。このようなアルコールの具体例としては、例えばメタノール、イソプロパノール、2−エチルヘキサノール、ラウリルアルコール、エイコシルアルコール、ファルネソール、エチレングリコール、グリセリンなどの炭素数1〜50の直鎖または分岐状脂肪族飽和アルコール、例えばクロチルアルコール、プロパギルアルコール、メチルビニルカルビノール、オレイルアルコールなどの炭素数2〜50の直鎖または分岐状脂肪族不飽和アルコール、例えばシクロペンタノール、シクロヘキサノールや例えばコレステロール、β−コレスタノールなどのステロール類などの炭素数3〜100の飽和脂環式または不飽和脂環式アルコール、例えばベンジルアルコール、シンナミルアルコールなどの炭素数7〜50の芳香族アルコール、例えばグルコース、リボース、キシロースなどの炭素数5〜100の糖類およびその誘導体、例えばウリジン、2’,3’−O−イソプロピリデンウリジン、2’,3’−O−イソプロピリデンアデノシン、2’,3’−O−イソプロピリデンシチジン、2’,3’−O−イソプロピリデングアノシンなどの炭素数5〜100の核酸およびその誘導体、例えば2−メトキシエタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ラウリルアルコールエトキシレートなどの炭素数2〜1000の(ポリ)アルキレングリコール類、例えばフルフリルアルコール、2−(オクチルチオ)−エタノール、p−ニトロベンジルアルコール、トリエタノールアミン、エチレンクロロヒドリン、ジエチレングリコールモノドデシルエーテルなどの酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはハロゲン原子を含む置換アルキル基を有する炭素数1〜50のアルコールなどが挙げられる。このようなアルコールはすべて好適に本発明の原料として用いることができるが、これらのアルコールの中でも一級アルコールまたは二級アルコールの使用が好ましく、一級アルコールの使用がより好ましい。
【0024】
本発明に用いる溶媒は、溶媒100容量%あたり、下記一般式(1)で表されるアミド化合物または下記一般式(2)で表される尿素化合物が20容量%以上である。
【0025】
【化9】

【0026】
(式中、R1は炭素数1〜10の炭化水素基を表す。R2およびR3はそれぞれ独立に水素
原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表し、さらにはR1とR2、またはR1とR3とが互いに結合して環構造を形成していてもよい。)
【0027】
【化10】

【0028】
(式中、R4、R5、R6およびR7はそれぞれ独立に炭素数1〜10の炭化水素基を表し、さらには異なる窒素原子上の2つの炭化水素基が互いに結合して環構造を形成していてもよい。)
一般式(1)において、R1は炭素数1〜10の炭化水素基を表す。このようなR1としては、より具体的には、例えばメチル基、エチル基、2−ブチル基、n−ペンチル基、2−エチルヘキシル基などの炭素数1〜10のアルキル基、例えばシクロヘキシル基などの炭素数3〜10のシクロアルキル基、例えばビニル基、プロペニル基などの炭素数2〜10のアルケニル基、例えばシクロヘキセニル基などの炭素数3〜10のシクロアルケニル基、例えばフェニル基、ナフチル基、エチルフェニル基などの炭素数6〜10の置換または無置換のアリール基などが挙げられる。これらの炭化水素基のうち、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。
【0029】
また一般式(1)において、R2およびR3はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表す。炭化水素基としては炭素数1〜10の炭化水素基が好ましく、その具体例としてはR1の具体例として挙げた炭化水素基と同様の基が挙げられる。
【0030】
これらのR2およびR3としては、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基が好ましい。
さらには一般式(1)においてはR1とR2、またはR1とR3が互いに結合し環構造を形成していてもよい。この場合の基としては、具体的には、例えばエチレン基、トリメチレン基、ペンタメチレン基などの炭素数2〜10のアルキレン基、例えばシクロヘキシレン基などの炭素数3〜10のシクロアルキレン基、例えばビニレン基などの炭素数2〜10のアルケニレン基、例えばシクロヘキセニレン基などの炭素数3〜10のシクロアルケニレン基、例えばフェニルエチレン基などの炭素数8〜10のアラルキレン基などが挙げられる。これらの基のうち、炭素数2〜10のアルキレン基が好ましい。
【0031】
一般式(1)で表されるアミド化合物としては、より具体的には例えばアセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミドなどの鎖状アミド化合物、例えば2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンなどの環状アミド化合物などが挙げられる。これらのアミド化合物のうち、N−メチルアセトアミドおよびN−メチル−2−ピロリドンの使用が好ましく、N−メチル−2−ピロリドンの使用がより好ましい。
【0032】
一般式(2)において、R4、R5、R6およびR7はそれぞれ独立に炭素数1〜10の炭化水素基を表す。R4、R5、R6およびR7の具体例としてはR1の具体例として挙げた炭
化水素基と同様の基が挙げられる。これらの基のうち炭素数1〜10のアルキル基が好ましい。
【0033】
また一般式(2)においては、異なる窒素原子上の2つの炭化水素基が互いに結合して環構造を形成していてもよい。この場合の基の具体例としては、R1とR2、またはR1
3が互いに結合して環構造を形成している場合の具体例として挙げた基と同様の基を挙
げることができる。これらの基のうち、炭素数2〜10のアルキレン基が好ましい。
【0034】
一般式(2)で表される尿素化合物としては、より具体的には例えばN,N,N’,N’−テトラメチル尿素などの鎖状尿素化合物、たとえばN,N’−ジメチルエチレンウレアやN,N’−ジメチルプロピレンウレアなどの環状尿素化合物が挙げられる。これらの尿素化合物のうち、N,N’−ジメチルエチレンウレアおよびN,N’−ジメチルプロピレンウレアの使用は好ましい。
【0035】
本発明においては、溶媒100容量%あたり、N−メチル−2−ピロリドンが20容量%以上であることが最も好ましい。N−メチル−2−ピロリドンはリン酸の溶解性に優れ、リン酸とアルコールとの反応が速やかに進行するため、リン酸エステルを効率よく製造することができ好ましい。また、N−メチル−2−ピロリドンは、反応後に減圧留去することが容易であるため好ましい。
【0036】
本発明においては、溶媒100容量%あたり、一般式(1)で表されるアミド化合物または一般式(2)で表される尿素化合物が20容量%以上である溶媒を使用することにより、効果的にリン酸エステルが製造される。一般式(1)で表されるアミド化合物または一般式(2)で表される尿素化合物が40〜100容量%である溶媒がより好ましい。
【0037】
本発明においては、一般式(1)で表されるアミド化合物または一般式(2)で表される尿素化合物以外の溶媒としては、本発明の反応を阻害しなければどのような溶媒であっても良いが、具体的には例えばオクタン、ウンデカンなどの炭素数6〜20の脂肪族飽和炭化水素化合物、例えばトルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの炭素数6〜20の無置換または置換芳香族炭化水素化合物、例えばクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼンなどの炭素数6〜20のハロゲン化芳香族炭化水素化合物、例えばプロピオニトリル、ブチロニトリル、ベンゾニトリルなどの炭素数2〜20のニトリル化合物などが挙げられる。これらの溶媒のうち、無置換または置換芳香族炭化水素化合物、ハロゲン化芳香族炭化水素化合物およびニトリル化合物の使用が好ましい。これらの追加する溶媒の使用量は溶媒の種類により異なるが、反応に用いる溶媒100容量%あたり、0〜80容量%の範囲であり、好ましくは0〜60容量%の範囲である。
【0038】
本発明に用いる触媒は三級アミン、N−アルキルイミダゾール、N−アリールイミダゾール、およびホスファゼン化合物からなる群から選択される少なくとも1種の触媒である。
三級アミンとしては、具体的には、例えばトリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミンなどの直鎖または分岐状三級アルキルアミン、例えばトリフェニルアミン、N,N−ジメチルアニリンなどの三級芳香族アミン、例えばN−メチルピロリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン、トリエチレンジアミンなどの環状三級アミン、例えば4−ジメチルアミノピリジンなどのピリジン基含有三級アミンなどが挙げられる。
【0039】
N−アルキルイミダゾールとしては、例えばN−メチルイミダゾール(1−メチル−1
H−イミダゾール)、N−ブチルイミダゾール(1−ブチル−1H−イミダゾール)、1,2−ジメチルイミダゾール(1,2−ジメチル−1H−イミダゾール)などのN−アルキルイミダゾールが挙げられる。
【0040】
N−アリールイミダゾールとしては、例えばN−フェニルイミダゾール(1−フェニル−1H−イミダゾール)、N−2,4,6−トリメチルフェニルイミダゾールなどのN−アリールイミダゾールなどが挙げられる。
【0041】
ホスファゼン化合物としては、下記一般式(3)で表されるホスファゼニウム化合物、および下記一般式(4)で表されるホスファゼン塩基を挙げることができる。
【0042】
【化11】

【0043】
(式中、nは1〜8の整数であってホスファゼニウムカチオンの数を表し、Zn-は無機酸または活性水素化合物からn個のプロトンが脱離して導かれるアニオンである。a、b、cおよびdはそれぞれ独立に3以下の正の整数または0であるが、全てが同時に0ではない。R8はそれぞれ独立に炭素数1〜10個の炭化水素基であり、同一窒素原子上の2個
のR8が互いに結合して環構造を形成していても良い。)
【0044】
【化12】

【0045】
(式中、e,fおよびgはそれぞれ独立に3以下の正の整数または0である。R9はそ
れぞれ独立に炭素数1〜10個の炭化水素基であり、同一窒素原子上の2個のR9が互い
に結合して環構造を形成していても良い。)
一般式(3)において、nはホスファゼニウムカチオンの数を表すとともに、Zn-を導く無機酸または活性水素化合物から脱離するプロトンの個数を表す。nは1〜8の整数であり、好ましくは1〜3の整数である。Zn-を導く活性水素化合物が複数個の活性水素を有する場合、それらの活性水素が全て脱離してアニオンに導かれる場合もあるし、その一部だけが離脱してアニオンに導かれる場合もある。
【0046】
一般式(3)において、Zn-は無機酸または活性水素化合物からn個のプロトンが脱離して導かれるn価のアニオンを表す。
n-を導く化合物のうち、無機酸としては具体的には、例えばフッ化水素、塩化水素、臭化水素などのハロゲン化水素、リン酸、硫酸、過塩素酸、ヘキサフルオロリン酸、テトラフルオロホウ酸、シアン化水素、チオシアン酸などが挙げられる。
【0047】
n-を導く化合物のうち、活性水素化合物としては、プロトンを脱離してアニオンを与えることができる化合物であれば制限はなく、例えば炭素原子に活性水素原子が結合している化合物、酸素原子に活性水素原子が結合している化合物、窒素原子に活性水素原子が結合している化合物、硫黄原子に活性水素原子が結合している化合物などが挙げられる。
【0048】
n-を導く活性水素化合物のうち、炭素原子上に活性水素原子が結合している化合物としては、水素原子を少なくとも一つ有する炭素原子に例えばシアノ基やニトロ基などの電子吸引性基が結合した化合物や、水素原子が直接アルケニル基またはアルキニル基に結合した化合物が挙げられ、より具体的には、例えばアセトニトリル、ブチロニトリルなどのシアノ基を有する化合物、例えば酢酸メチル、酢酸イソプロピルなどのアルコキシカルボニル基を有する化合物、例えば1−ニトロプロパン、1−ニトロブタンなどのニトロ基を有する化合物、例えば1,2,3,4,5−ペンタメチルシクロペンタジエンなどのアルケニル基を有する化合物、例えばアセチレン、2−ブチンなどのアルキニル基を有する化合物、例えばマロン酸ジメチルなどのマロン酸エステル類などが挙げられる。
【0049】
n-を導く活性水素化合物のうち、酸素原子上に活性水素原子が結合している化合物としては、具体的には、水をはじめとし、例えばメタノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールなどのアルコール類、例えばグルコース、ソルビトールなどの糖類またはその誘導体、例えば酢酸、プロピオン酸、安息香酸、マロン酸などのカルボン酸類、例えばN,N−ジエチルカルバミン酸、N−カルボキシピロリドンなどのカルバミン酸類であり、例えば、フェノール、2−ナフトールなどのフェノール性化合物などが挙げられる。
【0050】
n-を導く活性水素化合物のうち、窒素原子上に活性水素原子が結合している化合物としては、具体的には、アンモニアをはじめとし、例えばメチルアミン、エチルアミン、ベンジルアミン、ジメチルアミン、メチルエチルアミン、ジフェニルアミン、エチレンジアミンなどの一級もしくは二級アミン類、例えばピロリジン、ピペリジンなどの飽和環状二級アミン類であり、例えばアセトアミド、N−メチルプロピオンアミドなどの炭素数2〜20個の無置換またはN−一置換の酸アミド類などが挙げられる。
【0051】
n-を導く活性水素化合物のうち、硫黄原子上に活性水素原子が結合している化合物としては、具体的には、硫化水素をはじめとし、例えばメタンチオール、デカンチオール、1,2−エタンジチオールなどのチオール類、例えばチオフェノール、o−チオクレゾールなどのチオフェノール類などが挙げられる。
【0052】
これらのZn-を導く化合物のうち、無機酸または酸素原子上に活性水素原子が結合している活性水素化合物が好ましく、リン酸、水またはアルコール類がより好ましく、水がさらに好ましい。
【0053】
一般式(3)において、a、b、cおよびdはそれぞれ独立に3以下の正の整数または0であるが、全てが同時に0ではない。好ましくはそれぞれ独立に2以下の正の整数または0である。より好ましくはa、b、cおよびdが全て同時に2または1であり、さらに好ましくは全てが同時に1である。
【0054】
一般式(3)において、R8はそれぞれ独立に炭素数1〜10個の炭化水素基であり、
同一窒素原子上の2個のR8が互いに結合して環構造を形成する場合もある。
8の具体例としてはR1の具体例として挙げた炭化水素基と同様の基が挙げられる。これらの基のうち炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0055】
また一般式(3)においては、同一窒素原子上の2個のR8が互いに結合して環構造を
形成していてもよい。この場合の基の具体例としては、R1とR2、またはR1とR3が互いに結合して環構造を形成している場合の具体例として挙げた基と同様の基を挙げることができる。これらの基のうち、炭素数2〜10のアルキレン基が好ましく、テトラメチレン基およびペンタメチレン基がより好ましい。
【0056】
一般式(3)で表されるホスファゼニウム化合物の具体例としては、テトラキス[トリ
ス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムヒドロキシド(一般式(3
)においてR8=メチル基、a=b=c=d=1、n=1、Zn-=OH-である化合物)(下記一般式(5))をはじめとし、例えば特許第3497054号公報の実施例中で合成されているホスファゼニウム化合物などを例示することができる。
【0057】
一般式(4)において、e,fおよびgはそれぞれ独立に3以下の正の整数または0である。好ましくは、e,fおよびgが、全て同時に0ではなく、それぞれ2以下の正の整数または0である。より好ましくはe,fおよびgが全て同時に2または1であり、さらに好ましくは全てが同時に1である。
【0058】
一般式(4)において、R9はそれぞれ独立に炭素数1〜10個の炭化水素基であり、
同一窒素原子上の2個のR9が互いに結合して環構造を形成する場合もある。さらには、
ホスホニウム塩中の全てのR9が同一であっても良いし、異なっていても良い。
【0059】
9の具体例としてはR1の具体例として挙げた炭化水素基と同様の基が挙げられる。これらの基のうち炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
また一般式(4)においては、異なる窒素原子上の2つの炭化水素基が互いに結合して環構造を形成していてもよい。この場合の基の具体例としては、R1とR2、またはR1
3が互いに結合して環構造を形成している場合の具体例として挙げた基と同様の基を挙
げることができる。これらの基のうち、炭素数2〜10のアルキレン基が好ましく、テトラメチレン基およびペンタメチレン基がより好ましい。
【0060】
一般式(4)で表されるホスファゼン塩基の具体例としては、例えばt−ブチルイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホラン(一般式(4)において−NR92基中のR9がメチ
ル基、=NR9基中のR9がt−ブチル基、e=f=g=0)、1−t−ブチル−4,4,4−トリス(ジメチルアミノ)−2,2−ビス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリ
デンアミノ]−2λ5,4λ5−カテナジホスファゼン(一般式(4)において−NR92
中のR9がメチル基、=NR9基中のR9がt−ブチル基、e=f=g=1)をはじめとし
、例えばJournal of Organic Chemistry,2003年,68巻,9989頁のスキーム1中に挙げられているホスファゼン塩基などを挙げることができる。
【0061】
本発明に用いる触媒は、例えばポリスチレンゲルなどのような担体上に化学的あるいは物理的に担持された固定化触媒の形態をとっていてもよい。
これらの触媒のうち、環状三級アミン、ピリジン基含有三級アミン、N−アルキルイミダゾール、ホスファゼン化合物が好ましく、一般式(3)で表されるホスファゼニウム化合物がより好ましく、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムヒドロキシド(下記一般式(5))がさらに好ましい。
【0062】
【化13】

【0063】
本発明の触媒の使用量はリン酸に対して100モル%以下であり、好ましくはリン酸に対して50モル%以下であり、より好ましくは30モル%以下である。
本発明においては、反応系中に持ち込まれる水および反応中に生成する水を反応系外に除去しながら反応させることは好ましい。反応系外に除去する方法に特に制限はないが、水だけを蒸留により除去する方法、水と共沸混合物を形成する溶媒を加えて共沸混合物として除去する方法、モレキュラーシーブスなどの脱水剤層を通過させ除去する方法などを用いることができる。
【0064】
反応温度は通常0〜250℃の範囲であり、好ましくは50〜200℃の範囲であり、より好ましくは100〜150℃の範囲である。反応時間は通常50時間以下であり、好ましくは0.1〜30時間であり、より好ましくは0.5〜20時間である。反応圧力は常圧、加圧、減圧のいずれでも実施できる。またバッチ式、セミバッチ式、連続流通式のいずれの反応形式をとることもできる。
【0065】
本発明の方法により製造されるリン酸エステルの構造には特に制限はなく、リン酸モノエステル、リン酸ジエステル、リン酸トリエステルなどのモノリン酸エステルおよびピロリン酸モノエステル、ピロリン酸ジエステル、三リン酸モノエステルなどのポリリン酸エステルを効率的に得ることができる。得られるリン酸エステルの炭化水素基部分は使用したアルコールの構造に対応する。
【0066】
また得られるリン酸エステルのリン酸部分は使用したリン酸の構造に特に対応する必要はなく、例えばオルトリン酸を用いてピロリン酸エステルを製造することもできる。
中でも本発明は、オルトリン酸とアルコールとの反応によりリン酸モノエステルを主生成物として製造する、リン酸モノエステルの製造方法として好適である。
【0067】
本発明のリン酸エステルの製造方法により生成したリン酸エステルは、蒸留、再結晶、カラム精製などの常用の精製により単離精製することができる。
【実施例】
【0068】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
[実施例1]
20mLフラスコ中に1−オクタデカノール(2.0mmol)、オルトリン酸(2.0mmol)、トリ−n−ブチルアミン(0.2mmol)、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン5mLとo−キシレン5mLを仕込んだ。
【0069】
ソックスレー抽出器にペレット状のモレキュラーシーブス4A(約3mL)を入れ、こ
れを反応フラスコに装着しさらにその上に冷却管を取り付けた。
反応液を攪拌しながら、180℃のオイルバスにより加熱して10時間加熱還流させた後、室温まで冷却した。
【0070】
得られた反応混合物を1H−NMRおよび31P−NMRで分析したところ、リン酸モノ
オクタデシルが収率43%(1−オクタデカノール基準)で生成していた。
結果を表1に示す。
【0071】
[実施例2〜5]
実施例1において、トリ−n−ブチルアミンの代わりに表1に記載の触媒(0.2mmol)を用いた以外は、実施例1と同様に反応を行い1H−NMRで分析を行った。
【0072】
結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1において、トリ−n−ブチルアミンを用いなかった以外は、全て実施例1と同様に反応を行い1H−NMRで分析を行った。
【0073】
結果を表1に示す。
触媒の非存在下ではリン酸モノオクタデシルの収率は非常に低かった。
[比較例2]
実施例1においてトリ−n−ブチルアミン(0.2mmol)の代わりにジ−n−ブチルアミン(0.4mmol)を用い、反応時間を12時間に代えた以外は、全て実施例1と同様に反応を行い1H−NMRで分析を行った。
【0074】
触媒として二級アミンを用いると、触媒量と反応時間を増やしたにもかかわらずリン酸モノオクタデシルの収率は39%と低かった。
[比較例3]
実施例1において、1−オクタデカノールの代わりに4−フェニル−1−ブタノール(2.0mmol)、トリ−n−ブチルアミンの使用量を2.0mmolに、N−メチル−2−ピロリドンの代わりにN,N−ジメチルホルムアミド5mLを使用し、加熱還流を6時間とした以外は実施例1と同様に反応を行い1H−NMRで分析を行った。
【0075】
溶媒としてN,N−ジメチルホルムアルデヒドを用いると、アミンの使用量を増やしたにもかかわらず、リン酸モノオクタデシルの収率は20%と低かった。
[実施例6]
実施例5において、オルトリン酸の使用量を3.0mmolに代えた以外は、全て実施例5と同様に反応及び分析を行った。
【0076】
リン酸モノオクタデシル、リン酸ジオクタデシル、ピロリン酸モノオクタデシル、ピロリン酸ジオクタデシルが生成し、合計のリン酸エステル収率は92%(1−オクタデカノール基準)であった。また、全リン酸エステル中のリン酸モノオクタデシル含量は97%であった。
【0077】
[実施例7]
実施例5において、オルトリン酸の使用量を4.0mmolに代えた以外は、全て実施例5と同様に反応及び分析を行った。
【0078】
リン酸モノオクタデシル、リン酸ジオクタデシル、ピロリン酸モノオクタデシル、ピロリン酸ジオクタデシルが生成し、合計のリン酸エステル収率は87%(1−オクタデカノール基準)であった。また、全リン酸エステル中のリン酸モノオクタデシル含量は92%
であった。
【0079】
[実施例8〜10]
実施例6において1−オクタデカノールの代わりに表2に記載のアルコール(2.0mmol)を使用した以外は、全て実施例6と同様に反応および分析を行った。
【0080】
反応成績を表2に示す。アルコールの種類によらず高収率でリン酸モノエステルが得られた。
[実施例11]
実施例7において1−オクタデカノールの代わりに表2に記載のアルコール(2.0mmol)を使用した以外は、全て実施例7と同様に反応を行った。
【0081】
反応混合物の分析を高速液体クロマトグラフィーを用いて行った。分析条件は以下の通りである。
カラム: 野村化学社製 Develosil ODS−5
移動相: 0.02M 酢酸アンモニウム水溶液−メタノール(3:1容量比)
流速: 0.75mL/min
検出: UV検出器 (254nm)
リン酸モノエステルの保持時間: 6.2min
反応成績を表2に示す。アルコールの種類によらず高収率でリン酸モノエステルが得られた。
【0082】
[実施例12]
20mLフラスコ中に1−オクタデカノール(0.5mmol)、オルトリン酸(4.0mmol)、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムヒドロキシド(0.2mmol)、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン5mLとブチロニトリル5mLを仕込んだ。
【0083】
ソックスレー抽出器にペレット状のモレキュラーシーブス4A(約3mL)を入れ、これを反応フラスコに装着しさらにその上に冷却管を取り付けた。
反応液を攪拌しながら、180℃のオイルバスにより加熱して2時間加熱還流させた後、0.5mmolの1−オクタデカノールを追加した。さらに2時間加熱還流させるごとに1−オクタデカノールを0.5mmolずつ2回追加し(合計2.0mmolの1−オクタデカノールを使用したことになる)、合計10時間加熱還流した後、反応液を室温まで冷却した。
【0084】
得られた反応混合物を1H−NMRおよび31P−NMRで分析を行った。リン酸モノオ
クタデシル、リン酸ジオクタデシル、ピロリン酸モノオクタデシル、ピロリン酸ジオクタデシルが生成しており、これらを合わせたリン酸エステルの収率94%(1−オクタデカノール基準)であった。全リン酸エステル中のリン酸モノオクタデシル含量は85%であった。
【0085】
[実施例13〜16]
実施例12において1−オクタデカノールの代わりに表3に記載のアルコール(合計2.0mmol)を使用した以外は、全て実施例12と同様に反応を行い室温まで冷却した。
【0086】
その後、反応溶媒を減圧留去し、陰イオン交換樹脂(DOWEX1x2−200、ギ酸アニオン型、20mL、溶離液:ギ酸アンモニウム水溶液)で精製した。表3にはそのリン酸モノエステルの単離収率(アルコール基準)を示した。
【0087】
結果を表3に示す。
アルコールの種類によらず高収率でリン酸モノエステルが得られた。
[実施例17]
実施例6において溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン(5mL)の代わりにN−メチルアセトアミド(5mL)を使用した以外は、全て実施例6と同様に反応および分析を行った。
【0088】
リン酸エステル収率は82%(1−オクタデカノール基準)であった。また、全リン酸エステル中のリン酸モノオクタデシル含量は74%であった。
[実施例18]
実施例6において溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン(5mL)の代わりにN,N’−ジメチルエチレンウレア(5mL)を使用した以外は、全て実施例6と同様に反応および分析を行った。
【0089】
リン酸エステル収率は93%(1−オクタデカノール基準)であった。また、全リン酸エステル中のリン酸モノオクタデシル含量は78%であった。
【0090】
【表1】

【0091】
【表2】

【0092】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明のリン酸エステルの製造方法によって、医農薬の中間原料、界面活性剤などとして有用なリン酸エステルを効率的に製造することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒中でリン酸とアルコールとを反応させてリン酸エステルを製造する方法であって、
溶媒100容量%あたり、一般式(1)で表されるアミド化合物または一般式(2)で表される尿素化合物が20容量%以上であり、
三級アミン、N−アルキルイミダゾール、N−アリールイミダゾール、およびホスファゼン化合物からなる群から選択される少なくとも1種の触媒の存在下で、
リン酸とアルコールとを反応させることを特徴とするリン酸エステルの製造方法。
【化1】

(式中、R1は炭素数1〜10の炭化水素基を表す。R2およびR3はそれぞれ独立に水素
原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表し、さらにはR1とR2、またはR1とR3とが互いに結合して環構造を形成していてもよい。)
【化2】

(式中、R4、R5、R6およびR7はそれぞれ独立に炭素数1〜10の炭化水素基を表し、さらには異なる窒素原子上の2つの炭化水素基が互いに結合して環構造を形成していてもよい。)
【請求項2】
前記反応において、反応系中の水を反応系外に除去しながら反応させる請求項1に記載のリン酸エステルの製造方法。
【請求項3】
リン酸がオルトリン酸である請求項1または2に記載のリン酸エステルの製造方法。
【請求項4】
N−メチル−2−ピロリドンを20容量%以上含有する溶媒を使用する請求項1〜3のいずれかに記載のリン酸エステルの製造方法。
【請求項5】
触媒の使用量が、リン酸に対して50モル%以下である請求項1〜4のいずれかに記載のリン酸エステルの製造方法。
【請求項6】
触媒が、一般式(3)で表されるホスファゼニウム化合物である請求項1〜5のいずれかに記載のリン酸エステルの製造方法。
【化3】

(式中、nは1〜8の整数であってホスファゼニウムカチオンの数を表し、Zn-は無機酸または活性水素化合物からn個のプロトンが脱離して導かれるアニオンである。a、b、cおよびdはそれぞれ独立に3以下の正の整数または0であるが、全てが同時に0ではない。R8はそれぞれ独立に炭素数1〜10個の炭化水素基であり、同一窒素原子上の2個
のR8が互いに結合して環構造を形成していても良い。)
【請求項7】
触媒がテトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムヒドロキシドである請求項1〜6のいずれかに記載のリン酸エステルの製造方法。
【請求項8】
リン酸とアルコールとを反応させて製造されるリン酸エステルがリン酸モノエステルである請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。

【公開番号】特開2008−201764(P2008−201764A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−42875(P2007−42875)
【出願日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(504139662)国立大学法人名古屋大学 (996)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】